(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】二次電池パック、充電装置及び放電装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/04 20060101AFI20240419BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240419BHJP
H02J 7/02 20160101ALI20240419BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20240419BHJP
H01M 10/058 20100101ALN20240419BHJP
【FI】
H01M10/04 Z
H02J7/00 302C
H02J7/02 K
H01M10/44 P
H01M10/058
(21)【出願番号】P 2022557835
(86)(22)【出願日】2020-04-07
(86)【国際出願番号】 EP2020059895
(87)【国際公開番号】W WO2021204364
(87)【国際公開日】2021-10-14
【審査請求日】2022-09-21
(73)【特許権者】
【識別番号】522374652
【氏名又は名称】アーセーバイオード エス ア エール エル
【氏名又は名称原語表記】AC BIODE S.A R.L.
【住所又は居所原語表記】7, rue du 31 Aout 1942, L-5809 Hesperange, LUXEMBOURG
(74)【代理人】
【識別番号】110001069
【氏名又は名称】弁理士法人京都国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】水沢 厚志
【審査官】松嶋 秀忠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-171075(JP,A)
【文献】特開2016-178859(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/04-39,44
H02J 7/00-02
H01M 50/20-298
H01M 50/50-598
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
それぞれが正極端子及び負極端子を有する第1電池及び第2電池と、
正極端子、負極端子及び両性極端子を有する第3電池と、
前記第1電池の負極端子と前記第3電池の正極端子を電気的に接続する第1接続部と、
前記第2電池の正極端子と前記第3電池の負極端子を電気的に接続する第2接続部と
を備え、
nを0以上の整数としたとき、前記第3電池が、交互に並べて配置された(n+1)個の正極及び(n+1)個の負極と、隣接する正極と負極の間に配置された(2n+1)個の両性極と、電解質と、該第3電池の正極端子と前記(n+1)個の正極を電気的に接続する正極用接続部材と、前記負極端子と前記(n+1)個の負極を電気的に接続する負極用接続部材と、前記両性極端子と前記(2n+1)個の両性極をそれぞれ電気的に接続する両性極用接続部材と、を有する二次電池パック
であって、
前記(n+1)個の正極と前記(n+1)個の負極と前記(2n+1)個の両性極が、V字状又はU字状又はジグザグ状に配置されている、二次電池パック。
【請求項2】
それぞれが正極端子及び負極端子を有する第1電池及び第2電池と、
正極端子、負極端子及び両性極端子を有する第3電池と、
前記第1電池の負極端子と前記第3電池の正極端子を電気的に接続する第1接続部と、
前記第2電池の正極端子と前記第3電池の負極端子を電気的に接続する第2接続部と
を備え、
nを0以上の整数としたとき、前記第3電池が、交互に並べて配置された(n+2)個の正極及び(n+1)個の負極、又は交互に並べて配置された(n+2)個の負極及び(n+1)個の正極と、隣接する正極と負極の間に配置された(2n+2)個の両性極と、電解質と、該第3電池の正極端子と前記(n+2)個又は前記(n+1)個の正極を電気的に接続する正極用接続部材と、前記負極端子と前記(n+1)個又は前記(n+2)個の負極を電気的に接続する負極用接続部材と、前記両性極端子と前記(2n+2)個の両性極を電気的に接続する両性極用接続部材と、を有する二次電池パック
であって、前記(n+2)個の正極及び前記(n+1)個の負極、又は前記(n+1)個の正極及び前記(n+2)個の負極と、前記(2n+2)個の両性極が、V字状又はU字状又はジグザグ状に配置されている、二次電池パック。
【請求項3】
それぞれが正極端子及び負極端子を有する第1電池及び第2電池と、
正極端子、負極端子及び両性極端子を有する第3電池と、
前記第1電池の負極端子と前記第3電池の正極端子を電気的に接続する第1接続部と、
前記第2電池の正極端子と前記第3電池の負極端子を電気的に接続する第2接続部と
を備え、
前記第3電池が、1個の正極及び1個の負極と、該正極と該負極の間に配置された1個の両性極と、電解質と、該第3電池の正極端子と前記1個の正極を電気的に接続する正極用接続部材と、前記負極端子と前記1個の負極を電気的に接続する負極用接続部材と、前記両性極端子と前記1個の両性極をそれぞれ電気的に接続する両性極用接続部材と、を有する二次電池パック。
【請求項4】
請求項1~3に記載の二次電池パックにおいて、
前記第1電池及び第2電池の少なくとも一方が、
複数の二次電池セルが直列又は並列に接続されたものである、二次電池パック。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の二次電池パックを含む二次電池モジュールであって、
第1入出力線路と、
該第1入出力線路と前記二次電池パックの前記第1電池の正極端子とが電気的に接続された状態である第1状態と、前記第1入出力線路と前記二次電池パックの前記第2電池の負極端子とが電気的に接続された状態である第2状態とに切り替える切替手段と、
前記二次電池パックの第3電池の両性極端子に電気的に接続された第2入出力線路と、
前記切替手段を制御する制御部とを有する、二次電池モジュール。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載の二次電池パックを充電する充電装置であって、
交流電源の一対の出力端に接続される第1及び第2入力線路と、
前記第1入力線路に設けられた、前記二次電池パックの前記第1電池の正極端子及び前記第2電池の負極端子をそれぞれ接続するための正極用端子及び負極用端子と、
前記第2入力線路に設けられた、前記二次電池パックの前記第3電池の両性極端子を接続するための両性極用端子と、
前記第1入力線路と前記正極用端子及び前記負極用端子の間に設けられた、該第1入力線路と前記正極用端子が接続された状態である第1接続状態と、前記第1入力線路と前記負極用端子が接続された状態である第2接続状態とに切り替える切替手段と、
前記交流電源の周波数に基づいて前記切替手段を制御する制御部とを備えることを特徴とする充電装置。
【請求項7】
請求項1~4のいずれかに記載の二次電池パックを放電する放電装置であって、
負荷の一対の入力端子に接続される第1及び第2出力線路と、
前記第1出力線路に設けられた、前記二次電池パックの前記第1電池の正極端子及び前記第2電池の負極端子をそれぞれ接続するための正極用端子及び負極用端子と、
前記第2出力線路に設けられた、前記二次電池パックの前記第3電池の両性極端子を接続するための両性極用端子と、
前記第1出力線路と前記正極用端子及び前記負極用端子の間に設けられた、該第1出力線路と前記正極用端子が接続された状態である第1接続状態と、前記第1出力線路と前記負極用端子が接続された状態である第2接続状態とに切り替える切替手段と、
前記切替手段を制御する制御部とを備えることを特徴とする放電装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池パック、該二次電池パックを充電するための充電装置及び前記二次電池パックを放電するための放電装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電池とは、正極活物質と負極活物質とが電解質を介して化学反応することにより生じた化学エネルギーを電気エネルギーとして利用するものであり、一次電池と二次電池に大別される。一次電池は1回放電すると充電することができない、いわば使い切りの電池を指し、二次電池は充電・放電を繰り返し行うことができる電池を指す。このような性質から二次電池は蓄電池とも称される。
【0003】
二次電池は、携帯情報端末、携帯電子機器、携帯音楽プレーヤ、デジタルカメラ等の小型民生機器用電源として、また、電気自転車やハイブリッドカー(Hybrid Electric Vehicle(HEV))、ドローンと呼ばれる無人飛行機等のバッテリーとして、さらには、太陽光発電や風力発電等の自然エネルギー(再生可能エネルギー)を利用した発電装置に組み込まれる蓄電装置として、様々な分野で利用されている(特許文献1、2)。
【0004】
二次電池の充電は、例えば商用交流電源に接続された充電装置に二次電池をセットすることにより行われる。充電装置は交流電流を直流電流に変換するパワーコンディショナ(コンバータ)を備えており、商用交流電源からの交流電流を直流電流に変換した後、二次電池の正極-負極間に供給する。
一方、上述した小型民生機器や電気自動車等は通常、交流電流で駆動される。このような交流駆動機器を二次電池から放出される直流電流によって駆動するためには、パワーコンディショナ(インバータ)等によって直流電流を交流電流に変換する必要がある。
【0005】
つまり、従来一般的な二次電池を用いて交流駆動機器に電力を供給するためには、交流電力から直流電力への変換と、直流電力から交流電力への変換という2段階の電力変換が必要となる。インバータによる直流から交流、あるいはコンバータによる交流から直流への電力変換効率はそれぞれ80%~90%程度であり、100%になることはない。従って、電力変換に伴う電力損失が存在し、電力の利用効率が悪いという問題があった。
【0006】
これに対して、特許文献3には、交流電流及び交流電力の充放電が可能な新規な二次電池が開示されている。この二次電池は電極として正極及び負極と、正極と負極の間に配置された、該正極と負極の中間の電極電位を有する両性極を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2012-221670号公報
【文献】特開2013-069431号公報
【文献】特開2016-171075号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献3に記載の二次電池を充放電する際は、商用交流電源の一対の出力端、又は負荷の一対の入力端に、正極端子と両性極端子が接続された状態と、負極端子と両性極端子が接続された状態とに交互に切り替えられ、その結果、正極と両性極との間、両性極と負極との間を交互にカチオンが移動する。正極と両性極との間をカチオンが移動している期間は、外部回路を通って正極と両性極との間を電子が流れ、両性極と負極との間をカチオンが移動している期間は、外部回路を通って両性極と負極との間を電子が流れる。各期間における電子の流れる方向が逆向きになるため、交流電流の充放電が可能となる。
【0009】
上記のような充放電動作のため、正極又は負極から両性極に流れてきた電子は、同じ電池の負極又は正極に向かって流す必要がある。言い換えると、或る二次電池において、正極又は負極から両性極に流れてきた電子を、別の二次電池の負極又は正極に流しても、交流電流を充放電することができない。このことは、複数の二次電池を直列に接続して使用することができないことを意味し、そのため、上述した二次電池を高電圧電源として使用できないという問題があった。
【0010】
本発明が解決しようとする課題は、交流電流の充放電が可能な二次電池を高電圧化することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために成された本発明の第1態様は、
それぞれが正極端子及び負極端子を有する第1電池及び第2電池と、
正極端子、負極端子及び両性極端子を有する第3電池と、
前記第1電池の負極端子と前記第3電池の正極端子を電気的に接続する第1接続部と、
前記第2電池の正極端子と前記第3電池の負極端子を電気的に接続する第2接続部と
を備え、
nを0以上の整数としたとき、前記第3電池が、交互に並べて配置された(n+1)個の正極及び(n+1)個の負極と、隣接する正極と負極の間に配置された(2n+1)個の両性極と、電解質と、該第3電池の正極端子と前記(n+1)個の正極を電気的に接続する正極用接続部材と、前記第3電池の負極端子と前記(n+1)個の負極を電気的に接続する負極用接続部材と、前記第3電池の両性極端子と前記(2n+1)個の両性極をそれぞれ電気的に接続する両性極用接続部材と、を有する二次電池パックである。
【0012】
また、上記課題を解決するために成された本発明の第2態様は、
それぞれが正極端子及び負極端子を有する第1電池及び第2電池と、
正極端子、負極端子及び両性極端子を有する第3電池と、
前記第1電池の負極端子と前記第3電池の正極端子を電気的に接続する第1接続部と、
前記第2電池の正極端子と前記第3電池の負極端子を電気的に接続する第2接続部と
を備え、
nを0以上の整数としたとき、前記第3電池が、交互に並べて配置された(n+2)個の正極及び(n+1)個の負極、又は交互に並べて配置された(n+2)個の負極及び(n+1)個の正極と、隣接する正極と負極の間に配置された(2n+2)個の両性極と、電解質と、該第3電池の正極端子と前記(n+2)個又は前記(n+1)個の正極を電気的に接続する正極用接続部材と、前記第3電池の負極端子と前記(n+1)個又は前記(n+2)個の負極を電気的に接続する負極用接続部材と、前記第3電池の両性極端子と前記(2n+2)個の両性極を電気的に接続する両性極用接続部材と、を有する二次電池パックである。
【0013】
第1及び第2態様の二次電池パックにおいては、正極及び負極と、これら正極と負極の間に配置された両性極を備えた第3電池によって交流電流の充放電が可能となり、該第3電池と第1電池、該第3電池と第2電池がそれぞれ直列に接続されていることにより高電圧化が可能となる。
【0014】
第3電池においては、正極、両性極、負極(以下、正極、両性極、負極を区別しないときは「電極」と言う。)が、所定の順に並べて電解質の中に配置され、隣接する電極の間にはセパレータが介装される。ここで「並べて配置」には、複数の電極が直線状に並んだ状態に限られず、U字、V字、ジグザグ状等に並んだ状態等、様々な配列が含まれる。また、正極、負極および両性極を、いずれもシート状の電極から構成するとともに、これら複数のシート状の電極を、隣接する電極の間にセパレータを介装して積層してもよい。
【0015】
上記の二次電池パックでは、第1及び第2電池は、一般的に市販されている二次電池を用いることができる。この場合、複数の二次電池セルを直列又は並列に接続して前記第1電池或いは前記第2電池としても良い。複数の二次電池セルを直列に接続することで、第1及び第2電池が高電圧になり、複数の二次電池セルを並列に接続することで第1及び第2電池が高容量になる。従って、二次電池パックの使用目的に応じて、第1電池及び/又は第2電池を、複数の二次電池セルを直列接続したもの、複数の二次電池セルを並列接続したものとすればよい。
【0016】
第3電池の正極の電極電位をEc、負極の電極電位をEa、両性極(バイオード)の電極電位をEbとしたとき、これら電位はEc>Eb>Eaの関係を満たしている。このような電位の大小関係は各電極の電子の授受能を反映しており、上記の関係式を満たすように正極、負極、両性極の活物質や集電体の材料、電解質が選択される。上記の関係式を満たす限り、第1態様及び第2態様の二次電池パックは、ニッケル水素二次電池、ニッケルカドミウム二次電池、鉛酸二次電池、リチウムイオン二次電池、ナトリウムイオン二次電池等、いずれの二次電池にも適用できる。
【0017】
なお、第1及び第2電池の正極の電極電位は、第3電池の負極の電極電位Eaより大きければよく、第3電池の正極の電極電位Ecとの大小関係は問わない。また、第1及び第2電池の負極の電極電位は、第3電池の正極の電極電位Ecより小さければよく、第3電池の負極の電極電位Eaとの大小関係は問わない。
【0018】
第1~第3電池の正極の活物質として次の化学式で表されるものを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。すなわち、LiCoPO4, LiNiPO4, LiNiVO4, LiMn3/2Ni1/2O4, LiCoPO4, LiPtO3, LiCrMnO4, LiMn2O4, LiMnPO4, LiNi1/3Mn1/3Co1/3O2, LiNi1/2Mn1/2O2, LiNi4/5Co1/5O2, LiCoVO4, LiCoO2, LINiO2, LiFe2(SO4)2, LIFePO4, Li1+x(Fe2/5Mn2/5Ti1/5)1-xO2, Li2FeSiO4, Li2MnSiO4などを列挙できる。
【0019】
第1~第3電池の負極の活物質として次の物質名で表されるものを挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。すなわち、リチウム金属、リチウム合金、グラファイト、グラフェン(二次元グラファイトシート)、ハードカーボン、ソフトカーボン、結晶(性)シリコン、アモルファスシリコン、シリカ(シリコン酸化物)、シリセン(二次元シリコンシート)、スズ金属、スズ合金などを列挙できる。
【0020】
例えば第1及び第2態様の二次電池パックをリチウムイオン二次電池に適用した場合、正極の活物質材料としてLiFePO4を、負極の活物質材料として炭素系材料を、両性極の活物質材料としてLi4/3Ti5/3O4を用いることができる。
【0021】
このような二次電池パックを充電するときは、交流電源の一対の出力端子の一方を第1電池の正極端子及び第2電池の負極端子のいずれかに選択的に接続し、他方の出力端子を第3電池の両性極端子に接続する。そして、交流電源の一方の出力端子が第1電池の正極端子に接続された状態にあり、外部回路を通って第1電池の正極端子から第3電池の両性極端子(両性極)に向かって電子が流れるときは、第1電池において正極の活物質が酸化され、その結果、生成されたカチオン(陽イオン(Li+))が負極に向かって移動し、C6Liとなって還元される。また、第3電池において正極の活物質が酸化され、その結果、生成されたカチオンが両性極に向かって移動する。
【0022】
その後、交流電源の一方の出力端子が第2電池の負極端子に接続された状態に切り替えられ、外部回路を通って第3電池の両性極端子から第2電池の負極端子に向かって電子が流れるときは、第3電池において両性極から負極に向かってカチオンが移動し、C6Liとなって還元される。また、第2電池において、正極の活物質が酸化され、その結果生成されたカチオン(陽イオン(Li+))が負極に向かって移動し、C6Liとなって還元される。
【0023】
充電時の第1~第3電池の各極における化学反応は以下の式(1)及び式(2)で表される。
【化1】
【化2】
【0024】
このように、第1及び第2態様の二次電池パックは、二段階の化学反応により充電され、各段階における電子の流れる向きは逆方向となる。従って、交流電源から出力される交流電流の向きに応じて、第3電池の両性極端子と接続される端子を第1電池の正極端子と第2電池の負極端子に交互に切り替えることで、交流電流の充電が可能となる。
【0025】
放電時は充電時とは逆向きの化学反応が第1~第3電池の各電極で生じる。まず、第2電池において負極の活物質が酸化され、その結果生成されたカチオン(陽イオン(Li+))が正極に向かって移動し、LiFePO4となって還元される。また、第3電池において負極の活物質が酸化され、その結果生成されたカチオン(陽イオン(Li+))が両性極に向かって移動する。このとき、外部回路を通って第2電池の負極端子から第3電池の両性極端子に向かって電子が流れる。その後、第3電池の両性極から正極に向かってカチオンが移動し、LiFePO4となって還元される。また、第1電池において負極の活物質が酸化されその結果生成されたカチオン(陽イオン(Li+))が正極に向かって移動し、LiFePO4となって還元される。このとき、外部回路を通って第3電池の両性極端子から第1電池の正極端子に向かって電子が流れる。従って、第3電池の両性極と接続される電極を第2電池の負極端子、第1電池の正極端子に適宜のタイミングで切り替えることにより、交流電流が放出される。
【0026】
なお、第1及び第2態様の二次電池パックは交流電流の充放電が可能であるが、直流電池の正極側及び負極側の両方にスイッチング回路を設け、二次電池パックの第1電池の正極端子と第3電池の両性極端子がそれぞれ直流電池の正極と負極に接続された状態と、第3電池の両性極端子と第2電池の負極端子がそれぞれ直流電池の正極と負極に接続された状態に適宜のタイミングで切り替えることにより、直流電流での充放電も可能である。
【0027】
上述した二次電池パックは以下の装置によって充放電が可能である。
すなわち、本発明は、上述した二次電池パックを充電する充電装置であって、
交流電源の一対の出力端に接続される第1及び第2入力線路と、
前記第1入力線路に設けられた、前記二次電池パックの前記第1電池の正極端子及び前記第2電池の負極端子をそれぞれ接続するための正極用端子及び負極用端子と、
前記第2入力線路に設けられた、前記二次電池パックの前記第3電池の両性極端子を接続するための両性極用端子と、
前記第1入力線路と前記正極用端子及び前記負極用端子の間に設けられた、該第1入力線路と前記正極用端子が接続された状態である第1接続状態と、前記第1入力線路と前記負極用端子が接続された状態である第2接続状態とに切り替える切替手段と、
前記交流電源の周波数に基づいて前記切替手段を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0028】
また、本発明は、上述した二次電池パックを放電する放電装置であって、
負荷の一対の入力端子に接続される第1及び第2出力線路と、
前記第1出力線路に設けられた、前記二次電池パックの前記第1電池の正極端子及び前記第2電池の負極端子をそれぞれ接続するための正極用端子及び負極用端子と、
前記第2出力線路に設けられた、前記二次電池パックの前記第3電池の両性極端子を接続するための両性極用端子と、
前記第1出力線路と前記正極用端子及び前記負極用端子の間に設けられた、該第1出力線路と前記正極用端子が接続された状態である第1接続状態と、前記第1出力線路と前記負極用端子が接続された状態である第2接続状態とに切り替える切替手段と、
前記切替手段を制御する制御部とを備えることを特徴とする。
【0029】
前記切替手段としては、例えばバイポーラトランジスタなどを用いることができる。
【0030】
また、本発明は、上述した二次電池パックと、
第1及び第2入出力線路と、
前記第1入出力線路に設けられた、前記二次電池パックの前記第1電池の正極端子及び前記第2電池の負極端子をそれぞれ接続するための正極用端子及び負極用端子と、
前記第2入出力線路に設けられた、前記二次電池パックの前記第3電池の両性極端子を接続するための両性極用端子と、
前記第1入出力線路と前記正極用端子及び前記負極用端子の間に設けられた、該第1入出力線路と前記正極用端子が接続された状態と、前記第1入出力線路と前記負極用端子が接続された状態とに切り替える切替手段と、
前記切替手段を制御する制御部とを備える、二次電池モジュールである。
【発明の効果】
【0031】
本発明に係る二次電池パックによれば、正極、負極、及び両性極を備えた第3電池によって、交流電源から供給される交流電力をパワーコンディショナを介することなく充電することができ、また、パワーコンディショナを介することなく交流電力として放電することができる。さらに、前記第3電池に、一般的な二次電池である第1電池と第2電池を直列に接続したことにより、二次電池パックを高電圧化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】本発明に係る二次電池パックの第1実施形態の概略構成図。
【
図2A】
図1に示す二次電池パックの第1段階の反応による充電動作の説明図。
【
図2B】
図1に示す二次電池パックの第2段階の反応による充電動作の説明図。
【
図3A】
図1に示す二次電池パックの第1段階の反応による放電動作の説明図。
【
図3B】
図1に示す二次電池パックの第2段階の反応による放電動作の説明図。
【
図4A】第1実施形態の二次電池パックの各部の電圧値の一例を示す図。
【
図4B】第1実施形態の二次電池パックの各部の電圧値の他の例を示す図。
【
図5】本発明に係る二次電池パックの第2実施形態の概略構成図。
【
図6】本発明に係る二次電池モジュールの実施形態の概略構成図。
【
図7】本発明に係る二次電池パックを用いた高電圧発生装置の概略構成図。
【
図8】第3電池の正極、両性極、負極の配列例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明に係る二次電池のいくつかの実施形態について説明する。
【0034】
[第1実施形態]
図1は本発明の第1実施形態に係る二次電池パックの概略構成図である。二次電池パック1は、ケース11と、該ケース11に収容された第1電池2、第2電池3、第3電池4から構成されている。第1電池2は2個の二次電池セル12、13から構成され、第2電池3は2個の二次電池セル14、15から構成され、第3電池4は二次電池セル16から構成されている。5個の二次電池セル12~16は、いずれも密閉容器20と、該密閉容器20に収容された複数の電極21、セパレータ22、電解質23とを備えている。密閉容器20には、その内部に収容された電極21と接続部材25を介して電気的に接続された外部端子24が設けられている。
【0035】
ケース11は、例えば金属製のケース本体111とその上部開口を封止する金属製の蓋体112とから構成されている。蓋体112には、正極端子113及び負極端子114が形成されており、ケース本体111の底部には両性極端子115が形成されている。
【0036】
第1電池2を構成する2個の二次電池セル12、13、第2電池3を構成する2個の二次電池セル14、15は、いずれも密閉容器20内に正極(カソード)C及び負極(アノード)Aから成る2個の電極21が配置されている。また、第3電池4を構成する二次電池セル16は、密閉容器20内に3個の電極21が配置されている。3個の電極21は正極C、負極A、及び正極Cと負極Aの間に位置する両性極(バイオード)Bから成る。
【0037】
第1電池2は、二次電池セル12と二次電池セル13を直列接続したものであり、二次電池セル12の負極Aの外部端子24と二次電池セル13の正極Cの外部端子24が接続線241によって電気的に接続されている。また、二次電池セル12の正極Cの外部端子24は正極端子113と接続線242によって電気的に接続されている。本実施形態では、二次電池セル12の正極Cの外部端子24及び二次電池セル13の負極Aの外部端子24がそれぞれ第1電池セル2の正極端子及び負極端子に相当する。
【0038】
第2電池3は、二次電池セル14と二次電池セル15を直列接続したものであり、二次電池セル14の負極Aの外部端子24と二次電池セル15の正極Cの外部端子24が接続線243によって電気的に接続されている。また、二次電池セル15の負極Aの外部端子24は負極端子114と接続線244によって電気的に接続されている。本実施形態では、二次電池セル14の正極Cの外部端子24及び二次電池セル15の負極Aの外部端子24が、それぞれ第2電池3の正極端子及び負極端子に相当する。
【0039】
第3電池4と第1電池2、第3電池4と第2電池3は、それぞれ直列接続されており、二次電池セル13の負極Aの外部端子24と二次電池セル16の正極Cの外部端子24、二次電池セル14の正極Cの外部端子24と二次電池セル16の負極Aの外部端子24が、それぞれ接続線245、246によって電気的に接続されている。また、二次電池セル16の両性極Bの外部端子は両性極端子115と接続線247によって電気的に接続されている。本実施形態では、二次電池セル16の正極C、負極A、及び両性極Bに接続された外部端子24が、それぞれ第3電池4の正極端子、負極端子、両性極端子に相当する。また、二次電池セル16の正極C、負極A、両性極Bと、それぞれと対応する外部端子24とを接続する接続部材25が正極用接続部材、負極用接続部材、両性極用接続部材に相当し、接続線245及び246が、それぞれ第1接続部、第2接続部に相当する。
【0040】
電極21(正極C、両性極B、負極A)は、いずれも集電体とその表面に形成された活物質層から構成されている。活物質層は、活物質と該活物質を集電体に接着するための接着剤から成る。正極C及び負極Aの活物質層に含まれる活物質には、一般的な二次電池の正極用活物質及び負極用活物質を用いることができる。両性極Bの活物質層に含まれる活物質は、両性極Bの電極電位が正極Cの電極電位と負極Aの電極電位の間になるようなものであれば良く、制限されない。
【0041】
例えば、正極Cの活物質層は、電極電位が2V(vs. Li/Li+)から5V(vs. Li/Li+)の範囲で変動する活物質を含むことが好ましく、負極Aの活物質層は電極電位が0V(vs. Li/Li+)から2V(vs. Li/Li+)の範囲で変動する活物質を含むことが好ましい。また、両性極Bの活物質層は電極電位が1V(vs. Li/Li+)から4V(vs. Li/Li+)の範囲で変動する活物質を含むことが好ましい。
【0042】
電解質23は電極の活物質材料に応じた適宜の電解質を用いることができ、水性電解質、非水性電解質のいずれでも良く、電解液、高分子ゲル電解質、固体高分子電解質のいずれでも良い。
【0043】
次に、
図2A及び
図2Bを参照して上記二次電池パック1の動作原理について説明する。
図2A及び
図2Bは、二次電池セル12~16に含まれる負極Aを炭素系材料、正極CをLiFePO
4、両性極BをLi
4/3Ti
5/3O
4としたときの充電時のカチオンの動きを表している。
【0044】
まず、上記二次電池パック1を充電するときの動作を説明する。二次電池パック1の充電装置100は、一対の入力線路101、102と、一方の入力線路101の端部に接続された1回路2接点のスイッチ回路103と、該スイッチ回路103に接続された2本の分岐線路104、105と、前記スイッチ回路103の動作を制御する制御部106を有している。スイッチ回路103は、入力線路101と分岐線路104が接続された状態(第1状態)と、入力線路101と分岐線路105が接続された状態(第2状態)とに切り替える。スイッチ回路103は本発明の切替手段に相当し、バイポーラトランジスタやリレー等、種々のものを用いることができる。
【0045】
二次電池パック1を充電するときは、上記の充電装置100に二次電池パック1をセットする。これにより、充電装置100の分岐線路104、105に二次電池パック1の正極端子113及び負極端子114がそれぞれ接続され、入力線路102に両性極端子115が接続される。また、充電装置100の入力線路101、102を交流電源150の一対の出力端にそれぞれ接続する。このような充電回路において、入力線路101、102を、
図2Aに矢印で示す向きに電子が流れるときは、制御部106はスイッチ回路103を、入力線路101と分岐線路104が接続された第1状態にする。すると、二次電池セル12、13において、それぞれ正極Cから負極Aに向かってカチオン(陽イオン(Li
+))が電解質23中を移動し、二次電池セル16において、正極Cから両性極Bに向かってカチオン(陽イオン(Li
+))が電解質23中を移動する。
【0046】
次に、入力線路101、102を、
図2Bに矢印で示す向きに電子が流れるときは、制御部106はスイッチ回路103を、入力線路101と分岐線路105が接続された第2状態にする。すると、二次電池セル16において、両性極Bから負極Aに向かってカチオンが電解質23中を移動し、二次電池セル14、15において、それぞれ正極Cから負極Aに向かってカチオンが電解質23中を移動する。この結果、負極Aにおいて、C
6Liが析出する。
【0047】
このように、二次電池パック1は二段階の化学反応により充電される。従って、交流電源150から出力される交流電流の向きが切り替わる毎に、スイッチ回路103によって第1接続状態、第2接続状態に切り替えることにより、常時充電することができる。
【0048】
次に、二次電池パック1の放電時の動作を
図3A及び
図3Bを参照して説明する。二次電池パック1の放電装置200は、一対の出力線路201、202と、一方の出力線路201の端部に接続された1回路2接点のスイッチ回路203と、該スイッチ回路203に接続された2本の分岐線路204、205と、前記スイッチ回路203の動作を制御する制御部206を有している。スイッチ回路203は、出力線路201と分岐線路204が接続された状態(第3状態)と出力線路201と分岐線路205が接続された状態(第4状態)とを切り替える。
【0049】
そして、二次電池パック1から放電させるときは、上記の放電装置200に二次電池パック1をセットする。これにより、放電装置200の分岐線路204、205に二次電池パック1の正極端子113及び負極端子114がそれぞれ接続され、出力線路202に両性極端子115が接続される。また、放電装置200の出力線路201、202を負荷250の一対の入力端にそれぞれ接続する。このような放電回路において、制御部206はスイッチ回路203を、出力線路201と分岐線路205が接続された第4状態にする(
図3A参照)。すると、二次電池セル14、15において、負極Aで活物質が溶解し、その結果生成されたカチオン(陽イオン(Li
+))が正極Cに向かって電解質23中を移動する。また、二次電池セル16において、負極Aで活物質が溶解し、その結果生成されたカチオン(陽イオン(Li
+))が両性極Bに向かって電解質23中を移動する。このとき、外部回路(出力線路201、202)を通って、二次電池セル15の負極Aから二次電池セル16の両性極Bに向かって電子が流れる。
【0050】
その後、制御部206はスイッチ回路203を、出力線路201と分岐線路204が接続された第3状態にする(
図3B参照)。すると、二次電池セル16の両性極Bから正極Cに向かってカチオンが電解質23中を移動し、LiFePO
4となって析出する。また、二次電池セル13、12において、負極Aで活物質が溶解し、その結果生成されたカチオン(陽イオン(Li
+))が正極Cに向かって電解質23中を移動する。このとき、外部回路(出力線路201、202)を通って二次電池セル16の両性極Bから二次電池セル12の正極Cに向かって電子が流れる。従って、スイッチ回路203を操作して、二次電池セル16の両性極Bと接続される電極を二次電池セル15の負極Aと二次電池セル12の正極Cに適宜のタイミング(例えば負荷250の周波数に応じて)で切り替えることにより、交流電流が放出される。
【0051】
なお、
図2A、2B及び
図3A、3Bの比較から分かるように、充電時における入力線路101、102とスイッチ回路103、二次電池パック1、放電時における出力線路201、202とスイッチ回路203、二次電池パック1の関係は基本的には同じである。従って、スイッチ回路の切替タイミングを制御することにより、充電装置100又は放電装置200を充電及び放電の両方の機能を有した充放電装置とすることができる。
【0052】
上記構成の二次電池パック1では、二次電池セル12~15における正極Cと負極Aの電圧差、二次電池セル16における正極Cと両性極Bの電圧差及び両性極Bと負極Aの電圧差によって二次電池パック1全体の電圧値が決まる。
図4Aは、二次電池セル12~16の全てにおいて、同じ電極材料からなる正極Cを用い、同じ電極材料から成る負極Aを用いたときの電圧値の例である。一方、
図4Bは、二次電池セル12の負極及び二次電池セル14の負極を、それぞれ二次電池セル16の両性極Bと同じ電極材料から形成したときの電圧値の例である。以上より、適宜の電極材料を選択することにより、様々な電圧値の二次電池パック1を得ることができる。
【0053】
[第2実施形態]
図5は、本発明の第2実施形態に係る二次電池パック1Aの概略構成図である。
図5では、二次電池パック1Aの外形状を一点鎖線で示している。また、第1実施形態の二次電池パック1と同一または対応する部分には同じ符号を付している。この二次電池パック1Aは第3電池4Aの構成が二次電池パック1と異なっている。具体的には、第3電池4Aは、密閉容器20内に5個の電極21が配置された二次電池セル16Aから構成されている。5個の電極21は両端に配置された2個の負極Aと、それらの間に配置された1個の正極Cと、2個の負極Aと正極の間にそれぞれ配置された2個の両性極Bとから構成されている。
【0054】
2個の負極Aは、接続線301によって電気的に接続され、該接続線301と二次電池セル14の正極Cが接続線246によって電気的に接続されている。又、2個の両性極Bは接続線302によって電気的に接続され、該接続線302と両性極端子115が接続線247によって電気的に接続されている。
【0055】
上記構成の二次電池パック1Aにおいても、二次電池パック1と同様、交流電流の充放電が可能である。
【0056】
[第3実施形態]
図6は、本発明に係る二次電池モジュールの一実施形態を示している。この二次電池モジュール400は、一対の端子411、412を有するケース410と、ケース410内に収容された二次電池パック420、切替手段であるスイッチ回路430、及びスイッチ回路430を制御する制御部440とを備えている。二次電池パック420は、上述した第1実施形態の二次電池パック1とほぼ同じ構成を有している。このため、二次電池パック1と同一または対応する部分に同一符号を付し、二次電池パック420の詳しい説明は省略する。
【0057】
二次電池モジュール400の端子411とスイッチ回路430の間は第1入出力線路401によって接続され、二次電池モジュール400の端子412と二次電池パック420の両性極端子115の間は第2入出力線路402によって接続されている。また、スイッチ回路430の2つの接点のうちの一方と二次電池パック420の正極端子113との間は第1線路404によって接続され。他方の接点と負極端子114との間は第2線路405によって接続されている。
【0058】
上記二次電池モジュール400では、一対の端子411、412と交流電源の一対の出力端とが接続されることにより二次電池パック420の充電回路が形成され、該二次電池パック420が充電される。このときの電子の流れる向き、スイッチ回路430を切り替えるタイミングは、第1実施形態の二次電池パック1を充電装置100にセットしたときの充電動作と同じである。
【0059】
また、上記二次電池モジュール400の一対の端子411、412と負荷の一対の入力端とが接続されることにより二次電池パック420の放電回路が形成され、該二次電池パック420から負荷に対して交流電流が供給される。このときの電子の流れる向き、スイッチ回路430を切り替えるタイミングは、第1実施形態の二次電池パック1を放電装置200にセットしたときの放電動作と同じである。
【0060】
[第4実施形態]
図7は本発明に係る二次電池パックを利用した高電圧発生装置の実施形態を示している。この高電圧発生装置500は、二次電池パック501と、切替部510と、多段整流コンデンサ回路から成る高電圧発生部520とを備えている。二次電池パック501は第1実施形態の二次電池パック1と同じ構成であるため、二次電池パック1と同一または対応する部分には同一符号を付し、二次電池パック501の詳しい説明は省略する。
【0061】
切替部510は、1回路2接点のスイッチ回路511と、該スイッチ回路511の動作を制御する制御部512とを有している。スイッチ回路511の2つの接点は、それぞれ二次電池パック501の正極端子113及び負極端子114に対して取り外し可能に接続されている。
【0062】
高電圧発生部520は多段に直列接続された複数のダイオードD1~Dnと複数のコンデンサ(キャパシタ)C1~Cnとを備えたコッククロフト・ウォルトン回路(CW回路)から構成されている。CW回路の一対の入力端子521、522には、切替部510のスイッチ回路511と前記二次電池パック501の両性極端子115とがそれぞれ接続されている。CW回路の入力端子522と二次電池パック501の両性極端子115とは取り外し可能に接続されている。CW回路の一対の出力端子523、524が、高電圧発生装置500の出力端子となる。
【0063】
高電圧発生装置500の出力端子523、524に負荷(図示せず)の一対の入力端子が接続された状態で、制御部512は、
図7に実線で示す第1状態(すなわち、正極端子113と両性極端子115の間にCW回路が接続された状態)と、破線で示す第2状態(すなわち、負極端子114と両性極端子115の間にCW回路が接続された状態)とに交互に切り替わるようにスイッチ回路511を動作させる。この結果、二次電池パック501から交流電力が高電圧生成部520に供給され、CW回路の出力端子523、524に接続された負荷に対して高電圧の直流電力が出力される。なお、CW回路の全てのコンデンサに容量いっぱいの電荷が蓄えられると、制御部512がそれを感知してスイッチ回路511の2つの接点が正極端子113及び負極端子114のどちらにも接続されていない状態に切り替えるようにしても良い。
【0064】
一方、二次電池パック501の容量が低下したときは、高電圧発生装置500から二次電池パック501を取り外して充電装置にセットする。充電装置としては、例えば上述した充電装置100(
図2A参照)を用いることができる。二次電池パック501を充電するときの動作は、充電装置100を用いた二次電池パック1の充電動作と同じであるため、ここでは説明を省略する。
【0065】
[変形例]
上記実施形態は一例であって、本発明の趣旨に沿って適宜に変更することができる。
第1~第4実施形態では、二次電池パックを構成する第3電池に含まれる複数の電極を横一列に並べたが(
図1及び
図5参照)、電極の数が多い場合は、V字状又はU字状、或いはジグザグ状に配置しても良い。
図8に13個の電極をジグザグ状に配置した例を示す。このように配置すれば、第3電池を構成する正極C同士、両性極B同士、負極A同士が、それぞれ近接するため、正極C同士、両性極B同士、負極A同士の接続距離を短くすることができる。
【0066】
第1~第4実施形態では、二次電池パックを構成する5個の二次電池セル12~16を横一列に並べたが、二次電池セル12~16の電気的な接続状態が同じであれば、どのような配列であっても良い。
【0067】
第1~第4実施形態では、複数の二次電池セルを直列に接続して第1電池及び第2電池を構成したが、第1電池及び第2電池の一方又は両方を、複数の二次電池セルを並列に接続したものとしても良い。
【0068】
第1実施形態では、二次電池パック1と充電装置100又は放電装置200を別体にしたが、二次電池パック1と充放電回路を一つのケース内に収容して二次電池モジュールとすることができる。
第3実施形態の二次電池モジュールに含まれる二次電池パック、第4実施形態の高電圧発生装置に含まれる二次電池パックは、いずれも
図5に示した二次電池パックと同じ構成のものを採用することが可能である。
【符号の説明】
【0069】
1、1A、420、501…二次電池パック
2…第1電池
3…第2電池
4、4A…第3電池
100…充電装置
101、102…入力線路
103…スイッチ回路
104、105…分岐線路
106…制御部
11…ケース
111…ケース本体
112…蓋体
113…正極端子
114…負極端子
115…両性極端子
12~16、16A…二次電池セル
20…密閉容器
200…放電装置
201…出力線路
202…出力線路
203…スイッチ回路
204、205…分岐線路
206…制御部
21…電極
22…セパレータ
23…電解質
24…外部端子
25…接続部材
241~247、301、302…接続線
150…交流電源
250…負荷
400…二次電池モジュール
500…高電圧発生装置