(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】動的水平化を備えた同軸リフト装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240419BHJP
C23C 16/458 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H01L21/68 N
C23C16/458
(21)【出願番号】P 2021516574
(86)(22)【出願日】2019-08-28
(86)【国際出願番号】 US2019048529
(87)【国際公開番号】W WO2020068343
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-26
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】シャーラー, ジェーソン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ブラニク, ジェフリー チャールズ
(72)【発明者】
【氏名】バンサル, アミット クマール
【審査官】境 周一
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-122262(JP,A)
【文献】国際公開第2018/067297(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
C23C 16/458
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板支持表面とペデスタルの外のり寸法を規定する側壁とを有するペデスタルと、
底部ボウルリフトと、
ペデスタルリフトと
を備えたリフトアセンブリであって、
前記底部ボウルリフトが、
前記ペデスタルの下方に配置される底部と、前記底部から上方に延在する周壁とを含む底部ボウルであって、前記周壁の内のり寸法が、前記ペデスタルの
前記外のり寸法より大き
い、底部ボウル;
前記底部ボウルを支持するように構成された底部ボウルキャリヤ;及び
前記底部ボウルキャリヤを第1の方向に並行移動させるように構成された底部ボウルアクチュエータアセンブリ
を含み、
前記ペデスタルリフトが、
前記ペデスタルに連結されたペデスタルキャリヤ;及び
複数のアクチュエータ
を含み、
前記複数のアクチュエータの各々が
前記ペデスタルキャリヤの別個の部分に連結され、
前記複数のアクチュエータのうちの1つ又は複数が
前記ペデスタルキャリヤの少なくとも一部分を前記第1の方向に並行移動させるとき、
前記ペデスタルと
前記底部ボウルとの間に相対的な線形及び角運動を生じさせるように構成されている、リフトアセンブリ。
【請求項2】
前記底部ボウルキャリヤと
前記ペデスタルキャリヤとが、ベローズを介して一緒に取り付けられており、
前記ベローズが
前記底部ボウルリフトと
前記ペデスタルリフトとの間にシールを形成する、請求項1に記載のリフトアセンブリ。
【請求項3】
前記底部ボウルアクチュエータアセンブリが1つ又は複数のガイド及び底部ボウルアクチュエータをさらに備え、
前記1つ又は複数のガイドがバックボーン構造及び
前記底部ボウルキャリヤに連結されており、且つ
前記1つ又は複数のガイドが、
前記底部ボウルアクチュエータが
前記底部ボウルキャリヤを前記第1の方向に並行移動させるとき、
前記バックボーン構造と
前記底部
ボウルキャリヤとの間に前記第1の方向への相対的な線形運動を可能にするように構成されている、請求項1に記載のリフトアセンブリ。
【請求項4】
第1の端部及び第2の端部を有するたわみヒンジをさらに備え、
前記たわみヒンジの各々が、
前記第1の端部でベースアセンブリに取り付けられており、
前記第2の端部で
前記複数のアクチュエータのうちの1つに取り付けられている、請求項1に記載のリフトアセンブリ。
【請求項5】
前記底部ボウルキャリヤと
前記ペデスタルキャリヤとに取り付けられた冷却ハブをさらに備える、請求項1に記載のリフトアセンブリ。
【請求項6】
前記複数のアクチュエータが3つのアクチュエータを含む、請求項1に記載のリフトアセンブリ。
【請求項7】
底部ボウルが処理チャンバの底面に近接する下降位置に位置するように、交換位置へと底部ボウルリフトを下降させることであって、
前記底部ボウル
は、
底部と、前記底部から上方に延在する周壁とを含み、前記底部の上面と前記周壁の内表面とは、前記底部ボウルの内側容積部を画定す
る、底部ボウルリフトを下降させること;
前記処理チャンバの
前記底面から一定の距離に位置する処理位置へと
前記底部ボウルリフトを上昇させること;
前記底部ボウルの前記周壁の内のり寸法よりも小さい外のり寸法を有するペデスタルの上面を
、シャワーヘッドの出力面に対して第1の配向に配向することであって、
前記シャワーヘッドの
前記出力面に対して
前記ペデスタルの
前記上面の
前記第1の配向が同一平面上になく;且つ
前記ペデスタルが
前記底部ボウルの内側容積部の内部において位置決め可能である、
ペデスタルの上面を配向すること;及び
前記ペデスタルの上面が
前記第1の配向に配向されており、且つ
前記底部ボウルリフトが処理位置にある間に、
前記ペデスタルの
前記上面に配置された基板上に第1の材料層を堆積させること
を含む、リフトシステムのための方法。
【請求項8】
前記リフトシステムが底部ボウルキャリヤ及びペデスタルキャリヤを備え、
前記底部ボウルキャリヤが
前記底部ボウルに連結され、
前記ペデスタルキャリヤが
前記ペデスタルに連結される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記リフトシステムが、
前記ペデスタルと
前記底部ボウルとの間に相対的な線形及び角運動を生じさせるように構成された複数のアクチュエータを備える、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
基板支持表面とペデスタルの外のり寸法を規定する側壁とを有するペデスタルと、
底部ボウルリフトと、
ペデスタルリフトと
を備えたリフトシステムであって、
前記底部ボウルリフトが、
前記ペデスタルの下方に配置される底部と、前記底部から上方に延在する周壁とを含む底部ボウルであって、前記周壁の内のり寸法が、前記ペデスタルの
前記外のり寸法より大き
い、底部ボウル;
前記底部ボウルを支持するように構成された底部ボウルキャリヤ;及び
前記底部ボウルが処理チャンバの底部に近接する下降位置に位置するような交換位置と、
前記底部ボウルが
前記処理チャンバの
前記底部に対して上昇位置に位置するような処理位置との間で、
前記底部ボウルキャリヤを移動させるように構成された底部ボウルアクチュエータアセンブリ
を含み、
前記ペデスタルリフトが、
前記ペデスタルを支持するように構成されたペデスタルキャリヤであって、
前記ペデスタルが
前記底部ボウルの内側容積部の内部において位置決め可能である、ペデスタルキャリヤ;及び
複数のアクチュエータ
を含み、
前記複数のアクチュエータの各々が
前記ペデスタルキャリヤの別個の部分に連結され、シャワーヘッドの出力面に近接して
前記ペデスタルを上昇させ、且つ
前記ペデスタルの上面を
前記シャワーヘッドの
前記出力面に対して第1の配向に配向させるように構成されており、
前記シャワーヘッドの
前記出力面に対して
前記ペデスタルの
前記上面の
前記第1の配向は同一平面上にない、リフトシステム。
【請求項11】
前記底部ボウル
が、前記底部ボウルの前記底部から、前記処理チャンバの前記底部に設けられた開口を通って下方に延びる下端を有し、第1の端部及び第2の端部を有するベローズ
の前記第1の端部
が、前記
下端に連結されており、
前記ベローズの
前記第2の端部は
前記処理チャンバの
前記底部の一部分にシールされている、請求項10に記載のリフトシステム。
【請求項12】
球関節アセンブリをさらに備え、
前記球関節アセンブリの各々が、
前記複数のアクチュエータのうちの1つを
前記ペデスタルキャリヤに連結する、請求項10に記載のリフトシステム。
【請求項13】
前記球関節アセンブリが、取り付け点の周りに3の自由度(ピッチ、ヨー、及びロール)を可能にする、請求項12に記載のリフトシステム。
【請求項14】
第1の端部及び第2の端部を有するたわみヒンジをさらに備え、
前記たわみヒンジの各々が、
前記第1の端部でベースアセンブリに取り付けられており、
前記第2の端部で
前記複数のアクチュエータのうちの1つに取り付けられている、請求項10に記載のリフトシステム。
【請求項15】
前記底部ボウルキャリヤと
前記ペデスタルキャリヤとに取り付けられた冷却ハブをさらに備える、請求項10に記載のリフトシステム。
【請求項16】
前記底部ボウルアクチュエータ
アセンブリのアクチュエータと
前記複数のアクチュエータのそれぞれが、線形のボールねじアクチュエータである、請求項10に記載のリフトシステム。
【請求項17】
前記線形のボールねじアクチュエータのそれぞれが、サーボモータによって駆動される、請求項16に記載のリフトシステム。
【請求項18】
前記複数のアクチュエータが3つのアクチュエータを含む、請求項
10に記載のリフトシステム。
【請求項19】
球関節アセンブリをさらに備え、
前記球関節アセンブリの各々が、
前記複数のアクチュエータのうちの1つを
前記ペデスタルキャリヤに連結する、請求項1に記載のリフトアセンブリ。
【請求項20】
前記球関節アセンブリが、取り付け点の周りに3の自由度(ピッチ、ヨー、及びロール)を可能にする、請求項19に記載のリフトアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに記載される実施態様は、概して、処理チャンバに使用される基板支持要素を昇降するために使用されるリフト装置に関する。
【0002】
化学気相堆積(CVD)は、一般に、フラットパネルディスプレイのために使用される半導体ウエハ又は透明基板といった半導体処理チャンバ内の基板にフィルムを堆積させるために用いられる。CVDは通常、基板を含む真空チャンバ中にプロセスガスを導入することにより達成される。前駆体ガス又は混合ガスは、典型的には、チャンバの上部付近に置かれたガス分配アセンブリを通して下向きに導かれる。ガス分配アセンブリは、ガス分配アセンブリ及びプロセスガスが、ペデスタル内部に配置された加熱要素から提供される熱により加熱されるように、加熱されたペデスタル上に少し距離をおいて位置決めされた基板の上方に配置される。
【0003】
CVDプロセスの間に、チャンバ内のプロセスガスは、プラズマCVD(PECVD)と呼ばれる、チャンバに連結された1つ又は複数のRF源からチャンバへと高周波(RF)電力を印加することにより、エネルギーを与えられ(例えば励起され)てプラズマになる。RF整合回路を通してペデスタルに連結されたRF源と、チャンバ本体に接地されたガス分配アセンブリの面板とにより、容量性プラズマ結合の形成が容易になる。RF源は、ペデスタルとガス分配アセンブリの面板との間で、RFエネルギーをペデスタルに提供して、主プラズマとしても知られる容量結合プラズマの生成を容易にする。しかしながら、容量結合プラズマ及び面板の接地経路生成の副生成物として、真空チャンバの下部容積部内のペデスタルの下に、二次プラズマとしても知られる寄生プラズマが生成されることがある。寄生プラズマは容量結合プラズマ内に形成されるイオン濃度を低下させ、その結果として容量結合プラズマの密度が低下し、フィルムの堆積速度が低下する。
【0004】
加えて、従来の設計では、処理チャンバ内部の処理位置と搬送位置との間でウエハペデスタルを搬送するために、線形運動のみが使用された。しかしながら、処理チャンバ内のハードウエア部品間の機械公差の問題に起因して、ペデスタルの表面とシャワーヘッドの面板とは非平行となることが多く、このことは処理済み基板の表面にプロセスの不均一性を生じさせる。一例において、堆積されたフィルムは、基板全体で端から端まで変動する厚さの不均一性を有する。CVDプロセスは各々が、シャワーヘッドなどのチャンバ部品のうちの1つ又は複数に対するペデスタルの傾きと位置に応答して異なる均一性を有する。最適な処理結果を保証するため、各層は独立して、最善の処理結果を達成するためにシャワーヘッドに対して調整又は調節されたペデスタルの傾き及び位置を必要とする。
【0005】
したがって、処理チャンバの望ましくない領域における寄生プラズマを防止しながら、処理チャンバ内の2つのデバイス間での独立運動を可能にするデバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
ここに記載される1つ又は複数の実施態様は、処理チャンバ内部において1つ又は複数の固定部品に対するペデスタルの相対的な位置及び配向を調整することのできるリフトアセンブリに関する。リフトアセンブリは、基板上でPECVD、エッチング、又はその他有用なプラズマ処理を実施するために使用されるチャンバといった、プラズマ処理チャンバ内部において有用なハードウエア部品を含む。ここに記載される1つ又は複数の実施態様は、リフトアセンブリを使用するための方法に関する。ここに記載される1つ又は複数の実施態様は、リフトアセンブリを含むシステムに関する。
【0007】
一実施態様において、リフトアセンブリは、
基板支持表面とペデスタルの外のり寸法を規定する側壁とを有するペデスタルと;
ペデスタルの外のり寸法より大きな内のり寸法を有する壁を有する底部ボウル;
底部ボウルを支持するように構成された底部ボウルキャリヤ;
底部ボウルキャリヤを第1の方向に並行移動させるように構成された底部ボウルアクチュエータアセンブリ
を含む底部ボウルリフトと;
ペデスタルに連結されたペデスタルキャリヤ;及び
各々がペデスタルキャリヤの別個の部分に連結されている複数のアクチュエータであって、複数のアクチュエータのうちの1つ又は複数がペデスタルキャリヤの少なくとも一部分を第1の方向に並行移動させるとき、ペデスタルと底部ボウルとの間に相対的な線形及び角運動を生じさせるように構成された複数のアクチュエータ
を含むペデスタルリフトと
を含む。
【0008】
別の実施態様では、リフトシステムのための方法は、
底部ボウルが処理チャンバの底面に近接する下降位置に位置するように、交換位置へと底部ボウルリフトを下降させることであって、底部ボウルが、内側容積部を画定する内表面を有する壁を含む、底部ボウルリフトを下降させること;
処理チャンバの底面から一定の距離に位置する処理位置へと底部ボウルリフトを上昇させること;
ペデスタルの上面をシャワーヘッドの出力面に対して第1の配向に配向することであって、シャワーヘッドの出力面に対してペデスタルの上面の第1の配向が同一平面上になく;ペデスタルが底部ボウルの内側容積部の内部において位置決め可能である、ペデスタルの上面を配向すること;及び
ペデスタルの上面が第1の配向に配向されており、且つ底部ボウルリフトが処理位置にある間に、ペデスタルの上面に配置された基板上に第1の材料層を堆積させること
を含む。
【0009】
また別の実施態様では、リフトシステムは、
基板支持表面とペデスタルの外のり寸法を規定する側壁とを有するペデスタルと;
ペデスタルの外のり寸法より大きな内のり寸法を有する壁を有する底部ボウル;
底部ボウルを支持するように構成された底部ボウルキャリヤ;
底部ボウルが処理チャンバの底部に近接する下降位置に位置するような交換位置と、底部ボウルが処理チャンバの底部に対して上昇位置に位置するような処理位置との間で、底部ボウルキャリヤを移動させるように構成された底部ボウルアクチュエータアセンブリ
を含む底部ボウルリフトと;
ペデスタルを支持するように構成されたペデスタルキャリヤであって、ペデスタルが底部ボウルの内側容積部の内部において位置決め可能である、ペデスタルキャリヤ;及び
各々がペデスタルキャリヤの別個の部分に連結されている複数のアクチュエータであって、シャワーヘッドの出力面に近接してペデスタルを上昇させ、ペデスタルの上面をシャワーヘッドの出力面に対して第1の配向に配向させるように構成されており、シャワーヘッドの出力面に対してペデスタルの上面の第1の配向は同一平面上にない、複数のアクチュエータ
を含むペデスタルリフトと
を含む。
【0010】
本開示の上述の特徴を詳細に理解することができるように、上記で簡単に要約されている本開示のより詳細な説明が、実施態様を参照することによって得られ、それら実施態様の一部は添付図面に示される。しかしながら、本開示は他の等しく有効な実施態様も許容しうるため、添付図面は本開示の典型的な実施態様のみを示しており、したがって、本開示の範囲を限定すると見なすべきではないことに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示に記載される少なくとも1つの実施態様による処理チャンバの側断面図である。
【
図2】本開示に記載される少なくとも1つの実施態様によるリフトシステムの斜視図である。
【
図5A】本開示に記載される少なくとも1つの実施態様によるリフトシステムの側面図である。
【
図5B】本開示に記載される少なくとも1つの実施態様によるリフトシステムの側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
理解を容易にするために、可能な場合には、複数の図に共通する同一の要素を指し示すために同一の参照番号を使用した。一実施態様の要素及び特徴は、さらなる記述がなくても、他の実施態様に有益に組み込まれうると考えられる。
【0013】
以下の記載では、本開示の実施態様のより完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細が提示される。しかしながら、当業者には、本開示の実施態様のうちの1つ又は複数が、それら具体的な詳細のうちの1つ又は複数を含まずに実施可能であることは明らかであろう。他の事例では、周知の特徴は、本開示の実施態様のうちの1つ又は複数を曖昧にしないために記載されない。
【0014】
ここに記載される実施態様は、概して、基板処理チャンバに使用される基板支持要素、即ちペデスタルを昇降するために使用されるリフト装置に関する。リフト装置は、基板処理チャンバ内部の2つのアセンブリ間に独立した運動を可能にする多部品設計である。いくつかの実施態様では、リフト装置は、底部ボウルリフトアセンブリ及びペデスタルリフトアセンブリの両方を含む。底部ボウルリフトは、底部ボウルを支持し、底部ボウルの部品を、処理量を低減する位置へと移動させるように構成されており、これによりRFエネルギーが地面に伝播するためのより短く且つ対称な経路が提供されて、寄生プラズマの生成が低減し、堆積速度が上昇し、粒子が生成される可能性が低下し、堆積されたフィルムの均一性が向上する。いくつかの実施態様では、底部ボウルリフトは、ペデスタルリフトと同軸になるように位置決めされ、2つのリフトは、各リフトが独立に移動するように取り付けられる。ペデスタルリフトは、シャワーヘッドの出力面に対してペデスタルの配向を操作できる複数のアクチュエータを含む。加えて、ペデスタルリフトは、その処理位置へ独立に移動することができ、底部ボウルリフトとの干渉なしで所望の方向に移動することができる。いくつかの実施態様では、底部ボウルリフトは、3つの運動軸を有するペデスタルリフトと同軸に整列される1つの運動軸を有する。
【0015】
図1は、本開示に記載される少なくとも1つの実施態様による処理チャンバ100の側断面図である。処理チャンバ100は、側壁102、頂部104、及び底部106を含んでいる。ガス源108は、開口部110を介して処理チャンバ100の頂部104からガスを提供する。次いでガスは複数の孔113を通ってシャワーヘッド112の出力面114へ、そして処理領域116中へと流れる。ガスは処理領域116内部において、1つ又は複数のRF源191から処理チャンバ100へRF電力を印加することによりエネルギーを与えられる。いくつかの実施態様では、送達されたRFエネルギーは、主プラズマとしても知られる容量結合プラズマの生成を容易にし、これは基板118上に配置された半導体フィルムを形成又は処理するように作用する。基板118は通常、処理の間、ペデスタル120の上面120Aに位置している。ペデスタル120の上面120Aは、シャワーヘッド112の出力面114から短い距離119に位置する。ペデスタル120は、典型的には、静電チャック、真空チャック、又は処理温度、場合によっては約700℃を上回る温度に加熱又は冷却することのできる任意の他の同様のデバイスである。
ペデスタル120は、ペデスタル120の外のり寸法120Bを規定する側壁120Cも有している。
【0016】
処理領域116内に形成される主プラズマに加えて、寄生プラズマとしても知られる二次プラズマが、処理チャンバ100の下部容積部のペデスタル120の下に形成されてもよい。これは、処理チャンバ100の下部容積部の内部における主プラズマ及びRF電流の接地経路の生成の副生成物として起こる。寄生プラズマは、主プラズマ内部に形成されるイオン濃度を低下させ、したがって主プラズマの密度を低下させ、それは、プラズマ堆積堆積プロセスに関して堆積速度を低下させ、フィルムの均一性を低下させる。形成される寄生プラズマの量を相殺するために、底部ボウル122は、底部ボウルリフト124によって処理位置へと持ち上げられる(
図5Bにおいて説明する)。底部ボウル122は、処理位置に位置するとき、典型的には、底部ボウル122の上端122Aがエッジリング123、又は別の同様の部品の表面に接するように位置決めされる。エッジリング123は、シャワーヘッド112に連結するか、又はシャワーヘッド112に隣接して位置決めすることができる。底部ボウル122がその処理位置に位置するとき、底部ボウル122は、処理チャンバ100内部に内側容積部121を含む壁122Cを有する。内側容積部121は、参照番号129により表される、処理チャンバ100の全容積に対して減少した表面積を有する。減少した表面積129は、底部ボウル122の壁122Cの内表面により規定される。内側容積部121外部の処理チャンバ100のチャンバ容積は、参照番号131により表される。減少した表面積129は、寄生プラズマが内側容積部121のペデスタル120の下に生成されないように、接地経路を短縮し且つよりよく制御することを可能にする。底部ボウル122は軸方向に対称な(例えば、
図1のZ軸の周りで)部品であり、これは、
図1、2A及び5A-5Bに示されるように、底部ボウル122の内側容積部121を形成する少なくとも上端122A及び壁122Cが、ペデスタル120の外のり寸法120B(例えば、直径)より大きくなるようにサイズ決めされる。換言すれば、参照番号122Bにより表される内側容積部121のサイズは、ペデスタル120の外のり寸法120Bより大きい。このような構成は、底部ボウル122がペデスタル120からの干渉を受けずに独立に移動することを可能にする。底部ボウル122は、処理チャンバ100内での処理の間に使用されるプロセスガスと通常反応しない導電性材料から形成される。一実施例において、底部ボウル122は、ステンレス鋼、金属コーティングされた又は金属コーティングされていないアルミニウム合金、ドープされた炭化ケイ素、又はその他有用な材料から形成される。
【0017】
底部ボウル122を持ち上げる底部ボウルリフト124と共に、ペデスタル120は、シャワーヘッド112の出力面114に対するペデスタル120の上面120Aの配向を操作するペデスタルリフト126によって持ち上げられる。ペデスタルリフト126及び底部ボウルリフト124は、使用中互いに干渉しないように独立して移動するように構成される。いくつかの実施態様では、ペデスタルリフト126は、水平面(即ち、X-Y平面)及び/又は例えば位置128に示されるシャワーヘッド112の出力面114(細線)に対して傾くように、ペデスタル120を配向することができる。これは、処理チャンバのハードウエア部品間に生じる機械公差の問題を相殺するために有益である。しばしば、ペデスタル120の上面120Aとシャワーヘッド112の出力面114とは非平行であり、このことは、ペデスタルリフト126の上面120A上に配置された基板118の表面に処理の不均一性を生じさせる。しかしながら、ここに記載されるペデスタルリフト126は、最適な処理結果を保証するシャワーヘッド112の出力面114と平行な関係にとどまるように、ペデスタル120の上面120Aを配向するように働く。例えば、ペデスタル120は、最適な結果のために位置128へ傾く必要がある。このような実施態様では、傾きの幅127を約0.05インチから約0.1インチだけ上又は下へシフトさせることができるが、他の傾きの幅も可能である。
【0018】
底部ボウルリフト124とペデスタルリフト126とは、ペデスタルリフト126の部品が底部ボウルリフト124の部品と干渉することなく独立して移動することができるように、ベローズ130を介して一緒に取り付けられる。ベローズ130及び冷却ハブ208(
図2)は、ペデスタルリフト126/底部ボウルリフト124間にシールを提供する。底部ボウル122の下端はベローズ132を含み、このベローズ132の上端は、処理チャンバ100の底部106の一部分にボルト止め及びシールされて、処理チャンバ100の処理領域116をチャンバポンプ(図示しない)によって真空状態にポンピングすることを可能にするチャンバシールを形成する。ベローズ130及びベローズ132の両方が、処理チャンバ100の処理領域116を所望の圧力、例えば真空圧に維持することを可能にする。ベローズ130及びベローズ132は通常、ステンレス鋼、インコネル合金といった金属材料、又はその他適切な耐疲労性且つ導電性の材料から形成される。
【0019】
図2は、本開示に記載される少なくとも1つの実施態様によるリフトシステム200の斜視図である。
図3は、底部ボウルリフト124のみの斜視図であり、
図4は、ペデスタルリフト126のみの斜視図である。
図2に示されるように、リフトシステム200は、底部ボウルリフト124及びペデスタルリフト126を含む。底部ボウルリフト124は、底部ボウル122に連結されて同底部ボウルを支持する底部ボウルキャリヤ202を含んでいる。底部ボウル122は、処理チャンバ100内部で移動するように構成されている。ペデスタルリフト126は、ペデスタル120に連結されて同ペデスタルを支持するペデスタルキャリヤ204を含んでいる。ペデスタル120は、上昇及び下降させることができ、後述するように、任意の方向に傾けることもできる(ピッチ及びロール)。底部ボウルキャリヤ202とペデスタルキャリヤ204とは、ペデスタルリフト126の部品が底部ボウルリフト124の部品と干渉することなく独立して移動することができるように、ベローズ130(
図1)を介して一緒に取り付けられる。上述のように、ベローズ130及び冷却ハブ208は、ペデスタルリフト126と底部ボウルリフト124との間にシールを提供する。冷却ハブ208によって供給される水は、底部ボウルキャリヤ202を通って流れ、処理中に冷却を提供する。底部ボウルキャリヤ202とペデスタルキャリヤ204とは、2つの軸ポジショナー210を介して同軸に支持される。底部ボウルリフト124は、処理チャンバ100の底部106上の基準面に対する底部ボウル122の角度調整を提供する運動学的マウント214を使用して底部ボウルキャリヤ202に取り付けられるバックボーン構造212(
図2及び3)を含む。
【0020】
図3を参照すると、底部ボウルリフト124は、アクチュエータアセンブリ302及び1つ又は複数のガイド303を含んでいる。アクチュエータアセンブリ302は、底部ボウルキャリヤ202を、交換位置と処理位置との間で垂直方向上下(即ち、Z方向)に移動させるように働く(
図5A-5Bで後述する)。アクチュエータアセンブリ302は、バックボーン構造212及び底部ボウルキャリヤ202に取り付けられている。上述のように、バックボーン構造212は、底部ボウルキャリヤ202によって支持される底部ボウル122の角度的整合状態を、処理チャンバ内部の部品に対して独立して調整することができるように、底部ボウルリフト124アセンブリの角度調整を提供する。アクチュエータアセンブリ302は、線形モータ、エアシリンダー、又はボールねじアクチュエータといった線形アクチュエータを含むことができる。アクチュエータアセンブリ302は、サーボモータシステム304を含み、同サーボモータシステムによって駆動することができる。サーボモータシステム304は、アブソリュートエンコーダ、サーボモータ、及びブレーキの使用により、アクチュエータアセンブリ302を駆動することができる。1つ又は複数のガイド303は、スライドすることができ、且つ各々が、バックボーン構造212と底部ボウルキャリヤ202との間の相対的線形運動を可能にする線形運動ガイドを含むことができる。これは、底部ボウルキャリヤ202を、その処理位置と搬送位置との間でガイドする。
【0021】
図4を参照すると、ペデスタルリフト126は、基板118(
図1)を支持するためのペデスタル120を含んでいる。上述のように、ペデスタル120は、ペデスタルキャリヤ204によって支持される。冷却ハブ208は、処理中に、場合によっては700℃を上回ることのある、ペデスタルキャリヤ204(及び底部ボウル122)を冷却状態に保つための水流を提供する。ペデスタルリフト126は、シャワーヘッド112の出力面114(
図1)に対するペデスタル120の位置及び/又は配向を操作するように構成されている。実施態様では、ペデスタルリフト126は、ペデスタルキャリヤ204への3つの接点を利用して、シャワーヘッド112の出力面114に対するペデスタル120のための水平面を確立する。
【0022】
ペデスタルキャリヤ204は、通常、複数のアクチュエータ402の使用により、中心軸401に平行な方向に、垂直に移動するように適合される。このような実施態様では3つのアクチュエータ402が存在するが、3つより多い又は少ないアクチュエータが使用されてもよい。上述のアクチュエータアセンブリ302のように、アクチュエータ402は各々が、線形モータ、エアシリンダー、又はボールねじアクチュエータといった線形アクチュエータを含むことができる。アクチュエータ402の最上端は、処理チャンバ100の底部106の基準面に取り付けられたベースアセンブリ410に取り付けられる。球関節アセンブリ406は、アクチュエータ402をペデスタルキャリヤ204に連結し、ペデスタルキャリヤ204とアクチュエータ402との間の移動を容易にする。いくつかの実施態様では、球関節アセンブリ406は、ペデスタルキャリヤ204上に形成された取り付け点の周りに3の自由度(ピッチ、ヨー、及びロール)を可能にする。アクチュエータ402は、ペデスタル120と底部ボウル122との間に相対的な線形及び角運動を生じさせるように構成されている。たわみヒンジ412は、一端でベースアセンブリ410に取り付けられており、他端でアクチュエータ402に取り付けられている。この実施態様では、対向する支持位置に構成された3つのアクチュエータ402の組合せが、ペデスタルキャリヤ204の運動を完全に拘束するとともに、ペデスタルリフト126に対し、4の自由度で移動する柔軟性(例えば、上昇(Z方向)、ピッチ、ヨー、及びロール)を与える。たわみヒンジ412は、ペデスタルキャリヤ204を中心軸401に対して一方向に枢動させるアクチュエータ402の異なる運動により生成されるモーメントによってたわむ。たわみヒンジ412の各々は、各アクチュエータ402がアセンブリに掛かる負荷に耐えるための極端に硬い取り付け点を提供するとともに、各アクチュエータ402での少量(<0.5度)の回転を可能にする。たわみヒンジ412は、アセンブリ内で球関節アセンブリ406の半径方向前負荷としても働く。
【0023】
サーボモータ404は、アクチュエータ402を駆動し、したがって球関節アセンブリ406及びペデスタルキャリヤ204をアクチュエータ402に沿って垂直方向(Z方向)に駆動する。動作時には、システムコントローラ(図示しない)は、ペデスタル120の位置及び/又は配向を操作するための動的運動プロファイルを使用してアクチュエータ402を継続的に移動させるサーボモータ404を駆動する。このような動作は、ペデスタル120が枢動及び/又は中心軸401に沿って移動するにつれて、シャワーヘッド112の出力面114に対するペデスタル120の位置及び/又は配向を継続的に変化させることを可能にする。サーボモータ404を継続的に駆動することにより、ペデスタル120の配向は、固定基準フレーム(例えば、X-Y-Z基準フレーム)に対する1つ又は複数の方向に継続的に移動するであろう。一定の期間にわたり、複数のアクチュエータ402を使用して、シャワーヘッド112の出力面114に対する継続的な傾きを維持し、ペデスタル120を中心軸401の周りですりこぎ運動させることにより、特定のCVD堆積されたフィルムの堆積に関するプロセスの均一性が改善されることが分かった。しかしながら、上述のように、依然としてペデスタル120の下方の領域内部における寄生プラズマの生成を低減及び/又は防止する必要があり、これは、底部ボウル122の位置を制御する底部ボウルリフト124の使用により解決される。上述のように、ペデスタルリフト126及び底部ボウルリフト124の構成に起因して、2つのアセンブリは、それらそれぞれのハードウエア部品の配向及び位置が独立して移動するように、各々が別個に調整及び制御可能である。したがって、ここに記載される種々の実施態様は、これらアセンブリの各々の部品が、処理チャンバ内部の1つ又は複数の異なる部品と適切且つ別個に整列されて、基板上に、要望通りに形成又は処理されたフィルムを提供することと、さらには粒子を生成して望ましくない処理結果(例えば、低い堆積速度、低い均一性など)を生みうる寄生プラズマの生成を防止することとを可能にする。
【0024】
図5Aは交換位置にあるリフトシステム500を、
図5Bは処理位置にあるリフトシステム500を、それぞれ示している。リフトシステム500が交換位置にあるとき、底部ボウル122は、底部ボウルリフト124により処理チャンバ502の底部504の近くで下方へと下げられる。加えて、リフトシステム500が交換位置にあるとき、ペデスタル120は、ペデスタルリフト126により、処理チャンバ502を貫通して形成されたスリットバルブ507を通してペデスタル120が基板118を受け取ることができる位置に下げられる。スリットバルブ507は、処理中に基板118上で半導体フィルムが製造されうるように、基板118(
図1)がペデスタル120の上面120Aに配置されることを可能にする。
【0025】
リフトシステム500が処理位置にあるとき、底部ボウル122は、底部ボウル122の上端122A(
図1及び5B)を処理チャンバの上部領域101内部の部品、例えばエッジリング123に接触させることにより、底部ボウル122が処理チャンバ502の内部に内側容積部121(
図1)を形成するように、底部ボウルリフト124により上昇させられる。これにより、ペデスタル120の下の処理量が減少し、さらにはRFエネルギーが地面に伝播するためのより短く且つ対称な経路が提供されて寄生プラズマの生成が低減し、堆積速度が上昇し、粒子生成の可能性が低下し、堆積されたフィルムの均一性が向上する。加えて、ペデスタルリフト126は、ペデスタル120の上面120Aが処理チャンバ502の上部領域101の内部に位置するシャワーヘッド506に近接するように、ペデスタル120を持ち上げる。上述のように、ペデスタルリフト126はまた、シャワーヘッド506の出力面510に近接してペデスタル120を上昇させるように構成される。ペデスタル120の上面120Aは、シャワーヘッド506の出力面510に対して同一平面上にないように配向される。さらに、ペデスタル120の上面120Aは、底部ボウル122の位置を調整する必要なく傾斜させることができる。上述のように、ペデスタルリフト126は、底部ボウル122がペデスタル120から離間して処理チャンバ502内部の別個のエリアへと持ち上げられるにつれて、ペデスタル120が底部ボウル122からの干渉なしで独立して移動するように構成される。
【0026】
図1において上述したように、処理チャンバ502の上部領域101の内部には、シャワーヘッド506を通してガスが供給される。ガスは、このときシャワーヘッド506を通して出力面510に、次いでペデスタル120の上面120Aに位置する基板118上に半導体フィルムが形成される処理領域512に、分散される。第1の材料層は、ペデスタル120の上面120Aがシャワーヘッド506の出力面510に対して同一平面上にないとき基板118上に堆積させることができる。任意の数の材料層を、ペデスタル120がこのような配向にあるときに分散することができるか、又はペデスタル120は、別の材料層が基板118に適用される前にシャワーヘッド506の出力面510に対して異なる配向に位置決めすることができる。ペデスタル120を傾けることの利点は、処理チャンバ内で実施される、フィルム堆積といったプロセスの均一性を向上させることである。ペデスタル120の位置は、各プロセスについて微調節することができる。底部ボウル122及び底部ボウルリフト124の追加により、ペデスタル120を別個に傾ける能力の恩恵を実現することができるとともに、処理チャンバ502内部に、上述したようなさらなる基板処理の恩恵を提供するより小さい内側容積部121を形成することもできる。
【0027】
以上は本開示の実施態様を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく本開示の他の実施態様及びさらなる実施態様が考案可能であり、本開示の範囲は、特許請求の範囲によって決定される。