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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】音響処理を含む逆推力装置カスケード
(51)【国際特許分類】
   F02K 1/72 20060101AFI20240419BHJP
   F02K 1/44 20060101ALI20240419BHJP
   F02C 7/24 20060101ALI20240419BHJP
   B64D 33/00 20060101ALI20240419BHJP
   G10K 11/172 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
F02K1/72
F02K1/44
F02C7/24 C
B64D33/00 A
B64D33/00 B
G10K11/172
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2021564986
(86)(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-06
(86)【国際出願番号】 EP2020059569
(87)【国際公開番号】W WO2020224889
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-03-27
(31)【優先権主張番号】1904659
(32)【優先日】2019-05-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516227272
【氏名又は名称】サフラン・エアクラフト・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ジョデ,ノルマン・ブリュノ・アンドレ
(72)【発明者】
【氏名】ゴンザレス,ジェレミー・ポール・フランシスコ
【審査官】高吉 統久
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-506185(JP,A)
【文献】特開昭52-139816(JP,A)
【文献】特開2009-062977(JP,A)
【文献】仏国特許出願公開第3039517(FR,A1)
【文献】米国特許出願公開第2008/0250770(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64D 33/00
F01D 25/00
F02C 7/24
F02K 1/44
F02K 1/72
G10K 11/172
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
航空機のターボ機械(1)用のカスケード型逆推力装置(70)であって、装置(70)が、逆推力装置カスケード(80)とケーシング(71)とを備え、カスケード(80)は、第1の方向(D)および第2の方向(D)を画定する第1の平面内に延在し、第1の方向(D)に連続して配置され且つ互いに平行である第1の仕切(82)と、前記第1の仕切(82)と交差し、それぞれが互いに平行であり且つ第1の方向(D)に平行な平面内に延在する第2の仕切(83)と、それぞれが2つの第1の仕切(82)および2つの第2の仕切(83)によって画定されるキャビティ(84)と、を含み、ケーシング(71)は、前記第1の方向(D)およびハウジング(75)に直交する平面内に延在する開口部(76)を備え、カスケード(80)は、前記開口部(76)を介して前記第1の方向(D)に挿入されることができ、ケーシング(71)および前記カスケード(80)は、カスケード(80)が完全にハウジング(75)内に配置された装置(70)の第1の位置と前記カスケード(80)が少なくとも部分的に前記ハウジング(75)の外側にある装置(70)の第2の位置との間において第1の方向(D)において互いに対して相対並進する装置(70)において、
ケーシング(71)は、空気流(F)と接触し且つ装置(70)が第1の位置にあるときに前記空気流(F)とカスケード(80)との間に配置されるように意図された穿孔壁(72)を備え、穿孔壁(72)が、複数のオリフィス(722)および、オリフィスを有さず且つ装置(70)が第1の位置にあるときにカスケード(80)の第1の壁(82)に面するように意図された複数の壁ストリップ(724)を含み、少なくとも1つのオリフィス(722)が、第1の方向(DA)において2つの連続する壁ストリップ(724)の間に配置され、装置(70)が第1の位置にあるときにキャビティ(84)に面することを特徴とする、カスケード型逆推力装置(70)。
【請求項2】
ケーシング(71)は多孔質界面(77)をさらに備え、多孔質界面(77)は、少なくとも1つの多孔質材料層によって形成され、且つ逆推力装置(70)が第1の位置にあるときに穿孔壁(72)とカスケード(80)との間の界面に配置される、請求項1に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項3】
多孔質界面(77)は、0.2mm~2mmの間に含まれる厚さ(E)を有し、厚さ(E)が、前記第1の平面に垂直な第3の方向(DR)に延在している、請求項2に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項4】
多孔質界面(77)の多孔質材料層は、ウェブまたは発泡体またはセル状構造を有する材料を備える、請求項2または3のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項5】
封止フレーム(88)をさらに備え、封止フレーム(88)は、第1の平面内の穿孔壁(72)の周囲において、装置(70)が第1の位置にあるときに穿孔壁(72)とカスケード(80)との間のハウジング(75)内に配置される、請求項1~4のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項6】
第1の方向(DA)において2つの第1の仕切(82)を隔てる距離および第2の方向(DC)において2つの第2の仕切(83)を隔てる距離が、それぞれ、前記キャビティ(84)によって処理される音波の周波数の関数として画定される、請求項1~5のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項7】
カスケードの第1の仕切(82)は、10mm~300mmの間に含まれる高さ(H)を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項8】
第1の仕切(82)は、0.5mm~5mmの間に含まれる厚さ(E)を有する、請求項1~7のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項9】
ケーシング(71)は音響反射壁(73)をさらに備え、音響反射壁(73)は、前記第1の平面に直交する第3の方向(DR)に移動可能であり、且つ装置(70)が第1の位置にあるときに外壁(712)とカスケード(80)との間において第1の平面に平行に配置され、外壁(712)が、装置(70)がターボ機械(1)に取り付けられたときにターボ機械(1)のナセル(2)と接触するように意図されている、請求項1~8のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項10】
音響反射壁(73)は、2mmよりも大きい第3の方向(DR)の厚さを有する、請求項9に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項11】
ケーシング(71)は弾性手段(78)を備え、弾性手段(78)は、外壁(712)と音響反射壁(73)との間に取り付けられ、且つ前記音響反射壁(73)をカスケード(80)に向かって押すように構成される、請求項9または10のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項12】
音響反射壁(73)は、前記第1の平面におけるカスケード(80)の寸法と少なくとも等しい寸法を有する、請求項9~11のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力(70)。
【請求項13】
アクチュエータ(79)をさらに備え、アクチュエータ(79)は、装置(70)が第2の位置にあるときに音響反射壁(73)をカスケード(80)から係合解除するように構成される、請求項9~12のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項14】
音響反射壁(73)は、少なくとも1つの可撓性材料層を備える、請求項9~13のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項15】
音響反射壁(73)は、少なくとも2つの異なる材料の複数の層の積層体を備える、請求項10または14のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項16】
音響反射壁(73)は単一部品で作製されている、請求項9~15のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項17】
音響反射壁(73)は、少なくとも2つの部品にセグメント化されている、請求項9~15のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)。
【請求項18】
カスケード(80)は移動可能であり、ケーシング(71)は固定されている、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置(70)。
【請求項19】
カスケード(80)は固定され、ケーシング(71)は移動可能である、請求項1~17のいずれか一項に記載の装置(70)。
【請求項20】
航空機に取り付けられるように意図されたターボ機械(1)であって、ターボ機械(1)は、軸線方向(DA)および半径方向(DR)を画定する軸対称ナセル(2)を備え、ナセル(2)は、半径方向(DR)の厚さを具備し、ハウジングがカスケード型逆推力器装置のカスケード(80)を受け入れるようにその厚さにおいて軸線方向(DA)に延在し、
請求項1~19のいずれか一項に記載のカスケード型逆推力装置(70)を備え、カスケード(80)は、逆推力が必要とされない場合に、ターボ機械(1)のナセル(2)の対応するハウジング内に配置されることを特徴とする、ターボ機械(1)。
【請求項21】
請求項20に記載の少なくとも1つのターボ機械(1)を備える航空機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、航空機のターボ機械によって放射される音波の音響処理に関し、より詳細には、ターボ機械の逆推力装置における音波の処理に関する。
【背景技術】
【0002】
ターボ機械が動作しているとき、ターボ機械の流れと固体部分との間の相互作用は、ターボ機械の両側に伝播するノイズの生成の原因となる。
【0003】
この音響放射を減衰させる手段の1つは、音波と接触する表面と一体化された音響処理手段である。
【0004】
従来、ターボジェットの音響処理、より正確にはロータとその周囲環境との相互作用によって放射されるノイズの音響処理は、音波が伝播するダクトの濡れ面に配置された吸収パネルによって達成される。濡れ面とは、流体の流れと接触する表面を意味する。これらのパネルは、一般に、ハニカムを形成する吸音セルを閉じ込めるサンドイッチ型の複合材料である。
【0005】
例えば、従来技術では、ターボ機械のナセルの壁を裏打ちする従来のハニカム音響処理構造を有する一つの自由度、すなわちSDOFを有する音響パネルが知られている。
【0006】
共振空洞を使用する音響処理パネルの技術の動作原理のために、音響処理パネルの半径方向の嵩、すなわち半径方向の厚さは、音響減衰の最大有効性を得るために目標とされる処理周波数に依存する。
【0007】
しかしながら、エンジンアーキテクチャでは、ブレード付きホイールの回転速度はますます遅くなり、ブレード付きホイール上のブレードの数はますます少なくなり、これにより、ファンおよび整流器段を含むモジュール、または「出口ガイドベーン」モジュールの場合はファン-OGVに関連するノイズの主要周波数の低下を引き起こす。その結果、音響パネルの最適な厚さとナセル内で利用可能な容積との間の整合は、現在満たされていない。
【0008】
航空機を減速させるために、ターボ機械は、一般に、逆推力装置を備える。カスケードの作用に基づく逆推力装置の主に2つの技術が存在する。2つのタイプのカスケード型逆推力装置、すなわち、固定カスケード型逆推力装置および摺動接続を有するカスケード型逆推力装置が区別される。
【0009】
それぞれ逆推力が非作動とされる位置および逆推力が作動される位置における、従来技術の第1の公知の実施形態にかかるターボ機械1の水平面内の概略断面図が図1Aおよび図1Bに示されている。
【0010】
ターボ機械1は、軸線方向DA、半径方向DR、および周方向DCを画定する軸線Xの周りに軸対称性を有するナセル2と、ファン3と、一次流れ4と、二次流れと、一次整流器段5と、二次整流器段6と、カスケード8を含むカスケード型逆推力装置7とを備える。
【0011】
固定カスケード型逆推力装置を備えたターボ機械を示す図1Aおよび図1Bに示すように、固定カスケード逆推力装置では、カスケード8は、ナセル2の上流部分21に埋め込まれており、すなわち固定されており、ナセル2の下流部分22と摺動接続しており、上流および下流は、ターボ機械1内のガス流Fの流れ方向に対して画定されている。下流に並進すると、ナセル2の下流部分22は、ナセル2の内部の流れとターボ機械1が移動する周囲の媒体との間の唯一の界面となるカスケード8を露出させる。
【0012】
それぞれ逆推力が非作動とされる位置および逆推力が作動される位置における、従来技術の第2の実施形態にかかるターボ機械1の水平面内の概略断面図が、図2Aおよび図2Bに示されている。
【0013】
摺動接続を有するカスケード型逆推力装置を備えたターボ機械1を示す図2Aおよび図2Bに示すように、固定カスケード逆推力装置では、カスケード8は、ナセル2の上流部分21に対して摺動接続し、ナセル2の下流部分22に対して埋め込み接続している。下流に並進すると、ナセルの下流部分22は、カスケード8をナセル2から押し出して、ナセル2の内部の流れと周囲媒体との間の界面に位置する。
【0014】
逆推力装置は、着陸段階の終わりにのみ使用されるが、推進アセンブリの性能にとって非常に不利なコスト、質量および嵩の双方を表す。ナセルにおいて使用される容積は、ターボ機械によって放射される音波の音響処理のために、従来技術では特に使用されることができない。
【0015】
二次流れの内側に配置されて流れをナセルの外側の上流に偏向させるドア型逆推力装置を使用する推進アセンブリアーキテクチャでは、従来の音響処理を統合するための公知の慣行は、逆推力装置ドアのキャビティ内に音響パネルを統合することからなる。この慣行は、単に、ファンケーシングにおいて行われるように、従来の吸収パネルを利用可能な容積に統合することからなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、ナセルの外側のターボ機械の上流の空気の流れを再配向することと、逆推力装置が作動されたときにカスケードを通るヘッド損失を最小にすることと、逆推力装置が非作動のときに吸音の有効性を制御することとの双方を可能にするカスケード型逆推力装置を供給しようとするものである。
【0017】
本発明の1つの目的は、航空機のターボ機械用のカスケード型逆推力装置を提案する。装置は、逆推力装置カスケードおよびケーシングを備える。カスケードは、第1の方向および第2の方向を画定する第1の平面内に延在し、第1の方向に連続して互いに平行に配置された第1の仕切と、前記第1の仕切と交差し、それぞれが互いに平行であり且つ第1の方向に平行な平面内に延在する第2の仕切と、それぞれが2つの第1の仕切および2つの第2の仕切によって画定されたキャビティとを含む。ケーシングは、前記第1の方向に直交する平面内に延在する開口部と、前記開口部を介してカスケードが前記第1の方向に挿入されることができるハウジングとを備える。ケーシングおよび前記カスケードは、カスケードが完全にハウジング内に配置される装置の第1の位置と、前記カスケードが少なくとも部分的に前記ハウジングの外側にある装置の第2の位置との間で、第1の方向に互いに対して相対的に並進する。
【課題を解決するための手段】
【0018】
本発明の一般的な特徴によれば、ケーシングは、装置が第1の位置にあるときに空気流と接触し、前記空気流とカスケードとの間に配置されるように意図された穿孔壁を備える。
【0019】
好ましくは、穿孔壁は、複数のオリフィスと、オリフィスを有さず且つ装置が第1の位置にあるときにカスケードの第1の壁に面するように意図された複数の壁ストリップとを含み、少なくとも1つのオリフィスは、第1の方向において2つの連続する壁ストリップの間に配置され、装置が第1の位置にあるときにキャビティに面する。
【0020】
逆推力装置カスケードは、環状の一体型カスケードによって、または円形もしくは多角形の基部を有する中空円筒を形成するように一体に組み立てられることができる複数のカスケードセクションによって形成されることができる。
【0021】
カスケード型逆推力装置がターボジェットに取り付けられる場合、第1の方向は、ターボジェットの軸線方向に対応し、第2の方向は、カスケードが少なくとも部分的に環状である場合はターボジェットの周方向に対応し、カスケードが平面である場合、換言すれば湾曲していない場合は周方向に接する方向に対応する。
【0022】
第1の仕切は、このタイプのカスケード型逆推力装置を含むターボ機械の内側のガス流の流れ方向と交差する方向に配向されるように意図される。逆推力装置がターボ機械に取り付けられる場合、ターボ機械の方位角方向または半径方向に配向された第1の仕切は、逆推力の機能を保証するために不可欠である。実際に、これらの第1の仕切により、逆推力装置が取り付けられるナセルの内側において流れを循環する空気流が捕捉されることができ、ナセルの外側において、ナセルの内側の流れ方向に対してターボ機械の上流側に再配向されることができる。第2の仕切は、このタイプのカスケード型逆推力装置を含むターボ機械の内側のガス流の方向に配向されるように意図される。逆推力装置がターボ機械に取り付けられる場合、ターボ機械の軸線方向に配向された第2の仕切は、逆推力の機能に不可欠ではない。一方、それらは、ターボ機械によって生成された音響波を減衰させることを可能にする共振空洞の形成を可能にする。
【0023】
本発明にかかる逆推力装置がターボ機械に取り付けられ、第1の位置にあるとき、装置は、一方では、逆推力装置カスケードによって形成されたキャビティがターボ機械の二次流の流体媒体と連通することを可能にし、他方では、逆推力装置カスケードと、二次流の流体媒体との界面に位置する材料との間に品質の高い接触を提供することを可能にする。
【0024】
本発明にかかる逆推力装置がターボ機械に取り付けられ、第1または第2の位置にあるとき、装置は、その空気力学的封止を保証することを可能にする。
【0025】
逆推力装置の第1の態様では、ケーシングはまた、多孔質界面を備えることができ、多孔質界面は、多孔質材料の少なくとも1つの層によって形成され、且つ逆推力装置が第1の位置にあるときに穿孔壁とカスケードとの間の界面に配置される。
【0026】
多孔質界面の追加は、逆推力装置カスケードの仕切と壁ストリップとの間の接合部において、より良好な封止を提供することによって、逆推力装置カスケードと穿孔壁との間の界面を改善することを可能にし、これは、逆推力機能が使用されるとき、すなわち装置が第2の位置にあるときに、逆推力装置カスケードの摺動を改善するための有用なクリアランスを提供する。
【0027】
逆推力装置の第2の態様では、多孔質界面は、0.2~2mmの間に含まれる厚さを有することができ、厚さは、前記第1の平面に垂直な第3の方向に延在する。
【0028】
逆推力装置の第3の態様では、多孔質界面の多孔質材料の層は、ウェブまたは発泡体またはセル状構造を有する材料を含むことができる。
【0029】
逆推力装置の第4の態様では、装置はまた、第1の平面内の穿孔壁の周囲において、装置が第1の位置にあるときに穿孔壁とカスケードとの間のハウジング内に配置された封止フレームを備えることができる。
【0030】
封止フレームは、スパンを形成する接触面を画定する。このスパンは、装置の空気力学的封止を保証し、したがってターボ機械の性能を損なういかなる漏れも回避することを可能にする。
【0031】
逆推力装置の第5の態様では、第1の方向において2つの第1の仕切を隔てる距離および第2の方向において2つの第2の仕切を隔てる距離は、それぞれ、前記キャビティによって処理される音波の周波数の関数として定義されることができる。
【0032】
したがって、逆推力装置カスケードは、逆推力装置が取り付けられるターボ機械によって放射される音波の周波数に、特にターボ機械のファンと整流器ベーン段とによって形成される対によって放射される音波の周波数に対してキャビティを調整するように寸法決めされることができる。
【0033】
この目的のために、以下の関係が使用され、これは、従来のヘルムホルツ共振器の寸法決めに有効である。
【0034】
【数1】
【0035】
式中、Fはヘルツ単位の同調周波数、Cはメートル毎秒単位の音速、Sは平方メートル単位のネック部の断面積、Vはメートル単位の共振キャビティの容積、l’はネック部の補正された長さであり、ネック部は、キャビティに面する穿孔壁のオリフィスによって形成される。ネック部l’の補正された長さは、穿孔壁がチャネル補正dによって延在する平面に垂直な方向におけるネック部lの幾何学的長さの合計に基づいて計算され、ここで、並置された共振器の場合、以下のとおりである。
【0036】
【数2】
rはオリフィスの半径であり、sは穿孔のレベルである。
【0037】
単純な共振器型動作の場合、容積Vは、逆推力装置カスケードの構造によって形成されたキャビティの容積に対応する。
【0038】
逆推力装置の第6の態様では、カスケードの第1の仕切は、10mm~300mmの間に含まれる高さを有することができる。
【0039】
逆推力装置の第7の態様では、第1の仕切は、それらが受ける負荷に耐えるのに十分な厚さであるが、カスケード内の質量およびヘッド損失を最小限に抑えるために可能な限り薄いように、0.5~5mmの間に含まれる厚さを含むことができる。第1の仕切の厚さは、第2の仕切の所与の点において、第2の仕切のこの点における表面の接線に垂直に測定される。
【0040】
逆推力装置の第8の態様では、ケーシングはまた、音響反射壁を備え、音響反射壁は、前記第1の平面に直交する第3の方向に移動可能であり、且つ装置が第1の位置にあるときに外壁とカスケードとの間において第1の平面に平行に配置され、外壁は、装置がターボ機械に取り付けられたときにターボ機械のナセルと接触するように意図される。
【0041】
音響反射壁は、共振キャビティとしてのキャビティの動作を保証することを可能にする。
【0042】
逆推力装置の第9の態様では、音響反射壁は、音波を反射するのに十分な慣性を有するように、2mmを超える第3の方向の厚さを有することができる。
【0043】
逆推力装置の第10の態様では、ケーシングは弾性手段を備えることができ、弾性手段は、外壁と音響反射壁との間に取り付けられ且つ前記音響反射壁をカスケードに向かって押すように構成される。
【0044】
装置が第1の位置にあるときのカスケードに対する音響反射壁の圧力保持は、カスケード、穿孔壁および音響反射壁によって形成された共振キャビティの良好な音響封止を保証することを可能にする。
【0045】
逆推力装置の第11の態様では、音響反射壁は、カスケードの全てのキャビティを覆い、したがって装置が第1の位置にあるときに音響処理を最大にするように、前記第1の平面内のカスケードの寸法に少なくとも等しい寸法を有する。
【0046】
逆推力装置の第12の態様では、ケーシングは、装置が第2の位置にあるときに音響反射壁をカスケードから係合解除するように構成されたアクチュエータを備えることができる。
【0047】
逆推力装置の作動中に音響反射壁をカスケードから係合解除するためのアクチュエータの使用は、第1の位置から第2の位置に通過するように、または逆に、逆推力装置、したがって前記装置を備えるターボ機械のコンパクトさを最適化することを可能にする。
【0048】
アクチュエータは、音響反射壁の軸線方向端部に方位角方向に分布されて並進または回転して動作する、互いに相補的な少なくとも2つの装置を備えることができる。逆推力装置がターボ機械に取り付けられると、アクチュエータは、ナセルの並進システムと共有されることができる。
【0049】
逆推力装置の第13の態様では、音響反射壁は、少なくとも1つの可撓性材料層を備えることができる。
【0050】
可撓性材料はポリマーとすることができる。可撓性材料の音響反射壁の製造は、逆推力装置カスケードとのその界面における良好な封止を確実にすることを可能にする。
【0051】
逆推力装置の第14の態様では、その音響反射壁は、少なくとも2つの異なる材料の複数の層の積層体を含むことができる。
【0052】
音響反射壁を製造するために場合によっては異なる材料の層の積層体を使用することは、例えば全体的な剛性、またはカスケードとの接触における界面の可撓性に関する異なる機能を達成して封止を改善するための有用な特性の異なる組み合わせを得ることを可能にする。
【0053】
逆推力装置の第15の態様では、音響反射壁は、単一部品で作製されることができる。
【0054】
単一部品の音響反射壁の利点は、音響反射壁とカスケードとの間の位置合わせを管理する必要がないため、実装の単純さにある。
【0055】
逆推力装置の第16の態様では、音響反射壁は、少なくとも2つの部品にセグメント化されることができる。
【0056】
複数の部品にセグメント化された音響反射壁の利点は、音響反射壁を構成する材料の剛性にいかなる制限もない。
【0057】
逆推力装置の第17の態様では、摺動接続を有するカスケード型逆推力を備えたターボ機械では、カスケードが移動可能であり、ケーシングが固定されて逆推力装置を使用することができ、または固定されたカスケード逆推力器を備えたターボ機械では、カスケードが固定されることができ、ケーシングが移動可能であり、逆推力装置を使用することができる。
【0058】
本発明の別の目的では、航空機に取り付けられるように意図されたターボ機械であって、ターボ機械が、軸線方向および半径方向を画定する軸対称ナセルを備え、ナセルが、半径方向の厚さを含み、ハウジングがカスケード型逆推力装置のカスケードを受け入れるためにその厚さにおいて軸線方向に延在する、ターボ機械が提案される。
【0059】
本発明のこの目的の一般的な特徴によれば、ターボ機械は、上記定義されたカスケード型逆推力装置を備えることができ、カスケードは、逆推力が必要とされない場合、ターボ機械のナセルの対応するハウジング内に配置される。
【0060】
本発明の別の目的では、上記定義された少なくとも1つのターボ機械を備える航空機が提案される。
【0061】
本発明は、添付の図面を参照して、限定ではなく、示唆として、以下に行われるものを読むと、よりよく理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0062】
図1A】既に説明された図1Aは、逆推力装置が非作動の位置における、従来技術の第1の公知の実施形態にかかるターボ機械の長手方向平面における概略断面図を示している。
図1B】既に説明された図1Bは、逆推力装置が作動される位置における、従来技術の第1の公知の実施形態にかかるターボ機械の長手方向平面における概略断面図を示している。
図2A】既に説明された図2Aは、逆推力装置が非作動の位置における、従来技術の第2の公知の実施形態にかかるターボ機械の長手方向平面における概略断面図を示している。
図2B】既に説明された図2Bは、逆推力装置が作動される位置における、従来技術の第2の公知の実施形態にかかるターボ機械の長手方向平面における概略断面図を示している。
図3図3は、本発明の第1の実施形態にかかる、逆推力装置が非作動の位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図4図4は、本発明の第1の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図5図5は、図3および図4の逆推力装置のカスケードの軸線方向および周方向を含む平面における断面図を概略的に示している。
図6図6は、図3および図4の逆推力装置の穿孔壁の半径方向における正面図を概略的に示している。
図7図7は、本発明の第2の実施形態にかかる、逆推力装置が非作動の位置における逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図8図8は、本発明の第2の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図9図9は、本発明の第3の実施形態にかかる、逆推力装置が非作動の位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図10図10は、本発明の第2の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図11図11は、本発明の第4の実施形態にかかる、逆推力装置が非作動の位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
図12図12は、本発明の第4の実施形態にかかる、逆推力装置が作動される位置におけるカスケード型逆推力装置の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図を示している。
【発明を実施するための形態】
【0063】
図3および図4には、それぞれ逆推力装置が非作動の位置および逆推力装置が作動される位置における、本発明の第1の実施形態にかかる航空機のターボ機械に取り付けられたカスケード型逆推力装置の、軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図が示されている。
【0064】
図3および図4において、ターボ機械1は、図2Aおよび図2Bに記載の動作にしたがって動作することができる逆推力装置70を備える。ターボ機械1は、軸線方向DA、半径方向DR、および周方向DCを画定する軸線Xの周りに軸対称性を有するナセル2を備える。
【0065】
逆推力装置70は、カスケードリングを形成するように組み立てられた複数のカスケード80を備える。リングは、円筒形基部または多角形基部を有することができ、カスケード80は、ターボ機械の軸線方向DAおよび周方向DCを含む曲面、または軸線方向DAおよび周方向DCに接する方向を含む直線平面のいずれかにそれぞれ延在している。
【0066】
図示の実施形態では、カスケード80は、説明およびラベルを容易にするために湾曲しており、軸線方向DAおよび周方向DCを含む、ここでは第1の平面と呼ばれる湾曲平面内に主に延在している。
【0067】
第1の平面に平行な断面におけるカスケード80の断面図である図5に示すように、各カスケード80は、内部において第1の仕切82を周方向DCに延在させ、第1の横仕切83を軸線方向DAに延在させるフレーム81を備える。フレーム81、第1の仕切82、および第1の横仕切83は、10mm~300mmの間に含まれる、半径方向DRの高さを有する。
【0068】
第1の仕切82の厚さは、それらが受ける負荷に耐えるのに十分な厚さであるが、カスケード内の質量およびヘッド損失を最小限に抑えるために可能な限り薄くなるように、0.5mm~5mmの間に含まれる。
【0069】
第1の仕切82は、逆推力装置が作動されたときに推力を反転させるために、ガス流Fをナセル2の外側およびターボ機械1の上流に配向するように意図された方位角仕切である。第1の横仕切83は、逆推力装置が非作動であるときに、ターボ機械によって生成される音波を吸収するために、第1の仕切82と共に、第1のキャビティ84を画定するように意図された軸線方向仕切である。
【0070】
互いに隣接する2つの第1の横仕切83を隔てる周方向DCの距離は、2つの第1の仕切82を隔てる軸線方向DAの距離に等しく、したがって、キャビティ内の平面波の音響伝播に有利に働く。
【0071】
カスケード80は、装置70が取り付けられるターボ機械1の軸線方向DAにおいて、第1の軸線方向端部810および第2の軸線方向端部812を備える。図3および図4に示すように、カスケード80の第2の軸線方向端部812は、ナセル2の下流部分22に固定されており、ナセル2の上流部分21に対して移動可能である。
【0072】
ターボ機械1のナセル2の上流部分21に収容された逆推力装置70は、パネルリングを形成するように組み立てられた複数のケーシング71を備える。リングは、円筒形基部または多角形基部を有することができ、ケーシング71は、ターボ機械1の軸線方向DAおよび周方向DCを含む曲面、または軸線方向DAおよび周方向DCに接する方向を含む直線平面のいずれかにそれぞれ延在している。
【0073】
図示の実施形態では、ケーシング71は、説明およびラベルを容易にするために湾曲しており、軸線方向DAおよび周方向DCを含む湾曲平面内に主に延在している。
【0074】
各ケーシング71は、回転軸線から離れる半径方向DRにおいて連続的に、穿孔壁72と、多孔質界面77と、カスケード80を収容するように構成されたハウジング75と、音響反射壁73とを含む。多孔質界面77は、ケーシング71の内側の穿孔壁72に接着され、ハウジング75は、多孔質界面77と音響反射壁73との間において半径方向DRに延在している。
【0075】
ケーシング71はまた、ハウジング75と連通する開口部76を備え、開口部は、ナセル2の下流部分22に面するケーシング71の軸線方向端部において半径方向DRおよび周方向DCを含む平面内に延在している。
【0076】
逆推力装置が非作動であるとき、逆推力装置70は、カスケード80がケーシング71のハウジング75内に配置される図3に示す第1の位置にある。
【0077】
逆推力装置が作動されると、逆推力装置70は、カスケード80がナセルの下流部分22と並進してケーシング71から軸線方向DAに引き出され、ハウジング75を少なくとも部分的に自由にする、図4に示す第2の位置にある。
【0078】
図3および図4の逆推力装置70の穿孔壁72の半径方向DRにおける正面図である図6に示すように、穿孔壁は、複数のオリフィス722と、オリフィスを有しない第1の壁ストリップ724と、オリフィスを有さず且つ第1の壁ストリップ724に直交する第2の壁ストリップ726とを含む。
【0079】
装置70がターボ機械1に取り付けられると、第1の壁ストリップ724は、周方向DCに延在し、第2の壁ストリップ726は、軸線方向DAに延在する。
【0080】
したがって、壁ストリップ724および726は、オリフィス723のマトリックス群を分離し、各群728は、カスケード80の単一のキャビティ84と流体連通している。
【0081】
穿孔壁72は、装置70が第1の位置にあるときに、第1の壁ストリップ724が第1の仕切82と位置合わせされ、第2の壁ストリップ726が第2の仕切83と位置合わせされ、したがって、キャビティ84の封止を最適化するように構成されている。
【0082】
さらに、多孔質界面77は、多孔質材料のいくつかの層から形成され、並進中のハウジング75内のカスケード80の摺動をさらに容易にしながら、より良好な封止を確実にすることによって移動可能なカスケード80と穿孔壁72との間の界面を改善するために、0.2mm~2mmの間に含まれる半径方向DRにおける厚さEを有する。
【0083】
したがって、逆推力装置70が図3に示すようにその第1の位置にあるとき、第1のキャビティ84は、音響反射壁73ならびに第1および第2の仕切82および83に起因して、共振キャビティまたは音響処理セルを形成する。
【0084】
さらに、図5に示すように、ケーシング71は、軸線方向DAおよび周方向DCを含む平面内に矩形形状を有する封止スパン88を備えることができる。封止スパン88は、逆推力装置カスケード80と多孔質界面77との間の多孔質界面77に取り付けられている。封止スパン88は、装置70が第一の位置にあるときにカスケード80の第1および第2の仕切82および83に沿って延在し、多孔質界面77との封止接続部を形成するように多孔質界面77上に形成されている。
【0085】
それぞれ逆推力装置が非作動の位置および逆推力装置が作動される位置における、本発明の第2の実施形態にかかる航空機のターボ機械に取り付けられたカスケード型逆推力装置70の軸線方向および半径方向を含む平面における概略断面図が図7および図8に示されている。
【0086】
図7および図8において、ターボ機械1は、このとき図1Aおよび図1Bに記載の動作にしたがって動作することができる逆推力装置70を備える。
【0087】
第2の実施形態は、カスケード80がターボ機械1のナセル2の上流部分21に固定され、ケーシング71がナセル2の下流部分22に作製される点で、第1の実施形態とは異なる。
【0088】
ケーシング71は、ハウジング75と連通する開口部76を備え、開口部は、ナセル2の上流部分21に面するケーシング71の軸線方向端部において半径方向DRおよび周方向DCを含む平面内に延在している。
【0089】
逆推力装置が非作動であるとき、逆推力装置70は、カスケード80がケーシング71のハウジング75内に配置される図7に示す第1の位置にある。
【0090】
逆推力装置が作動されると、逆推力装置70は、カスケード80がケーシング71から軸線方向DAに引き出され、ケーシング71がナセル2の下流部分21と並進して、ハウジング75を少なくとも部分的に自由にする、図8に示す第2の位置にある。
【0091】
それぞれ逆推力装置が非作動の位置および逆推力装置が作動される位置における、本発明の第3の実施形態にかかる航空機のターボ機械1に取り付けられたカスケード型逆推力装置の軸線方向DAおよび半径方向DRを含む平面における概略断面図が図9および図10に示されている。
【0092】
第1の実施形態に関して、図9および図10に示す第3の実施形態では、ターボ機械1は、図2Aおよび図2Bに記載の動作にしたがって動作することができる逆推力装置装置70を備える。ターボ機械1は、軸線方向DA、半径方向DR、および周方向DCを画定する軸線Xの周りに軸対称性を有するナセル2を備える。
【0093】
第3の実施形態は、ケーシング71がまた、外壁712と、音響反射壁73と協働する圧縮ばね78と、装置70がその第1の位置から外れたときに音響反射壁73をカスケード80から係合解除するように構成されたアクチュエータ79とを備える点で、第1の実施形態とは異なる。
【0094】
ケーシング71の外壁712は、ケーシング71の半径方向外側の端部に配置されている。圧縮ばね78は、外壁712と音響反射壁73との間に取り付けられ、装置70が第1の位置にあるときに音響反射壁73の全体をカスケード80に強制的に押し付ける半径方向内側の力を及ぼし、したがってより良好な封止を確実にし、音響処理を最適化する。「内側」および「外側」という用語は、ここでは半径方向DRに関して使用される。
【0095】
アクチュエータ79は、カスケード80の第1および第2の仕切82および83を越えて半径方向外側に延在するように、カスケード80のフレーム81の軸線方向端部810から半径方向に突出するカスケード80の第1の軸線方向端部810上の第1の傾斜面792を備える。
【0096】
音響反射壁73は、第1の軸線方向端部732と、第1の軸線方向端部732の反対側の第2の軸線方向端部734とを備える。第1の軸線方向端部732は、ナセル2の上流部分21に面する一方で、第2の軸線方向端部734は、ナセル2の下流部分22に面する。換言すれば、第1の軸線方向端部732は、音響反射壁73の上流端部に対応し、第2の軸線方向端部734は、下流端部に対応する。
【0097】
アクチュエータ79は、音響反射壁73の第2の軸線方向端部732に第2の傾斜面793を備える。第2の傾斜面793は、装置70が第1の位置にあるときに第1の傾斜面792と協働して、音響反射壁73がカスケード80に対して半径方向DRに支持されることを可能にする。第1の傾斜面792および第2の傾斜面793は、互いに平行であり、それぞれ第1の平面、すなわち軸線方向DAおよび周方向DCを含む平面に対して45°の角度を形成する。
【0098】
第2の傾斜面793はまた、第1の傾斜面793と協働して、装置70がその第1の位置から引き出されるときにカスケード80がハウジング75から引き出されることを可能にする。アクチュエータ79は、カスケード80の全体、より具体的には第1の傾斜面792が音響反射壁73の下方を通過することができ、したがってハウジング75からのカスケード80の引き出しを可能にするまで、ばね78の圧縮および音響反射壁73の半径方向DRにおける外側への移動を引き起こす。
【0099】
それぞれ逆推力装置が非作動の位置および逆推力装置が作動される位置における、本発明の第4の実施形態にかかる航空機のターボ機械1に取り付けられたカスケード型逆推力装置の軸線方向DAおよび半径方向DRを含む平面における概略断面図が図11および図12に示されている。
【0100】
第4の実施形態は、カスケード80がターボ機械1のナセル2の上流部分21に固定され、ケーシング71がナセル2の下流部分22に作製されている点で、図9および図10に示す第3の実施形態とは異なる。
【0101】
第4の実施形態では、下流端にアクチュエータ79が位置されている。第1の傾斜面792は、カスケード80のフレーム81の第2の軸線方向端部812にあり、アクチュエータ79の第2の傾斜面793は、第2の軸線方向端部734に配置されている。
【0102】
したがって、本発明は、ナセルの外側のターボ機械の上流の空気流を再配向することと、逆推力装置が作動されたときにカスケードを通るヘッド損失を最小にすることと、逆推力装置が非作動のときに吸音の有効性を最大にすることとの双方を可能にするカスケード型逆推力装置を提供する。
図1A
図1B
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12