(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】インターホン機器
(51)【国際特許分類】
H04M 1/02 20060101AFI20240419BHJP
H04M 9/00 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H04M1/02 G
H04M9/00 Z
(21)【出願番号】P 2020039144
(22)【出願日】2020-03-06
【審査請求日】2023-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000100908
【氏名又は名称】アイホン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121142
【氏名又は名称】上田 恭一
(72)【発明者】
【氏名】山田 陽二朗
【審査官】石井 則之
(56)【参考文献】
【文献】意匠登録第1644529(JP,S)
【文献】特開2019-146041(JP,A)
【文献】特開2006-237910(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 1/02
H04M 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前側に配される前ケースと、後側に配される後ケースと、少なくとも前記前ケースの前面下部を覆うように組み付けられるカバー部材とを備えた本体ケース内に、他のインターホン機器との間で通話するためのスピーカが内蔵されたインターホン機器であって、
前記前ケースの前面で、前記カバー部材に覆われる箇所にスピーカ格子が開設され、前記スピーカ格子の後方に前記スピーカが設置されている一方、
前記カバー部材の下端に沿って、前記前ケースの前面側へ折り曲げられた下壁が設けられているとともに、前記下壁における前記スピーカ格子の下方となる箇所に切り欠きが設けられ、該切り欠きが、前記スピーカから発せられる音声を外部に報音するための第1の報音口とされて
おり、
さらに、前記カバー部材の上側に隣接して表示部が設けられているとともに、
前記カバー部材の上縁と前記表示部との隙間が、前記スピーカから発せられる音声を外部に報音するための第2の報音口とされていることを特徴とするインターホン機器。
【請求項2】
前記前ケースの前面において前記カバー部材により覆われている箇所であって、且つ、前記スピーカ格子の下側に、下方へ向かって後方へ傾斜する第1の傾斜面が、前記スピーカ格子から前記第1の報音口内にかけて設けられていることを特徴とする請求項1に記載のインターホン機器。
【請求項3】
前記カバー部材の後面上縁で、前記スピーカ格子の上側となる箇所に、上方へ向かって前方へ傾斜する第2の傾斜面が設けられており、前記第2の傾斜面の先端が前記第2の報音口を構成していることを特徴とする
請求項1又は2に記載のインターホン機器
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばインターホン親機等のスピーカが内蔵されたインターホン機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホン親機等の一般的なインターホン機器には、音声を報音するためのスピーカが設けられている。また、該スピーカからの報音構造としては、たとえば特許文献1に記載されているように、本体ケースの前面に格子状の報音口を設けるとともに、報音口の後側にスピーカを設置して、音声を本体ケースの前側へ向けて報音させるようにしたものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、インターホン機器におけるデザインの多様化等の理由から、一目見てそれと分かるような報音口をインターホン機器の前面に露出させたくないという要望がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みなされたものであって、報音口が目立ちにくい外観とすることができるインターホン機器を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のうち請求項1に記載の発明は、前側に配される前ケースと、後側に配される後ケースと、少なくとも前ケースの前面下部を覆うように組み付けられるカバー部材とを備えた本体ケース内に、他のインターホン機器との間で通話するためのスピーカが内蔵されたインターホン機器であって、前ケースの前面で、カバー部材に覆われる箇所にスピーカ格子が開設され、スピーカ格子の後方にスピーカが設置されている一方、カバー部材の下端に沿って、前ケースの前面側へ折り曲げられた下壁が設けられているとともに、下壁におけるスピーカ格子の下方となる箇所に切り欠きが設けられ、該切り欠きが、スピーカから発せられる音声を外部に報音するための第1の報音口とされており、さらに、カバー部材の上側に隣接して表示部が設けられているとともに、カバー部材の上縁と表示部との隙間が、スピーカから発せられる音声を外部に報音するための第2の報音口とされていることを特徴とする。
請求項1に記載の発明によれば、スピーカ格子を覆うカバー部材の下端に沿って、前ケースの前面側へ折り曲げられた下壁が設けられているとともに、下壁におけるスピーカ格子の下方となる箇所に切り欠きが設けられ、該切り欠きが、スピーカから発せられる音声を外部に報音するための第1の報音口とされている。したがって、報音口が本体ケースの前面に露出しておらず、報音口の目立ちにくい外観をしたインターホン機器とすることができる。
また、カバー部材の上側に隣接して表示部が設けられているとともに、カバー部材の上縁と表示部との隙間が、スピーカから発せられる音声を外部に報音するための第2の報音口とされているため、報音口が本体ケースの前面にあるものの、報音口が目立ちにくい外観としたまま、スピーカから発せられた音声を一層効率よく外部へ報音させることができる。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前ケースの前面においてカバー部材により覆われている箇所であって、且つ、スピーカ格子の下側に、下方へ向かって後方へ傾斜する第1の傾斜面が、スピーカ格子から第1の報音口内にかけて設けられていることを特徴とする。
請求項2に記載の発明によれば、前ケースの前面においてカバー部材により覆われている箇所であって、且つ、スピーカ格子の下側に、下方へ向かって後方へ傾斜する第1の傾斜面が、スピーカ格子から第1の報音口内にかけて設けられているため、スピーカから発せられた音声を効率よく外部へ報音させることができる。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、カバー部材の後面上縁で、スピーカ格子の上側となる箇所に、上方へ向かって前方へ傾斜する第2の傾斜面が設けられており、第2の傾斜面の先端が第2の報音口を構成していることを特徴とする。
請求項3に記載の発明によれば、カバー部材の後面上縁で、スピーカ格子の上側となる箇所に、上方へ向かって前方へ傾斜する第2の傾斜面が設けられており、第2の傾斜面の先端が第2の報音口を構成しているため、スピーカから発せられた音声を極めて効率よく外部へ報音させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、前ケースの前面で、カバー部材に覆われる箇所にスピーカ格子が開設され、スピーカ格子の後方にスピーカが設置されている一方、カバー部材の下端に沿って、前ケースの前面側へ折り曲げられた下壁が設けられているとともに、下壁におけるスピーカ格子の下方となる箇所に切り欠きが設けられ、該切り欠きが、スピーカから発せられる音声を外部に報音するための第1の報音口とされているため、報音口が本体ケースの前面に露出しておらず、報音口の目立ちにくい外観をしたインターホン機器とすることができる。
また、カバー部材の上側に隣接して表示部が設けられているとともに、カバー部材の上縁と表示部との隙間が、スピーカから発せられる音声を外部に報音するための第2の報音口とされているため、報音口が本体ケースの前面にあるものの、報音口が目立ちにくい外観としたまま、スピーカから発せられた音声を一層効率よく外部へ報音させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】インターホン親機の前面側を示した説明図である。
【
図2】インターホン親機の下面側を示した斜視説明図である。
【
図3】カバー部材が取り外されたインターホン親機の前面側を示した説明図である。
【
図4】カバー部材の後面側を示した斜視説明図である。
【
図5】
図1中のA-A線断面におけるカバー部材部分を拡大して示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態となるインターホン親機について、図面にもとづき詳細に説明する。
【0013】
図1は、インターホン親機1の前面側を示した説明図である。
図2は、インターホン親機1の下面側を示した斜視説明図である。
図3は、カバー部材4が取り外されたインターホン親機1の前面側を示した説明図である。
図4は、カバー部材4の後面側を示した斜視説明図である。
図5は、
図1中のA-A線断面におけるカバー部材4部分を拡大して示した説明図である。
【0014】
インターホン親機1は、前側に配置される前ケース2と、前ケース2の後側に組み付けられる後ケース3と、前ケース2の前面に組み付けられ、前ケース2の前面下部を覆うカバー部材4とで構成される本体ケースを有しており、本体ケースの前面中央から上部にかけては、インターホン子機(図示せず)で撮像された映像等を表示する表示部としての機能と、インターホン子機からの呼び出しに対する応答時等に操作する操作部としての機能とを兼ね備えたタッチパネル式の表示操作部5が設けられている。また、表示操作部5の上側には、インターホン子機との間で通話するためのマイク部6が設けられている。さらに、表示操作部5の下側には、自身の設定等のための設定ボタンや非常時に操作する非常報知ボタン等の各種操作ボタン7、7・・が設けられているとともに、インターホン子機との間で通話するためのスピーカ部8が設けられている。そして、このようなインターホン親機1は、居室内の壁面等に設置されており、インターホン子機からの呼び出しに応じて表示操作部5に映像を表示するとともに、表示操作部5において所定の応答操作がなされたことをもって、インターホン子機との間での通話を可能な状態とする。
【0015】
ここで、本発明の要部となるスピーカ部8について説明する。
本体ケースの前面では、前ケース2の前面に表示操作部5が設けられているとともに、表示操作部5の下側に隣接してカバー部材4が取り付けられている。そして、スピーカ部8は、カバー部材4で覆われている箇所(カバー部材4も含む)に設けられている。カバー部材4は、左右長さが前ケース2の左右長さと略同じで、且つ、上下長さが前ケース2における表示操作部5よりも下側の上下長さと略同じとされた正面視矩形の合成樹脂製部材である。該カバー部材4の左右両側縁及び下縁は、それぞれ後方へ折り曲げられており、側壁4a、4a及び下壁4bとされている。また、下壁4bの左右方向で略中央となる箇所は所定の左右幅にわたって切り欠かれており、後述するスピーカ9から発せられた音声をインターホン親機1外へ報音するための下報音口11とされている。さらに、カバー部材4の後面上縁で、下報音口11の直上となる箇所には、カバー部材4の後面が上方へ向かうにつれて前方へ傾斜する上傾斜面12が形成されている。加えて、カバー部材4の後面下縁で、下報音口11の左右両外側に隣接する位置には、上下方向へ延びるリブ13、13が後方へ突設されているとともに、各リブ13の左右方向で外側に隣接した位置、及び左右両端部には、カバー部材4を前ケース2の前面に組み付けるための係止爪14、14・・が後方へ突設されている。なお、15は、操作ボタン7を露出させるための切り欠きである。
【0016】
一方、前ケース2の前面におけるカバー部材4に覆われる箇所であって、左右方向で略中央となる位置(カバー部材4の組み付け時に下報音口11の上方となる位置)には、スピーカ格子16が開設されている。また、スピーカ格子16の下側には、下方へ向かうにつれて後方へ傾斜する下傾斜面17が、スピーカ格子16から前ケース2の下縁にかけて設けられている。さらに、前ケース2の前面下縁には、係止爪14、14・・が夫々係止可能な係止孔18、18・・が設けられている。なお、前ケース2の前面で、スピーカ格子16の左右に位置する係止孔18、18の上側となる箇所には、各係止孔18から表示操作部5まで延びており、カバー部材4の組み付け時に前ケース2の前面とカバー部材4の後面との間をシールするパッキン(図示せず)が夫々貼着されている。なお、本体ケース内において、スピーカ格子16の後方となる箇所にスピーカ9が設置されている。
【0017】
上記カバー部材4は、係止爪14、14・・を係止孔18、18・・に係止させることによって、前ケース2の前面に組み付けられる。そして、カバー部材4を前ケース2の前面に組み付けた状態にあっては、側壁4a、4a及び下壁4bの先端が前ケース2の前面に近接し、カバー部材4の表面と表示操作部5の表面とが略面一となる。また、スピーカ格子16の前方に、カバー部材4により覆われているとともに、下報音口11、及び上傾斜面12の先端(カバー部材4の上縁)と表示操作部5との隙間(上報音口19)を介して外部と連通する報音空間が形成されることになる。したがって、スピーカ9から発せられた音声は、スピーカ格子16を介して報音空間へ到達し、下報音口11及び上報音口19を介してインターホン親機1外へ報音される。
【0018】
以上のような構成を有するインターホン親機1によれば、前ケース2の前面で、カバー部材4に覆われる箇所にスピーカ格子16が開設され、スピーカ格子16の後方にスピーカ9が設置されている。また、カバー部材4の下端に沿って、前ケース2の前面側へ折り曲げられた下壁4bが設けられているとともに、下壁4bにおけるスピーカ格子16の下方となる箇所に切り欠きが設けられ、該切り欠きが、スピーカ9から発せられる音声を外部に報音するための下報音口11とされている。したがって、下報音口11が本体ケースの前面に露出しておらず、報音口の目立ちにくい外観をしたインターホン親機1とすることができる。
【0019】
また、前ケース2の前面においてカバー部材4により覆われている箇所であって、且つ、スピーカ格子16の下側に、下方へ向かって後方へ傾斜する下傾斜面17が、スピーカ格子16から前ケース2の下端(すなわち下報音口11内)にかけて設けられているため、本体ケースの下面に下報音口11が開設されているにも拘わらず、スピーカ9から発せられた音声を効率よく外部へ報音させることができる。
【0020】
さらに、カバー部材4の上側に隣接して表示操作部5が設けられ、カバー部材4の上縁と表示操作部5との隙間が、スピーカ9から発せられる音声を外部に報音するための上報音口19とされているとともに、カバー部材4の後面上縁で、スピーカ格子16の上側となる箇所に、上方へ向かって前方へ傾斜する上傾斜面12が設けられており、上傾斜面12の先端が上報音口19の構成要素となっている。したがって、本体ケースの前面に上報音口19が露出することになるものの、上報音口19を目立ちにくくすることができ、報音口の目立ちにくい外観を維持したまま、スピーカ9から発せられた音声を極めて効率よく外部へ報音可能なインターホン親機1とすることができる。
【0021】
なお、本発明に係るインターホン機器は、インターホン機器の全体的な構成は勿論、スピーカ部に係る構成等についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で必要に応じて適宜変更することができる。
【0022】
たとえば、上記実施形態では、カバー部材が前ケースの前面下部のみを覆うとしているが、前ケースの外周部を覆うような矩形フレーム状のカバー部材を採用することも可能であり、少なくとも前ケースの前面下部を覆いさえすれば、カバー部材の形状は上記実施形態のものに何ら限定されることはない。
【0023】
また、下報音口しか備えていないというように構成することも可能であるし、カバー部材と表示部との位置関係についても、上記実施形態の位置関係に限定されることない。
さらに、上記実施形態では、表示部としてタッチパネル式の表示操作部を採用しているが、そのような表示操作部に代えて、表示機能しか有さない液晶表示部を採用することも可能である。
加えて、上記実施形態ではインターホン親機について説明しているが、本発明は、スピーカ部さえ備えていれば、インターホン子機や集合玄関機等の他のインターホン機器についても好適に採用することができる。
【符号の説明】
【0024】
1・・インターホン親機(インターホン機器)、2・・前ケース、3・・後ケース、4・・カバー部材、5・・表示操作部(表示部)、8・・スピーカ部、9・・スピーカ、11・・下報音口(第1の報音口)、12・・上傾斜面(第2の傾斜面)、16・・スピーカ格子、17・・下傾斜面(第1の傾斜面)、19・・上報音口(第2の報音口)。