(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】電動機システム、ターボ圧縮機、及び冷凍装置
(51)【国際特許分類】
H02K 7/09 20060101AFI20240419BHJP
F04D 29/058 20060101ALI20240419BHJP
F16C 32/04 20060101ALI20240419BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H02K7/09
F04D29/058
F16C32/04 A
H02K7/14 B
(21)【出願番号】P 2021047476
(22)【出願日】2021-03-22
【審査請求日】2022-03-16
【審判番号】
【審判請求日】2022-10-31
(73)【特許権者】
【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】入野 裕介
(72)【発明者】
【氏名】付 裕
(72)【発明者】
【氏名】中澤 勇二
【合議体】
【審判長】窪田 治彦
【審判官】西 秀隆
【審判官】関口 哲生
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-231471(JP,A)
【文献】特開2018-28295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K7/09
H02K7/14
F16C32/04
F04D29/058
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
負荷(120)を回転駆動する駆動軸(130)と、
前記駆動軸(130)の軸方向に並置されたベアリングレスモータ(170)及びラジアル磁気軸受(180)とを備え、
前記駆動軸(130)のラジアル荷重は、前記ベアリングレスモータ(170)及び前記ラジアル磁気軸受(180)によって非接触で支持され、
前記ベアリングレスモータ(170)と前記負荷(120)との間に、前記ラジアル磁気軸受(180)が配置され、
前記ベアリングレスモータ(170)と前記ラジアル磁気軸受(180)との間にスラスト磁気軸受(150,153A)が配置され、
前記ベアリングレスモータ(170)から見て前記ラジアル磁気軸受(180)の反対側には他のラジアル磁気軸受が配置されていない電動機システム。
【請求項2】
請求項1の電動機システムにおいて、
前記ベアリングレスモータ(170)から見て前記ラジアル磁気軸受(180)側に配置された第1スラスト磁気軸受(153A)と、
前記ベアリングレスモータ(170)から見て前記ラジアル磁気軸受(180)の反対側に配置された第2スラスト磁気軸受(153B)とを備え、
前記ベアリングレスモータ(170)と前記ラジアル磁気軸受(180)との間に前記第1スラスト磁気軸受(153A)が配置される電動機システム。
【請求項3】
請求項2の電動機システムにおいて、
前記第1スラスト磁気軸受(153A)は、前記駆動軸(130)に対して前記第2スラスト磁気軸受(153B)から前記第1スラスト磁気軸受(153A)へ向かう第1方向に磁力を作用させており、
前記第2スラスト磁気軸受(153B)は、前記駆動軸(130)に対して前記第1スラスト磁気軸受(153A)から前記第2スラスト磁気軸受(153B)へ向かう第2方向に磁力を作用させており、
前記駆動軸(130)の回転時において、前記駆動軸(130)には前記第2方向よりも前記第1方向に平均的に大きな外力が作用しており、
前記第2スラスト磁気軸受(153B)が前記駆動軸(130)に対して作用可能な磁力の大きさは、前記第1スラスト磁気軸受(153A)が前記駆動軸(130)に対して作用可能な磁力の大きさよりも大きい電動機システム。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか1項の電動機システム(101)を備えたターボ圧縮機(100)であって、
前記負荷(120)は、インペラであるターボ圧縮機。
【請求項5】
負荷(220)を回転駆動する駆動軸(230)と、
前記駆動軸(230)に配置されたモータ(270)と、
前記駆動軸(230)の軸方向に前記モータ(270)を挟んで前記負荷(220)側及び前記負荷(220)の反対側にそれぞれ配置された第1ラジアル磁気軸受(280A)及び第2ラジアル磁気軸受(280B)と、
前記第2ラジアル磁気軸受(280B)から見て前記モータ(270)側に配置された第1スラスト磁気軸受(253A)と、
前記第2ラジアル磁気軸受(280B)から見て前記モータ(270)の反対側に配置された第2スラスト磁気軸受(253B)とを備え、
前記駆動軸(230)のラジアル荷重は、前記第1ラジアル磁気軸受(280A)及び前記第2ラジアル磁気軸受(280B)によって非接触で支持され、
前記第1ラジアル磁気軸受(280A)は、前記負荷(220)と前記モータ(270)との間に配置され、
前記第1ラジアル磁気軸受(280A)と前記第2ラジアル磁気軸受(280B)との間に
、スラスト磁気軸受として前記第1スラスト磁気軸受(253A)
のみが配置され
る電動機システム。
【請求項6】
請求項
5の電動機システムにおいて、
前記モータ(270)と前記第1ラジアル磁気軸受(280A)との間に前記第1スラスト磁気軸受(253A)が配置される電動機システム。
【請求項7】
請求項
5又は
6の電動機システム(201)を備えたターボ圧縮機(200)であって、
前記負荷(220)は、インペラであるターボ圧縮機。
【請求項8】
請求項
4又は
7のターボ圧縮機(100,200)を備えた冷凍装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動機システム、ターボ圧縮機、及び冷凍装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、負荷を回転駆動する駆動軸と、当該駆動軸を回転駆動する電動機(モータ)とを備えた電動機システムが知られている。電動機システムは、例えばインペラを負荷とするターボ圧縮機に用いられる。従来の電動機システムは、駆動軸のラジアル荷重を電磁力によって非接触で支持する2つのラジアル磁気軸受を備える。2つのラジアル磁気軸受は、モータの両側に1つずつ配置される。
【0003】
近年、電動機システムの構造を簡素化するために、「磁気軸受機能を磁気的に一体化したモータ」として定義されるベアリングレスモータが用いられてきている(例えば特許文献1)。特許文献1の電動機システム(モータ装置)では、1つのベアリングレスモータと、1つのラジアル磁気軸受とによって、駆動軸のラジアル荷重が支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の電動機システムでは、モータの両側に1つずつラジアル磁気軸受を配置した従来の構成と比べて、ラジアル荷重の支持点間の距離(軸受スパン)が短くなってしまう。このため、例えばターボ圧縮機に適用した場合、駆動軸の重心周りのモーメント(インペラ負荷)に対して、ベアリングレスモータやラジアル磁気軸受が受ける負荷(軸受負荷)が従来の構成よりも大きくなってしまう。その結果、例えば、ベアリングレスモータが駆動軸を回転駆動させる効率が下がってしまうという問題が生じる。
【0006】
また、モータの両側に1つずつラジアル磁気軸受を配置した従来の構成を小型化した場合にも、軸受スパンの減少に起因して軸受負荷が増大してしまう問題が生じる。
【0007】
本開示の目的は、電動機システムにおいてベアリングレスモータ又はラジアル磁気軸受が受ける負荷を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の第1の態様は、負荷(120)を回転駆動する駆動軸(130)と、前記駆動軸(130)の軸方向に並置されたベアリングレスモータ(170)及びラジアル磁気軸受(180)とを備える電動機システムである。前記駆動軸(130)のラジアル荷重は、前記ベアリングレスモータ(170)及び前記ラジアル磁気軸受(180)によって非接触で支持される。前記ベアリングレスモータ(170)と前記ラジアル磁気軸受(180)との間にスラスト磁気軸受(150,153A)が配置される。
【0009】
第1の態様では、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間にスラスト磁気軸受(150,153A)が配置される。このため、小型化しても、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間の軸受スパンを確保しやすくなるので、ベアリングレスモータ(170)やラジアル磁気軸受(180)が受ける負荷を抑制できる。
【0010】
本開示の第2の態様は、第1の態様において、前記ベアリングレスモータ(170)から見て前記ラジアル磁気軸受(180)側に配置された第1スラスト磁気軸受(153A)と、前記ベアリングレスモータ(170)から見て前記ラジアル磁気軸受(180)の反対側に配置された第2スラスト磁気軸受(153B)とを備える。前記ベアリングレスモータ(170)と前記ラジアル磁気軸受(180)との間に前記第1スラスト磁気軸受(153A)が配置される。
【0011】
第2の態様では、第1及び第2スラスト磁気軸受(153A,153B)の両方をベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間に配置する場合と比べて、ロータ組立性が向上すると共に、ベアリングレスモータ(170)の発熱に起因する熱膨張が第2スラスト磁気軸受(153B)に及ぼす影響を低減できる。
【0012】
本開示の第3の態様は、第2の態様において、前記第1スラスト磁気軸受(153A)は、前記駆動軸(130)に対して前記第2スラスト磁気軸受(153B)から前記第1スラスト磁気軸受(153A)へ向かう第1方向に磁力を作用させており、前記第2スラスト磁気軸受(153B)は、前記駆動軸(130)に対して前記第1スラスト磁気軸受(153A)から前記第2スラスト磁気軸受(153B)へ向かう第2方向に磁力を作用させている。前記駆動軸(130)の回転時において、前記駆動軸(130)には前記第2方向よりも前記第1方向に平均的に大きな外力が作用しており、前記第2スラスト磁気軸受(153B)が前記駆動軸(130)に対して作用可能な磁力の大きさは、前記第1スラスト磁気軸受(153A)が前記駆動軸(130)に対して作用可能な磁力の大きさよりも大きい。
【0013】
第3の態様では、熱膨張の影響を受けにくい第2スラスト磁気軸受(153B)に対して位置センサーを用いた制御を行うことによって、軸方向位置の制御を精度良く行うことができる。
【0014】
本開示の第4の態様は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、前記ベアリングレスモータ(170)と前記負荷(120)との間に、前記ラジアル磁気軸受(180)が配置される。
【0015】
第4の態様では、前記ベアリングレスモータ(170)と前記ラジアル磁気軸受(180)との間に前記負荷(120)を配置する場合と比べて、前記ベアリングレスモータ(170)が受ける軸受負荷を低減できる。
【0016】
本開示の第5の態様は、第1~第4の態様のいずれか1つの電動機システム(101)を備えたターボ圧縮機(100)であって、前記負荷(120)は、インペラである。
【0017】
第5の態様では、電動機システム(101)を小型化できるので、ターボ圧縮機(100)を小型化することができる。
【0018】
本開示の第6の態様は、負荷(220)を回転駆動する駆動軸(230)と、前記駆動軸(230)に配置されたモータ(270)と、第1ラジアル磁気軸受(280A)及び第2ラジアル磁気軸受(280B)と、第1スラスト磁気軸受(253A)及び第2スラスト磁気軸受(253B)とを備える電動機システムである。第1ラジアル磁気軸受(280A)及び第2ラジアル磁気軸受(280B)は、前記駆動軸(230)の軸方向に前記モータ(270)を挟んで前記負荷(220)側及び前記負荷(220)の反対側にそれぞれ配置される。第1スラスト磁気軸受(253A)は、前記第2ラジアル磁気軸受(280B)から見て前記モータ(270)側に配置される。第2スラスト磁気軸受(253B)は、前記第2ラジアル磁気軸受(280B)から見て前記モータ(270)の反対側に配置される。前記駆動軸(230)のラジアル荷重は、前記第1ラジアル磁気軸受(280A)及び前記第2ラジアル磁気軸受(280B)によって非接触で支持される。前記第1ラジアル磁気軸受(280A)と前記第2ラジアル磁気軸受(280B)との間に前記第1スラスト磁気軸受(253A)が配置される。
【0019】
第6の態様では、第1ラジアル磁気軸受(280A)と第2ラジアル磁気軸受(280B)との間に第1スラスト磁気軸受(253A)が配置される。このため、小型化しても、第1ラジアル磁気軸受(280A)と第2ラジアル磁気軸受(280B)との間の軸受スパンを確保しやすくなるので、第1及び第2ラジアル磁気軸受(280A,280B)が受ける負荷を抑制できる。
【0020】
本開示の第7の態様は、第6の態様において、前記モータ(270)と前記第1ラジアル磁気軸受(280A)との間に前記第1スラスト磁気軸受(253A)が配置される。
【0021】
第7の態様では、モータ(270)と第2ラジアル磁気軸受(280B)との間にスラスト磁気軸受が配置されないため、第2ラジアル磁気軸受(280B)と対向する領域の駆動軸(230)に設けるロータ部分の外径を大きくできるので、第2ラジアル磁気軸受(280B)の出力を確保しやすくなる。
【0022】
本開示の第8の態様は、第6又は第7の態様の電動機システム(201)を備えたターボ圧縮機(200)であって、前記負荷(220)は、インペラである。
【0023】
第8の態様では、電動機システム(201)を小型化できるので、ターボ圧縮機(200)を小型化することができる。
【0024】
本開示の第9の態様は、第5又は第8の態様のターボ圧縮機(100,200)を備えた冷凍装置である。
【0025】
第9の態様では、ターボ圧縮機(100,200)を小型化できるので、冷凍装置を小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る電動機システム及びターボ圧縮機の構成例を示す正面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示す電動機システムのベアリングレスモータの構成例を示す横断面図である。
【
図3】
図3は、
図1に示す電動機システムのラジアル磁気軸受の構成例を示す横断面図である。
【
図4】
図4は、比較例に係る電動機システム及びターボ圧縮機の構成例を示す正面図である。
【
図5】
図5は、実施形態1の変形例に係る電動機システム及びターボ圧縮機の構成例を示す正面図である。
【
図6】
図6は、実施形態2に係る電動機システム及びターボ圧縮機の構成例を示す正面図である。
【
図7】
図7は、実施形態3に係る空気調和装置(実施形態1に係るターボ圧縮機を備える冷凍装置の一例)の概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施形態について図面を参照しながら説明する。尚、以下の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【0028】
《実施形態1》
〈ターボ圧縮機及び電動機システムの構成〉
本実施形態のターボ圧縮機(100)は、例えば、冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮する。ターボ圧縮機(100)は、
図1に示すように、ケーシング(110)と、インペラ(120)と、駆動軸(130)と、タッチダウン軸受(140,141)と、スラスト磁気軸受(150)と、ベアリングレスモータ(170)と、ラジアル磁気軸受(180)と、制御部(190)と、電源部(191)とを備える。ここで、主に、駆動軸(130)、スラスト磁気軸受(150)、ベアリングレスモータ(170)、及びラジアル磁気軸受(180)によって、本実施形態の電動機システム(101)が構成される。電動機システム(101)において、インペラ(120)は負荷を構成するが、電動機システム(101)の負荷の種類は、インペラ(120)に限られるものではない。
【0029】
尚、本実施形態において、「軸方向」とは、回転軸方向のことであって、駆動軸(130)の軸心の方向のことであり、「径方向」とは、駆動軸(130)の軸方向と直交する方向のことである。また、「外周側」とは、駆動軸(130)の軸心からより遠い側のことであり、「内周側」とは、駆動軸(130)の軸心により近い側のことである。
【0030】
電動機システム(101)において、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)とは、駆動軸(130)の軸方向に並んで配置される。駆動軸(130)のラジアル荷重は、ベアリングレスモータ(170)及びラジアル磁気軸受(180)によって非接触で支持される。
【0031】
-ケーシング-
ケーシング(110)は、両端が閉塞された円筒状に形成され、円筒軸線が水平向きとなるように配置される。ケーシング(110)内の空間は、壁部(111)によって、インペラ室(112)と電動機室(114)とに区画される。インペラ室(112)は、インペラ(120)を収容する。電動機室(114)は、主に、スラスト磁気軸受(150)、ベアリングレスモータ(170)、及びラジアル磁気軸受(180)を収容する。駆動軸(130)は、ケーシング(110)内を軸方向に延び、インペラ(120)とベアリングレスモータ(170)とを連結する。ベアリングレスモータ(170)及びラジアル磁気軸受(180)は、駆動支持部を構成する。
【0032】
本実施形態では、ラジアル磁気軸受(180)は、電動機室(114)のうちインペラ(120)に近い側に配置され、ベアリングレスモータ(170)は、電動機室(114)のうちインペラ(120)から遠い側に配置される。すなわち、ラジアル磁気軸受(180)は、ベアリングレスモータ(170)とインペラ(120)との間に配置される。尚、電動機室(114)のうちインペラ(120)に近い側にベアリングレスモータ(170)が配置され、電動機室(114)のうちインペラ(120)から遠い側にラジアル磁気軸受(180)が配置されてもよい。すなわち、ベアリングレスモータ(170)は、ラジアル磁気軸受(180)とインペラ(120)との間に配置されてもよい。
【0033】
-インペラ-
インペラ(120)は、複数の羽根によって外形が略円錐形状となるように形成される。インペラ(120)は、駆動軸(130)の一端に固定された状態で、インペラ室(112)に収容される。インペラ室(112)には、吸入口(115)及び吐出口(116)が接続され、インペラ室(112)の外周部には、圧縮空間(113)が形成される。吸入口(115)は、冷媒を外部からインペラ室(112)内に導くために設けられ、吐出口(116)は、インペラ室(112)内で圧縮された高圧の冷媒を外部へ戻すために設けられる。インペラ(120)は、吐出口(116)が高圧側で吸入口(115)が低圧側なので、吸入口(115)の方向に向かって、差圧に比例した冷媒力が軸方向に発生する。また、圧縮空間(113)は渦巻状に構成されており、運転する条件によっては圧力不均衡が生じるため、冷媒力が径方向に発生する。
【0034】
-タッチダウン軸受-
ターボ圧縮機(101)には、2つのタッチダウン軸受(140,141)が設けられる。一方のタッチダウン軸受(140)は、駆動軸(130)の一端部(インペラ(120)側の端部)近傍に設けられ、他方のタッチダウン軸受(141)は、駆動軸(130)の他端部近傍に設けられる。これらのタッチダウン軸受(140,141)は、ベアリングレスモータ(170)及びラジアル磁気軸受(180)が非通電であるときに、言い換えると、駆動軸(130)が浮上していないときに、駆動軸(130)を支持するように構成される。
【0035】
尚、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間の軸受スパンを拡げるために、タッチダウン軸受(140)を、スラスト磁気軸受(150)とラジアル磁気軸受(180)との間に配置してもよい。
【0036】
-スラスト磁気軸受-
本実施形態では、スラスト磁気軸受(150)は、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間に配置される。スラスト磁気軸受(150)は、駆動軸(130)に対して軸方向の双方向に磁力を作用させる構成を有する。具体的には、スラスト磁気軸受(150)は、第1及び第2電磁石(151,152)を有し、駆動軸(130)に設けられた円盤部(スラストディスク)(131)の軸方向両側にそれぞれ第1及び第2電磁石(151,152)が配置される。これにより、スラスト磁気軸受(150)は、円盤部(131)を電磁力によって非接触で支持することができる。また、スラスト磁気軸受(150)は、第1及び第2電磁石(151,152)に流れる電流を制御することにより、第1及び第2電磁石(151,152)の対向方向(つまり軸方向)における円盤部(131)(つまり駆動軸(130))の位置を制御することができる。
【0037】
-ベアリングレスモータ-
ベアリングレスモータ(170)は、電磁力によって駆動軸(130)を回転駆動し且つ駆動軸(130)のラジアル荷重を非接触で支持するように構成される。ベアリングレスモータ(170)は、回転子(171)と固定子(174)とを有する。回転子(171)は、駆動軸(130)に固定される。固定子(174)は、ケーシング(110)の内周壁に固定される。
【0038】
ベアリングレスモータ(170)は、
図2に示すように、例えばコンセクエントポール型のベアリングレスモータであってもよい。尚、ベアリングレスモータ(170)の形式は、例えばBPM型やシンクロナスリラクタンス型など他の形式であってもよい。ベアリングレスモータ(170)の固定子(174)は、バックヨーク部(175)と、複数のティース部(図示省略)と、各ティース部に巻回された駆動用コイル(176a~176c)及び支持用コイル(177a~177c)とを有する。ベアリングレスモータ(170)の回転子(171)は、コア部(172)と、コア部(172)に埋設された複数(本例では4つ)の永久磁石(173)とを有する。
【0039】
固定子(174)は、磁性材料(例えば電磁鋼板)で構成される。固定子(174)のバックヨーク部(175)は、円筒状に形成される。固定子(174)のティース部は、バックヨーク部(175)から径方向内側に突出して形成される。駆動用コイル(176a~176c)及び支持用コイル(177a~177c)は、各ティース部に分布巻方式で巻回される。尚、駆動用コイル(176a~176c)及び支持用コイル(177a~177c)は、各ティース部に集中巻方式で巻回されてもよい。
【0040】
駆動用コイル(176a~176c)は、ティース部のうち内周側に巻回されたコイルである。駆動用コイル(176a~176c)は、
図2において太実線で囲んで示すU相駆動用コイル(176a)と、太破線で囲んで示すV相駆動用コイル(176b)と、細実線で囲んで示すW相駆動用コイル(176c)とから構成されてもよい。
【0041】
支持用コイル(177a~177c)は、ティース部のうち外周側に巻回されたコイルである。支持用コイル(177a~177c)は、
図2において太実線で囲んで示すU相支持用コイル(177a)と、太破線で囲んで示すV相支持用コイル(177b)と、細実線で囲んで示すW相支持用コイル(177c)とから構成されてもよい。
【0042】
回転子(171)のコア部(172)は、円筒状に形成される。コア部(172)の中央部には駆動軸(130)を挿通するためのシャフト孔(図示省略)が形成される。コア部(172)は、磁性材料(例えば電磁鋼板)で構成される。コア部(172)の外周面近傍には、この外周面に沿った形状を有する4つの永久磁石(173)が、周方向に90°の角度ピッチ(AP1)で埋設される。これら4つの永久磁石(173)は、互いに同形状である。各永久磁石(173)の外周面側はN極となり、各永久磁石(173)の間のコア部(172)の外周面は擬似的にS極となる。尚、各永久磁石(173)の外周面側がS極となってもよい。
【0043】
ベアリングレスモータ(170)は、各永久磁石(173)によって生じる磁石磁束と、インペラ(120)及び駆動軸(130)を回転駆動するために生じる駆動用磁束と、駆動軸(130)のラジアル荷重を非接触で支持するために生じる支持用磁束との相互作用によって、駆動トルク及び支持力を同時に発生させる。ここで、支持力は、回転子(171)と固定子(174)とのギャップの磁束密度に不均衡を生じさせて得るため、支持力を大きくすればするほど、当該ギャップの磁束密度の不均衡も大きくなる。このため、互いに対向する回転子(171)のコア部(172)や永久磁石(173)と固定子(174)のティース部先端とにおいて渦電流損が大きくなり、結果としてベアリングレスモータ(170)の効率が低下する。
【0044】
-ラジアル磁気軸受-
ラジアル磁気軸受(180)は、駆動軸(130)のラジアル荷重を非接触で支持するように構成される。ラジアル磁気軸受(180)は、ケーシング(110)の内周壁に固定される。
【0045】
ラジアル磁気軸受(180)は、
図3に示すように、例えばヘテロポーラ型のラジアル磁気軸受である。ラジアル磁気軸受(180)は、バックヨーク部(182)及び複数のティース部(183)を有する固定子(181)と、ティース部(183)に巻回された複数のコイル(184)とを有する。ラジアル磁気軸受(180)は、電源部(191)から各コイル(184)に流れる電流により生じる電磁力によって、駆動軸(130)のラジアル荷重を非接触で支持する。各コイル(184)に流れる電流の方向は、例えば、
図3の矢印の向きに支持用磁束BS1が生じるように設定される。
【0046】
本実施形態では、駆動軸(130)のラジアル荷重を支持する磁束は、ラジアル磁気軸受(180)の支持用磁束BS1と、前述のベアリングレスモータ(170)の支持用磁束との和である。
【0047】
尚、本実施形態では、ベアリングレスモータ(170)とインペラ(120)との間にラジアル磁気軸受(180)を配置したが、これに代えて、ラジアル磁気軸受(180)を駆動軸(130)の一端側に配置し、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間にインペラ(120)を配置してもよい。但し、本実施形態のように、ベアリングレスモータ(170)とインペラ(120)との間にラジアル磁気軸受(180)を配置する方が、ベアリングレスモータ(170)が受ける軸受負荷を低減できる。
【0048】
-制御部-
制御部(190)は、駆動軸(130)の位置が所望の位置となるように、各種センサ(図示省略)の検出値、並びにインペラ(120)及び駆動軸(130)の目標回転速度に基づいて、スラスト磁気軸受(150)に供給する電圧を制御する指令値や、ベアリングレスモータ(170)及びラジアル磁気軸受(180)に供給する電圧を制御する指令値を出力する。各種センサは、例えば、円盤部(131)とスラスト磁気軸受(150)との間のギャップを検出可能なギャップセンサ、ベアリングレスモータ(170)における固定子(174)と回転子(171)との間のギャップを検出可能なギャップセンサ、及び、駆動軸(130)とラジアル磁気軸受(180)との間のギャップを検出可能なギャップセンサである。
【0049】
制御部(190)は、例えば、マイクロコンピュータ(図示省略)と、マイクロコンピュータを動作させるプログラムとによって構成することが可能である。
【0050】
-電源部-
電源部(191)は、制御部(190)からの指令値に基づいて、スラスト磁気軸受(150)、ベアリングレスモータ(170)、及びラジアル磁気軸受(180)に電圧をそれぞれ供給する。電源部(191)は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)アンプによって構成することが可能である。電源部(191)は、電気回路を構成する。
【0051】
<実施形態1の特徴>
本実施形態の電動機システム(101)は、インペラ(120)を回転駆動する駆動軸(130)と、駆動軸(130)の軸方向に並置されたベアリングレスモータ(170)及びラジアル磁気軸受(180)とを備える。駆動軸(130)のラジアル荷重は、ベアリングレスモータ(170)及びラジアル磁気軸受(180)によって非接触で支持される。
【0052】
本実施形態によると、スラスト磁気軸受(150)は、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間に配置される。このため、電動機システム(101)を小型化しても、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間の軸受スパンを確保しやすくなる。従って、ベアリングレスモータ(170)やラジアル磁気軸受(180)が受ける負荷を抑制できる。これにより、ベアリングレスモータ(170)が駆動軸(130)を回転駆動させる効率が渦電流損に起因して低下することを抑制できる。また、電動機システム(101)の効率の低下を抑制しつつ電動機システム(101)を小型化できるので、電動機システム(101)を備えたターボ圧縮機(100)を小型化することができる。
【0053】
図4は、比較例に係る電動機システム(101A)及びターボ圧縮機(100A)の構成例を示す正面図である。尚、
図4において、
図1に示す本実施形態の電動機システム(101)及びターボ圧縮機(100)と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0054】
図4に示す比較例の電動機システム(101A)及びターボ圧縮機(100A)が、本実施形態と異なっている点は、スラスト磁気軸受(150)が、駆動軸(130)の他端部(インペラ(120)が固定された一端部とは反対側の端部)に配置されることである。言い換えると、スラスト磁気軸受(150)は、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間には配置されない。このため、比較例の電動機システム(101A)では、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間の軸受スパンが、本実施形態と比較して短くなる。従って、ベアリングレスモータ(170)やラジアル磁気軸受(180)が受ける負荷が、本実施形態と比較して大きくなるので、ベアリングレスモータ(170)が駆動軸(130)を回転駆動させる効率が低下してしまう。
【0055】
《実施形態1の変形例》
図5は、実施形態1の変形例に係る電動機システム(101)及びターボ圧縮機(100)の構成例を示す正面図である。尚、
図5において、
図1に示す実施形態1の電動機システム(101)及びターボ圧縮機(100)と同じ構成要素には同じ符号を付す。
【0056】
図5に示す本変形例の電動機システム(101)及びターボ圧縮機(100)が、実施形態1と異なっている点は、スラスト磁気軸受として、第1スラスト磁気軸受(153A)及び第2スラスト磁気軸受(153B)を備えることである。第1スラスト磁気軸受(153A)は、ベアリングレスモータ(170)から見てラジアル磁気軸受(180)側に、より詳しくは、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間に配置される。第2スラスト磁気軸受(153B)は、ベアリングレスモータ(170)から見てラジアル磁気軸受(180)の反対側に、より詳しくは、駆動軸(130)の他端部(インペラ(120)が固定された一端部とは反対側の端部)に配置される。
【0057】
第1スラスト磁気軸受(153A)及び第2スラスト磁気軸受(153B)はそれぞれ、駆動軸(130)に対して軸方向の一方向に磁力を作用させる構成を有する。具体的には、第1スラスト磁気軸受(153A)は、駆動軸(130)に対して、第2スラスト磁気軸受(153B)から第1スラスト磁気軸受(153A)へ向かう第1方向(つまりベアリングレスモータ(170)からラジアル磁気軸受(180)へ向かう第1方向)に磁力を作用させる。また、第2スラスト磁気軸受(153B)は、駆動軸(130)に対して、第1スラスト磁気軸受(153A)から第2スラスト磁気軸受(153B)へ向かう第2方向(つまりラジアル磁気軸受(180)からベアリングレスモータ(170)へ向かう第2方向)に磁力を作用させる。
【0058】
尚、本変形例では、インペラ(120)の冷媒力に起因して、回転時の駆動軸(130)には、第2方向よりも第1方向に平均的に大きな外力が作用する。このため、第2スラスト磁気軸受(153B)が駆動軸(130)に対して作用可能な磁力の大きさが、第1スラスト磁気軸受(153A)が駆動軸(130)に対して作用可能な磁力の大きさよりも大きくなるように設定される。
【0059】
第1スラスト磁気軸受(153A)及び第2スラスト磁気軸受(153B)は、実施形態1のようなスラストディスク(円盤部(131))を駆動軸(130)に設けることなく構成される。具体的には、ベアリングレスモータ(170)の回転子(171)の軸方向両側に生じる段差部(171a,171b)の軸方向側面に対して、第1スラスト磁気軸受(153A)及び第2スラスト磁気軸受(153B)は第1方向又は第2方向に磁力を作用させる。尚、図示は省略しているが、ラジアル磁気軸受(180)と対向するロータ部分を駆動軸(130)に設ける場合、当該ロータ部分の外径よりも回転子(171)の外径を大きくすれば、ラジアル磁気軸受(180)側に段差部(171a)を設けることができる。
【0060】
本変形例の各スラスト磁気軸受(153A,153B)は、駆動軸(130)の軸心に関して軸対称に構成される。各スラスト磁気軸受(153A,153B)は、ケーシング(110)の内周壁に固定された鉄心部(156A,156B)と、鉄心部(156A,156B)内に配置されたコイル(157A,157B)とを有する。鉄心部(156A,156B)は、互いに一体に形成された第1鍔部(154A,154B)及び第2鍔部(155A,155B)を有する。鉄心部(156A,156B)は、例えば、構造用鋼の削り出しで構成されてもよいし、鉄損が気になる場合は電磁鋼板の積層で、又は圧粉磁心等の他の磁性材料で構成されてもよい。
【0061】
第1鍔部(154A,154B)は、鉄心部(156A,156B)におけるベアリングレスモータ(170)から離れた側の軸方向端部が径方向内側に張り出すように形成される。第1鍔部(154A,154B)の径方向内側面は、駆動軸(130)の外周面から所定の距離だけ離間する。第1鍔部(154A,154B)の径方向内側部には、回転子(171)の各段差部(171a,171b)の軸方向側面と離間して対向するステータ磁極面が構成される。
【0062】
第2鍔部(155A,155B)は、鉄心部(156A,156B)におけるベアリングレスモータ(170)に近い側の軸方向端部が径方向内側に張り出すように形成される。第2鍔部(155A,155B)の径方向内側面は、回転子(171)の各段差部(171a,171b)の外周面から所定の距離だけ離間する。
【0063】
コイル(157A,157B)は、第1鍔部(154A,154B)と第2鍔部(155A,155B)との間の空間にリング状に配置される。コイル(157A,157B)は、電源部(191)に接続されており、電源部(191)から電流が流れることによって磁束を発生させる。これにより、回転子(171)の各段差部(171a,171b)の軸方向側面と、各スラスト磁気軸受(153A,153B)のステータ磁極面との間に、軸方向の電磁力が発生し、当該軸方向の電磁力によって、駆動軸(130)を含む回転系が受ける軸方向の負荷が支持される。
【0064】
尚、本変形例の制御部(190)は、実施形態1における円盤部(131)とスラスト磁気軸受(150)との間のギャップをセンサにより検出した値に代えて、各段差部(171a,171b)の軸方向側面と各スラスト磁気軸受(153A,153B)のステータ磁極面との間のギャップをセンサにより検出した値に基づいて、各種指令値を出力する。
【0065】
<実施形態1の変形例の特徴>
本変形例によると、第1スラスト磁気軸受(153A)は、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間に配置される。このため、電動機システム(101)を小型化しても、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間の軸受スパンを確保しやすくなる。従って、ベアリングレスモータ(170)やラジアル磁気軸受(180)が受ける負荷を抑制できる。これにより、ベアリングレスモータ(170)が駆動軸(130)を回転駆動させる効率の低下を抑制できる。また、電動機システム(101)の効率の低下を抑制しつつ小型化できるので、電動機システム(101)を備えたターボ圧縮機(100)を小型化することができる。
【0066】
また、本変形例によると、第2スラスト磁気軸受(153B)は、ベアリングレスモータ(170)から見てラジアル磁気軸受(180)の反対側に配置される。言い換えると、第2スラスト磁気軸受(153B)は、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間には配置されない。このため、第1及び第2スラスト磁気軸受(153A,153B)の両方をベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間に配置する場合と比べて、ロータ組立性が向上する。例えば、ラジアル磁気軸受(180)やベアリングレスモータ(170)は、駆動軸(130)のラジアル荷重を支持するために、ケーシング(110)に対して焼嵌めするのが一般的である。本変形例の場合、ラジアル磁気軸受(180)及びベアリングレスモータ(170)の焼嵌めが完了した後に、ロータを挿入することができるため、ロータにある永久磁石が減磁することを回避できる。しかしながら、実施形態1の構造の場合、ロータを挿入後にラジアル磁気軸受(180)を焼嵌めする必要があるため、ロータにある永久磁石が減磁するリスクが発生してしまう。
【0067】
また、本変形例によると、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間に第2スラスト磁気軸受(153B)を配置しないことによって、ベアリングレスモータ(170)の発熱に起因する熱膨張が第2スラスト磁気軸受(153B)に及ぼす影響を低減できる。具体的には以下の通りである。駆動軸(130)に対して、第1スラスト磁気軸受(153A)は、第2スラスト磁気軸受(153B)から第1スラスト磁気軸受(153A)へ向かう第1方向に磁力を作用させ、第2スラスト磁気軸受(153B)は、第1スラスト磁気軸受(153A)から第2スラスト磁気軸受(153B)へ向かう第2方向に磁力を作用させる。ここで、駆動軸(130)の回転時において、駆動軸(130)には第2方向よりも第1方向に平均的に大きな外力が作用しており、第2スラスト磁気軸受(153B)が駆動軸(130)に対して作用可能な磁力の大きさは、第1スラスト磁気軸受(153A)が駆動軸(130)に対して作用可能な磁力の大きさよりも大きい。このため、熱膨張の影響を受けにくい第2スラスト磁気軸受(153B)に対して位置センサー(ギャップセンサー)を用いることで、第2スラスト磁気軸受(153B)についてはギャップ長を管理した制御を行うのに対し、第1スラスト磁気軸受(153A)についてはギャップ長を管理せずに制御することによって、軸方向位置の制御を精度良く行うことができる。
【0068】
また、本変形例によると、第1スラスト磁気軸受(153A)の支持力(駆動軸(130)に対して作用可能な磁力の大きさ)が小さいため、ベアリングレスモータ(170)の回転子(171)の段差(段差部(171a))を小さくできる。このため、ラジアル磁気軸受(180)と対向するロータ部分(図示省略)の外径を大きくできるので、ラジアル磁気軸受(180)の出力を確保しやすくなる。
【0069】
<実施形態1及びその変形例の軸受負荷の評価>
図5に示す実施形態1の変形例のターボ圧縮機(100)において、第1スラスト磁気軸受(153A)を、ベアリングレスモータ(170)とラジアル磁気軸受(180)との間ではなく、ラジアル磁気軸受(180)とインペラ(120)との間に配置した場合の軸受負荷を基準として、実施形態1及びその変形例の軸受負荷をシミュレーションにより評価した。
【0070】
その結果、実施形態1では、ラジアル磁気軸受(180)の軸受負荷が約23%低減し、ベアリングレスモータ(170)の軸受負荷が約41%低減した。また、実施形態1の変形例では、ラジアル磁気軸受(180)の軸受負荷が約20%低減し、ベアリングレスモータ(170)の軸受負荷が約29%低減した。
【0071】
尚、シミュレーションにおいては、ターボ圧縮機(100)の各構成部品の数や寸法、駆動軸(130)を含む駆動系の重量や回転速度を全て同じに設定した。
【0072】
《実施形態2》
〈ターボ圧縮機及び電動機システムの構成〉
本実施形態のターボ圧縮機(200)は、例えば、冷凍サイクルを行う冷媒回路に設けられて冷媒を圧縮する。ターボ圧縮機(200)は、
図6に示すように、ケーシング(210)と、インペラ(220)と、駆動軸(230)と、タッチダウン軸受(240,241)と、第1及び第2スラスト磁気軸受(253A,253B)と、モータ(270)と、第1及び第2ラジアル磁気軸受(280A,280B)と、制御部(290)と、電源部(291)とを備える。ここで、主に、駆動軸(230)、第1及び第2スラスト磁気軸受(253A,253B)、モータ(270)、並びに第1及び第2スラスト磁気軸受(253A,253B)によって、本実施形態の電動機システム(201)が構成される。電動機システム(201)において、インペラ(220)は負荷を構成するが、電動機システム(201)の負荷の種類は、インペラ(220)に限られるものではない。
【0073】
尚、本実施形態において、「軸方向」とは、回転軸方向のことであって、駆動軸(230)の軸心の方向のことであり、「径方向」とは、駆動軸(230)の軸方向と直交する方向のことである。また、「外周側」とは、駆動軸(230)の軸心からより遠い側のことであり、「内周側」とは、駆動軸(230)の軸心により近い側のことである。
【0074】
電動機システム(201)において、第1ラジアル磁気軸受(280A)及び第2ラジアル磁気軸受(280B)は、駆動軸(230)の軸方向にモータ(270)を挟んでインペラ(220)側及びインペラ(220)の反対側にそれぞれ配置される。駆動軸(230)のラジアル荷重は、第1ラジアル磁気軸受(280A)及び第2ラジアル磁気軸受(280B)によって非接触で支持される。第1スラスト磁気軸受(253A)は、第2ラジアル磁気軸受(280B)から見てモータ(270)側に、より詳しくは、モータ(270)と第1ラジアル磁気軸受(280A)との間に配置される。第2スラスト磁気軸受(253B)は、第2ラジアル磁気軸受(280B)から見てモータ(270)の反対側に、より詳しくは、駆動軸(230)の他端部(インペラ(220)が固定された一端部とは反対側の端部)に配置される。
【0075】
-ケーシング-
ケーシング(210)は、両端が閉塞された円筒状に形成され、円筒軸線が水平向きとなるように配置される。ケーシング(210)内の空間は、壁部(211)によって、インペラ室(212)と電動機室(214)とに区画される。インペラ室(212)は、インペラ(220)を収容する。電動機室(214)は、主に、第1及び第2スラスト磁気軸受(253A,253B)、モータ(270)、並びに第1及び第2ラジアル磁気軸受(280A,280B)を収容する。駆動軸(230)は、ケーシング(210)内を軸方向に延び、インペラ(220)とモータ(270)とを連結する。第1及び第2ラジアル磁気軸受(280A,280B)は、駆動支持部を構成する。
【0076】
-インペラ-
インペラ(220)は、複数の羽根によって外形が略円錐形状となるように形成される。インペラ(220)は、駆動軸(230)の一端に固定された状態で、インペラ室(212)に収容される。インペラ室(212)には、吸入口(215)及び吐出口(216)が接続され、インペラ室(212)の外周部には、圧縮空間(213)が形成される。吸入口(215)は、冷媒を外部からインペラ室(212)内に導くために設けられ、吐出口(216)は、インペラ室(212)内で圧縮された高圧の冷媒を外部へ戻すために設けられる。インペラ(220)は、吐出口(216)が高圧側で吸入口(215)が低圧側なので、吸入口(215)の方向に向かって、差圧に比例した冷媒力が軸方向に発生する。また、圧縮空間(213)は渦巻状に構成されており、運転する条件によっては圧力不均衡が生じるため、冷媒力が径方向に発生する。
【0077】
-タッチダウン軸受-
ターボ圧縮機(201)には、2つのタッチダウン軸受(240,241)が設けられる。一方のタッチダウン軸受(240)は、駆動軸(230)の一端部(インペラ(220)側の端部)近傍に設けられ、他方のタッチダウン軸受(241)は、駆動軸(230)の他端部近傍に設けられる。これらのタッチダウン軸受(240,241)は、第1ラジアル磁気軸受(280A)及び第2ラジアル磁気軸受(280B)が非通電であるときに、言い換えると、駆動軸(230)が浮上していないときに、駆動軸(230)を支持するように構成される。
【0078】
尚、モータ(270)と第1ラジアル磁気軸受(280A)との間の軸受スパンを拡げるために、タッチダウン軸受(240)を、第1スラスト磁気軸受(253A)と第1ラジアル磁気軸受(280A)との間に配置してもよい。
【0079】
-スラスト磁気軸受-
第1スラスト磁気軸受(253A)及び第2スラスト磁気軸受(253B)はそれぞれ、駆動軸(230)に対して軸方向の一方向に磁力を作用させる構成を有する。具体的には、第1スラスト磁気軸受(253A)は、駆動軸(230)に対して、第2スラスト磁気軸受(253B)から第1スラスト磁気軸受(253A)へ向かう第1方向(つまりモータ(270)から第1ラジアル磁気軸受(280A)へ向かう第1方向)に磁力を作用させる。また、第2スラスト磁気軸受(253B)は、駆動軸(230)に対して、第1スラスト磁気軸受(253A)から第2スラスト磁気軸受(253B)へ向かう第2方向(つまりモータ(270)から第2ラジアル磁気軸受(280B)へ向かう第2方向)に磁力を作用させる。
【0080】
尚、本実施形態では、インペラ(220)の冷媒力に起因して、回転時の駆動軸(230)には、第2方向よりも第1方向に平均的に大きな外力が作用する。このため、第2スラスト磁気軸受(253B)が駆動軸(230)に対して作用可能な磁力の大きさが、第1スラスト磁気軸受(253A)が駆動軸(230)に対して作用可能な磁力の大きさよりも大きくなるように設定される。
【0081】
第1スラスト磁気軸受(253A)及び第2スラスト磁気軸受(253B)は、実施形態1のようなスラストディスク(円盤部(131))を駆動軸(230)に設けることなく構成される。具体的には、モータ(270)の回転子(271)の軸方向両側に生じる段差部(271a,271b)の軸方向側面に対して、第1スラスト磁気軸受(253A)及び第2スラスト磁気軸受(253B)は第1方向又は第2方向に磁力を作用させる。尚、図示は省略しているが、第1ラジアル磁気軸受(280A)と対向するロータ部分を駆動軸(230)に設ける場合、当該ロータ部分の外径よりも回転子(271)の外径を大きくすれば、第1ラジアル磁気軸受(280A)側に段差部(271a)を設けることができる。
【0082】
本実施形態の各スラスト磁気軸受(253A,253B)は、駆動軸(230)の軸心に関して軸対称に構成される。各スラスト磁気軸受(253A,253B)は、ケーシング(210)の内周壁に固定された鉄心部(256A,256B)と、鉄心部(256A,256B)内に配置されたコイル(257A,257B)とを有する。鉄心部(256A,256B)は、互いに一体に形成された第1鍔部(254A,254B)及び第2鍔部(255A,255B)を有する。鉄心部(256A,256B)は、例えば、電磁鋼板を積層して構成されてもよいし、又は圧粉磁心等の他の磁性材料で構成されてもよい。
【0083】
第1鍔部(254A,254B)は、鉄心部(256A,256B)におけるモータ(270)から離れた側の軸方向端部が径方向内側に張り出すように形成される。第1鍔部(254A,254B)の径方向内側面は、駆動軸(230)の外周面から所定の距離だけ離間する。第1鍔部(254A,254B)の径方向内側部には、回転子(271)の各段差部(271a,271b)の軸方向側面と離間して対向するステータ磁極面が構成される。
【0084】
第2鍔部(255A,255B)は、鉄心部(256A,256B)におけるモータ(270)に近い側の軸方向端部が径方向内側に張り出すように形成される。第2鍔部(255A,255B)の径方向内側面は、回転子(271)の各段差部(271a,271b)の外周面から所定の距離だけ離間する。
【0085】
コイル(257A,257B)は、第1鍔部(254A,254B)と第2鍔部(255A,255B)との間の空間にリング状に配置される。コイル(257A,257B)は、電源部(291)に接続されており、電源部(291)から電流が流れることによって磁束を発生させる。これにより、回転子(271)の各段差部(271a,271b)の軸方向側面と、各スラスト磁気軸受(253A,253B)のステータ磁極面との間に、軸方向の電磁力が発生し、当該軸方向の電磁力によって、駆動軸(230)を含む回転系が受ける軸方向の負荷が支持される。
【0086】
-モータ-
モータ(270)は、電磁力によって駆動軸(230)を回転駆動するように構成される。モータ(270)は、回転子(271)と固定子(274)とを有する。回転子(271)は、駆動軸(230)に固定される。固定子(274)は、ケーシング(210)の内周壁に固定される。図示は省略しているが、回転子(271)は、コア部と、複数(例えば4つ)の永久磁石とを有する。固定子(274)は、バックヨーク部と、複数のティース部と、各ティース部に巻回されたコイルとを有する。
【0087】
-ラジアル磁気軸受-
第1及び第2ラジアル磁気軸受(280A,280B)は、駆動軸(230)のラジアル荷重を非接触で支持するように構成される。第1及び第2ラジアル磁気軸受(280A,280B)は、ケーシング(210)の内周壁に固定される。第1及び第2ラジアル磁気軸受(280A,280B)はそれぞれ、
図3に示す実施形態1のラジアル磁気軸受(180)と同様の構成を有する。
【0088】
本実施形態では、駆動軸(230)のラジアル荷重を支持する磁束は、第1及び第2ラジアル磁気軸受(280A,280B)それぞれの支持用磁束の和である。
【0089】
尚、本実施形態では、モータ(270)とインペラ(220)との間に第1ラジアル磁気軸受(280A)を配置したが、これに代えて、第1ラジアル磁気軸受(280A)を駆動軸(230)の一端側に配置し、モータ(270)と第1ラジアル磁気軸受(280A)との間にインペラ(220)を配置してもよい。但し、本実施形態のように、モータ(270)とインペラ(220)との間に第1ラジアル磁気軸受(280A)を配置する方が、第2ラジアル磁気軸受(280B)が受ける軸受負荷を低減できる。
【0090】
また、本実施形態では、モータ(270)と第1ラジアル磁気軸受(280A)との間に第1スラスト磁気軸受(253A)を配置した。言い換えると、モータ(270)と第2ラジアル磁気軸受(280B)との間にはスラスト磁気軸受を配置しなかった。このため、第2ラジアル磁気軸受(280B)と対向する領域の駆動軸(230)に設けるロータ部分の外径を大きくできるので、第2ラジアル磁気軸受(280B)の出力を確保しやすくなる。しかし、これに代えて、モータ(270)と第2ラジアル磁気軸受(280B)との間に第1スラスト磁気軸受(253A)を配置してもよい。言い換えると、モータ(270)と第1ラジアル磁気軸受(280A)との間にスラスト磁気軸受を配置しなくてもよい。このようにすると、第1ラジアル磁気軸受(280A)と対向する領域の駆動軸(230)に設けるロータ部分の外径を大きくできるので、第1ラジアル磁気軸受(280A)の出力を確保しやすくなる。
【0091】
-制御部-
制御部(290)は、駆動軸(230)の位置が所望の位置となるように、各種センサ(図示省略)の検出値、並びにインペラ(220)及び駆動軸(230)の目標回転速度に基づいて、各スラスト磁気軸受(253A,253B)に供給する電圧を制御する指令値や、モータ(270)及び各ラジアル磁気軸受(280A,280B)に供給する電圧を制御する指令値を出力する。各種センサは、例えば、各段差部(271a,271b)の軸方向側面と各スラスト磁気軸受(253A,253B)のステータ磁極面との間のギャップを検出可能なギャップセンサ、及び、駆動軸(230)と各ラジアル磁気軸受(280A,280B)との間のギャップを検出可能なギャップセンサである。
【0092】
制御部(290)は、例えば、マイクロコンピュータ(図示省略)と、マイクロコンピュータを動作させるプログラムとによって構成することが可能である。
【0093】
-電源部-
電源部(291)は、制御部(290)からの指令値に基づいて、各スラスト磁気軸受(253A,253B)、モータ(270)、及び各ラジアル磁気軸受(280A,280B)に電圧をそれぞれ供給する。電源部(291)は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)アンプによって構成することが可能である。電源部(291)は、電気回路を構成する。
【0094】
<実施形態2の特徴>
本実施形態の電動機システム(201)は、負荷(220)を回転駆動する駆動軸(230)と、駆動軸(230)に配置されたモータ(270)と、第1ラジアル磁気軸受(280A)及び第2ラジアル磁気軸受(280B)と、第1スラスト磁気軸受(253A)及び第2スラスト磁気軸受(253B)とを備える。第1ラジアル磁気軸受(280A)及び第2ラジアル磁気軸受(280B)は、駆動軸(230)の軸方向にモータ(270)を挟んで負荷(220)側及び負荷(220)の反対側にそれぞれ配置される。第1スラスト磁気軸受(253A)は、第2ラジアル磁気軸受(280B)から見てモータ(270)側に配置される。第2スラスト磁気軸受(253B)は、第2ラジアル磁気軸受(280B)から見てモータ(270)の反対側に配置される。駆動軸(230)のラジアル荷重は、第1ラジアル磁気軸受(280A)及び第2ラジアル磁気軸受(280B)によって非接触で支持される。
【0095】
本実施形態によると、第1ラジアル磁気軸受(280A)と第2ラジアル磁気軸受(280B)との間に第1スラスト磁気軸受(253A)が配置される。このため、小型化しても、第1ラジアル磁気軸受(280A)と第2ラジアル磁気軸受(280B)との間の軸受スパンを確保しやすくなるので、第1及び第2ラジアル磁気軸受(280A,280B)が受ける負荷を抑制できる。従って、第1及び第2ラジアル磁気軸受(280A,280B)を小型化して電動機システム(201)を小型化できるので、電動機システム(201)を備えたターボ圧縮機(200)を小型化することができる。
【0096】
《実施形態3》
以下、実施形態1の電動機システム(101)により駆動されるターボ圧縮機(以下、単に圧縮機という)(100)を備える冷凍装置の一例である空気調和装置(1)について、
図7を参照しながら説明する。
【0097】
空気調和装置(1)は、蒸気圧縮式の冷凍サイクルによって、対象空間の空調を行う装置である。空気調和装置(1)は、冷房運転を実行可能であり、主として、圧縮機(100)と、熱源側熱交換器(3)と、膨張機構(4)と、利用側熱交換器(5)とを備える。
【0098】
圧縮機(100)は、吸入管(6)を流れる低圧の冷媒を、吸入口(115)を介して吸入し、吸入口(115)を介して吸入した冷媒を圧縮して高圧の冷媒とした後に、吐出口(116)を介して吐出管(7)へと吐出する。尚、吸入管(6)は、利用側熱交換器(5)から出た冷媒を圧縮機(100)の吸入側(吸入口(115))へと導く冷媒管であり、吐出管(7)は、圧縮機(100)から吐出口(116)を介して吐出された冷媒を熱源側熱交換器(3)の入口へと導く冷媒管である。
【0099】
圧縮機(100)は、実施形態1で述べたように、主として、ベアリングレスモータ(170)と、駆動軸(130)と、インペラ(120)とを備える。インペラ(120)には、駆動軸(130)からベアリングレスモータ(170)の駆動力が伝達され、駆動軸(130)を軸心としてインペラ(120)は回転する。これにより、圧縮機(100)は、吸入口(115)を介して流入する吸入冷媒を圧縮する。
【0100】
熱源側熱交換器(3)は、冷却源としての水又は空気と熱交換させることにより、圧縮機(100)から吐出された冷媒の放熱を行う冷媒の放熱器として機能する。熱源側熱交換器(3)の一端は、吐出管(7)を介して圧縮機(100)の吐出口(116)に接続される。熱源側熱交換器(3)の他端は、膨張機構(4)に接続される。
【0101】
膨張機構(4)は、熱源側熱交換器(3)で放熱された冷媒の減圧を行う機構であり、例えば、電動膨張弁から構成される。膨張機構(4)の一端は、熱源側熱交換器(3)に接続される。膨張機構(4)の他端は、利用側熱交換器(5)に接続される。
【0102】
利用側熱交換器(5)は、加熱源としての水又は空気と熱交換させることにより、膨張機構(4)で減圧された冷媒の加熱を行う冷媒の加熱器として機能する。利用側熱交換器(5)の一端は、膨張機構(4)に接続される。利用側熱交換器(5)の他端は、吸入管(6)を介して圧縮機(100)の吸入口(115)に接続される。
【0103】
以上に説明したように、空気調和装置(1)において、圧縮機(100)、熱源側熱交換器(3)、膨張機構(4)及び利用側熱交換器(5)は、吸入管(6)及び吐出管(7)を含む冷媒配管によって順次接続されることにより、冷媒が循環する経路(8)を構成する。
【0104】
本実施形態の冷凍装置(空気調和装置(1))によると、実施形態1の電動機システム(101)により駆動される圧縮機(100)を用いるため、冷凍装置の小型化を図ることができる。
【0105】
尚、本実施形態では、圧縮機及び電動機システムとして、実施形態1の圧縮機(100)及び電動機システム(101)を用いる場合を例示した。しかし、これに代えて、圧縮機及び電動機システムとして、実施形態1の変形例の圧縮機(100)及び電動機システム(101)、又は実施形態2の圧縮機(200)及び電動機システム(201)を用いた場合にも、本実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0106】
《その他の実施形態》
前記各実施形態(変形例を含む。以下同じ。)では、1段のインペラ(120,220)を負荷とする電動機システム(101,201)及びターボ圧縮機(100,200)について説明したが、これに代えて、片端に2段以上のインペラを負荷とする電動機システム及びターボ圧縮機を構成してもよい。
【0107】
以上、実施形態を説明したが、特許請求の範囲の趣旨及び範囲から逸脱することなく、形態や詳細の多様な変更が可能なことが理解されるであろう。また、以上の実施形態は、本開示の対象の機能を損なわない限り、適宜組み合わせたり、置換したりしてもよい。以上に述べた「第1」、「第2」、・・・という記載は、これらの記載が付与された語句を区別するために用いられており、その語句の数や順序までも限定するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0108】
以上説明したように、本開示は、電動機システム、ターボ圧縮機、及び冷凍装置について有用である。
【符号の説明】
【0109】
100、200 ターボ圧縮機
101、201 電動機システム
120、220 インペラ(負荷)
130、230 駆動軸
150 スラスト磁気軸受
153A、253A 第1スラスト磁気軸受
153B、253B 第2スラスト磁気軸受
170 ベアリングレスモータ
180 ラジアル磁気軸受
270 モータ
280A 第1ラジアル磁気軸受
280B 第2ラジアル磁気軸受