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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】リモコン
(51)【国際特許分類】
   H05K 5/00 20060101AFI20240419BHJP
   H04Q 9/00 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H05K5/00 A
H04Q9/00 371A
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020101314
(22)【出願日】2020-06-11
(65)【公開番号】P2021197410
(43)【公開日】2021-12-27
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000112015
【氏名又は名称】株式会社パロマ
(74)【代理人】
【識別番号】100104178
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 尚
(74)【代理人】
【識別番号】100174344
【弁理士】
【氏名又は名称】安井 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】宮地 克宜
【審査官】五貫 昭一
(56)【参考文献】
【文献】実開平3-39992(JP,U)
【文献】特開平6-292283(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 5/00
H04Q 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水機器と通信可能で且つ壁に取り付け可能なリモコンであって、
正面視矩形状の本体と、
前記本体の外周部に前方から取り付けられる正面視矩形枠状の樹脂製の枠部材と
を備え、
前記本体の前記外周部に対して前記枠部材が重なる重複部分には、
前記本体に対して前記枠部材の前後方向の位置を規定する前後位置規定手段と、
前記本体に対して前記枠部材の上下方向の位置を規定する上下位置規定手段と
が設けられ
前記上下位置規定手段は、
前記重複部分における上側に設けられ、前記本体に対して前記枠部材の上方向の位置を規定する上位置規定手段と、
前記重複部分における下側に設けられ、前記本体に対して前記枠部材の下方向の位置を規定する下位置規定手段と
を備え、
前記本体は、
正面視矩形状の背板部と、
前記背板部の前面における外周部を除く領域に設けられ、当該領域から前方に突出する正面視矩形状の前板部と、
前記前板部の前面に設けられ、各種情報を表示可能な表示部と
を備え、
前記枠部材は、
正面視矩形枠状の前面枠部と、
前記前面枠部の外周部から後方に突出し、前記前板部の外周部を外側から覆う後方突出部と
を備え、
前記前後位置規定手段は、
前記前板部の外周部から外方に突出する被係止部と、
前記後方突出部に設けられ、前記被係止部に後方から係止する係止部と
を備え、
前記後方突出部は、
前記前面枠部の上端部から後方に突出する上側後方突出部と、
前記前面枠部の下端部から後方に突出する下側後方突出部と、
前記前面枠部の右端部から後方に突出する右側後方突出部と、
前記前面枠部の左端部から後方に突出する左側後方突出部と
を備え、
前記上位置規定手段は、
前記上側後方突出部から後方に突出する上側差込片と、
前記背板部の前記前面における外周部のうち上部に設けられ、前記上側差込片が前方から差し込まれる上側差込穴と
を備え、
前記下位置規定手段は、
前記下側後方突出部から後方に突出する下側差込片と、
前記背板部の前記前面における外周部のうち下部に設けられ、前記下側差込片が前方から差し込まれる下側差込穴と
を備え、
前記上側差込片は、前記上側差込穴の内側の上面と当接し、
前記下側差込片は、前記下側差込穴の内側の下面と当接すること
を特徴とするリモコン。
【請求項2】
前記本体及び前記枠部材は上下方向よりも左右方向に長く、
前記前後位置規定手段は、
前記重複部分における上側の左右両側に夫々設けられる一対の上側前後位置規定手段と、
前記重複部分における下側の左右両側に夫々設けられる一対の下側前後位置規定手段と
を備え、
前記上位置規定手段は、前記一対の上側前後位置規定手段の間に設けられ、
前記下位置規定手段は、前記一対の下側前後位置規定手段の間に設けられたこと
を特徴とする請求項に記載のリモコン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リモコンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、後ケーシングと前ケーシングとが前後に合わさったケーシングを有し、前ケーシングの前面に、押し操作できる操作ボタンが配列された給湯装置のリモコンが知られている(例えば、特許文献1参照)。後ケーシング及び前ケーシングを何れも樹脂部品とした場合、これらを互いに位置決めして固定する為に、例えば、後ケーシングと前ケーシングの重複部分において、一方に設けた爪を、他方に設けた穴に嵌合させて固定することが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-206680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように、樹脂部品を多く扱う給湯器のリモコンでは、複数の部品が互いに合わさる部分があるが、樹脂部品の反り等で、爪と穴の嵌合が不十分な場合がある。この場合、後ケーシングと前ケーシングの相互の位置関係にズレが生じてしまい、樹脂部品の間に生じる隙間を均一にできず、美観を損ねるという問題点があった。
【0005】
本発明の目的は、樹脂製の枠部材に反りが生じたとしても、本体に対する枠部材の位置決めを精度良く行うことができるリモコンを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1のリモコンは、温水機器と通信可能で且つ壁に取り付け可能なリモコンであって、正面視矩形状の本体と、前記本体の外周部に前方から取り付けられる正面視矩形枠状の樹脂製の枠部材とを備え、前記本体の前記外周部に対して前記枠部材が重なる重複部分には、前記本体に対して前記枠部材の前後方向の位置を規定する前後位置規定手段と、前記本体に対して前記枠部材の上下方向の位置を規定する上下位置規定手段とが設けられ、前記上下位置規定手段は、前記重複部分における上側に設けられ、前記本体に対して前記枠部材の上方向の位置を規定する上位置規定手段と、前記重複部分における下側に設けられ、前記本体に対して前記枠部材の下方向の位置を規定する下位置規定手段とを備え、前記本体は、正面視矩形状の背板部と、前記背板部の前面における外周部を除く領域に設けられ、当該領域から前方に突出する正面視矩形状の前板部と、前記前板部の前面に設けられ、各種情報を表示可能な表示部とを備え、前記枠部材は、正面視矩形枠状の前面枠部と、前記前面枠部の外周部から後方に突出し、前記前板部の外周部を外側から覆う後方突出部とを備え、前記前後位置規定手段は、前記前板部の外周部から外方に突出する被係止部と、前記後方突出部に設けられ、前記被係止部に後方から係止する係止部とを備え、前記後方突出部は、前記前面枠部の上端部から後方に突出する上側後方突出部と、前記前面枠部の下端部から後方に突出する下側後方突出部と、前記前面枠部の右端部から後方に突出する右側後方突出部と、前記前面枠部の左端部から後方に突出する左側後方突出部とを備え、前記上位置規定手段は、前記上側後方突出部から後方に突出する上側差込片と、前記背板部の前記前面における外周部のうち上部に設けられ、前記上側差込片が前方から差し込まれる上側差込穴とを備え、前記下位置規定手段は、前記下側後方突出部から後方に突出する下側差込片と、前記背板部の前記前面における外周部のうち下部に設けられ、前記下側差込片が前方から差し込まれる下側差込穴とを備え、前記上側差込片は、前記上側差込穴の内側の上面と当接し、前記下側差込片は、前記下側差込穴の内側の下面と当接すること
を特徴とする。
【0007】
【0008】
【0009】
請求項のリモコンの前記本体及び前記枠部材は上下方向よりも左右方向に長く、前記前後位置規定手段は、前記重複部分における上側の左右両側に夫々設けられる一対の上側前後位置規定手段と、前記重複部分における下側の左右両側に夫々設けられる一対の下側前後位置規定手段とを備え、前記上位置規定手段は、前記一対の上側前後位置規定手段の間に設けられ、前記下位置規定手段は、前記一対の下側前後位置規定手段の間に設けられてもよい。
【発明の効果】
【0010】
請求項1のリモコンによれば、樹脂製の枠部材の反り等によって、本体と枠部材の相互の位置関係にズレが生じてしまったとしても、上下位置規定手段によって本体に対する枠部材の上下方向の位置を規定できるので、本体に対する枠部材の位置を精度よく決めることができる。これにより、リモコンの美観を向上できる。さらに、本体に対する枠部材の前後位置と上下位置の両方を精度よく決めることができる。
【0011】
【0012】
【0013】
請求項のリモコンによれば、本体及び枠部材は上下方向よりも左右方向に長いので、枠部材は、中央部を基点に左右両側が反りやすい。上位置規定手段は、一対の上側前後位置規定手段の間に設けられ、下位置規定手段は、一対の下側前後位置規定手段の間に設けられているので、枠部材の反りによって、一対の上側前後位置規定手段のうち何れか一方、及び一対の下側前後位置規定手段のうち何れか一方における被係止部に対する係止部の係止が不十分であったとしても、その間に位置する上位置規定手段及び下位置規定手段によって上下方向の位置を規定できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】リモコン1の斜視図である。
図2】リモコン1の正面図である。
図3】リモコン1の右斜め前方から見た分解斜視図である。
図4】リモコン1の左斜め後方から見た分解斜視図である。
図5図2に示すI-I線矢視方向断面図である。
図6図2に示すII-II線矢視方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を説明する。以下に記載されるリモコンの構造などは、特定的な記載がない限り、それのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例である。図面は、本発明が採用しうる技術的特徴を説明する為に用いられるものである。以下説明は図中に示す左右、前後、上下の方向を使用する。
【0016】
図1図2を参照し、リモコン1の外観を説明する。リモコン1は、風呂用の給湯リモコンであり、外部の温水機器(図示略)と通信可能である。リモコン1は、正面視横長矩形状に形成される。リモコン1の前面61の上側中央には、横長矩形状の表示部62が設けられる。表示部62は7セグの表示器を備え、例えば、給湯温度、風呂水の温度、時計、タイマー等を表示する。表示部62は液晶等でもよい。表示部62の右側、左側、下側を取り囲むようにして、ボタン群63が設けられる。ボタン群63は、電源のオンオフ、湯温設定、メニュー設定、時計表示、音量設定等の各種設定を行う複数のボタンで構成される。これら表示部62及びボタン群63の周囲を取り囲むようにして、正面視横長矩形状の枠部材7が、前面61の外周部に沿って取り付けられる。
【0017】
図3図4を参照し、リモコン1の構造を説明する。リモコン1は、本体2と枠部材7を備え、何れも樹脂製である。
【0018】
本体2の構造を説明する。本体2は、背板部3と前板部4を備える。背板部3は、正面視略矩形状の樹脂製の板部材であり、浴室の壁面に取り付けられる。背板部3の前面における後述の上側部33の左右方向略中央には、上側差込穴36が設けられる。上側差込穴36は左右方向に細長い矩形状に形成され、後方に向けて延びる。背板部3の前面における後述の下側部34の左右方向略中央には、下側差込穴37が設けられる。下側差込穴37も左右方向に細長い矩形状に形成され、後方に向けて延びる。下側差込穴37は、上側差込穴36の下方に位置する。
【0019】
前板部4は、背板部3の前面に設けられ、台座5と操作部6を備える。台座5は、背板部3よりも小さい正面視横長略矩形状に形成され、背板部3の前面の外周部を除く領域から前方に突出して設けられる。外周部は、右側部31、左側部32、上側部33、下側部34を備え、正面視矩形枠状に形成される。右側部31、左側部32、上側部33、下側部34の夫々の外縁部近傍には、正面視矩形枠状の当接部38(図3図6参照)が前方に突出して設けられる。台座5の上端部の右側には被係止部55が設けられ、左側には被係止部56が設けられる。被係止部55,56は、左右方向に延び、且つ上方に突出する板状に形成される(被係止部55については図6参照)。被係止部55,56と、背板部3の前面の上側部33との間には、所定隙間P(被係止部55側については図6参照)が設けられる。所定隙間Pは、後述の右側係止爪75及び左側係止爪76の各先端部を配置可能な隙間である。
【0020】
台座5の下端部においても、右側には、被係止部57が設けられ、左側には、被係止部58が設けられる。被係止部57,58は、被係止部55,56の下方に位置する。被係止部57,58も、被係止部55,56と同様に、左右方向に延び、且つ上方に突出する板状に形成される。被係止部57,58と、背板部3の前面の上側部33との間にも、所定隙間Pが設けられる。所定隙間Pは、後述の右側係止爪77及び左側係止爪78の各先端部を配置可能な隙間である。
【0021】
台座5の右端部において、上下方向略中央部には、中央突起部573が設けられる。中央突起部573は、右方に向けて正面視略半円状に突出する。中央突起部573には、固定穴3Aが設けられる。固定穴3Aは正面視横長長円状に形成され、台座5及び背板部3を前後方向に貫通する。中央突起部583の上方には上側突起部571が設けられ、下方には下側突起部572が設けられる。上側突起部51及び下側突起部52は右方に突出し、正面視上下方向に長い略矩形状に形成される。
【0022】
台座5の左端部において、上下方向略中央部には、中央突起部583が設けられる。中央突起部583は、左方に向けて正面視略半円状に突出する。中央突起部583には、固定穴3Bが設けられる。固定穴3Bは正面視縦長長円状(図4参照)に形成され、台座5及び背板部3を前後方向に貫通する。台座5の右端部と同様に、中央突起部583の上方には上側突起部(図示略)が設けられ、下方には下側突起部(図示略)が設けられる。
【0023】
操作部6は、台座5よりも小さい正面視横長矩形状に形成され、台座5の前面の外周部を除く領域から前方に突出して設けられる。外周部は、右側部51、左側部52、上側部53、下側部54を備え、正面視矩形枠状に形成される。操作部6の前面には、上記の表示部62及びボタン群63が設けられる。なお、上記構成の本体2の外周部は、枠部材7が外側から重なる重複部分である。
【0024】
枠部材7の構造を説明する。図3図4に示すように、枠部材7は、前面枠部71と後方突出部72を備える。前面枠部71は、正面視横長矩形枠状に形成され、背板部3と略同一の大きさである。前面枠部71は中央に開口711を備える。開口711は正面視横長矩形状に形成され、本体2の操作部6の前面61と略同一の大きさである。前面枠部71は、台座5の前面の外周部(右側部51、左側部52、上側部53、下側部54)を前側から覆う。
【0025】
後方突出部72は、前面枠部71の周端部から後方に延び、短軸略角筒状に形成される。後方突出部72は、本体2の外周部に対して重なる重複部分である。後方突出部72は、右側後方突出部721、左側後方突出部722、上側後方突出部723、下側後方突出部724を備える。右側後方突出部721は、前面枠部71の右端部から後方に突出し、本体2への取付け時において、前板部4の右端部を右側から覆う。左側後方突出部722は、前面枠部71の左端部から後方に突出し、本体2への取付け時において、前板部4の左端部を左側から覆う。上側後方突出部723は、前面枠部71の上端部から後方に突出し、本体2への取付け時において、前板部4の上端部を上側から覆う。下側後方突出部724は、前面枠部71の下端部から後方に突出し、本体2への取付け時において、前板部4の下端部を下側から覆う。
【0026】
図4に示すように、上側後方突出部723の後端部の下面で且つ左右方向中央部には、上側後方突出部723の後端部よりも後方に突出する上側差込片791が設けられる。上側差込片791は、平面視左右方向に長い板状に形成される。上側差込片791の先端部の上面はテーパ状に斜め下方に傾斜していることから(図5参照)、上側差込片791の先端部は側面視で先細りになっている。上側差込片791は、本体2の背板部3に設けた上側差込穴36(図3参照)に差し込み可能である。上側後方突出部723の後端部の下面において、上側差込片791の右方には右側係止爪75が設けられ、上側差込片791の左方には左側係止爪76が設けられる。右側係止爪75及び左側係止爪76は、被係止部57,58に係止可能である。右側係止爪75及び左側係止爪76は、何れも下方向に突出する。
【0027】
下側後方突出部724の後端部の上面で且つ左右方向中央部には、下側後方突出部724の後端部よりも後方に突出する下側差込片792が設けられる。下側差込片792は、上側差込片791と同様に、平面視左右方向に長い板状に形成される。下側差込片792の先端部の下面はテーパ状に斜め上方に傾斜していることから(図5参照)、下側差込片792の先端部は側面視で先細りになっている。下側差込片792は、本体2の背板部3の下側部34に設けた下側差込穴37(図3参照)に差し込み可能である。下側後方突出部724の後端部の上面において、下側差込片792の右方には右側係止爪77が設けられ、下側差込片792の左方には左側係止爪78が設けられる。右側係止爪77及び左側係止爪78は、何れも上方向に突出する。
【0028】
図4に示すように、右側後方突出部721の内面(左面)において、上下方向中央部には、凹部83が設けられる。凹部83は、左側面視矩形状で且つ右側に凹む。凹部83は、本体2の台座5の右端部に設けた中央突起部573の位置に対応し、本体2への取付け時において、中央突起部573との干渉を避ける。凹部83の上方には段部81が設けられ、凹部83の下方には段部82が設けられる。段部81,82は、右側後方突出部721の内面から左方に突出する。段部81,82は、本体2の台座5の右端部に設けた上側突起部571及び下側突起部572の各位置に対応し、本体2への取付け時において、上側突起部571及び下側突起部572と当接する。
【0029】
なお、左側後方突出部722の内面(右面)において、上下方向中央部には、凹部84が設けられる。凹部84は、右側面視矩形状で且つ左側に凹む。凹部84は、本体2の台座5の左端部に設けた中央突起部583の位置に対応し、本体2への取付け時において、中央突起部583との干渉を避ける。凹部84の上方には段部85が設けられ、凹部84の下方には段部86が設けられる。段部85,86は、本体2の台座5の左端部に設けた上側突起部(図示略)及び下側突起部(図示略)の夫々の位置に対応し、本体2への取付け時において、上側突起部及び下側突起部と当接する。これにより、本体2に対する枠部材7の左右方向の位置が決まる。
【0030】
図3図6を参照し、本体2への枠部材7の取付方法の一例と、その構造について説明する。図3図4に示すように、リモコン1の組み立て作業者は、枠部材7を本体2の前面側に配置し、本体2の前面側に対して枠部材7を押し込む。このとき、図5に示すように、組み立て作業者は、枠部材7の上側後方突出部723の後端部に設けた上側差込片791を、本体2の背板部3の上側部33に設けた上側差込穴36に差し込み、枠部材7の下側後方突出部724の後端部に設けた下側差込片792を、本体2の背板部3の下側部34に設けた下側差込穴37に差し込む。ここで、上側差込片791は、先端部の上面がテーパ状になっているので、上側差込穴36の前側の開口の上側の縁に接触しながら上側差込穴36の奥側に差し込まれる。これにより、上側差込片791が下方に押されるので、枠部材7の上側後方突出部723は、上側差込片791と共に下方に少し撓んだ状態となる。
【0031】
下側差込片792も、先端部の下面がテーパ状になっているので、下側差込穴37の前側の開口の下側の縁に接触しながら下側差込穴37の奥側に差し込まれる。これにより、下側差込片792が上方に押されるので、枠部材7の下側後方突出部724は、下側差込片792と共に上方に少し撓んだ状態となる。
【0032】
また、枠部材7の上側後方突出部723の後端部の左右両側に設けた右側係止爪75及び左側係止爪76を、本体2の台座5の上端部の左右両側に設けた被係止部55,56に夫々係止させる。さらに、枠部材7の下側後方突出部724の後端部の左右両側に設けた右側係止爪77及び左側係止爪78を、本体2の台座5の下端部の左右両側に設けた被係止部57,58に夫々係止させる。枠部材7の開口711の内側に、本体2の操作部6が挿入して配置される。これにより、本体2の前面側に枠部材7が取り付けられ、リモコン1が完成する(図1図2参照)。
【0033】
本体2の前面側に枠部材7が取り付けられた状態では、図5に示すように、枠部材7に設けた上側差込片791は、本体2の背板部3に設けた上側差込穴36に差し込まれ、上側差込片791の上面が上側差込穴36の上面と密着する。一方、枠部材7に設けた下側差込片792は、本体2の背板部3に設けた下側差込穴37に差し込まれ、下側差込片792の下面が下側差込穴37の下面と密着する。上記の通り、枠部材7の上側後方突出部723と下側後方突出部724は互いに近づく方向に押されているので、樹脂部品の弾性復元力により、上側差込片791及び下側差込片792は互いに離間する方向に移動しようとするので、本体2に対して枠部材7の上下方向の位置が精度良く決まる。
【0034】
一方、図6に示すように、枠部材7の上側後方突出部723に設けた右側係止爪75及び左側係止爪76は、本体2の前板部4の台座5の上端部に設けた被係止部55,56に対して後方から係止する。そしてこの状態で、上側後方突出部723の後端部は、背板部3の上側部33に設けた当接部38に当接する。これにより、本体2の台座5に対して、被係止部55,56の前後方向の各位置が精度良く決まる。また、枠部材7の下側後方突出部724に設けた右側係止爪77及び左側係止爪78も同様に、本体2の前板部4の台座5の下端部に設けた被係止部57,58に対して後方から係止する。そしてこの状態で、下側後方突出部724の後端部は、背板部3の下側部34に設けた当接部38に当接する。これにより、本体2の台座5に対して、被係止部57,58の前後方向の各位置も精度良く決まる。従って、本体2に対して枠部材7の前後方向の位置も精度良く決まる。
【0035】
本実施形態では、本体2及び枠部材7は上下方向よりも左右方向に長いので、枠部材7は、中央部を基点に左右両側が反りやすい。枠部材7の上側差込片791は、一対の右側係止爪75と左側係止爪76の間に設けられ、下側差込片792は、一対の右側係止爪77と左側係止爪78の間に設けられているので、枠部材7の反りによって、一対の右側係止爪75と左側係止爪76のうち何れか一方、及び一対の右側係止爪77と左側係止爪78のうち何れか一方において、被係止部55~58への係止が不十分であったとしても、その間に位置する枠部材7の上側差込片791及び下側差込片792が、本体2の上側差込穴36及び下側差込穴37に差し込まれることによって、枠部材7の上下方向の位置を規定できる。
【0036】
上記構成のリモコン1を浴槽の壁面に固定する場合、枠部材7を外した本体2を先に壁面に固定する。本体2の固定穴3A,3Bを介して固定具(図示略)を壁面に締結する。上記の通り、固定穴3Aは横長長円状であり、固定穴3Bは縦長長円状である。例えば、固定穴3Aを介して固定具を壁面に仮止めし、上下方向の位置を決めた状態で、本体2の位置を左右方向に微調整してもよい。また、固定穴3Bを介して固定具を壁面に仮止めし、左右方向の位置を決めた状態で、本体2の位置を上下方向に微調整してもよい。
【0037】
以上説明において、枠部材7の右側係止爪75,77と左側係止爪76,78、及び本体2の被係止部55~58は、本発明の「前後位置規定手段」の一例である。枠部材7の上側差込片791及び下側差込片792、及び本体2の上側差込穴36と下側差込穴37は、本発明の「上下位置規定手段」の一例である。枠部材7の上側差込片791及び本体2の上側差込穴36は、本体2の「上位置規定手段」の一例であり、枠部材7の下側差込片792及び本体2の下側差込穴37は、本体2の「下位置規定手段」の一例である。枠部材7の右側係止爪75と左側係止爪76は、本発明の「一対の上側前後位置規定手段」の一例である。枠部材7の右側係止爪77と左側係止爪78は、本発明の「一対の下側前後位置規定手段」の一例である。
【0038】
以上説明したように、本実施形態のリモコン1は、温水機器と通信可能で且つ浴室の壁面に取り付け可能である。リモコン1は、本体2と枠部材7を備える。本体2は正面視矩形状である。枠部材7は正面視矩形状の樹脂製であり、本体2の外周部に前方から取り付けられる。本体2の外周部のうち、枠部材7が重複する部分の上部には、上側差込穴36、被係止部55,56が設けられ、重複する部分の下部には、下側差込穴37、被係止部57,58が設けられる。枠部材7の後ろ側のうち、本体2と重複する部分の上部には、上側差込片791、右側係止爪75、左側係止爪76が設けられ、重複する部分の下部には、下側差込片792、右側係止爪77、左側係止爪78が設けられる。
【0039】
枠部材7の右側係止爪75,77及び左側係止爪76,78が、本体2の被係止部55~58に対して後方から夫々係止することで、本体2に対して枠部材7の前後方向の位置を規定できる。枠部材7の上側差込片791及び下側差込片792が、本体2の上側差込穴36及び下側差込穴37に差し込まれることで、本体2に対して枠部材7の上下方向の位置を規定できる。仮に樹脂製の枠部材7の反り等によって、本体2と枠部材7の相互の位置関係にズレが生じてしまったとしても、リモコン1は、本体2に対する枠部材7の上下方向の位置を規定できるので、本体2に対する枠部材7の位置を精度良く決めることができる。これにより、本体2に対する枠部材7の位置がずれないので、リモコン1の美観を向上できる。
【0040】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能である。本実施形態のリモコン1は、風呂用の給湯リモコンであるが、風呂用以外でもよい。
【0041】
上記実施形態では、枠部材7の上側差込片791及び下側差込片792が、本体2の上側差込穴36及び下側差込穴37に差し込まれ、上側差込片791が上側差込穴36の上面に密着し、下側差込片792が下側差込穴37の下面に密着することで、本体2に対して枠部材7の上下方向の位置を規定するが、例えば、上側差込片791及び下側差込片792を上側差込穴36及び下側差込穴37に嵌合させてもよい。
【0042】
枠部材7の上側後方突出部723の後端部には、一つの上側差込片791と、一対の右側係止爪75及び左側係止爪76が設けられるが、それらの数と位置については、自由に変更可能である。枠部材7の下側後方突出部724の後端部においても同様である。
【0043】
上記実施形態では、枠部材7に上側差込片791、本体2に上側差込穴36を設けるが、上側差込片を本体2に設け、上側差込穴を枠部材7に設けてもよい。なお、枠部材7の下側差込片792と、本体2の下側差込穴37についても同様である。
【0044】
上記実施形態では、枠部材7に右側係止爪75と左側係止爪76、本体2に被係止部55,56を設けるが、右側係止爪と左側係止爪を本体2に、被係止部を枠部材7に設けてもよい。なお、枠部材7の右側係止爪77と左側係止爪78と、本体2に被係止部57,58についても同様である。
【符号の説明】
【0045】
1 リモコン
2 本体
3 背板部
4 前板部
7 枠部材
36 上側差込穴
37 下側差込穴
38 当接部
55~58 被係止部
61 前面
62 表示部
71 前面枠部
72 後方突出部
75,77 右側係止爪
76,78 左側係止爪
721 右側後方突出部
722 左側後方突出部
723 上側後方突出部
724 下側後方突出部
791 上側差込片
792 下側差込片
図1
図2
図3
図4
図5
図6