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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】記録装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B41J 29/38 20060101AFI20240419BHJP
   B65H 5/06 20060101ALI20240419BHJP
   B65H 29/68 20060101ALI20240419BHJP
   B65H 29/26 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
B41J29/38
B65H5/06 Z
B65H29/68
B65H29/26
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020038124
(22)【出願日】2020-03-05
(65)【公開番号】P2021138061
(43)【公開日】2021-09-16
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村田 遼介
(72)【発明者】
【氏名】須藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】杉山 敏郎
(72)【発明者】
【氏名】黒沼 大悟
(72)【発明者】
【氏名】島村 健史
(72)【発明者】
【氏名】張替 亮
(72)【発明者】
【氏名】山口 敏明
(72)【発明者】
【氏名】徳田 康平
【審査官】加藤 昌伸
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-329319(JP,A)
【文献】特開2003-020138(JP,A)
【文献】特開2003-221154(JP,A)
【文献】特開2021-117260(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 29/00 - 29/70
B41J 2/01 - 2/215
B41J 13/00 - 13/32
B41J 11/00 - 11/70
B65H 5/06
B65H 29/26 - 29/30
B65H 29/54 - 29/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体を搬送するローラ対と、
記録手段により記録が行われた前記記録媒体を前記ローラ対に保持させる制御手段と、
前記記録媒体の排出指示操作を受け付ける操作手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記排出指示操作を受け付けると、所定の時間の経過を条件として、保持している前記記録媒体を、保持する前の搬送速度より低い搬送速度で排出するよう前記ローラ対を制御することを特徴とする記録装置。
【請求項2】
前記記録媒体のサイズを検知する検知手段をさらに有し、
前記制御手段は、前記検知手段で検知た前記サイズが第1サイズの場合は、前記所定の時間の経過を条件とし、前記サイズが前記第1サイズより小さい第2サイズの場合には、前記所定の時間の経過を条件とせずに前記記録媒体を排出するよう前記ローラ対を制御することを特徴とする請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記排出指示操作を受け付ける前に、前記所定の時間に関する情報を通知する通知手段をさらに有することを特徴とする請求項1または2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記通知手段は、前記所定の時間の長さに関する複数の選択肢を通知し、
前記制御手段は、前記操作手段を介して選択された前記複数の選択肢のうちの何れかに対応する時間の長さ待機した後に前記記録媒体を排出するよう前記ローラ対を制御することを特徴とする請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記通知手段は、ディスプレイおよびスピーカの少なくともいずれかを介して通知することを特徴とする請求項3または4に記載の記録装置。
【請求項6】
記録媒体を搬送するローラ対と、
記録手段により記録が行われた前記記録媒体を前記ローラ対に保持させる制御手段と、
前記記録媒体の排出指示操作を受け付ける操作手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記排出指示操作を受け付けると、保持している前記記録媒体を、保持する前の搬送速度より低い搬送速度で排出するよう前記ローラ対を制御することを特徴とする記録装置。
【請求項7】
記録媒体を搬送するローラ対と、
記録手段により記録が行われた前記記録媒体を前記ローラ対に保持させる制御手段と、
前記記録媒体の排出指示操作を受け付ける操作手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記排出指示操作を受け付けると、保持している前記記録媒体を、搬送速度を一時的に低下させて排出するよう前記ローラ対を制御することを特徴とする記録装置。
【請求項8】
前記制御手段は、前記操作手段が排出指示操作を受け付ける前に、前記記録媒体の搬送方向における前記記録媒体の後端付近であって、前記記録手段によって記録されていない領域を保持して待機するよう前記ローラ対を制御することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記排出指示操作を受け付ける前に、排出される前記記録媒体を両手で持つように促す指示を通知する通知手段を有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の記録装置。
【請求項10】
前記通知手段は、ディスプレイおよびスピーカの少なくともいずれかを介して通知することを特徴とする請求項9に記載の記録装置。
【請求項11】
記録媒体を搬送するローラ対を備え記録装置の制御方法であって、
記録手段により記録が行われた前記記録媒体を前記ローラ対に保持させる保持工程と、
前記記録媒体の排出指示操作を受け付ける受け付け工程と、
前記排出指示操作を受け付けると、保持している前記記録媒体を、保持する前の搬送速度より低い搬送速度で排出するよう前記ローラ対を制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項12】
記録媒体を搬送するローラ対を備え記録装置の制御方法であって、
記録手段により記録が行われた前記記録媒体を前記ローラ対に保持させる保持工程と、
前記記録媒体の排出指示操作を受け付ける受け付け工程と、
前記排出指示操作を受け付けると、保持している前記記録媒体を、保持する前の搬送速度より低い搬送速度で排出するよう前記ローラ対を制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項13】
記録媒体を搬送するローラ対を備える記録装置の制御方法であって、
記録手段により記録が行われた前記記録媒体を前記ローラ対に保持させる保持工程と、
前記記録媒体の排出指示操作を受け付ける受け付け工程と、
前記排出指示操作を受け付けると、保持している前記記録媒体を、搬送速度を一時的に低下させて排出するよう前記ローラ対を制御する制御工程と、
を含むことを特徴とする制御方法。
【請求項14】
コンピュータに請求項11から13のいずれか1項に記載の制御方法の各工程を実行させるプログラム。
【請求項15】
コンピュータに請求項11から13のいずれか1項に記載の制御方法の各工程を実行させるプログラムを格納する記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に記録装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
これまで、ロール紙などのロール状記録媒体と、カット紙などのシート状記録媒体に記録可能な記録装置が提案されている。特許文献1には、給紙トレイにセットされたカット紙を、ロール紙と同じ排出口から排出する記録装置が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-114648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような記録装置には排紙トレイが搭載されていない場合があり、排出口から排出される記録媒体が落下しないよう、記録装置は排紙ローラで記録媒体の後端を保持し、ユーザのパネル操作によって排出指示を受け取ると即座に排紙処理を行う。
【0005】
しかしながら、ユーザは、パネルの操作と、排出される記録媒体の受け取りとを行わなければならず、一方の手でパネルを操作し、他方の手で排出される記録媒体を受け取る結果、記録媒体をうまく受け取ることができずに破損する恐れがあった。そのため、記録装置に排出処理を実行させる際のユーザの利便性の低さが課題であった。
【0006】
そこで本発明は、排出処理を実行する際のユーザの利便性を向上する記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述のような課題を解決するため、本発明に係る記録装置の一態様は、記録媒体を搬送するローラ対と、記録手段により記録が行われた前記記録媒体を前記ローラ対に保持させる制御手段と、前記記録媒体の排出指示操作を受け付ける操作手段と、を備え、前記制御手段は、前記排出指示操作を受け付けると、所定の時間の経過を条件として、保持している前記記録媒体を、保持する前の搬送速度より低い搬送速度で排出するよう前記ローラ対を制御する。


【発明の効果】
【0008】
本発明により、排出処理を実行する際のユーザの利便性を向上する記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態に係る記録装置の概略図である。
図2】本実施形態に係る記録装置の制御ユニットの構成を示すブロック図である。
図3】本実施形態に係る記録装置の動作説明図である。
図4】本実施形態に係る制御部の処理例を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係る制御部の処理例を示すフローチャートである。
図6】本実施形態に係る制御部の処理例を示すフローチャートである。
図7】本実施形態に係る制御部の処理例を示すフローチャートである。
図8】本実施形態に係る制御部の処理例を示すフローチャートである。
図9】本実施形態に係る記録装置の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して実施形態を詳しく説明する。なお、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。実施形態には複数の特徴が記載されているが、これらの複数の特徴の全てが発明に必須のものとは限らず、また、複数の特徴は任意に組み合わせられてもよい。さらに、添付図面においては、同一若しくは同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する。
【0011】
<第1実施形態>
図1は本実施形態における記録装置1の概略図である。本実施形態では、記録ヘッドを搭載したキャリッジが走査することで記録するシリアル型のインクジェット記録装置に本発明を適用した場合について説明するが、本発明は他の形式の記録装置にも適用可能である。
【0012】
なお、「記録」には、文字、図形等有意の情報を形成する場合のみならず、有意無意を問わず、広く記録媒体上に画像、模様、パターン等を形成する、又は媒体の加工を行う場合も含まれ、人間が視覚で知覚し得るように顕在化したものであるか否かを問わない。また、本実施形態では「記録媒体」としてシート状の紙を想定するが、布、プラスチック・フィルム等であってもよい。
【0013】
<装置の構成>
記録装置1は、保持部2と、供給部4と、記録ユニット5と、搬送部7と、排出部8と、検出ユニット13と、カッターユニット15と、操作部16とを含み、記録媒体PMに画像を記録する装置である。本実施形態の場合、記録媒体PMは、定型サイズに切断されたカットシートを構成しており、記録媒体PMは、供給部4によって、1枚ずつ搬送部7に供給される。しかしながら、記録媒体PMは、ロール状に巻かれたロールシートであってもよい。本明細書において、供給部4、搬送部7、および排出部8をまとめて搬送ユニットと呼ぶ。なお、搬送ユニットは、供給部4および排出部8の少なくともいずれかが省略されてもよい。この場合には、搬送部7が供給部4および排出部8の少なくともいずれかの機能を実現するよう動作する。
【0014】
保持部2は、供給部4による記録媒体の供給を保持するための構造を含む。例えば、記録媒体が定型サイズに切断されたシート状の記録媒体(カットシート)である場合には、保持部2は給送トレイを含む。また、記録媒体がシート状の巻き回されたロール状の記録媒体(ロールシート)である場合には、保持部2はロールシートを支持するためのスプール軸を含んでもよい。供給部4は、搬送部7に記録媒体を供給するための供給ローラを含む。記録媒体がロールシートである場合、供給部4には、記録媒体PMの引き出し、巻き取りを補助するために、これを回転させる駆動機構を設けてもよい。
【0015】
搬送部7は、記録媒体PMを図1の搬送方向前方(X方向)に搬送するための搬送ローラ7aと、搬送センサ7bとを含む。本実施形態の場合、搬送ローラ7aは一対の駆動ローラと従動ローラを含む。搬送部7は、不図示の駆動機構を備え、駆動ローラを回転駆動する。従動ローラは駆動ローラに圧接されて従動回転する。従って、記録媒体PMは駆動ローラと従動ローラとに挟持されてプラテン上を搬送される。不図示のプラテンは、記録ユニット5と記録媒体との距離を保証する。搬送部7の駆動機構は、例えば、モータを駆動源とした歯車機構を採用可能である。搬送部7の回転量は不図示のセンサ(例えばエンコーダ)によって検出され、記録媒体PMの搬送量が制御される。搬送センサ7bは、ロールシート又はカットシートの搬送方向の先端又は後端を検知するセンサである。
【0016】
以下の説明において、上流側、下流側という場合は、搬送部7による記録媒体PMの搬送方向を基準とする。記録媒体PMの搬送方向は図中矢印Xで示されており、副走査方向と呼ぶ場合がある。矢印Yは記録媒体PMの搬送方向と直交する方向を示し、この方向を主走査方向、または紙幅方向と呼ぶ場合がある。供給部4のローラ対および搬送部7のローラ対は、それらの軸方向が主走査方向Yと平行となるように配置されている。
【0017】
なお、一例では、搬送部7の搬送方向下流側に搬送センサ(不図示)が配置される。搬送センサは、記録媒体が搬送部7によって適切に搬送されているか否かを判定するための光学センサなどのセンサである。一例では、搬送センサは搬送される記録媒体のX方向およびY方向の少なくともいずれかの記録媒体のサイズを検出することができる。
【0018】
記録ユニット5は、搬送部7よりも下流側に配置され、搬送部7により搬送される記録媒体PMに画像を記録可能である。記録ユニット5は、本実施形態の場合、インクを吐出する複数のノズルを備えた記録ヘッドを構成している。
【0019】
記録ユニット5はキャリッジ12に搭載されている。キャリッジ12には記録ユニット5にインクを供給するタンクが装着されている。キャリッジ12は、不図示の駆動機構によりY方向に往復移動可能である。キャリッジ12の駆動機構としては、例えば、モータを駆動源としたベルト伝動機構を採用可能である。キャリッジ12の位置は検出ユニット13または不図示のセンサ(例えばエンコーダ)によって検出され、キャリッジ12の移動が制御される。
【0020】
検出ユニット13は、記録媒体PM上に記録された画像や記録媒体PMの端縁或いは記録媒体PMの厚さ等を検出可能である。検出ユニット13はキャリッジ12に搭載されており、キャリッジ12と共にY方向に移動する。検出ユニット13の検出結果は、キャリッジ12の位置の検出結果と、搬送部7による記録媒体PMの搬送量とによって、記録媒体PM上の位置と関連づけることができる。また、一例では、検出ユニット13はキャリッジ12の位置を検出する。
【0021】
検出ユニット13は例えば発光素子と受光素子とを備えた光センサを備える。発光素子はプラテンへ向けて光を照射し、その反射光を受光素子で受光する。検出ユニット13により記録媒体PMの先端位置を検出する場合は、例えば、記録媒体PMを搬送して検出ユニット13を一旦通過させ、その後記録媒体PMを上流側へ逆送する。プラテンと記録媒体PMとの反射率の違いから、記録媒体PMの先端が通過すると受光素子により受光する値が変動する。このときの搬送部7の回転量の検出結果から、記録媒体PMの先端の位置を検出することができる。同様に、記録媒体PM上に記録された画像の位置も受光素子の受光結果の変化点における搬送部7の回転量の検出結果やキャリッジ12の位置検出結果から検出可能となる。
【0022】
排出部8は、記録媒体PMを排出口9へ搬送する。また、本実施形態に係る排出部8は、記録媒体PMの排出を完了する前に、記録媒体PMを保持し、操作部16を介した排出指示操作に応じて記録媒体PMの排出処理を実行する。排出処理の詳細については図4~8を参照して後述する。
【0023】
カッターユニット15は、記録媒体PMをY方向に切断するカッターを備える。カッターユニット15も、不図示の駆動機構によりY方向に往復移動可能である。一例では、カッターユニット15は、キャリッジ12との係合構造を有し、キャリッジ12に牽引されてY方向に往復移動することができる。この場合、カッターユニット15は排出部8より搬送方向上流に配置されてもよい。
【0024】
記録装置1の上面にはユーザが様々な設定やコマンドを入力したり、情報を確認したりするための操作部16が設けられている。一例では、操作部16は液晶ディスプレイなどの表示装置、タッチディスプレイ、およびLEDなどの発光モジュールの少なくとも何れかを含む。
【0025】
<制御ユニット>
続いて、図2を参照して記録装置1の制御ユニットの構成について説明する。CPU201は、記録装置1全体の制御を行うプロセッサ、プログラマブルロジック回路、またはマイクロプロセッサである。また、CPU201は、ROM202に記憶された制御プログラムを読みだしてRAM203などと共同し、記録処理や切断処理などの各種処理を実行する。ROM202は、例えばフレキシブルディスク、磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD-ROM、CD-R、DVD-ROM、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、EEPROM、またはシリコンディスク等の、制御プログラムの記憶領域である。RAM203は、CPU201が各種プログラムを実行するためのワークエリア等として使用する揮発性のメモリである。
【0026】
キャリッジエンコーダ204は、CPU201が記録処理を実行する場合に、記録するデータに基づいてキャリッジ12の移動量を決定し、キャリッジモータ208の制御信号を生成する。一例では、キャリッジエンコーダ204は記録ユニット5の印刷制御を行うための制御信号も生成する。排出部駆動モータ205は、排出部8に含まれる駆動モータである。供給部駆動モータ206は、供給部4に含まれる駆動モータである。搬送部駆動モータ207は、搬送部7を駆動するための駆動モータである。キャリッジモータ208は、キャリッジ12を紙幅方向に往復移動させるためのモータである。なお、排出部駆動モータ205、供給部駆動モータ206、搬送部駆動モータ207は、回転量を検出するセンサを備えてもよい。
【0027】
紙端検知センサ210は、搬送センサ(不図示)および検出ユニット13の少なくともいずれかの検出結果に基づいて、カットシートの先端がどの範囲にあるかを判定する。一例では、紙端検知センサ210は、紙端がカッターユニット15によって切断可能な位置にあるか否かを判定する紙端判定処理を実行する。
【0028】
入出力インタフェース(I/F)211は、少なくとも操作パネル212が接続され、ユーザに通知を行うことができる。また、入出力I/F211は、ボタンやキー類などの入力装置が接続され、ユーザ入力を受け付けることができる。
【0029】
なお、供給部4および排出部8の少なくとも何れかが配置されない記録装置においては、配置されない供給部4および排出部8の少なくとも何れかに対応する供給部駆動モータ206および排出部駆動モータ205の何れかは配置されなくてもよい。
【0030】
<記録処理例>
次に、図3(A)~図3(C)を参照して、記録処理について説明する。図3(A)~図3(C)は、ユーザからの記録指示を受信した後の記録装置1の断面図を示し、時系列順に図3(A)、図3(B)、図3(C)の順番で遷移する。
【0031】
図3(A)はユーザからの記録指示を受信した後、記録装置1の記録処理が開始された時点での記録装置1の断面図を示す。記録媒体PMとして1枚のカットシートが供給部4から搬送部7に搬送され、搬送部7によって記録ユニット5による記録に合わせてカットシートが搬送される。
【0032】
続いて、図3(B)は、記録装置1の記録処理が完了した時点での記録装置1の断面図を示す。記録ユニット5による記録が終了すると、カットシートPMは排出部8によって搬送されるが、排出部8は所定の位置でカットシートPMの搬送を停止し、カットシートPMを保持する。これによって、ユーザは記録処理が終了したことを認識し、記録済みのカットシートを受け取る準備を行うことができる。図3(B)において、ユーザは、操作パネル16のボタンを押下して記録装置1に排出処理の実行を指示する。
【0033】
続いて、図3(C)は、排出処理を開始した時点での記録装置1の断面図を示す。図3(C)において、排出部8はカットシートPMの搬送を行う。ユーザは、排出口から出たカットシートPMを把持し、記録済みのカットシートPMが落下しないよう受け取りを行う。ここで、操作パネル16のボタンを押下した後、記録装置1が即座に排出処理を実行すると、ユーザは片手でカットシートPMを把持する必要がある。ユーザがカットシートPMをうまく把持できない場合は、記録済みのカットシートを落下させ、破損してしまう可能性がある。
【0034】
このため、本実施形態に係る記録装置1は、排出指示操作を受け取ってから排出処理を実行するまでに待機時間を設けたり、搬出処理における搬送速度を変更したりすることで、ユーザが両手でカットシートPMを把持できる時間的な余裕を提供する。以降の図4図8では、ユーザが記録装置1に排出処理を実行させる際の利便性を向上するための記録装置1の処理例について説明する。なお、図4図8の処理は、記録装置1が外部装置(不図示)から記録指示を受信した場合に、図2のCPU201がROM202などに格納されたプログラムを実行することによって実現される。
【0035】
(実施例1)
まず、図4を参照して、CPU201が実行する、記録装置1の記録処理について説明する。
【0036】
まず、S401で、CPU201は、供給部駆動モータ206および搬送部駆動モータ207を制御し、カットシートを搬送方向下流側に搬送する。また、キャリッジモータ208を制御して、搬送されたカットシート上に画像形成を行う。続いて、S402で、CPU201は、排出完了前に、排出部駆動モータ205を制御して、カットシートを排出待機位置まで搬送して排出部8によりカットシートを保持させる。一例では、CPU201は、カットシートの先端から所定の長さだけ搬送を行ってカットシートを保持するよう排出部駆動モータ205を制御する。S402の別の例は、図8を参照して後述する。
【0037】
続いて、CPU201は処理をS403に進め、排出指示操作を要求する画面を操作パネル212に表示する。続いて、CPU201は処理をS404に進め、排出指示操作を受け取るまで排出指示操作を要求するS403の処理を繰り返す。排出指示操作を受け取ったと判定した場合(S404でYes)、CPU201は処理をS405に進め、所定の時間待機する。一例では、待機時間は、1秒、5秒、10秒などの時間であってもよい。続いて、CPU201は処理をS406に進め、排出処理を実行する。一例では、カットシートが排出部8によって保持(ニップ)されなくなるまで、排出部8はカットシートの搬送を再開する。別の例では、排出部8に含まれる排出ローラ対の軸間距離を大きくすることができる構成を有する場合、CPU201は、排出ローラ対の軸間距離を大きくすることでニップを解除し、カットシートを保持しないようにする。これによって、ユーザは排出されるカットシートを取り出すことができる。
【0038】
以上説明したように、本実施例に係る記録装置は、排出完了前に搬送を停止し、排出指示操作を受け付けた場合に、所定の時間待機し、排出部8に排出処理を実行させる。これによって、ユーザが排出指示操作をした後、排出口から出ているカットシートを両手で把持することができ、カットシートを落としてしまう可能性を低減することができる。
【0039】
なお、S404で排出指示操作を受け取ったと判定した場合、CPU201は、入出力I/F211を介して、排出処理が実行されるタイミングをユーザに通知してもよい。例えば、操作部16のディスプレイに「排出を開始します、排出される印刷済みの用紙を両手で受け取ってください」などの通知を表示してもよい。あるいは、記録装置1にスピーカを設け、スピーカを介して「排出を開始します」などの音声を再生してもよい。
【0040】
(実施例2)
次に、図5を参照して、CPU201が実行する、記録装置1の記録処理の一例について説明する。
【0041】
S401~S404までの処理は実施例1と同様のため説明を省略する。S404で排出指示操作を受け取ったとCPU201が判定すると(S404でYes)、CPU201は処理をS501に進め、記録媒体のサイズを取得する。S501では搬送方向(X方向)の長さを取得してもよいし、主走査方向(Y方向)の長さを取得してもよい。例えば、搬送センサ7bで検出したカット紙PMの搬送方向の先端および後端を検出するまでの時間差と、その時間における搬送ローラ7aの回転量を計算することでカットシートPMの搬送方向の長さを取得することができる。また、検出ユニット13と搬送ローラ7aの回転量とに基づいてカットシートPMの搬送方向の長さを取得してもよい。さらには、操作部16を介してユーザに入力されたカットシートPMのサイズに基づいて取得してもよい。続いて、CPU201は処理をS502に進め、S501で取得した記録媒体のサイズが所定の条件を満たすか否かを判定する。例えば、S502で、CPU201は記録媒体のサイズが所定のサイズ以上であるか否かを判定する。
【0042】
S502で、記録媒体のサイズが所定の条件を満たすとCPU201が判定した場合(S502でYes)、CPU201は処理をS405に進め、実施例1で説明したように、所定時間が経過したことを条件に排出処理を実行する。一方、S502で記録媒体のサイズが所定の条件を満たさないとCPU201が判定した場合(S502でNo)、CPU201は処理をS406に進め、所定の時間が経過する前に排出処理を実行する。これによって、例えばはがきサイズなどの、片手で容易に受け取ることができる記録媒体は、即座に排出処理を実行する。これによって、片手で容易に受け取ることができるような比較的小さい記録媒体は排出までの時間を短くしながら、比較的大きい記録媒体は両手で受け取ることができるように排出指示操作から排出までの時間を長くすることができる。
【0043】
(実施例3)
次に、図6を参照して、CPU201が実行する、記録装置1の記録処理の一例について説明する。
【0044】
S401~S404までの処理は実施例1と同様のため説明を省略する。S404で排出指示操作を受け取ったとCPU201が判定すると(S404でYes)、CPU201は処理をS601に進め、S401とは異なる態様で排出処理を実行する。例えば、CPU201は、S401での搬送速度、すなわち搬送の停止前より低速度で搬送するよう排出部8を制御することで、排出処理が完了するまでの時間を長くする。これによって、ユーザが排出指示操作を行った後でも両手で排出される記録媒体を受け取ることができる。
【0045】
また、別の例では、CPU201は、排出部8の排出処理の実行中に、少なくとも一時的に記録媒体PMの搬送速度を低下させる。これによって、排出処理が完了するまでの時間を長くすることができ、ユーザが排出指示操作を行った後に、排出される記録媒体を両手で受け取ることができる。また、図6の例では、排出部8は、低速ではあるが、排出指示操作を受け付けた直後に排出処理を実行する。これによって、ユーザはボタンの押下に失敗していないことを認識することができるとともに、記録媒体PMを両手で受け取るための時間を設けることができる。
【0046】
また、別の例では、CPU201は、排出部8の排出処理の実行中に記録媒体PMの搬送を所定の時間だけ一時停止させる。これによって、ユーザは、記録装置1が排出処理を行っていることを認識することができ、搬送が再開されるまでにユーザは記録媒体PMの受け取りを準備することができる。
【0047】
(実施例4)
次に、図7を参照して、CPU201が実行する、記録装置1の記録処理の一例について説明する。
【0048】
S401は実施例1と同様のため説明を省略する。続いて、CPU201は処理をS701に進め、搬送方向の記録媒体PMのサイズを取得する。一例では、CPU201は、画像形成中、すなわちS401の最中に記録媒体PMの搬送方向のサイズを取得してもよい。また、一例では、CPU201は、S701において主走査方向(Y方向)の記録媒体PMのサイズを取得してもよい。続いて、CPU201は処理をS702に進め、取得した記録媒体PMのサイズに応じて排出待機位置を判定する。一例では、排出待機位置は、記録ユニット5によって画像が形成されない搬送方向における記録媒体PMの後端付近などの位置である。例えば、搬送方向における記録媒体PMのサイズが297mmの場合、排出待機位置は、搬送方向における記録媒体PMの先端から270mmの位置であってもよい。これによって、排出指示操作を待ち受けるS402~S404の処理において、記録媒体PMの画像が形成された領域を保持しないようにすることができ、記録媒体PM上のインクを均等に乾燥させることができる。さらには、記録媒体PMに形成された画像の劣化や、記録媒体PMを挟持する排出部8へのインクの転写を抑制することができる。続いて、CPU201は処理をS402に進め、S702で判定した排出待機位置で記録媒体PMの保持を行う。以降のS403~S406の処理は実施例1と同様のため、説明を省略する。
【0049】
以上説明したように、本実施例に係る記録装置は、記録媒体PMの搬送方向のサイズを判定し、記録媒体PMの搬送方向における記録媒体PMの後端付近であって、記録ユニット5によって記録されていない領域を保持して待機する。これによって、記録媒体PMの記録済みの領域を均等に乾燥させることができる。
【0050】
(処理例5)
次に、図8を参照して、CPU201が実行する、記録装置1の記録処理の一例について説明する。
【0051】
S401~S403の処理は実施例1と同様のため、説明を省略する。続いて、CPU201は処理をS801に進め、待機時間の変更指示を受け取ったか否かを判定する。例えば、操作パネルに、待機時間として設定可能な選択肢、例えば「0.5秒」、「1秒」、「3秒」などの選択肢を表示し、操作パネルの操作に応じて待機時間を設定してもよい。S801で待機時間の変更指示を受け取った場合(S801でYes)、CPU201は処理をS802に進め、変更指示に対応する時間、S405で待機するよう設定する。S801で待機時間の変更指示を受け取っていない場合(S801でNo)、CPU201は処理をS404に進める。
【0052】
以降のS404~S406の処理は実施例1と同様のため、説明を省略する。
【0053】
なお、一例では、排出指示操作に待機時間の指示が含まれてもよい。例えば、特定のプッシュボタンを押下した場合は、所定の時間待機した後に排出処理を実行し、当該特定のプッシュボタンとは異なるプッシュボタンを押下した場合は、当該所定の時間より短い時間待機した後に排出処理を実行してもよい。あるいは、ユーザがあるボタンを押下した場合には、CPU201は例えば2秒などの所定の時間待機した後に排出処理を実行し、別のボタンを押下した場合には、CPU201は待機せずに即座に排出処理を実行してもよい。これによって、ボタンを押下するユーザと排出される記録媒体PMを受け取るユーザとが異なる場合にはすぐに排出処理を実行することができるようになるなど、ユーザは記録装置1を使用する状況に合わせて待機時間を選択することができる。
【0054】
<その他の実施形態>
第1実施形態では、記録媒体がカットシートである場合について説明を行った。しかしながら、ロールシートである場合にも適用することができる。図9(A)~図9(C)を参照して、ロールシートに記録する記録装置の記録処理について説明する。図9(A)~図9(C)は、ユーザからの記録指示を受信した後の記録装置1の断面図を示し、時系列順に図9(A)、図9(B)、図9(C)の順番で遷移する。
【0055】
図9(A)はユーザからの記録指示を受信した後、記録装置1の記録処理が開始された時点での記録装置1の断面図を示す。ロール10から巻きだされたシートは、供給部4から搬送部7に搬送される。また、シートの搬送とあわせて、キャリッジ12の記録ユニット5によるシート上への記録が行われる。
【0056】
続いて、図9(B)は、記録装置1の記録処理が完了した時点での記録装置1の断面図を示す。記録ユニット5による記録が終了すると、シートは排出部8によって搬送されるが、排出部8は所定の位置でシートの搬送を停止し、シートを保持する。これによって、ユーザは記録処理が終了したことを認識し、記録済みのシートを受け取る準備を行うことができる。図9(B)において、ユーザは、操作パネル16のボタンを押下して記録装置1に排出処理の実行を指示する。
【0057】
続いて、図9(C)は、排出処理を開始した時点での記録装置1の断面図を示す。図9(C)において、カッターユニット15はシートを主走査方向(Y方向)に切断する。ユーザは、排出口から出たシートを把持し、切断された記録済みのシートが落下しないよう受け取りを行う。この場合、カッターユニット15による切断処理が排出処理に含まれる。
【0058】
なお、排出部8がカッターユニット15より搬送方向下流に位置する場合は、カッターユニット15はユーザからの排出指示操作を受け付ける前にシートのY方向の切断を行い、排出部8が切断されたシートを保持するようにしてもよい。この場合、ユーザからの排出指示操作を受け付けた場合には、記録装置1は第1実施形態で説明したように、カッターユニット15によって切断されたシートを排出部8によって搬送することで排出処理を実行してもよい。
【0059】
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0060】
発明は上記実施形態に制限されるものではなく、発明の精神及び範囲から離脱することなく、様々な変更及び変形が可能である。従って、発明の範囲を公にするために請求項を添付する。
【符号の説明】
【0061】
1:記録装置、2:保持部、4:供給部、5:記録ユニット、7:搬送部、8:排出部、9:排出口、10:ロールシート、12:キャリッジ、13:検出ユニット、15:カッターユニット、16:操作パネル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9