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  • 特許-スパークプラグ 図1
  • 特許-スパークプラグ 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】スパークプラグ
(51)【国際特許分類】
   H01T 13/20 20060101AFI20240419BHJP
【FI】
H01T13/20 B
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021113910
(22)【出願日】2021-07-09
(65)【公開番号】P2023010084
(43)【公開日】2023-01-20
【審査請求日】2023-07-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179578
【弁理士】
【氏名又は名称】野村 和弘
(72)【発明者】
【氏名】今井 奨
(72)【発明者】
【氏名】後澤 達哉
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-046660(JP,A)
【文献】特表2021-526305(JP,A)
【文献】特開2005-093431(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01T 7/00 - 23/00
F02P 1/00 - 3/12
F02P 7/00 - 17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に延びる軸孔が形成された絶縁体と、
前記軸孔に配置され、自身の先端部が前記軸孔の先端側に突出する中心電極と、
前記絶縁体を内周側に保持し、外周面にネジ部が形成された筒状の主体金具と、
一端部が前記主体金具に設けられた貫通孔に固定され、他端部が前記中心電極の前記先端部との間で放電ギャップを形成する接地電極と、
を備えるスパークプラグであって、
前記ネジ部は、前記貫通孔よりも前記軸線方向の後端側に位置する第1ネジ部と、前記貫通孔よりも前記軸線方向の先端側に位置する第2ネジ部と、を有し、
前記主体金具は、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部との間に位置してネジ山が全周に亘って形成されていない非ネジ部を有し、
前記非ネジ部に前記貫通孔が設けられていることを特徴とする、スパークプラグ。
【請求項2】
請求項1に記載のスパークプラグにおいて、
前記軸線方向において、前記第2ネジ部の長さは、前記第1ネジ部の長さよりも短いことを特徴とする、スパークプラグ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のスパークプラグにおいて、
前記第1ネジ部、前記第2ネジ部および前記非ネジ部は、一体に形成されていることを特徴とする、スパークプラグ。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載のスパークプラグにおいて、
前記非ネジ部の外径は、前記ネジ部の谷径よりも小さいことを特徴とする、スパークプラグ。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載のスパークプラグにおいて、
前記非ネジ部の平均肉厚は、前記ネジ部の有効径の8%以上であることを特徴とする、スパークプラグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スパークプラグに関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関に用いる点火用のスパークプラグとして、エンジンヘッドに取り付けられて、中心電極の先端と接地電極との間で火花放電を発生させるスパークプラグが知られている(例えば、特許文献1)。特許文献1に記載のスパークプラグでは、主体金具において径方向に貫通する貫通孔が形成されており、径方向に沿って延びる棒状の接地電極が、その貫通孔に挿入されて固定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-046660号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のスパークプラグでは、接地電極を固定するための貫通孔が主体金具の周方向の一箇所に形成されるとともに、貫通孔よりも軸線方向の先端側にも主体金具の雄ネジが形成されている。このため、貫通孔が形成された領域は、雄ネジが形成されていないためエンジンヘッドの雌ネジと離間しており、冷却されにくい。この結果、貫通孔が形成された軸線方向の位置において、周方向において温度差が生じることに起因して熱膨張の度合いに差が生じてしまい、主体金具が曲がるような応力が発生するおそれがあった。このため、主体金具に応力が発生することを抑制できる技術が求められていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することができる。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、スパークプラグが提供される。このスパークプラグは、軸線方向に延びる軸孔が形成された絶縁体と、前記軸孔に配置され、自身の先端部が前記軸孔の先端側に突出する中心電極と、前記絶縁体を内周側に保持し、外周面にネジ部が形成された筒状の主体金具と、一端部が前記主体金具に設けられた貫通孔に固定され、他端部が前記中心電極の前記先端部との間で放電ギャップを形成する接地電極と、を備えるスパークプラグであって、前記ネジ部は、前記貫通孔よりも前記軸線方向の後端側に位置する第1ネジ部と、前記貫通孔よりも前記軸線方向の先端側に位置する第2ネジ部と、を有し、前記主体金具は、前記第1ネジ部と前記第2ネジ部との間に位置してネジ山が全周に亘って形成されていない非ネジ部を有し、前記非ネジ部に前記貫通孔が設けられていることを特徴とする。この形態のスパークプラグによれば、主体金具は、第1ネジ部と第2ネジ部との間に位置してネジ山が全周に亘って形成されていない非ネジ部を有し、非ネジ部に貫通孔が設けられているので、主体金具は、貫通孔が形成された軸線方向の位置において全周に亘ってエンジンヘッドの雌ネジと離間する。この結果、周方向において温度差が生じることを抑制できるので、熱膨張の度合いに差が生じることを抑制でき、この結果、主体金具に応力が発生することを抑制できる。
【0007】
(2)上記形態のスパークプラグにおいて、前記軸線方向において、前記第2ネジ部の長さは、前記第1ネジ部の長さよりも短くてもよい。この形態のスパークプラグによれば、軸線方向において第2ネジ部の長さが第1ネジ部の長さよりも短いので、より高温になりやすい軸線方向先端側に非ネジ部が形成される構成において、周方向の温度差を抑制でき、この結果、応力の発生を効果的に抑制できる。
【0008】
(3)上記形態のスパークプラグにおいて、前記第1ネジ部、前記第2ネジ部および前記非ネジ部は、一体に形成されていてもよい。この形態のスパークプラグによれば、第1ネジ部、第2ネジ部および非ネジ部が一体に形成されているので、第1ネジ部と第2ネジ部との位相がずれることを抑制できる。この結果、第1ネジ部と第2ネジ部との位相を合わせるために主体金具の製造工程が複雑化することを抑制できる。
【0009】
(4)上記形態のスパークプラグにおいて、前記非ネジ部の外径は、前記ネジ部の谷径よりも小さくてもよい。この形態のスパークプラグによれば、非ネジ部の外径がネジ部の谷径よりも小さいので、スパークプラグをエンジンヘッドに組み付ける際に、エンジンヘッドの雌ネジによって非ネジ部が削れることを抑制できる。
【0010】
(5)上記形態のスパークプラグにおいて、前記非ネジ部の平均肉厚は、前記ネジ部の有効径の8%以上であってもよい。この形態のスパークプラグによれば、非ネジ部の平均肉厚がネジ部の有効径の8%以上であるので、非ネジ部の強度が過度に低下することを抑制できる。
【0011】
なお、本発明は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、スパークプラグの製造方法、スパークプラグが取り付けられたエンジンヘッド等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】スパークプラグの概略構成を示す部分断面図。
図2】スパークプラグの先端付近を拡大して示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
A.第1実施形態:
図1は、本開示の一実施形態としてのスパークプラグ100の概略構成を示す部分断面図である。図1では、スパークプラグ100の軸心である軸線CAを境界として、紙面右側にスパークプラグ100の外観形状を示し、紙面左側にスパークプラグ100の断面形状を示している。以下の説明では、軸線CAに沿った図1の下方側(後述する接地電極40が配置されている側)を先端側と呼び、図1の上方側(後述する端子金具50が配置されている側)を後端側と呼び、軸線CAに沿った方向を軸線方向ADと呼ぶ。図1では、説明の便宜上、スパークプラグ100が取り付けられるエンジンヘッド90を破線で示している。エンジンヘッド90には、一般に、冷却媒体を循環させる図示しない冷媒流路が設けられている。スパークプラグ100は、その先端側が燃焼室95内に露出するようにエンジンヘッド90に取り付けられている。
【0014】
スパークプラグ100は、絶縁体10と、中心電極20と、主体金具30と、接地電極40と、端子金具50とを備える。なお、スパークプラグ100の軸線CAは、絶縁体10と中心電極20と主体金具30と端子金具50との各部材の軸線と一致する。
【0015】
絶縁体10は、軸線方向ADに延びる軸孔11が形成された略筒状の外観形状を有する。軸孔11には、先端側において中心電極20の一部が収容され、後端側において端子金具50の一部が収容される。このため、絶縁体10は、中心電極20を内周側に保持する。絶縁体10は、先端側の部分が後述する主体金具30の軸孔31に収容され、後端側の部分が軸孔31から露呈している。絶縁体10は、アルミナ等のセラミック材料を焼成して形成された絶縁碍子により構成されている。
【0016】
中心電極20は、軸線方向ADに沿って延びる棒状の電極であり、軸孔11に配置されている。中心電極20の先端部21は、軸孔11の先端側に突出している。先端部21には、例えば白金やイリジウム合金等によって形成された貴金属チップが接合されていてもよい。本実施形態の中心電極20は、ニッケルを主成分とするニッケル合金により形成されている。
【0017】
絶縁体10の軸孔11内において、中心電極20と端子金具50との間には、先端側から後端側へと向かって順番に、先端側シール材61と、抵抗体62と、後端側シール材63とが配置されている。このため、中心電極20は、後端側において、先端側シール材61と、抵抗体62と、後端側シール材63とを介して、端子金具50と電気的に接続されている。
【0018】
抵抗体62は、セラミック粉末と導電材とガラスとを材料として含んでいる。抵抗体62は、端子金具50と中心電極20との間における電気抵抗として機能することにより、火花放電を発生させる際のノイズの発生を抑制する。先端側シール材61と後端側シール材63とは、それぞれ導電性のガラス粉末を材料として含んでいる。本実施形態において、先端側シール材61および後端側シール材63は、銅粉末とホウケイ酸カルシウムガラス粉末とを混合した粉末を材料として含んでいる。
【0019】
端子金具50は、スパークプラグ100の後端側の端部に設けられている。端子金具50の先端側は、絶縁体10の軸孔11に収容され、端子金具50の後端側は、軸孔11から露呈している。端子金具50には、図示しない高圧ケーブルが接続され、高電圧が印加される。この印加により、後述する放電ギャップGに火花放電が発生する。放電ギャップGに発生した火花は、燃焼室95における混合気を着火させる。
【0020】
主体金具30は、軸線方向ADに沿って軸孔31が形成された略筒状の外観形状を有し、軸孔31内において絶縁体10を保持する。換言すると、主体金具30は、絶縁体10を内周側に保持する。主体金具30は、例えば低炭素鋼により形成され、ニッケルめっきや亜鉛めっき等のめっき処理が全体に施されている。主体金具30の外周面には、工具係合部32と、ネジ部33と、非ネジ部37とが形成されている。工具係合部32は、スパークプラグ100をエンジンヘッド90に取り付ける際に、図示しない工具と係合する。ネジ部33は、主体金具30の先端側の領域において外周面にネジ山が形成されており、エンジンヘッド90の雌ネジ部93にねじ込まれる。
【0021】
図2は、スパークプラグ100の先端付近を拡大して示す断面図である。主体金具30の外周面に形成されたネジ部33は、第1ネジ部34と、第2ネジ部35とを有する。軸線方向ADにおいて、第1ネジ部34は、第2ネジ部35よりも後端側に位置している。また、主体金具30が有する非ネジ部37は、第1ネジ部34と第2ネジ部35との間に位置している。このため、主体金具30の外周面には、軸線方向ADの後端側から先端側に向かって、第1ネジ部34と、非ネジ部37と、第2ネジ部35とが、この順に並んで形成されている。
【0022】
非ネジ部37には、ネジ山が全周に亘って形成されていない。本実施形態において、非ネジ部37は、主体金具30の外周面の全周に亘って、主体金具30の径方向内側に向かって窪んで形成されている。非ネジ部37には、主体金具30の板厚を貫通する貫通孔39が設けられている。貫通孔39は、軸線方向ADにおいて中心電極20の先端部21よりも先端側において形成されており、主体金具30の外周面と内周面とを連通させている。貫通孔39は、主体金具30の周方向の一箇所に設けられている。貫通孔39には、後述する接地電極40が固定されている。
【0023】
第1ネジ部34は、貫通孔39よりも軸線方向ADの後端側に位置しており、第2ネジ部35は、貫通孔39よりも軸線方向ADの先端側に位置している。本実施形態では、軸線方向ADにおいて、第2ネジ部35の長さは、第1ネジ部34の長さよりも短い。また、本実施形態において、非ネジ部37の外径は、ネジ部33の谷径よりも小さい。ネジ部33の谷径は、第1ネジ部34および第2ネジ部35のネジ谷ごとに測定した値の平均値を算出することによって求めることができる。また、本実施形態において、非ネジ部37の平均肉厚は、ネジ部33の有効径の8%以上である。本明細書において、「非ネジ部37の平均肉厚」とは、非ネジ部37の肉厚の周方向における平均値を意味しており、より具体的には、貫通孔39の中心を通る軸線方向ADの位置において、周方向において等間隔に3点測定した肉厚の値の平均値を意味している。また、本明細書において、「有効径」とは、JIS B 0205 2001で規定された値を示す。ネジ部33の有効径は、第1ネジ部34および第2ネジ部35のネジ山ごとに測定した値の平均値を算出することによって求めることができる。なお、非ネジ部37の平均肉厚は、ネジ部33の有効径の17%以下であることが好ましい。
【0024】
ネジ部33と非ネジ部37とは、例えば、転造や切削等によって形成することができる。転造によって形成する場合には、例えば、第1ネジ部34と第2ネジ部35とをそれぞれ形成するために2つのダイスを用いて転造が行われてもよい。また、例えば、第1ネジ部34と第2ネジ部35とが1つのダイスを用いて転造されて、その後、全周に亘って外周面を削り取ることにより非ネジ部37が形成されてもよい。また、例えば、ネジ切り前の状態において、非ネジ部37に対応する箇所が予め径方向内側に向かって窪んで形成されていてもよい。本実施形態のスパークプラグ100では、第1ネジ部34、第2ネジ部35および非ネジ部37が一体に形成されている。なお、貫通孔39は、ネジ部33および非ネジ部37の形成前に形成されてもよく、ネジ部33および非ネジ部37の形成後に形成されてもよい。
【0025】
接地電極40は、棒状の金属部材により構成され、径方向に延びるように配置されている。接地電極40の一端部41は、貫通孔39に挿入されて固定されている。このため、一端部41は、固定部とも換言できる。接地電極40の他端部42は、中心電極20の先端部21と対向している。他端部42は、中心電極20の先端部21との間で、火花放電のための放電ギャップGを形成する。本実施形態の接地電極40は、中心電極20と同様に、ニッケルを主成分とするニッケル合金により形成されている。本実施形態の接地電極40は、貫通孔39において溶接されて固定されているが、溶接に限らず、圧入によって固定されていてもよい。
【0026】
ここで、一般に、接地電極40は、混合気の燃焼に曝されて高温状態となる。このため、主体金具30に形成された貫通孔39に接地電極40が固定されるスパークプラグ100において、接地電極40の一端部41は、過熱によって酸化するおそれがある。しかしながら、本実施形態のスパークプラグ100では、軸線方向ADにおいて貫通孔39よりも先端側に第2ネジ部35が形成されているので、貫通孔39よりも先端側においても、主体金具30の第2ネジ部35とエンジンヘッド90の雌ネジ部93とを螺合させることができる。一般にエンジンヘッド90には冷媒流路が設けられているため、第2ネジ部35と雌ネジ部93とを螺合させることにより、より高温になりやすい先端側においても接地電極40の熱引き経路を確保できる。したがって、接地電極40の一端部41が過度に温度上昇することを抑制できるので、接地電極40の一端部41が酸化することを抑制できる。この結果、燃焼室95の冷熱サイクルにおいて接地電極40が貫通孔39から脱落することを抑制できるので、スパークプラグ100の耐久性を向上できる。
【0027】
ここで、本実施形態のスパークプラグ100とは異なり、周方向において貫通孔の形成位置に限って雄ネジが形成されていないスパークプラグでは、周方向において貫通孔の形成位置に限って、雄ネジがエンジンヘッド90の雌ネジ部93と離間する。このため、周方向において貫通孔の形成領域は、冷却されにくく、周方向において貫通孔が形成されていない領域は、冷却されやすい。この結果、貫通孔が形成された軸線方向の位置において、周方向において温度差が生じることに起因して熱膨張の度合いに差が生じてしまい、主体金具が曲がるような応力が発生する。
【0028】
これに対し、本実施形態のスパークプラグ100は、第1ネジ部34と第2ネジ部35との間に位置してネジ山が全周に亘って形成されていない非ネジ部37を主体金具30が有し、非ネジ部37に貫通孔39が設けられている。このため、主体金具30は、貫通孔39が形成された軸線方向ADの位置において、全周に亘ってネジ山が形成されていないので、全周に亘ってエンジンヘッド90の雌ネジ部93と離間する。この結果、周方向において温度差が生じることを抑制できるので、熱膨張の度合いに差が生じることを抑制でき、この結果、主体金具30に応力が発生することを抑制できる。
【0029】
また、軸線方向ADにおいて第2ネジ部35の長さが第1ネジ部34の長さよりも短いので、より高温になりやすい軸線方向AD先端側に非ネジ部37が形成される構成において、周方向の温度差を抑制でき、この結果、主体金具30に応力が発生することを効果的に抑制できる。また、第1ネジ部34、第2ネジ部35および非ネジ部37が一体に形成されているので、第1ネジ部34と第2ネジ部35とが別体に形成されて非ネジ部37を介して固定される態様と比較して、第1ネジ部34と第2ネジ部35との位相がずれることを抑制できる。この結果、第1ネジ部34と第2ネジ部35との位相を合わせるために主体金具30の製造工程が複雑化することを抑制できる。
【0030】
また、非ネジ部37の外径がネジ部33の谷径よりも小さいので、スパークプラグ100をエンジンヘッド90に組み付ける際に、エンジンヘッド90の雌ネジ部93によって非ネジ部37が削れることを抑制できる。また、非ネジ部37の平均肉厚がネジ部33の有効径の8%以上であるので、非ネジ部37の肉厚が過度に薄くなることを抑制できる。この結果、非ネジ部37の強度が過度に低下することを抑制できるので、締め付けトルクに適合する強度を維持することができ、スパークプラグ100をエンジンヘッド90に組み付ける際や取り外す際に非ネジ部37が損傷することを抑制できる。
【0031】
B.他の実施形態:
上記実施形態におけるネジ部33の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、軸線方向ADにおいて、第2ネジ部35の長さは、第1ネジ部34の長さと同じであってもよく、第1ネジ部34の長さよりも長くてもよい。また、例えば、第1ネジ部34、第2ネジ部35および非ネジ部37は、一体に形成されることに限らず、少なくとも一部が別体に形成されて固定されてもよい。また、例えば、非ネジ部37の平均肉厚は、ネジ部33の有効径の8%未満であってもよい。また、例えば、非ネジ部37の外径は、ネジ部33の谷径と同じであってもよく、ネジ部33の谷径よりも大きくてもよい。なお、非ネジ部37の外径がネジ部33の谷径よりも大きい態様において、非ネジ部37の外径は、雌ネジ部93のネジ山径の規格最小値よりも小さいことが好ましい。このような構成によっても、第1ネジ部34と第2ネジ部35との間に位置してネジ山が全周に亘って形成されていない非ネジ部37に貫通孔39が設けられることによって、周方向の熱膨張差を抑制できるので、主体金具30に応力が発生することを抑制できる。
【0032】
上記実施形態におけるスパークプラグ100の構成は、あくまで一例であり、種々変更可能である。例えば、スパークプラグ100は、主体金具30の先端にカバーを備えて副燃焼室が形成されたプレチャンバープラグであってもよい。
【0033】
本発明は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部または全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部または全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0034】
10…絶縁体、11…軸孔、20…中心電極、21…先端部、30…主体金具、31…軸孔、32…工具係合部、33…ネジ部、34…第1ネジ部、35…第2ネジ部、37…非ネジ部、39…貫通孔、40…接地電極、41…一端部、42…他端部、50…端子金具、61…先端側シール材、62…抵抗体、63…後端側シール材、90…エンジンヘッド、93…雌ネジ部、95…燃焼室、100…スパークプラグ、AD…軸線方向、CA…軸線、G…放電ギャップ
図1
図2