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特許7475190画像処理装置、画像処理方法、および制御プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法、および制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 5/66 20060101AFI20240419BHJP
   G09G 5/10 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H04N5/66 A
G09G5/10 B
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020078534
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021175111
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-22
(73)【特許権者】
【識別番号】319006047
【氏名又は名称】シャープセミコンダクターイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】石川 卓
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 涼二
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-206426(JP,A)
【文献】特開2008-129334(JP,A)
【文献】特開2011-154110(JP,A)
【文献】特開2016-130936(JP,A)
【文献】特開2008-153871(JP,A)
【文献】特開2019-149767(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0229490(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 5/66
G09G 5/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力された画像データの階調特性を変換して表示デバイスに出力する画像処理装置であって、
前記表示デバイスの最大輝度および最小輝度を用いて、前記画像データの階調特性を所望の階調特性に変更する階調特性変更部と、
前記階調特性変更部による階調特性変更後の変更後階調特性と、所望の階調特性の理論値との差分を導出し、導出した差分を前記入力された画像データの階調特性に反映する差分反映部と、
前記差分反映部にて前記差分が反映された階調特性に対し、前記表示デバイスの階調特性に応じたガンマ変換を行うガンマ変換部と、
前記ガンマ変換部にてガンマ変換された階調特性の画像データを前記表示デバイスに出力する出力部と、を備えていることを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
入力された階調値と前記表示デバイスに表示された画像の輝度との関係と、予め定められた複数の階調特性それぞれとの差分を用いて、前記表示デバイスの階調特性を判定する階調特性判定部を備え、
前記ガンマ変換部は、前記階調特性判定部により判定された階調特性に応じたガンマ変換を行うことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記所望の階調特性は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格のグレースケール標準表示関数(GSDF:Grayscale Standard Display Function)に準拠するものであり、
前記階調特性変更部は、表示デバイスの最大輝度および最小輝度から導出された弁別域(JND:Just-Noticeable Difference)インデックスを、グレースケール標準表示関数が示す輝度に変換することにより、前記画像データの階調特性を所望の階調特性に変更することを特徴とする請求項1または2の記載の画像処理装置。
【請求項4】
入力された階調値および前記表示デバイスに表示された画像の色度を用いて、所定階調間における前記色度の最大値と最小値との差分が所定値を超えるか否かを判定する色度判定部を備えていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
入力される画像データは、階調特性の異なる複数の画像データであり、
前記複数の画像データをそれぞれ、前記表示デバイスの所定領域に表示させる配置決定部を備え、
画像データが表示されるそれぞれの領域ごとに、対応する画像データについて、
前記階調特性変更部は、当該画像データの階調特性を所望の階調特性に変更し、
前記差分反映部は、導出した差分を反映し、
前記ガンマ変換部は、前記表示デバイスの階調特性に応じたガンマ変換を行い、
前記出力部は、ガンマ変換された階調特性の当該画像データを出力する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項の画像処理装置。
【請求項6】
入力された画像データの階調特性を変換して表示デバイスに出力する画像処理方法であって、
前記表示デバイスの最大輝度および最小輝度を用いて、前記画像データの階調特性を所望の階調特性に変更する階調特性変更ステップと、
前記階調特性変更ステップによる階調特性変更後の変更後階調特性と、所望の階調特性の理論値との差分を導出し、導出した差分を前記入力された画像データの階調特性に反映する差分反映ステップと、
前記差分反映ステップにて前記差分が反映された階調特性に対し、前記表示デバイスの階調特性に応じたガンマ変換を行うガンマ変換ステップと、
前記ガンマ変換ステップにてガンマ変換された階調特性の画像データを前記表示デバイスに出力する出力ステップと、を含むことを特徴とする画像処理方法。
【請求項7】
入力された階調値と前記表示デバイスに表示された画像の輝度との関係と、予め定められた複数の階調特性それぞれとの差分を用いて、前記表示デバイスの階調特性を判定する階調特性判定ステップを含み、
前記ガンマ変換ステップでは、前記階調特性判定ステップで判定された階調特性に応じたガンマ変換を行うことを特徴とする請求項6に記載の画像処理方法。
【請求項8】
前記所望の階調特性は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格のグレースケール標準表示関数(GSDF:Grayscale Standard Display Function)に準拠するものであり、
前記階調特性変更ステップでは、表示デバイスの最大輝度および最小輝度から導出された弁別域(JND:Just-Noticeable Difference)インデックスを、グレースケール標準表示関数が示す輝度に変換することにより、前記画像データの階調特性を所望の階調特性に変更することを特徴とする請求項6または7の記載の画像処理方法。
【請求項9】
入力された階調値および前記表示デバイスに表示された画像の色度を用いて、所定階調間における前記色度の最大値と最小値との差分が所定値を超えるか否かを判定する色度判定ステップを含むことを特徴とする請求項6~8のいずれか1項に記載の画像処理方法。
【請求項10】
入力される画像データは、階調特性の異なる複数の画像データであり、
前記複数の画像データをそれぞれ、前記表示デバイスの所定領域に表示させる配置決定ステップを含み、
画像データが表示されるそれぞれの領域ごとに、対応する画像データについて、
前記階調特性変更ステップでは、当該画像データの階調特性を所望の階調特性に変更し、
前記差分反映ステップでは、導出した差分を反映し、
前記ガンマ変換ステップでは、前記表示デバイスの階調特性に応じたガンマ変換を行い、
前記出力ステップでは、ガンマ変換された階調特性の当該画像データを出力する
ことを特徴とする請求項6~9のいずれか1項の画像処理方法。
【請求項11】
請求項1に記載の画像処理装置としてコンピュータを機能させるための制御プログラムであって、前記階調特性変更部、前記差分反映部、および前記ガンマ変換部としてコンピュータを機能させるための制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像表示デバイスに表示する画像データを処理する画像処理装置、画像処理方法、および制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、医療機関で患者を撮影して得られた放射線画像等の医用画像のデジタル化が進んでいる。そして、デジタル化された画像データは、CRT(Cathode-Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)等の表示デバイスで表示されている。また、画像データは、通信ネットワークを介して接続された複数の表示デバイスで表示されることも行われてきている。
【0003】
しかし、複数の表示デバイスで医用画像を表示する場合、各表示デバイスで階調特性が異なるため、同じ医用画像であっても、表示される画像の階調が異なるということが生じる。医用画像において表示デバイスによって表示される階調が異なるということは、患者を診断するうえで好ましくない。同一患者の同一画像を表示する場合、どの表示デバイスであっても、同じ階調で表示されることが望ましい。
【0004】
そこで、医用画像用の表示デバイスは、最大輝度(cd/m2)、輝度比、コントラスト応答に応じて3つの管理グレードに分類されているとともに、国際標準規格 DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)により、医用画像のフォーマットおよび画像データの通信プロトコルが定義されている。そして、医用画像は、これらに基づき、通信および表示が行われる。
【0005】
また、DICOMには、グレースケール標準表示関数(GSDF:Grayscale Standard Display Function )が明記されており、GSDFは、人間が識別できる最小の輝度差によって規定されるJND(Just Noticeable Difference)を用いた関数であり、表示デバイスの階調特性をGSDFに合わせて補正して表示することにより、全ての表示デバイスにおいて人間工学的に滑らか、かつ正確なグレースケール表示が実現できるというものである。
【0006】
また、特許文献1には、読影環境下で最低駆動レベルで表示手段を駆動させたときの輝度値、暗室環境下で最低駆動レベルで表示手段を駆動させたときの輝度値、および、暗室環境下で測定駆動レベルでテスト画像を表示手段に表示させたときの輝度値に基づいて、表示手段の階調特性を補正する階調補正テーブルを作成する輝度調整方法が記載されている。
【0007】
また、特許文献2には、表示装置に表示した画像の階調値毎の輝度を計測し、当該輝度を与える画像の色成分と、目標輝度を与える画像の色成分との類似度を手判定し、類似しない場合、階調値毎の目標輝度を再度算出し、類似する場合、画像信号の各色成分の階調値と表示すべき画像の階調値との関係を示す補正テーブルを生成して階調値を補正する階調補正方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2005-157260号公報(2005年6月16日公開)
【文献】特開2011-154110号公報(2011年8月11日公開)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述した従来技術では以下の問題がある。特許文献1および特許文献2ではともに、計測した輝度に基づいて補正テーブルを生成しているが、補正テーブル生成後、仮に黒色輝度と白色輝度が変化するような変更が行われた場合、補正テーブルを生成し直す必要がある。よって、DICOMのGSDFに準拠した階調特性を得るための補正テーブルが生成された場合、同じ状態において、DICOMのGSDFに準拠した階調特性を必要とする画像データ(例えば、レントゲン写真)しか表示させることしかできない。
【0010】
本発明は、前記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、表示デバイスの実際の階調特性に対応させて、表示する画像データを所望の階調特性とする画像データを出力できる画像処理装置等を実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像処理装置は、入力された画像データの階調特性を変換して表示デバイスに出力する画像処理装置であって、前記表示デバイスの最大輝度および最小輝度を用いて、前記画像データの階調特性を所望の階調特性に変更する階調特性変更部と、前記階調特性変更部による階調特性変更後の変更後階調特性と、所望の階調特性の理論値との差分を導出し、導出した差分を前記入力された画像データの階調特性に反映する差分反映部と、前記差分反映部にて前記差分が反映された階調特性に対し、前記表示デバイスの階調特性に応じたガンマ変換を行うガンマ変換部と、前記ガンマ変換部にてガンマ変換された階調特性の画像データを前記表示デバイスに出力する出力部と、を備えている。
【0012】
また、上記の課題を解決するために、本発明の一態様に係る画像処理方法は、入力された画像データの階調特性を変換して表示デバイスに出力する画像処理方法であって、前記表示デバイスの最大輝度および最小輝度を用いて、前記画像データの階調特性を所望の階調特性に変更する階調特性変更ステップと、前記階調特性変更ステップによる階調特性変更後の変更後階調特性と、所望の階調特性の理論値との差分を導出し、導出した差分を前記入力された画像データの階調特性に反映する差分反映ステップと、前記差分反映ステップにて前記差分が反映された階調特性に対し、前記表示デバイスの階調特性に応じたガンマ変換を行うガンマ変換ステップと、前記ガンマ変換ステップにてガンマ変換された階調特性の画像データを前記表示デバイスに出力する出力ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様によれば、画像データの階調特性が、表示デバイスの階調特性と異なっていても、当該表示デバイスにおいて、画像データの階調特性で当該画像データを表示することができるという効果を奏する。また、表示デバイスの階調特性が、本来あるべき階調特性がずれていたとしても、画像データの階調特性で当該画像データを表示することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の実施形態1に係る表示装置の要部構成を示すブロック図である。
図2】上記表示装置に備えられる画像補正モジュールの要部構成を示すブロック図である。
図3】表示デバイスの階調特性を評価するための前提となる処理を説明するための図である。
図4】表示デバイスの階調特性を評価するための前提となる処理を説明するための図である。
図5】色づき判定処理の流れを示すフローチャートである。
図6】色づきか否かを説明するための図である。
図7】色づきか否かを説明するための図である。
図8】表示デバイスガンマ変換パラメータ作成部における処理の流れを示すフローチャートである。
図9】表示デバイスガンマ変換パラメータ作成部212における処理を説明するための図である。
図10】表示デバイス補正パラメータ作成部およびガンマ変更パラメータ作成部における処理の流れを示すフローチャートである。
図11】表示デバイス補正パラメータ作成部およびガンマ変更パラメータ作成部の処理を説明するための図である。
図12】表示デバイス補正パラメータ作成部およびガンマ変更パラメータ作成部の処理を説明するための図である。
図13】表示デバイス補正パラメータ作成部およびガンマ変更パラメータ作成部の処理を説明するための図である。
図14】表示デバイス補正パラメータ作成部およびガンマ変更パラメータ作成部の処理を説明するための図である。
図15】表示デバイス補正パラメータ作成部およびガンマ変更パラメータ作成部の処理を説明するための図である。
図16】本発明の効果を説明するための図である。
図17】本発明の実施形態2に係る表示装置に備えられる画像補正モジュールの要部構成を示すブロック図である。
図18】複数画面変換部における処理の流れを示すフローチャートである。
図19】複数画面変換部の処理を説明するための図である。
図20】複数画面変換部の処理を説明するための図である。
図21】本発明の効果を説明するための図である。
図22】本発明の前提となる表示装置を示す図である。
図23】本発明の前提となる表示装置における階調特性を示す図である。
図24】本発明の前提となる表示装置における階調と輝度との関係を、表示装置を介して視覚したときの例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
〔実施形態1〕
〔前提となる表示装置〕
まず、本発明の前提のとなる表示装置について、図22図24を参照して説明する。
【0016】
通常、テレビジョン、情報表示装置、PCモニタ、プロジェクタ等の表示装置では、製品仕様に合わせて階調補正が行われる。図23に階調補正の例を示す。図23では、ガンマ2.2、ガンマ2.4、DICOM(Digital Imaging and Communications in Medicine)規格のGSDF(Grayscale Standard Display Function)、階調特性Xの例を挙げている。また、図24は、階調と輝度との関係を表示装置と通して視覚したときの例を示す図である。図24では、輝度を白から黒の単色により表現している。なお、表示装置としては、LCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(Electro Luminescence)等が挙げられる。
【0017】
図22に、表示装置がLCDの場合の例を挙げる。図22に示すように、LCDの場合、表示装置には、メイン制御モジュール、タイミングコントローラ、ソースドライバ、ゲートドライバ、および表示デバイスが含まれる。
【0018】
そして、タイミングコントローラの指示したタイミングで、ソースドライバおよびゲートドライバが表示デバイスの水平画素および垂直ラインの画素を制御することにより、メイン制御モジュールで処理された表示データを表示デバイスに表示している。
【0019】
そして、上述した特許文献1に記載された補正テーブルを作成する場合、作成部は、タイミングコントローラに実装されることになる。
【0020】
また、特許文献2に記載された補正テーブルを作成する場合、作成部は、メイン制御モジュールに実装されることになる。
【0021】
そして、表示デバイスの階調特性がガンマ2.2の場合、メイン制御モジュールで作成された画像データは階調特性がガンマ2.2に対応するように作成される。また、表示デバイスの階調特性がDICOM規格のGSDFに準拠したものである場合、メイン制御モジュールで作成された画像データは階調特性がDICOM規格のGSDFに準拠するように作成される。
【0022】
〔表示装置の構成〕
図1を参照して、本実施形態に係る表示装置100の構成について説明する。図1は、表示装置100の要部構成を示すブロック図である。図1に示すように、表示装置100は、メイン制御モジュール10、画像補正モジュール(画像処理装置)20、タイミングコントローラ30、表示デバイス40、ソースドライバ41、およびゲートドライバ42を含む。なお、画像補正モジュール20以外は、前提として記載した表示装置と同様である。なお、表示装置100では、上述した特許文献1、2の構成を含めることも可能であるし、含めないことも可能である。
【0023】
なお、ここでは、DICOM規格のGSDFに準拠した階調特性をもつ画像を表示デバイス40に表示する場合について説明する。
【0024】
図1に示すように、表示装置100では、タイミングコントローラ30の前段に画像補正モジュール20が備えられている。なお、画像補正モジュール20は、DICOM規格のGSDFに準拠するように階調特性変換が行われるよりも上位側にあればよく、タイミングコントローラ30の直前である必要はない。
【0025】
次に、図2を参照して、画像補正モジュール20の詳細について説明する。図2は、画像補正モジュール20の要部構成を示すブロック図である。図2に示すように、画像補正モジュール20は、パラメータ作成部210、表示デバイスガンマ変換部(ガンマ変換部、出力部)220、表示デバイス補正部(差分反映部)230、およびガンマ変更部(階調特性変更部)240を含む。なお、ここでは、画像補正モジュール20にパラメータ作成部210が含まれる構成として説明するが、これに限られるものではなく、画像補正モジュール20の外部に備えられ、外部のパラメータ作成部210で作成されたパラメータが画像補正モジュール20に送信される構成であってもよい。例えば、後述する演算器302にパラメータ作成部210が備えられ、画像補正モジュール20は演算器302からパラメータを取得する構成であってもよい。
【0026】
〔表示デバイスの評価処理〕
ここで、画像補正モジュール20による処理の説明の前に、図3および図4を参照して、画像補正モジュール20による処理の前提となる処理について説明する。図3および図4は表示デバイス40の階調特性を評価するための前提となる処理を説明するための図である。
【0027】
図3に示すように、表示デバイス40の前に輝度計301を設置し、所定の画像データを表示デバイス40に表示させ、そのときの輝度値を計測する。輝度計301は、適正に較正されたものが望ましく、表示デバイス40を医用画像の表示に用いる場合は、医療機関が受入試験で使用するものであることが望ましい。
【0028】
具体的な処理の流れとしては、図4に示すように、輝度計を設置後(S101)、デジタルデータ(画像データ)の送信を開始する(S102)。まずは、最小階調のデジタルデータXを送信し(S103)、そのときの輝度値を取得、記録する(S104)。そして、階調値を設定ステップαだけ加算して(S107)、ステップS103に戻り、デジタルデータXを送信し、そのときの輝度値を取得する。これを階調値が最大となるまで繰り返し、送信されたデジタルデータが最大階調であれば(S105でYES)、デジタルデータの送信を終了する(S106)。
【0029】
デジタルデータの階調に加算するステップαは解像度を分解できる程度であればよく、例えば、解像度が8bitの場合、1である。これにより、0から1ステップ毎に255まで測定することができる。なお、DICOM規定では、0から15ステップ毎に255までの18パターン(例:LN8-01~LN8-18)で判定されるので、ステップαは、15となる。ただし、表示装置100を管理グレードの高いコントラスト応答に設定する場合、現状のコントラスト応答の数値よりも精度を高めたい場合等は、分解可能な解像度で測定するほうが望ましい。また、上記は8bitの場合を例に挙げたが、これに限られるものではない。10bit、12bitのように分解可能な解像度が高くてもよく、高いほうが望ましい。
【0030】
また、輝度(Lv)のみではなく、色度座標(Lx,Ly)を測定し、記録することも可能である。色度座標を測定することにより、カラー表示可能な表示デバイスで色づきが発生する場合、色づき判定に色度座標を用いることができる。
【0031】
再び、図2を参照して、画像補正モジュール20について説明する。
【0032】
図2に示すように、パラメータ作成部210は、色づき補正パラメータ作成部(色度判定部)211、表示デバイスガンマ変換パラメータ作成部212、表示デバイス補正パラメータ作成部213、およびガンマ変更パラメータ作成部(階調特性判定部)214を含む。
【0033】
色づき補正パラメータ作成部211は、表示デバイス40の評価処理で得られた輝度、および色度座標を用いて、色づき判定を行う。そして、色づきがある判定があると判断された場合、色づき補正を行う。なお、色づき補正の詳細については、本明細書では言及しない。
【0034】
次に、図5図7を参照して、色づき判定処理の詳細について説明する。図5は、色づき判定処理の流れを示すフローチャート、図6および図7は、色づきか否かを説明するための図である。
【0035】
入力された画像データの階調である入力階調が8bit、すなわち解像度が[0-255]の場合、各階調の輝度と色度座標が測定、記録されている。そして、色づき補正パラメータ作成部211は、入力階調0から255まで色度座標(Lx,Ly)の最大値(色度MAX)および最小値(色度MIN)を算出する(S11)。次に、算出された最大値と最小値との差をとることにより、色度範囲(色度RANGE)を求める(S12)。そして、色づき補正パラメータ作成部211は、求めた色度範囲が判定値よりも大きいか否かにより色づき判定を行う(S13)。色度範囲が所定値より大きい場合(S13でYES)、色づきがあると判定し、色づきパラメータを作成し、色づき補正が行われる(S14)。なお、本明細書では、色づき補正については言及しない。一方、色度範囲が所定値以下の場合(S13でNO)、色づきは無いと判定し、色づき判定を終了する。なお、DICOM規格のGSDFの階調特性は、白黒の単色として表示されるものであるので、色づき無しと判定されることになる。
【0036】
なお、図6は色づきがあると判定された場合の色度の例を示し、図7は、色づきが無いと判定された場合の色度の例を示す。図6および図7において、横軸は階調値、縦軸は色度座標を示す。
【0037】
以上より、色づき補正パラメータ作成部211は、入力された階調値および表示デバイス40に表示された画像の色度を用いて、所定階調間における色度の最大値と最小値との差分が所定値を超えるか否かを判定するということが言える。
【0038】
表示デバイスガンマ変換パラメータ作成部212は、表示デバイス40の階調特性を決定し、ガンマ変換パラメータDを生成する。
【0039】
図8および図9を参照して、より詳細に説明する。図8は表示デバイスガンマ変換パラメータ作成部212における処理の流れを示すフローチャートであり、図9は、表示デバイスガンマ変換パラメータ作成部212における処理を説明するための図である。
【0040】
図8に示すように、表示デバイスガンマ変換パラメータ作成部212は、まず、計測したデータにおける階調値0のときの輝度値と、評価対象となる階調特性における階調値0のときの輝度値との差分(絶対値)を算出する(S201)。例えば、評価対象となる階調特性がガンマ2.2であれば、ガンマ2.2における階調値0のときの輝度値との差分を算出する。そして、算出した差分を変数Sとする(S202)。次に、階調値にステップαを加え(S203)、ステップS201と同様に、計測したデータにおける当該階調値における輝度値と評価対象となる階調特性における当該階調値の輝度値との差分(絶対値)を算出する(S204)。
【0041】
例えば、図9に示すように、測定データ階調特性が「階調特性a」、評価対象となる階調特性が「階調特性X」となる場合、階調値gにおける輝度値の差分Agは、階調値gのときの「階調特性a」の輝度値Xgと「階調特性a」の輝度値agとの差「Xg-ag」の絶対値となる。
【0042】
そして、算出した差分が変数Sよりも大きければ(S205でYES)、当該差分を変数Sに代入し(S206)、そうでなければ(S205でNO)、そのままステップS207に進む。その後、最大階調になるまでステップS203からステップS206までの処理を繰り返す。よって、最終的に変数Sは、計測したデータにおける各階調での輝度値と評価対象となる階調特性における各階調での輝度値との差分のうち、最大のものとなる。
【0043】
そして、ステップS201からステップS207までの処理を評価対象とする全ての階調特性について行う(S208)。すなわち、評価対象となる階調特性が、ガンマ2.2、ガンマ2.4、DICOM規格のGSDFに準拠する階調特性、階調特性A、階調特性B、階調特性C、階調特性Xの7つあれば、これら全てについて、ステップS201からステップS207までの処理を行う。
【0044】
そして、表示デバイスガンマ変換パラメータ作成部212は、全ての階調特性のうち、変数Sが最小のもの、すなわち、差分(絶対値)が最も小さい階調特性を表示デバイス40の階調特性として決定し、当該階調特性に対応したガンマ変換パラメータDを生成する。なお、ガンマ2.2やDICOM規格のGSDFに準拠する階調特性は、理論計算が可能なので、理論計算値と測定データとを比較して差分を算出する。
【0045】
表示デバイス補正パラメータ作成部213は、表示デバイス補正部230で用いる表示デバイス補正パラメータCを作成する。
【0046】
また、ガンマ変更パラメータ作成部214は、ガンマ変更部240で用いるガンマ変更パラメータBを作成する。
【0047】
図10図15を参照して、表示デバイス補正パラメータ作成部213およびガンマ変更パラメータ作成部214における処理の詳細について説明する。
【0048】
図10は、表示デバイス補正パラメータ作成部213およびガンマ変更パラメータ作成部214における処理の流れを示すフローチャートであり、図11図15は、表示デバイス補正パラメータ作成部213およびガンマ変更パラメータ作成部214の処理を説明するための図である。
【0049】
まず、表示デバイス補正パラメータ作成部213は、測定データの階調特性を拡張する処理を行う(S301)。例えば、階調を8bitから10bitに拡張処理する場合、8bitにおけるn階調とn+1階調との間をリニア補間することにより、10bitに拡張する。図11にリニア補間の例を示す。図11に示すように、測定データの階調特性をそのままグラフで表現した場合、階調間で段差ができ、グラフがギザギザになるが、これらの階調間をリニア補間することにより、階調特性を示すグラフが滑らかになることがわかる。
【0050】
次に、ガンマ変更パラメータ作成部214は、拡張処理された測定データにおける階調0のときの輝度値を最低輝度とし、階調255のときの輝度を最大輝度として、下記の数式を用いてJND(Just Noticeable Difference)変換を行う(S311)。
【0051】
【数1】
【0052】
ここで、Log10は底10への対数を表す。そして、A=71.498068、B=94.593053、C=41.912053、D=9.8247004、E=0.28175407、F=-1.1878455、G=-0.18014349、H=0.14710899、I=- 0.017046845である。
【0053】
上記式は、DICOM規格に記載された数式であり、特定範囲の輝度値に対し、JNDインデックスを求めるための数式である。
【0054】
これにより、JNDインデックスの最大値と最小値とが算出される。
【0055】
次に、ガンマ変更パラメータ作成部214は、JNDインデックスの最大値と最小値とから、下記式に基づき、JNDの各ステップを算出する(S312)。
(JNDMAX-JNDMIN)/JNDステップ総数×JNDステップ(n)+JNDMIN
次に、ガンマ変更パラメータ作成部214は、下記の数式を用いて、ステップS312で算出されたJNDの各ステップの値より、輝度算出する(S313)。
【0056】
【数2】
【0057】
ここでLnは自然対数を示し、jはJNDの輝度レベルLjのインデックス(1から1023)を示す。そして、a=-1.3011877、b=-2.5840191E-2、c=8.0242636E-2、d=-1.0320229E-1、e=1.3646699E-1、f=2.8745620E-2、g=-2.5468404E-2、h=-3.1978977E-3、k=1.2992634E-4、m=1.3635334E-3である。
【0058】
上記式は、DICOM規格に記載された数式であり、JNDインデックスの関数として輝度を求めるための数式である。これにより、DICOM規格のGSDFに準拠する階調特性が求められたことになる。ここでは、この階調特性をターゲットDICOM規格のGSDFと呼ぶ。ターゲットDICOM規格のGSDFの例を図12に示す。そして、ガンマ変更パラメータ作成部214は、ターゲットDICOM規格のGSDFに準拠する階調特性をガンマ変更パラメータBとして作成する(S314)。
【0059】
一方、表示デバイス補正パラメータ作成部213は、ターゲット階調特性Yを生成し(S302)、生成したターゲット階調特性Yを、ステップS313で生成したターゲットDICOM規格のGSDFと表示デバイス40の階調特性(理論階調)とを用いて変換することにより階調特性Y’を生成する。また、ターゲット階調特性YをターゲットDICOM規格のGSDFと測定データの階調特性を拡張処理した階調特性Xとを用いて変換することにより階調特性X’を生成する(S303)。これらの処理を図13に示す。
【0060】
次に、表示デバイス補正パラメータ作成部213は、DICOM規格のGSDFの階調ステップ毎に階調特性X’-階調特性Y’を行い記録する(S304)。記録された誤差の一部を図14に示す。なお、記録する容量が限られる場合は、ガンマ変更パラメータ作成部214で作成されたパラメータBは、記録を省略してもよい。ターゲットDICOM規格のGSDFは、測定された階調特性を用いて別途計算することができるためである。そして、表示デバイス補正パラメータ作成部213は、各階調におけるX’-Y’により計算された差分を表示デバイス補正パラメータCとする(S305)。なお、時間をおいて測定データの輝度値を再測定し、差分を算出し、前回に算出した差分と比較することにより、表示デバイス40の経時変化の判断にも利用することができる。
【0061】
以上により、ガンマ変更パラメータB、表示デバイス補正パラメータC、および、表示デバイスガンマ変換パラメータDが作成される。
【0062】
次に、画像補正モジュール20の表示デバイスガンマ変換部220、表示デバイス補正部230、およびガンマ変更部240における処理を説明する。これらは、入力された画像データについて、階調特性変換を行うことにより、表示デバイス40の階調特性が、画像データの階調特性と異なっていても、表示デバイス40において、画像データを当該画像データの階調特性で表示できるようにするものである。なお、画像データに対する処理は、ガンマ変更部240、表示デバイス補正部230、表示デバイスガンマ変換部220の順で行われるため、この順で説明を行う。
【0063】
ガンマ変更部240は、ガンマ変更パラメータ作成部214で作成されたガンマ変更パラメータBを用いて、入力された画像データの階調特性をDICOM規格のGSDFに準拠する階調特性に変換する。
【0064】
表示デバイス補正部230は、表示デバイス補正パラメータ作成部213で作成された表示デバイス補正パラメータCで示される差分をガンマ変更部240で変換された階調特性に反映する。
【0065】
表示デバイスガンマ変換部220は、表示デバイス補正部230で、階調特性に差分が反映された画像データが、表示デバイス40で適切に表示されるように、表示デバイスガンマ変換パラメータDを用いて、画像データの階調特性を表示デバイス40の階調特性(ガンマ特性)に対応させる。具体的には、例えば、図15で示す階調特性によるガンマ変換を行う。そして、階調特性を変換した後の画像データを表示デバイス40に送信する。
【0066】
なお、上述したように、本実施形態に係る表示装置100は、表示デバイス40がガンマ2.2の階調特性を有し、画像データがDICOM規格のGSDFに準拠する階調特性のものである場合でも、特許文献1に記載された補正テーブルを実装する必要はない。表示デバイスガンマ変換部220にて、階調特性を適切に変換し、ガンマ2.2の階調特性を有する表示デバイス40であっても、DICOM規格のGSDFに準拠する階調特性で画像データを表示するようにしているためである。すなわち、ガンマ2.2の階調特性を有する表示デバイス40を医用モニタとして適切な表示を行えるものとしている。
【0067】
以上のように、本実施形態に係る表示装置100は、図16に示すように、表示デバイス40の階調特性が例えばガンマ2.2であったとしても、表示デバイス40で、DICOM規格のGSDFに準拠する階調特性の画像データを、DICOM規格のGSDFに準拠する階調特性で表示できるものである。
【0068】
このように、本実施形態に係る画像補正モジュール20は、入力された画像データの階調特性を変換して表示デバイス40に出力するものであって、表示デバイス40の最大輝度および最小輝度を用いて、画像データの階調特性を所望の階調特性に変更するガンマ変更部240と、階調特性変更後の変更後階調特性と、所望の階調特性の理論値との差分を導出し、導出した差分を入力された画像データの階調特性に反映する表示デバイス補正部230と、差分が反映された階調特性に対し、表示デバイス40の階調特性に応じたガンマ変換を行い、ガンマ変換された階調特性の画像データを表示デバイス40に出力する表示デバイスガンマ変換部220と、を備えている。
【0069】
これにより、画像補正モジュール20のパラメータ作成部210においてパラメータを一度設定すれば、仮に特許文献1、2に記載された補正テーブルを用いる場合であっても、当該補正テーブルをその後変更することなく、画像データの階調特性と異なる階調特性の表示装置において、画像データを当該画像データの階調特性で表示することができる。また、表示デバイス40の階調特性が、本来あるべき階調特性がずれていたとしても、画像データの階調特性で当該画像データを表示することができる。
【0070】
また、各部の処理で用いるパラメータは、表示装置毎に設定されるので、表示装置毎の特性のバラつき等があったとしても、適切に対応することができる。
【0071】
また、表示デバイス40で表示される画像データの階調特性を適切なものとすることができるので、医用モニタとしての管理グレードを向上させることもできる。
【0072】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0073】
図17に示すように、本実施形態は、画像補正モジュール(画像処理装置)20Aに、複数画面変換部(配置決定部)250が含まれる点が実施形態1と異なる。
【0074】
表示デバイス40に複数の画像データが入力された場合、表示デバイス40の階調特性に対応した画像データは適切に表示されるが、それ以外の画像データは適切な表示とはならない。
【0075】
そこで、本実施形態では、画像補正モジュール20Aに複数画面変換部250を備え、複数の画像データが入力される場合であっても、それぞれの画像データが表示デバイス40で適切に表示されるようにしている。
【0076】
複数画面変換部250は、階調特性の異なる複数の画像データについて、画像データ毎に、表示デバイス40の表示領域を設定し、表示領域と階調特性とを対応付ける。
【0077】
図18図20を参照して、詳細に説明する。図18は、複数画面変換部250における処理の流れを示すフローチャートであり、図19および図20は、複数画面変換部250の処理を説明するための図である。
【0078】
図18に示すように、階調特性の異なる複数の画像データが入力されると(S401)、複数画面変換部250は、それぞれの入力に応じたIDづけを行う(S402)。画像データには、画像の解像度、フレーム周波数、付随信号等が含まれており、例えばHDMI(登録商標)では、HDCP1.4やHDCP2.1等のコンテンツ保護情報、輝度情報、音声ダグ等が含まれる。また、医用画像では、DICOMタグと呼ばれる情報、撮影の日付、人名、年齢等撮影データに付随する情報等が含まれる。さらに、I2CやSPI I/F等の、映像信号の入力以外の、入力I/Fの入力についてもIDづけがなされる。図20にIDづけされた情報テーブルの一例を示す。図20の示す情報テーブル2001の例では、6つの画像データについて、ID1~ID6のIDが付けられ、さらに、それぞれについて、I/F、階調特性、解像度、フレーム周波数、コンテンツ保護、最大輝度[cd/m2]、音声タグ、DICOMタグ、レイアウト座標、αブレンド[%]が対応付けられている。
【0079】
次に、複数画面変換部250は、IDづけした情報を画像データとともにメモリに格納する(S403)。
【0080】
次に複数画面変換部250は、画面レイアウト構成を行う(S404)。画面レイアウト構成では、出力される1画面に対してレイアウト構成が決められる。図19にレイアウト構成の例を示す。図19に示すように、レイアウト構成は、1点の座標を示すレイアウト情報により決められる。すなわち、1点の座標が示す点に合わせて水平の幅(Width)および高さ(Height)が決められる。なお、ここで決められるのは、1画面のレイアウト情報のみであり、入力された画像データが失われることはない。
【0081】
次に、複数画面変換部250は、メモリ呼出処理を行う(S405)。メモリ呼出では、決められたレイアウト情報に合わせて画像データがメモリより呼び出しされる。このときに画像の表示領域である水平の幅(Width)および高さ(Height)に合わせ、画像の拡大、縮小、等倍処理等が行われる。これらの処理は公知技術を用いて可能であるのでここではその詳細については記載しない。レイアウト情報に合わせてレイアウト構成が決められる例を図19に示す。図19に示す例では、ID1、ID2、ID5、およびID6に対応する表示領域が表示デバイス40に示されている例を示している。図19に示すように、表示領域を重ねることも可能である。この場合でも、各種情報が失われることはない。また、ID毎にアルファブレンド情報(透過情報)も決められているので、それぞれの表示領域に応じて透過処理も行われる。
【0082】
なお、レイアウト構成は、随時、変更することができる。この場合、変更後のレイアウト情報に応じて、メモリ呼出が行われる。
【0083】
そして、複数画面変換部250のメモリ呼出処理で呼び出されたID毎に、ガンマ変更部240、表示デバイス補正部230、および表示デバイスガンマ変換部220における処理が行われる。
【0084】
これにより、本実施形態によれば、表示デバイス40におけるそれぞれの表示領域において、画像データ毎に適切な階調特性で表示を行うことができる。
【0085】
例えば、図21に示すように、階調特性がガンマ2.2の表示デバイス40に、階調特性の異なる複数の画像データが入力される場合であっても、表示デバイス40におけるそれぞれの表示領域に、適切な階調特性でそれぞれの画像データを表示することができる。
【0086】
また、画像データは、白黒に限定されることなく、カラー表示も可能である。
【0087】
〔ソフトウェアによる実現例〕
表示装置100の制御ブロック(特にメイン制御モジュール10、画像補正モジュール20、およびタイミングコントローラ30)は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。
【0088】
後者の場合、表示装置100は、各機能を実現するソフトウェアであるプログラムの命令を実行するコンピュータを備えている。このコンピュータは、例えば少なくとも1つのプロセッサ(制御装置)を備えていると共に、上記プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な少なくとも1つの記録媒体を備えている。そして、上記コンピュータにおいて、上記プロセッサが上記プログラムを上記記録媒体から読み取って実行することにより、本発明の目的が達成される。上記プロセッサとしては、例えばCPU(Central Processing Unit)を用いることができる。上記記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、ROM(Read Only Memory)等の他、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記プログラムを展開するRAM(Random Access Memory)などをさらに備えていてもよい。また、上記プログラムは、該プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記コンピュータに供給されてもよい。なお、本発明の一態様は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0089】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る画像処理装置は、入力された画像データの階調特性を変換して表示デバイスに出力する画像処理装置であって、前記表示デバイスの最大輝度および最小輝度を用いて、前記画像データの階調特性を所望の階調特性に変更する階調特性変更部と、 前記階調特性変更部による階調特性変更後の変更後階調特性と、所望の階調特性の理論値との差分を導出し、導出した差分を前記入力された画像データの階調特性に反映する差分反映部と、前記差分反映部にて前記差分が反映された階調特性に対し、前記表示デバイスの階調特性に応じたガンマ変換を行うガンマ変換部と、前記ガンマ変換部にてガンマ変換された階調特性の画像データを前記表示デバイスに出力する出力部と、を備えている。
【0090】
前記の構成によれば、表示デバイスの実際の階調特性と、画像データの階調特性とを用いて、階調特性を変換するので、画像データの階調特性が、表示デバイスの階調特性と異なっていても、当該表示デバイスにおいて、画像データの階調特性で当該画像データを表示することができる。
【0091】
また、表示デバイスの階調特性が、本来あるべき階調特性がずれていたとしても、画像データの階調特性で当該画像データを表示することができる。すなわち、表示デバイスの実際の階調特性に対応させて、表示する画像データを所望の階調特性とする画像データを表示デバイスに出力することができる。
【0092】
本発明の態様2に係る画像処理装置は、上記態様1において、入力された階調値と前記表示デバイスに表示された画像の輝度との関係と、予め定められた複数の階調特性それぞれとの差分を用いて、前記表示デバイスの階調特性を判定する階調特性判定部を備え、前記ガンマ変換部は、前記階調特性判定部により判定された階調特性に応じたガンマ変換を行うものであってもよい。
【0093】
前記の構成によれば、表示デバイスの実際の階調特性を適切に判断できる。よって、表示デバイスの実際の階調特性に沿って階調特性を変換することができる。
【0094】
本発明の態様3に係る画像処理装置は、上記態様1または2において、前記所望の階調特性は、DICOM(Digital Imaging and Communication in Medicine)規格のグレースケール標準表示関数(GSDF:Grayscale Standard Display Function)に準拠するものであり、前記階調特性変更部は、表示デバイスの最大輝度および最小輝度から導出された弁別域(JND:Just-Noticeable Difference)インデックスを、グレースケール標準表示関数が示す輝度に変換することにより、前記画像データの階調特性を所望の階調特性に変更するものであってもよい。
【0095】
前記の構成によれば、表示デバイスの階調特性によらず、DICOM規格のグレースケール標準表示関数(GSDF)に準拠する階調特性にて画像データを表示デバイスに表示させることができる。
【0096】
本発明の態様4に係る画像処理装置は、上記態様1~3のいずれかにおいて、入力された階調値および前記表示デバイスに表示された画像の色度を用いて、所定階調間における前記色度の最大値と最小値との差分が所定値を超えるか否かを判定する色度判定部を備えているものであってもよい。
【0097】
前記の構成によれば、所定階調間における前記色度の最大値と最小値との差分が所定値を超えるか否かを判定するので、白と黒とを適切に表現でき、色づきを抑えることができる。
【0098】
本発明の態様5に係る画像処理装置は、上記態様1~4のいずれかにおいて、入力される画像データは、階調特性の異なる複数の画像データであり、前記複数の画像データをそれぞれ、前記表示デバイスの所定領域に表示させる配置決定部を備え、画像データが表示されるそれぞれの領域ごとに、対応する画像データについて、前記階調特性変更部は、当該画像データの階調特性を所望の階調特性に変更し、前記差分反映部は、導出した差分を反映し、前記ガンマ変換部は、前記表示デバイスの階調特性に応じたガンマ変換を行い、前記出力部は、ガンマ変換された階調特性の当該画像データを出力するものであってもよい。
【0099】
前記の構成によれば、階調特性の異なる複数の画像データが入力された場合であっても、表示デバイスの階調特性によらず、それぞれの画像データデータをそれぞれの階調特性で表示デバイスに表示することができる。
【0100】
本発明の態様6に係る画像処理方法は、入力された画像データの階調特性を変換して表示デバイスに出力する画像処理方法であって、前記表示デバイスの最大輝度および最小輝度を用いて、前記画像データの階調特性を所望の階調特性に変更する階調特性変更ステップと、前記階調特性変更ステップによる階調特性変更後の変更後階調特性と、所望の階調特性の理論値との差分を導出し、導出した差分を前記入力された画像データの階調特性に反映する差分反映ステップと、前記差分反映ステップにて前記差分が反映された階調特性に対し、前記表示デバイスの階調特性に応じたガンマ変換を行うガンマ変換ステップと、前記ガンマ変換ステップにてガンマ変換された階調特性の画像データを前記表示デバイスに出力する出力ステップと、を含む。
【0101】
本発明の各態様に係る画像処理装置は、コンピュータによって実現してもよく、この場合には、コンピュータを前記画像処理装置が備える各部(ソフトウェア要素)として動作させることにより前記画像処理装置をコンピュータにて実現させる画像処理装置の制御プログラム、およびそれを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体も、本発明の範疇に入る。
【0102】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。さらに、各実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を組み合わせることにより、新しい技術的特徴を形成することができる。
【符号の説明】
【0103】
10 メイン制御モジュール
20、20A 画像補正モジュール(画像処理装置)
30 タイミングコントローラ
40 表示デバイス
41 ソースドライバ
42 ゲートドライバ
100 表示装置
210 パラメータ作成部
211 補正パラメータ作成部(色度判定部)
212 表示デバイスガンマ変換パラメータ作成部
213 表示デバイス補正パラメータ作成部
214 ガンマ変更パラメータ作成部(階調特性判定部)
220 表示デバイスガンマ変換部(ガンマ変換部、出力部)
230 表示デバイス補正部(差分反映部)
240 ガンマ変更部(階調特性変更部)
250 複数画面変換部(配置決定部)
301 輝度計
302 演算器
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
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図24