(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】記録装置および記録方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/01 20060101AFI20240419BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240419BHJP
B41J 29/46 20060101ALI20240419BHJP
B65H 26/02 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
B41J2/01 305
B41J2/01 451
B41J2/01 401
B41J2/01 303
B41J29/38 302
B41J29/46 Z
B65H26/02
(21)【出願番号】P 2019239283
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 義章
(72)【発明者】
【氏名】米山 洋正
(72)【発明者】
【氏名】丸山 遼平
(72)【発明者】
【氏名】和田 格
(72)【発明者】
【氏名】阿部 智仁
(72)【発明者】
【氏名】小幡 力
(72)【発明者】
【氏名】青木 典之
(72)【発明者】
【氏名】浅井 泰之
【審査官】大浜 登世子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-202927(JP,A)
【文献】特開2013-103413(JP,A)
【文献】特開2015-091641(JP,A)
【文献】特開2019-199350(JP,A)
【文献】特開2011-194680(JP,A)
【文献】特開2014-091585(JP,A)
【文献】特開2016-104554(JP,A)
【文献】特開2000-327196(JP,A)
【文献】特開2019-198978(JP,A)
【文献】特開2019-077517(JP,A)
【文献】特開2002-316407(JP,A)
【文献】特開2012-161935(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01 - 2/215
B41J 29/38
B41J 29/46
B65H 26/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続するシートがロール状に巻かれたロールシートを保持する保持部と、
前記保持部に保持された前記ロールシートを回転させ、前記シートを供給する供給手段と、
前記供給手段から供給された前記シートを挟持して搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラから搬送された前記シートに記録を行う記録手段と、
前記シートのジャムの発生を検知する検知手段と、
前記検知手段によってジャムの発生を検知した場合に、前記保持部と前記搬送ローラとの間に前記シートのループが生じるように前記供給手段を制御する制御処理を行う制御手段と、
前記制御手段による前記制御処理の後に、前記ループの切断をユーザに依頼する通知を行う通知手段と、
前記記録手段の搬送方向下流に配置され、前記シートの幅方向に前記シートを切断する切断手段と、
を備え
、
前記制御手段は、前記検知手段によりジャムの発生を検知し、前記切断手段による切断処理がエラー終了した場合に、前記制御処理を行うことを特徴とする記録装置。
【請求項2】
ユーザの指示を受け付ける受付手段を備え、
前記制御手段は、前記検知手段によりジャムの発生を検知し、前記受付手段でユーザの指示を受け付けた場合に、前記制御処理を行うことを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
ジャムの処理方法を選択させるための画面を表示する表示手段をさらに有することを特徴とする請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記シートの搬送方向の先端の位置を判定する判定手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記検知手段によりジャムの発生を検知し、前記判定手段で前記シートの前記搬送方向の先端が所定の位置にあると判定された場合に、前記制御処理を行うことを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項5】
前記記録手段を搭載し、前記シートの幅方向に往復移動するキャリッジをさらに備え、
前記切断手段は、前記キャリッジに牽引されることで前記幅方向に移動可能であることを特徴とする
請求項1に記載の記録装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記検知手段によりジャムの発生を検知し、前記キャリッジが正常に移動しない場合に、前記制御処理を行うことを特徴とする
請求項5に記載の記録装置。
【請求項7】
前記切断手段は、カッターと、前記カッターを動かすモータとを有し、
前記カッターは、前記モータによって、前記シートの幅方向に往復移動することを特徴とする
請求項1に記載の記録装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記検知手段によりジャムの発生を検知し、前記切断手段が正常に移動しない場合に、前記制御処理を行うことを特徴とする
請求項7に記載の記録装置。
【請求項9】
前記制御手段は、前記搬送ローラによる搬送を停止している間に、前記シートを供給するように前記供給手段を制御することにより、前記供給手段と前記搬送ローラとの間に、前記シートのループを生じさせることを特徴とする
請求項1から8のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記シートの搬送方向で前記記録手段から下流側の領域を部分的に覆うように設けられたフレームを備えることを特徴とする
請求項1から9のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項11】
連続するシートがロール状に巻かれたロールシートを保持する保持部を有する記録装置の記録方法であって、
供給手段が、前記保持部に保持された前記ロールシートを回転させ、前記シートを供給する供給工程と、
搬送ローラが、前記供給手段から供給された前記シートを挟持して搬送する搬送工程と、
記録手段が、前記搬送ローラから搬送された前記シートに記録を行う記録工程と、
検知手段が、前記シートのジャムの発生を検知する検知工程と、
前記検知工程においてジャムの発生を検知された場合に、前記保持部と前記搬送ローラとの間に、前記シートのループが生じるように前記供給手段を制御する制御処理を行う制御工程と、
前記制御工程における前記制御処理の後に、前記ループの切断をユーザに依頼する通知を行う通知工程と、
切断手段が、前記記録手段の搬送方向下流に配置され、前記シートの幅方向に前記シートを切断する切断工程と、
を含
み、
前記制御工程において、前記検知手段によりジャムの発生を検知し、前記切断手段による切断処理がエラー終了した場合に、前記制御工程が行われることを特徴とする記録方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に記録装置および記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、ロール紙などのロール状記録媒体に記録する記録ヘッドおよびその後のカッターの間でジャムが生じた場合に、ジャムを処理する記録装置が提案されている。特許文献1には、ジャムの発生を検出した場合に、ロール紙の先端(紙端)の位置に応じてカッターを作動させてロール紙をカットするか、カッターを作動させずにロール紙を巻き戻すか、のいずれかのジャム処理動作を行う記録装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、発生したジャムによってカッターの作動もロール紙の巻き戻しも困難である場合、ユーザ自身がジャム処理を行うことが好ましい。このような場合、ユーザはジャムを取り除くために記録ヘッドの近傍にあるロール紙を切断する場合がある。この場合、意図せず記録ヘッドに触れる恐れや、カッターを動かしてシート或いは記録装置の内部を傷つけてしまう恐れがあった。そのため、ユーザによるジャム処理の利便性の低さが課題であった。
【0005】
そこで本発明は、ユーザがジャム処理を行う場合の利便性を向上する記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述のような課題を解決するため、本発明に係る記録装置の一態様は、連続するシートがロール状に巻かれたロールシートを保持する保持部と、前記保持部に保持された前記ロールシートを回転させ、前記シートを供給する供給手段と、前記供給手段から供給された前記シートを挟持して搬送する搬送ローラと、前記搬送ローラから搬送された前記シートに記録を行う記録手段と、前記シートのジャムの発生を検知する検知手段と、前記検知手段によりシートのジャムの発生を検知した場合に、前記保持部と前記搬送ローラとの間に前記シートのループが生じるように前記供給手段を制御する制御手段と、前記制御工程における前記制御処理の後に、前記ループの切断をユーザに依頼する通知を行う通知手段と、前記記録手段の搬送方向下流に配置され、前記シートの幅方向に前記シートを切断する切断手段と、を備え、前記制御手段は、前記検知手段によりジャムの発生を検知し、前記切断手段による切断処理がエラー終了した場合に、前記制御処理を行う。
【0007】
また、上述のような課題を解決するため、本発明に係る記録方法の一態様は、連続するシートがロール状に巻かれたロールシートを保持する保持部を有する記録装置の記録方法であって、送出手段が、前記保持部に保持された前記ロールシートを回転させ、前記シートを供給する供給工程と、搬送ローラが、前記供給手段から供給された前記シートを挟持して搬送する搬送工程と、記録手段が、前記搬送ローラから搬送された前記記録媒体に記録を行う記録工程と、検知手段が、前記シートのジャムの発生を検知する検知工程と、前記検知工程においてシートのジャムの発生を検知した場合に、前記保持部と前記搬送ローラとの間に、前記シートのループが生じるように前記供給手段を制御する制御処理を行う制御工程と、前記制御工程における前記制御処理の後に、前記ループの切断をユーザに依頼する通知を行う通知工程と、切断手段が、前記記録手段の搬送方向下流に配置され、前記シートの幅方向に前記シートを切断する切断工程と、を含み、前記制御工程において、前記検知手段によりジャムの発生を検知し、前記切断手段による切断処理がエラー終了した場合に、前記制御工程が行われる。
【発明の効果】
【0009】
本発明により、ユーザがジャム処理を行う場合の利便性を向上する記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】本実施形態に係る記録装置の制御ユニットの構成を示すブロック図。
【
図3】本実施形態に係る記録装置の処理例を示すフローチャート。
【
図4】本実施形態に係るユーザがジャム処理を行う場合の記録装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0012】
<第1実施形態>
図1は本実施形態における記録装置1の概略図である。本実施形態では、シリアル型のインクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明するが、本発明は他の形式の記録装置にも適用可能である。
【0013】
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、本実施形態では「記録媒体」としてシート状の紙を想定するが、布、プラスチック・フィルム等であってもよい。また、本実施形態では、シート状の紙を巻き回したロール状記録媒体を想定しているが、巻き回されていない記録媒体でもよい。
【0014】
<装置の構成>
記録装置1は、搬送部11と、搬送センサ3と、供給部4と、記録ユニット5と、検出ユニット13と、カッターユニット15と、を含み、記録媒体PMに画像を記録する装置である。本実施形態の場合、記録媒体PMは、ロール状にまかれたロールシート10を構成している。しかし、記録媒体PMは、予め定型サイズに切断されたカット紙であってもよい。記録媒体PMは、搬送部11によって、画像の記録に必要な長さだけロールシート10から引き出される。なお、ロールシート10には、記録媒体PMの引き出し、巻き取りを補助するために、これを回転させる駆動機構を設けてもよい。また、本実施形態に係る記録装置1は、開口6を有するフレーム2を有し、フレーム2によって、記録ユニット5とカッターユニット15とが少なくとも部分的に覆われる。
【0015】
供給部4は、連続するシートがロール状に巻かれたロールシートを保持する保持部と、保持部に保持されたシートを回転駆動させる駆動部を備える。供給部4は、保持部で保持されたロールシート10を回転させることで、ロールシート10の紙送り方向(矢印のX方向)およびロールシート10の巻き戻し方向(-X方向)にロールシートを供給する。スプール部材9は、ロールシート10の紙管に挿入され、供給ユニット4の保持部に軸支される。供給部4はスプール部材9をモータにより回転させることで、ロールシート10を回転させる。
【0016】
搬送部11は、記録媒体PMを搬送するための搬送ローラである。本実施形態の場合、搬送部11は一対の駆動ローラと従動ローラを含む。搬送部11は、不図示の駆動機構を備え、駆動ローラを回転駆動する。従動ローラは駆動ローラに圧接されて従動回転する。従って、記録媒体PMは駆動ローラと従動ローラとに挟持されてプラテン7上を搬送される。搬送部11の駆動機構は、例えば、モータを駆動源とした歯車機構を採用可能である。搬送部11の回転量は不図示のセンサ(例えばエンコーダ)によって検出され、記録媒体PMの搬送量が制御される。
【0017】
以下の説明において、上流側、下流側という場合は、搬送部11による記録媒体PMの搬送方向を基準とする。記録媒体PMの搬送方向は図中矢印Xで示されており、副走査方向と呼ぶ場合がある。矢印Yは記録媒体PMの搬送方向と直交する方向を示し、この方向を主走査方向、または紙幅方向と呼ぶ場合がある。ロールシート10及び搬送部11は、それらの軸方向が主走査方向Yと平行となるように配置されている。
【0018】
搬送センサ3は、搬送部11の搬送方向下流側に配置され、ロールシートが搬送部11によって適切に搬送されているか否かを判定するための光学センサなどのセンサである。
【0019】
記録ユニット5は、搬送部11よりも下流側に配置され、搬送部11により搬送される記録媒体PMに画像を記録可能である。記録ユニット5は、本実施形態の場合、インクを吐出する複数のノズルを備えた記録ヘッドを構成している。
【0020】
記録ユニット5はキャリッジ12に搭載されている。キャリッジ12には記録ユニット5にインクを供給するタンクが装着されている。キャリッジ12は、不図示の駆動機構によりY方向に往復移動可能である。キャリッジ12の駆動機構としては、例えば、モータを駆動源としたベルト伝動機構を採用可能である。キャリッジ12の位置は検出ユニット13または不図示のセンサ(例えばエンコーダ)によって検出され、キャリッジ12の移動が制御される。
【0021】
検出ユニット13は、記録媒体PM上に記録された画像や記録媒体PMの端縁或いは記録媒体PMの厚さ等を検出可能である。検出ユニット13はキャリッジ12に搭載されており、キャリッジ12と共にY方向に移動する。検出ユニット13の検出結果は、キャリッジ12の位置の検出結果と、搬送部11による記録媒体PMの搬送量とによって、記録媒体PM上の位置と関連づけることができる。また、一例では、検出ユニット13はキャリッジ12の位置を検出する。
【0022】
検出ユニット13は例えば発光素子と受光素子とを備えた光センサを備える。発光素子はプラテン7へ向けて光を照射し、その反射光を受光素子で受光する。検出ユニット13により記録媒体PMの先端位置を検出する場合は、例えば、記録媒体PMを搬送して検出ユニット13を一旦通過させ、その後記録媒体PMを上流側へ逆送する。プラテン7と記録媒体PMとの反射率の違いから、記録媒体PMの先端が通過すると受光素子により受光する値が変動する。このときの搬送部11の回転量の検出結果から、記録媒体PMの先端の位置を検出することができる。同様に、記録媒体PM上に記録された画像の位置も受光素子の受光結果の変化点における搬送部11の回転量の検出結果やキャリッジ12の位置検出結果から検出可能となる。
【0023】
カッターユニット15は、記録媒体PMをY方向に切断する。カッターユニット15は、キャリッジ12との係合構造を有し、キャリッジ12と係合する場合は、キャリッジ12に牽引されてY方向に往復移動可能である。カッターユニット15は、カッターを備える。また、一例では、カッターユニット15は、カッターに係る圧力を検出する圧力センサを有してもよい。
【0024】
記録媒体PMを切断しない場合、キャリッジ12は、Y方向でロールシートが通過しない領域までカッターユニット15を牽引し、係合構造を解除することでロールシートが通過しない領域にカッターユニット15を配置する。一方、記録媒体PMを切断する場合は、キャリッジ12は、カッターユニット15に接続し、係合構造をロックすることで、カッターユニット15を牽引して記録媒体PMの切断を行う。
【0025】
図5に本実施形態に係る記録装置の上方図を示す。供給部4はロールシート10の軸を支えるスプール9を保持する。また、フレーム2は、キャリッジ12およびカッターユニット15が移動する領域を少なくとも部分的に覆う。一方、キャリッジ12にセットされたカートリッジの交換を可能にするために、開口6が配置される。一例では、フレーム2は、フレーム全体の剛性を高めるために、梁状の構造2aを備える。
【0026】
<制御ユニット>
図2を参照して記録装置1の制御ユニットの構成について説明する。CPU201は、記録装置1全体の制御を行うプロセッサ、プログラマブルロジック回路、またはマイクロプロセッサである。また、CPU201は、ROM202に記憶された制御プログラムを読みだしてRAM203などと共同し、記録処理や切断処理などの各種処理を実行する。ROM202は、例えばフレキシブルディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、DVD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、EEPROM、またはシリコンディスク等の、制御プログラムの記憶領域である。RAM203は、CPU201が各種プログラムを実行するためのワークエリア等として使用する揮発性のメモリである。
【0027】
キャリッジエンコーダ204は、CPU201が記録処理を実行する場合に、記録するデータに基づいてキャリッジ12の移動量を決定し、キャリッジモータ208の制御信号を生成する。一例では、キャリッジエンコーダ204は記録ユニット5の印刷制御を行うための制御信号も生成する。供給部駆動モータ206は、供給部4に含まれる駆動モータである。搬送部駆動モータ207は、搬送部11を駆動するための駆動モータである。キャリッジモータ208は、キャリッジ12を紙幅方向に往復移動させるためのモータである。
【0028】
紙端検知センサ210は、搬送センサ3および検出ユニット13の少なくともいずれかの検出結果に基づいて、ロールシートの先端がどの範囲にあるかを判定する。一例では、紙端検知センサ210は、紙端がカッターユニット15によって切断可能な位置にあるか否かを判定する紙端判定処理を実行する。
【0029】
入出力インタフェース(I/F)211は、少なくとも操作パネル212が接続され、ユーザに通知を行うことができる。また、入出力I/F211は、ボタンやキー類などの入力装置が接続され、ユーザ入力を受け付けることができる受付部である。
【0030】
<印刷処理例>
次に、
図3を参照して、本実施形態に係る印刷処理について説明する。
図3に示す処理は、記録装置1が外部装置(不図示)から記録指示を受信した場合に、
図2のCPU201がROM202などに格納されたプログラムを実行することによって実現される。
【0031】
まず、S301で、CPU201は供給部駆動モータ206および搬送部駆動モータ207を制御し、ロールシートを搬送方向下流側に搬送するよう順方向に回転させる。続いて、S302で、CPU201は紙端検知センサ210によって、紙端がキャリッジ12に到達しているか否かを判定する。紙端がキャリッジ12に到達していないと判定した場合(S302でNo)、CPU201は処理をS303に進め、入出力I/F211を介して操作パネル212上に給紙エラーを通知し、
図3の記録処理をエラー終了させる。一例では、紙端が搬送部11の下流に配置された搬送センサ3によっても検出されなかった場合は、S303では、ロールシートがセットされているかの確認を求める通知が行われ、処理をS301に戻すように制御してもよい。
【0032】
続いて、紙端がキャリッジ12に到達していると判定された場合(S302でYes)、CPU201は処理をS304に進め、記録ユニット5による記録を実行する。続いて、S305において、CPU201はジャムが検出されていないかを検出する。S305では、記録ユニット5が正常に移動しないことを検出した場合にジャムの検出を判定してもよい。記録実行時にジャムが検出された場合(S305でYes)は、CPU201は後述するS309に処理を進める。記録実行時にジャムが検出されない場合(S305でNo)、CPU201は処理をS306に進める。S306では、記録が終了したか否かを判定する。記録が終了したことは、記録処理が、記録指示に含まれるロールシートの切断指示を実行するステップに到達したことを含む。記録が終了していないと判定された場合(S306でNo)は、CPU201は処理をS304に戻し、記録の実行を継続する。記録が終了したと判定された場合(S306でYes)は、CPU201は処理をS307に進め、カッターユニット15とキャリッジ12とを係合させ、キャリッジ12に牽引されたカッターユニット15によってロールシートの切断を行う。
【0033】
続いて、CPU201は処理をS308に進め、ジャムを検出したか否かを判定する。一例では、S308では、キャリッジ12が正常に移動しないことを検出した場合にジャムの検出を判定してもよい。切断処理時にジャムが検出された場合(S308でYes)、CPU201は処理をS309に進める。切断実行時にジャムが検出されない場合(S308でNo)、CPU201は一連の印刷処理が正常に終了したと判定して
図3の処理を終了する。印刷処理が正常に終了した場合、CPU201は次の印刷指示の実行または印刷指示の待機を行ってもよい。
【0034】
次に、S309で、CPU201は、入出力I/F211を介して、操作パネル212にジャムを処理するために、記録装置によるロールシートの自動切断を行うか、ユーザによるロールシートの手動切断を行うかを選択させるための画面を表示する。当該画面には、一例として、手動切断の処理を受け付ける表示アイテム(例えばボタン)と、自動切断の処理を受け付ける表示アイテム(例えばボタン)が選択可能に表示される。続いて、S310においてCPU201はいずれの切断方法が選択されたかを判定する。
【0035】
S310において手動切断が選択された場合(S310で手動)、CPU201は処理をS311に進め、後述する制御処理を実行する。一方、自動切断が選択された場合(S310で自動)、CPU201は処理をS313に進める。
【0036】
S311では、供給部駆動モータ206は、紙送り方向にロールシートを回転させるよう動作する。一方、搬送部駆動モータ207は、供給部駆動モータ206の動作よりも前に搬送を停止する。すなわち、搬送部駆動モータ207は、搬送部11によりシートを挟持した状態で動作しない。これによって、紙送りを行うロールシート10と、シートを挟持(搬送を停止)している搬送部11との間に、紙送りされることによってロールシートの弛み(ループ)が生じる。これによって、ユーザは、ループを記録装置1の外側に引っ張ってロールシートを切断し、切断したロールシートを搬送部側から引き出すことで容易にジャムを解消することができる。また、ユーザはロールシート10の保持部周辺で作業をすればよいため、筐体などによって作業する場合と比べてより広い作業スペースを確保することができ、利便性を向上することができる。また、ユーザによるジャムの処理中に、意図せずキャリッジ12やカッターユニット15に触れる可能性を下げることができる。また、ユーザが操作するカッターやハサミによって記録装置の内部を傷つけられてしまったり、キャリッジやカッターユニット15などを傷つけられる、または移動させられる可能性を下げることができる。また、剛性を確保するためにフレーム2の開口6の大きさが制限されている場合であっても、ユーザによるジャム処理の利便性を向上することができる。
【0037】
なお、本実施形態の搬送部駆動モータ207は、S311の制御処理では動作しないものとして説明を行った。一例では、駆動ローラと従動ローラとの軸間の距離を変更するなどして、ロールシートを挟む圧力を変更可能な場合、S311では搬送部11はロールシートを挟む圧力を小さくするように動作してもよい。これによって、ユーザがロールシートをより容易に取り除くことができ、利便性をさらに向上することができる。
【0038】
S311で、ロールシートのループを形成したあと、CPU201は処理をS312に進め、ロールシートの切断を依頼するメッセージとともに、ジャム処理の終了後にボタンの押下を依頼するメッセージを操作パネル212に表示する。
【0039】
ここで、
図4を参照して、ユーザによる従来のジャム処理と、本実施形態に係るジャム処理とを説明する。
【0040】
図4(A)は、ユーザによる従来のジャム処理を示す図である。
図4(A)において、ジャムはキャリッジ下流のカッターユニット付近で発生しているものとする。この場合、発生したジャムによって、カッターユニットが移動することができない。また、発生したジャムによって、搬送部11によるロールシートの巻き戻しもできない。そのため、ユーザはキャリッジ付近でハサミやカッターを用いてジャムの発生個所の周辺のロールシートを切ってジャムを取り除く必要があった。この場合、筐体によって作業スペースが限られるため、ユーザは思うようにロールシートを切り取ることができない場合があった。また、ユーザは意図せずハサミやカッターによってキャリッジやカッターユニットを傷つけてしまう恐れがあった。
【0041】
これに対して、
図4(B)は、ユーザによる本実施形態に係るジャム処理を示す図である。
図4(A)と同様、
図4(B)においてもジャムはキャリッジ下流のカッターユニット付近で発生しているものとする。この場合、S311の処理によって、搬送部11の上流に、ロールシートの弛みが生じているため、ユーザは弛んだロールシートを引っ張り、より広い作業スペースでロールシートの切断を行うことができる。また、切断したロールシートを、
図4(B)の矢印401の方向に搬送部11が挟持する力より強い力で引っ張ることで、ジャムが発生したシートを取り除くことができる。また、紙を取り出す場合にのみ記録ヘッド側から手を入れてロールシートを引っ張ることで、ハサミやカッターなどによってキャリッジやカッターユニットを傷つけることなくロールシートを取り除くことができる。
【0042】
S312でユーザからジャム処理の終了を知らせるボタンの押下を受け付けると、CPU201は
図3の処理をエラー終了として終了する。一例では、S312でユーザによるボタンの押下を受け付けた後、搬送部11の下流からキャリッジ12の間に残っているロールシートを紙端センサ210が検出したか否かを判定してもよい。紙端センサ210がロールシートを検出した場合、CPU201はジャム処理が完了していないと判定し、ユーザへの通知およびジャム処理の終了を知らせるボタンの押下の待ち受けを継続してもよい。
【0043】
S313では、CPU201は、紙端センサ210の検出結果に基づいて、用紙が切断可能な位置にあるか否かを判定する。用紙が切断可能な位置にあるか否かは、検出ユニット13によって紙を検出していることに基づいて判定されてもよい。用紙が切断可能な位置にないとCPU201が判定した場合(S313でNo)、CPU201は処理をS311に進める。一方、用紙が切断可能な位置にあるとCPU201が判定した場合(S313でYes)、CPU201は処理をS314に進め、カッターユニット15による切断を開始する。
【0044】
続いて、CPU201は処理をS315に進め、切断処理が正常に終了したか否かを判定する。S315の処理は、検出ユニット13が有する圧力センサが異常を検出することなく、正常にカッターユニット15による切断処理が完了したことに基づいて判定されてもよい。切断処理が正常に終了したとCPU201が判定した場合(S315でYes)、CPU201は処理をS316に進め、切断したロールシートの除去をユーザに通知し、ユーザがロールシートを取り除いたことを知らせるボタンを押下するまで待ち受ける。
【0045】
なお、一例では、S316で、CPU201は供給部駆動モータ206および搬送部駆動モータ207を制御し、ロールシートの巻き戻しを実行してジャム処理を行ってもよい。この場合、S316では、印刷をエラー終了することをユーザに通知し、ユーザが確認したことを知らせるボタンの押下の待ち受けを行ってもよい。また、別の例では、S316でユーザに搬送部11側からロールシートを取り除くよう依頼し、ユーザがロールシートを取り除いたことを知らせるボタンを押下するまで待ち受けてもよい。これによって、搬送部11より下流にロールシートが残ることがなくなるため、CPU201はジャム処理を完了した後に処理をS301から再開することができる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態に係る記録装置によれば、所定の条件が成立したと記録装置が判断した場合、記録装置はロールシートを送出方向に回転させてロールシートのループを形成するように動作する。これによって、ユーザは、ロールシートに形成されたループを切断し、容易にジャム処理を行うことができ、ジャム処理の利便性を向上することができる。
【0047】
<第2実施形態>
第1実施形態では、キャリッジがカッターユニットを牽引することによって、カッターによるロールシートの切断を実行する記録装置について説明した。第2実施形態では、カッターユニットがカッター駆動モータによって駆動されることによってロールシートの切断を実行する記録装置について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成、処理、機能については同一の参照符号を使用し、説明を省略する。
【0048】
第2実施形態に係る記録装置は、カッター駆動モータを備える。これによって、カッターユニット15はキャリッジ12とは独立に紙幅方向に移動することができる。この場合、
図3のS308で検出されるジャムには、カッター駆動モータが正常に作動しないことを含んでもよい。
【0049】
また、S308で、カッターユニット15が正常に移動しないことによってジャムを検出した場合、カッターユニット15によるロールシートの自動切断によってジャムを処理することができない可能性が高い。このため、S308でカッターユニット15が正常に移動しないことでジャムを検出した場合には、S309では、手動切断を依頼する画面を表示し、続いてS310の処理を省略してS311に処理を進めてもよい。ジャムを検出したユニットによって手動切断を実行するよう判断することで、ユーザが自動切断を選択したにも関わらず、手動で切断をしなければならなくなる状況が生じる可能性を下げることができ、ユーザの利便性が向上する。
【0050】
<その他の実施形態>
上述した実施形態は、以下の処理を実行することによっても実行される。すなわち、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システムあるいは装置に供給する。そして、そのシステムあるいは装置のコンピュータ(またはCPUまたはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読み出し実行する。これによって、上述した目的を達成することができる。この場合、記憶媒体から読み出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することとなり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROM、DVDなどを用いることができる。
【0051】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0052】
1:記録装置、2:フレーム、3:センサ、4:供給部、5:記録ヘッド、6:開口、9:スプール、10:ロールシート、11:搬送部、12:キャリッジ、14:センサ、15:カッターユニット