(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】撮像装置、撮像システム、及びそれらの制御方法
(51)【国際特許分類】
H04N 23/72 20230101AFI20240419BHJP
H04N 23/60 20230101ALI20240419BHJP
【FI】
H04N23/72
H04N23/60 300
H04N23/60 500
(21)【出願番号】P 2020015534
(22)【出願日】2020-01-31
【審査請求日】2023-01-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】秦 哲也
【審査官】佐藤 直樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-239861(JP,A)
【文献】特開2009-105687(JP,A)
【文献】特開2013-157676(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 23/72
H04N 23/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを設定する設定手段と、
外部の画像処理装置と情報の送受信を行うための通信手段と、を有し、
前記通信手段は、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合に、前記外部の画像処理装置から、前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能でない場合に設定される撮像パラメータに対する、撮像パラメータの変更量を受信し、
前記設定手段は、前記画像信号に対して
前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合と可能でない場合で、前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを異ならせ
、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合に、前記変更量を用いて前記撮像パラメータを設定することを特徴とする撮像装置。
【請求項2】
撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像手段と、
外部の画像処理装置と情報の送受信を行うための通信手段と、
前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合と可能でない場合で、前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを異ならせて設定する設定手段と、を有し、
前記外部の画像処理装置は、前記画像処理が行われた画像信号と前記画像処理が行われていない画像信号との違いに基づいて、前記設定手段が前記撮像パラメータを設定するための情報を決定
し、
前記設定手段は、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合に、前記通信手段を介して前記外部の画像処理装置から取得した情報に基づいて、前記撮像パラメータを設定することを特徴とす
る撮像装置。
【請求項3】
前記撮像パラメータは、ISO感度、シャッター速度、レンズの絞り値の少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1
または2に記載の撮像装置。
【請求項4】
前記通信手段は、前記外部の画像処理装置から、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能であるか否かを示す情報を受信することを特徴とする請求項
1に記載の撮像装置。
【請求項5】
前記通信手段は前記外部の画像処理装置に前記撮像装置のID情報を送信し、
前記外部の画像処理装置は、前記撮像装置から送信されたID情報に基づいて、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項4に記載の撮像装置。
【請求項6】
前記外部の画像処理装置における画像処理と異なるアルゴリズムを用いて画像処理を行う画像処理手段を有することを特徴とする請求項
2に記載の撮像装置。
【請求項7】
前記設定手段は、ユーザーによる入力に従って、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能であるか否かを判断することを特徴とする請求項1
または2に記載の撮像装置。
【請求項8】
前記設定手段は、前記外部の画像処理装置における画像処理を行うための認証コードが入力されている場合に、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能であると判断することを特徴とする請求項
7に記載の撮像装置。
【請求項9】
撮像装置と、画像処理装置とを含む撮像システムであって、
前記撮像装置は、
撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像手段と、
前記画像信号に対して画像処理を行う第1の画像処理手段と、
前記第1の画像処理手段による画像処理に対応する、前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを決定する第1の決定手段と、
前記画像処理装置と情報の送受信を行うための第1の通信手段と、を有し、
前記画像処理装置は、
前記撮像装置と情報の送受信を行うための第2の通信手段と、
外部から受信した画像信号に対して画像処理を行う第2の画像処理手段と、
前記撮像装置から受信した情報に基づいて、前記第2の画像処理手段による画像処理に対応する、前記撮像パラメータの変更量を決定する第2の決定手段と、を有する
ことを特徴とする撮像システム。
【請求項10】
前記撮像装置から受信した情報は前記撮像装置のID情報であって、
前記画像処理装置は、前記ID情報に基づいて、前記撮像装置の画像信号に対して前記第2の画像処理手段により画像処理を行うか否かを判定すると共に、前記第2の画像処理手段により画像処理を行う場合に、前記第2の決定手段により前記変更量を決定することを特徴とする請求項
9に記載の撮像システム。
【請求項11】
前記変更量は、前記撮像装置に応じた前記撮像パラメータの変更量であって、
前記第2の通信手段は、前記変更量を前記撮像装置に送信し、
前記第1の決定手段は、前記第2の決定手段により決定された前記変更量に基づいて、前記撮像パラメータを変更することを特徴とする請求項
9または
10に記載の撮像システム。
【請求項12】
前記第1の通信手段は、前記撮像パラメータを送信し、
前記変更量は、送信された前記撮像パラメータの前記撮像装置に応じた変更量であって、
前記画像処理装置は、更に、前記第2の決定手段により決定された前記変更量に基づいて、前記撮像パラメータを変更する変更手段を有し、
前記第2の通信手段は、前記変更手段により変更された撮像パラメータを前記撮像装置に送信することを特徴とする請求項
9または
10に記載の撮像システム。
【請求項13】
前記第2の画像処理手段は、前記第1の画像処理手段と異なるアルゴリズムを用いて画像処理を行うことを特徴とする請求項
9乃至
12のいずれか1項に記載の撮像システム。
【請求項14】
前記撮像装置から受信した情報は、前記撮像手段から出力された画像信号と、前記第1の画像処理手段により画像処理された画像信号であって、
前記第2の決定手段は、前記第1の画像処理手段と前記第2の画像処理手段とによりそれぞれ処理された画像信号間の違いに基づいて、前記撮像パラメータの変更量を決定することを特徴とする請求項
13に記載の撮像システム。
【請求項15】
前記撮像装置から受信した情報は、前記撮像手段から出力された画像信号であって、
前記画像処理装置は、更に、前記第1の画像処理手段と同じアルゴリズムを用いて画像処理を行い、
前記第2の決定手段は、前記第1の画像処理手段と前記第2の画像処理手段のそれぞれのアルゴリズムを用いて処理された画像信号間の違いに基づいて、前記撮像パラメータの変更量を決定することを特徴とする請求項
13に記載の撮像システム。
【請求項16】
撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像手段と、
前記画像信号に対して画像処理を行う第1の画像処理手段と、
前記第1の画像処理手段による画像処理に対応する、前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを決定する第1の決定手段と、
前記画像信号に対して、前記第1の画像処理手段と異なるアルゴリズムを用いて画像処理を行う第2の画像処理手段と、
前記第1の画像処理手段と前記第2の画像処理手段とにより処理された画像信号間の違いに基づいて、前記撮像パラメータの変更量を決定する第2の決定手段と、を有し、
前記第1の決定手段は、前記第2の決定手段により決定された前記変更量に基づいて、前記撮像パラメータを変更することを特徴とする撮像システム。
【請求項17】
前記画像信号間の差は、前記撮像手段で撮像した画像信号を、前記第1の画像処理手段と、前記第2の画像処理手段によりそれぞれ処理して得られた2つの画像信号の差であることを特徴とする請求項
16に記載の撮像システム。
【請求項18】
撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像工程と、
外部の画像処理装置と情報の送受信を行い、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合に、前記外部の画像処理装置から、前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能でない場合に設定される撮像パラメータに対する、撮像パラメータの変更量を受信する通信工程と、
前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合と可能でない場合で、前記撮像工程において撮像するときの撮像パラメータを
異ならせ、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合に前記変更量を用いて、前記撮像パラメータを設定する設定工程と、
を有
することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項19】
撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像工程と、
外部の画像処理装置と情報の送受信を行う通信工程と、
前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合と可能でない場合で、前記撮像工程において撮像するときの撮像パラメータを異ならせ、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合に、前記通信工程において前記外部の画像処理装置から取得した情報に基づいて、前記撮像パラメータを設定する設定工程と、を有し、
前記外部の画像処理装置は、前記画像処理が行われた画像信号と前記画像処理が行われていない画像信号との違いに基づいて、前記設定工程が前記撮像パラメータを設定するための情報を決定することを特徴とする撮像装置の制御方法。
【請求項20】
撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像手段と、前記画像信号に対して画像処理を行う第1の画像処理手段と、を有する撮像装置と、外部から受信した画像信号に対して画像処理を行う第2の画像処理手段を有する画像処理装置と、を含む撮像システムの制御方法であって、
前記撮像装置において、前記第1の画像処理手段による画像処理に対応する、前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを決定する第1の決定工程と、
前記画像処理装置において、前記撮像装置から受信した情報に基づいて、前記第2の画像処理手段による画像処理に対応する、前記撮像パラメータの変更量を決定する第2の決定工程と
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項21】
撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像手段と、前記画像信号に対して画像処理を行う第1の画像処理手段と、前記画像信号に対して、前記第1の画像処理手段と異なるアルゴリズムを用いて画像処理を行う第2の画像処理手段と、を有する撮像システムの制御方法であって、
前記第1の画像処理手段による画像処理に対応する、前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを決定する第1の決定工程と、
前記第1の画像処理手段と前記第2の画像処理手段とにより処理された画像信号間の違いに基づいて、前記撮像パラメータの変更量を決定する第2の決定工程と、
前記第2の決定工程で決定された前記変更量に基づいて、前記撮像パラメータを変更する変更工程と
を有することを特徴とする制御方法。
【請求項22】
コンピュータに、請求項1乃至
8のいずれか1項に記載の撮像装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項23】
コンピュータに、請求項
9乃至
15のいずれか1項に記載の撮像システムを構成する画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【請求項24】
請求項
22または
23に記載のプログラムを記憶したコンピュータが読み取り可能な記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像装置、撮像システム、及びそれらの制御方法に関し、特に、撮像装置外部の画像処理装置を利用して画像処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撮像装置で撮像した画像に対し、ノイズ成分を除去するNR処理等の画像処理を適用することで、高画質な画像となるように補正することが行われている。NR処理を用いて高画質な画像を得るためには、NR処理によるノイズの低減効果を考慮に入れて、撮像時に絞り値、シャッター速度、ISO感度等の撮像パラメータを決定することが必要である。例えば、ISO感度を上げるとノイズ成分の強度は上がるが、シャッター速度を高速にすることができるため、手振れや被写体振れの影響が低減する。このため、暗い環境下で動きのある被写体を撮像する際には、NR処理後のノイズ成分の強度が許容できる範囲でISO感度を上げ、シャッター速度や絞り値等の撮像パラメータを決定することが望ましい。
【0003】
また、撮像画像に対する画像処理を、撮像装置内ではなく、撮像装置外部の画像処理装置において実行することが行われている。例えば、特許文献1では、撮像装置で撮像された画像と撮像装置の機種情報とを外部の画像処理装置へ送信し、外部の画像処理装置において、撮像装置の機種ごとに記録されている画質補正パラメータに基づいて画質補正を行う技術が開示されている。
【0004】
加えて、近年、統計的な特徴量等を利用した高度な画像処理技術の発展に伴い、撮像装置では実行することが困難である高度な画像処理を、撮像装置外の画像処理装置において実行させることで、より高画質な画像を得ることが可能となっている。この場合、外部の画像処理装置における画像処理の結果(例えば、ノイズ低減の度合い)を考慮して撮像時の撮像パラメータを決定する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来の技術では、撮像装置で画像処理を行う場合と、外部の画像処理装置で画像処理を行う場合とで、それぞれの場合に応じた最適な撮像パラメータを決定することができなかった。
【0007】
本発明は、上記問題点を鑑みてなされたものであり、画像処理に応じた、撮像シーンに適した撮像パラメータを決定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の撮像装置において、撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像手段と、前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを設定する設定手段と、外部の画像処理装置と情報の送受信を行うための通信手段と、を有し、前記通信手段は、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合に、前記外部の画像処理装置から、前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能でない場合に設定される撮像パラメータに対する、撮像パラメータの変更量を受信し、前記設定手段は、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合と可能でない場合で、前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを異ならせ、前記画像信号に対して前記外部の画像処理装置における画像処理を行うことが可能である場合に、前記変更量を用いて前記撮像パラメータを設定する。
【0009】
また、上記目的を達成するために、撮像装置と、画像処理装置とを含む本発明の撮像システムにおいて、前記撮像装置は、撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像手段と、前記画像信号に対して画像処理を行う第1の画像処理手段と、前記第1の画像処理手段による画像処理に対応する、前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを決定する第1の決定手段と、前記画像処理装置と情報の送受信を行うための第1の通信手段と、を有し、前記画像処理装置は、前記撮像装置と情報の送受信を行うための第2の通信手段と、外部から受信した画像信号に対して画像処理を行う第2の画像処理手段と、前記撮像装置から受信した情報に基づいて、前記第2の画像処理手段による画像処理に対応する、前記撮像パラメータの変更量を決定する第2の決定手段と、を有する。
【0010】
また、上記目的を達成するために、本発明の撮像システムにおいて、撮像面上に結像した光学像を光電変換することにより撮像し、画像信号を出力する撮像手段と、前記画像信号に対して画像処理を行う第1の画像処理手段と、前記第1の画像処理手段による画像処理に対応する、前記撮像手段により撮像するときの撮像パラメータを決定する第1の決定手段と、前記画像信号に対して、前記第1の画像処理手段と異なるアルゴリズムを用いて画像処理を行う第2の画像処理手段と、前記第1の画像処理手段と前記第2の画像処理手段とにより処理された画像信号間の違いに基づいて、前記撮像パラメータの変更量を決定する第2の決定手段と、を有し、前記第1の決定手段は、前記第2の決定手段により決定された前記変更量に基づいて、前記撮像パラメータを変更する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、本発明によれば、画像処理に応じた、撮像シーンに適した撮像パラメータを決定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施形態における撮像システムの構成を表す図。
【
図2】実施形態における撮像装置の機能構成を示すブロック図。
【
図3】実施形態における外部画像処理装置の機能構成を示す図
。
【
図4】実施形態におけるユーザー属性情報テーブルの一例を示す図。
【
図5A】第1の実施形態における撮像装置の処理を示すフローチャート。
【
図5B】第1の実施形態における外部画像処理装置の処理を示すフローチャート。
【
図6】第1の実施形態におけるプログラム線図の一例を示す図。
【
図7】第1の実施形態における撮像パラメータの変更量の一例を示す図。
【
図8A】第2の実施形態における撮像装置の処理を示すフローチャート。
【
図8B】第2の実施形態における外部画像処理装置の処理を示すフローチャート。
【
図9】第2の実施形態における撮像パラメータの変更方法を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0014】
<第1の実施形態>
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。
本発明の第1の実施形態では、外部の画像処理装置に対するユーザー属性情報に基づいて、撮像装置における撮像パラメータを制御する撮像システムについて説明する。
【0015】
図1は、本発明の第1の実施形態における撮像装置を含む撮像システムの構成例を示す図である。
撮像システムは、画像を撮像する撮像装置101、通信用のネットワーク102、サーバ等から構成される外部画像処理装置103を含む。撮像装置101は、ネットワーク102を介して、外部画像処理装置103と通信することができる。
【0016】
次に、撮像装置101の機能構成について、
図2を参照して説明する。
光学系201は、ズームレンズ、フォーカスレンズを含むレンズ群で構成され、被写体像を撮像部202の撮像面上に結像する。光学系201には、光学系201のズームポジション、フォーカスポジションをユーザーが直接操作して制御する不図示の操作部材が設けられている。
【0017】
撮像部202は、例えばCCDやCMOSセンサ等の撮像素子であり、光学系201により撮像部202の撮像面上に結像された光学像を光電変換する。そして、得られたアナログ画像信号を不図示のA/D変換部を用いてデジタル画像データに変換した後、RAW画像データとして出力する。撮像部202から出力されたRAW画像データは、RAM209に一時的に記憶される。
【0018】
画像処理部203は、RAM209に記憶されているRAW画像データに対して、ホワイトバランス調整、色補間、ガンマ処理、NR処理等、様々な画像処理を適用し、画像処理結果画像(例えば、JPEG画像データ)を生成する。
【0019】
制御部207は、例えばCPUであり、撮像装置101が備える各ブロックに対する制御プログラムをROM208より読み出し、RAM209に展開して実行する。これにより、制御部207は、撮像装置101が備える各ブロックの動作を制御する。例えば、撮像シーンの明るさ情報や後述するプログラム線図に基づいて、光学系201における絞り値、撮像部202におけるシャッター速度、ISO感度等の撮像パラメータを決定し、各ブロックの動作を制御する。また、後述するように、制御部207は、外部画像処理装置103から送信される撮像パラメータの更新情報も用いて、撮像パラメータを決定する。
【0020】
ROM208は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、撮像装置101が備える各ブロックの動作プログラムに加え、各ブロックの動作に必要なパラメータ等を記憶する。また、後述するように、外部の画像処理装置の使用に関するユーザーID情報を記録する。
【0021】
RAM209は、書き換え可能な揮発性メモリであり、制御部207等が実行するプログラムの展開や、撮像装置101が備える各ブロックの動作等で生成されたデータの一時的な記憶等に用いられる。
記録部204は、着脱可能なメモリカード等である。記録部204は、画像処理部203で処理された画像データを、RAM209を介し、記録画像として記録する。
【0022】
表示部205は、LCD等の表示デバイスであり、RAM209に記憶されている画像や記録部204に記録されている画像の表示、ユーザーからの指示を受け付けるための操作ユーザーインターフェイスの表示等を行う。
指示入力部211は、タッチパネルや操作ボタンであり、ユーザーによる指示を入力する。また、指示入力部211には、不図示のシャッター釦が備えられており、ユーザーは例えば、シャッター釦の半押し動作によってONとなるスイッチSW1、及び、例えば、シャッター釦の全押し動作によってONとなるスイッチSW2によって、撮像を行う際の指示を出すことができる。
【0023】
通信部210は、ネットワーク102を介して、外部画像処理装置103と通信を行う通信部であり、例えば、後述する外部画像処理装置103の使用に関するユーザー属性を表すID情報や、記録部204によって記録されているRAW画像データを、外部画像処理装置103へ送信する。また、後述する通り、外部画像処理装置103から、撮像パラメータに対する変更量に関する情報等を受信する。
【0024】
次に、外部画像処理装置103の機能構成について、
図3に示すブロック図を参照して説明する。
外部画像処理部301は、入力されたRAW画像データに対して、ホワイトバランス調整、色補間、ガンマ処理、NR処理等、様々な画像処理を適用する。ここで適用される画像処理は、少なくともその一部分が、撮像装置101の画像処理部203において適用される画像処理とは異なるアルゴリズムを用いて実行されるものとする。本実施形態においては、一例として、NR処理のアルゴリズムが画像処理部203におけるアルゴリズムと異なっており、それ以外の画像処理のアルゴリズムや内容は撮像装置101と外部画像処理装置103とで共通であるものとして説明する。更に、外部画像処理装置103におけるNR処理の方が、撮像装置101におけるNR処理よりも、ノイズ低減効果が大きいものとして説明する。
【0025】
ユーザー属性判定部302は、入力されたID情報に対して、予め、ID情報と関連付けして記録されている外部画像処理装置103の使用に対するユーザー属性情報を参照し、ユーザー属性を判定する。
撮像パラメータ変換部303は、ユーザー属性判定部302が判定したユーザー属性情報に基づいて、撮像装置101での撮像パラメータの変更量を決定する。
【0026】
外部通信部304は、ネットワーク102を介して撮像装置101と通信し、撮像装置101から、例えばRAW画像データやID情報を受信する。また、撮像装置101に対して、撮像パラメータ変換部303で決定した撮像パラメータの情報等を送信する。
【0027】
ROM305は、電気的に消去・記録可能な不揮発性メモリであり、外部画像処理装置103が備える各ブロックの動作プログラムに加え、各ブロックの動作に必要なパラメータ等を記憶する。また、ROM305には、外部画像処理装置103の使用に関するユーザー属性情報が、ID情報と関連付けして記録されている。
RAM306は、書き換え可能な揮発性メモリであり、外部画像処理装置103の各部が実行するプログラムの展開や、生成されたデータの一時的な記憶等に用いられる。
【0028】
次に、
図4を参照して、外部画像処理装置103に記録されているユーザー属性情報の一例について説明する。ユーザー属性情報テーブル401において、列402は各ユーザーのID情報、列403は外部画像処理部301における画像処理の使用権限を表す情報を表している。例えば、外部画像処理部301における画像処理の使用に事前のユーザー登録が必要である場合であれば、各ユーザーがユーザー登録を事前に行っているか否かの情報が記録されている。
【0029】
次に、第1の実施形態における撮像システムの動作について、
図5A及び
図5Bのフローチャートに沿って説明する。なお、
図5Aは、撮像装置101における処理を、また、
図5Bは、外部画像処理装置103における処理を示している。
【0030】
まず、S501において、撮像装置101が通常の撮像準備を開始する。具体的には、ユーザーが撮像装置101の電源を入れると、撮像装置101の制御部207によって、撮像シーンの明るさ情報が取得され、撮像パラメータの決定が行われる。なお、本実施形態では、ユーザーが絞り値(Av値)を指定して設定するAv優先モードが選択されている場合を例に取って説明する。
【0031】
ここで行われる撮像パラメータの決定方法、特にISO感度、シャッター速度、絞り値の決定方法について、
図6に示すプログラム線図を参照して説明する。
図6において、601は撮像シーンの明るさ情報(Bv値)を表している。602はシャッター速度(Tv値)であり、ISO感度800~12800の場合に用いるTv値が示されている。603は絞り値(Av値)であり、ISO感度800~12800の場合に用いるAv値が示されている。
【0032】
ISO感度の設定がオートの場合には、それぞれの感度におけるノイズ特性と、NR処理適用後のノイズ低減効果の予測に基づいて、設計者がBv値毎に予め定めておいたISO感度の値を用いる。ここでは、ユーザーが設定したAv値が4.0、制御部207が演算したBv値が7である場合を例に取って説明する。また、上記の条件下では、オート時のISO感度が1600と予め設計されているものとして説明する。この場合、Tv値として1/125が撮像パラメータとして決定される。すなわち、ISO感度1600、Tv値1/125、Av値4.0となる。
【0033】
なお、ISO感度の設定がオートでのISO感度の設定については、ISO感度を上げてTv値を高速にすると、手振れや被写体の動きブレの影響が小さくなる利点がある一方で、画像のノイズの程度が悪化する。このトレードオフのため、NR処理におけるノイズ低減効果を考慮して、ノイズの程度が許容できる範囲で、できるだけTv値を高速にするようにプログラム線図を設計するとよい。
【0034】
S502では、外部画像処理装置103による画像処理を用いる撮像モードである外部連携撮像モードが、ユーザーによって設定されているか否かを判定する。設定されていなければS503へ進み、通常の撮像動作を行う。なお、S503では、通常の撮像動作として、ユーザーの撮像指示に従って画像の撮像を行うが、ここでは、RAW画像データの撮像動作に続き、画像処理部203による一連の画像処理の実行を行って、S511に進む。
【0035】
一方、外部連携撮像モードが設定されていれば、S504へ進み、外部画像処理装置103による画像処理を用いる場合の一連の撮像動作を開始する。S504では、撮像装置101の通信部210から、ネットワーク102を介して、外部画像処理装置103へ、外部画像処理装置103の使用に関するID情報を送信し、S505へ進む。
【0036】
外部画像処理装置103では、S520においてID情報を待ち、ID情報を受信すると、S521に進む。S521では、ユーザー属性判定部302は受信したID情報を
図4に示すテーブルに参照することにより、外部画像処理装置103における画像処理の利用の可否を判定する。ユーザー属性情報が利用可能であることを示していれば、S522へ進み、撮像装置101における撮像パラメータの変更量を示す情報を取得する。利用可能でなければ、S523へ進む。
【0037】
撮像パラメータの変更量は、撮像装置101における画像処理と、外部画像処理部301における画像処理との特性の違いに基づいて予め決定され、記憶されているものである。一例として、
図7に、撮像パラメータの変更量の一例を示す。
【0038】
図7の横軸は、通常の撮像動作において、撮像装置101によって定められたISO感度の設定値を表したものである。縦軸は、外部連携撮像モードにおけるISO感度の変更量を示したものであり、高感度時に通常の場合よりも所定量だけISO感度を上げる方向に撮像パラメータを更新することを示している。すなわち、外部画像処理部301におけるNR処理を用いる撮像モードにおいて、通常よりも高いISO感度で撮像を行うよう制御することを意味している。この変更により、ISO感度を上げる分だけ、シャッター速度(Tv値)を高速に設定することができ、手振れや被写体の動きブレの影響を抑えることが可能となる。
【0039】
一方、S523では、外部画像処理装置103における画像処理を利用できないため、外部画像処理装置103における画像処理が利用不可である旨を送信するように決定する。
S524では、S522で決定した
図7に示す撮像パラメータの変更量の情報またはS523で決定した外部画像処理装置103における画像処理が利用不可である旨を、ネットワーク102を介して、カメラに送信する。
【0040】
撮像装置101は、S505において、撮像パラメータの変更量の情報または外部画像処理装置103における画像処理を利用できない旨を受信するまで待機する。そして、S506において、受信した内容が、撮像パラメータの変更量の情報ではない場合、すなわち、外部画像処理装置103における画像処理が使用不可である場合、S503に進んで、通常の撮像動作を行う。
【0041】
一方、受信した内容が、撮像パラメータの変更量の情報である場合、S507に進み、受信した情報に基づいて、撮像パラメータの更新を行う。例えば、
図6に示すプログラム線図において、通常の撮像動作において選択されていたシャッター速度(Tv値)の設定がTv値1/125であった場合に、ISO感度を1段分上げた場合の設定値であるTv値1/250が新たに選択される。すなわち、通常の撮像動作の場合の撮像パラメータが、ISO感度1600、Tv値1/125、Av値4.0であったのに対し、外部連携撮像モードにおける撮像パラメータはISO感度3200、Tv値1/250、Av値4.0となる。
【0042】
S508では、撮像装置101が、更新された撮像パラメータを用いて、画像の撮像を行う。ここでは、撮像部202が出力したRAW画像データを記録部204によって記録する処理までを行う。
次にS509において、撮像装置101が、記録したRAW画像データを、ネットワーク102を介して、外部画像処理装置103へ送信する。
【0043】
外部画像処理装置103では、S525において撮像装置101からRAW画像データを受信するまで待機し、RAW画像データを受信すると、S526において、受信したRAW画像データに対して、外部画像処理部301による画像処理を適用し、画像データを生成する。
S527において、外部画像処理装置103は、生成した画像データを、ネットワーク102を介して撮像装置101へ送信する。なお、外部画像処理装置103は、生成した画像データを撮像装置101へ送信せずに、不図示の記録媒体に記録し、ユーザーが任意に記録した画像データにアクセスできるようにしてもよい。
【0044】
撮像装置101は、S510において、外部画像処理装置103から処理済みの画像データを受信するまで待機し、画像データを受信すると、S511において、受信した画像データを記録部204により記録する。
【0045】
上記の通り第1の実施形態によれば、外部画像処理装置を利用した画像処理を行う場合に、外部画像処理装置における画像処理の特性を反映して、適した撮像パラメータを決めることができるため、撮像画像の画質を向上させることが可能となる。また、外部画像処理装置を利用しない場合や利用できない場合にも、撮像装置内における画像処理の特性に適した撮像パラメータを決めることができる。
【0046】
なお、本実施形態では、外部画像処理装置によってNR処理を適用する場合を例に取って説明したが、本発明における画像処理の内容はこれに限定されるものではない。例えば、レンズの絞りを開放付近に設定した場合に生じる収差を補正する収差補正を行うようにしても良い。この場合、外部画像処理装置において収差補正を行う場合には、レンズの絞りの設定を通常よりも開放側に設定するように制御すれば良い。このようにすることで、撮像シーンが暗い場合でも、絞りを開放側に設定するため十分な光量が得られると共に、解像感の高い画像を撮像することができる。すなわち、撮像装置における画像処理とは特性の異なる画像処理を、外部画像処理装置において適用する場合であれば、どのような画像処理を適用しても構わない。
【0047】
また、本実施形態では、撮像パラメータの制御として、Av優先撮像モードにおけるISO感度を制御する場合を例に取って説明したが、本発明における撮像パラメータの制御の方法はこれに限定されるものではない。例えば、ISO感度オートの撮像モードにおいて、使用するISO感度の上限が設定されている場合に、その上限値を高くするように撮像パラメータを制御しても構わない。
【0048】
なお、上述した説明では、外部画像処理装置103は、ユーザー属性に基づいて画像処理が利用できる場合に、
図7に示す撮像パラメータの変更量を決定して撮像装置101に通知するものとして説明したが、本発明はこれに限られるものでは無い。撮像装置101から撮像パラメータを外部画像処理装置103に送信し、画像処理が利用できる場合に、送信された撮像パラメータを外部画像処理装置103において変更し、変更した撮像パラメータを撮像装置101に送信するようにしてもよい。または、送信された撮像パラメータに対応する変更量のみを撮像装置101へ送信するようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、画像の撮像後に、撮像したRAW画像信号を撮像装置101から外部画像処理装置103へ送信し、外部画像処理装置103における画像処理の適用を実行する場合を例に取って説明した。しかしながら、本発明におけるRAW画像信号に対する画像処理の適用のタイミングは、これに限定されるものではない。例えば、外部画像処理装置103の使用に関するユーザー属性情報の送信と、撮像パラメータの更新に関する処理のみを撮像時に行い、外部画像処理装置103における画像処理の適用は、撮像後に行うようにしても良い。例えば、撮像装置101において記録媒体に記録されたRAW画像を、ユーザーのPC上に移した後に、ユーザーのPCから外部画像処理装置103へ送信し、画像処理を適用するようにしても構わない。
【0050】
また、本実施形態では、撮像装置101と外部画像処理装置103とが、ネットワーク102を介して情報の送受信を行う場合を例に取って説明したが、本発明における撮像装置101と外部画像処理装置103間の送受信は、これに限られるものではない。例えば、スマートフォン等のエッジデバイスを外部画像処理装置103として使用し、有線、又は、無線通信によって、撮像装置101とエッジデバイスが直接通信する構成を用いても構わない。
【0051】
また、RAW画像ではなく、撮像装置101で画像処理を適用した後の画像(例えば、JPEG画像)を、外部画像処理装置103へ送信するようにしても良い。この場合、外部画像処理装置103では、送信された画像(例えば、JPEG画像)に対して、NR処理等の画像処理を適用する。
【0052】
また、本実施形態では、外部画像処理装置103の使用に関するユーザー属性情報を判定するユーザー属性判定部302と、画像処理を適用する外部画像処理部301とが、同一の装置内に構成されている場合を例に取って説明した。しかしながら、本発明における外部画像処理装置の構成は、これに限られるものではない。例えば、ユーザー属性判定部はネットワークを介して撮像装置101と通信する構成とし、外部画像処理部301はユーザーの自宅に設置されているPC上で実行されるソフトウェアとする構成であっても構わない。
【0053】
また、本実施形態では、外部画像処理装置103によって決定された撮像パラメータの更新を、撮像装置101側で自動的に適用し、撮像に用いる場合を例に取って説明したが、本発明における撮像パラメータの制御方法は、これに限定されるものではない。例えば、外部画像処理装置103によって決定された撮像パラメータの変更量を、撮像装置101の表示部において推奨値としてユーザーに通知し、ユーザーの選択によって撮像パラメータを更新するようにしても構わない。すなわち、外部画像処理装置103の使用に関するユーザー属性情報から、撮像パラメータの情報へと変換する処理を行う方法であれば、変換した撮像パラメータの情報の使用方法はどのようなものであっても構わない。
【0054】
<第2の実施形態>
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第2の実施形態における撮像システムの構成は、
図1乃至
図3を参照して説明したものと同様であるため、ここでは説明を省略する。
【0055】
上述した第1の実施形態では、外部画像処理装置103の使用に関するユーザー属性情報に基づいて、撮像パラメータの変更量を決定する場合について説明した。これに対し、第2の実施形態では、撮像装置101での画像の撮像に関する撮像情報に基づいて、撮像パラメータを変更する場合について説明する。
【0056】
第1の実施形態で説明した場合のように、外部画像処理装置103におけるNR処理の方が、ノイズ低減効果が大きい場合であっても、撮像シーンや被写体によってはノイズ低減効果の差が小さくなる場合がある。このような場合に撮像パラメータの変更量を適切に決定するためには、撮像シーンや撮像画像に関する情報も用いることが必要となる。
【0057】
次に、
図8A及び
図8Bを用いて、第2の実施形態における撮像動作について説明する。なお、
図8Aは、撮像装置101における処理を、また、
図8Bは、外部画像処理装置103における処理を示している。また、
図8A及び
図8Bに示す処理において、
図5A及び
図5Bで説明した処理と同様の処理には同じステップ番号を付して、適宜説明を省略する。
【0058】
S804では、撮像装置101は準備撮像期間中に撮像を行い、RAW画像データを取得すると共に、取得したRAW画像データに対して、画像処理部203において画像処理を適用し、画像データを生成する。
S805では、撮像装置101は外部画像処理装置103へ、S804において取得したRAW画像データと画像処理後の画像データとを撮像情報として送信する。
【0059】
S820において、外部画像処理部301は、撮像情報の受信を待ち、受信するとS821に進んで、受信したRAW画像データに対して、NR処理を適用する。
【0060】
S822では、撮像パラメータ変換部303が、撮像パラメータの変更量を決定する。具体的には、撮像パラメータ変換部303が、撮像装置101から送信された画像処理後の画像データと、外部画像処理部301において生成した外部画像処理後の画像データとの間(画像信号間)でノイズの程度を比較する。例えば、2枚の画像の差分値を算出すると、その差分値は撮像装置101と外部画像処理装置103との間でのノイズ低減効果の差を示すことになる。従って、差分値の信号の振幅をノイズ評価値としてノイズの程度を比較することができる。
【0061】
撮像パラメータ変換部303は、算出したノイズ評価値と、
図9に示す特性に基づいて、撮像パラメータの更新内容を決定する。
図9において、横軸は算出したノイズ評価値を表し、縦軸はISO感度の変更量を段数として表したものである。例えば、算出したノイズ評価値の値が図の902よりも大きな値である場合、ISO感度の変更量は1段分として決定される。この場合、通常の撮像動作の場合に比べて、ISO感度を上げ、その分シャッター速度を高速に設定することができるため、手振れや被写体ブレの影響を低減し、画質を向上させることが可能となる。一方、算出したノイズ評価値の値が図の901よりも小さい値である場合、ISO感度を変更しないものとして決定される。
そして、S823において、外部画像処理部301は、S822で決定した撮像パラメータの変更量を撮像装置101に送信する。
【0062】
S806において、撮像装置101は撮像パラメータの変更量に関する情報を待ち、撮像パラメータの変更量に関する情報を受信すると、S507に進み、以下、
図5を参照して説明した処理を行う。
【0063】
上記の通り第2の実施形態によれば、撮像シーン毎に、外部画像処理装置での画像処理の特性を反映した撮像パラメータを決めることが可能となる。
【0064】
なお、本実施形態では、撮像情報として、準備撮像中のRAW画像データと撮像装置101における画像処理後の画像データとを外部画像処理装置103へ送信し、撮像パラメータの変更量の判断に使用する場合を例に取って説明した。しかしながら、本発明は、撮像装置101から外部画像処理装置103に送信する画像データをこれらに限定するものではない。例えば、撮像シーンの明るさ情報、被写体の種類の情報、被写体に含まれるエッジやテクスチャ成分の特性の情報を撮像情報として送信し、その情報に基づいて、外部画像処理装置での画像処理の適用結果を推定する方法を用いても構わない。
【0065】
また、本実施形態では、RAW画像データと、撮像装置101での画像処理を適用した画像処理結果画像との両方を送信する場合で説明したが、RAW画像信号のみを外部画像処理装置へ送信し、外部画像処理装置103において撮像装置101と同様の画像処理を適用して画像処理結果画像として用いる構成を用いても構わない。
【0066】
また、本実施形態では、外部画像処理装置103が撮像装置101の撮像パラメータの変更量を決定する構成を例に取って説明したが、これに限られるものではない。例えば、外部画像処理装置103による画像処理を利用することを撮像装置101が確認できた場合に、撮像装置101が予め定められたルールに従って撮像パラメータを変更してもよい。具体的には、撮像装置101は、画像処理を利用することが確認できた場合に、ISO感度を1段分上げたプログラム線図に変更する、あるいは、設定可能なISO感度の上限を1段上げたりするなどの処理を行えばよい。外部画像処理装置103によるNR処理が利用できるのであれば、撮像パラメータのISO感度を上げ、収差補正処理が利用できるのであれば、撮像パラメータの絞りを開放側にシフトさせればよい。また、外部画像処理装置103によるNR処理と収差補正処理の両方が利用できるのであれば、ISO感度を上げ、かつ、絞りを開放側にシフトさせるようにしてもよい。つまり、外部画像処理装置103にて利用する画像処理の種類に応じた内容で、撮像パラメータを変更するように構成すればよい。
【0067】
なお、撮像装置101が、外部画像処理装置103による画像処理を利用することを確認する方法としては、様々なものが考えられる。例えば、撮像装置101が外部画像処理装置103と通信してユーザーの認証をしたり、ユーザーに外部画像処理装置103から取得した認証コードを撮像装置101に入力させたりする方法が考えらえる。あるいは、ユーザーに、外部の装置による画像処理を利用することを、撮像装置101の設定メニュー上で選択させるようにしてもよい。このような構成とすれば、撮像装置101自身が撮像パラメータを変更するため、必ずしも、外部画像処理装置103に撮像パラメータ変換部303を設ける必要はない。
【0068】
また、本実施形態では、撮像装置101と外部画像処理装置103とが別個に構成される場合を例に取って説明したが、本発明における撮像装置101の構成はこれに限定されるものではない。例えば、撮像装置101内に、互いに処理内容の少なくとも一部が異なる複数の画像処理部を備える構成の撮像装置を用いても構わない。この場合、通常の撮像動作時に用いられる画像処理部の特性に基づいて撮像パラメータを設定しておき、別の画像処理部を用いる場合には、使用する画像処理部での画像処理の特性に基づいて設定された撮像パラメータへ更新するように制御すれば良い。このようにすることで、特性の異なる複数の画像処理を、その特性に合わせて使い分ける場合においても、それぞれの画像処理の特性に応じた撮像パラメータを決定することが可能となる。
【0069】
また、本実施形態では、撮像動作が開始された準備撮像期間中に、RAW画像データを外部画像処理装置103へ送信する場合を例に取って説明したが、本発明は、RAW画像データ等の撮像情報を送信するタイミングをこれに限定するものではない。例えば、準備撮像期間中に、撮像シーンや被写体が大きく変化したことを検知した場合や、使用する撮像パラメータが大きく変化する場合にのみ、撮像情報の送信と撮像パラメータの更新を実行するようにしても良い。また、所定の閾値以上のISO感度が設定された場合や、撮像した画像に手振れや動きブレが検出された場合等、通常の撮像装置での画像処理を適用した場合には望ましい画質が得られないことが予測される場合にのみ、撮像情報の送信と撮像パラメータの更新を実行するようにしても良い。
<他の実施形態>
また、本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0070】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0071】
101:撮像装置、102:ネットワーク、103:外部画像処理装置、202:撮像部、203:画像処理部、205:表示部、207:制御部、210:通信部、211:指示入力部、301:外部画像処理部、302:ユーザー属性判定部、303:撮像パラメータ変換部、304:外部通信部