(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】流量を分配するための装置
(51)【国際特許分類】
B01J 4/00 20060101AFI20240419BHJP
F16K 7/06 20060101ALI20240419BHJP
F16K 7/07 20060101ALI20240419BHJP
G01N 30/26 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
B01J4/00 104
F16K7/06
F16K7/07
G01N30/26 M
(21)【出願番号】P 2021534146
(86)(22)【出願日】2019-12-10
(86)【国際出願番号】 EP2019084321
(87)【国際公開番号】W WO2020126638
(87)【国際公開日】2020-06-25
【審査請求日】2022-11-10
(32)【優先日】2018-12-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】597064713
【氏名又は名称】サイティバ・スウェーデン・アクチボラグ
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100154922
【氏名又は名称】崔 允辰
(74)【代理人】
【識別番号】100207158
【氏名又は名称】田中 研二
(72)【発明者】
【氏名】ビョルン・オーロヴソン
(72)【発明者】
【氏名】アンドレアス・ルンディン
(72)【発明者】
【氏名】クラウス・ゲバウアー
(72)【発明者】
【氏名】ティム・フランソワ
(72)【発明者】
【氏名】シェシュティン・エリクソン
【審査官】山田 陸翠
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-078065(JP,A)
【文献】特表2015-518547(JP,A)
【文献】特表2022-514247(JP,A)
【文献】特表2017-509834(JP,A)
【文献】特表2010-512490(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0342364(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2014/0076454(US,A1)
【文献】特開2010-209962(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B01J 4/00- 4/04
C12M 1/00- 1/42
F16K 7/00- 7/20
F16K 11/00-11/24
G01N 30/26-30/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
クロマトグラフィーシステム又はフィルタシステムのための流量分配装置であって、
- 流量分配マニホールド(12、112、212、312)を備え、前記流量分配マニホールド(12、112、212、312)が、
-
少なくとも5つまたは少なくとも6つの可撓性の流体接続管(14)であって、各流体接続管(14)が、流体接続のための第1の端部(18)および対向する第2の端部(20)を含み、前記流体接続
管が、前記流体接続管(14)の前記第1の端部(18)と前記第2の端部(20)との間の流体流れを防止するように圧縮
されることできる、
少なくとも5つまたは少なくとも6つの可撓性の流体接続管(14)と、
- 前記流体接続管(14)のそれぞれの前記第2の端部(20)が接続されている共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)とを備え、それによって、前記流体接続管(14)のそれぞれの前記第1の端部(18)が前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)と流体連通することができ、前記流体接続管(14)が
、異なる方向から前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)に入っており、
前記流量分配装置(10)が、
- 前記流量分配マニホールド(12、112、212、312)
の前記流体接続管(14)
のそれぞれと接続して設けられてい
るピンチング部材(41)をさらに備え、前記ピンチング部材(41)がそれぞれ、少なくとも第1の位置および第2の位置の中に調節可能であり、前記ピンチング部材(41)のそれぞれについての前記第1の位置においては、前記ピンチング部材は、前記流体接続管(14)のうちの1つを、この流体接続管(14)の前記第1の端部(18)と前記第2の端部(20)との間で流体流れが防止されるようにピンチし、前記第2の位置においては、前記ピンチング部材は、前記流体接続管(14)の前記第1の端部(18)と前記第2の端部(20)との間で流体流れが許容されるような位置に設けられて
おり、
前記流体接続管(14)は、前記共通の中心コンパートメントの中心点から同じ距離で前記共通の中心コンパートメントの周りに対称に位置決めされており、
前記流体接続管(14)のうちの少なくとも1つの前記第2の端部(20)から隣接する流体接続管(14)の第2の端部(20)までの距離が、同じ2つの前記流体接続管(14)をピンチするように構成された2つのピンチング部材(41)間の距離よりも小さく、
前記流量分配マニホールド(12、112、212、312)が、単回使用の構成部品である、
流量分配装置。
【請求項2】
前記流体接続管(14)の前記第2の端部(20)が、前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の封入用壁(33)の周りに分配されて前記共通の中心コンパートメントに接続され、前記封入用壁(33)が、前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の内室(35)を封入しており、前記流体接続管(14)がそれぞれ、前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の前記内室(35)と流体連通することができ、前記流体接続管(14)が
、異なる方向から前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の前記封入用壁(33)に入っている、請求項
1に記載の流量分配装置。
【請求項3】
前記流体接続管(14)のそれぞれの前記第2の端部(20)と前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の中心点(37、137)との間の距離が、前記流体接続管(14)の内径(inner diameter、ID)の3倍を超えて、もしくは2倍を超えて、もしくは1倍を超えて異なることはなく、または前記流体接続管(14)のそれぞれの前記第2の端部(20)と前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の中心点(37、137)との間の距離が、各流体接続管(14)について、実質的に同じである、請求項
1又は2に記載の流量分配装置。
【請求項4】
前記ピンチング部材(41)が、接続された調節システムによって調節されるように構成され、それによって、前記ピンチング部材(41)の前記位置は、前記流体接続管(14)のうちの1つの前記第1の端部(18)が前記流体接続管(14)のうちの別の流体接続管の前記第1の端部(18)と流体接続可能なように調節可能である、請求項1から
3のいずれか一項に記載の流量分配装置。
【請求項5】
前記流量分配マニホールド(12、112、212、312)のためのホルダ(51)をさらに備え、前記ホルダ(51)が、前記ホルダ(51)の内部(53)の中に突出し前記流体接続管(14)をピンチすることができる前記ピンチング部材(41)に対して前記流量分配マニホールドを保持するように構成されている、請求項1から
4のいずれか一項に記載の流量分配装置。
【請求項6】
分離装置(73)と、前記分離装置(73)の入り口(75)および/または出口(77)に接続されている、請求項1から
5のいずれか一項に記載の少なくとも1つの流量分配装置(10)とを備える、
クロマトグラフィーシステム又はフィルタシステム。
【請求項7】
前記流量分配装置(10)が、前記分離装置(73)の入り口(75)に接続され、前記流量分配装置(10)の1つの流体接続管(14)が、前記分離装置(73)の前記入り口(75)に接続され、前記流量分配装置(10)の少なくとも3つの流体接続管(14)が、前記分離装置(73)に供給されることになる流体を含む異なる流体源に接続されている、請求項
6に記載の
クロマトグラフィーシステム又はフィルタシステム。
【請求項8】
流量分配装置(10)が、前記分離装置(73)の出口(77)に接続され、前記流量分配装置(10)の1つの流体接続管(14)が、前記分離装置(73)の前記出口(77)に接続され、前記流量分配装置(10)の少なくとも3つの流体接続管(14)が、前記分離装置(73)から異なる画分を収集する、異なる画分収集器に接続されている、請求項
6または
7に記載の
クロマトグラフィーシステム又はフィルタシステム。
【請求項9】
前記
クロマトグラフィーシステム又はフィルタシステム(71)が、前記流量分配装置(10)の前記ピンチング部材(41)、および少なくとも1つのポンプヘッドを含む再使用可能な部分と、前記流量分配装置(10)の前記流量分配マニホールド(12、112、212、312)、および前記分離装置(73)を含む単回使用の流路(81)を含む単回使用の部分とを備える、請求項
6から
8のいずれか一項に記載の
クロマトグラフィーシステム又はフィルタシステム。
【請求項10】
流量分配マニホールドであって、
-
少なくとも5つまたは少なくとも6つの可撓性の流体接続管(14)であって、各流体接続管(14)が、流体接続のための第1の端部(18)および対向する第2の端部(20)を含み、前記流体接続管(14
)が、前記流体接続管(14)の前記第1の端部(18)と前記第2の端部(20)との間の流体流れを防止するように圧縮
されることができる、
少なくとも5つまたは少なくとも6つの可撓性の流体接続管(14)と、
- 前記流体接続管(14)のそれぞれの前記第2の端部(20)が接続されている共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)とを備え、それによって、前記流体接続管(14)のそれぞれの前記第1の端部(18)が前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)と流体連通することができ、前記流体接続管(14)が
、異なる方向から前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)に入っており、
前記流量分配マニホールド(12、112、212、312)が、請求項1から
5のいずれか一項に記載の流量分配装置(10)において使用されるように構成されて
おり、
前記流体接続管(14)は、前記共通の中心コンパートメントの中心点から同じ距離で前記共通の中心コンパートメントの周りに対称に位置決めされており、
前記流体接続管(14)のうちの少なくとも1つの前記第2の端部(20)から隣接する流体接続管(14)の第2の端部(20)までの距離が、同じ2つの前記流体接続管(14)をピンチするように構成された2つのピンチング部材(41)間の距離よりも小さく、
前記流量分配マニホールド(12、112、212、312)が、単回使用の構成部品である、
流量分配マニホールド。
【請求項11】
前記流体接続管(14)の前記第2の端部(20)が、前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の封入用壁(33)の周りに分配されて前記共通の中心コンパートメントに接続され、前記封入用壁(33)が、前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の内室(35)を封入しており、前記流体接続管(14)がそれぞれ、前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の前記内室(35)と流体連通することができ、前記流体接続管(14)が
、異なる方向から前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の前記封入用壁(33)に入っている、請求項
10に記載の流量分配マニホールド。
【請求項12】
前記流体接続管(14)のそれぞれの前記第2の端部(20)と前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の中心点(37、137)との間の距離が、前記流体接続管(14)の内径(inner diameter、ID)の3倍を超えて、もしくは2倍を超えて、もしくは1倍を超えて異なることはなく、または前記流体接続管(14)のそれぞれの前記第2の端部(20)と前記共通の中心コンパートメント(30、130、230、330)の中心点(37、137)との間の距離が、各流体接続管(14)について、実質的に同じである、請求項
10又は11に記載の流量分配マニホールド。
【請求項13】
請求項
6から
9のいずれか一項に記載の
クロマトグラフィーシステム又はフィルタシステムにおいて使用されるように構成された単回使用の流路であって、請求項1から
5のいずれか一項に記載の流量分配装置(10)において使用されるように構成された請求項
10から
12のいずれか一項に記載の流量分配マニホールド(12、112、212、312)を備える、単回使用の流路。
【請求項14】
前記単回使用の流路(81)が、予め滅菌されている、請求項
13に記載の単回使用の流路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バイオプロセスシステムのための流量分配装置、流量分配マニホールド、バイオプロセス分離システム、および単回使用の流路に関する。
【背景技術】
【0002】
ピンチ弁作動式流体送達装置は、たとえば、バイオプロセス分野において適用されている単回使用の液体取扱いシステムにおいて使用される。通常、単回使用のシステムは、処理流体と流体接触する予め滅菌された構成部品を採用する。そのような構成部品は、好ましくは焼却可能なプラスチック材料から作製され、再使用の前の洗浄および関連する洗浄バリデーションを回避するために、使用後に廃棄されることが多い。使い捨ての構成部品を予め滅菌し、クリーンルームで製造することによって、処理前のすべての洗浄および洗浄バリデーションがやはり排除される。滅菌方法は、大抵、ガンマ線照射、Eビーム滅菌、オートクレービング(autoclaving)であるが、他の方法が存在する。ピンチ弁は、原理が単純で費用対効果が高いので、そのような使い捨ての単回使用の構成部品とともに使用されることが多い。たとえばバイオ医薬品を製造する際には、そのような単回使用のシステムが、ろ過およびクロマトグラフィーにおける液体取扱いに適合される。
【0003】
ピンチ弁の設計原理に起因して、そのような装置は、ピンチ弁が流体マニホールド内に配置されるときに必要な配管の長さを最小にすることによって生じるデッドボリュームに悩まされる。特に、より高い流量率を採用する生産規模で使用されるシステムにおいては、より大きい直径で寸法を大きくした配管および構成部品からなる流体ラインが必要になるので、この問題が発生する。通常、生産規模設備における配管は、6.25mm以上の内径を有する。そのようなより大きい直径の配管では、マニホールド内の流体における対流混合のリスクが高まる。
図1においては、6つの流体ダクトAをマニホールドBに接続したそのような装置が概略的に示されている。ポンプPが、マニホールドBから流体を吸い込む。ピンチ弁Cが、流体ダクトAのそれぞれに配設されている。
図1においては、左側の外側ピンチ弁が開放された場合、この開放された流体ダクトからの流体は、マニホールドBを通ってポンプPの中を流れ、システムに送達される。しかしながら、開放された流体ダクトからの流体は、ポンプPまでの途中で、マニホールドBとそれぞれの閉鎖されたピンチ弁Cとの間の他の流体ダクト内の空間dにも到達することになる。これらのデッドボリュームに起因して、装置を効果的に洗い流すことができず、たとえばクロマトグラフィーにおいて分画および連続的プロトコールを行うとき、汚染およびキャリーオーバ(carry over)のリスクが存在する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の一目的は、汚染およびキャリーオーバのリスクを低減した流量分配構成体を提供することである。
【0005】
本発明のさらなる目的は、単回使用のシステムに適した容易に取り付けられる流量分配装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
これは、独立請求項による流量分配装置、バイオプロセス分離システム、流量分配マニホールド、および単回使用の流路によって達成される。
【0007】
本発明の1つの態様によれば、バイオプロセスシステムのための流量分配装置が提供され、この流量分配装置は、
- 流量分配マニホールドを備え、この流量分配マニホールドは、
- 少なくとも4つの流体接続管であって、各流体接続管が、流体接続のための第1の端部および対向する第2の端部を含み、流体接続管のうちの少なくとも3つが、流体接続管の第1の端部と第2の端部との間の流体流れを防止するように圧縮され得る(すなわち、圧縮されると、流体接続管の第1の端部と第2の端部との間の流れを防止する)少なくとも1つの可撓性部分を含む、少なくとも4つの流体接続管と、
- 流体接続管のそれぞれの第2の端部が接続されている共通の中心コンパートメントとを備え、それによって、流体接続管のそれぞれの第1の端部が共通の中心コンパートメントと流体連通することができ(すなわち、可撓性部分が圧縮されていないとき)、流体接続管は、少なくとも3つの異なる方向から共通の中心コンパートメントに入っており、
前記流量分配装置は、
- 流量分配マニホールドの1つの流体接続管とそれぞれ接続して設けられている少なくとも3つのピンチング部材をさらに備え、前記ピンチング部材はそれぞれ、少なくとも第1の位置および第2の位置の中に調節可能(第1の位置と第2の位置との間で可動)であり、ピンチング部材のそれぞれについての第1の位置においては、ピンチング部材は、流体接続管のうちの1つを、この流体接続管の第1の端部と第2の端部との間で流体流れが防止されるようにピンチし、第2の位置においては、ピンチング部材は、流体接続管の第1の端部と第2の端部との間で流体流れが許容されるような位置に設けられている。
【0008】
本発明の別の態様によれば、バイオプロセス分離システムが提供され、このバイオプロセス分離システムは、分離装置と、分離装置の入り口および/または出口に接続されている、上記に定義された少なくとも1つの流量分配装置とを備える。
【0009】
本発明の別の態様によれば、流量分配マニホールドが提供され、この流量分配マニホールドは、
- 少なくとも4つの流体接続管であって、各流体接続管が、流体接続のための第1の端部および対向する第2の端部を含み、流体接続管のうちの少なくとも3つが、流体接続管の第1の端部と第2の端部との間の流体流れを防止するように圧縮され得る(すなわち、圧縮されると、流体接続管の第1の端部と第2の端部との間の流れを防止する)少なくとも1つの可撓性部分を含む、少なくとも4つの流体接続管と、
- 流体接続管のそれぞれの第2の端部が接続されている共通の中心コンパートメントとを備え、それによって、流体接続管のそれぞれの第1の端部が共通の中心コンパートメントと流体連通することができ(すなわち、可撓性部分が圧縮されていないとき)、流体接続管は、少なくとも3つの異なる方向から共通の中心コンパートメントに入っており、
前記流量分配マニホールドは、上記に定義された流量分配装置において使用されるように構成されている(または使用される)。
【0010】
本発明の別の態様によれば、単回使用の流路が提供され、この単回使用の流路は、上述のバイオプロセス分離システムにおいて使用されるように構成されており(または使用され)、上述した流量分配装置に使用されるように構成された上述の流量分配マニホールドを備える。
【0011】
これによって、流量分配装置が提供され、それにより、流体接続部が異なる方向から入っている共通の中心コンパートメントを備えた設計で、すなわち、装置の中央に設けられた共通のコンパートメントが存在することで、汚染およびキャリーオーバのリスクが低減することになる。これによって、異なる接続部間の「距離」を同じにすることができる。さらには、
図1に関連して説明した従来のピンチ弁マニホールドと比較して、装置の洗浄がはるかに容易であり、より効果的である。さらには、ピンチング部材は再使用可能であるが、流量分配マニホールドは容易に交換可能であるので、本発明による流量分配装置は、単回使用のシステムにおいて使用するのに適している。流量分配マニホールドは、バイオプロセス分離システムのための単回使用の流路に接続可能である。
【0012】
本発明の1つの実施形態においては、少なくとも5つまたは少なくとも6つの流体接続管が、流量分配マニホールド内に設けられている。
【0013】
本発明の1つの実施形態においては、流体接続管は、少なくとも4つまたは5つの異なる方向から共通の中心コンパートメントに入っている。
【0014】
本発明の1つの実施形態においては、流体接続管の第2の端部は、共通の中心コンパートメントの封入用壁の周りに分配されて共通の中心コンパートメントに接続され、その封入用壁は、共通の中心コンパートメントの内室を封入しており、流体接続管はそれぞれ、共通の中心コンパートメントの内室と流体連通することができ、流体接続管は、少なくとも3つ、または4つ、または5つの異なる方向から共通の中心コンパートメントの封入用壁に入っている。
【0015】
本発明の1つの実施形態においては、流体接続管のそれぞれの第2の端部と共通の中心コンパートメントの中心点との間の距離は、流体接続管の内径(inner diameter: ID)の3倍を超えて、もしくは2倍を超えて、もしくは1倍を超えて異なることはなく、または流体接続管のそれぞれの第2の端部と共通の中心コンパートメントの中心点との間の距離は、各流体接続管について、実質的に同じである。
【0016】
本発明の1つの実施形態においては、流体接続管のうちの少なくとも1つの第2の端部から隣接する流体接続管の第2の端部までの距離は、同じ2つの前記流体接続管をピンチするように構成された2つのピンチング部材間の距離よりも小さい。これによって、流体接続管は、共通の中心コンパートメントの周りに、並設されずに広がる。
【0017】
本発明の1つの実施形態においては、流量分配装置は、流量分配マニホールド内に設けられている流体接続管の数と同じ数か、または1つ少ないピンチング部材を備え、1つのピンチング部材が、各流体接続管と、または1つを除いた各流体接続管と接続して設けられ、それによって、すべての流体接続管か、または1つを除いたすべての流体接続管が、ピンチング部材によってピンチされ得る。
【0018】
本発明の1つの実施形態においては、前記流量分配マニホールドは、単回使用の構成部品である。
【0019】
本発明の1つの実施形態においては、前記ピンチング部材は、接続された調節システムによって調節されるように構成され、それによって、ピンチング部材の位置は、流体接続管のうちの1つの第1の端部が流体接続管のうちの別の流体接続管の第1の端部と流体接続され得るように調節可能である。
【0020】
本発明の1つの実施形態においては、流量分配装置は、流量分配マニホールドのためのホルダをさらに備え、前記ホルダは、ホルダの内部の中に突出し前記流体接続管をピンチすることができるピンチング部材に対して前記流量分配マニホールドを保持するように構成されている。
【0021】
本発明の1つの実施形態においては、流量分配装置が、分離装置の入り口に接続され、流量分配装置の1つの流体接続管が、分離装置の入り口に接続され、流量分配装置の少なくとも3つの流体接続管が、分離装置に供給されることになる流体を含む異なる流体源に接続されている。
【0022】
本発明の1つの実施形態においては、流量分配装置が、分離装置の出口に接続され、流量分配装置の1つの流体接続管が、分離装置の出口に接続され、流量分配装置の少なくとも3つの流体接続管は、分離装置から異なる画分(fractions)を収集する、異なる画分収集器に接続されている。
【0023】
本発明の1つの実施形態においては、バイオプロセス分離システムは、流量分配装置のピンチング部材、および少なくとも1つのポンプヘッドを含む再使用可能な部分と、流量分配装置の流量分配マニホールド、および分離装置を含む単回使用の流路を含む単回使用の部分とを備える。
【0024】
本発明の1つの実施形態においては、前記単回使用の流路は、たとえばガンマ線照射によって、予め滅菌されている。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】従来技術による、流体を送達するための装置を概略的に示す図である。
【
図2a】本発明の1つの実施形態による流量分配装置の斜視図である。
【
図2c】
図2aおよび
図2bに示されている流量分配装置の、ただし装置の別の側からの斜視図である。
【
図2d】
図2a~
図2cに示されている、ただしカバーが設けられている流量分配装置の斜視図である。
【
図3a】本発明の1つの実施形態による流量分配マニホールドを概略的に示す図である。
【
図3b】本発明の別の実施形態による流量分配マニホールドを概略的に示す図である。
【
図3c】本発明の別の実施形態による流量分配マニホールドを概略的に示す図である。
【
図3d】本発明の別の実施形態による流量分配マニホールドを概略的に示す図である。
【
図4】本発明による流量分配装置が使用され得るバイオプロセス分離システムを概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図2a~
図2dは、本発明の1つの実施形態による流体分配装置10の異なる斜視図および断面図を示している。流体分配装置10は、単回使用の部分とすることができる1つの部分を備える。これは、流体分配マニホールド12と呼ばれ、少なくとも4つの流体接続管14を備える。別の実施形態においては、流体分配マニホールドは、少なくとも5つまたは少なくとも6つの流体接続管14を備える。
図3a~
図3dにおいては、流体分配マニホールド12、112、212、312の4つの異なる実施形態が示されている。
図3aにおける流体分配マニホールドは、
図2a~
図2dに示されている流体分配マニホールド12と同じ実施形態である。各流体接続管14は、流体接続のための第1の端部18、および対向する第2の端部20を含む。この実施形態においては、8つの流体接続管14が示されているが、もちろん、流体接続管の数は、異なっていてもよい。本発明の1つの実施形態においては、1つを除く少なくともすべての流体接続管14が、流体接続管14の第1の端部18と第2の端部20との間の流体流れを防止するように圧縮され得る少なくとも1つの可撓性部分を含む。もちろん、すべての流体接続管が、少なくとも1つの可撓性部分を含んでいてもよい。オプションで、流体接続管14全体が可撓性である。また、特許請求の範囲に示すように、少なくとも4つの流体接続管14があるとき、流体接続管14のうちの少なくとも3つが少なくとも1つの可撓性部分を含むと表現してもよい。圧縮は、さらに後述するように、流体分配装置内に設けられたピンチング部材に関係している。
図2a~
図2dおよび
図3a~
図3dに示されている流体分配マニホールドの実施形態においては、7つまたは8つの流体接続管14が示されており、それらはすべて、可撓性管である。
【0027】
本発明によれば、流体分配マニホールド12は、流体接続管14のそれぞれの第2の端部20が接続されている共通の中心コンパートメント30をさらに備え、それによって、流体接続管14のそれぞれの第1の端部18は、共通の中心コンパートメント30と流体連通することができる。さらには、本発明によれば、流体接続管14は、少なくとも3つの異なる方向から共通の中心コンパートメント30に入っている。本発明の別の実施形態によれば、流体接続管14は、少なくとも4つまたは少なくとも5つの異なる方向から共通の中心コンパートメント30に入っている。
図2a~
図2dに示されている実施形態においては、すべての流体接続管14は、異なる方向から共通の中心コンパートメント30に入っており、流体分配マニホールド12は、流体接続管14が共通の中心コンパートメント30から離れて異なる方向を指している星状の構成を有する。
図2および
図3a~
図3cに示されている実施形態においては、流体接続管14は、共通の中心コンパートメント30に入っているとき、1つの同じ平面内にすべて設けられているが、それらは、なお、
図3dに示されているように異なる平面内に設けられていることもあり得、すなわち、流体接続管14の第2の端部20は、共通の中心コンパートメント30の封入用壁33の周りに分配されて共通の中心コンパートメント30に接続され得、その封入用壁33は、共通の中心コンパートメント30の内室35を封入しており、ここで、流体接続管14はそれぞれ、共通の中心コンパートメント30の内室35と流体連通することができ、流体接続管14は、少なくとも3つ、または4つ、または5つの異なる方向から共通の中心コンパートメント30の封入用壁33に入っている。
図2および
図3に示されている本発明の実施形態においては、流体接続管は、7つまたは8つの異なる方向から共通の中心コンパートメント30の封入用壁33に入っている。
【0028】
流量分配装置10は、流量分配マニホールド12の1つの流体接続管14とそれぞれ接続して設けられている少なくとも3つのピンチング部材41をさらに含む。
図2a~
図2dに示されている本発明の実施形態においては、各流体接続管14について、1つのピンチング部材41が設けられ、すなわち、8つのピンチング部材41が流量分配装置10内に設けられている。しかしながら、別の実施形態においては、ピンチング部材41の数は、そうではなく、流体接続管14の数よりも1つ少なくても、またはさらにはオプションで2つ少なくてもよく、すなわち、流体接続管14のうちの1つ、またはさらにはオプションで2つは、その他の流体接続管14がピンチされ得る場合、ピンチされる必要がない。
【0029】
前記ピンチング部材41はそれぞれ、少なくとも第1の位置および第2の位置の中に調節可能であり、ピンチング部材41のそれぞれについての第1の位置においては、ピンチング部材41は、流体接続管14のうちの1つを、この流体接続管14の第1の端部18と第2の端部20との間で流体流れが防止されるようにピンチし、第2の位置においては、ピンチング部材41は、流体接続管14の第1の端部18と第2の端部20との間で流体流れが許容されるような位置に設けられている。
【0030】
ピンチング部材41は、当技術分野で知られているように、異なるタイプの機械的構成体または圧縮空気によって調節可能である。ピンチング部材41はまた、接続された調節システムによって調節されるように構成され得、それによって、ピンチング部材41の位置は、流体接続管14のうちの1つの第1の端部18が、流体接続管14のうちの別の流体接続管の第1の端部18と流体接続され得るように調節可能である。本発明の1つの実施形態においては、異なる流体接続管14のうちのいずれか1つの第1の端部18は、他の流体接続管14のうちのいずれか1つの第1の端部18と接続され得る。
【0031】
ピンチング部材41は、好適には、それらが流体接続管14の第2の端部20の近くで流体接続管14をピンチするような位置に設けられている。流体接続管14上のピンチング位置42と流体接続管14の第2の端部20との間の距離d1は、たとえば、流体接続管14の内径IDの4未満、または3未満、または2未満とすることができる。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態においては、流体接続管14のそれぞれの第2の端部20と共通の中心コンパートメント30の中心点37との間の距離は、流体接続管14の内径IDの3倍を超えて、または2倍を超えて、または1倍を超えて異なることはない。
図2a~
図2dおよび
図3a~
図3dに示されている実施形態においては、共通の中心コンパートメント30、130、230、330は対称であり、流体接続管14は、共通の中心コンパートメント30の中心点37、137、237から実質的に同じ距離で共通の中心コンパートメント30の周りに対称に位置決めされ、すなわち、流体接続管14のそれぞれの第2の端部20と共通の中心コンパートメント30の中心点37との間の距離は、各流体接続管14について、実質的に同じである。
【0033】
従来技術との違いは、ピンチ弁を備える流量送達マニホールドは、従来技術においては、流体接続部は並設されているが、この新規発明においては、流体接続管のうちの少なくともいくつかが、異なる方向に設けられており、すなわち、流体接続管14の少なくともいくつかが、共通の中心コンパートメント30から外に広がっていることである。これによって、流体接続管14のうちの少なくとも1つの第2の端部20から隣接する流体接続管14の第2の端部20までの距離は、同じ2つの前記流体接続管14をピンチするように構成された2つのピンチング部材41間の距離よりも小さくなる。
【0034】
流量分配マニホールド12、112、212、312は、好適には、単回使用の構成部品とすることができる。それは、可撓性材料から1つまたは複数の断片で成形され得る。代替としては、共通の中心コンパートメント30は、より剛性の材料で形成され得、流体接続管14は、可撓性材料で形成され、共通の中心コンパートメント30に成形され得る。流量分配マニホールド12、112、212、312は、オプションで、たとえば、さらに後述するクロマトグラフィーシステムまたはフィルタシステムなどのバイオプロセス分離システムにおいて使用されることになる単回使用の流路の他の部分と一緒に、たとえばガンマ線照射法または他の滅菌法によって、予め滅菌され得る。
【0035】
流量分配装置10の別の部分は、再使用可能な部分とすることができ、この部分は、ピンチング部材41、および好適には、ホルダ51も含む。前記ホルダ51は、ホルダ51の内部53の中に突出し前記流体接続管14をピンチすることができるピンチング部材41に対して前記流量分配マニホールド12、112、212、312を保持するように構成されている。これによって、流体接続管14は、各ピンチング部材41が流体接続管14を1つずつピンチすることができるようなホルダ51内の位置に設けられるように、ホルダ51の内側に位置決めされ得る。さらには、カバー55が、好適には、ピンチング部材41が設けられている側とは反対の流体接続管14の側から流体接続管14をカバーして設けられている。これによって、ピンチング部材41は、流体接続管14をカバー55に寄せてピンチすることができる。カバー55は、流体接続管14の第1の端部18の開口部57を有し得る。
図2a~
図2dに示されている実施形態においては、1つの開口部57'が、ホルダ51の側に設けられ、他の開口部57がカバー55内に設けられている。これによって、ホルダ51の側に開口部57'を通って外に突出している流体接続管14は、好適には、
図4に示されているクロマトグラフィーシステムのクロマトグラフィーカラムまたはフィルタシステムのフィルタなど、バイオプロセス分離システム71の分離装置73の入り口75または出口77に接続され得る。次いで、カバー55内の開口部を通って外に突出している流体接続管14は、異なる流体を分離装置73内に供給するための異なる流体源、または分離装置73からの異なる画分を受け取るための異なる画分収集装置に接続され得る。
【0036】
本発明はまた、クロマトグラフィーシステムまたはフィルタシステムなど、
図4に概略的に示されているバイオプロセス分離システム71にも関し、このバイオプロセス分離システム71は、上述の1つまたは複数の流体分配装置10を備える。1つの流体分配装置10は、バイオプロセス分離システム71内に設けられている分離装置73の入り口75に接続され得、および/または1つの流体分配装置10は、分離装置73の出口77に接続され得る。分離装置73は、たとえば、クロマトグラフィーカラムまたはフィルタとすることができる。少なくとも1つのポンプ79もまた、バイオプロセス分離システム71内に設けられている。通常、弁およびセンサなどの他の構成部品もまた、バイオプロセス分離システム71内に設けられるが、ここではこれ以上詳細に説明しない。流路、本発明による流量分配マニホールド12、112、212、312、およびオプションで、分離装置73を含む単回使用の流路81もまた、本発明の一部分であり、すなわち、流量分配マニホールド12、112、212、312は、バイオプロセス分離システム71内で容易に接続され交換されるように、バイオプロセス分離システムの他の流路に接続され、予め滅菌され得る。バイオプロセス分離システム71の再使用可能な部分は、たとえば、ポンプヘッド79、および流量分配装置10のピンチング部材41である。
【0037】
図3b、
図3c、および
図3dにおいては、本発明による流量分配マニホールド112、212、312の3つの代替の構成が示されている。
図3bにおける流量分配マニホールド112は、中央に開口部131を有する共通の中心コンパートメント130を含む。これによって、本明細書および特許請求の範囲で参照される中心点137は、この実施形態においては、共通の中心コンパートメントの内室の内側にはなく、開口部131の中央にあることになる。共通の中心コンパートメント130の内室は、これによって、環状となり、開口部131を包囲している。中央にこの開口部131を有することは、ひいては共通の中心コンパートメント130の容積を減少させることができるので、有利になり得る。
図3cにおいては、流体接続管14を共通の中心コンパートメント230に成形する代替のやり方が示されている。
図3dにおける流量分配マニホールド312は、7つの流体接続管14を備え、それらのうちの6つは、流量分配マニホールド312の共通の中心コンパートメント330に入っているとき、1つの同じ平面内に設けられ、流体接続管14のうちの1つは、別の平面で共通の中心コンパートメント330に入っている。これによって、流体接続管14の第2の端部20は、共通の中心コンパートメント330の封入用壁33の外周の周りに分配される。
【0038】
上記に論じたように、流量分配マニホールドは、単回使用の用途に適している。流量分配マニホールド、およびオプションで、それが接続され得る単回使用の流路は、たとえばガンマ線照射によって、予め滅菌され得、システム内の無菌接続のための無菌コネクタを備えることができる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
単回使用技術(single-use technology: SUT)は、バイオプロセス産業においては、生産コストを低減させ、生産スループットおよび品質を高め、安全性を高めるために重要である。単回使用の処理技術および設備の場合、たとえば、流体貯蔵容器、配管、分離設備など、処理中にプロセス流体および薬物製品と接触する接液部分(wetted part)は、特定のプロセス、製品について、または限られた時間にわたってのみ設置され、使用され、その後、廃棄されることになる清浄な、使用の準備の整った消耗品として提供される。
【0040】
SUT消耗品は、典型的には、微生物、粒子などによる汚染を回避するようにクリーンルーム環境において生産され、構成され、パッケージ化される。さらには、SUT接液部分は清浄で、予め滅菌されて提供され得、したがって、無菌および/または滅菌の処理が可能になり、これによって、製品、操作者、または患者の安全性に関わる上述のリスクが低減する。典型的には、SUT接液部分は、バイオ製造プロセスにおいて使用される前に、滅菌用ガンマ線照射処置が施され、それを行った場合、それらは、使用時点で、「予め滅菌されている(pre-sterilized)」として展開される。このことは、滅菌処置後に、正式に認証された滅菌資格(sterile claim)付きの消耗品を提供することを含むことがあるが、あるいは滅菌処置を受けてはいるものの、正式な滅菌資格が与えられていない消耗品を提供することを含むこともある。規制された厳格な製造状態の場合、SUT消耗品は、非滅菌で、ならびに/または消耗品の様相および状態を調節する処置を施して、展開されることもある。これによって、一般に「バイオバーデン(bioburden)」と呼ばれる微生物による汚染レベル、すなわち、汚染物質または粒子の汚染もしくは存在のレベルは、予め規定されたレベル内で調節され、維持され得る。
【0041】
単回使用技術(SUT)流体取扱い設備を使用する利点は、主に、SUT設備が単一の薬物製品のみに使用されるとき、生産バッチとキャンペーンとの間の交差汚染(cross-contamination)がなくなることである。SUT設備は、使用後に廃棄され、それは、単回運転、バッチ、または複数回の運転およびバッチを含むキャンペーン後であってもよい。予め滅菌された、または他の手段によるSUT設備を提供する場合、バイオバーデンの調節、(たとえば、流路を水酸化ナトリウム溶液に接触させることによる)初期洗浄および消毒、または滅菌を回避することができる。これにより、時間がかかりコストのかかる価値のない追加ステップが省略可能になるので、リーン(LEAN)製造手法が可能になる。単回の運転またはバッチにのみSUTを使用する場合、使用後の洗浄すら省略することができる。洗浄手順および所要の洗浄流体をなくすことにより、最初に洗浄溶液を準備するための清浄水の要件、流体の取扱い、および廃棄物の処置をさらに低減させ、そのことは、施設の大きさおよび複雑さの低減へとつながる。
【0042】
単回使用の設備は、流体コネクタを備えることができ、この流体コネクタは、閉鎖処理を可能にし、それによってプロセス流体ライン、ならびに/または操作者および環境を汚染もしくは危険物質への暴露から保護する。代替としては、流体コネクタは、無菌の接続機能を備えることができ、これによって、流体ラインの厳密で、完全な閉鎖がもたらされる。無菌コネクタまたは無菌ディスコネクタを使用する場合、流体ライン、2つの接続されたラインもしくは構成部品、または2つの脱接続されたラインもしくは構成部品の滅菌状態は、動作に関わる流体ラインまたは構成部品が滅菌状態で提供されていることを前提に、維持され得る。これらの機能により、SUT設備は、より効率的な処理を可能にするだけでなく、施設の分類および封じ込めに関する要件を低減させることも可能にすることができ、それによって、コスト、ならびにプロセス流体および薬物製品の汚染もしくは感染、ならびに/またはプロセス環境、施設、もしくは操作者の汚染および感染のリスクが低減する。
【0043】
SUTシステムは、製造施設を(再)構成する際、およびそれを設計によって、すなわち、従来の処理システムおよび設置物と比較して、固定された設置物、たとえば、CIP(所定の場所での洗浄(Cleaning in Place))およびSIP(所定の場所での滅菌(Sterilization in place))についての所要の補助システムの必要性を低減させることにより、異なるプロセスおよび製品に適応させる際に、より高い柔軟性をもたらす。そのため、今日では、SUT設備およびSUT処理レジームが、すべてのタイプの設備および/またはユニット動作の大半に、なかでも細胞培養または発酵のためのバイオリアクタ、液体貯蔵のためのバッファ袋、液体輸送および充填動作のための配管およびポンプ、分離のためのフィルタ、クロマトグラフィーカラム、ならびに関連のシステムに利用可能であり、または利用可能となっている。
【0044】
これらの機能により、SUT設備は、従来の設置物およびシステムと比較して効率性、安全性、および利便性の向上をもたらしている。処理するための従来の設置物およびシステムは、通常、ステンレス鋼および/またはプラスチックから作製されており、バイオバーデンを低減する調節された(またはクリーンルーム)状態の下で生産されていない。通常、従来のシステムは、所定の場所で洗浄され(CIP)、時として、所定の場所で滅菌され(SIP)、これには、補助的な設置物、設備および流体が必要であるだけでなく、CIP手順およびSIP手順の検証、実行、および品質管理にかなりの時間も必要とする。従来の設備および設置物に依存する施設の大きさ、コスト、および複雑さは、SUTを展開する生産施設と比較して著しく大きい。SUT施設およびプロセスは、従来の製造技術と比較して著しく短い時間でプラニングし、構築し、立ち上げることが可能であり、SUTにより、薬物製品の通常は非常に動的なポートフォリオに関連する資本投資および財務リスク、ならびに薬物候補の試験および認可とそれらの製品需要に関係するリスクおよび不確実性が低減する。
【符号の説明】
【0045】
10 流体分配装置、流量分配装置
12、112、212、312 流体分配マニホールド、流量分配マニホールド
14 流体接続管
18 第1の端部
20 第2の端部
30、130、230、330 共通の中心コンパートメント
33 封入用壁
35 内室
37、137、237 中心点
41 ピンチング部材
42 ピンチング位置
51 ホルダ
53 内部
55 カバー
57、57' 開口部
71 バイオプロセス分離システム
73 分離装置
75 入り口
77 出口
79 ポンプ
81 単回使用の流路
131 開口部
A 流体ダクト
B マニホールド
C ピンチ弁
P ポンプ
ID 内径
d 空間
d1 距離