(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】放射線撮影システムおよび制御装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240419BHJP
【FI】
A61B6/00 520Z
(21)【出願番号】P 2019219078
(22)【出願日】2019-12-03
【審査請求日】2022-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 恵梨子
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-029419(JP,A)
【文献】特開2018-175677(JP,A)
【文献】特開2010-107202(JP,A)
【文献】特開2013-097074(JP,A)
【文献】特開2013-141559(JP,A)
【文献】特開2008-206971(JP,A)
【文献】特開2011-101693(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射線画像を取得するためのセンサ部を含み、非接触で受電が可能な放射線撮影装置と、前記放射線撮影装置に非接触で給電が可能な給電装置と、制御部と、を含む放射線撮影システムであって、
前記放射線撮影装置は、前記センサ部に放射線が照射された期間に蓄積された信号を前記センサ部から読み出す第1読出動作と、前記センサ部に放射線の照射がされていない期間に蓄積された信号を前記センサ部から読み出す第2読出動作と、を行い、
前記制御部は、前記第1読出動作および前記第2読出動作のうち先に行われる読出動作である先行動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給された電力の時間的な変化に応じて、前記第1読出動作および前記第2読出動作のうち後に行われる読出動作である後続動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給される電力を時間的に変化させ
、
前記制御部は、前記先行動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給された電力の周波数および位相の時間的な変化に応じて、前記後続動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給する電力の周波数および位相を時間的に変化させることを特徴とする放射線撮影システム。
【請求項2】
前記制御部は、前記先行動作で読み出された信号に重畳される前記給電装置から前記放射線撮影装置への給電に起因するノイズの周期的な変化が、前記後続動作で読み出された信号との差分を取ることによって小さくなるように、前記後続動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給される電力を時間的に変化させることを特徴とする請求項
1に記載の放射線撮影システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記後続動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給する電力の時間的な変化が、前記先行動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給された電力の時間的な変化と同じになるように、前記給電装置から前記放射線撮影装置に給電させることを特徴とする請求項1
または2に記載の放射線撮影システム。
【請求項4】
放射線画像を取得するためのセンサ部を含み、非接触で受電が可能な放射線撮影装置と、前記放射線撮影装置に非接触で給電が可能な給電装置と、制御部と、を含む放射線撮影システムであって、
前記放射線撮影装置は、前記センサ部に放射線が照射された期間に蓄積された信号を前記センサ部から読み出す第1読出動作と、前記センサ部に放射線の照射がされていない期間に蓄積された信号を前記センサ部から読み出す第2読出動作と、を行い、
前記制御部は、前記第1読出動作および前記第2読出動作のうち先に行われる読出動作である先行動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給された電力の時間的な変化に応じて、前記第1読出動作および前記第2読出動作のうち後に行われる読出動作である後続動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給される電力を時間的に変化させ、
前記放射線撮影システムは、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において必要な電力の最大電力を記憶した記憶部をさらに含み、
前記制御部は、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において、前記記憶部に記憶された最大電力を前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給させることを特徴とす
る放射線撮影システム。
【請求項5】
前記放射線撮影システムは、前記先行動作において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給された電力の時間的な変化の情報を取得する電源監視部をさらに含み、
前記後続動作において前記制御部は、前記電源監視部が前記先行動作で取得した電力の時間的な変化の情報に応じて電力を供給させることを特徴とする請求項1乃至
3の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項6】
前記放射線撮影装置は、内部電源と、前記放射線撮影装置における電力の供給を制御する電源制御部と、を含み、
前記電源制御部は、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において、前記給電装置から供給される電力が前記放射線撮影装置で使用される電力よりも少ない場合、前記給電装置と並行して前記内部電源から電力を供給させることを特徴とする請求項
5に記載の放射線撮影システム。
【請求項7】
前記電源制御部は、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において、前記給電装置から供給される電力が前記放射線撮影装置で使用される電力よりも少ない場合、前記給電装置および前記内部電源から供給される電力と、前記放射線撮影装置で使用される電力と、が等しくなるように前記内部電源に電力を供給させることを特徴とする請求項
6に記載の放射線撮影システム。
【請求項8】
前記電源制御部は、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において、前記給電装置から供給される電力が前記放射線撮影装置で使用される電力よりも多い場合、前記内部電源の充電を行うことを特徴とする請求項
6または
7に記載の放射線撮影システム。
【請求項9】
前記放射線撮影装置は、内部電源と、前記放射線撮影装置における電力の供給を制御する電源制御部と、を含み、
前記電源制御部は、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において、前記給電装置から供給される電力が前記放射線撮影装置で使用される電力よりも多い場合、前記内部電源の充電を行うことを特徴とする請求項1乃至
5の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項10】
前記放射線撮影装置は、負荷回路部をさらに含み、
前記電源制御部は、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において、前記給電装置から供給される電力が前記放射線撮影装置で使用される電力よりも多い場合、前記負荷回路部に電力を供給することを特徴とする請求項
6乃至
9の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項11】
前記電源制御部は、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において、前記給電装置から供給される電力が前記放射線撮影装置で使用される電力よりも多く、かつ、前記内部電源の充電容量が最大値である場合、前記負荷回路部に電力を供給することを特徴とする請求項
10に記載の放射線撮影システム。
【請求項12】
前記負荷回路部は、供給された電力を熱に変換することを特徴とする請求項
10または
11に記載の放射線撮影システム。
【請求項13】
前記電源制御部は、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において、前記給電装置から供給される電力が前記放射線撮影装置で使用される電力よりも多い場合、前記放射線撮影装置で使用される電力と、前記給電装置から供給される電力と、が等しくなるように、前記内部電源の充電、または、前記負荷回路部への電力の供給を行うことを特徴とする請求項
10乃至
12の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項14】
前記放射線撮影装置が、複数の前記内部電源を備え、
複数の前記内部電源が、前記放射線撮影装置から着脱可能な内部電源と、前記放射線撮影装置から着脱不可能な内部電源と、を含むことを特徴とする請求項
13に記載の放射線撮影システム。
【請求項15】
前記放射線撮影装置は、
放射線の照射中に前記センサ部に電荷を蓄積させ、次いで、前記第1読出動作を行う第1撮影動作と、放射線を照射せずに前記センサ部に電荷を蓄積させ、次いで、前記第2読出動作を行う第2撮影動作と、を行い、
前記第1撮影動作に次いで前記第2撮影動作、または、前記第2撮影動作に次いで前記第1撮影動作の順で連続して行うことを特徴とする請求項1乃至
14の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項16】
前記第1撮影動作および前記第2撮影動作のうち後続の撮影動作において、前記センサ部に電荷を蓄積させる前に、前記センサ部をリセットするリセット動作を行うことを特徴とする請求項
15に記載の放射線撮影システム。
【請求項17】
前記放射線撮影装置は、
放射線の照射中に前記センサ部に電荷を蓄積させ、次いで、前記第1読出動作を行う第1撮影動作を連続して行う第1動作と、放射線を照射せずに前記センサ部に電荷を蓄積させ、次いで、前記第2読出動作を行う第2撮影動作を少なくとも1回行う第2動作と、を行い、
前記第2動作に次いで前記第1動作の順で連続して行うことを特徴とする請求項1乃至
14の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項18】
前記第1撮影動作において前記センサ部に電荷を蓄積させる時間と、前記第2撮影動作において前記センサ部に電荷を蓄積させる時間と、が、互いに異なることを特徴とする請求項
15乃至
17の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項19】
前記制御部が、前記放射線撮影装置に配されることを特徴とする請求項1乃至
18の何れか1項に記載の放射線撮影システム。
【請求項20】
放射線画像を取得するためのセンサ部を含み、非接触で受電が可能な放射線撮影装置と、前記放射線撮影装置に非接触で給電が可能な給電装置と、を制御するための制御装置であって、
前記放射線撮影装置は、前記センサ部から放射線が照射された期間に蓄積された信号を読み出す第1読出動作と、前記センサ部から放射線の照射がされていない期間に蓄積された信号を読み出す第2読出動作と、を行い、
前記制御装置は、前記第1読出動作および前記第2読出動作のうち先に行われる読出動作である先行動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給された電力の時間的な変化に応じて、前記第1読出動作および前記第2読出動作のうち後に行われる読出動作である後続動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給する電力が時間的に変化するように、前記放射線撮影装置および前記給電装置を制御
し、
前記制御装置は、前記先行動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給された電力の周波数および位相の時間的な変化に応じて、前記後続動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給する電力の周波数および位相が時間的に変化するように、前記放射線撮影装置および前記給電装置を制御することを特徴とする制御装置。
【請求項21】
放射線画像を取得するためのセンサ部を含み、非接触で受電が可能な放射線撮影装置と、前記放射線撮影装置に非接触で給電が可能な給電装置と、を制御するための制御装置であって、
前記放射線撮影装置は、前記センサ部から放射線が照射された期間に蓄積された信号を読み出す第1読出動作と、前記センサ部から放射線の照射がされていない期間に蓄積された信号を読み出す第2読出動作と、を行い、
前記制御装置は、前記第1読出動作および前記第2読出動作のうち先に行われる読出動作である先行動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給された電力の時間的な変化に応じて、前記第1読出動作および前記第2読出動作のうち後に行われる読出動作である後続動作の期間において前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給する電力が時間的に変化するように、前記放射線撮影装置および前記給電装置を制御し、
前記放射線撮影装置は、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において必要な電力の最大電力を記憶した記憶部をさらに含み、
前記制御装置は、前記第1読出動作の期間および前記第2読出動作の期間において、前記記憶部に記憶された最大電力が前記給電装置から前記放射線撮影装置に供給されるように、前記放射線撮影装置および前記給電装置を制御することを特徴とする制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線撮影システムおよび制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被写体を透過した放射線の強度分布を検出し、電気信号へ変換することによって放射線画像を取得する放射線撮影装置を用いた放射線撮影システムが広く用いられている。こうした放射線撮影装置において、必要な電力を外部からの電磁界的変化を介して受け取る非接触給電が用いられる場合がある。入射した放射線によって放射線撮影装置のセンサ部で生成された信号を読み出す際に非接触給電が行われると、非接触給電の動作による電磁界の変化が信号に重畳し、得られる放射線画像の画質が低下してしまう可能性がある。特許文献1には、撮影の開始から照射された放射線による放射線画像情報のA/D変換が終了するまでの間、非接触給電を停止させることが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
放射線画像を撮影する期間において給電を停止する場合、放射線撮影装置にバッテリなどの内部電源を設置する必要がある。非接触給電を停止した場合、内部電源への充電が進まないため、放射線画像の撮影中に電力が不足してしまう可能性がある。
【0005】
本発明は、放射線撮影システムにおいて非接触給電を行うのに有利な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題に鑑みて、本発明の実施形態に係る放射線撮影システムは、放射線画像を取得するためのセンサ部を含み、非接触で受電が可能な放射線撮影装置と、放射線撮影装置に非接触で給電が可能な給電装置と、制御部と、を含む放射線撮影システムであって、放射線撮影装置は、センサ部に放射線が照射された期間に蓄積された信号をセンサ部から読み出す第1読出動作と、センサ部に放射線の照射がされていない期間に蓄積された信号をセンサ部から読み出す第2読出動作と、を行い、制御部は、第1読出動作および第2読出動作のうち先に行われる読出動作である先行動作の期間において給電装置から放射線撮影装置に供給された電力の時間的な変化に応じて、第1読出動作および第2読出動作のうち後に行われる読出動作である後続動作の期間において給電装置から放射線撮影装置に供給される電力を時間的に変化させ、制御部は、先行動作の期間において給電装置から放射線撮影装置に供給された電力の周波数および位相の時間的な変化に応じて、後続動作の期間において給電装置から放射線撮影装置に供給する電力の周波数および位相を時間的に変化させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
上記手段によって、放射線撮影システムにおいて非接触給電を行うのに有利な技術を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態に係る放射線撮影システムの構成例を示す図。
【
図2】
図1の放射線撮影システムの放射線撮影装置の構成例を示す図。
【
図3】
図1の放射線撮影システムの給電装置の構成例を示す図。
【
図4】
図1の放射線撮影システムの電力供給を説明する図。
【
図5】
図1の放射線撮影システムの撮影時の処理を示すフロー図。
【
図6】
図1の放射線撮影システムの撮影時の動作を示すタイミング図。
【
図7】
図1の放射線撮影システムの撮影時の処理を示すフロー図。
【
図8】
図1の放射線撮影システムの撮影時の動作を示すタイミング図。
【
図9】
図1の放射線撮影システムの撮影時の動作を示すタイミング図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものでない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0010】
また、本発明における放射線には、放射線崩壊によって放出される粒子(光子を含む)の作るビームであるα線、β線、γ線などの他に、同程度以上のエネルギを有するビーム、例えばX線や粒子線、宇宙線なども含みうる。
【0011】
第1の実施形態
図1~6を参照して、本開示の一部の実施形態における放射線撮影システムについて説明する。
図1は、本開示の第1の実施形態における放射線撮影システム100の構成例を示している。本実施形態において、放射線撮影装置101と放射線発生装置108とが同期して撮影を実施する同期撮影モードで放射線撮影システム100が動作する場合について示す。以下、まず、
図1を用いて放射線撮影システム100を構成する各要素とそれぞれの関係性について説明する。
【0012】
放射線撮影装置101は、放射線画像を取得するためのセンサ部を含み、非接触で受電が可能な構成を有する。また、放射線撮影装置101は、有線または無線の通信機能、または、有線と無線との両方の通信機能を備えており、通信経路を介してコンソール102とデータの送受信が可能である。
【0013】
コンソール102は、モニタなどの表示機能とユーザ(例えば、技師)からの入力を受け付ける機能とを備えたパソコン(PC)などによって構築される。コンソール102は、ユーザからの指示を放射線撮影装置101へと伝えたり、放射線撮影装置101が取得した画像を受け取ってユーザに示したりすることが可能である。また、コンソール102は、有線または無線の通信機能、または、有線と無線との両方の通信機能を備えている。
図1に示される構成では、コンソール102として据え置きタイプのコンソールが図示されているが、実際の放射線撮影システム100の運用において制約は特にない。例えば、可搬タイプのノートPCやタブレット機器などが、コンソール102として用いられてもよい。
【0014】
放射線撮影装置101は、システムの構成状況によって通信経路を構成する通信ネットワーク103、給電装置104、アクセスポイント(AP)105の何れかを介して取得した画像データをコンソール102へと送付してもよい。また、放射線撮影装置101は、画像データを直接、コンソール102へ送付してもよい。通信ネットワーク103は、例えば、LANネットワークであり、有線ケーブルを用いて通信ネットワーク103に放射線撮影装置101とコンソール102とがそれぞれ接続されることによって、データの送受信が可能となる。
【0015】
本実施形態において、放射線撮影装置101は、非接触で受電が可能な機能を備えている。放射線撮影装置101への電力供給が可能な給電装置104と放射線撮影装置101とを近接させることによって、給電装置104から放射線撮影装置101に非接触で給電が可能となる。さらに、放射線撮影装置101および給電装置104が非接触近接通信機能を備えている場合、放射線撮影装置101の非接触受電部と給電装置104の非接触給電部とに近接する部分に通信を行う構成が、設けられていてもよい。これによって、放射線撮影装置101と給電装置104とを近接させることで、放射線撮影装置101は、受電と給電装置104を介しての通信とが可能となる。
【0016】
図1に示される構成において、放射線撮影装置101と給電装置104とを接続する線のうち、線150が通信の接続(有線および/または無線)、線151が給電用の接続(非接触給電)を意味している。
図1に示される構成において、給電装置104は、通信ネットワーク103を介してコンソール102に接続される形態を示しているが、これに限られることはない。給電装置104とコンソール102とは、直接、電気的に接続されるような構成であってもよい。ここで、電気的な接続とは、互いに接続された構成間におけるデータなどの送受信を行うための接続を含む。
【0017】
放射線撮影装置101に無線による通信機能が設けられている場合、放射線撮影装置101は、AP105を介してコンソール102とデータの送受信を実現してもよい。また、
図1に示される構成において、AP105は、通信ネットワーク103を介してコンソール102に接続されている形態が示されているが、これに限られることはない。上述の給電装置104と同様に、AP105が、コンソール102に直接、電気的に接続されていてもよい。
【0018】
さらに、放射線撮影装置101やコンソール102、給電装置104、AP105が相互に直接データを送受信する機能を備えている場合、無線や有線によって、相互に直接データを送受信してもよい。
【0019】
以上、放射線撮影装置101とコンソール102との間における、データの送受信を実施する際の経路例の説明となる。
【0020】
ここで、放射線撮影装置101の充電器であるクレードル113について説明する。放射線撮影装置101の内部構成については後述するが、放射線撮影装置101は、バッテリなどの内部電源を備えており、放射線撮影装置101に対して外部から給電することによって、放射線撮影装置101に搭載された内部電源を充電することが可能である。前述の給電装置104からの受電によっても充電が可能であるが、放射線画像の撮影を実施しない場合など、放射線撮影装置101を組み付けておくことで充電が可能な機器としてクレードル113が、放射線撮影システム100に用意されていてもよい。
【0021】
クレードル113から放射線撮影装置101へ給電する機構は、コネクタなどを介して電気的な接触を必要とする給電機構でもよいし、非接触での給電機構でもよい。クレードル113へ放射線撮影装置101が組み付けられると、クレードル113は、放射線撮影装置101が組付けられたことを検知し、給電を開始できる状態となる。これによって、放射線撮影装置101は、受電および内部電源への充電が可能となる。
【0022】
図1に示される構成において、クレードル113は、放射線撮影システム100の他の構成要素と通信を行わず、単独で配される例を示しているが、これに限られることはない。クレードル113が通信機能を有し、通信ネットワーク103などを介し放射線撮影システム100の他の構成要素とデータの授受など通信ができるようにしてもよい。例えば、放射線撮影装置101がクレードル113に組み付けられている間に、放射線撮影装置101とコンソール102などの構成要素との間で、クレードル113を介して通信ができるようにしてもよい。また、放射線撮影システム100に、複数のクレードル113が配されていてもよい。
【0023】
次に、放射線による被写体110の撮影の概要について説明する。放射線撮影装置101は、被写体110の撮影を実施するにあたって、放射線管球106から照射され被写体110を透過した放射線を受ける位置に設置される。
【0024】
撮影の流れの一例を示すと、技師などのユーザが放射線撮影装置101を起動した後に、コンソール102をユーザが操作して放射線撮影装置101を撮影可能な状態にする。次いで、ユーザは放射線発生装置コンソール107を操作し、放射線を照射する撮影条件(放射線管球106の管電圧、管電流、照射時間など)を設定する。放射線を照射する撮影条件は、コンソール102を操作することによって設定されてもよい。以上の処理が終了した後、被写体110を含めた撮影準備が整ったことをユーザが確認し、例えば、放射線発生装置コンソール107に備えられた曝射スイッチを押下することによって、放射線を曝射させる。
【0025】
放射線の曝射の際、放射線発生装置108は、これから放射線の照射を開始する旨の信号を接続器109や通信ネットワーク103を介して放射線撮影装置101に通知する。
図1に示される構成において、放射線撮影装置101と放射線発生装置108とが、接続器109および通信ネットワーク103を介して接続されているが、接続に関して、この形態に限定されることなく、上述と同様に直接、放射線撮影装置101と放射線発生装置108とが接続されていてもよい。
【0026】
放射線撮影装置101に放射線の照射を開始する旨の信号が届くと、放射線撮影装置101は、放射線照射に対する準備が整っているか否かを判定する。放射線の照射に対する準備が整い、放射線画像の撮影に対する問題がなければ照射許可を放射線発生装置108へ送信する。これによって放射線の曝射が開始される。
【0027】
放射線撮影装置101は、放射線発生装置108からの通知あるいは事前に取り決められた設定時間を参照するなど各種方法で、放射線の照射終了を検出すると、放射線画像の画像データの生成を開始する。生成された画像データは、前述の通信経路を通ってコンソール102に送られる。コンソール102に送られた画像データは、例えば、コンソール102に含まれる表示部(例えば、ディスプレイ)に放射線画像として表示することができる。
【0028】
放射線撮影装置101は、被写体110の撮影部位や被写体の状況などの条件に応じて、撮影用の架台111やベッド112に組み込まれて撮影が行われてもよい。
【0029】
以上、放射線撮影装置101と放射線発生装置108とが同期して撮影を実施する同期撮影モードでの動作である。
【0030】
次に、
図2を用いて放射線撮影装置101について説明する。
図2は、放射線撮影装置101の構成例を示す図である。放射線撮影装置101は、放射線画像を取得するために、入射した放射線を電気信号に変えるセンサ部201を備える。センサ部201は、例えば、放射線を光に変換するシンチレータと、シンチレータで変換された光を検出する光検出器のアレーと、を含み構成されうる。光検出器のそれぞれは、画素とも呼ばれうる。シンチレータと光検出器アレーとは、それぞれ2次元平面の形状をしており、それぞれの面と面とが向き合う形で隣接しうる。シンチレータは、放射線によって励起され、光検出器によって検出可能な光(例えば、可視光)を発し、その光の強さと期間に合わせた電荷が、光検出器アレーのそれぞれの光検出器に蓄積される。
【0031】
センサ駆動部202は、放射線を電荷として検出するセンサ部201を駆動する。読取部203は、センサ部201を駆動した結果として出力された電荷を受け取り、デジタル情報に変換する。センサ駆動部202は、蓄積された電荷を取り出す際に、センサ部201の光検出器アレーのうち、信号を取り出す光検出器の選択を行う。読取部203は、センサ駆動部202によって選択された光検出器から取り出された信号電荷を増幅した後にデジタル化を行う。
【0032】
読取部203がデジタル化した画像データは、制御部204へ送られ、制御部204によって記憶部205へと送られる。記憶部205に記憶された画像データは、通信部206を経由して直ちに外部機器へ送られてもよい。また、画像データは、制御部204によって何らかの処理を施された後に、通信部206を経由して外部機器へ送られてもよい。また、画像データは、記憶部205に蓄積されてもよい。
【0033】
制御部204は、放射線撮影装置101の各構成要素の制御に関わる処理を行う。例えば、制御部204は、撮影に関してセンサ部201を駆動するための指示をセンサ駆動部202へと出力する。また、制御部204は、得られた画像データを記憶部205へ保存するように駆動してもよいし、記憶部205に保存された画像データを記憶部205から取り出し、通信部206を介して画像データ外部機器に送ってもよい。
【0034】
また、制御部204は、通信部206を介して他の機器へ画像データの送信、通信部206を介してコンソール102などからの指示の受信を実施する。また、制御部204は、ユーザによる操作部207の操作によって、放射線撮影装置101の起動/停止の切り替えなどを実施する。さらに、制御部204は、報知部208を介して動作状況やエラー状態をユーザに通知することも可能である。また、制御部204は、詳しくは後述するが、放射線撮影装置101に配された電源制御部217などを制御することによって、放射線画像を撮影する期間において放射線撮影装置101が受電する電力が一定となるように制御を行う。
【0035】
本実施形態において、上述の処理内容を1つの制御部204で処理しているが、放射線撮影装置101が、所定の機能ごとに複数の制御部204を有し、それぞれ分担処理してもよい。また、制御部204は、CPUやMPU、FPGA、CPLDなど様々な構成で実現可能であり、具体的な実装に関して特に制限はない。放射線撮影装置101に求められる機能や性能に応じて適当な構成を選択すればよい。
【0036】
記憶部205は、放射線撮影装置101が取得した画像データや内部処理の結果などを示すログ情報などを保存するために用いられうる。また、記憶部205は、制御部204がCPUなどのソフトウェアを用いるものであった場合、制御部204用のソフトウェアなども格納することができる。記憶部205の具体的な実装に制約はなく、記憶部205は、各種のメモリ、HDD、揮発/不揮発について様々な組み合わせで搭載可能である。また、
図2に示される構成において、1つの記憶部205しか示されていないが、複数の記憶部205が、放射線撮影装置101に配されていてもよい。
【0037】
通信部206は、放射線撮影装置101と放射線撮影システム100を構成する他の機器との通信を実現するための処理を行う。本実施形態における通信部206は、無線通信用の無線通信接続部209と接続されており、無線通信接続部209を介してコンソール102やAP105などと通信することができる。無線通信接続部209の一例としては、無線通信用のアンテナなどがあげられる。また、通信部206は、有線通信接続部210とも接続されており、有線通信接続部210を介してコンソール102などと通信することが可能である。
図2に示される構成において、有線通信接続部210は、放射線撮影装置101の外装に接して配されており、例えば、コネクタを介した接続であってもよい。また、有線通信接続部210は、近距離非接触通信の機能を有していてもよい。本実施形態では、その一例として、後述の給電装置104などの構成も含め、近距離非接触通信の機能が、有線通信接続部210に搭載されているものとして説明する。通信部206は、上述の形態に限定されず、有線通信だけあるいは無線通信だけを備える構成であってもよい。また、通信の規格や方式についても特に限定はない。
【0038】
放射線撮影装置101は、装置内に内部電源を備える。具体的には、本実施形態において、放射線撮影装置101は、内部電源211および内部電源218の2つの内部電源を備えている。本実施形態において、内部電源211は、充電池であり、放射線撮影装置101から着脱可能な内部電源である。また、内部電源218は、着脱不可能な充電池であり、撮影中などにおいて、内部電源211が外れるなど意図せずに放射線撮影装置101への電源の供給が断たれた際に、電源を必要とする各構成要素へ電力を供給し、適切なフローで実行中の処理を終了させる。これによって、放射線撮影装置101の各構成要素への電源が急に断たれたことに対する影響(ダメージ)を抑制することが可能となる。内部電源218は、通常の撮影などでは使用されず、上述のような非常時のみ機能してもよい。また、例えば、内部電源218は、内部電源211よりも充電容量が小さい電源であってもよい。本実施形態において、放射線撮影装置101は、2種類の内部電源211、218を1つずつ備えるが、これに限られることはない。放射線撮影装置101に備わる内部電源が1つだけであってもよいし、充電可、充電不可、着脱可能、着脱不可能など、様々な組み合わせの内部電源を備えていてもよい。例えば、放射線撮影装置101が、2つの着脱可能な内部電源211と、1つの着脱不可能で非常用の内部電源218を備えていてもよい。
【0039】
電源生成部212は、外部および内部の電源から電源制御部217を介して供給される電力から、放射線撮影装置101のそれぞれの構成要素が必要とする電圧および電流を生成し、分配供給する。例えば、放射線撮影装置101は、外部からの電力として、給電装置104の非接触給電機能と近接している際、給電装置104から供給されている電力を、非接触受電部213を用いて受電することが可能である。受電した電力を用いて、電源生成部212は、放射線撮影装置101のそれぞれの構成要素への電力供給を行う。
【0040】
非接触受電部213は、非接触給電機能を備える給電装置104に近接することによって、非接触受電を行うことが可能である。また、上述したように、非接触受電部213は、電力を受電するだけでなく、通信機能を用いて、非接触給電に関する情報の送受信を給電装置104との間で実施してもよい。
【0041】
本実施形態において、非接触受電部213は、受電するための部品(例えば、コイル)を用いて給電装置104と通信が可能である。このため、
図2に示される構成において、非接触受電部213は、電源監視部216を介した電源制御部217だけでなく制御部204とも接続されている。非接触受電部213は、後述するが、給電装置104から放射線撮影装置101に電力を供給する際の周波数情報を制御部204へ送信する。非接触受電部213と制御部204との間の通信は、これに限られることはなく、通信部206や他の構成を介して非接触受電部213と制御部204との間の通信が行われてもよい。
【0042】
操作部207は、ユーザから放射線撮影装置101に対する操作を受け付けるために用いられる。操作部207の実装方法は特に限定されず、ユーザから入力を受け付けられればよい。例えば、操作部207は、ユーザが手動で操作する各種スイッチやタッチパネルなどによって実現できる。また、操作部207が、ユーザが放射線撮影装置101から離れて放射線撮影装置101を操作可能なリモートコントローラからの入力を受け付ける受信部を備えていてもよい。
【0043】
報知部208は、放射線撮影装置101の状態などをユーザなどに報知するために用いられる。実装方法は特に限定されず、LEDなどを用いたランプ表示やLCDなどを用いたモニタ表示などによって実現できる。また、ユーザへの通知方法の1つとして、報知部208にスピーカなどの発音機能が備えられてもよい。
【0044】
放射線撮影装置101は、物理センサ部214を備えていてもよい。物理センサ部214は、各種の物理事象を検知するためのセンサを含む。物理現象の一例として、温度、加速度、地磁気、電磁界などが挙げられる。物理事象の検知情報を基に、制御部204が、放射線撮影装置101の状況を判断し、高温や強い衝撃を受けた場合、報知部208を介して警告を報知してもよい。また、物理事象の検知情報を基に、制御部204が、放射線撮影装置101が設置された向きなどを判断した上で、ユーザあるいはコンソール102へ使い勝手を改善するための情報(例えば、架台111への挿入方向の異常を知らせるなど)を送信してもよい。
【0045】
画像処理部215は、読取部203によってデジタル値に変換された画像データまたは記憶部205に記憶された画像データに対して、オフセット補正やゲイン補正などの画像補正処理を行う。オフセット補正は、放射線を照射した状態で取得した画像データと、照射しない状態で取得した画像データとで差分を算出することで、放射線の照射とは関係なく暗電流に起因して生じるオフセット成分を除去する。ゲイン補正は、それぞれの光検出器(画素)が持つゲインのばらつきを補正するために、得られた画像データを全画素一様な放射線を照射して撮影した画像データで除算するなどして補正する。一般的に、より高度な画像処理は、コンソール102などに画像データを転送してから実施されることが多いが、その限りではなく、放射線撮影装置101の内部で実施される画像処理内容を制限するものではない。
【0046】
電源監視部216は、給電装置104から非接触受電部213を介して放射線撮影装置101に供給された電力の時間的な変化を監視する。また、電源監視部216は、詳細は後述するが、制御部204が、給電装置104から放射線撮影装置101に電力を供給する際の動作を制御するために配される。
【0047】
電源制御部217は、制御部204からの制御に従って、放射線撮影装置101における電力の供給を制御する。電源制御部217は、内部電源211、218および非接触受電部213から供給される電力を、それぞれの構成要素に制御、分配する役割を持つ。例えば、給電装置104から非接触受電部213を介して電力が供給され、かつ、放射線画像を撮影している場合、電源制御部217は、電源生成部212を介してセンサ部201、センサ駆動部202、読取部203などへ電力を供給する。また、例えば、給電装置104から非接触受電部213を介して電力が供給され、かつ、撮影を行っていない場合、電源制御部217は、内部電源211、218への充電を行う。
【0048】
本実施形態において、放射線撮影装置101は、負荷回路部219を備える。電源制御部217は、給電装置104から供給された電力が、放射線撮影装置101において必要な電力に対して余剰となる場合、負荷回路部219に電力を供給する。負荷回路部219は、供給された電力を熱に変換することによって、電力を消費してもよい。この場合、負荷回路部219は、抵抗器を含んでいてもよい。
【0049】
次いで、給電装置104の構成、および、放射線撮影装置101と給電装置104との接続の一例を
図3に示す。
図3は、放射線撮影装置101と給電装置104とがどのように接続され、どのような情報をやり取りするかの一例を示したものである。
図3において、放射線撮影装置101と給電装置104との間の非接触給電に関する部分と有線接続通信、近接非接触通信とに着目するため、他の無線接続による通信経路や接続形態については触れない。また、
図3には、電力伝送と情報伝達とがそれぞれ示されている。
【0050】
本実施形態における給電装置104は、電源ユニット本体301、電源ユニットケーブル302、電源ユニット近接部303を含む。放射線撮影装置101へ電力供給する場合、電源ユニット近接部303を放射線撮影装置101の非接触受電部213へ近接または接触させる。電源ユニット本体301は、電源ユニットケーブル302を介して放射線撮影装置101から離れた場所に配置することが可能となる。ここで「接触」とは、放射線撮影装置101と給電装置104の外装同士を接触させることを意図している。
【0051】
電源ユニット本体301は、交流電源から電力を受け取り、直流電圧に変換する電源生成部304、給電装置104内の各構成要素が用いる電源を生成する内部電源部305を含む。また、電源ユニット本体301は、給電装置104の各構成要素の制御を行う制御部306、給電装置104と放射線撮影システム100の他の構成要素との通信を行う通信部307、放射線撮影装置101以外と通信を行うための接続部308を含む。
【0052】
電源ユニット近接部303は、非接触給電部309と、有線通信接続部310とを含む。非接触給電部309は、内部電源部305から給電用の電力を受け取るとともに、制御部306によって給電の制御を実施される。また、放射線撮影装置101の非接触受電部213と同様に、本実施形態では、給電を行うための部品(例えば、コイル)を用いた非接触給電に関する通信を行う。
【0053】
有線通信接続部310は、前述の放射線撮影装置101の有線通信接続部210と対になる部分である。上述の通り、本実施形態における有線通信接続部210は、近距離無線通信を想定しているため、対応する給電装置104の有線通信接続部310も、有線通信接続部210と同様の構成および機能となりうる。ただし、通信に関する部分をコネクタのような接触による接続によって実施してもよい。有線通信接続部310は、通信を実施するため、電源ユニットケーブル302を介して通信部307に接続されている。
【0054】
本実施形態において、電源ユニット本体301と電源ユニット近接部303とが、電源ユニットケーブル302を介して離れた場所に置かれている場合を説明したが、これに限られることはない。電源ユニット近接部303が、電源ユニット本体301に取り込まれるような形態であってもよい。
【0055】
放射線撮影装置101が給電装置104から電力を受け取る際、予め電源ユニット近接部303が放射線撮影装置101に近接させられる。配置の安定化のために、放射線撮影装置101と給電装置104との筐体外装同士を接触させてもよい。この状態になると、非接触給電部309と非接触受電部213と間で相互認識のための通信が、それぞれの給電用/受電用のコイルを介して行われる。放射線撮影装置101と給電装置104との間で電力の伝送ができることが判明すると、給電装置104は、非接触給電部309を介して放射線撮影装置101に電力を供給。放射線撮影装置101は、非接触受電部213を介して電力を受け取り放射線撮影装置101内で使用する。
【0056】
放射線撮影装置101が取得した画像データを外部機器へ転送する場合、有線通信接続部210、310を用いて画像データの授受を行ってもよい。例えば、放射線撮影装置101が取得した画像データをコンソール102へ転送する場合、画像データは、放射線撮影装置101から有線通信接続部210、310、通信部307、接続部308、通信ネットワーク103を経由してコンソール102へと送られる。
【0057】
ここまで、繰り返し述べているが、各接続は一例である。このため、例えば、有線通信接続部210、310はコネクタを介した接触による手法でもよいし、非接触給電に関する通信は別経路を用いて実現してもよい。また、画像データも、放射線撮影装置101から給電装置104を介してコンソール102に送られることに限られることはなく、放射線撮影装置101から直接、コンソール102に送られてもよい。
【0058】
次に、
図4(a)、4(b)を用いて本実施形態における電力供給について説明する。
図4(a)は、給電装置104が非接触受電部213を介して放射線撮影装置101に供給する際の電力量と周波数との関係を示した図である。給電装置104は、特定の周波数帯を用いて放射線撮影装置101に電力を供給する。本実施形態において、給電装置104は、供給する電力が増加するほど給電を行う周波数は低くなり、電力を供給しない場合、最も周波数が高くなる。
【0059】
図4(b)は、放射線撮影装置101の撮影動作中における消費電力の変化の例を示す図である。時刻t0において、センサ部201に電荷を蓄積させることによって撮影動作が開始される。その後、時刻t2において、センサ部201に蓄積された信号をセンサ部201から読み出す読出動作が終了し、1つの撮影動作が完了する。
図4(b)に示される点線401は、電源制御部217から電源生成部212を介して各構成要素へ供給される電力である。電力は、時刻t0~時刻t2の間、各構成要素の電力使用状況に応じて変化する。
図4(b)に示される例では、時刻t0において1回の撮影動作における最小電力w1が必要とされ、時刻t1において1回の撮影動作における最大電力w2が必要となる。
【0060】
これに対し、実線402は、撮影動作中に給電装置104から非接触受電部213、電源監視部216を介して放射線撮影装置101の電源制御部217へ供給される電力である。詳細は後述するが、本実施形態において、記憶部205は、放射線撮影装置101が撮影を行う際に必要となる電力の最大電力を記憶している。そこで、制御部204は、記憶部205に記憶された最大電力w2の情報を取得する。次いで、放射線撮影装置101が撮影を行う間、制御部204は、電源制御部217を介して放射線撮影装置101内の各部に供給する電力の合計が最大電力w2となるように制御する。このため、給電装置104は、非接触受電部213、電源ユニット近接部303を介し、最大電力w2で放射線撮影装置101に電力を供給する。これに応じて、給電装置104が放射線撮影装置101に給電を行う周波数が、放射線撮影装置101が撮影動作を行っている間、一定となる。
【0061】
ここで、電源制御部217から電源生成部212を介して各構成要素へ供給する電力が時間によって変化する(各構成要素が必要とする電力量が、時間によって変化する。)のに対し、給電装置104から常に最大電力w2が供給されるため、放射線撮影装置101内において余剰な電力が発生する。給電装置104から供給される電力が放射線撮影装置101で使用される電力よりも多い場合、電源制御部217は、例えば、余剰な電力を用いて内部電源211、218の充電を行ってもよい。例えば、放射線撮影装置101で使用される電力と、給電装置104から供給される電力と、が等しくなるように、内部電源211、218の充電を行ってもよい。給電装置104から電源制御部217へ供給される電力をPt、電源制御部217から内部電源211へ供給される電力をPb1、電源制御部217から内部電源218へ供給される電力をPb2、電源制御部217から電源生成部212へ供給される電力をPsとする。この場合、
Pt=Ps+Pb1+Pb2
となる。
【0062】
次いで、非接触給電が行われる場合の放射線撮影システム100の動作について説明する。本実施形態において、給電装置104から放射線撮影装置101に非接触給電を行う際に、放射線撮影装置101においてセンサ部201から蓄積された信号を読み出す読出動作の間、非接触給電の周波数を変動させない制御が行なわれる。
図5(a)、5(b)は、放射線撮影システム100の撮影時の処理を示すフロー図、
図6は、放射線撮影システム100の撮影時の動作を示すタイミング図である。ここで、放射線撮影装置101と放射線発生装置108とは、同期を取りながら撮影を行っているとして説明する。
【0063】
放射線撮影装置101がユーザによって起動されると、電源生成部212を介して必要な各構成要素へと電力が供給され、放射線撮影装置101が起動する(S500)。このとき、撮影に必要な放射線撮影システム100のそれぞれの構成要素も起動されているものとして説明する。例えば、S500で放射線撮影装置101が起動した時点において、給電装置104は、放射線撮影装置101に給電可能な状態になっている。ユーザによる起動意図を操作部207の操作や物理センサ部214で検知したことや、取り外し可能な内部電源211が装着されたこと、給電装置104の電源ユニット近接部303が放射線撮影装置101に接続されたことなどが、起動のトリガにしてもよい。このとき、放射線撮影装置101内の全ての構成要素が起動する必要はない。例えば、センサ部201などの撮影に用いる構成要素は、撮影の要求が与えられるまで起動しなくてもよい。また、接触/非接触に限らず放射線撮影装置101に外部からの給電が開始されたことに応じて、放射線撮影装置101が起動するようにしてもよい。本実施形態において、
図5(a)のS500の放射線撮影装置101の起動からS514の放射線撮影装置101の停止に至るまで、給電装置104から放射線撮影装置101への非接触給電が継続して行われているものとする。
【0064】
放射線撮影装置101が起動すると、処理はS501へ遷移し、放射線撮影装置101の制御部204は、放射線発生装置108からの撮影要求があるか否かを判定する。要求がなかった場合はそのまま撮影要求を待ち続ける。撮影要求があった場合、処理はS502へと移る。
【0065】
S502では、放射線撮影装置101は、撮影準備動作を行う。放射線撮影装置101の制御部204は、給電装置104から供給される電力を、電源制御部217、電源生成部212を介してセンサ部201に供給し、センサ部201を起動する。その後、制御部204は、センサ駆動部202に準備駆動を開始する指示を送り、指示を受けてセンサ駆動部202はセンサ部201に対して準備駆動を行う。準備駆動は、暗電流によってセンサ部201に蓄積された電荷を排出するために、検出器アレーを行方向に走査しながら電荷の読み出しを続ける動作(リセット動作)であってもよい。
【0066】
準備駆動を実施している間に、ユーザが放射線発生装置コンソール107の曝射スイッチを押下すると、放射線発生装置108と放射線撮影装置101との間で、接続器109や通信ネットワーク103などを介して通信が行われる。具体的には、放射線発生装置108は、放射線撮影装置101に曝射の要求を送信し、この要求を放射線撮影装置101が受信すると(S503のYES)、処理はS504に遷移する。S504において、放射線撮影装置101は、放射線の照射を受けて電荷を蓄積する状態にセンサ部201を遷移させ、撮影可能であることの応答または曝射の許可を放射線発生装置108に送信することによって、放射線の照射が行われる。ユーザが曝射スイッチを押下しない間(S503のNO)、上述の準備駆動が行われる。
【0067】
S505において放射線撮影装置101は、放射線の照射中にセンサ部201に所定の時間にわたって電荷を蓄積させる。放射線の照射が終了すると、処理は、S506に遷移する。制御部204は、通信部206、通信部307を介して電源制御部217に、放射線撮影装置101の各部へ供給する電力が一定となるように指示を行う。これに応じて、給電装置104は、非接触受電部213、電源ユニット近接部303を介し、
図6に示されるように、センサ部201から信号を読み出す読出動作を行う間、放射線撮影装置101において必要となる最大電力w2を放射線撮影装置101に供給する。
【0068】
給電装置104から放射線撮影装置101に最大電力w2が供給されると、処理は、S507に遷移する。S507では、センサ部201に放射線が照射された期間に蓄積された信号をセンサ部201から読み出す読出動作が行われる。
【0069】
電源制御部217は、放射線撮影装置101内で使用される電力が、最大電力w2になるように、内部電源211、218、電源生成部212へ供給する電力を制御する。制御部204は、予め記憶部205に記憶された最大電力w2に対する撮影動作の間に電源制御部217から電源生成部212に供給する電力から、余剰となる電力を演算することが可能である。電源制御部217から電源生成部212に供給される電力は、S502の間にセンサ部201などを動作させることによって測定されてもよいし、工場出荷時やサービスツールなどの別のタイミングで記憶部205に記憶されていてもよい。
【0070】
図5(b)に示されるように、電源制御部217は、給電装置104から供給される電力が放射線撮影装置101で使用される電力よりも多い場合、つまり、余剰電力が発生した場合、内部電源211、218の充電を行う。まず、電源制御部217は、内部電源211の充電容量が最大値であるか否かを判定する(S521)。内部電源211の充電容量が最大値でない場合、電源制御部217は、内部電源211へ電力を供給し、内部電源211の充電を行う(S522)。次いで、読出動作が終了しない場合(S523においてNO)、処理は、S521に戻る。S521において、内部電源211の充電容量が最大値である場合、電源制御部217は、内部電源218の充電容量が最大値であるか否かを判定する(S524)。内部電源218の充電容量が最大値でない場合、電源制御部217は、内部電源218へ電力を供給し、内部電源218の充電を行う(S525)。次いで、読出動作が終了しない場合(S526においてNO)、処理は、S524に戻る。S524において、内部電源218の充電容量が最大値である場合、つまり、内部電源211、218の充電容量がともに最大値である場合、電源制御部217は、負荷回路部219へ電力を供給する(S527)。読出動作が終了するまで、電源制御部217は、負荷回路部219へ電力を供給する(S528のNO)。
【0071】
読出動作が終了すると、処理はS508(S523、526、528のYES)に遷移する。S508では、制御部204がS506において電源制御部217に対して放射線撮影装置101の各部に供給する電力が一定となるように行った指示が解除される。
【0072】
次いで、
図6に示されるように、放射線撮影装置101は、オフセット補正によって暗電流成分の補正を行うための動作を行う。具体的には、放射線撮影装置101は、放射線を照射せずにセンサ部201に電荷を蓄積させ、センサ部201に放射線の照射がされていない期間に蓄積された信号をセンサ部201から読み出す読出動作を行う撮影動作を実施する(S509、S511)。2回目の撮影動作の際も、S506と同様に、制御部204は、電源制御部217が放射線撮影装置101の各部へ供給する電力が一定となるように指示を行う。
【0073】
このとき、制御部204は、先に行われる1回目の読出動作(先行動作、S507)の期間において給電装置104から非接触受電部213、電源監視部216を介し、放射線撮影装置101の電源制御部217へ供給された電力の時間的な変化に応じて、後に行われる2回目の読出動作(後続動作、S511)の期間において給電装置から非接触受電部213、電源監視部216を介し放射線撮影装置101の電源制御部217へ供給される電力を時間的に変化させる。より具体的には、制御部204は、1回目の読出動作の期間において給電装置104から非接触受電部213、電源監視部216を介し放射線撮影装置101の電源制御部217へ供給される電力の周波数および位相の時間的な変化に応じて、2回目の読出動作の期間において給電装置104から非接触受電部213、電源監視部216を介して放射線撮影装置101の電源制御部217へ供給される電力の周波数および位相を時間的に変化させる。例えば、
図6に示すように、制御部204は、2回目の読出動作の期間において放射線撮影装置101に供給される電力の時間的な変化が、1回目の読出動作の期間において電源制御部217を介して放射線撮影装置101の各部において消費された電力の時間的な変化と同じになるように、電源制御部217を制御する。例えば、
図6に示されるように、1回目の読出動作が行われる期間Trと2回目の読出動作が行われる期間Tr’との動作開始時の位相が揃うように、制御部204が、給電装置104やセンサ駆動部202など動作タイミングを調整してもよい。ここでは、制御部204が、放射線撮影装置101および給電装置104の動作タイミングを調整するとして説明するが、これに限られることはない。例えば、制御部204と制御部306とが協働して動作タイミングを調整してもよいし、放射線撮影装置101および給電装置104の外部(例えば、コンソール102)に配された制御部に従って、それぞれの動作タイミングが調整されてもよい。
【0074】
動作タイミングの調整は、例えば、1回目の読出動作を行う期間Tr(S507)、2回目の電荷を蓄積する期間Ti’(S509)を調整することで行ってもよい。また、2回目の撮影動作(S509、S511)において、センサ部201に電荷を蓄積させる(S509)前に、センサ部201をリセットするリセット動作を行う準備駆動の期間Tsを調整することによって、動作タイミングが調整されてもよい。
【0075】
制御部204は、1回目の撮影動作において、電源監視部216を用いての周波数の情報を記憶する。ここで、1回目の撮影動作における非接触受電部213が受電した電力の周期Tcの波形の開始ポイントを取得する。次いで、例えば、2回目の撮影動作において電荷を蓄積する期間Ti’を調整することによって、1回目の読出動作(S507)における周期Tcの開始ポイントと、2回目の読出動作における周期Tcの開始ポイントを調整する。このとき、期間Ti’が終了する直前までに、非接触受電部213が受電した電力が最大電力w2になるようにすれば、電力供給時の周波数は周期Tcとなるため、位相の合わせこみが可能となる。
【0076】
この場合、1回目の撮影動作においてセンサ部201に電荷を蓄積させる時間と2回目の撮影動作においてセンサ部201に電荷を蓄積させる時間とが、互いに異なっていてもよい。ただし、オフセット補正の目的から期間Tiと期間Ti’とは、できる限り近い時間であることが求められる。非接触給電において、周期Tcは、μsec以下のオーダであることが多く、また、放射線画像の撮影において、期間Tiおよび期間Ti’は、msec以上のオーダであることが一般的である。このため、時間Ti’を調整しても、オフセット補正の精度に影響が出にくい。
【0077】
また、制御部204は、時間Ti’ではなく、準備駆動の時間Tsを用いてタイミングを調整してもよい。つまり、1回目の撮影動作を終了してから2回目の撮影動作においてセンサ部201に電荷の蓄積を開始させるまでの間の準備駆動の期間Tsが、1回目の撮影動作においてセンサ部201に電荷を蓄積させる期間Ti、2回目の撮影動作においてセンサ部201に電荷を蓄積させる期間Ti’に応じて変化してもよい。例えば、制御部204は、準備駆動の時間Tsの時間を必要最小限の時間よりも長くすることによって、タイミングを調整してもよい。また、期間Ti’と期間Tsとの両方を用いて、1回目の読出動作(S507)の開始時の周期Tcの位相と、2回目の読出動作(S509)の開始時の周期Tcの位相が揃うように制御されてもよい。
【0078】
また、上述の動作では、放射線撮影装置101に配された制御部204が、準備駆動の期間Ts、2回目の撮影動作の蓄積時間である期間Ti’の長さを調整するとして説明したが、これに限られることはない。ユーザによって放射線発生装置コンソール107に入力される放射線を照射する撮影条件に応じて、放射線発生装置コンソール107やコンソール102が、期間Ts、Ti’の長さを決定してもよい。放射線発生装置コンソール107やコンソール102が決定した期間Ts、Ti’が、放射線撮影装置101および給電装置104に送信される。例えば、放射線発生装置コンソール107やコンソール102が、放射線撮影装置101を起動する際に、上述のタイミングに関する設定を通知するようにしてもよい。また、
図1に示されるように、放射線撮影システム100に、非接触で受電が可能な放射線撮影装置101と、放射線撮影装置101に非接触で給電が可能な給電装置104と、を制御するための制御装置180が、上述の各構成要素とは独立して配されてもよい。
【0079】
このような制御を行うことによって、1回目の撮影動作の読出動作で取得した画像データと、2回目の撮影動作の読出動作で取得した画像データには、同じ周波数のノイズが、同じ位相で重畳されることになる。したがって、オフセット補正を実施することで、センサ部201で生成された信号を読み出す際に、給電装置104から放射線撮影装置101への非接触給電による電磁界の変化に起因して信号に重畳するノイズが相殺されることになる。つまり、制御部204は、1回目の読出動作で読み出された信号に重畳される給電装置104から放射線撮影装置101への非接触給電に起因するノイズの周期的な変化が、2回目の読出動作で読み出された信号との差分を取ることによって小さくなるように、2回目の読出動作の期間において給電装置104から放射線撮影装置101に供給される電力を時間的に変化させる。これによって、得られる放射線画像の画質の低下が抑制される。また、撮影中も非接触給電が継続して行われるため、例えば、撮影中に放射線撮影装置101の内部電源211、218の充電不足となり、撮影が継続できなくなることが抑制される。また、撮影中も非接触給電が継続して行われるため、放射線撮影装置101の内部電源の容量を小さくでき、さらには、内部電源を有していなくても撮影が可能なことから、放射線撮影装置101の軽量化などが可能となる。
【0080】
本実施形態において、1回目の撮影動作(S505、S507)において放射線が照射された期間において蓄積された信号を取得し、2回目の撮影動作(S509、S511)において放射線の照射がされない期間に蓄積された信号を取得することを説明した。しかしながら、これに限られることはない。S505において放射線が照射されず、S509において放射線が照射されてもよい。
【0081】
S511において、読出動作が完了すると、処理は、S512に遷移する。S512では、S508と同様に、S510で出された指示が解除される。その後、放射線撮影装置101は、通信ネットワーク103などを介して、所定のオフセット補正などの補正処理などが行われた画像データをコンソール102へ送信し、撮影動作が完了する。また、画像データは、コンソール102に送信されず、記憶部205に保存されてもよい。
【0082】
その後、ユーザが操作部207を操作することによって放射線撮影装置101の電源オフの指示がある場合(S513のYES)、放射線撮影装置101は、電源オフとなり、処理はS514に遷移し放射線撮影装置101は停止状態となる。また、放射線撮影装置101の電源オフの指示がない場合(S513のNO)、処理はS501に戻り、放射線撮影装置101は、次の撮影要求まで待機する。また、S501において、待機時間が長くなった場合、放射線撮影装置101は、報知部208の表示を消すなど消費電力が抑制されたスリープ状態となってもよいし、S514に遷移し、電源オフになってもよい。
【0083】
第2の実施形態
図7、8を参照して本開示の第2の実施形態における放射線撮影システム100の動作について説明する。
図7は、放射線撮影システム100の撮影時の処理を示すフロー図、
図8は、放射線撮影システム100の撮影時の動作を示すタイミング図である。放射線撮影システム100の構成については、上述の第1の実施形態と同様であってもよいため説明を省略する。
【0084】
本実施形態において、給電装置104から放射線撮影装置101に対して非接触給電が行われる中で、放射線撮影装置101の画像データの1回目の読出動作の期間中に非接触給電の周波数が時間的に変化したとしても、2回目の読出動作の期間中の非接触給電の周波数の時間的な変化が1回目の読出動作と一致するように、制御部204は制御を行う。本実施形態においても、
図7のS700の放射線撮影装置起動からS712の放射線撮影装置の停止に至るまで、非接触給電が継続して行われているものとする。
【0085】
図7に示される処理のうち、S700~S705は、上述のS500~S505と同様であるため、ここでは説明を省略する。S705において、電荷を蓄積する動作が完了すると、処理は、S706に遷移し、1回目の読出動作が行われる。S706において、電源監視部216は、制御部204に、電源制御部217から放射線撮影装置101の各部に供給される電力に応じて、非接触受電部213が給電装置104から受電する電力の時間的な変化の情報を送信する。送信する情報は、電力量、および、電力量が変化した時間を含む。また、制御部204は、非接触受電部213が受電する電力が変化した原因となる各部の動作(例えば通信)を記憶する。
【0086】
信号の読み出しが終了すると、次に、放射線撮影装置101は、オフセット補正により暗電流成分の補正を行うため、センサ部201に所定の時間にわたって電荷を蓄積させる(S707)。次に、制御部204は、S706で記憶した電力の時間的な変化の情報をもとに、2回目の撮影動作直前に電力変動指示を行う(S708)。例えば、制御部204は、電力の時間的な変化の情報を電源制御部217に送信する。電源制御部217は、2回目の読出動作において、電源監視部216が1回目の読出動作で取得した電力の時間的な変化の情報に応じて、放射線撮影装置101の各部へ電力を供給する。放射線撮影装置101内で消費される電力に応じて、非接触受電部213を介して給電装置104から放射線撮影装置101に給電が行われる。
【0087】
図8において、1回目の読出動作(時刻t1~時刻t3)の期間中、時刻t2で給電装置104から放射線撮影装置101に供給される電力が変動し、時刻t1~時刻t2の期間Tr1の給電の周波数の周期Tdが、時刻t2~時刻t3の期間Tr2では周期Teとなっている。このとき、2回目の読出動作(時刻t5~時刻t7)の期間中、時刻t6において供給する電力が変化するように給電装置104は制御される。時刻t5~時刻t6を期間Tr1’、時刻t6~時刻t7を期間Tr2’とすると、Tr1=Tr1‘、Tr2=Tr2’でありうる。さらに、期間Tr1と期間Tr1’とで給電装置104から放射線撮影装置101に供給される電力が同じ電力量となることで、給電周波数は周期Tdになる。同様に、期間Tr2と期間Tr2’とで給電装置104から放射線撮影装置101に供給される電力が同じ電力量となることで、給電周波数は周期Teになる。
【0088】
例えば、期間Tr1において給電装置104から放射線撮影装置101に供給される電力が電力w3だった場合、期間Tr1’においても給電装置104から放射線撮影装置101に電力w3が供給されるように、電源制御部217は、放射線撮影装置101の各部に供給する電力を制御する。
図8に示される動作例において、1回目の読出動作の開始時に通信部206による通信が行われているが、2回目の読出動作の開始時において、通信部206による通信が行われていない。このため、2回目の読出動作の開始時において、電力w3が供給されると、余剰電力が発生することになる。この場合、上述の第1の実施形態と同様に、電源制御部217は、放射線撮影装置101で使用される電力と、給電装置104から供給される電力と、が等しくなるように、内部電源211、218の充電、または、負荷回路部219への電力の供給を行う。また、例えば、制御部204が、2回目の読出動作の開始時に通信部206を動作させ、放射線撮影装置101で使用される電力を増やしてもよい。
【0089】
また、逆に、1回目の読出動作の時刻t1~時刻t3において消費した電力w3、w4以上に、2回目の読出動作の時刻t5~時刻t7において消費する電力が多くなる場合も考えられる。給電装置104から供給される電力が放射線撮影装置101で使用される電力よりも少ない場合、電源制御部217は、給電装置104と並行して内部電源211、218から電力を供給させてもよい。例えば、電源制御部217は、給電装置104および内部電源211、218から供給される電力と、放射線撮影装置101で使用される電力と、が等しくなるように内部電源211、218に電力を供給させる。給電装置104から供給される電力を変化させた場合、給電装置104が電力を供給する周波数が1回目の読出動作と異なってしまう。このため、内部電源211、218から電力を供給することによって、周波数が変化せず、オフセット補正の精度を高めることができる。
【0090】
さらに、制御部204は、上述の第1の実施形態の場合と同様に、1回目の読出動作と2回目の読出動作との受電週波数の周期Tdに対し、1回目の読出動作の開始時と2回目の読出動作の開始時の位相が揃うようにタイミングを調整する。期間Tr2,Tr2’における周期Teは、給電装置104から放射線撮影装置101に供給される電力を変化させる時間を揃えることで位相を合わせることができる。
【0091】
S709の2回目の読出動作が終了すると、S710においてS708で出された指示が解除される。その後、上述の第1の実施形態と同様に、画像データの送信などを行い、ユーザの指示によって電源オフもしくは停止状態で待機する。
【0092】
このような制御を行うことによって、本実施形態においても、1回目の撮影動作で取得した画像データと、2回目の撮影動作で取得した画像データには、同じ周波数のノイズが、同じ位相で重畳されることになる。したがって、オフセット補正を実施することで、センサ部201で生成された信号を読み出す際に、非接触給電の動作による電磁界の変化が信号に重畳するノイズが相殺されることになる。これによって、得られる放射線画像の画質の低下が抑制される。
【0093】
このように、上述の各実施形態において、放射線撮影装置101がセンサ部201から読み出す信号に受電周波数の変動に応じた影響が生じる2つ以上の期間において、給電装置104から放射線撮影装置101に給電する給電周波数が揃うように、制御部204は、電源制御部217など、放射線撮影装置101の各構成を制御する。放射線撮影装置101がセンサ部201から読み出す信号に受電周波数の変動に応じた影響が生じる期間とは、上述のように、放射線画像を生成するための信号を読み出す期間でありうる。放射線画像を生成するための信号を読み出す期間において、放射線撮影装置101は、センサ部201の画素に所定の時間にわたって電荷を蓄積させ、蓄積された電荷に応じた信号を読み出す。ここで、画素に電荷を蓄積させ、蓄積された電荷に応じた信号を読み出す期間とは、放射線画像を生成するために放射線の照射によって生成された電荷を蓄積させ、蓄積された応じた信号を読み出す期間であってもよい。また、画素に電荷を蓄積させ、蓄積された電荷に応じた信号を読み出す期間とは、放射線画像を生成する際にオフセット補正を行うための画像データを得るための期間であってもよい。これらの動作によって、本実施形態の放射線撮影システム100は、放射線画像の画質対する影響を抑制しながら、常時、給電装置104から放射線撮影装置101に非接触で給電を行うことが可能となる。
【0094】
さらに、放射線撮影システム100による放射線画像の撮影は、上述のような静止画像の撮影に限られることはない。
図9は、給電装置104から放射線撮影装置101に対して非接触給電が行われる中で、放射線撮影装置101が透視撮影(動画撮影)を行う場合のタイミング図である。
【0095】
透視撮影を行う場合、放射線撮影装置101は、連続的に曝射される放射線によって生成される信号をリアルタイムに読み出す。
図9において、準備駆動を行った後、時刻t8~時刻t9の期間に、放射線を照射せずにセンサ部201に電荷を蓄積させ、次いで、センサ部201に蓄積された信号を読み出す読出動作を行う撮影動作を連続して行う動作が実施される。次に、時刻t10以降、放射線の照射中にセンサ部201に電荷を蓄積させ、次いで、蓄積された信号を読み出す読出動作を行う撮影動作を連続して行う動作を実施する。時刻t8~時刻t9で読み出された信号は、時刻t10以降で得られた信号の暗電流成分を補正(オフセット補正)するために使用される。
図9に示されるように、複数のオフセット補正用の信号を取得した場合、それぞれの信号を平均化してもよいし、平均値や画像のノイズ等を測定し適切な信号のみ抽出して補正に使用してもよい。
図9に示される例では、放射線を照射せずに蓄積した信号を3回、取得しているが、回数は3回に限られるものではなく、その後の透視撮影の各モードに応じて変化し得る。ここで、撮影モードとは、撮影する部位や手技に応じた撮影のフレームレートであってもよい。例えば、補正に用いる信号の取得回数は、1回や2回であってもよいし、4回以上であってもよい。補正用の信号の取得が、少なくとも1回行われればよい。
【0096】
透視撮影において、
図9に示されるように、電源制御部217から電源生成部212に供給される電力が、補正用の信号を取得する際に電力w9、透視撮影中が電力w10であるとする。この場合、放射線撮影装置101に必要な電力に応じて、給電装置104から放射線撮影装置101に給電が行われると、電力を供給する周波数が、放射線撮影装置101が必要とする電力に応じて時間的に変化してしまう。この場合、補正用の信号を取得する撮影と透視撮影とで、画像データに異なる周波数のノイズが重畳され、透視撮影中の暗画像による補正でノイズがキャンセルできない。
【0097】
同じ周波数のノイズが、画像データに重畳されるようにするため、上述の各実施形態と同様に、給電装置104から放射線撮影装置101に、一定の電力が供給される。このため、記憶部205は、透視撮影において設定されたそれぞれの撮影モードに応じた読出動作に必要な電力や電力に応じた電力供給時の周波数などの情報を予め記憶しておく。制御部204は、記憶部205に記憶された情報に応じて、電源制御部217が放射線撮影装置101の各部に供給する電力を制御する。情報の記憶は、工場出荷時やサービスツールなどで行われてもよい。
【0098】
制御部204は、コンソールからの透視撮影モードの指示に応じて、暗画像の読出動作の開始から、透視撮影の読出動作に必要な電力w10となるように、電源制御部217を制御する。透視撮影時は、蓄積時間が数ms~となるため、読出動作だけでなく、電荷を蓄積する期間も、給電装置104が一定の電力を供給することで電力の制御が容易となる。しかしながら、蓄積時間が長くフレームレートが低い投資撮影の場合、電荷を蓄積する期間の電力供給量は、読出動作と異なっていてもよい。
【0099】
図9に示されるように、給電装置104から供給される電力w10が、放射線撮影装置101で消費される電力よりも多く、透視撮影においても余剰電力が発生する時間が存在しうる。透視撮影においても、上述の各実施形態と同様に、給電装置104から供給される電力が放射線撮影装置101で使用される電力よりも多い場合、電源制御部217は、内部電源211、218の充電を行ってもよい。また、給電装置104から供給される電力が放射線撮影装置101で使用される電力よりも多い場合、電源制御部217は、負荷回路部219で余剰な電力を消費させてもよい。
【0100】
また、制御部204は、
図9に示されるように電力を供給する週波数の周期Tfに対し、案電流成分の信号を読み出す読出動作の開始時と、透視撮影のそれぞれの読出動作の開始時の位相が揃うようにタイミングを調整する。例えば、記憶部205に記憶された供給される電力に応じた周波数から、制御部204は、周期Tfの位相が合うように、電荷を蓄積する蓄積時間を調整する。蓄積時間に対し、周波数の周期Tfは、十分に短いことから、必要なフレームレートへの影響は小さい。
【0101】
このような制御を行うことによって、透視撮影においても、オフセット補正のための案電流成分を取得する読出動作で取得した画像データと、透視撮影のための読出動作で取得した画像データには、同じ周波数のノイズが、同じ位相で重畳されることになる。したがって、オフセット補正を実施することで、センサ部で生成された信号を読み出す際に、非接触給電の動作による電磁界の変化が信号に重畳するノイズが相殺されることになる。これによって、得られる放射線画像の画質の低下が抑制される。また、上述の静止画の撮影と比較して、長時間の撮影となり、より電力が消費されうる透視撮影のような連続撮影の間、常時、給電装置104から放射線撮影装置101に非接触で給電を行うことが可能である。このため、電力が不足する可能性が抑制され、ユーザにとって使い勝手のよい放射線撮影システム100が提供できる。
【0102】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0103】
100:放射線撮影システム、101:放射線撮影装置、104:給電装置、201:センサ部