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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】継手装置
(51)【国際特許分類】
   F16L 47/02 20060101AFI20240419BHJP
   F16L 21/00 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
F16L47/02
F16L21/00 E
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2023129127
(22)【出願日】2023-08-08
【審査請求日】2023-08-08
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523302108
【氏名又は名称】株式会社Stand out Fit in
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】金山 稔
【審査官】渡邉 聡
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-241086(JP,A)
【文献】特開2013-204608(JP,A)
【文献】国際公開第2022/172360(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/022178(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 47/02
F16L 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被接続管の端部が接続される継手部材と、
電磁誘導により発熱可能な導電性部材と、
前記継手部材と前記被接続管の前記端部との間に介在され、前記導電性部材を保持し、前記導電性部材の発熱により溶融可能な保持部材と、を備え、
前記継手部材又は前記保持部材の少なくとも一方が、
前記継手部材、前記保持部材及び前記被接続管が組み立てられた時に、前記継手部材と前記保持部材との間、前記保持部材と前記被接続管との間、又は前記継手部材と前記被接続管との間から外部に通じるガス流路が形成されるように構成されている、継手装置。
【請求項2】
前記ガス流路は、前記継手部材と前記保持部材との間に第1の流路を有し、
前記第1の流路は、前記被接続管の内側の空間又は前記被接続管の外側の空間に通じるように形成される、
請求項1に記載の継手装置。
【請求項3】
前記第1の流路は、前記保持部材又は前記継手部材の表面に形成された溝を含む、
請求項2に記載の継手装置。
【請求項4】
前記ガス流路は、前記保持部材と前記被接続管との間に第2の流路を有し、
前記第2の流路は、前記被接続管の内側の空間又は前記被接続管の外側の空間に通じるように形成される、
請求項1に記載の継手装置。
【請求項5】
前記第2の流路は、前記保持部材の表面に形成された溝を含む、
請求項4に記載の継手装置。
【請求項6】
前記ガス流路は、前記継手部材と前記被接続管との間に第3の流路を有し、
前記第3の流路は、前記被接続管の内側の空間又は前記被接続管の外側の空間に通じるように形成される、
請求項1に記載の継手装置。
【請求項7】
前記第3の流路は、前記継手部材の表面に形成された溝を含む、
請求項6に記載の継手装置。
【請求項8】
前記保持部材は、前記導電性部材を収容する収容部を有し、
前記収容部は、前記導電性部材を収容した時に、前記収容部の内壁面と前記導電性部材との間に第1の空間が形成されるように構成されている、
請求項1に記載の継手装置。
【請求項9】
前記第1の空間は、前記ガス流路に連通している、
請求項8に記載の継手装置。
【請求項10】
前記被接続管の前記端部を外側から押さえる押さえ部材をさらに備える、
請求項1に記載の継手装置。
【請求項11】
前記ガス流路は、前記押さえ部材と前記継手部材との間に第4の流路を有する、
請求項10に記載の継手装置。
【請求項12】
前記継手部材は、前記被接続管の前記端部の内側に配置される接続端部を有し、
前記保持部材は、前記接続端部に対しはめ込み可能に構成される、
請求項1に記載の継手装置。
【請求項13】
被接続管の端部が接続される継手部材と、
前記継手部材と前記被接続管の前記端部との間に介在され、電磁誘導により発熱可能な導電性部材と、を備え、
前記継手部材は、前記継手部材、前記導電性部材及び前記被接続管が組み立てられた時に、前記継手部材と前記被接続管との間から外部に通じるガス流路が形成されるように構成されている、継手装置。
【請求項14】
前記継手部材は、前記導電性部材を収容する収容部を有する、
請求項13に記載の継手装置。
【請求項15】
前記被接続管の前記端部を外側から押さえる押さえ部材をさらに備える、
請求項13に記載の継手装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、継手装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置等の配管に用いられる継手は、一般的に、管とねじ機構などを用いて機械的に連結される。例えば継手に管を差し込んだ状態で、継手と管路の外側に設けられたねじ機構を締め付けて継手と管を互いに連結させている(特許文献1参照)。
【0003】
しかしながら、上述の機械的な方法を用いて継手と管を連結する場合には、ねじの締め付け応力に耐えるため、継手の肉厚を厚くしなければならず、継手と管の接続構造が大型化する。また、配管の使用中に振動や内部圧力等により、継手と管の連結部分に緩みが発生する可能性があるため、液漏れ防止のために増し締め作業が必要になる。
【0004】
そこで、管に接続される継手に導電性部材を取り付け、電磁誘導により導電性部材を発熱させ、継手と管を溶着することが提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2009-115154号公報
【文献】国際公報2020/022178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述のような継手装置では、溶着の際に、例えば継手と管の間に残存する空気が膨張し、溶着が十分に行われない部分が生じ得る。
【0007】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、電磁誘導を用いた溶着を十分に行うことができる継手装置を提供することをその目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様に係る継手装置は、被接続管の端部が接続される継手部材と、電磁誘導により発熱可能な導電性部材と、継手部材と被接続管の端部との間に介在され、導電性部材を保持し、導電性部材の発熱により溶融可能な保持部材と、を備え、継手部材又は保持部材の少なくとも一方が、継手部材、保持部材及び被接続管が組み立てられた時に、継手部材と保持部材との間、保持部材と被接続管との間、又は継手部材と被接続管との間から外部に通じるガス流路が形成されるように構成されている。
【0009】
本態様によれば、継手部材、保持部材及び被接続管の間で膨張した高温ガスがガス流路を通じて外部に排出される。また、ガス流路を流れる高温ガスにより溶着が促進される。この結果、電磁誘導を用いた溶着を十分に行うことができる。
【0010】
上記態様において、ガス流路は、継手部材と保持部材との間に第1の流路を有し、第1の流路は、被接続管の内側の空間又は被接続管の外側の空間に通じるように形成されてよい。
【0011】
上記態様において、第1の流路は、保持部材又は継手部材の表面に形成された溝を含んでよい。
【0012】
上記態様において、ガス流路は、保持部材と被接続管との間に第2の流路を有し、第2の流路は、被接続管の内側の空間又は被接続管の外側の空間に通じるように形成されてよい。
【0013】
上記態様において、第2の流路は、保持部材の表面に形成された溝を含んでよい。
【0014】
上記態様において、ガス流路は、継手部材と被接続管との間に第3の流路を有し、第3の流路は、被接続管の内側の空間又は被接続管の外側の空間に通じるように形成されてよい。
【0015】
上記態様において、第3の流路は、継手部材の表面に形成された溝を含んでよい。
【0016】
上記態様において、保持部材は、導電性部材を収容する収容部を有し、収容部は、導電性部材を収容した時に、収容部の内壁面と導電性部材との間に第1の空間が形成されるように構成されていてよい。
【0017】
上記態様において、第1の空間は、ガス流路に連通してよい。
【0018】
上記態様において、継手装置は、被接続管の端部を外側から押さえる押さえ部材をさらに備えてよい。
【0019】
上記態様において、ガス流路は、押さえ部材と継手部材との間に第4の流路を有してよい。
【0020】
上記態様において、継手部材は、被接続管の端部の内側に配置される接続端部を有し、保持部材は、接続端部に対しはめ込み可能に構成されてよい。
【0021】
本発明の一態様に係る継手装置は、被接続管の端部が接続される継手部材と、継手部材と被接続管の端部との間に介在され、電磁誘導により発熱可能な導電性部材と、を備え、継手部材は、継手部材、導電性部材及び被接続管が組み立てられた時に、継手部材と被接続管との間から外部に通じるガス流路が形成されるように構成されている。
【0022】
上記態様において、継手部材は、導電性部材を収容する収容部を有してよい。
【0023】
上記態様において、被接続管の端部を外側から押さえる押さえ部材をさらに備えてよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、電磁誘導を用いた溶着を十分に行うことができる継手装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】第1の実施の形態に係る継手装置の各部材の一例を示す斜視図である。
図2】継手装置の各部材を組み立てた時の構成を説明するための図である。
図3】継手部材の斜視図である。
図4】保持部材の斜視図である。
図5】保持部材を後方から見た図である。
図6】押さえ部材の断面図である。
図7】保持部材の他の構成を説明するための図である。
図8】保持部材が孔を有する場合の継手装置の構成を説明するための図である。
図9】保持部材の孔を説明するための図である。
図10】第2の実施の形態に係る継手装置の各部材の一例を示す斜視図である。
図11】継手装置の各部材を組み立てた時の構成を説明するための図である。
図12】継手部材の斜視図である。
図13】ねじ部を有さない押さえ部材の構成を説明するための図である。
図14】ねじ部を有さない継手部材の構成を説明するための図である。
図15】継手装置の各部材を組み立てた時の構成を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施の形態について説明する。なお、同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、上下左右等の位置関係は、特に断らない限り、図面に示す位置関係に基づくものとする。
【0027】
(第1の実施の形態)
<継手装置の構成>
図1は、本実施の形態に係る継手装置1の各部材の一例を示す斜視図である。図2は、継手装置1の各部材を組み立てた時の構成を説明するための図である。図2は、継手装置1を、中心軸Cを含む垂直面で切断した断面図である。
【0028】
図1に示すように、例えば、継手装置1は、被接続管10の端部10aが接続される継手部材20と、電磁誘導により発熱可能な導電性部材21と、継手部材20と被接続管10の端部10aとの間に介在され、導電性部材21を保持し、導電性部材21の発熱により溶融可能な保持部材22と、押さえ部材23とを備える。
【0029】
被接続管10は、例えば半導体製造装置の配管に用いられる材料、例えばフッ素系の樹脂から形成されている。なお、被接続管10の材料は、特に限定されるものではなく、例えばPPなどの他の可塑性樹脂でもよい。被接続管10は、円管であり、軟質で変形自在であってよい。被接続管10は、端部10aと本体部10bを有している。端部10aは、端に近づくにつれて拡径する形状を有している。端部10aは、外側に凸の湾曲形状を有してよい。本体部10bは、軸方向Xに沿って同じ径を有している。なお、本明細書において、「外側」は、被接続管10や継手部材20の中心軸Cに対し径方向の外側であり、「内側」は、中心軸C側を意味する。
【0030】
継手部材20は、例えば略円筒形状を有している。継手部材20は、導電性部材21の発熱により溶融する素材により構成されている。継手部材20は、例えば樹脂により構成されている。
【0031】
例えば、継手部材20は、被接続管10が接続される接続端部30と、押さえ部材23が固定される固定部31と、基部32とを有している。接続端部30と固定部31は、基部32の軸方向Xの両側の端部に配置されている。接続端部30は、固定部31の前方側に配置されている。なお、本明細書において、図1における継手部材20の軸方向Xの接続端部30側を「前」、その逆の基部32側を「後ろ」とする。
【0032】
例えば、接続端部30は、第1の円筒部40と第2の円筒部41とを有している。第1の円筒部40は、第2の円筒部41の前側に接続されている。第2の円筒部41は、第1の円筒部40より大きな外径を有する。
【0033】
図2に示すように、例えば、第1の円筒部40は、被接続管10の端部10aの最小径の部分(根元部分)に当接するように、端部10aの最小内径よりも少し大きな径を有している。第1の円筒部40は、前方側の端部に、外側に突出する突出部45を有している。突出部45は、環状に形成されている。
【0034】
図1及び図2に示すように、例えば、第1の円筒部40は、第1の端面50と、第1の外周面51と、第2の端面52と、第2の外周面53を前から後ろに向けてこの順番で有している。第1の端面50は、継手部材20の最端面を構成している。第1の端面50は、中心軸Cに対し垂直な面であって、前方に向いた面である。第1の外周面51の前方の端は、第1の端面50の外側の端に接続されている。第1の外周面51の後方の端は、第2の端面52の外側の端に接続されている。第2の端面52は、中心軸Cに対し垂直な面であって、後方に向いた面である。第1の端面50、第1の外周面51及び第2の端面52により、突出部45が形成されている。第2の外周面53は、第1の外周面51より小さな径を有している。第2の外周面53の前方の端は、第2の端面52の内側の端に接続されている。
【0035】
例えば、第2の円筒部41は、第3の端面60と第3の外周面61を前から後ろに向けてこの順番で有している。第3の端面60は、中心軸Cに対し垂直な面であって、前方を向いた面である。第3の端面60の内側の端は、第2の外周面53の後方の端に接続されている。第3の外周面61は、第1の外周面51及び第2の外周面53よりも大きな径を有する。第3の外周面61の前方の端は、第3の端面60の外側の端に接続されている。第1の円筒部40及び第2の円筒部41は、被接続管10の本体部10bの内径と同じかそれより小さい内径を有する内周面65を有する。
【0036】
例えば、固定部31は、押さえ部材23が有する後述のねじ部170と螺合するねじ部70を有する。
【0037】
例えば、固定部31は、第4の端面80と、第4の外周面81と、第5の端面82を前から後ろに向けてこの順番で有する。第4の端面80は、中心軸Cに対し垂直な面であって、前方に向いた面である。第4の端面80の内側の端は、第3の端面60の後方の端に接続されている。第4の外周面81は、第3の外周面61よりも大きな径を有する。第4の外周面81の前側の端は、第4の端面80の外側の端に接続されている。第4の外周面81には、ねじ部70が形成されている。
【0038】
第5の端面82は、中心軸Cに対し垂直な面であって、前方を向いた面である。第5の端面82の内側の端は、第4の外周面81の後方の端に接続されている。固定部31は、接続端部30及び固定部31と同じ内径を有する内周面85を有する。
【0039】
例えば、基部32は、第5の外周面90を有する。第5の外周面90は、第4の外周面81よりも大きな径を有する。第5の外周面90の前方の端は、第5の端面82の外側の端に接続されている。基部32は、接続端部30及び固定部31と同じ内径を有する内周面95を有する。
【0040】
導電性部材21は、例えばカーボンや、金属シリコンにより形成されている。なお、導電性部材21の材質は、これに限られず、ステンレス鋼材(SUS430)、鉄鋼材(SS400)、プリハードン鋼(NAK55)などの金属や、ばね材(SUS304WPB、SUS316WPA)などであってもよい。
【0041】
図1及び図2に示すように、導電性部材21は、円環形状を有している。導電性部材21は、前端面100と、後端面101と、外周面102と、内周面103を有する。導電性部材21は、中心軸Cを含む垂直面で切断したときに略方形の断面を有する。
【0042】
保持部材22は、導電性部材21の発熱により溶融する素材により構成されている。保持部材22は、例えば樹脂により構成されている。保持部材22は、継手部材20と同程度の融点を有する樹脂、例えばPFAなどにより構成されている。
【0043】
図1図2及び図4に示すように、保持部材22は、略円筒形状を有する。保持部材22は、内周面110と、外周面111と、後端面112を有する。
【0044】
内周面110は、前方側の端部に、外側に凹む凹部120を有する。凹部120は、環状に形成されている。内周面110は、第1の内周面130、第1の端面131及び第2の内周面132を前から後ろに向けてこの順番で有する。第1の内周面130は、継手部材20の第1の外周面51とほぼ同じの径を有する。第1の端面131は、中心軸Cに対し垂直な面であって、前方に向いた面である。第1の端面131の外側の端は、第1の内周面130の後方の端に接続されている。第1の内周面130及び第1の端面131により凹部120が構成されている。第2の内周面132は、継手部材20の第2の外周面53とほぼ同じ径を有する。第2の内周面132は、第1の内周面130より小さい径を有する。第2の内周面132の前方の端は、第1の端面131の内側の端に接続されている。
【0045】
外周面111は、前から後ろに向けて次第に拡径する形状を有する。外周面111は、被接続管10の端部10aの拡径する内面に対応する形状を有する。外周面111は、継手部材20の第1の端面50の外側の端から第3の端面60の外側の端に向かって、外側に凸に湾曲する形状を有する。
【0046】
後端面112は、中心軸Cに対し垂直な面であって、後方に向いた面である。後端面112の内側の端は、内周面110の後方の端と接続され、後端面112の外側の端は、外周面111の後方の端に接続されている。後端面112は、継手部材20の第3の端面60に対応する形状を有する。
【0047】
後端面112は、導電性部材21を収容する収容部150を有する。収容部150は、前方に凹む凹み形状を有する。図5に示すように、収容部150は、環状に形成されている。図2に示すように、収容部150は、導電性部材21をはめ込み可能な形状を有する。収容部150は、導電性部材21よりも大きい形状を有する。収容部150は、導電性部材21を収容した際に導電性部材21との間に第1の空間160が形成されるような内壁面150aを有する。第1の空間160は、例えば収容部150の前方側の底に凹状に形成されてよい。収容部150は、導電性部材21がはめ込まれる第1の凹部と、第1の空間160を形成する第2の凹部を有してよい。
【0048】
押さえ部材23は、継手部材20や保持部材22よりも融点が高いPTFE若しくは融点が同じPFAなどの素材により構成されている。押さえ部材23は、略円筒形状を有する。図1図2及び図6に示すように、押さえ部材23は、継手部材20のねじ部70と螺合するねじ部170を有する。
【0049】
押さえ部材23は、被接続管10の端部10aを覆うことができる第1の部分190と、継手部材20の固定部31を覆うことができる第2の部分191を有する。第1の部分190は、被接続管10の端部10aの形状に対応するように拡径する内周面200を有する。第2の部分191は、継手部材20の固定部31の形状に対応する内周面201を有する。内周面201には、ねじ部170が形成されている。
【0050】
図2に示すように、継手部材20及び保持部材22は、組み立てた時(溶着前)に溶着予定部から外部に通じるガス流路250が形成されるように構成されている。溶着予定部は、導電性部材21の熱により溶着される部分である。ガス流路250は、継手部材20と保持部材22との間、保持部材22と被接続管10との間、及び、継手部材20と被接続管10との間の溶着予定部に形成されてよい。ガス流路250は、継手部材20又は保持部材22の一方又は両方に形成されてよい。
【0051】
ガス流路250は、継手部材20と保持部材22との間に形成された第1の流路260と、保持部材22と被接続管10の端部10aとの間に形成された第2の流路261と、継手部材20と被接続管10の端部10aとの間に形成された第3の流路262と、を有する。
【0052】
図2及び図3に示すように、例えば、第1の流路260は、継手部材20の第1の外周面51、第2の端面52及び第2の外周面53に軸方向X及び径方向Rに沿って連続的に形成された第1の溝300を有する。第1の溝300は、例えば0.1mm以上の深さを有してよい。第1の溝300は、継手部材20の周方向の複数個所に形成されている。第1の溝300は、周方向に等間隔に配置されてよいし、異なる間隔で配置されてもよい。
【0053】
図2及び図5に示すように、例えば、第1の流路260は、保持部材22の後端面112に径方向Rに沿って形成された第2の溝310を有する。第2の溝310は、例えば0.1mm以上の深さを有してよい。第2の溝310は、後端面112に形成された収容部150から後端面112の外側の端まで形成されている。すなわち、第2の溝310は、収容部150と連通している。第2の溝310は、後端面112の周方向の複数個所に形成されている。第2の溝310は、周方向に等間隔に配置されてよいし、異なる間隔で配置されてもよい。
【0054】
図2及び図4に示すように、例えば、第2の流路261は、保持部材22の外周面111に形成された第3の溝320を有する。第3の溝320は、外周面111の軸方向Xに沿って形成される第1の部分320aと、外周面111の周方向に沿って環状に形成される第2の部分320bを有する。第1の部分320aは、外周面111の前方の端から後方の端まで形成されている。第1の部分320aは、外周面111の周方向の複数個所に形成されている。第1の部分320aは、周方向に等間隔に配置されてよいし、異なる間隔で配置されてもよい。第1の部分320aは、第2の溝310と接続されている。第2の部分320bは、第1の部分320aと接続されている。第2の部分320bは、外周面111の軸方向Xの中央付近に形成されている。第2の部分320bは、一つ又は複数形成されている。第3の溝320の第1の部分320a及び第2の部分320bは、例えば0.1mm以上の深さを有してよい。
【0055】
図2及び図3に示すように、例えば、第3の流路262は、継手部材20の第1の端面50に径方向Rに沿って形成された第4の溝330を有する。第4の溝330は、例えば0・1mm以上の深さを有してよい。第4の溝330は、第1の端面50の周方向の複数個所に形成されている。第4の溝330は、周方向に等間隔に配置されてよいし、異なる間隔で配置されてもよい。第4の溝330は、第1の溝300と接続されている。図2に示すように、第4の溝330は、保持部材22を継手部材20に取り付けた時に、第3の溝320と接続される。第4の溝330は、被接続管10を継手部材20に取り付けた時に、被接続管10の内側の空間(外部)に連通している。
【0056】
図2及び図3に示すように、第3の流路262は、継手部材20の第3の外周面61及び第4の端面80に軸方向X及び径方向Rに沿って連続的に形成された第5の溝340を有する。第5の溝340は、例えば0.1mm以上の深さを有してよい。第5の溝340は、継手部材20の周方向の複数個所に形成されてよい。第5の溝340は、周方向に等間隔に配置されてよいし、異なる間隔で配置されてもよい。図2に示すように、第5の溝340は、保持部材22を継手部材20に取り付けた時に、第2の溝310及び第3の溝320に接続される。
【0057】
さらに、ガス流路250は、継手部材20と押さえ部材23との間に形成された第4の流路400を有する。第4の流路400は、継手部材20又は押さえ部材23の少なくともいずれかに形成されてよい。
【0058】
図2及び図3に示すように、第4の流路400は、継手部材20の第5の端面82に径方向Rに沿って形成された第6の溝410を有する。第6の溝410は、例えば0.1mm以上の深さを有してよい。第6の溝410は、第5の端面82の周方向の複数個所に形成されている。第6の溝410は、周方向に等間隔に配置されてよいし、異なる間隔で配置されてもよい。図2に示すように、第6の溝410は、押さえ部材23を継手部材20に取り付けた時に、ねじ部70を介して第5の溝340に連通している。第6の溝410は、被接続管10の外側の空間(外部)に連通している。
【0059】
<継手装置を用いた溶着方法>
次に、以上のように構成された継手装置1を用いた溶着方法(継手構造の製造方法)について説明する。
【0060】
先ず、図1に示したように被接続管10と、継手装置1の継手部材20、導電性部材21、保持部材22及び押さえ部材23が用意される。被接続管10の端部10aは、専用の治具で加工され、拡径される。導電性部材21は、保持部材22の収容部150に収容される。図2に示すように、保持部材22は、導電性部材21を保持した状態で、継手部材20の接続端部30にはめ込まれる。このとき、接続端部30の突出部45と保持部材22の凹部120が嵌合し、保持部材22が継手部材20に固定される。次に、被接続管10の端部10aが、保持部材22及び継手部材20の接続端部30の外周を覆うように接続端部30にはめ込まれる。次に、押さえ部材23が、被接続管10の端部10a及び継手部材20の固定部31の外周を覆うように固定部31にはめ込まれる。押さえ部材23のねじ部170と継手部材20のねじ部70が螺合し、押さえ部材23が、被接続管10の端部10aを外側から押さえた状態で、継手部材20に固定される。こうして、溶着前に、被接続管10、継手部材20、導電性部材21、保持部材22及び押さえ部材23が組み立てられる。
【0061】
上記組み立てにより、溶着予定部から外部に通じるガス流路250が形成される。継手部材20と保持部材22との間には第1の流路260が形成され、保持部材22と被接続管10の端部10aとの間には第2の流路261が形成され、継手部材20と被接続管10の端部10aとの間には第3の流路262が形成されている。第1の流路260、第2の流路261及び第3の流路262の一部または全部は、保持部材22の収容部150に形成される第1の空間160に通じている。第1の流路260、第2の流路261及び第3の流路262の一部または全部は、継手部材20と押さえ部材23との間に形成された第4の流路400を介して被接続管10の外側の空間(外部)に連通する。第1の流路260、第2の流路261及び第3の流路262の一部または全部は、第3の流路262の第4の溝330を介して被接続管10の内側の空間(外部)に連通する。
【0062】
次に、電磁誘導式の溶着機を作動させ、継手装置1の導電性部材21を電磁誘導し、導電性部材21を発熱させる。導電性部材21の熱が、周囲の継手部材20、保持部材22及び被接続管10に伝達され、継手部材20と保持部材22、保持部材22と被接続管10の端部10a、継手部材20と被接続管10の端部10aが、それぞれ互いに溶着する。このとき、溶着予定部に残存或いは発生するガスが、導電性部材21の熱により高温になる。溶着予定部が溶着されていく際に、高温のガスは、ガス流路250を通じて外部に流れる。例えば、保持部材22の第1の空間160の高温のガスは、第1の流路260、第2の流路261、第3の流路262を通じて、第4の溝330から被接続管10の内側の空間に流れる。高温のガスは、第1の流路260、第2の流路261、第3の流路262を通じて、第4の流路400から被接続管10の外側の空間に流れる。高温のガスは、溶着予定部の溶着を促進しつつ流れる。こうして、溶着予定部が溶着され、継手部材20に被接続管10の端部10aが接続される。その後、溶着機を停止させ、継手部材20と被接続管10の接続作業が終了する。
【0063】
本実施の形態によれば、継手部材20、保持部材22及び被接続管10が組み立てられた時に、継手部材20と保持部材22との間、保持部材22と被接続管10との間、又は継手部材20と被接続管10との間から外部に通じるガス流路250が形成されるので、継手部材20、保持部材22及び被接続管10の間で膨張した高温ガスがガス流路250を通じて外部に排出される。また、ガス流路250を流れる高温ガスにより溶着が促進される。この結果、電磁誘導を用いた溶着を十分に行うことができる。
【0064】
ガス流路250は、継手部材20と保持部材22との間に第1の流路260を有し、第1の流路260は、被接続管10の内側の空間又は被接続管10の外側の空間に通じるように形成される。これにより、継手部材20と保持部材22との間で膨張した高温ガスが適切に排出される。また、高温ガスにより継手部材20と保持部材22の溶着が適切に行われる。
【0065】
第1の流路260は、保持部材22又は継手部材20の表面に形成された第1の溝300及び第2の溝310を含む。これにより、第1の流路260が適切に形成される。
【0066】
ガス流路250は、保持部材22と被接続管10との間に第2の流路261を有し、第2の流路261は、被接続管10の内側の空間又は被接続管10の外側の空間に通じるように形成される。これにより、保持部材22と被接続管10との間で膨張した高温ガスが適切に排出される。また、高温ガスにより保持部材22と被接続管10の溶着が適切に行われる。
【0067】
第2の流路261は、保持部材22の表面に形成された第3の溝320を含む。これにより、第2の流路261が適切に形成される。
【0068】
ガス流路250は、継手部材20と被接続管10との間に第3の流路262を有し、第3の流路262は、被接続管10の内側の空間又は被接続管10の外側の空間に通じるように形成される。これにより、継手部材20と被接続管10との間で膨張した高温ガスが適切に排出される。また、高温ガスにより継手部材20と被接続管10の溶着が適切に行われる。
【0069】
第3の流路262は、継手部材20の表面に形成された第4の溝330及び第5の溝340を含む。これにより、第3の流路262が適切に形成される。
【0070】
保持部材22は、導電性部材21を収容する収容部150を有し、収容部150は、導電性部材21を収容した時に、収容部150の内壁面150aと導電性部材21との間に第1の空間160が形成されるように構成されている。これにより、第1の空間160で膨張した高温ガスがガス流路250を通じて流れる。この結果、より多くの高温ガスがガス流路250に流れるので、溶着がさらに促進される。
【0071】
第1の空間160は、ガス流路250に連通しているので、第1の空間160の高温ガスが、より確実にガス流路250に流れる。
【0072】
継手装置1は、被接続管10の端部10aを外側から押さえる押さえ部材23を備える。これにより、高温ガスが被接続管10の端部10aの内側に残ることが抑制される。
【0073】
ガス流路250は、押さえ部材23と継手部材20との間に第4の流路400を有する。これにより、継手部材20、保持部材22及び被接続管10の間で膨張した高温ガスが適切に排出される。
【0074】
継手部材20は、被接続管10の端部10aの内側に配置される接続端部30を有し、保持部材22は、接続端部30に対しはめ込み可能に構成される。これにより、ガス流路250を適切に形成することができる。
【0075】
本実施の形態において、保持部材22の外周面111に形成された第3の溝320の第1の部分320aが、外周面111の前方の端から後方の端まで形成されていたが、図7に示すように、外周面111の軸方向Xの中央付近から前方側の端まで形成されてよい。また、第3の溝320の第1の部分320aは、外周面111の軸方向Xの中央付近から後方の端まで形成されてよい。
【0076】
本実施の形態において、ガス流路250は、継手部材20と保持部材22との間、保持部材22と被接続管10との間、及び、継手部材20と被接続管10との間に形成されていたが、継手部材20と保持部材22との間、保持部材22と被接続管10との間、及び、継手部材20と被接続管10との間のうちの少なくとも一つに形成されてよい。すなわち、ガス流路250は、第1の流路260、第2の流路261及び第3の流路262のうちの少なくとも一つを有していてよい。
【0077】
本実施の形態において、図8に示すように、保持部材22は、第1の空間160から、保持部材22の表面の第3の溝320に通じる少なくとも一つの孔450を備えていてよい。孔450は、第1の空間160から第3の溝320に向けて軸方向Xに向かって延設されてよい。図9に示すように、孔450は、保持部材22の周方向に沿って複数配置されてよい。複数の孔450は、保持部材22の周方向に沿って等間隔に配置されてよい。また、複数の孔450は、隣り合う孔450の間隔が異なるように配置されてよい。この場合、高温ガスの一部が、第1の空間160から孔450を通じて第3の溝320に流れ出るので、継手部材20と保持部材22との溶着と、被接続管10と保持部材22との溶着がさらに促進される。
【0078】
(第2の実施の形態)
図10は、本実施の形態に係る継手装置1の各部材の一例を示す斜視図である。図11は、継手装置1の各部材を組み立てた時の構成を説明するための図である。図11は、継手装置1を、中心軸Cを含む垂直面で切断した断面図である。
【0079】
図10及び図11に示すように、継手装置1は、保持部材22を備えなくてよい。すなわち、継手装置1は、被接続管10の端部10aが接続される継手部材20と、継手部材20と被接続管10の端部10aとの間に介在され、電磁誘導により発熱可能な導電性部材21と、押さえ部材23を備える。
【0080】
継手部材20の接続端部30は、第1の端面500、第1の外周面501、第2の端面502、第2の外周面503を前方から後方に向かってこの順に有する。
【0081】
第1の端面500は、継手部材20の最端面を構成している。第1の端面500は、中心軸Cに対し垂直な面であって、前方に向いた面である。第1の外周面501の前方側の端は、第1の端面500の外側の端に接続されている。第2の端面502は、中心軸Cに対し垂直な面であって、前方を向いた面である。第2の外周面503の前方側の端は、第2の端面502の外側の端に接続されている。第2の外周面503は、第1の外周面501よりも大きな径を有している。第2の外周面503は、後方に近づくにつれて次第に拡径する傾斜面505を有する。傾斜面505は、被接続管10の端部10aの内周面に対応する形状を有する。傾斜面505の前方の端は、第2の端面502の外側の端に接続されている。第2の外周面503の後方の端は、固定部31の第4の端面80の内側の端に接続されている。
【0082】
第2の端面502は、導電性部材21を収容する収容部550を有する。収容部550は、後方に凹んだ凹み形状を有する。収容部550は、環状に形成されている。収容部550は、導電性部材21をはめ込み可能な形状を有する。収容部550は、導電性部材21と同形状を有する。収容部550は、導電性部材21よりも大きい形状を有してよい。
【0083】
継手部材20は、組み立てた時に溶着予定部から外部に通じるガス流路600が形成されるように構成されている。ガス流路600は、導電性部材21の熱により溶着される溶着予定部分に形成されている。ガス流路600は、継手部材20と被接続管10との間に形成されている。
【0084】
図12に示すように、ガス流路600は、継手部材20の第1の端面500に径方向Rに沿って形成された第1の溝650と、第2の外周面503及び第4の端面80に軸方向Xに沿って形成された第2の溝660を有している。第1の溝650は、第1の端面500の周方向の複数個所に等間隔に形成されている。第2の溝660は、第2の外周面503及び第4の端面80の周方向の複数個所に形成されている。第2の溝660は、周方向に等間隔に配置されてよいし、異なる間隔で配置されてもよい。第1の溝650及び第2の溝660は、例えば0.1mm以上の深さを有してよい。なお、第1の外周面501及び第2の端面502にも溝が形成されてよい。
【0085】
図11及び図12に示すように、第1の溝650は、被接続管10を継手部材20に取り付けた時に、被接続管10の内側の空間(外部)に連通している。第2の溝660は、被接続管10を継手部材20に取り付けた時に、第1の溝650に連通している。第2の溝660は、被接続管10を継手部材20に取り付けた時に、第1の溝650に連通している。第2の溝660は、押さえ部材23を継手部材20に取り付けた時に、ねじ部70を介して第6の溝410に連通している。
【0086】
継手装置1の他の構成は、上記第1の実施形態と同様であってよい。
【0087】
継手装置1を用いて溶着する際には、図11に示すように、導電性部材21が継手部材20の収容部550に収容され、被接続管10の端部10aが、継手部材20の接続端部30の外周を覆うように接続端部30にはめ込まれる。そして、押さえ部材23が、被接続管10の端部10a及び継手部材20の固定部31の外周を覆うように固定部31にはめ込まれ、押さえ部材23が継手部材20に固定される。こうして、溶着前に、被接続管10、継手部材20、導電性部材21及び押さえ部材23が組み立てられる。
【0088】
上記組み立てにより、溶着予定部から外部に通じるガス流路600が形成される。ガス流路600は、継手部材20と被接続管10との間に形成される。第1の溝650及び第2の溝660の一部または全部は、継手部材20と押さえ部材23との間に形成された第4の流路400を介して被接続管10の外側の空間(外部)に連通する。第1の溝650及び第2の溝660の一部または全部は、第1の溝650を介して被接続管10の内側の空間(外部)に連通する。
【0089】
次に、電磁誘導式の溶着機を作動させ、継手装置1の導電性部材21を電磁誘導し、導電性部材21を発熱させる。導電性部材21の熱が、周囲の継手部材20及び被接続管10に伝達され、継手部材20と被接続管10の端部10aが互いに溶着する。このとき、溶着予定部に残存或いは発生するガスが、導電性部材21の熱により高温になる。溶着予定部が溶着されていく際に、高温のガスは、ガス流路600を通じて外部に流れる。高温のガスは、第2の溝660を通じて第1の溝650から被接続管10の内側の空間に流れる。高温のガスは、第2の溝660を通じて第4の流路400から被接続管10の外側の空間に流れる。高温のガスは、溶着予定部の溶着を促進しつつ流れる。こうして、溶着予定部が溶着され、継手部材20に被接続管10の端部10aが接続される。
【0090】
本実施の形態によれば、継手部材20、導電性部材21及び被接続管10が組み立てられた時に、継手部材20と被接続管10との間から外部に通じるガス流路600が形成されるので、継手部材20と被接続管10の間で膨張した高温ガスがガス流路600を通じて外部に排出される。また、ガス流路600を流れる高温ガスにより溶着が促進される。この結果、電磁誘導を用いた溶着を十分に行うことができる。
【0091】
以上の第1の実施の形態及び第2の実施の形態において、押さえ部材23は、ねじ部170により継手部材20に固定されていたが、係止部により継手部材20に固定されてよい。この場合、図13に示すように、押さえ部材23は、内周面201の後端に内側に突出する係止部700を有する。図14及び図15に示すように、継手部材20の固定部31は、係止部700が嵌合する凹部710を有する。凹部710は、第4の外周面81の後方に配置される。
【0092】
第4の外周面81は、ねじ部を有さなくてよい。第4の流路400は、第4の外周面81に軸方向Xに沿って形成された第7の溝720を有する。第7の溝720は、例えば0.1mm以上の深さを有してよい。第7の溝720は、第4の外周面81の周方向の複数個所に形成されている。第7の溝720は、周方向に等間隔に配置されてよいし、異なる間隔で配置されてもよい。図15に示すように、第7の溝720は、押さえ部材23を継手部材20に取り付けた時に、凹部710を介して第6の溝410に連通している。第7の溝720は、第4の端面80の第5の溝340に接続されている。
【0093】
以上の実施の形態において、継手装置1の継手部材20、導電性部材21、保持部材22、押さえ部材23、ガス流路250の形状は、上記実施の形態のものに限られない。継手部材20は、I型、L字型、T字型等の公知の形状であってよい。継手装置1は、押さえ部材23を備えなくてもよい。被接続管10の形状も上記実施の形態のものに限られない。
【0094】
以上の各実施形態は、説明の目的で記載されており、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。以上の各実施形態は、本開示の範囲及び趣旨から逸脱することなく種々の変形をなし得る。例えば、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態に追加することができる。また、ある実施形態における一部の構成要素を、他の実施形態の対応する構成要素と置換することができる。
【産業上の利用可能性】
【0095】
本発明は、電磁誘導を用いた溶着を十分に行うことができる継手装置を提供する際に有用である。
【符号の説明】
【0096】
1 継手装置
10 被接続管
10a 端部
20 継手部材
21 導電性部材
22 保持部材
23 押さえ部材
250 ガス流路
C 中心軸
X 軸方向
R 径方向
【要約】
【課題】電磁誘導を用いた溶着を十分に行うことができる継手装置を提供する。
【解決手段】継手装置1は、被接続管10の端部10aが接続される継手部材20と、電磁誘導により発熱可能な導電性部材21と、継手部材20と被接続管10の端部10aとの間に介在され、導電性部材21を保持し、導電性部材21の発熱により溶融可能な保持部材22とを備える。継手部材20又は保持部材22の少なくとも一方は、継手部材20、保持部材22及び被接続管10が組み立てられた時に、継手部材20と保持部材22との間、保持部材22と被接続管10との間、又は継手部材20と被接続管10との間から外部に通じるガス流路250が形成されるように構成されている。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15