(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】フォルダ管理装置およびフォルダ管理システム
(51)【国際特許分類】
G06F 21/62 20130101AFI20240419BHJP
G06F 21/31 20130101ALI20240419BHJP
G06Q 50/163 20240101ALI20240419BHJP
【FI】
G06F21/62 318
G06F21/31
G06Q50/163
(21)【出願番号】P 2020100359
(22)【出願日】2020-06-09
【審査請求日】2023-06-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 嘉人
(72)【発明者】
【氏名】矢作 陽一
(72)【発明者】
【氏名】木村 剛維
【審査官】吉田 歩
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-351959(JP,A)
【文献】特開平11-328187(JP,A)
【文献】特開2007-011959(JP,A)
【文献】特開2004-062780(JP,A)
【文献】リモートカタログの活用例,2020年03月14日,https://web.archive.org/web/20200314043749/https://biz.rmail.jp/catalog/
【文献】「個人情報の保護に関する法律についての経済産業分野を対象とするガイドライン」等に関するQ&A,2010年04月01日,p.12,インターネット <URL https://web.archive.org/web/20110322235650/http://www.meti.go.jp/policy/it_policy/privacy/100401kaiseiq-a.pdf>,検索日[2024.03.13],特にNO.77のQ&A参照
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 21/62
G06F 21/31
G06Q 50/163
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の情報端末装置とネットワークを介して接続され、ビルの管理業務に関する電子ファイルが格納されるフォルダの管理を行うフォルダ管理装置であって、
前記ビルの情報が格納されるビルフォルダと、前記ビルフォルダに中に格納され、前記ビルにおける前記管理業務ごとに設けられて前記電子ファイルが入る業務フォルダとを生成するフォルダ生成部と、
前記管理業務を委託する委託者が操作する情報端末装置に、前記ビルフォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可するアクセス管理部と、を備え、
前記アクセス管理部は、前記管理業務を受託して業務に従事する作業者が操作する情報端末装置に、前記作業者が従事する管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可すると共に、前記作業者が従事しない管理業務に対応する前記業務フォルダ以下へのアクセスを禁止
し、
前記フォルダ生成部は、異なる委託者に属する2つのビルに対応させて2つの前記ビルフォルダを生成し、
前記アクセス管理部は、前記2つのビルで業務に従事する前記作業者が操作する情報端末装置が、一方の前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルを、他方の前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダの中へ移動またはコピーすることを禁止する、
ことを特徴とするフォルダ管理装置。
【請求項2】
複数の情報端末装置とネットワークを介して接続され、ビルの管理業務に関する電子ファイルが格納されるフォルダの管理を行うフォルダ管理装置であって、
前記ビルの情報が格納されるビルフォルダと、前記ビルフォルダに中に格納され、前記ビルにおける前記管理業務ごとに設けられて前記電子ファイルが入る業務フォルダとを生成するフォルダ生成部と、
前記管理業務を委託する委託者が操作する情報端末装置に、前記ビルフォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可するアクセス管理部と、を備え、
前記アクセス管理部は、前記管理業務を受託して業務に従事する作業者が操作する情報端末装置に、前記作業者が従事する管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可すると共に、前記作業者が従事しない管理業務に対応する前記業務フォルダ以下へのアクセスを禁止し、
前記フォルダ管理装置は、
前記委託者が操作する情報端末装置から、前記ビルの複数の前記管理業務のうち特定の管理業務の委託先を変更する指令と、引継ぎ時間とを受け付け、
前記アクセス管理部は、前記指令を受け付けた後、前記特定の管理業務を新たに受託して業務に従事する新作業者が操作する情報端末装置に、前記特定の管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可し、
前記アクセス管理部は、前記指令を受け付けてから前記引継ぎ時間が経過した後、前記特定の管理業務を前記指令前から受託して業務に従事していた旧作業者が操作する情報端末装置に、前記特定の管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを禁止する、
ことを特徴とするフォルダ管理装置。
【請求項3】
請求項2に記載のフォルダ管理装置であって、
前記フォルダ生成部は、複数のビルに対応させて複数の前記ビルフォルダを生成し、
前記アクセス管理部は、複数のビルで業務に従事する前記作業者が操作する情報端末装置が、前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルを、別の前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダの中へ移動またはコピーすることを禁止する、
ことを特徴とするフォルダ管理装置。
【請求項4】
請求項2に記載のフォルダ管理装置であって、
前記フォルダ生成部は、異なる委託者に属する2つのビルに対応させて2つの前記ビルフォルダを生成し、
前記アクセス管理部は、前記2つのビルで業務に従事する前記作業者が操作する情報端末装置が、一方の前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルを、他方の前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダの中へ移動またはコピーすることを禁止する、
ことを特徴とするフォルダ管理装置。
【請求項5】
複数の情報端末装置とネットワークを介して接続され、ビルの管理業務に関する電子ファイルが格納されるフォルダの管理を行うフォルダ管理装置であって、
前記ビルの情報が格納されるビルフォルダと、前記ビルフォルダに中に格納され、前記ビルにおける前記管理業務ごとに設けられて前記電子ファイルが入る業務フォルダとを生成するフォルダ生成部と、
前記管理業務を委託する委託者が操作する情報端末装置に、前記ビルフォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可するアクセス管理部と、を備え、
前記アクセス管理部は、前記管理業務を受託して業務に従事する作業者が操作する情報端末装置に、前記作業者が従事する管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可すると共に、前記作業者が従事しない管理業務に対応する前記業務フォルダ以下へのアクセスを禁止し、
前記フォルダ管理装置は、
前記ビルの名称と、前記ビルにおける複数の前記管理業務と、前記各管理業務を受託する受託法人とを受け付ける受付部と、
前記受付部が受け付けた前記受託法人に属する前記作業者のためのIDおよびパスワードを生成すると共に、前記IDおよびパスワードと、前記作業者が属する前記受託法人が受託した、ビルの管理業務とを対応づけてユーザー管理データベースに登録するユーザー登録部と、を含み、
前記フォルダ生成部は、前記受付部が受け付けた、前記ビルの名称および前記各管理業務のそれぞれに基づいて、前記ビルフォルダおよび前記各業務フォルダのそれぞれを生成し、
前記アクセス管理部は、前記作業者が操作する情報端末装置から前記IDおよびパスワードが入力されて前記業務フォルダへのアクセスが要求された場合に、前記IDおよびパスワードに基づいて前記作業者を認証し、前記ユーザー管理データベースにおいて前記IDに対応づけられたビルの管理業務に対応する前記業務フォルダへのアクセスを許可する、
ことを特徴とするフォルダ管理装置。
【請求項6】
複数の情報端末装置とネットワークを介して接続され、ビルの管理業務に関する電子ファイルが格納されるフォルダの管理を行うフォルダ管理装置であって、
前記ビルの情報が格納されるビルフォルダと、前記ビルフォルダに中に格納され、前記ビルにおける前記管理業務ごとに設けられて前記電子ファイルが入る業務フォルダとを生成するフォルダ生成部と、
前記管理業務を委託する委託者が操作する情報端末装置に、前記ビルフォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可するアクセス管理部と、を備え、
前記アクセス管理部は、前記管理業務を受託して業務に従事する作業者が操作する情報端末装置に、前記作業者が従事する管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可すると共に、前記作業者が従事しない管理業務に対応する前記業務フォルダ以下へのアクセスを禁止し、
前記フォルダ管理装置は、
前記委託者のIDおよびパスワードと、前記委託者が管理業務を委託するビルの名称とを対応づけて記憶するユーザー管理データベースと、
前記委託者が操作する情報端末装置からの、前記委託者のIDおよびパスワードの入力に基づいて前記委託者を認証し、前記委託者が管理業務を委託する前記ビルの名称と、当該ビルにおける複数の管理業務と、当該各管理業務を受託する受託法人と、当該各受託法人の責任者の入力を受け付けて、前記各責任者のIDおよびパスワードを生成すると共に、前記各責任者のIDおよびパスワードと、前記各責任者が属する受託法人が受託するビルの管理業務とを対応づけて前記ユーザー管理データベースに登録するユーザー登録部と、を含み、
前記フォルダ生成部は、前記委託者が操作する情報端末装置からの、前記ビルの名称および前記各管理業務のそれぞれの入力に基づいて、前記ビルフォルダおよび前記各業務フォルダのそれぞれを生成し、
前記ユーザー登録部は、前記責任者が操作する情報端末装置からの、前記責任者のIDおよびパスワードの入力に基づいて前記責任者を認証し、前記責任者が属する前記受託法人に所属する前記作業者と、当該作業者に従事させるビルの管理業務の入力を受け付けて、当該作業者のIDおよびパスワードを生成すると共に、当該作業者のIDおよびパスワードと、当該作業者に従事させるビルの管理業務とを対応づけて前記ユーザー管理データベースに登録し、
前記アクセス管理部は、前記委託者が操作する情報端末装置から、前記委託者のIDおよびパスワードが入力されて前記ビルフォルダへのアクセスが要求された場合に、前記委託者のIDおよびパスワードに基づいて前記委託者を認証し、前記ユーザー管理データベースにおいて前記委託者のIDに対応づけられたビルに対応する前記ビルフォルダにアクセスを許可し、
前記アクセス管理部は、前記作業者が操作する情報端末装置から、前記作業者のIDおよびパスワードが入力されて前記業務フォルダへのアクセスが要求された場合に、前記作業者のIDおよびパスワードに基づいて前記作業者を認証し、前記ユーザー管理データベースにおいて前記作業者のIDに対応づけられたビルの管理業務に対応する前記業務フォルダへのアクセスを許可する、
ことを特徴とするフォルダ管理装置。
【請求項7】
フォルダ管理システムであって、
ビルの管理業務に関する電子ファイルが格納されるフォルダの管理を行うフォルダ管理装置と、
複数の前記管理業務を委託する委託者が使用する委託者用の情報端末装置と、
複数の前記管理業務のうちのいずれかに従事する作業者が使用する作業者用の情報端末装置と、を含み、
前記フォルダ管理装置、前記委託者用の情報端末装置、および前記作業者用の情報端末装置は、ネットワークを介して接続されており、
前記フォルダ管理装置は、
前記ビルの情報が格納されるビルフォルダと、前記ビルフォルダに中に格納され、前記ビルにおける前記管理業務ごとに設けられて前記電子ファイルが入る業務フォルダとを生成するフォルダ生成部と、
前記委託者用の情報端末装置に、前記ビルフォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可するアクセス管理部と、を備え、
前記アクセス管理部は、前記作業者用の情報端末装置に、前記作業者が従事する管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可すると共に、前記作業者が従事しない管理業務に対応する前記業務フォルダ以下へのアクセスを禁止
し、
前記フォルダ生成部は、異なる委託者に属する2つのビルに対応させて2つの前記ビルフォルダを生成し、
前記アクセス管理部は、前記2つのビルで業務に従事する前記作業者が操作する情報端末装置が、一方の前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルを、他方の前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダの中へ移動またはコピーすることを禁止する、
ことを特徴とするフォルダ管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビルの管理業務に関する電子ファイルが格納されるフォルダの管理を行うフォルダ管理装置、および、それを含むフォルダ管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ビルのオーナー等の委託者は、ビルの警備、清掃、設備管理などの管理業務を、ビル管理業務会社(以下、BMもと言う)に委託している。BMに所属する作業者は、ビルに常駐し、管理業務に従事する。作業者は、委託者への報告書としての業務日報、昼夜業務の引継ぎ書類、ビルの設備点検結果などの業務記録の作成も行う。このような業務記録は、手書きで作成されることも多いが、電子ファイルとして作成されることもあり、電子ファイルは情報セキュリティを保って管理される必要がある。
【0003】
特許文献1には、マンション等の施設の運用に関する情報をサーバ上のデータベースに記憶し、ネットワークを介して複数のパーソナルコンピュータ(以下、PCと言う)から当該情報にアクセス可能である施設運用管理システムが開示されている。データベースには、施設の管理業務を委託された管理会社が情報を書き込む施設管理データベースが含まれ、当該データベースにPCからアクセスする際には、識別番号とパスワードの入力を要求している。
【0004】
特許文献2には、ネットワークを介してファイルサーバ及びクライアント端末と接続するゲートウェイサーバに関し、ファイルサーバが有するフォルダとファイルのうち、クライアント端末のユーザがアクセス権を持つフォルダとファイルのみ当該クライアント端末に表示させる制御を行うことが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-288303号公報
【文献】特開2010-129028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、管理業務に従事する作業者により作成された電子ファイルとしての業務記録ファイルは、例えばビルの管理現場にある共用PC、または個別PC等に保存される。ビルの管理現場には、ITシステム、情報セキュリティについて高度なスキルを有する者が少なく、例えば、作業者が業務記録ファイルにアクセスしやすい環境が構築されていないケースや、作業者が従事していない管理業務の業務記録ファイルにアクセス可能であるケースがある。また、同一ビルの複数の管理業務の業務記録ファイルが様々な場所に格納されている場合には、ビルの管理業務を委託した委託者は、それらに網羅的にアクセスすることができない。ビルの管理業務に関する電子ファイルへのアクセスの利便性と情報セキュリティを向上させることが求められている。
【0007】
本発明の目的は、ビルの管理業務に関する電子ファイルへのアクセスの利便性と情報セキュリティを向上することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフォルダ管理装置は、複数の情報端末装置とネットワークを介して接続され、ビルの管理業務に関する電子ファイルが格納されるフォルダの管理を行うフォルダ管理装置であって、前記ビルの情報が格納されるビルフォルダと、前記ビルフォルダに中に格納され、前記ビルにおける前記管理業務ごとに設けられて前記電子ファイルが入る業務フォルダとを生成するフォルダ生成部と、前記管理業務を委託する委託者が操作する情報端末装置に、前記ビルフォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可するアクセス管理部と、を備え、前記アクセス管理部は、前記管理業務を受託して業務に従事する作業者が操作する情報端末装置に、前記作業者が従事する管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可すると共に、前記作業者が従事しない管理業務に対応する前記業務フォルダ以下へのアクセスを禁止する、ことを特徴とする。
【0009】
この構成によれば、管理業務に関する電子ファイルへのアクセスがしやすい、ビル毎、同一ビルの管理業務毎のフォルダ構成が、フォルダ生成部により生成される。委託者は、ビルフォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルを閲覧することで、1つのビルの各管理業務に関する電子ファイルを網羅的に確認することができる。管理業務に従事する作業者は、自身が従事する管理業務の業務フォルダ以下へのアクセスが許可され、一方、自身が従事しない管理業務の業務フォルダ以下へのアクセスが禁止されるため、電子ファイルの情報セキュリティも担保することができる。
【0010】
本発明のフォルダ管理装置において、前記フォルダ生成部は、複数のビルに対応させて複数の前記ビルフォルダを生成し、前記アクセス管理部は、複数のビルで業務に従事する前記作業者が操作する情報端末装置が、前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルを、別の前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダの中へ移動またはコピーすることを禁止する、としてもよい。
【0011】
この構成によれば、作業者によるビルを跨いだ電子ファイルの不用意な移動またはコピーを防ぐことができる。
【0012】
本発明のフォルダ管理装置において、前記フォルダ生成部は、異なる委託者に属する2つのビルに対応させて2つの前記ビルフォルダを生成し、前記アクセス管理部は、前記2つのビルで業務に従事する前記作業者が操作する情報端末装置が、一方の前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルを、他方の前記ビルフォルダの中のアクセス許可された業務フォルダの中へ移動またはコピーすることを禁止する、としてもよい。
【0013】
この構成によれば、作業者による、異なる委託者に属する2つのビルを跨いだ電子ファイルの不用意な移動またはコピーを防ぐことができる。
【0014】
本発明のフォルダ管理装置において、前記委託者が操作する情報端末装置から、前記ビルの複数の前記管理業務のうち特定の管理業務の委託先を変更する指令と、引継ぎ時間とを受け付け、前記アクセス管理部は、前記指令を受け付けた後、前記特定の管理業務を新たに受託して業務に従事する新作業者が操作する情報端末装置に、前記特定の管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可し、前記アクセス管理部は、前記指令を受け付けてから前記引継ぎ時間が経過した後、前記特定の管理業務を前記指令前から受託して業務に従事していた旧作業者が操作する情報端末装置に、前記特定の管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを禁止する、としてもよい。
【0015】
この構成によれば、ビルの管理業務の委託先が変更される場合、引継ぎ時間の間だけ、旧作業者と新作業者の両方に業務フォルダへのアクセスを許可するので、業務フォルダ内の電子ファイルを用いた引継ぎを行うことができ、引継ぎ時間が経過した後は、旧作業者の業務フォルダへのアクセスを禁止するので、業務フォルダの情報セキュリティも担保することができる。
【0016】
本発明のフォルダ管理装置において、前記ビルの名称と、前記ビルにおける複数の前記管理業務と、前記各管理業務を受託する受託法人とを受け付ける受付部と、前記受付部が受け付けた前記受託法人に属する前記作業者のためのIDおよびパスワードを生成すると共に、前記IDおよびパスワードと、前記作業者が属する前記受託法人が受託した、ビルの管理業務とを対応づけてユーザー管理データベースに登録するユーザー登録部と、を含み、前記フォルダ生成部は、前記受付部が受け付けた、前記ビルの名称および前記各管理業務のそれぞれに基づいて、前記ビルフォルダおよび前記各業務フォルダのそれぞれを生成し、前記アクセス管理部は、前記作業者が操作する情報端末装置から前記IDおよびパスワードが入力されて前記業務フォルダへのアクセスが要求された場合に、前記IDおよびパスワードに基づいて前記作業者を認証し、前記ユーザー管理データベースにおいて前記IDに対応づけられたビルの管理業務に対応する前記業務フォルダへのアクセスを許可する、としてもよい。
【0017】
本発明のフォルダ管理装置において、前記委託者のIDおよびパスワードと、前記委託者が管理業務を委託するビルの名称とを対応づけて記憶するユーザー管理データベースと、前記委託者が操作する情報端末装置からの、前記委託者のIDおよびパスワードの入力に基づいて前記委託者を認証し、前記委託者が管理業務を委託する前記ビルの名称と、当該ビルにおける複数の管理業務と、当該各管理業務を受託する受託法人と、当該各受託法人の責任者の入力を受け付けて、前記各責任者のIDおよびパスワードを生成すると共に、前記各責任者のIDおよびパスワードと、前記各責任者が属する受託法人が受託するビルの管理業務とを対応づけて前記ユーザー管理データベースに登録するユーザー登録部と、を含み、前記フォルダ生成部は、前記委託者が操作する情報端末装置からの、前記ビルの名称および前記各管理業務のそれぞれの入力に基づいて、前記ビルフォルダおよび前記各業務フォルダのそれぞれを生成し、前記ユーザー登録部は、前記責任者が操作する情報端末装置からの、前記責任者のIDおよびパスワードの入力に基づいて前記責任者を認証し、前記責任者が属する前記受託法人に所属する前記作業者と、当該作業者に従事させるビルの管理業務の入力を受け付けて、当該作業者のIDおよびパスワードを生成すると共に、当該作業者のIDおよびパスワードと、当該作業者に従事させるビルの管理業務とを対応づけて前記ユーザー管理データベースに登録し、前記アクセス管理部は、前記委託者が操作する情報端末装置から、前記委託者のIDおよびパスワードが入力されて前記ビルフォルダへのアクセスが要求された場合に、前記委託者のIDおよびパスワードに基づいて前記委託者を認証し、前記ユーザー管理データベースにおいて前記委託者のIDに対応づけられたビルに対応する前記ビルフォルダにアクセスを許可し、前記アクセス管理部は、前記作業者が操作する情報端末装置から、前記作業者のIDおよびパスワードが入力されて前記業務フォルダへのアクセスが要求された場合に、前記作業者のIDおよびパスワードに基づいて前記作業者を認証し、前記ユーザー管理データベースにおいて前記作業者のIDに対応づけられたビルの管理業務に対応する前記業務フォルダへのアクセスを許可する、としてもよい。
【0018】
本発明のフォルダ管理システムは、ビルの管理業務に関する電子ファイルが格納されるフォルダの管理を行うフォルダ管理装置と、複数の前記管理業務を委託する委託者が使用する委託者用の情報端末装置と、複数の前記管理業務のうちのいずれかに従事する作業者が使用する作業者用の情報端末装置と、を含み、前記フォルダ管理装置、前記委託者用の情報端末装置、および前記作業者用の情報端末装置は、ネットワークを介して接続されており、前記フォルダ管理装置は、前記ビルの情報が格納されるビルフォルダと、前記ビルフォルダに中に格納され、前記ビルにおける前記管理業務ごとに設けられて前記電子ファイルが入る業務フォルダとを生成するフォルダ生成部と、前記委託者用の情報端末装置に、前記ビルフォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可するアクセス管理部と、を備え、前記アクセス管理部は、前記作業者用の情報端末装置に、前記作業者が従事する管理業務に対応する前記業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可すると共に、前記作業者が従事しない管理業務に対応する前記業務フォルダ以下へのアクセスを禁止する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、ビルの管理業務に関する電子ファイルへのアクセスの利便性と情報セキュリティを向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】フォルダ管理システムの全体構成を模式的に示す図である。
【
図3】フォルダ管理装置が提供するフォルダ群の一例を示す図である。
【
図4】委託者のフォルダ群へのアクセス画面の一例を示す図である。
【
図5】BM責任者のフォルダ群へのアクセス画面の一例を示す図である。
【
図6】BM作業者のフォルダ群へのアクセス画面の一例を示す図である。
【
図7】フォルダ管理システムの各ユーザーの権限を説明するための図である。
【
図8】ユーザー登録とフォルダの自動生成の流れを示す図である。
【
図9】ユーザー管理データベースの一例を示す図である。
【
図10】BM責任者のユーザーIDを発行するための画面の一例を示す図である。
【
図11】BM作業者のユーザーIDを発行するための画面の一例を示す図である。
【
図12】同一ユーザーが複数のユーザーIDを持つ場合の1つのユーザーIDへアクセス権を集約する処理を説明するための図である。
【
図13】同一ユーザーが複数のユーザーIDを持つ場合の1つのユーザーIDへアクセス権を集約する処理を説明するための図である。
【
図14】同一ユーザーが複数のユーザーIDを持つ場合の1つのユーザーIDへアクセス権を集約する処理を説明するための図である。
【
図15】複数の委託者フォルダを含むフォルダ群のアクセス画面の一例を示す図である。
【
図16】管理業務の引継ぎ時の処理を説明するための図である。
【
図17】管理業務の引継ぎ時の処理を説明するための図である。
【
図18】管理業務の引継ぎ時の処理を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る実施形態について添付図面を参照しながら詳細に説明する。以下で述べる構成は、説明のための例示であって、システム、装置の仕様等に合わせて適宜変更が可能である。また、以下において複数の実施形態や変形例などが含まれる場合、それらの特徴部分を適宜に組み合わせて用いることは当初から想定されている。全ての図面において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0022】
図1は、本実施形態に係るフォルダ管理システム10の全体構成を模式的に示す図である。フォルダ管理システム10は、ビルの管理業務に関する電子ファイルが格納されるフォルダの管理を行うフォルダ管理装置12と、ビルの管理業務を委託する委託者(オーナー、プロパティマネジメント会社など)が操作する情報端末装置16と、ビルの管理業務を受託するBM(管理業務会社)の責任者が操作する情報端末装置18と、ビルの管理業務に従事するBMの作業者が操作する情報端末装置20A、20Bと、システム管理者が操作する情報端末装置14とを含む。なお、プロパティマネジメント会社(以下、PMと言う)とは、ビルのオーナーから委託を受けてビル資産を管理する会社であり、PMはオーナーに代わってビルの管理業務をBMに委託する。また、オーナーは、法人または自然人であり得る。
【0023】
フォルダ管理装置12および情報端末装置14、16、18、20A、20Bは、インターネット、イントラネット等のネットワーク22を介して互いに接続されている。
図1には図示されていないが、フォルダ管理システム10は、複数の委託者の情報端末装置16、複数のBM責任者の情報端末装置18、複数のシステム管理者の情報端末装置14を含むことができ、BM作業者の情報端末装置20A(20B)は、1つまたは3つ以上であることができる。
【0024】
各情報端末装置14、16、18、20A、20Bは、例えばPC、スマートフォン、タブレット端末等である。各情報端末装置14、16、18、20A、20Bには、Webブラウザがインストールされており、Webブラウザを用いてフォルダ管理装置12が提供するWebページにアクセスし、ログインする。それにより、フォルダ管理装置12が提供するフォルダ群(後述)にアクセス可能となっている。BM作業者の情報端末装置20A(20B)は、BM作業者のそれぞれが所持する情報端末装置であったり、例えばビルの管理業務室などに置かれて複数のBMの作業者に共用されるPCであり得る。
【0025】
フォルダ管理装置12は、複数の情報端末装置からの要求に対してサービス、リソースを提供するサーバであり、例えばクラウド上のサーバであってもよい。フォルダ管理装置12は、ログイン画面を含むWebページを提供し、自身が有するフォルダ群へのアクセスを含むサービスを各情報端末装置に提供する。各ユーザーは、情報端末装置を用いてログイン画面でユーザーIDとパスワードを入力することで、フォルダ管理装置12のサービスを利用することができる。
【0026】
図1の一点鎖線の内側には、フォルダ管理装置12のハードウェア構成の一例が示されている。フォルダ管理装置12は、例えば、プロセッサ30、ROM36、RAM38、ハードディスクドライブ(HDD)40、ネットワークカード等の通信部42、マウスやキーボード等の入力部32、およびディスプレイ等の表示部34を含み、これらがバス46に接続されて構成されている。なお、プロセッサ30は、1つまたは複数のCPUから構成されてもよく、複数のCPUのそれぞれは物理的に互いに離れて位置してもよい。フォルダ管理装置12は、HDD40等に記憶されたプログラムをプロセッサ30が実行することにより、
図2に示すように、受付部60、ユーザー登録部62、フォルダ生成部64、アクセス管理部66、ユーザー管理データベース68、およびフォルダ群70として機能する。
【0027】
ところで、ビルの管理業務には、警備、清掃、設備管理(以下、単に設備とも言う)などがあり、一社または複数社のBMの作業者が、ビルに常駐し、自身に課された管理業務に従事している。なお、設備管理とは、例えばビルのブラインド、照明、空調などを、ビル入居者の依頼で操作したり、異常がないかを確認したりする業務である。作業者は、業務日報、昼夜業務の引継ぎ書類、ビルの設備点検結果などの業務記録の作成も行っている。本実施形態では、作業者は、電子ファイルとして業務記録を作成する。作業者は、情報端末装置20A(20B)からフォルダ管理装置12のサービスにログインし、作成した電子ファイルを、フォルダ群の一部である業務フォルダにを入れる。なお、以下では、業務記録の電子ファイルを、業務記録ファイルとも言う。
【0028】
図3は、フォルダ管理装置12が提供するフォルダ群70の一例を示す図である。フォルダ群70は、複数の基礎フォルダ群72と複数のBM個別フォルダ90を含み、後述するように、これらは自動生成され、これらのアクセス権も自動設定される。基礎フォルダ群72は、委託者の識別情報をフォルダ名称に含む委託者フォルダ80と、委託者フォルダ80の直下にあり、当該委託者が管理業務を委託するビルの識別情報をフォルダ名に含むビルフォルダ82と、ビルフォルダ82の直下にあり、当該ビルの管理業務の識別情報をフォルダ名称に含む業務フォルダ84と、を含む。
図3のフォルダ名称「共通」のフォルダは、複数の管理業務で共用される電子ファイル等を入れる業務フォルダであり、以下、このフォルダを共通業務フォルダ84aと言う。基礎フォルダ群72は、委託者ごとに設けられる。BM個別フォルダ90は、BMごとに設けられるフォルダであり、BMの識別情報をフォルダ名称に含む。
【0029】
作業者は、自身が業務に従事するビルの管理業務に対応する業務フォルダ84に、業務記録ファイルを入れる(アップロードする)。例えば、作業者が「Aビル」の「設備管理」の業務に従事する場合には、
図3において、フォルダ名称「Aビル」のビルフォルダ82直下にあるフォルダ名称「設備」の業務フォルダ84に、業務記録ファイルを入れることになる。
【0030】
図4、5および6は、各情報端末装置16、18、20A(20B)がフォルダ管理装置12のサービスにログインすることで、各情報端末装置16、18、20A(20B)に表示されるフォルダ群のアクセス画面の一例である。
図4は、委託者が操作する情報端末装置16に表示されるフォルダ群のアクセス画面の一例であり、
図5は、BM責任者が操作する情報端末装置18に表示されるフォルダ群のアクセス画面の一例であり、
図6は、BM作業者が操作する情報端末装置20A(20B)に表示されるフォルダ群のアクセス画面の一例である。
図4、5および6には、ビルフォルダ82「Aビル」の中の業務フォルダ84「設備」が開かれて、業務フォルダ84「設備」内の電子ファイル500および任意のフォルダ502がリスト表示されている例が示されている。
【0031】
フォルダ管理装置12のアクセス管理部66は、各ユーザーが操作する情報端末装置からの各フォルダへのアクセスの許可、不許可を管理する。具体的には、アクセス管理部66は、
図4に示すように、委託者の情報端末装置16に、当該委託者(
図4の例ではA)に対応する委託者フォルダ80以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可し、他の委託者に対応する委託者フォルダ80以下へのアクセスを禁止する。なお、この実施形態では、アクセスが禁止されたフォルダは、画面に表示されないようにしている。
【0032】
また、アクセス管理部66は、
図5に示すように、BM責任者の情報端末装置18に、当該BM責任者が所属する会社(
図5の例では第2BM社)が受託したビルの管理業務(
図5の例ではAビルの清掃および設備と、Bビルの清掃)に対応する業務フォルダ84以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可し、受託していないビルの管理業務に対応する業務フォルダ84以下へのアクセスを禁止する。また、アクセス管理部66は、BM責任者の情報端末装置18に、当該BM責任者が所属する会社が管理業務を受託したビル(
図5の例ではAビルとBビル)の共通業務フォルダ84aへのアクセスを許可する。また、アクセス管理部66は、BM責任者の情報端末装置18に、当該BM責任者が所属する会社(
図5の例では第2BM社)に対応するBM個別フォルダ90へのアクセスを許可する。なお、アクセス管理部66は、委託者の情報端末装置16に、各BM個別フォルダ90へのアクセスを禁止することにより、各BMは、各BM個別フォルダ90に機密情報などを格納しておくことができる。
【0033】
また、アクセス管理部66は、
図6に示すように、BM作業者の情報端末装置20A(20B)に、当該BM作業者が所属する会社(
図6の例では第2BM社)が受託したビルの管理業務のうち、当該BM作業者が従事するビルの管理業務(
図6の例ではAビルの清掃および設備)に対応する業務フォルダ84以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可し、当該作業者が従事しないビルの管理業務に対応する業務フォルダ84以下へのアクセスを禁止する。また、アクセス管理部66は、BM作業者の情報端末装置20A(20B)に、当該BM作業者が管理業務に従事するビル(
図6の例ではAビル)の共通業務フォルダ84aへのアクセスを許可する。また、アクセス管理部66は、BM作業者の情報端末装置20A(20B)に、当該BM作業者が所属する会社(
図6の例では第2BM社)に対応するBM個別フォルダ90へのアクセスを許可する。
【0034】
この実施形態によれば、委託者は、委託者フォルダ80以下のフォルダおよび電子ファイルを閲覧することで、自身が管理業務を委託した全てのビルの各管理業務に関する電子ファイルを網羅的に確認することができる。また、BM責任者は、自身が所属する会社が受託した全てのビルの管理業務の電子ファイルを横断的に確認することができる。また、BM作業者は、自身が従事する管理業務の業務フォルダ以下へのアクセスが許可され、一方、自身が従事しない管理業務の業務フォルダ以下へのアクセスが禁止されるため、業務記録ファイルの情報セキュリティが担保される。
【0035】
次に、フォルダ群70の自動生成と、それに含まれる各フォルダのアクセス権の自動設定にについて説明する。これらは、委託者、BM責任者、およびBM作業者を、システムにユーザー登録する過程で行われる。
図7は、フォルダ管理システム10の各ユーザーの権限を示す図であり、
図8は、ユーザー登録の流れを示す図である。
図8のフローを実行することで、
図9に示すようなユーザー管理データベース68(以下、ユーザー管理DB68と言う)が作成され、
図3に示すようなフォルダ群70が生成される。なお、
図9のユーザー管理DB68は、
図3のフォルダ群70と、
図4~6のアクセス画面に対応した例である。
【0036】
次に、
図8のユーザー登録の流れについて説明する。まず、S100で、システム管理者は、情報端末装置14からフォルダ管理装置12のサービスにログインし、委託者のユーザー名(氏名または法人名)、メールアドレス、人物属性(オーナーまたはPM)、および当該委託者が管理業務を委託するビルの名称を入力する。これらは、フォルダ管理装置12の受付部60に受け付けられ、それに応じて、S102で、フォルダ管理装置12のユーザー登録部62は、委託者のユーザーIDとパスワードを発行する。ユーザーIDは、フォルダ管理装置12における各ユーザーの識別情報である。
【0037】
そして、ユーザー登録部62は、委託者のユーザーIDおよびパスワードと、システム管理者から入力された、委託者のユーザー名、メールアドレス、人物属性(オーナーまたはPM)、およびビルの名称を対応づけて、ユーザー管理DB68に登録する。
図9の(1)には、委託者としてユーザーA、BおよびCが、ユーザー管理DB68に登録された例が示されている。そして、フォルダ管理装置12は、ユーザー管理DB68に登録されたメールアドレスを用いて、ユーザー登録された委託者に、当該委託者のユーザーIDとパスワードが記載された電子メールを送信する。
【0038】
委託者は、フォルダ管理装置12からの電子メールを情報端末装置16等で受信し、S104で、電子メールに記載されたユーザーIDとパスワードを用いて、情報端末装置16からフォルダ管理装置12のサービスにログインする。フォルダ管理装置12のユーザー登録部62は、委託者の情報端末装置16からのユーザーIDとパスワードを、ユーザー管理DB68に登録されたユーザーIDとパスワードと照合して、委託者を認証する。
【0039】
そして、フォルダ管理装置12は、委託者の認証が済むと、S106で、委託者の情報端末装置16にビル情報の入力画面を提供する。
図10は、ビル情報の入力画面の一例であり、ユーザー管理DB68において委託者に対応づけられたビルが複数ある場合には、そのうちの1つが選択されて表示される画面の一例である。
図10に示すように、入力画面は、ログインしたユーザー名110、ビル情報が入力されるビルの名称100(ビル名)、およびビル名に示されるビルの各管理業務を委託する各BMの情報を入力するための複数の入力セット190を含む。
【0040】
各入力セット190は、BMの責任者のユーザー名(氏名)、メールアドレス、および所属会社(受託法人102とも言う)が入力されるテキストボックス200、202、204と、当該BMに委託する管理業務104を選択するラジオボタン300を含む。なお、本実施形態では、ラジオボタン300で「その他」を選択して、テキストボックス206に管理業務名を入力することで、任意の管理業務をBMに対応づけできるようにしている。
【0041】
委託者は、情報端末装置16のキーボード、マウスまたはタッチパネル等により、入力画面の各入力セット190に、BM責任者のユーザー名、メールアドレス、所属会社、および管理業務を入力し、その後、入力画面の下部にある「BM責任者IDの発行(フォルダ自動生成)」のボタン400を押下する。なお、ユーザー管理DB68において同一の委託者に対応づけられたビルが複数ある場合(例えば
図9におけるAビル、Bビルに対応づけられたユーザーAの場合)には、入力画面として、複数のビルの情報を入力できる画面を提供し、委託者が、その入力画面に複数のビルの情報を入力した後、「BM責任者IDの発行」のボタン400を押下できるようにしてもよい。
【0042】
ボタン400の押下により、入力画面に入力された情報は、フォルダ管理装置12の受付部60に受け付けられ、それに応じて、
図8のS108で、フォルダ管理装置12のユーザー登録部62は、各BM責任者のユーザーID及びパスワードを発行する。そして、ユーザー登録部62は、各BM責任者のユーザーIDおよびパスワードと、入力画面に示されたユーザー名、メールアドレス、人物属性(BM責任者)、所属会社、受託するビル名および管理業務とを対応づけて、ユーザー管理DB68に登録する。
図9の(2)には、BM責任者としてユーザーE、FおよびGが、ユーザー管理DB68に登録された例が示されている。そして、フォルダ管理装置12は、ユーザ管理DB68に登録された各BM責任者のメールアドレスを用いて、ユーザー登録された各BM責任者に、各自のユーザーIDとパスワードが記載された電子メールを送信する。
【0043】
また、
図10のボタン400の押下により、
図8のS110で、フォルダ管理装置12のフォルダ生成部64は、上記入力画面に示されたユーザー名110(委託者名)、ビルの名称100、およびラジオボタン300で選択された各管理業務(管理業務の種類)のそれぞれに対応させて、委託者フォルダ80、ビルフォルダ82および業務フォルダ84を生成する(
図3参照)。また、フォルダ生成部64は、上記入力画面における各BM責任者の所属会社102(受託法人)に対応させて、BM個別フォルダ90も生成する。なお、共通業務フォルダ84a(フォルダ名「共通」のフォルダ)は、上記入力画面におけるラジオボタン300の選択に関係なく、必ず生成されるフォルダである。また、上記入力画面において、ラジオボタン300で「その他」を選択して、テキストボックス206に管理業務名を入力していた場合には、そこに入力されていた管理業務名をフォルダ名とする業務フォルダ84が生成されることになる。
【0044】
ここで、生成された各フォルダのアクセス権を示す情報は、ユーザー管理DB68にすでに存在していることに留意すべきである。すなわち、
図9に示すユーザー管理DB68の(4)の列に、各フォルダのアクセス権を示す情報が存在している。ユーザー管理DB68の人物属性が委託者(オーナーまたはPM)であるユーザーは、当該ユーザーのユーザー名をフォルダ名に含む委託者フォルダ80にアクセス権があることになる。例えば、
図9のユーザーAは、
図3の委託者フォルダ「オーナーA」にアクセス権があることになる。
【0045】
また、ユーザー管理DB68の人物属性がBM責任者であるユーザーは、当該ユーザーに対応づけられたビル名をフォルダ名に含むビルフォルダ82にアクセス権があり、当該ビルフォルダ82の中の、当該ユーザーに対応づけられた管理業務をフォルダ名に含む業務フォルダ84にアクセス権があることになる。また、BM責任者であるユーザーは、アクセス権があるビルフォルダ82の中の共通業務フォルダ84aにアクセス権があり、当該ユーザーに対応づけられたBM会社名をフォルダ名に含むBM個別フォルダ90にアクセス権があることになる。例えば、
図9のユーザーFは、
図3のビルフォルダ「Aビル」、「Bビル」にアクセス権があり、ビルフォルダ「Aビル」の中の業務フォルダ「清掃」、「設備」、「共通」にアクセス権があり、ビルフォルダ「Bビル」の中の業務フォルダ「清掃」、「共通」にアクセス権があり、さらにBM個別フォルダ「第2BM社」にアクセス権があることになる。
【0046】
図8に戻り、ユーザー登録の説明を続ける。
図8のS108で、BM責任者は、情報端末装置18等により、ユーザーIDとパスワードが記載された電子メールを受信する。そして、S112で、電子メールに記載されたユーザーIDとパスワードを用いて、情報端末装置18からフォルダ管理装置12のサービスにログインする。フォルダ管理装置12のユーザー登録部62は、BM責任者の情報端末装置18からのユーザーIDとパスワードを、ユーザー管理DB68に登録されたユーザーIDとパスワードと照合して、BM責任者を認証する。
【0047】
そして、フォルダ管理装置12は、BM責任者の認証が済むと、S114で、BM責任者の情報端末装置18に作業者情報の入力画面を提供する。
図11は、作業者情報の入力画面の一例である。
図11に示すように、作業者情報の入力画面は、ログインしたBM責任者の所属会社102(受託法人)と、当該受託法人が受託したビルの名称100(ビル名)と、当該受託法人に所属する作業者のユーザー名(氏名)、メールアドレスが入力されるテキストボックス208、210と、当該受託法人が受託したビルの管理業務のうち、テキストボックス208に入力される作業者に従事させるビルの管理業務104を選択するラジオボタン302とを含む。ラジオボタン302は、当該受託法人102が受託したビルごとに設けられる。
【0048】
BM責任者は、情報端末装置18のキーボード、マウスまたはタッチパネル等により、入力画面のテキストボックス208、210のそれぞれに、作業者のユーザー名、メールアドレスを入力し、ビルごとのラジオボタン104で、当該作業者に従事させるビルの管理業務104を選択する。なお、作業者に従事させないビルについては、ラジオボタン104の全ボタンを不選択の状態とする。BM責任者は、情報の入力が終わったら、入力画面の下部にある「BM作業者IDの発行」のボタン402を押下する。
【0049】
ボタン402の押下により、入力画面で入力された情報は、フォルダ管理装置12の受付部60に受け付けられ、それに応じて、
図8のS116で、フォルダ管理装置12のユーザー登録部62は、BM作業者のユーザーID及びパスワードを発行する。そして、ユーザー登録部62は、BM作業者のユーザーIDおよびパスワードと、入力画面に示されたユーザー名、メールアドレス、人物属性(BM作業者)、所属会社、当該BM作業者が従事するビル名および管理業務とを対応づけて、ユーザー管理DB68に登録する。
図9の(3)には、BM作業者としてユーザーJ、K、MおよびNが、ユーザー管理DB68に登録された例が示されている。フォルダ管理装置12は、ユーザー管理DB68に登録されたメールアドレスを用いて、ユーザー登録されたBM作業者に、当該BM作業者のユーザーIDとパスワードが記載された電子メールを送信する。そして、BM作業者は、電子メールを情報端末装置20A(20B)等で受信する。
【0050】
また、フォルダ管理装置12は、ユーザー登録されたBM作業者に対応づけられたビルの委託者に、ユーザー管理DB68に登録されたメールアドレスを用いて、BM作業者のユーザーIDの登録結果(登録されたBM作業者のユーザー名、当該BM作業者が業務に従事するビル、管理業務等)が記載された電子メールを送信する。
【0051】
ここで、BM作業者のフォルダのアクセス権について説明する。ユーザー管理DB68の人物属性がBM作業者であるユーザーは、当該ユーザーに対応づけられたビル名をフォルダ名に含むビルフォルダ82にアクセス権があり、当該ビルフォルダ82の中の、当該ユーザーに対応づけられた管理業務をフォルダ名に含む業務フォルダ84にアクセス権があることになる。また、BM作業者であるユーザーは、アクセス権があるビルフォルダ82の中の共通業務フォルダ84aにアクセス権があり、当該ユーザーに対応づけられたBM会社名をフォルダ名に含むBM個別フォルダ90にアクセス権があることになる。例えば、
図9のユーザーNは、
図3のビルフォルダ「Aビル」にアクセス権があり、ビルフォルダ「Aビル」の中の業務フォルダ「清掃」、「設備」、「共通」にアクセス権があり、さらにBM個別フォルダ「第2BM社」にアクセス権があることになる。
【0052】
図8のフローが完了すると、各ユーザーのユーザーID登録、フォルダ群の生成、およびフォルダ群に含まれる各フォルダのアクセス権の設定が完了することになる。このように、ユーザーは、各フォルダを自ら作成しなくて済み、しかも、各フォルダのアクセス権も自ら設定しなくて済むので、各ユーザーは、非常に簡単、かつ、情報セキュリティ上安全に、フォルダの使用を始めることができる。各ユーザーのユーザーID登録は、システム管理者、委託者およびBM責任者が分担して行うので、ユーザー1人当たりの負担も軽減することができる。
【0053】
以上の説明から、
図7に示すように、委託者には、BM責任者のユーザーIDの発行権限があり、BM責任者には、当該BM責任者と同じ会社に所属するBM作業者のユーザーIDの発行権限があり、BM作業者には、ユーザーIDの発行権限が無いことになる。なお、
図7の「△」で示すように、委託者がBM作業者のユーザーIDを発行できるようにしてもよい。なお、BM責任者のユーザーIDとパスワードを、当該BM責任者と同じ会社に所属するBM作業者が共用する形態であってもよい。すなわち、BM責任者のユーザーIDとパスワードを、BM作業者のためのユーザーIDとパスワードとしても使用する形態である。このような形態は、一般的に、情報セキュリティ上あまり良くないが、例えば、BMが非常に小規模な会社であり、当該BMに所属する全ての作業者が1つのビルの1つの管理業務のみに従事するような場合には、情報セキュリティのリスクを抑えた上で、作業者ごとにユーザーIDとパスワードを発行する手間を省くことができる。
【0054】
次に、フォルダ群70へのアクセスについて説明する。各ユーザーは、各情報端末装置からフォルダ管理装置12のサービスに、自身のユーザーIDとパスワードを入力してログインする。フォルダ管理装置12のアクセス管理部66は、入力されたユーザーIDおよびパスワードを、ユーザー管理DB68に登録されたユーザーIDおよびパスワードと照合して、ユーザーを認証する。
【0055】
そして、アクセス管理部66は、ユーザーの認証が済み、情報端末装置からフォルダ群70へのアクセスが要求された場合には、フォルダ群70のアクセス画面(
図4~6参照)を情報端末装置に提供する。この際、アクセス管理部66は、ログインしたユーザーがアクセス権を有するフォルダを、ユーザー管理DB68を参照して特定し、アクセス権を有するフォルダのみをアクセス画面に表示する。そして、アクセス管理部66は、情報端末装置に、アクセス画面に表示されたファルダ内の参照、当該ファルダ内の電子ファイルのダウンロード、当該ファルダ内への電子ファイルのアップロード、および当該ファルダ内における任意のフォルダ502の作成を許可する。なお、フォルダ内の電子ファイルの情報端末装置へのダウンロード、情報端末装置からフォルダ内への電子ファイルのアップロードは、例えばマウス、タッチパネル等によるドラッグ・アンド・ドロップ操作により行えるとよい。また、アクセス画面に表示された各ファルダ間の電子ファイル、フォルダの移動、コピーもドラッグ・アンド・ドロップ操作により行えるとよい。
【0056】
以上説明した仕組みによって、BM作業者がフォルダ管理装置12のサービスにログインした場合には、
図6に示すように、BM作業者の情報端末装置20A(20B)に、当該BM作業者に従事するビルの管理業務に対応する業務フォルダ84以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスが許可され、当該作業者が従事しないビルの管理業務に対応する業務フォルダ84以下へのアクセスが禁止されることになる。これにより、BM作業者は、自身が従事するビルの管理業務に対応する業務フォルダ84に、業務記録ファイルをアップロードしたり、当該業務フォルダ84内の書類を閲覧することができる。また、BM作業者が、自身と関係ない管理業務の業務記録ファイルにアクセスし、それを漏洩するような事態を確実に防ぐことができる。
【0057】
また、BM責任者がフォルダ管理装置12のサービスにログインした場合には、
図5に示すように、BM責任者の情報端末装置18に、BM責任者が所属する会社が受託したビルの管理業務に対応する業務フォルダ84以下へのアクセスが許可され、受託していないビルの管理業務に対応する業務フォルダ84以下へのアクセスが禁止されることになる。これにより、BM責任者は、自身が所属する会社が受託した全てのビルの管理業務に関する電子ファイルおよびフォルダを横断的に確認することができる。また、BM責任者が、自身の会社とは関係ないビルの管理業務の業務記録ファイルにアクセスし、それを漏洩するような事態を確実に防ぐことができる。
【0058】
また、委託者がフォルダ管理装置12のサービスにログインした場合には、
図4に示すように、委託者の情報端末装置16に、当該委託者に対応する委託者フォルダ80以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスが許可され、他の委託者に対応する委託者フォルダ80以下へのアクセスが禁止されることになる。これにより、委託者は、自身が管理業務を委託した全てのビルの各管理業務に関する電子ファイルを網羅的に閲覧することができ、ビル単位の整理された状態で業務記録ファイルを管理することができる。
【0059】
なお、以上説明した実施形態では、委託者ごとにBM責任者のユーザー登録がされるので、例えば、
図12のユーザー管理DB68のユーザーID:0101、0102に示すように、同一のBM責任者Eに関し、委託者ごとにユーザー登録がされて、同一のBM責任者Eに対して複数のユーザーIDが発行される場合がある。この場合、ユーザーEは、複数の委託者に属する複数のビル(例えば
図12のAビル、Bビル、Cビル)で管理業務に従事する作業者のユーザーIDを発行するためには、2つのユーザーID(0101、0102)を用いて、BM作業者のユーザーID発行作業を行う必要があり、不便である。
【0060】
そこで、フォルダ管理装置12のアクセス管理部66は、ユーザー管理DB68を参照して、同一のユーザーに対して複数のユーザーIDが発行されている場合には、当該ユーザーがフォルダ管理装置12のサービスにログインした際に、
図13に示すようなアクセス権の集約を促す画面を表示してもよい。
図13の「集約」のボタン404が押下されると、アクセス管理部66は、ユーザー管理DB68を更新して、特定のユーザーID(
図12ではユーザーID:0101)に、別のユーザーID(
図12ではユーザーID:0102)のアクセス権を集約する。
図14には、
図12のユーザーEのアクセス権を集約した後のユーザー管理DB68が示されている。
【0061】
これにより、ユーザーE(BM責任者)は、アクセス権が集約されたユーザーIDを用いて、複数の委託者に属する複数のビルで管理業務に従事する作業者のユーザーIDを発行することができる。
図14には、ユーザーE(BM責任者)が、委託者Aに属するAビルおよびBビルと、委託者Bに属するCビルで管理業務に従事するユーザーK(BM作業者)のユーザーIDを発行した後のユーザー管理DB68が示されている。また、
図15には、ユーザーK(BM作業者)がフォルダ管理装置12のサービスにログインして、フォルダ群へのアクセスを要求した際に、ユーザーKの情報端末装置に表示されるフォルダ群のアクセス画面が示されている。
【0062】
なお、アクセス管理部66は、異なる委託者に属する複数のビルで業務に従事する作業者が操作する情報端末装置が、ある委託者フォルダ80の中のアクセス許可された業務フォルダ84以下のフォルダおよび電子ファイルを、別の委託者フォルダ80の中のアクセス許可された業務フォルダ84の中へ移動またはコピーすることを禁止する、としてもよい。例えば、
図15において、委託者フォルダ「オーナーA」の中のビルフォルダ「Aビル」における業務フォルダ「警備」以下のフォルダおよび電子ファイルを、委託者フォルダ「オーナーB」の中のビルフォルダ「Cビル」における業務フォルダ「警備」の中へ移動またはコピーすることを禁止する。このようにすれば、BM作業者による、委託者を跨いだ、フォルダおよび電子ファイルの不用意な移動またはコピーを防ぐことができる。
【0063】
また、アクセス管理部66は、同一の委託者に属する複数のビルで業務に従事する作業者が操作する情報端末装置が、あるビルフォルダ82の中のアクセス許可された業務フォルダ84以下のフォルダおよび電子ファイルを、別のビルフォルダ82の中のアクセス許可された業務フォルダ80の中へ移動またはコピーすることを禁止する、としてもよい。例えば、
図15において、ビルフォルダ「Aビル」の中の業務フォルダ「警備」以下のフォルダおよび電子ファイルを、ビルフォルダ「Bビル」の中の業務フォルダ「警備」の中へ移動またはコピーすることを禁止する。このようにすれば、BM作業者による、ビルを跨いだ、フォルダおよび電子ファイルの不用意な移動またはコピーを防ぐことができる。
【0064】
次に、管理業務の引継ぎ時におけるフォルダのアクセス権の更新について説明する。委託者は、ビルの管理業務の委託を、現在委託しているBMから、別のBMに変更する場合があり、その場合には、現BMから新BMへの管理業務の引継ぎが必要になる。そこで、フォルダ管理装置12のアクセス管理部66は、委託者から引継ぎ時間の指定を受けることで、指定された引継ぎ時間の間だけ、現BM(旧BM)と新BMの両方に、引継がれる管理業務に対応する業務フォルダ84のアクセス権を与える。この実施形態について、以下に説明する。
【0065】
委託者は、フォルダ管理装置12のサービスにログインして、管理業務の引継ぎの設定要求をすると、フォルダ管理装置12は、委託者が操作する情報端末装置16に、
図16に示すような引継ぎ設定画面を提供する。
図16は、ユーザー管理DB68で委託者に対応づけられたビルが複数ある場合には、そのうちの引継ぎを行うビルが選択されて表示される画面の一例である。
図16の引継ぎ設定画面は、
図10のBM責任者のユーザーID発行画面と、下部のボタン構成以外は、ほぼ同じ構成である。
【0066】
委託者は、引継ぎ設定画面において、BMを変更する管理業務の入力セット190(
図15では一番上(Aビルの警備)の入力セット190)に、新BMの情報(BM責任者、メールアドレス、BM会社名)を入力し、引継ぎ設定画面の下部にあるテキストボックス208に引継ぎ時間(引継ぎ日数)を設定した後、「更新」ボタン406を押下する。
【0067】
ボタン406の押下により、引継ぎ設定画面で入力された新BMの情報は、フォルダ管理装置12の受付部60に受け付けられ、それに応じて、ユーザー登録部62は、新BM責任者のユーザーIDとパスワードを発行する。そして、ユーザー登録部62は、
図17に示すように、新BM責任者のユーザーID(
図17ではユーザーID:0110)およびパスワードと、引継ぎ設定画面に入力されたユーザー名、メールアドレス、人物属性(BM責任者)、所属会社、ビル名および管理業務(
図17ではAビルおよび警備)とを対応づけて、ユーザー管理DB68に登録する。これにより、新BM責任者は、受託したビルの管理業務(
図17ではAビルの警備)に関して、同じ会社に所属する作業者(BM作業者)のユーザーIDを発行することができる。以上の処理により、アクセス管理部66は、新BM責任者(または新BM作業者)がフォルダ管理装置12のサービスに各自のユーザーIDでログインした際に、新BM責任者(または新BM作業者)の情報端末装置に、引継がれた管理業務(Aビルの警備)に対応する業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可することになる。
【0068】
また、アクセス管理部66は、引継ぎ設定画面のボタン406の押下(管理業務の委託先を変更する指令)と、引継ぎ時間を受け付け、ボタン406の押下から引継ぎ時間が経過するまで、ユーザー管理DB68における、旧BM責任者および旧BM作業者のユーザーID(
図17ではユーザーID:0101、1001、1002)に対応づけられたビルの管理業務(Aビルの警備)を維持する。これにより、アクセス管理部66は、引継ぎ設定画面のボタン406の押下から引継ぎ時間が経過するまで、旧BM責任者および旧BM作業者が操作する情報端末装置に、引継がれた管理業務(Aビルの警備)に対応する業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを許可することになる。このように、ビルの管理業務の委託先が変更される場合、引継ぎ時間の間だけ、旧BMと新BMの両方に業務フォルダへのアクセスを許可するので、引継ぎ対象の業務フォルダ84内のフォルダ、電子ファイルを用いた引継ぎを円滑に行うことができる。
【0069】
また、アクセス管理部66は、引継ぎ設定画面のボタン406の押下から引継ぎ時間が経過した後に、
図18に示すように、ユーザー管理DB68の旧BM責任者および旧BM作業者のユーザーID(
図18ではユーザーID:0101、1001、1002)に対応づけられたビル名、管理業務のうち、引継がれたビルの管理業務(
図17に示すAビル、警備)についてはN/A(ノットアサイン)に更新する。これにより、アクセス管理部66は、旧BM責任者(または旧BM作業者)がフォルダ管理装置12のサービスに各自のユーザーIDでログインした際に、旧BM責任者(または旧BM作業者)の情報端末装置に、引継がれた管理業務(Aビルの警備)に対応する業務フォルダ以下のフォルダおよび電子ファイルへのアクセスを禁止することになる。従って、旧BM責任者(または旧BM作業者)に対する、引継がれた業務フォルダ84の情報セキュリティも担保することができる。
【0070】
なお、
図16の引継ぎ設定画面において、下部のラジオボタン304で「すぐに更新」が選択され、「更新」ボタン406が押下された場合には、アクセス管理部66は、当該ボタン406の押下された後すぐに、
図18に示すように、旧BM責任者および旧BM作業者のユーザーIDに対応づけられたビル名、管理業務のうち、引継がれたビルの管理業務(
図17に示すAビル、警備)についてN/A(ノットアサイン)に更新する。このようにすれば、旧BM責任者および旧BM作業者の、引継がれた業務フォルダ84のアクセス権を即座に消失させることができる。
【符号の説明】
【0071】
10 フォルダ管理システム、12 フォルダ管理装置、14,16,18,20A,20B 情報端末装置、22 ネットワーク、30 プロセッサ、32 入力部、34 表示部、36 ROM、38 RAM、40 ハードディスクドライブ、42 通信部、46 バス、60 受付部、62 ユーザー登録部、64 フォルダ生成部、66 アクセス管理部、68 ユーザー管理データベース、70 フォルダ群、72 基礎フォルダ群、80 委託者フォルダ、82 ビルフォルダ、84 業務フォルダ、84a 共通業務フォルダ、90 BM個別フォルダ、100 ビルの名称、102 受託法人(所属会社)、104 管理業務、110 ユーザー名、190 入力セット、200,202,204,206,208,210 テキストボックス、300,302,304 ラジオボタン、400,402,404,406 ボタン、500 電子ファイル、502 任意のフォルダ。