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特許7475362視界調整機構および当該視界調整機構の調整手段
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】視界調整機構および当該視界調整機構の調整手段
(51)【国際特許分類】
   G02B 7/182 20210101AFI20240419BHJP
   B60R 1/07 20060101ALI20240419BHJP
   B60R 1/28 20220101ALI20240419BHJP
   G03B 17/56 20210101ALI20240419BHJP
   G03B 15/00 20210101ALI20240419BHJP
【FI】
G02B7/182 110
B60R1/07
B60R1/28 200
G03B17/56 A
G03B15/00 P
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021557756
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-16
(86)【国際出願番号】 EP2020057647
(87)【国際公開番号】W WO2020200819
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2022-10-21
(31)【優先権主張番号】102019108303.6
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】510126416
【氏名又は名称】エムシーアイ(ミラー コントロールズ インターナショナル)ネザーランド ベー.フェー.
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】フランソワ・ローデリク・ヘンリ・ブアジズ
(72)【発明者】
【氏名】パウルス・ゲラルドゥス・マリア・ファン・スティップハウト
(72)【発明者】
【氏名】ステファン・フリッツ・ブロウエル
(72)【発明者】
【氏名】バスティアーン・バルトヤン・マート
(72)【発明者】
【氏名】アンヌ・キャサリナ・マーサ・ベッカー
(72)【発明者】
【氏名】トム・アドリアーン・ヤンセン
(72)【発明者】
【氏名】アレックス・ロリエ
【審査官】殿岡 雅仁
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-530046(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102017003118(DE,A1)
【文献】独国特許出願公開第10159705(DE,A1)
【文献】特表2017-530047(JP,A)
【文献】特開2013-052781(JP,A)
【文献】特開2011-102066(JP,A)
【文献】特表2017-537014(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0264055(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 7/00
G02B 7/18 - 7/24
B60R 1/06 - 1/078
G03B 17/56 - 17/58
G03B 15/00 - 15/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第2の部分(4)、すなわちベース部分に対して第1の部分(2)の位置、すなわち観察手段のための観察手段ホルダ部分の位置を調整する調整手段であって、前記第1の部分(2)を前記第2の部分(4)に対して動かすことができるように前記第1の部分(2)と前記第2の部分(4)との間に力結合される少なくとも1つのプッシュロッド(6)を備え、
前記プッシュロッド(6)が、少なくとも1つの第1の歯付きリングセグメント(10)と少なくとも1つの第2の歯付きリングセグメント(20)とを有し、
前記第2の歯付きリングセグメント(20)が、少なくとも1つのアクチュエータ(22)、すなわち作動ドライブ(22)に力結合され、前記第1の部分(2)が、前記作動ドライブ(22)を介して前記第2の部分(4)に対して動かされ得る、
調整手段において、
前記プッシュロッド(6)が、少なくとも1つの第1の軸(A )周りに回動するように設計され、
前記第1の歯付きリングセグメント(10)および前記第2の歯付きリングセグメント(20)が、前記第1の軸(A )に対して中心合わせされるように形成され、
前記プッシュロッド(6)の前記第1の歯付きリングセグメント(10)が、少なくとも1つの検出器(12)、すなわち位置検出器に力結合され、
前記第1の歯付きリングセグメント(10)が、前記位置検出器(12)を駆動する第1のピニオン(16)と直接噛み合い前記第1の歯付きリングセグメント(10)によって前記第1のピニオン(16)を動かすことにより、検出信号が開始され、それによって前記第2の部分(4)に対する前記第1の部分(2)の位置検出が可能になり、
前記第1の歯付きリングセグメント(10)が、フェース歯車セグメントであり、かつ/またはフェース歯車装置の一部であり、
前記第1のピニオン(16)が、第1のインボリュートピニオンであり、
前記第2の歯付きリングセグメント(20)が、内側インボリュート歯付きリングセグメントもしくは外側インボリュート歯付きリングセグメントであり、かつ/またはインボリュート歯車装置の一部であり、
前記第2の歯付きリングセグメント(20)が、第2のピニオン(26)と力結合され、
前記第2のピニオン(26)が、第2のインボリュートピニオンであり、
前記第1のインボリュートピニオン(16)が、第2の軸(A )に対して回転可能に中心合わせされ、前記第2の軸が、前記第1の軸(A )に対して、α>0°のピボット角度を有す
ことを特徴とする、調整手段。
【請求項2】
前記プッシュロッド(6)が、前記第1の部分(2)に静的に関節式に取り付けられ、かつ/または、前記作動ドライブ(22)が、前記第2の部分(4)に取り付けられる
ことを特徴とする、請求項1に記載の調整手段。
【請求項3】
前記位置検出器(12)が、前記第1のピニオン(16)を介して駆動される少なくとも1つのポテンショメータ(30)を備える
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の調整手段。
【請求項4】
前記第1のピニオン(16)が、少なくとも1つの接触ワイパ(32)を有するか、または前記接触ワイパ(32)に動作可能に接続されており、前記接触ワイパ(32)が、少なくとも1つの、環状の、前記ポテンショメータ(30)の回路基板(36)上の接触トラック(34)に接続されている
ことを特徴とする、請求項に記載の調整手段。
【請求項5】
前記環状の接触トラック(34)が、前記第2の軸 に対して中心合わせされる
ことを特徴とする、請求項に記載の調整手段。
【請求項6】
前記第2のピニオン(26)が、前記第1の軸 に対して平行に延びる第3の軸 に対して中心合わせされる
ことを特徴とする、請求項1から5のいずれか一項に記載の調整手段。
【請求項7】
界調整機構(100)であって、第1の部分(2)、すなわち観察手段のための観察手段ホルダ部分と、前記第1の部分に対して可動に配置された第2の部分(4)、すなわちベース部分と、少なくとも1つの、請求項1からのいずれか一項に記載の調整手段(1)と、を備える、視界調整機構(100)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第2の部分、特にベース部分に対して第1の部分の位置、特に例えばミラーまたはカメラなどの観察手段のための観察手段ホルダの位置を調整する調整手段であって、第1の部分を第2の部分に対して動かす、特に回動させることができる少なくとも1つのプッシュロッドを備える、調整手段に関する。
【0002】
本発明はさらに、上述の第1の部分および第2の部分ならびに対応する調整手段を備える、特には自動車のサイドミラーまたはカメラユニットのための、視界調整機構に関する。
【背景技術】
【0003】
そうした調整手段または視界調整機構は、従来技術から既知である。これらは、特に、例えば車両のミラーまたはカメラユニットである観察手段を調整する役割を果たす。この調整は一般的にモータ駆動であるが、手動で行うこともできる。この目的のため、一般的に、第2の部分に対する第1の部分の動き、したがって観察手段の動きを可能にする対応する作動ドライブが設けられる。一般的に、第1の部分は第2の部分に対して回動するように設計されるが、第1の部分と第2の部分との間の他の動きも考えられる。
【0004】
そうした調整手段または視界調整機構において、第2の部分に対する第1の部分の位置の検出、具体的には第1の部分と第2の部分との間のピボット角度の検出を可能にする位置検出器の提供が望まれることがある。検出された位置は、任意選択で後の時点でその位置を再現するために、例えばメモリユニットに送られ、そこに記憶され得る。このように、異なる使用者に対して、特別な観察手段アライメント、例えばミラーの位置などが記憶され、特に使用者が変わった後に自動的に再設定され得る。特別な観察手段アライメント、例えば操縦操作、運転操作、駐車操作などがやはりまた記憶され、調整され得る。
【0005】
従来技術から、上述した調整手段および観察手段調整機構のいくつかの例示的な実施形態が知られているが、ほとんどの場合、それらは非常に複雑であり、したがって多くはスペースをとる構造である。
【0006】
特許文献1には、第2の部分に対して第1の部分を回動させる回動デバイスが記載されおり、そこでは、それぞれが異なる歯車と動作可能に連結している少なくとも2つの歯付きリングが湾曲した歯付きラック上に配置されている。相対的な位置の検出は網羅されていない。
特許文献2には、車両用の外部ミラー装置におけるミラー要素の少なくとも1つの角度位置を調整するアクチュエータ機構が開示されている。アクチュエータ機構は、ベース要素と、ベース要素に移動可能に結合されたミラー要素と、を備え、ミラー要素は、ミラー面を支持するミラー支持体を備える。ミラー要素は、アクチュエータ機構に設けられた第1の電動モータによって、ベース要素に対して少なくとも第1の旋回軸の周りを回転可能であり、第1の電気モータは、ミラー支持体の支持面を実質的に横断する長手方向に延在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】独国特許出願公開第102017003118号明細書
【文献】特開2017-530046号公報
【非特許文献】
【0008】
【文献】Karlheinz Roth-Zahnradtechnik-Evolventen-Sonderverzahnungen zur Getriebeverbesserung、Springer-ISBN 3-540642366、pp.305 et seqq
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、本発明の目的は、位置検出が非常に正確な、単純であり任意選択で小型な構造を可能にする調整手段または視界調整機構を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的は、独立請求項による調整手段および視界調整機構によって達成される。
【0011】
特に、この目的は、第2の部分、すなわちベース部分に対して第1の部分の位置、すなわち観察手段のための観察手段ホルダ部分の位置を調整する調整手段であって、第1の部分を第2の部分に対して動かすことができる、特に回動可能にする少なくとも1つのプッシュロッドを備え、プッシュロッドが、少なくとも1つの第1の歯付きリングセグメントと少なくとも1つの第2の歯付きリングセグメントとを有し、第2の歯付きリングセグメントが、少なくとも1つのアクチュエータ、すなわち作動ドライブに力結合され、第1の部分が、作動ドライブを介して第2の部分に対して動かされ得、作動要素の第1の歯付きリングセグメントが、少なくとも1つの検出器、すなわち位置検出器に力結合され(force-coupled)、第1の歯付きリングセグメントが、位置検出器を駆動する第1のピニオンと力結合状態にあり、適用された動きにより、検出信号が開始され、それによって第2の部分に対する第1の部分の位置検出が可能になる、調整手段によって達成される。
【0012】
さらに、この目的は、特に自動車のサイドミラーまたはカメラユニットのための、視界調整機構であって、第1の部分、特に例えばミラーまたはカメラなどの観察手段のための観察手段ホルダ部分と、第1の部分に対して可動、特に回動可能に配置された第2の部分、特にベース部分と、本明細書に記載されるような少なくとも1つの調整手段と、を備える、視界調整機構によって達成される。
【0013】
本発明の核心部分は、特に、それぞれが異なるアクチュエータおよび検出器、すなわちアクチュエータおよび位置検出器により動作される第1の歯付きリングセグメントと第2の歯付きリングセグメントとを有する少なくとも1つのプッシュロッドの使用である。本発明の範囲内で、アクチュエータとは、運動を開始することができる構成要素を意味すると理解される。検出器とは、信号を開始することができる構成要素を意味すると理解される。したがって、検出器は、適用された運動によって検出信号が開始される位置検出器である。本発明の範囲内で、アクチュエータは、作動ドライブであり、そこにおいて、運動、具体的には第1の部分と第2の部分との間に働く調整運動は調整信号によって開始される。
【0014】
冒頭で述べたように、任意選択で、第2の部分が観察手段のための観察手段ホルダ部分であってもよく、第1の部分がベース部分であってもよいことに言及すべきである。
【0015】
これは、任意選択で、第1の歯付きリングセグメントと位置検出器との間、または第2の歯付きリングセグメントと作動ドライブとの間の力結合にも適用される。位置検出器の代わりに、作動ドライブが設けられてもよく、位置検出器の代わりに位置検出器が設けられてもよい。
【0016】
上記は、本明細書で論じられる構成要素は任意選択で第1の部分および/または第2の部分に形成され得ることを意味する。
【0017】
第1の歯付きリングセグメントおよび第2の歯付きリングセグメントを含むプッシュロッドの使用によって、調整手段の省スペースでの製造がより簡単になり、さらに、これは高精度の位置検出を考慮している。
【0018】
任意選択で、プッシュロッドは、第1の部分に静的および/もしくは関節式に取り付けられ、かつ/または、作動ドライブは、第2の部分に取り付けられる。このように、作動ドライブとプッシュロッドとの間の力結合により、第2の部分と第1の部分との間に、直接的な力結合が作り出され得る。作動ドライブにより第1の部分は、第2の部分に対して動かされ、具体的には回動され得る。任意選択で、特にこの文脈において、第1の部分は、第2の部分に関節式に、具体的には第2の部分に対して回動可能に取り付けられる。
【0019】
プッシュロッド、特に円弧形に設計される。したがって、第1の部分は、プッシュロッドの運動、具体的には軸周り運動(axial movement)によって、第2の部分に対して、具体的にはその表面(skin)の延長の方向に動かされ得る。任意選択で、プッシュロッドの取付けポイントは、第1の部分および/または第2の部分上の、第1の部分と第2の部分との間の回転ポイントの外に配置される。プッシュロッドの円弧形の設計によって、以下に述べるように、上述の第1の歯付きリングセグメントおよび第2の歯付きリングセグメントの組込み、ならびにそれぞれのアクチュエータまたは検出器に対する結合が簡単になる。
【0020】
任意選択で、プッシュロッドは、少なくとも1つの第1の軸周りに回動するように設計される。第1の部分は、回動により第2の部分に対して動かされ得る。
【0021】
任意選択で、第1の歯付きリングセグメントおよび第2の歯付きリングセグメントは、第1の軸に対して中心合わせされるように形成される。第1の歯付きリングセグメントおよび/または第2の歯付きリングセグメントは、好ましくは円弧形を有する。第1の歯付きリングセグメントおよび第2の歯付きリングセグメントは、任意選択で、共通のセグメント軸を有する。これは、セグメントが周りで湾曲されるそれぞれの軸を意味すると理解される。セグメント軸は、任意選択で、第1の軸である。第1の歯付きリングセグメントが、この第1の軸に対して第2の歯付きリングセグメントとは異なる長さの半径を有することも考えられる。
【0022】
1の歯付きリングセグメントは、フェース歯車セグメントであり、かつ/またはフェース歯車装置の一部である。そうした一実施形態の利点としては、第1の歯付きリングセグメントと位置検出器との間の力結合が非常に正確であること、したがって、位置検出が非常に正確であることが挙げられる。特に、フェース歯車装置の一部であるような歯付きリングセグメントの設計では、位置検出器の動きは、非常に厳密に、省スペースかつエラー冗長(error-redundant)になるように行われ得る。そのような一実施形態では、位置信号は、任意選択で、歯付きリングセグメントを介して位置検出器において開始される運動によって生成される。これは、具体的には、位置検出器がポテンショメータを有する、任意選択で駆動する場合に可能である。第2の部分に対する第1の部分の位置を示す位置信号は、こうして、歯付きリングセグメントの動きによって生成され得る。
【0023】
第1の歯付きリングセグメントは、第1のインボリュートピニオンと直接噛み合う。その結果は、具体的にはフェース歯車セグメントとして設計された第1の歯付きリングセグメントと組み合わせて、調整手段と位置検出器との間の非常に正確な力結合を確実にするフェース歯車装置である。加えて、フェース歯車装置が有する利点が十分に生かされる。
【0024】
1のピニオンは、第2の軸に対して回転可能に中心合わせされ、ここで、第2の軸は、第1の軸の方に回動され、具体的には第1の軸に対して垂直に延びる。第1のピニオンと第1の歯付きリングセグメントとの間の直線状歯車装置および螺旋状歯車装置もここに含まれる。任意選択で、第1のピニオンは、実際、0°に等しくない、または0°に等しい歯角度を有する。任意選択で、第2の軸は、第1の軸と交差しない。任意選択で、第2の軸は、第1の軸に関して回動された平面内、具体的には任意選択で、第1の軸に対して直交する平面内にある。
【0025】
フェース歯車装置の利点は、特に、第2のピニオンの軸方向配向(axial orientation)が可変に設計可能であることである。したがって、第2のピニオンは、ある領域内において第2の軸に沿って軸方向に変位され得る。上記および追加の利点は、特にインボリュートピニオンとしての第2のピニオンの設計から生じる。
【0026】
任意選択で、特に上述のフェース歯車装置またはフェース歯車セグメントとして設計された歯付きリングセグメントの場合、プッシュロッド、具体的には円弧形のプッシュロッドは、第1の歯付きリングセグメントの歯がそれに対して垂直に配置されるプッシュロッド平面内に延びる。任意選択で、歯は、歯幅に沿って、同じ絶対値(modulus)であるが異なる圧力角度を有する。
【0027】
上述のように、そのようなフェース歯車装置の利点は、ピニオンの軸取付けが、ある範囲内で自由に調整できることである。任意選択で、歯車装置は、ある範囲内で可変距離ならば、力の伝達が一定のままになるように設計される。その結果、冠歯車の上面、すなわち、ここでは第1の歯付きリングセグメントの平面に対する第2の軸、すなわち第1のピニオンのピニオン軸の距離は、任意選択で、ある範囲内で可変であるように設計され得る。任意選択で、歯車装置は、可変距離で、伝達が一定のままになるように設計される。第1のピニオンおよび/または第1の歯付きリングセグメントを直線状または斜めの歯に設計することも考えられる。フェース歯車装置の設計に関しては、明示的に、非特許文献1が参照される。
【0028】
任意選択で、第1のピニオンに対する第1の歯付きリングセグメントの90°噛み合いは、したがって、任意選択で第1の軸に対して垂直に延びる第2の軸に適用される。ここでも、直線状歯車装置または螺旋状歯車装置を使用することができる。
【0029】
1のピニオンは、第2の軸Aに対して回転可能に中心合わせされ、ここで、第2の軸Aは、第1の軸Aに対して、α>0°、特に、好ましくはα=90°のピボット角度を有する。
【0030】
第1のピニオンは、位置検出器を駆動する。基本的に、特にこの文脈では、位置検出器は、この第1のピニオンを介して駆動されるポテンショメータを備えることができる。位置検出器は、少なくとも1つの、具体的にはポテンショメータである位置センサ、ホールセンサ、誘導性センサ、光センサ、光学センサまたは任意の他のタイプのセンサを備えることができる。
【0031】
任意選択で、第1のピニオンは、少なくとも1つの接触ワイパ(contact wiper)を有するか、または接触ワイパに動作可能に接続されており、接触ワイパは、少なくとも1つの、特に環状の、ポテンショメータの回路基板上の接触トラック、特にカーボン接触トラック(carbon contact track)に接続されている。接触ワイパと接触トラックとの間の接続により、ゼロ位置に対する接触ワイパの位置が、電位差測定的に検出され、プッシュロッドのポジショニングに関して、直接的な結論がこうして導き出され得る。
【0032】
具体的には、プリント接触トラックとして設計されることが好ましい一体型の(カーボン)接触トラックを含む回路基板の任意選択の設計は、ここでは特に有利である。回路基板はさらに、プリント回路基板、例えばPGBであることが好ましい。接触ワイパは、任意選択で、独立した構成要素として第1のピニオンに力結合され、具体的には、第1のピニオンの第2の軸に対して中心合わせされる。任意選択で、接触ワイパは、第1のピニオンとともに動き、そこにおいて、接触ワイパは、任意選択で、接触トラックに沿って摺動し、したがってポテンショメータによる位置検出を可能にするように配置される。環状の接触トラックは、任意選択で、第2の軸に対して中心合わせされる、具体的には第2の軸周りに延びるように設計される。具体的には、接触トラックは、第1のピニオンの下に配置されるように設計され、接触ワイパは、第1のピニオンと接触トラックとの間に形成される。任意選択で、第1のピニオンは、回路基板を貫通し位置デバイス内に保持されるように、その第2の軸に対して形成される。任意選択で、接触ワイパを介して互いに接続された少なくとも2つの接触トラックが設けられる。少なくとも2つの接触トラックは、任意選択で、円弧のように同軸に設計される。
【0033】
2の歯付きリングセグメントは、内側インボリュート歯付きリングセグメントもしくは外側インボリュート歯付きリングセグメントであり、かつ/またはインボリュート歯車装置の一部である。第2の歯付きリングセグメントが、第2のピニオン、特に第2のインボリュートピニオンに力結合され、特に第2のピニオンと直接噛み合うことも考えられる。第2の歯付きリングセグメントと作動ドライブとの間にインボリュート歯車装置を介した力結合があるように、第2の歯付きリングセグメントを作動ドライブに結合することが可能である。任意選択で、作動ドライブは、駆動信号による調整手段の調整、したがって第2の部分に対する第1の部分の調整をもたらすように、サーボモータとして設計される。そのようなサーボモータは、電気モータであることが好ましい。
【0034】
任意選択で、第2のピニオンは、第1の軸に対して任意選択で平行に延びる第3の軸に対して中心合わせされる。このように、非常にコンパクトな調整手段が達成され得る。
【0035】
冒頭で述べたように、本出願は、調整手段だけでなく、上述したような視界調整機構にも関する。冗長の理由から、そうした視界調整機構の個々の特徴および実施形態は詳細に論じないが、調整手段に関連して述べた特徴を参照されよう。それらは、視界調整機構にも等しく適用されるべきである。
【0036】
本発明のさらなる実施形態は、従属請求項からもたらされる。
【0037】
本明細書の以下において、添付の図面によってより詳細に説明される例示的な実施形態を参照して本発明について述べる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】所定の回動状態にある、本発明による視界調整機構の一実施形態の空間的な図である。
図2】所定の回動状態にある、本発明による視界調整機構の一実施形態の空間的な図である。
図3図1による視界調整機構の他の空間的な切断図である。
図4】本発明による調整手段の一実施形態の空間的な詳細図である。
図5図4による調整手段の空間的な分解図である。
図6図4による調整手段の他の空間的な詳細図である。
図7プッシュロッドの一実施形態の詳細図である。
図8図7に示されるプッシュロッドの第1の歯付きリングセグメントの詳細図である。
図9図4による一配置による、図7によるプッシュロッドのさらなる詳細図である。
図10図1による実施形態で使用され得るような第1のアクチュエータの一実施形態の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下において、同じ参照符号は、同一、および同一の働きをする構成要素に使用され、上付き番号が使用されることもある。
【0040】
別段の記載がない限り、本明細書で使用される(技術的用語および化学的用語も含めて)すべての用語は同じ意味を有し、特に、説明および図面と合わせて解釈されるとき、その分野からの平均的な当業者によって一般的に理解されるような意味を有する。さらに、よく用いられる辞書で定義されているような用語は、関連する技術分野を参照して解釈され、明示的に定義されない限り、理想化されたまたは過度に形式化された意味に解釈されないことを理解されたい。場合によって、一般的に知られるデバイスおよび方法の詳細な説明は、説明における冗長を避けるために省略されることもある。特定の実施形態の説明およびそこで使用される専門用語は、本発明に対する限定を意図するものではない。単数形「a」または「the」は、文脈が明確に示さない限り、複数形も含むことができる。表現「および/または」は、そこに挙げられる関連の項目のうちの1つ以上の項目のあらゆるすべての組合せを包含する。用語「含む(comprises)」および/または「含んでいる(comprising)」は、記載の特徴の存在を示し、1つ以上の他の特徴の存在または付加を除外するものではないことが理解されよう。さらに、別段の記載がない限り、方法のある特定のステップが他のステップの次にくるとして示される場合、それはその他のステップのすぐ後であってもよく、または、その特定のステップが実施される前に1つ以上の中間ステップが実施されてもよいことを理解されたい。同様に、別段の記載がない限り、構造または構成要素同士の間の連結が述べられる場合、この連結は直接的または中間構造もしくは構成要素を介して行われ得ることを理解されたい。本明細書に記載のすべての刊行物、特許出願、特許および他の文献の開示内容全体を参照する。矛盾が起きた場合、本明細書がその定義も含めて優先する。
【0041】
本発明の実施形態を示す添付の図面を参照して本発明をここに述べる。しかし、本発明は、多くの異なる形態で具現化することができ、本明細書に示される実施形態に限定されると理解すべきではない。むしろ、実施形態は、本開示が詳述され完成し、完全であるが例示的なやり方で当業者に本発明の範囲を説明するように、本明細書で与えられる。例示的な実施形態の説明は、記載の説明全体の一部とみなされるべきである添付の図面とあわせて読むべきである。明瞭にするため、図面において、システム、構成要素、層および領域の絶対的および付随的なサイズは誇張されている場合がある。実施形態は、本発明の概略図および/または断面図、理想化された実施形態および中間構造に基づいて述べられ得る。相対的な関係を示す用語ならびにそれらの派生語は、その時説明されているまたは説明中の図面に示されている方向に関すると理解されるべきである。これら相対的な関係を示す用語は説明を明瞭にするためのものであり、特にそうでないと明記されている場合を除き、システムを特定の向きで構築または操作する必要はない。別段の記載がない限り、開示のデバイスまたはその部分のいずれかを一緒に組み合わせてもよく、またはさらなる部分に分けてもよい。特定の手段が相互に異なる段落または請求項に列挙されているという事実のみでは、これらの手段の組合せが有利に実行できないということを示すことにはならない。特に、請求項のすべての考えられる組合せは、本質的に開示されていると考えるべきである。本明細書において、「実質的に」、「約」または「概ね」のような用語は、別段の記載がある場合を除いて、10%以下、好ましくは5%以下の寸法のズレを、あるいはそれぞれの規定の範囲内に含まれると依然として当業者によってみなされるであろう形状からのズレを少なくとも含むことを意味するものと解釈すべきである。
【0042】
明瞭にするため、厳格な説明の意味では、特徴は、一般的に、1つまたは別々の実施形態の一部として本明細書に記載されるが、言うまでもなく、本発明の範囲は、記載の特徴のすべてまたはいくつかの組合せを示す実施形態も含むことができる。
【0043】
図1から図3は、本発明による調整機構100の一実施形態または本発明による調整手段1の一実施形態の3つの空間的な図である。図3では、より良く見えるようにいくつかの構成要素を取り去ってある。
【0044】
視界調整機構100は、第1の部分2、すなわちミラーまたはカメラなどの観察手段のための観察手段ホルダ部分と、第2の部分4、すなわち、第1の部分2に対して可動的、具体的には回動可能に配置されるベース部分と、を備える。このベース部分は、例えば、静的に車両に取り付けることができる。少なくとも1つの調整手段1は、第2の部分4と第1の部分2との間に設けられる。この調整手段は、とりわけ、第2の部分4に対して第1の部分2を回動させる役割を果たす。任意選択で、この実施形態において2つの調整手段1が設けられる。
【0045】
調整手段1は、プッシュロッド6を備える。第1の部分2は、プッシュロッド6によって、第2の部分4に対して動かされ、具体的には回動され得る。プッシュロッドは、第1の部分と第2の部分との間に力結合される。任意選択で、複数のそうしたプッシュロッドが設けられる。
【0046】
図1から図9に具体的に示されるように、プッシュロッド6は、第1の歯付きリングセグメント10と、第2の歯付きリングセグメント20と、を備える。第1の歯付きリングセグメント10は、少なくとも1つの検出器12、すなわち位置検出器に力結合され、第2の歯付きリングセグメント20は、少なくとも1つのアクチュエータ22、すなわち作動ドライブに力結合される。作動ドライブ22(特に図3参照)は、第1の部分2と第2の部分4との間の動きを生じさせるようにプッシュロッドを動かすことに使用され得る。この実施形態では、任意選択で、それぞれが作動ドライブ22に結合される2つのプッシュロッド6が設けられる。
【0047】
図3に示されるように、少なくとも1つの作動ドライブ22は、任意選択で、作動ドライブ22の起動がプッシュロッド6の動き、具体的には図1に示される軸A周りのその回動を引き起こすように、プッシュロッド6に力結合される。プッシュロッド6の回動方向に関連する対応する動きの方向は、とりわけ、図7に矢印8で示されている。
【0048】
回動のため、プッシュロッド6は、任意選択で、第2の歯付きリング要素20として、第2のピニオン26に力結合される、具体的には第2のピニオン26と直接噛み合う内側歯付きリングセグメント、具体的には内側インボリュート歯付きリングセグメントを有する。この第2のピニオン26は、作動ドライブ22に力結合される。任意選択で、第2の歯付きリングセグメント20は、インボリュート歯付きリングセグメントとして、具体的に本明細書では、内側インボリュート歯付きリングセグメントとして設計される。第2の歯付きリングセグメント20を外側インボリュート歯付きリングセグメントとして設計することも考えられる。第2のピニオン26および第2の歯付きリングセグメント20は、任意選択で、インボリュート歯車24を形成する。
【0049】
第2のピニオン26は、任意選択で、第1の軸Aに対して任意選択で平行に延びる第3の軸Aに対して中心合わせされる。第1の軸A周りにはプッシュロッド6が中心合わせされ、かつ/または回動され得る。
【0050】
図3から図7には、内側歯車装置または内側歯付きリングセグメント20の設計の詳細が示されている。歯28を備える歯部の任意選択のインボリュート設計、およびプッシュロッド6における第2の歯付きリングセグメント20の構成を図面から見ることができる。
【0051】
特に図7に示されるように、プッシュロッド6は、任意選択で、円弧として、さらに任意選択でプッシュロッドとして設計される。この実施形態では、これは、任意選択で、第1の軸A周りに円弧を形成する。さらに、任意選択で、この実施形態では、第2の歯付きリングセグメント20および第1の歯付きリングセグメント10は、この軸A周りに中心合わせされる。第1の歯付きリングセグメントおよび第2の歯付きリングセグメントは、したがって、任意選択で、軸A周り、具体的には共通軸A周りに円弧を形成する。これらは、任意選択で、第1の軸に対して異なる半径r10またはr20を有する。図7に示される参照符号EKRは、プッシュロッド6の延長の平面、具体的にはフェース歯車の上面、すなわち本明細書では第1の歯付きリングセグメント10の平面を示している。
【0052】
特に図1および図2に示されるように、プッシュロッド6は、任意選択で、第1の部分2に静的に関節式に取り付けられる。係合取付具42はこの目的のために設けられ、係合要素44はプッシュロッドに設けられ、係合要素レセプタ46は第1の部分2に設けられる。この結果は、プッシュロッド6のその円周方向Rの軸周り運動後に第2の部分4に対する第1の部分2の回動運動がもたらされるような関節式取付けである。この軸周り運動は、歯車装置24および作動ドライブ22によってもたらされる。
【0053】
図1から図9にさらに示されるように、第2の歯付きリングセグメント20に加え、プッシュロッド6は、検出器12、すなわち位置検出器に属する第1の歯付きリングセグメント10をさらに備える。この実施形態の場合、第2の部分4に対する第1の部分2の位置検出が可能である。このため、第1の歯付きリングセグメント10は、第1のピニオン16、具体的には第1のインボリュートピニオンに力結合され、具体的には第1のピニオン16と直接噛み合う。この場合、第1の歯付きリングセグメント10は、任意選択で、複数の歯18の付いたフェース歯車セグメントとして、および/またはフェース歯車装置14の一部として設計される。この実施形態は、特に図6から図9に詳細に示されている。
【0054】
第1のピニオン16は、任意選択で、第2の軸Aに対して中心合わせされ、具体的には回転可能であり、ここで、第2の軸Aは、第1の軸Aに対して、α>0°、特に、好ましくはα=90°のピボット角度を有する。これは、特に図1および図3に示されている。
【0055】
特に図4から図6に詳細に示されるように、第1のピニオン16は、任意選択で、位置検出器12を駆動するように設計される。対応する構成要素は、任意選択で、ハウジング40によって覆われる。
【0056】
位置検出器は、第1のピニオン16を介して駆動されるポテンショメータ30を備えることができる。例えば、これは図10に示されている。このため、第1のピニオン16は、任意選択で、少なくとも1つの接触ワイパ32を有する。具体的には第1のピニオン16の回転中に動く、具体的には第1のピニオン16とともに回転するように、接触ワイパ32を設けること、および接触ワイパ32を第1のピニオン16に力結合することが可能である。接触ワイパ32は、任意選択で、ポテンショメータ30の回路基板36上の少なくとも1つの環状接触トラック34、具体的にはカーボン接触トラックに接続されている。第1のピニオンの回転の結果、接触ワイパ32が接触トラック34上を移動すると、ポテンショメータの抵抗値が変わる。このように、第1のピニオン16の位置検出、直接的な結論として、プッシュロッド6の位置検出、したがって第1の部分2に対する第2の部分4の位置の位置検出が可能になる。特に図10に示されるように、環状接触トラック32は、任意選択で、第2の軸Aに対して中心合わせされる。ここで、環状とは、接触トラック32が少なくとも1つの部分円の周りに延びることを意味する。
【0057】
すでに述べたように、本発明は、視界調整機構および調整手段に関し、上述した特徴は、視界調整機構および調整手段の実施形態の両方にもたらされ得る。
【符号の説明】
【0058】
1 調整手段
2 第1の部分
4 第2の部分
プッシュロッド
8 回動方向
10 第1の歯付きリングセグメント
12 検出器、すなわち位置検出器
14 フェース歯車装置
16 第1のピニオン
18 歯
20 第2の歯付きリングセグメント
22 アクチュエータ、すなわち作動ドライブ
24 インボリュート歯車装置
26 第2のピニオン
28 歯
30 ポテンショメータ
32 接触ワイパ
34 接触トラック
36 回路基板
40 ハウジング
42 係合取付具
44 係合要素
46 係合要素取付具
100 視界調整機構



10 半径
20 半径
回動方向
KR アクチュエータ平面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10