(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】マイクロ流体回転子デバイスを検査するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01N 35/00 20060101AFI20240419BHJP
G01N 21/59 20060101ALI20240419BHJP
G01N 21/27 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
G01N35/00 F
G01N35/00 C
G01N21/59 Z
G01N21/27 A
(21)【出願番号】P 2021507892
(86)(22)【出願日】2019-08-22
(86)【国際出願番号】 US2019047634
(87)【国際公開番号】W WO2020041554
(87)【国際公開日】2020-02-27
【審査請求日】2022-07-22
(32)【優先日】2018-08-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100101373
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】シャートル,ロバート・ジャスティス
(72)【発明者】
【氏名】トリガブ,グレゴリー
【審査官】草川 貴史
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-133805(JP,A)
【文献】特開2004-167840(JP,A)
【文献】特開2017-078980(JP,A)
【文献】特開2014-011974(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 35/00-37/00
G01N 1/00-1/44
G01N 33/48-33/98
G01N 21/59
G01N 21/27
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ流体回転子を検査する方法であって、
前記マイクロ流体回転子を撮像デバイスに位置整合させることであって、前記マイクロ流体回転子が、第1の層と、該第1の層に連結された第2の層とによって集合的に画定されるウェルセットを含み、前記第1の層が、赤外線放射に対して実質的に透明であり、前記第2の層が、チャネルを画定し、前記第2の層が、前記赤外線放射に対して実質的に吸収性であり、前記マイクロ流体回転子が、前記第2の層に連結された第3の層をさらに含み、流体を受け取るように構成された開口部を画定し、前記第3の層が、前記赤外線放射に対して実質的に透明である、前記位置整合させることと、
前記撮像デバイスを使用して前記マイクロ流体回転子の画像セットを生成することと、
前記画像セットに基づいて結合情報を生成することであって、前記結合情報が、生成された画像セットの撮像データと基準データセットとの間で実施された比較の結果を含み、前記結合情報が、前記第2の層と前記第3の層との間に形成された縁部セットおよびギャップを含む、生成することと、
前記結合情報を使用して前記マイクロ流体回転子の溶接部品質を分類することと、を含む、方法。
【請求項2】
前記画像セットが、前記マイクロ流体回転子の平面図、前記マイクロ流体回転子の底面図、側面図、および前記マイクロ流体回転子の斜め図のうちの1つ以上を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記画像セットの前記生成することが、前記マイクロ流体回転子を照明することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記マイクロ流体回転子の前記照明することが、拡散軸方向照明を採用することを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記マイクロ流体回転子を前記分類することが、前記マイクロ流体回転子中の欠陥セットの数、サイズ、形状、および場所のうちの1つ以上を識別することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記マイクロ流体回転子を前記分類することが、不合格、許容可能、発売の制限、および二次検査の必要性、のうちの1つ以上を含む回転子分類セットを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記マイクロ流体回転子を前記位置整合することが、前記撮像デバイスを前記マイクロ流体回転子に対して実質的に平行に配向することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記マイクロ流体回転子を前記位置整合することが、前記撮像デバイスを前記マイクロ流体回転子に対して実質的に垂直に配向することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
マイクロ流体回転子を検査する方法であって、
前記マイクロ流体回転子を撮像デバイスに位置整合させることであって、前記マイクロ流体回転子が、第1の層と、該第1の層に連結された第2の層によって集合的に画定されるウェルセットを含み、前記第1の層が、赤外線放射に対して実質的に透明であり、前記第2の層が、チャネルを画定し、前記第2の層が、前記赤外線放射に対して実質的に吸収性であり、前記マイクロ流体回転子が、前記第2の層に連結された第3の層をさらに含み、流体を受け取るように構成された開口部を画定し、前記第3の層が、前記赤外線放射に対して実質的に透明であり、前記ウェルセットの1つ以上のウェルが、
凍結乾燥試薬を含み、チャネルが前記開口部と前記ウェルセットとの間に流体連通路を確立する、位置整合させることと、
前記撮像デバイスを使用して試薬画像セットを生成することと、
前記試薬画像から
凍結乾燥試薬情報を生成することであって、前記
凍結乾燥試薬情報は、生成された試薬画像セットの撮像データと基準データセットとの間で実施された比較の結果を含み、前記
凍結乾燥試薬情報が、前記
凍結乾燥試薬の形状およびサイズを含む、生成することと、
前記
凍結乾燥試薬情報を使用して試薬品質を分類することと、を含む、方法。
【請求項10】
前記試薬画像セットが、
前記ウェル内の前記
凍結乾燥試薬
を前記ウェルの上面から見たときの平面図、
前記ウェル内の前記
凍結乾燥試薬
を前記ウェルの底面から見たときの底面図、および
前記ウェル内の前記
凍結乾燥試薬
を前記ウェルの側面から見たときの側面図のうちの1つ以上を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記試薬画像を生成するときに前記
凍結乾燥試薬を照明することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記
凍結乾燥試薬を前記照明することが、拡散軸方向照明を採用することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記マイクロ流体回転子を前記位置整合することが、前記撮像デバイスを前記マイクロ流体回転子に対して実質的に平行に配向することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
前記マイクロ流体回転子を前記位置整合することが、前記撮像デバイスを前記マイクロ流体回転子に対して実質的に垂直に配向することを含む、請求項9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
被験者からの流体の分析は、疾患の診断ツールとして、および被験者の健康を監視するために使用され得る。例えば、被験者の血液試料の分析は、疾患を診断するために使用され得、および/または試料内の1つ以上の分析対象物を定量化するために使用され得る。いくつかのシステムは、回転子に適用される血液試料を光学的に分析し、回転子は、キュベットセット内に配設された試薬セットを含む。従来の回転子内の1つ以上の回転子溶接部、試料、および試薬の検査は、困難であり得、および/または時間がかかり得る。その上、遠心分離を受ける回転子は、回転子内の非対称流体流の不均衡な性質に起因して、不所望な高デシベルノイズを生成し得る。したがって、流体分析を実施するための追加のデバイス、システム、および方法が望ましい場合がある。
【発明の概要】
【0002】
一般に、方法は、装置を撮像デバイスに位置整合させることを含む。装置は、第2の層に連結された第1の層によって画定されるウェルセットを含み得る。第1の層は、赤外線放射に対して実質的に透明であり得る。第2の層は、チャネルを画定し得る。第2の層は、赤外線放射に対して実質的に吸収性であり得る。装置は、第2の層に連結された第3の層をさらに含み、流体を受け取るように構成された開口部を画定し得る。第3の層は、赤外線放射に対して実質的に透明であり得る。装置の画像セットが、撮像デバイスを使用して生成され得る。結合情報が、画像セットに基づいて生成され得る。結合情報は、第2の層と第3の層との間に形成された縁部セットおよびギャップを含み得る。装置の溶接部品質が、結合情報を使用して分類され得る。
【0003】
いくつかの実施形態では、画像セットが、装置の平面図、装置の底面図、装置の側面図、および装置の斜め図のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、画像セットが生成されることは、装置を照明することをさらに含み得る。これらの実施形態のうちのいくつかでは、装置を照明することは、拡散軸方向照明を採用することを含み得る。いくつかの実施形態では、装置を分類することは、装置中の欠陥セットの数、サイズ、形状、および場所のうちの1つ以上を識別することをさらに含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、装置を分類することは、不合格、許容可能、発売の制限、および二次検査の必要性、のうちの1つ以上を含む回転子分類セットを含み得る。いくつかの実施形態では、装置を位置整合させることは、撮像デバイスを装置に対して実質的に平行に配向することを含み得る。いくつかの実施形態では、装置を位置整合させることは、撮像デバイスを装置に対して実質的に垂直に配向することを含み得る。
【0004】
いくつかの実施形態では、方法は、装置を撮像デバイスに位置整合させることを含み得る。装置は、第2の層に連結された第1の層によって画定されるウェルセットを含み得る。第1の層は、赤外線放射に対して実質的に透明であり得る。第2の層は、チャネルを画定し得る。第2の層は、赤外線放射に対して実質的に吸収性であり得る。装置は、第2の層に連結された第3の層をさらに含み、流体を受け取るように構成された開口部を画定し得る。第3の層は、赤外線放射に対して実質的に透明であり得る。ウェルセットの1つ以上のウェルが、試薬を含み得る。試薬画像セットが、撮像デバイスを使用して生成され得る。試薬情報が、試薬画像から生成され得る。試薬情報は、試薬の形状およびサイズを含み得る。試薬品質が、試薬情報を使用して分類され得る。
【0005】
いくつかの実施形態では、試薬画像セットは、試薬の平面図、試薬の底面図、および試薬の側面図のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、試薬は、試薬画像を生成するときに照明され得る。いくつかの実施形態では、試薬は、拡散軸照明を採用することによって照明され得る。いくつかの実施形態では、試薬品質を分類することは、装置中の試薬の数、サイズ、形状、色、および場所のうちの1つ以上を識別することを含む。これらの実施形態のうちのいくつかでは、試薬品質を分類することは、不合格、許容可能、発売の制限、および二次検査の必要性、のうちの1つ以上を含む回転子分類セットを含む。いくつかの実施形態では、装置を位置整合させることは、撮像デバイスを装置に対して実質的に平行に配向することを含む。いくつかの実施形態では、装置を位置整合させることは、撮像デバイスを装置に対して実質的に垂直に配向することを含む。試薬は、凍結乾燥試薬であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1A】実施形態による、回転子の例示的な平面図である。
【
図2A】他の実施形態による、回転子アセンブリの例示的な分解図である。
【
図2B】
図2Aに描示された回転子アセンブリの別の例示的な分解図である。
【
図2C】
図2Aに描示された回転子アセンブリの例示的な組み立て斜視図である。
【
図3A】他の実施形態による、回転子の断面側面図である。
【
図3B】
図3Aに描示された回転子のウェルの詳細な断面側面図である。
【
図4A】実施形態による、回転子のウェルセットおよび反射器セットの詳細な平面図である。
【
図4B】実施形態による、回転子のインレットおよびチャネルの詳細な平面図である。
【
図5A】実施形態による、回転子の弧状空洞の詳細な平面図である。
【
図5B】
図5Aに描示された弧状空洞の詳細な断面側面図である。
【
図6】実施形態による、回転子のチャネルの詳細な平面図である。
【
図7A】他の実施形態による、回転子アセンブリの例示的な分解図である。
【
図7B】
図7Aに描示された回転子アセンブリの層の詳細な斜視図である。
【
図8A】他の実施形態による、流体分析システムのブロック図である。
【
図8B】
図8Aに描示された流体分析システムの制御システムのブロック図である。
【
図9】実施形態による、回転子を使用する方法の例示的なフローチャートである。
【
図10A】実施形態による、回転子の製造方法の例示的なフローチャートである。
【
図10B】回転子をマルチショット射出成形する方法の例示的なフローチャートである。
【
図11A】
図10Bの方法に描示されたステップの例示的な斜視図であり、金型閉鎖および注入プロセスを描示する。
【
図11B】
図10Bの方法に描示されたステップの例示的な斜視図であり、金型開放プロセスを描示する。
【
図11C】
図10Bの方法に描示されたステップの例示的な斜視図であり、金型回動プロセスを描示する。
【
図11D】
図10Bの方法に描示されたステップの例示的な斜視図であり、金型閉鎖および注入プロセスを描示する。
【
図11E】
図10Bの方法に描示されたステップの例示的な斜視図であり、金型開放プロセスを描示する。
【
図11F】
図10Bの方法に描示されたステップの例示的な斜視図であり、金型回動および回転子取り出しプロセスを描示する。
【
図12】実施形態による、回転子を検査する方法の例示的なフローチャートである。
【
図13A】実施形態による、回転子の例示的な画像である。
【
図14A】実施形態による、回転子のウェル中の試薬の例示的な側面図画像である。
【
図14B】実施形態による、回転子のウェル中の試薬の例示的な平面図画像である。
【
図15A】実施形態による、容器の例示的な側面図である。
【
図16】実施形態による、溶接部ネストの例示的な斜視図である。
【
図17】実施形態による、フォトマスクハウジングの例示的な分解斜視図である。
【
図18】実施形態による、回転子製造システムの例示的な斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本明細書には、回転子デバイス、システム、およびその使用方法の実施形態が記載される。これらのシステムおよび方法を使用して、生体試料を特性化および/または定量化し、被験者の健康の評価および/または状態の診断を可能にし得る。例えば、本明細書に記載された回転子は、生体流体の光学分析のために、特に、回転子を使用して細胞材料から血液血漿を分離した後に血液血漿を分析するために構成され得る。より具体的には、回転子は、全血から血漿を分離し、および/または希釈液を添加して、所望に応じて試料を希釈し、それらを、それらの内容物の光学分析のために構成された別個のウェル(例えば、キュベット)に配分するように構成され得る。各ウェルは、ウェル中の試料の生化学分析を補助し得る1つ以上の物質を含有し得る。試料は、ウェルのうちの1つ以上内の試薬のうちの1つ以上と化合し得る。試料と試薬との間の生化学反応は、検出および分析され得る光ビームに曝露されると光学的効果を生じ得る。例えば、各ウェル中の流体を光学的に分析しながら回転子が回転する際にウェルセットに試料を充填することによって、試料は、分光光度計、フルオロメータ、光検出器、それらの組み合わせなどのうちの1つ以上によって測定され得る、色、蛍光、発光、それらの組み合わせなどのうちの1つ以上の変化をもたらす反応または他の変化を受け得る。
【0008】
本明細書に詳細に記載された回転子(100、200、300、400、500、600、700)の各々は、血液、血清、血漿、尿、痰、精液、唾液、眼球レンズ液、脳脊髄液、脊髄液、羊水、および組織培養培地、ならびに食品および工業用化学物質、それらの組み合わせなどのうちの1つ以上を含有し得るが、これらに限定されない全血を含む試料を受け取り得る。本明細書に記載されるような回転子(100、200、300、400、500、600、700)のうちのいずれも、好適な流体分析システム(例えば、光学分析器)と共に使用され得る。
【0009】
本明細書に開示されたデバイスは、多岐にわたる分析手順およびアッセイを実施するのに好適であり得る。分析手順は、試料を1つ以上の試薬と化合させることにより、試料の特定の成分(分析対象物)の存在および/もしくは量または特性に関連し得るいくつかの検出可能な変化が生じ得るように、1つ以上の試薬と化合し得るいくつかの検出可能な変化が生じることを必要とし得る。例えば、試料は、分光光度計、フルオロメータ、光検出器などによって測定され得る、色、蛍光、発光などの色の変化をもたらす反応または他の変化を受け得る。いくつかの場合では、このようなアッセイ手順は、一様であって分離ステップを必要としないことが可能である。他の場合では、アッセイ手順は、試料(例えば、血液血漿)を、免疫学的反応が発生した後に空洞またはウェルから分離し得る。特定の試料が分析され、かつ特定の成分が検出されることに応じて、任意の数の分析方法が、本明細書に開示された遠心分離回転子デバイスでの使用に適合され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、回転子デバイス、試薬、システム、および方法は、1990年6月4日に出願され、「APPARATUS AND METHOD FOR SEPARATING CELLS FROM BIOLOGICAL FLUIDS」と題された米国特許出願第07/532,524号、および/または1991年4月1日に出願され、「APPARATUS AND METHOD FOR OPTICALLY ANALYZING BIOLOGICAL FLUIDS」と題された米国特許出願第07/678,824号、および/または1991年4月1日に出願され、「CENTRIFUGAL ROTOR HAVING FLOW PARTITION」と題された米国特許出願第07/678,823号、および/または1991年8月19日に出願され、「REAGENT COMPOSITIONS FOR ANALYTICAL TESTING」と題された米国特許出願第07/747,179号、および/または1992年2月11日に出願され、「REAGENT CONTAINER FOR ANALYTICAL ROTOR」と題された米国特許出願第07/833,689号、および/または1991年10月29日に出願され、「SAMPLE METERING PORT FOR ANALYTICAL ROTOR HAVING OVERFLOW CHAMBER」と題された米国特許出願第07/783,041号、および/または1992年4月24日に出願され、「CRYOGENIC APPARATUS」と題された米国特許出願第07/873,327号、および/または1993年9月1日に出願され、「SIMULTANEOUS CUVETTES FILLING WITH MEANS TO ISOLATE CUVETTES」と題された米国特許出願第08/115,163号、および/または1993年9月20日に出願され、「ANALYTICAL ROTOR WITH DYE MIXING CHAMBER」と題された米国特許出願第08/124,525号、および/または1995年12月26日に出願され、「METHODS FOR PHOTOMETRIC ANALYSIS」と題された米国特許出願第08/292,558号、および/または1994年12月6日に出願され、「METHOD AND DEVICE FOR ULTRASONIC WELDING」と題された米国特許出願第08/350,856号、および/または2004年5月5日に出願され、「MODIFIED SIPHONS FOR IMPROVING METERING PRECISION」と題された米国特許出願第10/840,763号、および/または2017年6月27日に出願され、「DEVICES WITH MODIFIED CONDUITS」と題された国際特許出願第PCTUS2017/039460号に記載されたデバイス、システム、コンポーネント、要素、組成物、およびステップのうちの1つ以上を含み得、その各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0011】
I.デバイス
本明細書には、記載された様々なシステムのいくつかの実施形態で使用され得るデバイスが記載される。本明細書に記載されたような回転子は、空洞およびウェルのセットを含み得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の物質(例えば、試薬、凍結乾燥試薬)が、試料分析を容易にするために、回転子の1つ以上のウェル中に配設され得る。例えば、試薬は、輸送および保管中に安定かつ無変化のままであり得る乾燥した形態で提供され得る。いくつかの実施形態では、回転子は、生体試料(例えば、全血)から細胞成分を分離すること、所定の体積の液体試料(例えば、血漿)を測定すること、試料を所定の希釈剤と混合すること、および光学分析のために希釈された試料をウェルセットに送達することのうちの1つ以上を提供するように構成された開口部、チャネル、空洞、導管、ウェル、および/または他の構造を画定し得る。ウェルセットに送達される流体は、流体内の1つ以上の分析対象物の特性化および定量化を補助し得るウェルセット内で1つ以上の反応を受け得る。試料は、事前の反応の有無にかかわらず、回転子中に存在しながら光学的に分析され得る。
【0012】
装置は、流体分析システムと共に使用して試料の特性を定量化および分析するように構成され得る。例えば、回転子が回転している間に、各ウェルの光学測定(例えば、吸光度)が実施され得る。所定の波長の光ビームが、ウェルセットを通り抜けるように誘導され得る。この光は、試薬と流体試料の成分との間の反応の生成物によって部分的に吸収され得る。光が吸収される程度は、流体試料中の反応生成物の濃度に依存し得る。ウェルを透過する光の強度を基準強度と比較することによって、流体と試薬との間の所与の反応生成物の濃度が計算され得る。反応生成物の濃度を使用して、試料流体中の対応する成分の濃度を計算し得る。
【0013】
回転子
いくつかの実施形態では、回転子は、試料分析を補助するように構成された1つ以上の特徴を含み得る。特に、回転子は、1つ以上の実質的に透明な層と、赤外線放射に対して実質的に吸収性である別の層(例えば、不透明な層)と、を含み得る。例えば、不透明な層は、色が黒であり得るカーボンブラックおよびアクリル化合物を構成要素とし得る。この組み合わせによって形成された不透明度は、透明な回転子とは違って、回転子中に配置された生体試料との一貫したコントラスト背景を提供し得る。これは、ユーザ(例えば、オペレータ、技術者)が、回転子中の試料を適用および検証すること、ならびに異なる層の回転子溶接部の検査を補助し得る。その上、回転子層は、製造サイクル時間を低減し、かつ回転子の品質を改善し得るレーザ溶接技術を使用して、合わせて連結され得る。例えば、レーザ溶接は、溶接部の一貫性を増加させ、回転子形状(例えば、回転子の平坦度)を改善し得る。
【0014】
図1Aは、回転子(100)の例示的な平面図である一方、
図1Bは、回転子(100)の例示的な底面図である。回転子(100)は、実質的に透明な第1の層(101)を含み得、第2の層(102)の第1の面(例えば、下面)が、第1の層(101)に連結されている。第1の層(101)および第2の層(102)は、ウェル(130)セットを集合的に画定し得る。例えば、ウェル(130)セットの各ウェルの少なくとも基部部分(例えば、底部部分)は、第1の層(101)によって形成され得る。ウェル(130)セットの基部部分とは反対側の各ウェルの開口部(例えば、上部部分)は、第2の層(102)によって画定され得る。ウェル(130)セットの各ウェルの側壁は、概して円筒形であり得、第1の層(101)、第2の層(102)、またはそれらのいくつかの組み合わせのいずれかによって形成され得る。いくつかの実施形態では、ウェル(130)セットの各ウェルは、約1.0mm~約10mmの深さ、および約5mm以下の直径を有し得る。いくつかの実施形態では、回転子(100)は、5個のウェル~50個のウェルを含み得る。いくつかの実施形態では、ウェル(130)セットの各ウェルは、約1μL~約40μLの容積を画定し得る。いくつかの実施形態では、ウェル(130)セットの隣接するウェルは、約1mm~約30mmだけ離間し得る。回転子のウェルセットは、
図3A~
図3Bに関してより詳細に記載される。
図1Aでは、第2の層(102)は、第1の層(101)よりも上に配設されて示される。
【0015】
いくつかの実施形態では、第2の層(102)の少なくとも一部分は、赤外線放射に対して実質的に吸収性であり得る。例えば、第2の層(102)は、不透明(例えば、黒)であり得、これは、明確化のために図面に例示されない。同様に、明確化のために、本明細書に記載された回転子のいずれの透明部分の透明度も、描示されない。いくつかの実施形態では、第2の層(102)の少なくとも一部分は、中間赤外線放射および近赤外線放射の少なくとも1つに対して実質的に吸収性であり得る。赤外線放射は、約700nm~約1mmの波長を有し得る。中間赤外線放射は、約3μm~約8μmの波長を有し得る。近赤外線放射は、約0.75μm~約1.4μmの波長を有し得る。可視光は、約400nm~約700nmの波長を有し得る。紫外線は、約10nm~約400nmの波長を有し得る。いくつかの実施形態では、第2の層(102)の少なくとも一部分は、少なくとも940nmの波長の放射に対して実質的に吸収性であり得る。
【0016】
本明細書で使用される場合、用語「透明な」、「透明度」、およびそれらの変化形は、その層を通した約10%以上の(レーザ溶接のためなどの)化学的に重要な所定の波長および/または波長範囲での光透過と理解され得る一方、用語「不透明な」、「不透明度」、「不透明さ」、およびそれらの変化形は、その層を通した約10%以下の所定の波長および/または波長範囲での光透過を含み得る。例えば、アクリルは、約90%のUV波長透過を提供する際に、一般に透明であると見なされ得る。レーザ溶接を使用して形成された透明なプラスチックは、それらプラスチックの波長透明度を保持し得る。さらに、材料の不透明さは、所定の波長および/または所定の波長範囲でのエネルギー吸収に対応し得る。本明細書で使用される場合、赤外線放射に対して実質的に吸収性の材料は、(所定の波長範囲およびパワー範囲の)赤外線放射を吸収して所定の期間内に材料を固相から溶融相に遷移させ得る材料に対応する。
【0017】
第1の層(101)および第2の層(102)は、本明細書でより詳細に記載されるように、回転子(100)の他の構造(例えば、空洞、チャネル、穴、突起、突出)をさらに集合的に画定し得る。例えば、第2の層(134)は、弧状空洞(110、112、114)セット、チャネル(120、122)セット、インレット(132、134)セット、および反射器(140)セットの1つ以上の部分を画定し得る。いくつかの実施形態では、チャネル(120、122)セットは、弧状空洞(110)とウェル(130、150、152)セットとの間の流体連通路を確立し得る。
【0018】
ウェル(130)セットの各ウェルは、それぞれのインレット(132、134)によってチャネル(120)に連結され得る。ウェル(130)セットの各ウェルは、直列に充填されるように構成され得る。すなわち、回転子(100)は、高密度直列充填キュベットセットを含み得る。いくつかの実施形態では、インレットセットの各インレットは、同じ寸法を有し得る。他の実施形態では、インレットセットの各インレットは、異なる寸法を有し得る。例えば、第1のインレット(132)セットの幅は、第2のインレット(134)セットの幅よりも小さいことが可能である。異なるインレット寸法により、ウェル(130)の各々が、回転する回転子(100)の異なる速度において(すなわち、加速度に起因して)、流体を充填することが可能になる。第2のインレット(134)セットのより広い幅は、本明細書でより詳細に記載されるように、比較的低い回転数/分(例えば、約4,000RPM未満)で、一方向の液体と反対方向のガスとの双方向流を収容するように構成され得る。いくつかの実施形態では、インレットセットの幅は、約0.25mm~約3.0mmであり得、インレットセットの長さは、約0.5mm~約6.0mmであり得、インレットセットの深さは、約0.1mm~約0.25mmであり得る。
【0019】
いくつかの実施形態では、弧状空洞(112、114)は、それぞれの計量チャンバおよび混合チャンバに対応し得る。例えば、希釈液は、希釈カップが開封された後に、計量チャンバ(112)中に受容および保持され得る。混合チャンバ(114)は、それらの空洞の各々からの流体が混合チャンバ(114)(例えば、試料および希釈剤)内で化合し得るように、計量チャンバ(112)および弧状空洞(110)に連結されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、ウェルセットは、試料チェックウェル(150)および赤血球(RBC)ウェル(152)を含み得る。試料チェックウェル(150)は、十分な試料が回転子(100)の中に投入されたかどうかのゲージとして使用され得る。例えば、未充填であるか、または不完全に充填された試料チェックウェル(150)は、流体分析を実施するには不十分な試料が回転子(100)の中に挿入されたことを示し得る。RBCウェル(152)は、試料の赤血球を受容および保持するように構成され得る。例えば、全血試料が、RBCウェル(152)中に保持される赤血球と、ウェル(130)セットを充填し得る血漿と、に分離され得る。
【0020】
いくつかの実施形態では、第1の層(101)は、紫外線、可視光、および赤外線放射のうちの1つ以上に対して実質的に透明であり得る。いくつかの実施形態では、第1の層(101)および第2の層(102)は、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、および紫外線に対して透明な他の材料のうちの1つ以上を独立して構成要素とし得る。
【0021】
いくつかの実施形態では、第2の層(102)は、少なくとも約0.1重量%の、有機顔料および無機顔料のうちの少なくとも1つを含み得る。例えば、第2の層(102)は、約0.2重量%~約0.4重量%のカーボンブラックを含み得る。
【0022】
有機顔料は、カーボンブラックおよびレーザ吸収組成物を含み得る。カーボンブラックは、約500nm~約2200nmの吸収範囲を有し得る。カーボンブラックは、濃度(例えば、940nmで約0.1重量%以上)に基づいて、約10μm~約100μmの近赤外線放射波長の光浸透深さを有し得る。いくつかの実施形態では、レーザ吸収組成物は、約700nm~約8μmの放射に対して実質的に吸収性であり得る。例えば、Clearweld(登録商標)およびLumogen(登録商標)は、約700nm~約1100nmの吸収範囲を有し得る。
【0023】
無機顔料は、リン酸銅および酸化インジウムスズ(ITO)を含み得る。リン酸銅は、約900nm~約1600nmの吸収範囲を有し得る。ITOは、約1000nmを上回る吸収範囲を有し得る。
【0024】
本明細書に記載されたような回転子デバイスは、回転のために遠心分離機などのシステム上に取り付けられるように構成された開口部(例えば、レセプタクル)を含み得る。遠心分離機は、例えば、回転子が取り付けられ得る垂直駆動シャフトを含み得る。ただし、回転子は、回転子設計および回転子内の流体流のうちの1つ以上に起因する固有のまたは残存するインバランスを有し得る。例えば、生体試料は、遠心分離プロセスの間中、回転子の異なる空洞、チャンバ、およびチャネルを通って流れるように構成され得る。いくつかの場合では、回転子は、流体がウェルセットに充填されるときに一般にバランスするように構成され得るが、試料が保持チャンバ(例えば、弧状空洞)中に投入および保持されると、アンバランスになり得る。したがって、回転子は、遠心分離プロセスの間中、ポイントオブケア設定での回転子使用の所望性を低減し得る不所望なノイズを生成し得る。
【0025】
図1Bに示されるように、第2の層(102)の第1の面(例えば、下面、底面)は、弧状突起(160)セットおよび穴(180)を含み得る。弧状突起(160)セットは、回転子(100)の中心から回転子(100)の質量中心をずらすように構成された所定の形状、数、位置、および質量分布を有し得る。これに加えて、またはこれに代えて、第2の層(102)は、所定の形状、数、位置、および容積を有する凹状部分(162)セットを含み得る。例えば、凹状部分(162)および弧状突起(160)のセットは、弧状形状、放射状形状、長尺形状、分割形状、および直線形状のうちの1つ以上を有し得る。いくつかの実施形態では、凹状部分(162)セットは、平行かつ弧状であり得る。いくつかの実施形態では、回転子の質量中心は、回転子の中心から最大約0.5mmの間にあるように構成され得る。このようにして、回転子の質量中心は、遠心分離プロセスの間中、流体流を有する回転子の質量中心に近づき得る。これは、特に異なる遠心速度下で、回転子(100)の遠心分離中の全体的なノイズ低減を補助し得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、第1の層(101)および/または第2の層(102)は、本明細書により詳細に記載されるように、射出成形(例えば、マルチショット成形)および/または機械加工を使用して形成され得る。いくつかの実施形態では、第1の層(101)および/または第2の層(102)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤(例えば、接着テープ)、および/または溶剤結合のうちの1つ以上を使用して、回転子(100)の他の層に結合され得る。
【0027】
例えば、レーザ溶接は、半導体ダイオードレーザ、固体Nd:YAGレーザ、およびファイバレーザのうちの1つ以上を使用し得る。ダイオードレーザは、約800nm~約2000nm(例えば、約940nm、約980nm)の波長を有する光ビームを生成し得る。Nd:YAGレーザは、約1064nmの波長を有する光ビームを生成し得る。ファイバレーザは、約1030nm~約1620nmの波長を有する光ビームを生成し得る。
【0028】
いくつかの実施形態では、回転子(100)は、中間のすべての値およびサブ範囲を含む、約40mm~約120mmの直径、および約10mm~約30mmの厚さを有し得る。
【0029】
図2Aおよび
図2Bは、他の実施形態による、回転子アセンブリ(200)の例示的な分解図である。回転子アセンブリ(200)は、本明細書に記載されるように、回転子(100、300、400、500、600、700)と構造的および/または機能的に類似する回転子を含み得る。例えば、回転子アセンブリ(200)は、第2の層(202)の第1の面(例えば、下面)に連結された実質的に透明な第1の層(201)を含み得る。第1の層(201)および第2の層(202)は、ウェル(230)セットを集合的に画定し得る。いくつかの実施形態では、第2の層(202)の少なくとも一部分は、赤外線放射に対して実質的に吸収性であり得る。いくつかの実施形態では、第2の層(202)の少なくとも一部分は、中間赤外線放射および近赤外線放射のうちの1つ以上に対して実質的に吸収性であり得る。例えば、第2の層(202)の少なくとも一部分は、少なくとも940nmの波長の放射に対して実質的に吸収性であり得る。第1の層(201)および第2の層(202)は、本明細書でより詳細に記載されるように、回転子(200)の他の構造(例えば、空洞、チャネル、穴、突起、突出)をさらに集合的に画定し得る。例えば、第2の層(102)は、弧状空洞(210)およびチャネル(220)セットの1つ以上の部分を画定し得る。いくつかの実施形態では、チャネル(220)セットは、弧状空洞(210)とウェル(230)セットとの間の流体連通路を確立し得る。
【0030】
いくつかの実施形態では、第2の層(202)は、少なくとも約0.1重量%のカーボンブラックを含み得る。例えば、第2の層(202)は、約0.2重量%~約0.4重量%のカーボンブラックを含み得る。いくつかの実施形態では、第1の層(201)および/または第2の層(202)は、本明細書でより詳細に記載されるように、射出成形(例えば、マルチショット成形)および/または機械加工を使用して形成され得る。いくつかの実施形態では、第1の層(201)および/または第2の層(202)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤(例えば、接着テープ)、および/または溶剤結合のうちの1つ以上を使用して、回転子(200)の他の層に結合され得る。例えば、レーザ溶接は、半導体ダイオードレーザ、固体Nd:YAGレーザ、およびファイバレーザのうちの1つ以上を使用し得る。
【0031】
回転子アセンブリ(200)は、第2の層(202)の第2の面(例えば、上面)に連結され得る第3の層(203)を含み得る。第3の層(203)は、血液などの流体を受け取るように構成された開口部(240)を画定し得る。第3の層(203)は、実質的に透明であり得る。チャネル(220)は、開口部(240)とウェル(230)セットとの間の流体連通路を確立し得る。第3の層(203)の開口部(240)は、試料を受け取るように構成され得る。例えば、試料は、ピペット処理され、膜を通して注入され、注がれ得る。開口部(240)は、試料を受け取るための任意の好適な形状および/またはサイズを有し得る。第3の層(203)は、レーザ溶接を使用して第2の層(202)に連結され得る。例えば、レーザ溶接は、半導体ダイオードレーザ、固体Nd:YAGレーザ、およびファイバレーザのうちの1つ以上を使用し得る。
【0032】
いくつかの実施形態では、回転子アセンブリ(200)は、第4の層(204)(例えば、試料ホルダ)を含み得る。回転子は、第4の層(204)によって取り外し可能に保持されて、回転子および/または試料の取り扱い、処理、および識別を補助し得る。回転子に連結された第4の層(204)は、試料の自動処理のために、ユーザによって流体分析システムの中に配置され得る。第4の層(204)は、回転子に物理的支持および保護を提供するのに有用であり得る。
【0033】
第4の層(204)は、第3の層(203)の外表面に連結され得る。例えば、第4の層(204)は、第3の層(203)の対応する穴(296)に嵌入するように構成された突起(294)セット(
図2Bを参照)を含み得る。第4の層(204)は、他の回転子層(201、202、203)に触れることなく、かつ回転子アセンブリ(200)の光学的性質に潜在的に影響を与えることなく、ユーザが把持するための部分(例えば、外周縁および内周縁、縁部)セットを含み得る。第4の層(204)の直径は、回転子の直径よりも大きいことが可能である。第4の層(204)は、ウェル(230)セットを通した妨げられない光透過を可能にし、かつ/または重量を低減するように構成された開口部(292)セットを画定し得る。第4の層は、遠心分離中に回転して回転子の開口部から出る可能性がある試料流体に対するシールドとしてさらに機能し得る。第4の層(204)は、第4の層(204)に対して固定位置に回転子アセンブリ(200)を保持しながら、ウェル(230)セットを通して妨げられない光透過を可能にするように構成され得る。
図2Cは、組み立てられた回転子アセンブリ(200)を描示する。第4の層(204)は、不透明であり得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、第4の層(204)は、バーコード、QRコード(登録商標)、および1つ以上の基準物(例えば、着色/不透明点、ルーラ、スリット、目印、マーカ)、それらの組み合わせなどの1つ以上の識別子(290)を含み得る。例えば、弧状バーコードは、第4の層(204)の外周縁に沿って(例えば、第3の層(203)から離れる方を向くカバー(204)の面上に)配設され得る。識別子は、回転子アセンブリ(200)の識別および処理のために使用され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、第1の層(201)および第3の層(203)は、紫外線、可視光、および赤外線放射のうちの1つ以上に対して実質的に透明であり得る。いくつかの実施形態では、第1の層(201)、第2の層(202)、第3の層(204)、およびカバー(204)は、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレン、およびアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などのうちの1つ以上を独立して構成要素とし得る。
図2A~
図2Cに示されたデバイス(200)は、3つの層を含むが、本明細書に記載された回転子のうちのいずれも、より多くの層またはより少ない層を使用して形成され得ることは理解されるはずである。いくつかの実施形態では、赤外線放射に対して実質的に吸収性の層が、透明な第1の層上に印刷され得る。例えば、カーボンブラックまたはレーザ吸収組成物の層が、透明な第1の層(例えば、本明細書に記載されたウェル、チャネル、および空洞を含む回転子基部)の表面の上に印刷され得る。
【0036】
図3Aは、断面側面図であり、
図3Bは、回転子(300)のウェル(330)の詳細な断面側面図である。回転子(300)は、本明細書に記載されるように、回転子(100、200、400、500、600、700)と構造的および/または機能的に類似し得る。回転子(300)は、第2の層(302)に連結された実質的に透明な第1の層(301)を含み得る。第1の層(301)および第2の層(302)は、ウェル(330)セットを集合的に画定し得る。ウェル(330)セットの各ウェルは、回転子(300)の周囲に沿って形成され得る。例えば、ウェル(330)セットは、回転子(300)の周縁に対して沿設され得る。いくつかの実施形態では、ウェル(330)セットは、本明細書でより詳細に記載されるような概して円筒形の形状を含み得る。例えば、
図3Bに示されるように、各ウェル(330)は、第2の層(302)中の開口部(338)によって画定され得る一方、側壁(334)および基部部分(332)は、第1の層(301)中に形成され得る。これに代えて、いくつかの実施形態では、側壁(334)の1つ以上の部分は、第2の層(302)によって形成され得る。
図3Bの詳細な断面側面図に示されるように、側壁(334)は、第1の側壁部分(335)および第2の側壁部分(336)を含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、ウェルセットの各ウェルの開口部の直径は、ウェルセットの各ウェルの基部の直径よりも大きいことが可能である。いくつかの実施形態では、ウェル(330)は、開口部(338)から基部部分(332)に向かって内側に先細りし得る。いくつかの実施形態では、ウェルの中間部分は、ウェル(330)の端部部分よりも大きく先細りし得る。例えば、第1の側壁部分(335)は、最大約2°先細り(351)し得る。第2の側壁部分(335)は、約3°~約9°先細り(353)し得る。開口部(338)は、最大約2°先細り(355)し得る。このウェル(330)構成は、これらの層が射出成形プロセスで合わせて押圧されるときに、第1の層(301)と第2の層(302)との間の連結を補助し得る。例えば、先細りした側壁表面は、炭素充填材料が透明材料の中に浸透するのを防止し得るツーショット射出成形プロセスのシャットオフとして構成され得る。すなわち、先細りした表面によって提供されるシャットオフは、第2の材料と第1の材料との間の境界を確立し得る。
【0038】
入射光ビームは、側壁(334)を通り抜けることなく、ウェル(330)を透過するように構成され得る。いくつかの実施形態では、開口部は、約0.25mm~7mmの深さ、および約1mm~約5mmの直径を有し得る。いくつかの実施形態では、第1の側壁部分は、約2mm~約6mmの深さを有し得る。
【0039】
いくつかの実施形態では、第2の層(302)の少なくとも一部分は、赤外線放射に対して実質的に吸収性であり得る。例えば、第2の層(302)は、不透明(例えば、黒)であり得る。いくつかの実施形態では、第2の層(302)の少なくとも一部分は、中間赤外線放射および近赤外線放射のうちの1つ以上に対して実質的に吸収性であり得る。例えば、第2の層(302)の少なくとも一部分は、少なくとも940nmの波長の放射に対して実質的に吸収性であり得る。
【0040】
第1の層(301)および第2の層(302)は、本明細書でより詳細に記載されるように、回転子(300)の他の構造(例えば、空洞、チャネル、穴、突起、突出)をさらに集合的に画定し得る。例えば、
図3Aに示されるように、第2の層(302)は、第2の層(302)の中央部内に穴(380)を画定し得る。いくつかの実施形態では、第1の層(301)は、紫外線、可視光、および赤外線放射のうちの1つ以上に対して実質的に透明であり得る。いくつかの実施形態では、第1の層(301)および第2の層(302)は、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレン、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)などのうちの1つ以上を独立して構成要素とし得る。いくつかの実施形態では、第2の層(302)は、少なくとも約0.1重量%のカーボンブラックを含み得る。例えば、第2の層(302)は、約0.2重量%~約0.4重量%のカーボンブラックを含み得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、第1の層(301)および/または第2の層(302)は、本明細書でより詳細に記載されるように、射出成形(例えば、マルチショット成形)および/または機械加工を使用して形成され得る。いくつかの実施形態では、第1の層(301)および/または第2の層(302)は、超音波溶接、レーザ溶接、接着剤(例えば、接着テープ)、および/または溶剤結合のうちの1つ以上を使用して、回転子(100)の他の層に結合され得る。例えば、レーザ溶接は、半導体ダイオードレーザ、固体Nd:YAGレーザ、およびファイバレーザのうちの1つ以上を使用し得る。
【0042】
インレット
図4A~
図4Bは、回転子のウェルセット、インレットセット、および反射器セットの詳細な平面図である。いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたような回転子は、回転子のそれぞれのウェルとチャネルとの間に連結された概して放射状のインレット(例えば、チャネル)を画定し得る。インレットは、ウェルとチャネルとの間の液相および気相の連通を可能にするように構成され得る。例えば、回転子が回転される(例えば、遠心分離機によって)際に、流体は、チャネルおよび弧状空洞(例えば、保持チャンバ、収集チャンバ)に連結されたそれぞれのインレットを通してウェルに入り得る。インレットチャネルのうちのいくつかは、流体がウェルに入るための個設の第1の流路と、ガスがウェルを出るための個設の第2の流路と、を含み得る。これは、ウェル中のガスが逃げることを可能にし、したがって、ウェルが充填される際に、ウェル中の気泡の生成を制限し得る。
【0043】
図4Aの回転子(400)の詳細な平面図に示されるように、回転子(400)は、赤外線放射に対して吸収性であり得る実質的に不透明な層などの、本明細書に記載されるような第2の層(102、202、302、502、702)に構造的および/または機能的に類似する層(402)を含み得る。層(402)は、チャネル(420)、ウェル(430、433)セット、およびそれらの間に連結されたインレット(432、434)セットのうちの1つ以上を含む構造セットを画定し得る。インレット(432、434)セットの各インレットは、ウェル(430、433)セットの異なるウェルに対応し得る。インレット(430、433)セットの各インレットは、チャネル(420)とインレットの対応するウェルとの間の流体連通路を確立し得る。層(402)は、隣接するウェル(430)間に各反射器が配設された反射器(440)セットをさらに画定し得る。
【0044】
いくつかの実施形態では、インレット(432、434)セットの少なくとも1つのインレットの幅は、チャネル(420)の幅よりも大きいことが可能である。いくつかの実施形態では、インレット(432、434)セットは、第1のインレット(432)サブセット(
図4Aを参照)および第2のインレット(434)サブセット(
図4Bを参照)を含み得る。第1のインレット(432)サブセットの各インレットの幅は、第2のインレット(434)サブセットの各インレットの幅とは異なり得る。第2のインレット(434)サブセットは、低い回転数/分(RPM)でチャネル(420)内の流体(例えば、液相および気相)の通気を可能にするように構成され得る。例えば、第2のインレット(434)サブセット内の流体の双方向流は、回転子(400)の約500RPM~約2500RPMの回転中に生じ得る。第1のインレット(432)サブセットのインレットは、約4000RPMを上回って回転する回転子のための双方向流体流を収容し得る。
【0045】
いくつかの実施形態では、第2のインレット(434)サブセットに連結されたウェル(430、433)サブセットは、チャネル(422)(例えば、導管)に隣接または近接するチャネル(420)に沿って位置し得る。導管(422)に隣接または近接するウェル(430、433)は、他のウェル(430)が導管(422)からより遠くに配設される前に充填されるように構成され得る。回転子を、比較的低いRPM(例えば、約4000RPM未満)で回転させると、第1のインレット(432)セットの幅を有するインレットを使用する双方向流体流が発生しない場合がある。例えば、回転子の約1000RPMでの回転中に第1のインレット(432)サブセットに連結されたウェル(430)に入る流体は、インレット(432)内の気泡を捕捉し、インレットがそのRPMでの同時の液相フローおよび気相フローを可能にするほどには広くないため、ウェル(430)の不完全な充填をもたらし得る。しかしながら、第2のインレット(434)セットの幅を有するより広いインレットは、比較的低い回転数/分で液体および気体の双方向流を収容するように構成され、それにより、回転子(400)中でより多くの数のウェル(430)を利用することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、インレットセットは、回転する回転子RPMセットに対応する1、2、3、4、5、6、またはそれよりも大きい幅を含む異なる幅セットを含み得る。異なる幅を有するインレット(432、434)は、チャネル(420)に沿って任意の順序で提供され得る。
【0046】
いくつかの実施形態では、第2のインレット(434)サブセットに連結されたウェル(430、433)は、試薬を含まない。いくつかの実施形態では、インレットセットの幅は、約0.25mm~約3.0mmであり得、インレットセットの長さは、約0.5mm~約6.0mmであり得、インレットセットの深さは、約0.1mm~約0.25mmであり得る。
【0047】
任意の所与のRPMでのウェルの比較的広いインレット幅は、ウェルを適切に充填するためにより大きい試料容積を必要とし得、かつウェル間の試薬および/または試料の相互汚染のリスクを増加させ得ることは理解されるはずである。いくつかの実施形態では、少なくとも1つの試薬を含む各ウェルは、第1のインレット(432)サブセットのインレット幅を有し得、試薬なしの各ウェルは、第2のインレット(434)サブセットのインレット幅を有し得る。
【0048】
反射器(単数または複数)
いくつかの実施形態では、本明細書に記載されたような回転子は、ウェルセットから半径方向内側に位置決めされた反射器(例えば、反射表面)セットを含み得る。反射器セットは、隣接するウェルの光学分析のためのタイミング信号として使用される光ビームを受け取り、反射するように構成され得る。反射器によって受け取られ、反射された光ビームは、検出器によって受信され得る。制御デバイスは、反射器から受信された光信号を処理して、放射源を作動させ、ウェルの光路を通り抜けるように構成された光ビームをガイドし得る。例えば、反射器から受信された光ビームは、ウェルがすぐに放射源と検出器との間を通り得る(例えば、数マイクロ秒以内)ことを示し得る。
図4Cは、
図4Aに描示された反射器(440)の断面側面図である。反射器(440)セットの各反射器は、ウェル(430)セットの隣接するウェル間に配設され得る。反射器(440)セットの各反射器は、プリズム形状の空洞を画定し得、本明細書で詳細に記載されるように、回転子の実質的に透明な層(例えば、第1の層(101、201、301)中に形成され得る。各プリズム形状の空洞は、反射表面を含み得る。反射器セットの各反射器は、光ビームを受け取り、約90°だけ偏向させるように構成され得る(ただし、90°とは異なる角度も使用され得る)。例えば、反射表面は、回転子の回転軸(例えば、回転子の平面に垂直な軸)に対して約45°の角度に配向され得、回転子-空気界面で全反射を生成するように構成され得る。
【0049】
いくつかの実施形態では、ポリッシュが、反射器(440)セットの各プリズム形状の空洞の反射表面の上に配設され得る。反射器の反射表面は、平均約0~約3の表面粗さを有するポリッシュを含み得る。いくつかの実施形態では、反射器の幅は、約0.5mm~約2.5mmであり得、反射器の長さは、約2mm~約3mmであり得、回転子の平面に対する反射表面の角度は、約30度~約60度であり得る。
【0050】
弧状空洞
本明細書に記載されるような回転子は、試料受容チャンバの中に通じる開口部を通して試料を受容するように構成され得る。例えば、試料は、ピペットを使用して回転子の中に投入され得る。ピペットは、高速度で狭い先端を通して試料を出力するように構成され得、これにより、いくつかの従来の回転子の中に投入されるときの気泡および試料オーバーフローのうちの1つ以上が生成され得る。
図5Aは、回転子(500)の弧状空洞(510)(例えば、試料受容チャンバ)の詳細な平面図である。
図5Bは、
図5Aに描示された弧状空洞(510)の詳細な断面側面図である。回転子(500)は、実質的に不透明な(例えば、赤外線放射に対して実質的に吸収性の)第2の層(502)に連結された実質的に透明な第1の層(501)を含み得る。弧状空洞(510)は、回転子(500)のウェル(530)セットへの送達の前に流体を受容および保持するように構成され得る。
【0051】
第2の層(502)は、チャネル(520)をさらに画定し得る。第1の層(501)および第2の層(502)は、本明細書でより詳細に記載されるように、回転子(500)の他の構造(例えば、空洞、チャネル、穴、突起、突出)をさらに集合的に画定し得る。例えば、第2の層(502)は、本明細書で詳細に記載されるように、チャネル(520、522)セット、インレット(532)セット、ウェル(530)セット、および反射器(540)セットの1つ以上の部分を画定し得る。流体連通路が、回転子(500)中の開口部、弧状空洞(510)、チャネル(520、522)セット、インレット(532)セット、およびウェル(530)セットの間に確立され得る。弧状空洞(510)は、開口部とチャネル(520)セットとの間の流体連通のために構成され得る。
【0052】
図5Aに示されるように、弧状空洞(510)の幅は、近位方向から遠位方向(例えば、
図5Aの時計回りの方向)に狭まり得る。いくつかの実施形態では、弧状空洞(511)は、約0.8~約1.2の幅対深さ比を有し得る。弧状空洞(510)の幅および深さが概して類似するこの構成では、弧状空洞は、試料がピペットを使用して弧状空洞(510)の中に導入されるときの気泡および試料詰まりの発生を低減し得る。例えば、全血の試料は、試料受容チャンバの試料ポートを通して弧状空洞の中にピペットで移され得る。
【0053】
その上、回転子(500)の第2の層(502)は、弧状空洞(510)の「床」が実質的に不透明であるように、弧状空洞(510)の幅を形成し得る。その結果、回転子(500)の中への試料の充填を補助し得る弧状空洞(510)中に全血などの試料が受容されるときに、容易に可視であるコントラストが形成され得る。
【0054】
実質的に透明な第3の層(明確さのために図示せず)は、第2の層(502)に連結され、弧状空洞(510)の「天井」を形成し得る。第3の層は、弧状空洞(510)が開口部を通して流体を受容し得るように、弧状空洞(510)と位置整合した開口部(図示せず)を画定し得る。いくつかの実施形態では、弧状空洞(510)は、約1.0mm~約10mmの深さを有し得、約50μL~約200μLの容積を画定し得る。このことは、弧状空洞中の開口部から試料をオーバーフローさせることなく、弧状空洞(510)の均一な配分および充填を補助し得る。
【0055】
いくつかの実施形態では、弧状空洞は、流体を保持し、流体を別の物質と混合し、1つ以上の化学反応を生成するように構成され、かつ/または弧状空洞中の流体および/または他の物質を特性化するために使用され得る。いくつかの実施形態では、流体は、弧状空洞内の希釈剤または色素などの試薬と混合され得る。例えば、試薬は、液体または固体の形態(例えば、ビーズ、ペレットなど)で弧状空洞中に配設され得る。試薬は、側壁などの弧状空洞の表面に取り付けられ(例えば、コーティングされ)、および/または固体マトリックスに取り付けられ得る。弧状空洞内の化学反応として、異種免疫化学反応、および離散的なステップを有する化学反応が挙げられ得る。例えば、弧状空洞中に、沈殿物が、生じて沈殿し得る。その後、上澄みが、デカントされ得る。
【0056】
いくつかの実施形態では、弧状空洞中の流体は、流体を特性化するために光学的に分析され得る。例えば、光ビームに曝露された弧状空洞中の流体は、ウェルセットの光学分析と同様の方式で検出および分析され得る光学効果を生成し得る。特に、流体密度、高さ、および体積のうちの1つ以上が、測定され得る。弧状空洞中の流体の特性は、ウェルセット中の流体と比較され得る。
【0057】
導管
図6は、回転子(600)のチャネル(622)の詳細な平面図である。回転子(600)は、インレット(623)、U字形状の部分(625)、およびアウトレット(627)を含む導管(622)(例えば、サイフォン)などのチャネルセットを画定し得る。導管(622)は、試料受容空洞を混合空洞に連結するように構成され得る。導管(622)は、回転子が定位にあるときに(例えば、開口部とウェルセットとの間の)流体連通路を通して所定の体積の流体(例えば、血漿)を送達するように、かつ回転子が回転しているときに流体流を防止するように構成され得る。すなわち、回転子の1つ以上の導管は、計量された体積の流体を回転子中の所望の空洞に送達するように構成され得る。
【0058】
いくつかの実施形態では、導管(622)は、回転子が回転しているときに、インレット(623)を通して導管(625)の中に引き込まれる流体が、U字形状の部分(625)(例えば、エルボ)を通って流れないように構成され得る。回転子が回転を停止した後、毛細管力が、U字形状の部分(625)を通して流体を引き込み得る。回転子を再び回転させる場合には、遠心力が、流体をアウトレット(627)から前進させ得る。導管(622)のU字形状の部分(625)は、インレット(623)およびアウトレット(627)よりも回転子(600)の中心に近い(例えば、より半径方向内側)ことが可能である。アウトレット(627)は、インレット(623)よりも回転子(600)の周囲の近くに(例えば、より半径方向の外側に)延在し得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、回転子は、少なくとも1つの導管を含み得る。例えば、回転子は、試料受容チャンバを混合チャンバに、計量チャンバを混合チャンバに、および混合チャンバをチャネルに連結するように構成された3つの導管を含み得る。
【0060】
容器穿刺機構
図7Aは、回転子アセンブリ(700)の例示的な分解図であり、
図7Bは、回転子アセンブリ(700)の第3の層(703)の詳細な斜視図である。回転子アセンブリ(700)は、本明細書に記載されるように、回転子(100、200、300、400、500、600)と構造的および/または機能的に類似する回転子を含み得る。回転子アセンブリ(700)は、第2の層(702)の第1の面(例えば、下面)に連結された第1の層(701)を含み得る。第1の層(701)および第2の層(702)は、ウェル(730)セットを集合的に画定し得る。回転子アセンブリ(700)は、第2の層(702)の第2の面(例えば、上面)に連結され得る第3の層(703)を含み得る。第3の層(703)は、血液などの流体を受け取るように構成された開口部(740)を画定し得る。第3の層(703)は、第2の層(702)に向かって延在する突起(710)セットを含み得る。突起(710)セットは、回転子アセンブリ(700)の第2の層(702)の空洞(752)内に配設された容器(750)を穿刺するのに好適な任意の数および形状を含み得る。空洞(752)は、例えば遠心分離機の主軸を受け取るように構成された穴(例えば、レセプタクル)を画定し得る。例えば、空洞(752)は、容器(750)を係合させ、かつ第3の層(703)の突起(710)セットに向けて容器を前進させるように構成され得る主軸のポストを受け取り得る。容器(750)は、空洞(752)中に保持され、かつ穴の上に配設されるようにサイズ決めおよび位置決めされ得る。
【0061】
いくつかの実施形態では、回転子アセンブリ(700)は、第3の層(703)の外面に連結され得る第4の層(704)を含み得る。第4の層(704)は、第3の層(703)の対応する穴(796)に嵌入するように構成された突起(794)セットを含み得る。第4の層(704)は、ウェル(730)セットを通した妨げられない光透過を可能にし、かつ/または重量を低減するように構成された開口部(792)セットを画定し得る。
【0062】
いくつかの実施形態では、回転子(700)は、容器を、第3の層(703)に向けて、かつ第2の層(702)から離れるように前進させることに応答して、容器(750)中に保持された流体(例えば、希釈剤)を放出するように構成され得る。容器(750)は、回転子(700)の空洞(752)中に保持され得る。容器(750)の一部分は、第1の面上の膜(例えば、フォイルシール)、および第1の面とは反対側の第2の面上の剛性表面でシールされ得る。いくつかの実施形態では、膜は、例えば、回転子(700)が遠心分離機(図示せず)に取り付けられており、かつ遠心分離機の一部分が容器(750)を突起(710)に押し込むときなどの、容器(750)を第3の層(703)に向けて前進させるときに、回転子アセンブリ(700)の第3の層(703)の突起(710)セットによって穿刺されるように構成され得る。いくつかの実施形態では、回転子が主軸上に配置されているとき、主軸は、容器(750)の底部表面に接触し、底部表面を押し上げる。
【0063】
容器
いくつかの実施形態では、容器は、希釈剤を保持し、かつ容器が中に配設された空洞に対して液密シールを形成し、かつ外力によって押されたときに空洞内で滑動するように構成され得る。いくつかの実施形態では、容器は、円筒形であり得る。
図15Aは、本体(1510)およびシール(1520)(例えば、エラストマシール)を含む容器(1500)の例示的な側面図である。
図15Dおよび
図15Eは、回転子アセンブリおよび容器の斜視図である。容器(1500)の周縁の1つ以上の部分は、干渉嵌合により回転子(1550)の空洞(1530)中の壁と係合するように構成され得るエラストマ(例えば、ゴム)シール(1520)を含み得る。例えば、エラストマシール(1520)は、静止時の容器(1510)が回転子(1550)内の固定位置に留まり、かつ水密シールを形成するように構成され得る。ただし、主軸または他の突起によって係合されると、容器(1500)は、回転子(1550)とのシールを維持しながら、回転子(1550)の第3の層(図示せず)に向かって上向きに前進し得る。容器(1500)が突起によって穿刺されると、エラストマシール(1520)は、容器(1500)の面に沿って、かつ空洞(1530)の底部表面の上に液体が流れるのを防止するように構成され得る。したがって、容器(1500)のエラストマシール(1520)は、流体を失うことなく容器(750)から隣接する計量チャンバへの流体流を確保し得る。容器(1500)内の流体は、遠心力および重力のうちの1つ以上によって容器(1500)から流出し得る。
【0064】
いくつかの実施形態では、容器(1500)は、プラスチック、および高密度ポリエチレンなどの他のポリマー材料を含む流体バリア材料を構成要素とし得る。容器(1500)は、成形、圧力成形、真空成形、および機械加工のうちの1つ以上によって製造され得る。例えば、容器は、ツーショット射出成形プロセスを使用して形成され得る。
図15Cは、容器(1500)の本体(1510)およびシール(1520)の分解斜視図である。
【0065】
容器本体(1510)は、
図15Bの1つの空洞で示されるように、1つ以上の空洞(例えば、区画、チャンバ)を画定し得る。容器(1500)の各空洞は、同じまたは異なる内容物を有し得る。例えば、第1の空洞は、流体(例えば、希釈剤)を有し得る一方、第2の空洞は、凍結乾燥試薬を有し得る。各空洞は、同じまたは異なる流体を含有し得る。例えば、容器(750)の2つの空洞は、流体(例えば、希釈剤、試料、およびマーカ化合物)セットが混合された第2の層(702)の弧状空洞に連結され得る。
【0066】
膜(例えば、フォイルシール)は、ポリエチレンまたは別のプラスチックで積層され得る。容器(1500)の各空洞は、独自の膜を有し得る。容器(1500)は、容器(1500)を、所定の体積の流体(例えば、希釈剤、試薬)で充填し、かつ容器(1500)を、例えば、ヒートシールおよび超音波溶接のうちの1つ以上によって閉鎖することによって製造され得る。
【0067】
希釈液
本明細書に記載されるような回転子は、試料(例えば、流体、血漿)と混合される希釈剤を含み得る。希釈剤は、希釈剤容器に関して本明細書に記載されるように回転子内に配設され得るか、または回転子の弧状空洞の中に投入され得る。いくつかの実施形態では、希釈剤は、試料の分析に干渉しない化合物の等張濃度を含み得る。希釈剤は、生理食塩水(例えば、0.5%NaCl水)、リン酸緩衝液、乳酸リンガー溶液、酢酸テトラメチルアンモニウム、イノシトール、マーカ化合物、それらの組み合わせなどのうちの1つ以上を含み得る。例えば、希釈剤は、特定のアッセイのpHでは実質的に緩衝液容量を有しないことが可能である。
【0068】
試薬
試薬は、低温液体の中に滴として均一に分配された水溶液を形成し、かつ凍結滴を凍結乾燥することによって調製され得る。低温液体は、例えば、非撹拌液体窒素であり得る。試薬は、希釈剤、水溶液、緩衝液、有機化合物、脱水化学物質、結晶、タンパク質、溶媒、およびマーキング化合物のうちの1つ以上を含み得る。マーキング化合物は、色素、蛍光物質およびリン光物質、放射性標識物質、酵素、ビオチン、ならびに免疫学的化合物を含み得る。
【0069】
いくつかの実施形態では、試薬は、約1.0mm~約2.3mmの直径を有する概して球形の形状を有し、約3%よりも小さい重量変動係数を有し得る。いくつかの実施形態では、凍結乾燥試薬は、試薬が溶解するときに気泡形成を阻害するのに十分な濃度の界面活性剤と、試薬の中に水を通すことができる化学格子の形成を促進するのに十分な濃度の充填剤と、のうちの1つ以上を含み得る。例えば、界面活性剤は、オクトキシノール9またはポリオキシエチレン9ラウリルエーテルなどの非イオン性洗剤であり得る。試薬中の界面活性剤の濃度は、再構成試薬中の濃度が100ml当たり約0.08g~約3.1gであるように構成され得る。充填剤によって形成された化学格子により、試薬が試料溶液または希釈剤中に迅速かつ完全に溶解することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、充填剤は、ポリエチレングリコール、ミオイノシトール、ポリビニルピロリドン、ウシ血清アルブミン、デキストラン、マンニトール、コレートナトリウム、それらの組み合わせなどのうちの1つ以上を含み得る。充填剤は、約10乾燥重量%~約50乾燥重量%の濃度を有し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、測光的に検出可能なマーカ化合物は、色反応を生成するように構成され得、1,1’,3,3,3’,3’-ヘキサメチルインドトリカルボシアニンヨウ化物および1,1’-ビス(スルホアルキル)-3,3,3’,3’-テトラメチルリンドトリカルボシアニン塩を含み得る。マーカ化合物は、例えば、インサイチュで希釈を決定するために使用され得、測光的に検出可能な化合物を含み得る。マーカの濃度は、所定の波長での希釈試料の吸光度を既知の濃度の基準溶液と比較することによって、測光的に決定され得る。試料の希釈度を計算するために、試料との混合前および混合後のマーカの濃度の比を使用し得る。
【0071】
マーカ化合物はまた、p-ニトロフェニルリン酸、グルコース-6-リン酸デヒドロゲナーゼ、およびD-乳酸塩などの酵素基質を含み得る。化合物p-ニトロフェニルリン酸は、アルカリホスファターゼのための基質であり、着色p-ニトロフェノール反応生成物を生成するように構成され得る。
【0072】
本明細書に記載された回転子に対するマイクロ流体の改善(例えば、インレット、ウェル、弧状空洞反射器、導管、容器穿刺機構、容器、希釈剤、試薬など)は、回転子の製造プロセスによって制限されないことに留意されたい。例えば、回転子は、超音波溶接および/またはレーザ溶接され得る。
【0073】
II.システム
流体分析システム
本明細書には、本明細書に記載された様々な実施形態によるデバイスを使用して流体分析を実施するために必要なコンポーネントのうちの1つ以上を含み得る流体分析システムが記載される。例えば、本明細書に記載された流体分析システムは、1つ以上の分析対象物を識別および/または分析するために、回転子デバイスに適用された試料を自動的に処理および分析し得る。一般に、本明細書に記載された流体分析システムは、回転子アセンブリ、放射源、検出器、およびコントローラ(メモリ、プロセッサ、およびコンピュータ命令を含む)のうちの1つ以上を含み得る。放射源は、光信号(例えば、光ビーム)を発するように、かつ回転子のウェルセットを照明するように構成され得る。検出器は、回転子を通り抜けた光ビームを受信するように構成され得る。検出器に連結されたコントローラは、検出器によって受信された光ビームに対応する信号データを受信し、かつ信号データを使用して分析対象物データを生成するように構成され得る。流体の1つ以上の分析対象物は、コントローラによって分析対象物データを使用して識別され得る。試料は、全血、血清、血漿、尿、痰、精液、唾液、眼球レンズ液、脳脊髄液、脊髄液、羊水、および組織培養培地、ならびに食品および工業用化学物質、それらの組み合わせなどのうちの少なくとも1つ以上を含み得る。
【0074】
回転子製造システム
本明細書には、本明細書に記載された回転子デバイスを製造するために必要なコンポーネントのうちの1つ以上を含み得る、回転子製造システムが記載される。例えば、本明細書に記載された製造システムは、回転子アセンブリの1つ以上の層を合わせて連結(例えば、取り付け、溶接)し得る。一般に、本明細書に記載された製造システムは、1つ以上の回転子コンポーネントを保持するように構成されたプラットフォーム、放射源、フォトマスク、およびコントローラ(メモリ、プロセッサ、およびコンピュータ命令を含む)のうちの1つ以上を含み得る。いくつかの実施形態では、プラットフォームは、回転子を保持し、かつフォトマスクハウジング中に収容されたフォトマスクとの正確な位置整合および連結を提供するように構成された「フローティング」プラットフォームであり得る。放射源は、回転子アセンブリの1つ以上の層を合わせてレーザ溶接するための光信号(例えば、光ビーム)を発するように構成され得る。本明細書に記載されるような回転子デバイス(100、200、300、400、500、600、700)のうちのいずれも、本明細書に記載されるような回転子製造システムを使用して製造され得る。
【0075】
プラットフォーム
いくつかの実施形態では、フォトマスクは、レーザ溶接のために回転子を保持するように構成されたプラットフォームに位置整合され得る。マイクロ流体チャネルのサイズに起因して、フォトマスクを使用して回転子を適切にレーザ溶接するためには、フォトマスクと回転子とを正確に位置整合させる必要がある。フォトマスクと、溶接される各回転子部分と、の間の一貫したかつ適切な位置整合を確保するために、プラットフォームは、フォトマスクに平行な平面内で移動して、フォトマスクへの回転子の位置整合を補助するように構成され得る。例えば、フォトマスクは、固定位置に保持され得、回転子基部は、フォトマスクに対して「フロート」し得るプラットフォーム(例えば、ネスト、ステージ)上に保持されて、フォトマスクの回転子への位置決めおよびクランプを補助し得る。
【0076】
図16は、フォトマスクハウジングに面する側に、上に配設された第1の突起(1620)セットおよび第2の突起(1630)セットを有する溶接部ネスト(1610)を含み得るプラットフォーム(1600)(例えば、「フローティングプラットフォーム」)の斜視図である(
図18を参照)。第1の突起(1620)セット(例えば、ガイドピン)は、フォトマスクハウジング中の対応する穴中に受け取るように構成され得る。第2の突起(1630)セット(例えば、回転子位置整合ピン)は、回転子がプラットフォーム(1600)上に保持されるように、回転子(1600)中の対応する穴(例えば、陥凹)中に受け取るように構成され得る。第1の突起セットおよび第2の突起セットは、各々少なくとも2つの突起を含み得る。プラットフォームは、プラットフォーム(1600)の平面に沿って溶接部ネスト(1610)を移動させるように構成され得る1つ以上の位置整合機構(1640)(例えば、調整ネジ)をさらに含み得、それにより、第1の突起(1620)セットがフォトマスク連結と嵌着することを可能にする。位置整合機構(1640)は、手動で操作され得るか、または(例えば、制御デバイスによって動作させる)作動機構によって自動的に制御され得る。
【0077】
図17は、第1の層(1710)(例えば、第1のハウジング)、第2の層(1720)(例えば、ガラス板)、フォトマスク(1730)、および第3の層(1740)(例えば、第2のハウジング)を含むフォトマスクハウジング(1700)の分解斜視図である。第1の層(1710)は、プラットフォーム(1600)の第1の突起(1620)セットに対応するブッシング(1750)(例えば、ガイドブッシング)セットを含み得る。いくつかの実施形態では、フォトマスクハウジング(1700)は、プラットフォーム(1600)に対して固定され得る。この構成では、フローティングプラットフォームは、ブッシングおよび突起(例えば、ブッシングガイドピン、回転子位置整合ピン)が、互いに対して移動すること、かつフォトマスクが回転子に解放可能にクランプされ得るように互いに嵌合することを可能にする。
図18は、プラットフォーム(1600)上に保持され、かつフォトマスクハウジング(1700)に向けて前進させる位置であってフォトマスクハウジング(1700)に解放可能にクランプされる位置にある、回転子(1800)を例示する。プラットフォーム(1600)は、フォトマスクハウジング(1700)に垂直な軸に沿って作動され得る。いくつかの実施形態では、フォトマスクは、プラットフォームに連結された回転子の1つ以上の部分への赤外線放射を遮断するように構成され得る。
【0078】
回転子検査システム
本明細書には、本明細書に記載された様々な実施形態による、回転子デバイスの溶接部分析を実施するために必要なコンポーネントのうちの1つ以上を含み得る回転子検査システムが記載される。例えば、本明細書に記載された検査システムは、回転子を光学的に撮像し、処理し、分析して、回転子の1つ以上の構造/構造的特徴に対応する回転子データを生成し得る。例えば、回転子データは、回転子の溶接部、構造(例えば、空洞、チャネル、ウェル)、および試薬のセットのうちの1つ以上に対応し得る。一般に、本明細書に記載された検査システムは、放射源(例えば、照明源)、検出器、およびコントローラ(メモリ、プロセッサ、およびコンピュータ命令を含む)のうちの1つ以上を含み得る。放射源は、光信号(例えば、光ビーム)を発するように、かつ回転子の1つ以上の構造を照明するように構成され得る。検出器は、回転子によって反射された光ビームを受信するように構成され得る。検出器に連結されたコントローラは、検出器によって受信された光ビームに対応する信号データを受信し、かつ信号データを使用して回転子データを生成するように構成され得る。回転子の1つ以上の構造が、回転子データを使用して識別および特性化され得る。例えば、低品質溶接部が所定数を超える回転子は、回転子検査システムによって不合格とマークされ得る。別の実施例として、所定数の壊れた凍結乾燥試薬球を有する回転子は、手動検査のためにフラグが立てられ得る。本明細書に記載されるような回転子デバイス(100、200、300、400、500、600、700)のうちのいずれも、本明細書に記載されるような回転子検査システムを使用して検査され得る。
【0079】
回転子アセンブリ
本明細書に記載されるような遠心分離回転子(100、200、300、400、500、600、700)のうちのいずれも、本明細書に記載されるような流体分析システムと共に使用され得る。いくつかの実施形態では、回転子は、回転子に適用された試料の取り扱い、処理、および識別を補助するための第4の層を含み得る。回転子を保持する第4の層は、ユーザによって、試料の自動処理のために流体分析システムの中に配置され得る。第4の層は、回転子に物理的支持および保護を提供するのに有用であり得る。例えば、第4の層は、回転子の開口部の周囲にシールを形成し得る。いくつかの実施形態では、回転子ケースは、バーコード、QRコード(登録商標)、および1つ以上の基準物(例えば、着色/不透明点、ルーラ、スリット、目印、マーカ)、それらの組み合わせなどの1つ以上の識別子を含み得る。
【0080】
放射源
本明細書に記載されたような流体分析システムは、遠心分離回転子に誘導される第1の光信号(例えば、照明)を発するように構成された放射源を含み得る。放射源は、UV波長、可視波長、および/または近IR波長の光ビームを生成するように構成され得る。本明細書に記載された検出器は、遠心分離回転子から第2の光ビームを受信するように構成され得る。第2の光信号は、第1の光信号を使用するマイクロ流体チャネルの照明に応答して生成され得る。第2の光信号を使用して、分析のための分析対象物データを生成し得る。いくつかの実施形態では、放射源は、発光ダイオード、レーザ、顕微鏡、光センサ、レンズ、およびフラッシュランプのうちの1つ以上を含み得る。例えば、放射源が、光ファイバケーブルによって搬送され得る光を生成し得るか、または1つ以上のLEDが、照明を提供するように構成され得る。別の例では、可撓性光ファイバの束を含むファイバスコープが、外部光源から光を受信および伝播するように構成され得る。
【0081】
検出器
一般に、本明細書に記載された流体分析システムは、遠心分離回転子のウェル内の試料を通り抜ける光信号(例えば、光ビーム)を受信するために使用される検出器を含み得る。受信された光を使用して、プロセッサおよびメモリによって処理されて分析対象物データを生成し得る信号データを生成し得る。検出器は、遠心分離回転子の1つ以上のウェルを通り抜けた放射源からの光ビーム(例えば、第2の光信号)を検出器が受信するように、放射源の側とは反対側の遠心分離回転子の側に配設され得る。検出器は、遠心分離回転子の1つ以上の識別子(例えば、バーコード)および識別子を撮像するようにさらに構成され得る。いくつかの実施形態では、検出器は、レンズ、カメラ、および測定光学系のうちの1つ以上を含み得る。例えば、検出器は、光センサ(例えば、電荷結合デバイス(CCD)または相補的金属酸化物半導体(CMOS)光センサ)を含み得、ディスプレイに伝送される画像信号を生成するように構成され得る。例えば、検出器は、撮像センサ(例えば、カラーフィルタアレイおよび関連付けられた処理回路機構を有するか、または有しないCMOSまたはCCDアレイ)を有するカメラを含み得る。
【0082】
制御デバイス
本明細書に記載されたような流体分析システム、回転子製造システム、および回転子検査システムは、1つ以上の制御デバイス(例えば、コンピュータシステム)および/またはネットワークに連結し得る。
図8Bは、制御デバイス(820)のブロック図である。制御デバイス(820)は、プロセッサ(824)およびメモリ(826)を有するコントローラ(822)を含み得る。いくつかの実施形態では、制御デバイス(820)は、通信インターフェース(830)をさらに含み得る。コントローラ(822)は、ユーザが、制御デバイス(820)、放射源(810)、遠心分離回転子アセンブリ(812)、検出器(814)、およびシステム(800)の任意の他のコンポーネントを遠隔制御することを可能にするために、通信インターフェース(830)に連結され得る。通信インターフェース(830)は、制御デバイス(820)を有線および/または無線ネットワークを介して別のシステム(例えば、インターネット、リモートサーバ、データベース)に接続するように構成されたネットワークインターフェース(832)を含み得る。通信インターフェース(830)は、ユーザが制御デバイス(820)を直接制御することを可能にするように構成されたユーザインターフェース(834)を含み得る。
【0083】
コントローラ
一般に、本明細書に記載された流体分析システムは、遠心分離回転子、ならびに放射源および検出器に連結された対応する制御デバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、検出器は、信号データを生成するように構成され得る。信号データは、コントローラによって受信され、試料の1つ以上の分析対象物に対応する分析対象物データを生成するために使用され得る。制御デバイスは、それに応じて、試料の1つ以上の分析対象物を識別および/または特性化し得る。本明細書でより詳細に記載されるように、コントローラ(822)は、ネットワークインターフェース(832)を使用して1つ以上のネットワークに連結され得る。コントローラ(822)は、ユーザインターフェース(834)を含む通信インターフェース(830)に連結されたプロセッサ(824)およびメモリ(826)を含み得る。コントローラ(822)は、遠心分離回転子識別、処理、画像分析、および分析対象物分析の1つ以上のステップを自動的に実施し、したがって、流体分析の特異性、感度、および速度のうちの1つ以上を改善し得る。
【0084】
コントローラ(822)は、プロセッサ(824)に、本明細書に記載されたステップのうちの1つ以上を実施させるように、コントローラ上での動作のためのコンピュータ命令を含み得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ命令は、プロセッサに、検出器から信号データを受信することと、信号データを使用して分析対象物データを生成することと、分析対象物データを使用して流体の1つ以上の分析対象物を識別することと、を行わせるように構成され得る。いくつかの実施形態では、コンピュータ命令は、コントローラに撮像データパラメータを設定することを行わせるように構成され得る。コンピュータ命令は、コントローラに分析対象物データを生成することを行わせるように構成され得る。信号データおよび分析は、各遠心分離回転子の各ウェルについて保存され得る。
【0085】
図8Bに描示されるように、制御デバイス(820)は、流体分析システム(800)(例えば、放射源(810)、遠心分離回転子アセンブリ(812)、および検出器(814))と通信するコントローラ(822)を含み得る。コントローラ(822)は、1つ以上のプロセッサ(824)、および1つ以上のプロセッサ(824)と通信する1つ以上のマシン可読メモリ(826)を含み得る。プロセッサ(824)は、システム(800)を制御するために、メモリ(826)およびユーザ入力から受信されたデータを組み込み得る。メモリ(826)は、プロセッサ(824)に、システム(800)と関連付けられたモジュール、プロセス、および/または機能を実行することを行わせる命令をさらに記憶し得る。コントローラ(822)は、有線および/または無線通信チャネルによって、放射源(810)、遠心分離回転子アセンブリ(812)、検出器(814)、通信インターフェース(830)などのうちの1つ以上に接続され、かつこれらを制御し得る。
【0086】
コントローラ(822)は、多数の汎用または専用コンピューティングシステムまたは構成と一貫して実装され得る。本明細書に開示されたシステムおよびデバイスと共に使用するのに好適であり得る様々な例示的なコンピューティングシステム、環境、および/または構成は、ルーティング/接続性コンポーネント、マルチプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、分散コンピューティングネットワーク、パーソナルコンピューティングデバイス、ネットワーク機器、ポータブル(例えば、ハンドヘルド)またはラップトップデバイスなどのサーバまたはサーバコンピューティングデバイス内にある、またはこれら上に具現化されるソフトウェアまたは他のコンポーネントを含み得るが、これらに限定されない。ポータブルコンピューティングデバイスの例として、スマートフォン、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、タブレットPC、スマートウォッチなどの形態をとるウェアラブルコンピュータ、ならびにセンサを介して患者の環境とインターフェース接続し、可視化、視線追跡、およびユーザ入力のためにヘッドマウントディスプレイを使用し得るポータブルまたはウェアラブル拡張現実デバイスが挙げられる。
【0087】
プロセッサ
プロセッサ(824)は、命令セットまたはコードを動作させおよび/または実行するように構成された任意の好適な処理デバイスであり得、1つ以上のデータプロセッサ、画像プロセッサ、グラフィック処理ユニット、物理処理ユニット、デジタル信号プロセッサ、および/または中央処理ユニットを含み得る。プロセッサ(824)は、例えば、汎用プロセッサ、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、それらの組み合わせなどであり得る。プロセッサ(824)は、システムと関連付けられた、および/またはシステムと関連付けられたネットワークと関連付けられた、アプリケーションプロセスおよび/または他のモジュール、プロセスおよび/または機能を動作させおよび/または実行するように構成され得る。基礎となるデバイス技術は、相補的金属酸化物半導体(CMOS)のような金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)技術、エミッタ結合論理(ECL)のようなバイポーラ技術、ポリマー技術(例えば、シリコン共役ポリマーおよび金属共役ポリマー-金属構造)、混載アナログおよびデジタル、それらの組み合わせなどを含む多様なコンポーネントタイプで提供され得る。
【0088】
メモリ
いくつかの実施形態では、メモリ(826)は、データベース(図示せず)を含み得、例えば、ランダムアクセスメモリ(RAM)、メモリバッファ、ハードドライブ、消去可能プログラマブル読み取り専用メモリ(EPROM)、電気的消去可能読み取り専用メモリ(EEPROM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、それらの組み合わせなどであり得る。本明細書で使用される場合、データベースは、データストレージリソースを指す。メモリ(826)は、プロセッサ(824)に、較正、インデックス作成、遠心分離回転子信号処理、画像分析、分析対象物分析、通知、通信、認証、ユーザ設定、それらの組み合わせなどの、制御デバイス(820)と関連付けられたモジュール、プロセス、および/または機能を実行させる命令を記憶し得る。いくつかの実施形態では、ストレージは、ネットワークベースであり、1人以上の承認されたユーザに対してアクセス可能であり得る。ネットワークベースのストレージは、リモートデータストレージまたはクラウドデータストレージと呼ばれ得る。クラウドデータストレージ(例えば、データベース)に記憶された信号データおよび分析は、インターネットなどのネットワークを介して承認されたユーザに対してアクセス可能であり得る。いくつかの実施形態では、データベース(840)は、クラウドベースのFPGAであり得る。
【0089】
本明細書に記載されたいくつかの実施形態は、様々なコンピュータ実装動作を実施するための命令またはコンピュータコードを上に有する非一過性コンピュータ可読媒体(非一過性プロセッサ可読媒体とも呼ばれ得る)を有するコンピュータストレージ製品に関する。コンピュータ可読媒体(またはプロセッサ可読媒体)は、それ自体が一過性の伝播信号(例えば、空間またはケーブルなどの伝送媒体で情報を搬送する伝播電磁波)を含まないという意味で非一過性である。媒体およびコンピュータコード(コードまたはアルゴリズムとも呼ばれ得る)は、特定の1つまたは複数の目的で設計および構築されたものであり得る。
【0090】
非一過性コンピュータ可読媒体の例として、ハードディスク、フロッピーディスク、および磁気テープなどの磁気記録媒体、コンパクトディスク/デジタルビデオディスク(CD/DVD)などの光記録媒体、コンパクトディスク読み取り専用メモリ(CD-ROM)、ホログラフィックデバイス、光ディスクなどの磁気光記録媒体、ソリッドステートドライブ(SSD)およびソリッドステートハイブリッドドライブ(SSHD)などのソリッドステートストレージデバイス、キャリア波信号処理モジュール、ならびに特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブルロジックデバイス(PLD)、読み取り専用メモリ(ROM)、およびランダムアクセスメモリ(RAM)デバイスなどのプログラムコードを記憶および実行するように特別に構成されたハードウェアデバイスが挙げられるが、これらに限定されない。本明細書に記載された他の実施形態は、例えば、本明細書に開示された命令および/またはコンピュータコードを含み得るコンピュータプログラム製品に関する。
【0091】
本明細書に記載されたシステム、デバイス、および方法は、ソフトウェア(ハードウェア上で実行される)、ハードウェア、またはそれらの組み合わせによって実施され得る。ハードウェアモジュールは、例えば、汎用プロセッサ(またはマイクロプロセッサまたはマイクロコントローラ)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、それらの組み合わせなどを含み得る。ソフトウェアモジュール(ハードウェア上で実行される)は、C、C++、Java(登録商標)、Python、Ruby、Visual Basic(登録商標)、ならびに/または他のオブジェクト指向、手続き型、もしくは他のプログラミング言語および開発ツールを含む、多様なソフトウェア言語(例えば、コンピュータコード)で表現され得る。コンピュータコードの例として、マイクロコードまたはマイクロ命令、コンパイラによって生成されるなどされたマシン命令、ウェブサービスを生成するために使用されるコード、およびインタプリタを使用してコンピュータによって実行されるより高いレベルの命令を内包するファイルが挙げられるが、これらに限定されない。コンピュータコードの追加の例として、制御信号、暗号化コード、および圧縮コードが挙げられるが、これらに限定されない。
【0092】
通信インターフェース
通信インターフェース(830)は、ユーザがシステム(800)と直接および/またはリモートでインタラクトおよび/または制御することを可能にし得る。例えば、システム(800)のユーザインターフェース(834)は、ユーザがコマンドを入力するための入力デバイス、およびユーザおよび/または他のユーザ(例えば、技術者)がシステム(800)の動作に関連した出力を受け取る(例えば、ディスプレイデバイス上で試料データを視認する)ための出力デバイスを含み得る。いくつかの実施形態では、ネットワークインターフェース(832)は、制御デバイス(820)が、本明細書でより詳細に記載されるように、ネットワーク(870)(例えば、インターネット)、リモートサーバ(850)、およびデータベース(840)のうちの1つ以上と通信することを可能にし得る。
【0093】
ユーザインターフェース
ユーザインターフェース(834)は、ユーザ(例えば、オペレータ)と制御デバイス(820)との間の通信インターフェースとしての役割を果たし得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(834)は、入力デバイスおよび出力デバイス(例えば、タッチスクリーンおよびディスプレイ)を含み得、1つ以上のセンサ、入力デバイス、出力デバイス、ネットワーク(870)、データベース(840)、およびサーバ(850)から入力データおよび出力データを受信するように構成され得る。例えば、検出器によって生成された信号データは、プロセッサ(824)およびメモリ(826)によって処理され、1つ以上の出力デバイス(例えば、ディスプレイ)によって視覚的に出力され得る。信号データ、画像データ、および/または分析対象物データは、ユーザインターフェース(834)によって受信され、1つ以上の出力デバイスを介して、視覚的に、聴覚的に、および/または触覚フィードバックを介して出力され得る。別の例として、入力デバイス(例えば、ジョイスティック、キーボード、タッチスクリーン)のユーザ制御が、ユーザインターフェース(834)によって受信され、次いで、制御信号を流体分析システム(800)の1つ以上のコンポーネントに出力するためのユーザインターフェース(834)のためにプロセッサ(824)およびメモリ(826)によって処理され得る。いくつかの実施形態では、ユーザインターフェース(834)は、入力および出力の両方のデバイス(例えば、ユーザに触覚フィードバックも提供しながら、制御信号を生成するように構成されたハンドヘルドコントローラ)として機能し得る。
【0094】
出力デバイス
ユーザインターフェース(834)の出力デバイスは、試料および/またはシステム(800)に対応する画像データおよび/または分析データを出力し得、ディスプレイデバイス、オーディオデバイス、および触覚デバイスのうちの1つ以上を含み得る。ディスプレイデバイスは、グラフィカルユーザインターフェース(GUI)を表示するように構成され得る。ユーザコンソール(860)は、インターネットまたはネットワークを介してアクセス可能なリモートディスプレイを含む、1つ以上の包括的なディスプレイに出力するために接続され得る統合されたディスプレイおよび/またはビデオ出力を含み得る。出力データはまた、プライバシーを確保するために暗号化され得、出力データの全てまたは部分が、サーバまたは電子医療記録システムに保存され得る。ディスプレイデバイスは、ユーザが、コントローラ(822)によって処理される信号データ、較正データ、機能化データ、画像データ、分析対象物データ、システムデータ、流体データ、患者データ、および/または他のデータを視認することを可能にし得る。いくつかの実施形態では、出力デバイスは、発光ダイオード(LED)、液晶ディスプレイ(LCD)、電気発光ディスプレイ(ELD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、薄膜トランジスタ(TFT)、有機発光ダイオード(OLED)、電子ペーパ/eインクディスプレイ、レーザディスプレイ、ホログラフィックディスプレイ、それらの組み合わせなどのうちの少なくとも1つを含むディスプレイデバイスを含み得る。
【0095】
オーディオデバイスは、患者データ、流体データ、画像データ、分析対象物データ、システムデータ、アラーム、および/または警告を可聴的に出力し得る。例えば、オーディオデバイスは、遠心分離回転子アセンブリの中への遠心分離回転子の不適切な挿入が発生すると、可聴警告を出力し得る。いくつかの実施形態では、オーディオデバイスは、スピーカ、圧電オーディオデバイス、磁気拡張スピーカ、および/またはデジタルスピーカのうちの少なくとも1つを含み得る。いくつかの実施形態では、ユーザは、オーディオデバイスおよび通信チャネルを使用して他のユーザと通信し得る。
【0096】
触覚デバイスが、ユーザに追加の感覚出力(例えば、力フィードバック)を提供するために、入力デバイスおよび出力デバイスのうちの1つ以上に組み込まれ得る。例えば、触覚デバイスは、入力デバイス(例えば、ジョイスティック、キーボード、タッチ表面)へのユーザ入力を確認するために、触感応答(例えば、振動)を生成し得る。いくつかの実施形態では、触覚デバイスは、ユーザに触覚触感フィードバックを提供するように構成された振動モータを含み得る。触覚フィードバックは、いくつかの実施形態では、遠心分離回転子処理の開始および完了を確認し得る。これに加えて、またはこれに代えて、触覚フィードバックは、遠心分離回転子アセンブリの中への遠心分離回転子の不適切な配置および/または挿入などのエラーをユーザに通知し得る。これにより、システムへの潜在的な危害が、防止され得る。
【0097】
入力デバイス
入力デバイスのいくつかの実施形態は、制御信号を生成するように構成された少なくとも1つのスイッチを含み得る。例えば、入力デバイスは、遠心分離回転子アセンブリの移動を制御するように構成され得る。いくつかの実施形態では、入力デバイスは、制御信号をコントローラ(822)の有線および/または無線受信機に伝送するように構成された有線および/または無線送信機を含み得る。例えば、入力デバイスは、ユーザが制御信号に対応する入力(例えば、タッチ表面への指接触)を提供するためのタッチ表面を含み得る。タッチ表面を含む入力デバイスは、容量技術、抵抗技術、赤外線技術、光学撮像技術、分散信号技術、音響パルス認識技術、および表面弾性波技術を含む複数のタッチ感度技術のうちのいずれかを使用して、タッチ表面上の接触および移動を検出するように構成され得る。少なくとも1つのスイッチを含む入力デバイスの実施形態では、スイッチは、例えば、ボタン(例えば、ハードキー、ソフトキー)、タッチ表面、キーボード、アナログスティック(例えば、ジョイスティック)、方向パッド、ポインティングデバイス(例えば、マウス)、トラックボール、ジョグダイヤル、ステップスイッチ、ロッカースイッチ、ポインタデバイス(例えば、スタイラス)、モーションセンサ、イメージセンサ、およびマイクロフォンのうちの少なくとも1つを含み得る。モーションセンサは、光センサからユーザ移動データを受信し、ユーザジェスチャを制御信号として分類し得る。マイクロフォンは、音声を受信し、ユーザの声を制御信号として認識し得る。
【0098】
ネットワークインターフェース
図8Aに描示されるように、本明細書に記載された制御デバイス(820)は、ネットワークインターフェース(832)を介して1つ以上のネットワーク(870)およびコンピュータシステム(850)と通信し得る。いくつかの実施形態では、制御デバイス(820)は、1つ以上の有線および/または無線ネットワークを介して他のデバイスと通信し得る。ネットワークインターフェース(832)は、他のデバイスに直接に、またはネットワーク(例えば、インターネット、無線LAN)を介して間接的に連結するように構成された1つ以上の外部ポート(例えば、ユニバーサルシリアルバス(USB)、マルチピンコネクタ)を介した他のデバイスとの通信を容易にし得る。
【0099】
いくつかの実施形態では、ネットワークインターフェース(832)は、1つ以上のデバイスおよび/またはネットワークと通信するように構成された無線周波受信機、送信機、ならびに/または光(例えば、赤外線)受信機および送信機を含み得る。ネットワークインターフェース(832)は、有線によって、および/または無線で、センサ、ユーザインターフェース(834)、ネットワーク(870)、データベース(840)、およびサーバ(850)のうちの1つ以上と通信し得る。
【0100】
いくつかの実施形態では、ネットワークインターフェース(832)は、1つ以上のデバイスおよび/またはネットワークと通信するように構成された受信機、送信機、ならびに/または光(例えば、赤外線)受信機および送信機のうちの1つ以上を含む無線周波(RF)回路機構(例えば、RF送受信機)を含み得る。RF回路機構は、RF信号(例えば、電磁信号)を受信および伝送し得る。RF回路機構は、電気信号から電磁信号への/電磁信号から電気信号への変換を行い、電磁信号を介して通信ネットワークおよび他の通信デバイスと通信する。RF回路機構は、アンテナシステム、RF送受信機、1つ以上の増幅器、チューナ、1つ以上の発振器、デジタル信号プロセッサ、CODECチップセット、加入者識別モジュール(SIM)カード、メモリなどのうちの1つ以上を含み得る。無線ネットワークは、いかなる種類のケーブルによっても接続されていない任意のタイプのデジタルネットワークを指し得る。
【0101】
無線ネットワークにおける無線通信の例として、セルラ通信、ラジオ通信、衛星通信、およびマイクロ波通信が挙げられるが、これらに限定されない。無線通信は、グローバルモバイル通信システム(GSM)、拡張データGSM環境(EDGE)、高速ダウンリンクパケットアクセス(HSDPA)、広帯域コード分割多重アクセス(W-CDMA)、コード分割多重アクセス(CDMA)、時間分割多重アクセス(TDMA)、Bluetooth、近接場通信(NFC)、無線周波数識別(RFID)、ワイヤレスフィデリティ(Wi-Fi)(例えば、IEEE802.11a、IEEE802.11b、IEEE802.11g、IEEE802.11n)、ボイスオーバインターネットプロトコル(VoIP)、Wi-MAX、電子メール用プロトコル(例えば、インターネットメッセージアクセスプロトコル(IMAP)、ポストオフィスプロトコル(POP))、インスタントメッセージング(例えば、拡張可能なメッセージングおよびプレゼンスプロトコル(XMPP)、インスタントメッセージング、プレゼンスレバレッジングのためのセッション開始プロトコル拡張(SIMPLE)、インスタントメッセージングおよびプレゼンスサービス(IMPS))、ショートメッセージサービス(SMS)、または任意の他の好適な通信プロトコルを含む、複数の通信規格、プロトコルおよび技術のいずれかを使用し得るが、これらに限定されない。いくつかの無線ネットワーク展開は、複数のセルラネットワークからのネットワークを組み合わせるか、またはセルラ通信、Wi-Fi通信、および衛星通信の混合を使用する。
【0102】
いくつかの実施形態では、無線ネットワークは、インターネット、他のキャリア音声およびデータネットワーク、ビジネスネットワーク、ならびにパーソナルネットワークとインターフェース接続するために有線ネットワークに接続し得る。有線ネットワークは、典型的には、銅ツイストペア、同軸ケーブル、および/または光ファイバケーブルを介して搬送される。ワイドエリアネットワーク(WAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、ローカルエリアネットワーク(LAN)、インターネットエリアネットワーク(IAN)、キャンパスエリアネットワーク(CAN)、インターネットのようなグローバルエリアネットワーク(GAN)、無線パーソナルエリアネットワーク(PAN)(例えば、Bluetooth、Bluetooth Low Energy)、および仮想プライベートネットワーク(VPN)を含む、多くの異なるタイプの有線ネットワークがある。本明細書で使用される場合、ネットワークは、統一されたネットワークおよび情報アクセスシステムを提供するために、典型的にインターネットを介して相互接続される無線、有線、パブリック、およびプライベートデータネットワークの任意の組み合わせを指す。
【0103】
III.方法
本明細書には、全血などの流体を分析し、回転子を製造し、および回転子を検査するために回転子を使用する方法に対応する実施形態が記載される。これらの方法は、試料を識別および/または特性化し得、いくつかの実施形態では、記載されたシステムおよびデバイスと共に使用され得る。例えば、流体分析システムは、回転子上に配置された血液試料を分析および特性化し、1つ以上の分析対象物を識別し得る。一般に、生体試料が、回転子に投入され、回転子が、流体分析システムの中に配置され得る。次いで、システムは、試料がウェルセットに配分されるように、遠心力によって回転子を回転させ得る。ウェルセットは、システムによって光学的に分析され得、さらなる分析が、試料を特性化するために実施され得る。
【0104】
超音波溶接技術を使用して製造されたいくつかの従来の回転子は、回転子のキュベット間の不所望な試薬汚染に寄与し得る試薬ダストを生成し得る。例えば、回転子の部分が超音波溶接されるとき、キュベット内の試薬ビーズが、超音波振動し、試薬ダストを生成し得る。いくつかの場合では、試薬ダストは、キュベットから回転子のチャネルまたは他の空洞の中にマイグレートし得る。対照的に、本明細書に記載されたような製造方法は、複数の回転子層を溶接して、これらの欠点に対処し得、かつ流体分析システムと共に使用され得る回転子デバイスを形成し得る。検査方法は、回転子の1つ以上の態様を特性化し、製造品質に基づくなど、回転子を分類することを可能にし得る。
【0105】
流体分析
いくつかの実施形態では、流体を分析するための方法は、本明細書に記載されるような流体分析システムおよび/または回転子を使用し得る。本明細書に記載された方法は、光学分析技術に基づいて試料から分析対象物を迅速かつ容易に識別し得る。
図9は、流体(900)を分析する方法を概して例示するフローチャートである。本明細書に記載されたような回転子(100、200、300、400、500、600、700)と構造的および/または機能的に類似する回転子が、本明細書に記載された流体分析ステップのうちの1つ以上で使用され得る。プロセスは、ステップ902で、試料を回転子に適用することを含み得る。いくつかの実施形態では、試料は、ヒトまたは動物などの被験者からの血液試料を含み得る。例えば、血液試料は、静脈からか、または指穿刺から採取され得る。試料/流体の体積は、例えば、約40マイクロリットル~約100マイクロリットルであり得る。いくつかの実施形態では、回転子は、不浸透性フォイルポーチ中にパッケージ化され得、乾燥剤のパッケージをさらに含み得る。乾燥剤は、回転子内に配設された試薬に対する水分の影響を最小化し得る。試料は、回転子の試料ポートまたは開口部の中に投入され得る。
【0106】
ステップ904で、試料を有する回転子が、流体分析システムの中に配置(例えば、挿入)され得る。例えば、回転子は、流体分析システム(800)の遠心分離機上に取り付けられるように構成され得る。回転子は、例えば、遠心分離機の垂直駆動シャフト上に取り付けるのに好適なレセプタクルまたは他の連結機構を含み得る。例えば、回転子は、流体分析システムの中に格納されるように、かつ主軸(例えば、シャフト)が回転子と解放可能に係合することを可能にするように構成された滑動プラットフォーム上へと配置され得る。いくつかの実施形態では、主軸は、回転子の空洞内の滑動可能な希釈剤容器を係合させ得、これにより、容器が、試料と混合するために容器から希釈剤を開封して回転子の他の空洞の中に誘導するように構成され得る。例えば、回転子内に配設された容器は、容器を穿刺するように構成された突起セットに向けてシャフトによって上方に押し上げられ得る。
【0107】
ステップ906で、回転子は、遠心分離機を使用して1つ以上の所定のレートで回転し得る。試料が血液を含む実施形態では、ステップ906で、血球が、遠心力によって、希釈された血漿から分離され得る。他の実施形態では、血漿からの血球の分離は、希釈の前に行われ得る。いくつかの実施形態では、試料は、希釈剤と混合して実質的に均質な混合物を形成し得る。例えば、
図1Aに例示された回転子(100)は、例えば、中間のすべての値およびサブ範囲を含む、約1,000RPM、約2,000RPM、約3,000RPM、約4,000RPM、約5,000RPM、約6,000RPMなどの好適なRPMで回転され得る。
【0108】
回転子が回転する際に、試料が、弧状空洞(110)から出得る一方、希釈剤が、計量チャンバ(112)の中に入る。希釈剤が計量チャンバ(112)から混合チャンバ(114)に流れる際に、試料は、ウェル(152)(例えば、赤血球ウェル)を充填し始め得る。回転する回転子の遠心力は、液体が1つ以上の導管のU字形状の部分を通ることを防止する。回転子が静止している(例えば、回転していない)とき、キャピラリー力により、試料(例えば、血漿)は、1つ以上の導管を通って流れることが可能になる。1回以上の回転サイクルを使用して、混合チャンバ(114)中に試料および希釈剤を送達および混合するとともに、混合希釈剤および試料をウェル(130)セットへの配分のためにチャネル(120)の中に送達し得る。
【0109】
分離および混合後、ステップ908で、試料流体は、遠心力により回転子の内部チャネルを通してウェルセットに配分され得る。いくつかの実施形態では、ウェルセットは、アッセイウェルセットを含み得、各ウェルは、1つ以上の試薬(例えば、凍結乾燥試薬、試薬ビーズ)、および基準ウェルセットを含む。化学反応が、アッセイウェル中の流体と試薬との間で生じ得る一方、血漿は、試薬との反応を受けることなく基準ウェルセットに入り得る。
【0110】
ウェルセット内の流体は、回転子が回転する間に光学的に分析され得る。例えば、アッセイウェル中で生じる化学反応は、測光的に分析され得る。ステップ910で、放射源(例えば、光源、照明源)を使用して、光ビームを回転子のウェルのうちの1つ以上を通して誘導し得る。放射源は、アークランプ、および/またはパルスレーザ、波長調整可能なソース、それらの組み合わせなどを含む他の高強度光源を含み得る。例えば、アークランプは、およそ5マイクロ秒の持続時間のフラッシュ中におよそ0.1ジュールのエネルギーを放電し得る。ウェルセット内の流体は、放射源から受け取られた光ビームを部分的に吸収し得る。光が吸収される程度は、光ビームの波長、および分析されるウェルの内容物に依存し得る。いくつかの実施形態では、放射源は、回転子の反射器から受信された光信号に基づいて作動され得る。例えば、反射器は、回転子の平面内で発せられた光ビームを受け取ることができ、これは、検出器に向けて垂直に方向転換され得る。検出器は、光ビームを受信し得、制御デバイスが、信号データを処理して、放射源を、回転子のウェルを通して所定の時間に光ビームを発するように制御し得る。
【0111】
ステップ912で、検出器(例えば、光センサ)を使用して、回転子の1つ以上のウェルを通り抜けた光を受信し得る。いくつかの実施形態では、検出器は、ビームスプリッタ、干渉フィルタ、および光検出器のうちの1つ以上を含む1つ以上の光学要素に連結され得る。光学要素は、光学検出経路(図示せず)を形成し得る。ステップ914での検出器は、ウェルのうちの1つ以上についての信号データを生成するように構成され得る。ステップ916で、信号データは、制御デバイスによって処理されて、試料の1つ以上の分析対象物を特性化し(例えば、定量化し)得る。いくつかの実施形態では、複数の試験が実施され得る(例えば、最大50の異なる試験)。例えば、分析は、エンドポイント試験およびレート試験を含み得る。これに加えて、またはこれに代えて、イムノアッセイおよび他の特異的結合アッセイが、試験ウェル中で実施され得る。ただし、一般に、このようなアッセイ手順は一様である。いくつかの場合では、免疫学的反応ステップが発生した後に、試験ウェル中で血液が血漿から分離されるときに、異種アッセイシステムが使用され得る。血液アッセイは、グルコース、乳酸デヒドロゲナーゼ、血清グルタミコキサロ酢酸トランスアミナーゼ(SGOT)、血清グルタミン酸ピルビントランスアミナーゼ(SGPT)、血液尿素(窒素)(BUN)、総タンパク質、アルカリ性、ホスファターゼ、ビリルビン、カルシウム、および塩化物のうちの1つ以上を含み得る。これらのアッセイのうちのいくつかは、1つ以上の試薬と組み合わされた血液血漿を使用して、血漿中の視覚的に検出可能な(例えば、測光的に検出可能な)変化を生成し得る。ステップ918で、実施された分析が、流体分析システムによって出力され得る。
【0112】
回転子製造
本明細書にはまた、本明細書に記載されるような流体分析システムの実施形態と共にいくつかの実施形態で使用され得る回転子を製造するための方法に対応する実施形態が記載される。本明細書に記載されるような回転子(100、200、300、400、500、600、700)と構造的および/または機能的に類似する回転子は、本明細書に記載された製造ステップのうちの1つ以上を使用して製造され得る。例えば、ここに記載された方法は、射出成形およびレーザ溶接技術を使用して回転子デバイスを製造し得る。これらの方法を使用して製造された回転子は、回転子が、試薬汚染のリスク(例えば、ウェル内でのビーズダストの生成)を低減されること、ならびに品質、一貫性、スループット、および製造自動化のうちの1つ以上を改善されることなどの多数の利点を有し得る。
【0113】
一般に、本明細書に記載された方法は、回転子の層セットを形成および結合することを含む。例えば、回転子の基部が、ツーショット射出成形プロセスによるなどして合わせて結合された第1の層および第2の層を含み得る。第1の層は、実質的に透明であり得る。第2の層は、赤外線放射に対して実質的に吸収性であり得る。第1の層および第2の層は、ウェルセットを画定し得る。さらに、第2の層は、本明細書により詳細に記載されるように、チャネルおよび空洞のセットを画定し得る。回転子は、基部に位置整合した第3の層を含み得る。第3の層は、第3の層が実質的に透明であり得る流体を受け取るように構成された開口部を画定し得る。基部は、チャネルが開口部とウェルセットとの間の流体連通路を確立するように、赤外線放射を使用して第3の層に結合され(例えば、溶接され)得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の追加の層が、形成され、第3の層に結合され得る。
【0114】
図10Aは、回転子を製造する方法(1000)を概して記載するフローチャートである。方法は、ステップ1002で、第1の層を形成することと、ステップ1004で、第2の層を形成することと、を含み得る。ステップ1006で、第1の層および第2の層が、合わせて結合されて、回転子の基部を形成し得る。例えば、第1の層および第2の層は、
図10Bおよび
図11A~
図11Fに関してより詳細に記載されるように、マルチショット射出成形(例えば、逐次射出成形)を使用して、形成され、および合わせて結合され得る(ステップ1002、1004、1006)。いくつかの実施形態では、第2の層に結合された第1の層は、ウェルセットを画定し得る。
【0115】
いくつかの実施形態では、第1の層および第2の層は、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレン、およびアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のうちの1つ以上を構成要素とし得る。第1の層は、実質的に透明であり得る。例えば、第1の層は、紫外線、可視光、および赤外線放射のうちの少なくとも1つに対して実質的に透明であり得る。第2の層は、少なくとも約0.1重量%のカーボンブラックを含み得る。例えば、第2の層は、約0.2%のカーボンブラックを含み得る。例えば、第2の層は、約0.4%のカーボンブラックを含み得る。例えば、第2の層は、約0.8%のカーボンブラックを含み得る。第2の層は、中間赤外線放射および近赤外線放射の少なくとも1つに対して実質的に吸収性であり得る。いくつかの実施形態では、第2の層は、少なくとも940nmの波長の放射に対して実質的に吸収性であり得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、回転子の第1の層および第2の層は、
図10Bのフローチャートに記載され、かつ
図11A~
図11Fに例示されたツーショット成形プロセス(1020)を使用して形成および結合され得る。
図11Bに例示されるように、ツーショット成形システム/アプローチは、金型の第1の半部(1120)および対応する金型の第2の半部(1130)を含み得る。金型の第1の半部(1120)は、第1の空洞(1122)および第2の空洞(1124)を含み得る。金型の第2の半部(1130)は、第1のコア(1132)および第2のコア(1134)を含み得る。第1の空洞(1122)の形状と第2の空洞(1124)の形状とは、異なり得る一方、第1のコア(1132)の形状と第2のコア(1134)の形状とは、同じであり得る。第1の空洞(1122)と第2の空洞(1124)との異なる形状により、材料の各注入(例えば、ショット)で異なる構造が形成することが可能になる。第1のコア(1132)と第2のコア(1134)とが同じ形状を有することにより、第1の層が、一貫した形状を有することが可能になる。金型の第1の半部(1120)および金型の第2の半部(1130)は、例えば、鋼で形成され得る。いくつかの実施形態では、金型の第1の半部(1120)および金型の第2の半部(1130)のうちのいずれか一方は、軸方向に移動し、かつ他方に対して回動するように構成され得る。例えば、
図11A~
図11Fの金型の第2の半部(1130)は、軸方向に移動し、かつ定位にある金型の第1の半部(1120)に対して旋回するように構成され得る。
【0117】
ツーショット成形プロセスは、金型の半部(1120、1130)の対を閉鎖し、かつ第1のコア(1132)の中に第1の材料(例えば、透明樹脂材料)を注入(例えば、シューティング)するステップ1022を含み得る。第1の回転子(1140)の第1の層は、金型(1120、1130)間に形成され、第1のコア(1132)および第1の空洞(1122)の形状によって画定され得る。
【0118】
ステップ1024で、金型の第2の半部(1130)は、金型の第1の半部(1120)から軸方向に離れるように移動して金型を開放し得る。第1の回転子(1140)の第1の層は、金型の第2の半部(1130)の第1のコア(1132)内に配設され得る。ステップ1026で、第1の空洞(1122)が、第2のコア(1134)と位置整合し、かつ第2の空洞(1124)が、第1の回転子(1140)の第1の層を有する第1のコア(1132)と位置整合するように、金型の第2の半部(1130)が、180度回動され(例えば、旋回され)得る。金型の第2の半部(1130)のこの回転により、第1の回転子(1140)の第1の層は、第1の層の上への第2の材料(例えば、炭素充填樹脂材料)の注入を受け取ることが可能になる。すなわち、第2の層は、第1の層と位置整合し得る。同時に、別個の回転子の第1の層が、隣接する第2のコア(1134)中に注入され得る。
【0119】
ステップ1028で、金型(1120、1130)の対が閉鎖され得、第1の材料が、第2のコア(1134)の中に注入され得る。第2の回転子(1142)の第1の層は、金型(1120、1130)間に形成され、第2のコア(1134)および第1の空洞(1122)の形状によって画定され得る。並行して、第2の材料(例えば、炭素充填樹脂材料)が、第1のコア(1132)の中に注入され得る。第1の回転子(1140)の第2の層が、金型(1120、1130)間に形成され、第1の層、第1のコア(1132)、および第2の空洞(1124)の形状によって画定され得る。すなわち、第2の層は、マルチショット射出成形を使用して形成され、第1の層に結合され得る。
【0120】
本明細書により詳細に記載されるように、第2の空洞(1124)および金型の第2の半部(1130)は、第1の材料と第2の材料との間にシールを作製し得るシャットオフセットを形成し、かつ回転子(例えば、ウェルセット)の構造的特徴の形成を補助するように構成され得る。例えば、第2の空洞(1124)の金属表面は、材料の注入を防止するように、および/または支持体を作製するように構成されたシャットオフを画定するために、回転子の第1の層と係合し得る。特に、ウェルセットの各ウェルは、第2の空洞(1124)が係合して、第2の材料がフラッシュまたはブリードすることを防止するように構成されたバリアを作製し得る、第1の層の先細りした側壁表面(例えば、
図3B)を含み得る。このようにして、1つ以上の空隙(例えば、ウェル)が、回転子中に形成され得る。
【0121】
ステップ1030で、金型の第2の半部(1130)は、金型の第1の半部(1120)から軸方向に離れるように移動して金型を開放し得る。
図11Eに示されるように、第2の回転子(1142)の第1の層は、金型の第2の半部(1130)の第2のコア(1134)内に配設され得る。第1の層および第2の層を有する第1の回転子(1140)は、第2の空洞(1124)内に配設され得る。ステップ1032で、第1の空洞(1122)が、第1のコア(1132)と位置整合し、第2の空洞(1124)が、第2の回転子(1142)の第1の層を有する第2のコア(1134)と位置整合するように、金型の第2の半部(1130)が、180度回動され(例えば、旋回され)得る。ステップ1034で、合わせて結合された第1の層および第2の層(例えば、回転子基部)を有する第1の回転子(1140)が、第2の空洞(1124)から取り出され得る。プロセスは、追加の回転子を製造するためにステップ1028(例えば、
図11D)に戻り得る。他の実施形態では、第2の材料(例えば、炭素充填樹脂)が、第1の材料(例えば、透明樹脂材料)をシューティングする前にショットされ得る。
【0122】
図10Aを再び参照すると、ステップ1008で、凍結乾燥試薬セットが、ウェルセットの中に配置され得る。例えば、第1のウェルセットは、空であり得、第2のウェルセットは、異なる凍結乾燥試薬を含み得、第3のウェルセットの各ウェルは、複数の凍結乾燥試薬を含み得る。
【0123】
ステップ1010で、第3の層が、形成され得る。例えば、第3の層は、射出成形によって形成され得る。第3の層は、アクリル、ポリカーボネート、環状オレフィンコポリマー(COC)、ポリスチレン、およびアクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)のうちの1つ以上を構成要素とし得る。第3の層は、実質的に透明であり得る。例えば、第3の層は、紫外線、可視光、および赤外線放射のうちの少なくとも1つに対して実質的に透明であり得る。
【0124】
ステップ1012では、第1の層および第2の層は、回転子のチャネルが開口部とウェルセットとの間の流体連通路を確立するように、赤外線放射を使用して第3の層に結合され得る。例えば、第1の層および第3の層は、第2の層にレーザ溶接され得る。レーザ溶接は、半導体ダイオードレーザ、固体Nd:YAGレーザ、およびファイバレーザのうちの1つ以上を使用して実施され得る。いくつかの実施形態では、ダイオードレーザは、約940nmの波長を有する光ビームを生成し得る。
【0125】
ステップ1012は、回転子基部(例えば、第2の層に結合された第1の層)を第3の層に位置整合させることを含み得る。いくつかの実施形態では、フォトマスクは、回転子基部および第3の層に位置整合し得る。いくつかの実施形態では、フォトマスクは、固定位置に保持され得、回転子基部は、プラットフォーム(例えば、ネスト、ステージ)上に保持され得る。例えば、フォトマスクは、プラットフォーム(例えば、フローティングプラットフォーム)を使用して回転子基部にクランプされ得る。プラットフォームは、回転子基部をフォトマスクに向けて移動させ、かつフォトマスクを回転子基部に位置整合させるように構成され得る。いくつかの実施形態では、フォトマスクは、回転子基部および第3の層の1つ以上の部分への赤外線放射を遮断するように構成され得る。適切な溶接を確保にするために回転子とフォトマスクとの間に必要とされる正確な許容公差に起因して、プラットフォームは、フォトマスクへの回転子の位置整合を補助するために、フォトマスクと平行な平面内で移動するように構成され得る。フローティングプラットフォームにより、ブッシングおよび突起(例えば、ブッシングガイドピン、回転子位置整合ピン)が、互いに対して移動し、かつフォトマスクが回転子に解放可能にクランプされ得るように互いに嵌合することが可能になる。例えば、
図16~
図18に関して本明細書で詳細に記載されるように、フォトマスクおよびプラットフォームのうちの一方は、フォトマスクおよびプラットフォームのうちの他方の対応する突起セットに嵌合するように構成されたブッシングセットを含み得る。
【0126】
いくつかの実施形態では、赤外線放射は、レーザビームとして構成され得る。いくつかの実施形態では、レーザビームは、ラインビーム、点状(例えば、スポット)ビーム、フィールド(例えば、平面)ビームなどのうちの1つ以上であり得る。レーザビームは、フォトマスク、回転子基部、および第3の層の上に出力され得る。例えば、ラインビームは、フォトマスクを通り越し得る。フォトマスクは、回転子溶接部のパターンを画定するように構成され得る。フォトマスクを通り抜けた赤外線放射を受け取る回転子の部分では、第2の層の表面が、赤外線放射を吸収し、第2の層と接触している第3の層の表面との溶接部を形成し得る。所定の波長(例えば、940nm)を有するラインビームは、フォトマスクを通り越して、所定の出力で約1秒~約2秒で回転子中にレーザ溶接部を形成し得る。レーザ溶接部に隣接する回転子のいくつかの部分では、熱膨張に起因して、第2の層と第3の層との間に約1μm~約10μmのギャップが形成され得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、フォトマスクは、凍結乾燥試薬セットの少なくとも1つの凍結乾燥試薬の上でレーザビームを遮断するように構成され得る。これは、試薬の構造的および化学的完全性を補助し得る。これに加えて、またはこれに代えて、レーザビームは、凍結乾燥試薬セットの少なくとも1つの他の凍結乾燥試薬の上に出力され得る。回転子中に配設された凍結乾燥試薬のうちのいくつかは、試薬の物理的および化学的完全性を維持しながら、所定の波長、電力、および時間で赤外線放射を受け取るように構成され得る。例えば、いくつかの試薬は、約940nmで約1秒間~約2秒間赤外線放射に曝露されると、フォトマスクされた試薬と実質的に同一に機能し得る。
【0128】
他の実施形態では、第1の層および第2の層は、超音波溶接、接着剤(例えば、接着テープ)、および/または溶剤結合のうちの1つ以上を使用して結合され得る。
【0129】
ステップ1014で、第4の層が、形成され得る。例えば、第4の層は、射出成形によって形成され得る。例えば、第4の層は、本明細書に記載されるような第4の層(204、704)と構造的および/または機能的に類似し得る。ステップ1016で、第4の層は、第3の層に連結され得る。例えば、第4の層は、第3の層に超音波溶接され得る。
【0130】
回転子検査
また、本明細書には、本明細書に記載されるような流体分析システムの実施形態と共にいくつかの実施形態で使用され得る回転子を検査するための方法に対応する実施形態が記載される。本明細書に記載された方法は、光学撮像技術および光学分析技術を使用して、回転子デバイス(例えば、レーザ溶接された回転子)を検査し得る。これは、回転子の1つ以上の特性を定量化するなどの、多数の利点を有し得る。例えば、1つ以上の回転子溶接部、試薬球、およびウェルが、一貫した、繰り返し可能な、および自動化された品質制御プロセスの一部として分析および検証され得る。これは、品質によるなどして回転子を分類するのに有用であり得る。
【0131】
図12は、回転子(1200)を検査する方法を概して記載するフローチャートである。本明細書に記載されるような回転子(100、200、300、400、500、600、700)と構造的および/または機能的に類似する回転子は、本明細書に記載された検査ステップのうちの1つ以上を使用して検査され得る。例えば、回転子は、ウェルセットを集合的に画定するために、ツーショット射出成形によるなどして、第2の層(102、202、302、402、502、702)に連結された第1の層(101、201、301、501)を含み得る。第1の層は、実質的に透明であり得る。第2の層は、チャネルを画定し得る。第2の層は、赤外線放射に対して実質的に吸収性であり得る。第3の層が、流体を受け取るように構成された開口部を画定し得る。第3の層は、実質的に透明であり、レーザ溶接によるなどして、第2の層に連結され得る。
【0132】
ステップ1202で、回転子が、1つ以上の光センサに位置整合し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の光センサは、回転子の平面図、底面図、斜め図、および/または側面図を生成するように構成され得る。いくつかの実施形態では、1つ以上の放射源が、撮像される回転子の部分を照明するように構成され得る。例えば、回転子は、拡散軸方向照明を使用して照明され得る。いくつかの実施形態では、回転子は、撮像中に回転され得る。
【0133】
ステップ1204で、回転子画像セットが、光センサのうちの1つ以上を使用して生成され得る。例えば、
図13Aおよび
図13Bは、平面図の視点からの回転子の構造的特徴を例示する回転子の部分の例示的な画像(1300、1350)である。画像は、回転子全体または回転子の一部分のものであり得る。いくつかの実施形態では、画像は、側面視および底面視のいずれかから撮影され得る。ステップ1206で、1つ以上の回転子特性が、回転子画像セットから識別され得る。回転子画像の画像分析が、結合情報(例えば、データ)を生成するために実施され得る。いくつかの実施形態では、結合情報は、取得された画像データと基準データセットとの間で実施された比較の結果を含み得る。結合情報は、第2の層と第3の層との間に形成された縁部セットを含み得る。例えば、縁部の予期しない不連続性は、不完全な溶接部を示し得る。
図13Aに示されるように、回転子の第1の部分(1310)は、回転子の第2の部分(1320)よりも高い強度値を有し得る。例えば、回転子の第1の部分(1310)は、第1の画素強度範囲(例えば、0~255のグレースケール範囲で40~80)を有し得、回転子の第2の部分(1320)は、第2の画素強度範囲(例えば、グレースケールで100~140)を有し得る。第1の部分(1310)と第2の部分(1320)との間のコントラストの差は、第2の部分(1320)内の空気に起因し得る。第1の部分(1310)は、回転子の溶接部分に対応し得る一方、第2の部分(1320)は、チャネル、ウェル、空洞、インレット、および製造欠陥のうちの1つ以上を含む回転子の非溶接部分に対応し得る。完全に透明な回転子は、このような可視であるコントラストを有する回転子画像を生成しない可能性がある。
【0134】
図13Bでは、回転子の第1の部分(1360)は、回転子の第2の部分(1370、1380)よりも低い強度値を有する。第1の部分(1360)は、溶接部の縁部に対応し得る一方、第2の部分は、空洞(1370)および溶接部分(1380)などの回転子の構造に対応し得る。結合情報は、縁部セット中の1つ以上のギャップを含み得る。例えば、回転子内の各位置に対する、取得された画像(1300、1350)と基準画像セットとの間の強度値の差を使用して、1つ以上のギャップを識別し得る。これらの差の各々は、欠陥として識別され、結合情報に含まれ得る。
【0135】
ステップ1208で、回転子は、識別された回転子特性を使用して分類され得る。欠陥の数、サイズ、形状、および場所は、定量化され得、所定の閾値セットと比較され得る。例えば、いくつかの欠陥は、所定の閾値を下回るサイズ、回転子の完全性および/または機能性への影響が最小限となる領域中の場所のうちの1つ以上を有し得る。他の欠陥は、不合格、使用の規制(例えば、ヒトの使用ではなく、動物の使用に承認される)、許容可能、発売の制限、二次検査の必要性、手動検査などのうちの1つ以上としての分類をもたらし得る。すなわち、複数の品質分類があり得る。例えば、空洞、ウェル、チャネル、インレットなどから隔離された不完全な溶接部は、外装不良として分類され得る。いくつかの場合では、チャネル、ウェル、空洞、およびインレットの形状を変化させる不完全な溶接部は、表面上の欠陥または軽微な欠陥として分類され得る。他の場合では、異なる構造を合わせて接続する不完全な溶接部は、重大な欠陥として分類され得る。例えば、2つの導管を直接合わせて接続するか、または2つのウェルを直接合わせて接続する不完全な溶接部は、回転子が重大な欠陥を有するとして分類され得るように、回転子のマイクロ流体性能を改変し得る。いくつかの実施形態では、欠陥の数、サイズ、形状、および場所の組み合わせを使用して、回転子を分類し得る。高品質の回転子には、異なるチャンバ間に新たな流体流路を作製する不完全な溶接部がない。
【0136】
これに加えて、またはこれに代えて、ステップ1210で、1つ以上の試薬特性が、識別され得る。例えば、試薬画像セットが、光センサのうちの1つ以上を使用して生成され得る。
図14Aおよび
図14Bは、試薬を有する回転子のウェルの例示的な画像(1400、1450)である。
図14Aは、2つの凍結乾燥試薬(1420)が中に配設されたウェル(1410)の側面図である。
図14Bは、少なくとも1つの凍結乾燥試薬(1470)が中に配設されたウェル(1470)の平面図である。
【0137】
ウェル画像の画像分析が実施されて、試薬情報(例えば、データ)を生成し得る。いくつかの実施形態では、試薬情報は、取得された画像データと基準データセットとの間で実施された比較の結果を含み得る。試薬情報は、色データと、試薬のサイズおよび形状を画定する縁部セットと、を含み得る。例えば、試薬情報を使用して、複数の断片に破砕された試薬球および/または1つ以上の開裂部分を有する凍結乾燥試薬球を識別し得る。
【0138】
ステップ1212で、試薬は、試薬情報を使用して分類され得る。欠陥の数、サイズ、形状、および場所は、定量化され得、所定の閾値セットと比較され得る。例えば、いくつかの欠陥が、所定の限度から外れたサイズおよび/または形状のうちの1つ以上を有し得る。欠陥は、不合格、許容可能、発売の制限、二次検査の必要性、使用の規制(例えば、ヒトの使用ではなく、動物の使用に承認される)、表面上、手動検査などのうちの1つ以上としての分類をもたらし得る。すなわち、複数の品質分類があり得る。いくつかの実施形態では、欠陥の数、サイズ、形状、および場所の組み合わせを使用して、試薬および/または回転子を分類し得る。
【0139】
ステップ1214で、回転子および/または試薬分析は、検査システムによって出力され得る。いくつかの実施形態では、ディスプレイが、回転子および検査結果を列挙し得る。これに加えて、またはこれに代えて、聴覚音(例えば、ビープ音)セットが出力されて、回転子および/または試薬検査の結果を示し得る。分析はまた、本明細書に記載されるようなリモートデータベースに記憶され得る。
【0140】
本明細書で使用される場合、数値および/または範囲と併せて使用されるときの用語「約」および/または「およそ」は、一般に、それらの数値および/または範囲が、引用された数値および/または範囲に近いことを指す。いくつかの事例では、用語「約」および「およそ」は、引用された値の±10%以内を意味し得る。例えば、いくつかの事例では、「約100[単位]」は、100の±10%以内(例えば、90~110)を意味し得る。用語「約」および「およそ」は、互換的に使用され得る。
【0141】
以上の説明は、説明の目的で、本明細書に開示された様々な発明および実施形態の完全な理解を提供するために、特定の命名法を使用した。しかしながら、開示された発明および実施形態を実践するために、特定の詳細が必要とされないことが、当業者には明らかであろう。したがって、本発明の特定の実施形態、およびその対応する実施形態の以上の説明は、例示および説明の目的で提示される。それらは、網羅的であること、または本発明を開示された形態そのものに限定することは意図されておらず、明らかに、上記の教示を考慮して多くの変更および実施形態が可能である。実施形態は、本発明の原理、その対応する実施形態、および実用的な用途を最も良く説明するために、選択および記載されたのであり、この結果、当業者は、想到される特定の使用に好適であるように、本発明および様々な変更を伴う様々な実装態様を最も良く利用することが可能である。以下の特許請求の範囲およびそれらの均等物は、本発明の範囲を定義することが意図される。
【0142】
加えて、本明細書に開示された2つ以上のこのような特徴、構造、システム、物品、材料、キット、ステップ、および/または方法の任意の組み合わせは、このような特徴、構造、システム、物品、材料、キット、ステップ、および/または方法が相互に矛盾しない場合、本開示の発明の範囲内に含まれる。その上、本明細書に開示された様々な発明のいくつかの実施形態は、参考文献または参考文献の組み合わせに見出される1つ以上の特徴/要素/機能性を特定的に欠くために、従来技術と区別可能であり得る(すなわち、このような実施形態を対象とする特許請求の範囲は、否定的な限定を含み得る)。
【0143】
本出願の任意の箇所で提示される、特許、特許出願、論文、ウェブページ、書籍などを含むが、これらに限定されない刊行物または他の文書に対するありとあらゆる参照は、それらの全体が参照によって本明細書に組み込まれる。その上、本明細書で定義および使用されるようなすべての定義は、辞書定義、参照によって組み込まれる文書中の定義、および/または定義された用語の通常の意味を統制するように理解されるものとする。