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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】冷却構造体及びそれを含む喫煙物品
(51)【国際特許分類】
   A24D 3/17 20200101AFI20240419BHJP
   A24D 1/20 20200101ALI20240419BHJP
   A24F 40/20 20200101ALI20240419BHJP
【FI】
A24D3/17
A24D1/20
A24F40/20
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2021572950
(86)(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-18
(86)【国際出願番号】 KR2020017645
(87)【国際公開番号】W WO2021167213
(87)【国際公開日】2021-08-26
【審査請求日】2021-12-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0019329
(32)【優先日】2020-02-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】519217032
【氏名又は名称】ケーティー アンド ジー コーポレイション
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソ、チョン キョ
(72)【発明者】
【氏名】イ、チェ ヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ハン、ヨン リム
【審査官】杉浦 貴之
(56)【参考文献】
【文献】特表2019-523639(JP,A)
【文献】特表2015-503335(JP,A)
【文献】国際公開第2019/105750(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24D 3/17
A24D 1/20
A24F 40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
喫煙物質部と、
紙材で構成され、チューブ状を有し、前記喫煙物質部の下流に位置する冷却構造体と、
前記喫煙物質部と前記冷却構造体との間に配列され、香味物質に加香処理されたチューブ状を有する支持構造体と、
前記冷却構造体の下流に位置するマウスピース部と、
前記喫煙物質部、前記冷却構造体及び前記マウスピース部を覆い包むラッパと、を含み、
前記冷却構造体は、
チューブ状及び紙材の本体部と、
前記本体部の外部と内部とが流体連通されるように、前記本体部の円周方向に配列される複数の穿孔と、を備え、
前記本体部の内部は中空であり、前記冷却構造体の内径は、前記支持構造体の内径よりも大径であり、
前記本体部は、内層紙螺旋層、中間紙螺旋層及び外層紙螺旋層が順次に積層されて形成され、
前記内層紙螺旋層は、坪量が50gsm~70gsmであり、厚さが0.05mm~0.10mmである紙で形成され、前記中間紙螺旋層は、坪量が100gsm~160gsmであり、厚さが0.1mm~0.2mmである紙で形成され、前記外層紙螺旋層は、坪量が100gsm~160gsmであり、厚さが0.1mm~0.2mmである紙で形成される、冷却構造体を含む喫煙物品。
【請求項2】
前記支持構造体は、酢酸セルロースで構成される、請求項1に記載の冷却構造体を含む喫煙物品。
【請求項3】
前記支持構造体の軸方向長さは、8mm~12mmであり、前記冷却構造体の軸方向長さは、12mm~16mmであり、前記マウスピース部の軸方向長さは、8mm~12mmであることを特徴とする、請求項1に記載の冷却構造体を含む喫煙物品。
【請求項4】
前記複数の穿孔は、前記冷却構造体の下流末端から上流方向に5mm~10mm離隔され、前記喫煙物品の下流末端から前記上流方向に15mm~25mm離隔された位置に形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の冷却構造体を含む喫煙物品。
【請求項5】
前記支持構造体は、1mg~13mgの前記香味物質を含む、請求項1に記載の冷却構造体を含む喫煙物品。
【請求項6】
前記冷却構造体の空気希釈率は、0%~50%であることを特徴とする、請求項1に記載の冷却構造体を含む喫煙物品。
【請求項7】
香味物質に加香処理されたチューブ状を有する支持構造体の下流に位置するが、喫煙物品においてマウスピース部の上流に位置する冷却構造体であって、
チューブ状及び紙材の本体部と、
前記本体部の外部と内部とが流体連通されるように、前記本体部の円周方向に配列される複数の穿孔と、を含み、
前記本体部の内部は中空であり、前記冷却構造体の内径は、前記支持構造体の内径よりも大径であり、
前記本体部は、内層紙螺旋層、中間紙螺旋層及び外層紙螺旋層が順次に積層されて形成され、
前記内層紙螺旋層は、坪量が50gsm~70gsmであり、厚さが0.05mm~0.10mmである紙で形成され、前記中間紙螺旋層は、坪量が100gsm~160gsmであり、厚さが0.1mm~0.2mmである紙で形成され、前記外層紙螺旋層は、坪量が100gsm~160gsmであり、厚さが0.1mm~0.2mmである紙で形成される、冷却構造体。
【請求項8】
前記冷却構造体の内径は、前記冷却構造体の外径対比で90%~95%であるが、前記冷却構造体の真円度は、90%~99%であることを特徴とする、請求項7に記載の冷却構造体。
【請求項9】
前記冷却構造体の全表面積は、500mm~700mmであり、坪量は、100gsm~220gsmであることを特徴とする、請求項7に記載の冷却構造体。
【請求項10】
前記内層紙螺旋層と前記中間紙螺旋層は、接着剤によって相互付着され、
前記中間紙螺旋層と前記外層紙螺旋層は、前記接着剤によって相互付着され、
前記接着剤は、固形分が30重量%~60重量%含有され、粘度が12,000cps~18,000cpsであり、pHが3~6であるエチレン酢酸ビニル(Ethylene Vinyl Acetate, EVA)であることを特徴とする、請求項に記載の冷却構造体。
【請求項11】
前記内層紙螺旋層を構成する第1内層紙面の下流末端と前記第1内層紙面に隣接した第2内層紙面の上流末端は、0mm~2mm離隔され、
前記中間紙螺旋層を構成する第1中間紙面の下流末端と前記第1中間紙面に隣接した第2中間紙面の上流末端は、0mm~2mm離隔され、
前記外層紙螺旋層を構成する第1外層紙面の下流末端と前記第1外層紙面に隣接した第2外層紙面の上流末端は、0mm~2mmオーバーラップされることを特徴とする、請求項に記載の冷却構造体。
【請求項12】
前記第1内層紙面の下流末端、前記第1中間紙面の下流末端、及び前記第1外層紙面の下流末端を定義する線と前記喫煙物品の軸線とがなす角度は、30゜~60゜であることを特徴とする、請求項11に記載の冷却構造体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷却構造体及びそれを含む喫煙物品に係り、さらに詳細には、喫煙物質部とマウスピース部との間に配置される加香処理されたチューブ及び紙管冷却構造体を通じてタバコ固有の味と香味とを改善させうる冷却構造体及びそれを含む喫煙物品に関する。
【背景技術】
【0002】
シガレットから提供されるエアロゾルに香味を付け加える技術についての研究が進められている。例えば、香料を噴射したTJNS(Transfer Jet Nozzle System)フィルタなどがシガレット製造に活用されている。
【0003】
一方、喫煙時の香味増進のために媒質部及び/または、フィルタ部など、シガレットをなす各構成要素に加香液を添加しても、製造工程上、加香液投入量に限界が存在し、経時的に、フィルタ内に適用された加香液(例えば、メントール)が隣接した無加香構造体に転移され、喫煙時にメントール移行量が急減する問題が発生し、また、冷却構造体またはそれを含むシガレットの設計がただメントール移行量の増加に集中されれば、酢酸セルロースフィルタなどの熱変形がもたされ、霧化量またはニコチン移行量が急減する問題が発生してしまう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、前記問題点を解決するために案出されたものであって、本発明の目的は、喫煙中、メントール移行量、ニコチン移行量及び霧化量の増大を通じて喫味感を極大化させうる冷却構造体及びそれを含む喫煙物品を提供することである。
【0005】
本発明の技術的課題は、以上で言及した技術的課題に制限されず、言及されていないさらに他の技術的課題は、下記記載から本発明が属する技術分野の通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのような課題を解決するための本発明の一部実施例によれば、喫煙物質部;紙材で構成され、チューブ状を有し、前記喫煙物質部の下流に位置する冷却構造体;前記冷却構造体の下流に位置するマウスピース部;及び前記喫煙物質部、前記冷却構造体及び前記マウスピース部を覆い包むラッパ;を含み、前記冷却構造体は、チューブ状及び紙材の本体部と、前記本体部の外部と内部とが流体連通されるように、前記本体部の円周方向に配列される複数の穿孔を含む喫煙物品が提供される。
【0007】
本発明の一部実施例によれば、喫煙物品に備えられた喫煙物質部の下流に位置するが、前記喫煙物品に備えられたマウスピース部の上流に位置する冷却構造体であって、内部に中空が形成されたチューブ状及び紙材の本体部;及び前記本体部の外部と内部とが流体連通されるように、前記本体部の円周方向に配列される複数の穿孔;を含む冷却構造体が提供される。
【発明の効果】
【0008】
本発明の実施例による喫煙物品の冷却構造体は、後続工程上で要求される冷却構造体の剛性及び気密性を確保すると共に、紙管の外部汚染及び螺旋層離脱を防止することができ、また構造体の均一性及び平坦性も確保することができる。
【0009】
喫煙物品は、シガレットの製造後、喫煙までの保管過程でメントールなどの香消失を最小化し、シガレットの喫煙時、主流煙冷却効果を極大化してマウスピースフィルタの熱変形を減少させ、同量のメントール香液が添加された他のシガレット対比で、霧化量、ニコチン移行量及びメントール移行量をいずれも効率よく増大させ、これにより、喫煙者の満足度も高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】エアロゾル生成装置にシガレットが挿入された例を示す図面である。
図2】エアロゾル生成装置にシガレットが挿入された例を示す図面である。
図3】エアロゾル生成装置にシガレットが挿入された例を示す図面である。
図4】一実施例による冷却構造体を含む喫煙物品の概略的な構成を示す図面である。
図5】一実施例による喫煙物品の中心軸方向断面図である。
図6】一実施例による冷却構造体の層構造を説明するための図面である。
図7】一実施例による冷却構造体の層構造を説明するための図面である。
図8】一実施例による冷却構造体の層構造を説明するための図面である。
図9】一実施例による喫煙物品の各パフに対する煙内ニコチン含量を示すグラフである。
図10】一実施例による喫煙物品の各パフに対する煙内グリセリン含量を示すグラフである。
図11】一実施例による喫煙物品の各パフに対する煙内メントール含量を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
実施例によれば、喫煙物品は、喫煙物質部、紙材で構成され、チューブ状を有し、前記喫煙物質部の下流に位置する冷却構造体、前記冷却構造体の下流に位置するマウスピース部、及び前記喫煙物質部、前記冷却構造体及び前記マウスピース部を覆い包むラッパを含み、前記冷却構造体は、前記本体部の外部と内部とが流体連通されるように、前記冷却構造体の円周方向に配列される複数の穿孔を含むことができる。前記冷却構造体を含む喫煙物品は、前記喫煙物質部と前記冷却構造体との間に配列され、酢酸セルロースで構成され、香味物質に加香処理されたチューブ状を有する支持構造体をさらに含むことができる。前記冷却構造体の内径は、前記支持構造体の内径よりも大径であることを特徴とする。
【0012】
前記冷却構造体の内径は、前記支持構造体の内径よりも1.5倍~3倍大きいことを特徴とする。
【0013】
前記支持構造体の軸方向長さは、8mm~12mmであり、前記冷却構造体の軸方向長さは、12mm~16mmであり、前記マウスピース部の軸方向長さは、8mm~12mmであることを特徴とする。前記複数の穿孔は、前記冷却構造体の下流末端から上流方向に5mm~10mm離隔され、前記喫煙物品の下流末端から上流方向に15mm~25mm離隔された位置に形成されたことを特徴とする。
【0014】
前記支持構造体は、1mg~13mgの香味物質を含む。
【0015】
前記冷却構造体の空気希釈率は、0%~50%であることを特徴とする。
【0016】
実施例に係わる冷却構造体は、喫煙物品に備えられた喫煙物質部の下流に位置するが、前記喫煙物品に備えられたマウスピース部の上流に位置し、チューブ状及び紙材の本体部、及び前記本体部の外部と内部とが流体連通されるように、前記本体部の円周方向に配列される複数の穿孔を含むことができる。前記冷却構造体の内径は、前記冷却構造体の外径対比で90%~95%であるが、前記冷却構造体の真円度は、90%~99%であることを特徴とする。
【0017】
前記冷却構造体の全表面積は、500mm~700mmであり、坪量は、100gsm~220gsmであることを特徴とする。
【0018】
前記本体部は、内層紙螺旋層、中間紙螺旋層及び外層紙螺旋層が順次に積層されて形成されることを特徴とする。
【0019】
前記内層紙螺旋層は、坪量が50gsm~70gsmであり、厚さが0.05mm~0.10mmである紙で形成され、前記中間紙螺旋層は、坪量が100gsm~160gsmであり、厚さが0.1mm~0.2mmである紙で形成され、前記外層紙螺旋層は、坪量が100gsm~160gsmであり、厚さが0.1mm~0.2mmである紙によって形成されることを特徴とする。
【0020】
前記内層紙螺旋層と前記中間紙螺旋層は、接着剤によって相互付着され、前記中間紙螺旋層と前記外層紙螺旋層は、前記接着剤によって相互付着され、前記接着剤は、固形分が30重量%~60重量%含有され、粘度が12,000cps~18,000cpsであり、pHが3~6であるエチレン酢酸ビニル(Ethylene Vinyl Acetate, EVA)であることを特徴とする。
【0021】
前記内層紙螺旋層を構成する第1内層紙面の下流末端と前記第1内層紙面に隣接した第2内層紙面の上流末端は、0mm~2mm離隔され、前記中間紙螺旋層を構成する第1中間紙面の下流末端と前記第1中間紙面に隣接した第2中間紙面の上流末端は、0mm~2mm離隔され、前記外層紙螺旋層を構成する第1外層紙面の下流末端と前記第1外層紙面に隣接した第2外層紙面の上流末端は、0mm~2mmオーバーラップされることを特徴とする。
【0022】
前記第1内層紙面の下流末端、前記第1中間紙面の下流末端及び前記第1外層紙面の下流末端を定義する線と前記喫煙物品の軸線がなす角度は、30゜~60゜であることを特徴とする。
【0023】
前記第1中間紙面の下流末端は、前記第1内層紙面の下流末端から前記喫煙物品の軸方向に5mm~15mmシフトされ、前記第1外層紙面の下流末端は、前記第1中間紙面の下流末端から前記喫煙物品の軸方向に5mm~15mmシフトされることを特徴とする。
【0024】
以下、添付された図面を参照して望ましい実施例を詳細に説明する。利点及び特徴、そして、それらを達成する方法は、添付される図面と共に詳細に後述されている実施例を参照すれば、明確になるであろう。しかし、本発明は、以下で掲示される実施例に限定されるものではなく、互いに異なる多様な形態にも具現され、ただ本実施例は、本発明の掲示を完全にし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範疇を完全に知らせるために提供されるものであり、本発明は、請求項の範疇によってのみ定義される。明細書全体にわたって同一参照符号は、同一構成要素を指称する。
【0025】
他の定義がなければ、本明細書で使用される全ての用語(技術及び科学的用語を含む)は、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者に共通して理解されうる意味としても使用される。また、一般に使用される既定義の用語は、明白に取り立てて定義されていない限り、理想的にまたは過度に解釈されてはならない。
【0026】
また、本明細書において単数形は、文言で特に言及しない限り、複数形も含まれうる。明細書で使用される「含む(comprises)」及び/または「含む(comprising)」は、言及された構成要素、段階、動作及び/または素子は、1つ以上の他の構成要素、段階、動作及び/または素子の存在または追加を排除しない。
【0027】
本明細書で使用される「第1」または「第2」のように序数を含む用語は、多様な構成要素を説明するのに使用することができるが、前記構成要素は、前記用語によって限定されてはならない。前記用語は、1つの構成要素を他の構成要素から区別する目的のみで使用される。
【0028】
ここで、使用されたように、要素のリストに先行する「~のうち、少なくとも1つ」のような表現は、要素の全体リストを修飾するものであり、そのリストの個別要素を修飾するものではない。例えば、「a、b、及びcのうち、少なくとも1つ」のような表現は、a単独、b単独、c単独、a及びb、a及びc、b及びc、またはa、b、及びcを含むものと理解されねばならない。
【0029】
ある要素や層が「上に」、「上部に」、「連結された」または「結合された」と言及されるとき、その要素や層は、他の要素や層に直接(または直ちに)上に、上部に、連結されて、または結合されていてもよく、または介入する要素または層が存在するように理解されうる。逆に、ある要素が他の要素または層に「直接上に」、「直接上部に」、「直接連結されて」または「直接結合されて」いると記載された場合、他の要素や層の介入がないということを意味する。明細書全般にわたって同じ参照符号は、同じ要素を意味する。
【0030】
明細書全体において「喫煙物品」は、シガレット、シガーのように、エアロゾルを発生させうる任意の類型の物品を意味することができる。喫煙物品は、エアロゾル発生物質またはエアロゾル形成基質を含むことができる。また、喫煙物品は、板状葉タバコ、刻みタバコ、再構成タバコなどタバコ原料に基づいた固体物質を含んでもよい。喫煙物質は、揮発性化合物を含んでもよい。
【0031】
また、明細書全体において「上流」または「上流方向」は、喫煙物品を吸煙するユーザの口部から遠ざかる方向を意味し、「下流」または「下流方向」は、喫煙物品を吸煙するユーザの口部に近づく方向を意味する。例えば、図1に図示された喫煙物品100において、喫煙物質部110は、フィルタ120、130、140の上流または、上流方向に位置する。
【0032】
図1ないし図3は、エアロゾル生成装置にシガレットが挿入された例を示す図面である。
【0033】
図1を参照すれば、エアロゾル生成装置1000は、バッテリ1100、制御部1200及びヒータ1300を含む。エアロゾル生成装置1000の内部空間には、シガレット2000が挿入されうる。一方、図2及び図3に図示されたように、エアロゾル生成装置1000は、蒸気化器1400をさらに含んでもよい。
【0034】
図1ないし図3に図示されたエアロゾル生成装置1000には、本実施例に係わる構成要素が図示されている。したがって、図1ないし図3に図示された構成要素以外に他の構成要素がエアロゾル生成装置1000にさらに含まれるということを、本実施例に係わる技術分野で通常の知識を有する者であれば、理解することができる。
【0035】
また、図2及び図3には、エアロゾル生成装置1000にヒータ1300が含まれていると図示されているが、実施例によってヒータ1300は省略されうる。
【0036】
図1には、バッテリ1100、制御部1200及びヒータ1300が一列に配置されていると図示されており、図2も、バッテリ1100、制御部1200、蒸気化器1400及びヒータ1300が一列に配置されていると図示されている。図3には、蒸気化器1400及びヒータ1300が並列に配置されていると図示されている。しかし、エアロゾル生成装置1000の内部構造は、図1ないし図3に図示されたものに限定されない。すなわち、エアロゾル生成装置1000の設計によって、バッテリ1100、制御部1200、ヒータ1300、及び蒸気化器1400の配置関係は変更されうる。
【0037】
シガレット2000がエアロゾル生成装置1000に挿入されれば、エアロゾル生成装置1000は、ヒータ1300及び/または蒸気化器1400を作動させ、シガレット2000及び/または蒸気化器1400からエアロゾルを発生させうる。ヒータ1300及び/または蒸気化器1400によって発生したエアロゾルは、シガレット2000を通過してユーザに伝達される。必要によって、シガレット2000がエアロゾル生成装置1000に挿入されていない場合にも、エアロゾル生成装置1000は、ヒータ1300を加熱することができる。
【0038】
バッテリ1100は、エアロゾル生成装置1000の動作に用いられる電力を供給する。例えば、バッテリ1100は、ヒータ1300または蒸気化器1400が加熱されるように電力を供給し、制御部1200の動作に必要な電力を供給することができる。また、バッテリ1100は、エアロゾル生成装置1000に設けられたディスプレイ、センサ、モータなど(図示せず)の動作に必要な電力を供給することができる。
【0039】
制御部1200は、エアロゾル生成装置1000の動作を全般的に制御することができる。具体的に、制御部1200は、バッテリ1100、ヒータ1300及び蒸気化器1400だけではなく、エアロゾル生成装置1000に含まれる他の構成の動作を制御することができる。また、制御部1200は、エアロゾル生成装置1000の構成それぞれの状態を確認し、エアロゾル生成装置1000が動作可能な状態であるか否かを判断することもできる。
【0040】
制御部1200は、少なくとも1つのプロセッサを含む。プロセッサは、多数の論理ゲートのアレイとしても具現され、汎用的なマイクロプロセッサと、該マイクロプロセッサで実行されうるプログラムが保存されたメモリの組合わせによっても具現される。また、他の形態のハードウェアによっても具現されることを、本実施例が属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、理解することができる。
【0041】
ヒータ1300は、バッテリ1100から供給された電力によって加熱されうる。例えば、シガレットがエアロゾル生成装置1000に挿入されれば、ヒータ1300は、シガレット2000の内側一部領域に挿入され、加熱されたヒータ1300は、シガレット2000内のエアロゾル生成物質の温度を上昇させうる。
【0042】
ヒータ1300は、電気抵抗性ヒータでもある。例えば、ヒータ1300は、導電性トラック(track)を含み、導電性トラックに電流が流れることにより、ヒータ1300が加熱されうる。しかし、ヒータ1300は、上述した例に限定されず、希望温度まで加熱可能なものであれば、制限なしに該当されうる。ここで、希望温度は、エアロゾル生成装置1000に予め設定されていても、ユーザによって所望の温度に設定されていてもよい。
【0043】
一方、他の例として、ヒータ1300は、誘導加熱式ヒータでもある。具体的に、ヒータ1300には、シガレット2000を誘導加熱方式で加熱するための導電性コイルを含み、シガレット2000は、誘導加熱式ヒータによって加熱されうるサセプタ(図示せず)を含んでもよい。
【0044】
例えば、ヒータ1300は、管状加熱要素、板状加熱要素、針状加熱要素または棒状加熱要素(図示せず)を含み、加熱要素の形状によってシガレット2000の内部または、外部を加熱することができる。
【0045】
また、エアロゾル生成装置1000には、ヒータ1300が複数個配置されうる。この際、複数個のヒータ1300は、シガレット2000の内部に挿入されるようにも配置され、シガレット2000の外部に配置されうる。また、複数個のヒータ1300のうち、一部は、シガレット2000の内部に挿入されるように配置され、残りは、シガレット2000の外部に配置されうる。また、ヒータ1300は、図1ないし図3に図示された形状に限定されず、多様な形状にも作製される。
【0046】
蒸気化器1400は、液状組成物を加熱してエアロゾルを生成し、生成されたエアロゾルは、シガレット2000を通過してユーザに伝達されうる。
【0047】
すなわち、蒸気化器1400によって生成されたエアロゾルは、エアロゾル生成装置1000の気流通路に沿って移動し、気流通路は、蒸気化器1400によって生成されたエアロゾルがシガレットを通過してユーザに伝達されるように構成されうる。
【0048】
例えば、蒸気化器1400は、液体保存部、液体伝達手段及び加熱要素を含むことができるが、それに限定されない。例えば、液体保存部、液体伝達手段及び加熱要素は、独立したモジュールとしてエアロゾル生成装置1000に含まれうる。
【0049】
液体保存部は、液状組成物を保存することができる。例えば、液状組成物は、揮発性タバコ香成分を含むタバコ含有物質を含む液体でもあり、非タバコ物質を含む液体でもある。液体保存部は、蒸気化器1400から脱着可能に作製され、蒸気化器1400と一体として作製されうる。
【0050】
例えば、液状組成物は、水、ソルベント、エタノール、植物抽出物、香料、香味剤、または、ビタミン混合物を含んでもよい。香料は、メントール、ペパーミント、スペアミントオイル、各種果物の香り成分などを含むが、それらに制限されるものではない。香味剤は、ユーザに多様な香味または、風味を提供する成分を含んでもよい。
【0051】
ビタミン混合物は、ビタミンA、ビタミンB、ビタミンC及びビタミンEのうち、少なくとも1つが混合されたものでもあるが、それらに制限されるものではない。また、液状組成物は、グリセリン及びプロピレングリコールのようなエアロゾル形成剤を含んでもよい。
【0052】
液体伝達手段は、液体保存部の液状組成物を加熱要素に伝達することができる。例えば、液体伝達手段は、綿繊維、セラミック繊維、ガラスファイバ、多孔性セラミックのような芯(wick)にもなるが、それに限定されない。
【0053】
加熱要素は、液体伝達手段によって伝達される液状組成物を加熱するための要素である。例えば、加熱要素は、金属熱線、金属熱板、セラミックヒータなどにもなるが、それらに限定されるものではない。また、加熱要素は、ニクロム線のような伝導性フィラメントで構成され、液体伝達手段に巻かれる構造によっても配置される。
【0054】
加熱要素は、電流供給によって加熱され、加熱要素と接触された液体組成物に熱を伝達し、液体組成物を加熱することができる。その結果、エアロゾルが生成されうる。
【0055】
例えば、蒸気化器1400は、カトマイザ(cartomizer)または霧化器(atomizer)とも称されるが、それらに限定されない。
【0056】
一方、エアロゾル生成装置1000は、バッテリ1100、制御部1200、ヒータ1300及び蒸気化器1400以外に汎用的な構成をさらに含んでもよい。例えば、エアロゾル生成装置1000は、視覚情報の出力が可能なディスプレイ及び/または触覚情報の出力のためのモータを含んでもよい。また、エアロゾル生成装置1000は、少なくとも1つのセンサ(例えば、パフ感知センサ、温度感知センサ、シガレット挿入感知センサなど)を含んでもよい。また、エアロゾル生成装置1000は、シガレット2000が挿入された状態でも、外部空気が流入されるか、内部気体が流出可能な構造によっても作製される。
【0057】
図1ないし図3には、図示されていないが、エアロゾル生成装置1000は、別途のクレードル(図示せず)と共にシステムを構成してもよい。例えば、クレードルは、エアロゾル生成装置1000のバッテリ1100の充電に用いられうる。または、クレードルとエアロゾル生成装置1000とが結合された状態でヒータ1300が加熱されうる。
【0058】
シガレット2000は、一般的な燃焼型シガレットと類似してもいる。例えば、シガレット2000は、エアロゾル生成物質を含む第1部分とフィルタなどを含む第2部分とに区分されうる。または、シガレット2000の第2部分にも、エアロゾル生成物質が含まれてもよい。例えば、顆粒またはカプセルの形態に作られたエアロゾル生成物質が第2部分に挿入されうる。
【0059】
エアロゾル生成装置1000の内部には、シガレット2000の第1部分全体が挿入され、シガレット2000の第2部分は、外部に露出されうる。または、エアロゾル生成装置1000の内部に第1部分の一部のみ挿入され、また第1部分全体及び第2部分の一部が挿入されうる。ユーザは、第2部分を口にした状態でエアロゾルを吸い込むことができる。この際、エアロゾルは、外部空気が第1部分を通過することで生成され、生成されたエアロゾルは、第2部分を通過してユーザの口に伝達されうる。
【0060】
一例として、外部空気は、エアロゾル生成装置1000に形成された少なくとも1つの空気通路(図示せず)を通じて流入されうる。例えば、エアロゾル生成装置1000に形成された空気通路の開閉及び/または空気通路の大きさは、ユーザによって調節されうる。これにより、霧化量、喫煙感などがユーザによって調節されうる。他の例として、外部空気は、シガレット2000の表面に形成された少なくとも1つの孔(図示せず)を通じてシガレット2000の内部に流入されうる。
【0061】
シガレット2000は、図4及び図5に図示された喫煙物品100のような構造を有することができるが、それに制限されるものではない。
【0062】
本明細書において、実施例による冷却構造体130は、エアロゾル生成装置1000(すなわち、電子タバコ機器)と共に使用される喫煙物品100に適用されるものと推定されうる。但し、それに限定されず、実施例による冷却構造体130が燃焼型シガレットに適用されるというは言うまでもない。
【0063】
図4は、一部実施例による冷却構造体を含む喫煙物品の概略的な構成を示す図面であり、図5は、前記喫煙物品の中心軸方向断面図である。
【0064】
図4及び図5を互いに参照すれば、喫煙物品100は、喫煙物質部110、支持構造体120、冷却構造体130、マウスピース部140及びラッパ150を含んでもよい。
【0065】
図示されていないが、前記喫煙物質部110、支持構造体120、冷却構造体130及びマウスピース部140のうち、少なくとも1つは、前記ラッパ150によって包装される前、別途のラッパによって個別的に包装され、ラッパ150によって再び包装されうる。例えば、喫煙物質部110は、喫煙物質ラッパ(図示せず)によって包装され、支持構造体120、冷却構造体130、及びマウスピース部140のうち、少なくとも1つは、フィルタラッパ(図示せず)によって包装されうる。
【0066】
喫煙物品100の直径は、約4mm~9mmの範囲以内であり、長さは、約45mm~50mmでもあるが、それに限定されない。例えば、喫煙物質部110の長さは、約10mm~14mm(例えば、12mm)、支持構造体120の長さは、約8mm~12mm(例えば、10mm)、冷却構造体130の長さは、約12mm~16mm(例えば、14mm)、マウスピース部140の長さは、約10mm~14mm(例えば、12mm)でもあるが、それらに限定されない。
【0067】
喫煙物質部110は、加熱時にエアロゾルを生成するエアロゾル生成物質を含む。例えば、エアロゾル生成物質は、グリセリン、プロピレングリコール、エチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール及びオレイルアルコールのうち、少なくとも1つを含んでもよい。
【0068】
また、喫煙物質部110は、風味剤、湿潤剤及び/または有機酸(organic acid)のような他の添加物質を含んでもよい。例えば、風味剤は、甘草、ショ糖、果糖シロップ、イソ甘味剤(isosweet)、ココア、ラベンダ、シナモン、カルダモン、セロリ、フェヌグリーク、カスカリラ、白檀、ベルガモット、ゼラニウム、蜂蜜エッセンス、ローズオイル、バニラ、レモンオイル、オレンジオイル、ミントオイル、桂皮、キャラウェイ、コニャック、ジャスミン、カモマイル、メントール、桂皮、イランイラン、サルビア、スペアミント、生姜、コリアンダー、またはコーヒーなどを含んでもよい。また、湿潤剤は、グリセリンまたはプロピレングリコールなどを含んでもよい。
【0069】
一部実施例において、喫煙物質部110は、板状葉シート(reconstituent tobacco sheet)で充填されうる。他の一部実施例において、喫煙物質部110は、板状葉シートを細かく切って生成された複数のタバコストランドによって充填されうる。複数のタバコストランドは、互いに等しい方向(すなわち、互いに平行な方向)に、またはランダムに配置されうる。
【0070】
例えば、板状葉シートは、下記のような過程によって製造されうる。まず、タバコ原料を粉砕してエアロゾル生成物質(例えば、グリセリン、プロピレングリコールなど)、加香液、バインダ(例えば、グリセリン、プロピレングリコールなど)、加香液、バインダ(例えば、グアガム、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース(CMC:carboxymethylcellulose)など)、水などが混合されたスラリーを作る。スラリーを作るとき、天然パルプまたはセルロースが添加され、1個以上のバインダが共に混合されうる。板状葉シートは、前記スラリーを用いて形成されうる。一方、乾燥された板状葉シートを切り刻んだり細切れにしたりすることにより、タバコストランドが生成されうる。
【0071】
タバコ原料は、タバコ葉片、タバコ幹、及び/またはタバコ処理中に生じたタバコ微粉でもある。また、板状葉シートには、木材セルロース繊維のような他の添加剤が含有されてもよい。
【0072】
スラリーには、エアロゾル生成物質が、約5%~40%添加され、板状葉シートには、エアロゾル生成物質が、約2%~35%残留されうる。望ましくは、板状葉シートには、エアロゾル生成物質が、約5%~30%残留されうる。また、喫煙物質部110が喫煙物質ラッパによって包装される過程以前に、メントールまたは保湿剤などの加香液を喫煙物質部110の中央に噴射して添加することができる。
【0073】
支持構造体120は、内部に中空120Hを含むチューブ状の構造物でもある。支持構造体120の外径は、約3mm~10mm、例えば、約7mmでもある。支持構造体120に含まれた中空120Hの直径は、約2mm~4.5mmの範囲以内でもあるが、それらに限定されない。望ましくは、中空120Hの直径は、約2.5mm、約3.4mm、または約4.2mmなどでもあるが、それらに限定されない。
【0074】
支持構造体120の製造過程の間に、可塑剤の含量を調節することで、支持構造体120の硬度が調整されうる。
【0075】
また、支持構造体120は、中空120Hに同一あるいは異形材質のフィルム、チューブなどの構造物を挿入して製造されうる。
【0076】
支持構造体120は、酢酸セルロースを用いて製造されうる。これにより、ヒータ1300が喫煙物品100に挿入される状況で喫煙物質部110の内部物質が後に(すなわち、下流方向に)押される現象を防止することもでき、エアロゾルの冷却効果も発生されうる。
【0077】
一方、本発明の一部実施例による支持構造体120は、メントールなどの香味物質が加香処理された酢酸セルロース材質の加香チューブフィルタでもある。例えば、前記加香チューブフィルタには、約1mg~13mg(望ましくは、1mg~7mg)の、メントール60~80重量%及びPG20~40重量%を含む加香液が加香処理されうる。
【0078】
他の一部実施例において、支持構造体120は、グリセリン(Glycerin)及び/またはPG(Propylene Glycol)が保湿処理されたチューブフィルタでもある。
【0079】
冷却構造体130は、図1ないし図3を参照して説明したヒータ1300が喫煙物質部110を加熱することで生成されたエアロゾルを冷却させる冷却部材としての役割を遂行することができる。これにより、ユーザは、適当な温度に冷却されたエアロゾルを吸い込むことができる。
【0080】
一方、冷却構造体130は、冷却効果を極大化させ、支持構造体120の香味成分が主流煙(例えば、空気及びエアロゾルの混合物)に侵透することに一助とするために、内部に中空130Hが形成された紙材の紙管(すなわち、紙からなるチューブ状の構造)でもある。
【0081】
具体的に、支持構造体120の内径よりも冷却構造体130の内径がさらに大きい場合、支持構造体120の中空120Hから冷却構造体130の中空130Hに流動する主流煙が拡散され、拡散された主流煙の喫煙物品100の下流方向への移動は、徐々に減少する。したがって、穿孔160を通じて冷却構造体130の内部に流入された外部空気と主流煙の接触面積及び接触時間が増加し、それによって発生する主流煙の冷却効果を改善することができる。ここで、冷却構造体130として内径が外径対比で約90%~95%である紙管を使用するとき、支持構造体120の内径と冷却構造体130の内径との差は、主流煙拡散効果及びそれによる主流煙冷却効果をさらに極大化させうる。
【0082】
一部実施例において、冷却効果を極大化し、霧化量及びニコチン移行量を増加させるために、冷却構造体130の内径は、支持構造体120の内径よりも1.5倍~3倍大きくなる。例えば、支持構造体120の内径が2.5mmである場合、冷却構造体130の内径は、3.75mm~7.5mm、望ましくは、5mm~7.5mm、さらに望ましくは、6mm~7mmである。
【0083】
もし、冷却構造体が、ただ冷却効率の極大化のために設計されるならば、適正な剛性を確保することができず、冷却構造体の製造及び組立作業が困難にもなる。また、そのような冷却構造体を含むシガレットの使用性も低くなる。
【0084】
これにより、実施例による冷却構造体130は、冷却効率を極大化すると共に、工程作業性及び製品使用性を確保し、支持構造体120及びマウスフィルタ140などの冷却構造体130の隣接セグメント間の香味成分の転移を最小化するために、下記表1による規格を有してもよい。
【0085】
【表1】
【0086】
一方、前記冷却構造体130には、オンライン(on-line)穿孔方式によってラッパ150を共に貫通して形成された複数の穿孔160が形成されている。喫煙時、外部空気は、複数の穿孔160を通じて冷却構造体130の中空130Hに流入後、主流煙を希釈させ、マウスピース640に移動することができる。
【0087】
複数の穿孔160は、喫煙時にマウスピースの表面温度及び喫煙者に伝達される主流煙の温度を低める役割を遂行する。
【0088】
一方、複数の穿孔160の形成条件(例えば、穿孔方式、個数及び大きさなど)によって冷却構造体130の空気希釈率が異なり、適正空気希釈率は、喫煙物品100の構造及び固有特性によっても異なる。さらに具体的に、空気希釈率が高くなるほど(例えば、穿孔個数が多くなるほど)、前記表面温度及び主流煙温度は下向きになりうる。但し、空気希釈率が適正値を超過する場合、喫煙時に移行する霧化量(すなわち、冷却構造体130を通じて移行する空気及びエアロゾルの量)が減少する。
【0089】
そこで実施例によれば、表面温度及び主流煙の温度を適正レベルに保持すると共に、グリセリン及びニコチン移行量及び喫煙時の各パフ(puff)別に霧化量を増大させ、複数の穿孔160は、冷却構造体130の空気希釈率が約0%~50%、望ましくは、10%~30%、さらに望ましくは、15%~25%になるように形成されうる。ここで、前記空気希釈率は、冷却構造体130から流入された外部空気と混合された最終主流煙の総体積と、冷却構造体130を通じて流入された外部空気の体積の比(ratio)を意味することができる。冷却構造体130は、後述するように複数の紙層が螺旋形に積層された構造を有し、これにより、無穿孔の冷却構造体130の空気希釈率は実質的に0%でもある。
【0090】
複数の穿孔160は、冷却構造体130の下流末端から上流方向に5mm~10mm(望ましくは、7mm~9mm)離隔(L1)されるが、喫煙物品100の下流末端から上流方向に15mm~25mm(望ましくは、18mm~22mm)離隔(L2)された位置に形成される。複数の穿孔160が前記のような位置に形成されることで、エアロゾル生成装置1000の穿孔干渉、または喫煙時、喫煙者の唇などによる穿孔干渉を予防することができる。また、喫煙時に冷却構造体130の中空130Hの空気フローを円滑にし、マウスピース部の酢酸フィルタが不均一に溶ける現象を緩和することができる。
【0091】
一部実施例において、複数の穿孔160は、4~30個のホールで構成されうるが、それに制限されないということは言うまでもない。
【0092】
一方、冷却構造体130についてのさらに詳細な説明は、図6ないし図8を参照して後述する。
【0093】
マウスピース部140は、喫煙物品100の下流末端において上流から伝達されたエアロゾルをユーザに最終的に伝達するフィルタ役割を遂行することができる。一部実施例において、マウスピース部140は、酢酸セルロースフィルタでもある。図示されていないが、マウスピース部140は、リセスフィルタによっても作製される。
【0094】
図示されていないが、マウスピース部140には、少なくとも1つのカプセル(図示せず)が含まれうる。前記カプセルは、例えば、香料を含む内用液を被膜で覆い包む球状または円筒状のカプセルでもある。
【0095】
前記カプセルの被膜を形成する材料は、澱粉及び/またはゲル化剤でもある。例えば、ゲル化剤としては、ジェランガムやゼラチンが使用されうる。また、前記カプセルの被膜を形成する材料として、ゲル化助剤がさらに用いられうる。ここで、ゲル化助剤としては、例えば、塩化カルシウムが使用されうる。また、前記カプセルの被膜を形成する材料として、可塑剤がさらに用いられうる。ここで、可塑剤としては、グリセリン及び/またはソルビトールが用いられうる。また、前記カプセルの被膜を形成する材料として、着色料がさらに用いられうる。
【0096】
前記カプセルの内用液には、メントール、植物の精油などの香料が含まれうる。一部実施例において、前記カプセルの内用液に含まれる香料の溶媒としては、例えば、中鎖脂肪酸トリグリセリド(medium chain fatty acid triglyceride; MCTG)が用いられうる。また、内用液は、色素、乳化剤、増粘剤などの他の添加剤を含んでもよい。
【0097】
一部実施例において、マウスピース部140は、加香液が噴射されたTJNS(Transfer Jet Nozzle System)フィルタでもある。または、加香液が塗布された別途の纎維がマウスピース部140の内部に挿入されうる。
【0098】
ラッパ150は、多孔質巻紙または、無多孔質巻紙でもある。一例として、ラッパ150の厚さは、約40μm~80μmであり、気孔度は、約5CU~50CUでもあるが、それに制限されない。
【0099】
一方、上述したように、喫煙物質部110、支持構造体120、冷却構造体130及びマウスピース部140のうち、少なくとも1つは、前記ラッパ150によって包装される前、別途のラッパによって個別的に包装されうる。一例として、喫煙物質部110は、喫煙物質ラッパ(図示せず)によって包装され、支持構造体120、冷却構造体130及びマウスピース部140それぞれは、第1フィルタラッパ(図示せず)、第2フィルタラッパ(図示せず)、及び第3フィルタラッパ(図示せず)のそれぞれによって包装されうる。但し、喫煙物品100及びそれを構成する部分を包装する方式は、それに制限されない。
【0100】
一部実施例において、前記ラッパは、喫煙物品100に対応する領域によって異なる物性を有することができる。
【0101】
一例として、喫煙物質部110を覆い包む前記喫煙物質ラッパの厚さは、約61μmであり、気孔度は、約15CUでもある。また、支持構造体120を覆い包む第1フィルタラッパの厚さは、約63μmであり、気孔度は、約15CUでもあるが、それに制限されない。また、前記喫煙物質ラッパ及び/または、前記第1フィルタラッパの内側面には、アルミニウム箔がさらに配置されうる。
【0102】
一方、冷却構造体130を覆い包む第2フィルタラッパ及びマウスピース部140を覆い包む第3フィルタラッパは、ハード巻紙によっても作製される。例えば、前記第2フィルタラッパの厚さは、約158μmであり、気孔度は、約33CUでもあり、前記第3フィルタラッパの厚さは、約155μmであり、気孔度は、約46CUでもあるが、それに制限されない。
【0103】
一部実施例において、ラッパ150には、所定の物質が内添されうる。ここで、所定の物質の例としては、シリコンが該当しうる。シリコンは、耐熱性、耐酸化性、各種薬品に対する抵抗性、撥水性、または電気絶縁性などの特性を有する。但し、それに制限されず、上述した特性を有する物質であれば、制限なしにラッパ150に塗布(または、コーティング)されうる。
【0104】
ラッパ150は、喫煙物品100が燃焼される現象を防止しうる。例えば、喫煙物質部110が図1ないし図3を参照して説明したヒータによって加熱されれば、喫煙物品100が燃焼される可能性がある。さらに具体的に、喫煙物質部110に含まれた物質のうち、いずれか1つの発火点以上に温度が上昇する場合、喫煙物品100が燃焼されうる。但し、ラッパ150は、不燃性物質を含むので、喫煙物品100が燃焼される現象を防止することができる。
【0105】
また、ラッパ150は、喫煙物品100で生成される物質(例えば、液体)によってエアロゾル生成装置(1000、図1参照)のホルダーが汚染されることを防止することもできる。ユーザのパフによって、喫煙物品100内で液体物質が生成されうる。例えば、喫煙物品100で生成されたエアロゾルが外部空気によって冷却される場合、液体物質(例えば、水分など)が生成されうる。
【0106】
ラッパ150が喫煙物質部110及び/または他の部分120、130、140を包装することにより、喫煙物品100内で生成された液体物質が喫煙物品100の外部に漏れることが防止されうる。したがって、エアロゾル生成装置1000のホルダー内部が喫煙物品100で生成された液体物質によって汚染される現象が防止されうる。
【0107】
図示されていないが、喫煙物品100は、喫煙物質部110の上流で喫煙物質部110と接境する前端フィルタセグメントをさらに含んでもよい。
【0108】
前端フィルタセグメントは、喫煙物質部110が喫煙物品100の外部に離脱することを防止し、喫煙中、喫煙物質部110から液状化されたエアロゾルがエアロゾル生成装置1000(図1ないし図3参照)に流入されることも防止することができる。また、前端フィルタセグメントは、エアロゾルチャネルを含むので、前端フィルタセグメントの上流側端部に流入されるエアロゾルが容易に前端フィルタセグメントの下流側端部に移動可能なので、ユーザが容易にエアロゾルを吸い込むことができる。
【0109】
一部実施例において、前端フィルタセグメントは、酢酸セルロースによっても作製される。
【0110】
前記エアロゾルチャネルは、前端フィルタセグメントの中央に位置することができる。例えば、エアロゾルチャネルの中心は、前端フィルタセグメントの中心と一致することができる。エアロゾルチャネルの断面形状は、円形、三葉形など多様な形状でもある。
【0111】
図6ないし図8は、一部実施例による冷却構造体の層構造を説明するための図面である。図6ないし図8において、冷却構造体130は、説明の明確化のために、単純かつ多少誇張して表現されている。例えば、螺旋層130a、130b、130cの冷却構造体130の本体部上での位置関係などを明確に説明するために、冷却構造体130の軸方向長さは、相対的にさらに長く、直径は相対的にさらに短く図示されている。また、図4及び図5を参照して説明した複数の穿孔160を除いた本体部のみを図示した。
【0112】
図6ないし図8を参照すれば、前記本体部は、内層紙螺旋層130a、中間紙螺旋層130b及び外層紙螺旋層130cが順次に積層された構造を有する。内層紙及び中間紙は、接着剤によって互いに付着されうる。また、中間紙及び外層紙は、接着剤によって互いに付着されうる。螺旋層によって形成される長く延びたロッド(rod)を約90%~99%の真円度を有する個別冷却構造体130に切断する工程を考慮するとき、そして冷却構造体130が喫煙物品100内に結合された後、冷却機能を効果的に遂行するために、前記接着剤は、固形分が、約30重量%~60重量%(望ましくは、43重量%~46重量%)含有され、粘度が12,000cps~18,000cps(望ましくは、14,000cps~16,000cps)であり、pHが3~6であるエチレン酢酸ビニル(Ethylene Vinyl Acetate, EVA)でもある。以下、各層について別個図面を参照して説明する。
【0113】
図6を参照すれば、冷却構造体130の本体部最内角層は、内層紙に形成された内層紙螺旋層130aである。
【0114】
内層紙螺旋層130aを構成する内層紙の幅130aL(すなわち、冷却構造体130の軸方向Sにおける寸法)は、約15mm~25mm(例えば、約20mm)でもあるが、それに制限されない。
【0115】
内層紙螺旋層130aを構成する第1内層紙面130a1の下流末端と前記第1内層紙面130a1に隣接した第2内層紙面130a2の上流末端は、それらの間に境界線130asが形成されるように実質的に互いに平行にもなる。前記境界線130asと冷却構造体130の軸方向Sがなす角度130agは、約40゜~55゜でもある。
【0116】
一方、以後、内層紙螺旋層130a上に積層される中間紙螺旋層130b及び外層紙螺旋層130cの平坦性及び本体部の気密性を保証するために、内層紙螺旋層130aの隣接した内層紙面(例えば、第1内層紙面130a1の下流末端と第2内層紙面130a2の上流末端)は、互いに重畳していない。例えば、隣接した内層紙面は、重畳せず、隣接するか、0mm~2mm(望ましくは、0mm超過1mm以下)に離隔されうる。
【0117】
一部実施例において、均一な螺旋構造のフレームを形成するために、前記内層紙は、坪量が50gsm~70gsmであり、厚さが0.05mm~0.10mmでもある。
【0118】
図7を参照すれば、冷却構造体130の内層紙螺旋層130a上には、中間紙螺旋層130bが形成される。図7において、内層紙螺旋層130aの境界線130asは点線で図示され、中間紙螺旋層130bの境界線130bsは実線で図示された。
【0119】
中間紙螺旋層130bを構成する中間紙の幅130bL(すなわち、冷却構造体130の軸方向Sにおける寸法)は、約15mm~25mm(例えば、約20mm)でもあるが、それに制限されない。
【0120】
中間紙螺旋層130bを構成する第1中間紙面130b1の下流末端と前記第1中間紙面130b1に隣接した第2中間紙面130b2の上流末端は、それらの間に境界線130bsが形成されるように実質的に互いに平行でもなる。前記境界線130bsと冷却構造体130の軸方向Sがなす角度130bgは、約40゜~55゜でもある。
【0121】
中間紙螺旋層130bも、中間紙螺旋層130b上に積層される外層紙螺旋層130cの平坦性を考慮するが、本体部の気密性を考慮して、中間紙螺旋層130bを構成する隣接した中間紙面(例えば、第1中間紙面130b1の下流末端と第2中間紙面130b2の上流末端)は、互いに重畳せずに隣接するか、0mm~2mm(望ましくは、0mm超過1mm以下)に離隔されうる。中間紙螺旋層130bの境界線130bsは、内層紙螺旋層130aの境界線130asから冷却構造体130の軸方向Sに距離sh1ほど離隔されうる。例えば、距離sh1は、7mm~13mmでもある。すなわち、第1中間紙面130b1の下流末端は、第1内層紙面130a1の下流末端から喫煙物品の軸方向に7mm~13mm離隔されうる。
【0122】
一部実施例において、冷却構造体130の剛性及び気密性を保証するために、前記中間紙は、坪量が100gsm~160gsm(望ましくは、120gsm~160gsm)であり、厚さが0.1mm~0.2mm(望ましくは、0.15mm~0.20mm)でもある。
【0123】
図8を参照すれば、冷却構造体130の中間紙螺旋層130b上には、外層紙螺旋層130cが形成される。図8において、中間紙螺旋層130bの境界線130bsは点線で図示され、外層紙螺旋層130cの境界線130csは実線で図示された。
【0124】
外層紙螺旋層130cを構成する外層紙の幅130cL(すなわち、冷却構造体130の軸方向Sにおける寸法)は、約15mm~25mm(例えば、約20mm)でもあるが、それに制限されない。
【0125】
外層紙螺旋層130cを構成する第1外層紙面130c1の下流末端と前記第1外層紙面130c1に隣接した第2外層紙面130c2の上流末端は、それらの間に境界線130csが形成されるように実質的に互いに平行でもなる。前記境界線130csと冷却構造体130の軸方向Sがなす角度130cgは、約30゜~60゜(望ましくは、40゜~55゜)でもある。
【0126】
外層紙螺旋層130cは、シガレット製造工程上で発生可能な紙管外部汚染及び螺旋層離脱などを予防し、表面の平坦性を保証するために、外層紙螺旋層130cを構成する隣接した外層紙面(例えば、第1外層紙面130c1の下流末端と第2外層紙面130c2の上流末端)は、0mm~2mm(望ましくは、0mm超過1mm以下)にオーバーラップされるか、互いに重畳せずに隣接することができる。外層紙螺旋層130cの境界線130csは、中間紙螺旋層130bの境界線130bsから冷却構造体130の軸方向Sに距離sh2ほど離隔されうる。例えば、距離sh2は、5mm~15mm(望ましくは、7mm~13mm)でもある。すなわち、第1外層紙面130c1の下流末端は、第1中間紙面130b1の下流末端から喫煙物品の軸方向に5mm~15mm(望ましくは、7mm~13mm)離隔されうる。
【0127】
一部実施例において、中間紙螺旋層130bが内層紙螺旋層130aに対してシフトされ、外層紙螺旋層130cが中間紙螺旋層130bに対してシフトされることにより、外層紙螺旋層130cは、内層紙螺旋層130aと実質的にオーバーラップされる螺旋構造を有することができる。すなわち、外層紙螺旋層130cは、内層紙螺旋層130aに対してシフトされない。
【0128】
一部実施例において、冷却構造体の剛性及び気密性形成のために、前記外層紙は、坪量が100gsm~160gsm(望ましくは、120gsm~160gsm)であり、厚さが0.1mm~0.2mm(望ましくは、0.15mm~0.20mm)でもある。
【0129】
冷却構造体130の本体部が上述したような紙層別物性及び結合構造を有して形成されることで、冷却構造体130は、後続工程上で要求される冷却構造体の剛性及び気密性を確保すると共に、紙管の外部汚染及び螺旋層離脱を防止し、また構造体の均一性及び平坦性も確保することができる。
【0130】
以下、実施例と比較例を通じて実施例の構成及びそれによる効果をさらに詳細に説明する。しかし、実施例は、一例示に過ぎず、本発明の範囲が後述する実施例に限定されるものではない。
【0131】
比較例1
【0132】
図4に図示された喫煙物品100と同様に、喫煙物質部、支持構造体、冷却構造体、及びマウスピース部の構造を有する加熱式シガレットが製造されうる。支持構造体としては、加香処理されない内径2.5mmの酢酸セルロース(CA)チューブフィルタを使用し、冷却構造体としては、加香処理されていない内径4.2mmのCAチューブフィルタを使用した。マウスピースは、約6mgのメントール香液が加香処理されたTJNS(Transfer Jet Nozzle System)フィルタが使用された。
【0133】
比較例2
【0134】
支持構造体を約6mgのメントール香液が加香処理されたCAチューブフィルタで使用した点を除いて、比較例1のような加熱式シガレットを製造した。
【0135】
比較例3
【0136】
冷却構造体をポリ乳酸(PLA)製織物で使用した点を除いて、比較例2のような加熱式シガレットを製造した。
【0137】
実施例1
【0138】
冷却構造体を無穿孔(すなわち、空気希釈率0%)の紙管でもって使用した点を除いては、比較例2のような加熱式シガレットを製造した。具体的に、重さが約103mg、長さが約14mm、厚さが約0.52mm、全表面積が約587mm、真円度が約97%である紙管が使用された。
【0139】
実施例2
【0140】
冷却構造体を空気希釈率10%の穿孔された紙管でもって使用した点を除いては、実施例1のような加熱式シガレットを製造した。
【0141】
実施例3
【0142】
冷却構造体を空気希釈率17%の穿孔された紙管でもって使用した点を除いては、実施例1のような加熱式シガレットを製造した。
【0143】
実施例4
【0144】
冷却構造体を空気希釈率30%の穿孔された紙管でもって使用した点を除いては、実施例1のような加熱式シガレットを製造した。
【0145】
実施例5
【0146】
冷却構造体を空気希釈率50%の穿孔された紙管でもって使用した点を除いては、実施例1のような加熱式シガレットを製造した。
【0147】
表2は、比較例1ないし3、実施例1ないし5によるシガレットの構造を示す。無加香CAチューブフィルタが支持構造体として使用された比較例1を除いた比較例及び実施例のシガレットに添加されたメントール香液の総量は実質的に同一である。
【0148】
【表2】
【0149】
実験例1:製造後、保管時間によるシガレットセグメント別メントール含量分析
【0150】
シガレットの保存保管のうち、メントールの移行パターンを確認するために、保管時間によってセグメントそれぞれのメントール含量を分析し、その結果を表3に示した。メントール移行パターン分析では、穿孔有無及び空気希釈率による有意差が示されず、実施例2ないし5の分析結果は、表3から除かれ、絶対的メントール含量が他の実施例及び比較例対比で少ない比較例1は、本実験から除いた。
【0151】
【表3】
【0152】
表3に示されたように、実施例別に同量のメントール香液がシガレットそれぞれの支持構造体及びマウスピース部(すなわち、アセテートチューブ)に添加されたが、製造後、シガレットの保管時間によってメントール分布が互いに異なることが確認でき、これにより、メントール香液が添加されていない冷却構造体によってシガレット内のメントール移行パターンが互いに異なることが確認できる。
【0153】
具体的に、比較例2の場合、製造後、保管時間が経過することにより、支持構造体及びアセテートチューブに最初に含有されていたメントールの相当量が冷却構造体に転移されたことが確認でき、これにより、媒質部(すなわち、喫煙物質部110)及びアセテートチューブのメントール含量が比較例3または実施例1対比で相対的に低いことを確認することができる。
【0154】
一方、比較例3の場合、比較例2対比で冷却構造体へのメントール移行量が少ないが、実施例1よりは、多量のメントールが冷却構造体に転移され、そのような傾向は、保管時間が長くなるにつれてさらに明らかになった。また、比較例3の場合、その他セグメント(ラッパ)へのメントール転移量が多く、保管状態などによる香消失によって主流煙内の実質的メントール移行量が実施例1対比で少ないと予想された。
【0155】
実施例1の場合、保管時間が長くなることにより、媒質部及び支持構造体のメントール含量が明確に増加し、冷却構造体へのメントール転移は実質的に微々たることを確認した。前記結果を通じて、実施例1において、比較例2及び3対比で喫煙時にメントール移行量がさらに多いと予測される。
【0156】
実験例2:煙成分分析
【0157】
比較例2及び3、実施例1ないし5によるシガレットの煙成分分析のために、製造後2週間保管されたシガレットの主流煙成分を分析した。成分分析のための煙捕集は、試料別3回ずつ、回別8パフを基準に反復実施され、3回ずつの捕集結果に対する平均値に基づいた成分分析結果を表4に示した。シガレットは、温度が約20℃であり、湿度が約62.5%である喫煙室で自動喫煙装置を用いてHC(Health Canada)喫煙条件によってテストされた。
【0158】
【表4】
【0159】
表4に示されたように、PG及び水分量は、実施例間(実施例5を除く)の有意差を示していないが、それと異なって、ニコチン、グリセリン及びメントール移行量は、冷却構造体の適用方向及び空気希釈率による差が示された。
【0160】
具体的に、冷却構造体として紙管が適用された実施例1ないし5において、比較例2及び3対比でグリセリン及びメントール移行量が全般的に増加した。一方、実施例1では、無穿孔紙管が適用されることにより、他の実施例対比で、アセテートチューブの熱変形が多少過度に進められて相対的にグリセリン移行量が減少したことが確認される。それと異なって、実施例5では、紙管内部に流入される多量の空気によって、ニコチン、PG、グリセリン及びメントール移行量が明確に減少したことを確認することができる。
【0161】
穿孔によって冷却構造体が10%~30%の空気希釈率を有する実施例2ないし4では、他の実施例対比で、ニコチン及びグリセリン移行量がさらに顕著に増加したことが確認でき、これは、アセテートチューブの熱変形最小化と共に、外部から流入された適量の空気希釈によるものと見られる。
【0162】
実験例3:パフによる霧化量及び煙成分分析
【0163】
霧化量及びパフによる煙成分の移行量を分析するために、比較例2及び実施例2によるシガレットの霧化量及び主流煙煙成分を分析し、各成分別移行量分析結果を図9ないし図11に示した。
【0164】
図9は、各パフに対する煙内ニコチン含量を、図10は、各パフに対する煙内グリセリン含量を、図11は、各パフに対する煙内メントール含量を示すグラフである。
【0165】
図9ないし図11を参照すれば、実施例2によるニコチン移行量、グリセリン移行量及びメントール移行量がいずれも比較例2対比で、高い数値が示されたことを確認することができる。実施例2及び比較例2において、いずれもパフ回数が増加することにより、ニコチン移行量及びグリセリン移行量が増加する。但し、実施例2の場合、比較例2に比べて、序盤パフからニコチン移行量及びグリセリン移行量が急増し、実施例2は、比較例2よりも喫煙時に喫味持続性及び霧化量持続性においてさらに有利であると見られる。これにより、実施例2は、比較例2よりも後半パフでの焦げ味ないし刺激性の緩和にも優れると予想される。
【0166】
また、実施例2及び比較例2がいずれも序盤3~4パフまでメントール量が増加していて、以後パフでは、減少する勢いであったが、実施例2の場合、相対的に序盤パフからメントール移行量が急増するが、後半パフにおける減少率では、比較例2と格別な差がなく、喫煙時にメントール持続性も比較例2対比で、有利であるということを確認することができる。
【0167】
実験例4:シガレット表面及び主流煙温度分析
【0168】
シガレット表面及び主流煙熱感評価のために、製造後、2週間保管されたシガレットの表面温度及び主流煙温度を比較例2及び3、実施例1ないし5によって分析して表5に示した。表面温度及び主流煙温度それぞれは、試料別5回ずつ、各パフ別測定された最高温度の平均値を示す。
【0169】
【表5】
【0170】
表5を参照すれば、無穿孔の紙管が適用された実施例1の場合、比較例3より多少高いが、比較例2と類似したレベルの表面温度と、比較例2及び3と同一か類似したレベルの主流煙温度が示された。但し、実施例1の場合、比較例2及び3と異なって、熱気が断面全体に拡散してマウスピースの中央部の溶融が大きく緩和された。
【0171】
穿孔された紙管が適用された実施例2ないし5の場合、比較例2及び3対比で有意なレベルの表面及び主流煙温度下降が確認され、空気希釈率が増加することにより、温度が線形的に減少する様相を示した。これにより、空気希釈率が最も高い紙管が適用された実施例5で冷却効果が最も優れると示されているが、実施例2ないし4で示されていない吸引抵抗の不足、喫味強度低下などの問題が発生した。
【0172】
実験例5:喫煙感評価
【0173】
比較例及び実施例別の喫煙感を分析するために、冷却構造体の適用構成のみを異ならせた比較例2及び3、実施例2ないし4による霧化量、吸引抵抗、主流煙及びシガレット表面の熱感、喫味強度、刺激性、異臭味及び全体としての喫煙感が評価された。その結果は、表6に示される。評価は、製造後2週間保管されたシガレットを用いて25人の評価パネルを対象に実施し、0から5までの点数を基準にした。
【0174】
【表6】
【0175】
表6を参照すれば、穿孔紙管が適用された実施例2ないし4でいずれもCAチューブまたはPLAが適用された比較例対比で、霧化量及び霧化量持続性が遥かに優秀であることを確認することができ、全体としての喫煙感も有意差を示し、比較例対比で、優秀な数値を示した。特に、実施例2及び3の場合、それと同時に喫味強度も最も優秀であり、異臭味も少なくなったということを確認した。
【0176】
図1ないし図3の制御部1200のようにブロックで表現される構成、構成要素、モジュール、またはユニット(この段落で総称して「構成」)のうち、少なくとも1つは、例示的な実施例によって前述したそれぞれの機能を行う多様な個数のハードウェア、ソフトウェア、及び/またはファームウェアストラクチャとして具現されうる。例えば、これらの構成のうち、少なくとも1つは、メモリ、プロセッサ、論理回路、ルックアップテーブルのような1つ以上のマイクロプロセッサまたは他の制御装置の制御を通じてそれぞれの機能が行える直接回路構造を使用することができる。また、これら構成のうち、少なくとも1つは、特定論理機能を遂行するための1つ以上の実行可能な命令を含み、1つ以上のマイクロプロセッサまたは他の制御装置によって実行されるモジュール、プログラム、またはコードの一部によって具体的に具現されうる。また、これらの構成のうち、少なくとも1つは、それぞれの機能を遂行する中央処理装置(CPU)、マイクロプロセッサなどのプロセッサを含むか、それらによって具現されうる。それらの構成のうち、2以上は、1以上の単一構成に結合され、結合された2以上の構成の全動作または機能を遂行することができる。また、それらの構成のうち、少なくとも1つの機能の少なくとも一部は、それらの構成のうち、他の構成によって遂行されうる。また、バス(bus)は、ブロック図で図示されていないが、構成の通信は、バスを通じて遂行されうる。前記例示的な実施例の機能的側面は、1つ以上のプロセッサで実行されるアルゴリズムでもって具現されうる。また、ブロックまたはプロセッシング段階で表現された構成は、電子構成、信号プロセッシング、及び/または制御、データプロセッシングなどのための任意の関連技術を利用することができる。
【0177】
本実施例に係わる技術分野で通常の知識を有する者は、前記記載の本質的な特性から外れない範囲で変形された形態に具現される可能性があるということを理解することができるであろう。したがって、開示された方法は、限定的な観点ではなく、説明的な観点で考慮されねばならない。本発明の範囲は、前述した説明ではなく、請求範囲に示されており、それと同等な範囲内にある全ての相違点は、本発明に含まれるものと解釈されねばならない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11