(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】液体から空気を分離するシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
B01D 19/00 20060101AFI20240419BHJP
【FI】
B01D19/00 B
(21)【出願番号】P 2021519718
(86)(22)【出願日】2019-10-11
(86)【国際出願番号】 EP2019077597
(87)【国際公開番号】W WO2020074703
(87)【国際公開日】2020-04-16
【審査請求日】2022-08-10
(32)【優先日】2018-10-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516346148
【氏名又は名称】シー. シー. ジェンセン エー/エス
(74)【代理人】
【識別番号】100112737
【氏名又は名称】藤田 考晴
(74)【代理人】
【識別番号】100136168
【氏名又は名称】川上 美紀
(74)【代理人】
【識別番号】100196117
【氏名又は名称】河合 利恵
(72)【発明者】
【氏名】モーテン ヘンネベルク
(72)【発明者】
【氏名】アンダース ダムスゴー セルプ
(72)【発明者】
【氏名】マスード ジャファリ
【審査官】目代 博茂
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0356838(US,A1)
【文献】特開平11-019406(JP,A)
【文献】国際公開第2011/018972(WO,A1)
【文献】実開昭56-141708(JP,U)
【文献】国際公開第00/063563(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01D19/00-19/04
G01N15/00-15/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体(110)から気体を分離する方法であって、
前記液体を圧力チャンバ(103)にポンピングするステップを含み、
前記圧力チャンバ(103)は、
第1のバルブ要素(101´)を備え、前記圧力チャンバ(103)の上部に接続された第1の液体排出口(101)と、
第2のバルブ要素(102´)を備え、前記圧力チャンバ(103)の下部に接続された第2の液体排出口(102)と、をさらに備え、
前記第1のバルブ要素(101´)及び第2のバルブ要素(102´)は前記圧力チャンバ(103)内の圧力を制御するように構成され、それにより、加圧下で、前記圧力チャンバ(103)内の液体(110)の第1の小部分(111)及び第2の小部分(112)は前記第1の液体排出口(101)及び第2の液体排出口(102)からそれぞれ流出し、
気体成分の主部分は前記第1の液体排出口(101)を通って流れる前記第1の小部分(111)に含まれていることで、前記第2の液体排出口を通って流れる液体からは気体が分離され、
前記第2のバルブ要素(102´)は静的バネ式バルブである、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法に従って前記第2の液体排出口から得られた液体に対して測定が行われる、液体中の粒子成分を測定する方法。
【請求項3】
前記測定後の前記第2の液体排出口からの液体が、更なる使用のために前記第1の液体排出口からの液体と合流される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載の方法において液体(110)から気体を分離するように構成されたシステム(100)であって、
圧力チャンバ(103)を備え、該圧力チャンバ(103)は、液体(110)が前記圧力チャンバ(103)にポンピングされる流入口(104)を備え、
前記圧力チャンバ(103)は、
第1のバルブ要素(101´)を備え、前記圧力チャンバ(103)の上部に接続された第1の液体排出口(101)と、
第2のバルブ要素(102´)を備え、前記圧力チャンバ(103)の下部に接続された第2の液体排出口(102)と、をさらに備え、
前記第1のバルブ要素(101´)及び第2のバルブ要素(102´)は前記圧力チャンバ(103)内の圧力を制御するように構成された受動バルブであり、それにより、加圧下で、前記圧力チャンバ(103)内の液体(110)の第1の小部分(111)及び第2の小部分(112)は前記第1の液体排出口(101)及び第2の液体排出口(102)からそれぞれ流出し、
気体成分の主部分は前記第1の液体排出口(101)を通って流れる前記第1の小部分(111)に含まれ、
前記第2のバルブ要素(102´)は静的バネ式バルブである、システム。
【請求項5】
前記第1及び第2のバルブ要素は、前記圧力チャンバ内の圧力が1barから50barの間となることを可能とするように構成されている、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記第1及び第2の液体排出口からの総フローが100%であり、前記第1のバルブ要素は、前記第1の液体排出口を通る液体フローを50%以下とする制限を可能とする、請求項4または5に記載のシステム。
【請求項7】
前記液体の特性を測定するための測定機器をさらに備え、該測定機器は、前記第2の液体排出口に配置された、請求項4から6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記第2のバルブ要素が前記測定機器の後段に配置されている、請求項7に記載のシステム。
【請求項9】
前記第1の液体排出口からの液体と前記第2の液体排出口からの液体とが、前記測定機器を通過した後に接合部(121)において合流される、請求項
7または
8に記載のシステム。
【請求項10】
前記液体は、前記圧力チャンバの前記上部において前記圧力チャンバへとポンピングされる、請求項4から9のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項11】
前記圧力チャンバは、長細い円筒形状である、請求項4から10のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項12】
フィルタが、前記圧力チャンバの前記流入口に配置されている、請求項4から11のいずれか1項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体から空気を分離するシステム及び方法に関する。より具体的には、本発明は、液体を気体含有部分及び気体非含有部分に分離するシステム及び方法に関する。最も具体的には、本発明は、オイル中の気泡を気体含有部分及び気体非含有部分に分離する方法に関する。本発明はまた、液体中の気体粒子成分を測定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を分離することは、多数の産業、特に、更なる処理のために、例えば、重要な機器における使用又は測定手順中の使用に際して、その液体が正しい特性を有していることが重要な産業において、重要となる。例えば、液体は、特定の機器又は特定の測定手順において望ましくない成分を含み得る。そこで、そのような成分が更なる処理の前に液体の残余部分から分離/最小化され得るように、液体を分離可能である必要がある。
【0003】
例えば、気体が熱交換を低下させる冷媒、気体が性能を低下させる潤滑剤及び液圧応用機械、気体が品質測定及び性能に影響を与え得るエンジンオイル、そして、気体が測定の品質及び性能を低下させる血液(血液試料)、及び炭酸の付加の前に気体が除去される必要がある炭酸飲料において、並びに例えば、ボイラー及び感度の高い研究機器における特定の用途に対して気体が望ましくないこともある水において、気体の除去/脱気が重要となる。
【0004】
エンジンの分野では、オイルの状態をモニタリングすることが望まれる。特に、オイルにおける粒子、例えば、摩耗粒子の量をモニタリングすることが望まれる。しかし、エンジンの複数の状況に起因して起こり得るオイル中の気泡の存在は、そのような気泡がそのような背景においてオイルの品質に影響を与えていなくても、読取りを阻害し得る。したがって、粒子測定の前にオイル中の気泡量を分離又は最小化する必要がある。他の場合では、気泡はオイルの品質及び後続の処理の機能性に実際に影響を与えることがあるため、そのようなオイル中の気泡を除去/最小化する必要がある。
【0005】
従来技術は、オイルを加圧することによってオイル中の気泡量を最小化することを提案しており、それにより、気泡の大きさが最小化/低減されるので、気泡は問題とはならず又は測定を阻害しない。そのような方法によると、オイルは、オイルが昇圧を受ける貯蔵容器と流路の間に配置されたポンプによって加圧される。昇圧に起因して、オイル内の気泡は、後続の測定手順の読取り値に影響を与えない程度まで最小化される。そのため、測定機器は、流路の下流側に配置されることになる。しかし、その方法には幾つかの問題がある。第1に、その大きさの減少はポンプの下流側の流路において加えられる圧力によって決定される場合、液体中に存在する気泡は実際に除去されるわけではなく、ある程度最小化されるにすぎない。第2に、その気泡が実際には除去されないことに起因して、後段において気体非含有オイルを、そのようなオイルを必要とする場合でも、使用することはできない。
【0006】
他の従来技術によると、液体中に存在する気泡量を減少させることが重力/浮力による場合もあり、最も一般的な場合では液体が気体よりも重いので、気体は時間とともに液体から出ていくことになる。しかし、そのような方法には手間及び時間がかかるので、特定の技術分野では望まれない。
【発明の概要】
【0007】
本発明の目的は、上記問題の一部を解決することである。本発明によると、液体から気体を分離するシステムが提案される。システムは圧力チャンバを備え、圧力チャンバは液体がチャンバにポンピングされる流入口を備え、圧力チャンバは、第1のバルブ要素を備える圧力チャンバの上部に接続された第1の液体排出口及び第2のバルブ要素を備える圧力チャンバの下部に接続された第2の液体排出口をさらに備える。第1及び第2のバルブ要素は圧力チャンバ内の圧力を制御するように構成されることで、加圧下で、圧力チャンバ内の液体の小部分は第1及び第2の液体排出口からそれぞれ流出し、気体成分の主部分は第1の液体排出口を通じて流れる小部分にある。
【0008】
液体から気体を分離するシステムとは、気体のうちの多い側の/主たる部分を含む液体の第1の小部分を、気体のうちの実質的に気体非含有の又は少ない側の部分しか含有しない第2の小部分から、分離手順に従って分離することができるシステムを意味し得る。ほとんどの場合、気体は、空気、すなわち、大気であるが、システムの異なる処理中に形成された他の種類の気体であってもよい。
【0009】
圧力チャンバとは、チャンバの周囲の雰囲気圧以上の特定の圧力を保持することができ、特定の態様ではチャンバ内の圧力を上昇させることもできるチャンバを意味する。例えば、圧力チャンバは、1barと50barの間の圧力を保持することができるものであり得る。圧力チャンバは、容器とみなされることもある。そのため、圧力チャンバは、4つの壁並びにそれに対して垂直な上面及び底面を備え得る。ただし、単一の曲面側壁並びにそれに対して垂直な上面及び底面のみを有するような円筒チャンバも本発明の態様となるように、チャンバは他の幾何形状をとるものであってもよい。圧力チャンバの内容積は、システムの目的、すなわち、所与の時間幅において分離される必要がある液体の量に見合うように構成され得る。液体が圧力チャンバにポンピングされる流入口とは、液体貯蔵容器、すなわち、気体が液体に溶解又は混合される貯蔵容器又は気体を含有する液体が圧力チャンバ内で加圧される前に含まれる貯蔵容器と連絡する入口を意味する。例えば、液体貯蔵容器は、エンジン、液体容器、ボイラー、冷媒容器などであり得る。流入口には、加圧が流入口によって行われるようにポンプが設けられてもよいし、又はポンプが流入口の上流に、すなわち、液体貯蔵容器と流入口の間に設けられてもよい。本発明の他の態様では、ポンプは設けられず、圧力はシステムにおいて早期に昇圧され、又は気体の分離がシステム内で行われる前に液体が通過する処理を通じて与えられてもよい。
【0010】
圧力チャンバの上部に接続された第1の液体排出口とは、第1の液体排出口が、圧力チャンバの下部に接続された第2の液体排出口に対して上方位置に配置され、第2の排出口が重力に関して第1の排出口の下方に配置される、すなわち、対象物、例えば、液体が第1の排出口から第2の排出口に向かう方向に落下しやすくなることを意味する。動作手順において、すなわち、システムが稼働している、すなわち、液体を分離している動作手順において相対位置は真である。
【0011】
第1の液体排出口は第1のバルブ要素を備え、第2の液体排出口は第2のバルブ要素を備える。バルブ要素は、圧力チャンバ内の圧力を制御するように構成される。この書類全体を通じて、バルブ要素とは、排出フローとともに流入フローが圧力チャンバ内に圧力を与えるように、第1及び第2の排出口を通じるフローを制限するあらゆる種類の要素をいう。バルブ要素は、能動バルブ要素であってもよいし、受動バルブ要素であってもよい。受動バルブ要素は排出口を通じる特定のフローを可能とする静的バルブであり、排出口において異なる静的バルブを用いることによってのみ、異なるフローが取得可能となる。静的バルブの例は、例えば、制限された排出口又は小型化された排出口開口、オリフィスであってもよいし、静的バネ式バルブであってもよい。能動バルブ要素は、バルブ上に配置され又は通信部を介した機械的レバー又は電子制御システムのいずれかによってバルブが被調整機能となり得るバルブである。受動バルブ要素は、静的特性を有する液体についてシステムが使用されており、したがって第1及び第2の排出フローが使用中に調整される必要がない状況において、有利に使用され得る。
【0012】
特定の態様では、圧力チャンバの上部における第1の液体排出口からのフローはチャンバから流出する総フローの1/3であってもよく、その場合には、圧力チャンバの下部における第2の排出口からのフローは総排出フローの2/3となる。他の態様では、圧力チャンバの上部における第1の液体排出口からのフローはチャンバから流出する総フローの40%であってもよく、その場合には、圧力チャンバの下部における第2の排出口からのフローは総排出フローの60%となる。
【0013】
バルブ要素は、操作可能な能動バルブ要素であってもよく、それにより排出フローが調整可能となる。バルブ要素を操作すること、すなわち、バルブを開閉することによって、昇圧又は減圧され得る。好ましくは、バルブは徐々に開閉されることにより、より高い程度の制御が容易となる。それにより、閉時に、液体が流入口を通じて液体貯蔵容器から供給される場合、圧力は圧力チャンバ内で上昇し得る。バルブは、圧力チャンバから液体を流出させる動作中に開放され得る。システムの構成に応じて、圧力チャンバ内に生成された過剰な圧力は、圧力チャンバの下流側で保持されてもよいし、圧力が周囲、例えば、液体貯蔵容器と等化されてもよい。
【0014】
圧力チャンバ内で加圧されている液体に起因して、液体は2つの小部分に分離することになる。第1の小部分は第1の液体排出口を通じて圧力チャンバから流出することになり、第2の小部分は第2の液体排出口を通じて圧力チャンバから流出することになる。本発明によると、そして液体の加圧下での性質に起因して、すなわち、液体はチャンバに入る前よりもチャンバ内で高い圧力を受け、液体中の気体成分の主部分が、第1の液体排出口を通じて流出する第1の小部分に含まれる。特に、液体中の気体の存在に起因して、気体を保持する分離液体の第1の小部分は、実質的に気体非含有である分離液体の第2の小部分の密度未満の密度を有することになる。そのため、重力に起因して、第1の小部分は、より重い第2の小部分に対して上昇することになる。
【0015】
これにより、特定の気体成分を有する液体は、迅速かつ容易な態様で2つの小部分に分離されることになり、第1の小部分は気体成分の主部分を含み、第2の小部分は実質的に気体のない液体を含む。圧力チャンバ内の加圧は、そのような分離を達成するのに要する時間を短縮する。また、バルブ及び排出口を設けることで分離処理を制御することが可能となり、さらに、気体成分の主部分を有する液体の排出口及び実質的に気体非含有の液体の排出口が可能となる。また、バルブを設けることで、稼働中の処理、例えば、稼働中のエンジンにシステムが含まれ得るような連続的な処理が可能となる。
【0016】
圧力チャンバ内の上記分離を促進するチャンバ内の圧力は、分離される液体に依存し、1barと50barの間となり得る。
【0017】
さらに、圧力の増加は、液体中の気体の溶解性も増加させる。これは、液体中に存在する小さな気泡は、滞留気泡、すなわち、液体内の気体の局部的ポケットではなく、オイルに含まれることになることを意味する。気体における元素が液体に含まれると、その元素は残余の液体から識別されないために粒子と類似しなくなり、測定機器における誤検出をもたらさなくなる。これは、小さな気泡が消え、少量の気体を含有する液体の小部分が一層少量の気体しか含有しないこと、又は実質的に気体非含有の小部分は気体の大部分を含む小部分に対して大きな部分となることに寄与する。
【0018】
また、分離処理の目標は液体を脱気することではなく、一方が気体の主部分を含む2つの小部分に液体を分割することであるので、処理は従来の処理よりも速く行われ得る。そのため、分離処理の産物は、初期の気体含有液体の2つの小部分となる。それにより、2つの小部分は、異なる態様で処理され得る。例えば、気体非含有液体は特定の測定及び処理を受け得る一方で、気体成分の主部分を保持する液体は測定/処理中には無視され、その後に気体非含有液体に混合され、又は完全に廃棄されてもよい。気体を含む液体は、実質的に気体非含有小部分よりも汚染されておらず、単に、その内部に拡散された気体ポケットをより多く有する。したがって、液体が気泡を含むことが問題とならないシステムで使用され得る。本発明は、液体の2つの小部分が、それらが再合流される前に、液体の状態の測定以外にも別個に使用されるシステムで使用され得る。他の態様では、液体の2つの小部分は、一旦測定が行われると、合流される。さらに他の態様では、液体の2つの小部分は、記載のシステム内で分離された後のいずれの時点においても合流されない。
【0019】
一態様では、第1及び第2のバルブ要素は、圧力チャンバ内の圧力を1barから50barの間に確保する。そのような圧力とすることによって、気体成分が効果的に分離する。
【0020】
一態様では、第1及び第2の液体排出口からの総フローが100%であり、第1のバルブ要素は第1の液体排出口を通じる液体フローを50%以下、好ましくは40%以下、より好ましくは33%以下に確保する。試験により、圧力チャンバの上部における気体成分を有する液体が第1の液体排出口を通じて流れることが示された。
【0021】
一態様では、第1及び第2のバルブ要素は、受動バルブである。それにより、システムは、特定の用途に対して予め設計されたシステムが得られ、システムのメンテナンスがあまり必要とはならない。
【0022】
一態様では、上部の第1の排出口に配置された受動バルブ要素は小型化された排出口開口であり、下部の第2の排出口に配置された受動バルブ要素は静的バネ式バルブである。オイルである液体から気体を除去するシステムを使用する場合に、具体的に良好なセットアップとなることが証明された。
【0023】
一態様では、システムは液体の特性を測定するための測定機器をさらに備え、測定機器は第2の液体排出口に配置される。それにより、測定機器は、気体成分を有さない液体又は大量の気体成分を含まない液体を測定し、より正しい測定を確実にする。
【0024】
一態様では、第2のバルブ要素は、測定機器の後段に配置される。これにより、測定後まで圧力が得られず、それによって気体が測定前に再導入される危険を回避することができる。
【0025】
一態様では、第1の液体排出口からの液体と第2の液体排出口からの液体とが、測定機器を通過した後に接合部で合流される。そして、全液体が、再度混合されてその目的のために使用され得る。
【0026】
一態様では、液体は、圧力チャンバの上部においてチャンバにポンピングされる。試験により、チャンバ内の液体は、気体を有する上部及び気体を有さない下部に効果的に分割され得ることが証明された。
【0027】
一態様では、圧力チャンバは長細い円筒形状とされ、一態様では、フィルタがチャンバの流入口に配置される。
【0028】
本発明は、さらに、液体から気体を分離する方法、より具体的には、液体中の粒子成分を測定する方法に関し、測定は気体が分離された液体に対して実行される。
【0029】
以下に、本発明による実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1a】液体の特性を測定するための測定セットアップとの関連において本発明によるシステムを示す。
【
図1b】液体の特性を測定するための測定セットアップとの関連において本発明によるシステムの実施形態を示す。
【
図3】測定セットアップとともに
図2に示す構成要素を示す。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下に、本発明の範囲を限定するものとして解釈されるべきではない、その実施例を通じて本発明を詳細に説明する。
【0032】
図1a及び
図1bは、液体110を2つの小部分111及び112に分離する方法を実施するシステム100を示す。システム100は圧力チャンバ103を備え、高圧にある液体110が含まれるか、又は液体110が昇圧され得る。チャンバ103は、流入口104並びに2つの排出口101及び102を有する。流入口104は、液体貯蔵容器109、例えば、液体がオイルでありかつオイルがエンジンの潤滑系の部分である場合のエンジンから、液体110を受ける。液体貯蔵容器109は、液体が通過するフィルタであってもよい。いずれの場合においても、液体貯蔵容器109は、そこから液体の供給が促進されるものであり得る。
【0033】
図1aに示す実施形態では、流入口104の上流に、すなわち、圧力チャンバ103に入る前に、ポンプ105が配置される。ポンプ105は、流入口104に同様に配置されてもよい。ポンプ105は、液体110が圧力チャンバ103内で加圧される、すなわち、圧力が貯蔵容器109の圧力と比較して高くなるように、液体110を加圧する。ポンプ105のポンピング速度は、圧力チャンバ103内の圧力が制御され得るように、例えば、ポンプ105の速度を増加させることで圧力チャンバ103内の液体の圧力が増加するように、制御され得る。圧力チャンバ103を、区画壁を有する容器とみなすことができる。圧力チャンバ103は、任意の適切な形状をとり得る。
【0034】
図1bに示すシステム100の実施形態では、流入口104の上流側にポンプは存在していない。システム100のこの実施形態では、圧力チャンバ103への液体110のフローは、システム100の外部の状態によって生じる。例えば、貯蔵容器109はモータであってもよく、そのモータ内のオイルのフローは、オイルを圧力チャンバ103に流入口104を通じて導くことができる。あるいは、圧力チャンバ103への液体110のフローは、貯蔵容器109内の液体の増加によって生じる。システムに対するさらに他の形態では、1以上のポンプが、流入口104を通じた圧力チャンバ103への液体110のフローを駆動する開示のシステムの前段に配置される。圧力チャンバ103への液体のフローは、重力などの自然の力によっても生じ得る。圧力は、圧力チャンバ103の内部で上昇し、流入口104を通じた圧力チャンバ103への液体のフローの原因に関わらず、2つの小部分111及び112への液体110の分割を確実にすることになる。
【0035】
圧力チャンバ103は、2つの排出口及び2つのバルブ、すなわち、第1のバルブ101´が設けられた第1の排出口101及び第2のバルブ102´が設けられた第2の排出口102を備える。第1の排出口101は圧力チャンバ103の上部に配置され、第2の排出口102は圧力チャンバ103の下部に配置される。用語「上」及び「下」は、ここでは、それらの相対的な向き及び重力に対するそれらの向きのことをいう。したがって、物体は、上部から下部に向かう方向に落下しやすくなる。この場合の物体は液体110であり、それにより、気体(不図示)がそのような液体110内でその浮力/密度に起因して上部に向かって上昇し、そのようにして第1の排出口101に向かって上昇しやすくなる。同様に、液体110は、下部に向けて落下し、そのようにして第2の排出口102に向かって落下しやすくなる。
【0036】
バルブ101´及び102´を設けることによって、圧力チャンバ103内の圧力を制御することが可能となる一方で、同時に、システム100を通じた液体の連続的なフローが可能となる。それにより、液体110は、システム100が稼働中の機器、例えば、稼働中のエンジンに含まれ得るように、連続的な処理において分離され得る。
【0037】
この書類全体を通じて、バルブ要素とは、第1及び第2の排出口を通じるフローを制限することで、排出フローとともに流入フローが圧力チャンバ内の圧力を与える、あらゆる種類の要素をいう。バルブ要素は、能動バルブ要素であってもよいし、受動バルブ要素であってもよい。受動バルブ要素は排出口を通る特定のフローを可能とする静的バルブであり、排出口において異なる静的バルブを用いることによってのみ、異なるフローが取得可能となる。静的バルブの例は、例えば、制限された排出口又は小型化された排出口開口、オリフィスであってもよいし、静的バネ式バルブであってもよい。能動バルブ要素は、バルブ上に配置され又は通信部を介した機械的レバー又は電子制御システムのいずれかによってバルブが被調整機能となり得るバルブである。受動バルブ要素は、静的特性を有する液体についてシステムが使用されており、したがって第1及び第2の排出フローが使用中に調整される必要がない状況において、有利に使用され得る。
【0038】
一実施形態では、第1及び第2の排出口の双方に配置されたバルブ要素は、受動バルブ要素である。より具体的には、上部の第1の排出口に配置された受動バルブ要素は小型化された排出口開口であり、下部の第2の排出口に配置された受動バルブ要素は静的バネ式バルブである。
【0039】
液体110が圧力チャンバ103内で加圧されることに起因して、気泡が上昇するとともに液体が下降する傾向が加速される。それにより、相変化が起こり、圧力チャンバ103の上部では液体110の第1の小部分111が生じる一方で、圧力チャンバの下部では液体110の第2の小部分112が生じる。第1の小部分111は分離前の液体110に含まれる気体の主部分を含むことによって特徴付けられる一方で、液体110の第2の小部分112は気体を有さない又は大幅に減少した量の気体を有する液体を含むことによって特徴付けられる。これらの理由のため、第1の小部分111は、第2の小部分112よりも(高い気体含有量に起因して)低い密度を有する。またさらに、より高い圧力ではより多くの気体が液体中に溶解され得るので、圧力チャンバ103内の上昇した圧力は、液体中の気泡の量の全体的な減少をもたらし、例えば、気体の元素、例えば、窒素及び酸素が水溶液の部分となる一方で、それでも気相にある要素のポケットが減少する。より小さな気泡は、昇圧を受ける場合に、液体であるかのように作用することになる。
【0040】
このように、本発明のシステム100における液体110の分離は、液体110から気体を抽出すること(脱気すること)を目的とするのではなく、第2の小部分112が実質的に気体を含まないように、液体110の第1の小部分111における気体の主部分を含むことを目的とする。小部分111及び112の各々の体積は、圧力チャンバ103内の圧力を制御することによって制御され得る。
【0041】
分離の後に、第1の小部分111及び第2の小部分112は、異なる手順を通過し得る。例えば、特定の実施形態では、第2の小部分112は測定機器120を通過し得る一方で、第1の小部分111はその高い気体含有量(その測定機器120においては望ましくないこともある)に起因して測定されない。それにより、液体110は、そのような気体は第1の部分111に含まれるので、気体が存在しないかのように評価され得る。液体の2つの小部分111及び112は等しく非汚染であるか又は汚染されているので、そして唯一の相違が気泡存在量であるので、第2の小部分112のみの測定が、システム100における液体の状態全体の品質の、信頼性の高い評価を与えることになる。
【0042】
例えば、気泡に対して感度を有するが、例えば、潤滑剤として液体を必要とするか又は気体の存在を回避する必要がある機器がある場合に、液体の2つの小部分111及び112は分割されつつ更なる手順を受けてもよい。測定が第2の小部分112に対して行われた後、合流液体が何らかの更なる処理で使用される前に、液体の第1の小部分111と第2の小部分112とを合流させることも可能である。さらに他の用途では、第1の小部分111は、システム100の下流側の機器が気泡の存在に対して感度を有する場合に、全てまとめて廃棄されてもよい。
【0043】
特定の状況において、液体貯蔵容器109における気体の存在は重要でない場合もあるが、気体の存在なしに液体110の状態/品質を測定することが重要なこともある。そのような状況はエンジンにおいて見られることがあり、液体110はオイルであり、オイル中の気体の存在は必ずしもエンジンの機能に有害なものとはならないが、測定機器120によって気体は粒子であると誤認され得るので、液体110の状態の誤った評価に繋がることになることから、実際には有害なものとなり得る。したがって、そのような測定手順の前に、オイルから気体を分離可能である必要がある。供給されるオイルは、粒子フィルタを通過している場合があり、それにより、分離システム100は、測定機器120と干渉する気泡を有する危険を伴うことなく、粒子量を測定することによって当該フィルタの品質を評価することを可能とする。測定機器も存在する
図1a及び
図1bに示す実施形態では、第2の排出口におけるバルブ102´は測定中に圧力が維持されることを確実にするように測定機器の後段に配置され、それにより、測定機器が精密な測定を確実とする後まで空気は導入され得ない。バルブ101´及び102´を設けることに起因して、システム100は、稼働中のエンジンに含まれ、それにより連続的な分離及びそれによりオイル/液体110の状態の評価を可能とし得る。測定手順に続いて、2つの小部分111及び112は、液体貯蔵容器109に再流入する前に、接合部121で混合され得る。この処理によって、空気は測定機器の前段で除去されない場合もあるが、少なくとも空気の大部分が除去されることを確実にすることで、空気は、測定機器によって、例えば、粒子としては測定されず、又は測定を大きく阻害する大量の気泡は存在しなくなるので、少なくとも空気の影響が軽減される。
【0044】
他の状況では、第2の小部分112のみがさらに処理されるように、第1の小部分111を廃棄することが望まれることもある。例えば、これは、気体の存在が望まれない水ボイラー、又は炭酸の付加の前に気体の存在が望まれない炭酸飲料に関し得る。このような状況では、第1の小部分111の体積を可能な限り減少させて資源の大量廃棄を回避することが望ましいことがある。本発明によるシステム100の構成に起因して、小部分の体積は、バルブ101´及び102´を通じた圧力チャンバ103内の圧力並びにポンプ105のポンピング速度によって制御され得る。気体の主部分を含む第1の小部分111の体積を減少させたので、当該小部分を大量廃棄することなく廃棄することができる一方で、同時に、例えば、飲料への炭酸の付加又は水ボイラー内の気体非含有水の循環など、実質的に気体非含有の第2の小部分112がさらに処理され得るように、処理を連続的に実行させることができる。
【0045】
図2は、システムの構成要素の例を示し、圧力チャンバ103が円筒形容器として示される。例示目的のため、容器の壁は透明となっている。容器は、例えば、スチールなどの金属又は圧力容器に適した他の任意の材料からなり得る。説明上、容器は円筒形状であるが、他の形状が選択されてもよい。基本的に、チャンバは、圧力を得ることができ、2つの排出口101及び102並びに少なくとも1つの流入口104に接続される必要がある。説明上では、液体流入口104は容器の上部に配置され、液体は流入口を介して容器にポンピング可能となる。他の実施形態では、液体流入口は、代替の位置、例えば、容器103の側部に配置されてもよい。圧力チャンバに液体をポンピングする手段は、実際の液体流入口104との関係で、ただし、それにより液体を圧力チャンバ内に移送させることができる、流入口の前段のいずれかの場所に配置され得る。一部の実施形態では、システムは、圧力チャンバ103に液体をポンピングするための手段を備えない。このような実施形態では、液体流入口104を通った液体のフローは、圧力チャンバ103内で昇圧される限り、外部手段、例えば、重力によって供給されることになる。
【0046】
液体排出口101及び102の双方はバルブ101´及び102´を装備し、それらのバルブは個々に制御可能である。バルブは圧力チャンバの排出口との関係で配置され得るが、それらは、流入フロー及び排出フローの複合制御によってチャンバ内の圧力を制御するために使用可能な限り、チャンバの排出口から離れた異なる位置に配置されてもよい。図から分かるように、説明の目的のために壁が透明であることに伴い、容器内に示す液体及び空気成分/気泡は、液体内では黒い点で示される。説明では、圧力チャンバ103内に圧力があり、この圧力並びに第1及び第2のバルブ101´及び102´の設定に起因して、空気成分は第1の排出口101付近の圧力チャンバの上部に上昇する。それにより、第2の排出口102付近の圧力チャンバの下部に位置する液体の空気成分は減少する。
【0047】
具体的実施形態では、圧力チャンバの上部における第1の液体排出口からのフローはチャンバから流出する総フローの1/3であってもよく、その場合には、圧力チャンバの下部における第2の排出口からのフローは総排出フローの2/3となる。他の実施形態では、圧力チャンバの上部における第1の液体排出口からのフローはチャンバから流出する総フローの40%であってもよく、その場合には、圧力チャンバの下部における第2の排出口からのフローは総排出フローの60%となる。他の実施形態では、圧力チャンバの上部における第1の液体排出口からのフローはチャンバから流出する総フローの20~30%であってもよく、その場合には、圧力チャンバの下部における第2の排出口からのフローは総排出フローの70~80%となる。
【0048】
図3は、本発明の具体的実施形態による測定セットアップとともに
図2に示す構成要素を示す。液体の第1の小部分111は第1の排出口101を通って及び第1のバルブ101´を介して導出され、一方、減少した空気成分を有する、液体の第2の小部分は第2の排出口102を通って第2のバルブ102´を介して導かれる。測定機器も存在するような説明に係る実施形態では、第2の排出口におけるバルブ102´は測定中に圧力が維持されるのを確実にするように測定機器の後段に配置されるので、それにより測定機器が精密な測定を確実とする後まで空気は導入され得ない。そして、液体の第2の小部分112は、例えば、液体内の粒子成分を測定するために、測定機器を通じて導かれる。測定後、液体の第1及び第2の小部分は、接合部121において合流され、その目的のために使用されるように導かれる。減少した空気成分を有する液体を測定機器が測定することで、空気成分に起因する誤った測定の危険が減少することができる。
【符号の説明】
【0049】
100 液体110から気体を分離するシステム
101 第1の排出口
101´ 第1のバルブ
102 第2の排出口
102´ 第2のバルブ
103 圧力チャンバ
104 流入口
105 ポンプ
109 液体貯蔵容器
110 液体
111 液体110の第1の小部分
112 液体110の第2の小部分
120 測定機器
121 接合部