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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】ロボット
(51)【国際特許分類】
   B25J 18/00 20060101AFI20240419BHJP
【FI】
B25J18/00
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2021016015
(22)【出願日】2021-02-03
(62)【分割の表示】P 2020066844の分割
【原出願日】2020-04-02
(65)【公開番号】P2021160077
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000006622
【氏名又は名称】株式会社安川電機
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100145012
【弁理士】
【氏名又は名称】石坂 泰紀
(74)【代理人】
【識別番号】100171099
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 茂樹
(72)【発明者】
【氏名】大園 遼
(72)【発明者】
【氏名】小澤 将生
(72)【発明者】
【氏名】山口 剛
【審査官】仁木 学
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110394782(CN,A)
【文献】特開2018-034284(JP,A)
【文献】特開2010-149166(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 ー 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1軸線まわりに揺動するアームと、
前記第1軸線に平行な第2軸線まわりに揺動するように前記アームの先端部に接続された第2アームと、を備え、
前記アームは中空の外殻を有し、
前記外殻は、
前記第1軸線及び前記第2軸線を含む仮想平面を挟んで互いに対向し、それぞれ前記アームの先端部と基端部とを接続する第1フレーム及び第2フレームと、
前記第1軸線と前記第2軸線との間において、前記第1フレームと前記第2フレームとを接続する少なくとも1つの接続フレームと、を含み、
前記第1フレームと、前記第2フレームと、前記少なくとも1つの接続フレームとは、前記アームの先端部及び基端部と一体的に形成されている、ロボット。
【請求項2】
前記外殻は、
前記第1フレームと、前記第2フレームと、前記少なくとも1つの接続フレームとを含む本体部と、
前記本体部の開口を塞ぐ薄膜部と、を含む、請求項1記載のロボット。
【請求項3】
旋回軸まわりに旋回する旋回部と、前記旋回部に設けられたアーム接続部と、を有する基部を更に備え、
前記アームは、前記第1軸線まわりに揺動するように前記アーム接続部に接続されている、請求項1又は2記載のロボット。
【請求項4】
前記少なくとも1つの接続フレームは、前記第1フレームと前記第2フレームに斜交する筋交いフレームを含む、請求項1~3のいずれか一項記載のロボット。
【請求項5】
前記少なくとも1つの接続フレームは、前記第1フレームと前記第2フレームと前記アームの基端部とに接続される基端接続フレームを含む、請求項1~4のいずれか一項記載のロボット。
【請求項6】
前記少なくとも1つの接続フレームは、前記第1フレームと前記第2フレームと前記アームの先端部とに接続される先端接続フレームを含む、請求項1~5のいずれか一項記載のロボット。
【請求項7】
前記少なくとも1つの接続フレームは、互いに交わる2つの接続フレームを含む、請求項1~6のいずれか一項記載のロボット。
【請求項8】
前記少なくとも1つの接続フレームは、前記第2アームを避けるように構成されている、請求項1~7のいずれか一項記載のロボット。
【請求項9】
前記第1フレームは前記第1軸線と前記第2軸線とに交差する方向に向かう開口を含む、請求項1~8のいずれか一項記載のロボット。
【請求項10】
前記第2フレームは前記第1軸線と前記第2軸線とに交差する方向に向かう開口を含む、請求項9記載のロボット。
【請求項11】
前記第1フレームと、前記第2フレームとは、前記第1軸線及び前記第2軸線に垂直な方向に交差するように広がっている、請求項1~10のいずれか一項記載のロボット。
【請求項12】
前記外殻は、前記基端部から前記先端部に至るまで中空である、請求項1~11のいずれか一項記載のロボット。
【請求項13】
前記外殻は、前記接続フレームと前記先端部との間、及び前記接続フレームと前記基端部との間に開口を有する、請求項1~12のいずれか一項記載のロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボットに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、長手方向の基端側が所定の部材に回転可能に連結されるリンク部を備えるロボットが開示されている。リンク部は、溶接鋼管から製作されて筒状に形成されるとともに、長手方向に対して垂直な方向の断面形状が、楕円形状、または矩形形状の角部のうちの少なくとも1箇所を曲線状にした形状とされている。溶接鋼管の溶接部は、リンク部の応力の大小を示す応力分布に基づいて設定された応力の小さい部位に形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5729410号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、小型化に有効なロボットを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一側面に係るロボットは、旋回部と、第1軸線まわりに旋回部を旋回させるように旋回部に設けられたアクチュエータと、旋回部のうち、アクチュエータから離れた第1部分に設けられたアーム接続部と、を有する基部と、第2軸線まわりに揺動するようにアーム接続部に接続されたアームを有する多関節アームと、を備え、基部は、旋回部のうち、第1部分との間にアクチュエータを挟む第2部分に接続され、アクチュエータを跨いでアーム接続部に接続されるリブを更に有する。
【発明の効果】
【0006】
本開示によれば、小型化に有効なロボットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】ロボットの斜視図である。
図2】旋回ベースと基台との接続部の構造を示す模式図である。
図3】旋回ベースと基台との接続部の構造の変形例を示す模式図である。
図4】基部のリブを取り外した状態を示す斜視図である。
図5図4とは別の方向からの、基部のリブを取り外した状態を示す斜視図である。
図6図4及び図5とは別の方向からの、基部のリブを取り外した状態を示す斜視図である。
図7】リブの変形例を示す斜視図である。
図8図7とは別の方向からの、リブの変形例を示す斜視図である。
図9図7及び図8とは別の方向からの、リブの変形例を示す斜視図である。
図10】リブの別の変形例を示す斜視図である。
図11】リブの別の変形例を示す斜視図である。
図12図11のリブをアクチュエータ収容部から取り外した状態を示す斜視図である。
図13図12とは別の方向からの、リブをアクチュエータ収容部から取り外した状態を示す斜視図である。
図14図12及び図13とは別の方向からの、リブをアクチュエータ収容部から取り外した状態を示す斜視図である。
図15図1中のXV-XV線による断面を部分的に示す図である。
図16】外殻の構造の変形例を示す図である。
図17】アームの斜視図である。
図18図17とは別の方向からのアームの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照しつつ詳細に説明する。説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0009】
〔ロボット〕
図1に示すロボット1は、所謂垂直多関節ロボットであり、作業対象物に対し様々な作業を自動実行する。ロボット1の具体例としては、製品の生産ラインにおいて、部品又は組立体等に対し様々な搬送、加工、組立等を自動実行する産業用ロボットが挙げられるが、ロボットの用途は産業用に限られない。ロボット1は、基部100と、多関節アーム200とを備える。
【0010】
基部100は、基台110と、旋回ユニット120と、アクチュエータ130とを有する。基台110は、作業エリアの床面等に固定される。基台110は、AGV(Automated Guided Vehicle)等の移動体上に固定されてもよい。旋回ユニット120は、軸線Ax1(第1軸線)まわりに旋回するように基台110に取り付けられている。
【0011】
以下、ロボット1の構造説明において、配置関係を示すために「上」、「下」を用いる。この「上」、「下」は、軸線Ax1が鉛直となり、旋回ユニット120が基台110の上に位置した状態での「上」、「下」を意味するが、基部100は必ずしもこのように配置されなくてもよい。例えば基部100は、旋回ユニット120が基台110の下に位置するように配置されてもよいし、旋回ユニット120が基台110の側方に位置するように配置されてもよい。例えば基台110が作業エリアの天井面に固定されてもよいし、基台110が作業エリアの壁面に固定されてもよい。
【0012】
アクチュエータ130は、モータと減速機とを含み、軸線Ax1まわりに旋回ユニット120を旋回させる。
【0013】
図1に示すように、多関節アーム200はシリアルリンク型であり、アーム210,220,230と、ツール取付部240と、アクチュエータ251,252,253,254,255とを有する。
【0014】
アーム210は旋回ユニット120に連結され、アーム210と旋回ユニット120との連結部を通る軸線Ax2(第2軸線)まわりに揺動する。軸線Ax2は、軸線Ax1に交差(例えば直交)していてもよい。ここでの交差は、所謂立体交差のようにねじれの関係も含む。以下においても同様である。
【0015】
アーム220(第2アーム)は、アーム210の先端部に連結され、アーム220とアーム210との連結部を通る軸線Ax3(第3軸線)まわりに揺動する。軸線Ax3は、軸線Ax2に平行であってもよい。
【0016】
アーム220は、アーム基部221と旋回アーム222とを有する。アーム基部221は、アーム210の先端部に連結され、軸線Ax3まわりに揺動する。旋回アーム222は、アーム基部221の先端部に連結され、軸線Ax3に交差(例えば直交)する軸線Ax4に沿ってアーム基部221から延びており、軸線Ax4まわりに旋回する。
【0017】
アーム230は、アーム220の先端部に連結され、アーム220に沿った軸線Ax4まわりに旋回し、軸線Ax4に交差(例えば直交)する軸線Ax5まわりに揺動する。例えばアーム230は、旋回アーム222の先端部に連結されており、アーム230と旋回アーム222との連結部を通る軸線Ax5まわりに揺動する。
【0018】
ツール取付部240は、アーム230の先端部に設けられている。ツール取付部240には作業用のツール(不図示)が取り付けられる。ツール取付部240は、軸線Ax5に交差してアーム230に沿う軸線Ax6まわりに旋回する。ツールの具体例としては、ワークを吸着する吸着ノズル、ワークを把持するハンド、溶接トーチ、ねじ締めツール(例えば電動ドライバ)、又は研磨ツール(例えばグラインダー)等が挙げられる。
【0019】
アクチュエータ251,252,253,254,255のそれぞれは、例えばアクチュエータ130と同様にモータ及び減速機を含み、多関節アーム200を駆動する。例えばアクチュエータ251は軸線Ax2まわりにアーム210を揺動させ、アクチュエータ252は軸線Ax3まわりにアーム220を揺動させ、アクチュエータ253は軸線Ax4まわりにアーム230を旋回させ、アクチュエータ254は軸線Ax5まわりにアーム230を揺動させ、アクチュエータ255は軸線Ax6まわりにツール取付部240を旋回させる。
【0020】
〔旋回部〕
続いて、旋回ユニット120の構造をより詳細に説明する。旋回ユニット120は、旋回ベース121(旋回部)と、アーム接続部140と、リブ151とを有する。旋回ベース121は、例えば金属材料により構成されており、軸線Ax1まわりに旋回するように、アクチュエータ130を介して基台110の上に取り付けられている。
【0021】
図2に示すように、アクチュエータ130は、本体131と、出力軸132とを有する。出力軸132は本体131から突出しており、アクチュエータ130は本体131に対して出力軸132を回転させる。本体131は、回転型のモータ133と、減速機134とを有する。減速機134は、モータ133の回転を減速して出力軸132に伝達する。
【0022】
アクチュエータ130は、旋回ユニット120に設けられている。アクチュエータ130が旋回ユニット120に設けられるとは、本体131が旋回ユニット120に取り付けられることを意味する。例えば本体131は、出力軸132が軸線Ax1に沿って鉛直下方に向いた状態で旋回ユニット120に取り付けられている。出力軸132は旋回ユニット120を貫通して基台110に取り付けられている。
【0023】
図2の例において、本体131は出力軸132の直上に配置されているが、必ずしもこれに限られない。例えば本体131は、出力軸132に対して(軸線Ax1に対して)偏心した位置において旋回ベース121に取り付けられていてもよい(図3参照)。
【0024】
図1及び図2に示すように、旋回ベース121は、上方に開口してアクチュエータ130を受け入れるアクチュエータ収容部122を有してもよい。本体131は、アクチュエータ収容部122内に収容され、アクチュエータ収容部122の底部に固定されている。
【0025】
図4図6に示すように、アーム接続部140は、旋回ベース121のうちアクチュエータ130から離れた第1部分P1に設けられている。例えば第1部分P1は、水平面内において上記軸線Ax2に交差(例えば直交)する一方向に向かってアクチュエータ130から離れている。以下、説明の便宜上、当該一方向を「前方」とし、当該一方向の逆方向を「後方」とする。
【0026】
例えば第1部分P1は、アクチュエータ収容部122の周囲のうちアクチュエータ130の前方に位置する部分である。アーム接続部140は、例えば金属材料により旋回ベース121と一体的に構成されており、第1部分P1から上方に突出している。アーム接続部140は、軸線Ax2に垂直な主面143,144を有する。主面143,144は互いに逆向きである。
【0027】
アーム接続部140には、軸線Ax2まわりに揺動するようにアーム210が接続される。アーム210は、軸線Ax2に沿ってアーム接続部140の片側(例えば主面144側)に重なる。アーム接続部140の主面143側には、上記アクチュエータ251が固定され、アーム210はアクチュエータ251を介してアーム接続部140に接続される。
【0028】
リブ151(第1リブ)は、旋回ベース121のうち第1部分P1との間にアクチュエータ130を挟む第2部分P2に接続され、アクチュエータ130を跨いでアーム接続部140に接続される。例えば第2部分P2は、アクチュエータ収容部122の周囲のうちアクチュエータ130の後方に位置する部分である。リブ151は、アクチュエータ130の鉛直上方を経て、アーム接続部140の後部と旋回ベース121の第2部分P2とに接続されている。リブ151は、軸線Ax2まわりのアーム210の動作領域MR外に設けられている。
【0029】
図4図6に示すように、リブ151の下面151aには、第2部分P2から第1部分P1に向かうにつれてアクチュエータ130から遠ざかるように傾斜又は湾曲した逃げ部151bが形成されている。これにより、リブ151の軽量化が図られている。逃げ部151bは、必ずしもリブ151の幅方向全域に形成されていなくてもよい。図4図6の例において、リブ151のうち動作領域MRに面する一部分(以下、「外側部」という。)には、逃げ部151bが形成されておらず、外側部は逃げ部151bから下方に張り出している。
【0030】
なお、アクチュエータ130の少なくとも一部が第1部分P1と第2部分P2との間に位置していれば、第2部分P2は第1部分P1との間にアクチュエータ130を挟んでおり、リブ151はアクチュエータ130を跨いでいるといえる。例えば図3のように、本体131が出力軸132の鉛直上方にない場合であっても、少なくとも出力軸132が第1部分P1と第2部分P2との間に位置することとなるので、第2部分P2は第1部分P1との間にアクチュエータ130を挟んでおり、リブ151はアクチュエータ130を跨いでいる。なお、図3の構成においては、モータ133の出力軸135の回転が、歯車等の伝達要素136,137を介して減速機134の入力軸138に伝達され、入力軸138の回転に応じて出力軸132が回転する。
【0031】
リブ151は、アーム接続部140及び旋回ベース121に対し着脱自在であってもよい。着脱自在とは、接続部の破壊を伴わずに取り付け、取外しを繰り返し行い得ることを意味する。例えばリブ151は、旋回ベース121とは別体の部材であり、旋回ユニット120は、リブ151を第2部分P2に着脱自在に取り付ける少なくとも1つの締結部材153(例えばボルト又はナット)と、リブ151をアーム接続部140に着脱自在に取り付ける少なくとも1つの締結部材154(例えばボルト又はナット)とを更に有する。リブ151により、アーム接続部140の剛性が高められる。
【0032】
旋回ユニット120は、リブ152(第2リブ)を更に有してもよい。リブ152は、上記アーム210の動作領域MRとの間にリブ151を挟む位置において旋回ベース121とリブ151とに接続される。リブ152は、アクチュエータ収容部122の周囲のうち、動作領域MRとの間にリブ151を挟む部分(以下、「第3部分P3」という。)と、リブ151とに接続される。
【0033】
リブ152は、リブ151に固定されていてもよく、旋回ベース121に対して着脱自在であってもよい。例えば旋回ユニット120は、旋回ベース121とは別体の1部材であり、旋回ベース121に対して着脱自在なリブユニット150を有し、リブユニット150がリブ151,152を含む。旋回ユニット120は、上記締結部材153,154に加え、リブ152を第3部分P3に着脱自在に取り付ける少なくとも1つの締結部材155(例えばボルト又はナット)を更に有してもよい。リブ152により、アーム接続部140の剛性が更に高められる。リブ151の下面151aに逃げ部151bが形成されるのに合わせ、リブ152の下面152aには、リブ151に向かうにつれてアクチュエータ130から遠ざかるように傾斜又は湾曲した逃げ部152bが形成されている。これにより、リブ152の軽量化が図られている。
【0034】
旋回ユニット120は、リブ152との間にアクチュエータ251を挟む位置において旋回ベース121とアーム接続部140とに接続されるリブ142を更に有してもよい。リブ142により、アーム接続部140の剛性が更に高められる。リブ142は、アクチュエータ251を囲むように湾曲していてもよい。
【0035】
旋回ユニット120は、旋回ベース121、及びリブ151,152を覆うカバー160を更に有してもよい(図1参照)。カバー160は、金属材料により構成されていてもよいし、樹脂材料により構成されていてもよい。
【0036】
図4図6に示したリブユニット150の構成はあくまで一例であり、適宜変更可能である。例えば図7図9に示すリブユニット150Aは、リブ151と、リブ152と、アクチュエータ収容部122の周囲とにより囲まれる開口を塞ぐ薄膜部156を更に有している。薄膜部156は、リブ151,152と一体的に形成されている。リブユニット150Aにおいて、リブ151には逃げ部151bが形成されておらず、リブ152には逃げ部152bが形成されていない。図10に示すリブユニット150Bは、リブユニット150Aにおけるリブ151,152に逃げ部151b,152bをそれぞれ形成したものである。図11図14に示すリブユニット150Cにおいて、リブ151は逃げ部151bを有しない。また、リブユニット150Cは、リブ152を有しない。リブユニット150Cは、リブ152に代えて、ブラケット157を有する。ブラケット157は、リブ151の下部から動作領域MRの反対方向に張り出しており、アクチュエータ収容部122の周囲に接続されている。図7図14では図示を省略しているが、リブユニット150A、150B、150Cも締結部材によってアーム接続部140及び旋回ベース121に対して着脱自在であってもよい。例えばブラケット157は、締結部材(不図示)によって第3部分P3に着脱自在に取り付けられる。
【0037】
〔アーム〕
続いて、アーム210の構造をより詳細に説明する。アーム210は、基端部211と、先端部212と、外殻213とを有する。基端部211は、例えば金属材料により構成され、アーム接続部140に接続される。先端部212は、例えば金属材料により構成される。先端部212にはアーム220が接続される。
【0038】
外殻213は、軸線Ax2,Ax3に交差(例えば直交)する軸線に沿って延び、基端部211と先端部212とをつなぐ中空部分である。外殻213は、複数の開口を有する本体部214と、本体部214を覆うカバー215とを有する。本体部214は、例えば金属材料により基端部211及び先端部212と一体的に構成されている。
【0039】
カバー215は、金属材料により構成されていてもよいし、樹脂材料により構成されていてもよい。図15に示すように、カバー215は、本体部214に比較して薄肉であり、複数の開口をそれぞれ塞ぐ複数の薄膜部215aを構成する。なお、図16に示すように、複数の薄膜部215aは、本体部214と一体的に構成されていてもよい。
【0040】
図17に示すように、本体部214は、フレーム310,320と、少なくとも1つの接続フレーム330とを含む。フレーム310(第1フレーム)及びフレーム320(第2フレーム)は、軸線Ax2,Ax3を含む仮想平面VP1を挟んで互いに対向し、それぞれ基端部211と先端部212とを接続する。先端部212が基端部211の鉛直上方に位置する状態において、フレーム310は前方に面し、フレーム320は後方に面する。
【0041】
上述した複数の開口は、フレーム310に形成された開口311を含んでもよく、フレーム320に形成された開口321を含んでもよい。上述した複数の開口は、開口311,321の両方を含んでもよい。
【0042】
接続フレーム330は、軸線Ax2と軸線Ax3との間において、フレーム310とフレーム320とを接続する。少なくとも1つの接続フレーム330は、フレーム310とフレーム320に斜交する筋交いフレームを含んでもよい。少なくとも1つの接続フレーム330は、フレーム310とフレーム320と基端部211とに接続される基端接続フレームを含んでもよい。少なくとも1つの接続フレーム330は、フレーム310とフレーム320と先端部212とに接続される先端接続フレームを含んでもよい。少なくとも1つの接続フレーム330は、互いに交わる2つの接続フレームを含んでもよい。
【0043】
上述した複数の開口は、少なくとも部分的に少なくとも1つの接続フレーム330に囲まれる開口を含んでもよい。本体部214は、アーム220と重なる領域と、アーム接続部140と重なる領域とを接続フレーム330が通らないように構成されていてもよい。
【0044】
以下、少なくとも1つの接続フレーム330の構成をより詳細に例示する。図17及び図18に示すように、本体部214は、軸線Ax2に沿ってアーム接続部140に面する複数の接続フレーム331,332,333と、軸線Ax2に沿ってアーム接続部140の反対に面する接続フレーム334,335,336,337とを有する。
【0045】
接続フレーム331は、フレーム310と、フレーム320と、先端部212とに接続される。このため接続フレーム331は、上記先端接続フレームに相当する。また、接続フレーム331は、フレーム310とフレーム320とに斜交する。このため接続フレーム331は、上記筋交いフレームにも相当する。
【0046】
接続フレーム331によって、2つの開口351,352が形成される。開口351は、先端部212と、フレーム320と、接続フレーム331とによって囲まれる。開口352は、先端部212と、フレーム310と、接続フレーム331とによって囲まれる。接続フレーム331と先端部212との接続部は、フレーム310とフレーム320との間においてフレーム320寄りに位置している。これにより、開口352は開口351よりも大きい。開口352の少なくとも一部は、アーム210のうちアーム220と重なる領域MR2に位置する。接続フレーム331は、フレーム320からフレーム310に向かうにつれて軸線Ax3から遠ざかるように傾斜している。これにより、開口352が更に大きくなり、アーム210の軽量化に寄与するほか、アーム210に対するアーム220の可動範囲が大きく確保されている。
【0047】
接続フレーム332は、フレーム310と、フレーム320と、基端部211とに接続される。このため接続フレーム332は、上記基端接続フレームに相当する。また、接続フレーム332は、フレーム310とフレーム320とに斜交する。このため接続フレーム332は、上記筋交いフレームにも相当する。
【0048】
接続フレーム332によって、2つの開口353,354が形成される。開口353は、基端部211と、フレーム320と、接続フレーム332とによって囲まれる。開口354は、基端部211と、フレーム310と、接続フレーム332とによって囲まれる。接続フレーム332と基端部211との接続部は、フレーム310とフレーム320との間においてフレーム320寄りに位置している。これにより、開口354は開口353よりも大きい。
【0049】
開口354の少なくとも一部は、アーム210のうちアーム接続部140と重なる領域に位置する。接続フレーム332は、フレーム320からフレーム310に向かうにつれて軸線Ax2から遠ざかるように傾斜している。これにより、開口354が更に大きくなり、アーム210の軽量化に寄与するほか、アーム接続部140に対するアーム210の可動範囲が大きく確保されている。
【0050】
接続フレーム333は、接続フレーム331と接続フレーム332との間において、フレーム310とフレーム320とに斜交する。このため、接続フレーム333は上記筋交いフレームに相当する。また、接続フレーム333は、フレーム310の近傍において接続フレーム332と交わっている。
【0051】
接続フレーム333によって、2つの開口355,356が更に形成される。開口355は、接続フレーム331と、フレーム310と、接続フレーム333と、フレーム320とによって囲まれる。開口356は、接続フレーム332と、フレーム310と、接続フレーム333と、フレーム320とによって囲まれる。
【0052】
接続フレーム334は、フレーム310と、フレーム320と、先端部212とに接続される。このため接続フレーム334は、上記先端接続フレームに相当する。接続フレーム334は、先端部212側に凸となるように屈曲して先端部212に接続されている。接続フレーム334によって、2つの開口361,362が形成される。開口361は、先端部212と、フレーム320と、接続フレーム334とによって囲まれる。開口362は、先端部212と、フレーム310と、接続フレーム334とによって囲まれる。
【0053】
接続フレーム335は、接続フレーム334,335,336,337の中で最も基端部211寄りに位置している。接続フレーム335は、フレーム310とフレーム320とに斜交する。このため、接続フレーム335は上記筋交いフレームに相当する。
【0054】
接続フレーム335は基端部211に接続されていないので、接続フレーム335と基端部211との間には1つの開口363が形成されている。開口363は、基端部211と、フレーム320と、接続フレーム335と、フレーム310とによって囲まれている。開口363は、ケーブルの配線等に利用可能である。
【0055】
接続フレーム336は、接続フレーム334と接続フレーム335との間において、フレーム310とフレーム320とに斜交する。このため、接続フレーム336は上記筋交いフレームに相当する。また、接続フレーム336は、フレーム320の近傍において接続フレーム334と交わり、フレーム310の近傍において接続フレーム335と交わっている。
【0056】
接続フレーム337は、接続フレーム335と接続フレーム336との間に位置している。接続フレーム337の一端はフレーム320に接続されている。接続フレーム337の他端は接続フレーム335に接続され、接続フレーム335を介してフレーム310に接続されている。
【0057】
接続フレーム336,337によって、3つの開口364,365,366が形成されている。開口364は、接続フレーム334と、接続フレーム336と、フレーム310とによって囲まれている。開口365は、接続フレーム336と、フレーム320と、接続フレーム337と、接続フレーム335とによって囲まれている。開口366は、接続フレーム337と、フレーム320と、接続フレーム335とによって囲まれている。
【0058】
〔本実施形態の効果〕
以上に説明したように、ロボット1は、旋回ベース121と、軸線Ax1まわりに旋回ベース121を旋回させるように旋回ベース121に設けられたアクチュエータ130と、旋回ベース121のうち、アクチュエータ130から離れた第1部分P1に設けられたアーム接続部140と、を有する基部100と、軸線Ax2まわりに揺動するようにアーム接続部140に接続されたアーム210を有する多関節アーム200と、を備え、基部100は、旋回ベース121のうち、第1部分P1との間にアクチュエータ130を挟む第2部分P2に接続され、アクチュエータ130を跨いでアーム接続部140に接続されるリブ151を更に有する。
【0059】
ロボット1の基部100を小型化するためには、アーム接続部140とアクチュエータ130とを近接させる必要がある。しかしながら、アクチュエータ130との近接のためにアーム接続部140を小型化すると剛性が低くなる。これに対し、本ロボット1は、基部100がリブ151を更に有し、リブ151は、旋回ベース121との間にアクチュエータ130を挟む位置を経てアーム接続部140と旋回ベース121とを繋ぐ。この構造により、アーム接続部140の剛性を保ちつつアーム接続部140とアクチュエータ130とを近接させ、基部100を小型化することが可能となる。従って、小型化に有効である。
【0060】
リブ151は、アーム接続部140及び旋回ベース121に対し着脱自在であってもよい。この場合、小型化とメンテナンス性とが両立する。
【0061】
軸線Ax2は軸線Ax1に交差しており、アーム210は、軸線Ax2に沿ってアーム接続部140の片側に重なっており、リブ151は軸線Ax2まわりのアーム210の動作領域外に設けられていてもよい。この場合、アーム210の広い可動範囲とアーム接続部140の剛性とが両立する。
【0062】
ロボット1は、アーム210の動作領域MRとの間にリブ151を挟む位置において旋回ベース121とリブ151とに接続されるリブ152を更に有していてもよい。この場合、アーム210の広い可動領域を維持しつつ、アーム接続部140の更なる剛性向上を図ることができる。
【0063】
リブ152はリブ151に固定されており、旋回ベース121に対して着脱自在であってもよい。この場合、小型化とメンテナンス性との両立を図ることができる。
【0064】
アーム210は、アーム接続部140に接続される基端部211と、先端部212と、基端部211と先端部212とをつなぐ中空の外殻213とを有し、外殻213は、複数の開口を有する本体部214と、複数の開口をそれぞれ塞ぐ複数の薄膜部215aとを有していてもよい。この場合、アーム210の剛性を保ちつつアーム210を軽量化することができる。また、アーム210の軽量化により、基部100の更なる小型化が可能となる。従って、更なる小型化に有効である。
【0065】
多関節アーム200は、軸線Ax2に平行な軸線Ax3まわりに揺動するように先端部212に接続されたアーム220を更に有し、本体部214は、軸線Ax2及び軸線Ax3を含む仮想平面VP1を挟んで互いに対向し、それぞれ先端部212と基端部211とを接続するフレーム310及びフレーム320と、軸線Ax2と軸線Ax3との間において、フレーム310とフレーム320とを接続する少なくとも1つの接続フレーム330と、を含んでいてもよい。この場合、接続フレーム330の数と配置によって、軸線Ax2まわりの揺動方向におけるアームの剛性を自在に調節することができる。
【0066】
少なくとも1つの接続フレーム330は、フレーム310とフレーム320に斜交する接続フレーム331,332,333,335,336(筋交いフレーム)を含んでいてもよい。この場合、軸線Ax2まわりの揺動方向におけるアーム210の剛性が向上する。
【0067】
少なくとも1つの接続フレーム330は、フレーム310とフレーム320と基端部211とに接続される接続フレーム332(基端接続フレーム)を含んでいてもよい。この場合、アーム210のモーメントが集中する先端部212におけるアーム210の剛性が向上する。
【0068】
少なくとも1つの接続フレーム330は、フレーム310とフレーム320と先端部212とに接続される接続フレーム331,334(先端接続フレーム)を含んでいてもよい。この場合、アーム220のモーメントが集中する先端部212におけるアーム210の剛性が向上する。
【0069】
少なくとも1つの接続フレーム330は、互いに交わる2つの接続フレーム330を含んでいてもよい。この場合、軸線Ax2まわりの揺動方向におけるアーム210の剛性が更に向上する。
【0070】
本体部214は、アーム220と重なる領域と、アーム接続部140と重なる領域とを接続フレーム330が通らないように構成されていてもよい。この場合、アーム210の広い可動範囲とアーム210の剛性とが両立する。
【0071】
複数の開口は、フレーム310に形成された開口311を含んでいてもよく、フレーム320に形成された開口312を含んでいてもよい。この場合、更なる軽量化を図ることができる。
【0072】
以上、実施形態について説明したが、本開示は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0073】
1…ロボット、100…基部、121…旋回ベース(旋回部)、130…アクチュエータ、140…アーム接続部、151…リブ、152…リブ(第2リブ)、200…多関節アーム、210…アーム、211…基端部、212…先端部、213…外殻、214…本体部、215a…薄膜部、220…アーム(第2アーム)、310…フレーム(第1フレーム)、311,321…開口、320…フレーム(第2フレーム)、330,331,332,333,334,335,336,337…接続フレーム、Ax1…軸線(第1軸線)、Ax2…軸線(第2軸線)、Ax3…軸線(第3軸線)、MR…動作領域、MR2…アーム210のうちアーム220と重なる領域、P1…第1部分、P2…第2部分、VP1…仮想平面。
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