(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】プレート式熱交換器用のフィルタアセンブリおよびプレート式熱交換器内の作動媒体の清掃方法
(51)【国際特許分類】
F28F 19/01 20060101AFI20240419BHJP
B01D 29/33 20060101ALI20240419BHJP
F28F 3/08 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
F28F19/01
B01D29/32 B
F28F3/08 301A
(21)【出願番号】P 2020564571
(86)(22)【出願日】2019-05-14
(86)【国際出願番号】 SE2019050433
(87)【国際公開番号】W WO2019226092
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-15
(32)【優先日】2018-05-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(73)【特許権者】
【識別番号】518253185
【氏名又は名称】クリメオン エービー
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブロンクビスト,エリック
(72)【発明者】
【氏名】ヒルディング,キム
(72)【発明者】
【氏名】アルボム,エスコ
(72)【発明者】
【氏名】マニュカ,カリ
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0041414(US,A1)
【文献】特開2011-218252(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第104567490(CN,A)
【文献】米国特許第05916435(US,A)
【文献】特開2015-120149(JP,A)
【文献】特表2000-501991(JP,A)
【文献】特開平06-154518(JP,A)
【文献】特表2013-536933(JP,A)
【文献】特表平08-504027(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 3/00 - 99/00
F28D 1/00 - 13/00
F28G 1/00 - 15/10
B01D 23/00 - 37/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動媒体および冷却または加熱流体をそれぞれ通過させるための入口および出口ポート(11)を含むプレート式熱交換器(10)用のフィルタアセンブリ(1)であって、
前記フィルタアセンブリ(1)は前記入口または出口ポート(11)に嵌合するように寸法が決められ、前記フィルタアセンブリ(1)は、近位フランジ(3a)と、遠位フランジ(3b)と、それぞれの端部で前記近位フランジ(3a)および前記遠位フランジ(3b)にそれぞれ取り付けられた少なくとも1つのフィルタチューブ(4)とを含むことを特徴とし、
前記少なくとも1つのフィルタチューブ(4)は、細長いフィルタエレメント(2)を受け入れるように適合され、さらに、その円周面に配置された複数の入口穴(4a)を含み、前記遠位フランジ(3b)は、前記少なくとも1つのフィルタチューブ(4)の内部と流体連絡する少なくとも1つの貫通出口開口部(4b)を含み、前記複数の入口穴(4a)が、前記少なくとも1つのフィルタチューブ(4)の長手方向に実質的に配置され、前記少なくとも1つのフィルタチューブ(4)の長手方向軸に対して実質的に同じ角度位置に位置付けられている、フィルタアセンブリ(1)。
【請求項2】
複数のフィルタチューブ(4)をさらに含み、前記遠位フランジ(3b)は、複数の貫通出口開口部(4b)を含み、各貫通出口開口部(4b)は、前記複数のフィルタチューブ(4)のそれぞれの1つの内部と流体連絡している、請求項1に記載のフィルタアセンブリ(1)。
【請求項3】
前記複数のフィルタチューブ(4)の各々の前記複数の入口穴(4a)が、それらのそれぞれのフィルタチューブ(4)の長手方向軸に対して実質的に同じ角度の位置に位置付けられている、請求項2に記載のフィルタアセンブリ(1)。
【請求項4】
前記遠位フランジ(3b)が、前記フィルタアセンブリ(1)の遠位方向で内向きに先細りになる面取りされた表面(3r)を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載のフィルタアセンブリ(1)。
【請求項5】
細長いフィルタエレメント(2)を前記遠位フランジ(3b)に向かって付勢するために、前記少なくとも1つのフィルタチューブ(4)の内側に配置されたバイアスエレメント(7)をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載のフィルタアセンブリ(1)。
【請求項6】
前記近位フランジ(3a)が、前記少なくとも1つのフィルタチューブ(4)と位置合わせされた少なくとも1つの貫通アクセス穴(3h)と、前記少なくとも1つの貫通アクセス穴(3h)を覆うための取り外し可能な蓋(5)とを含む、請求項1から5のいずれか一項に記載のフィルタアセンブリ(1)。
【請求項7】
請求項
2または3に従属する場合、前記近位フランジ(3a)は、前記複数のフィルタチューブ(4)のそれぞれの1つと各々位置合わせされた複数の貫通アクセス穴(3h)を含む、請求項6に記載のフィルタアセンブリ(1)。
【請求項8】
前記蓋(5)が、前記複数の入口穴(4a)の反対側にある、前記少なくとも1つのフィルタチューブ(4)の下端部と流体連絡している少なくとも1つの排水管(6)を備える、請求項6または7に記載のフィルタアセンブリ(1)。
【請求項9】
前記少なくとも1つの貫通出口開口部(4b)が、前記フィルタチューブ(4)内に延在するパイプ(4c)をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載のフィルタアセンブリ(1)。
【請求項10】
フレーム内で互いに隣接して配置された複数の熱交換器プレートを含み、作動媒体および冷却または加熱流体をそれぞれ通過させるための貫通穴を有するプレート式熱交換器(10)を備えた閉ループサイクルで前記作動媒体を清掃する方法であって、前記方法が、
-前記少なくとも1つのフィルタチューブ(4)内に配置された少なくとも1つの細長いフィルタエレメント(2)を含む、請求項1から
9のいずれか一項に記載のフィルタアセンブリ(1)を提供するステップと、
-前記フィルタアセンブリ(1)を前記プレート式熱交換器(10)の作動媒体の入口または出口ポート(11)に挿入するステップであって、前記フィルタアセンブリ(1)は、前記複数の入口穴(4a)が重力の方向と反対の実質的に上向きの方向に向けられるように挿入される、ステップと、
-前記近位フランジ(3a)と前記入口または出口ポート(11)との間に液密シールが提供されるように、前記フィルタアセンブリ(1)を前記プレート式熱交換器(10)のフレーム(13)に固定するステップと、
-前記作動媒体が前記少なくとも1つのフィルタチューブ(4)の表面の前記入口穴(4a)を通って前記フィルタアセンブリ(1)に入り、前記遠位フランジ(3b)の前記少なくとも1つの貫通出口開口部(4b)を通って前記フィルタアセンブリ(1)を出るように、前記作動媒体を閉ループサイクルでポンピングするステップと
を含む、方法。
【請求項11】
前記遠位フランジ(3b)に配置された1つまたは複数の内向きに先細りになった表面(3r)または突起上で前記フィルタアセンブリ(1)を走らせることにより、前記入口または出口ポート(11)の長手方向軸に沿って前記フィルタアセンブリ(1)の方向を調整するステップ
をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記フィルタアセンブリ(1)が前記プレート式熱交換器(10)の上部入口または出口ポート(11)に挿入され、該上部入口または出口ポート(11)が前記作動媒体の液面レベルよりも上に配置される、請求項10または11に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、プレート式熱交換器、より具体的には、プレート式熱交換器内の作動媒体を清掃するためのフィルタアセンブリ、およびフィルタアセンブリを使用するプレート式熱交換器を含む閉ループサイクルで作動媒体を清掃する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ランキンサイクル、有機ランキンサイクル(ORC)、カリナサイクル、または熱を電力に変換する任意の他の既知の熱力学的閉ループ発電プロセスなどの熱力学的閉ループサイクルで生成された作動媒体の相変化エネルギーを利用して、例えば工業プロセスまたは地熱源からの低温熱または廃熱を電気に変換するための多くのシステムおよび方法が存在する。例えば、特許文献1は、発電モジュールを含むそのような熱変換システムを開示している。発電モジュールは、タービン/発電機、蒸発器/熱交換器、凝縮器およびメインポンプ、ならびにモジュールを通って循環する作動媒体を含む。
【0003】
中程度の温度と圧力での用途に使用され得る熱交換器の1つのタイプは、プレート式熱交換器(PHE)であり、PHEは、ポリマーガスケットで分離され、かつ鉄骨フレームにクランプされた複数の波形金属(ステンレス鋼)プレートまたはシートで構成される。ガスケットの入口ポータルとスロットは、高温と低温の流体をプレート間の交互に並んだ空間に送る。波形は、熱伝達を改善するための乱流を誘発し、各プレートは、異なるパターンまたは波形の角度を有してもよい隣接するプレートとの複数の接触によって支持される。プレート間の空間は、波形の深さに等しく、通常2~5mmである。各チャンバを薄くすることで、液体の体積の大部分がプレートに接触し、交換がさらに容易になる。プレートは非常に大きな表面積を生み出し、高速の熱伝達を可能にする。低流量で高度の乱流を得ることができ、その後、高い熱伝達係数を達成することができる。高圧の流体を適用するための代替として、またはよりコンパクトな製品が必要な場合は、溶接、半溶接、またはろう付けされた熱交換器が使用される。
【0004】
発電モジュールの起動中および長期間の動作後、作動媒体は、例えば摩耗および/または化学反応のため、粒子によって汚染される可能性があり、発電モジュールのコンポーネントが損傷する可能性がある。したがって、起動後または定期的なメンテナンスやサービス中に、作動媒体を清掃する必要がある。モジュールのダウンタイムができるだけ短くなるように、清掃手順は迅速かつ簡単であることが望ましい。
【0005】
凝縮チャンバの下流にフィルタを設置することは一般的に知られている。そのような既知のフィルタアセンブリは、内部にいくつかのフィルタカートリッジを備え、かつ閉ループサイクルと接続したり切り離したりするように配置されたフィルタハウジングを含み得る。ただし、このようなフィルタアセンブリは、電力変換モジュールの閉ループサイクルへの接続と切り離しに時間がかかり、すべての不要な粒子を蓄積するわけではない。さらに、そのようなフィルタアセンブリは、モジュールの設置に追加の空間を必要とし、追加の空間は多くの場合利用できない。
【0006】
他の例には、熱交換器のプレートを通って案内される前に作動媒体を清掃するように熱交換器の入口パイプに配置されたフィルタまたはストレーナが含まれる(例えば特許文献2,特許文献3,特許文献4および特許文献5を参照)。そのようなフィルタは、その連続動作中にプレート式熱交換器に恒久的または半恒久的に装着されるように配置され、したがって通常、比較的大きな押し出し量を可能にする大きな開口部を備えたメッシュスクリーンを含む。その結果、これらのフィルタも、すべての不要な粒子を作動媒体に蓄積するわけではなく、同時にプレート式熱交換器を通る流量に悪影響を及ぼす。
【0007】
したがって、流量への悪影響を最小限に抑えながら、プレート式熱交換器内の作動媒体を効率的に清掃するための改善された装置および方法を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】WO2012/128715
【文献】KR20090006563U
【文献】CN207006949U
【文献】CN104567490A
【文献】WO02/052215
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、プレート式熱交換器内の作動媒体を効果的に清掃するための改良された装置および方法を提供することである。この目的は第1の態様で達成され、第1の態様では、作動媒体および冷却または加熱流体をそれぞれ通過させるための入口および出口ポートを含むプレート式熱交換器用のフィルタアセンブリが提供され、ここで、フィルタアセンブリは入口または出口ポートに嵌合するように寸法が決められ、ここで、フィルタアセンブリは、近位フランジと、遠位フランジと、それぞれの端部で近位フランジおよび遠位フランジにそれぞれ取り付けられた少なくとも1つのフィルタチューブとを含み、ここで、少なくとも1つのフィルタチューブは、細長いフィルタエレメントを受け入れるように適合され、さらに、その円周面に配置された複数の入口穴を含み、ここで、遠位フランジは、少なくとも1つのフィルタチューブの内部と流体連絡(連通)する少なくとも1つの貫通出口開口部を含む。
【0010】
細長いフィルタタイプ、例えば円筒形のキャンドルフィルタタイプを受け入れるための1つまたは複数のフィルタチューブを備えたフィルタアセンブリを提供することによって、フィルタエレメントによって捕らえられた粒子および汚染物質は、フィルタチューブ内に保持され、作動媒体(または冷却/加熱流体)の循環が停止したときにプレート式熱交換器に戻ることが防止される。本発明は、フィルタアセンブリを取り囲むフィルタチャンバを必要とせず、追加のパイプ接続なしにプレート式熱交換器の入口または出口ポートに直接挿入および装着することを可能にする。したがって、作動媒体の清掃プロセスを実行するために必要とされる空間はかなり少なくなる。
【0011】
好ましい実施形態では、複数の入口穴は、少なくとも1つのフィルタチューブの長手方向に実質的に配置され、少なくとも1つのフィルタチューブの長手方向軸に対して実質的に同じ角度位置に位置付けられている。フィルタチューブに沿って一列に直線的に配置された入口穴により、濾過される流体の侵入が特定の角度位置に制限され、フィルタアセンブリを取り外す間に濾過された粒子および汚染物質が流出することは防止され得る。
【0012】
有利な実施形態では、フィルタアセンブリはさらに、複数のフィルタチューブを含み、遠位フランジは複数の貫通出口開口部を含み、各出口開口部は、複数のフィルタチューブのそれぞれの1つの内部と流体連絡している。好ましくは、複数のフィルタチューブの各々の複数の入口穴は、それらのそれぞれのフィルタチューブの長手方向軸に対して実質的に同じ角度位置に位置付けられている。
【0013】
代替の実施形態では、遠位フランジは、フィルタアセンブリの遠位方向で内向きに先細になる面取りされた表面を含む。面取りされた表面は、フィルタアセンブリの挿入、特に入口または出口ポートの遠位端部のライニングとの遠位フランジの位置合わせを容易にする。
【0014】
好ましい実施形態では、フィルタアセンブリはさらに、細長いフィルタエレメントを遠位フランジに向かってバイアス(付勢)するために、少なくとも1つのフィルタチューブの内側に配置されたバイアスエレメント(付勢部材)を含む。バイアスエレメントは、異なる長さのフィルタエレメントをフィルタチューブに適切に嵌合させることを可能にする圧縮性ばねであり得る。
【0015】
有利な実施形態では、近位フランジは、少なくとも1つのフィルタチューブと位置合わせされた少なくとも1つの貫通アクセス穴(貫通操作穴)と、少なくとも1つの貫通アクセス穴を覆うための取り外し可能な蓋とを備える。好ましくは、近位フランジは、複数のフィルタチューブのそれぞれの1つと各々位置合わせされた複数の貫通アクセス穴を含む。蓋は、フィルタチューブからフィルタエレメントを取り外して洗浄、清掃、および再使用することを可能にする。
【0016】
代替の実施形態では、蓋は、複数の入口穴の反対側にある、少なくとも1つのフィルタチューブの下端部と流体連絡している少なくとも1つの排水管を含む。排水管は、すでに濾過された粒子および汚染物質がプレート式熱交換器に戻らないように、プレート式熱交換器からフィルタアセンブリを取り外す前にフィルタチューブを排水することを可能にする。
【0017】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの出口開口部は、フィルタチューブ内に延在するパイプをさらに含む。パイプは、細長いフィルタエレメントの遠位端部のガイドおよびホルダーとして機能し、この場合、フィルタエレメントは中央の中空ボアを備える。
【0018】
本発明の第2の態様では、フレーム内で互いに隣接して配置された複数の熱交換器プレートを含み、作動媒体および冷却または加熱流体をそれぞれ通過させるための貫通穴を有するプレート式熱交換器を備えた閉ループサイクルで作動媒体を清掃する方法が提供され、この方法は、
-少なくとも1つのフィルタチューブ内に配置された少なくとも1つの細長いフィルタエレメントを含む、先行する請求項のいずれか一項に記載のフィルタアセンブリを提供するステップと、
-フィルタアセンブリをプレート式熱交換器の作動媒体の入口または出口ポートに挿入するステップと、
-近位フランジと出口ポートとの間に液密シールが提供されるように、プレート式熱交換器のフレームにフィルタアセンブリを固定するステップと、
-作動媒体が少なくとも1つのフィルタチューブの表面の穴を通してフィルタアセンブリに入り、遠位フランジの少なくとも1つの貫通開口部を通してフィルタアセンブリを出るように、作動媒体を閉ループサイクルでポンピングする(送り込む)ステップと
を含む。
【0019】
好ましい実施形態では、この方法はさらに、
-遠位フランジに配置された1つまたは複数の内向きに先細になった表面または突起上でフィルタアセンブリを走らせることにより、入口または出口ポートの長手方向軸に沿ってフィルタアセンブリの方向を調整するステップを含む。
【0020】
代替の実施形態では、フィルタアセンブリは、プレート式熱交換器の上部入口または出口ポートに挿入され、上部入口または出口ポートは、作動媒体の流体レベルよりも上に配置される。フィルタアセンブリを上部入口または出口ポートに挿入することにより、すなわち、閉ループサイクルが実行されていないときにプレート式熱交換器内の作動媒体の流体レベルよりも上に挿入することにより、プレート式熱交換器の作動媒体を空にする必要がない。それにより、作動媒体を清掃するより迅速なプロセスが達成される。
【0021】
有利な実施形態では、フィルタアセンブリは、複数の入口穴が実質的に上向きの方向に向けられるように挿入される。上向きの方向は、この場合重力の方向の反対として定義される。入口穴を上向きに向けることにより、フィルタエレメントを通過するには大きすぎる粒子および汚染物質が重力の影響によってフィルタチューブの下端部に保持され、したがって、それらがプレート式熱交換器の作動媒体に戻らないことを確実にする。次に、例として、添付の図面を参照して本発明を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1a】本発明の一実施形態による、フィルタアセンブリの近位端部からの斜視図を示す。
【
図1b】本発明の一実施形態による、フィルタアセンブリの遠位端部からの斜視図を示す。
【
図1c】
図1aのフィルタアセンブリの近位端部の斜視断面図を示す。
【
図1d】
図1aのフィルタアセンブリの遠位端部の拡大側面図を示す。
【
図1e】本発明のさらに別の実施形態による、フィルタアセンブリの遠位端部からの斜視図を示す。
【
図2b】
図1aのフィルタアセンブリの近位端部に装着された
図2aの蓋シールの斜視図を示す。
【
図3a】
図1aのフィルタアセンブリをプレート式熱交換器のポートに装着するさまざまな段階におけるプレート式熱交換器の斜視図を示す。
【
図3b】
図1aのフィルタアセンブリをプレート式熱交換器のポートに装着するさまざまな段階におけるプレート式熱交換器の斜視図を示す。
【
図3c】
図1aのフィルタアセンブリをプレート式熱交換器のポートに装着するさまざまな段階におけるプレート式熱交換器の斜視図を示す。
【
図3d】
図1aのフィルタアセンブリがそのポートに装着されているプレート式熱交換器の斜視断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下に、本発明によるプレート式熱交換器において作動媒体などの流体を濾過するための方法および装置の詳細な説明が提供される。図面の図において、同様の参照番号はいくつかの図を通して同一または対応する要素を示す。これらの図は例示のみを目的としており、本発明の範囲を制限するものではないことが理解されよう。
【0024】
本発明の文脈において、フィルタアセンブリの特徴を説明するために使用される「近位」および「遠位」という用語は、プレート式熱交換器の入口または出口ポートへのフィルタアセンブリの挿入方向に見られるように、オペレータから最も近くおよび最も遠くにそれぞれ位置する特徴を指すと理解されるべきである。
【0025】
本発明の文脈において、「上部」および「下部」という用語は、プレート式熱交換器の特徴を説明するために使用される。
【0026】
図1aには、本発明の一実施形態によるフィルタアセンブリ1が示されている。フィルタアセンブリ1は、第1の近位端部1aおよび第2の遠位端部1bを有し、プレート式熱交換器10の入口または出口ポート11に配置されるように寸法が決められている。フィルタアセンブリ1は、第1の近位フランジ3a、第2の遠位フランジ3b、および細長いフィルタエレメント2を受け入れるように配置された少なくとも1つのフィルタチューブ4を備える。
図1aに示されるフィルタアセンブリ1は、円筒形の細長いフィルタエレメント2が各々その中に配置された7つのフィルタチューブ4を含む。理解され得るように、フィルタアセンブリ1は、フィルタアセンブリ1およびフィルタエレメント2の選択された寸法および/または用途に応じて、任意の適切な数のフィルタチューブ4を含み得る。フィルタチューブ4は、それぞれの端部で遠位フランジ3bおよび近位フランジ3aにそれぞれ取り付けられている。フィルタチューブ4は、好ましくは、近位フランジ3aおよび遠位フランジ3bに溶接されている。しかしながら、任意の適切な取り付け手段を使用してもよい。
【0027】
フィルタチューブ4は各々、フィルタチューブ4の円周面に沿って直線的に配置された複数の入口穴4aを含み、フィルタチューブ4の内部との流体連絡(流体の流れ)を提供する。フィルタチューブ4の長手方向軸を基準軸とする円筒座標系の観点からフィルタチューブ4を考えると、入口穴4aはすべて実質的に同じ角度位置を有し、したがって入口穴4aの線形列を形成する。
図1a~
図1cに見られるように、複数のフィルタチューブ4上の入口穴4aの角度位置は、それぞれのフィルタチューブ4の長手方向軸に関して実質的に同じである。しかしながら、入口穴4aはまた、角度方向で互いに対してわずかにオフセットして配置されてもよく、すなわち、直線の列を形成しなくてもよい。好ましくは、入口穴4aはすべて、以下でさらに説明するように、フィルタアセンブリ1がプレート式熱交換器10に挿入されるときに、それぞれのフィルタチューブ4の上側に配置される、すなわち重力の方向と反対に上向きに向けられる。
【0028】
さらに、
図1bに示されるように、遠位フランジ3bは、それぞれのフィルタチューブ4の内部と各々流体連絡(連通)している複数の貫通出口開口部4bを備える。入口穴4aおよび出口開口部4bは共に、フィルタチューブ4の内部を通る流体の流路を提供する。したがって、流体がフィルタチューブ4を通過するとき、粒子および汚染物質は、フィルタチューブ4に配置された細長いフィルタエレメント2によって捕らえられ、流体から除去される。作動媒体の流れ方向は、フィルタエレメント2の外側から内側へである。各出口開口部4bは、フィルタエレメント2がそれぞれのフィルタチューブ4の内部に保持されるように、フィルタエレメント2の直径よりも小さい直径を有する。
【0029】
ここで
図1cに目を向けると、各フィルタエレメント2は、粒子および汚染物質がプレート式熱交換器10に戻されるのを防止するためにフィルタチューブ4内に配置されている。各出口開口部4bは、フィルタ挿入中にガイドとして機能するようにフィルタチューブ4内に延在するパイプ4cをさらに含み得る。フィルタエレメント2の遠位端部の穴は、フィルタエレメント2がフィルタチューブ4の中央に確実に位置合わせされて留まるように、パイプ4c上に案内される。さらに、各フィルタエレメント2には、フランジ3a、3bの1つとフィルタエレメント2のそれぞれの端部との間に作用する圧縮性ばね7などのバイアス部材(付勢部材)によって、近位フランジ3aと遠位フランジ3bとの間で事前に張力がかけられてもよい。
【0030】
フィルタアセンブリ1の遠位端部1bが、
図1dの拡大図に示されている。第2の遠位フランジ3bは、プレート式熱交換器10の入口または出口ポート11の内側ライニングに対してシールを提供するためのガスケットまたはOリング18を含み得る。さらに、遠位フランジ3bは、プレート式熱交換器10、特に入口または出口ポート11の遠位部分のライニングへのフィルタアセンブリ1の挿入を容易にするために遠位方向で内向きに先細になる面取りされた半径方向表面3rを有し得る。代替として、またはさらに、遠位フランジ3bは、フィルタアセンブリ1の遠位方向で内向きに先細になる1つまたは複数の突起(図示せず)を含み得る。
【0031】
フィルタチューブ4に配置されたフィルタエレメント2は、例えば、中央の穴と、大きな表面積を作り出すための折り畳まれたワイヤーメッシュ材料のいくつかの層とを含むキャンドルフィルタタイプであり得る。濾過はキャンドルフィルタへの流れが外側から内側へと流れるため、表面の機械的濾過を行うことができる。ワイヤーメッシュを通過するには大きすぎる粒子および汚染物質は、フィルタエレメント2とフィルタチューブ4との間の空間に保持され、したがって、プレート式熱交換器10の作動媒体に戻ることが防止される。
【0032】
図1eには、本発明のさらに別の実施形態によるフィルタアセンブリ1が示されている。フィルタアセンブリ1は、第1の近位端部1aおよび第2の遠位端部1bを有し、プレート式熱交換器10の入口または出口ポート11に配置されるように寸法が決められている。フィルタアセンブリ1は、第1の近位フランジ3aおよび第2の遠位フランジ3bを備える。
図1eに示されるフィルタアセンブリ1は、その中に配置された1つの細長いフィルタエレメント2を受け入れるように適合された1つのフィルタチューブ4を備える。理解され得るように、フィルタアセンブリ1は、フィルタアセンブリ1およびフィルタエレメント2の選択された寸法および/または用途に応じて、任意の適切な数のフィルタチューブ4を含み得る。フィルタチューブ4は、それぞれの端部で遠位フランジ3bおよび近位フランジ3aにそれぞれ取り付けられている。フィルタチューブ4は、好ましくは、近位フランジ3aおよび遠位フランジ3bに溶接されている。しかしながら、任意の適切な取り付け手段を使用してもよい。
【0033】
フィルタエレメント2は、好ましくは、洗浄可能かつ再使用可能である。そのために、近位フランジ3aは、清掃のためにそれを通してフィルタエレメント2が挿入および取り外しされ得るアクセス穴3h(
図1bに示される)を備える。取り外し可能な蓋5は、アクセス穴3hを覆うためにボルトによって近位フランジ3aに固定されている。蓋5は、
図2aおよび
図2bに示されるように、シール8によって近位フランジ3aに対してシールされている。例えば、シール8は5mmのEPDMシールであり得る。蓋5には、排水管6も設けられている。各排水管6は、それぞれのフィルタチューブ4の下側、すなわち、入口穴4aの反対側に接続されている。排水管6は通常は塞がれているが、プレート式熱交換器10の入口または出口ポート11からフィルタアセンブリ1を取り外す前に、フィルタアセンブリ1の残りの流体(作動媒体)を空にするために使用することができる。蓋シール8は、作動媒体が各排水管6に導かれるように、切り欠き8bを備えた各パイプ4のための円形開口部8aを有する。各円形開口部8aは、ばね7の直径よりも大きい寸法であるため、各プリテンションばね7は、蓋5を直接押す。
【0034】
ここで
図3a~
図3dに目を向けると、本発明の第2の態様によるプレート式熱交換器10内の作動媒体を清掃する方法が説明される。
図3aは、作動媒体および冷却流体または加熱流体に入口および出口をそれぞれ提供する4つのポート11(T1、T2、T3、T4とラベル付けされている)を有するプレート式熱交換器10を示す。
ポート11は、
図3dでより明確に示されるように、プレート式熱交換器10を構成する熱交換器プレートの貫通穴によって形成されている。
図3aに見られるように、ポート11の各々は、プレート式熱交換器10の一方の側(T1およびT2を参照)にパイプ接続を有し、反対側(T3およびT4を参照)にカバープレート12を有する。本発明によるフィルタアセンブリ1は、プレート式熱交換器10を通って流れる作動媒体を清掃するために使用され得るが、冷却流体または加熱流体中の粒子および汚染物質を濾過するためにも使用できると考えられる。
しかしながら、フィルタアセンブリ1は、プレート式熱交換器10を通る流体の流量を減少させるため、恒久的に装着されることを意図しておらず、むしろ、決められた期間中装着される。また、作動媒体は、閉ループサイクルで循環され、プレート式熱交換器10を一度だけ通過し得る冷却流体や加熱流体とは対照的にプレート式熱交換器を複数回通過するため、フィルタアセンブリ1は、冷却流体や加熱流体ではなく、作動媒体の清掃に使用されることが意図されている。
【0035】
図3bでは、上部ポート11(T4とラベル付けされている)のカバープレート12は取り外されており、フィルタアセンブリ1が部分的に挿入されて示されている。ガスケット9が、近位フランジ3aとプレート式熱交換器10のエンドフレーム13との間に示されている。近位フランジ3aは、カバープレート12上の穴に対応する貫通穴を含み、プレート式熱交換器10内のフィルタアセンブリ1の固定、より具体的には、近位フランジ3aのエンドフレームへの固定を可能にする。ガスケットは、それらの間に液密シールを提供する。さらに、フィルタアセンブリ1は、フィルタチューブ4の複数の入口穴4aがプレート式熱交換器の上部に向かって実質的に上向きの方向、すなわち重力の方向と反対の方向に向けられるように挿入されることが分かる。したがって、上記で説明したように、フィルタエレメント2を通過するには大きすぎる粒子および汚染物質は、フィルタエレメント2とフィルタチューブ4との間の空間に保持される。重力の影響下で、濾過された粒子および汚染物質は、フィルタチューブ4の下端部に向かって移動し、そこに留まる。したがって、入口穴4aが実質的に上向きに向けられているため、濾過された粒子および汚染物質が、プレート式熱交換器10の作動媒体に戻ることが防止される。
【0036】
さらに、
図3cは、プレート式熱交換器10に完全に挿入され、近位フランジ3がボルトによってエンドフレーム13に固定されたフィルタアセンブリ1を示している。
【0037】
好ましくは、フィルタアセンブリ1は、プレート式熱交換器10の上部ポート11に装着される。通常、プレート式熱交換器10内の作動媒体の流体レベルは、発電モジュール内の閉ループサイクルが実行されていないとき、上部ポート11よりも下にある。したがって、フィルタアセンブリ1を上部ポート11に装着することにより、フィルタアセンブリ1を挿入する前にプレート式熱交換器10の作動媒体を空にする必要がなくなる。しかしながら、フィルタアセンブリ1は、上部ポート11に装着されることに限定されず、フィルタアセンブリ1の寸法に釣り合った直径および長さを有するプレート式熱交換器10のポート11のいずれかに挿入され得る。
【0038】
図3dは、完全に挿入されたフィルタアセンブリ1およびプレート式熱交換器10の上部を断面で示している。もう一方の上部ポート11(T1とラベル付けされている)がここではより見やすく示されている。遠位端部1bは、ポート11の遠位開口部と位置合わせされている。遠位フランジ3bは、遠位開口部に収容され、遠位フランジ3bのOリング18は、反対側のエンドフレームの開口部のポート11のライニングに対して液密シールを提供する。
【0039】
例示的な一実施形態では、フィルタアセンブリ1全体の重量は約45kgであり、フィルタエレメント2は、好ましくは、長さが約520mmの5μmフィルタである。フィルタチューブ4は、プレート式熱交換器10の構造(プレートの厚さおよび数)に応じて異なる長さを有することができる。ただし、好ましくは、同じタイプのフィルタエレメント2がすべての用途に使用される。したがって、異なる寸法を補償するために、追加のばね7および座金が追加される。0.5バールの圧力降下で、フィルタは約4.5l/sの流量を提供する。すなわち、発電モジュールに600リットルの体積の作動媒体が入っている状態で、完全な清掃手順を数分で実行することができる。しかしながら、作動媒体は、少なくとも15分間、フィルタアセンブリ1を通って循環されることが好ましい。
【0040】
本発明の好ましい実施形態の前述の説明は、例示的および説明的な目的のために提供される。網羅的であること、または記載された変形に本発明を限定することを意図するものではない。多くの修正および変形が当業者には当然明らかであろう。