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特許7475106極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスク及びフォトマスク
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  • 特許-極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスク及びフォトマスク 図1
  • 特許-極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスク及びフォトマスク 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスク及びフォトマスク
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/24 20120101AFI20240419BHJP
   G03F 1/32 20120101ALI20240419BHJP
   G03F 1/84 20120101ALI20240419BHJP
   G03F 1/80 20120101ALI20240419BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
G03F1/24
G03F1/32
G03F1/84
G03F1/80
H01L21/302 301M
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2023002076
(22)【出願日】2023-01-11
【審査請求日】2023-01-11
(31)【優先権主張番号】10-2022-0131244
(32)【優先日】2022-10-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】514205126
【氏名又は名称】エスアンドエス テック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】キム,ヨン-ダエ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,チュル-キュ
(72)【発明者】
【氏名】ウ,ミ-キュン
【審査官】菅原 拓路
(56)【参考文献】
【文献】特開2022-130293(JP,A)
【文献】特開2022-064956(JP,A)
【文献】特開2022-115074(JP,A)
【文献】国際公開第2019/225737(WO,A1)
【文献】国際公開第2009/122972(WO,A1)
【文献】特開2010-009001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/00
H01L 21/302
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板、前記基板上に形成された反射膜、前記反射膜上に形成されたキャッピング膜、前記キャッピング膜上に形成されたエッチング阻止膜、及び前記エッチング阻止膜上に形成された位相反転膜を含み、
前記位相反転膜はルテニウム(Ru)を含み、
前記エッチング阻止膜はクロム(Cr)及びニオビウム(Nb)を含み、
前記位相反転膜上に形成されたハードマスク膜をさらに含み、
前記ハードマスク膜はタンタル(Ta)及び酸素(O)を含み、
前記ハードマスク膜のタンタル(Ta)含有量は50at%以上である
ことを特徴とする極紫外線リソグラフィ用ブランクマスク。
【請求項2】
前記エッチング阻止膜のニオビウム(Nb)含有量は20~50at%であり、クロム(Cr)含有量は10~40at%であることを特徴とする、請求項1に記載の極紫外線リソグラフィ用ブランクマスク。
【請求項3】
前記エッチング阻止膜は、窒素(N)をさらに含むことを特徴とする、請求項2に記載の極紫外線リソグラフィ用ブランクマスク。
【請求項4】
前記エッチング阻止膜の窒素(N)含有量は10~70at%であることを特徴とする、請求項3に記載の極紫外線リソグラフィ用ブランクマスク。
【請求項5】
前記エッチング阻止膜は15nm以下の厚さを有することを特徴とする、請求項4に記載の極紫外線リソグラフィ用ブランクマスク。
【請求項6】
前記ハードマスク膜はボロン(B)をさらに含むことを特徴とする、請求項に記載の極紫外線リソグラフィ用ブランクマスク。
【請求項7】
前記ハードマスク膜のボロン(B)含有量は20at%以下であることを特徴とする、請求項に記載の極紫外線リソグラフィ用ブランクマスク。
【請求項8】
前記ハードマスク膜は2~5nmの厚さを有することを特徴とする、請求項に記載の極紫外線リソグラフィ用ブランクマスク。
【請求項9】
前記ハードマスク膜は193nm波長のDUV検査光に対して40%以下の反射率を有することを特徴とする、請求項に記載の極紫外線リソグラフィ用ブランクマスク。
【請求項10】
請求項1のブランクマスクを用いて製造された極紫外線リソグラフィ用フォトマスク。
【請求項11】
請求項のブランクマスクを用いて極紫外線リソグラフィ用フォトマスクを製造する方法であって、
a)前記ハードマスク膜上にレジスト膜パターンを形成する段階と、
b)前記レジスト膜パターンをエッチングマスクとして用いてフッ素系エッチングガスによって前記ハードマスク膜をエッチングする段階と、
c)前記レジスト膜パターンを除去する段階と、
d)前記ハードマスク膜のパターンをエッチングマスクとして用いて酸素含有の塩素系エッチングガスによって前記位相反転膜をエッチングする段階と、
e)前記ハードマスク膜のパターン及び前記位相反転膜のパターンをエッチングマスクとして用いて酸素不含の塩素系エッチングガスによって前記エッチング阻止膜をエッチングする段階と、
を含むことを特徴とするフォトマスク製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ブランクマスク(Phase shift Blankmask)及びフォトマスク(Photomask)に関し、ウエハープリンティング(Wafer Printing)時に、優れた解像度(Resolution)の具現のためにEUV露光光に対して位相を反転させる位相反転膜を備えた極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスク及びこれを用いて製造されるフォトマスクに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体製造のためのリソグラフィ技術は、ArF、ArFi MP(Multiple)リソグラフィからEUVリソグラフィ技術へと発展している。EUVリソグラフィに用いられるブランクマスクは、一般に、基板上にEUV光を反射する反射膜、及びEUV光を吸収する吸収膜の2種の薄膜を含んでなる。
【0003】
最近では、上記のような吸収膜を備えたバイナリ形態のブランクマスクに比べてより高い解像度(Resolution)を具現できる位相反転ブランクマスクの開発が試みられている。位相反転ブランクマスクはバイナリブランクマスクに比べて高いNILS(Normalized Image Log Slop)を有し、これにより、ウエハープリンティング(Wafer Printing)時にショット雑音効果(Shot Noise Effect)による確率的欠陥(Stochastic Defect)を減らすことができる。また、位相反転ブランクマスクは、低いDtC(Dose to Clear)の具現が可能であり、半導体生産性を高めることができる。
【0004】
EUVリソグラフィ用位相反転ブランクマスクにおいて、位相反転膜は、フォトマスクの製造が容易であり、ウエハープリンティング時に優れたパフォーマンス(Performance)を有する材料を用いて製造されることが好ましい。このような点を考慮した位相反転膜の材質としてルテニウム(Ru)が研究されている。
【0005】
図1は、ルテニウム(Ru)を含む位相反転膜を備えた極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスクの構造を示す図である。図1の構造は、本発明の技術的特徴を説明するために、本発明と対比される出願人自分の技術を示しているものであり、以下に説明される図1の構造が本発明の出願前に公知されたということを意味するものではない。
【0006】
極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスクは、基板102、基板102上に形成された反射膜104、反射膜104上に形成されたキャッピング膜105、キャッピング膜105上に形成されたエッチング阻止膜107、エッチング阻止膜107上に形成された位相反転膜108、位相反転膜108上に形成されたハードマスク膜109、及びハードマスク膜109上に形成されたレジスト膜110を含む。
【0007】
キャッピング膜105は一般にルテニウム(Ru)を含む物質で形成され、位相反転膜108もルテニウム(Ru)を含む物質、具体的にはRuONで形成される。
【0008】
エッチング阻止膜107は2層構造、すなわち、キャッピング膜105上の第1層107a、及び第1層107a上の第2層107bで構成される。第1層107aはTaBNで形成され、第2層107bはTaBOで形成される。
【0009】
ハードマスク膜109はTaBOからなる。
【0010】
上記のような構成のブランクマスクを用いてフォトマスクを製造するために、まず、電子ビーム書き込み(e-beam Writing)後に現像(Develop)工程によってレジスト膜110のパターンを形成し、レジスト膜パターンをエッチングマスクにしてTaBOのハードマスク膜109をエッチングしてハードマスク膜パターンを形成する。この時、エッチングガスとしてフッ素(F)系ガスを使用する。その後、レジスト膜パターンを除去した後、ハードマスク膜パターンをエッチングマスクにして酸素(O2)含有の塩素(Cl2)系ガスを用いて位相反転膜108をエッチングする。
【0011】
一方、タンタル(Ta)は塩素系ガスによってエッチングされるが、タンタル(Ta)に酸素(O)が追加される場合にはフッ素(F)系ガスによってエッチングされる特性を有する。したがって、エッチング阻止膜107のエッチング工程では、まず、TaBOの第2層107bがフッ素系ガスによってエッチングされ、この時、ハードマスク膜109のパターンが共にエッチングされて除去される。その後、酸素(O2)不含の塩素(Cl2)系ガスを用いてエッチング阻止膜107の第1層107aをエッチングする。これで、位相反転フォトマスクの製造が完了する。
【0012】
上記のような構造の位相反転ブランクマスクにおいて、ルテニウム(Ru)を含む位相反転膜108は塩素系ガスによってエッチングされ、この時、一定以上のエッチング速度を確保するために酸素(O2)含有の塩素(Cl2)系ガスが使用される。ところが、図1の構造では、キャッピング膜105及び位相反転膜108が両方ともルテニウム(Ru)を含む。したがって、仮にエッチング阻止膜107が存在しないと、位相反転膜108のパターニングのためにエッチングする際に、エッチング物質に含まれた酸素(O2)によってキャッピング膜105にダメージ(damage)が発生し、キャッピング膜105の反射率が減少する。エッチング阻止膜107は、酸素(O2)含有の塩素(Cl2)系ガスがキャッピング膜105と接することを防止することによってキャッピング膜105のダメージ(damage)を防止する機能を担う。
【0013】
一方、Ruを含む位相反転膜107を形成する場合には、エッチング阻止膜107が上記のように2層構造で形成されることが好ましい。仮にエッチング阻止膜107がTaBNの単一層で構成されると、TaBNが酸化に弱いため、RuONの位相反転膜108のエッチング時に酸素(O2)によってエッチング阻止膜107の表面に酸化が発生する。このような酸化は、ランダムな分布によってエッチング阻止膜107の表面の欠陥(defect)を誘発し、また、塩素(Cl2)系ガスを用いたエッチング時にエッチング率の低下を招く。また、塩素(Cl2)系ガスを用いたエッチングは、主に化学的側面のエッチング(Chemical Etching)であり、フッ素(F)系ガスを用いたエッチングは主に、物理的側面のエッチング(Physical Etching)である。したがって、仮にエッチング阻止膜107がTaBOの単一層で構成されると、フッ素(F)系ガスを用いたエッチング時にキャッピング膜105が物理的ダメージを受けてしまう。このような点から、第1層107aをTaBNで形成し、第2層107bをTaBOで形成し、これにより、キャッピング膜105が酸素(O2)によるダメージ及びフッ素(F)系ガスによるダメージを受けずにすむ。
【0014】
このように、エッチング阻止膜107が2層構造を有することにより、エッチング阻止膜107の各層107a,107bの形成工程が別個になされ、工程数が増加する。このため、薄膜設計の複雑性が増加し、追加される薄膜に対する洗浄と欠陥制御が要求されるなどの問題点がある。ブランクマスクを用いて製造されたフォトマスクに対しても洗浄などのような追加の工程が要求される。このような問題は、結局としては、収率(Yield)を悪化させる要因として作用する。
【0015】
また、上記のような構造において、ハードマスク膜109は、エッチング阻止膜107の第2層107bのエッチング工程で除去され、これにより、ルテニウム(Ru)を含む位相反転膜108が最上部に位置する。ところが、ルテニウム(Ru)は193nm波長のDUV検査光に対して表面反射率が高いため、DUV検査光を用いた検査時に検査感度が低いという問題点がある。このような問題点を解決するために、図1の構造では、ルテニウム(Ru)に酸素(O)を追加することによって位相反転膜108の表面反射率を下げている。ところが、ルテニウム(Ru)に酸素(O)が追加される場合には屈折率(n)が高くなり、よって、位相反転膜108において要求される位相反転量が具現し難くなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、上記の問題点を解決するために案出されたものであり、本発明の目的は、ルテニウム(Ru)を含む位相反転膜を備えたブランクマスクにおいて要求される位相反転量を具現するとともに、DUV検査光に対する検査感度も上げることができ、且つ、薄膜の個数を減らすことによって薄膜形成工程が簡単になり、収率が増加する方案を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明に係るEUVリソグラフィ用ブランクマスクは、基板、前記基板上に形成された反射膜、前記反射膜上に形成されたキャッピング膜、前記キャッピング膜上に形成されたエッチング阻止膜、及び前記エッチング阻止膜上に形成された位相反転膜を含む。前記位相反転膜はルテニウム(Ru)を含み、前記エッチング阻止膜はクロム(Cr)及びニオビウム(Nb)を含む。
【0018】
前記エッチング阻止膜のニオビウム(Nb)含有量は20~50at%であり、クロム(Cr)含有量は10~40at%である。
【0019】
前記エッチング阻止膜は窒素(N)をさらに含むことが好ましい。
【0020】
前記エッチング阻止膜の窒素(N)含有量は10~70at%である。
【0021】
前記エッチング阻止膜は15nm以下の厚さを有する。
【0022】
本発明のブランクマスクは、前記位相反転膜上に形成されたハードマスク膜をさらに含むことができる。
【0023】
前記ハードマスク膜はタンタル(Ta)及び酸素(O)を含む。
【0024】
前記ハードマスク膜のタンタル(Ta)含有量は50at%以上である。
【0025】
前記ハードマスク膜はボロン(B)をさらに含むことができる。
【0026】
前記ハードマスク膜のボロン(B)含有量は20at%以下である。
【0027】
前記ハードマスク膜は2~5nmの厚さを有する。
【0028】
前記ハードマスク膜は193nm波長のDUV検査光に対して40%以下の反射率を有する。
【0029】
本発明の他の側面によれば、上記のような構成のブランクマスクを用いて製造された極紫外線リソグラフィ用フォトマスクが提供される。
【0030】
本発明のさらに他の側面によれば、a)前記ハードマスク膜上にレジスト膜パターンを形成する段階と、b)前記レジスト膜パターンをエッチングマスクとして用いてフッ素系エッチングガスによって前記ハードマスク膜をエッチングする段階と、c)前記レジスト膜パターンを除去する段階と、d)前記ハードマスク膜のパターンをエッチングマスクとして用いて酸素含有の塩素系エッチングガスによって前記位相反転膜をエッチングする段階と、e)前記ハードマスク膜のパターンと前記位相反転膜のパターンをエッチングマスクとして用いて酸素不含の塩素系エッチングガスによって前記エッチング阻止膜をエッチングする段階とを含むことを特徴とするフォトマスク製造方法が提供される。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、EUV用の位相反転ブランクマスクに対して要求される特性、すなわち、ウエハープリンティング時に優れたな解像度(Resolution)及びNILS(Normalized Image Log Slop)の具現が可能であり、低いDtC(Dose to Clear)の具現が可能である。
【0032】
また、本発明では、ルテニウム(Ru)を含む位相反転膜を備えたブランクマスクが、従来技術に比べて少ない個数の薄膜を備え、且つDUV検査光に対する検査感度が高くなる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスクの構造を示す図である。
図2】本発明に係る極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスクを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、図面を参照して本発明をより具体的に説明する。
【0035】
図2は、本発明に係る極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスクを示す図である。
【0036】
本発明に係る極紫外線リソグラフィ用位相反転ブランクマスクは、基板202、基板202上に形成された反射膜204、反射膜204上に形成されたキャッピング膜205、キャッピング膜205上に形成された位相反転膜208、及び位相反転膜208上に形成されたレジスト膜210を備える。
【0037】
基板202は、EUV露光光を用いる反射型ブランクマスク用ガラス基板として適合するように、露光時の熱によるパターンの変形及びストレスを防止するために0±1.0×10-7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有し、好ましくは、0±0.3×10-7/℃の範囲内の低熱膨張係数を有するLTEM(Low Thermal Expansion Material)基板で構成される。基板202の素材としてはSiO2-TiO2系ガラス、多成分系ガラスセラミックなどを用いることができる。
【0038】
反射膜204は、EUV露光光を反射する機能を有し、各層の屈折率が互いに異なる多層膜構造を有する。具体的には、反射膜204は、Mo材質の層とSi材質の層を交互に40~60層積層して形成される。
【0039】
キャッピング膜205は、反射膜204の酸化膜の形成を防止することにより、反射膜204のEUV露光光に対する反射率を維持させ、エッチング阻止膜207のパターニング進行時に反射膜204がエッチングされることを防ぐ役割を担う。一般に、キャッピング膜205は、ルテニウム(Ru)を含む材質で形成される。キャッピング膜205は、2~5nmの厚さで形成される。キャッピング膜205の厚さが2nm以下であれば、キャッピング膜205としての機能を発揮し難く、5nm以上であれば、EUV露光光に対する反射率が低下する問題がある。
【0040】
位相反転膜208は露光光の位相を反転させて反射させることにより、反射膜204によって反射される露光光を打消し干渉させる。位相反転膜208はルテニウム(Ru)を含み、これにより、位相反転膜208は塩素(Cl2)系ガスによってエッチングされる。特に、エッチング速度を確保するために、位相反転膜208は、酸素(O2)を含む塩素(Cl2)系ガスによってエッチングされる。好ましくは、位相反転膜208は窒素(N)をさらに含む。窒素(N)が含まれる場合に位相反転膜(N)の屈折率が増加するため、窒素(N)の含有量は適切に選択される必要がある。好ましくは、窒素(N)の含有量は40at%以下であり、これに応じて、位相反転膜208のルテニウム(Ru)の含有量は60at%以上であることが好ましい。
【0041】
位相反転膜208は、13.5nm波長の露光光に対して、反射膜204に対する相対反射率が6~15%である。ここで、相対反射率は、反射膜204とキャッピング膜205の積層構造における反射率に対する位相反転膜208における反射率の比率を意味する。また、位相反転膜208は180~220゜、好ましくは185~220゜の位相反転量を有する。位相反転膜208は50nmの厚さを有し、好ましくは45nm以下の厚さを有する。
【0042】
ハードマスク膜209は位相反転膜208エッチング時にエッチングマスクとして用いられ、そのために、ハードマスク膜209は位相反転膜208に対してエッチング選択比を有する物質で形成される。また、本発明においてハードマスク膜209はDUV検査光を用いた検査のために用いられ、そのために、反射率の低い物質で形成される。
【0043】
このような点を考慮して、本発明においてハードマスク膜209はタンタル(Ta)を含む物質で形成され、フッ素(F)系ガスによってエッチングされるように、酸素(O)をさらに含む物質で形成される。このとき、ハードマスク膜209のタンタル(Ta)含有量は50at%以上であることが好ましい。
【0044】
ハードマスク膜209はボロン(B)をさらに含む。ハードマスク膜209のボロン(B)含有量は20at%以下、好ましくは15at%以下である。ハードマスク膜209は5nm以下、好ましくは2~4nmの厚さを有する。
【0045】
ハードマスク膜209は193nm波長のDUV検査光に対して40%以下、好ましくは35%以下の反射率を有する。
【0046】
エッチング阻止膜207は位相反転膜208のエッチング時にキャッピング膜205を保護する機能を有する。エッチング阻止膜207は、位相反転膜208のエッチング後に、ハードマスク膜209のパターン及び位相反転膜208のパターンをエッチングマスクにしてエッチングされ、この時、キャッピング膜205のダメージを防止するために、エッチング阻止膜207は、酸素(O2)を含有しないガスによってエッチングされる必要がある。また、エッチング阻止膜207のエッチング工程においてハードマスク膜209のパターンが除去されないようにするためには、エッチング阻止膜207はハードマスク膜209に対してエッチング選択比を有する必要がある。したがって、エッチング阻止膜207は、酸素(O2)不含の塩素(Cl2)系ガスによってエッチングされることが好ましい。
【0047】
本発明において、エッチング阻止膜207は、クロム(Cr)及びニオビウム(Nb)を含む物質で形成される。好ましくは、エッチング阻止膜207は窒素(N)をさらに含む。このとき、エッチング阻止膜207のニオビウム(Nb)含有量は20~50at%、クロム(Cr)含有量は10~40at%、窒素(N)含有量は10~70at%であることが好ましい。ニオビウム(Nb)含有量が20at%以下である場合には、エッチング阻止膜207のエッチング速度が低下し、50at%以上である場合には、化学的洗浄工程の効率が低下する。窒素(N)含有量が10at%以下である場合にはLERが低下する。
【0048】
エッチング阻止膜207は20nm以下、好ましくは15nm以下の厚さを有する。
【0049】
レジスト膜210は、化学増幅型レジスト(CAR:Chemically Amplified Resist)によって構成される。レジスト膜210は40~100nm、好ましくは40~80nmの厚さを有する。
【0050】
上記のような構造のブランクマスクは、下記のような長所を有する。
【0051】
ハードマスク膜209がフォトマスク製造後に残存し、その反射率が低いので、DUV検査光に対するコントラストが高い。したがって、ハードマスク膜209がDUV検査光に対する検査膜として機能する。
【0052】
ハードマスク膜209が検査膜として機能するので、図1のようにハードマスク膜209が除去される場合とは違い、位相反転膜208の表面反射率を下げる必要がない。したがって、位相反転膜208が、ルテニウム(Ru)を含むものの、酸素(O)は含まない物質で形成されてよく、これにより、位相反転膜208の屈折率(n)の制御が容易であり、要求される位相反転量の具現が容易である。図1の構成においてRuON材質の位相反転膜108は、屈折率が0.91程度と高いが、図2の構成においてRuN材質の位相反転膜208は、0.88~0.90の屈折率を有する。また、位相反転膜208が酸素(O)を含まないので、NILS及びDtCが改善される。
【0053】
選択的には、ハードマスク膜209は、別個の工程によって除去されてもよい。この場合には、DUV検査光を用いた検査のために、位相反転膜208に酸素(O)が追加されてよい。
【0054】
エッチング阻止膜207を構成するCrNbは、図1のTaBN/TaBOに比べて屈折率(n)及び消滅係数(k)が低い。これにより、図1の構成に比べてNILS及びDtCが改善される。
【0055】
上記のような構成のブランクマスクを用いてフォトマスクを製造する工程は、下記の通りである。
【0056】
まず、電子ビーム書き込み及び現像工程によってレジスト膜210のパターンを形成した後、レジスト膜パターンをエッチングマスクにしてハードマスク膜209をエッチングする。ハードマスク膜209のエッチングにはフッ素(F)系エッチングガスが使用される。
【0057】
レジスト膜パターンを除去し、ハードマスク膜209のパターンをエッチングマスクにして位相反転膜208をエッチングする。位相反転膜208のエッチングには酸素(O2)含有の塩素(Cl2)系エッチングガスが使用される。
【0058】
ハードマスク膜209のパターン及び位相反転膜208のパターンをエッチングマスクにしてエッチング阻止膜207をエッチングする。エッチング阻止膜207のエッチングには酸素(O2)不含の塩素(Cl2)系ガスが使用される。具体的には、酸素(O2)含有の塩素(Cl2)系ガスによる位相反転膜208のエッチング終点をEPD(End Point Detection)装備を用いて確認した後、酸素(O2)不含の塩素(Cl2)系ガスを用いてエッチング阻止膜207をエッチングする。これにより、フォトマスク製造が完了する。
【0059】
位相反転膜208のエッチング及びエッチング阻止膜207のエッチングの両方において塩素(Cl2)系エッチングガスが使用されるので、ハードマスク膜209のパターンはエッチングされずにフォトマスク内に残存する。
【0060】
このような工程ではエッチング阻止膜のパターニングが1回のエッチング工程によって行われる。したがって、図1の構成によるブランクマスクを用いる工程に比べて工程が簡単であるとの長所がある。
【0061】
以上では、図面を参照して、本発明の実施例を挙げて本発明を具体的に説明したが、実施例は、単に本発明を例示及び説明するための目的で用いられただけで、意味の限定、又は特許請求の範囲上に記載の本発明の範囲の制限のために用いられたものではない。したがって、本発明の技術分野における通常の知識を有する者であれば、実施例から様々な変形及び均等な他の実施例が可能である点が理解できよう。したがって、本発明の真の技術力保護範囲は、特許請求の範囲上の技術的事項によって定められるべきであろう。
【要約】      (修正有)
【課題】ブランクマスクにおいて要求される位相反転量を具現するとともに、DUV検査光に対する検査感度も上げることができ、且つ、薄膜の個数を減らすことによって薄膜形成工程が簡単になり、収率が増加する方案を提供する。
【解決手段】EUVリソグラフィ用ブランクマスクは、基板上に順次形成された反射膜、キャッピング膜、エッチング阻止膜、位相反転膜及びハードマスク膜を備える。位相反転膜はルテニウム(Ru)を含み、エッチング阻止膜はクロム(Cr)及びニオビウム(Nb)を含む。ハードマスク膜はタンタル(Ta)及び酸素(O)を含む。ハードマスク膜のタンタル(Ta)含有量は50at%以上である。ブランクマスクは、ウエハープリンティング時に優れた解像度及びNILS具現が可能であり、低いDtC(Dose_to_Clear)の具現が可能である。
【選択図】図2
図1
図2