(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】半導体装置、及び半導体装置の作製方法
(51)【国際特許分類】
H01L 29/786 20060101AFI20240419BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240419BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240419BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240419BHJP
H01L 21/336 20060101ALI20240419BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20240419BHJP
【FI】
H01L29/78 618B
H01L27/06 102A
H01L27/088 E
H01L27/088 H
H01L27/088 331E
H01L29/78 616L
H01L29/78 616T
H01L29/78 617N
H10B12/00 621Z
H10B12/00 671C
H10B12/00 671Z
(21)【出願番号】P 2021504597
(86)(22)【出願日】2020-02-27
(86)【国際出願番号】 IB2020051663
(87)【国際公開番号】W WO2020183277
(87)【国際公開日】2020-09-17
【審査請求日】2023-02-24
(31)【優先権主張番号】P 2019044538
(32)【優先日】2019-03-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】柳澤 悠一
(72)【発明者】
【氏名】池田 寿雄
(72)【発明者】
【氏名】村川 努
【審査官】高橋 優斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-085503(JP,A)
【文献】国際公開第2011/135908(WO,A1)
【文献】国際公開第2010/134234(WO,A1)
【文献】特開2019-109509(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/336
H01L 21/8234
H01L 27/088
H01L 29/786
H10B 12/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子と、を有し、
前記第1のトランジスタは、第1の導電体と、第2の導電体と、第3の導電体と、第1の酸化物と、を有し、
前記第1の酸化物は、第1のチャネル形成領域を有し、
前記第1の導電体は、前記第1の酸化物より下に設けられ、
前記第2の導電体は、前記第1の酸化物より上に設けられ、
前記第1の導電体は、前記第1のチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第2の導電体は、前記第1のチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第3の導電体は、前記第1の酸化物と接する領域を有し、
前記第2のトランジスタは、第4の導電体と、第5の導電体と、第2の酸化物と、を有し、
前記第2の酸化物は、第2のチャネル形成領域を有し、
前記第4の導電体は、前記第2の導電体より上に設けられ、
前記第4の導電体は、前記第2の酸化物より下に設けられ、
前記第5の導電体は、前記第2の酸化物より上に設けられ、
前記第4の導電体は、前記第2のチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記第5の導電体は、前記第2のチャネル形成領域と重なる領域を有し、
前記容量素子は、第6の導電体と、第7の導電体と、絶縁体と、を有し、
前記第6の導電体は、前記絶縁体より下に設けられ、
前記第7の導電体は、前記絶縁体より上に設けられ、
前記第6の導電体は、前記第3の導電体と接する領域を有し、
前記第7の導電体は、前記第4の導電体と同一の層に設けられる半導体装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1のトランジスタは、さらに第8の導電体を有し、
前記第2のトランジスタは、さらに第9の導電体を有し、
前記第8の導電体は、前記第1の酸化物と接する領域を有し、
前記第9の導電体は、前記第2の酸化物と接する領域を有し、
前記第1の酸化物の側面、及び前記第8の導電体の側面と接する領域を有するように、第10の導電体が設けられ、
前記第8の導電体と、前記第9の導電体と、は、前記第10の導電体を介して電気的に接続される半導体装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第6の導電体の上面と、前記第10の導電体の上面と、は同一である半導体装置。
【請求項4】
請求項2又は3において、
前記絶縁体の側面、前記第2の酸化物の側面、及び前記第9の導電体の側面と接する領域を有するように、第11の導電体が設けられる半導体装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項において、
前記第1及び第2の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、又はSn)と、Znと、を含む半導体装置。
【請求項6】
第1の導電体を形成し、
第1の導電体上に、第1の絶縁体、第1の酸化膜、第1の導電膜の順番で成膜し、
前記第1の導電膜、及び前記第1の酸化膜を島状に加工し、且つ前記第1の絶縁体に達する第1の開口を形成することにより、第1の酸化物を形成し、
前記第1の導電膜上、及び前記第1の絶縁体上に第2の絶縁体を形成し、
前記第2の絶縁体、及び前記第1の導電膜に、前記第1の酸化物に達する第2の開口を形成することにより、第2の導電体、及び第3の導電体を形成し、
前記第2の開口の内側に第3の絶縁体と、第4の導電体と、を形成し、
前記第1の開口と重なる領域を有する第3の開口と、前記第2の導電体に達する第4の開口と、を前記第2の絶縁体に形成し、
前記第3の開口の内側に第5の導電体を、前記第4の開口の内側に第6の導電体をそれぞれ形成し、
前記第6の導電体上に第4の絶縁体を形成し、
前記第4の絶縁体上に、前記第1の導電体と重なる領域を有する第7の導電体と、前記第6の導電体と重なる領域を有する第8の導電体と、を形成し、
前記第7の導電体上、及び前記第8の導電体上に第5の絶縁体、第2の酸化膜、第2の導電膜の順番で成膜し、
前記第2の導電膜、及び前記第2の酸化膜を島状に加工し、且つ前記第5の絶縁体に達する第5の開口を形成することにより、第2の酸化物を形成し、
前記第2の導電膜上、及び前記第5の絶縁体上に第6の絶縁体を形成し、
前記第6の絶縁体、及び前記第2の導電膜に、前記第2の酸化物に達する第6の開口を形成することにより、第9の導電体、及び第10の導電体を形成し、
前記第6の開口の内側に第7の絶縁体と、第11の導電体と、を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項7】
請求項6において、
前記第5の開口と重なる領域を有し、前記第5の導電体に達する第7の開口を前記第6の絶縁体と、前記第5の絶縁体と、前記第4の絶縁体と、に形成し、且つ前記第9の導電体に達する第8の開口を前記第6の絶縁体に形成する、半導体装置の作製方法。
【請求項8】
請求項7において、
前記第7の開口の内側に第12の導電体を、前記第8の開口の内側に第13の導電体をそれぞれ形成し、
前記第13の導電体上に第8の絶縁体を形成し、
前記第8の絶縁体上に、前記第7の導電体と重なる領域を有する第14の導電体と、前記第13の導電体と重なる領域を有する第15の導電体と、を形成する半導体装置の作製方法。
【請求項9】
請求項6乃至8のいずれか一項において、
前記第1及び第2の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、又はSn)と、Znと、を含む半導体装置の作製方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の一態様は、半導体装置、並びに半導体装置の作製方法に関する。又は、本発明の一態様は、半導体ウエハ、モジュール、及び電子機器に関する。
【0002】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能し得る装置全般を指す。トランジスタ等の半導体素子をはじめ、半導体回路、演算装置、記憶装置は、半導体装置の一態様である。表示装置(液晶表示装置、発光表示装置等)、投影装置、照明装置、電気光学装置、蓄電装置、記憶装置、半導体回路、撮像装置、及び電子機器等は、半導体装置を有すると言える場合がある。
【0003】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様は、物、方法、又は、製造方法に関するものである。又は、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、又は、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。
【背景技術】
【0004】
近年、半導体装置の開発が進められ、LSIやCPUやメモリが主に用いられている。CPUは、半導体ウエハから切り離された半導体集積回路(少なくともトランジスタ及びメモリ)を有し、接続端子である電極が形成された半導体素子の集合体である。
【0005】
LSIやCPUやメモリ等の半導体回路(ICチップ)は、回路基板、例えばプリント配線板に実装され、様々な電子機器の部品の一つとして用いられる。
【0006】
また、絶縁表面を有する基板上に形成された半導体薄膜を用いてトランジスタを構成する技術が注目されている。当該トランジスタは集積回路(IC)や画像表示装置(単に表示装置とも表記する)のような電子デバイスに広く応用されている。トランジスタに適用可能な半導体薄膜としてシリコン系半導体材料が広く知られているが、その他の材料として酸化物半導体が注目されている。
【0007】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、非導通状態において極めてリーク電流が小さいことが知られている。例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用した低消費電力のCPU等が開示されている(特許文献1参照。)。また、例えば、酸化物半導体を用いたトランジスタのリーク電流が低いという特性を応用して、長期にわたり記憶内容を保持することができる記憶装置等が、開示されている(特許文献2参照。)。
【0008】
また、近年では電子機器の小型化、軽量化に伴い、集積回路のさらなる高密度化への要求が高まっている。また、集積回路を含む半導体装置の生産性の向上が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【文献】特開2012-257187号公報
【文献】特開2011-151383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の一態様は、生産性の高い半導体装置を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、微細化、又は高集積化が可能な半導体装置を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、保持容量が大きい半導体装置を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、信頼性が良好な半導体装置を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、オン電流が大きい半導体装置を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、オフ電流が小さい半導体装置を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、高い周波数特性を有する半導体装置を提供することを課題の一つとする。
【0011】
又は、本発明の一態様は、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、情報の書き込み速度が速い半導体装置を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、設計自由度が高い半導体装置を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、消費電力を抑えることができる半導体装置を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、新規な半導体装置を提供することを課題の一つとする。
【0012】
又は、本発明の一態様は、生産性の高い半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、微細化、又は高集積化が可能な半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、保持容量が大きい半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、信頼性が良好な半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、オン電流が大きい半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、オフ電流が小さい半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、高い周波数特性を有する半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。
【0013】
又は、本発明の一態様は、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、情報の書き込み速度が速い半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、設計自由度が高い半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、消費電力を抑えることができる半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。又は、本発明の一態様は、新規な半導体装置の作製方法を提供することを課題の一つとする。
【0014】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項等の記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項等の記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明の一態様は、第1のトランジスタと、第2のトランジスタと、容量素子と、を有し、第1のトランジスタは、第1の導電体と、第2の導電体と、第3の導電体と、第1の酸化物と、を有し、第1の酸化物は、第1のチャネル形成領域を有し、第1の導電体は、第1の酸化物より下に設けられ、第2の導電体は、第1の酸化物より上に設けられ、第1の導電体は、第1のチャネル形成領域と重なる領域を有し、第2の導電体は、第1のチャネル形成領域と重なる領域を有し、第3の導電体は、第1の酸化物と接する領域を有し、第2のトランジスタは、第4の導電体と、第5の導電体と、第2の酸化物と、を有し、第2の酸化物は、第2のチャネル形成領域を有し、第4の導電体は、第2の導電体より上に設けられ、第4の導電体は、第2の酸化物より下に設けられ、第5の導電体は、第2の酸化物より上に設けられ、第4の導電体は、第2のチャネル形成領域と重なる領域を有し、第5の導電体は、第2のチャネル形成領域と重なる領域を有し、容量素子は、第6の導電体と、第7の導電体と、絶縁体と、を有し、第6の導電体は、絶縁体より下に設けられ、第7の導電体は、絶縁体より上に設けられ、第6の導電体は、第3の導電体と接する領域を有し、第7の導電体は、第4の導電体と同一の層に設けられる半導体装置である。
【0016】
又は、上記態様において、第1のトランジスタは、さらに第8の導電体を有し、第2のトランジスタは、さらに第9の導電体を有し、第8の導電体は、第1の酸化物と接する領域を有し、第9の導電体は、第2の酸化物と接する領域を有し、第1の酸化物の側面、及び第8の導電体の側面と接する領域を有するように、第10の導電体が設けられ、第8の導電体と、第9の導電体と、は、第10の導電体を介して電気的に接続されていてもよい。
【0017】
又は、上記態様において、第6の導電体の上面と、第10の導電体の上面と、は同一であってもよい。
【0018】
又は、上記態様において、絶縁体の側面、第2の酸化物の側面、及び第9の導電体の側面と接する領域を有するように、第11の導電体が設けられてもよい。
【0019】
又は、上記態様において、第1及び第2の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、又はSn)と、Znと、を含んでもよい。
【0020】
又は、本発明の一態様は、第1の導電体を形成し、第1の導電体上に、第1の絶縁体、第1の酸化膜、第1の導電膜の順番で成膜し、第1の導電膜、及び第1の酸化膜を島状に加工し、且つ第1の絶縁体に達する第1の開口を形成することにより、第1の酸化物を形成し、第1の導電膜上、及び第1の絶縁体上に第2の絶縁体を形成し、第2の絶縁体、及び第1の導電膜に、第1の酸化物に達する第2の開口を形成することにより、第2の導電体、及び第3の導電体を形成し、第2の開口の内側に第3の絶縁体と、第4の導電体と、を形成し、第1の開口と重なる領域を有する第3の開口と、第2の導電体に達する第4の開口と、を第2の絶縁体に形成し、第3の開口の内側に第5の導電体を、第4の開口の内側に第6の導電体をそれぞれ形成し、第6の導電体上に第4の絶縁体を形成し、第4の絶縁体上に、第1の導電体と重なる領域を有する第7の導電体と、第6の導電体と重なる領域を有する第8の導電体と、を形成し、第7の導電体上、及び第8の導電体上に第5の絶縁体、第2の酸化膜、第2の導電膜の順番で成膜し、第2の導電膜、及び第2の酸化膜を島状に加工し、且つ第5の絶縁体に達する第5の開口を形成することにより、第2の酸化物を形成し、第2の導電膜上、及び第5の絶縁体上に第6の絶縁体を形成し、第6の絶縁体、及び第2の導電膜に、第2の酸化物に達する第6の開口を形成することにより、第9の導電体、及び第10の導電体を形成し、第6の開口の内側に第7の絶縁体と、第11の導電体と、を形成する半導体装置の作製方法である。
【0021】
又は、上記態様において、第5の開口と重なる領域を有し、第5の導電体に達する第7の開口を第6の絶縁体と、第5の絶縁体と、第4の絶縁体と、に形成し、且つ第9の導電体に達する第8の開口を第6の絶縁体に形成してもよい。
【0022】
又は、上記態様において、第7の開口の内側に第12の導電体を、第8の開口の内側に第13の導電体をそれぞれ形成し、第13の導電体上に第8の絶縁体を形成し、第8の絶縁体上に、第7の導電体と重なる領域を有する第14の導電体と、第13の導電体と重なる領域を有する第15の導電体と、を形成してもよい。
【0023】
又は、上記態様において、第1及び第2の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、又はSn)と、Znと、を含んでもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、微細化、又は高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、保持容量が大きい半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、オン電流が大きい半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、オフ電流が小さい半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、高い周波数特性を有する半導体装置を提供することができる。
【0025】
又は、本発明の一態様により、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、情報の書き込み速度が速い半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、設計自由度が高い半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、消費電力を抑えることができる半導体装置を提供することができる。又は、本発明の一態様により、新規な半導体装置を提供することができる。
【0026】
又は、本発明の一態様により、生産性の高い半導体装置の作製方法を提供することができる。又は、本発明の一態様により、微細化、又は高集積化が可能な半導体装置の作製方法を提供することができる。又は、本発明の一態様により、保持容量が大きい半導体装置の作製方法を提供することができる。又は、本発明の一態様により、信頼性が良好な半導体装置の作製方法を提供することができる。又は、本発明の一態様により、オン電流が大きい半導体装置の作製方法を提供することができる。又は、本発明の一態様により、オフ電流が小さい半導体装置の作製方法を提供することができる。又は、本発明の一態様により、高い周波数特性を有する半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0027】
又は、本発明の一態様により、長期間においてデータの保持が可能な半導体装置の作製方法を提供することができる。又は、本発明の一態様により、情報の書き込み速度が速い半導体装置の作製方法を提供することができる。又は、本発明の一態様により、設計自由度が高い半導体装置の作製方法を提供することができる。又は、本発明の一態様により、消費電力を抑えることができる半導体装置の作製方法を提供することができる。又は、本発明の一態様により、新規な半導体装置の作製方法を提供することができる。
【0028】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項等の記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項等の記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1Aは、半導体装置の構成例を示す上面図である。
図1Bは、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図2A、及び
図2Bは、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図3A乃至
図3Eは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図4A乃至
図4Cは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図5A乃至
図5Cは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図6A、及び
図6Bは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図7は、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図8Aは、半導体装置の構成例を示す上面図である。
図8Bは、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図9A、及び
図9Bは、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図10A乃至
図10Cは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図11A、及び
図11Bは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図12A、及び
図12Bは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図13Aは、半導体装置の構成例を示す上面図である。
図13Bは、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図14A、及び
図14Bは、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図15A乃至
図15Cは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図16A乃至
図16Cは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図17A乃至
図17Cは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図18A、及び
図18Bは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図19A、及び
図19Bは、半導体装置の作製方法例を示す断面図である。
図20は、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図21は、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図22は、半導体装置の構成例を示す断面図である。
図23Aは、IGZOの結晶構造の分類を説明する図である。
図23Bは、石英ガラスのXRDスペクトルを説明する図である。
図23Cは、結晶性IGZOのXRDスペクトルを説明する図である。
図23Dは、結晶性IGZOの極微電子線回折パターンを説明する図である。
図24は、記憶装置の構成例を示す断面図である。
図25は、各種の記憶装置を階層ごとに示す図である。
図26Aは、記憶装置の構成例を示すブロック図である。
図26Bは、記憶装置の構成例を示す斜視図である。
図27A乃至
図27Cは、記憶装置の構成例を示す回路図である。
図28A、及び
図28Bは、電子部品の一例を説明する図である。
図29A乃至
図29Eは、記憶装置の構成例を示す模式図である。
図30A乃至
図30D、
図30E1、
図30E2、及び
図30Fは、電子機器を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、実施の形態について図面を参照しながら説明する。ただし、実施の形態は多くの異なる態様で実施することが可能であり、趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。したがって、本発明は、以下の実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0031】
また、図面において、大きさ、層の厚さ、又は領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。よって、必ずしもそのスケールに限定されない。なお、図面は、理想的な例を模式的に示したものであり、図面に示す形状又は値等に限定されない。例えば、実際の製造工程において、エッチング等の処理により層やレジストマスク等が意図せずに目減りすることがあるが、理解を容易とするために図に反映しないことがある。また、図面において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、同様の機能を指す場合には、ハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0032】
また、特に上面図(「平面図」ともいう)や斜視図等において、発明の理解を容易とするため、一部の構成要素の記載を省略する場合がある。また、一部の隠れ線等の記載を省略する場合がある。
【0033】
また、本明細書等において、第1、第2等として付される序数詞は便宜上用いるものであり、工程順又は積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」又は「第3の」等と適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書等に記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0034】
また、本明細書等において、「上に」、「下に」等の配置を示す語句は、構成同士の位置関係を、図面を参照して説明するために、便宜上用いている。また、構成同士の位置関係は、各構成を描写する方向に応じて適宜変化するものである。したがって、明細書で説明した語句に限定されず、状況に応じて適切に言い換えることができる。
【0035】
例えば、本明細書等において、XとYとが接続される、と明示的に記載されている場合は、XとYとが電気的に接続される場合と、XとYとが機能的に接続される場合と、XとYとが直接的に接続される場合とが、本明細書等に開示されているものとする。したがって、所定の接続関係、例えば、図又は文章に示された接続関係に限定されず、図又は文章に示された接続関係以外のものも、図又は文章に開示されているものとする。
【0036】
ここで、X、Yは、対象物(例えば、装置、素子、回路、配線、電極、端子、導電膜、層、等)であるとする。
【0037】
また、本明細書等において、「電気的に接続」には、直接接続している場合と、「何らかの電気的作用を有するもの」を介して接続される場合が含まれる。ここで、「何らかの電気的作用を有するもの」は、接続対象間での電気信号の授受を可能とするものであれば、特に制限を受けない。よって、「電気的に接続する」と表現される場合であっても、現実の回路においては、物理的な接続部分がなく、配線が延在しているだけの場合もある。また、「直接接続」と表現される場合であっても、異なる導電体がコンタクトを介して接続される場合が含まれる。なお、配線には、異なる導電体が一つ以上の同じ元素を含む場合と、異なる元素を含む場合と、がある。
【0038】
また、本明細書等において「電極」や「配線」の用語は、これらの構成要素を機能的に限定するものではない。例えば、「電極」は「配線」の一部として用いられることがあり、その逆もまた同様である。さらに、「電極」や「配線」の用語は、複数の「電極」や「配線」が一体となって形成されている場合等も含む。
【0039】
また、本明細書等において、「抵抗」の抵抗値を、配線の長さによって決める場合がある。又は、抵抗値は、配線で用いる導電体とは異なる抵抗率を有する導電体と接続することにより決める場合がある。又は、半導体に不純物をドーピングすることで抵抗値を決める場合がある。
【0040】
また、本明細書等において、電気回路における「端子」とは、電流又は電圧の入力又は出力や、信号の受信又は送信が行なわれる部位をいう。よって、配線又は電極の一部が端子として機能する場合がある。
【0041】
また、ソースやドレインの機能は、異なる極性のトランジスタを採用する場合や、回路動作において電流の方向が変化する場合等には入れ替わることがある。このため、本明細書等においては、ソースやドレインの用語は、入れ替えて用いることができる場合がある。
【0042】
なお、本明細書等において、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域(チャネル形成領域)におけるチャネル幅(以下、「実効的なチャネル幅」ともいう)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、「見かけ上のチャネル幅」ともいう)と、が異なる場合がある。例えば、ゲートが半導体の側面を覆う場合、実効的なチャネル幅が、見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつゲートが半導体の側面を覆うトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、見かけ上のチャネル幅よりも、実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0043】
このような場合、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0044】
本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。又は、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅等は、断面TEM像等を解析すること等によって、値を決定することができる。
【0045】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物と言える。不純物が含まれることにより、例えば、半導体のDOS(Density of States)が高くなることや、結晶性が低下すること等が起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、及び酸化物半導体の主成分以外の遷移金属等があり、例えば、水素、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素等がある。酸化物半導体の場合、水も不純物として機能する場合がある。また、酸化物半導体の場合、例えば不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素等がある。
【0046】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコンとは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものである。また、窒化酸化シリコンとは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。
【0047】
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜又は絶縁層と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜又は導電層と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜又は半導体層と言い換えることができる。
【0048】
また、本明細書等において、「平行」とは、二つの直線が-10度以上10度以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5度以上5度以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が-30度以上30度以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80度以上100度以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85度以上95度以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60度以上120度以下の角度で配置されている状態をいう。
【0049】
なお、本明細書等において、バリア膜とは、水、水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する膜のことであり、当該バリア膜に導電性を有する場合は、導電性バリア膜と呼ぶことがある。
【0050】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い意味での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductor又は単にOSともいう)等に分類される。例えば、トランジスタの半導体に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OS FETあるいはOSトランジスタと記載する場合においては、酸化物又は酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0051】
また、本明細書等において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態(非導通状態、遮断状態、ともいう)にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電圧Vgsがしきい値電圧Vthよりも低い(pチャネル型トランジスタでは、Vthよりも高い)状態をいう。
【0052】
(実施の形態1)
以下では、本発明の一態様に係る、トランジスタ200及び容量素子100を有する半導体装置の一例、及びその作製方法について説明する。
【0053】
本明細書等において、複数の要素に同じ符号を用いる場合、特にそれらを区別する必要があるときは、符号に「_1」、「_2」等、識別用の符号を付して記載する場合がある。例えば、2つのトランジスタ200を、トランジスタ200_1、トランジスタ200_2と記載して区別する。また、2つの容量素子100を、容量素子100_1、容量素子100_2と記載して区別する。
【0054】
<半導体装置の構成例1>
図1Aは、トランジスタ200、及び容量素子100を有する半導体装置の構成例を示す上面図である。また、
図1B、並びに
図2A及び
図2Bは、当該半導体装置の構成例を示す断面図である。ここで、
図1Bは、
図1AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図、及び容量素子100の、当該チャネル長方向と平行な方向の断面図である。また、
図2Aは、
図1AにA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図である。また、
図2Bは、
図1AにA5-A6の一点鎖線で示す部位の断面図であり、容量素子100の、トランジスタ200のチャネル幅方向と平行な方向の断面図である。なお、
図1Aの上面図では、図の明瞭化のために一部の要素を省いている。また、他の上面図でも、図の明瞭化のために一部の要素を省く場合がある。
【0055】
本発明の一態様の半導体装置は、基板(図示せず)上の絶縁体214と、絶縁体214上のトランジスタ200_1と、トランジスタ200_1上の絶縁体280_1と、絶縁体280_1上の絶縁体274_1と、を有する。また、本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200_1と重なる領域を有するように容量素子100_1、及びトランジスタ200_2が設けられる。さらに、本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200_2上の絶縁体280_2と、絶縁体280_2上の絶縁体274_2と、を有する。また、本発明の一態様の半導体装置は、トランジスタ200_2と重なる領域を有するように容量素子100_2が設けられる。
【0056】
トランジスタ200_1は、絶縁体214上の絶縁体216_1と、絶縁体216_1に埋め込まれるように配置されている導電体205_1(導電体205a_1、及び導電体205b_1)と、絶縁体216_1上、及び導電体205_1上の絶縁体222_1と、絶縁体222_1上の絶縁体224_1と、絶縁体224_1上の酸化物230a_1と、酸化物230a_1上の酸化物230b_1と、酸化物230b_1上の導電体242a_1、及び導電体242b_1と、絶縁体224_1の上面、酸化物230a_1の側面、酸化物230b_1の側面、並びに導電体242a_1及び導電体242b_1の上面及び側面と接する領域を有する絶縁体272_1と、絶縁体272_1上の絶縁体273_1と、酸化物230b_1上の酸化物230c_1と、酸化物230c_1上の絶縁体250_1と、絶縁体250_1上に位置し、酸化物230c_1と重なる領域を有する導電体260_1(導電体260a_1、及び導電体260b_1)と、を有する。ここで、酸化物230c_1は、導電体242a_1及び導電体242b_1の側面、絶縁体272_1の側面、絶縁体273_1の側面、並びに絶縁体280_1の側面と接する領域を有する。また、導電体260a_1は、導電体260b_1の底面及び側面を包むように配置される。さらに、酸化物230c_1の上面、絶縁体250_1の上面、導電体260_1の上面は、絶縁体280_1の上面と略一致して配置される。
【0057】
以下において、導電体242aと導電体242bをまとめて導電体242と呼ぶ場合がある。
【0058】
容量素子100_1は、導電体240_1と、導電体240_1上、導電体244_1上、及び絶縁体274_1上の絶縁体282_1と、絶縁体282_1上の導電体204_1(導電体204a_1、及び導電体204b_1)と、を有する。
【0059】
絶縁体274_1、絶縁体280_1、絶縁体273_1、及び絶縁体272_1には、導電体242b_1に達する開口が設けられ、当該開口には導電体240_1が設けられる。また、絶縁体274_1、絶縁体280_1、絶縁体273_1、絶縁体272_1、導電体242a_1、酸化物230b_1、酸化物230a_1、絶縁体224_1、絶縁体222_1、及び絶縁体216_1には、絶縁体214に達する開口が設けられ、当該開口には導電体244_1が設けられる。ここで、導電体240_1の上面の高さ、及び導電体244_1の上面の高さと、絶縁体274_1の上面の高さは同一とすることができる。
【0060】
本明細書等において、開口とは、例えば、溝やスリット等も含まれる。また、開口が形成された領域を指して開口部とする場合がある。
【0061】
また、本明細書等において、「同一」とは、同一の面積を有してよいし、同一の形状を有してもよい。また、基板面から垂直方向に同じ高さであってもよい。同じ高さは、同一平面と言い換えることができる。また、製造工程の関係上、完全に同一の形状、同一平面、同一の高さとならないことも想定されるため、略同一であっても同一であると言い換えることができる。
【0062】
絶縁体274_1、絶縁体280_1、絶縁体273_1、及び絶縁体272_1の開口の内側に導電体240_1の第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体240_1の第2の導電体が設けられる。また、絶縁体274_1、絶縁体280_1、絶縁体273_1、絶縁体272_1、導電体242a_1、酸化物230b_1、酸化物230a_1、絶縁体224_1、絶縁体222_1、及び絶縁体216_1の開口の内側に導電体244_1の第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体244_1の第2の導電体が設けられる。
【0063】
トランジスタ200_2は、絶縁体282_1上の絶縁体216_2と、絶縁体216_2に埋め込まれるように配置されている導電体205_2(導電体205a_2、及び導電体205b_2)と、絶縁体216_2上、導電体204_2上、及び導電体205_2上の絶縁体222_2と、絶縁体222_2上の絶縁体224_2と、絶縁体224_2上の酸化物230a_2と、酸化物230a_2上の酸化物230b_2と、酸化物230b_2上の導電体242a_2、及び導電体242b_2と、絶縁体224_2の上面、酸化物230a_2の側面、酸化物230b_2の側面、並びに導電体242a_2及び導電体242b_2の上面及び側面と接する領域を有する絶縁体272_2と、絶縁体272_2上の絶縁体273_2と、酸化物230b_2上の酸化物230c_2と、酸化物230c_2上の絶縁体250_2と、絶縁体250_2上に位置し、酸化物230c_2と重なる領域を有する導電体260_2(導電体260a_2、及び導電体260b_2)と、を有する。ここで、酸化物230c_2は、導電体242a_2及び導電体242b_2の側面、絶縁体272_2の側面、絶縁体273_2の側面、並びに絶縁体280_2の側面と接する領域を有する。また、導電体260a_2は、導電体260b_2の底面及び側面を包むように配置される。さらに、酸化物230c_2の上面、絶縁体250_2の上面、導電体260_2の上面は、絶縁体280_2の上面と略一致して配置される。
【0064】
容量素子100_2は、導電体240_2と、導電体240_2上、導電体244_2上、及び絶縁体274_2上の絶縁体282_2と、絶縁体282_2上の導電体204_2(導電体204a_2、及び導電体204b_2)と、を有する。
【0065】
絶縁体274_2、絶縁体280_2、絶縁体273_2、及び絶縁体272_2には、導電体242b_2に達する開口が設けられ、当該開口には導電体240_2が設けられる。また、絶縁体274_2、絶縁体280_2、絶縁体273_2、絶縁体272_2、導電体242a_2、酸化物230b_2、酸化物230a_2、絶縁体224_2、絶縁体222_2、絶縁体216_2、及び絶縁体282_1には、導電体244_1に達する開口が設けられ、当該開口には導電体244_2が設けられる。よって、トランジスタ200_1が有する導電体242a_1と、トランジスタ200_2が有する導電体242a_2と、は導電体244_1及び導電体244_2を介して電気的に接続される。なお、導電体240_2の上面の高さ、及び導電体244_2の上面の高さと、絶縁体274_2の上面の高さは同一にできる。
【0066】
絶縁体274_2、絶縁体280_2、絶縁体273_2、及び絶縁体272_2の開口の内側に導電体240_2の第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体240_2の第2の導電体が設けられる。また、絶縁体274_2、絶縁体280_2、絶縁体273_2、絶縁体272_2、導電体242a_2、酸化物230b_2、酸化物230a_2、絶縁体224_2、絶縁体222_2、絶縁体216_2、及び絶縁体282_1の開口の内側に導電体244_2の第1の導電体が設けられ、さらに内側に導電体244_2の第2の導電体が設けられる。
【0067】
なお、
図1B及び
図2Bでは、導電体240及び導電体244を、第1の導電体と、第2の導電体と、を積層する構成としているが、本発明の一態様はこれに限らない。例えば、導電体240、又は導電体244を単層としてもよいし、3層以上の積層構造としてもよい。
【0068】
トランジスタ200において、導電体260は、トランジスタのゲート電極としての機能を有し、導電体242a及び導電体242bは、それぞれソース電極又はドレイン電極としての機能を有する。トランジスタ200は、ゲート電極としての機能を有する導電体260が、絶縁体280、絶縁体273、絶縁体272、及び導電体242によって形成される開口を埋めるように自己整合的に形成される。導電体260をこのように形成することにより、導電体242aと導電体242bの間の領域に、導電体260を位置合わせすることなく確実に配置することができる。
【0069】
また、絶縁体214、絶縁体222、絶縁体272、絶縁体273、及び絶縁体282の少なくとも一は、水素(例えば、水素原子、水素分子等の少なくとも一)又は水分子の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。また、絶縁体214、絶縁体222、絶縁体272、絶縁体273、及び絶縁体282の少なくとも一は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体214、絶縁体222、絶縁体272、絶縁体273、及び絶縁体282の少なくとも一は、絶縁体224よりも酸素及び水素の一方又は双方の透過性が低いことが好ましい。絶縁体214、絶縁体222、絶縁体272、絶縁体273、及び絶縁体282の少なくとも一は、絶縁体250よりも酸素及び水素の一方又は双方の透過性が低いことが好ましい。絶縁体214、絶縁体222、絶縁体272、絶縁体273、及び絶縁体282の少なくとも一は、絶縁体280よりも酸素及び水素の一方又は双方の透過性が低いことが好ましい。
【0070】
絶縁体214、絶縁体222、絶縁体272、絶縁体273、及び絶縁体282としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化ガリウム、インジウムガリウム亜鉛酸化物、窒化シリコン、又は窒化酸化シリコン等を用いることができる。
【0071】
また、酸化物230は、絶縁体224上の酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上に配置され、少なくとも一部が酸化物230bの上面に接する酸化物230cと、を有することが好ましい。ここで、酸化物230cの側面は、導電体242a、導電体242b、絶縁体272、絶縁体273、及び絶縁体280に接する領域を有するように設けられていることが好ましい。
【0072】
なお、トランジスタ200では、チャネル形成領域と、その近傍において、酸化物230a、酸化物230b、及び酸化物230cの3層を積層する構成について示しているが、本発明はこれに限られるものではない。例えば、酸化物230bの単層、酸化物230bと酸化物230aの2層構造、酸化物230bと酸化物230cの2層構造、又は4層以上の積層構造を設ける構成にしてもよい。例えば、酸化物230cを2層構造にして、4層の積層構造を設ける構成にしてもよい。
【0073】
トランジスタ200は、チャネル形成領域を含む酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、及び酸化物230c)に、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。例えば、酸化物半導体として機能する金属酸化物は、エネルギーギャップが2eV以上、好ましくは2.5eV以上のものを用いることが好ましい。このように、エネルギーギャップの大きい金属酸化物を用いることで、トランジスタ200の非導通状態におけるリーク電流(オフ電流)を極めて小さくすることができる。このようなトランジスタを用いることで、低消費電力の半導体装置を提供できる。
【0074】
例えば、酸化物230として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、錫、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は複数種)等の金属酸化物を用いるとよい。特に、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、又は錫を用いるとよい。また、酸化物230として、In酸化物、In-M酸化物、In-Zn酸化物、又はM-Zn酸化物を用いてもよい。
【0075】
酸化物230は、酸化物230aと、酸化物230a上の酸化物230bと、酸化物230b上の酸化物230cと、を有する。酸化物230b下に酸化物230aを有することで、酸化物230aよりも下方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。また、酸化物230b上に酸化物230cを有することで、酸化物230cよりも上方に形成された構造物から、酸化物230bへの不純物の拡散を抑制することができる。
【0076】
なお、酸化物230は、各金属原子の原子数比が異なる複数の酸化物層の積層構造を有することが好ましい。具体的には、酸化物230aに用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、酸化物230aに用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、酸化物230bに用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230bに用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、酸化物230aに用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。また、酸化物230cは、酸化物230a又は酸化物230bに用いることができる金属酸化物を、用いることができる。
【0077】
具体的には、酸化物230aとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、又はその近傍の組成、あるいは1:1:0.5[原子数比]、又はその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230bとして、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、又はその近傍の組成、あるいは1:1:1[原子数比]、又はその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230cとして、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、又はその近傍の組成、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、又はその近傍の組成、In:Ga:Zn=5:1:3[原子数比]、又はその近傍の組成、In:Ga:Zn=10:1:3[原子数比]、又はその近傍の組成、Ga:Zn=2:1[原子数比]、又はその近傍の組成、あるいはGa:Zn=2:5[原子数比]、又はその近傍の組成の金属酸化物を用いればよい。また、酸化物230cを積層構造とする場合の具体例としては、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、又はその近傍の組成と、In:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]、又はその近傍の組成との積層構造、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、又はその近傍の組成、とIn:Ga:Zn=5:1:3[原子数比]、又はその近傍の組成との積層構造、Ga:Zn=2:1[原子数比]、又はその近傍の組成と、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、又はその近傍の組成との積層構造、Ga:Zn=2:5[原子数比]、又はその近傍の組成と、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、又はその近傍の組成との積層構造、酸化ガリウムと、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]、又はその近傍の組成との積層構造等が挙げられる。なお、近傍の組成とは、所望の原子数比の±30%の範囲を含む。
【0078】
また、酸化物230bは、結晶性を有することが好ましい。例えば、後述するCAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)を用いることが好ましい。CAAC-OS等の結晶性を有する酸化物は、不純物や欠陥(酸素欠損等)が少なく、結晶性の高い、緻密な構造を有している。よって、ソース電極又はドレイン電極による、酸化物230bからの酸素の引き抜きを抑制することができる。これにより、加熱処理を行っても、酸化物230bから酸素が引き抜かれることを低減できるため、トランジスタ200は、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対して安定である。
【0079】
また、酸化物230a及び酸化物230cの伝導帯下端のエネルギーが、酸化物230bの伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、酸化物230a及び酸化物230cの電子親和力が、酸化物230bの電子親和力より小さいことが好ましい。
【0080】
ここで、電子親和力又は伝導帯下端のエネルギー準位Ecは、真空準位と価電子帯上端のエネルギーEvとの差であるイオン化ポテンシャルIpと、エネルギーギャップEgから求めることができる。イオン化ポテンシャルIpは、例えば、紫外線光電子分光分析(UPS:Ultraviolet Photoelectron Spectroscopy)装置を用いて測定することができる。エネルギーギャップEgは、例えば、分光エリプソメータを用いて測定することができる。
【0081】
また、酸化物230a、酸化物230b、及び酸化物230cの接合部において、伝導帯下端のエネルギー準位はなだらかに変化する。換言すると、酸化物230a、酸化物230b、及び酸化物230cの接合部における伝導帯下端のエネルギー準位は、連続的に変化又は連続接合するともいうことができる。このようにするためには、酸化物230aと酸化物230bとの界面、及び酸化物230bと酸化物230cとの界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0082】
また、キャリアの主たる経路は酸化物230bとなる。酸化物230a、酸化物230cを上述の構成とすることで、酸化物230aと酸化物230bとの界面、及び酸化物230bと酸化物230cとの界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ200は高いオン電流、及び高い周波数特性を得ることができる。
【0083】
酸化物230(例えば、酸化物230b)には、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性という。なお、酸化物半導体中の不純物としては、例えば、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0084】
特に、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸化物半導体中に酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう)を形成する場合がある。さらに、酸素欠損に水素が入った欠陥(以下、VOHと呼ぶ場合がある。)はドナーとして機能し、キャリアである電子が生成されることがある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成する場合がある。従って、水素が多く含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタは、ノーマリーオン特性となりやすい。また、酸化物半導体中の水素は、熱、電界等のストレスによって動きやすいため、酸化物半導体に多くの水素が含まれると、トランジスタの信頼性が悪化する恐れもある。
【0085】
VOHは、酸化物半導体のドナーとして機能しうる。しかしながら、当該欠陥を定量的に評価することは困難である。そこで、酸化物半導体においては、ドナー濃度ではなく、キャリア濃度で評価される場合がある。よって、本明細書等では、酸化物半導体のパラメータとして、ドナー濃度ではなく、電界が印加されない状態を想定したキャリア濃度を用いる場合がある。つまり、本明細書等に記載の「キャリア濃度」は、「ドナー濃度」と言い換えることができる場合がある。
【0086】
以上より、酸化物半導体を酸化物230に用いる場合、酸化物230中のVOHをできる限り低減し、高純度真性又は実質的に高純度真性にすることが好ましい。このように、VOHが十分低減された酸化物半導体を得るには、酸化物半導体中の水分、水素等の不純物を除去すること(脱水、脱水素化処理と記載する場合がある。)と、酸化物半導体に酸素を供給して酸素欠損を補填すること(加酸素化処理と記載する場合がある。)が重要である。VOH等の不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0087】
また、酸化物230に酸化物半導体を用いる場合、チャネル形成領域として機能する領域の酸化物半導体のキャリア濃度は、1×1018cm-3以下であることが好ましく、1×1017cm-3未満であることがより好ましく、1×1016cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1013cm-3未満であることがさらに好ましく、1×1012cm-3未満であることがさらに好ましい。なお、チャネル形成領域として機能する領域の酸化物半導体のキャリア濃度の下限値については、特に限定は無いが、例えば、1×10-9cm-3とすることができる。
【0088】
また、水素原子を含まない、又は水素原子の含有量が少ない原料ガスを用いて、層間絶縁膜、及びゲート絶縁膜を成膜することで、これらの絶縁膜に含まれる水素濃度を低減し、酸化物半導体のチャネル形成領域に混入する水素の低減を図ってもよい。
【0089】
上記絶縁膜の成膜では、成膜ガスとして、シリコン原子を含む分子を有するガスが主に用いられる。上記絶縁膜に含まれる水素を低減するには、当該シリコン原子を含む分子に含まれる水素原子が少ないことが好ましく、当該シリコン原子を含む分子が水素原子を含まないことがより好ましい。もちろん、シリコン原子を含む分子を有するガス以外の成膜ガスも、含有される水素原子が少ないことが好ましく、水素原子を含まないことがより好ましい。
【0090】
上記のようなシリコン原子を含む分子をSix-Ryで表すと、例えば、官能基Rとして、イソシアネート基(-N=C=O)、シアネート基(-O-C≡N)、シアノ基(-C≡N)、ジアゾ基(=N2)、アジド基(-N3)、ニトロソ基(-NO)、及びニトロ基(-NO2)の少なくとも一つを用いることができる。例えば、1≦x≦3、1≦y≦8、とすればよい。このようなシリコン原子を含む分子としては、例えば、テトライソシアネートシラン、テトラシアネートシラン、テトラシアノシラン、ヘキサイソシアネートシラン、オクタイソシアネートシラン等を用いることができる。ここでは、シリコン原子に同じ種類の官能基が結合する分子を例示したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。シリコン原子に異なる種類の官能基が結合する構成にしてもよい。
【0091】
また、例えば、官能基Rとしてハロゲン(Cl、Br、I、又はF)を用いる構成にしてもよい。例えば、1≦x≦2、1≦y≦6、とすればよい。このようなシリコン原子を含む分子としては、例えば、テトラクロロシラン(SiCl4)、ヘキサクロロジシラン(Si2Cl6)等を用いることができる。塩素を官能基とする例を示したが、塩素以外の、臭素、ヨウ素、フッ素等のハロゲンを官能基として用いてもよい。また、シリコン原子に異なる種類のハロゲンが結合する構成にしてもよい。
【0092】
絶縁体216、絶縁体224、絶縁体280、絶縁体250、及び絶縁体274の成膜は、上記のようなシリコン原子を含む分子を有するガスを用いた、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法によって行えばよい。CVD法は、成膜速度が比較的早いため、特に膜厚が厚い絶縁体216、絶縁体224、絶縁体280、及び絶縁体274の成膜を行うにあたって好適である。
【0093】
CVD法として、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、又は熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、を用いることが好ましい。熱CVD法を用いる場合、大気圧下で成膜を行なう常圧CVD(APCVD:Atmospheric Pressure CVD)法を用いてもよいし、大気圧より低い減圧状態で成膜を行う減圧CVD(LPCVD:Low Pressure CVD)法を用いてもよい。
【0094】
CVD法を用いて絶縁体216、絶縁体224、絶縁体280、絶縁体250、及び絶縁体274を成膜する場合、酸化剤を用いることが好ましい。酸化剤としては、O2、O3、NO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5、CO、CO2、等の水素原子を含まないガスを用いることが好ましい。
【0095】
また、絶縁体216、絶縁体224、絶縁体280、絶縁体250、及び絶縁体274の成膜は、ALD(Atomic Layer Deposition)法によって行ってもよい。ALD法では、反応のための第1の原料ガス(以下、プリカーサと呼ぶ。前駆体、金属プリカーサとも呼ぶことができる。)と第2の原料ガス(以下、リアクタントと呼ぶ。反応剤、非金属プリカーサとも呼ぶことができる。)を交互にチャンバーに導入し、これらの原料ガスの導入を繰り返すことで成膜を行う。
【0096】
ALD法は、原料ガスを切り替えながら成膜することで、原子の性質である自己制御性を利用し、一層ずつ原子を堆積することができる。よって、ALD法は、極薄膜厚の成膜、アスペクト比の高い構造への成膜、ピンホール等の欠陥の少ない成膜、及び被覆性に優れた成膜等を行うことができる。このため、ALD法は、特に絶縁体250の成膜を行うにあたって好適である。
【0097】
ALD法としては、プリカーサ及びリアクタントの反応を熱エネルギーのみで行う熱ALD(Thermal ALD)法を用いてもよいし、プラズマ励起されたリアクタントを用いるPEALD(Plasma Enhanced ALD)法を用いてもよい。
【0098】
ALD法を用いる場合、プリカーサとして、上記シリコン原子を含む分子を有するガスを、リアクタントとして、上記酸化剤を用いればよい。これにより、絶縁体216、絶縁体224、絶縁体280、絶縁体250、及び絶縁体274中に取り込まれる水素の量を大きく低減することができる。
【0099】
なお、上記では、シリコン原子を含む分子が水素原子を含まない例について示したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。上記のシリコン原子を含む分子において、シリコン原子に結合する官能基の一部が水素原子に置換される構成にしてもよい。ただし、上記のシリコン原子を含む分子に含まれる水素原子は、シラン(SiH4)より少ないことが好ましい。つまり、上記のシリコン原子を含む分子は、シリコン1原子あたり3原子以下の水素原子を有することが好ましい。また、上記のシリコン原子を含む分子を有するガスが、シリコン1原子あたり3原子以下の水素原子を有すると、より好ましい。
【0100】
以上のように、水素原子が低減又は除去されたガスを用いた方法で、絶縁体216、絶縁体224、絶縁体280、絶縁体250、及び絶縁体274の少なくとも一つを成膜することで、これらの絶縁膜に含まれる水素の量を低減することができる。
【0101】
容量素子100において、導電体240は、容量素子100の一方の電極としての機能を有し、導電体204は、容量素子100の他方の電極としての機能を有する。また、絶縁体282は、容量素子100の誘電体として機能する。導電体204は、導電体205と同じ材料を用いることができる。
【0102】
ここで、導電体244はトランジスタ200のソース又はドレインの一方と電気的に接続するプラグとしての機能を有し、導電体240はトランジスタ200のソース又はドレインの他方と電気的に接続するプラグとしての機能を有する。よって、導電体240は、プラグとしての機能と、容量素子100の一方の電極としての機能を兼ねることができる。
【0103】
図1B、及び
図2Aに示すように、トランジスタ200_1とトランジスタ200_2は積層して設けられる。また、
図1B、及び
図2Bに示すように、容量素子100_1と容量素子100_2は積層して設けられる。つまり、本発明の一態様の半導体装置では、2つのトランジスタ200が積層して設けられ、2つの容量素子100が積層して設けられる。このような構成とすることにより、本発明の一態様の半導体装置の占有面積を増加させることを抑制しつつ、複数のトランジスタ200、及び複数の容量素子100を当該半導体装置に設けることができる。よって、本発明の一態様の半導体装置を微細化、又は高集積化することができる。なお、3つ以上のトランジスタ200、及び3つ以上の容量素子100をそれぞれ積層して設けてもよい。この場合、
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示すように、絶縁体282_2上に絶縁体216_3が設けられ、絶縁体216_3に埋め込まれるように導電体205_3(導電体205a_3、及び導電体205b_3)が設けられ、導電体204上、導電体205上、及び絶縁体216_3上に絶縁体222_3が設けられる。
【0104】
容量素子100が有する導電体204は、トランジスタ200が有する導電体205と同じ層に形成される。例えば、導電体204_1は導電体205_2と同じ層に形成される。これにより、導電体204と導電体205を同一工程で形成することができるため、本発明の一態様の半導体装置の作製工程を簡略化することができる。よって、本発明の一態様の半導体装置の製造コストを低減し、歩止まりを向上させることができる。つまり、本発明の一態様の半導体装置の生産性を向上させることができる。
【0105】
また、本発明の一態様の半導体装置は前述のように、導電体240が、プラグとしての機能と、容量素子100の一方の電極としての機能を兼ねる。このように、トランジスタ200、及び容量素子100の構成要素の一部を共通とする構成とすることで、本発明の一態様の半導体装置の作製工程を簡略化することができる。よって、本発明の一態様の半導体装置の製造コストを低減し、歩止まりを向上させることができる。つまり、本発明の一態様の半導体装置の生産性を向上させることができる。
【0106】
以下では、本発明の一態様に係る、トランジスタ200及び容量素子100を有する半導体装置の詳細な構成について説明する。
【0107】
導電体205は、酸化物230及び導電体260と、重なる領域を有するように配置する。また、導電体205は、絶縁体216に埋め込まれて設けられることが好ましい。
【0108】
ここで、導電体260は、第1のゲート電極(トップゲート電極ともいう)として機能する場合がある。また、導電体205は、第2のゲート電極(バックゲート電極ともいう)として機能する場合がある。その場合、導電体205に印加する電位を、導電体260に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ200のVthを制御することができる。特に、導電体205に負の電位を印加することにより、トランジスタ200のVthを0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。したがって、導電体205に負の電位を印加したほうが、印加しない場合よりも、導電体260に印加する電位が0Vのときのドレイン電流を小さくすることができる。
【0109】
なお、
図1Aに示すように、導電体205は、酸化物230の導電体242a及び導電体242bと重ならない領域の大きさよりも、大きく設けるとよい。特に、
図2Aに示すように、導電体205は、酸化物230のチャネル幅方向と交わる端部よりも外側の領域においても、延伸していることが好ましい。つまり、酸化物230のチャネル幅方向における側面の外側において、導電体205と、導電体260とは、絶縁体を介して重畳していることが好ましい。又は、導電体205を大きく設けることによって、導電体205形成以降の作製工程のプラズマを用いた処理において、局所的なチャージング(チャージアップと言う)の緩和ができる場合がある。ただし、本発明の一態様はこれに限定されない。導電体205は、少なくとも導電体242aと、導電体242bとの間に位置する酸化物230と重なる領域を有していればよい。
【0110】
また、
図2Aに示すように、絶縁体224の底面を基準として、酸化物230a及び酸化物230bと導電体260とが重ならない領域における導電体260の底面の高さは、酸化物230bの底面の高さより低い位置に配置されている領域を有することが好ましい。また、当該領域における導電体260の底面の高さと、酸化物230bの底面の高さと、の差は、0nm以上100nm以下、好ましくは、3nm以上50nm以下、より好ましくは、5nm以上20nm以下とする。
【0111】
このように、ゲート電極として機能する導電体260が、チャネル形成領域の酸化物230bの側面及び上面を酸化物230c及び絶縁体250を介して覆う構成となっており、導電体260の電界をチャネル形成領域の酸化物230b全体に作用させやすくなる。よって、トランジスタ200のオン電流を増大させ、周波数特性を向上させることができる。本明細書等において、第1のゲート、及び第2のゲートの電界によって、チャネル形成領域を電気的に取り囲むトランジスタの構造を、surrounded channel(S-channel)構造とよぶ。
【0112】
また、導電体205a、及び導電体204aは、水又は水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する導電体が好ましい。例えば、チタン、窒化チタン、タンタル、又は窒化タンタルを用いることができる。また、導電体205b、及び導電体205bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、導電体205を2層で図示したが、3層以上の多層構造としてもよい。
【0113】
ここで、酸化物半導体と、酸化物半導体の下層に位置する絶縁体、又は導電体と、酸化物半導体の上層に位置する絶縁体、又は導電体とを、大気開放を行わずに、異なる膜種を連続成膜することで、不純物(特に、水素、水)の濃度が低減された、実質的に高純度真性である酸化物半導体膜を成膜することができるため好ましい。
【0114】
絶縁体214、絶縁体222、絶縁体272、絶縁体273、及び絶縁体282の少なくとも一つは、水又は水素等の不純物が、基板側から、又は、上方からトランジスタ200に混入することを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。したがって、絶縁体214、絶縁体222、絶縁体272、絶縁体273、及び絶縁体282の少なくとも一つは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する(上記不純物が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)絶縁性材料を用いることが好ましい。
【0115】
例えば、絶縁体214、絶縁体222、絶縁体272、絶縁体273、及び絶縁体282として、酸化アルミニウム又は酸化ハフニウム等を用いることが好ましい。これにより、水又は水素等の不純物が絶縁体214を介して、基板側からトランジスタ200側に拡散することを抑制することができる。又は、絶縁体224等に含まれる酸素が、絶縁体214を介して基板側に拡散することを抑制することができる。また、水又は水素等の不純物が、絶縁体272及び絶縁体273よりも上方に配置されている絶縁体280、及び絶縁体274等からトランジスタ200側に拡散することを抑制することができる。
【0116】
また、絶縁体216、絶縁体280、及び絶縁体274は、絶縁体214よりも誘電率が低いことが好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体216、絶縁体280、及び絶縁体274として、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、又は空孔を有する酸化シリコン等を適宜用いればよい。
【0117】
また、絶縁体282は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)又は(Ba,Sr)TiO3(BST)等のいわゆるhigh-k材料を含む絶縁体を用いることが好ましい。これにより、絶縁体282の物理膜厚を保ちながら、容量素子100の保持容量を確保することができる。よって、容量素子100が有する導電体240と導電体204との間に、絶縁体282を介してリーク電流が流れることを抑制することができる。
【0118】
絶縁体222、及び絶縁体224は、ゲート絶縁体としての機能を有する。
【0119】
ここで、酸化物230と接する領域を有する絶縁体224は、加熱により酸素を脱離する機能を有することが好ましい。本明細書等では、加熱により離脱する酸素を過剰酸素と呼ぶことがある。例えば、絶縁体224は、酸化シリコン、又は酸化窒化シリコン等を適宜用いればよい。酸素を含む絶縁体を酸化物230に接して設けることにより、酸化物230中の酸素欠損を低減し、トランジスタ200の信頼性を向上させることができる。
【0120】
絶縁体224として、具体的には、加熱により一部の酸素が脱離する酸化物材料を用いることが好ましい。加熱により酸素を脱離する酸化物とは、昇温脱離ガス分析(TDS(Thermal Desorption Spectroscopy)分析)にて、酸素分子の脱離量が1.0×1018molecules/cm3以上、好ましくは1.0×1019molecules/cm3以上、さらに好ましくは2.0×1019molecules/cm3以上、又は3.0×1020molecules/cm3以上である酸化物膜である。なお、上記TDS分析時における膜の表面温度としては100℃以上700℃以下、又は100℃以上400℃以下の範囲が好ましい。
【0121】
絶縁体222は、水又は水素等の不純物が、基板側からトランジスタ200に混入することを抑制するバリア絶縁膜として機能することが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より水素透過性が低いことが好ましい。これにより、外方から水又は水素等の不純物がトランジスタ200に侵入することを抑制することができる。
【0122】
さらに、絶縁体222は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する(上記酸素が透過しにくい)ことが好ましい。例えば、絶縁体222は、絶縁体224より酸素透過性が低いことが好ましい。絶縁体222が、酸素や不純物の拡散を抑制する機能を有することで、酸化物230が有する酸素が、絶縁体222より下側へ拡散することを低減できるため、好ましい。また、導電体205が、絶縁体224や、酸化物230が有する酸素と反応することを抑制することができる。
【0123】
絶縁体222は、絶縁性材料であるアルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を用いるとよい。アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。このような材料を用いて絶縁体222を形成した場合、絶縁体222は、酸化物230からの酸素の放出や、トランジスタ200の周辺部から酸化物230への水素等の不純物の混入を抑制する層として機能する。
【0124】
又は、これらの絶縁体に、例えば、酸化アルミニウム、酸化ビスマス、酸化ゲルマニウム、酸化ニオブ、酸化シリコン、酸化チタン、酸化タングステン、酸化イットリウム、酸化ジルコニウムを添加してもよい。又はこれらの絶縁体を窒化処理してもよい。上記の絶縁体に酸化シリコン、酸化窒化シリコン又は窒化シリコンを積層して用いてもよい。
【0125】
また、絶縁体222は、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル、酸化ジルコニウム、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)又は(Ba,Sr)TiO3(BST)等、前述したhigh-k材料を含む絶縁体を単層又は積層で用いてもよい。例えば、絶縁体222を積層とする場合、酸化ジルコニウムと、酸化アルミニウムと、酸化ジルコニウムと、が順に形成された3層積層や、酸化ジルコニウムと、酸化アルミニウムと、酸化ジルコニウムと、酸化アルミニウムと、が順に形成されて4層積層等を用いればよい。また、絶縁体222としては、ハフニウムと、ジルコニウムとが含まれる化合物等を用いてもよい。半導体装置の微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁体、及び容量素子に用いる誘電体の薄膜化により、トランジスタや容量素子のリーク電流等の問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体、及び容量素子に用いる誘電体として機能する絶縁体にhigh-k材料を用いることで、物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時のゲート電位の低減、及び容量素子の容量の確保が可能となる。
【0126】
なお、絶縁体222、及び絶縁体224が、2層以上の積層構造を有していてもよい。その場合、同じ材料からなる積層構造に限定されず、異なる材料からなる積層構造でもよい。
【0127】
また、酸化物230中の酸素が導電体242(導電体242a、及び導電体242b)へ拡散することで、導電体242aと酸化物230bとの間、及び、導電体242bと酸化物230bとの間に異層が形成される場合がある。当該異層は、導電体242よりも酸素を多く含むため、当該異層は絶縁性を有すると推定される。このとき、導電体242と、当該異層と、酸化物230bとの3層構造は、金属-絶縁体-半導体からなる3層構造とみなすことができ、MIS(Metal-Insulator-Semiconductor)構造と呼ぶ、又はMIS構造を主としたダイオード接合構造と呼ぶ場合がある。
【0128】
なお、上記異層は、導電体242と酸化物230bとの間に形成されることに限られず、例えば、異層が、導電体242と酸化物230cとの間に形成される場合や、導電体242と酸化物230bとの間、及び導電体242と酸化物230cとの間に形成される場合がある。
【0129】
酸化物230b上には、ソース電極、及びドレイン電極としての機能を有する導電体242(導電体242a、及び導電体242b)が設けられる。導電体242の膜厚は、例えば、1nm以上50nm以下、好ましくは2nm以上25nm以下、とすればよい。
【0130】
導電体242としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタンから選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物等を用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、又は、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。
【0131】
絶縁体272は、導電体242上面と接する領域を有するように設けられており、バリア層としての機能を有することが好ましい。当該構成にすることで、導電体242による、絶縁体280が有する過剰酸素の吸収を抑制することができる。また、導電体242の酸化を抑制することで、トランジスタ200と配線とのコンタクト抵抗の増加を抑制することができる。よって、トランジスタ200に良好な電気特性及び信頼性を与えることができる。
【0132】
従って、絶縁体272は、酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。例えば、絶縁体272は、絶縁体280よりも酸素の拡散を抑制する機能を有することが好ましい。絶縁体272としては、例えば、アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。また、絶縁体272としては、例えば、窒化アルミニウムを含む絶縁体を用いればよい。
【0133】
図1Bに示すように、絶縁体272は、導電体242aの上面、及び導電体242aの側面と接する領域を有する。また、絶縁体272は、導電体242bの上面、及び導電体242bの側面と接する領域を有する。さらに、絶縁体272上に絶縁体273が配置されている。このようにすることで、例えば絶縁体280に添加された酸素が、導電体242に吸収されることを抑制することができる。
【0134】
絶縁体250は、ゲート絶縁体としての機能を有する。絶縁体250は、酸化物230cと接する領域を有するように配置することが好ましい。絶縁体250は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンを用いることができる。特に、酸化シリコン、及び酸化窒化シリコンは熱に対し安定であるため好ましい。
【0135】
絶縁体224と同様に、絶縁体250は、加熱により酸素が放出される絶縁体を用いて形成することが好ましい。加熱により酸素が放出される絶縁体を、絶縁体250として、酸化物230c上に接して設けることにより、酸化物230bのチャネル形成領域に効果的に酸素を供給することができる。また、絶縁体224と同様に、絶縁体250中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。絶縁体250の膜厚は、1nm以上20nm以下とするのが好ましい。
【0136】
また、絶縁体250と導電体260との間に金属酸化物を設けてもよい。当該金属酸化物は、絶縁体250から導電体260への酸素拡散を抑制する機能を有することが好ましい。酸素の拡散を抑制する機能を有する金属酸化物を設けることで、絶縁体250から導電体260への酸素の拡散が抑制される。つまり、絶縁体250から酸化物230へ供給する酸素量の減少を抑制することができる。また、絶縁体250の酸素による導電体260の酸化を抑制することができる。
【0137】
また、当該金属酸化物は、ゲート絶縁体の一部としての機能を有する場合がある。したがって、絶縁体250に酸化シリコンや酸化窒化シリコン等を用いる場合、当該金属酸化物は、比誘電率が高いhigh-k材料である金属酸化物を用いることが好ましい。ゲート絶縁体を、絶縁体250と当該金属酸化物との積層構造とすることで、熱に対して安定、かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。したがって、ゲート絶縁体の物理膜厚を保持したまま、トランジスタ動作時に印加するゲート電位の低減化が可能となる。また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の薄膜化が可能となる。
【0138】
具体的には、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、又は、マグネシウム等から選ばれた一種、又は二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。特に、アルミニウム、又はハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体である、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。
【0139】
又は、当該金属酸化物は、ゲートの一部としての機能を有する場合がある。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0140】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素及び酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素及び窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。又は、外方の絶縁体等から混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0141】
導電体260は、
図1B、及び
図2Aでは2層構造として示しているが、単層構造でもよいし、3層以上の積層構造であってもよい。
【0142】
導電体260aは、水素原子、水素分子、水分子、窒素原子、窒素分子、酸化窒素分子(N2O、NO、NO2等)、銅原子等の不純物の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。又は、酸素(例えば、酸素原子、酸素分子等の少なくとも一)の拡散を抑制する機能を有する導電性材料を用いることが好ましい。
【0143】
また、導電体260aが酸素の拡散を抑制する機能を有することにより、絶縁体250に含まれる酸素により、導電体260bが酸化して導電率が低下することを抑制することができる。酸素の拡散を抑制する機能を有する導電性材料としては、例えば、タンタル、窒化タンタル、ルテニウム、又は酸化ルテニウム等を用いることが好ましい。
【0144】
また、導電体260bは、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。また、導電体260bは、配線としても機能するため、導電性が高い導電体を用いることが好ましい。例えば、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることができる。また、導電体260bは積層構造としてもよく、例えば、チタン又は窒化チタンと上記導電性材料との積層構造としてもよい。
【0145】
絶縁体280は、例えば酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、又は空孔を有する酸化シリコン等を有することが好ましい。特に、酸化シリコン及び酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため好ましい。特に、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、空孔を有する酸化シリコン等の材料は、加熱により脱離する酸素を含む領域を容易に形成することができるため好ましい。また、絶縁体280は、上記の材料が積層された構造でもよく、例えば、スパッタリング法で成膜した酸化シリコンと、その上に積層されたCVD法で成膜された酸化窒化シリコンの積層構造とすればよい。また、さらに上に窒化シリコンを積層してもよい。
【0146】
絶縁体280中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。また、絶縁体280の上面は、平坦化されていてもよい。
【0147】
絶縁体280の上に、層間膜として機能する絶縁体274を設けることが好ましい。絶縁体274は、絶縁体224等と同様に、膜中の水又は水素等の不純物濃度が低減されていることが好ましい。
【0148】
導電体240、及び導電体244は、タングステン、銅、又はアルミニウムを主成分とする導電性材料を用いることが好ましい。なお、
図1Aで導電体240、及び導電体244は、上面視において四角形等の多角形の角部を丸めた形状としているが、これに限られるものではない。例えば導電体240、及び導電体244が、上面視において円形状、楕円等の略円形状、四角形等の多角形状になっていてもよい。
【0149】
<半導体装置の作製方法例1>
次に、
図1A及び
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示す、トランジスタ200、及び容量素子100を有する半導体装置の作製方法の一例を、図面を用いて説明する。当該図面は、
図1Aに示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向に対応する。
【0150】
まず、基板(図示しない)を準備し、当該基板上に絶縁体214を成膜する(
図3A参照)。絶縁体214の成膜は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、又はALD(Atomic Layer Deposition)法等を用いて行うことができる。
【0151】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法等に分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。また、成膜時の圧力によって、大気圧下で成膜を行なう常圧CVD(APCVD:Atmospheric Pressure CVD)法、大気圧より低い減圧状態で成膜を行う減圧CVD(LPCVD:Low Pressure CVD)法、に分けることができる。
【0152】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを小さくすることが可能な成膜方法である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子等)等は、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子等が破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0153】
また、ALD法としては、プリカーサ及びリアクタントの反応を熱エネルギーのみで行う熱ALD(Thermal ALD)法、プラズマ励起されたリアクタントを用いるPEALD(Plasma Enhanced ALD)法等を用いることができる。
【0154】
ALD法は、原子の性質である自己制御性を利用し、一層ずつ原子を堆積することができるため、極薄の成膜が可能、アスペクト比の高い構造への成膜が可能、ピンホール等の欠陥の少ない成膜が可能、被覆性に優れた成膜が可能、及び低温での成膜が可能、等の効果がある。PEALD法では、プラズマを利用することで、より低温での成膜が可能となり好ましい場合がある。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素等の不純物を含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素等の不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
【0155】
CVD法及びALD法は、ターゲット等から放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合等に好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法等の他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
【0156】
CVD法及びALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法及びALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法及びALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0157】
次に、絶縁体214上に絶縁体216_1を成膜する(
図3A参照)。絶縁体216_1の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。また、絶縁体216_1は、上述の水素原子が低減又は除去されたガスを用いた方法で成膜することが好ましい。これにより、絶縁体216_1の水素濃度を低減することができる。
【0158】
次に、絶縁体214に達する開口を絶縁体216_1に形成する。開口の形成はウェットエッチングを用いてもよいが、ドライエッチングを用いるほうが微細加工には好ましい。また、絶縁体214は、絶縁体216_1をエッチングして開口を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する絶縁体を選択することが好ましい。例えば、絶縁体214として窒化シリコン膜、酸化アルミニウム膜、又は酸化ハフニウム膜を用いる場合、開口を形成する絶縁体216_1には酸化シリコン膜又は酸化窒化シリコン膜を用いるとよい。
【0159】
開口の形成後に、導電体205a_1となる導電膜を成膜する。当該導電膜は、酸素の透過を抑制する機能を有する導電体を含むことが望ましい。例えば、窒化タンタル、窒化タングステン、窒化チタン等を用いることができる。又はタンタル、タングステン、チタン、モリブデン、アルミニウム、銅、モリブデンタングステン合金との積層膜とすることができる。導電体205a_1となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。
【0160】
導電体205a_1となる導電膜は、多層構造とすることができる。例えば、スパッタリング法によって窒化タンタルを成膜し、当該窒化タンタルの上に窒化チタンを積層することができる。このような金属窒化物を導電体205a_1に用いることにより、後述する導電体205b_1となる導電膜として銅等の拡散しやすい金属を用いても、当該金属が導電体205a_1から外に拡散することを防ぐことができる。
【0161】
次に、導電体205b_1となる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、メッキ法、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。導電体205b_1となる導電膜として、銅等の低抵抗導電性材料を用いることができる。
【0162】
次に、CMP処理(Chemical Mechanical Polishing)を行うことで、導電体205a_1となる導電膜、及び導電体205b_1となる導電膜の一部を除去し、絶縁体216_1を露出する。その結果、開口部のみに、導電体205a_1、及び導電体205b_1が残存する。これにより、上面が平坦な導電体205_1を形成することができる(
図3A参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体216_1の一部が除去される場合がある。
【0163】
なお、上記においては、導電体205_1を絶縁体216_1の開口に埋め込むように形成するが、本発明の一態様はこれに限らない。例えば、絶縁体214上に導電体205_1を形成し、導電体205_1上に絶縁体216_1を成膜した後、絶縁体216_1に対してCMP処理を行うことで、絶縁体216_1の一部を除去し、導電体205_1の表面を露出させてもよい。
【0164】
次に、導電体205_1上、及び絶縁体216_1上に絶縁体222_1を成膜する(
図3A参照)。絶縁体222_1として、アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体を成膜するとよい。なお、アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等を用いることが好ましい。アルミニウム及びハフニウムの一方又は双方の酸化物を含む絶縁体は、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する。絶縁体222_1が、水素及び水に対するバリア性を有することで、トランジスタ200の周辺に設けられた構造体に含まれる水素、及び水が、絶縁体222_1を通じてトランジスタ200の内側へ拡散することが抑制され、酸化物230a_1中、酸化物230b_1中、及び酸化物230c_1中の酸素欠損の生成を抑制することができる。
【0165】
絶縁体222_1の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。
【0166】
次に、絶縁体222_1上に絶縁体224_1を成膜する。絶縁体224_1の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。例えば、絶縁体224_1として、酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを用いることができる。また、絶縁体224_1は、上述の水素原子が低減又は除去されたガスを用いた方法で成膜することが好ましい。これにより、絶縁体224_1の水素濃度を低減することができる。絶縁体224_1は、後の工程で酸化物230a_1と接する領域を有するため、このように水素濃度が低減されていることが好適である。
【0167】
続いて、加熱処理を行うことが好ましい。加熱処理は、250℃以上650℃以下、好ましくは300℃以上500℃以下、さらに好ましくは320℃以上450℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素又は不活性ガス雰囲気、又は酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。又は、窒素又は不活性ガス雰囲気で加熱処理した後に、脱離した酸素を補うために酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、又は10%以上含む雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0168】
例えば、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行った後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行うことができる。加熱処理によって、絶縁体224に含まれる水、水素等の不純物を除去することができる。
【0169】
また、加熱処理は、絶縁体222_1の成膜後、且つ絶縁体224_1の成膜前に行ってもよい。当該加熱処理は、上述した加熱処理条件を用いることができる。
【0170】
ここで、絶縁体224_1に過剰酸素領域を形成するために、減圧状態で酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。酸素を含むプラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する装置を用いることが好ましい。又は、基板側にRF等の高周波を印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができ、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素ラジカルを効率よく絶縁体224_1内に導くことができる。又は、この装置を用いて不活性ガスを含むプラズマ処理を行った後に、脱離した酸素を補うために酸素を含むプラズマ処理を行ってもよい。なお、当該プラズマ処理の条件を適宜選択することにより、絶縁体224_1に含まれる水、水素等の不純物を除去することができる。その場合、加熱処理は行わなくてもよい。
【0171】
ここで、絶縁体224_1上に、例えばスパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウムを絶縁体224_1に達するまで、CMPを行ってもよい。当該CMPを行うことで絶縁体224_1表面の平坦化及び平滑化を行うことができる。当該酸化アルミニウムを絶縁体224_1上に配置してCMPを行うことで、CMPの終点検出が容易となる。また、CMPによって、絶縁体224_1の一部が研磨されて、絶縁体224_1の膜厚が薄くなることがあるが、絶縁体224_1の成膜時に膜厚を調整すればよい。絶縁体224_1表面の平坦化及び平滑化を行うことで、後に成膜する酸化物の被覆率の悪化を防止し、半導体装置の歩留りの低下を防ぐことができる場合がある。また、絶縁体224_1上に、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜すると、絶縁体224_1に酸素を添加することができるため好ましい。
【0172】
次に、絶縁体224_1上に、酸化膜230A_1、及び酸化膜230B_1を順に成膜する(
図3B参照)。なお、上記酸化膜は、大気環境にさらさずに連続して成膜することが好ましい。大気開放せずに成膜することで、酸化膜230A_1、及び酸化膜230B_1上に大気環境からの不純物又は水分が付着することを防ぐことができる。これにより、酸化膜230A_1と酸化膜230B_1との界面近傍を清浄に保つことができる。
【0173】
酸化膜230A_1、及び酸化膜230B_1の成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。
【0174】
例えば、酸化膜230A_1、及び酸化膜230B_1をスパッタリング法によって成膜する場合は、スパッタリングガスとして酸素、又は酸素と希ガスの混合ガスを用いる。スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を高めることで、成膜される酸化膜中の過剰酸素を増やすことができる。
【0175】
特に、酸化膜230A_1の成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体224_1に供給される場合がある。したがって、酸化膜230A_1のスパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
【0176】
また、酸化膜230B_1をスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を1%以上30%以下、好ましくは5%以上20%以下として成膜すると、酸素欠乏型の酸化物半導体が形成される。酸素欠乏型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い電界効果移動度が得られる。また、基板を加熱しながら成膜を行うことによって、当該酸化膜の結晶性を向上させることができる。ただし、本発明の一態様はこれに限定されない。酸化膜230B_1をスパッタリング法で形成する場合、スパッタリングガスに含まれる酸素の割合を、30%を超えて100%以下、好ましくは70%以上100%以下として成膜すると、酸素過剰型の酸化物半導体が形成される。酸素過剰型の酸化物半導体をチャネル形成領域に用いたトランジスタは、比較的高い信頼性が得られる。
【0177】
例えば、酸化膜230A_1は、In:Ga:Zn=1:1:0.5[原子数比]、2:2:1[原子数比]、あるいは1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて、スパッタリング法により成膜する。また、酸化膜230Bは、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]、あるいは1:1:1[原子数比]のターゲットを用いてスパッタリング法により成膜する。なお、各酸化膜は、成膜条件、及び原子数比を適宜選択することで、酸化物230に求める特性に合わせて形成するとよい。
【0178】
次に、加熱処理を行ってもよい。加熱処理の条件として、上述した条件を用いることができる。加熱処理によって、酸化膜230A_1、及び酸化膜230B_1に含まれる水、水素等の不純物の除去等ができる。例えば、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行った後に、連続して酸素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行うことができる。
【0179】
次に、酸化膜230B_1上に導電膜242Aa_1を成膜する(
図3B参照)。導電膜242Aa_1の成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。
【0180】
次に、酸化膜230A_1、酸化膜230B_1、及び導電膜242Aa_1を島状に加工する。これにより、導電体242A_1、酸化物230a_1、及び酸化物230b_1が形成される(
図3C参照)。例えば、導電膜242Aa_1をリソグラフィー法により加工して導電体242A_1を形成した後、導電体242A_1をハードマスクとして酸化膜230A_1、及び酸化膜230B_1を加工する。ここで、酸化物230a_1、酸化物230b_1、及び導電体242A_1は、少なくとも一部が導電体205_1と重なるように形成する。また、酸化物230a_1、酸化物230b_1、及び導電体242A_1は、少なくとも導電体205_1と重ならない領域を有するように形成する。また、当該加工はドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。
【0181】
また、酸化物230a_1、酸化物230b_1、及び導電体242A_1の側面は、絶縁体222_1の上面に対し、概略垂直であることが好ましい。酸化物230a_1、酸化物230b_1、及び導電体242A_1の側面が、絶縁体222_1の上面に対し概略垂直であることで、複数のトランジスタ200、及び容量素子100を設ける際に小面積化、高密度化が可能となる。ただし、これに限られず、酸化物230a_1、酸化物230b_1、及び導電体242A_1の側面と絶縁体222の上面のなす角が低い角度になる構成にしてもよい。
【0182】
なお、リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去又は残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体又は絶縁体等を所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光等を用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、マスクは不要となる。なお、レジストマスクの除去は、アッシング等のドライエッチング処理、ウェットエッチング処理、ドライエッチング処理後のウェットエッチング処理、又はウェットエッチング処理後のドライエッチング処理により行うことができる。
【0183】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。又は平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。又は平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。又は平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。又は高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置等を用いることができる。
【0184】
なお、導電膜242Aa_1をリソグラフィー法により加工して導電体242A_1を形成した後、導電体242A_1をハードマスクとして酸化膜230A_1、及び酸化膜230B_1を加工する場合、導電膜242Aa_1を加工する際に形成したレジストマスクは、酸化膜230A_1、及び酸化膜230B_1の加工前に除去してもよいし、加工後に除去してもよい。
【0185】
次に、リソグラフィー法等を用いて、酸化物230a_1の一部、酸化物230b_1の一部、及び導電体242A_1の一部を加工し、絶縁体224に達する開口231_1を形成する(
図3C参照)。当該開口は、導電体205_1と重ならないように形成することが好ましい。
【0186】
次に、開口231_1の内壁に接するように、絶縁体224_1上、及び導電体242A_1上に絶縁体272_1を成膜する(
図3D参照)。絶縁体272_1の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。例えば、絶縁体272_1として、スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜することができる。スパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜することで、絶縁体224_1へ酸素を注入することができる。
【0187】
次に、絶縁体272_1上に絶縁体273_1を成膜する。絶縁体273_1の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法又はALD法等を用いて行うことができる。例えば、絶縁体273_1として、ALD法によって酸化アルミニウムを成膜することができる(
図3D参照)。
【0188】
次に、絶縁体280_1を成膜する。絶縁体280_1の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。例えば、絶縁体280_1として、スパッタリング法を用いて酸化シリコン膜を成膜し、その上にPEALD法又はサーマルALD法を用いて酸化シリコン膜を成膜すればよい。また、絶縁体280_1は、上述の水素原子が低減又は除去されたガスを用いた方法で成膜することが好ましい。これにより、絶縁体280_1の水素濃度を低減することができる。
【0189】
次に、絶縁体280_1にCMP処理を行い、上面が平坦な絶縁体280_1を形成する(
図3D参照)。なお、絶縁体280_1上に例えばスパッタリング法によって酸化アルミニウムを成膜し、当該酸化アルミニウムに対して、絶縁体280_1に達するまでCMP処理を行ってもよい。
【0190】
次に、絶縁体280_1の一部、絶縁体273_1の一部、絶縁体272_1の一部、及び導電体242A_1の一部を加工して、酸化物230b_1に達する開口232_1を形成する(
図3E参照)。開口232_1は、導電体205と重なる領域を有するように形成することが好ましい。開口232_1の形成によって、導電体242a_1、及び導電体242b_1が形成される。
【0191】
絶縁体280_1の一部、絶縁体273_1の一部、絶縁体272_1の一部、及び導電体242A_1の一部の加工は、ドライエッチング法、又はウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。また、当該加工は、それぞれ異なる条件で行ってもよい。例えば、絶縁体280_1の一部をドライエッチング法で加工し、絶縁体273_1の一部をウェットエッチング法で加工し、絶縁体272_1の一部をドライエッチング法で加工し、導電体242A_1の一部をドライエッチング法で加工してもよい。
【0192】
これまでのドライエッチング等の加工によって、エッチングガス等に起因した不純物が酸化物230a_1、及び酸化物230b_1等の表面又は内部に付着又は拡散することがある。不純物としては、例えば、フッ素又は塩素等がある。
【0193】
上記の不純物等を除去するために、洗浄を行う。洗浄方法としては、洗浄液等用いたウェット洗浄、プラズマを用いたプラズマ処理、又は加熱処理による洗浄等があり、上記洗浄を適宜組み合わせて行ってもよい。
【0194】
ウェット洗浄としては、シュウ酸、リン酸、アンモニア水、又はフッ化水素酸等を炭酸水又は純水で希釈した水溶液を用いて洗浄処理を行ってもよい。又は、純水又は炭酸水を用いた超音波洗浄を行ってもよい。
【0195】
これまでのドライエッチング等の加工、又は上述の洗浄処理によって、酸化物230b_1の、導電体242a_1及び導電体242b_1と重ならない領域の膜厚が、重なる領域の膜厚より薄くなることがある(
図3E参照)。
【0196】
上記エッチング後、又は上記洗浄後に加熱処理を行ってもよい。加熱処理は、例えば、100℃以上450℃以下、より好ましくは350℃以上400℃以下で行えばよい。なお、加熱処理は、窒素ガスもしくは不活性ガスの雰囲気、又は酸化性ガスを10ppm以上、1%以上、もしくは10%以上含む雰囲気で行う。例えば、加熱処理は酸素雰囲気で行うことが好ましい。これにより、酸化物230a_1、及び酸化物230b_1に酸素を供給して、酸素欠損VOの低減を図ることができる。また、加熱処理は減圧状態で行ってもよい。又は、酸素雰囲気で加熱処理した後に、大気に露出せずに連続して窒素雰囲気で加熱処理を行ってもよい。
【0197】
次に、酸化物230c_1となる酸化膜を成膜する。当該酸化膜の成膜前に加熱処理を行ってもよい。当該加熱処理は、減圧下で行うことが好ましい。当該加熱処理の後に、酸化物230c_1となる酸化膜を、大気に暴露することなく連続して成膜することが好ましい。また、当該加熱処理は、酸素を含む雰囲気で行うことが好ましい。このような処理を行うことによって、酸化物230b_1の表面等に吸着している水分及び水素を除去し、さらに酸化物230a_1中、及び酸化物230b_1中の水分濃度及び水素濃度を低減させることができる。加熱処理の温度は、100℃以上400℃以下が好ましく、さらに好ましくは150℃以上350℃以下である。
【0198】
酸化物230c_1となる酸化膜の成膜はスパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。当該酸化膜は、例えばIn:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲット、In:Ga:Zn=5:1:3[原子数比]のターゲット、In:Ga:Zn=10:1:3[原子数比]のターゲット、又はIn:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲット、酸化インジウムのターゲットを用いて、スパッタリング法により成膜することができる。酸化物230c_1となる酸化膜として、インジウムの比率の高いターゲットを用いることで、トランジスタ200のオン電流、又は電界効果移動度等を高めることができる。
【0199】
なお、酸化物230c_1となる酸化膜は、積層構造としてもよい。例えば、スパッタリング法によって、In:Ga:Zn=4:2:4.1[原子数比]のターゲットを用いて成膜して、連続してIn:Ga:Zn=1:3:4[原子数比]のターゲットを用いて成膜してもよい。
【0200】
酸化物230c_1となる酸化膜の成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が酸化物230a_1、及び酸化物230b_1に供給される場合がある。又は、酸化物230c_1となる酸化膜の成膜時に、スパッタリングガスに含まれる酸素の一部が絶縁体280_1に供給される場合がある。したがって、当該スパッタリングガスに含まれる酸素の割合は70%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは100%とすればよい。
【0201】
次に、加熱処理を行ってもよい。当該加熱処理を行うことによって、酸化物230c_1となる酸化膜の表面等に吸着している水分及び水素を除去し、さらに酸化物230a_1中、酸化物230b_1中、及び酸化物230c_1となる酸化膜中の水分濃度及び水素濃度を低減させることができる。加熱処理の温度は、100℃以上400℃以下が好ましい。本実施の形態では、加熱処理の温度を200℃とする。
【0202】
次に、酸化物230c_1となる酸化膜上に、絶縁体250_1となる絶縁膜を成膜する。当該絶縁膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて成膜することができる。また、絶縁体250_1となる絶縁膜は、上述の水素原子が低減又は除去されたガスを用いた方法で成膜することが好ましい。これにより、絶縁体250_1となる絶縁膜の水素濃度を低減することができる。なお、酸化物230c_1となる酸化膜の成膜後に加熱処理を減圧下で行い、大気に暴露することなく、連続して、絶縁体250_1となる絶縁膜を成膜してもよい。
【0203】
次に、マイクロ波、又はRF等の高周波を照射してもよい。照射されたマイクロ波、又はRF等の高周波は、絶縁体280_1、酸化物230b_1、及び酸化物230a_1に浸透して、これらの中の水素を除去する。特に、酸化物230a_1、及び酸化物230b_1においては、VoHの結合が切断される反応が起きて、別言すると「VOH→Vo+H」という反応が起きて、脱水素化されることになる。このとき発生した水素の一部は、酸素と結合してH2Oとして、酸化物230a_1、酸化物230b_1、及び絶縁体280_1から除去される場合がある。また、水素の一部は、導電体242a_1、及び導電体242b_1にゲッタリングされる場合がある。このように、マイクロ波、又はRF等の高周波を照射することで、絶縁体280_1中、酸化物230b_1中、及び酸化物230a_1中の水素濃度を低減することができる。
【0204】
また、マイクロ波、又はRF等の高周波によって酸素ガスをプラズマ化し、酸素ラジカルを形成してもよい。つまり、絶縁体280_1、酸化物230b_1、及び酸化物230a_1に対して、酸素を含む雰囲気でプラズマ処理を行ってもよい。以下では、このような処理を酸素プラズマ処理という場合がある。また、形成した酸素ラジカルによって、絶縁体280_1中、酸化物230b_1中、及び酸化物230a_1中に酸素を供給することができる。また、絶縁体280_1、酸化物230b_1、及び酸化物230a_1に対して、酸素を含む雰囲気でプラズマ処理を行う場合、酸化物230b_1中、及び酸化物230a_1中にマイクロ波、又はRF等の高周波が照射されにくい構成にしてもよい。
【0205】
なお、酸素プラズマ処理は、例えばマイクロ波を用いた高密度プラズマを発生させる電源を有する、マイクロ波処理装置を用いることが好ましい。また、マイクロ波処理装置は基板側にRFを印加する電源を有してもよい。高密度プラズマを用いることより、高密度の酸素ラジカルを生成することができる。また、基板側にRFを印加することで、高密度プラズマによって生成された酸素イオンを、効率よく絶縁体280_1中、酸化物230b_1中、及び酸化物230a_1中に導くことができる。また、上記酸素プラズマ処理は、減圧下で行うことが好ましく、圧力を60Pa以上、好ましくは133Pa以上、より好ましくは200Pa以上、さらに好ましくは400Pa以上とすればよい。また、酸素流量比(O2/O2+Ar)が50%以下、好ましくは10%以上30%以下で行うとよい。また、処理温度は、例えば400℃程度とすればよい。また、酸素プラズマ処理を行った後に、外気に曝すことなく、連続して熱処理を行ってもよい。
【0206】
次に、導電体260a_1となる導電膜、及び導電体260b_1となる導電膜を成膜する。導電体260a_1となる導電膜、導電体260b_1となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。例えば、ALD法を用いて導電体260a_1となる導電膜を成膜し、CVD法を用いて導電体260b_1となる導電膜を成膜する。
【0207】
次に、CMP処理によって、酸化物230c_1となる酸化膜、絶縁体250_1となる絶縁膜、導電体260a_1となる導電膜、及び導電体260b_1となる導電膜を、絶縁体280が露出するまで研磨することによって、開口232_1の内側に酸化物230c_1、絶縁体250_1及び導電体260_1(導電体260a_1、及び導電体260b_1)を形成する(
図4A参照)。
【0208】
その後、加熱処理を行ってもよい。例えば、窒素雰囲気にて400℃の温度で1時間の処理を行う。当該加熱処理によって、絶縁体250_1中、及び絶縁体280_1中の水分濃度、及び水素濃度を低減させることができる。
【0209】
次に、導電体260_1上、酸化物230c_1上、絶縁体250_1上、及び絶縁体280_1上に、絶縁体274_1を成膜する(
図4B参照)。絶縁体274_1となる絶縁膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。また、絶縁体274_1は、上述の水素原子が低減又は除去されたガスを用いた方法で成膜することが好ましい。これにより、絶縁体274_1の水素濃度を低減することができる。なお、導電体260_1の形成後に加熱処理を行い、当該加熱処理後、大気に曝すことなく連続して絶縁体274_1の成膜を行ってもよい。
【0210】
次に、開口231_1と重なる領域を有するように、絶縁体214に達する開口233_1を、絶縁体274_1、絶縁体280_1、絶縁体273_1、絶縁体272_1、絶縁体224_1、絶縁体222_1、及び絶縁体216_1に形成する。また、導電体242b_1に達する開口234_1を、絶縁体274_1、絶縁体280_1、絶縁体273_1、及び絶縁体272_1に形成する(
図4C参照)。開口233_1及び開口234_1の形成は、リソグラフィー法等を用いて行えばよい。
【0211】
本発明の一態様の半導体装置では、絶縁体280_1の成膜前に開口231_1を形成し、絶縁体280_1及び絶縁体274_1の形成後に、開口231_1と重なる領域を有するように開口233_1を形成する。これにより、開口233_1を形成する際に、酸化物230a_1、酸化物230b_1、及び導電体242a_1をエッチングする必要がなくなる。つまり、絶縁体274_1の形成後、絶縁体のみのエッチングで開口233_1を形成することができる。これにより、絶縁体274_1の形成後、一のエッチング条件で開口231_1を形成することができる。よって、本発明の一態様の半導体装置の作製工程を簡略化することができる。したがって、本発明の一態様の半導体装置の製造コストを低減し、歩止まりを向上させることができる。つまり、本発明の一態様の半導体装置の生産性を向上させることができる。
【0212】
次に、導電体244_1及び導電体240_1となる導電膜を成膜する。当該導電膜は、水、水素等不純物の透過を抑制する機能を有する導電体を含む積層構造とすることが望ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン等と、タングステン、モリブデン、銅等、と、の積層とすることができる。導電体244_1及び導電体240_1となる導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法又はALD法等を用いて行うことができる。
【0213】
次に、CMP処理を行うことで、導電体244_1及び導電体240_1となる導電膜の一部を除去し、絶縁体274_1の上面を露出する。その結果、開口のみに当該導電膜が残存する。これにより、開口233_1の内側に導電体244_1が形成され、開口234_1の内側に導電体240_1が形成される(
図5A参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体274_1の上面の一部が除去される場合がある。
【0214】
次に、導電体240_1上、導電体244_1上、及び絶縁体274_1上に絶縁体282_1を成膜する(
図5B参照)。絶縁体282_1の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。
【0215】
次に、絶縁体282_1上に絶縁体216_2を成膜する(
図5C参照)。絶縁体216_2は、絶縁体216_1と同様の方法で成膜することができる。
【0216】
次に、絶縁体282_1に達する開口を、絶縁体216_2に2個形成する。一方の開口は、導電体205_1と重なる領域を有するように形成することができ、他方の開口は、導電体240_1と重なる領域を有するように形成することができる。なお、上記一方の開口は、導電体205_1と重なる領域を有していなくてもよい。これらの開口は、導電体205_1が設けられる開口と同様の方法で形成することができる。
【0217】
ここで、絶縁体282_1は、絶縁体216_2をエッチングして開口を形成する際のエッチングストッパ膜として機能する絶縁体を選択することが好ましい。例えば、絶縁体282_1として酸化アルミニウム膜、又は酸化ハフニウム膜を用いる場合、開口を形成する絶縁体216_2には酸化シリコン膜、又は酸化窒化シリコン膜を用いるとよい。
【0218】
開口の形成後に、導電体204a_1及び導電体205a_2となる導電膜を成膜する。当該導電膜は、導電体205a_1となる導電膜と同様の方法、及び材料で成膜することができる。
【0219】
開口の形成後に、導電体204b_1及び導電体205b_2となる導電膜を成膜する。当該導電膜は、導電体205b_1となる導電膜と同様の方法、及び材料で成膜することができる。
【0220】
次に、CMP処理を行うことで、導電体204_1及び導電体205_2となる導電膜の除去し、絶縁体216_2を露出する。その結果、開口部のみに上記導電膜が残存する。これにより、上面が平坦な導電体204_1、及び導電体205_2を形成することができる(
図5C参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体216_2の一部が除去される場合がある。
【0221】
なお、上記においては、導電体204_1及び導電体205_2を、絶縁体216_2の開口に埋め込むように形成するが、本発明の一態様はこれに限らない。例えば、絶縁体282_1上に導電体204_1及び導電体205_2を形成し、導電体204_1上、及び導電体205_2上に絶縁体216_2を成膜した後、絶縁体216_2に対してCMP処理を行うことで、絶縁体216_2の一部を除去し、導電体204_1の表面、及び導電体205_2の表面を露出させてもよい。
【0222】
以上のように、本発明の一態様の半導体装置の作製方法では、導電体204と導電体205を同一工程で形成することができる。これにより、本発明の一態様の半導体装置の作製工程を簡略化することができる。よって、本発明の一態様の半導体装置の製造コストを低減し、歩止まりを向上させることができる。つまり、本発明の一態様の半導体装置の生産性を向上させることができる。
【0223】
次に、導電体204_1上、導電体205_2上、及び絶縁体216_2上に絶縁体222_2を成膜する(
図6A参照)。絶縁体222_2は、絶縁体222_1と同様の方法、及び材料で成膜することができる。
【0224】
次に、絶縁体224_2を絶縁体224_1と同様の方法で形成し、酸化物230a_2を酸化物230a_1と同様の方法で形成し、酸化物230b_2を酸化物230b_1と同様の方法で形成する。また、開口231_2を開口231_1と同様の方法で形成し、絶縁体272_2を絶縁体272_1と同様の方法で形成し、絶縁体273_2を絶縁体273_1と同様の方法で形成し、絶縁体280_2を絶縁体280_1と同様の方法で形成する。さらに、導電体242a_2を導電体242a_1と同様の方法で形成し、導電体242b_2を導電体242b_1と同様の方法で形成し、酸化物230c_2を酸化物230c_1と同様の方法で形成し、絶縁体250_2を絶縁体250_1と同様の方法で形成し、導電体260_2を導電体260_1と同様の方法で形成し、絶縁体274_2を絶縁体274_1と同様の方法で形成する(
図6A参照)。
【0225】
次に、開口231_2と重なる領域を有するように、導電体244_1に達する開口233_2を、絶縁体274_2、絶縁体280_2、絶縁体273_2、絶縁体272_2、絶縁体224_2、絶縁体222_2、絶縁体216_2、及び絶縁体282_2に形成する。また、導電体242b_2に達する開口234_2を、絶縁体274_2、絶縁体280_2、絶縁体273_2、及び絶縁体272_2に形成する(
図6B参照)。開口233_2及び開口234_2の形成は、リソグラフィー法等を用いて行えばよい。
【0226】
本発明の一態様の半導体装置では、絶縁体280_2の成膜前に開口231_2を形成し、絶縁体280_2及び絶縁体274_2の形成後に、開口231_2と重なる領域を有するように開口233_2を形成する。これにより、開口233_2を形成する際に、酸化物230a_2、酸化物230b_2、及び導電体242a_2をエッチングする必要がなくなる。つまり、絶縁体274_2の形成後、絶縁体のみのエッチングで開口233_2を形成することができる。これにより、絶縁体274_2の形成後、一のエッチング条件で開口233_2を形成することができる。よって、本発明の一態様の半導体装置の作製工程を簡略化することができる。したがって、本発明の一態様の半導体装置の製造コストを低減し、歩止まりを向上させることができる。つまり、本発明の一態様の半導体装置の生産性を向上させることができる。
【0227】
次に、導電体244_2及び導電体240_2を導電体244_1及び導電体240_1と同様の方法で形成し、絶縁体282_2を絶縁体282_1と同様の方法で形成し、絶縁体216_3を絶縁体216_2と同様の方法で形成し、導電体204_2を導電体204_1と同様の方法で形成し、導電体205_3を導電体205_2と同様の方法で形成し、絶縁体222_3を絶縁体222_2と同様の方法で形成する(
図7参照)。
【0228】
以上により、
図1A及び
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示す、トランジスタ200、及び容量素子100を有する半導体装置を作製することができる。
【0229】
<半導体装置の構成例2>
図8Aは、トランジスタ200、及び容量素子100を有する半導体装置の構成例を示す上面図である。また、
図8B、並びに
図9A及び
図9Bは、当該半導体装置の構成例を示す断面図である。ここで、
図8B、並びに
図9A及び
図9Bは、当該半導体装置の構成例を示す断面図である。ここで、
図8Bは、
図8AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図、及び容量素子100の、当該チャネル長方向と平行な方向の断面図である。また、
図9Aは、
図8AにA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図である。また、
図9Bは、
図8AにA5-A6の一点鎖線で示す部位の断面図であり、容量素子100の、トランジスタ200のチャネル幅方向と平行な方向の断面図である。
【0230】
図8A及び
図8B、並びに
図9A及び
図9B等、本実施の形態に示す構成の半導体装置において、
図1A及び
図1Bに示した半導体装置を構成する構造と同機能を有する構造には、同符号を付記する。なお、本実施の形態に示すトランジスタ200、及び容量素子100の構成材料については<半導体装置の構成例>で詳細に説明した材料を用いることができる。
【0231】
図8A及び
図8B、並びに
図9A及び
図9Bに示す構成の半導体装置は、
図1A及び
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示す構成の半導体装置の変形例であり、絶縁体282及び導電体204が導電体240の側面の一部を覆う構成である点が、
図1A及び
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示す構成の半導体装置と異なる。本発明の一態様の半導体装置を
図8A及び
図8B、並びに
図9A及び
図9Bに示す構成とすることで、容量素子100の一方の電極としての機能を有する導電体240と、容量素子100の他方の電極としての機能を有する導電体204が、容量素子100の誘電体としての機能を有する絶縁体282を介して重なる面積を、上面視の面積よりも大きくすることができる。つまり、上面視における一方の電極と、他方の電極との重なる面積を増やさずに容量素子100の容量を増やすことができるため、容量素子100を微細化することができる。
【0232】
<半導体装置の作製方法例2>
次に、
図8A及び
図8B、並びに
図9A及び
図9Bに示す、トランジスタ200、及び容量素子100を有する半導体装置の作製方法の一例を、図面を用いて説明する。当該図面は、
図8Aに示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向に対応する。
【0233】
まず、
図3A乃至
図3E、及び
図4Aに示す方法と同様の方法により、絶縁体214、導電体205_1、絶縁体216_1、絶縁体222_1、絶縁体224_1、酸化物230a_1、酸化物230b_1、開口231_1、絶縁体272_1、絶縁体273_1、絶縁体280_1、酸化物230c_1、導電体242a_1、導電体242b_1、絶縁体250_1、及び導電体260_1を形成する(
図10A参照)。
【0234】
次に、
図4Bに示す方法と同様の方法により、絶縁体274_1を形成する。その後、絶縁体274_1上に絶縁体275_1を形成する(
図10B参照)。次に、開口231_1と重なる領域を有するように、絶縁体214に達する開口を、絶縁体275_1、絶縁体274_1、絶縁体280_1、絶縁体273_1、絶縁体272_1、絶縁体224_1、絶縁体222_1、及び絶縁体216_1に形成する。また、導電体242b_1に達する開口を、絶縁体275_1、絶縁体274_1、絶縁体280_1、絶縁体273_1、及び絶縁体272_1に形成する。これらの開口の形成は、リソグラフィー法等を用いて行えばよい。
【0235】
次に、導電体244_1及び導電体240_1となる導電膜を成膜する。当該導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法又はALD法等を用いて行うことができる。
【0236】
その後、CMP処理を行うことで、導電体244_1及び導電体240_1となる導電膜の一部を除去し、絶縁体275_1の上面を露出する。その結果、開口のみに当該導電膜が残存する。これにより、導電体244_1及び導電体240_1が形成される(
図10C参照)。なお、当該CMP処理により、絶縁体275_1の上面の一部が除去される場合がある。
【0237】
次に、絶縁体275_1を例えばエッチング、例えばウェットエッチングにより除去する(
図11A参照)。これにより、導電体244_1の側面の一部、及び導電体240_1の側面の一部が露出する。絶縁体275_1の除去方法をウェットエッチングとすることにより、絶縁体275_1と絶縁体274_1のエッチング選択性を高め、絶縁体275_1をエッチングする際に絶縁体274_1がエッチングされることを抑制することができる。
【0238】
その後、
図5B及び
図5Cに示す方法と同様の方法により、絶縁体282_1、並びに導電体204_1及び導電体205_2を形成する(
図11B参照)。
【0239】
次に、
図10A乃至
図10Cに示す方法と同様の方法により、絶縁体222_2、絶縁体224_2、酸化物230a_2、酸化物230b_2、導電体242a_2、導電体242b_2、絶縁体272_2、絶縁体273_2、絶縁体280_2、酸化物230c_2、絶縁体250_2、導電体260_2、絶縁体274_2、絶縁体275_2、導電体244_2、及び導電体240_2を形成する(
図12A参照)。その後、
図11A及び
図11Bに示す方法と同様の方法により、絶縁体275_2を除去し、絶縁体282_2、絶縁体216_3、導電体204_2、導電体205_3、及び絶縁体222_3を形成する(
図12B参照)。
【0240】
以上により、
図8A及び
図8B、並びに
図9A及び
図9Bに示す、トランジスタ200、及び容量素子100を有する半導体装置を作製することができる。
【0241】
<半導体装置の構成例3>
図13Aは、トランジスタ200、及び容量素子100を有する半導体装置の構成例を示す上面図である。また、
図13B、並びに
図14A及び
図14Bは、当該半導体装置の構成例を示す断面図である。ここで、
図13Bは、
図13AにA1-A2の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向の断面図、及び容量素子100の、当該チャネル長方向と平行な方向の断面図である。また、
図14Aは、
図13AにA3-A4の一点鎖線で示す部位の断面図であり、トランジスタ200のチャネル幅方向の断面図である。また、
図14Bは、
図13AにA5-A6の一点鎖線で示す部位の断面図であり、容量素子100の、トランジスタ200のチャネル幅方向と平行な方向の断面図である。
【0242】
図13A及び
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示す構成の半導体装置は、
図1A及び
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示す構成の半導体装置と同様に、基板(図示せず)上の絶縁体214と、絶縁体214上のトランジスタ200_1と、トランジスタ200_1上の絶縁体280_1と、絶縁体280_1上の絶縁体274_1と、を有する。また、トランジスタ200_1と重なる領域を有するように容量素子100_1、及びトランジスタ200_2が設けられる。さらに、トランジスタ200_2上の絶縁体280_2と、絶縁体280_2上の絶縁体274_2と、を有する。また、トランジスタ200_2と重なる領域を有するように容量素子100_2が設けられる。
【0243】
図13A及び
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示す構成のトランジスタ200_1は、絶縁体214上の絶縁体216_1と、絶縁体216_1と接する領域を有する導電体207_1と、絶縁体216_1上、及び導電体207_1上の絶縁体222_1と、絶縁体222_1上の絶縁体224_1と、絶縁体224_1上の酸化物230a_1と、酸化物230a_1上の酸化物230b_1と、酸化物230b_1上の導電体242a_1、及び導電体242b_1と、絶縁体224_1の上面、酸化物230a_1の側面、酸化物230b_1の側面、並びに導電体242a_1及び導電体242b_1の上面及び側面と接する領域を有する絶縁体272_1と、絶縁体272_1上の絶縁体273_1と、酸化物230b_1上の酸化物230c_1と、酸化物230c_1上の絶縁体250_1と、絶縁体250_1上に位置し、酸化物230c_1と重なる領域を有する導電体260_1(導電体260a_1、及び導電体260b_1)と、を有する。ここで、
図1A及び
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示す構成のトランジスタ200_1と同様に、酸化物230c_1は、導電体242a_1及び導電体242b_1の側面、絶縁体272_1の側面、絶縁体273_1の側面、並びに絶縁体280_1の側面と接する領域を有する。また、導電体260a_1は、導電体260b_1の底面及び側面を包むように配置される。さらに、酸化物230c_1の上面、絶縁体250_1の上面、導電体260_1の上面は、絶縁体280_1の上面と略一致して配置される。
【0244】
容量素子100_1は、導電体247_1と、導電体247_1上、及び絶縁体274_1上の絶縁体285_1と、絶縁体285_1上の導電体206_1と、を有する。
【0245】
絶縁体274_1、絶縁体280_1、絶縁体273_1、及び絶縁体272_1には、導電体242b_1に達する開口が設けられ、当該開口には導電体247_1、絶縁体285_1、及び導電体206_1が設けられる。また、絶縁体274_1、絶縁体280_1、絶縁体273_1、絶縁体272_1、導電体242a_1、酸化物230b_1、酸化物230a_1、絶縁体224_1、絶縁体222_1、及び絶縁体216_1には、絶縁体214に達する開口が設けられ、当該開口には導電体248_1が設けられる。ここで、導電体247_1の上面の高さ、及び導電体248_1の上面の高さと、絶縁体274_1の上面の高さは同一とすることができる。
【0246】
図13A及び
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示す構成のトランジスタ200_2は、絶縁体274_1上の絶縁体216_2と、絶縁体216_2と接する領域を有する導電体207_2と、絶縁体216_2上、導電体206_1上、及び導電体207_2上の絶縁体222_2と、絶縁体222_2上の絶縁体224_2と、絶縁体224_2上の酸化物230a_2と、酸化物230a_2上の酸化物230b_2と、酸化物230b_2上の導電体242a_2、及び導電体242b_2と、絶縁体224_2の上面、酸化物230a_2の側面、酸化物230b_2の側面、並びに導電体242a_2及び導電体242b_2の上面及び側面と接する領域を有する絶縁体272_2と、絶縁体272_2上の絶縁体273_2と、酸化物230b_2上の酸化物230c_2と、酸化物230c_2上の絶縁体250_2と、絶縁体250_2上に位置し、酸化物230c_2と重なる領域を有する導電体260_2(導電体260a_2、及び導電体260b_2)と、を有する。ここで、
図1A及び
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示す構成のトランジスタ200_2と同様に、酸化物230c_2は、導電体242a_2及び導電体242b_2の側面、絶縁体272_2の側面、絶縁体273_2の側面、並びに絶縁体280_2の側面と接する領域を有する。また、導電体260a_2は、導電体260b_2の底面及び側面を包むように配置される。さらに、酸化物230c_2の上面、絶縁体250_2の上面、導電体260_2の上面は、絶縁体280_2の上面と略一致して配置される。
【0247】
容量素子100_2は、導電体247_2と、導電体247_2上、及び絶縁体274_2上の絶縁体285_2と、絶縁体285_2上の導電体206_2と、を有する。
【0248】
絶縁体274_2、絶縁体280_2、絶縁体273_2、及び絶縁体272_2には、導電体242b_2に達する開口が設けられ、当該開口には導電体247_2、絶縁体285_2、及び導電体206_2が設けられる。また、絶縁体274_2、絶縁体280_2、絶縁体273_2、絶縁体272_2、導電体242a_2、酸化物230b_2、酸化物230a_2、絶縁体224_2、絶縁体222_2、及び絶縁体216_2には、導電体248_1に達する開口が設けられ、当該開口には導電体248_2が設けられる。よって、トランジスタ200_1が有する導電体242a_1と、トランジスタ200_2が有する導電体242a_2と、は、導電体248_1及び導電体248_2を介して電気的に接続される。なお、導電体247_2の上面の高さ、及び導電体248_2の上面の高さと、絶縁体274_2の上面の高さは同一とすることができる。
【0249】
絶縁体285は、絶縁体282と同様の材料を用いることができる。導電体207は、導電体205bと同様の材料を用いることができる。導電体206は、導電体204bと同様の材料を用いることができる。導電体247は、導電体240と同様の材料を用いることができる。導電体248は、導電体244と同様の材料を用いることができる。
【0250】
なお、
図13B、並びに
図14A及び
図14Bでは、導電体207、導電体206、導電体247、及び導電体248を単層構成としているが、本発明の一態様はこれに限らない。例えば、導電体207、導電体206、導電体247、又は導電体248の一以上を2層積層構造としてもよいし、3層以上の積層構造としてもよい。
【0251】
ここで、導電体248はトランジスタ200のソース又はドレインの一方と電気的に接続するプラグとしての機能を有し、導電体247はトランジスタ200のソース又はドレインの他方と電気的に接続するプラグとしての機能を有する。よって、導電体247は、プラグとしての機能と、容量素子100の一方の電極としての機能を兼ねることができる。
【0252】
図13B、及び
図14Aに示すように、トランジスタ200_1とトランジスタ200_2は積層して設けられる。また、
図13B、及び
図14Bに示すように、容量素子100_1と容量素子100_2は積層して設けられる。つまり、
図13A及び
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示す構成の半導体装置は、
図1A及び
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示す構成の半導体装置と同様に、2つのトランジスタ200が積層して設けられ、2つの容量素子100が積層して設けられる。なお、3つ以上のトランジスタ200、及び3つ以上の容量素子100をそれぞれ積層して設けてもよい。この場合、
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示すように、絶縁体274_2上の絶縁体285_2上に導電体207_3が設けられ、導電体206_2の側面、及び導電体207_2の側面と接する領域を有するように絶縁体216_3が設けられ、導電体206_2上、導電体207_3上、及び絶縁体216_3上に絶縁体222_3が設けられる。
【0253】
容量素子100が有する導電体206は、トランジスタ200が有する導電体207と同じ層に形成される。例えば、導電体206_1は導電体207_2と同じ層に形成される。これにより、導電体206と導電体207を同一工程で形成することができるため、
図13A及び
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示す構成の半導体装置の作製工程を、
図1A及び
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示す構成の半導体装置と同様に簡略化することができる。
【0254】
また、
図13A及び
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示す構成の半導体装置は、前述のように、導電体247が、プラグとしての機能と、容量素子100の一方の電極としての機能を兼ねる。このように、トランジスタ200、及び容量素子100の構成要素の一部を共通とする構成とすることで、
図13A及び
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示す構成の半導体装置の作製工程を、
図1A及び
図1B、並びに
図2A及び
図2Bに示す構成の半導体装置と同様に簡略化することができる。
【0255】
さらに、
図13A及び
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示す構成の半導体装置では、前述のように、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体273、及び絶縁体272に設けられた開口の内側に、導電体247の他、絶縁体285及び導電体206が設けられる。よって、容量素子100の一方の電極としての機能を有する導電体247と、容量素子100の他方の電極としての機能を有する導電体206が、開口部の内側で、容量素子100の誘電体としての機能を有する絶縁体285を介して重なる領域を有している。これにより、導電体247と導電体206が絶縁体285を介して重なる面積を、上面視の面積よりも大きくすることができる。つまり、上面視における一方の電極と、他方の電極との重なる面積を増やさずに容量素子100の容量を増やすことができる。以上により、容量素子100を微細化しつつ、容量素子100の保持容量を大きくすることができる。
【0256】
<半導体装置の作製方法例3>
次に、
図13A及び
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示す、トランジスタ200、及び容量素子100を有する半導体装置の作製方法の一例を、図面を用いて説明する。当該図面は、
図13Aに示すA1-A2の一点鎖線で示す部位に対応する断面図であり、トランジスタ200のチャネル長方向に対応する。
【0257】
まず、基板(図示しない)を準備し、当該基板上に絶縁体214を成膜する。次に、絶縁体214上に導電体207_1を形成する。その後、絶縁体214上、及び導電体207_1上に絶縁体216_1を成膜する。次に、成膜した絶縁体216_1に対してCMP処理を行うことで、絶縁体216_1の一部を除去し、導電体207_1の表面を露出させる。なお、導電体207_1の表面を露出させず、絶縁体216_1が導電体207_1を覆う構成としてもよい。この場合、絶縁体216_1は、トランジスタ200_1のゲート絶縁体としての機能を有することができる。
【0258】
次に、導電体207_1上、及び絶縁体216_1上に絶縁体222_1を成膜する。その後、
図3B乃至
図3E、並びに
図4A及び
図4Bに示す方法と同様の方法により、絶縁体224_1、酸化物230a_1、酸化物230b_1、導電体242a_1、導電体242b_1、開口231_1、絶縁体272_1、絶縁体273_1、絶縁体280_1、酸化物230c_1、絶縁体250_1、導電体260_1、及び絶縁体274_1を形成する(
図15A参照)。
【0259】
次に、
図4Cに示す方法と同様の方法により、開口233_1、及び開口234_1を形成する(
図15B参照)。その後、導電膜247A_1を、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法又はALD法等により成膜する(
図15C参照)。
【0260】
次に、導電膜247A_1上に絶縁体276_1を成膜する(
図16A参照)。その後、CMP処理を行うことで、絶縁体276_1の一部、及び導電膜247A_1を除去する。これにより、開口233_1の内側に導電体248_1が形成され、開口234_1の内側に導電体247_1が形成される。また、絶縁体274_1の表面が露出される。なお、開口233_1の、導電体248_1よりさらに内側には、絶縁体276_1が残存する。また、開口234_1の、導電体247_1よりさらに内側には、絶縁体276_1が残存する(
図16B参照)。
【0261】
次に、開口233_1の内側、及び開口234_1の内側に残存する絶縁体276_1を、ドライエッチング法、又はウェットエッチング法等により除去する。これにより、導電体248_1の表面、及び導電体247_1の表面が露出される(
図16C参照)。
【0262】
次に、導電体247_1上、導電体248_1上、及び絶縁体274_1上に絶縁体285_1を成膜する。これにより、導電体247_1、及び導電体248_1が絶縁体285_1に覆われる。その後、絶縁体285_1上に導電膜206A_1を成膜する(
図17A参照)。絶縁体285_1の成膜、及び導電膜206A_1の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法、又はALD法等を用いて行うことができる。
【0263】
次に、導電膜206A_1をリソグラフィー法等により加工して導電体206_1、及び導電体207_2を形成する(
図17B参照)。その後、導電体206_1、及び導電体207_2をハードマスクとして絶縁体285_1を加工する。当該加工はドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。前述のように、ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。
【0264】
絶縁体285_1を加工することにより、導電体248_1の表面を露出することができる(
図17C参照)。なお、導電体206_1、及び導電体207_2をハードマスクとして絶縁体285_1を加工しなくてもよい。例えば、絶縁体285_1の成膜後、成膜した絶縁体を加工し、その後に導電膜206A_1を成膜、加工して導電体206_1、及び導電体207_2を形成してもよい。当該方法で絶縁体285_1を加工することにより、例えば導電体207_2の底面が絶縁体274_1と接する領域を有することができる。
【0265】
次に、導電体206_1上、導電体207_2上、導電体248_1上、及び絶縁体274_1上に絶縁体216_2を成膜する。絶縁体216_2は、絶縁体216_1と同様の方法で成膜することができる。
【0266】
その後、絶縁体216_2に対してCMP処理を行うことで、絶縁体216_2の一部を除去し、導電体206_1の表面、及び導電体207_2の表面を露出させる(
図18A参照)。なお、導電体206_1の表面、及び導電体207_2の表面を露出させず、絶縁体216_2が導電体206_1、及び導電体207_2を覆う構成としてもよい。この場合、絶縁体216_2は、トランジスタ200_2のゲート絶縁体としての機能を有することができる。
【0267】
以上のように、
図13A及び
図13B、並びに
図14A及び
図14Bに示す構成の半導体装置を作製する際には、開口233の内側に絶縁体276を形成した後、絶縁体276を除去し、その後に開口233の内側に絶縁体216を形成する。よって、絶縁体276は、絶縁体216と同様の材料を用いて形成することが好ましい。
【0268】
【0269】
次に、
図6Aに示す方法と同様の方法により、絶縁体222_2、絶縁体224_2、酸化物230a_2、酸化物230b_2、導電体242a_2、導電体242b_2、開口231_2、絶縁体272_2、絶縁体273_2、絶縁体280_2、酸化物230c_2、絶縁体250_2、導電体260_2、及び絶縁体274_2を形成する(
図18B参照)。
【0270】
次に、
図4Cに示す方法と同様の方法により、開口234_2を形成する。また、開口231_2と重なる領域を有するように、導電体248_1に達する開口233_2を、絶縁体274_2、絶縁体280_2、絶縁体273_2、絶縁体272_2、絶縁体224_2、絶縁体222_2、及び絶縁体216_2に形成する(
図19A参照)。
【0271】
次に、導電体247_2及び導電体248_2を導電体247_1及び導電体248_1と同様の方法で形成し、絶縁体285_2を絶縁体285_1と同様の方法で形成し、導電体206_2及び導電体207_3を導電体206_1及び導電体207_2と同様の方法で形成し、絶縁体216_3を絶縁体216_2と同様の方法で形成し、絶縁体222_3を絶縁体222_2と同様の方法で形成する(
図19B参照)。
【0272】
【0273】
<半導体装置の構成例4>
以下では、本発明の一態様に係るトランジスタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a、及び容量素子100bを有する半導体装置の一例について説明する。
【0274】
図20は、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a、及び容量素子100bを有する半導体装置のチャネル長方向の断面図である。半導体装置は、
図20に示すように、B1-B2の一点鎖線を対称軸とした線対称の構成となっている。トランジスタ200aのソース電極又はドレイン電極の一方と、トランジスタ200bのソース電極又はドレイン電極の一方は、導電体242cが兼ねる構成となっている。また、プラグとしての機能を有する導電体244も、トランジスタ200aとトランジスタ200bとの間で兼ねる構成となっている。以上のように、半導体装置を
図20に示す構成とすることで、微細化、又は高集積化が可能な半導体装置を提供することができる。
【0275】
【0276】
<半導体装置の構成例5>
図21は、本発明の一態様の半導体装置の構成例を示す図である。
図21に示す構成では、2つの半導体装置が容量部を介して接続される。本明細書等では、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a、及び容量素子100bを有する半導体装置をセルと称する。トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a及び容量素子100bの構成については、上述のトランジスタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a、及び容量素子100bに係る記載を参酌することができる。
【0277】
図21は、トランジスタ200a、トランジスタ200b、容量素子100a、及び容量素子100bを有するセル60と、セル60と同様の構成を有するセル61が容量部を介して電気的に接続される構成を示す断面図である。
【0278】
図21に示すように、セル60が有するトランジスタ200bのソース電極又はドレイン電極の一方としての機能を有する導電体242bは、セル61が有するトランジスタのソース電極又はドレイン電極の一方を兼ねる構成となっている。また、セル60が有する容量素子100bの一方の電極としての機能を有する導電体240は、セル61が有する容量素子の一方の電極を兼ねる構成となっている。さらに、セル60が有する容量素子100bの他方の電極としての機能を有する導電体204は、セル61が有する容量素子の他方の電極を兼ねる構成となっている。
【0279】
また、図示しないが、セル60が有するトランジスタ200aのソース電極又はドレイン電極の一方としての機能を有する導電体242aが、セル60の左側、つまり
図21においてA1方向に隣接する半導体装置が有するトランジスタのソース電極又はドレイン電極の一方を兼ねる構成となっている。さらに、図示しないが、セル60が有する容量素子100aの一方の電極としての機能を有する導電体240は、セル60の左側に隣接する半導体装置が有する容量素子の一方の電極を兼ねる構成となっている。また、図示しないが、セル60が有する容量素子100aの他方の電極としての機能を有する導電体204は、セル60の左側に隣接する半導体装置が有する容量素子の他方の電極を兼ねる構成となっている。
【0280】
また、セル61の右側、つまり、
図21においてA2方向に隣接する半導体装置が有するセルについても同様の構成とすることができる。よって、セルを複数配列したセルアレイ600を構成することができる。なお、
図21では、トランジスタ200a_1、トランジスタ200b_1、容量素子100a_1、及び容量素子100b_1を有するセルアレイ600_1と、トランジスタ200a_2、トランジスタ200b_2、容量素子100a_2、及び容量素子100b_2を有するセルアレイ600_2と、を示している。
【0281】
セルアレイ600を
図21に示す構成とすることにより、隣り合うセルの間隔を小さくすることができるため、セルアレイ600の投影面積を小さくすることができる。よって、本発明の一態様の半導体装置の微細化、又は高集積化を図ることができる。
【0282】
<半導体装置の構成例6>
図22は、
図21に示すセルアレイ600を有する半導体装置の構成例を示す断面図である。
図22に示す半導体装置は、基板311と、基板311上の絶縁体211と、絶縁体211上の絶縁体212と、絶縁体212上の絶縁体214と、を有し、さらに絶縁体214上には、セルアレイ600がn層積層されている3Dセルアレイが配置されている。つまり、絶縁体214上には、セルアレイ600_1乃至セルアレイ600_nが配置されている。また、積層されたセルアレイ600は、プラグとしての機能を有する導電体244により互いに電気的に接続される。上記3Dセルアレイは、絶縁体211、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体287、絶縁体222_n、絶縁体283、及び絶縁体284により封止される(便宜的に、以下では封止構造と呼ぶ)。絶縁体284の周囲には絶縁体274が設けられる。また、絶縁体274、絶縁体284、絶縁体283、及び絶縁体211には導電体430が設けられ、基板311と電気的に接続する。
【0283】
なお、絶縁体211、絶縁体283、及び絶縁体284は、水素に対するブロッキング性が高い機能を有する材料であると好適である。また、絶縁体214、絶縁体222、及び絶縁体287は、水素を捕獲、又は水素を固着する機能を有する材料であると好適である。
【0284】
例えば、上記水素に対するブロッキング性が高い機能を有する材料は、窒化シリコン、又は窒化酸化シリコン等が挙げられる。また、上記水素を捕獲、又は水素を固着する機能を有する材料は、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、並びにアルミニウム及びハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)等が挙げられる。
【0285】
なお、本明細書等において、バリア性とは、対応する物質の拡散を抑制する機能(透過性が低いともいう)とする。又は、対応する物質を、捕獲、及び固着する(ゲッタリングともいう)機能とする。
【0286】
なお、絶縁体211、絶縁体212、絶縁体214、絶縁体287、絶縁体222、絶縁体283、及び絶縁体284に用いる材料の結晶構造については、特に限定は無いが、非晶質又は結晶性を有する構造とすればよい。例えば、水素を捕獲、又は水素を固着する機能を有する材料として、非晶質の酸化アルミニウム膜を用いると好適である。非晶質の酸化アルミニウムは、結晶性の高い酸化アルミニウムよりも、水素の捕獲、及び固着する量が大きい場合がある。
【0287】
上記の構造とすることで、セルアレイ600に設けられたOSトランジスタが有する酸化物半導体の水素濃度を低減することができる。これにより、信頼性が良好な半導体装置を提供することができる。また、本発明の一態様により、良好な電気特性を有する半導体装置を提供することができる。
【0288】
<半導体装置の構成材料>
以下では、半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
【0289】
[基板]
トランジスタ200を形成する基板としては、例えば、絶縁体基板、半導体基板、又は導電体基板を用いればよい。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板等)、樹脂基板等がある。また、半導体基板としては、例えば、シリコン、ゲルマニウム等の半導体基板、又は炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムからなる化合物半導体基板等がある。さらには、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えば、SOI(Silicon On Insulator)基板等がある。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板等がある。又は、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板等がある。さらには、絶縁体基板に導電体又は半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体又は絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体又は絶縁体が設けられた基板等がある。又は、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子等がある。
【0290】
[絶縁体]
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物等がある。
【0291】
例えば、トランジスタの微細化、及び高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流等の問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
【0292】
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化物、アルミニウム及びハフニウムを有する酸化窒化物、シリコン及びハフニウムを有する酸化物、シリコン及びハフニウムを有する酸化窒化物、又はシリコン及びハフニウムを有する窒化物等がある。
【0293】
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素及び窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコン、又は樹脂等がある。
【0294】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウム、又はタンタルを含む絶縁体を、単層で、又は積層で用いればよい。具体的には、水素等の不純物及び酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウム、又は酸化タンタル等の金属酸化物、窒化アルミニウム、窒化アルミニウムチタン、窒化チタン、窒化酸化シリコン又は窒化シリコン等の金属窒化物を用いることができる。
【0295】
また、ゲート絶縁体として機能する絶縁体は、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、加熱により脱離する酸素を含む領域を有する酸化シリコン又は酸化窒化シリコンを酸化物230と接する構造とすることで、酸化物230が有する酸素欠損を補償することができる。
【0296】
[導電体]
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウム、イリジウム、ストロンチウム、ランタン等から選ばれた金属元素、又は上述した金属元素を成分とする合金か、上述した金属元素を組み合わせた合金等を用いることが好ましい。例えば、窒化タンタル、窒化チタン、タングステン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物等を用いることが好ましい。また、窒化タンタル、窒化チタン、チタンとアルミニウムを含む窒化物、タンタルとアルミニウムを含む窒化物、酸化ルテニウム、窒化ルテニウム、ストロンチウムとルテニウムを含む酸化物、ランタンとニッケルを含む酸化物は、酸化しにくい導電性材料、又は、酸素を吸収しても導電性を維持する材料であるため、好ましい。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイド等のシリサイドを用いてもよい。
【0297】
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0298】
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0299】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素及び酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素及び窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタル等の窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。又は、外方の絶縁体等から混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0300】
[金属酸化物]
酸化物230(酸化物230a、酸化物230b、及び酸化物230c)として、酸化物半導体として機能する金属酸化物を用いることが好ましい。以下では、本発明に係る酸化物230に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0301】
金属酸化物は、少なくともインジウム又は亜鉛を含むことが好ましい。特に、インジウム及び亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウム又は錫等が含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、又はマグネシウム等から選ばれた一種、又は複数種が含まれていてもよい。
【0302】
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素M及び亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、又は錫等とする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウム等がある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0303】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0304】
OSトランジスタに用いることができる金属酸化物であるCAC-OS(Cloud-Aligned Composite Oxide Semiconductor)、及びCAAC-OSについて説明する。
【0305】
<金属酸化物の構成>
CAC-OSとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OS又はCAC-metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(又はホール)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OS又はCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OS又はCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0306】
また、CAC-OS又はCAC-metal oxideは、導電性領域、及び絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0307】
また、CAC-OS又はCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0308】
また、CAC-OS又はCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OS又はCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OS又はCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0309】
すなわち、CAC-OS又はCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、又は金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0310】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)及び非晶質酸化物半導体などがある。
【0311】
また、酸化物半導体は、結晶構造に着目した場合、上記とは異なる分類となる場合がある。ここで、酸化物半導体における、結晶構造の分類について、
図23Aを用いて説明する。
図23Aは、酸化物半導体、代表的にはIGZO(Inと、Gaと、Znと、を含む金属酸化物)の結晶構造の分類を説明する図である。
【0312】
図23Aに示すように、IGZOは、大きく分けてAmorphous(無定形)と、Crystalline(結晶性)と、Crystal(結晶)と、に分類される。また、Amorphousの中には、completely amorphousが含まれる。また、Crystallineの中には、CAAC(c-axis aligned crystalline)、nc(nanocrystalline)、及びCAC(Cloud-Aligned Composite)が含まれる。なお、Crystallineの分類には、single crystal、poly crystal、及びcompletely amorphousは除かれる。また、Crystalの中には、single crystal、及びpoly crystalが含まれる。
【0313】
なお、
図23Aに示す太枠内の構造は、Amorphous(無定形)と、Crystal(結晶)との間の中間状態であり、新しい境界領域(New crystalline phase)に属する構造である。当該構造は、Amorphousと、Crystalとの間の境界領域にある。すなわち、当該構造は、エネルギー的に不安定なAmorphous(無定形)や、Crystal(結晶)とは全く異なる構造と言い換えることができる。
【0314】
なお、膜または基板の結晶構造は、X線回折(XRD:X-Ray Diffraction)像を用いて評価することができる。ここで、石英ガラス、及びCrystallineに分類される結晶構造を有するIGZO(結晶性IGZOともいう。)のXRDスペクトルを
図23B及び
図23Cに示す。また、
図23Bが石英ガラス、
図23Cが結晶性IGZOのXRDスペクトルである。なお、
図23Cに示す結晶性IGZOの組成は、In:Ga:Zn=4:2:3[原子数比]近傍である。また、
図23Cに示す結晶性IGZOの厚さは、500nmである。
【0315】
図23Bの矢印に示すように、石英ガラスは、XRDスペクトルのピークの形状がほぼ左右対称である。一方で、
図23Cの矢印に示すように、結晶性IGZOは、XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称である。XRDスペクトルのピークの形状が左右非対称であることは、結晶の存在を明示している。別言すると、XRDスペクトルのピークの形状で左右対称でないと、Amorphousであるとは言えない。なお、
図23Cには、2θ=31°、またはその近傍に結晶相(IGZO crystal phase)を明記してある。XRDスペクトルのピークにおいて、形状が左右非対称となる由来は当該結晶相(微結晶)に起因すると推定される。
【0316】
具体的には、
図23Cに示す、結晶性IGZOのXRDスペクトルにおいて、2θ=34°またはその近傍にピークを有する。また、微結晶は、2θ=31°またはその近傍にピークを有する。酸化物半導体膜をX線回折像を用いて評価する場合、
図23Cに示すように、2θ=34°またはその近傍のピークよりも低角度側のスペクトルの幅が広くなる。これは、酸化物半導体膜中に、2θ=31°またはその近傍にピークを有する微結晶が内在することを示唆している。
【0317】
また、膜の結晶構造は、極微電子線回折法(NBED:Nano Beam Electron Diffraction)によって観察される回折パターン(極微電子線回折パターンともいう。)にて評価することができる。基板温度を室温として成膜したIGZO膜の回折パターンを
図23Dに示す。なお、
図23Dに示すIGZO膜は、In:Ga:Zn=1:1:1[原子数比]である酸化物ターゲットを用いて、スパッタリング法により成膜される。また、極微電子線回折法では、プローブ径を1nmとして電子線回折が行われた。
【0318】
図23Dに示すように、室温成膜したIGZO膜の回折パターンでは、ハローではなく、スポット状のパターンが観察される。このため、室温成膜したIGZO膜は、結晶状態でもなく、非晶質状態でもない、中間状態であり、非晶質状態であると結論することはできないと推定される。
【0319】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0320】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、及び七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう)を確認することはできない。即ち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためと考えられる。
【0321】
なお、明確な結晶粒界(グレインバウンダリー)が確認される結晶構造は、いわゆる多結晶(polycrystal)と呼ばれる。結晶粒界は、再結合中心となり、キャリアが捕獲されトランジスタのオン電流の低下、または電界効果移動度の低下を引き起こす可能性が高い。よって、明確な結晶粒界が確認されないCAAC-OSは、トランジスタの半導体層に好適な結晶構造を有する結晶性の酸化物の一つである。なお、CAAC-OSを構成するには、Znを有する構成が好ましい。例えば、In-Zn酸化物、及びIn-Ga-Zn酸化物は、In酸化物よりも結晶粒界の発生を抑制できるため好適である。
【0322】
また、CAAC-OSは、インジウム、及び酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、及び酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0323】
CAAC-OSは結晶性の高い酸化物半導体である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することはできないため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、酸化物半導体の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損など)の少ない酸化物半導体ともいえる。従って、CAAC-OSを有する酸化物半導体は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する酸化物半導体は熱に強く、信頼性が高い。また、CAAC-OSは、製造工程における高い温度(所謂サーマルバジェット)に対しても安定である。したがって、OSトランジスタにCAAC-OSを用いると、製造工程の自由度を広げることが可能となる。
【0324】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0325】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する酸化物半導体である。a-like OSは、鬆又は低密度領域を有する。即ち、a-like OSは、nc-OS及びCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0326】
酸化物半導体は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0327】
[酸化物半導体を有するトランジスタ]
続いて、上記酸化物半導体をトランジスタに用いる場合について説明する。
【0328】
上記酸化物半導体をトランジスタに用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0329】
また、トランジスタには、キャリア濃度の低い酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体膜のキャリア濃度を低くする場合においては、酸化物半導体膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性又は実質的に高純度真性と言う。
【0330】
また、高純度真性又は実質的に高純度真性である酸化物半導体膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0331】
また、酸化物半導体のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い酸化物半導体にチャネル形成領域が形成されるトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0332】
従って、トランジスタの電気特性を安定にするためには、酸化物半導体中の不純物濃度を低減することが有効である。また、酸化物半導体中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0333】
[不純物]
ここで、酸化物半導体中における各不純物の影響について説明する。
【0334】
酸化物半導体において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、酸化物半導体において欠陥準位が形成される。このため、酸化物半導体におけるシリコンや炭素の濃度と、例えば絶縁体と、酸化物半導体との界面及び界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0335】
また、酸化物半導体にアルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。従って、アルカリ金属又はアルカリ土類金属が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる酸化物半導体中のアルカリ金属又はアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0336】
また、酸化物半導体において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア濃度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている酸化物半導体を半導体に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。従って、該酸化物半導体において、窒素はできる限り低減されていることが好ましい。例えば、酸化物半導体中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
【0337】
また、酸化物半導体に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている酸化物半導体を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、酸化物半導体中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、酸化物半導体において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
【0338】
不純物が十分に低減された酸化物半導体をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、安定した電気特性を付与することができる。
【0339】
[その他の半導体材料]
酸化物230に用いることができる半導体材料は、上述の金属酸化物に限られない。酸化物230として、バンドギャップを有する半導体材料(ゼロギャップ半導体ではない半導体材料)を用いてもよい。例えば、シリコン等の単体元素の半導体、ヒ化ガリウム等の化合物半導体、半導体として機能する層状物質(原子層物質、2次元材料等ともいう。)等を半導体材料に用いることが好ましい。特に、半導体として機能する層状物質を半導体材料に用いると好適である。
【0340】
ここで、本明細書等において、層状物質とは、層状の結晶構造を有する材料群の総称である。層状の結晶構造は、共有結合やイオン結合によって形成される層が、ファンデルワールス力のような、共有結合やイオン結合よりも弱い結合を介して積層している構造である。層状物質は、単位層内における電気伝導性が高く、つまり、2次元電気伝導性が高い。半導体として機能し、かつ、2次元電気伝導性の高い材料をチャネル形成領域に用いることで、オン電流の大きいトランジスタを提供することができる。
【0341】
層状物質として、グラフェン、シリセン、カルコゲン化物等がある。カルコゲン化物は、カルコゲンを含む化合物である。また、カルコゲンは、第16族に属する元素の総称であり、酸素、硫黄、セレン、テルル、ポロニウム、リバモリウムが含まれる。また、カルコゲン化物として、遷移金属カルコゲナイド、13族カルコゲナイド等が挙げられる。
【0342】
酸化物230として、例えば、半導体として機能する遷移金属カルコゲナイドを用いることが好ましい。酸化物230として適用可能な遷移金属カルコゲナイドとして、具体的には、硫化モリブデン(代表的にはMoS2)、セレン化モリブデン(代表的にはMoSe2)、モリブデンテルル(代表的にはMoTe2)、硫化タングステン(代表的にはWS2)、セレン化タングステン(代表的にはWSe2)、タングステンテルル(代表的にはWTe2)、硫化ハフニウム(代表的にはHfS2)、セレン化ハフニウム(代表的にはHfSe2)、硫化ジルコニウム(代表的にはZrS2)、セレン化ジルコニウム(代表的にはZrSe2)等が挙げられる。
【0343】
本実施の形態に示す構成、方法等は、他の実施の形態に示す構成、構造、方法等と適宜組み合わせて用いることができる。
【0344】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置を適用した記憶装置について説明する。
【0345】
図24に示す記憶装置は、トランジスタ200、容量素子100、及びトランジスタ300を有している。
図24は、トランジスタ200、及びトランジスタ300のチャネル長方向の断面図である。また、
図24には、容量素子100の断面図も示している。
【0346】
トランジスタ200は、実施の形態1に示すように、酸化物半導体を有する半導体にチャネルが形成されるトランジスタである。実施の形態1で示したように、トランジスタ200はオフ電流が小さいため、これを記憶装置に用いることにより長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。よって、リフレッシュ動作を必要としない、あるいは、リフレッシュ動作の頻度が極めて少なくすることができる。したがって、記憶装置の消費電力を十分に低減することができる。
【0347】
本発明の一態様の記憶装置は、
図24に示すようにトランジスタ300、トランジスタ200、及び容量素子100を有する。トランジスタ200、及び容量素子100は、トランジスタ300の上方に設けられる。なお、
図24では、トランジスタ200、及び容量素子100をそれぞれ2個ずつ設けているが、本発明の一態様はこれに限らない。例えば、トランジスタ200、及び容量素子100をそれぞれ3個以上ずつ設けてもよい。例えば、互いに異なる層に3個以上のトランジスタ200を設け、互いに異なる層に3個以上の容量素子100を設けてもよい。
【0348】
トランジスタ200、及び容量素子100の構成については、実施の形態1を参酌することができる。
【0349】
トランジスタ300は、基板311上に設けられ、導電体316、絶縁体315、半導体領域313、低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bを有する。ここで、半導体領域313、並びに低抵抗領域314a及び低抵抗領域314bは、基板311中に含むことができる。また、低抵抗領域314aは、ソース領域又はドレイン領域の一方としての機能を有し、低抵抗領域314bは、ソース領域又はドレイン領域の他方としての機能を有する。
【0350】
トランジスタ300は、pチャネル型、あるいはnチャネル型のいずれでもよい。
【0351】
半導体領域313のチャネルが形成される領域及びその近傍の領域、並びに低抵抗領域314a及び低抵抗領域314b等において、シリコン系半導体等の半導体を含むことが好ましく、単結晶シリコンを含むことが好ましい。又は、Ge(ゲルマニウム)、SiGe(シリコンゲルマニウム)、GaAs(ガリウムヒ素)、GaAlAs(ガリウムアルミニウムヒ素)等を有する材料で形成してもよい。結晶格子に応力を与え、格子間隔を変化させることで有効質量を制御したシリコンを用いた構成としてもよい。又はGaAsとGaAlAs等を用いることで、トランジスタ300をHEMT(High Electron Mobility Transistor)としてもよい。
【0352】
低抵抗領域314a、及び低抵抗領域314bは、半導体領域313に適用される半導体材料に加え、ヒ素、リン等のn型の導電性を付与する元素、又はホウ素等のp型の導電性を付与する元素を含む。
【0353】
ゲート電極として機能する導電体316は、ヒ素、リン等のn型の導電性を付与する元素、もしくはホウ素等のp型の導電性を付与する元素を含むシリコン等の半導体材料、金属材料、合金材料、又は金属酸化物材料等の導電性材料を用いることができる。
【0354】
なお、導電体の材料により、仕事関数が定まるため、導電体の材料を変更することで、しきい値電圧を調整することができる。具体的には、導電体に窒化チタンや窒化タンタル等の材料を用いることが好ましい。さらに導電性と埋め込み性を両立するために導電体にタングステンやアルミニウム等の金属材料を積層として用いることが好ましく、特にタングステンを用いることが耐熱性の点で好ましい。
【0355】
なお、
図24に示すトランジスタ300は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切なトランジスタを用いればよい。
【0356】
トランジスタ300を覆って、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326が順に積層して設けられている。
【0357】
絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326として、例えば、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、酸化アルミニウム、酸化窒化アルミニウム、窒化酸化アルミニウム、窒化アルミニウム等を用いればよい。
【0358】
絶縁体322は、その下方に設けられるトランジスタ300等によって生じる段差を平坦化する平坦化膜としての機能を有していてもよい。例えば、絶縁体322の上面は、平坦性を高めるためにCMP法等を用いた平坦化処理により平坦化されていてもよい。
【0359】
また、絶縁体324には、基板311、又はトランジスタ300等から、トランジスタ200が設けられる領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。
【0360】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、例えば、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0361】
水素の脱離量は、例えば、昇温脱離ガス分析法(TDS)等を用いて分析することができる。例えば、絶縁体324の水素の脱離量は、TDS分析において、膜の表面温度が50℃から500℃の範囲において、水素原子に換算した脱離量が、絶縁体324の面積当たりに換算して、10×1015atoms/cm2以下、好ましくは5×1015atoms/cm2以下であればよい。
【0362】
なお、絶縁体326は、絶縁体324よりも誘電率が低いことが好ましい。例えば、絶縁体326の比誘電率は4未満が好ましく、3未満がより好ましい。また例えば、絶縁体326の比誘電率は、絶縁体324の比誘電率の0.7倍以下が好ましく、0.6倍以下がより好ましい。誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。
【0363】
また、絶縁体320、絶縁体322、絶縁体324、及び絶縁体326にはトランジスタ300と電気的に接続する導電体328、及び導電体330等が埋め込まれている。なお、導電体328、及び導電体330はプラグ、又は配線として機能する。また、プラグ又は配線として機能する導電体は、複数の構造をまとめて同一の符号を付与する場合がある。また、本明細書等において、配線と、配線と電気的に接続するプラグとが一体物であってもよい。すなわち、導電体の一部が配線として機能する場合、及び導電体の一部がプラグとして機能する場合もある。
【0364】
各プラグ、及び配線(導電体328、及び導電体330等)の材料としては、金属材料、合金材料、金属窒化物材料、又は金属酸化物材料等の導電性材料を、単層又は積層して用いることができる。耐熱性と導電性を両立するタングステンやモリブデン等の高融点材料を用いることが好ましく、タングステンを用いることが好ましい。又は、アルミニウムや銅等の低抵抗導電性材料で形成することが好ましい。低抵抗導電性材料を用いることで配線抵抗を低くすることができる。
【0365】
絶縁体326上、及び導電体330上に、配線層を設けてもよい。例えば、
図24において、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354が順に積層して設けられている。また、絶縁体350、絶縁体352、及び絶縁体354には、導電体356が形成されている。導電体356は、プラグ、又は配線として機能する。なお導電体356は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0366】
なお、例えば、絶縁体350は、絶縁体324と同様に、水素に対するバリア性を有する絶縁体を用いることが好ましい。また、導電体356は、水素に対するバリア性を有する導電体を含むことが好ましい。特に、水素に対するバリア性を有する絶縁体350に設けられる開口部に、水素に対するバリア性を有する導電体356が形成されることにより、トランジスタ300とトランジスタ200とを、バリア層により分離することができる。これにより、トランジスタ300からトランジスタ200への水素の拡散を抑制することができる。
【0367】
なお、水素に対するバリア性を有する導電体としては、例えば、窒化タンタル等を用いるとよい。また、窒化タンタルと導電性が高いタングステンを積層することで、配線としての導電性を保持したまま、トランジスタ300からの水素の拡散を抑制することができる。この場合、水素に対するバリア性を有する窒化タンタル層が、水素に対するバリア性を有する絶縁体350と接する構造であることが好ましい。
【0368】
上記において、導電体356を含む配線層について説明したが、本実施の形態に係る記憶装置はこれに限られるものではない。導電体356を含む配線層と同様の配線層を3層以下にしてもよいし、導電体356を含む配線層と同様の配線層を5層以上にしてもよい。
【0369】
絶縁体354上には絶縁体210、絶縁体211、絶縁体212、及び絶縁体214が、順に積層して設けられている。絶縁体210、絶縁体211、絶縁体212、及び絶縁体214のいずれかは、酸素や水素に対してバリア性のある物質を用いることが好ましい。
【0370】
絶縁体210には、例えば絶縁体320と同様の材料を用いることができる。また、比較的誘電率が低い材料を層間膜とすることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。例えば、絶縁体211、及び絶縁体212として、酸化シリコン膜や酸化窒化シリコン膜等を用いることができる。
【0371】
絶縁体211、及び絶縁体212には、例えば、基板311、又はトランジスタ300を設ける領域等から、トランジスタ200を設ける領域に、水素や不純物が拡散しないようなバリア性を有する膜を用いることが好ましい。従って、絶縁体211、及び絶縁体212には、絶縁体324と同様の材料を用いることができる。
【0372】
水素に対するバリア性を有する膜の一例として、CVD法で形成した窒化シリコンを用いることができる。ここで、トランジスタ200等の酸化物半導体を有する半導体素子に、水素が拡散することで、当該半導体素子の特性が低下する場合がある。従って、トランジスタ200と、トランジスタ300との間に、水素の拡散を抑制する膜を用いることが好ましい。水素の拡散を抑制する膜とは、具体的には、水素の脱離量が少ない膜とする。
【0373】
また、水素に対するバリア性を有する膜として、例えば、絶縁体214には、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化タンタル等の金属酸化物を用いることが好ましい。
【0374】
特に、酸化アルミニウムは、酸素と、トランジスタの電気特性の変動要因となる水素、水分等の不純物と、の両方に対して膜を透過させない遮断効果が高い。したがって、酸化アルミニウムは、トランジスタの作製工程中及び作製後において、水素、水分等の不純物のトランジスタ200への混入を防止することができる。また、トランジスタ200を構成する酸化物からの酸素の放出を抑制することができる。そのため、酸化アルミニウムは、トランジスタ200に対する保護膜として用いることに適している。
【0375】
また、絶縁体210、絶縁体211、絶縁体212、及び絶縁体214には、導電体218が埋め込まれている。なお、導電体218はプラグ、又は配線としての機能を有する。導電体218は、導電体328、及び導電体330と同様の材料を用いて設けることができる。
【0376】
導電体218は、酸素、水素、及び水に対するバリア性を有する導電体であることが好ましい。これにより、トランジスタ300からトランジスタ200への酸素、水素、及び水の拡散を抑制することができる。
【0377】
絶縁体214の上方には、トランジスタ200、及び容量素子100が設けられている。なお、トランジスタ200、及び容量素子100の構造は、実施の形態1等で説明したトランジスタ200、及び容量素子100を用いればよい。また、
図24に示すトランジスタ200、及び容量素子100の構成は一例であり、その構造に限定されず、回路構成や駆動方法に応じて適切な構成のトランジスタ等を用いればよい。
【0378】
絶縁体282、絶縁体274、絶縁体280、絶縁体273、絶縁体272、絶縁体224、絶縁体222、及び絶縁体216には開口が設けられ、当該開口には導電体241が設けられる。導電体241は、実施の形態1で説明した導電体240と同様の材料を用いて設けることができる。また、導電体241の上方には、導電体208が設けられる。
図24では、導電体328、導電体330、導電体356、導電体218、及び導電体241を介して、トランジスタ300と導電体208が電気的に接続される構成を示している。
【0379】
以上が構成例についての説明である。本構成を用いることで、酸化物半導体を有するトランジスタを用いた半導体装置において、電気特性の変動を抑制すると共に、信頼性を向上させることができる。
【0380】
本実施の形態に示す構成、方法等は、他の実施の形態に示す構成、構造、方法等と適宜組み合わせて用いることができる。
【0381】
(実施の形態3)
本実施の形態では、OSトランジスタが適用されている記憶装置(以下、OSメモリ装置と呼ぶ場合がある)について説明する。OSメモリ装置は、少なくとも容量素子と、容量素子の充放電を制御するOSトランジスタを有する記憶装置である。OSトランジスタのオフ電流は極めて小さいため、OSメモリ装置は優れた保持特性をもち、不揮発性メモリとして機能させることができる。
【0382】
一般に、コンピュータ等の半導体装置では、用途に応じて様々な記憶装置(メモリ)が用いられる。
図25に、各種の記憶装置を階層ごとに示す。上層に位置する記憶装置ほど速いアクセス速度が求められ、下層に位置する記憶装置ほど大きな記憶容量と高い記録密度が求められる。
図25では、最上層から順に、CPU等の演算処理装置にレジスタとして混載されるメモリ、SRAM(Static Random Access Memory)、DRAM(Dynamic Random Access Memory)、3D NANDメモリを示している。
【0383】
CPU等の演算処理装置にレジスタとして混載されるメモリは、演算結果の一時保存等に用いられるため、演算処理装置からのアクセス頻度が高い。よって、記憶容量よりも速い動作速度が求められる。また、レジスタは演算処理装置の設定情報等を保持する機能も有する。
【0384】
SRAMは、例えばキャッシュに用いられる。キャッシュは、メインメモリに保持されている情報の一部を複製して保持する機能を有する。使用頻度が高いデータをキャッシュに複製しておくことで、データへのアクセス速度を高めることができる。
【0385】
DRAMは、例えばメインメモリに用いられる。メインメモリは、ストレージから読み出されたプログラムやデータを保持する機能を有する。DRAMの記録密度は、おおよそ0.1乃至0.3Gbit/mm2である。
【0386】
3D NANDメモリは、例えばストレージに用いられる。ストレージは、長期保存が必要なデータや、演算処理装置で使用する各種のプログラム等を保持する機能を有する。よって、ストレージには動作速度よりも大きな記憶容量と高い記録密度が求められる。ストレージに用いられる記憶装置の記録密度は、おおよそ0.6乃至6.0Gbit/mm2である。
【0387】
本発明の一態様の記憶装置は、動作速度が速く、長期間のデータ保持が可能である。本発明の一態様の記憶装置は、キャッシュが位置する階層とメインメモリが位置する階層の双方を含む境界領域901に位置する記憶装置として好適に用いることができる。また、本発明の一態様の記憶装置は、メインメモリが位置する階層とストレージが位置する階層の双方を含む境界領域902に位置する記憶装置として好適に用いることができる。
【0388】
<記憶装置の構成例>
図26AにOSメモリ装置の構成の一例を示す。記憶装置1400は、周辺回路1411、及びメモリセルアレイ1470を有する。周辺回路1411は、行回路1420、列回路1430、出力回路1440、コントロールロジック回路1460を有する。
【0389】
列回路1430は、例えば、列デコーダ、プリチャージ回路、センスアンプ、及び書き込み回路等を有する。プリチャージ回路は、配線をプリチャージする機能を有する。センスアンプは、メモリセルから読み出されたデータ信号を増幅する機能を有する。なお、上記配線は、メモリセルアレイ1470が有するメモリセルに接続される配線であり、詳しくは後述する。増幅されたデータ信号は、出力回路1440を介して、データ信号RDATAとして記憶装置1400の外部に出力される。また、行回路1420は、例えば、行デコーダ、ワード線ドライバ回路等を有し、アクセスする行を選択することができる。
【0390】
記憶装置1400には、外部から電源電圧として低電源電圧(VSS)、周辺回路1411用の高電源電圧(VDD)、メモリセルアレイ1470用の高電源電圧(VIL)が供給される。また、記憶装置1400には、制御信号(CE、WE、RE)、アドレス信号ADDR、データ信号WDATAが外部から入力される。アドレス信号ADDRは、行デコーダ及び列デコーダに入力され、WDATAは書き込み回路に入力される。
【0391】
コントロールロジック回路1460は、外部からの入力信号(CE、WE、RE)を処理して、行デコーダ、列デコーダの制御信号を生成する。CEは、チップイネーブル信号であり、WEは、書き込みイネーブル信号であり、REは、読み出しイネーブル信号である。コントロールロジック回路1460が処理する信号は、これに限定されるものではなく、必要に応じて、他の制御信号を入力すればよい。
【0392】
メモリセルアレイ1470は、行列状に配置された、複数個のメモリセルMCと、複数の配線を有する。なお、メモリセルアレイ1470と行回路1420とを接続している配線の数は、メモリセルMCの構成、一列に有するメモリセルMCの数等によって決まる。また、メモリセルアレイ1470と、列回路1430とを接続している配線の数は、メモリセルMCの構成、一行に有するメモリセルMCの数等によって決まる。
【0393】
なお、
図26Aにおいて、周辺回路1411とメモリセルアレイ1470を同一平面上に形成する例について示したが、本実施の形態はこれに限られるものではない。例えば、
図26Bに示すように、周辺回路1411の一部の上に、メモリセルアレイ1470が重なるように設けられてもよい。例えば、メモリセルアレイ1470の下に重なるように、センスアンプを設ける構成にしてもよい。
【0394】
図27A乃至
図27Cに上述のメモリセルMCに適用できるメモリセルの構成例について説明する。
【0395】
<DOSRAM>
図27A乃至
図27Cに、DRAMのメモリセルの回路構成例を示す。本明細書等において、1OSトランジスタ1容量素子型のメモリセルを用いたDRAMを、DOSRAM(Dynamic Oxide Semiconductor Random Access Memory)と呼ぶ場合がある。
図27Aに示す、メモリセル1471は、トランジスタM1と、容量素子CAと、を有する。なお、トランジスタM1は、ゲート(フロントゲートと呼ぶ場合がある)、及びバックゲートを有する。
【0396】
トランジスタM1の第1端子は、容量素子CAの第1端子と接続され、トランジスタM1の第2端子は、配線BILと接続され、トランジスタM1のゲートは、配線WOLと接続され、トランジスタM1のバックゲートは、配線BGLと接続される。容量素子CAの第2端子は、配線CALと接続される。
【0397】
配線BILは、ビット線として機能し、配線WOLは、ワード線として機能する。配線CALは、容量素子CAの第2端子に所定の電位を印加するための配線として機能する。データの書き込み時、及び読み出し時において、配線CALには、低レベル電位を印加するのが好ましい。配線BGLは、トランジスタM1のバックゲートに電位を印加するための配線として機能する。配線BGLに任意の電位を印加することによって、トランジスタM1のしきい値電圧を増減することができる。
【0398】
また、メモリセルMCは、メモリセル1471に限定されず、回路構成の変更を行うことができる。例えば、メモリセルMCは、
図27Bに示すメモリセル1472のように、トランジスタM1のバックゲートが、配線BGLでなく、配線WOLと接続される構成にしてもよい。また、例えば、メモリセルMCは、
図27Cに示すメモリセル1473のように、シングルゲート構造のトランジスタ、つまりバックゲートを有さないトランジスタM1で構成されたメモリセルとしてもよい。
【0399】
上記実施の形態に示す半導体装置をメモリセル1471等に用いる場合、トランジスタM1としてトランジスタ200を用い、容量素子CAとして容量素子100を用いることができる。トランジスタM1としてOSトランジスタを用いることによって、トランジスタM1のリーク電流を非常に低くすることができる。つまり、書き込んだデータをトランジスタM1によって長時間保持することができるため、メモリセルのリフレッシュの頻度を少なくすることができる。また、メモリセルのリフレッシュ動作を不要にすることができる。また、リーク電流が非常に低いため、メモリセル1471、メモリセル1472、メモリセル1473に対して多値データ、又はアナログデータを保持することができる。
【0400】
また、DOSRAMにおいて、上記のように、メモリセルアレイ1470の下に重なるように、センスアンプを設ける構成にすると、ビット線を短くすることができる。これにより、ビット線容量が小さくなり、メモリセルの保持容量を低減することができる。
【0401】
本実施の形態に示す構成、方法等は、他の実施の形態に示す構成、構造、方法等と適宜組み合わせて用いることができる。
【0402】
(実施の形態4)
本実施の形態は、上記実施の形態に示す記憶装置等が組み込まれた電子部品及び電子機器の一例を示す。
【0403】
まず、記憶装置1000が組み込まれた電子部品の例を、
図28A及び
図28Bを用いて説明する。
【0404】
図28Aに電子部品700と、電子部品700が実装された基板(実装基板704)と、の斜視図を示す。
図28Aに示す電子部品700は、モールド711内に記憶装置1000を有している。
図28Aは、電子部品700の内部を示すために、一部を省略している。電子部品700は、モールド711の外側にランド712を有する。ランド712は電極パッド713と電気的に接続され、電極パッド713は、ワイヤ714によって記憶装置1000と電気的に接続される。電子部品700は、例えばプリント基板702に実装される。このような電子部品が複数組み合わされて、それぞれがプリント基板702上で電気的に接続されることで実装基板704が完成する。
【0405】
図28Bに、電子部品730の斜視図を示す。電子部品730は、SiP(System in package)又はMCM(Multi Chip Module)の一例である。電子部品730は、パッケージ基板732(プリント基板)上にインターポーザ731が設けられ、インターポーザ731上に半導体装置735、及び複数の記憶装置1000が設けられている。
【0406】
電子部品730では、記憶装置1000を広帯域メモリ(HBM:High Bandwidth Memory)として用いる例を示している。また、半導体装置735として、CPU、GPU、FPGA等の集積回路(半導体装置)を用いることができる。
【0407】
パッケージ基板732は、セラミック基板、プラスチック基板、又はガラスエポキシ基板等を用いることができる。インターポーザ731は、シリコンインターポーザ、樹脂インターポーザ等を用いることができる。
【0408】
インターポーザ731は、複数の配線を有し、端子ピッチの異なる複数の集積回路を電気的に接続する機能を有する。複数の配線は、単層又は多層で設けられる。また、インターポーザ731は、インターポーザ731上に設けられた集積回路をパッケージ基板732に設けられた電極と電気的に接続する機能を有する。これらのことから、インターポーザを「再配線基板」又は「中間基板」と呼ぶ場合がある。また、インターポーザ731に貫通電極を設けて、当該貫通電極を用いて集積回路とパッケージ基板732を電気的に接続する場合もある。また、シリコンインターポーザでは、貫通電極として、TSV(Through Silicon Via)を用いることも出来る。
【0409】
インターポーザ731として、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。シリコンインターポーザでは能動素子を設ける必要が無いため、集積回路よりも低コストで作製することができる。一方で、シリコンインターポーザの配線形成は半導体プロセスで行なうことができる。よって、樹脂インターポーザでは形成することが難しい微細配線を、シリコンインターポーザでは容易に形成することができる。
【0410】
HBMでは、広いメモリバンド幅を実現するために多くの配線を接続する必要がある。このため、HBMを実装するインターポーザには、微細かつ高密度の配線形成が求められる。よって、HBMを実装するインターポーザには、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0411】
また、シリコンインターポーザを用いたSiPやMCM等では、集積回路の膨張係数と、インターポーザの膨張係数と、の違いによる信頼性の低下が生じにくい。また、シリコンインターポーザは表面の平坦性が高いため、シリコンインターポーザ上に設ける集積回路と、シリコンインターポーザと、の間の接続不良が生じにくい。特に、インターポーザ上に複数の集積回路を横に並べて配置する2.5Dパッケージ(2.5次元実装)では、シリコンインターポーザを用いることが好ましい。
【0412】
また、電子部品730と重ねてヒートシンク(放熱板)を設けてもよい。ヒートシンクを設ける場合は、インターポーザ731上に設ける集積回路の高さを揃えることが好ましい。例えば、本実施の形態に示す電子部品730では、記憶装置1000と半導体装置735の高さを揃えることが好ましい。
【0413】
電子部品730を他の基板に実装するため、パッケージ基板732の底部に電極733を設けてもよい。
図28Bでは、電極733を半田ボールで形成する例を示している。パッケージ基板732の底部に半田ボールをマトリクス状に設けることで、BGA(Ball Grid Array)実装を実現できる。また、電極733を導電性のピンで形成してもよい。パッケージ基板732の底部に導電性のピンをマトリクス状に設けることで、PGA(Pin Grid Array)実装を実現できる。
【0414】
電子部品730は、BGA及びPGAに限らず様々な実装方法を用いて他の基板に実装することができる。例えば、SPGA(Staggered Pin Grid Array)、LGA(Land Grid Array)、QFP(Quad Flat Package)、QFJ(Quad Flat J-leaded package)、又はQFN(Quad Flat Non-leaded package)等の実装方法を用いることができる。
【0415】
本実施の形態は、他の実施の形態等に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【0416】
(実施の形態5)
本実施の形態では、先の実施の形態に示す半導体装置を用いた記憶装置の応用例について説明する。先の実施の形態に示す半導体装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルカメラ(ビデオカメラも含む)、録画再生装置、ナビゲーションシステム等)の記憶装置に適用できる。なお、ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータや、ノート型のコンピュータや、デスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含むものである。又は、先の実施の形態に示す半導体装置は、メモリカード(例えば、SDカード)、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムーバブル記憶装置に適用される。
図29A乃至
図29Eにリムーバブル記憶装置の構成例を模式的に示す。例えば、先の実施の形態に示す半導体装置は、パッケージングされたメモリチップに加工され、様々なストレージ装置、リムーバブルメモリに用いられる。
【0417】
図29AはUSBメモリの模式図である。USBメモリ1100は、筐体1101、キャップ1102、USBコネクタ1103及び基板1104を有する。基板1104は、筐体1101に収納されている。例えば、基板1104には、メモリチップ1105、コントローラチップ1106が取り付けられている。基板1104のメモリチップ1105等に先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0418】
図29BはSDカードの外観の模式図であり、
図29Cは、SDカードの内部構造の模式図である。SDカード1110は、筐体1111、コネクタ1112及び基板1113を有する。基板1113は筐体1111に収納されている。例えば、基板1113には、メモリチップ1114、コントローラチップ1115が取り付けられている。基板1113の裏面側にもメモリチップ1114を設けることで、SDカード1110の容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板1113に設けてもよい。これによって、ホスト装置とSDカード1110間の無線通信によって、メモリチップ1114のデータの読み出し、書き込みが可能となる。基板1113のメモリチップ1114等に先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0419】
図29DはSSDの外観の模式図であり、
図29Eは、SSDの内部構造の模式図である。SSD1150は、筐体1151、コネクタ1152及び基板1153を有する。基板1153は筐体1151に収納されている。例えば、基板1153には、メモリチップ1154、メモリチップ1155、コントローラチップ1156が取り付けられている。メモリチップ1155はコントローラチップ1156のワークメモリであり、例えばDOSRAMチップを用いればよい。基板1153の裏面側にもメモリチップ1154を設けることで、SSD1150の容量を増やすことができる。基板1153のメモリチップ1154等に先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0420】
本実施の形態に示す構成、方法等は、他の実施の形態に示す構成、構造、方法等と適宜組み合わせて用いることができる。
【0421】
(実施の形態6)
本実施の形態では、本発明の一態様の半導体装置に適用可能な電子機器の具体例について
図30A乃至
図30Fを用いて説明する。
【0422】
より具体的には、本発明の一態様に係る半導体装置は、CPUやGPU等のプロセッサ、又はチップに用いることができる。
図30A乃至
図30Fに、本発明の一態様に係るCPUやGPU等のプロセッサ、又はチップを備えた電子機器の具体例を示す。
【0423】
本発明の一態様に係るGPU又はチップは、様々な電子機器に搭載することができる。電子機器の例としては、例えば、テレビジョン装置、デスクトップ型もしくはノート型のパーソナルコンピュータ、コンピュータ用等のモニタ、デジタルサイネージ(Digital Signage:電子看板)、パチンコ機等の大型ゲーム機等の比較的大きな画面を備える電子機器の他、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ、デジタルフォトフレーム、携帯電話機、携帯型ゲーム機、携帯情報端末、音響再生装置、等が挙げられる。また、本発明の一態様に係る集積回路又はチップを電子機器に設けることにより、電子機器に人工知能を搭載することができる。
【0424】
本発明の一態様の電子機器は、アンテナを有していてもよい。アンテナで信号を受信することで、表示部で映像や情報等の表示を行うことができる。また、電子機器がアンテナ及び二次電池を有する場合、アンテナを、非接触電力伝送に用いてもよい。
【0425】
本発明の一態様の電子機器は、センサ(力、変位、位置、速度、加速度、角速度、回転数、距離、光、液、磁気、温度、化学物質、音声、時間、硬度、電場、電流、電圧、電力、放射線、流量、湿度、傾度、振動、におい又は赤外線を測定する機能を含むもの)を有していてもよい。
【0426】
本発明の一態様の電子機器は、様々な機能を有することができる。例えば、様々な情報(静止画、動画、テキスト画像等)を表示部に表示する機能、タッチパネル機能、カレンダー、日付又は時刻等を表示する機能、様々なソフトウェア(プログラム)を実行する機能、無線通信機能、記録媒体に記録されているプログラム又はデータを読み出す機能等を有することができる。
図30A乃至
図30Fに、電子機器の例を示す。
【0427】
<携帯電話>
図30Aには、情報端末の一種である携帯電話(スマートフォン)が図示されている。情報端末5500は、筐体5510と、表示部5511と、を有しており、入力用インターフェースとして、タッチパネルが表示部5511に備えられ、ボタンが筐体5510に備えられている。
【0428】
情報端末5500は、本発明の一態様のチップを適用することで、人工知能を利用したアプリケーションを実行することができる。人工知能を利用したアプリケーションとしては、例えば、会話を認識してその会話内容を表示部5511に表示するアプリケーション、表示部5511に備えるタッチパネルに対してユーザが入力した文字、図形等を認識して、表示部5511に表示するアプリケーション、指紋や声紋等の生体認証を行うアプリケーション等が挙げられる。
【0429】
<情報端末1>
図30Bには、デスクトップ型情報端末5300が図示されている。デスクトップ型情報端末5300は、情報端末の本体5301と、ディスプレイ5302と、キーボード5303と、を有する。
【0430】
デスクトップ型情報端末5300は、先述した情報端末5500と同様に、本発明の一態様のチップを適用することで、人工知能を利用したアプリケーションを実行することができる。人工知能を利用したアプリケーションとしては、例えば、設計支援ソフトウェア、文章添削ソフトウェア、献立自動生成ソフトウェア等が挙げられる。また、デスクトップ型情報端末5300を用いることで、新規の人工知能の開発を行うことができる。
【0431】
なお、上述では、電子機器としてスマートフォン、及びデスクトップ用情報端末を例として、それぞれ
図30A及び
図30Bに図示したが、スマートフォン、及びデスクトップ用情報端末以外の情報端末を適用することができる。スマートフォン、及びデスクトップ用情報端末以外の情報端末としては、例えば、PDA(Personal Digital Assistant)、ノート型情報端末、ワークステーション等が挙げられる。
【0432】
<電化製品>
図30Cは、電化製品の一例である電気冷凍冷蔵庫5800を示している。電気冷凍冷蔵庫5800は、筐体5801、冷蔵室用扉5802、冷凍室用扉5803等を有する。
【0433】
電気冷凍冷蔵庫5800に本発明の一態様のチップを適用することによって、人工知能を有する電気冷凍冷蔵庫5800を実現することができる。人工知能を利用することによって電気冷凍冷蔵庫5800は、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材、その食材の消費期限等を基に献立を自動生成する機能や、電気冷凍冷蔵庫5800に保存されている食材に合わせた温度に自動的に調節する機能等を有することができる。
【0434】
本一例では、電化製品として電気冷凍冷蔵庫について説明したが、その他の電化製品としては、例えば、掃除機、電子レンジ、オーブンレンジ、炊飯器、湯沸かし器、IH調理器、ウォーターサーバ、エアーコンディショナーを含む冷暖房器具、洗濯機、乾燥機、オーディオビジュアル機器等が挙げられる。
【0435】
<ゲーム機>
図30Dは、ゲーム機の一例である携帯ゲーム機5200を示している。携帯ゲーム機5200は、筐体5201、表示部5202、ボタン5203等を有する。
【0436】
携帯ゲーム機5200に本発明の一態様のGPU又はチップを適用することによって、低消費電力の携帯ゲーム機5200を実現することができる。また、低消費電力により、回路からの発熱を低減することができるため、発熱によるその回路自体、周辺回路、及びモジュールへの影響を少なくすることができる。
【0437】
更に、携帯ゲーム機5200に本発明の一態様のGPU又はチップを適用することによって、人工知能を有する携帯ゲーム機5200を実現することができる。
【0438】
本来、ゲームの進行、ゲーム上に登場する生物の言動、ゲーム上で発生する現象等の表現は、そのゲームが有するプログラムによって定められているが、携帯ゲーム機5200に人工知能を適用することにより、ゲームのプログラムに限定されない表現が可能になる。例えば、プレイヤーが問いかける内容、ゲームの進行状況、時刻、ゲーム上に登場する人物の言動が変化するといった表現が可能となる。
【0439】
また、携帯ゲーム機5200で複数のプレイヤーが必要なゲームを行う場合、人工知能によって擬人的にゲームプレイヤーを構成することができるため、対戦相手を人工知能によるゲームプレイヤーとすることによって、1人でもゲームを行うことができる。
【0440】
図30Dでは、ゲーム機の一例として携帯ゲーム機を図示しているが、本発明の一態様のGPU又はチップを適用するゲーム機はこれに限定されない。本発明の一態様のGPU又はチップを適用するゲーム機としては、例えば、家庭用の据え置き型ゲーム機、娯楽施設(ゲームセンター、遊園地等)に設置されるアーケードゲーム機、スポーツ施設に設置されるバッティング練習用の投球マシン等が挙げられる。
【0441】
<移動体>
本発明の一態様のGPU又はチップは、移動体である自動車、及び自動車の運転席周辺に適用することができる。
【0442】
図30E1は移動体の一例である自動車5700を示し、
図30E2は、自動車の室内におけるフロントガラス周辺を示す図である。
図30E2では、ダッシュボードに取り付けられた表示パネル5701、表示パネル5702、表示パネル5703の他、ピラーに取り付けられた表示パネル5704を図示している。
【0443】
表示パネル5701乃至表示パネル5703は、スピードメーターやタコメーター、走行距離、燃料計、ギア状態、空調の設定等を表示することで、様々な情報を提供することができる。また、表示パネルに表示される表示項目やレイアウト等は、ユーザの好みに合わせて適宜変更することができ、デザイン性を高めることが可能である。表示パネル5701乃至表示パネル5703は、照明装置として用いることも可能である。
【0444】
表示パネル5704には、自動車5700に設けられた撮像装置(図示しない)からの映像を映し出すことによって、ピラーで遮られた視界(死角)を補完することができる。すなわち、自動車5700の外側に設けられた撮像装置からの画像を表示することによって、死角を補い、安全性を高めることができる。また、見えない部分を補完する映像を映すことによって、より自然に違和感なく安全確認を行うことができる。表示パネル5704は、照明装置として用いることもできる。
【0445】
本発明の一態様のGPU又はチップは人工知能の構成要素として適用できるため、例えば、当該チップを自動車5700の自動運転システムに用いることができる。また、当該チップを道路案内、危険予測等を行うシステムに用いることができる。表示パネル5701乃至表示パネル5704には、道路案内、危険予測等の情報を表示する構成としてもよい。
【0446】
なお、上述では、移動体の一例として自動車について説明しているが、移動体は自動車に限定されない。例えば、移動体としては、電車、モノレール、船、飛行体(ヘリコプター、無人航空機(ドローン)、飛行機、ロケット)等も挙げることができ、これらの移動体に本発明の一態様のチップを適用して、人工知能を利用したシステムを付与することができる。
【0447】
<放送システム>
本発明の一態様のGPU又はチップは、放送システムに適用することができる。
【0448】
図30Fは、放送システムにおけるデータ伝送を模式的に示している。具体的には、
図30Fは、放送局5680から送信された電波(放送信号)が、各家庭のテレビジョン受信装置(TV)5600に届くまでの経路を示している。TV5600は、受信装置を備え(図示しない)、アンテナ5650で受信された放送信号は、当該受信装置を介して、TV5600に送信される。
【0449】
図30Fでは、アンテナ5650は、UHF(Ultra High Frequency)アンテナを図示しているが、アンテナ5650としては、BS・110°CSアンテナ、CSアンテナ等も適用できる。
【0450】
電波5675A、電波5675Bは地上波放送用の放送信号であり、電波塔5670は受信した電波5675Aを増幅して、電波5675Bの送信を行う。各家庭では、アンテナ5650で電波5675Bを受信することで、TV5600で地上波TV放送を視聴することができる。なお、放送システムは、
図30Fに示す地上波放送に限定せず、人工衛星を用いた衛星放送、光回線によるデータ放送等としてもよい。
【0451】
上述した放送システムは、本発明の一態様のチップを適用して、人工知能を利用した放送システムとしてもよい。放送局5680から各家庭のTV5600に放送データを送信するとき、エンコーダによって放送データの圧縮が行われ、アンテナ5650が当該放送データを受信したとき、TV5600に含まれる受信装置のデコーダによって当該放送データの復元が行われる。人工知能を利用することによって、例えば、エンコーダの圧縮方法の一である動き補償予測において、表示画像に含まれる表示パターンの認識を行うことができる。また、人工知能を利用したフレーム内予測等を行うこともできる。また、例えば、解像度の低い放送データを受信して、解像度の高いTV5600で当該放送データの表示を行うとき、デコーダによる放送データの復元において、アップコンバート等の画像の補間処理を行うことができる。
【0452】
上述した人工知能を利用した放送システムは、放送データの量が増大する超高精細度テレビジョン(UHDTV:4K、8K)放送に対して好適である。
【0453】
また、TV5600側における人工知能の応用として、例えば、TV5600に人工知能を有する録画装置を設けてもよい。このような構成にすることによって、当該録画装置にユーザの好みを人工知能に学習させることで、ユーザの好みにあった番組を自動的に録画することができる。
【0454】
本実施の形態で説明した電子機器、その電子機器の機能、人工知能の応用例、その効果等は、他の電子機器の記載と適宜組み合わせることができる。
【0455】
本実施の形態に示す構成、方法等は、他の実施の形態に示す構成、構造、方法等と適宜組み合わせて用いることができる。
【符号の説明】
【0456】
60:セル、61:セル、100:容量素子、100_1:容量素子、100_2:容量素子、100a:容量素子、100a_1:容量素子、100a_2:容量素子、100b:容量素子、100b_1:容量素子、100b_2:容量素子、200:トランジスタ、200_1:トランジスタ、200_2:トランジスタ、200a:トランジスタ、200a_1:トランジスタ、200a_2:トランジスタ、200b:トランジスタ、200b_1:トランジスタ、200b_2:トランジスタ、204:導電体、204_1:導電体、204_2:導電体、204a:導電体、204a_1:導電体、204a_2:導電体、204b:導電体、204b_1:導電体、204b_2:導電体、205:導電体、205_1:導電体、205_2:導電体、205_3:導電体、205a:導電体、205a_1:導電体、205a_2:導電体、205a_3:導電体、205b:導電体、205b_1:導電体、205b_2:導電体、205b_3:導電体、206:導電体、206_1:導電体、206_2:導電体、206A_1:導電膜、207:導電体、207_1:導電体、207_2:導電体、207_3:導電体、208:導電体、210:絶縁体、211:絶縁体、212:絶縁体、214:絶縁体、216:絶縁体、216_1:絶縁体、216_2:絶縁体、216_3:絶縁体、218:導電体、222:絶縁体、222_n:絶縁体、222_1:絶縁体、222_2:絶縁体、222_3:絶縁体、224:絶縁体、224_1:絶縁体、224_2:絶縁体、230:酸化物、230a:酸化物、230a_1:酸化物、230a_2:酸化物、230A_1:酸化膜、230b:酸化物、230b_1:酸化物、230b_2:酸化物、230B:酸化膜、230B_1:酸化膜、230c:酸化物、230c_1:酸化物、230c_2:酸化物、231_1:開口、231_2:開口、232_1:開口、233:開口、233_1:開口、233_2:開口、234_1:開口、234_2:開口、240:導電体、240_1:導電体、240_2:導電体、241:導電体、242:導電体、242a:導電体、242a_1:導電体、242a_2:導電体、242A_1:導電体、242Aa_1:導電膜、242b:導電体、242b_1:導電体、242b_2:導電体、242c:導電体、244:導電体、244_1:導電体、244_2:導電体、247:導電体、247_1:導電体、247_2:導電体、247A_1:導電膜、248:導電体、248_1:導電体、248_2:導電体、250:絶縁体、250_1:絶縁体、250_2:絶縁体、260:導電体、260_1:導電体、260_2:導電体、260a:導電体、260a_1:導電体、260a_2:導電体、260b:導電体、260b_1:導電体、260b_2:導電体、272:絶縁体、272_1:絶縁体、272_2:絶縁体、273:絶縁体、273_1:絶縁体、273_2:絶縁体、274:絶縁体、274_1:絶縁体、274_2:絶縁体、275_1:絶縁体、275_2:絶縁体、276:絶縁体、276_1:絶縁体、280:絶縁体、280_1:絶縁体、280_2:絶縁体、282:絶縁体、282_1:絶縁体、282_2:絶縁体、283:絶縁体、284:絶縁体、285:絶縁体、285_1:絶縁体、285_2:絶縁体、287:絶縁体、300:トランジスタ、311:基板、313:半導体領域、314a:低抵抗領域、314b:低抵抗領域、315:絶縁体、316:導電体、320:絶縁体、322:絶縁体、324:絶縁体、326:絶縁体、328:導電体、330:導電体、350:絶縁体、352:絶縁体、354:絶縁体、356:導電体、430:導電体、600:セルアレイ、600_1:セルアレイ、600_2:セルアレイ、600_n:セルアレイ、700:電子部品、702:プリント基板、704:実装基板、711:モールド、712:ランド、713:電極パッド、714:ワイヤ、730:電子部品、731:インターポーザ、732:パッケージ基板、733:電極、735:半導体装置、901:境界領域、902:境界領域、1000:記憶装置、1100:USBメモリ、1101:筐体、1102:キャップ、1103:USBコネクタ、1104:基板、1105:メモリチップ、1106:コントローラチップ、1110:SDカード、1111:筐体、1112:コネクタ、1113:基板、1114:メモリチップ、1115:コントローラチップ、1150:SSD、1151:筐体、1152:コネクタ、1153:基板、1154:メモリチップ、1155:メモリチップ、1156:コントローラチップ、1400:記憶装置、1411:周辺回路、1420:行回路、1430:列回路、1440:出力回路、1460:コントロールロジック回路、1470:メモリセルアレイ、1471:メモリセル、1472:メモリセル、1473:メモリセル、5200:携帯ゲーム機、5201:筐体、5202:表示部、5203:ボタン、5300:デスクトップ型情報端末、5301:本体、5302:ディスプレイ、5303:キーボード、5500:情報端末、5510:筐体、5511:表示部、5600:TV、5650:アンテナ、5670:電波塔、5675A:電波、5675B:電波、5680:放送局、5700:自動車、5701:表示パネル、5702:表示パネル、5703:表示パネル、5704:表示パネル、5800:電気冷凍冷蔵庫、5801:筐体、5802:冷蔵室用扉、5803:冷凍室用扉