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  • 特許-通門管理システム 図1
  • 特許-通門管理システム 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】通門管理システム
(51)【国際特許分類】
   G07C 9/00 20200101AFI20240419BHJP
   G08G 1/017 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
G07C9/00
G08G1/017
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020133263
(22)【出願日】2020-08-05
(65)【公開番号】P2022029771
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-06-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000159618
【氏名又は名称】吉川工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001601
【氏名又は名称】弁理士法人英和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白石 泰朗
(72)【発明者】
【氏名】松本 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 佑樹
(72)【発明者】
【氏名】貫田 周吾
【審査官】山本 裕太
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-038491(JP,A)
【文献】特開平08-249507(JP,A)
【文献】特開2003-296774(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 1/00 - 15/00
G08G 1/017
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の通門を管理する通門管理システムであって、
通門しようとする車両を検知する第1の車両検知センサと、
前記第1の車両検知センサの近傍に設置され、車両の搭乗者が携行するIDタグを読み取る第1のIDタグ読取手段と、
前記第1のIDタグ読取手段より車両進行方向後方に設置され、車両の搭乗者が携行するIDタグを読み取る第2のIDタグ読取手段と、
前記第1のIDタグ読取手段又は前記第2のIDタグ読取手段により読み取られたIDタグ情報を車両ごとに管理する情報管理手段とを備え、
前記情報管理手段は、前記第1の車両検知センサが車両を検知している間に前記第2のIDタグ読取手段により読み取られたIDタグ情報を、当該車両に後続する車両のIDタグ情報として管理する、通門管理システム。
【請求項2】
前記第1の車両検知センサと前記第2のIDタグ読取手段との間に設置され、通門しようとする車両を検知する第2の車両検知センサを更に備え、
前記情報管理手段は、前記第2の車両検知センサが車両を検知している間に前記第2のIDタグ読取手段により読み取られたIDタグ情報を、当該車両に後続する車両のIDタグ情報として管理する、請求項1に記載の通門管理システム。
【請求項3】
前記第2の車両検知センサと前記第2のIDタグ読取手段との間の距離が2m以上3m以下である、請求項2に記載の通門管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の通門を管理する通門管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
かかる通門管理システムとして、特許文献1に、通門しようとする車両を検知する車両検知手段と、車両の搭乗者が携行するIDタグを読み取るIDタグ読取手段とを利用したシステムが開示されている。具体的にこの特許文献1の通門管理システムでは、車両検知手段が車両を検知している間にIDタグ読取手段が読み取ったIDタグ情報を、その車両のIDタグ情報とすることで、車両ごとにIDタグ情報を管理する。このように車両ごとにIDタグ情報を管理するため、特許文献1の通門管理システムでは、タグ読取手段は車両検知手段の近傍に設置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-38491号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のとおり、特許文献1の通門管理システムでは車両検知手段の近傍に設置されたIDタグ読取手段でIDタグを読み取るようにしており、通門しようとする車両が少ない場合は特に問題ない。しかし、朝夕のラッシュ時など、通門しようとする車両が多い場合、IDタグ読取の順番待ちで車両の渋滞が生じることがある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、通門しようとする車両の搭乗者が携行するIDタグを効率的に読み取ることができ、しかもその読み取ったIDタグ情報を車両ごとに管理することができる通門管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば、次の1~3の通門管理システムが提供される。
1.
車両の通門を管理する通門管理システムであって、
通門しようとする車両を検知する第1の車両検知センサと、
前記第1の車両検知センサの近傍に設置され、車両の搭乗者が携行するIDタグを読み取る第1のIDタグ読取手段と、
前記第1のIDタグ読取手段より車両進行方向後方に設置され、車両の搭乗者が携行するIDタグを読み取る第2のIDタグ読取手段と、
前記第1のIDタグ読取手段又は前記第2のIDタグ読取手段により読み取られたIDタグ情報を車両ごとに管理する情報管理手段とを備え、
前記情報管理手段は、前記第1の車両検知センサが車両を検知している間に前記第2のIDタグ読取手段により読み取られたIDタグ情報を、当該車両に後続する車両のIDタグ情報として管理する、通門管理システム。
2.
前記第1の車両検知センサと前記第2のIDタグ読取手段との間に設置され、通門しようとする車両を検知する第2の車両検知センサを更に備え、
前記情報管理手段は、前記第2の車両検知センサが車両を検知している間に前記第2のIDタグ読取手段により読み取られたIDタグ情報を、当該車両に後続する車両のIDタグ情報として管理する、前記1に記載の通門管理システム。
3.
前記第2の車両検知センサと前記第2のIDタグ読取手段との間の距離が2m以上3m以下である、前記2に記載の通門管理システム。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、第1の車両検知センサの近傍に設置された第1のIDタグ読取手段に加え、この第1のIDタグ読取手段の車両進行方向後方に設置された第2のIDタグ読取手段を備えているので、通門しようとする車両の搭乗者が携行するIDタグを効率的に読み取ることができる。しかも、情報管理手段は、第1の車両検知センサが車両を検知している間(第2の車両検知センサがある場合は、第2の車両検知センサが車両を検知している間)に第2のIDタグ読取手段により読み取られたIDタグ情報を、当該車両に後続する車両のIDタグ情報として管理することから、その読み取ったIDタグ情報を車両ごとに管理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の一実施形態である通門管理システムの概略レイアウト図。
図2】本発明の他の実施形態である通門管理システムの概略レイアウト図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1に、本発明の一実施形態である通門管理システムの概略レイアウトを示している。
本実施形態の通門管理システムは、第1の車両検知センサ1と、第1のIDタグ読取手段2と、第2のIDタグ読取手段3と、情報管理手段4とを備えている。
【0010】
第1の車両検知センサ1は通門しようとする車両を検知する。第1の車両検知センサ1は、例えば超音波センサからなり、反射波の有無により車両を検知する。
第1のIDタグ読取手段2は、第1の車両検知センサの近傍に設置され、車両の搭乗者が携行するIDタグを読み取る。第1のIDタグ読取手段2は、例えばアンテナからなり、第1の車両検知センサ1による車両の検知をトリガーとして所定時間、電波を出力し、その電波に応答してIDタグから出力される電波を受信することで、IDタグを読み取る。本実施形態では、普通車両用と車高の高い大型車両用との2箇所に第1のIDタグ読取手段2を設置している。
第2のIDタグ読取手段3は、第1のIDタグ読取手段2より車両進行方向後方に設置され、車両の搭乗者が携行するIDタグを読み取る。第2のIDタグ読取手段3も、例えばアンテナからなるが、第2のIDタグ読取手段3からは常時、電波を出力する。
情報管理手段4は、第1のIDタグ読取手段又は前記第2のIDタグ読取手段により読み取られたIDタグ情報を車両ごとに管理する。情報管理手段4は、例えばコンピュータからなり、その具体的な動作は後述する。
なお、本実施形態において、第1の車両検知センサ1と第2のIDタグ読取手段3との間の距離Xは、約2.5mである。
【0011】
次に、本実施形態の通門管理システムの動作を説明する。
通門しようとする車両(以下「先行車両」という。)の搭乗者が、携行するIDタグを第2のIDタグ読取手段3にかざすと、第2のIDタグ読取手段3はそのIDタグを読み取る。情報管理手段4は、この第2のIDタグ読取手段3により読み取られたIDタグ情報を先行車両のIDタグ情報として保管するとともに認証処理を行う。認証処理は、読み取られたIDタグ情報を情報管理手段4に予め登録されている情報と照合することで行い、一致した場合を合格(認証OK)、一致しない場合を不合格(認証NG)とする。
先行車両には、複数の搭乗者がいる場合があり、第2のIDタグ読取手段3は先行車両について複数のIDタグを読み取る場合がある。この場合、情報管理手段4は、それぞれ第2のIDタグ読取手段3により読み取られたIDタグ情報を先行車両のIDタグ情報として保管するとともに認証処理を行う。そして情報管理手段4は、第2のIDタグ読取手段3により読み取られたIDタグ情報の数(IDタグの枚数)及びその認証結果を、図1に示す表示手段5に表示する。なお、表示手段5に表示する認証結果は、例えば、全てのIDタグ情報についての認証結果が認証OKの場合を「○」、いずれかのIDタグ情報についての認証結果が認証NGの場合を「×」と表示する。
【0012】
先行車両が第1の車両検知センサ1付近まで進行すると、第1の車両検知センサ1が先行車両を検知する。その後、先行車両の搭乗者が、携行するIDタグを第1のIDタグ読取手段2にかざすと、第1のIDタグ読取手段2はそのIDタグを読み取る。情報管理手段4は、この第1のIDタグ読取手段2により読み取られたIDタグ情報が、既に第2のIDタグ読取手段3により読み取られて保管されているか否かを確認し、保管されていないIDタグ情報のみを先行車両のIDタグ情報として保管するとともに認証処理を行う。そして情報管理手段4は、第1のIDタグ読取手段2により新たに読み取られたIDタグ情報に基づいて、先に第2のIDタグ読取手段3により読み取られたIDタグ情報の数(IDタグの枚数)及びその認証結果を更新し、表示手段5に表示する。
【0013】
なお、本実施形態では、第1の車両検知センサ1が先行車両を検知すると、図1に示すカメラ6が作動してその先行車両を撮影する。情報管理手段4は、この撮影画像を先行車両の車両情報として保管する。
【0014】
情報管理手段4は、第1の車両検知センサ1が先行車両を検知し、かつ先行車両のIDタグ情報についての認証結果が全て認証OKの場合に、図1に示す開閉ゲート7を開ける。その後、先行車両が開閉ゲート7に向けて進行すると、第1の車両検知センサ1が先行車両を検知しなくなる。情報管理手段4は、第1の車両検知センサ1が先行車両を検知しなくなったら、表示手段5の表示をリセットする。
先行車両が開閉ゲート7を通過して構内に進入すると、図1に示す車両通過センサ8が先行車両の通過を検知する。情報管理手段4は、車両通過センサ8が先行車両の通過を検知したら開閉ゲート7を閉じる。
【0015】
以上のような先行車両についての通門管理の最中に、先行車両に後続する車両(以下「後続車両」という。)が到来し、その後続車両の搭乗者が、携行するIDタグを第2のIDタグ読取手段3にかざす場合がある。この場合、情報管理手段4は、第2のIDタグ読取手段3により読み取られた後続車両に関するIDタグ情報を先行車両に関するIDタグ情報と区別して管理する必要がある。
そのため本実施形態では、情報管理手段4は、第1の車両検知センサ1が先行車両を検知している間に第2のIDタグ読取手段3により読み取られたIDタグ情報を後続車両のIDタグ情報として管理する。言い換えれば、第1の車両検知センサ1が先行車両を検知してから検知しなくなるまでの間に第2のIDタグ読取手段3により読み取られたIDタグ情報は、後続車両のIDタグ情報として管理される。本実施形態において、第1の車両検知センサ1と第2のIDタグ読取手段3との間の距離Xは上述のとおり約2.5mであり、これは普通車両のキャビンの最大長さ(約3m)より若干短い距離である。したがって本実施形態では、第1の車両検知センサ1が先行車両を検知している間に第2のIDタグ読取手段3により読み取られたIDタグ情報を後続車両のIDタグ情報として管理することで、第2のIDタグ読取手段3により読み取られた後続車両に関するIDタグ情報を先行車両に関するIDタグ情報と区別して管理することができる。
なお、上述のとおり先行車両に関する表示手段5の表示は、第1の車両検知センサ1が先行車両を検知しなくなったときにリセットされ、その後、表示手段5には後続車両に関する情報が表示される。
【0016】
図2に、本発明の他の実施形態である通門管理システムの概略レイアウトを示している。
本実施形態では、第1の車両検知センサ1と第2のIDタグ読取手段3との間の距離Xが図1の実施形態よりも長いため、第1の車両検知センサ1と第2のIDタグ読取手段3との間に第2の車両検知センサ9を設置している。それ以外の構成は、図1の実施形態と同一である。
【0017】
図1の実施形態では、第1の車両検知センサ1と第2のIDタグ読取手段3との間の距離Xが普通車両のキャビンの最大長さ(約3m)より短い距離であるので、上述のとおり第1の車両検知センサ1が先行車両を検知している間に第2のIDタグ読取手段3により読み取られたIDタグ情報を後続車両のIDタグ情報として管理することで、第2のIDタグ読取手段3により読み取られた後続車両に関するIDタグ情報を先行車両に関するIDタグ情報と区別して管理することができる。
一方、本実施形態のように、第1の車両検知センサ1と第2のIDタグ読取手段3との間の距離Xが普通車両のキャビンの最大長さ(約3m)より長い距離(約5m)であると、第1の車両検知センサ1が先行車両を検知する前に、後続車両のIDタグが第2のIDタグ読取手段3で読み取られる場合がある。この場合、後続車両のIDタグ情報が先行車両のIDタグ情報として誤って管理されることになる。
そこで、本実施形態では、第1の車両検知センサ1と第2のIDタグ読取手段3との間に第2の車両検知センサ9を設置し、この第2の車両検知センサ9が先行車両を検知している間に第2のIDタグ読取手段により読み取られたIDタグ情報を後続車両のIDタグ情報として管理するようにしている。これにより、第2のIDタグ読取手段3により読み取られた後続車両に関するIDタグ情報を先行車両に関するIDタグ情報と区別して管理することができる。
【0018】
本実施形態において、第2の車両検知センサ9と第2のIDタグ読取手段3との間の距離X1は2m以上3m以下であることが好ましい。距離X1が3m超であると、第2の車両検知センサ9が先行車両を検知する前に、後続車両のIDタグが第2のIDタグ読取手段3で読み取られることが生じ得る。また、距離X1が2m未満では、そもそも第2の車両検知センサ9を設置する必要性が低くなる。
【0019】
このように第2の車両検知センサ9を備える図2の実施形態は、第1の車両検知センサ1と第2のIDタグ読取手段3との間の距離Xが普通車両のキャビンの最大長さ(約3m)より長い距離(具体的には3m超)の場合に好適である。一方、第2の車両検知センサ9を備えない図1の実施形態は、第1の車両検知センサ1と第2のIDタグ読取手段3との間の距離Xが普通車両のキャビンの最大長さ(約3m)より短い距離(具体的には3m以下)の場合に好適である。
【符号の説明】
【0020】
1 第1の車両検知センサ
2 第1のIDタグ読取手段
3 第2のIDタグ読取手段
4 情報管理手段
5 表示手段
6 カメラ
7 開閉ゲート
8 車両通過センサ
9 第2の車両検知センサ
図1
図2