(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】液剤容器、及びそれに用いられる液剤流入延設部材
(51)【国際特許分類】
B65D 83/36 20060101AFI20240419BHJP
B05B 9/04 20060101ALI20240419BHJP
B05B 15/30 20180101ALI20240419BHJP
B65D 83/32 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
B65D83/36
B05B9/04
B05B15/30
B65D83/32
(21)【出願番号】P 2023202906
(22)【出願日】2023-11-30
【審査請求日】2023-12-18
(32)【優先日】2022-12-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(32)【優先日】2023-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】500271018
【氏名又は名称】競聯企業有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】陳漢▲梁▼
【審査官】吉澤 秀明
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-160834(JP,A)
【文献】特開平11-285655(JP,A)
【文献】特開2003-34373(JP,A)
【文献】特開平10-305881(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/36
B65D 83/32
B05B 9/04
B05B 15/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液剤容器の缶体内に配置されると共に浸漬管に接続される、液剤容器用の液剤流入延設部材であって、本体部を備え、
前記本体部は、前記液剤容器の缶体底部周縁まで延在するように形成されると共に、その内部に形成された複数の延伸流路と、前記浸漬管に連結される接続部とを含み、該複数の延伸流路は、該液剤容器の径方向に延びると共に、その径方向外方端部に延伸流入口を有し、該複数の延伸流入口は、該液剤容器の缶体底部周縁に沿って間隔を置いて配置され、該接続部は該複数の延伸流路及び浸漬管に連通し、これにより、該浸漬管と複数の延伸流入口とが連通することを特徴とする液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項2】
前記液剤容器が、エアゾール容器であることを特徴とする請求項1に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項3】
前記本体部は円盤状を呈し、前記複数の延伸流入口が当該円盤状の本体部の外周側面上に形成され、前記該接続部が当該円盤状の本体部の片側面に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項4】
前記本体部は、相互に組み合わせ可能な上部材及び下部材からなり、前記接続部が該上部材上に形成され、前記複数の延伸流路が該上部材と下部材との間に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項5】
前記下部材の頂面に複数の溝状凹部が形成され、該下部材と上部材とが組み合わせられると、該複数の溝状凹部が前記複数の延伸流路となることを特徴とする請求項4に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項6】
前記上部材は、上下方向から見たときの前記接続部の
内径孔の中心に、
該上部材を貫通する合流流入口を有し、該合流流入口は、前記下部材の複数の延伸流路の合流点の上方に配置されることを特徴とする請求項4に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項7】
前記本体部は、二つの円弧状サイド端面と、該二つの円弧状サイド端面に繋がる二つの直線状サイド端面とを有し、
前記二つの円弧状サイド端面はそれぞれ、前記本体部の相対する両側に位置すると共に、前記液剤容器の缶体の内周壁面に沿って形成され、該二つの円弧状サイド端面の間の距離は、該缶体の開口部の内径よりも大きく、
前記二つの直線状サイド端面はそれぞれ、前記本体部の他の相対する両側に位置し、該二つの直線状サイド端面の間の距離は、該缶体の開口部の内径よりも小さいことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項8】
前記本体部は、該本体部を頂面から底面にかけて貫通する貫通穴を複数含むことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項9】
前記浸漬管は、軸方向両端部にかけて横断面多角形状を呈する多角形管体であり、
前記接続部上に、前記浸漬管の横断面形状と一致する輪郭を有する内径孔を有し、該浸漬管と該接続部とが嵌合可能に結合されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項10】
前記本体部は、該本体部の外周側面から突出すると共に、前記接続部に連通する軟質チューブを複数備え、前記複数の延伸流路はそれぞれ、該複数の軟質チューブ内に形成されると共に、前記複数の延伸流入口はそれぞれ、本体部の外周側面から突出するように該複数の軟質チューブの外方端部に形成されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項11】
前記本体部は、相互に組み合わせ可能な上部材及び下部材からなり、前記接続部が該上部材上に形成され、前記複数の軟質チューブが該上部材と下部材との間に配置されることを特徴とする請求項10に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項12】
前記上部材の底面に、前記複数の軟質チューブの片側を受ける複数の溝状凹部が形成され、
前記下部材の頂面に、前記複数の軟質チューブの他方側を受ける複数の溝状凹部が形成されることを特徴とする請求項11に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項13】
液剤容器であって、缶体と、バルブ機構と、浸漬管と、液剤流入延設部材とを備え、
前記缶体は、開口部を有する中空筒状構造体であり、
前記バルブ機構は、前記缶体の開口部に封止固定されると共に、該缶体の内部空間に配置される液剤流入口と、該缶体の外部に配置される液剤流出口とを備え、該液剤流入口と液剤流出口と
は連通され、
前記浸漬管は、前記バルブ機構と液剤流入延設部材との間に接続され、
前記液剤流入延設部材は、前記缶体の内部空間に配置され、前記浸漬管に接続されると共に、本体部を備え、該本体部は、前記液剤容器の缶体底部周縁まで延在するように形成されると共に、その内部に形成された複数の延伸流路と、該浸漬管に連結される接続部とを含み、該複数の延伸流路は、該液剤容器の径方向に延びると共に、その径方向外方端部に延伸流入口を有し、該複数の延伸流入口は、該液剤容器の缶体底部周縁に沿って間隔を置いて配置され、該接続部は該複数の延伸流路及び浸漬管に連通し、これにより、該浸漬管と複数の延伸流入口とが連通することを特徴とする液剤容器。
【請求項14】
前記液剤容器が、エアゾール容器であることを特徴とする請求項13に記載の液剤容器。
【請求項15】
前記浸漬管は、軸方向両端部にかけて横断面多角形状を呈する多角形管体であり、
前記接続部上に、前記浸漬管の外壁の横断面形状と一致する輪郭を有する内径孔を有し、該浸漬管と該接続部とが嵌合可能に結合されることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の液剤容器。
【請求項16】
前記浸漬管は、軸方向両端部にかけて横断面多角形状を呈する多角形管体であり、
前記バルブ機構の液剤流入口の内径孔上に、前記浸漬管の外壁の横断面形状と一致する輪郭を有する内径孔を有し、該浸漬管とバルブ機構の該液剤流入口の内径孔とが嵌合可能に結合されることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の液剤容器。
【請求項17】
液剤容器の缶体内に配置される液剤容器用の液剤流入延設部材であって、浸漬管と、該浸漬管に連結される本体部を備え、
前記本体部は、前記液剤容器の缶体底部周縁まで延在するように形成されると共に、その内部に形成された複数の延伸流路と、前記浸漬管に連結される接続部とを含み、該複数の延伸流路は、該液剤容器の径方向に延びると共に、その径方向外方端部に延伸流入口を有し、該複数の延伸流入口は、該液剤容器の缶体底部周縁に沿って間隔を置いて配置され、該接続部は該複数の延伸流路及び浸漬管に連通し、これにより、該浸漬管と複数の延伸流入口とが連通することを特徴とする液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項18】
前記液剤容器が、エアゾール容器であることを特徴とする請求項17に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項19】
前記浸漬管は、軸方向両端部にかけて横断面多角形状を呈する多角形管体であり、
前記接続部上に、前記浸漬管の外壁の横断面形状と一致する輪郭を有する内径孔を有し、該浸漬管と該接続部とが嵌合可能に結合されることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【請求項20】
前記浸漬管は、円筒状管体であって、その外周面上に、該浸漬管の軸方向両端部にかけて凸状リブが形成され、
前記接続部上に、前記浸漬管の外壁の横断面形状と一致する輪郭を有する内径孔を有し、該浸漬管と該接続部とが嵌合可能に結合されることを特徴とする請求項17又は請求項18に記載の液剤容器用の液剤流入延設部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液剤容器技術分野に属し、特に、浸漬管の尾端に取り付けられると共に、液剤容器の缶体底部周縁の各方位から液剤を排出できる、液剤容器及びそれに用いられる液剤流入延設部材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図27及び
図28は、従来技術の液剤容器を示したものであり、これらの図面によると、当該液剤容器は、缶体91と、該缶体91上部の開口部に設置されるバルブ機構92(Aerosol Valve)と、該缶体91の外部に配置されると共に該バルブ機構92の頂部に結合される噴射ボタンキャップ93(Actuator)と、該缶体91の内部に配置されると共に該バルブ機構92の底部に接続される浸漬管94とを備え、缶体91内の液剤Cをできるだけ無駄なく排出するために、該浸漬管94の尾端の液剤流入口941は、缶体91の胴部と底部が接する角部付近まで延在するように設けられている。
【0003】
従来技術の液剤容器は、上述したような構成によれば、直立状態において液剤Cを確実に噴出することができるが、
図27に示すように、当該浸漬管94が略湾曲状を呈して、その尾端の液剤流入口941が、液剤容器頂部の噴射ボタンキャップ93の噴出口931と同じ方向に向くように設置されることで、
図28に示すように、缶内の液剤Cの残量が半分または半分以下しか残っていない場合、仰向け状態或は横倒し状態で液剤容器を使用すると、浸漬管94の尾端の液剤流入口941が液剤Cに内に浸されない状態となるので、缶内の液剤Cを噴出することができなくなる。このような状況において、使用上に非常に不便であると共に、結局、液剤Cが缶体91内に残っていて無駄になってしまう事態に陥るので、改善の余地があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記従来技術の欠点に鑑みてなされたものであり、液剤容器の缶体底部周縁まで延在する、液剤を排出するための液剤流入口を複数個有する、液剤容器及びそれに用いられる液剤流入延設部材を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、上記目的を達成するために、液剤容器の缶体内に配置されると共に浸漬管に接続される、液剤容器用の液剤流入延設部材を提案したものであり、当該液剤流入延設部材は、本体部を備え、
前記本体部は、前記液剤容器の缶体底部周縁まで延在するように形成されると共に、その内部に形成された複数の延伸流路と、前記浸漬管に連結される接続部とを含み、該複数の延伸流路は、該液剤容器の径方向に延びると共に、その径方向外方端部に延伸流入口を有し、該複数の延伸流入口は、該液剤容器の缶体底部周縁に沿って間隔を置いて配置され、該接続部は該複数の延伸流路及び浸漬管に連通し、これにより、該浸漬管と複数の延伸流入口とが連通することを特徴とする。
【0006】
本発明は更に、上記目的を達成するために、液剤容器を提案したものであり、当該液剤容器であって、缶体と、バルブ機構と、浸漬管と、液剤流入延設部材とを備え、
前記缶体は、開口部を有する中空筒状構造体であり、
前記バルブ機構は、前記缶体の開口部に封止固定されると共に、該缶体の内部空間に配置される液剤流入口と、該缶体の外部に配置される液剤流出口とを備え、該液剤流入口と液剤流出口とは選択的に連通され、
前記浸漬管は、前記バルブ機構と液剤流入延設部材との間に接続され、
前記液剤流入延設部材は、前記缶体の内部空間に配置され、前記浸漬管に接続されると共に、本体部を備え、該本体部は、前記液剤容器の缶体底部周縁まで延在するように形成されると共に、その内部に形成された複数の延伸流路と、該浸漬管に連結される接続部とを含み、該複数の延伸流路は、該液剤容器の径方向に延びると共に、その径方向外方端部に延伸流入口を有し、該複数の延伸流入口は、該液剤容器の缶体底部周縁に沿って間隔を置いて配置され、該接続部は該複数の延伸流路及び浸漬管に連通し、これにより、該浸漬管と複数の延伸流入口とが連通することを特徴とする。
【0007】
本発明は更に、上記目的を達成するために、液剤容器の缶体内に配置される液剤容器用の液剤流入延設部材を提案したものであり、当該液剤流入延設部材は、浸漬管と、該浸漬管に連結される本体部を備え、
前記本体部は、前記液剤容器の缶体底部周縁まで延在するように形成されると共に、その内部に形成された複数の延伸流路と、前記浸漬管に連結される接続部とを含み、該複数の延伸流路は、該液剤容器の径方向に延びると共に、その径方向外方端部に延伸流入口を有し、該複数の延伸流入口は、該液剤容器の缶体底部周縁に沿って間隔を置いて配置され、該接続部は該複数の延伸流路及び浸漬管に連通し、これにより、該浸漬管と複数の延伸流入口とが連通することを特徴とする。
【0008】
前記本体部は円盤状を呈し、前記複数の延伸流入口が当該円盤状の本体部の外周側面上に形成され、前記該接続部が当該円盤状の本体部の片側面に形成されることを特徴とする。
【0009】
前記本体部は、相互に組み合わせ可能な上部材及び下部材からなり、前記接続部が該上部材上に形成され、前記複数の延伸流路が該上部材と下部材との間に形成されることを特徴とする。
【0010】
前記下部材の頂面に複数の溝状凹部が形成され、該下部材と上部材とが組み合わせられると、該複数の溝状凹部が前記複数の延伸流路となることを特徴とする。
【0011】
前記接続部の中心に、前記上部材を貫通する合流流入口を有し、該合流流入口は、前記下部材の複数の延伸流路の合流点の上方に配置されることを特徴とする。
【0012】
前記本体部は、二つの円弧状サイド端面と、該二つの円弧状サイド端面に繋がる二つの直線状サイド端面とを有し、
前記二つの円弧状サイド端面はそれぞれ、前記本体部の相対する両側に位置すると共に、前記液剤容器の缶体の内周壁面に沿って形成され、該二つの円弧状サイド端面の間の距離は、該缶体の開口部の内径よりも大きく、
前記二つの直線状サイド端面はそれぞれ、前記本体部の他の相対する両側に位置し、該二つの直線状サイド端面の間の距離は、該缶体の開口部の内径よりも小さいことを特徴とする。
【0013】
前記本体部は、該本体部を頂面から底面にかけて貫通する貫通穴を複数含むことを特徴とする。
【0014】
前記浸漬管は、軸方向両端部にかけて横断面多角形状を呈する多角形管体であり、
前記接続部上に、前記浸漬管の横断面形状と一致する輪郭を有する内径孔を有し、該浸漬管と該接続部とが嵌合可能に結合されることを特徴とする。
【0015】
前記本体部は、該本体部の外周側面から突出すると共に、前記接続部に連通する軟質チューブを複数備え、前記複数の延伸流路はそれぞれ、該複数の軟質チューブ内に形成されると共に、前記複数の延伸流入口はそれぞれ、本体部の外周側面から突出するように該複数の軟質チューブの外方端部に形成されることを特徴とする。
【0016】
前記本体部は、相互に組み合わせ可能な上部材及び下部材からなり、前記接続部が該上部材上に形成され、前記複数の軟質チューブが該上部材と下部材との間に配置されることを特徴とする。
【0017】
前記上部材の底面に、前記複数の軟質チューブの片側を受ける複数の溝状凹部が形成され、
前記下部材の頂面に、前記複数の軟質チューブの他方側を受ける複数の溝状凹部が形成されることを特徴とする。
【0018】
前記浸漬管は、軸方向両端部にかけて横断面多角形状を呈する多角形管体であり、
前記接続部上に、前記浸漬管の外壁の横断面形状と一致する輪郭を有する内径孔を有し、該浸漬管と該接続部とが嵌合可能に結合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
前述した技術特徴によれば、本発明の優れた点は、内部に複数の延伸流路が形成された液剤流入延設部材の本体部が、液剤容器の缶体底部周縁まで延在するように形成されることにより、それらの延伸流路の末端にある延伸流入口が、液剤容器の缶体底部周縁に沿って間隔を置いて配置されることになることである。かくして、それらの延伸流路と連通するように本体部に連結される浸漬管の尾端は、缶体底部周縁に沿って配置されている複数の延伸流入口に延長されることになり、缶内の液剤の残量がいくら残っていても、缶体が正立状態、仰向け状態或は横倒し状態であっても、少なくとも一つの延伸流入口が液剤に浸漬されていることで、液剤容器の缶底周縁の各方位から液剤を排出することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る液剤容器及び液剤流入延設部材を示す分解斜視図である。
【
図2】
図1に示したエアゾールバルブを他の角度から見た斜視図である。
【
図3】本発明の第1実施形態に係る浸漬管及びバルブ機構の変形例を示す分解斜視図である。
【
図4】
図3に示したバルブ機構を他の角度から見た斜視図である。
【
図5】本発明の第1実施形態の正立の使用状態を示す側面視部分断面図である。
【
図6】本発明の第1実施形態の横倒しの使用状態を示す側面視部分断面図である。
【
図7】本発明の第1実施形態の局部拡大断面図である。
【
図8】本発明の第1実施形態に係る液剤流入延設部材の分解斜視図である。
【
図10】本発明の第1実施形態に係る液剤流入延設部材と浸漬管とが結合された状態の平面視断面図である。
【
図11】本発明の第1実施形態に係る液剤流入延設部材の寸法を示す分解斜視図である。
【
図12A】係本発明の第1実施形態に係る液剤流入延設部材を液剤容器内に入れ込む一連の動作を示す図面である。
【
図12B】係本発明の第1実施形態に係る液剤流入延設部材を液剤容器内に入れ込む一連の動作を示す図面である。
【
図12C】係本発明の第1実施形態に係る液剤流入延設部材を液剤容器内に入れ込む一連の動作を示す図面である。
【
図12D】係本発明の第1実施形態に係る液剤流入延設部材を液剤容器内に入れ込む一連の動作を示す図面である。
【
図12E】係本発明の第1実施形態に係る液剤流入延設部材を液剤容器内に入れ込む一連の動作を示す図面である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る液剤容器及び液剤流入延設部材を示す分解斜視図である。
【
図14】
図13に示した押圧式スプレーポンプを他の角度から見た斜視図である。
【
図15】本発明の第2実施形態の正立の使用状態を示す側面視断面図である。
【
図16】本発明の第2実施形態の傾斜した使用状態を示す側面視断面図である。
【
図17】本発明の第2実施形態に係る液剤流入延設部材の分解斜視図である。
【
図18】
図17に示した本体部の上部材を他の角度から見た斜視図である。
【
図19】本発明の第3実施形態に係る液剤容器及び液剤流入延設部材を示す分解斜視図である。
【
図20】
図19に示したエアゾールバルブを他の角度から見た斜視図である。
【
図21】本発明の第3実施形態の正立の使用状態を示す側面視部分断面図である。
【
図22】本発明の第3実施形態の透視斜視図である。
【
図23A】本発明の第3実施形態に係る軟質チューブを下部材に装着する一連の動作を説明するための図である。
【
図23B】本発明の第3実施形態に係る軟質チューブを下部材に装着する一連の動作を説明するための図である。
【
図23C】本発明の第3実施形態に係る軟質チューブを下部材に装着する一連の動作を説明するための図である。
【
図24】本発明の第3実施形態に係る液剤流入延設部材の分解斜視図である。
【
図25】
図24に示した本体部の上部材を他の角度から見た斜視図である。
【
図26】本発明の第3実施形態に係る液剤流入延設部材の斜視図である。
【
図27】従来技術の液剤容器の正立の使用状態を示す側面視部分断面図である。
【
図28】従来技術の液剤容器の横倒しの使用状態を示す側面視部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面及び本発明の好適な実施形態を参照しながら、本発明が予め決められた発明の目的を達成するために講じた技術的手段をさらに詳述する。
【0022】
図1、
図5、
図13及び
図15に示すように、本発明に係る液剤容器用の液剤流入延設部材は、浸漬管Bの尾端に取り付けると共に、缶体A内に配置されるものである。ここで利用されている液剤容器は、圧縮ガスを用いて液剤を噴出するエアゾール容器であってもよく、または、非圧縮空気(uncompressed air)を使用したプラスチック液剤容器であってもよい。
【0023】
本発明に係る液剤容器がエアゾール容器である場合、缶体A内に液剤C及び噴射剤(Propellant)が充填されており、使用時に、噴射ボタンキャップ20(Actuator)を押圧すると、噴射剤による圧力を介して、液剤Cは浸漬管B内に押し込まれるように流入し、エアゾールバルブ30(Aerosol Valve)を通過した後に、噴射ボタンキャップ20の噴射口21から噴出される。尚、ここでの液剤Cは、防犯スプレー、殺虫剤又はスプレーペイントなどに使用される配合物であることが好ましく、噴射剤は、充填されている液剤Cに可溶性であり、地球環境に優しい液化冷媒ガス(HFO-1234yf)や液化ジメチルエーテル(DME)などの高圧ガスを使用することが好ましい。一方、本発明に係る液剤容器が空気圧押し出し式プラスチック容器である場合、例えば、圧縮ガスを利用せず、非圧縮空気(uncompressed air)を使用して液体内容物を容器の中から外へ出す押圧式スプレーポンプ33(Press-type spray pump)を用いた消毒用アルコールスプレーボトルや植物に水を撒くための霧吹き容器などであってもよい。また、本発明に係る液剤容器は、噴射ボタンキャップ20や押圧式スプレーポンプ33を有せず、飲用ストロが取り付けられた哺乳瓶などであってもよい。
【0024】
本発明の各実施形態に使用されているエアゾールバルブ30は既存製品であるので、その内部構造についての説明を省略する。尚、第1実施形に使用されているエアゾールバルブは、エアゾール容器によく使用される公知標準仕様品の1インチサイズ(大容量の缶体に使用)又は20ミリメートルサイズ(20mm)(小容量の缶体に使用)の二種類のエアゾールバルブ(Aerosol Valve)であることが好ましい。
【0025】
図1及び
図5に示すように、第1実施形態に使用されている缶体Aは、外径D2が38mm、開口部の内径が25.4mm(1インチ)である大容量の金属製エアゾール容器であり、これに使用されているエアゾールバルブ30は、エアゾール容器用の公知標準仕様品の25.4mm(1インチ)サイズのエアゾールバルブを使用しているが、これに限定されるものではなく、缶体外径が25mmで、エアゾールバルブが公知標準仕様品の20mmサイズのものを使用してもよい。
【0026】
図5~
図9に示すように、第1実施形態に係る液剤流入延設部材は、液剤容器の缶体A内に設置されると共に、浸漬管Bと、該浸漬管Bと連結されている本体部10とを含み、該本体部10は、液剤容器の缶体底部周縁まで延在するように形成されると共に、その内部に延伸流路11が複数形成されており、該複数の延伸流路11は、該缶体Aの径方向に延在すると共に、その径方向外方端部が延伸流入口12として該本体部10の外周側面上に形成されており、それらの延伸流入口12が、該液剤容器の缶体Aの胴部と底部が接する内周縁の角部に沿うように間隔を置いて配置されている。前記本体部10上に、前記浸漬管Bと連結するための接続部101が形成されており、該接続部101は、前記複数の延伸流路11に連通することにより、連結されている浸漬管Bがそれらの延伸流入口12に連通する。
【0027】
図3に示すように、前記本体部10の構造について具体的に述べると、本願の第1実施形態における本体部10は、円盤状を呈し、前記複数の延伸流入口12が、円盤型構造体の外周側面に形成されており、前記接続部101が、円盤型構造体の頂面に形成されている。
【0028】
図7及び
図8に示すように、尚、第1実施形態においては、前記延伸流路11の数が四つであり、この四つの延伸流路11は、十字状の配列構造を形成し、前記缶体A内底部の前後左右に延びているが、これに限定されるものではない。
【0029】
図7~
図9に示すように、第1実施形態に係る本体部10は、組み合わせ可能な上部材103と下部材104からなっており、前記接続部101は該上部材103上に形成されており、前記複数の延伸流路11は該上部材103と下部材104との間に形成される。尚、前記下部材104の頂面に複数の溝状凹部13が形成されることが好ましい。前記下部材104と上部材103を組み合わせると、それらの溝状凹部13と上部材103の底面との間に前記延伸流路11が形成される。
【0030】
前記上部材103上に形成された接続部101の中心に、該上部材103を貫通する合流流入口1011を有する。
【0031】
前記合流流入口1011は、前記上部材103と下部材104との間における十字状の配列構造を成す複数の延伸流路11の合流点の上方に位置する。前記本体部10の接続部101に連結されている浸漬管Bは、該接続部101の合流流入口1011を通して前記複数の延伸流入口12に連通する。
【0032】
図7~
図9に示すように、第1実施形態における本体部10は、缶体内底部側に凹となるように湾曲している断面凸弧状構造体を成すことが好ましい。第1実施形態に使用されている液剤容器の缶体Aが高圧ガスが充填されるエアゾール容器であり、その底部がドーム形状に形成され、前記本体部10は、ドーム状に盛り上がった缶体A内底部の弧形凸面に合わせるような弧形凹面を有することにより、当該缶体A内の底部との密着性の向上を図る。
【0033】
図1、
図10及び
図11に示すように、本発明に係る浸漬管Bは、多角形管体であることが好ましく、具体的に述べると、本願の第1実施形態での浸漬管Bが、横断面形状が二等辺三角形を成す管体であることが好ましい。さらに詳しく説明すると、浸漬管Bの組み付け時の位置決めを容易に行うために、横断面三角形状の浸漬管Bの三つの角部のうちの一つは、丸みを帯びた面取部108とすることが好ましい。
【0034】
図1、
図5、
図8、
図10及び
図11に示すように、本発明に係る液剤流入延設部材における本体部10の接続部101上に、前記面取部108を備えた浸漬管Bの横断面形状と対応する輪郭を有する内径孔102が形成され、浸漬管Bは組み付ける際に、該接続部101の内径孔102に嵌めるように取り付けられる。具体的に述べると、当該内径孔102は、二等辺三角形状の孔穴であり、該浸漬管Bと組み付ける際
の位置決めを容易に行うために、その三つの頂点の一つは、丸みを帯びた角取部109である。尚、前記本体部10は第1端部14と第2端部15を有し、前記接続部101の内径孔102の角取部109は、該本体部10の第1端部14側に形成されることが好ましい。
【0035】
図1、
図2、
図5及び
図10に示すように、本発明の第1実施形態において、前記エアゾールバルブ30(Aerosol Valve)の底部に、前記浸漬管Bが挿設されるための弁座31(Housing)を有し、当該弁座31の液剤流入口の内径孔32は、該浸漬管Bの横断面形状と対応する輪郭を有しており、具体的に述べると、当該液剤流入口の内径孔32は、二等辺三角形状の孔穴であり、該浸漬管Bとの位置決めを容易に行うために、その三つの頂点の一つは、丸みを帯びた角取部110である。尚、当該弁座31の液剤流入口の内径孔32の角取部110の形成位置は、噴射ボタンキャップ20の噴出口21が向く方向と同じ側に設けられていることが好ましい。
【0036】
上述した技術特徴によれば、
図1、
図2、
図8、
図10及び
図11に示すように、第1実施形態に係る浸漬管B、接続部101の内径孔102及び弁座31の液剤流入口の内径孔32の横断面形状はいずれも、一方の頂点(面取部108、角取部110、角取部109)が丸みを帯びている二等辺三角形を呈し、当該浸漬管Bの両端を、エアゾールバルブ30の液剤流入口の内径孔32及び液剤流入延設部材の接続部101に挿設すると、該浸漬管Bの面取部108、エアゾールバルブ30の液剤流入口の内径孔32の角取部110及び該接続部101の内径孔102の角取部109が同じ方向を向き、つまり、これらの面取部108、角取部110、角取部109は、前記噴射ボタンキャップ20の噴出口21が向く方向と同じ方向を向くように、前記缶体Aの軸心方向に沿って直線に配列されており、このように、該液剤流入延設部材の第1端部14と、該噴射ボタンキャップ20の噴出口21とが同じ方向を向くことを確保することができる。
【0037】
図1、
図5、
図8、
図10及び
図11に示すように、本願の第1実施形態に係る本体部10の長手方向の両端にそれぞれ、前記液剤容器の缶体A内底部の内周壁面の形状に沿って形成される円弧状サイド端面105が設けられ、短手方向の両端にはそれぞれ、該両円弧状サイド端面105に繋がる直線状サイド端面106が形成され、該二つの円弧状サイド端面105の間の距離L(本体部10の長手方向距離)が、該缶体Aの開口部の内径D1よりも大きく設定され、該二つの直線状サイド端面106の間の距離W(本体部10の短手方向距離)が、該缶体Aの開口部の内径D1よりも小さく設定されている、すなわち、該二つの円弧状サイド端面105の間の距離Lは、該二つの直線状サイド端面106の間の距離Wよりも長く、当該本体部10は学校のグランドのような楕円形状を呈している。このような設計により、前記本体部10を前記缶体A内に入れ込む時に、当該本体部10の両直線状サイド端面106が缶体Aの開口部を直接通過することができる。
【0038】
前記本体部10について具体的に説明すると、
図1、
図7、
図10及び
図11に示すように、第1実施形態においては、開口部の内径D1が25.4mm、外径D2が38mm、胴部の内径が約37.2mmの缶体Aを使用し、ここでの液剤流入延設部材の本体部10における両円弧状サイド端面105間の距離Lが、36.4mm、両直線状サイド端面106間の距離Wが、24mmに設定される。ここで、本体部10の両円弧状サイド端面105間の距離Lが、缶体Aの胴部の内径にできるだけ近い寸法に設定されていることにより、当該本体部10の外周側面上の延伸流入口12を、缶体A底部周縁により近づける目的を達成できる。尚、前記缶体A及び本体部10の寸法は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、任意に設計変更することが可能である。また、前記本体部10の接続部101の軸心位置は、該本体部10の上部材103の中央ではなく、該本体部10の第1端部14側に偏っている、すなわち、該本体部10の第2端部15と接続部101の軸心位置との距離L2は、第1端部14と接続部101の軸心位置との距離L1よりも長くなっているが、これに限定されるものではなく、接続部101の軸心位置が、該本体部10の第2端部15側に偏ってもよい。以下、実際の寸法を例に挙げて説明する。長手方向距離Lが36.4mmに設定された本発明の第1実施形態に係る液剤流入延設部材の本体部10においては、その第1端部14と接続部101の軸心位置との距離L1を16.4mm、第2端部15と接続部101の軸心位置との距離L2を20mmに設定することがあり、逆に、その第2端部15と接続部101の軸心位置との距離L2を16.4mm、第1端部14と接続部101の軸心位置との距離L1を20mmに設定してもよい。
【0039】
図1、
図5、
図10、
図11及び
図12A~
図12Eに示すように、第1実施形態に係液剤流入延設部材を液剤容器内に入れ込もうとする際に、まず、液剤流入延設部材の本体部10を斜めにして、第1端部14が缶体Aの開口部に接触するまで、第2端部15を缶体Aの開口部に差し込み、次いで、第1端部14を缶体Aの開口部を通り抜けるように、当該本体部10を斜めの姿のまま、第2端部15が缶体Aの胴体の内壁面に接続するまで横移動させ、その後、第1端部14を缶体Aの開口部を通り抜けて、当該本体部10を下に差し込み、最後に、液剤流入延設部材を傾斜状態から正立状態に戻して、奥まで差し込めば、液剤流入延設部材の入れ込み作業が完了する。本願の第1実施形態に係る液剤流入延設部材の入れ込み作業を行う際に、本体部10の両直線状サイド端面106間の距離W(短手方向距離)は缶体Aの開口部の内径よりも小さく設定されているため、本体部10が缶体Aの開口部を簡単に通り抜けることができる。
【0040】
さらに、
図8、
図9及び
図10に示すように、前記本体部10上に、頂面から底面にかけて貫通する貫通穴107が複数形成され、それらの貫通穴107の設置により、缶内の液剤の流れが阻害されるのを防止し、例えば、前記本体部10を缶内に入れ込む時、或は当該液剤容器を使用する時は、液剤は本体部10の影響を受けず缶内をスムーズに流れることができる。
【0041】
図1、
図2、
図5、
図7、
図8、
図10及び
図11に示すように、本発明の第1実施形態において、多角形管体である浸漬管Bは、その面取部108が前記接続部101の内径孔102の角取部109及び弁座31の液剤流入口32の角取部110に位置合わせされるように嵌合して連結されると、接続部101の合流流入口1011を介して、缶体Aの底部内周に沿うように間隔を置いて配置される複数の延伸流路11に連通することになる。液剤容器を使用する時は、噴射ボタンキャップ20の押圧操作で、その両端が弁座31の内径孔32及び本体部10の接続部101の内径孔102に挿設されている多角形管体の浸漬管Bにより、缶体Aの胴部と底部が接する内周縁の角部に沿って間隔を置いて配置されている複数の延伸流路11を介して液剤Cを各方位から引入して噴出口21から吐出する。尚、ここで使用されている多角形管体の浸漬管Bは、横断面形状が二等辺三角形の管体であるが、これに限定されるものではなく、また、位置決めを容易に行うための面取部108及び角取部109、角取部110は、丸みを帯びた形状に形成されていなくてもよい。
【0042】
図3及び
図4に示すように、本発明の浸漬管Bは円形の管体であってもよく、この場合、当該浸漬管Bの外壁上に、軸方向両端部にかけて延在する凸状リブ111を有し、これと対応するように、前記接続部101の内径孔102及び弁座31の液剤流入口の内径孔32上に、当該浸漬管Bの外壁の横断面形状に一致する輪郭を有し、三者が嵌合可能に組付けられる。具体的に述べると、組み付ける際に、浸漬管Bの凸状リブ111の両端はそれぞれ、接続部101の内径孔102の位置決め溝部112及び弁座31の液剤流入口の内径孔32の位置決め溝部113に嵌め込まれる。
【0043】
従来技術の液剤容器は、浸漬管が略湾曲状を呈すると共に、その尾端の液剤流入口が液剤容器頂部の噴射ボタンキャップの噴出口と同じ方向に向くように設置されるような構成により、缶内の液剤の残量が半分または半分以下しか残っていない場合において、缶体を仰向け状態或は横倒し状態で使用すると、浸漬管の尾端の液剤流入口が、液剤Cの内に浸されない状態となるので、缶内の液剤Cを噴出することができなくなる。本発明の液剤流入延設部材によれば、液剤を排出するための延伸流入口が複数設けられることにより、液剤が液剤容器の缶底周縁の各方位から排出されることができるようになる。要するに、本発明は、缶内の液剤の残量がいくら残っていても、倒立状態を除き、缶体が正立状態、仰向け状態或は横倒し状態であっても、少なくとも一つの延伸流入口が液剤に浸漬されていることで、液剤容器の缶底周縁の各方位から液剤を排出することが可能となり、従来技術の浸漬管(上述したような略湾曲を呈する浸漬管であれストレート状の浸漬管であれ)では実現できなかった機能を実現することができる。
【0044】
図13~
図18に示すように、本願の第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであるが、例えば、浸漬管の横断面形状や、接続部の内径孔及び弁座の液剤流入口の内径孔の輪郭、またはそれぞれの面取部、角取部などの技術特徴が同じであり、それらの部分に関する説明はここで省略するが、第2実施形態と第1実施形態との相違点としては、第2実施形態で使用されている液剤容器は、缶体胴部の外径が48mm、開口部の内径が33.6mmのPET製のプラスチック缶体Aである点と、液剤流入延設部材の本体部10における両円弧状サイド端面105間の距離Lが44.0mm、両直線状サイド端面106間の距離Wが、31.6mmに設定されている点と、当該缶体Aに取り付けられるバルブ機構が押圧式スプレーポンプ33である点において異なる。本願の第2実施形態において使用されている液剤容器は、非圧縮空気(uncompressed air)を使用したプラスチック液剤容器であることで、その缶体Aの底部がドーム状に盛り上がっておらず、平らであるので、液剤流入延設部材の本体部10Bは、対応する扁平円盤型構造体となっている。本実施形態における本体部10Bを缶体A内に入れ込む方法は、第1実施形態と同様であるので、ここではその具体的な説明を省略する。また、ここで使用される押圧式スプレーポンプ33も既存製品であるので、その内部構造についての説明を省略する。尚、第2実施形態においては、当該接続部101Bの軸心位置が中央に位置するが、これに限定されるものではなく、当該接続部101Bの軸心位置は、本体部10の第1端部14側或は第2端部15側に偏っていてもよい。使用時には、噴射ボタンキャップ20Bの押圧操作で、第2実施形態に係る押圧式スプレーポンプは、両端が本体部10Bの接続部101Bの内径孔102B及び弁座31Bの液剤流入口の内径孔32Bに挿設されている二等辺三角形の浸漬管Bにより、缶体Aの胴部と底部が接する内周縁の角部に沿って間隔を置いて配置されている複数の延伸流路11Bを介して液剤Cを各方位から吸引して噴出口21Bから吐出する。使用する際、噴射ボタンキャップ20Bを押圧すると、液剤Cは順次、複数の延伸流入口12B、複数の延伸流路11B、合流流入口1011B及び浸漬管Bを経由して弁座31Bの液剤流入口の内径孔32Bに入り、その後、噴出口21Bから噴出される。
【0045】
下表は、本発明の第1実施形態及び第2実施形態の各部材の寸法及び仕様を示すものである。
【0046】
【0047】
図19~
図26に示すように、本願の第3実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであるが、例えば、浸漬管の横断面形状や、接続部の内径孔及び弁座の液剤流入口の内径孔の輪郭、またはそれぞれの面取部、角取部などの技術特徴が同じであり、それらの部分に関する説明はここで省略するが、第3実施形態と第1実施形態との相違点としては、延伸流路の構成が異なることである。具体的に述べると、第1実施形態に係る延伸流路11は、組み合わせられている下部材104の頂面の溝状凹部13と上部材103の底面とから形成されているが、第3実施形態に係る延伸流路11Cは、軟質チューブ16C内に形成されている。以下、第3実施形態に係る延伸流路11Cについて説明する。第3実施形態における本体部10Cが軟質チューブ16Cを複数備え、それらの軟質チューブ16Cは、本体部10Cの外周側面から突出すると共に、接続部101C上の合流流入口1011Cを介して浸漬管Bに連通しており、複数の延伸流入口12Cがそれぞれ、各軟質チューブ16Cの外方端部に形成されている。第3実施形態においては、上部材103Cの底面に、それらの軟質チューブ16Cの片側を受ける断面半円弧状の溝状凹部17Cが複数形成され、下部材104の頂面に、それらの軟質チューブ16Cの他方の片側を受ける断面半円弧状の溝状凹部13Cが複数形成され、このような構成により、上、下部材103C、104Cを組み合わせると、複数の軟質チューブ16Cが上部材103Cと下部材104の間に挟まれるように固定される。本実施形態における本体部10Cを缶体A内に入れ込む方法は、第1実施形態と同様であるので、ここではその具体的な説明を省略する。使用時には、噴射ボタンキャップ20Cの押圧操作で、両端が弁座31Cの液剤流入口の内径孔32C及び本体部10Cの接続部101Cの内径孔102Cに挿設された二等辺三角形状の浸漬管Bにより、缶体Aの胴部と底部が接する内周縁の角部まで延在するように間隔を置いて配置されている複数の軟質チューブ16Cの延伸流入口12Cを介して液剤Cを排出して噴出口21Cから吐出する。使用する際、噴射ボタンキャップ20Cを押圧すると、液剤Cは順次、複数の延伸流入口12C、複数の延伸流路11C、合流流入口1011C及び浸漬管Bを経由して弁座31Cの液剤流入口の内径孔32Cに入り、その後、噴出口21Cから噴出される。
【0048】
尚、
図22、
図23A~
図23Cに示すように、本願の第3実施形態においては、複数の軟質チューブ16Cを利用することにより、係る本体部10Cの体積を縮小することが可能となるので、本体部10Cを缶体A内に入れ込む際に、より簡単に行うことができる。また、係る本体部10Cに異なる長さの軟質チューブ16Cを取り付けることにより、異なる内径寸法を持つ缶体Aに装着することができ、一つのサイズの本体部10Cを生産すれば、異なる缶体Aに対応することができるので、生産コスト及び在庫管理の負担を低減する。
図23A~
図23Cに示すように、第3実施形態に係る液剤流入延設部材を液剤容器内に入れ込む前に、まず、下部材104Cのそれぞれの溝状凹部13Cに、所要サイズの軟質チューブ16Cを挿設し、次いで、対応する缶体Aの底部の形に応じて軟質チューブ16Cの形を整えば、軟質チューブ16Cの事前設置作業が完了する。尚、軟質チューブ16Cは、缶体Aの底部の形に沿って弾性変形することが可能であるので、液剤流入延設部材の入れ込み作業をより簡単に行うために、軟質チューブ16Cを取り付け対象の缶体Aの底部の形よりも若干多めに湾曲させてもよい。ここで使用されている軟質チューブ16Cは、内径1.3mm、外径1.9mmのLDPE(Low-density polyethylene, 低密度ポリエチレン)製のチューブであることが好ましいが、これに限定されるものではない。さらに、第3実施形態に係る軟質チューブ16Cは、エアゾールバルブ30(Aerosol Valve)及び押圧式スプレーポンプ33(Press-type spray pump)などに適用する。
【0049】
前述した技術特徴によれば、本発明の優れた点は、内部に複数の延伸流路11が形成された液剤流入延設部材の本体部10が、液剤容器の缶体A底部周縁まで延在するように形成されることにより、それらの延伸流路11の末端にある延伸流入口12が、液剤容器の缶体A底部周縁に沿って間隔を置いて配置されることになることである。かくして、それらの延伸流路11と連通するように本体部10に連結される浸漬管Bの尾端は、缶体A底部周縁に沿って配置されている複数の延伸流入口12に延長されることになり、缶内の液剤Cの残量がいくら残っていても、缶体Aが正立状態、仰向け状態或は横倒し状態であっても、少なくとも一つの延伸流入口12が液剤Cに浸漬されていることで、液剤容器の缶底周縁の各方位から液剤Cを排出することが可能となる。また、本発明に係る液剤流入延設部材は、例えば、地球環境に優しい液化冷媒ガス(HFO-1234yf)が充填され、噴射ボタンプキャッが搭載されたエアゾール容器であれ、非圧縮空気(uncompressed air)を使用したプラスチック液剤容器であれ、または飲用ストロが取り付けられた哺乳瓶であれ、各種の液剤容器に適用可能であるので、汎用性に優れている。要するに、本発明によれば、缶体A内の液剤Cをほぼ完全に吐出又は吸引することができ、従来の液剤容器にはない、缶体Aに過剰な液剤Cが残留することによる無駄を回避できるという利点がある。
【0050】
以上の説明は、本発明の好適な実施形態に過ぎず、本発明に対して何ら限定を行うものではない。本発明について、比較的好適な実施形態をもって上記のとおり開示したが、これは本発明を限定するものではなく、すべての当業者が、本発明の技術構想を逸脱しない範囲において、本発明の技術の本質に基づいて上記の実施形態に対して行ういかなる簡単な修正、変更及び修飾も、依然としてすべて本発明の技術構想の範囲内にある。
【符号の説明】
【0051】
A 缶体
B 浸漬管
C 液劑
D1 内径
D2 外径
L、L1、L2 距離
W 距離
10、10B、10C 本体部
11、11B、11C 延伸流路
12、12B、12C 延伸流入口
13、13B、13C 溝状凹部
14 第1端部
15 第2端部
16C 軟質チューブ
17C 溝状凹部
101、101B、101C 接続部
1011、1011B、1011C 合流流入口
102、102B、102C 内径孔
103、103B、103C 上部材
104、104B、104C 下部材
105 円弧状サイド端面
106 直線状サイド端面
107、107B、107C 貫通穴
108 面取部
109、110、110B、110C 角取部
111 凸状リブ
112、113 位置決め溝部
20、20B、20C 噴射ボタンキャップ
21、21B、21C 噴出口
30 エアゾールバルブ
31、31B、31C 弁座
32、32B、32C 内径孔
33 押圧式スプレーポンプ
91 缶体
92 バルブ機構
93 噴射ボタンキャップ
931 噴出口
94 浸漬管
941 尾端吸水口
【要約】 (修正有)
【課題】液剤容器の缶体底部周縁まで延在する、液剤を排出するための液剤流入口を複数個有する、液剤容器及びそれに用いられる液剤流入延設部材を提供する。
【解決手段】液剤容器の缶体内に配置されると共に浸漬管に接続される、液剤容器用の液剤流入延設部材であって、本体部を備え、当該本体部は、液剤容器の缶体底部周縁まで延在するように形成されると共に、その内部に形成された複数の延伸流路と、浸漬管に連結される接続部とを含み、複数の延伸流路は、液剤容器の径方向に延びると共に、その径方向外方端部に延伸流入口を有し、複数の延伸流入口は、液剤容器の缶体底部周縁に沿って間隔を置いて配置され、接続部は複数の延伸流路及び浸漬管に連通し、これにより、浸漬管と複数の延伸流入口とが連通することを特徴とする。
【選択図】
図7