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特許7475313超音波診断システム、超音波診断装置及び診断支援サーバー
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】超音波診断システム、超音波診断装置及び診断支援サーバー
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/14 20060101AFI20240419BHJP
【FI】
A61B8/14
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021070479
(22)【出願日】2021-04-19
(65)【公開番号】P2022165214
(43)【公開日】2022-10-31
【審査請求日】2023-10-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】320011683
【氏名又は名称】富士フイルムヘルスケア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石黒 俊
(72)【発明者】
【氏名】脇 康治
(72)【発明者】
【氏名】日下部 彰
(72)【発明者】
【氏名】笠原 英司
【審査官】蔵田 真彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-017991(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108831533(CN,A)
【文献】特開2006-187484(JP,A)
【文献】再公表特許第2004/110280(JP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0148011(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00-8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断装置と、
前記超音波診断装置に対してネットワークを介して接続された診断支援サーバーと、
を含み、
前記超音波診断装置は、
超音波の送受波により生成された時系列順の複数のフレームデータを前記診断支援サーバーへ転送する第1転送手段と、
前記複数のフレームデータの転送に先立って、前記複数のフレームデータにおける各フレームデータに対して第1同期情報を埋め込む手段と、
前記複数のフレームデータに含まれる複数の第1同期情報及び前記診断支援サーバーから転送されてきた複数の診断支援データに含まれる複数の第2同期情報に基づいて、前記複数のフレームデータと前記診断支援サーバーから転送されてきた前記複数の診断支援データとを同期させながら合成して複数の合成フレームデータを生成し、前記複数の合成フレームデータをリアルタイム動画像として表示する表示処理手段と、
を含み、
前記診断支援サーバーは、
前記超音波診断装置から送られてきた前記複数のフレームデータを解析して検査者を支援するための前記複数の診断支援データを生成する生成手段と、
前記複数の診断支援データを前記超音波診断装置へ転送する第2転送手段と、
前記複数の診断支援データの転送に先立って、前記超音波診断装置から送られてきた各フレームデータに含まれる前記第1同期情報に基づいて第2同期情報を生成し、前記超音波診断装置から送られてきた各フレームデータに対応する診断支援データに対して、生成された第2同期情報を埋め込む手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項2】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記第2同期情報を埋め込む手段は、前記各フレームデータから前記第1同期情報を抽出し、前記各フレームデータに対応する診断支援データに対して、抽出された前記第1同期情報を前記第2同期情報として埋め込む、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項3】
請求項記載の超音波診断システムにおいて、
前記複数のフレームデータは、それぞれ、データ実体と前記第1同期情報を含む属性情報とを有し、
前記複数の診断支援データは、それぞれ、データ実体と前記第2同期情報を含む属性情報とを有する、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項4】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記生成手段は、前記複数のフレームデータを解析する解析手段を含み、
前記解析手段の解析結果を含む前記複数の診断支援データが生成される、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項5】
請求項4記載の超音波診断システムにおいて、
前記解析手段は、前記複数のフレームデータに対して断面種別を識別する処理を適用する手段を含み、
前記リアルタイム動画像には断面種別情報が含まれる、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項6】
請求項4記載の超音波診断システムにおいて、
前記解析手段は、前記複数のフレームデータに対して計測を実施する手段を含み、
前記リアルタイム動画像には計測値情報が含まれる、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項7】
請求項6記載の超音波診断システムにおいて、
前記計測値情報には動的に変化する計測値グラフが含まれる、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項8】
請求項4記載の超音波診断システムにおいて、
前記解析手段は、前記複数のフレームデータに対して、病変部候補の特定を含むコンピュータ診断支援を適用する手段を含み、
前記リアルタイム動画像にはコンピュータ診断支援情報が含まれる、
ことを特徴とする超音波診断システム。
【請求項9】
請求項1記載の超音波診断システムにおいて、
前記超音波診断装置は、前記複数の診断支援データの全部又は一部に基づいて検査レポートを作成する手段を含む、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項10】
請求項4記載の超音波診断システムにおいて、
前記第1転送手段は、前記診断支援サーバーに対して、前記複数のフレームデータを解析する際に必要となる関連情報を転送する、
ことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項11】
診断支援サーバーに対してネットワークを介して接続された超音波診断装置であって、
前記診断支援サーバーは、
前記超音波診断装置から送られてきた時系列順の複数のフレームデータを解析して検査者を支援するための時系列順の複数の診断支援データを生成し、前記複数の診断支援データを前記超音波診断装置へ転送する装置であり、
前記複数の診断支援データの転送に先立って、前記超音波診断装置から送られてきた各フレームデータに含まれる第1同期情報に基づいて第2同期情報を生成し、前記超音波診断装置から送られてきた各フレームデータに対応する診断支援データに対して、生成された前記第2同期情報を埋め込み、
前記超音波診断装置は、
前記複数のフレームデータを前記診断支援サーバーへ転送する転送手段と、
前記複数のフレームデータの転送に先立って、前記複数のフレームデータにおける各フレームデータに対して前記第1同期情報を埋め込む手段と、
前記複数のフレームデータに含まれる複数の第1同期情報及び前記複数の診断支援データに含まれる複数の第2同期情報に基づいて、前記複数のフレームデータと前記診断支援サーバーから転送されてきた前記複数の診断支援データとを同期させながら合成し、これにより複数の合成フレームデータを生成し、前記複数の合成フレームデータをリアルタイム動画像として表示する表示処理手段と、
を含むことを特徴とする超音波診断装置。
【請求項12】
超音波診断装置に対してネットワークを介して接続された診断支援サーバーであって、
前記超音波診断装置は、
超音波の送受波により生成された時系列順の複数のフレームデータを前記診断支援サーバーへ転送し、前記複数のフレームデータに対して前記診断支援サーバーから転送されてきた時系列順の複数の診断支援データを同期させながら表示する装置であり、
前記複数のフレームデータの転送に先立って、前記複数のフレームデータにおける各フレームデータに対して第1同期情報を埋め込み、
前記複数のフレームデータに含まれる複数の第1同期情報及び前記複数の診断支援データに含まれる複数の第2同期情報に基づいて、前記複数のフレームデータに対して前記複数の診断支援データを同期させながら合成して複数の合成フレームデータを生成し、
前記複数の合成フレームデータをリアルタイム動画像として表示し、
前記診断支援サーバーは、
前記超音波診断装置から送られてきた前記複数のフレームデータを解析して検査者を支援するための前記複数の診断支援データを生成する生成手段と、
前記複数の診断支援データを前記超音波診断装置へ転送する転送手段と、
前記複数の診断支援データの転送に先立って、前記超音波診断装置から送られてきた各フレームデータに含まれる前記第1同期情報に基づいて第2同期情報を生成し、前記超音波診断装置から送られてきた各フレームデータに対応する診断支援データに対して、生成された第2同期情報を埋め込む手段と、
を含むことを特徴とする診断支援サーバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、超音波診断システム、超音波診断装置及び診断支援サーバーに関し、特に、超音波診断装置と診断支援サーバーを連携させる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置の高機能化が進んでいるが、超音波診断装置の処理能力は有限であることから、開発者や検査者が望む機能を超音波診断装置に実装できない事態も生じ得る。例えば、機械学習型CAD(Computer Aided Diagnosis)機能を搭載する際にそのような事態が生じ得るものと考えられる。超音波診断装置で取得された静止画像を外部装置(例えばサーバー)へ転送してその静止画像の処理を行わせた上でその処理結果を超音波診断装置へ戻すことも考えられるが、単なる画像転送による場合、現在遂行している超音波検査をリアルタイムに支援することはできない。
【0003】
特許文献1には、データベース及び複数の超音波診断装置を含む超音波診断システムが開示されている。複数の超音波診断装置の間で画像共有やチャットが行われているが、画像解析及び画像解析結果のフィードバックについては開示されていない。
【0004】
特許文献2には、超音波診断装置及び外部情報処理装置を含む超音波診断システムが開示されている。外部情報処理装置では、超音波診断装置から転送された画像データに対して計測が実行され、その計測結果が超音波診断装置に転送されている。特許文献2には、外部情報処理装置におけるリアルタイム外部処理及び超音波診断装置における外部処理結果のリアルタイム表示については開示されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2016-85715号公報
【文献】特開2004- 8535号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超音波診断装置それ自体の高機能化には限界があるところ、別の装置を並列動作させることにより、リアルタイム動作中において各データの解析結果を検査者に随時提供し、プローブ操作や読影を支援することが望まれる。
【0007】
本開示の目的は、リアルタイム動作中において検査者を支援することにある。あるいは、本開示の目的は、超音波診断装置に大きな負荷を生じさせることなく、プローブ操作や超音波画像の読影を支援することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示に係る超音波診断システムは、超音波診断装置と、前記超音波診断装置に対してネットワークを介して接続された診断支援サーバーと、を含み、前記超音波診断装置は、超音波の送受波により生成された時系列順の複数のフレームデータを前記診断支援サーバーへ転送する第1転送手段と、前記複数のフレームデータと前記診断支援サーバーから転送されてきた時系列順の複数の診断支援データとを同期させながらリアルタイム動画像として表示する表示処理手段と、を含み、前記診断支援サーバーは、前記超音波診断装置から送られてきた前記複数のフレームデータを解析して検査者を支援するための前記複数の診断支援データを生成する生成手段と、前記複数の診断支援データを前記超音波診断装置へ転送する第2転送手段と、を含むことを特徴とするものである。
【0009】
本開示に係る超音波診断装置は、診断支援サーバーに対してネットワークを介して接続された超音波診断装置であって、前記診断支援サーバーは、前記該超音波診断装置から送られてきた時系列順の複数のフレームデータを解析して検査者を支援するための時系列順の複数の診断支援データを生成し、前記複数の診断支援データを前記超音波診断装置へ転送する装置であり、前記超音波診断装置は、前記複数のフレームデータを前記診断支援サーバーへ転送する転送手段と、前記複数のフレームデータと前記診断支援サーバーから転送されてきた前記複数の診断支援データとを同期させながら表示する表示処理手段と、を含むことを特徴とするものである。
【0010】
本開示に係る診断支援サーバーは、超音波診断装置に対してネットワークを介して接続された診断支援サーバーであって、前記超音波診断装置は、超音波の送受波により生成された時系列順の複数のフレームデータを前記診断支援サーバーへ転送し、前記複数のフレームデータと前記診断支援サーバーから転送されてきた時系列順の複数の診断支援データとを同期させながら表示する装置であり、前記診断支援サーバーは、前記超音波診断装置から送られてきた前記複数のフレームデータを解析して検査者を支援するための前記複数の診断支援データを生成する生成手段と、前記複数の診断支援データを前記超音波診断装置へ転送する転送手段と、を含むことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、リアルタイム動作中において検査者を支援できる。あるいは、本開示によれば、超音波診断装置に大きな負荷を生じさせることなく、プローブ操作や超音波画像の読影を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態に係る超音波診断装置を示すブロック図である。
図2】表示フレームデータの構成例を示す図である。
図3】診断支援データの構成例を示す図である。
図4】第1表示例を示す図である。
図5】第2表示例を示す図である。
図6】第2表示例についての変形例を示す図である。
図7】第3表示例を示す図である。
図8】超音波診断システムの動作例を示す工程図である。
図9】変形例に係る超音波診断装置の一部の構成を示す図である。
図10】変形例に係る超音波診断装置の表示例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、実施形態を図面に基づいて説明する。
【0014】
(1)実施形態の概要
実施形態に係る超音波診断システムは、超音波診断装置と、超音波診断装置に対してネットワークを介して接続された診断支援サーバーと、を含む。超音波診断装置は、第1転送手段、及び、表示処理手段を含む。第1転送手段は、超音波の送受波により生成された時系列順の複数のフレームデータを診断支援サーバーへ転送する。表示処理手段は、複数のフレームデータと診断支援サーバーから転送されてきた時系列順の複数の診断支援データとを同期させながらリアルタイム動画像として表示する。診断支援サーバーは、生成手段、及び、第2転送手段を含む。生成手段は、超音波診断装置から送られてきた複数のフレームデータを解析して検査者を支援するための複数の診断支援データを生成する。第2転送手段は、複数の診断支援データを超音波診断装置へ転送する。
【0015】
上記構成によれば、超音波診断装置と共に診断支援サーバーがリアルタイムで並列動作する。超音波診断装置において、複数のフレームデータと共に複数の診断支援データが同期して表示される。複数の診断支援データを参照しながら、プローブの操作や病変部の観察等を行える。これにより検査者の負担を軽減でき、あるいは、超音波検査を的確に遂行することが可能となる。
【0016】
上記構成において、同期は2つのデータを時間的に揃え又は合わせることを意味する。リアルタイム動画像は、超音波の送受波と同時進行で生成される動画像を意味する。リアルタイム動画像には、現在観察している組織から得られた最新のエコー情報が刻々と反映される。そのような状態を生じさせる動作がリアルタイム動作である。複数のフレームデータと複数の診断支援データとを同じ表示器に表示してもよいし、複数のフレームデータと複数の診断支援データとを別々の表示器に表示してもよい。転送に際してストリーミング等の同時進行技術が利用されてもよい。診断支援サーバーが複数の超音波診断装置に接続され、複数の超音波診断装置のための複数の解析を並列的に実行してもよい。
【0017】
実施形態において、表示処理手段は、複数のフレームデータに対して複数の診断支援データを同期させながら合成して複数の合成フレームデータを生成する。複数の合成フレームデータがリアルタイム動画像として表示される。各診断支援データの一部が合成対象とされてもよい。この構成によれば、複数のフレームデータと複数の診断支援データとが同一の表示器に表示される。
【0018】
実施形態において、各フレームデータには第1同期情報が含まれる。各診断支援データには第2同期情報が含まれる。合成手段は、複数のフレームデータに含まれる複数の第1同期情報及び複数の診断支援データに含まれる複数の第2同期情報に基づいて、複数のフレームデータに対して複数の診断支援データを同期させながら合成する。同期情報として、個々の受信データの取得タイミングや処理タイミング等を特定するタイムスタンプ等が挙げられる。
【0019】
実施形態において、生成手段は、複数のフレームデータを解析する解析手段を含む。解析手段の解析結果を含む複数の診断支援データが生成される。解析手段は、例えば、機械学習型解析器により構成され得る。
【0020】
実施形態において、解析手段は、複数のフレームデータに対して断面種別を識別する処理を適用する手段を含む。リアルタイム動画像には断面種別情報が含まれる。断面種別は一般に組織及び断面によって識別される。識別された断面種別に従って実施すべき計測等が特定されてもよい。
【0021】
実施形態において、解析手段は、複数のフレームデータに対して計測を実施する手段を含む。リアルタイム動画像には計測値情報が含まれる。実施形態において、計測値情報には動的に変化する計測値グラフが含まれる。この構成によれば、フレームデータ列中の全部又は一部を計測の対象にでき、動的に変化する計測値を得られる。もちろん、診断支援サーバーにおいて、静止画像に対して計測が実施されてもよい。
【0022】
実施形態において、解析手段は、複数のフレームデータに対して、病変部候補の特定を含むコンピュータ診断支援を適用する手段を含む。リアルタイム動画像にはコンピュータ診断支援情報が含まれる。この構成によれば、超音波画像を観察している検査者に対し、病変部候補の特定や病変部候補の評価診断を支援できる。
【0023】
実施形態において、超音波診断装置は、複数の診断支援データの全部又は一部に基づいて検査レポートを作成する手段を含む。検査レポートの作成が完全に半自動化又は完全自動化されてもよい。
【0024】
実施形態において、第1転送手段は、診断支援サーバーに対して、複数のフレームデータを解析する際に必要となる関連情報を転送する。関連情報として、心電信号、座標情報、妊娠週数情報、等が挙げられる。
【0025】
実施形態に係る超音波診断装置は、診断支援サーバーに対してネットワークを介して接続された超音波診断装置である。診断支援サーバーは、超音波診断装置から送られてきた時系列順の複数のフレームデータを解析して検査者を支援するための時系列順の複数の診断支援データを生成し、複数の診断支援データを超音波診断装置へ転送する。超音波診断装置は、転送手段、及び、表示処理手段を含む。転送手段は、複数のフレームデータを診断支援サーバーへ転送する。表示処理手段は、複数のフレームデータと診断支援サーバーから転送されてきた複数の診断支援データとを同期させながら表示する。
【0026】
実施形態に係る診断支援サーバーは、超音波診断装置に対してネットワークを介して接続された診断支援サーバーである。超音波診断装置は、超音波の送受波により生成された時系列順の複数のフレームデータを診断支援サーバーへ転送し、複数のフレームデータに対して診断支援サーバーから転送されてきた時系列順の複数の診断支援データを同期させながら表示する。診断支援サーバーは、生成手段、及び、転送手段を含む。生成手段は、超音波診断装置から送られてきた複数のフレームデータを解析して検査者を支援するための複数の診断支援データを生成する。転送手段は、複数の診断支援データを超音波診断装置へ転送する。
【0027】
(2)実施形態の詳細
図1には、実施形態に係る超音波診断システムが示されている。超音波診断システムは、例えば、医療機関に設置され、生体への超音波の送受波により得られた情報に基づいて超音波画像をリアルタイムで生成及び表示する医用システムである。
【0028】
超音波診断システムは、ネットワーク13を介して相互に接続された超音波診断装置10及び診断支援サーバー12により構成される。ネットワーク13は、例えば、医療機関内に設置されており、それは有線又は無線のLANである。ネットワーク13が専用線で構成されてもよい。診断支援サーバー12は、超音波診断装置10が備える機能を超える機能を備えている。診断支援サーバー12に対して複数の超音波診断装置が接続され、それらに対して同一の又は異なるサービスが提供されてもよい。
【0029】
図1は、超音波診断装置10と診断支援サーバー12とが協働して動作する態様を示すものである。以下、Bモード(断層画像表示モード)の選択を前提として、超音波診断装置10の構成を説明し、続いて、診断支援サーバー12の構成を説明する。
【0030】
超音波診断装置10は、本体14を有する。本体14に対して着脱可能に超音波プローブ16が接続される。超音波プローブ16として、体表上に当接して使用されるプローブ、体腔内に挿入して使用されるプローブ、等が知られている。超音波プローブ16は、例えば、一次元配列された複数の振動素子からなる振動素子アレイを有する。振動素子アレイによって超音波ビームが形成され、超音波ビームが電子的に走査される。超音波プローブ16に二次元配列された複数の振動素子からなる振動素子アレイが設けられてもよい。
【0031】
送受信部18は、送信時において、振動素子アレイに対して複数の送信信号を並列的に供給する。受信時において、送受信部18は、振動素子アレイから並列的に出力された複数の受信信号に対して所定の処理(増幅、A/D変換、遅延、加算等)を適用する。これによりビームデータが生成される。超音波ビームの電子走査の繰り返しに伴って、送受信部18から受信フレームデータ列が出力される。
【0032】
受信フレームデータ列は、時間軸上において並ぶ複数の受信フレームデータにより構成される。個々の受信フレームデータは、電子走査方向に並ぶ複数のビームデータにより構成される。個々のビームデータは、深さ方向に並ぶ複数のエコーデータにより構成される。送受信部18の後段にはビームデータ処理部19が設けられている。ビームデータ処理部19において、各ビームデータに対して検波、対数変換等の処理が適用される。
【0033】
画像形成部20は、受信フレームデータ列に基づいて表示フレームデータ列を生成するものである。画像形成部は、DSC(デジタルスキャンコンバータ)を有している。DSCは、座標変換機能、画素補間機能、等を有するプロセッサにより構成される。実施形態において、個々の表示フレームデータが断層画像に相当する。各受信フレームデータ及び各表示フレームデータはそれぞれ画像データに相当する。
【0034】
表示処理部22は、表示処理手段又は合成手段であり、それは、画像合成機能、カラー処理機能等を有する。表示処理部22は、画像形成部20が出力した表示フレームデータ列を一時的に記憶した上で、それに対して、診断支援サーバーから転送されてきた診断支援データ列を合成し、合成表示フレームデータ列を生成する。
【0035】
その際、表示処理部22は、時間的に一致するデータ同士を合成する。つまり、表示処理部22は、同期合成を行う合成部として機能している。同期合成を実現するために、個々の表示フレームデータには、時刻情報としてのタイムスタンプが含まれ、同じく、個々の診断支援データにも、時刻情報としてのタイムスタンプが含まれる。表示処理部22において、表示フレームデータ列に対してグラフィックデータ列も合成される。表示フレームデータ列及び診断支援データ列を、同期合成することなく、同期表示することも考えられる。
【0036】
リアルタイム動作時において、表示器26の画面上に表示フレームデータ列がリアルタイム動画像として表示される。送受信を停止したフリーズ状態において、特定の時相の表示画像が静止画像として表示される。表示器26は、液晶表示器、有機ELデバイス、等によって構成される。
【0037】
例えば、画像形成部20において、個々の表示フレームデータに対してタイムスタンプが埋め込まれてもよく、あるいは、以下に説明する情報処理部36等において、個々の表示フレームデータに対してタイムスタンプが埋め込まれてもよい。診断支援サーバー12において、ある表示フレームデータを処理した場合、そこに埋め込まれているタイムスタンプが抽出され、当該表示フレームデータを解析した結果を含む診断支援データに、抽出されたタイムスタンプが埋め込まれる。このように、解析対象から解析結果へタイムスタンプを移行させることにより、超音波診断装置10での同期合成又は同期表示を確実に行える。
【0038】
情報処理部36は、超音波診断装置10を構成する各要素の動作の制御を実行する。また、情報処理部36は、診断支援サーバー12を連携させる上で必要となる制御を実行する。情報処理部36は、プログラムを実行するプロセッサにより構成され、プロセッサは具体的にはCPUである。図1においては、プロセッサが発揮する複数の機能が複数のブロックにより表現されている。すなわち、情報処理部36は、通信制御部42、表示制御部44、及び、レポート作成部46を有する。
【0039】
情報処理部36には通信部40が接続されている。通信制御部42は、第1転送手段として機能する。通信制御部42は、通信部40を経由したデータ転送、特に超音波診断装置10から診断支援サーバー12への表示フレームデータ列の転送を制御する。
【0040】
表示制御部44は、表示処理部22での表示処理を制御する。レポート作成部46は、検査レポートを半自動的又は自動的に作成するモジュールである。検査レポートには、診断支援サーバー12において生成された診断支援データが含まれ得る。レポート作成部46を診断支援サーバー12に設置してもよい。
【0041】
情報処理部36に接続された記憶部47は、半導体メモリ等により構成され、そこには各種のデータが記憶される。記憶部47に検査レポートが記憶されてもよい。情報処理部36に接続された操作パネル38は、複数のスイッチ、複数のつまみ、トラックボール、等を有する。操作パネル38は入力部として機能する。情報処理部36には、関連情報として心電信号39が入力されている。他の関連情報が入力されてもよい。
【0042】
次に、診断支援サーバー12について説明する。診断支援サーバー12は、コンピュータで構成され、情報処理部48、通信部50、及び、記憶部52を有する。情報処理部48は、複数の機能を実行する。それらの機能が図1において複数のブロックで表現されている。
【0043】
具体的には、情報処理部48は、図示の構成例において、断面認識部54、アノテーション部56、計測部58、CAD実行部60、診断支援データ生成部62、及び、通信制御部64を有している。それらの内で、断面認識部54、アノテーション部56、計測部58、CAD実行部60、及び、診断支援データ生成部62が、生成手段に相当する。また、それらの内で、断面認識部54、アノテーション部56、計測部58、及び、CAD実行部60が、解析手段に相当する。情報処理部48は、プログラムを実行するプロセッサにより構成される。プロセッサは例えばCPUである。
【0044】
断面認識部54は、表示フレームデータごとに、それに対して断面認識を適用する。例えば、断面認識部54は、機械学習型画像推定器で構成される。断面認識部54により、断面種別が特定される。例えば、断面種別として心臓の四腔断面、心臓の二腔断面等が特定される。断面認識部54は、認識に係る確度(正確である確率)を推定する機能も有している。断面認識部54から診断支援データ生成部62へ認識結果及び確度の情報が送られる。
【0045】
アノテーション部56は、断面認識の結果に基づいて、必要に応じて、断面上の各部位を識別し、それらに対してラベル(部位名称)を付与するものである。例えば、大動脈弁等の名称が付与される。付与された情報は、診断支援データ生成部62へ送られる。
【0046】
計測部58は、リアルタイム動作状態において表示フレームデータごとに計測を実行する。また、計測部58は、送受信を停止したフリーズ状態において、特定の表示フレームデータ又は他のデータに対して計測を実行する。断層画像に対する計測として、例えば、距離計測、面積計測、体積計測、等が挙げられる。認識された断面に基づいて、計測の場所や計測の種別が選択されてもよい。実施形態では、リアルタイム動作状態では、表示フレームデータごとに計測値が演算され、計測部58から診断支援データ生成部62へ計測値列が送られる。
【0047】
計測部58において、断層画像以外の超音波画像に対して計測が実施されてもよい。例えば、後述するように、ドプラ波形に対して計測(オートトレース、時間計測等)が実施されてもよい。そのような処理を行う場合、超音波診断装置10から診断支援サーバー12に対して表示フレームレートでドプラ波形が転送されてもよいし、他のレートでドプラ波形が転送されてもよい。
【0048】
CAD実行部60は、実施形態において、表示フレームデータごとに、表示フレームデータ(つまり断層画像)に含まれる病変部候補を特定する機能、及び、病変部候補についての診断を支援する情報(可能性ある疾患名、操作案内、等)を生成する機能を有する。CAD実行部60が機械学習型画像解析器により構成されてもよい。CAD実行部60により生成された情報が診断支援データ生成部62へ送られている。
【0049】
診断支援データ生成部62は、表示フレームデータごとに診断支援データ(フィードバックデータ)を生成するものである。診断支援データには、断面認識情報、アノテーション情報、計測結果情報、CAD実行結果情報、等が含まれ得る。
【0050】
診断支援データ生成部62は、解析対象となった表示フレームデータに含まれているタイムスタンプを抽出し、解析結果としての診断支援データに対して、抽出されたタイムスタンプを埋め込む機能を有する。そのような処理が通信制御部64等の他のモジュールにおいて実施されてもよい。
【0051】
診断支援データ生成部62においては、表示フレームデータ列に対応する診断支援データ列が生成される。表示フレームデータ列のフレームレートと診断支援データ列のフレームレートとを異ならせてもよい。例えば、後者のフレームレートを前者のフレームレートの1/2としてもよい。その場合、表示処理部22において、各表示フレームデータに対して時間的に最も近い診断支援データが対応付けられてもよい。そのような対応付けも同期合成の一態様である。診断支援サーバー12における負荷を軽減するため、受領した表示フレームデータ列中の一部を解析対象とする変形例も考えられる。あるいは、超音波診断装置10において生成された表示フレームデータ列中の一部を診断支援サーバーへ転送する変形例も考えられる。
【0052】
通信制御部64は、通信部50を介したデータ転送、特に診断支援サーバー12から超音波診断装置10への診断支援データ列の転送を制御する。通信制御部64は第2転送手段に相当する。情報処理部48には記憶部52が接続されている。記憶部52には、必要に応じて、表示フレームデータ列、各種の解析結果、診断支援データ列、等が格納される。
【0053】
通信部40と通信部50は、ネットワーク13を介して相互に接続されている。ネットワーク13は、上記のように、有線LAN又は無線LANで構成される。それらは医療機関内に設置されているものである。ネットワーク13がインターネットであってもよい。
【0054】
超音波診断装置10において、カラーフローマッピングモード(CFMモード)及びパルスドプラモード(PWモード)が同時に選択された場合、所定の送受信シーケンスに従って、Bモード用ビーム走査、カラードプラ用ビーム走査、及び、ドプラ観測用ビーム形成、が実行される。
【0055】
Bモード用ビーム走査により得られた第1の受信フレームデータ列に基づいて第1の表示フレームデータ列が生成される。カラードプラ用ビーム走査により得られた第2の受信フレームデータ列に基づいて第2の表示フレームデータ列が生成される。実施形態においては、第1の表示フレームデータ列のみが転送及び解析されているが、更に、第2の表示フレームデータ列が転送及び解析されてもよい。
【0056】
特定方位に対する送受信により、特定方位上に設定されたサンプルゲートからドプラ情報が抽出され、そのドプラ情報の周波数解析によりパワースペクトルが生成される。各時刻で生成されるパワースペクトルを時間軸上にマッピングすることによりドプラ波形が生成される。例えば、ビームデータ処理部19において周波数解析が実施され、画像形成部20においてドプラ波形が生成される。
【0057】
例えば、フリーズ状態における画像ストアのタイミングで、ドプラ波形が診断支援サーバー12へ転送され、そこでドプラ波形が解析されてもよい。ドプラ波形が表示フレーム単位で転送され、ドプラ波形がリアルタイムで計測されてもよい。以上挙げた画像以外の画像が診断支援サーバー12へ転送されてもよい。
【0058】
図1に示した実施形態によれば、超音波画像及び診断支援データがリアルタイム動画像として表示されるので、検査者は診断支援データを参照しながら、プローブの操作及び画像診断を行える。画像解析がバックグラウンドで自動的に実施されるので、画像解析に際して検査者の負担は生じず、従来に比べて、検査者の負担を大幅に軽減できる。逆に言えば、検査者においてプローブ操作及び画像観察に注力することが可能となる。実施形態によれば、超音波検査時間の短縮化も図れるので被検者の負担を軽減し得る。
【0059】
なお、超音波診断装置10から診断支援サーバー12に対して受信フレームデータ列が転送されてもよい。その場合、診断支援サーバー12にDSCを設ければよい。フリーズ状態において、表示フレームデータ列の転送が一時的に中断されてもよい。その状態において、診断支援サーバー12において必要なデータのみが転送されてもよい。
【0060】
図2には、表示フレームデータの一例が示されている。表示フレームデータ200は、データ実体202及びヘッダー204で構成される。ヘッダー204はデータ実体202の属性情報であり、その中にはタイムスタンプ206が含まれる。ヘッダー204には、その他に、フレーム番号、モード、深さ情報、送信周波数、等の情報が含まれ得る。
【0061】
図3には、診断支援データの一例が示されている。診断支援データ210は、データ実体212及びヘッダー214で構成される。データ実体212には、断面認識結果情報216、計測結果情報218及びCAD実行結果情報220が含まれる。また、ヘッダー214にはタイムスタンプ222が含まれる。
【0062】
図4には、第1表示例が示されている。表示画像70は超音波診断装置の表示器に表示されるリアルタイム動画像である。表示画像70は、図示の例において、CFM画像72、ドプラ波形74、及び、診断支援画像76を有している。CFM画像72は、Bモード断層画像上にカラードプラ画像(血流画像)を合成することにより生成された複合画像である。CFM画像72内には、方位マーカー78が含まれ、方位マーカー78上にサンプルゲート位置を示すゲートマーカー80が表示されている。ドプラ波形74において、横軸は時間軸であり、縦軸は速度軸である。各速度成分の強度又はパワーが輝度に対応付けられている。
【0063】
図示の例では、診断支援画像76には、断面種別を示す情報82、断面種別の確度を示す数値84、及び、CAD実行結果を示す情報92,94が含まれる。それらの情報は、フレームごとに実行された画像解析の結果を示すものであり、動的に変化し得るものである。情報92は、可能性ある疾病を説明する情報であり、情報94は次に行うべき操作や診断を案内する情報である。
【0064】
なお、図4に示す第1表示例では、フリーズ状態において画像ストア操作が行われた時点で、超音波診断装置から診断支援サーバーへ、その時点で表示されているドプラ波形が転送される。これにより診断支援サーバーにおいて、転送されたドプラ波形に対して3つの計測が自動的に実行される。その結果、診断支援画像76内に、3つの計測値86,88,90が表示される。
【0065】
図5には、第2表示例が示されている。なお、図5において、既に説明した要素と同様の要素には同一符号を付し、その説明を省略する。このことは図6以降の各図において同様である。
【0066】
第2表示例において、表示画像70Aには、CFM画像72、ドプラ波形74、及び、診断支援画像76Aが含まれる。CFM画像72には、マーカー98及び情報100が含まれる。マーカー98は、病変部候補を囲む図形であり、病変部候補の位置は上記CAD実行部により特定されたものである。情報100は、CAD実行部により生成された情報であり、具体的には、可能性ある疾病を示す情報である。マーカー98及び情報100はフレームごとに更新される。
【0067】
第2表示例では、診断支援画像76Aには、3つの計測値グラフ95,96,97が含まれる。すなわち、各計測値グラフ95,96,97は、フレームレート又は他のレートで変化する計測値を示すものである。各計測値グラフ95,96,97は、計測値の大小を示す軸を有し、その軸上に健常範囲(又は標準範囲)の上限及び下限を示す2つの数値が表示されている。第2表示例を採用する場合、例えば、フレーム単位で更新されるドプラ波形が超音波診断装置から診断支援サーバーへ転送される。その場合、フレームデータの全部を転送してもよいし、更新された部分のみを転送してもよい。なお、フリーズ状態において、検査者が画像ストア操作を行った場合、3つの計測値86,88,90が数値として表示される。
【0068】
図6には、第2表示例の変形例が示されている。各計測値グラフ95A,96A,97Aの表示に際して、各計測値が健常範囲内に含まれている場合には各計測値グラフ95A,96A,97Aが第1カラー(例えば緑)で表示され、いずれかの計測値が健常範囲から外れている場合にはそれに対応する計測値グラフ95A,96A,97Aが第2カラー(例えばオレンジ)で表示される。棒グラフに代えて他の表現方法を採用してもよい。
【0069】
図7には、第3表示例が示されている。表示画像70Bには、CFM画像72、ドプラ波形74、及び、診断支援画像76Bが含まれる。CFM画像72には、病変部位候補を示すマーカー98が含まれる。診断支援画像76Bには、断面種別を示す情報82及び確度を示す情報84、3つの計測値グラフ95,96,97、及び、情報92,94が含まれる。情報92は、可能性ある疾病を説明する情報であり、情報94は次に推奨される操作を案内する情報である。
【0070】
図8には、実施形態に係る超音波診断システムの動作例が示されている。具体的には、図8には、超音波診断装置10の動作例と診断支援サーバー12の動作例が示されている。S10では、超音波診断装置10から診断支援サーバー12へ表示フレームデータ列F1が順次転送される。S12では、診断支援サーバー12において、表示フレームデータごとにそれが順次解析される。その解析には、断面認識、計測、病変部位の特定、等が含まれる。S14では、診断支援サーバー12において、診断支援データ列が順次生成され、S16において、診断支援データ列F2が診断支援サーバー12から超音波診断装置10へ順次転送される。S18では、超音波診断装置10において、表示フレームデータ列と診断支援データ列とが順次、同期合成され、これにより合成表示フレームデータ列が生成される。同期合成に際しては、2つのデータが時間的に揃えられる。
【0071】
表示フレームデータ列F1の転送に際して、又は、必要なタイミングで、診断支援サーバー12での画像解析において必要となる関連情報R1が転送されてもよい。関連情報R1として、例えば、心電信号、プローブ位置情報、妊娠週数情報、等が挙げられる。
【0072】
図9には、超音波診断装置の変形例が示されている。超音波診断装置は、可搬型又は固定設置型のタッチスクリーンパネル102を備えている。タッチスクリーンパネル102は、ディスプレイパネル104とマルチタッチセンサ106の重合体である。表示処理部22Aから表示器26へ第1画像情報が送られており、表示処理部22Aからタッチスクリーンパネル102へ第2画像情報が送られている。第1画像情報は、例えば、1又は複数の超音波画像を含む情報である。第1画像情報に診断支援データの全部又は一部が含まれてもよい。第2画像情報には診断支援データが含まれる。
【0073】
表示処理部22Aは、同期関係にある2つのデータが2つの表示器に同時に表示されるように表示処理を実行する。このように表示処理部22Aは同期表示を実行するものである。表示処理部22Aにおいて一部のデータが同期合成されてもよい。符号108で示されるように、タッチスクリーンパネル102は有線又は無線で超音波診断装置に接続される。
【0074】
図10には、変形例における表示例が示されている。表示器26には、CFM画像72及びドプラ波形74が表示されている。CFM画像72上には、診断支援データの一部、具体的には、病変部候補を示すマーカー98が表示されている。タッチスクリーンパネル102には、画像解析により生成された各種の情報82,84,92,94を含む診断支援画像108が表示されている。例えば、フリーズ状態において画像のストア操作を行うと、3つの計測が実行され、その計測結果を示す3つの計測値86,88,90が表示される。この変形例においても診断支援データを参照しつつプローブの操作や超音波画像の観察を行えるので、検査者を支援できる。
【符号の説明】
【0075】
10 超音波診断装置、12 診断支援サーバー、22 表示処理部、36 情報処理部、42 通信制御部、44 表示制御部、46 レポート作成部、48 情報処理部、54 断面認識部、56 アノテーション部、58 計測部、60 CAD実行部、62 診断支援データ生成部、64 通信制御部。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10