IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

特許7475175トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置
<>
  • 特許-トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置 図1
  • 特許-トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置 図2
  • 特許-トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置 図3
  • 特許-トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置 図4
  • 特許-トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置 図5
  • 特許-トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置 図6
  • 特許-トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置 図7
  • 特許-トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置 図8
  • 特許-トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置 図9
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20240419BHJP
【FI】
E03D9/08 A
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020052393
(22)【出願日】2020-03-24
(65)【公開番号】P2021152252
(43)【公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-01-05
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】稲垣 龍次
(72)【発明者】
【氏名】村田 謙豪
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-324068(JP,A)
【文献】特開2018-035655(JP,A)
【文献】特開2010-106531(JP,A)
【文献】実開昭61-071672(JP,U)
【文献】特開平07-150605(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0186116(US,A1)
【文献】中国特許出願公開第109790706(CN,A)
【文献】特開2019-132025(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/00-9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
便器本体の後部に収容され、所定の機能を実行する機能部と、
前記機能部の起動及び停止を行う電源スイッチと、
を備え、
前記電源スイッチ上方を向く面に配置され、
前記機能部は機能部本体と、前記機能部本体を支持するベースプレートと、を有し、
前記電源スイッチは前記機能部本体に設けられ、
電源スイッチ支持部は前記ベースプレートにおいて上下方向で前記電源スイッチと重なる位置に設けられている
トイレ装置本体部。
【請求項2】
前記機能部はトップカバーを有し、
前記トップカバーは前記機能部本体及び前記電源スイッチを上方から覆っている、
請求項1に記載のトイレ装置本体部。
【請求項3】
前記電源スイッチは、前記機能部に配置されている、
請求項1又は2に記載のトイレ装置本体部。
【請求項4】
記ベースプレートには外部に通じる排水路が形成されている、
請求項1又は2に記載のトイレ装置本体部。
【請求項5】
前記機能部は本体カバーを有し、
前記ベースプレートと前記本体カバーとの隙間に排水空間が形成されている、
請求項1又は2に記載のトイレ装置本体部。
【請求項6】
前記ベースプレートは、上下方向に延びる第1壁部を有し、
前記本体カバーは前記第1壁部よりも後方に、上下方向に延びる第2壁部を有し、
前記第1壁部と前記第2壁部との間に前記排水空間が形成され、
前記電源スイッチの下端は前記第1壁部よりも前方且つ前記第1壁部の下端よりも上方に配置されている、
請求項に記載のトイレ装置本体部。
【請求項7】
前記電源スイッチと前記機能部に配置されたコネクタとを接続する配線は前記電源スイッチ及び前記コネクタの各々の下方に延びる部分を有する、
請求項1からの何れか一項に記載のトイレ装置本体部。
【請求項8】
前記電源スイッチは、
前記機能部の起動及び停止を行うスイッチ本体と、
前記スイッチ本体の上部を覆い、弾性変形可能な電源カバーと、
を有し、
前記電源スイッチが押されて前記電源カバーが弾性変形した状態で前記電源カバーと前記本体カバーとの間に前記排水空間に通じる隙間が形成される、
請求項又はに記載のトイレ装置本体部。
【請求項9】
請求項1からの何れか一項に記載のトイレ装置本体部と、
前記トイレ装置本体部に接続された便座本体と、
を備える、
便座装置。
【請求項10】
請求項1からの何れか一項に記載のトイレ装置本体部と、
前記トイレ装置本体部及び便座本体が設けられた便器本体と、
を備える、
便器装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、トイレ装置本体部、便座装置及び便器装置に関する。
【背景技術】
【0002】
便器装置には、機能部に供給する電力の通電及び遮断を切り替えるための電源スイッチが設けられている。例えば特許文献1には、機能部を収納するケーシングの側面に電源スイッチが設けられた装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-132025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のように電源スイッチが側面に設けられる場合、使用者は、電源スイッチを押すときに、例えば、便器装置の側方に体の一部を移動させ、便器装置の側面を覗く。そのため、従来の便器装置では、電源スイッチを操作しにくかった。
【0005】
本開示は、電源スイッチを操作しやすく、且つ電源スイッチの取り扱いが容易なトイレ装置本体部、便座装置及び便器装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るトイレ装置本体部は、便器本体の後部に収容され、所定の機能を実行する機能部と、前記機能部の起動及び停止を行う電源スイッチと、を備え、前記電源スイッチ上方を向く面に配置され、前記機能部は機能部本体と、前記機能部本体を支持するベースプレートと、を有し、前記電源スイッチは前記機能部本体に設けられ、電源スイッチ支持部は前記ベースプレートにおいて上下方向で前記電源スイッチと重なる位置に設けられている
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本開示に係る一実施形態の便器装置の前方からの斜視図である。
図2図1の便器装置のトップカバーを外した状態の斜視図である。
図3図1の便器装置のトップカバー及び本体カバーを外した状態の機能部の平面図である。
図4図1の便器装置のトップカバー及び本体カバーを外した状態の機能部の斜視図である。
図5図2に示すA-A線で矢視した機能部の断面図である。
図6図2に示すB-B線で矢視した機能部の断面図である。
図7図6の電源ボタンが押された状態の拡大断面図である。
図8図1に示す便器装置の後方からの斜視図である。
図9図1に示す便器装置の操作スイッチに関する各部材を分解した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1及び図2に示すように、一実施形態に係る便器装置10は、便器本体20と、便座装置12と、トイレ装置本体部109と、を備える。便器本体20は、陶器で形成されている。便器本体20の前部に、便鉢部22が形成されている。以下の説明では、便器装置10が置かれる床面から鉛直に延びる方向を上下方向Hとし、上下方向Hで床面に近い方を上と記載し、上下方向Hで床面から遠い方を下と記載する。上下方向Hに直交する一方向を前後方向Lとし、便器装置10の不図示の使用者が便座装置12に座ったときに使用者が向く方向の先方を前とし、使用者が向く方向の後方を後と記載する。上下方向H及び前後方向Lに直交する方向を幅方向Wと記載する。使用者が便座装置12に座ったときに使用者から見て右側を右とし、使用者から見て左側を左と記載する。
【0009】
便座装置12は、便座本体50と、便蓋70と、を備える。便座本体50は、便器本体20の便鉢部22よりも上に設けられている。便座本体50は、便鉢部22に対して開閉可能な状態で機能部100に接続されている。便座本体50よりも上に、便蓋70が設けられている。便蓋70は、便座本体50に対して開閉可能な状態で機能部100に接続されている。図1は、便座本体50及び便蓋70が閉じており、便座本体50が便蓋70に覆われている状態を示している。図2では、便座本体50、便蓋70、及び後述するトップカバー110は便器本体20から外されるとともに、省略されている。
【0010】
図1に示すように、トイレ装置本体部109は、機能部100と、電源スイッチ200と、を備える。機能部100は、便鉢部22の内周面や使用者の局部の洗浄、便座本体50の温度調整等の各種機能(所定の機能)を実行し、便器本体20の後部に収容されている。機能部100は、機能部本体105と、トップカバー110と、本体カバー112と、ベースプレート120と、を備える。図3に示す機能部本体105は、機能部100の各種機能を実行するための電源、回路、局部洗浄ノズル、局部洗浄ノズルの移動機構、シャッタ160等の各種部品を有する。機能部100における各種部品の種類、数、相対配置は機能部100が実行する各種機能に応じて適宜設定され、特に限定されない。
【0011】
トップカバー110は、機能部本体105を本体カバー112よりも上方から覆う部材である。トップカバー110の上面は、閉じた状態の便蓋70の上面と上下方向Hに交差する略同一平面上に位置する。閉じた状態の便座本体50、便蓋70、及び本体カバー112の便器本体20の上面からの厚みは、互いに略同じである。図2に示すように、本体カバー112の両側壁部から、幅方向Wの側方に回転軸部材111が突出している。便座装置12の便座本体50及び便蓋70は、回転軸部材111を介してトイレ装置本体部109の機能部100に接続されている。
【0012】
図2に示すように、本体カバー112は、トップカバー110を取り除くと現れ、トップカバー110よりも下方で機能部本体105を上方から覆う部材である。本体カバー112の前部には、便鉢部22よりも後方の便器本体20の上面に載る平坦部114が設けられている。平坦部114の前端の幅方向Wの中央部には、便鉢部22の内部空間に垂れるように下側に延びている下降部113が設けられている。シャッタ160は、下降部113に設けられている。シャッタ160は、局部洗浄ノズルが便鉢部22の内部空間へ進出するとき及び後退するとき、及び進出完了したときに開き、局部洗浄ノズルが機能部本体105に収容されているときに閉じている。
【0013】
本体カバー112の平坦部114には、平坦部114の前後方向Lの中央部付近から後側に進むに従って上昇する傾斜部115が設けられている。傾斜部115の後端から、前後方向L及び幅方向Wを含む平坦な平坦部116が後側に延びている。平坦部116は、図3等に示す機能部本体105の上方に位置している。平坦部116の後端には、鉛直方向に沿って下降する後壁部117が設けられている。前後方向Lにおいて、傾斜部115と後壁部117との左側端同士及び右側端同士は、側壁部118によって連結されている。側壁部118は、平坦部114の左側端及び右側端の何れかに連結されている。
【0014】
平坦部116、傾斜部115、後壁部117及び側壁部118は、底が開放されている箱状に形成されている。平坦部116の下方に、機能部本体105が配置されている。機能部本体105の上部は、平坦部116、傾斜部115、後壁部117及び側壁部118で構成される箱状部に保護されている。本体カバー112の平坦部116の上面(上方を向く面)119は、上方に向いている。平坦部116の前後方向Lの後部及び幅方向Wの中央部には、凹部122が形成されている。凹部122は、上方から見て略円形状に形成され、周囲の平坦部116よりも下方に凹んでいる。
【0015】
ベースプレート120は、機能部本体105の各種部品を載せて支持する部材である。機能部本体105の各種部品は直接的、及び任意の部材を介して間接的の何れかにベースプレート120に固定されている。図3及び図4に示すように、ベースプレート120は、後部が便器本体20の上面24に載った状態で便器本体20に固定されている。ベースプレート120は、電源スイッチ支持部124と、後壁部170と、を備える。電源スイッチ支持部124は、ベースプレート120において上下方向Hで電源スイッチ200と重なる位置に設けられている。上方から見たとき、電源スイッチ支持部124は、電源スイッチ200を囲むように電源スイッチ200よりも大きく、筒状に形成されている。電源スイッチ支持部124の底は、機能部100及び便器装置10の外部に開放されている。
【0016】
電源スイッチ支持部124は、前壁部125と、側壁部126と、後壁部(第1壁部)127と、上壁部130と、リム部135と、を備える。上方から見たとき、電源スイッチ支持部124の前壁部125は、電源スイッチ200の前側半分の周縁に沿って半円状に湾曲している。上方から見たとき、電源スイッチ支持部124の側壁部126は、電源スイッチ200の前後方向Lの中央であって前壁部125の後端から前後方向Lに沿って直線状に延びている。上方から見たとき、電源スイッチ支持部124の後壁部127は、2つの側壁部126の後端同士を連結し、幅方向Wに沿って直線状に延びている。
【0017】
電源スイッチ支持部124の後壁部127には、上方から見て前に凹む凹部128が形成されている。上方から見たとき、凹部128の底面129は、幅方向Wに沿って直線状に形成されている。凹部128は、上壁部130に到達した水をベースプレート120の外部に排出する排水路180を形成している。凹部128の下端は、機能部100及び便器装置10の外部に開放されている。
【0018】
電源スイッチ支持部124は、前壁部125及び側壁部126の各々の上端に連結し、前壁部125及び側壁部126の各々の上端から幅方向Wに沿って拡がっている。図5に示すように、上壁部130の上方から見たときの中央部に、貫通孔131が形成されている。貫通孔131には、電源スイッチ200が貫通している。
【0019】
電源スイッチ支持部124のリム部135は、前壁部125及び側壁部126の各々の上端に連結し、前壁部125及び側壁部126の各々の上端から上方へ上下方向Hに沿って延びている。電源スイッチ支持部124の上部には、リム部135が側壁で、上壁部130が底壁をなす凹部132が形成されている。
【0020】
本体カバー112は、電源スイッチカバー部144を有する。電源スイッチカバー部144は、本体カバー112の平坦部116の前後方向Lの後部及び幅方向Wの中央部に設けられている。図5及び図6に示すように、電源スイッチカバー部144は、前壁部143と、側壁部145と、底壁部146と、接続部148と、下降部149と、後壁部(第2壁部)150と、リム部158と、を備える。図示していないが、上方から見たとき、電源スイッチカバー部144は、電源スイッチ支持部124と略同じ形状を有し、電源スイッチ支持部124よりも大きく略筒状に形成されている。
【0021】
図5に示すように、側壁部145は、凹部122の側壁を構成している。底壁部146は、側壁部145の下端から幅方向Wに沿って拡がり、凹部122の底壁を構成している。底壁部146の中央部に、貫通孔147が形成されている。貫通孔147には、電源スイッチ200が貫通している。リム部158は、底壁部146の前部及び幅方向Wの両側部に設けられ、底壁部146から上下方向Hに沿って下降している。
【0022】
前後方向L及び幅方向Wにおいて、側壁部145は、電源スイッチ支持部124のリム部135、前壁部125及び側壁部126と略重なっている。前後方向L及び幅方向Wにおいて、凹部122が形成されている位置及び底壁部146は、凹部132が形成されている位置及び上壁部130と略重なっている。上下方向Hにおいて、本体カバー112の電源スイッチカバー部144の側壁部145、底壁部146、及び凹部122が形成されている位置は、ベースプレート120の電源スイッチ支持部124のリム部135、上壁部130、及び凹部132が形成されている位置よりも上に存在する。
【0023】
電源スイッチカバー部144の接続部148は、平坦部116の一部であり、側壁部145の上端から凹部122の外周側に延びている。下降部149は、接続部148の外周端から下方に延びている。下降部149の下端は、電源スイッチ支持部124の上壁部130よりも下に位置している。
【0024】
電源スイッチ200は、機能部100の起動及び停止を行う。例えば、電源スイッチ200は、機能部100に配置されている。電源スイッチ200は、機能部本体105に設けられ且つ機能部100の各種機能を実行するための電源と接続されている。電源スイッチ200は、スイッチ本体202と、電源カバー210と、を備える。スイッチ本体202の上部は、貫通孔131、147を貫通している。幅方向Wにおいて、スイッチ本体202の上部は、スイッチ本体202の下部よりも大きい。スイッチ本体202の上部の上下方向Lの略中央部に、幅方向Wに拡がるフランジ204が設けられている。
【0025】
スイッチ本体202の下端には、ハーネス接続端(下端)206が設けられている。機能部100において、幅方向Wで電源スイッチ200の側方、且つハーネス接続端206よりも上に、電源スイッチのコネクタ220が配置されている。コネクタ220とハーネス接続端206とは、ハーネス(配線)222によって接続されている。ハーネス222は、コネクタ220及びスイッチ本体202のハーネス接続端206よりも下方に延びる部分を有し、コネクタ220及びスイッチ本体202のハーネス接続端206よりも下方に凸の撓みを有する。
【0026】
電源カバー210は、例えば樹脂等で形成され、弾性変形可能である。電源カバー210は、カバー本体211と、被着部212と、を備える。カバー本体211は、フランジ204よりも上方のスイッチ本体202を径方向の外方及び上方から覆っている。被着部212は、カバー本体211の下端に設けられ、フランジ204に被さっている。フランジ204及び被着部212は、上下方向Hで本体カバー112の電源スイッチカバー部144の底壁部146とベースプレート120の電源スイッチ支持部124の上壁部130との間に保持され、底壁部146に下方から接している。図5及び図6に示すように、弾性変形する前の自然状態のカバー本体211は、本体カバー112の電源スイッチカバー部144に形成された貫通孔147を封止している。
【0027】
図6に示すように、電源スイッチ200のスイッチ本体202のフランジ204には、スイッチ本体202の略中央部まで下方に延びる突出片205が設けられている。突出片205は、フランジ204から下方に進むに従ってスイッチ本体202の径方向の外側に拡がった後、内側に屈折してから略上下方向Hに沿って下降している。突出片205によって、スイッチ本体202及び電源カバー210が上下方向Hで位置決めされている。ベースプレート120の上壁部130に形成された貫通孔131は、突出片205によって封止されている。
【0028】
ベースプレート120の電源スイッチ支持部124の前壁部125、後壁部127の各々の下端は、電源スイッチ200のスイッチ本体202のハーネス接続端206よりも下に位置している。図6には示されていないが、側壁部126においてハーネス222が横断していない部分の下端は、ハーネス接続端206よりも下に位置している。図6に示すように、本体カバー112の電源スイッチカバー部144の後壁部150は、接続部148の後端から上下方向Hに沿って下降している。後壁部150の下端は、上下方向Hで後壁部127の下端と略同じ高さに配置されている。後壁部127,150の下端は、便器本体20の上面24よりも上方に配置されている。
【0029】
後壁部150は、ベースプレート120の電源スイッチ支持部124の後壁部127よりも後方に配置されている。前後方向Lにおいて、ベースプレート120の電源スイッチ支持部124の後壁部127に形成された凹部128の底面129と本体カバー112の電源スイッチカバー部144の後壁部150との間の隙間152は、排水空間190を形成している。隙間152の下端は、機能部100及び便器装置10の外部に通じている。電源スイッチ200のスイッチ本体202の下部及びハーネス接続端206は、ベースプレート120の電源スイッチ支持部124の後壁部127及び後壁部127に形成された凹部128の底面129よりも前方に配置されている。
【0030】
図7に示すように、電源スイッチ200が上方から押されると、スイッチ本体202が僅かに下降し、電源カバー210が弾性変形する。電源カバー210が弾性変形することによって、本体カバー112の電源スイッチカバー部144に形成された貫通孔147と電源カバー210との間に隙間154ができる。隙間154ができることによって、凹部122が隙間152に通じる。このとき、ベースプレート120の電源スイッチ支持部124の上壁部130に形成された貫通孔131は、電源スイッチ200のスイッチ本体202の突出片205によって封止され続けている。
【0031】
図5から図7に示すように、本体カバー112の電源スイッチカバー部144のリム部158は、幅方向Wでベースプレート120の電源スイッチ支持部124のリム部135と電源スイッチ200との間に配置されている。リム部158は、前後方向Lでリム部135と電源スイッチ200との間、且つリム部135よりも後方に配置されている。リム部135の上端は、リム部158の下端よりも上に配置されている。リム部135、158は、インロー構造を構成している。
【0032】
使用者等が図7に示すように電源スイッチ200が押されたとき、不図示の使用者の指等に水WWが付着していた場合、その水が破線で示すように隙間152、154から上下方向Hで本体カバー112の電源スイッチカバー部144の底壁部146とベースプレート120の電源スイッチ支持部124の上壁部130との間に流入する。流入した水WWは、前述のインロー構造によって、ベースプレート120の電源スイッチ支持部124よりも前方及び幅方向Wの両側方には到達し難い。水WWは、上壁部130の上面から後壁部127に到達し、凹部128に導かれ、凹部128の底面129を伝って下降する。
【0033】
図8に示すように、便器装置10は、操作スイッチ300を備える。操作スイッチ300は、本体カバー112の後方に露出している後壁部172に配置されている。後壁部172は、便器装置10において後方を向く面であり、上下方向H及び幅方向Wを含む面に沿って設けられている。操作スイッチ300が便器装置10において後方を向く面に配置されることによって、便器装置10の前方から操作スイッチ300が見えないため、便器装置10の美観性が高まる。本体カバー112の後壁部172の所定の位置には、操作スイッチ300を配置するための貫通孔174が形成されている。貫通孔174は、長手方向が上下方向Hに沿ったトラック状に形成されている。
【0034】
図9に示すように、操作スイッチ300は、リアケース302と、防水パッキン304と、基板306と、フロントケース308と、カバー板310と、を備える。操作スイッチ300の例えば4つのボタン311、312、313、314に対応する配線330は、貫通孔174を横断し、コネクタ332を介して機能部100の所定の回路等に接続されている。
【0035】
防水パッキン304は、ゴムや任意の樹脂等で貫通孔174の周縁の形状に合わせて形成されている。リアケース302と、基板306と、フロントケース308と、カバー板310は、貫通孔174の形状に合わせてトラック状に形成されている。リアケース302には、操作スイッチ300の本体カバー112の後壁部172への装着方向(以下、装着方向)の手前側から奥側に凹む凹部321が形成されている。凹部321には、ボタン311、312、313、314に対応し、配線330に接続される配線333が収容されている。装着方向の手前側には、フランジ324が設けられている。防水パッキン304は、装着方向の奥側からリアケース302のフランジ324に接している。
【0036】
基板306は、リアケース302の表面322に嵌められている。基板306には、ボタン311、312、313、314の各々が押されたときに作動可能に構成された電子回路341、342、343、344が設けられている。ボタン311、312、313、314の各々が押されると、電子回路341、342、343、344の各々が作動し、配線330、332を介してボタン311、312、313、314に対応し且つ互いに異なる電子信号を機能部100の回路に発信する。電子信号を受信した機能部100は、ボタン311、312、313、314の各々に応じた動作を実行する。
【0037】
フロントケース308には、ボタン311、312、313、314の各々に対応する伝達部315、316、317、318が設けられている。伝達部315、316、317、318は、ボタン311、312、313、314の各々が押されたときに、各々に連動して装着方向の手前側から奥側に移動し、電子回路341、342、343、344に接触する。フロントケース308には、装着方向の奥側から手前側に凹む凹部325が形成されている。凹部325には、リアケース302、防水パッキン304、及び基板306が収容されている。フロントケース308の表面309の外周部には、例えば両面テープ等の接着材319が設けられている。
【0038】
カバー板310には、上側から下側に向かってボタン311、312、313、314が設けられている。ボタン311の上縁は、上側に凸の半円状に形成されている。ボタン311の下縁は、前後方向L及び幅方向Wを含む面に沿って直線状に形成されている。ボタン312の上縁は、前後方向L及び幅方向Wを含む面に沿って直線状に形成されている。ボタン312の下縁は、下側に凸の半円状に形成されている。ボタン312は、前後方向L及び幅方向Wを含む面に沿う線を中心にボタン311を下方に回転させた形状と一致する。ボタン313、314は、円形状に形成されている。ボタン311、312、313、314の各々の表面は、平坦である。ボタン314の表面の中央部に、突起307が設けられている。カバー板310は、フロントケース308に設けられた接着材319に貼られている。
【0039】
凹部325にリアケース302、防水パッキン304、及び基板306が収容され、且つ接着材319によってカバー板310が表面309に配置されたフロントケース308は、本体カバー112の後壁部172に形成された貫通孔174に嵌まっている。貫通孔174は、防水パッキン304によって良好に封止されている。防水パッキン304が設けられることによって、便器装置10の防水性能が向上する。操作スイッチ300は、便器装置10において後方を向く面に配置されているため、使用者はボタン311、312、313、314に水がかかっているか否かを直視できない。便器装置10の防水性能が向上することによって、使用者が濡れた指でボタン311、312、313、314を押した場合であっても水が機能部100の本体カバー112の内部に入るのを防止できる。
【0040】
図8に示すように、ボタン311、312、313、314は、便器装置10において後方を向く面に配置されているため、使用者からは見え難い。しかしながら、ボタン311、312、313、314の違いは、使用者が指でボタン311、312、313、314の各々の周縁をなぞりながら各々の形状を認識すること、及びボタン311、312、313、314の各々の表面の突起307の有無や数を認識することによって、把握される。
【0041】
以上説明したトイレ装置本体部109は、所定の機能を実行する機能部100と、機能部100に収められている電源や装置等の起動及び停止を行う電源スイッチ200と、を備える。電源スイッチ200は、本体カバー112の平坦部116の上面119に配置されている。本体カバー112の平坦部116の上面119は、トイレ装置本体部109において上方を向いている。トイレ装置本体部109によれば、上方以外の例えば側方を向く面に電源スイッチが配置されている従来の装置に比べて電源スイッチ200を操作しやすく、且つ電源スイッチ200の取り扱いが容易である。このことによって、トイレ装置本体部109の操作性が高まり、トイレ装置本体部109を管理し易くなる。
【0042】
トイレ装置本体部109では、電源スイッチ200は、機能部100に配置されている。このことによって、例えば使用者が便座本体50に座ったときに電源スイッチ200に触れる、及び電源スイッチ200を誤って押す、の何れかが生じず、電源スイッチ200の誤作動を防止できる。
【0043】
トイレ装置本体部109では、機能部100は、ベースプレート120を有する。ベースプレート120には、機能部100及びトイレ装置本体部109の外部に通じる凹部128によって排水路180が形成されている。ベースプレート120に排水路180が形成されていることによって、例えば電源スイッチ200を押すときに機能部100に水WWが入ってベースプレート120に到達したときに、水WWを排水路180から機能部100及びトイレ装置本体部109の外部に排出できる。
【0044】
トイレ装置本体部109では、機能部100は、本体カバー112を有する。前後方向Lでベースプレート120と本体カバー112との隙間152に、排水路180を含む排水空間190が形成されている。排水空間190が形成されていることによって、例えば電源スイッチ200を押すために機能部100に水WWが入ってベースプレート120に到達したときに、水WWを排水空間190から機能部100及びトイレ装置本体部109の外部に排出できる。
【0045】
トイレ装置本体部109では、ベースプレート120は、上下方向Hに延びる後壁部127を有する。本体カバー112は、ベースプレート120の後壁部127よりも後方に配置され、上下方向Hに延びる後壁部150を有する。前後方向Lでベースプレート120の後壁部127と本体カバー112の後壁部150との間に、排水空間190が形成されている。このことによって、例えば電源スイッチ200を押すときに本体カバー112とベースプレート120との間に入った水WWを排水空間190から下方に排出できる。電源スイッチ200のハーネス接続端206は、ベースプレート120の後壁部127よりも前方且つ後壁部127の下端よりも上方に配置されている。このことによって、排水空間190から排水される水WWが電源スイッチ200のハーネス接続端206にかかることを防止し、電源スイッチ200の作動不良の発生を防止できる。
【0046】
トイレ装置本体部109では、電源スイッチ200と機能部100に配置されたコネクタ220とを接続するハーネス222は、電源スイッチ200及びコネクタ220の各々の下方に延びる部分を有する。ハーネス222は、電源スイッチ200のハーネス接続端206及びコネクタ220よりも下方に凸の撓みを有する。ハーネス222が前述のように下方に延びる部分を有することによって、何かの要因でハーネス222に水がかかった場合であっても、その水をハーネス接続端206やハーネス222とコネクタ220との接続部に到達し難くし、電源スイッチ200とコネクタ220との接触不良の発生を防止できる。
【0047】
トイレ装置本体部109では、電源スイッチ200は、機能部100の起動及び停止を行うスイッチ本体202と、スイッチ本体202の上部を覆い、弾性変形可能な電源カバー210と、を有する。電源スイッチ200が押されて電源カバー210が弾性変形した状態では、図7に示すように電源カバー210と本体カバー112の底壁部146との間に、排水空間190に通じる隙間152、154が形成される。このことによって、例えば電源スイッチ200を押すときに本体カバー112とベースプレート120との間に入った水WWを排水空間190から機能部100及びトイレ装置本体部109の外部に排出できる。電源スイッチ200を押していないときには、自然状態の電源カバー210によって、水や埃が本体カバー112よりも機能部100の内部に入ることを防止できる。
【0048】
以上説明した便座装置12は、上述のトイレ装置本体部109と、回転軸部材111を介してトイレ装置本体部109に接続された便座本体50と、を備える。便座装置12によれば、上述のトイレ装置本体部109と同様に、電源スイッチ200を操作し易く、且つ電源スイッチ200の取り扱いが容易になる。
【0049】
以上説明した便器装置10は、上述のトイレ装置本体部109と、トイレ装置本体部109及び便座装置12が設けられた便器本体20と、を備える。便器装置10によれば、上述のトイレ装置本体部109と同様に、電源スイッチ200を操作し易く、且つ電源スイッチ200の取り扱いが容易になる。
【0050】
以上、本開示に係る好ましい実施形態について詳述した。本開示は上述した実施形態に限定されない。本開示は、変更可能である。
【0051】
例えば、電源スイッチ200は、本体カバー112の平坦部116の上面119以外で機能部100において上方を向く面に配置されてもよく、便座本体50の上方を向く面に配置されてもよい。
【0052】
例えば、排水路180は、ベースプレート120の後壁部127以外の部分に形成されてもよく、ベースプレート120以外の機能部100の部品等に形成されてもよい。排水空間190は、機能部100の本体カバー112とベースプレート120との間以外の空間や領域に形成されてもよい。本体カバー112は、トップカバー110の次いで機能部100の上部に配置されるので、本体カバー112とベースプレート120との間に排水空間190が形成されることによって、水WWが機能部100の中央部や下部に到達するのを良好に防止できる。排水空間190は、機能部100の上部から外部に通じるように形成されることが好ましい。
【0053】
例えば、本開示に係る便座装置は、便座本体50と、機能部100と、電源スイッチ200と、を備え、且つ便蓋70を備えなくてもよい。本開示に係る便座装置は、便器本体20に設置されていない状態で構成されてもよい。
【0054】
例えば、本開示に係る便器装置では、上述の実施形態で説明したように便座本体50や便蓋70がトイレ装置本体部109の機能部100に接続されて一体であってもよく、便座本体50や便蓋70とトイレ装置本体部109の機能部100とは互いに別体として切り離されていてもよい。本開示に係る便器装置は、便蓋70を備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0055】
10…便器装置、12…便座装置、20…便器本体、100…機能部、109…トイレ装置本体部、112、本体カバー、119…上面(上方を向く面)、120…ベースプレート、127…後壁部(第1壁部)、150…後壁部(第2壁部)、180…排水路、190…排水空間、200…電源スイッチ、206…ハーネス接続端(下端)、220…コネクタ、222…ハーネス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9