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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 3/36 20060101AFI20240419BHJP
   E06B 3/54 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
E06B3/36
E06B3/54 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020126184
(22)【出願日】2020-07-27
(65)【公開番号】P2022023326
(43)【公開日】2022-02-08
【審査請求日】2023-05-08
(73)【特許権者】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】植竹 智英
【審査官】野尻 悠平
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-218202(JP,A)
【文献】特開2001-280019(JP,A)
【文献】実開昭61-192077(JP,U)
【文献】実開平06-079987(JP,U)
【文献】特開昭52-108639(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E06B 3/36
E06B 3/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物躯体の開口部に取り付けられる枠体と、
横框及び縦框を框組みすることによって構成される樹脂製の框体の内側にガラスが納められ、左右のいずれか一方において前記枠体に開閉可能に取り付けられる障子と、
前記横框の戸先側に設けられる戸先下がり調整装置と、を備え、
前記戸先下がり調整装置は、
前記横框の戸先側における前記横框と前記ガラスの端面との間に配置され、雌ねじ部が設けられる調整板と、
前記横框を貫通して前記調整板の前記雌ねじ部に螺合する調整ねじと、を有し、
前記調整ねじの回転によって、前記調整板及び前記調整ねじのいずれかが前記横框を押し上げることによって、前記横框と前記ガラスの端面との間隔を調整する、建具。
【請求項2】
前記調整板は、前記横框の縦壁部に当接して配置され、前記調整ねじの回転時の共廻りが防止される、請求項に記載の建具。
【請求項3】
前記横框は、上框と下框とによって構成され、
前記戸先下がり調整装置は、前記上框の戸先側に配置される、請求項1又は2に記載の建具。
【請求項4】
前記上框は、樹脂製の上框部材と、金属製の補強芯材と、を有し、
前記調整板は、前記補強芯材によって構成される、請求項に記載の建具。
【請求項5】
前記横框は、上框と下框とによって構成され、
前記戸先下がり調整装置は、前記下框の戸先側に配置される、請求項1記載の建具。
【請求項6】
前記調整板は、前記ガラスの下端面に対して固着されている、請求項に記載の建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、建具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、障子の戸先側が垂れ下がる戸先下がりを防止するために、障子の戸先側の上部に垂れ下がり防止構造を備えた建具が知られている(例えば、特許文献1参照)。この垂れ下がり防止構造は、障子フレームに取り付けられたねじ穴を有するねじガイドと、ねじガイドのねじ穴にねじ込まれたねじと、を有する。ねじ送りされたねじの先端がガラスの端面に当接することによって、ガラスの端面を支えにして、障子フレームの戸先側の上下位置が調整される。このねじガイドは、ブロック状に形成され、障子フレームの戸先側の上部の中空部内を埋めるように設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実開平6-79987号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の技術では、ねじ穴を有するねじガイドを、障子フレームを矩形に組み立てる前に中空部内に取り付ける必要がある。そのため、建具の製造工程が煩雑化する。ねじガイドは、障子フレームの中空部内を埋めるように設けられるため、ねじガイドの大型化によって、建具の重量の増加を招くおそれもある。
【0005】
したがって、発明者は、建具の製造工程の煩雑化及び重量の増加を招くことなく、簡単な構造で障子の戸先下がりを防止できるようにする、という課題を見出した。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の建具は、建物躯体の開口部に取り付けられる枠体と、横框及び縦框を框組みすることによって構成される樹脂製の框体の内側にガラスが納められ、左右のいずれか一方において前記枠体に開閉可能に取り付けられる障子と、前記横框の戸先側に設けられる戸先下がり調整装置と、を備え、前記戸先下がり調整装置は、前記横框の戸先側に配置され、雌ねじ部が設けられる調整板と、前記横框を貫通して前記調整板の前記雌ねじ部に螺合する調整ねじと、を有し、前記調整ねじの回転によって、前記調整板及び前記調整ねじのいずれかが前記横框を押し上げることによって、前記横框と前記ガラスの端面との間隔を調整する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】障子を開いた状態の建具を示す斜視図である。
図2図1のA-A線に沿って切断した障子の縦断面図である。
図3図1のB-B線に沿って切断した障子の横断面図である。
図4図2に示す障子の上框を拡大して示す図である。
図5図4のC-C線に沿う縦断面図である。
図6】建具の障子の戸先下がりを説明する説明図である。
図7】戸先下がり調整装置による調整前の障子の上框を拡大して示す縦断面図である。
図8】戸先下がり調整装置による調整後の障子の上框を拡大して示す縦断面図である。
図9】戸先下がり調整装置の他の実施形態を示す障子の上框を拡大して示す縦断面図である。
図10】他の実施形態に係る建具を室内側から見た正面図である。
図11図10のD-D線に沿う縦断面図である。
図12図11のE-E線に沿う縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の建具について図面を参照して詳細に説明する。図1図2及び図3に示すように、建具1は、図示しない建物躯体の開口部に取り付けられる枠体2と、枠体2の内側に納められる障子3と、を有する。
【0009】
図1は、障子3が開いた建具1を室外側から見た状態を示す。図中のX1は室外側を示し、X2は室内側を示す。建具1において、X1-X2方向に沿う室内外方向を「見込み方向」と定義し、見込み方向に沿って配置される面を「見込み面」と定義する。さらに、建具1において、室外側及び室内側に対面している面をそれぞれ「見付け面」と定義し、見付け面の面方向を「見付け方向」と定義する。
【0010】
枠体2は、上下一対の上枠21及び下枠22と、左右一対の縦枠23,24と、を矩形に枠組みすることによって構成される。上枠21、下枠22、縦枠23,24は、何れも樹脂製であり、溶着によって接合される。上枠21、下枠22、縦枠23,24は、内部に複数の中空部を有する押出し形材である。
【0011】
障子3は、矩形に形成される框体30と、框体30の内側に納められるガラス4と、を有する。框体30は、上下一対の横框を構成する上框31及び下框32と、左右一対の縦框を構成する吊元側縦框33及び戸先側縦框34と、を矩形に框組みすることによって構成される。上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34は、何れも樹脂製であり、溶着によって接合される。上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34は、内部に複数の中空部を有する押出し形材である。戸先側縦框34の室内側には、障子3を開閉操作するためのグレモンハンドル35が設けられる。しかし、障子3を開閉操作するためのハンドルは、グレモンハンドル35に限定されず、カムラッチハンドル、オペレータハンドルであってもよい。
【0012】
ガラス4は、室外側に配置される室外側ガラス4a及び室内側に配置される室内側ガラス4bを備えるペアガラスである。室外側ガラス4aと室内側ガラス4bとの間には、周縁に沿ってスペーサ41及び樹脂製の封止材42が設けられる。封止材42は、スペーサ41の外周側に配置される。
【0013】
図2に示すように、上框31の内部は、見込み方向に複数の空間に区画されている。上框31には、室外側から室内側の順に、中空部31a,31b,31cが形成される。最も室外側の中空部31aは、室外側ガラス4aよりも室外側に突出して配置される。中空部31bは、中空部31aの室内側に連結される。中空部31bは、ガラス4の上方に所定の隙間をあけて配置される。最も室内側の中空部31cは、中空部31bの室内側に連結される。中空部31cは、室内側ガラス4bよりも室内側に突出しているとともに、中空部31bよりも下方に突出している。これによって、中空部31cは、室内側ガラス4bの室内側面の上端部に重なるように配置される。
【0014】
下框32の内部は、見込み方向に複数の空間に区画されている。下框32には、室外側から室内側の順に、中空部32a,32b,32cが形成される。最も室外側の中空部32aは、室外側ガラス4aよりも室外側に突出して配置される。中空部32bは、中空部32aの室内側に連結される。中空部32bは、ガラス4の下方に所定の隙間をあけて配置される。最も室内側の中空部32cは、中空部32bの室内側に連結される。中空部32cは、室内側ガラス4bよりも室内側に突出するとともに、中空部32bよりも上方に突出している。これによって、中空部32cは、室内側ガラス4bの室内側面の下端部に重なるように配置される。
【0015】
図3に示すように、吊元側縦框33の内部は、見込み方向に複数の空間に区画されている。吊元側縦框33には、室外側から室内側の順に、中空部33a,33b,33cが形成される。最も室外側の中空部33aは、室外側ガラス4aよりも室外側に突出して配置される。中空部33bは、中空部33aの室内側に連結される。中空部33bは、ガラス4の側方に所定の隙間をあけて配置される。最も室内側の中空部33cは、中空部33bの室内側に連結される。中空部33cは、室内側ガラス4bよりも室内側に突出しているとともに、中空部33bよりも内方に突出している。これによって、中空部33cは、室内側ガラス4bの室内側面の吊元側の側端部に重なるように配置される。
【0016】
戸先側縦框34の内部は、見込み方向に複数の空間に区画されている。戸先側縦框34には、室外側から室内側の順に、中空部34a,34b,34cが形成される。最も室外側の中空部34aは、室外側ガラス4aよりも室外側に突出して配置される。中空部34bは、中空部34aの室内側に連結される。中空部34bは、ガラス4の側方に所定の隙間をあけて配置される。最も室内側の中空部34cは、中空部34bの室内側に連結される。中空部34cは、室内側ガラス4bよりも室内側に突出しているとともに、中空部34bよりも内方に突出している。これによって、中空部34cは、室内側ガラス4bの室内側面の戸先側の側端部に重なるように配置される。グレモンハンドル35は、中空部34cに取り付けられる。
【0017】
図2及び図3に示すように、框体30の室外側には、樹脂製の押縁5が設けられる。押縁5は、上框31、下框32、吊元側縦框33及び戸先側縦框34の内周側にそれぞれ取り付けられる。具体的には、押縁5は、一対の係止爪51を有する。框体30の中空部31a,32a,33a,34aの内周側には、それぞれ押縁取付溝31d,32d,33d,34dが設けられる。押縁取付溝31d,32d,33d,34dは、それぞれ框体30の内周側に向けて開口している。押縁5は、押縁取付溝31d,32d,33d,34d内に、係止爪51を弾性的に係合させることによって、それぞれ取り付けられる。このように、框体30の室外側に押縁5が設けられることよって、框体30とガラス4との間の隙間が目隠しされる。
【0018】
図1に示すように、障子3の上框31及び下框32の吊元側と上枠21及び下枠22との間に、それぞれブラケット36,36及びステー37,37が掛け渡される。これによって、障子3は、枠体2の内側に開閉可能に支持される。本実施形態の建具1は、グレモンハンドル35の操作によって、吊元側縦框33側を回動中心として、障子3の戸先側が室外側に向けて辷り出しながら開閉移動する縦辷り出し窓である。
【0019】
障子3の上框31の戸先側には、ガラス4に対する框体30の戸先側の上下位置を調整可能な戸先下がり調整装置6が設けられる。図4及び図5に示すように、戸先下がり調整装置6は、調整板61と、調整ねじ62と、スペーサ63と、キャップ64と、支持基板65と、を有する。
【0020】
調整板61は、鋼板等の金属板材からなる矩形の平板部611と、平板部611の長さ方向の両端部に設けられる一対の脚部612,612と、を有する。脚部612,612は、平板部611の長さ方向の両端部を同一方向に折り曲げることによって形成される。平板部611の中央部には、調整ねじ62が螺合する雌ねじ部613が設けられる。この調整板61は、一対の脚部612,612がガラス4側を向くように、上框31の中空部31bの下面壁部311とガラス4の上端面40aとの間の隙間S1内に配置される。調整板61は、図4に示すように、隙間S1内において、下面壁部311の室内側の端部に接続される中空部31cの室外側の縦壁部312に当接して配置されている。図4及び図5に示すように、隙間S1には、上框31とガラス4との間隔を保持するセッティングブロック38が配置されている。
【0021】
調整ねじ62は、頭部621と、雄ねじが設けられた軸部622と、を有し、上框31を貫通して設けられる。具体的には、中空部31bの上面壁部313と下面壁部311に、上下方向に沿う同一軸線上に配置される挿通孔311a,313aがそれぞれ設けられる。挿通孔313aは、挿通孔311aよりも大径である。調整ねじ62の軸部622は、上框31の上方から挿通孔313a,311aの順に挿通され、隙間S1内の調整板61の雌ねじ部613に螺合している。
【0022】
スペーサ63は、樹脂材料によって有底円筒状に形成され、上框31の上方から挿通孔313a内に挿入されている。調整ねじ62の頭部621は、スペーサ63の内部に配置される。調整ねじ62の軸部622は、スペーサ63の底部631を貫通し、挿通孔313aに挿入される。スペーサ63の上端部には、挿通孔313aの周縁に係止されるフランジ部632が設けられる。
【0023】
キャップ64は、スペーサ63の上端開口に着脱可能に設けられる樹脂部品である。キャップ64は、スペーサ63内の調整ねじ62の頭部621を目隠しするとともに、水及び埃の侵入を防止する。
【0024】
支持基板65は、鋼板等の金属板からなり、ガラス4の上端面40aの戸先側に、両面テープ等の固定部材によって固定されている。調整ねじ62の軸部622の先端は、調整板61の雌ねじ部613を貫通して、この支持基板65に当接している。支持基板65は、戸先下がり調整時に、調整ねじ62の軸部622の先端を支持することによって、安定した調整動作を実現するとともにガラス4の損傷を防止する。
【0025】
次に、この戸先下がり調整装置6による戸先下がりの調整作業について、図6図7及び図8を参照して説明する。障子3の戸先下がりは、図6に示すように、障子3の戸先側縦框34側が、ガラス4の重量によって、吊元側縦框33に対して下方に垂れ下がることによって発生する。図6は、障子3の押縁5が省略された建具1を室外側から見た状態を示している。障子3に戸先下がりが発生すると、図7に示すように、上框31とガラス4の上端面40aとの間の距離が変化する。具体的には、吊元側の距離L1に対して、戸先側の距離L2が小さくなる。
【0026】
障子3に戸先下がりが発生した場合、図8に示すように、キャップ64を取り外し、スペーサ63内の調整ねじ62を、ドライバ100によって時計回りに正転させる。調整板61は、図4に示すように、中空部31cの室外側の縦壁部312に当接しているため、調整ねじ62と一緒に共廻りすることが防止される。調整ねじ62が回転すると、調整板61は、調整ねじ62の軸部622に沿って上方に移動し、中空部31bの下面壁部311に当接する。調整ねじ62がさらに回転すると、調整ねじ62の軸部622の先端が、支持基板65を介して、ガラス4の上端面40aを下方に向けて押圧すると同時に、調整板61が上框31を徐々に押し上げる。その結果、上框31とガラス4の上端面40aとの間の戸先側の距離L2が次第に大きくなる。図8に示すように、吊元側の距離L1と戸先側の距離L2とが等しくなるように調整ねじ62の回転を調整することによって、上框31は水平に保持され、障子3の戸先下がりが修正される。
【0027】
調整板61は、上框31とガラス4の上端面40aとの間の隙間S1内に配置されるため、框体30が組み立てられた後の障子3に設けることが可能である。そのため、建具1の製造工程の煩雑化を招くおそれはない。調整板61は金属板材によって構成されるため、建具1の重量の増加を招くおそれもない。調整ねじ62が螺合する雌ねじ部613は、金属製の調整板61に設けられるため、戸先下がり調整時の荷重によって雌ねじ部613が潰れるおそれはない。したがって、この戸先下がり調整装置6によれば、簡単な構造で障子3の戸先下がりを防止することができる。
【0028】
調整板61は、上框31の中空部31cの室外側の縦壁部312に当接して配置されているため、調整ねじ62の回転によって共廻りすることが防止される。そのため、調整ねじ62の回転によって上框31の上下方向の位置を容易に調整することができる。
【0029】
図9は、他の実施形態に係る戸先下がり調整装置6Aを有する障子3Aを示す。上述した障子3及び戸先下がり調整装置6と同一符号の部位は、同一構成の部位を示している。この障子3Aにおいて、上框31の中空部31bの内部には、樹脂製の上框31の補強のための補強芯材310が配置されている。補強芯材310は、アルミ等の金属板材によって形成され、中空部31bの下面壁部311に、取付ねじ311bによって取り付けられている。
【0030】
戸先下がり調整装置6Aには、上述した戸先下がり調整装置6の調整板61が設けられていない。しかし、その代わりに、戸先下がり調整装置6Aでは、補強芯材310が調整板61と同様に機能する。補強芯材310は雌ねじ部310aを有する。調整ねじ62の軸部622は、補強芯材310の雌ねじ部310aに螺合し、支持基板65に当接している。そのため、調整ねじ62が回転すると、補強芯材310を介して上框31が徐々に押し上げられ、障子3の戸先下がりが修正される。
【0031】
したがって、この戸先下がり調整装置6Aを有する建具1Aによっても、上述した建具1と同様の効果が得られる。戸先下がり調整装置6Aは、上框31にもともと設けられる補強芯材310を調整板の代わりに利用しているため、障子3Aに戸先下がり調整装置6Aを設けることによる部品点数の増加が抑えられ、構造の簡素化及び低コスト化が可能である。この戸先下がり調整装置6Aには、スペーサ及びキャップが設けられていない。しかし、スペーサ及びキャップは、戸先下がり調整装置6と同様に設けられてもよい。
【0032】
図10図11及び図12は、戸先下がり調整装置6Bが下框32に設けられた障子3Bを示している。上述した障子3及び戸先下がり調整装置6と同一符号の部位は、同一構成の部位を示している。この障子3Bにおいて、下框32の中空部32bの内部には、樹脂製の下框32の補強のための補強芯材320が配置されている。補強芯材320は、アルミ等の金属板材によって形成され、中空部32bの上面壁部321に、図示しない取付ねじによって取り付けられている。戸先下がり調整装置6Bは、調整板66と、調整ねじ67と、を有する。
【0033】
戸先下がり調整装置6Bにおいて、調整板66は、図12に示すように、鋼板等の金属板材からなる矩形の平板部661と、平板部661の長さ方向の両端部に設けられる一対の脚部662,662と、を有する。脚部662,662は、平板部661の長さ方向の両端部を同一方向に折り曲げるとともに、その両端部をさらに外側に向けて折り曲げることによって形成される。平板部661の中央部には、調整ねじ67が螺合する雌ねじ部663が設けられる。この調整板66は、下框32の上面壁部321とガラス4の下端面40bとの間の隙間S2内に配置される。隙間S2内において、調整板66は、一対の脚部662,662に設けられた両面テープ等の固定部材によって、ガラス4の下端面40bに固定されている。
【0034】
調整ねじ67は、調整ねじ62と同様に、頭部671と、雄ねじが設けられた軸部672と、を有する。調整ねじ67は、下框32内の補強芯材320及び上面壁部321を貫通し、隙間S2内の調整板66の雌ねじ部663に螺合している。調整ねじ67の軸部672の先端は、ガラス4の下端面40bに当接していない。中空部32bの下面壁部322には、調整ねじ67を挿通させるための挿通孔322aが設けられる。
【0035】
戸先下がり調整装置6Bにおいて、調整ねじ67が回転すると、調整ねじ67が調整板66に対して上方に移動する。これに伴って、調整ねじ67の頭部671が、補強芯材320とともに下框32を徐々に押し上げる。これによって、障子B3の戸先下がりが修正される。したがって、この戸先下がり調整装置6Bを備える建具によっても、戸先下がり調整装置6を備える建具1と同様の効果が得られる。
【0036】
以上の実施形態では、框体30が実質的に樹脂製である例を示したが、框体は、アルミ等の金属材の表面に樹脂を設けた複合サッシからなる框体であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 建具、 2 枠体、 3,3A,3B 障子、 30 框体、 31 上框(横框)、 310 補強芯材、 312 縦壁部、 32 下框(横框)、 33 吊元側縦框(縦框)、 34 戸先側縦框(縦框)、 4 ガラス、 40a 上端面、 40b 下端面、 6,6A,6B 戸先下がり調整装置、 61,66 調整板、 613,663 雌ねじ部、 62,67 調整ねじ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12