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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】配達物受け取り装置
(51)【国際特許分類】
   A47G 29/12 20060101AFI20240419BHJP
【FI】
A47G29/12 Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020118285
(22)【出願日】2020-07-09
(65)【公開番号】P2022015444
(43)【公開日】2022-01-21
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】井上 貴之
【審査官】渡邉 洋
(56)【参考文献】
【文献】実開平04-009187(JP,U)
【文献】特開平10-117917(JP,A)
【文献】特開平11-185191(JP,A)
【文献】登録実用新案第3202543(JP,U)
【文献】特開2019-005443(JP,A)
【文献】特開2016-140144(JP,A)
【文献】特開平11-152190(JP,A)
【文献】特開2020-191976(JP,A)
【文献】特開2019-063338(JP,A)
【文献】特開2020-028327(JP,A)
【文献】特開平05-016993(JP,A)
【文献】特開平07-313328(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108346237(CN,A)
【文献】実公平06-015538(JP,Y2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47G29/12-29/126
B65D67/00-67/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
配達物を収納可能な配達物収納袋と、
前記配達物収納袋を折り畳んだ状態で格納可能な格納箱と、を備え、
前記格納箱は、前記配達物収納袋が納められるベース部と、前記ベース部の前面に開閉可能に設けられる蓋部と、前記ベース部の背面に設けられる固定部材と、を有
前記蓋部及び前記ベース部のうちの少なくともいずれか一方には、前記蓋部が閉じられても内部に格納される前記配達物収納袋の一部を外部から視認可能な切り欠き部が設けられ、
前記切り欠き部は、前記格納箱の両側方及び下方に開放されている、配達物受け取り装置。
【請求項2】
前記固定部材は、両面粘着テープである、請求項1に記載の配達物受け取り装置。
【請求項3】
前記配達物収納袋を前記ベース部に連結するための連結部材をさらに備え、
前記ベース部は、前記連結部材の端部を係止する係止部を有する、請求項1又は2に記載の配達物受け取り装置。
【請求項4】
前記蓋部は、前記蓋部の上端部に配置される回動軸を中心にして、前記ベース部に対して上開きするように設けられる、請求項1~3のいずれか1項に記載の配達物受け取り装置。
【請求項5】
前記切り欠き部は、前記蓋部と前記ベース部との突き合わせ部を切り欠くように設けられる、請求項1~4のいずれか1項に記載の配達物受け取り装置。
【請求項6】
前記蓋部の下端部には、前記ベース部の下端部よりも下方に延出する手掛け部を有する、請求項1~のいずれか1項に記載の配達物受け取り装置。
【請求項7】
前記蓋部及び前記ベース部のうちの少なくともいずれか一方の下端部には、内部に浸入する雨水を排出するための排水口が設けられる、請求項1~のいずれか1項に記載の配達物受け取り装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、配達物受け取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、受取人不在時の配達物を受け取るための宅配ボックス(例えば、特許文献1参照)及び配達物受け取り袋(例えば、特許文献2参照)が知られている。特許文献1に記載の宅配ボックスは、玄関前に設置される門柱の一対の支柱の間に一体に設けられている。特許文献2に記載の配達物受け取り袋は、帯状の布材からなる係止部材を有する。配達物受け取り袋は、係止部材を玄関ドアの戸先側に挟み、係止部材の端部に設けられた弾性リング状部材を玄関ドアの室内側のノブもしくはハンドルに掛かり止めしている。これによって、配達物受け取り袋は、室外側に配置された状態で玄関ドアに取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-178595号公報
【文献】特開2019-63338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の宅配ボックスは、門柱に一体に設けられるため、設置コストが高く、設置場所の制約があり、後付けすることが困難である。これに対して、特許文献2に記載の配達物受け取り袋は、安価で設置場所も取らず、容易に後付けすることができる。しかし、配達物受け取り袋は、玄関ドアの室外側に剥き出し状態で配置されるため、意匠性に劣る。しかも、配達物受け取り袋は、係止部材を玄関ドアの戸先側に挟み、弾性リング状部材によって玄関ドアのハンドルに取り付けられるため、玄関ドアの気密性、水密性及び断熱性が低下するとともに、玄関ドアの開閉操作時にハンドルの誤動作あるいは玄関ドアの破損のおそれがある。
【0005】
したがって、発明者は、既存の構築物に容易に後付けすることができ、意匠性及び設置性を向上させることができ、既存の構築物を破損するおそれもなく、不在時の配達物の受け取りを可能にするという新たな課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の配達物受け取り装置は、配達物を収納可能な配達物収納袋と、前記配達物収納袋を折り畳んだ状態で格納可能な格納箱と、を備え、前記格納箱は、前記配達物収納袋が納められるベース部と、前記ベース部の前面に開閉可能に設けられる蓋部と、前記ベース部の背面に設けられる固定部材と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】配達物受け取り装置が設置された玄関ドアを室外側から見た正面図である。
図2図1に示す配達物受け取り装置を拡大して示す斜視図である。
図3】蓋部を開放した配達物受け取り装置を示す斜視図である。
図4】蓋部を開放した配達物受け取り装置を下から見た斜視図である。
図5】配達物受け取り装置を背面側から見た斜視図である。
図6】配達物受け取り装置の使用状態を示す図である。
図7】配達物受け取り装置が玄関ドアの袖パネルに設置された状態を室外側から見た正面図である。
図8】他の実施形態に係る配達物受け取り装置を背面側から見た斜視図である。
図9】他の実施形態に係る配達物受け取り装置の蓋部を開放した状態を示す斜視図である。
図10】他の実施形態に係る配達物受け取り装置の蓋部を開放した状態を示す斜視図である。
図11】他の実施形態に係る配達物受け取り装置の蓋部を開放した状態を示す斜視図である。
図12】他の実施形態に係る配達物受け取り装置を下から見た斜視図である。
図13図12に示す配達物受け取り装置の蓋部を開放した状態を示す斜視図である。
図14】他の実施形態に係る配達物受け取り装置の連結部材と係止部を示す斜視図である。
図15】他の実施形態に係る配達物受け取り装置を示す側面図である。
図16】他の実施形態に係る配達物受け取り装置の底面を拡大して示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の配達物受け取り装置の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。図1に示す配達物受け取り装置3は、玄関ドア1を構成するドアパネル2の室外側面2aに設置されている。玄関ドア1は、建物躯体のドア開口部100に開閉可能に納められるドアパネル2を有する。ドアパネル2は、戸先側に、開閉操作用のハンドル21と、ハンドル21の上下にそれぞれ配置されるシリンダー錠22,23と、を有する。
【0009】
配達物受け取り装置3は、ドアパネル2の戸先側の室外側面2aに配置される。詳しくは、配達物受け取り装置3は、室外側面2aにおける下側のシリンダー錠23の下方に配置されている。配達物受け取り装置3は、図2図3及び図4に示すように、格納箱4の内部に、配達物を収納する配達物収納袋5を格納している。
【0010】
格納箱4は、ステンレス等の金属材料によって形成される箱体である。格納箱4は、縦長矩形状のベース部41と、ベース部41に対して室外側に向けて開閉可能に取り付けられる蓋部42と、を有する。
【0011】
ベース部41は、配達物収納袋5が設置される格納部411と、蓋部42よりも上方に延出する延出部412と、を有する。本実施形態に示す格納部411は、折り畳まれた配達物収納袋5の背面側を支持可能な縦長矩形状の板状に形成される。しかし、格納部411は、延出部412を除く周囲に、配達物収納袋5を取り囲むように立設される側壁部を有していてもよい。蓋部42は、格納部411の前面を覆っている。
【0012】
延出部412は、格納部411の上端部に連続して一体に設けられる。延出部412の前壁面412aは、格納部411の表面よりも前方に向けて突出し、閉じられた蓋部42の前面部421と面一状に配置される。図4に示すように、延出部412の内部は空洞であり、下方の格納部411のみに向けて開口している。延出部412の内部には、配達物収納袋5をベース部41に連結するための係止部413が設けられる。係止部413は、金属棒からなり、延出部412の内部を横方向に横断している。係止部413の両端部は、延出部412の左右の側壁面412b,412bに対して固定されている。
【0013】
格納部411の表面には、配達物受け取り装置3の使用方法が記載された説明書きシート414が配置される。本実施形態に示す説明書きシート414は、格納部411の表面に貼り付けられている。しかし、説明書きシート414は、格納部411の表面に吊り下げられていてもよい。
【0014】
蓋部42は、内側をベース部41に向けて配置される器状に形成される。詳しくは、図3に示すように、蓋部42は、ベース部41の格納部411の前面を覆う前面部421と、前面部421の四周囲を取り囲むように立設される上面部422、下面部423及び左右の側面部424,424を有する。蓋部42は、前面部421と上面部422との境界部と、延出部412の前壁面412aの下端部と、の間に配置される回動軸(図示せず)を中心にして、ベース部41に対して上開きするように設けられる。閉じられた蓋部42の前面部421は、延出部412の前壁面412aと面一に配置される。上面部422は、ベース部41の延出部412の空洞を閉鎖するように配置される。蓋部42は、ベース部41に対して閉じた状態を保持するための保持機構(図示せず)を備えてもよい。
【0015】
図3に示すように、上面部422は、蓋部42が閉じられた際に後述のロック装置6の連結ワイヤ63が挿通可能な凹部422aを有する。凹部422aは、上面部422の先端から前面部421に向けて上面部422を切り欠くように形成される。閉じられた蓋部42の下面部423及び側面部424,424は、ベース部41の格納部411の外周縁に沿って格納部411の表面に当接する。
【0016】
下面部423は、凹部423aを有する。凹部423aは、下面部423の先端から前面部421に向けて下面部423を切り欠くように形成される。凹部423aは、格納箱4の内部に浸入する雨水を外部に排出するための排水口として機能する。これによって、配達物収納袋5が雨水によって汚染されて劣化することが抑制される。さらに、凹部423aは、蓋部42を開放する際の手掛け部として利用することもできる。
【0017】
配達物収納袋5は、収納袋ケース51と、収納袋本体52(図6参照)と、を有する。収納袋ケース51は、コンパクトに折り畳まれた未使用時の収納袋本体52を収容する。収納袋本体52は、開閉可能なファスナ521を有し、箱状もしくは袋状等の配達物(図示せず)を内部に収納可能な大きさに形成される。収納袋本体52は、収納袋ケース51に連結されている。
【0018】
収納袋ケース51の背面51aには、図3中の破線によって示されるように、後述のロック装置6の掛け金62に対して係止する係止片511を有する。係止片511は、先端がループ状になるように帯状体を折り返すことによって形成される。係止片511は、収納袋ケース51の背面51aに縫着、溶着等によって固定されている。
【0019】
配達物収納袋5は、ロック装置6を介して格納箱4に連結され、ロック装置6と共にベース部41の格納部411の表面に配置される。ロック装置6は、ロック装置本体61と、ロック装置本体61から突出する略U字型の掛け金62と、連結ワイヤ63と、を有する。
【0020】
ロック装置本体61は、例えばダイヤル式、シリンダー式等のロック機構を有し、掛け金62のロック及びロック解除を行う。ロック装置本体61は、ロック解除によって掛け金62の一端をロック装置本体61から離脱させる。これによって、受取人は、掛け金62に対する配達物収納袋5の係止片511の係止及び係止解除を行うことができる。係止片511と掛け金62との係止が解除されることによって、受取人は、配達物が収納された配達物収納袋5をロック装置6から取り外して室内に回収することができる。
【0021】
連結ワイヤ63は、金属製の索条体からなり、ロック装置本体61内に引出し可能に巻回されている。連結ワイヤ63は、巻回方向に付勢されている。ロック装置本体61から引き出された連結ワイヤ63は、ロック装置本体61の側部に設けられる巻取りボタン611の押下操作によって巻回され、ロック装置本体61内に収容される。
【0022】
連結ワイヤ63は、配達物収納袋5を、ロック装置6を介して格納箱4に連結するため連結部材である。連結ワイヤ63の一方の端部(図示せず)は、ロック装置本体61の内部に固定されている。連結ワイヤ63の他方の端部は、図4に示すように、ループ状に処理された環状部631を有し、閉じられた蓋部42の上面部422の凹部422aを通って、延出部412内に延びている。環状部631は、延出部412内の係止部413に対して巻き掛けられることによって係止されている。これによって、ロック装置6はベース部41に対して連結される。
【0023】
連結ワイヤ63には、環状部631の近傍にグロメット64が取り付けられている。グロメット64は、連結ワイヤ63が蓋部42の上面部422と直に接触することによる傷付きを防止する。
【0024】
このように構成される配達物受け取り装置3は、格納箱4における蓋部42と反対側の背面4aを、設置面であるドアパネル2の室外側面2aに当接させてドアパネル2に固定される。本実施形態の格納箱4の背面4aは、図5に示すように、ベース部41の背面全面によって構成される。格納箱4の背面4aには、設置面に対する固定部材としての両面粘着テープ43が設けられている。配達物受け取り装置3は、この両面粘着テープ43によって、ドアパネル2の室外側面2aに貼り付けられて固定される。
【0025】
次に、受取人不在時の配達物受け取り装置3の使用方法について図3及び図6を用いて説明する。まず、配達者は、図3に示すように、配達物受け取り装置3の蓋部42を上方に開いて配達物収納袋5を取り出す。配達物収納袋5は、収納袋ケース51の背面51aの係止片511によってロック装置6と連結されている。配達者は、ロック装置本体61から連結ワイヤ63を伸長させることによって、配達物収納袋5をロック装置6ごと格納箱4から引き出す。配達物収納袋5が引き出されると、格納箱4の内部の説明書きシート414が露出する。配達者は、この説明書きシート414を参照しながら作業を容易に行うことができる。
【0026】
図6に示すように、配達者は、引き出した配達物収納袋5の収納袋ケース51内の収納袋本体52を取り出して広げ、配達物を収納した後、蓋部42を閉じる。これによって、配達物が玄関先に置かれる。配達物収納袋5は、引き出されたロック装置6の連結ワイヤ63によって、閉じられた蓋部42の凹部423aを通って格納箱4の係止部413に連結されている。そのため、配達物が配達物収納袋5ごと持ち去られることはない。配達物が収納された後の収納袋本体52のファスナ521は、適宜のロック装置(図示せず)によって閉状態にロックされてもよい。
【0027】
帰宅した受取人は、ロック装置6を解除して、係止片511をロック装置6の掛け金62から取り外す。これによって、受取人は、配達物が収納された配達物収納袋5ごと、室内に持ち込むことができる。ロック装置6は、受取人によって巻取りボタン611が押下操作され、連結ワイヤ63が巻回されることによって、再び格納箱4に格納される。
【0028】
配達物受け取り装置3は、住人が配達者に集荷をしてもらう目的で使用することもできる。この場合は、上記の使用方法において、配達者が行う作業を住人が行う。すなわち、住人が収納袋本体52を広げて荷物を収納し、玄関先に置く。配達者は、玄関先に置かれた荷物を収納袋本体52から取り出して集荷を行う。
【0029】
以上のように、配達物受け取り装置3は、配達物を収納可能な配達物収納袋5と、配達物収納袋5を折り畳んだ状態で格納可能な格納箱4と、を備える。格納箱4は、配達物収納袋5が納められるベース部41と、ベース部41の前面に開閉可能に設けられる蓋部42と、ベース部41の背面4aに設けられる固定部材としての両面粘着テープ43と、を有する。これによれば、未使用時の配達物収納袋5は、格納箱4内に格納されて外部に露出しないため、意匠性が向上する。格納箱4内に格納された配達物収納袋5は紫外線や風雨から保護されるため、耐久性も向上する。格納箱4は、背面4aの両面粘着テープ43を利用して設置面に固定されるため、設置作業は極めて簡単であり、既存の構築物に容易に後付けすることができる。そのため、設置性が向上する。既存の構築物を破損するおそれはなく、玄関ドア1の気密性、水密性及び断熱性が低下することもない。
【0030】
配達物受け取り装置3を設置面に固定するためにベース部41の背面4aに設けられる固定部材は、ボルト、ネジ、フック等の両面粘着テープ43以外の固定部材であってもよい。しかし、固定部材が両面粘着テープ43である場合には、固定のための加工を設置面に施す必要がない。そのため、配達物受け取り装置3は、ドアパネル2に限らず、任意の設置面に貼り付けるだけで簡単に固定することができる。例えば、図7に示すように、ドアパネル2の戸先側に袖パネル7を有する玄関ドア1Aの場合には、配達物受け取り装置3は、袖パネル7の室外側面7aに固定されてもよい。さらに、図示しないが、配達物受け取り装置3は、門柱、門壁等の玄関ドア以外の屋外構築物の表面に固定されてもよい。
【0031】
配達物受け取り装置3は、配達物収納袋5をベース部41に連結するための連結部材である連結ワイヤ63をさらに備える。ベース部41は、連結ワイヤ63の端部の環状部631を係止する係止部413を有する。これによって、配達物収納袋5は、格納箱4に対して強固に連結されるため、持ち去られることが防止される。連結ワイヤ63は、ハンドル21等の配達物受け取り装置3以外の構築物に係止されないため、配達物受け取り装置3の設置性はさらに向上する。
【0032】
図4に示す配達物受け取り装置3の係止部413は、ベース部41の延出部412内に横方向に固定されている。しかし、係止部413は、延出部412内に前後方向に延びるように設けられてもよい。例えば、図8に示す配達物受け取り装置3Aの延出部412の内部は、背面に向けて開口する空洞を有する。延出部412の内部とベース部41の格納部411の内部との間には、仕切り壁415が設けられている。仕切り壁415は貫通穴415aを有している。この配達物受け取り装置3Aの係止部416は、円柱状に形成され、前壁面412aの内面に溶接、ネジ止め等の適宜の固定手段によって固定されている。係止部416は、延出部412の前壁面412aから後方に向けて延びている。ロック装置6の連結ワイヤ63は、貫通穴415aを通って延出部412内に延び、環状部631によって係止部416に巻き掛けられている。この配達物受け取り装置3Aも、配達物受け取り装置3と同様の効果を奏する。
【0033】
図8に示す係止部416の後端面は、格納箱4の背面4aと同一面となるように配置されている。係止部416の後端面には、両面粘着テープ43と同一の両面粘着テープ431が設けられている。これによれば、係止部416も設置面に対して固定されるため、係止部416は、連結ワイヤ63を介して配達物収納袋5をより強固に連結することができる。
【0034】
以上の実施形態に示す格納箱4の蓋部42は、上端部に配置される回動軸(図示せず)を中心にして、ベース部41に対して上開きするように設けられる。これによれば、蓋部42の開放時に格納箱4の内部が大きく開放されるため、配達物収納袋5の取り出しが容易である。開かれた蓋部42は自重によって自然に閉じるため、蓋部42の閉め忘れも防止できる。
【0035】
しかし、格納箱4の蓋部42は、ベース部41に対して横開きするように取り付けられてもよい。図9は、横開きタイプの蓋部42を有する配達物受け取り装置3Bを示している。この配達物受け取り装置3Bは、蓋部42を開いた際に、格納箱4の上下方向が同時に開放されるため、内部の配達物収納袋5が視認し易い。配達物受け取り装置3Bは、蓋部42を開くときの前方への突出量が上開きの場合に比べて小さいため、前方のスペースが狭い場所にも設置することができる。
【0036】
格納箱4の蓋部42は、ベース部41に対して下開きするように設けられてもよい。図10は、下開きタイプの蓋部42を有する配達物受け取り装置3Cを示している。この配達物受け取り装置3Cは、上開きの場合と同様に、蓋部42が開いた際に格納箱4の内部が大きく開放されるため、配達物収納袋5が取り出し易い。配達物受け取り装置3Cは、蓋部42が開いた際に格納箱4の内部を上方から視認可能であるため、内部の配達物収納袋5の存在を容易に確認することができる。
【0037】
格納箱4の蓋部42は、ベース部41に対して平行にスライドするように設けられてもよい。図11は、スライドタイプの蓋部42を有する配達物受け取り装置3Dを示している。この配達物受け取り装置3Dによれば、蓋部42が開いた際に横開きの場合よりもさらに前方への突出量が抑えられる。
【0038】
配達物受け取り装置3Dのベース部41は、蓋部42の下方に配達物収納袋5を収容するポケット状の収容部417が設けられている。そのため、この配達物受け取り装置3Dによれば、未使用時の配達物収納袋5を格納箱4内に安定的に格納することができる。蓋部42は、ポケット状の収容部417を覆うように設けられてもよい。ポケット状の収容部417は、上述した配達物受け取り装置3,3A,3B,3Cに設けられてもよい。
【0039】
蓋部42及びベース部41のうちの少なくともいずれか一方には、内部に格納される配達物収納袋5の一部を外部から視認可能な切り欠き部を有してもよい。図12は、切り欠き部44を有する配達物受け取り装置3Eを示している。切り欠き部44は、蓋部42の下部とベース部41の下部との突き合わせ部40を跨ぐように設けられ、格納箱4の両側方及び下方に開放されている。これによって、蓋部42が閉じられていても、格納箱4内の配達物収納袋5の存在を容易に視認することができる。切り欠き部44は、格納箱4の下方に開放されているため、上開きする蓋部42の下端部を手掛け部として利用することもできる。切り欠き部44は、蓋部42とベース部41とのうちのいずれか一方のみに設けられてもよく、格納箱4の側方のみに開放されてもよい。
【0040】
配達物受け取り装置3Eの蓋部42は、図13に示すように、ベース部41の上端部に開閉可能に取り付けられている。ベース部41の表面には、配達物収納袋5及びロック装置6の外形形状に沿う収容凹部41aが設けられている。未使用時の配達物収納袋5及びロック装置6は、収容凹部41a内に嵌め込まれて収容される。これによって、配達物収納袋5及びロック装置6は、ベース部41の決められた部位に、体裁良く安定して配置される。
【0041】
図14に示すように、配達物受け取り装置3Eのベース部41の上部表面には、突出するピン状の係止部418が設けられている。ロック装置6の連結ワイヤ63の環状部631は、係止部418に巻き掛けられている。係止部418及び環状部631は、カバー419によって覆われている。カバー419は、ネジ419aによって係止部418に締結されている。これによって、ロック装置6の連結ワイヤ63は、ベース部41に対して強固に連結される。
【0042】
図15は、他の実施形態に係る上開きタイプの蓋部42を有する配達物受け取り装置3Fを示している。配達物受け取り装置3Fの蓋部42は、上述した配達物受け取り装置3Eと同様に、ベース部41の上端部に開閉可能に取り付けられている。この蓋部42の下端部には、ベース部41の下端部41bよりも下方に延出した手掛け部425が設けられている。そのため、使用者は、この手掛け部425を利用して、蓋部42の開閉操作を容易に行うことができる。このような手掛け部425は、上述した配達物受け取り装置3、3A,3Bの蓋部42に設けられてもよい。
【0043】
配達物受け取り装置3Fのベース部41は、格納される配達物収納袋5及びロック装置6の周囲を取り囲む壁面部を有する。図16に示すように、ベース部41の下端部41bには、格納箱4内に浸入した雨水を排出するための排水口41cが設けられている。これによって、格納箱4内の雨水の滞留が防止され、配達物収納袋5及びロック装置6の汚染及び劣化を抑制することができる。
【0044】
以上の実施形態では、正面視で縦長形状の配達物受け取り装置3,3A~3Fを例示したが、これに限定されない。配達物受け取り装置は、例えば正面視で横長形状であってもよく、正面視で矩形状以外の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0045】
3 配達物受け取り装置、 4 格納箱、 4a 背面、 41 ベース部、 41c 排水口、 413,416,418 係止部、 42 蓋部、 423a 凹部(排水口)、 425 手掛け部、 43 両面粘着テープ(固定部材)、 44 切り欠き部、 45 突き合わせ部、 5 配達物収納袋、 63 連結ワイヤ(連結部材)
図1
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