(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】温度制御システム及びその制御方法
(51)【国際特許分類】
F25B 1/00 20060101AFI20240419BHJP
【FI】
F25B1/00 399Y
(21)【出願番号】P 2020155730
(22)【出願日】2020-09-16
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】594185097
【氏名又は名称】伸和コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100127465
【氏名又は名称】堀田 幸裕
(74)【代理人】
【識別番号】100164688
【氏名又は名称】金川 良樹
(72)【発明者】
【氏名】山脇 正勝
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勇
(72)【発明者】
【氏名】酒井 勝敏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 圭輔
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-058200(JP,A)
【文献】特開2019-060518(JP,A)
【文献】特開2014-145514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F25B 1/00
F25B 25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒を循環させるようにこの順で接続された冷凍装置と、
流体を前記蒸発器で熱交換させた後、温度制御対象に送り、前記温度制御対象を通過した前記流体を前記蒸発器で再度熱交換させ、前記温度制御対象の下流側で且つ前記蒸発器の上流側の位置にヒータを有する流体循環装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記流体循環装置の状態が前記流体と前記温度制御対象とが熱交換しない無負荷運転又は前記無負荷運転へ移行させるための無負荷運転移行運転になった場合に、前記ヒータを作動させて前記ヒータにより前記流体を加熱
し、
前記温度制御対象へ供給する前記流体の設定温度をTs(℃)とし、前記流体循環装置において前記ヒータの下流側を通流する前記流体であって前記蒸発器を通過する前の前記流体の目標温度をTt(℃)とし、前記流体循環装置が前記流体を通流させる重量流量を、m(kg/s)とし、前記流体の比熱を、Cp(J/kg℃)とし、
前記無負荷運転又は前記無負荷運転移行運転になった場合において前記蒸発器に通過させる前記流体の温度を前記目標温度Ttにするための加熱能力Qを、以下の式(1)から算出し、
Q=m×Cp×(Tt-Ts)…(1)
前記制御装置は、前記式(1)で算出した加熱能力Qに基づいて前記ヒータの加熱能力を制御する、温度制御システム。
【請求項2】
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒を循環させるようにこの順で接続された冷凍装置と、
流体を前記蒸発器で熱交換させた後、温度制御対象に送り、前記温度制御対象を通過した前記流体を前記蒸発器で再度熱交換させ、前記温度制御対象の下流側で且つ前記蒸発器の上流側の位置にヒータを有する流体循環装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記流体循環装置の状態が前記流体と前記温度制御対象とが熱交換しない無負荷運転又は前記無負荷運転へ移行させるための無負荷運転移行運転になった場合に、前記ヒータを作動させて前記ヒータにより前記流体を加熱
し、
前記制御装置は、前記温度制御対象を通過した後、前記ヒータの上流側を通流する前記流体の温度が所定温度よりも小さくなった場合に、前記流体循環装置の状態が前記無負荷運転又は前記無負荷運転移行運転になったものと判定する、温度制御システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記無負荷運転又は前記無負荷運転移行運転になって前記ヒータを作動させる場合に、前記ヒータの加熱能力を、前記式(1)で算出した加熱能力Q以上に制御する、請求項
1に記載の温度制御システム。
【請求項4】
前記制御装置は、前記ヒータの加熱能力を、前記式(1)で算出した加熱能力Q以上に制御した後、前記ヒータの下流側を通流する前記流体であって前記蒸発器を通過する前の前記流体の温度が前記目標温度以上にならない場合、前記ヒータを調節する、請求項3に記載の温度制御システム。
【請求項5】
前記式(1)で算出した加熱能力Qが前記ヒータの最大加熱能力を越えている場合、前記制御装置は、前記ヒータを最大加熱能力に制御する、請求項
1、又は3又は4に記載の温度制御システム。
【請求項6】
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒を循環させるようにこの順で接続された冷凍装置と、
流体を前記蒸発器で熱交換させた後、温度制御対象に送り、前記温度制御対象を通過した前記流体を前記蒸発器で再度熱交換させ、前記温度制御対象の下流側で且つ前記蒸発器の上流側の位置にヒータを有する流体循環装置と、
制御装置と、を備え、
前記制御装置は、前記流体循環装置において前記ヒータの下流側を通流する前記流体であって、前記蒸発器を通過する前の前記流体の戻り温度が目標温度よりも小さい場合に、前記ヒータを作動させて前記ヒータにより前記流体を加熱する、温度制御システム。
【請求項7】
前記戻り温度をTb(℃)とし、前記目標温度をTt(℃)とし、前記流体循環装置が前記流体を通流させる重量流量を、m(kg/s)とし、前記流体の比熱を、Cp(J/kg℃)とし、
前記戻り温度Tbが前記目標温度Ttよりも小さい場合において前記戻り温度Tbを前記目標温度Ttにするための加熱能力Qを、以下の式(2)から算出し、
Q=m×Cp×(Tt-Tb)…(2)
前記制御装置は、前記式(2)で算出した加熱能力Qに基づいて前記ヒータの加熱能力を制御する、請求項
6に記載の温度制御システム。
【請求項8】
前記冷凍装置にアキュムレータを設けない、請求項1乃至
7のいずれかに記載の温度制御システム。
【請求項9】
前記目標温度は、前記流体と熱交換して前記蒸発器から流出する前記冷媒を過熱蒸気に至らしめる温度範囲にて設定される、請求項
1又は6に記載の温度制御システム。
【請求項10】
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒を循環させるようにこの順で接続された冷凍装置と、流体を前記蒸発器で熱交換させた後、温度制御対象に送り、前記温度制御対象を通過した前記流体を前記蒸発器で再度熱交換させ、前記温度制御対象の下流側で且つ前記蒸発器の上流側の位置にヒータを有する流体循環装置と、を備える温度制御システムの制御方法であって、
前記流体循環装置の状態が前記流体と前記温度制御対象とが熱交換しない無負荷運転又は前記無負荷運転へ移行させるための無負荷運転移行運転になったか否かを判定する工程と、
前記無負荷運転又は前記無負荷運転移行運転になったことが判定された場合に、前記ヒータを作動させて前記ヒータにより前記流体を加熱する工程と、を備え
、
前記温度制御対象へ供給する前記流体の設定温度をTs(℃)とし、前記流体循環装置において前記ヒータの下流側を通流する前記流体であって前記蒸発器を通過する前の前記流体の目標温度をTt(℃)とし、前記流体循環装置が前記流体を通流させる重量流量を、m(kg/s)とし、前記流体の比熱を、Cp(J/kg℃)とし、
前記無負荷運転又は前記無負荷運転移行運転になった場合において前記蒸発器に通過させる前記流体の温度を前記目標温度Ttにするための加熱能力Qを、以下の式(1)から算出し、
Q=m×Cp×(Tt-Ts)…(1)
前記前記流体を加熱する工程では、前記式(1)で算出した加熱能力Qに基づいて前記ヒータの加熱能力を制御するか、
又は
前記判定する工程では、前記温度制御対象を通過した後、前記ヒータの上流側を通流する前記流体の温度が所定温度よりも小さくなった場合に、前記流体循環装置の状態が前記無負荷運転又は前記無負荷運転移行運転になったものと判定する、温度制御システムの制御方法。
【請求項11】
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒を循環させるようにこの順で接続された冷凍装置と、流体を前記蒸発器で熱交換させた後、温度制御対象に送り、前記温度制御対象を通過した前記流体を前記蒸発器で再度熱交換させ、前記温度制御対象の下流側で且つ前記蒸発器の上流側の位置にヒータを有する流体循環装置と、を備える温度制御システムの制御方法であって、
前記流体循環装置において前記ヒータの下流側を通流する前記流体であって、前記蒸発器を通過する前の前記流体の戻り温度が目標温度よりも小さいか否かを判定する工程と、
前記戻り温度が前記目標温度よりも小さいことが判定された場合に、前記ヒータを作動させて前記ヒータにより前記流体を加熱する工程と、を備える、温度制御システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体循環装置が循環させる流体を冷凍装置によって冷却し、冷却した流体を用いて温度制御を行う温度制御システム及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器を有する冷凍装置と、水、ブライン等の流体を循環させる流体循環装置とを備え、流体循環装置が循環させる流体を冷凍装置の蒸発器によって冷却する温度制御システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような温度制御システムは、冷凍装置と流体循環装置とを備えるため、比較的大型になる場合がある。しかし、このようなシステムは、搬送の容易化、占有スペースの抑制等を考慮すると、コンパクトであることが望ましい。ここで、冷凍装置には例えば液バック抑制のためのアキュムレータが設けられる場合があるが、アキュムレータは比較的サイズが大きいため、システム全体の大型化の一因となっている。例えば、このようなアキュムレータを用いずに液バックを抑制可能であれば、コンパクト化の点で有利となる。
【0005】
本発明は上記事情を考慮してなされたものであり、アキュムレータの容量を抑制した場合又はアキュムレータを用いない場合であっても、冷凍装置における冷媒の液バックを好適に抑制できる温度制御システム及びその制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施の形態にかかる温度制御システム(1)は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒を循環させるようにこの順で接続された冷凍装置と、流体を前記蒸発器で熱交換させた後、温度制御対象に送り、前記温度制御対象を通過した前記流体を前記蒸発器で再度熱交換させ、前記温度制御対象の下流側で且つ前記蒸発器の上流側の位置にヒータを有する流体循環装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記流体循環装置の状態が前記流体と前記温度制御対象とが熱交換しない無負荷運転又は前記無負荷運転へ移行させるための無負荷運転移行運転になった場合に、前記ヒータを作動させて前記ヒータにより前記流体を加熱する。
【0007】
一実施の形態にかかる温度制御システム(1)において、前記温度制御対象へ供給する前記流体の設定温度をTs(℃)とし、前記流体循環装置において前記ヒータの下流側を通流する前記流体であって前記蒸発器を通過する前の前記流体の目標温度をTt(℃)とし、前記流体循環装置が前記流体を通流させる重量流量を、m(kg/s)とし、前記流体の比熱を、Cp(J/kg℃)とし、前記無負荷運転又は前記無負荷運転移行運転になった場合において前記蒸発器に通過させる前記流体の温度を前記目標温度Ttにするための加熱能力Qを、以下の式(1)から算出し、
Q=m×Cp×(Tt-Ts)…(1)
前記制御装置は、前記式(1)で算出した加熱能力Qに基づいて前記ヒータの加熱能力を制御してもよい。
【0008】
一実施の形態にかかる温度制御システム(1)において、前記制御装置は、前記無負荷運転又は前記無負荷運転移行運転になって前記ヒータを作動させる場合に、前記ヒータの加熱能力を、前記式(1)で算出した加熱能力Q以上の加熱能力に制御してもよい。
また、前記制御装置は、前記ヒータの加熱能力を、前記式(1)で算出した加熱能力Q以上に制御した後、前記ヒータの下流側を通流する前記流体であって前記蒸発器を通過する前の前記流体の温度が前記目標温度以上にならない場合、前記ヒータを調節してもよい。
また、前記式(1)で算出した加熱能力Qが前記ヒータの最大加熱能力を越えている場合、前記制御装置は、前記ヒータを最大加熱能力に制御してもよい。
【0009】
また、一実施の形態にかかる温度制御システム(1)において、前記制御装置は、前記温度制御対象を通過した後、前記ヒータの上流側を通流する前記流体の温度が所定温度よりも小さくなった場合に、前記流体循環装置の状態が前記無負荷運転又は前記無負荷運転移行運転になったものと判定してもよい。
【0010】
また、本発明の一実施の形態にかかる温度制御システム(2)は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒を循環させるようにこの順で接続された冷凍装置と、流体を前記蒸発器で熱交換させた後、温度制御対象に送り、前記温度制御対象を通過した前記流体を前記蒸発器で再度熱交換させ、前記温度制御対象の下流側で且つ前記蒸発器の上流側の位置にヒータを有する流体循環装置と、制御装置と、を備え、前記制御装置は、前記流体循環装置において前記ヒータの下流側を通流する前記流体であって、前記蒸発器を通過する前の前記流体の戻り温度が目標温度よりも小さい場合に、前記ヒータを作動させて前記ヒータにより前記流体を加熱する。
【0011】
一実施の形態にかかる温度制御システム(2)において、前記戻り温度をTb(℃)とし、前記目標温度をTt(℃)とし、前記流体循環装置が前記流体を通流させる重量流量を、m(kg/s)とし、前記流体の比熱を、Cp(J/kg℃)とし、前記戻り温度Tbが前記目標温度Ttよりも小さい場合、前記制御装置は、前記戻り温度Tbを前記目標温度Ttにするための前記ヒータの制御を、前記戻り温度Tbと前記目標温度Ttとの差分に基づくフィードバック制御により行ってもよい。
この際、制御装置は、前記戻り温度Tbを前記目標温度Ttにするための加熱能力Qを、以下の式(2)から算出し、
Q=m×Cp×(Tt-Tb)…(2)
前記式(2)で算出した加熱能力Qに基づいて前記ヒータの加熱能力を制御してもよい。
【0012】
一実施の形態にかかる温度制御システム(2)において、前記制御装置は、前記戻り温度Tbが前記目標温度Ttよりも小さくなって前記ヒータを作動させる場合に、前記ヒータの加熱能力を、前記式(2)で算出した加熱能力Q以上に制御してもよい。
また、前記式(2)で算出した加熱能力Qが前記ヒータの最大加熱能力を越えている場合、前記制御装置は、前記ヒータを最大加熱能力に制御してもよい。
【0013】
また、一実施の形態にかかる温度制御システム(1)及び(2)においては、前記冷凍装置にアキュムレータを設けなくてもよい。
【0014】
また、前記目標温度は、前記流体と熱交換して前記蒸発器から流出する前記冷媒を過熱蒸気に至らしめる温度範囲にて設定されてもよい。
【0015】
また、一実施の形態にかかる温度制御システムの制御方法は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒を循環させるようにこの順で接続された冷凍装置と、流体を前記蒸発器で熱交換させた後、温度制御対象に送り、前記温度制御対象を通過した前記流体を前記蒸発器で再度熱交換させ、前記温度制御対象の下流側で且つ前記蒸発器の上流側の位置にヒータを有する流体循環装置と、を備える温度制御システムの制御方法であって、
前記流体循環装置の状態が前記流体と前記温度制御対象とが熱交換しない無負荷運転又は前記無負荷運転へ移行させるための無負荷運転移行運転になったか否かを判定する工程と、
前記無負荷運転又は前記無負荷運転移行運転になったことが判定された場合に、前記ヒータを作動させて前記ヒータにより前記流体を加熱する工程と、を備える。
【0016】
他の実施の形態にかかる温度制御システムの制御方法は、圧縮機、凝縮器、膨張弁及び蒸発器が冷媒を循環させるようにこの順で接続された冷凍装置と、流体を前記蒸発器で熱交換させた後、温度制御対象に送り、前記温度制御対象を通過した前記流体を前記蒸発器で再度熱交換させ、前記温度制御対象の下流側で且つ前記蒸発器の上流側の位置にヒータを有する流体循環装置と、を備える温度制御システムの制御方法であって、
前記流体循環装置において前記ヒータの下流側を通流する前記流体であって、前記蒸発器を通過する前の前記流体の戻り温度が目標温度よりも小さいか否かを判定する工程と、
前記戻り温度が前記目標温度よりも小さいことが判定された場合に、前記ヒータを作動させて前記ヒータにより前記流体を加熱する工程と、を備える。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、アキュムレータの容量を抑制した場合又はアキュムレータを用いない場合であっても、冷凍装置における冷媒の液バックを好適に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施の形態にかかる温度制御システムの概略構成を示す図である。
【
図2】第1の実施の形態にかかる温度制御システムを構成する制御装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の実施の形態にかかる温度制御システムを構成する制御装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【
図4】本発明の第2の実施の形態にかかる温度制御システムを構成する制御装置の動作の一例を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の各実施の形態を説明する。
【0020】
<第1の実施の形態>
図1は、本発明の第1の実施の形態にかかる温度制御システム1の概略図である。
図1に示す温度制御システム1は、冷凍装置10と、流体循環装置20と、制御装置30と、を備えている。
【0021】
冷凍装置10は、流体循環装置20が通流させる流体を冷媒によって温度制御する。流体循環装置20は、冷凍装置10によって温度制御された流体を温度制御対象Tへ供給する。
【0022】
流体循環装置20は、温度制御対象Tを通過した流体を循環させるようになっている。そして、温度制御対象Tから戻った流体は、冷凍装置10によって再度温度制御される。流体循環装置20で循環させる流体は、例えばブラインであるが、水等の他の流体でもよい。
【0023】
制御装置30は、冷凍装置10及び流体循環装置20を制御するように構成され、例えばユーザの操作に応じて温度制御対象Tへ供給する流体の温度を設定したり、流体の温度が設定された温度になるように各部を制御したりする。以下、温度制御システム1の各部について詳述する。
【0024】
冷凍装置10は、圧縮機11、凝縮器12、膨張弁13及び蒸発器14が冷媒を循環させるようにこの順序で配管15により接続されることで構成されている。ここで、本実施の形態における冷凍装置10は、アキュムレータを設けていない。ただし、冷凍装置10は、アキュムレータを備えてもよい。
【0025】
圧縮機11は、蒸発器14から流出した低温且つ低圧の気体の状態の冷媒を圧縮し、高温且つ高圧の気体の状態として、凝縮器12に供給するようになっている。凝縮器12は、圧縮機11で圧縮された冷媒を冷却水によって冷却すると共に凝縮し、所定の冷却温度の高圧の液体の状態として、膨張弁13に供給するようになっている。凝縮器12の冷却水には、水が用いられてよいし、その他の冷媒が用いられてもよい。図中の符号16は、凝縮器12に冷却水を供給する冷却水管を示している。なお、凝縮器12は空冷式でもよい。
【0026】
膨張弁13は、凝縮器12から供給された冷媒を膨張させることにより減圧させて、低温且つ低圧の気液混合状態として、蒸発器14に供給するようになっている。蒸発器14は、膨張弁13から供給された冷媒を、流体循環装置20の流体と熱交換させる。ここで、流体と熱交換した冷媒は、低温且つ低圧の気体の状態となって蒸発器14から流出して再び圧縮機11で圧縮されることになる。
【0027】
流体循環装置20は、戻し口部21Uと供給口部21Dとを有するメイン流路管21を備えており、戻し口部21U及び供給口部21Dのそれぞれに接続した流路管を介して温度制御対象Tに接続している。流体循環装置20は、メイン流路管21を蒸発器14に接続しており、メイン流路管21を通流する流体を蒸発器14で熱交換させた後、温度制御対象Tに送る。そして、流体循環装置20は、温度制御対象Tを通過した流体を蒸発器14で再度熱交換させるようになっている。
【0028】
また、流体循環装置20は、メイン流路管21上に設けられたポンプ22、タンク23及びヒータ24と、第1~第3温度センサ25~27と、をさらに備えている。
【0029】
ポンプ22は、メイン流路管21の一部を構成し、流体を通流させるための駆動力を発生させる。ポンプ22は、メイン流路管21の蒸発器14との接続部分よりも上流側に配置されているが、その位置は特に限られるものではない。
【0030】
タンク23及びヒータ24は、メイン流路管21の蒸発器14との接続部分よりも上流側に配置されており、すなわち、タンク23及びヒータ24は、温度制御対象Tと接続した流体循環装置20において、温度制御対象Tの下流側で且つ蒸発器14の上流側の位置に配置されている。
【0031】
タンク23は、一定量の流体を貯留するために設けられ且つメイン流路管21の一部を構成し、ヒータ24は、流体を加熱するために設けられている。本実施の形態では、ヒータ24がタンク23内に配置されるが、ヒータ24は、タンク23の外に設けられてもよい。ヒータ24は、制御装置30と電気的に接続されており、制御装置30によって加熱能力を制御されるようになっている。
【0032】
第1温度センサ25は、メイン流路管21の蒸発器14との接続部分の下流側を通流する流体の温度を検出し、第2温度センサ26は、温度制御対象Tを通過した後、ヒータ24の上流側を通流する流体の温度を検出する。第2温度センサ26は、詳しくは、温度制御対象Tを通過した後、ヒータ24の上流側を通流する流体であって、タンク23に流入する前の流体の温度を検出する。
【0033】
また、第3温度センサ27は、流体循環装置20においてヒータ24の下流側を通流する流体であって、蒸発器14を通過する前の流体の温度を検出する。
【0034】
これら第1~第3温度センサ25~27は、制御装置30に電気的に接続されており、制御装置30が検出する温度情報は、制御装置30に送信されることになる。
【0035】
制御装置30は、冷凍装置10及び流体循環装置20の動作を制御するコントローラであって、例えばCPU、ROM等を有するコンピュータで構成されてもよい。この場合、ROMに格納されたプログラムに従い、各種処理を行う。なお、制御装置30は、その他のプロセッサや電気回路(例えばFPGA(Field Programmable Gate Alley)等)で構成されてもよい。
【0036】
図2は、制御装置30の機能構成を示すブロック図である。
図2に示すように、制御装置30は、温度設定部31と、温度取得部32と、状態判定部33と、ヒータ制御部34と、冷凍装置制御部35と、を有している。これら各機能部は、例えばプログラムが実行されることにより実現される。
【0037】
温度設定部31は、ユーザの操作に応じて、温度制御対象Tへ供給する流体の温度を設定温度として設定して保持するものである。また、温度設定部31は、ユーザの操作に応じて、ヒータ24の下流側を通流する流体であって、蒸発器14を通過する前の流体の戻り温度の目標温度を設定して保持するものである。
【0038】
上記目標温度は、流体循環装置20の流体と熱交換して蒸発器14から流出する冷媒を過熱蒸気に至らしめる温度範囲にて設定される。ヒータ24の下流側を通流する流体であって蒸発器14を通過する前の流体の戻り温度が、このような目標温度以上になる場合には、冷媒が液相を含む状態で圧縮機11に戻るリスク、すなわち液バックを回避できる。
【0039】
温度取得部32は、第1~第3温度センサ25~27が検出する温度情報を取得するものである。温度取得部32は、第1~第3温度センサ25~27から取得した温度情報を、状態判定部33、ヒータ制御部34、冷凍装置制御部35に送る。
【0040】
状態判定部33は、第1~第3温度センサ25~27が検出する温度情報に基づいて、流体循環装置20の状態を判定するものである。
【0041】
本実施の形態では、状態判定部33が、第2温度センサ26が検出する温度情報に基づいて、流体循環装置20の状態が無負荷運転又はこの無負荷運転へ移行させるための無負荷運転移行運転になったか否かを判定するようになっている。詳しくは、状態判定部33は、第2温度センサ26が検出する温度情報に基づき、温度制御対象Tを通過した後、ヒータ24の上流側を通流する流体の温度が、所定温度よりも小さくなった否かを判定し、小さくなった場合に、流体循環装置20の状態が無負荷運転又は無負荷運転移行運転になったものと判定する。
【0042】
無負荷運転は、温度制御対象Tが流体と熱交換しない状態を意味し、無負荷運転移行運転は、無負荷運転への移行途中の状態であって、温度制御対象Tが流体と通常の場合よりも熱交換しない状態を意味する。
【0043】
例えば温度制御対象Tが発熱する装置である場合に、流体循環装置20が通常運転のとき、温度制御された流体が、温度制御対象Tと熱交換し、温度制御対象Tを通過した後、熱交換前に比べて高温になる。一方で、装置である温度制御対象Tが停止され発熱が次第に低下していく状態になったときには、通常運転の場合よりも、温度制御対象Tが流体と熱交換しなくなる状態になり、最終的には、温度制御対象Tが流体と熱交換しない状態になる。
【0044】
すなわち、無負荷運転移行運転は、例えば装置である温度制御対象Tが停止された場合において、これに起因して、温度制御対象Tが、通常の場合よりも流体と熱交換しない状態になることを意味する。また、無負荷運転は、例えば装置である温度制御対象Tが停止された場合において、温度制御対象Tが、実質的に流体と熱交換しない状態になることを意味する。
【0045】
無負荷運転又は無負荷運転移行運転になったか否かを判定する基準である上記所定温度は、例えば温度制御対象Tへ供給する流体の設定温度以上の温度であり、温度制御対象Tの温度との関係で適宜選択される。
【0046】
また、本実施の形態における状態判定部33は、第3温度センサ27が検出する温度情報に基づいて、ヒータ24の下流側を通流する流体であって、蒸発器14を通過する前の流体の戻り温度が、上記目標温度よりも小さいか否かを判定し、小さい場合に、液バックリスク信号を生成する。このような液バックリスク信号が生成された際においては、例えば警告が報知されてもよい。
【0047】
続いて、ヒータ制御部34は、流体循環装置20の状態が無負荷運転又は無負荷運転移行運転になったものと状態判定部33が判定した場合に、ヒータ24を作動させてヒータ24により流体を加熱するものである。
【0048】
冷凍装置制御部35は、温度設定部31によって設定された温度制御対象Tへ供給する流体の設定温度と、第1温度センサ25に基づく検出温度とを比較して、第1温度センサ25が検出する検出温度が設定温度と一致するように冷凍装置10の各部を制御するものである。設定温度は、例えば10℃、0℃、-10℃等に設定され得る。冷凍装置制御部35は、例えば、このような設定温度に応じて冷凍装置10における圧縮機11の回転数を増減させて蒸発器14における蒸発圧力を調節し、これにより、流体の温度を設定温度に調節する。
【0049】
以下、ヒータ制御部34について詳述する。本実施の形態におけるヒータ制御部34は、上述したように、流体循環装置20の状態が無負荷運転又は無負荷運転移行運転になった場合に、ヒータ24を作動させる。その後、ヒータ制御部34は、ヒータ24の加熱能力を制御するようになっている。
【0050】
ヒータ24の加熱能力を制御する際、本実施の形態における制御装置30は、ヒータ制御部34によって、まず、蒸発器14に通過させる流体の温度を目標温度Ttにするための加熱能力Qを、以下の式(1)から算出する。
Q=m×Cp×(Tt-Ts)…(1)
ここで、温度制御対象Tへ供給する流体の設定温度をTs(℃)とし、流体循環装置20においてヒータ24の下流側を通流する流体であって蒸発器14を通過する前の流体の目標温度をTt(℃)とし、流体循環装置20が流体を通流させる重量流量を、m(kg/s)とし、流体の比熱を、Cp(J/kg℃)とする。なお、設定温度Tsと目標温度Ttは、温度設定部31によって設定される。また、重量流量mは、流量センサで検出してもよいし、ポンプ22の状態から特定してもよい。また、流体の比熱Cpは、予め制御装置30に保持されている。
【0051】
そして、制御装置30は、ヒータ制御部34により式(1)で算出した加熱能力Qに基づいてヒータ24の加熱能力を制御する。具体的に、ヒータ制御部34は、ヒータ24の加熱能力を、式(1)で算出した加熱能力Q以上の加熱能力に制御する。このような制御目標値となる当該加熱能力は、式(1)で予め算出した加熱能力Qに基づき予め決定され、予め制御装置30内に記憶されていてもよい。
【0052】
なお、式(1)で算出した加熱能力Qがヒータ24の最大加熱能力を越える場合も生じ得る。この場合、制御装置30は、ヒータ24をその最大加熱能力に制御する。
【0053】
以上のように本実施の形態では、ヒータ24の加熱能力が、式(1)で算出した加熱能力Q以上になるようにヒータ24が制御されるが、ヒータ24は、その加熱能力が、式(1)で算出した加熱能力Qそのものになるように制御されてもよい。また、ヒータ24の加熱能力が式(1)で算出した加熱能力Q以上に制御される場合、加熱能力Qよりも過剰に大きくない値(例えば2Q以下)を設定することが望ましい。
【0054】
流体循環装置20の状態が無負荷運転又は無負荷運転移行運転になった場合にヒータ24を作動させる理由は、流体が低温の状態で蒸発器14を通過して冷凍装置10側の冷媒の蒸発が不十分になり、これにより液バックが生じることを回避することにある。ここで、ヒータ24の加熱能力が大きくなる程、液バックのリスクは低減する。ただし、ヒータ24の加熱能力が過剰に大きくなると、圧縮機11の焼き付き等の不都合が生じ得る。したがって、ヒータ24の加熱能力は過剰に大きくないことが望ましい。
また、制御装置30は、ヒータ24の加熱能力を、式(1)で算出した加熱能力Q以上に制御した後、ヒータ24の下流側を通流する流体であって蒸発器14を通過する前の流体の温度が目標温度Tt以上にならない場合、ヒータ24を調節してもよい。
つまり、ヒータ24の加熱能力の制御後、第3温度センサ27が検出する温度情報に基づいて、ヒータ24の下流側を通流する流体であって、蒸発器14を通過する前の流体の戻り温度が、上記目標温度よりも小さいか否かを判定し、液バックリスク信号が生成された際、ヒータ24が調節されてもよい。この際、ヒータ24の調節と同時に警告が報知されてもよい。
【0055】
次に、
図3は制御装置30の動作の一例を説明するフローチャートである。以下、
図3を参照しつつ、制御装置30(ヒータ制御部34)の動作の一例を説明する。
【0056】
図3に示す動作は、流体循環装置20の状態が無負荷運転又は無負荷運転移行運転になったことが状態判定部33によって判定された場合に開始する。動作が開始されると、まず、ステップS101において、ヒータ制御部34は、ヒータ24を作動させる。
【0057】
次いで、ステップS102において、ヒータ制御部34は、上記式(1)に従い、蒸発器14に通過させる流体の温度を目標温度Ttにするための加熱能力Qを算出する。
【0058】
次いで、ステップS103において、ヒータ制御部34は、式(1)で算出した加熱能力Qに基づいてヒータ24の加熱能力を制御する。具体的に、ヒータ24は、その加熱能力が、加熱能力Q以上になるように制御される。
【0059】
次いで、ステップS104においては、状態判定部33が、無負荷運転又は無負荷運転移行運転が継続している否かを監視する。ここで、無負荷運転又は無負荷運転移行運転が継続している場合には、監視を繰り返す。一方で、無負荷運転又は無負荷運転移行運転を脱したと判定された場合には、ステップS105において、ヒータ制御部34がヒータ24を停止し、動作が終了する。
【0060】
なお、無負荷運転又は無負荷運転移行運転を脱した状態は、第2温度センサ26が検出する温度情報に基づき、温度制御対象Tを通過した後、ヒータ24の上流側を通流する流体の温度が、所定温度以上になったことを検出することで判定できる。
【0061】
以上に説明した本実施の形態では、無負荷運転又は無負荷運転移行運転が判定された際に、制御装置30が、ヒータ制御部34によりヒータ24を作動させる。この場合、流体循環装置20が循環させる流体が低温の状態で蒸発器14を通過して冷凍装置10側の冷媒の蒸発が不十分になり、その結果、液バックが生じることを回避することができる。これにより、アキュムレータの容量を抑制した場合又はアキュムレータを用いない場合であっても、冷凍装置における冷媒の液バックを好適に抑制できる。その結果、温度制御システム1のコンパクト化を図り易くなる。
【0062】
<第2の実施の形態>
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態では制御装置30におけるヒータ制御部34の動作が第1の実施の形態と相違する。その他の構成は、第1の実施の形態と同一である。
【0063】
詳しくは、第2の実施の形態における制御装置30は、ヒータ24の下流側を通流する流体であって、蒸発器14を通過する前の流体の戻り温度が、温度設定部31で設定された目標温度よりも小さい場合に、ヒータ制御部34によりヒータ24を作動させてヒータ24により流体を加熱する。すなわち、第1の実施の形態で説明した液バックリスク信号が生成された際に、ヒータ24を作動させる。
【0064】
この際、制御装置30のヒータ制御部34は、戻り温度をTb(℃)とし、目標温度をTt(℃)とし、流体循環装置20が流体を通流させる重量流量を、m(kg/s)とし、流体の比熱を、Cp(J/kg℃)とし、戻り温度Tbを目標温度Ttにするための加熱能力Qを、以下の式(2)から算出する。
Q=m×Cp×(Tt-Tb)…(2)
【0065】
そして、制御装置30は、式(2)で算出した加熱能力Qに基づいてヒータの加熱能力を制御する。この際、ヒータ制御部34は、ヒータ24の加熱能力を、式(2)で算出した加熱能力Q以上の加熱能力に制御する。このような加熱能力の制御は、ヒータ24の下流側を通流する流体であって、蒸発器14を通過する前の流体の戻り温度が、温度設定部31で設定された目標温度よりも小さいことが検出されるたびに行われる。すなわち、ヒータ24は、戻り温度Tbを目標温度Ttにするための、これらの差分に基づくフィードバック制御により制御されている。ただし、ヒータ24の加熱能力制御は、このような態様に限られるものではない。
【0066】
図4は、第2の実施の形態における制御装置30の動作の一例を説明するフローチャートである。以下、
図4を参照しつつ、第2の実施の形態における制御装置30(ヒータ制御部34)の動作の一例を説明する。
【0067】
図4に示す動作は、液バックリスク信号された場合に開始する。動作が開始されると、まず、ステップS201において、ヒータ制御部34は、上記式(2)に従い、戻り温度Tbを目標温度Ttにするための加熱能力Qを算出する。
【0068】
次いで、ステップS202において、ヒータ制御部34は、式(2)で算出した加熱能力Qに基づいてヒータ24の加熱能力を制御する。具体的に、ヒータ24は、その加熱能力が算出した加熱能力Q以上になるように制御される。
【0069】
次いで、ステップS203においては、状態判定部33が、流体循環装置20の状態が無負荷運転又は無負荷運転移行運転であるか否かを判定する。ここで、無負荷運転又は無負荷運転移行運転と判定された場合には、判定処理が繰り返される。一方で、無負荷運転又は無負荷運転移行運転ではない判定された場合には、ステップS204において、ヒータ制御部34がヒータ24を停止し、動作が終了する。
【0070】
このような第2の実施の形態によっても、流体循環装置20が循環させる流体が低温の状態で蒸発器14を通過して冷凍装置10側の冷媒の蒸発が不十分になり、その結果、液バックが生じることを回避することができる。そして、アキュムレータの容量を抑制した場合又はアキュムレータを用いない場合であっても、冷凍装置における冷媒の液バックを好適に抑制できる。その結果、温度制御システム1のコンパクト化を図り易くなる。
【0071】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明は以上に説明した実施の形態に限られるものではなく、上述の実施の形態には種々の変更を加えることができる。
【符号の説明】
【0072】
1…温度制御システム、10…冷凍装置、11…圧縮機、12…凝縮器、13…膨張弁、14…蒸発器、15…配管、16…冷却水管、20…流体循環装置、21…メイン流路管、21U…戻し口部、21D…供給口部、22…ポンプ、23…タンク、24…ヒータ、25…第1温度センサ、26…第2温度センサ、27…第3温度センサ、30…制御装置、31…温度設定部、32…温度取得部、33…状態判定部、34…ヒータ制御部、35…冷凍装置制御部、T…温度制御対象