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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】消費材
(51)【国際特許分類】
   A23L 27/00 20160101AFI20240419BHJP
   A23L 2/60 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
A23L27/00 E
A23L2/00 C
A23L2/60
【請求項の数】 20
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020096563
(22)【出願日】2020-06-03
(62)【分割の表示】P 2018089154の分割
【原出願日】2007-10-22
(65)【公開番号】P2020168005
(43)【公開日】2020-10-15
【審査請求日】2020-07-03
【審判番号】
【審判請求日】2022-08-10
(31)【優先権主張番号】60/853,813
(32)【優先日】2006-10-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】501105842
【氏名又は名称】ジボダン エス エー
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハンセン,チャド,アレン
(72)【発明者】
【氏名】スラック,ジェイ,パトリック
(72)【発明者】
【氏名】シモンズ,クリストファー,トッド
【合議体】
【審判長】植前 充司
【審判官】天野 宏樹
【審判官】淺野 美奈
(56)【参考文献】
【文献】特表平8-506733(JP,A)
【文献】特表平8-508638(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L27/00-27/40
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
甘味消費材であって、以下を含むもの:
a)スクロース、フルクトース、グルコース、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ、キシロース、アラビノース、ラムノース、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、またはサッカリンを含む、少なくとも0.0001%の少なくとも1つの甘味料、
ここで前記少なくとも1つの甘味料は、2%~15%スクロースと等甘味の濃度で存在し、
)甘味増強剤、
ここで甘味増強剤は、1.25%以下のスクロースと等甘味の濃度で存在し、シアメノシドIを含むラカンカ抽出物または分画ラカンカ抽出物を含む
【請求項2】
甘味増強剤がナリンジンジヒドロカルコンをさらに含む、請求項1に記載の甘味消費材。
【請求項3】
甘味増強剤がネオヘスペリジンジヒドロカルコンをさらに含む、請求項1に記載の甘味消費材。
【請求項4】
甘味増強剤がナリンジンジヒドロカルコンおよびネオヘスペリジンジヒドロカルコンをさらに含む、請求項1に記載の甘味消費材。
【請求項5】
甘味消費材が飲料を含む、請求項1に記載の甘味消費材。
【請求項6】
甘味消費材が炭酸飲料を含む、請求項5に記載の甘味消費材。
【請求項7】
甘味消費材が飲料を含む、請求項2に記載の甘味消費材。
【請求項8】
甘味消費材が炭酸飲料を含む、請求項7に記載の甘味消費材。
【請求項9】
甘味消費材が飲料を含む、請求項3に記載の甘味消費材。
【請求項10】
甘味消費材が炭酸飲料を含む、請求項9に記載の甘味消費材。
【請求項11】
消費材を甘味付けする方法であって、
a)スクロース、フルクトース、グルコース、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ、キシロース、アラビノース、ラムノース、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、またはサッカリンを含む、少なくとも0.0001%の少なくとも1つの甘味料、
ここで前記少なくとも1つの甘味料は、2%~15%スクロースと等甘味の濃度で存在し、
)甘味増強剤、
ここで甘味増強剤は、1.25%以下のスクロースと等甘味の濃度で存在し、シアメノシドIを含むラカンカ抽出物または分画ラカンカ抽出物を含む
を消費材に混合することを利用する、前記方法。
【請求項12】
甘味増強剤がナリンジンジヒドロカルコンをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
甘味増強剤がネオヘスペリジンジヒドロカルコンをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
甘味増強剤がナリンジンジヒドロカルコンおよびネオヘスペリジンジヒドロカルコンをさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
甘味消費材が飲料を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項16】
甘味消費材が炭酸飲料を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
甘味消費材が飲料を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項18】
甘味消費材が炭酸飲料を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
甘味消費材が飲料を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
甘味消費材が炭酸飲料を含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
ある種の甘味料および少なくとも1種の甘味増強剤をその甘味検出閾値に近い濃度において含有する、甘味消費材、ならびに該甘味消費材を形成する方法が開示される。
【背景技術】
【0002】
背景
本明細書において用いられる甘味増強剤は天然および人工の甘味料として知られているが、これらは本明細書においては、その甘味検出閾値に近い非常に低い濃度において用いられる。
これらの甘味増強剤は、ナリンジンジヒドロカルコン(NarDHC)、モグロシドV、またはモグロシドVを含有するラカンカ抽出物、ルブソシド、またはルブソシドを含有するルブス(rubus)抽出物、ステビオシド、およびレバウディオシドAを含む。
【0003】
ナリンジンジヒドロカルコンは、甘味料としてその甘味検出レベルよりかなり高い濃度で用いられている。これはまた、ステビオシドと組み合わせて、ステビオシドのオフノート(off note)を低下させるためにも用いられている(JP10276712)。
ラカンカ(羅漢果:Swingle)(Lou Han Gou(LHG)としても知られている)は、種々の天然由来のテルペン配糖体類、特にモグロシドIV、モグロシドV、シアメノシド(siamenoside)I、および11-オキソモグロシドVを含む種々のモグロシド類を含有する。弱い甘味、または不快な後味をもたらすラカンカ/LHG液ベースの甘味系は、US 5,433,965およびFischer et al.によるWO 94/18855に開示されている。
【0004】
ルブス(キイチゴ属:rubus)抽出物はルブソシドを含有し、甘味料としてその甘味検出レベルよりかなり高い濃度で、砂糖と組み合わせて用いられている。モグロシドを含む種々のテルペン配糖体およびルブソシドを0.1~10重量%(1,000ppm~100,000ppm)含む甘味料組成物が、US20020132037に開示されている。
甘いテルペン配糖体であるステビオシドおよびレバウディオシドAは、スクロースを含む砂糖との混合物において、甘味検出閾値より高い濃度で用いられている(Schiffman et al., Chem. Senses 2000, 131-140, Schiffman et al., Brain Res. Bull.,1995, 105-120, Schiffman et al., Food Qual. And Pref. 2006(インターネットの掲載前原稿))。
【0005】
出願人は、ある種の周知の甘味料、すなわちモグロシドV/ラカンカ抽出物、ルブソシド/ルブス抽出物、およびナリンジンジヒドロカルコン(NarDHC)は甘味増強剤であり、これらはその甘味検出閾値に近い低い濃度において、一定の人工甘味料を含む一定の甘味料と組み合わせて用いて、該甘味料の甘味を増強できることを見出した。ここで一定の甘味料は、特に以下を含む:糖類であるスクロース、フルクトース、グルコース、高フルクトースコーンシロップ(フルクトースおよびグルコースを含有)、キシロース、アラビノース、およびラムノース、糖アルコール類であるエリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、およびイノシトール、ならびに人工甘味料であるAceK、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、およびサッカリン。
これらの甘味増強剤のいずれも、従来は、その甘味検出閾値に近い濃度において、それのみでまたは組み合わせて、上記甘味料の甘味を増強するために、用いられたことはない。
【発明の概要】
【0006】
第1の側面において、甘味消費材であって、以下を含むもの:
a)少なくとも0.0001%の、少なくとも1つの甘味料、
ここで該甘味料は、スクロース、フルクトース、グルコース、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ、キシロース、アラビノース、ラムノース、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、サッカリン、またはこれらの組合せを含み、
ここで前記少なくとも1つの甘味料または甘味料の組合せは、甘味検出閾値より高い濃度において、少なくとも2%スクロースと等甘味の濃度で存在し、
b)ナリンジンジヒドロカルコン、モグロシドV、ラカンカ抽出物、ルブソシド、ルブス抽出物、ステビオシド、およびレバウディオシドAからなる群から選択される、少なくとも1種の甘味増強剤、
ここで各甘味増強剤は、その甘味検出閾値に近い濃度で存在し、ここでナリンジンジヒドロカルコンについてはこの濃度は2~60ppmであり、ルブソシドについては1.4~56ppmであり、ルブス抽出物については2~80ppmであり、モグロシドVについては0.4~12.5ppmであり、ラカンカ抽出物については2~60ppmであり、ステビオシドについては2~60ppmであり、およびレバウディオシドAについては1~30ppmである、
が提供される。
【0007】
他の側面において、ナリンジンジヒドロカルコンを甘味増強剤として含む、本明細書に記載の甘味消費材が提供される。
他の側面において、ルブソシドまたはルブス抽出物を甘味増強剤として含む、本明細書に記載の甘味消費材が提供される。
他の側面において、モグロシドVまたはラカンカ抽出物を甘味増強剤として含む、本明細書に記載の甘味消費材が提供される。
【0008】
他の側面において、レバウディオシドAを甘味増強剤として含む、本明細書に記載の甘味消費材が提供される。
他の側面において、ステビオシドを甘味増強剤として含む、本明細書に記載の甘味消費材が提供される。
他の側面において、2種類の甘味増強剤を含む、本明細書に記載の甘味消費材が提供される。
【0009】
他の側面において、モグロシドV、ラカンカ抽出物、ルブソシド、ルブス抽出物、レバウディオシドAおよびステビオシドからなる群から選択される第2甘味増強剤を含む、本明細書に記載の甘味消費材が提供される。
他の側面において、3種類の甘味増強剤を含む、本明細書に記載の甘味消費材が提供される。
【0010】
他の側面において、NDHCを1~5ppmの濃度でさらに含む、本明細書に記載の甘味消費材が提供される。
他の側面において、飲料である、本明細書に記載の甘味消費材が提供される。
他の側面において、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンを1~2ppmの濃度でさらに含む、本明細書に記載の飲料が提供される。
【0011】
他の側面において、消費材を甘味付けする方法であって、
a)少なくとも0.0001%の、少なくとも1つの甘味料、
ここで該甘味料は、スクロース、フルクトース、グルコース、高フルクトースコーンシロップ、コーンシロップ、キシロース、アラビノース、ラムノース、エリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトール、イノシトール、アセスルファムカリウム、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロース、サッカリン、またはこれらの組合せを含む、
b)ナリンジンジヒドロカルコン、モグロシドV、ラカンカ抽出物、ルブソシド、ルブス抽出物、レバウディオシドAおよびステビオシドからなる群から選択される、少なくとも1種の甘味増強剤、
ここで各甘味増強剤は、その甘味検出閾値に近い濃度で存在し、ここでナリンジンジヒドロカルコンについてはこの濃度は2~60ppmであり、ルブソシドについては1.4~56ppmであり、ルブス抽出物については2~80ppmであり、モグロシドVについては0.4~12.5ppmであり、ラカンカ抽出物については2~60ppmであり、ステビオシドについては2~60ppmであり、およびレバウディオシドAについては1~30ppmである、
を消費材に混合することを利用する、前記方法が提供される。
【0012】
詳細な説明
本出願人は、甘味増強剤およびこれらの組合せについての甘味検出閾値を決定した。
甘味検出閾値は個々人によりある程度異なる。例えば、ある個人はスクロースの甘味を0.4%という非常に低い濃度で検出することができ、他の人は少なくとも0.7%またはこれ以上が必要である。全ての例は、スクロースを少なくとも0.5%またはこれ以下で検出できる、甘味に対して感受性の高いパネリストにより実施された。したがって平均的な消費者により検出可能な濃度はさらに高いであろう。
【0013】
本明細書中において、甘味増強剤の甘味検出閾値とは、甘味感受性のパネリストにより検出された、1.25%スクロース以下の、例えば1%スクロースまで、0.8%まで、0.75%まで、0.7%スクロースまで、または0.5%スクロースまでの、スクロースと等甘味度の濃度として定義されている。
【0014】
甘味増強剤の甘味検出閾値に近い有用な濃度範囲の例を、以下に示す:
2~60ppmのNarDHC。
1.4~42ppmのルブソシド、または2~60ppmのルブス抽出物。
0.4~12.5ppmのモグロシドV、または2~60ppmのラカンカ抽出物。
2~60ppmのステビオシド。
1~30ppmのレバウディオシドA。
【0015】
ルブス抽出物についてのさらなる有用な濃度は、例えば2ppm~80ppmまでであってよい。ルブソシドについてのさらなる有用な濃度は、例えば2ppm~56ppmまでであってよい。
これらの甘味増強剤の相互の組合せ、また随意の成分との組合せは、本明細書に記載のように、甘味料に対して特に高い甘味増強効果を有することが見出された。
【0016】
例えば、以下の混合物は特に有用であることが見出された:
NarDHC(10~60ppm)+抽出物ラカンカ(10~60ppm)。
NarDHC(45ppm)+ラカンカ抽出物(45ppm)。
NarDHC(45ppm)+ラカンカ抽出物(60ppm)。
NarDHC(60ppm)+ラカンカ抽出物(45ppm)。
NarDHC(60ppm)+ラカンカ抽出物(60ppm)。
ラカンカ抽出物の代わりに、NarDHCをモグロシドV、ルブソシド、レバウディオシドA、またはステビオシドと、これらの甘味検出閾値に近い濃度において組み合わせてもよい。
【0017】
上記の混合物は、随意の成分、例えばネオヘスペリジンジヒドロカルコン(NDHC)の添加によりさらに増強することができる。以下の混合物は特に有用であることが見出された:
NarDHC(10~60ppm)+抽出物ラカンカ(10~60ppm)+NDHC(1~2ppm)。
NarDHC(60ppm)+ラカンカ抽出物(60ppm)+NDHC(2ppm)。
NarDHC(60ppm)+ラカンカ抽出物(45ppm)+NDHC(2ppm)。
NarDHC(45ppm)+ラカンカ抽出物(45ppm)+NDHC(1.5ppm)。
NarDHC(30ppm)+ラカンカ抽出物(30ppm)+NDHC(1ppm)。
【0018】
ラカンカ抽出物の代わりに、モグロシドV、ルブソシド、ルブス抽出物、レバウディオシドA、またはステビオシドを、上記のNDHCを含有する混合物において用いてもよい。
甘味増強剤の、スクロース溶液について決定された等甘味度を以下に示す:
60ppmルブス抽出物と42ppmルブソシドは、1%スクロースの甘味度より弱い。
60ppmラカンカ抽出物と12.48ppmモグロシドVは、0.75%スクロースと等甘味である。
45ppmNarDHCは、0.5%スクロースと等甘味である。
60ppmNarDHCは、1.25%スクロースと等甘味である。
20ppmレバウディオシドAは、0.75%スクロースと等甘味である。
30ppmステビオシドは、0.5%スクロースと等甘味である。
40ppmステビオシドは、0.75%スクロースと等甘味である。
【0019】
甘味料は、限定することなく、糖類のスクロース、フルクトース、グルコース、高フルクトースコーンシロップ(フルクトースおよびグルコースを含有する)、キシロース、アラビノースおよびラムノース、糖アルコールのエリスリトール、キシリトール、マンニトール、ソルビトールおよびイノシトール、および人工甘味料のAceK、アスパルテーム、ネオテーム、スクラロースおよびサッカリン、ならびにこれら甘味料の組合わせを含む。
テーブルシュガーまたはサッカロースとしても知られているスクロースは、グルコースとフルクトースの二糖類である。その組織名はα-D-グルコピラノシル-(1→2)-β-D-フルクトフラノースである。フルクトースおよびグルコースは単糖類である。
【0020】
高フルクトースコーンシロップ(HFCS)はグルコースおよびフルクトースの混合物からなる。通常のコーンシロップのように、この高果糖品はコーンスターチから酵素を用いて製造する。コーンシロップ(グルコース)のフルクトース含有量は酵素処理により増大する。一般的な業務用の高フルクトースコーンシロップは、42%、55%、または90%のフルクトース含量を含む。55%の等級がソフトドリンク類において最も一般的に利用されている。
【0021】
エリスリトール(組織名:1,2,3,4-ブタンテトロール)は天然のノンカロリー糖アルコールである。
AceK、アスパルテーム、ネオテームおよびスクラロースは、人工甘味料である。
アセスルファムカリウム(AceK)は、6-メチル-1,2,3-オキサチアジン-4(3H)-オン2,2-ジオキシドのカリウム塩で、N-スルホニルアミドである。これはまたアセスルファムKまたはAceKとして、またはSunett(登録商標)およびSweet One(登録商標)を含む様々な商標名で知られている。欧州連合においては、E番号(添加物コード)E950で知られている。
【0022】
アスパルテームは、ジペプチドのアスパルチル-フェニルアラニン-1-メチルエステルに対する名称である。Equal(登録商標)およびCanderel(登録商標)を含む様々な商標名で知られている。欧州連合においてはE番号(添加物コード)E951でも知られている。
スクラロースは、クロロデオキシ糖である6-ジクロロ-1,6-ジデオキシ-β-D-フルクト-フラノシル4-クロロ-4-デオキシ-α-D-ガラクトピラノシドに対する名称である。商品名Splenda(登録商標)としても知られている。欧州連合においては、E番号(添加物コード)E955でも知られている。
【0023】
天然甘味料は精製または部分精製形態で用いてよく、化学合成されてもよく、醗酵などの生物工学的処理により製造されてもよく、または天然給源、特に植物給源(限定することなく、果物、サトウキビ、甜菜を含む)、例えば、限定することなく、コーンシロップ、高フルクトースコーンシロップ、ハチミツ、糖蜜、メープルシロップ、果実濃縮物、ならびに他のシロップおよび抽出物を含む植物抽出物またはシロップなどから単離されてもよい。
甘味増強剤およびこれらのいくつかの別名および植物給源を以下に挙げる。
【0024】
ナリンジンジヒドロカルコン(NarDHC)は、-[4-[[2-O-(6-デオキシ-L-マンノピラノシル)-D-グルコピラノシル]オキシ]-2,6-ジヒドロキシフェニル]-3-(4-ヒドロキシフェニル)-1-プロパノンとしても知られている。この化学構造を以下に記す。
【化1】
【0025】
ルブス抽出物は、植物Rubus suavissimusの抽出物であり、ルブソシドを含有する。ルブソシドは抽出物から精製でき、精製された形態で用いてよく、または抽出物を用いてもよい。Rubus suavissimus抽出物の代わりに、十分な量のルブソシドを含有する他の植物抽出物を用いてもよい。ルブソシドの化学構造を以下に記す。
【化2】
【0026】
ラカンカ抽出物は、ラカンカ、Lo Han、Lo Han GuoまたはLo Han Gouとしても知られている。ラカンカ抽出物はモグロシドを含有し、植物であるSiraitia grosvenoriiから抽出することができる。Siraitia grosvenorii(別名:Momordica grosvenorii、Thladiantha grosvenorii)は、阿羅漢フルーツ(arhat fruit)または長寿フルーツ(longevity fruits)とも呼ばれ、または簡体字中国語で
【数1】
またはluo han kuoである。この植物はモグロシドを含み、これは新鮮な果実の果肉の約1%を占めるトリテルペン配糖体の1群である。抽出により、80%のモグロシドを含有する粉末形態の抽出物を得ることができる。
【0027】
モグロシド抽出物は、モグロシドV(主要活性物質)、モグロシドIIa、モグロシドIIb、モグロシドIII、モグロシドIV、11-オキソモグロシドV、およびシアメノシドIを含む。
モグロシドVの構造を下に示す:
【化3】
【0028】
ラカンカ抽出物の代わりに、十分な量のモグロシドVを含む他の植物抽出物を用いてもよい。
ステビオシドは、ステビアとしても知られているテルペノイド配糖体であり、植物のStevia rebaudianaの抽出物中に見出される。
【0029】
レバウディオシドAは、Stevia rebaudiana抽出物中に見出されるテルペノイド配糖体である。この化学構造を下に示す。
【化4】
【0030】
甘味増強剤は、精製または単離形態あるいは甘味増強活性物質を含有する植物抽出物の形態で利用することができる。
甘味増強剤は単一の甘味増強成分として、0.0001%~15%(重量/重量)またはそれ以上の少なくとも1種の甘味料を含有する配合物において、下記に示される濃度で利用可能である。甘味料の有用な濃度は、少なくとも2%、例えば2%~15%、または5%~12%などのスクロース溶液との等甘味度をそれ自体で提供する濃度である。
【0031】
例えば、スクロース、フルクトース、グルコース、高フルクトースコーンシロップ(HFCS)またはエリスリトールの有用な濃度は約5%~約12%であろう。
本明細書に定義された1種または2種以上の甘味増強剤は、随意の成分、特に、ネオヘスペリジンジヒドロカルコン(NDHC)およびステビオシドから選択される成分と混合してよい。NDHCの有用な濃度は、1~5ppmである。ステビオシドは、例えば10~100ppmの濃度で添加することができる。
【0032】
ネオヘスペリジンジヒドロカルコン(NDHC、E959)は、スクロースおよび/またはステビオシドの周知の甘味増強剤であるが、ただし、スクロースの甘味検出閾値におけるその効力については議論がある。例えば、Kroeze et al., Chem. Senses 2000, 25, 555-559には、NDHCが、スクロースの甘味をその甘味検出閾値において増強しないことが開示されている。
【0033】
ルブス抽出物、ルブソシド、ラカンカ抽出物、モグロシドV、レバウディオシドAまたはステビオシドをNDHCと混合した場合、増強効果は相加的以上になり(多くの甘味料に対して抑制効果が記載されている)、NDHCは甘味をさらに増強する。
甘味増強剤を消費材に加えて、かかる消費材に存在するか、またはこれに添加された、本明細書に記載の甘味料の甘味度を増強することができる。
【0034】
消費材は、限定することなく、シリアル製品、コメ製品、タピオカ製品、サゴ製品、パン屋製品、ビスケット製品、ペストリー製品、パン製品、菓子類製品、デザート製品、ガム、チューインガム、チョコレート、アイス、ハチミツ製品、糖蜜製品、酵母製品、ベーキングパウダー、塩および香辛料製品、風味製品、マスタード製品、酢製品、ソース(調味料)、刻みたばこ製品、葉巻、巻きたばこ、加工食品、調理済み果物および野菜製品、肉および肉製品、ゼリー、ジャム、果物ソース、卵製品、ミルクおよび乳製品、ヨーグルト、チーズ製品、バターおよびバター代用製品、ミルク代用製品、大豆製品、食用油および脂肪製品、薬剤、飲料、炭酸飲料、アルコール飲料、ビール、ソフトドリンク、ミネラルおよび発泡水、ならびに他のノンアルコール飲料、フルーツ飲料、フルーツジュース、コーヒー、再構成が必要な形態を含む人工コーヒー、茶、ココア、食物エキス、植物エキス、肉エキス、調味料、甘味料、栄養補助食品、ゼラチン、医薬および非医薬ガム、錠剤、トローチ剤、ドロップ、乳剤、エリキシル、シロップおよび飲料を作るための他の調製物、ならびにそれらの組合せを含む、全ての食品を含む。
【0035】
消費材は低いpHを提供するために酸を含有してもよい。例えば、多くの飲料は例えばpH2.6~3などの低いpHを有する。本明細書に記載された甘味増強剤もまた、低pH状態下で機能し、増強効果を示す。
十分な量の本明細書に記載された甘味料を利用して、どのように消費材を甘くするかは、当業者によく知られている。消費材に応じて、甘味料の量は、本明細書に記載された甘味増強剤を加えることで減少可能である。例えば、スクロースを甘味料とした場合、約1~4°Brixまたはそれ以上の減少が達成可能である。
【0036】
消費材は、本明細書に記載されているように、いかなる量の甘味料を含有してよい。有用な範囲は、例えば、少なくとも2%、例えば約2%~15%、または約5%~12%の、スクロース、フルクトース、グルコース、高フルクトースコーンシロップ、またはエリスリトールから選択される1または2以上などである。
人工甘味料の有用な範囲は、約2~15%スクロースと等甘味度の濃度である。
異なる甘味料を、スクロースとの等甘味度の少なくとも2%に相当する濃度で、組み合わせて利用してよい。
例えば、炭酸飲料は通常約10%~12%の高フルクトースコーンシロップおよび/またはスクロースを含有する。
【0037】

官能評価において用いられる甘味強度は以下である:
わずかに検出可能な甘味は、0.5%スクロース溶液の甘味である。
弱い甘味は、1%スクロース溶液の甘味である。
マイルドな甘味は、2%スクロース溶液の甘味である。
強い甘味は、7%スクロース溶液の甘味である。
比較評価において、以下の記述子を昇順で用いる:
「かろうじて知覚可能な遅れて発現する甘味」、「かろうじて知覚可能な甘味」、「非常に弱い甘味」、「スクロース対照より少し甘い」、「スクロース対照より明らかに甘い」、「スクロース対照よりずっと甘い」、「スクロース対照より大幅に甘い」。
【0038】
全ての例において、次の抽出物/化合物を、他の記載がある場合を除き、指示された濃度および量で用いた。全ての%で表示した濃度は、他の記載がある場合を除き、%(重量/重量)である。
ルブス抽出物またはルブソシド抽出物とも呼ばれるRubus suavissimus抽出物は、70重量%のルブソシドを含有し、Corona Science and Technology Corporation, Fu Zhou Province, Chinaより商業的に入手可能である。60ppmの70%ルブソシドは、42ppmのルブソシドに等しい。
【0039】
Lou Han Gou抽出物としても知られているラカンカ抽出物は、80重量%のモグロシド類であって、天然に存在するテルペン配糖体モグロシドIV、モグロシドVおよび11-オキソ-モグロシドVを含有する前記モグロシド類、およびまたテルペン配糖体シアメノシドIを最終スプレー乾燥抽出物中に32.6重量%に等しい量で含む。抽出物中の主要なモグロシド活性物であるモグロシドVの濃度は20.8%である。11-オキソ-モグロシドV、モグロシドIV、およびシアメノシドIはおよその量が定量されており、これらを一緒にして12%以下である。
【0040】
したがって、ラカンカ抽出物の60ppm(0.0060%重量/重量)溶液は、12.48ppm(0.001248%重量/重量)のモグロシドVを含み、45ppmのラカンカ抽出物は9.36ppmのモグロシドVを、20ppmのものは4.16ppmのモグロシドVを含む。ラカンカ抽出物は、Corona Science and Technology Corporation, Fu Zhou Province, Chinaより商業的に入手可能である。
用いる化合物の純度については、ナリンジンジヒドロカルコンは>99%の濃度を有し、ネオヘスペリジンジヒドロカルコンは>98%の濃度を有し、レバウディオシドAは>99%の濃度を有し、およびステビオシドは>95%の濃度を有した。
【0041】
以下に、例の概要を示す。
例1~4は一般の方法を記載する。
例5A~5Cは、NarDHC(ナリンジンジヒドロカルコン)に関する。
例6A~6Eは、ルブス抽出物に関する。
例7A~7Fは、ラカンカ抽出物に関する。
例8A~8Eは、レバウディオシドAに関する。
例9A~9Dは、ステビオシドに関する。
例10A~Cおよび11A~Hは、甘味増強剤の混合物に関する。
例10A~Cは、2種の甘味増強剤の混合物に関する。
例11A~Hは、2種の甘味増強剤にNDHCを加えた混合物に関する。
例12A~12Iは、全甘味増強剤の対照例に関する。
【0042】
例1
2%または7%スクロース中の甘味増強剤の比較官能評価
試験サンプルは、0%スクロース(水)、2%スクロース、または7%スクロース中に潜在的な甘味増強剤を含有し、対照サンプルは、添加剤なしの0%、2%および7%スクロースである。官能評価は次のようにして行った。全てのサンプルを、常温で15mlのアリコートで、異なる甘味感受性の5~9人の甘味感受性対象者からなるパネルに提供した。各サンプルを味見した後、次のサンプルを味見する前に、口内を常温の水で完全に洗浄した。スクロース陽性対照(2%または7%)を初めに提供し、これらを、全ての甘味増強剤/スクロースの組合せを直接比較するための甘味参照として用いた。
【0043】
第1の味見の順序は、最初にスクロース対照の味見、水で洗浄、甘味増強剤/スクロースサンプルの味見、水で洗浄、続いてスクロース対照を再度味見することを含む。この順序が完了した後、各パネリストはより甘いサンプルを選び、各サンプルの甘さを互いに比較して評価した。
【0044】
第2の味見の順序では、この同じ手順を、水の陰性対照vs甘味増強剤/水サンプルについて行い、甘味増強剤それ自体による甘味を、各試験濃度において決定した。パネリストは、水中の甘味増強剤の甘味を各濃度について評価した。この評価において、パネリストは、知覚した甘味増強剤の任意の甘味を2%または7%スクロース対照と比較して、甘味の相対的強度を決定することが許された。マイルドな甘味は2%スクロースの味に対応し、強い甘味は7%スクロースの味に対応する。
【0045】
スクロース対照の甘味の程度を下回るか上回る場合に用いるさらなる記述子は、昇順に以下の通りである:「かろうじて知覚可能な遅れて発現する甘味」、「かろうじて知覚可能な甘味」、「非常に弱い甘味」(2%スクロース未満のサンプルについて)、および「スクロース対照より少し甘い」、「スクロース対照より明らかに甘い」、「スクロース対照よりずっと甘い」、「スクロース対照より大幅に甘い」(スクロース対照を超えるサンプルについて)。
スクロースの代わりに他の甘味料を用いて評価を実施することもでき、例えば高フルクトース(55%)コーンシロップ(HFCS、55%フルクトースおよび45%グルコース含有)、エリスリトール、スクラロース、アスパルテーム、またはアセスルファムカリウム(AceK)である。
【0046】
例2
水、2%スクロースおよび7%スクロース中の甘味増強剤の強制選択試験
全ての甘味増強剤サンプルを、0%スクロース(水)、2%スクロースおよびは7%スクロース中、同じ濃度で評価し、この濃度は、各甘味増強剤の閾値に近い濃度を選択した。
【0047】
試験サンプルは、10人の甘味感受性パネリストの官能パネルにより評価した。サンプルを各パネリストに対して3回の反復で提供し、各パネルについてn=30の評価を得た。官能評価は、強制選択法により実施した。サンプルはブラインド化して、パネリストにより識別不能な状態で提供した。異なるスクロース濃度において3回のランを実施した(0%スクロース(水/陰性対照)、2%スクロース、7%スクロース)。各ランにおいてパネリストは、甘味増強剤サンプルを、同じスクロース濃度で甘味増強剤なしの対応するサンプルと比較した。パネリストはより甘いサンプルを選ぶように指示された。データは、ベータ二項分析を用いて解析した。さらに、パネリストに対し、提供された各サンプルの甘みを、汎用ラベル付き等級尺度(generalized labeled magnitude scale)(0=甘みなし、10=全種類での最大可能知覚)を用いて評点付けするよう求めた。評点データは、対応のあるt検定を用いて比較した。
【0048】
代替的に、0%(水)、0.5%および/または1%および/または1.5%のスクロースを、サンプル/対応する対照に対して用い、これに従って評価した。
さらなる対照として、水中の甘味増強剤を、0.5%および/または1%および/または1.5%のスクロースと比較した。この結果から、比較した甘味増強剤化合物それ自体の甘味強度を、スクロースの増強による甘みなしで決定した。
【0049】
例3
スクロース溶液に対する甘味増強剤の甘味等強度を決定するランキング試験
比較ランキングのために、0.5%、1%、1.5%、7%、8%、9%、10%および11%スクロース溶液を調製した。
【0050】
3a)スクロース溶液中の甘味増強剤の甘味等強度
官能評価はランキング法を用いて実施した。常温のサンプルを、15mlの目隠ししたアリコート(パネリストにより識別不可能)で無作為に提供した。パネルは10名の甘味感受性対象者によって構成され、サンプルは2セッションにわたり4反復で提供した。それぞれのサンプルを味見した後、次のサンプルを味見する前に、口内を常温の水で完全に洗浄した。パネリストに対し、7%、8%、9%、10%、11%のスクロースサンプル、および6番目のサンプルとして、7%スクロースに、その甘味検出閾値に近い濃度の甘味増強剤を加えたものを提供した。パネリストに対し、サンプルを、感知した甘味に関して低い方から高い方へランク付けするよう求めた。7%スクロースと甘味増強剤対7%、8%、9%、10%または11%スクロースについてR指数を計算した。
【0051】
3b)水中の甘味増強剤の閾値付近甘味等強度
官能評価はランキング法を用いて行った。常温のサンプルを、15mlの盲検化したアリコート(パネリストにより識別不可能)で無作為に提供した。パネルは10名の甘味感受性対象者によって構成され、サンプルは2セッションにわたり4反復で提供した。それぞれのサンプルを味見した後、次のサンプルを味見する前に、口内を常温の水で完全に洗浄した。パネリストに対し、0.5%および1%スクロース、または1%および1.5%スクロース、および3番目のサンプルとして水に、その甘味検出閾値に近い濃度の甘味増強剤を加えたものを提供した。パネリストに対し、サンプルを、感知した甘味に関して低い方から高い方へランク付けするよう求めた。水中の甘味増強剤対0.5%および1%スクロースまたは1%および1.5%スクロースについて、R指数を計算した。
【0052】
高臨界値より高いR指数は、甘味増強剤サンプルがスクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。50%~臨界値までのR指数は、甘味増強剤サンプルが比較したスクロースサンプルと同等の甘みを有することを意味する。低臨界値より低いR指数は、スクロースサンプルの方が甘味増強剤サンプルより甘いことを意味する。
【0053】
例4
水中および7%スクロース中の甘味増強剤とそれらの混合物の一対比較
甘味増強剤のサンプルを水または7%スクロース中に調製した。1つのサンプル中、1、2または3種の甘味増強剤を用いた。全てのサンプルは、常温でパネリストに提示した。官能評価を一対比較法を用いて行った。水中のサンプルは、水中の他のサンプルとのみ比較し、7%スクロース中のサンプルについても同様にした。サンプルは無作為に対とし、パネリストに対して識別不可能な2個の対(左および右)として無作為な順序で提示した。左側のサンプルを初めに味見し、続いて口を水でゆすいで、次に右側のサンプルを味見した。この順序を完了した後、各パネリストはこのサンプル対を甘味についてランク付けし、次にサンプルを以下の記述子(昇順)を用いて互いに評価した:
「顕著により甘くない」、「より甘くない」、「明らかにより甘くない」、「等甘味」、「少しより甘い」、「明らかにより甘い」、「より甘い」。
【0054】
例5A~5C.ナリンジンジヒドロカルコン(NarDHC)
例5A
2%スクロース中のNarDHCの比較官能評価
NarDHC(20、60および100ppm)を、例1の記載のようにして、2%スクロース中の甘味増強剤として評価した。結果を次の表に示す。
【表1】
【0055】
2%スクロース中の100ppmNarDHCは、パネリストにより、スクロース対照よりも大幅に甘いと知覚された。水中の100ppmNarDHCについては、2%スクロース対照を少し下回る、マイルドな甘味が知覚された。
2%スクロース中の60ppmNarDHCは、パネリストにより、スクロース対照よりずっと甘いと知覚された。水中の60ppmNarDHCは、水中の2%スクロースのみをはるかに下回る、非常に弱い遅れて発現する甘味を有した。
【0056】
2%スクロース中の20ppmNarDHCは、スクロース対照より明らかに甘いと知覚された。水中の20ppmNarDHCはかろうじて甘いと知覚され、これは口の中に数秒間保った後にのみ知覚される、遅れて発現する甘味であった。
上記の結果は、2%スクロースの甘味強度のNarDHCによる増強が、これを甘味検出レベル(20ppm、および60ppm)か、それを下回る濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のNarDHCサンプルは、検出された増強効果が、これらの濃度におけるNarDHCそれ自体の甘味によるものではないことを例証する。
【0057】
100ppmのNarDHCについては、2%スクロースはスクロース対照よりも大幅に甘いと知覚されたが、水中のNarDHCはすでにマイルドな甘味であると味見されていた。これは、知覚された甘味の度合いにおいてスクロース対照未満であったが、本試験では、100ppmの濃度において、相加効果を超える効果は見出されなかった。
【0058】
例5B
7%スクロース中の45ppmNarDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース中の45ppmNarDHCサンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対するその等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表2】
【0059】
臨界値(64.61%)より高い89%のR指数は、NarDHCサンプルが、7%のスクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。53%のR指数(すなわち、臨界値未満)は期待値と同等であり、NarDHCサンプルが8%スクロースと等甘味であることを意味する。0.6%~12%のR指数は臨界値(35.39%)より低く、NarDHCサンプルが9%、10%および11%スクロースよりも甘くないことを意味する。
したがって、7%スクロース中の45ppmNarDHCは、1°Brixのスクロース甘味強度を加えて、甘味を、8%スクロース溶液と同等なものに増強する。
【0060】
対照サンプル12Aにおいて決定された、0.5%スクロースと等甘味度というNarDHCの甘味に基づき、7%スクロース中の45ppmNarDHCは、その効果が相加的のみであったとすると、7.5%スクロースと同等と知覚されることが予想される。しかし、本例において示されるように、7%スクロースと45ppmNarDHCの組合せは、8%スクロースに等しい強度の甘味を有し、これは予想より大きいものであった。
【0061】
例5C
7%スクロース中の60ppmNarDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース中の60ppmNarDHCサンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対するその等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表3】
【0062】
臨界値(64.61%)より高い78~89%のR指数は、NarDHCサンプルが、7%または8%のスクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。36%のR指数は臨界値(35.39%)と等しく、これは、NarDHCサンプルが9%スクロースと等甘味であることを意味する。1%~8%のR指数は臨界値(35.39%)より低く、NarDHCサンプルが10%または11%スクロースより甘くないことを意味する。
【0063】
したがって、7%スクロース中の60ppmNarDHCは、2°Brixのスクロース甘味強度を加えて、甘味を、9%スクロース溶液と同等なものに増強する。
この結果に基づき、この効果が相加的のみであったとすると、例12Aにしたがって、7%スクロース+60ppmNarDHCは、8%より強く8.5%より弱い、補間して8.25%スクロースの甘味と同等であることが予想される。しかし上に示されるように、60ppmNarDHCと7%スクロースの組合せは9%スクロースと等甘味であり、これは明らかに予想された効果より大きいものであった。
【0064】
例6A~6E.ルブス抽出物
例6A
2%スクロース中のルブス抽出物の比較官能評価
70重量%ルブソシドを含有するルブス抽出物(20ppmおよび60ppm)を、例1の記載のようにして、2%スクロース中の甘味増強剤として評価した。結果を次の表に示す。
【表4】
【0065】
2%スクロース中の60ppmルブス抽出物は、パネリストにより、スクロース対照よりもずっと甘いと知覚された。水中の60ppmルブス抽出物は、かろうじて甘いと知覚された。
2%スクロース中の20ppmルブス抽出物は、スクロース対照より明らかに甘いと知覚された。水中の20ppルブス抽出物は、甘いと知覚されなかった。
【0066】
上記の結果は、2%スクロースの甘味強度のルブス抽出物による増強が、これを甘味検出レベル(20ppmおよび60ppm)か、それを下回る濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のルブス抽出物サンプルは、検出された増強効果が、ルブス抽出物それ自体の甘味によるものではないことを例証する。さらに、対照サンプル12Bの結果は、60ppmルブス抽出物の甘味が、1%スクロースのそれより有意に弱いことを示す。
【0067】
例6B
7%スクロース中のルブス抽出物の比較官能評価
70重量%ルブソシドを含有するルブス抽出物(20ppmおよび60ppm)を、例1の記載のようにして、7%スクロース中の甘味増強剤として評価した。結果を次の表に示す。
【表5】
7%スクロース中の全濃度のルブス抽出物(20ppm、60ppm)に対し、パネリストにより、スクロース対照において決定された甘味強度を顕著に超える、甘味強度における有意な増加が決定された。
【0068】
上記の結果は、7%スクロースの甘味強度のルブス抽出物による増強が、これを甘味検出レベル(60ppm、20ppm)か、それを下回る濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のルブス抽出物サンプルは、検出された増強効果が、ルブス抽出物それ自体の甘味によるものではないことを例証する。さらに、対照サンプル12Bにおける結果は、60ppmルブス抽出物の甘味が、1%スクロースのそれより有意に弱いことを示す。
【0069】
例6C
7%スクロース中の60ppmルブス抽出物のランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロースサンプル中、70重量%ルブソシドを含有する60ppmのルブス抽出物を、濃度7~11%のスクロース溶液に対するその等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表6】
【0070】
高臨界値(67.45%)より高い92%および71%のR指数は、70%ルブス抽出物サンプルが、7%および8%スクロースにおけるスクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。50%から臨界値(67.45%)までのR指数は、70%ルブス抽出物サンプルが、比較したスクロースサンプルと同等の甘味を有することを意味する。28%のR指数は低臨界値(32.55%)より低く、これは、スクロースサンプルが70%ルブス抽出物サンプルより甘いことを意味する。
【0071】
データは、7%スクロースと60ppmルブス抽出物とで知覚された甘味が、8%スクロースの甘味より有意に強いが、しかし9%スクロースの甘味より弱いことを示す。
対照例12Bの結果は、60ppmルブス抽出物の甘味が、1%スクロースの甘味より有意に弱いことを示す。したがって、1°Brixスクロース甘味強度より大きく増強された甘味(7%スクロースとルブス抽出物は、8%スクロースより甘く感じられる)で示された効果は、明らかに、相加効果を超えていることを示す。
【0072】
例6D
HFCS中のルブス抽出物の比較官能評価
70重量%ルブソシドを含有するルブス抽出物(20ppmおよび60ppm)を、例1の記載のようにして、7%ブドウ糖果糖(55%)液糖(HFCS)中の甘味増強剤として評価した。HFCSはスクロースよりわずかに強い甘味を有する。結果を次の表に示す。
【表7】
【0073】
7%HFCS中の60ppmルブス抽出物は、パネリストにより、HFCS対照よりずっと甘いと知覚された。水中の60ppmルブス抽出物は、かろうじて甘いと知覚された。
7%HFCS中の20ppmルブス抽出物は、パネリストにより、HFCS対照より明らかに甘いと知覚された。水中の20ppmルブス抽出物は、甘いと知覚されなかった。
【0074】
上記の結果は、7%HFCS(55%)の甘味強度のルブス抽出物による増強が、これを甘味検出レベル(20ppmおよび60ppm)か、それを下回る濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した、水サンプル中のルブス抽出物は、検出された増強効果が、ルブス抽出物それ自体の甘味によるものではないことを例証する。さらに、60ppmルブス抽出物の甘味は、1%スクロースのそれより弱いことが示されている(対照サンプル12B)。
【0075】
例6E
エリスリトール中の70%ルブス抽出物の比較官能評価
70重量%ルブソシドを含有するルブス抽出物(20ppmおよび60ppm)を、例1の記載のようにして、7%エリスリトール中の甘味増強剤として評価した。エリスリトールはスクロースの約70%の甘味である(したがってより甘くない)。結果を次の表に示す。
【表8】
【0076】
7%エリスリトール中の60ppmルブス抽出物は、パネリストにより、エリスリトール対照よりずっと甘いと知覚された。水中の60ppmルブス抽出物は、かろうじて甘いと知覚された。
7%エリスリトール中の20ppmルブス抽出物は、パネリストにより、エリスリトール対照より明らかに甘いと知覚された。水中の20ppmルブス抽出物は、甘いと知覚されなかった。
【0077】
上記の結果は、7%エリスリトールの甘味強度のルブス抽出物による増強が、これを甘味検出レベル(60ppmおよび20ppm)か、それを下回る濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のルブス抽出物サンプルは、検出された増強効果が、ルブス抽出物それ自体の甘味によるものではないことを例証する。さらに、60ppmルブス抽出物の甘味は、1%スクロースのそれより弱いことが示されている(対照サンプル12B)。
【0078】
例7A~7F、ラカンカ抽出物
例7A
2%スクロース中のラカンカ抽出物(20、60および100ppm)の比較官能評価
ラカンカ抽出物(20ppm、60ppm、100ppm)を、例1の記載のようにして、2%スクロース中の甘味増強剤として評価した。結果を次の表に示す。
【表9】
【0079】
2%スクロース中の100ppmラカンカ抽出物は、パネリストにより、スクロース対照よりも大幅に甘いと知覚された。水中の100ppmラカンカ抽出物は、2%スクロース対照よりかなり下の非常に弱い甘味として知覚された。
2%スクロース中の60ppmラカンカ抽出物は、パネリストにより、スクロース対照より大幅に甘いと知覚された。水中の60ppmラカンカ抽出物は、かろうじて甘いと知覚された。
2%スクロース中の20ppmラカンカ抽出物は、パネリストにより、スクロース対照より明らかに甘いと知覚された。水中の20ppmラカンカ抽出物は甘いと知覚されなかった。
【0080】
上記の結果は、2%スクロースの甘味強度のラカンカ抽出物による増強が、これを甘味検出レベル(60ppm、20ppm、および100ppm)か、それを下回るか、またはそれより僅かに高い濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のラカンカ抽出物サンプルは、検出された増強効果が、ラカンカ抽出物それ自体の甘味によるものではないことを例証する。
【0081】
例7B
7%スクロース中の70%ラカンカ抽出物(20、60および100ppm)の比較官能評価
ラカンカ抽出物(20ppm、60ppm、100ppm)を、例1の記載のようにして、7%スクロース中の甘味増強剤として評価した。結果を次の表に示す。
【表10】
【0082】
7%スクロース中のラカンカ抽出物の全濃度(20、60、100ppm)について、パネリストにより、7%スクロース対照において決定された甘味強度を超える、甘味強度における増加が決定された。
上記の結果は、7%スクロースの甘味強度のラカンカ抽出物による増強が、これを甘味検出レベル(60ppm、20ppm、100pp)か、それを下回るか、またはそれより僅かに高い濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のラカンカ抽出物サンプルが例証するように、検出された増強効果は、70%ラカンカ抽出物それ自体の甘味によるものではない。
【0083】
ラカンカ抽出物のスクロースに対する増強効果の強さは、スクロース濃度に依存し、スクロース濃度が高まるにつれて強くなる傾向がある。7%スクロース中、甘味増強剤ありおよびなしのサンプル間の差を、直接、2%スクロース中、甘味増強剤ありおよびなしのサンプル間の差と比較した場合(例7A参照)、増強効果は、スクロース濃度が高まるにつれて、強くなるように見える。
【0084】
例7C
7%スクロース中の60ppmラカンカ抽出物のランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース中の60ppmのラカンカ抽出物サンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対するその等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表11】
【0085】
高臨界値(72.18%)より高い92%のR指数は、ラカンカサンプルが、7%スクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。50%から臨界値(67.45%)までのR指数は、ラカンカサンプルが、比較したスクロースサンプルと同等の甘味を有することを意味する。68%において、ラカンカサンプルは8%濃度のスクロースよりわずかに甘かった。
低臨界値(27.82%)より低い25%のR指数は、スクロースサンプルがラカンカサンプルより甘いことを意味する。
【0086】
データは、7%スクロースと60ppmラカンカとで知覚された甘味が、8%スクロースの甘味より有意に強いが、しかし9%スクロースの甘味より弱く、補間により8.5%とされたことを示す。
対照として、水中の60ppmラカンカは、0.5%スクロースより強いが1%スクロースより弱い甘味と等甘味であった(補間により0.75%、例12Cを比較のこと)。したがって、7%スクロース+60ppmラカンカ抽出物(1%スクロースより弱く、0.5%スクロースより強い甘味と同等;補間により0.75%スクロース)は、8%スクロースより弱い、または補間により7.75%スクロースより弱い甘味と等甘味であることが予想される。しかし、決定された等甘味度は8%スクロースより強く、補間により8.5%スクロースであり、これは明らかに予想された効果を上回った。
【0087】
例7D
HFCS中のラカンカ抽出物の比較官能評価
ラカンカ抽出物(20ppmおよび60ppm)を、例1の記載のようにして、7%高フルクトース(55%)コーンシロップ(HFCS)中の甘味増強剤として評価した。結果を次の表に示す。
【表12】
【0088】
7%HFCS(55%)中の60ppmラカンカ抽出物は、パネリストにより、HFCS対照よりずっと甘いと知覚された。水中の60ppmラカンカ抽出物は、かろうじて甘いと知覚された。
7%HFCS(55%)中の20ppmラカンカ抽出物は、HFCS対照より明らかに甘いと知覚された。水中の20ppmラカンカ抽出物は、甘いと知覚されなかった。
【0089】
上記の結果は、7%HFCS(55%)の甘味強度のラカンカ抽出物による増強が、これを甘味検出レベル(60ppmおよび20ppm)か、それを下回る濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のラカンカ抽出物サンプルは、検出された増強効果が、ラカンカ抽出物それ自体の甘味によるものではないことを例証する。
【0090】
例7E
エリスリトール中のラカンカ抽出物の比較官能評価
ラカンカ抽出物(20ppmおよび60ppm)を、例1の記載のようにして、7%エリスリトール中の甘味増強剤として評価した。結果を次の表に示す。
【表13】
7%エリスリトール中の60ppmラカンカ抽出物は、パネリストにより、エリスリトール対照よりずっと甘いと知覚された。水中の60ppmラカンカ抽出物は、かろうじて甘いと知覚された。
【0091】
7%エリスリトール中の20ppmラカンカ抽出物は、パネリストにより、エリスリトール対照より明らかに甘いと知覚された。水中の20ppmラカンカ抽出物は、甘いと知覚されなかった。
上記の結果は、7%エリスリトールの甘味強度の、ラカンカ抽出物による増強が、これをラカンカの甘味検出レベル(60ppmおよび20ppm)か、それを下回る濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のラカンカ抽出物サンプルは、検出された増強効果が、ラカンカ抽出物それ自体の甘味によるものではないことを例証する。
【0092】
例7F
分画ラカンカ抽出物:0%および2%スクロース中での比較官能試験
80重量%の全モグロシド含量を含むラカンカ抽出物を、逆相(C-18)フラッシュクロマトグラフィにより分画した。化合物の溶出を、水中のメタノール(MeOH)混合物を用いて、30%MeOH(264ml)から開始し、30~80%MeOH(1320ml)の直線勾配により行い、次にカラムを最終的に80%MeOH(264ml)で洗い流した。溶媒は、分離操作の間中30ml/分の流量で導入した。溶出した化合物を、210nmに設定したUV検出器およびCorona光散乱検出器により視覚化した。収集した分画は、以下の表にしたがってプールし、次に凍結乾燥して粉末とした。
【0093】
以下の表に示した種々のプールされた分画に対応する粉末を、0%または2%スクロース中に60ppmの濃度で溶解した。これらのサンプルの味を、パネリストは、以下の表に示すようにして、0%および2%スクロース対照と比較した。0%スクロース中のサンプルが甘いと決定された場合は、0%スクロース対照に加えて、2%スクロース対照および他の分画とも比較し、甘味の程度を推定した。相対的な甘味の程度を示した(上昇順に:かろうじて知覚できる甘味-2%スクロースよりはるかにずっと弱い-2%スクロースよりずっと弱い-2%スクロースより弱い-2%スクロースに近い)。
【0094】
こうして、各分画または分画プールが2%スクロース中で示した増強効果を決定した。
結果を次の表に示す。
【表14】
【0095】
最大の増強効果は分画35~39で観察され、これらはモグロシドV含量の主要な部分を含んでいた。
分画34および35も、より弱い増強効果を有した。分画34および35の液体クロマトグラフィおよび質量分析による分析は、これらがシアメノシドIを含有することを示した。
プール分画42~48は、さらに弱い増強効果を示した。プール分画42~48の液体クロマトグラフィおよび質量分析による分析は、モグロシドIVを示した。
【0096】
このことは、観察された増強効果が主にモグロシドVによるものであり、シアメノシドIとモグロシドIVは相対的にわずかな寄与であることを示す。
主要なモグロシドV分画(36~38)、およびシアメノシドIもまた含有する分画35の利点は、用いられた低い濃度(60ppm)において混りけのない甘味を有し、ハーバルノート(herbal note)がまったくないか、またはわずかにしかないことである。
【0097】
例8A~8E-レバウディオシドA
例8A-レバウディオシドA
2%スクロース中のレバウディオシドA(1、10、20および30ppm)の比較官能評価
レバウディオシドA(99%+、植物抽出物から精製、Sweet Aloha Farms, LLC)(1ppm、10ppm、20ppm、30ppm)を、例1に記載のように2%スクロース中で評価した。結果を下の表に示す。
【表15】
【0098】
2%スクロース中のレバウディオシドAの全濃度(1、10、20、30ppm)について、パネリストにより、2%スクロース対照において決定された甘味強度を超えた、甘味強度の増加が決定された。
上の結果は、2%スクロースの甘味強度のレバウディオシドAによる増強が、これを甘味検出レベル(1ppm、10ppm、20ppmおよび30ppm)か、それを下回るか、またはわずかに上の濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した、水中のレバウディオシドAサンプルが例証するように、検出された増強効果は、レバウディオシドAそれ自体の甘味によるものではない。
【0099】
例8B-レバウディオシドA
7%スクロース中のレバウディオシドA(1、10、20および30ppm)の比較官能評価
レバウディオシドA(99%+、植物抽出物から精製、Sweet Aloha Farms, LLC)(1ppm、10ppm、20ppm、30ppm)を、例1に記載のようにして7%スクロース中で評価した。結果を下の表に示す。
【表16】
【0100】
7%スクロース中のレバウディオシドAの全濃度(1、10、20、30ppm)について、パネリストにより、7%スクロース対照において決定された甘味強度を超えた、甘味強度の増加が決定された。
上の結果は、7%スクロースの甘味強度のレバウディオシドAによる増強が、これを甘味検出レベル(1ppm、10ppm、20ppmおよび30ppm)か、それを下回るか、またはわずかに高い濃度において用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のレバウディオシドAサンプルが例証するように、検出された増強効果は、レバウディオシドAそれ自体の甘味によるものではない。
【0101】
7%スクロース中、甘味増強剤ありおよびなしのサンプル間の差を、直接、2%スクロース中、甘味増強剤ありおよびなしのサンプル間の差と比較した場合(例8A参照)、増強効果は、スクロース濃度が高いと、より強かった。これは、スクロースに対するレバウディオシドAの増強効果の強さがスクロース濃度に依存し、スクロース濃度の増加とともにより強くなることを示す。
【0102】
例8C-レバウディオシドA
2%スクロース中のレバウディオシドA(1、10、20および30ppm)の甘味の品質評価
2%スクロースサンプル中のレバウディオシドA(99%+、植物抽出物から精製、Sweet Aloha Farms, LLC)(1ppm、10ppm、20ppmおよび30ppm)を、サンプルの甘味の品質について評価した(甘味の発現時期、局在化、持続時間)。官能評価は次のようにして行った。全てのサンプルを、常温で15mlアリコートで、異なる甘味感受性の甘味感受性対象者に対して盲検化して提示した。対象者はサンプルを味見し、甘味の品質を評価するよう求められた。スクロース溶液(2%および7%)を参照として提示した。
【0103】
【表17】
2%スクロース中の全レバウディオシドサンプルは、爽やかな甘味(pleasantly sweet taste)を有すると評価された。各ケースにおいて、甘味は直ちに発現し、口腔全体で知覚された(「口全体で甘い」)。
【0104】
30ppmのレバウディオシドAサンプルの評価は、1ppm、10ppmおよび20ppmのレバウディオシドAサンプルについて、またはスクロース対照(2+7%)について観察されたように口腔全体ではなく、舌の周囲に局在化した甘味の知覚を示した。30ppmのレバウディオシドAサンプルは、パネリストにより、20ppmのレバウディオシドAまたはこれ以下では知覚されなかった、後に残る甘味の後味を、口腔全体(「口全体での甘さ」)ではなく、主に舌の周囲において有すると記載された。後に残る味の品質は、しばしば、くどくてカンゾウ(甘草)様であると記載される。
【0105】
例8D-レバウディオシドA
7%スクロース中のレバウディオシドA(1、10、20および30ppm)の甘味の品質評価
7%スクロース中のレバウディオシドA(99%+、植物抽出物から精製、Sweet Aloha Farms, LLC)(1ppm、10ppm、20ppm、30ppm)サンプルを、サンプルの甘味の品質について評価した(発現時期、局在化、持続時間)。官能評価は次のようにして行った。全てのサンプルを、常温で15mlアリコートで、異なる甘味感受性の甘味感受性の対象者に対して盲検化して提示した。対象者はサンプルを味見し、甘味の品質を評価するよう求められた。スクロース溶液(2%および7%)を参照として提示し、レバウディオシドAサンプルの甘味を評価した。
【0106】
【表18】
1ppm、10ppmおよび20ppmのレバウディオシドAサンプルおよび7%スクロース参照は、爽やかな強い甘味を有した。各ケースにおいて、甘味は直ちに発現して口腔全体で知覚された。30ppmのレバウディオシドAサンプルは、7%スクロース参照および1ppm、10ppmまたは20ppmのレバウディオシドAを含有するレバウディオシドAサンプルにおいて観察された口腔全体の代わりに、舌の周囲に局在化した甘味を示した。30ppmのレバウディオシドAサンプルは、パネリストにより、20ppmまたはこれ以下の濃度のレバウディオシドAで知覚されなかった、後に残る甘味の後味(例8Cと比較のこと)を有すると記載された。
【0107】
例8E
7%スクロース中の20ppmレバウディオシドAのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース中の20ppmレバウディオシドA(99%+、植物抽出物から精製、Sweet Aloha Farms, LLC)サンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対するその等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表19】
【0108】
高臨界値(64.61%)より高い72~91%のR指数は、レバウディオシドAサンプルが、7%および8%スクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。臨界値(35.39%)より低い0~7%のR指数は、レバウディオシドAサンプルが、9%、10%または11%スクロースより甘くないことを意味する。
データは、7%スクロースと20ppmレバウディオシドAとで知覚された甘味が、8%スクロースの甘味より有意に強いが、しかし9%スクロースの甘味より弱く、補間により8.5%であることを示す。
【0109】
対照として、水中の20ppmレバウディオシドAは、0.5%より強いが1%スクロースより弱い甘味と等甘味であった(補間により0.75%、例12Dと比較のこと)。したがって、7%スクロース+20ppmレバウディオシドA(1%スクロースより弱く、0.5%スクロースより強い甘味と同等;補間により0.75%)は、8%スクロースより弱い、または補間により7.75%と同等の甘味であることが予想される。しかし、決定された等甘味度は8%スクロースより強く、補間により8.5%スクロースであり、これは予想された効果を明らかに上回った。
【0110】
例9A~9D-ステビオシド
例9A-ステビオシド
2%スクロース中のステビオシド(20~60ppm)の比較官能評価
2%スクロース中のステビオシド抽出物(95%+、植物抽出物から精製、Apin Chemicals)(20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm)サンプルを、例1に記載のようにして評価した。結果を下の表に示す。
【表20】
【0111】
2%スクロース中の20ppmステビオシドは、パネリストにより、スクロース対照より明らかに甘いと知覚された。水中の20ppmステビオシドは、かろうじて甘いと知覚された。
2%スクロース中の30ppmステビオシドは、パネリストにより、2%スクロース対照よりずっと甘いと知覚された。水中の30ppmステビオシドは、非常に弱い、遅れて発現する甘味と知覚された。
【0112】
2%スクロース中の40ppmステビオシドは、パネリストにより、スクロース対照よりずっと甘いと知覚された。水中の40ppmステビオシドは、弱い、遅れて発現する甘味と知覚された。
2%スクロース中の50ppmステビオシドは、パネリストにより、スクロース対照よりずっと甘いと知覚された。水中の50ppmステビオシドは、弱く、より早い発現で後に残る甘味と知覚された。
【0113】
2%スクロース中の60ppmステビオシドは、パネリストにより、スクロース対照より大幅に甘いと知覚された。水中の60ppmステビオシド抽出物は、弱く、より早い発現で後に残る甘味と知覚された。
上の結果は、2%スクロースの甘味強度のステビオシドによる増強が、これを甘味検出閾値レベルに近い20~60ppmの濃度で用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のステビオシド抽出物サンプルは、検出された増強効果が、ステビオシド抽出物それ自体の甘味によるものではないことを例証する。
【0114】
例9B-ステビオシド
7%スクロース中のステビオシド(20~60ppm)の比較官能評価
ステビオシド抽出物(95%+、植物抽出物から精製、Apin Chemicals)(20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm)を、例1に記載のようにして7%スクロース中で評価した。結果を下の表に示す。
【表21】
【0115】
7%スクロース中の20ppmステビオシドは、パネリストにより、スクロース対照より明らかに甘いと知覚された。水中の20ppmステビオシドは、かろうじて甘いと知覚された。
7%スクロース中の30ppmステビオシドは、パネリストにより、スクロース対照より明らかに甘いと知覚された。水中の30ppmステビオシドは、非常に弱く、遅れて発現する甘味と知覚された。
【0116】
7%スクロース中の40ppmステビオシドは、パネリストにより、スクロース対照よりずっと甘いと知覚された。水中の40ppmステビオシドは、弱く、遅れて発現する甘味と知覚された。
7%スクロース中の50ppmステビオシドは、パネリストにより、スクロース対照よりずっと甘いと知覚された。水中の50ppmステビオシドは、弱く、より早い発現で後に残る甘味と知覚された。
7%スクロース中の60ppmステビオシド抽出物は、パネリストにより、スクロース対照より大幅に甘いと知覚された。水中の60ppmステビオシド抽出物は、弱く、より早い発現で後に残る甘味と知覚された。
【0117】
上の結果は、7%スクロースの甘味強度のステビオシドによる増強が、これを甘味検出閾値に近い濃度(20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm)で用いた場合に生じることを例証する。比較として同じ濃度において試験した水中のステビオシド抽出物サンプルは、検出された増強効果が、ステビオシド抽出物それ自体の甘味によるものではないことを例証する。
【0118】
例9C-ステビオシド
2%スクロース中のステビオシド(20~50ppm)の甘味の品質評価
ステビオシド抽出物(95%+、植物抽出物から精製、Apin Chemicals)(20ppm、30ppm、40ppm、50ppm)を、2%スクロース中でサンプルの甘味の品質について評価した(発現時期、局在化、持続時間)。官能評価は次のようにして行った。全てのサンプルを、常温で15mlアリコートで、異なる甘味感受性の甘味感受性対象者に対して盲検化して提示した。対象者はサンプルを味見し、甘味の品質を評価するよう求められた。スクロース溶液(2%および7%)を参照として提示した。
【表22】
【0119】
全ステビオシドサンプルは、爽やかな甘味を有した。各サンプルについて、甘味は直ちに発現し、口腔全体で知覚された(「口全体で甘い」)。
2%スクロース中の50ppmステビオシドは、口腔全体の代わりに舌の周囲に局在化する甘味を有することが見出された。
【0120】
2%スクロース中の20ppm、30ppmまたは40ppmのステビオシドサンプルならびに2%および7%スクロースは、口腔全体に広がる、口全体の甘さを有することが観察された。
2%スクロース中の50ppmステビオシドサンプルは、40ppmのステビオシドサンプルまたはより低いステビオシド濃度のステビオシドサンプルにおいては知覚されなかった、後に残る甘味(後味に関する詳細については例8Cを比較のこと)を有すると記載された。
【0121】
例9D-ステビオシド
7%スクロース中のステビオシド(20~50ppm)の甘味の品質評価
7%スクロース中のステビオシド(20ppm、30ppm、40ppm、50ppm)を、サンプルの甘味の品質について評価した(発現時期、局在化、持続時間)。官能評価は次のようにして行った。全てのサンプルを、常温で15mlアリコートで、異なる甘味感受性の甘味感受性対象者に対して盲検化して提示した。対象者はサンプルを味見し、甘味の品質を評価するよう求められた。スクロース溶液(2%および7%)を、ステビオシドサンプルの甘味評価の参照として提示した。
【表23】
【0122】
7%スクロース中の20ppm、30ppmおよび40ppmステビオシドサンプルは全て、爽やかな強い甘味を有した。7%スクロース中の20~40ppmステビオシドサンプルにおいて、甘味は直ちに発現し、口腔全体で知覚された。
7%スクロース中の50ppmステビオシドサンプルは、スクロース参照ならびに20ppm、30ppmおよび40ppmステビオシドサンプルについて観察された、口腔全体の代わりに、舌の周囲に局在化する甘味を有した。7%スクロース中の50ppmステビオシドサンプルは、40ppmのステビオシドまたはより低いステビオシド濃度のステビオシドにおいて知覚されなかった、後に残る甘味(後味に関する詳細については例8Cを比較のこと)を有すると記載された。
【0123】
例10および11 混合甘味増強剤
例10A~10C
例10A
7%スクロース中の45ppmNarDHC+60ppmラカンカ抽出物のランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース中の45ppmNarDHC+60ppmラカンカ抽出物サンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表24】
【0124】
臨界値(64.61%)より高い67~100%のR指数は、NarDHC+ラカンカサンプルが、7%、8%または9%スクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。臨界値(35.39%)より低い7~18%のR指数は、NarDHC+ラカンカサンプルが、10%または11%スクロースより甘くないことを意味する。7%スクロース中のNarDHC+ラカンカサンプルは、9%スクロースより甘いが10%より甘くなく、したがって、補間により9.5%スクロースと等甘味であることが見出された。
【0125】
対照として、水中の45ppmNarDHCは、0.5%スクロースと等甘味であった(対照例12Aと比較)。
水中の60ppmラカンカは、0.5%より強く、1%スクロースより弱い甘味と等甘味であった(例12Cに従って補間により0.75%)。
したがって、7%スクロース+45ppmNarDHC(0.5%スクロースと等甘味)+60ppmラカンカ抽出物(1%スクロースより弱い甘味と同等、補間により0.75%スクロース)は、相加効果を仮定すると、8.5%スクロースより弱い、または補間により8.25%スクロースより弱い甘味と等甘味であることが予想される。
しかし、決定された等甘味度は9%スクロースより強く、補間により9.5%スクロースであり、これは明らかに単なる相加効果を上回った。
【0126】
例10B
7%スクロース中の60ppmNarDHC+60ppmラカンカ抽出物のランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース中の60ppmNarDHC+60ppmラカンカ抽出物サンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表25】
【0127】
臨界値(64.61%)より高い82~98%のR指数は、NarDHC+ラカンカサンプルが、7%、8%または9%スクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。期待値と有意に異ならない61%のR指数は、NarDHC+ラカンカサンプルが、10%スクロースと等甘味であることを意味する。臨界値(35.39%)より低い23%のR指数は、NarDHC+ラカンカサンプルが、11%スクロースより有意により甘くないことを意味する。
対照として、水中の60ppmNarDHCは、1%スクロースより強く、1.5%スクロースより弱い甘味と等甘味であった(例12Aに示すように、補間により1.25%)。
【0128】
水中の60ppmラカンカは、0.5%より強く、1%スクロースより弱い甘味と等甘味であった(例12Cによる対照に示すように、補間により0.75%)。
したがって、7%スクロース+60ppmNarDHC(1.5%スクロースより弱い甘味と同等、補間により1.25%スクロース)+60ppmラカンカ抽出物(1%スクロースより弱い甘味と同等、補間により0.75%スクロース)は、相加効果を仮定すると、9.5%スクロースより弱い、または補間により9%より弱い甘味と等甘味であることが予想される。
しかし、決定された等甘味度は10%スクロースであり、明らかに単なる相加効果を上回った。
【0129】
例10C
7%スクロース中の60ppmラカンカ抽出物と2ppmのNDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース中の60ppmラカンカ抽出物+2ppmNDHCサンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表26】
【0130】
臨界値(72.18%)より高い82~98%のR指数は、NDHC+ラカンカサンプルが、7%または8%スクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。期待値と有意に異ならない、43%のR指数は、NDHC+ラカンカサンプルが、9%スクロースと等甘味であることを意味する。臨界値(27.82%)より低い4~12%のR指数は、NDHC+ラカンカサンプルが、10%または11%スクロースより有意により甘くないことを意味する。
水中の2ppmNDHCは、0.5%スクロースと等甘味であった(例12Fを参照)。
【0131】
水中の60ppmラカンカは、0.5%より強く、1%スクロースより弱い甘味と等甘味である(例12Cに示すように、補間により0.75%)。
したがって、7%スクロース+2ppmNDHC(0.5%スクロースと等甘味)+60ppmラカンカ抽出物(1%スクロースより弱い甘味と同等、補間により0.75%スクロース)は、8.5%スクロースより弱い、または補間により8.25%スクロースより弱い甘味と等甘味であることが予想される。
しかし、決定された等甘味度は9%スクロースであり、明らかに単なる相加効果を上回った。
【0132】
例11A~H 甘味増強剤混合物およびNDHC
例11A
7%スクロース中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCサンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【0133】
【表27】
臨界値(74.89%)より高い79~100%のR指数は、NDHC+ラカンカ+NarDHCサンプルが、7%、8%、9%および10%スクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。50%から臨界値(74.89%)までのR指数は、NDHC+ラカンカ+NarDHCサンプルが、比較したスクロースサンプルと等甘味であることを意味する。48%において、NDHC+ラカンカ+NarDHCサンプルは11%スクロースと等しい甘味であった。
【0134】
水中の2ppmNDHCは、0.5%スクロースと等甘味であった(例12Fを参照)。
水中の60ppmNarDHCは、1%スクロースより強く、1.5%スクロースより弱い甘味と等甘味であった(例12Aに示すように、補間により1.25%)。
水中の60ppmラカンカは、0.5%より強く、1%スクロースより弱い甘味と等甘味であった(例12Cに示すように、補間により0.75%)。
【0135】
したがって、7%スクロース+2ppmNDHC(0.5%スクロースと等甘味)+60ppmNarDHC(1.5%スクロースより弱い甘味と同等、補間により1.25%スクロース)+60ppmラカンカ抽出物(1%スクロースより弱い甘味と同等、補間により0.75%スクロース)は、相加効果を仮定すると、10%スクロースより弱い、または補間により9.5%スクロースより弱い甘味と等甘味であることが予想される。
【0136】
また、水中の2ppmNDHC+60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHCは、2.25%スクロースより甘くないことが決定され、したがって7%スクロース中のこの混合物の等甘味度は、相加効果を仮定すると、9.25%スクロースの甘味より弱いことが予想される(例12G参照)。
しかし、決定された等甘味度は11%スクロースの甘味と同等であり、これは明らかに単なる相加効果を上回った。
【0137】
例11B
6%スクロース中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
6%スクロースサンプル中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCのサンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表28】
【0138】
高臨界値(64.61%)より高い79~96%のR指数は、増強剤混合物サンプルが、7%、8%および9%スクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。53%のR指数は期待値と有意に異ならず、増強剤混合物サンプルが10%スクロースと等甘味であることを意味する。低臨界値(35.39%)より低い30のR指数は、増強剤混合物サンプルが11%スクロースより有意により甘くないことを意味する。
【0139】
水中の2ppmNDHCは、0.5%スクロースと等甘味であった(例12Fを参照)。
水中の60ppmNarDHCは、1%より強く、1.5%スクロースより弱い甘味と等甘味であった(例12Aに示すように、補間により1.25%)。
水中の60ppmラカンカは、0.5%より強く、1%スクロースより弱い甘味と等甘味であった(例12Cに示すように、補間により0.75%)。
【0140】
したがって、6%スクロース+2ppmNDHC(0.5%スクロースと等甘味)+60ppmNarDHC(1.5%スクロースより弱い甘味と同等、補間により1.25%スクロース)+60ppmラカンカ抽出物(1%スクロースより弱い甘味と同等、補間により0.75%スクロース)は、相加効果を仮定すると、9%スクロースより弱い、または補間により8.5%より弱い甘味と等甘味であることが予想される。
また、水中の増強剤混合物は、2.25%スクロースより甘くないことが決定され、したがって6%スクロース中のこの混合物の等甘味度は、8.25%スクロースより下であることが予想される(例12G参照)。
しかし、決定された等甘味度は10%スクロースであり、これは明らかに単なる相加効果を上回った。
【0141】
例11C
7%スクロース+0.15%クエン酸中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース(S)+0.15%クエン酸(CA)の溶液中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCのサンプルの等甘味度を、下の表に示すように、スクロース/クエン酸溶液1~4(pH約2.7に相当)と比較して、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表29】
【0142】
臨界値(64.61%)より高い68~100%のR指数は、サンプルが、スクロース/クエン酸溶液1、2および3より有意に甘いことを意味する。
臨界値(35.39%)より低い33%のR指数は、10%スクロースと0.15%クエン酸のスクロース/クエン酸溶液4より甘くないことを意味する。
【0143】
したがって決定された等甘味度は、9%スクロース/0.135%クエン酸より強く、または補間により9.5%スクロース/0.1425%クエン酸と同等であった。
対照として、例12Iにおいて、0.1425%クエン酸/水の中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCのサンプルは、1.5%スクロース/0.1425%CAと等甘味であると決定され、類似のクエン酸濃度の存在下におけるサンプル固有の甘味を反映している。溶液のpHの低下(酸、ここではCAの存在下において)は、甘味に対する感受性を低下させることが知られている。したがって、0.15%のCAにおいて、固有の甘味による等甘味度はさらに低くなることが予想される。
【0144】
7%スクロース/0.15%CA中のサンプルの決定された等甘味度は、9%スクロース/0.135%クエン酸より強く、または補間により、9.5%スクロース/0.1425%CAと同等であり、これは明らかに単なる相加効果を上回る。
この結果は、甘味増強剤が、多くの飲料において一般に用いられる低pH(通常pH2.6~3)の酸の存在下でも機能することを示す。
【0145】
例11D
7%スクロース中の45ppmラカンカ抽出物+45ppmNarDHC+1.5ppmNDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース中の45ppmラカンカ抽出物+45ppmNarDHC+1.5ppmNDHCのサンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表30】
【0146】
高臨界値(64.61%)より高い68~94%のR指数は、増強剤混合物サンプルが、7%、8%および9%スクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。低臨界値(35.39%)より低い6~19%のR指数は、増強剤混合物サンプルが、10%および11%スクロースサンプルより有意により甘くないことを意味する。7%スクロース中の増強剤混合物サンプルは、その甘味において9%スクロースより強いが、10%スクロースより弱く、補間により9.5%スクロースと等甘味であった。これは、実際のスクロース濃度の7%に対して、少なくとも+2°Brix(補間により+2.5°Brix)の差である。
【0147】
間接的な対照として、高濃度サンプル(2ppmNDHC+60ppmラカンカ抽出物+45ppmNarDHC)は、1.75%スクロースと等甘味であることが見出された(例12H参照のこと)。したがって、試験されたより低い濃度の増強剤混合物は、1.75%スクロースよりはるかに低い濃度と等甘味であろう。効果は少なくとも+2°Brix(補間により+2.5°Brix)と決定されたため、少なくとも追加の0.25°Brix(補間の場合は、少なくとも0.75°Brix)は、増強剤混合物によるスクロース増強のためであり、これは明らかに単なる相加効果を上回る。
【0148】
例11E
7%スクロース中の1ppmNDHC+30ppmラカンカ抽出物+30ppmNarDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
7%スクロース中の1ppmNDHC+30ppmラカンカ抽出物+30ppmNarDHCサンプルを、濃度7~11%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表31】
【0149】
高臨界値(64.84%)より高い68~94%のR指数は、増強剤混合物サンプルが、7%および8%スクロースサンプルより有意に甘いことを意味する。低臨界値(35.16%)より低い4~20%のR指数は、増強剤混合物サンプルが、10%および11%スクロースより有意により甘くないことを意味する。48%のR指数は、期待値(50%)と有意に異ならない。増強剤混合物は9%スクロースと等甘味であり、すなわち、実際のスクロース濃度より2%高く知覚された。
【0150】
試験された増強剤混合物サンプル(1ppmNDHC、30ppmラカンカ抽出物および30ppmNarDHC)において、各成分は甘味について、それぞれの閾値より低い濃度である。
間接的な対照として、高濃度サンプル(2ppmNDHC+60ppmラカンカ抽出物+45ppmNarDHC)は、1.75%スクロースと等甘味であることが見出された(例12H参照のこと)。
したがって、試験されたより低い濃度のサンプルは、1.75%スクロースよりはるかに低い濃度のスクロースと等甘味であることが予想できる。
したがって、少なくとも0.25°Brixのスクロース強度の追加の効果が存在し、これは明らかに単なる相加効果を上回る。
【0151】
例11F
140ppmスクラロース中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCのランキング試験
140ppmスクラロース中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCサンプルを、濃度140~220ppmのスクラロース溶液と比較して、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表32】
【0152】
高臨界値(64.61%)より高い97~100%のR指数は、増強剤混合物サンプルが、140、160、180、200および220ppmのスクラロース溶液より有意に甘いことを意味する。
結果は、サンプルが220ppmのスクラロース溶液の甘味を超えることを示す。したがって、サンプルは、甘味を弱めることなく、スクラロース濃度を少なくとも36%低下させることができる。
【0153】
例11G
367.5ppmアスパルテーム中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCのランキング試験
367.5ppmアスパルテーム中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCサンプルを、濃度367.5~577.5ppmのスクラロース溶液と比較して、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表33】
【0154】
高臨界値(64.61%)より高い95~100%のR指数は、増強剤混合物サンプルが、367.5、420、472.5、525および577.5ppmのアスパルテームサンプルより有意に甘いことを意味する。
結果は、サンプルが577.5ppmのアスパルテームの甘味を超えることを示す。
したがって、サンプルは、甘味を弱めることなく、アスパルテーム濃度を少なくとも36%低下させることができる。
【0155】
例11H
560ppmAceK中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCのランキング試験
560ppmAceK中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCサンプルを、濃度560~880ppmのAceK溶液と比較して、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表34】
【0156】
高臨界値(64.61%)より高い87~95%のR指数は、増強剤混合物サンプルが、560、640、720、800および880ppmのAceKサンプルより有意に甘いことを意味する。
結果は、サンプルが880ppmのAceKの甘味を超えることを示す。
したがってサンプルは、甘味を弱めることなく、AceK濃度を少なくとも36%低下させることができる。
【0157】
例12A~12I、対照
水中の甘味増強剤の甘味強度の決定
抽出物/化合物自体のわずかな甘味を排除するために、または甘味増強剤とスクロースの間の増強効果ではなく、異なる甘味増強剤の間の増強効果を排除するために、次の対照を実施した。
甘味強度を決定するため、例2で記載した強制選択試験を実施するか、または、例3bに記載したランキング試験において、スクロースに対する等甘味度を決定した。
【0158】
例12A-水中のNarDHCの甘味
a.水中の45ppmNarDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
水中の45ppmNarDHCサンプルを、濃度0.5~1%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表35】
【0159】
臨界値(64.61%)より低い56%のR指数は、NarDHCサンプルが、0.5%と等甘味であることを意味する。臨界値(35.39%)より低い14%のR指数は、NarDHCサンプルが、1%スクロースより有意により甘くないことを意味する。
【0160】
b.水中の60ppmNarDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
水中の60ppmNarDHCサンプルを、濃度0.5~1.5%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表36】
【0161】
臨界値(64.61%)より高い99%と71%のR指数は、NarDHCサンプルが、0.5%または1%スクロースより甘いことを意味する。臨界値(35.39%)より低い20%のR指数は、NarDHCサンプルが、1.5%スクロースより有意により甘くないことを意味する。
補間により、60ppmNarDHCの甘味は、約1.25%のスクロースと同等であった。
【0162】
c.水中の45ppm、50ppm、55ppmおよび60ppmNarDHC対0%、0.5%、1%または1.5%スクロースの一対比較
水中のNarDHC(45ppm、50ppm、55ppm、60ppm)サンプルを、濃度0~1.5%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例4に記載した一対比較法の改変版を用いて評価した。NarDHCサンプルは、0%、0.5%、1%または1.5%スクロースのいずれかと比較した。結果を次の表に示す。
【表37】
【0163】
NarDHCの45ppm溶液は、0%スクロースよりもわずかに甘く、0.5%スクロースと等甘味であった。50ppmNarDHCサンプルは、0.5%スクロースよりも明らかに甘く、しかし1%スクロースより甘くないことが見出された。55ppmNarDHCサンプルは、0.5%スクロースよりも明らかに甘く、1%スクロースの甘味と等甘味であると決定された。60ppmNarDHCサンプルは、1%スクロースよりも明らかに甘いが、しかし1.5%スクロースより顕著に甘味が弱かった。
【0164】
例12B-水中のルブス抽出物の甘味
水中の60ppm70%ルブス抽出物対1%および0%スクロースの強制選択試験
甘味料としてのルブソシドの強制選択官能評価を、次の修正に従い例2の記載のようにして実施した:水中の、70重量%ルブソシドを含有する60ppmのルブス抽出物を、0%スクロース/水(比較+評点1)または1%スクロース(比較+評点2)のどちらかと比較した。
【0165】
60ppmルブス抽出物はその甘味知覚の閾値濃度に近く、下の表の結果が示すように、甘味の弱い1%スクロースよりも有意に甘味が弱かった。
【表38】
【0166】
水中の60ppmルブス抽出物サンプルは、全てのパネリストにより(30人のパネリスト中30人、強制選択についての統計的有意水準p<0.001)、0%スクロース/水より甘いと知覚された。0.4という低い甘味強度の評点は、非常に弱い知覚可能な甘味を反映している(0%スクロース陰性対照の評点0.1と比較のこと。想定される最高の甘味の評点は10)。
【0167】
パネリストの多く(30人中28人)は、弱い甘味の1%スクロース溶液を、強制選択についての統計的有意水準p<0.001にて、ルブス抽出物溶液より甘いと選択した。
水中のルブス抽出物についての0.56という低い甘味強度評点に対する、1%スクロースについての0.81は、1%スクロースの甘味より顕著に弱い、60ppmルブス抽出物の非常に弱い知覚可能な甘味を反映する。
【0168】
例12C-水中のラカンカ抽出物の甘味
水中の60ppmラカンカ抽出物対0%、0.5%および1%スクロースの強制選択試験
甘味料としてのラカンカ抽出物の強制選択官能評価を、次の修正に従い例2の記載のようにして実施した:ラカンカ抽出物は水中で60ppmの濃度を有し、これを0%スクロース/水または1%スクロースのどちらかと比較した。結果を下の表に示す。
【表39】
【0169】
60ppmラカンカ抽出物はその甘味知覚の閾値濃度に近く、甘味の弱い1%スクロースより顕著に甘味が弱かった。
水中の60ppmラカンカサンプルは、全てのパネリストにより(30人のパネリスト中30人、強制選択についての統計的有意水準p<0.001)、0%スクロース/水より甘いと知覚された。0.63という低い甘味強度の評点は、非常に弱い知覚可能な甘味を反映している(0%スクロースの評点0.1と比較のこと。想定される最高の甘味の評点は10)。
【0170】
水中の60ppmラカンカサンプルは、パネリストの多く(30人中28人、強制選択についての統計的有意水準p<0.001)により、0.5%スクロース/水より甘いと知覚された。
パネリストの多く(30人中24人)は、弱い甘味の1%スクロース溶液を、強制選択についての統計的有意水準p<0.001にて、60ppmラカンカ抽出物溶液より甘いと選択した。
【0171】
水中のラカンカ抽出物についての0.58という低い甘味強度評点に対する、1%スクロースについての0.72は、1%スクロースの甘味より有意に低い、60ppmラカンカの非常に弱い知覚可能な甘味を反映する。
補間により、60ppmラカンカ抽出物の甘味は、約0.75%スクロースと同等であった。
【0172】
例12D-水中のレバウディオシドAの甘味
1~30ppmレバウディオシドA対0%~1.5%スクロースの一対比較
水中のレバウディオシドA(1ppm、10ppm、20ppm、30ppm)サンプルを、濃度0~1.5%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例4に記載した一対比較法の改変版を用いて評価した。レバウディオシドAサンプルは、0%、0.5%、1%または1.5%スクロースのいずれかと比較した。結果を次の表に示す。
【表40】
【0173】
レバウディオシドAの1ppm溶液は、0%スクロース対照に対して検出可能な差はなかった。10ppmレバウディオシドAサンプルは、0%スクロースより甘いが、かろうじて知覚可能に甘い0.5%スクロースよりはわずかにのみ甘味が強いことが見出された。20ppmレバウディオシドAサンプルは、0.5%スクロースより明らかに甘く、弱い甘味の1%スクロースより甘くなかった。したがって、20ppmレバウディオシドAサンプルは、補間により0.75%スクロースと等甘味であった。30ppmレバウディオシドAサンプルは、1%スクロースと等甘味であり、1.5%スクロースより顕著に甘くなかった。
【0174】
b.水中の20ppmレバウディオシドAのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
水中の20ppmレバウディオシドAサンプルを、濃度0.5~1.5%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3に記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表41】
【0175】
臨界値(64.61%)より高い84%のR指数は、レバウディオシドAサンプルが0.5%スクロースより甘いことを意味する。臨界値(35.39%)より低い0%または12%のR指数は、レバウディオシドAサンプルが、1%または1.5%スクロースより有意により甘くないことを意味する。
補間により、20ppmレバウディオシドの甘味は、約0.75%のスクロースと同等であった。
【0176】
例12E-水中のステビオシドの甘味
20~60ppmステビオシド対0%~1.5%スクロースの一対比較
水中のステビオシド(20ppm、30ppm、40ppm、50ppm、60ppm)サンプルを、濃度0~1.5%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例4に記載した一対比較法の改変版を用いて評価した。ステビオシドサンプルは、0%、0.5%、1%または1.5%スクロースのいずれかと比較した。結果を次の表に示す。
【0177】
【表42】
【0178】
20ppmステビオシドサンプルは、0%スクロースよりも甘いが、かろうじて知覚できる甘味である0.5%スクロースより甘くなかった。30ppmステビオシドサンプルは、0%スクロースよりもわずかにより甘く、0.5%スクロースと等甘味であると決定された。40ppmステビオシドサンプルは、0.5%スクロースより明らかに甘く、1%スクロースより甘くなかった。したがって、40ppmステビオシドサンプルは、補間により0.75%スクロースと等甘味であった。50ppmステビオシドサンプルは、1%スクロースと等甘味であり、1.5%スクロースより顕著により甘くなかった。60ppmステビオシドサンプルは、1%スクロースより明らかに甘く、1.5%スクロースより甘くなかった。したがって60ppmステビオシドサンプルは、補間により1.25%スクロースと等甘味であると決定された。
【0179】
例12F-水中のNDHCの甘味
水中の2ppmNDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
水中の2ppmNDHCサンプルを、濃度0.5~1%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3bに記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【表43】
【0180】
臨界値(35.39%)より有意に高くない41%のR指数は、NDHCサンプルが、0.5%スクロースと等甘味であることを意味する。臨界値(35.39%)より低い5%のR指数は、NDHCサンプルが、1%スクロースより有意により甘くないことを意味する。
【0181】
例12G-水中の甘味増強剤混合物とNDHCの甘味
水中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHC対2.25%スクロースの強制選択試験
ラカンカ抽出物、NarDHC、およびNDHCの混合物の強制選択試験を、次の修正に従い例2に記載のようにして実施した:水中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCを、2.25%スクロースと比較した。2.25%スクロース濃度は、各甘味増強剤の、スクロースの等甘味度に対する補間による個別の追加の効果をわずかに下回るように選択した:
2ppmNDHCに対して0.5%(例12F)+60ppmラカンカ抽出物に対して0.75%(例12C)+60ppmNarDHCに対して1.25%(対照例12A)。
【0182】
結果は、水中の甘味増強剤の混合物(スクロースの添加なし)は、各成分の合計の甘味を下回ることを示す。さらに、甘味増強剤それ自体は、互いの固有の甘味をどのような程度にも増強しないことを指摘する。
【表44】
【0183】
例12H-混合物-対照
水中の2ppmNDHC+60ppmラカンカ抽出物+45ppmNarDHC対1.75%スクロースの強制選択試験
NDHC、ラカンカ抽出物およびNarDHCの増強剤混合物サンプルの強制選択試験を、次の修正に従い例2に記載のようにして実施した:
水中の2ppmNDHC+60ppmラカンカ抽出物+45ppmNarDHCを、1.75%スクロースと比較した。1.75%スクロース濃度は、各個別の成分の甘味の合計に基づき選択した:
2ppmNDHCに対して0.5%(例12F)+60ppmラカンカ抽出物に対して0.75%(例12C)+45ppmNarDHCに対して0.5%(例12A)。
【0184】
増強剤混合物サンプルは、下の表に示すように、スクロース溶液をより甘いとする、統計的に非有意な選択(純粋に偶然による選択を意味する)により示されるように、1.75%スクロースの甘味と等甘味であった。
さらにこの結果は、増強剤混合物サンプルの組合せの甘味が、スクロースの溶液への添加なしで、最大でも相加的であることを示す。
【表45】
【0185】
例12I-酸/水中の甘味増強剤混合物の甘味
0.1425%クエン酸/水中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCのランキング試験、そのスクロース等甘味度の決定
0.1425%クエン酸/水および0%スクロース中の60ppmラカンカ抽出物+60ppmNarDHC+2ppmNDHCを、それぞれが0.1425%のクエン酸を含有する濃度0%、1.5%および2.5%のスクロース溶液に対する等甘味度について、例3bに記載したランキング法を用いて評価した。結果を次の表に示す。
【0186】
【表46】
臨界値(64.61%)より高い97%のR指数は、0.1425%クエン酸中の混合物が、0.1425%クエン酸中の0%スクロースより甘いことを意味する。臨界値(64.61%)と有意に異ならない、56%のR指数は、0.1425%クエン酸中の混合物が、0.1425%クエン酸中の1.5%スクロースと等甘味であることを意味する。
【0187】
臨界値(35.39%)よりはるかに低い7%のR指数は、0.1425%クエン酸中の混合物が、2.5%スクロース+0.1425%クエン酸より甘くないことを意味する。
結果は、甘味増強剤混合物を含有するサンプルの甘味が、0.1425%クエン酸中の1.5%スクロースと等甘味であり、このクエン酸濃度および対応するpH(甘味強度はpHに依存する)におけるその固有の甘味を示すことを示している。
【0188】
甘味増強配合物および甘味消費材を、ある説明的態様との関連で上に記載したが、他の類似の態様も用いることができ、また記載の態様に対して改良および追加を行って、同様の機能を実施できることが、理解されるべきである。さらに、開示された全ての態様は、代替的である必要はなく、これは、種々の態様を組み合わせて、所望の特徴を提供することができるためである。当業者は、本開示の精神および範囲から逸脱することなく、改変を行うことができる。したがって、甘味増強配合物および甘味消費材は、任意の単一の態様に限定されず、添付のクレームの記述に従った広さと範囲において理解されるべきである。