(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】植物栽培用プレート
(51)【国際特許分類】
A01G 31/00 20180101AFI20240419BHJP
【FI】
A01G31/00 611Z
(21)【出願番号】P 2020085899
(22)【出願日】2020-05-15
【審査請求日】2022-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000108719
【氏名又は名称】タキロンシーアイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001885
【氏名又は名称】弁理士法人IPRコンサルタント
(72)【発明者】
【氏名】加藤 晋康
(72)【発明者】
【氏名】石橋 直也
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-271926(JP,A)
【文献】特開2016-112001(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺の水槽の一端側に配設され、植物の成長とともに前記水槽の他端側にスライドされる植物栽培用のプレートであって、
植物を定植させるための開口を有する板体と、
前記板体の一方側から立ち上がる係合片と、
前記一方側に対向する他方側に設けられ、他のプレートの係合片を下方から受け入れる係合凹部と、を具備し、
前記プレートの前記係合凹部が上方から前記他のプレートの係合片に係合し、又は、前記他のプレートの係合凹部が上方から前記プレートの前記係合片に係合することで、前記プレートが前記他のプレートと連結され、
前記一方側に設けられて、前記板体の外側に向かって前記板体の上方から下方に傾斜する斜面部を具備し、
前記プレートを前記一方側から前記他のプレートの他方側に向かってスライドさせると、前記プレートの係合凹部が前記他のプレートの前記斜面部を乗り越えて前記他のプレートの前記係合片に係合し、
前記斜面部は前記係合片から外側に突出しており、
前記他方側に設けられて、前記他のプレートの斜面部に対向
してプレートの連結時に当該斜面部を逃がすか又は収容する逃し部を具備
し、
前記逃し部は、下方に開口する窪み、開口又は切り欠きで構成されていること、
を特徴とする植物栽培用プレート。
【請求項2】
前記係合凹部は、前記他方側から立ち上がる第1片と、前記第1片と対向して前記第1片との間に前記他のプレートの係合片を収容する第2片と、を含み、
前記第1片は、前記第2片が前記他のプレートの斜面部を乗り越えると、前記他のプレートの係合片と対向又は接触すること、
を特徴とする請求項1に記載の植物栽培用プレート。
【請求項3】
前記第2片の下端部は、前記斜面部の下端部よりも上方に位置すること、
を特徴とする請求項2に記載の植物栽培用プレート。
【請求項4】
前記斜面部の幅は、前記係合片の幅よりも狭いこと、
を特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の植物栽培用プレート。
【請求項5】
前記係合片及び前記係合凹部のそれぞれは、前記板体との間にリブを有すること、
を特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の植物栽培用プレート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培用プレートに関し、特に、長尺の水槽の一端側に配設され、植物の成長とともに水槽の他端側にスライドされる植物栽培用プレートに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、長手全幅の前辺に設けられたフック型突出部と、後辺に設けられたフック受け部とを備え、これら部材が噛み合うことでトレー同士が連結される、略矩形状の栽培トレーが提案されている。フック型突出部は先端がテーパー状を為しているため、複数のトレーを育成ラックに搭載して順に押し出すと、先に搭載したトレーの後辺を押し上げて、フック受け部に掛かり、育成ラックに設けられたローラー上で数十台が容易に連結される(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この栽培トレーでは、フック型突出部においてフック受け部が掛かる部位は上向きの溝をなしている。この上向きの溝には、ゴミが溜まりやすく、不衛生である。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みて創作されたものであり、連結箇所にゴミが溜まりにくい植物栽培用プレートを提供することを目的とする。
の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決すべく、本発明は、
長尺の水槽の一端側に配設され、植物の成長とともに前記水槽の他端側にスライドされる植物栽培用のプレートであって、
植物を定植させるための開口を有する板体と、
前記板体の一方側から立ち上がる係合片と、
前記一方側に対向する他方側に設けられ、他のプレートの係合片を下方から受け入れる係合凹部と、を具備し、
前記プレートの前記係合凹部が上方から前記他のプレートの係合片に係合し、又は、前記他のプレートの係合凹部が上方から前記プレートの前記係合片に係合することで、前記プレートが前記他のプレートと連結されること、
を特徴とする植物栽培用プレートを提供する。
ここで、係合凹部は、貫通孔をも含むものとする。
【0007】
このような構成を有する本発明の植物栽培用プレートでは、保持部が下向きに開口しているため、植物栽培用プレートの連結箇所にゴミが溜まりにくい。したがって、ゴミの体積による植物の汚染を効果的に抑制することができる。
【0008】
本発明の植物栽培用プレートにおいては、
前記一方側に設けられて、前記板体の外側に向かって前記板体の上方から下方に傾斜する斜面部を更に具備し、
前記プレートを前記一方側から前記他のプレートの他方側に向かってスライドさせると、前記プレートの係合凹部が前記他のプレートの前記斜面部を乗り越えて前記他のプレートの前記係合片に係合すること、が望ましい。
【0009】
このような構成を有する本発明の植物栽培用プレートでは、円滑に係合ができると共に、係合凹部を下方に開口するように形成しやすい。
【0010】
また、本発明の植物栽培用プレートにおいては、
前記係合凹部は、前記他方側から立ち上がる第1片と、前記第1片と対向して前記第1片との間に前記他のプレートの係合片を収容する第2片と、を含み、
前記第1片は、前記第2片が前記他のプレートの斜面部を乗り越えると、前記他のプレートの係合片と対向又は接触すること、が望ましい。
ここで、第1片と第2片とは部分的に対向していればよい。また第1片と係合片とは部分的に対向又は接触していればよい。
【0011】
このような構成を有する本発明の植物栽培用プレートでは、他のプレートの乗り越え防止になる。
【0012】
また、本発明の植物栽培用プレートにおいては、
前記第2片の下端部は、前記斜面部の下端部よりも上方に位置すること、が望ましい。
【0013】
このような構成を有する本発明の植物栽培用プレートでは、係合までの時間が短くて済む。
【0014】
また、本発明の植物栽培用プレートにおいては、
前記斜面部の幅は、前記係合片の幅よりも狭いこと、が望ましい。
ここで、幅とは、プレートの一辺に略平行な方向における長さを言うこととする。
【0015】
このような構成を有する本発明の植物栽培用プレートでは、斜面部での摩擦力が少なくて済むので、少ない力で他のプレートと連結させることができる。
【0016】
また、本発明の植物栽培用プレートにおいては、
前記係合片及び前記係合凹部のそれぞれは、前記板体との間にリブを有すること、が望ましい。
【0017】
このような構成を有する本発明の植物栽培用プレートでは、係合片及び係合凹部が高強度、高耐衝撃性となる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、保持部が下向きに開口しているため、植物栽培用プレートの連結箇所にゴミが溜まりにくい。したがって、ゴミの堆積による植物の汚染を効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】第1実施形態に係る植物栽培用プレート1の斜視図である。
【
図2】植物栽培用プレート1のA-A線断面図である。
【
図3】植物栽培用プレート1のB-B線断面図である。
【
図4】連結された植物栽培用プレート1,11を示す斜視図である。
【
図5】係合片3及び係合凹部5の部分拡大断面図である。
【
図6】植物栽培用プレート1の係合片3と他の植物栽培用プレート11の係合凹部14との係合過程を示す部分拡大断面図である。
【
図7】植物栽培用プレート1の斜面部5が他の植物栽培用プレート11の逃し部16に収納される過程を示す部分拡大断面図である。
【
図8】第2実施形態に係る植物栽培用プレート101の概略図である。
【
図9】植物栽培用プレート101の連結過程を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る植物栽培用プレートの代表的な実施形態を、図を参照しながら詳細に説明する。但し、本発明は図示されるものに限られるものではない。図面は本発明を概念的に説明するためのものであるから、理解容易のために寸法、比又は数を誇張又は簡略化して表している場合もある。更に、同一又は同等の部材には同一符号を付し、重複する説明を省略することがある。
【0021】
ここでは、説明の便宜上、次のように座標軸を定める。つまり、鉛直方向をZ軸に定め、植物栽培用プレート1のスライド方向(及び水槽9が延びる方向)をX軸に定める。また、Z軸とX軸とに直交する方向をY軸とする。また、上下又は高低はZ軸方向を、前後はX軸方向を、左右はY軸方向を、それぞれ表すものとする。
【0022】
1.第1実施形態
1-1. 植物栽培用プレート1の構成
図1~
図7を参照して、第1実施形態に係る植物栽培用プレート1を説明する。以下、植物栽培用プレート1をプレート1と略記する。なお、
図6及び
図7に関連して登場する他のプレートは、プレート1と同一の構造を有する同一の製品であり、説明の便宜上、別の符号11で表す場合がある。したがって、プレート1は板体2、係合片3、係合凹部4、斜面部5、逃し部6並びにリブ7及び8等の構成要素を具備し、これと同様に、プレート11も板体12、係合片13、係合凹部14、斜面部15、逃し部16並びにリブ17及び18等の構成要素を具備する。
【0023】
プレート1は、長尺の水槽9の上方に配設された状態で使用される(
図5~
図7参照)。より具体的には、未成熟な植物を保持したプレート1を、水槽9の一端側に配設し、植物の成長とともにプレート1を他端側にスライドさせる。そして、他端に到達したプレート1を水槽9から取り外して、成熟した植物を収穫する。水槽9の上方においては、成長過程の異なる植物を保持した複数(少なくとも2枚)のプレート1が連結状態で整列する(
図4参照)。
【0024】
プレート1は、全体として板状をなしており、例えば樹脂や金属等のある程度の剛性を有する材料で形成されていればよく、なかでも樹脂成形品で構成されているのが好ましい。かかるプレート1は、
図1に示すように、板体2、係合片3、係合凹部4、斜面部5及び逃し部6を構成要素として含んでおり、これら構成要素の一体成形品として製作されてよい。
【0025】
本実施形態では、板体2は略矩形状であるが、本発明はこれに限られない。板体2は、植物を保持するための孔(植物保持孔)21及び通気孔22を有する(
図2及び
図3参照)。板体2は、成長した植物を保持した板体2を持ち上げた際に生じ得る板体2の撓み及び割れを抑制するべく、板体2の剛性を高めるための段差(板体2から上方又は下方に設けられた補強部)23を有してもよい。
【0026】
係合片3は、板体2の一方側(例えば前側又は後側)から立ち上がるように設けられた部材であり、本実施形態では板体2の1つの辺Lから立ち上がる。
図6に例示するように、係合片3は、他のプレート11の係合凹部14に係合して、前後のプレート1,11同士を連結する。
【0027】
図1に示すように、係合片3は、係合凹部4との係合の容易さ及び係合片3に生じる衝撃及び引張力の分散の観点から、辺Lのほぼ全幅に沿って配置され、略同じ高さを有することが好ましいが、これに限られない。
図2及び
図3に示すように、係合片3は、他のプレート11による衝撃(又は押圧力)や牽引力(又は引張力)に耐えられるように、板体2との間にリブ7を有する。
【0028】
斜面部5は、係合片3よりも板体2の一方側に配置される部材であり、本実施形態では係合片3から外側(前方)に突出する。
図6に示すように、斜面部5は、他のプレート11の係合凹部14(後壁14B)に接触することで他のプレート11を持ち上げ、係合片3の係合凹部14への係合、つまりプレート1,11同士の連結を容易にする。また、
図7に示すように、斜面部5は、連結時に、他のプレート11の逃し部16に入り込んで他のプレート11との左右方向の位置ズレを抑制する役割をも果たす。
【0029】
図5に示すように、斜面部5は、板体2の外側(前方)に向かって板体2の上方から下方に傾斜している。斜面部5の傾斜角、つまり、斜面部5の斜面と板体2との間の角度αは、連結過程で要する力の抑制あるいは滑らかな連携の観点から、20°≦α≦50°であることが好まく、なかでも25°≦α≦45°であることが更に好ましい。
【0030】
図1に示すように、斜面部5は、係合片3の幅方向(辺Lに略平行な方向)の一部分を占めるように配置されることが好ましい。斜面部5の幅を係合片3の幅よりも狭めることで、連結過程において斜面部5と係合凹部4との間で生ずる摩擦力を抑え、比較的小さな力でプレート1同士を連結可能となる。
【0031】
係合凹部4は、一方側に対向する他方側から立ち上がるように設けられた部材であって、他のプレート11の係合片13を下方から受け入れる(
図4及び
図6参照)。本実施形態では、係合凹部4は、辺Lに対向する辺Mから立ち上がる。係合凹部4は、他のプレート11の係合片13を下方から受け入れることができれば特に制限無く種々の形状を有していてよく、したがって受部とも換言できる。この受部である係合凹部4は、本実施形態では凹状の窪みで構成されているが、更に貫通した開口(貫通孔)等でもよい。
【0032】
図2及び
図5に示すように、本実施形態における係合凹部4は、略U字状の断面を有しており、前壁4Aと、前壁4Aと対向する後壁4Bと、を含む。すなわち、前壁4Aと後壁4Bとはそれぞれ第1片及び第2片に相当し、幅方向に部分的に対向していてもよい。したがって、前壁4Aと後壁4Bの間に他のプレート11の係合片13が入り込むことで、係合凹部4に対する係合片13の前後方向の移動が規制され、前後のプレート1,11が連結されることになる(
図6参照)。
【0033】
図5に示すように、後壁4Bの下端Qは、前壁4Aの下端Rよりも上方にある。したがって、係合凹部4(後壁4Bの下端Q)が他のプレート11の斜面部15と接触しながら斜面部15を登り切ろうとするとき、前壁4Aの下部(つまり後壁4Bと対向していない部分)は、係合片13と対向又は接触する(
図6(D)及び(E))。これにより、前側のプレート11が後側のプレート1に乗り上げることを防止することができる。
【0034】
尚、前壁4Aと係合片13とは幅方向に部分的に対向していてもよい。つまり、係合凹部および係合片が幅方向に分割されて係合部位が複数構成されていて、斜面部を乗り越える後壁4Bを備える(逃し部16を有し、前壁4Aを備えない)一の係合部位と、それぞれ対向する前壁4A、後壁4Bを備える他の係合部位と、を有する形態であってもよい。当該形態であっても、一の係合部位の後壁4Bが斜面部15を登り切ろうとするときに、他の係合部位の前壁4Aが係合片13と対向又は接触することで、プレート1の乗り上げを防止することができる。
【0035】
より具体的には、前壁4Aの下端Rは、後壁4Bの下端Qから斜面部5の斜面と略平行に引いた線Nと前壁4Aとの交点Sよりも下方にあることが好ましい。これにより、前後のプレート1,11が勢いよく衝突しても、前側のプレート11が後側のプレート1に乗り上げることを防止することができる。
【0036】
また、後壁4Bの下端Qは、斜面部5の下端Pよりも上方にある。そのため、プレート1,11が近づくと、後壁4Bの下端Qは、他のプレート11の斜面部15と斜面の半ばで接触することになる(
図7(B)~(D)参照)。したがって、係合凹部4が他のプレート11の斜面部15を登り切るまでの時間又は係合までの時間が短くて済み、プレート1と他のプレート11を容易かつ簡便に連結できる。
【0037】
図1に示すように、係合凹部4は、辺Mのほぼ全幅に沿って形成され、略同じ高さを有する。したがって、プレート1,11間の連結が辺L,Mにわたって幅広く行われて、係合片3及び係合凹部4の間に生じる押圧力又は引張力が幅方向に分散される。したがって、部材の厚みを薄くすることができ、製造コストの低減に資する。
【0038】
更に、係合凹部4は、板体2との間にリブ8を有していてもよく、これにより、係合凹部4は、他のプレート11との衝突による衝撃や他のプレート11からの引張力に対する耐久力をより向上することができる。
【0039】
図4に示すように、逃し部6は、連結時に斜面部5を逃したり収容したりする窪みであり、係合凹部4において斜面部5に対応する位置に配置されている。
図7に示すように、逃し部6は、連結時に斜面部5に対向するように、下方に開口している。逃し部6は、斜面部5を挿通することができる、前壁4Aに設けられた開口や切り欠き等であってもよい。なお、係合凹部4において前壁4Aと後壁4Bとの間隔を広げることで、斜面部5と前壁4Aが干渉しないように構成し、係合凹部4が逃し部6の機能を兼ねることも可能である。
【0040】
1-2. 植物栽培用プレート1の使用方法
上記構成を有するプレート1の使用方法を説明する。
【0041】
図6(A)及び
図7(A)に示すように、他のプレート11が水槽9の上方にローラーコンベヤ等を介して配設されている状態において、水槽9の上方にプレート1が配設される。プレート1が他のプレート11に向かってスライドすると、プレート1の斜面部5が、他のプレート11の係合凹部14(後壁14Bの下端)に接触する(
図6(B)及び
図7(B))。
【0042】
プレート1が更にスライドすると、プレート1の斜面部5が他のプレート11(係合凹部14の後壁14B)の下側に入り込む。あるいは、他のプレート11の係合凹部14(後壁14B)がプレート1の斜面部5を登っていくと言ってもよい(
図6(C)及び
図7(C))。
【0043】
他のプレート11の係合凹部14(後壁14B)がプレート1の斜面部5を登りきり(
図6(D)及び
図7(D))、更に進むと、他のプレート11は、重力により下方に下がり、他のプレート11の係合凹部14とプレート1の係合片3とが嵌り合う(
図6(E),(F))。
【0044】
ここで、他のプレート11の係合凹部14(後壁14Bの下端)がプレート1の斜面部5を登りきろうとするときにプレート1が勢いよくスライドすると、他のプレート11がプレート1を乗り超えようとするが、プレート11の係合凹部14(前壁14Aの下部)がプレート1の係合片3に接触して、乗り越えが防止される。また、プレート1の斜面部5は、他のプレート11の逃し部16に逃がされる(
図7(E),(F))。したがって、前後のプレート1,11が滑らかにかつ確実に連結される。
【0045】
なお、前後のプレート1,11の連結を解除するには、前側のプレートを持ち上げればよい。この作業は、収穫時に行われる。
【0046】
ところで、プレート1は、水槽9の上方への配設から収穫までの間、水槽9の上方をスライドする。プレート1のスライドは、水槽9の先端側にあるプレート1を水槽9の先端側に引っ張るか、水槽9の後端側にあるプレート1を水槽9の先端側に押すか、あるいはこれら両方を行うことで実施される。このとき、プレート1の係合片3及び係合凹部4には、相応の引張力又は押圧力が作用するが、係合片3及び係合凹部4は、それぞれに設けられたリブ7,8により高い強度を持つため、これらの力に耐えることができる。
【0047】
また、係合凹部4(逃し部6も)が下向きに開口しているため、植物の栽培の過程においてプレート1の連結箇所(つまり係合片3及び係合凹部4)にゴミが溜まりにくく、衛生的である。
【0048】
2.第2実施形態
図8及び
図9を参照して、第2実施形態に係る植物栽培用プレート101を、第1実施形態に係る植物栽培用プレートと異なる点を中心に説明する。以下、植物栽培用プレート101をプレート101と略記する。なお、
図9に関連して登場する他のプレートは、プレート101と同一の構造を有する同一の製品であるが、第1実施形態と同様に、説明の便宜上、別の符号111で表されている。
【0049】
図8(a),(b)に示すように、プレート101は、全体として板状をなす樹脂成形品であって、板体102、係合片103及び係合凹部104を含む。同様に、プレート111は、板体112、係合片113及び係合凹部114を含む。
【0050】
板体102は、例えば略矩形状の部材であって、いずれも図示しない、植物を保持するための孔(植物保持孔)及び通気孔を有する。板体102は、係合凹部104の高さ(上下方向の位置)を係合片103の下端部の高さよりも高くするための段差105を有してもよい。
【0051】
係合片103は、板体102の一方側(例えば前側)に設けられ、板体102から上方に突出する。
図9(D)に示すように、係合片103は、連結時に、他のプレート111の係合凹部114に嵌り込んで係合凹部114と係合する。
【0052】
係合片103は、板体102の外側(前方)に向かって板体102の上方から下方に傾斜する斜面を有する。
図9(C),(D)に示すように、係合片103は、他のプレート111の係合凹部114の縁に接触しながら前方にスライドすることで、他のプレート111を持ち上げ、その後に係合凹部114に嵌まり込む。つまり、係合片103は斜面部としての機能をも兼ね備えている。
【0053】
係合凹部104は、板体102の他方側(例えば後側)に設けられる開口であり、他のプレート111の係合片113を下方から受け入れる。上述した段差105があることで、係合凹部104は、係合片103の斜面の下端部よりも高い位置にある。これにより、係合凹部104が係合片103の斜面の途中から当該斜面を登ることになるから、係合までの時間が短くて済む。
【0054】
次いで、プレート101の使用手順を説明する。
図9(A)~(C)に示すように、プレート101が他のプレート111に向かってスライドすると、プレート101の係合片103が、他のプレート111の係合凹部114の縁に接触する。プレート101が更にスライドすると、プレート101の係合片103が他のプレート111の下側に入り込む。あるいは、他のプレート111の係合凹部114がプレート101の係合片103を登っていくと言ってもよい。
【0055】
図9(D)に示すように、他のプレート111の係合凹部114がプレート101の係合片103を登りきると、他のプレート111は、重力により下方に下がり、他のプレート111の係合凹部114とプレート101の係合片103とが嵌り合う。
【0056】
前後のプレート101,111の連結を解除するには、前側のプレートを持ち上げればよい。この作業は、収穫時に行われる。
【0057】
このように、プレート101では、係合凹部104が開口しているため、植物の栽培の過程においてプレート101の連結箇所(つまり係合片103及び係合凹部104)にゴミが溜まりにくく、衛生的である。
【0058】
以上、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明してきたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載の精神及び教示を逸脱しない範囲でその他の改良例や変形例が存在する。そして、かかる改良例や変形例は全て本発明の技術的範囲に含まれることは、当業者にとっては容易に理解されるところである。
【符号の説明】
【0059】
1,11,101,111 植物栽培用プレート
2,12,102,112 板体
3,13,103,113 係合片
4,14,104,114 係合凹部
5,15 斜面部
6,16 逃し部
7,8,17,18 リブ