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特許7475374伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材及びその製造方法
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  • 特許-伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材及びその製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C22C 38/00 20060101AFI20240419BHJP
   C22C 38/38 20060101ALI20240419BHJP
   C21D 8/06 20060101ALI20240419BHJP
   C21D 9/52 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
C22C38/00 301Y
C22C38/38
C21D8/06 A
C21D9/52 104
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021574892
(86)(22)【出願日】2020-02-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-08-26
(86)【国際出願番号】 KR2020002630
(87)【国際公開番号】W WO2021172604
(87)【国際公開日】2021-09-02
【審査請求日】2021-12-15
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】522492576
【氏名又は名称】ポスコ カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ムン,ドン‐ジュン
(72)【発明者】
【氏名】パク,イン‐ギュ
(72)【発明者】
【氏名】ミン,セ‐ホン
【審査官】鈴木 毅
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-537584(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第105671439(CN,A)
【文献】特表2019-500489(JP,A)
【文献】特表2019-502815(JP,A)
【文献】特開平11-229090(JP,A)
【文献】特開2018-197375(JP,A)
【文献】特開2003-113444(JP,A)
【文献】特開2017-043835(JP,A)
【文献】特開昭62-199750(JP,A)
【文献】特開平03-183739(JP,A)
【文献】特開2003-183733(JP,A)
【文献】特開昭53-056120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C22C 38/00 - 38/60
C21D 8/06
C21D 9/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
重量%で、C:0.05%~0.35%、Si:0.05~0.5%、Mn:0.5~2.0%、Cr:1.0%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.01~0.07%、N:0.01%以下を含み、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下及びTi:0.1%以下のうち1種以上を含み、残部はFe及び不可避な不純物からなり、
微細組織として、圧延方向へのフェライト-パーライトの層状構造を含み、
前記圧延方向の平行断面であるL断面での前記フェライトのバンドの平均厚さが5~30μmであり、
下記式で表現される炭素当量(Ceq)が0.4~0.6であり、
前記圧延方向の直角断面であるC断面での最大硬度値と最小硬度値の差が30Hv以下であり、
前記C断面での前記フェライトの平均粒径が3~20μmであり、
前記フェライトの面積分率が30~90%であり、
前記パーライトの平均ラメラ間隔が0.03~0.3μmであることを特徴とする伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材。
Ceq=[C]+[Si]/9+[Mn]/5+[Cr]/12
(ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]それぞれは、該当元素の含量(%)を意味する。)
【請求項2】
前記線材を30~60%伸線加工するとき、常温衝撃靭性の平均値が100J以上であることを特徴とする請求項1に記載の伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材。
【請求項3】
前記線材を30~60%伸線加工するとき、下記式(1)を満足することを特徴とする請求項1に記載の伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材。
(1)Imax-Imin≦40J
(ここで、Imaxは伸線加工後の平均常温衝撃靭性の最大値、Iminは伸線加工後の平均常温衝撃靭性の最小値を示す。)
【請求項4】
重量%で、C:0.05%~0.35%、Si:0.05~0.5%、Mn:0.5~2.0%、Cr:1.0%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.01~0.07%、N:0.01%以下を含み、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下及びTi:0.1%以下のうち1種以上を含み、残部はFe及び不可避な不純物からなる鋼片を製造するステップ、
前記鋼片を下記式(2)を満足する再加熱温度(Tr)で再加熱するステップ、
前記再加熱された鋼片を線材に圧延するステップ、及び
前記圧延された線材を巻取後に冷却するステップ、を含み、
前記線材を圧延するステップは、
下記式(3)を満足する仕上げ圧延温度(Tf)で圧延することを含み、
前記冷却するステップは、
平均0.1~2℃/sの速度で冷却することを含み、
非調質線材は微細組織として、圧延方向へのフェライト-パーライトの層状構造を含み、
圧延方向の平行断面であるL断面でのフェライトのバンドの平均厚さが5~30μmであり、
下記式(4)で表現される炭素当量(Ceq)が0.4~0.6であり、
圧延方向の直角断面であるC断面でのフェライトの平均粒径が3~20μmであり、
フェライトの面積分率で30~90%であり、
パーライトの平均ラメラ間隔が0.03~0.3μmであり、
圧延方向の直角断面であるC断面での最大硬度値と最小硬度値の差が30Hv以下であることを特徴とする伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材の製造方法。
(2)T1≦Tr≦1200℃
(ここで、T1=757+606[C]+80[Nb]/「C」+1023√[Nb]+330[V]であり、[C]、[Nb]、[V]それぞれは、該当元素の含量(%)を意味する。)
(3)T2≦Tf≦T3
(ここで、T2=955-396[C]+24.6[Si]-68.1[Mn]-24.8[Cr]-36.1[Nb]-20.7[V]、T3=734+465[C]-355[Si]+360[Al]+891[Ti]+6800[Nb]-650√[Nb]+730[V]-232√[V]であり、[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]、[Al]、[Ti]、[Nb]、[V]それぞれは、該当元素の含量(%)を意味する。)
(4)Ceq=[C]+[Si]/9+[Mn]/5+[Cr]/12
(ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]それぞれは、該当元素の含量(%)を意味する。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材及びその製造方法に係り、より詳しくは、自動車用素材又は機械部品用素材としての使用に適合する伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
機械構造用又は自動車部品などに用いられる構造用鋼には、大部分熱間加工後に再加熱、焼入れ、焼戻し工程を経て強度と靭性を高めた調質鋼(Quenching and Tempering Steel)が用いられている。
一方、非調質鋼(Non-Heat Treated Steel)とは、熱間加工後に熱処理をしなくても熱処理した調質鋼と類似した強度が得られる鋼を言う。非調質線材は、既存の調質線材の製造時に随伴される熱処理工程を省略することで製造単価を低減させ経済性に優れ、同時に最終急冷及び焼戻しも実行しないので、熱処理による欠陥、すなわち、熱処理の曲がりがなく、直進性が確保されるため多くの製品に適用が試みられている。
特に、フェライト-パーライト系非調質線材は、安価な成分設計が可能であり、ステルモア(Stelmor:強制風冷型)冷却台の製造工程で均質な組織を安定的に得ることができる長所があるが、伸線加工量が増加するに従って製品の強度は上昇する一方、延性及び靭性が急激に低下する問題がある。
【0003】
上記のような問題を解決するための方案として、モリブデン(Mo)などの高価な焼入れ性合金元素(quenching element)及びボロン(B)などを活用したベイナイト系微細組織を確保する技術が提示されたが、線材の製造時にステルモア冷却台での冷却偏差によるベイナイト組織の不均一化による物性偏差によって商業的に生産しにくい限界点があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記問題点を解決するためになされたものであって、その課題とするところは、追加の熱処理なしでも優れた伸線加工性及び衝撃靭性を確保することができる非調質線材及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材は、重量%で、C:0.05%~0.35%、Si:0.05~0.5%、Mn:0.5~2.0%、Cr:1.0%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.01~0.07%、N:0.01%以下を含み、Nb:0.1%以下、V:0.5%以下及びTi:0.1%以下のうち1種以上を含み、残部はFe及び不可避な不純物からなり、微細組織として、圧延方向へのフェライト-パーライトの層状構造を含むことを特徴とする。
【0006】
フェライトの層の厚さは、前記圧延方向の平行断面であるL断面での前記フェライトのバンドの厚さであり、平均厚さが5~30μmであることがよい。
前記圧延方向の直角断面であるC断面での前記フェライトの平均粒径が3~20μmであることが好ましい。
【0007】
前記フェライトの面積分率が30~90%であることができる。
前記パーライトの平均ラメラ間隔が0.03~0.3μmであることがよい。
【0008】
下記式で表現される炭素当量(Ceq)が0.4~0.6であることが好ましい。
Ceq=[C]+[Si]/9+[Mn]/5+[Cr]/12
(ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]それぞれは、該当元素の含量(%)を意味する。)
前記圧延方向の直角断面であるC断面での最大硬度値と最小硬度値の差が30Hv以下であることがよい。
【0009】
前記線材を30~60%伸線加工するとき、常温衝撃靭性の平均値が100J以上であることができる。
前記線材を30~60%伸線加工するとき、下記式(1)を満足することが好ましい。
(1)Imax-Imin≦40J
(ここで、Imax:伸線加工後の平均常温衝撃靭性の最大値、Imin:伸線加工後の平均常温衝撃靭性の最小値。)
【0010】
本発明の伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材の製造方法は、重量%で、C:0.05%~0.35%、Si:0.05~0.5%、Mn:0.5~2.0%、Cr:1.0%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.01~0.07%、N:0.01%以下を含み、Nb: 0.1%以下、V:0.5%以下及びTi:0.1%以下のうち1種以上を含み、残部はFe及び不可避な不純物からなる鋼片を製造するステップ、前記鋼片を下記式(2)を満足する再加熱温度(Tr)で再加熱するステップ、前記再加熱された鋼片を線材に圧延するステップ及び前記圧延された線材を巻取後に冷却するステップ含むことを特徴とする。
(2)T1≦Tr≦1200℃
(ここで、T1=757+606[C]+80[Nb]/「C」+1023√[Nb]+330[V]であり、[C]、[Nb]、[V]それぞれは、該当元素の含量(%)を意味する。)
【0011】
前記線材を圧延するステップは、下記式(3)を満足する仕上げ圧延温度(Tf)で圧延することを含むことがよい。
(3)T2≦Tf≦T3
(ここで、T2=955-396[C]+24.6[Si]-68.1[Mn]-24.8[Cr]-36.1[Nb]-20.7[V]、T3=734+465[C]-355[Si]+360[Al]+891[Ti]+6800[Nb]-650√[Nb]+730[V]-232√[V]であり、[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]、[Al]、[Ti]、[Nb]、[V]それぞれは、該当元素の含量(%)を意味する。)
前記冷却するステップは、平均0.1~2℃/sの速度で冷却することを含むことができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、本発明は、合金組成及び製造条件を制御して追加熱処理なしでも優れた伸線加工性及び衝撃靭性の非調質線材及びその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の一実施例による非調質線材のフェライト-パーライト層状構造のSEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一実施例による伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材は、重量%で、C:0.05%~0.35%、Si:0.05~0.5%、Mn:0.5~2.0%、Cr:1.0%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.01~0.07%、N:0.01%以下を含み、Nb: 0.1%以下、V:0.5%以下及びTi:0.1%以下のうち1種以上を含み、残部はFe及び不可避な不純物からなり、微細組織として、圧延方向へのフェライト-パーライトの層状構造を含む。
【0015】
以下では、本発明の好ましい実施形態を説明する。しかし、本発明の実施形態は、多様な形態に変形され得るものであり、本発明の技術思想が以下で説明する実施形態によって限定されるものではない。また、本発明の実施形態は、当該技術分野において平均的な知識を有した者に本発明をより完全に説明するために提供されるものである。
本出願で用いる用語は、単に特定の例示を説明するために用いられるものである。したがって、たとえば単数の表現は、文脈上明白に単数である場合を除き、複数の表現を含む。また、本出願で用いる「含む」又は「具備する」などの用語は、明細書上に記載した特徴、ステップ、機能、構成要素又はこれらを組み合わせたものが存在することを明確に示すために用いられるのもであって、他の特徴やステップ、機能、構成要素又はこれらを組み合わせたものの存在を予備的に排除する目的で用いられるものではないことに留意する必要がある。
一方、特別に定義しない限り、本明細書で用いられる全ての用語は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者により一般的に理解される意味と同一の意味を有するものと見なければならない。したがって、本明細書で明確に定義しない限り、特定用語が過度に理想的や形式的な意味で解釈されてはいけない。例えば、本明細書で単数の表現は、文脈上明白に例外のない限り、複数の表現を含む。
また、本明細書の「約」、「実質的に」などは、言及した意味に固有の製造及び物質許容誤差が提示されるとき、その数値で又はその数値に近接した意味で用いられ、本発明の理解を助けるために正確であるか絶対的な数値が言及された開示内容を非良心的な侵害者が不当に利用することを防止するために用いられる。
【0016】
非調質鋼(Non-Heat Treated Steel)とは、熱間加工後に熱処理をしなくても熱処理した調質鋼に類似した強度が得られる鋼を言い、非調質線材は、既存の調質線材の製造時に隋伴される熱処理工程を省略することで素材の製造単価を低減させた経済性に優れた製品であると同時に、最終急冷及び焼戻しも実行しないので、熱処理による欠陥、すなわち、熱処理の曲がりがなく直進性が確保されるため多くの製品に適用が試みられている。
特に、フェライト-パーライト系非調質線材は、安価な成分設計が可能であり、ステルモア(Stelmor)冷却台の製造工程で均質な組職を安定的に得ることができる長所があるが、伸線加工量が増加するに従って製品の強度は上昇する反面で、延性及び靭性が急激に低下する問題がある。
【0017】
本発明の発明者らは、伸線加工後に優れた伸線加工性及び衝撃靭性を確保することができる非調質線材を提供するために多様な角度から検討を行った。その結果、非調質線材の合金組成及び微細組織を適切に制御することで別途の熱処理なしでも伸線加工時に強度増加と共に優れた衝撃靭性が確保できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0018】
本発明の一実施例による伸線加工性及び衝撃靭性に優れた非調質線材は、重量%で、C:0.05%~0.35%、Si:0.05~0.5%、Mn:0.5~2.0%、Cr:1.0%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.01~0.07%、N:0.01%以下を含み、Nb: 0.1%以下、V:0.5%以下及びTi:0.1%以下のうち1種以上を含み、残部はFe及び不可避な不純物からなる。
以下、前記非調質線材の成分組成を限定した理由について具体的に説明する。
【0019】
炭素(C):0.05~0.35重量%
炭素は、線材の強度を向上させる役目をする。本発明でこの効果を得るためには、0.05重量%以上含むことが好ましい。ただし、その含量が過多な場合には、鋼の変形抵抗が急増し、それによって、冷間加工性が劣化する問題がある。したがって、前記炭素含量の上限は、0.35重量%であることが好ましい。
【0020】
シリコン(Si):0.05~0.5重量%
シリコンは、脱酸剤として有用な元素である。本発明でこの効果を得るためには、0.05重量%以上含むことが好ましい。ただし、その含量が過多な場合には、固溶強化により鋼の変形抵抗が急増し、それによって、冷間加工性が劣化する問題がある。したがって、前記シリコン含量の上限は、0.5重量%であることが好ましく、0.25重量%であることがより好ましい。
【0021】
マンガン(Mn):0.5~2.0重量%
マンガンは、脱酸剤及び脱硫剤として有用な元素である。本発明でこのような効果を得るためには、0.5重量%以上含むことが好ましく、0.8重量%以上含むことがより好ましい。ただし、その含量が過多な場合には、鋼自体の強度が過度に高くなって鋼の変形抵抗が急増し、それによって、冷間加工性が劣化する問題がある。したがって、前記マンガン含量の上限は、2.0重量%であることが好ましく、1.8重量%であることがより好ましい。
【0022】
クロム(Cr):1.0重量%以下
クロムは、熱間圧延時にフェライト及びパーライトの変態を促進させる役目をする。また、鋼自体の強度を必要以上に高めないながらも、鋼中の炭化物を析出させて固溶炭素量を低減させることによって、固溶炭素による動的弊害時効の減少に寄与する。ただし、その含量が過多な場合には、鋼自体の強度が過度に高くなって鋼の変形抵抗が急増し、それによって、冷間加工性が劣化する問題がある。したがって、前記クロム含量の上限は、1.0重量%であることが好ましく、0.5重量%であることがより好ましい。
【0023】
リン(P):0.03重量%以下
リンは、不可避に含有される不純物であって、結晶粒界に偏析して鋼の靭性を低下させ、遅延破壊抵抗性を減少させる主要原因になる元素であるため、その含量をできる限り低く制御することが好ましい。理論上、リンの含量は、0重量%に制御することが有利であるが、製造工程上、必然的に含有せざるを得ない。したがって、上限を管理することが重要であり、本発明では、前記リンの含量の上限を0.03重量%で管理する。
【0024】
硫黄(S):0.03重量%以下
硫黄は、不可避に含有される不純物であって、結晶粒界に偏析して鋼の延性を大きく低下させ、鋼中に硫化物を形成して遅延破壊抵抗性及び応力弛緩特性を劣化させる主要原因になる元素であるため、その含量をできる限り低く制御することが好ましい。理論上、硫黄の含量は、0重量%に制御することが有利であるが、製造工程上、必然的に含有せざるを得ない。したがって、上限を管理することが重要であり、本発明では、前記硫黄の含量の上限を0.03重量%で管理する。
【0025】
可溶アルミニウム(sol.Al):0.01~0.07重量%
可溶アルミニウムは、脱酸剤として有用に作用する元素である。本発明でこの効果を得るためには、0.01重量%以上含むことが好ましい。より好ましくは、0.015重量%以上であり、さらに好ましくは、0.02重量%以上である。ただし、その含量が過多な場合には、AlN形成によるオーステナイト粒度の微細化効果が大きくなって冷間鍛造性が低下する虞がある。したがって、前記可溶アルミニウム含量の上限は、0.07重量%であることが好ましい。
【0026】
窒素(N):0.01重量%以下
窒素は、不可避に含有される不純物であって、その含量が過多な場合には、固溶窒素量が増加して鋼の変形抵抗が急増し、それによって、冷間加工性が劣化する問題がある。理論上、窒素の含量は、0重量%に制御することが有利であるが、製造工程上、必然的に含有せざるを得ない。したがって、上限を管理することが重要であり、本発明では、前記窒素の含量の上限は、0.01重量%で管理することが好ましく、より好ましくは、0.008重量%、さらに好ましくは、0.007重量%で管理することである。
【0027】
また、本発明は、上記の成分系及びニオブ(Nb)、バナジウム(V)及びチタン(Ti)のうち1種以上を含むことができる。
ニオブ(Nb):0.1重量%以下
ニオブは、炭化物及び炭窒化物を形成してオーステナイト及びフェライトの粒界移動を制限する役目をする元素である。ただし、その含量が過多な場合には、前記炭窒化物は、破壊基点として作用して衝撃靭性を低下させる粗大な析出物を形成する問題があるので、溶解度限界(solubility limit)を守ってニオブを添加することが好ましい。したがって、前記ニオブ含量の上限は、0.1重量%であることが好ましい。
【0028】
バナジウム(V):0.5重量%以下
バナジウムは、ニオブと同様に炭化物及び炭窒化物を形成してオーステナイト及びフェライトの粒界移動を制限する役目をする元素である。ただし、その含量が過多な場合には、前記炭窒化物は、破壊基点として作用して衝撃靭性を低下させる粗大な析出物を形成する問題があるので、溶解度限界を守ってバナジウムを添加することが好ましい。したがって、前記バナジウム含量の上限は、0.5重量%であることが好ましい。
【0029】
チタン(Ti):0.1重量%以下
チタンも炭素及び窒素と結合して炭窒化物を生成させることでオーステナイトの結晶粒サイズを制限する効果がある。ただし、その含量が過多な場合には、粗大な析出物が形成されて介在物破断の主要なクラック生成源として作用する可能性が高くなるという問題点がある。したがって、前記チタン含量の上限は、0.1重量%であることが好ましい。
【0030】
前記合金組成以外の残部は、Feである。また、本発明の伸線用線材は、通常の鋼の工業的生産過程で含まれ得るその他の不純物を含む。このような不純物は、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者であれば、誰でも分かる内容であるので、本発明で特にその種類と含量について言及しない。
【0031】
本発明の一実施例による非調質線材は、下記式で表現される炭素当量(Ceq)が0.4~0.6であることがよい。もし、炭素当量(Ceq)が0.4未満である場合、目標強度の確保が難しく、炭素当量が0.6を超過する場合、鋼の変形抵抗が急増して冷間加工性が劣化する虞がある。
Ceq=[C]+[Si]/9+[Mn]/5+[Cr]/12
ここで、[C]、[Si]、[Mn]、[Cr]それぞれは、該当元素の含量(%)を意味する。
【0032】
以下、本発明による非調質線材の微細組織に対して説明する。
本発明の一実施例による非調質線材は、微細組織としてフェライト(ferrite)とパーライト(pearlite)を含む。添付した図1に示したとおり、前記フェライトとパーライトは、フェライト-パーライトの層状構造(band structure)を形成する。前記層状構造は、一例によると、圧延方向へのフェライト-パーライトの層状構造であってよい。
このとき、圧延方向へのフェライト-パーライトの層状構造の意味は、各フェライト、パーライト層の長さ及び幅がそれぞれ圧延方向と平行な方向に形成され、厚さが圧延方向と垂直の方向に形成されることを意味する。
【0033】
圧延方向へのフェライト-パーライトの層状構造は、伸線前の初期組織が伸線加工に有利な方向に配列されているので、優れた伸線加工性を有することになり、伸線加工を通じて圧延方向に延伸されたフェライト-パーライトの層状構造は、衝撃時に厚さ方向に衝撃の伝播が進行されにくくなり、最も脆弱な部分であるフェライト-パーライト界面に沿って衝撃の伝播が行われるので、衝撃靭性が向上する。
また、一例によると、非調質線材は、面積分率で30~90%のフェライトを含むことができる。上記のような組織を確保する場合、強度を確保すると共に優れた伸線加工性及び衝撃靭性を確保することができる。
【0034】
本発明のフェライト組織は、圧延方向の平行断面であるL断面でのフェライトの層(band)の平均厚さが5~30μmであることがよい。また、圧延方向の直角断面であるC断面でのフェライトの平均粒径が3~20μmであることがよい。
前記フェライトの層の厚さは、圧延方向の平行断面であるL断面でのフェライトのバンドの厚さを意味し、前記フェライトのバンドの平均厚さが5μm未満である場合、強度が増加して冷間加工性が劣化することがあり、一方、30μmを超過する場合、目標強度の確保が難しい。
前記フェライトの粒径は、圧延方向の直角断面であるC断面でのフェライト粒径を意味し、前記フェライトの平均粒径が3μm未満である場合、粒界微細化によって強度が増加して冷間鍛造性が減少する虞があり、一方、20μmを超過する場合、目標強度の確保が難しい。このとき、前記平均粒径は、鋼板の一断面を観察して検出した粒子の平均円相当径(equivalent circular diameter)を意味し、一緒に形成されるパーライトの平均粒径は、前記フェライトの平均粒径に影響を受けるので、特に制限しない。
【0035】
本発明のパーライト組織は、平均ラメラ間隔が0.03~0.3μmであることがよい。パーライト組織のラメラ間隔は、微細であるほど線材の強度が増加するが、0.03μm未満である場合、冷間加工性が劣化する虞があり、ラメラ間隔が0.3μmを超過する場合、目標強度の確保が難しい。
【0036】
以下、上記の組成範囲と微細組織を含む伸線加工性及び衝撃靭性に優れた本発明の非調質線材に対して説明する。
一例によると、前記非調質線材は、圧延方向の直角断面であるC断面での最大硬度値と最小硬度値の差が30Hv以下である。
他の一例によると、前記非調質線材は、30~60%の伸線加工時、常温衝撃靭性の平均値が100J以上である。
他の一例によると、前記非調質線材は、30~60%の伸線加工時、下記式(1)を満足する。
(1)Imax-Imin≦40J
ここで、Imaxは伸線加工後の平均常温衝撃靭性の最大値、Iminは伸線加工後の平均常温衝撃靭性の最小値である。
ここで、常温衝撃靭性は、25℃でUノッチ(U-notch規格サンプル基準、10×10×55mm)を有する試片のシャルピー衝撃試験を行って得たシャルピー衝撃エネルギー値で評価したものである。
【0037】
以下、本発明の一側面による線材の製造方法に対して詳しく説明する。
本発明は、多数の実験を通じて圧延方向によく発達したフェライト-パーライトの層状構造(F-P band structure)を確保する場合、優れた伸線加工性及び衝撃靭性を同時に確保できることを見出し、本発明を提案するに至った。
本発明の一例による非調質線材の製造方法は、鋼片を製造するステップ、鋼片を再加熱温度で再加熱するステップ、再加熱された鋼片を線材に圧延するステップ及び圧延された線材を巻取後に冷却するステップを含む。
本発明の一例によって製造される鋼片は、重量%で、C:0.05%~0.35%、Si:0.05~0.5%、Mn:0.5~2.0%、Cr:1.0%以下、P:0.03%以下、S:0.03%以下、sol.Al:0.01~0.07%、N:0.01%以下を含み、Nb: 0.1%以下、V:0.5%以下及びTi:0.1%以下のうち1種以上をさらに含み、残部はFe及び不可避な不純物からなる。
【0038】
以下、各製造ステップについてより詳しく説明する。
鋼片を再加熱するステップ
鋼片を再加熱するステップでは、前記組成範囲を有する鋼片を下記式(2)を満足する再加熱温度(Tr)で再加熱する。
(2)T1≦Tr≦1200℃
ここで、T1=757+606[C]+80[Nb]/「C」+1023√[Nb]+330[V]である。
【0039】
前記鋼片を式(2)を満足する再加熱温度(Tr)で再加熱するステップは、成分系のうちNb、V又はこれらの組み合わせによって形成される炭窒化物を母材内に再固溶させるためのステップである。Nb、V又はこれらの組み合わせで形成された炭窒化物が加熱炉内で再加熱時に溶解されず、残留することになると、高温維持時に連続的な粗大化によって後続工程である線材圧延工程でフェライト結晶粒の微細化が難しくなり、冷却時に混粒組織が生成される虞がある。
前記式(2)で、鋼片の再加熱温度がT1未満である場合には、Nb、V又はこれらの組み合わせによって形成される粗大な炭窒化物が完全に再固溶されず、鋼片の再加熱温度が1200℃を超過する場合には、オーステナイト組織が過度に成長して延性が低下する虞がある。
【0040】
再加熱された鋼片を線材に圧延するステップ
再加熱された鋼片を線材に圧延するステップは、下記式(3)を満足する仕上げ圧延温度(Tf)で熱間圧延する。
(3)T2≦Tf≦T3
ここで、T2=955-396[C]+24.6[Si]-68.1[Mn]-24.8[Cr]-36.1[Nb]-20.7[V]、T3=734+465[C]-355[Si]+360[Al]+891[Ti]+6800[Nb]-650√[Nb]+730[V]-232√[V]である。
【0041】
前記仕上げ圧延温度(Tf)は、合金微細組織に影響を及ぼすので、フェライト-パーライトの層状構造の形成において非常に重要な工程条件に該当する。前記式(3)の条件で仕上げ圧延するとき、フェライト-パーライトの層状構造がよく形成される。
前記式(3)で前記仕上げ圧延温度(Tf)がT2未満である場合、フェライト粒界の微細化による変形抵抗が増加して冷間鍛造性が劣位となる虞があり、仕上げ圧延温度(Tf)がT3を超過する場合には、フェライト-パーライトの層状構造がよく形成されない虞がある。
また、前記仕上げ圧延温度で圧延するステップは、好ましくは、前処理ステップである式(1)を満足する再加熱ステップ以後、式(2)を満足する仕上げ圧延温度(Tf)で圧延し、フェライト-パーライトの層状構造内のフェライトの微細化及び分布の均質性をさらによく確保する。
【0042】
圧延された線材を巻取後に冷却するステップ
本発明で、圧延された線材を巻取後に冷却するステップは、前工程である仕上げ圧延条件で形成されたフェライト-パーライトの層状構造内のパーライトのラメラ間隔を制御するステップに該当する。
基本的に、フェライト-パーライトからなる組織で、パーライトは、強度の側面では有利であるが、靭性を低下させる主な要因として作用する。このとき、パーライトのラメラ間隔が微細である場合に靭性において相対的に有利に作用する側面がある。
したがって、本発明の冷却するステップでは、このようなパーライトのラメラ間隔を微細化するために冷却速度を適切に制御する必要がある。もし、冷却速度が過度に遅いと、ラメラ間隔が広くなって延性が不足する虞があり、過度に速いと、低温組織が発生して靭性を急激に低下させる虞がある。
【0043】
本発明で、冷却時の好ましい平均冷却速度は、0.1~2℃/secである。もし、平均冷却速度が0.1℃/sec未満である場合には、パーライト組織のラメラ間隔が広くなって延性が低下する虞があり、平均冷却速度が2℃/secを超過する場合、低温組織が生成されて鋼の強度を過度に増加させて靭性を急激に低下させる虞がある。
冷却時の平均冷却速度は、より好ましくは、0.3~1℃/secである。前記の速度範囲で、線材の強度を十分に確保すると共に延性及び靭性に優れた非調質線材を得ることができる。
【0044】
上記のとおり、本発明では、フェライト-パーライトの層状構造を形成するために鋼片の再加熱温度、圧延温度及び後続する冷却工程を制御する。すなわち、本発明は、上記の成分系を満足する鋼片を再加熱-圧延-冷却からなる一連の工程を含むことにおいて、前記再加熱、圧延及び冷却条件を最適化することに特徴がある。
以下、実施例を通じて本発明をより具体的に説明する。ただし、下記の実施例は、本発明を例示してより詳細に説明するためのものに過ぎず、本発明の権利範囲を限定するためのものではないという点に留意する必要がある。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載した事項とそこから合理的に類推される事項によって決定されるものである。
【0045】
<実施例>
下記表1のような合金組成を有する鋼片を成分条件に合う加熱温度で3時間加熱した後、線径20mmで熱間圧延して線材を製造した。このとき、仕上げ圧延温度は、成分条件に合わせて設定して実施し、巻取後に任意の冷却速度で冷却した。
その後、電子顕微鏡を用い、微細組織の種類及び面積分率、フェライトのバンドの厚さ及びパーライトのラメラ間隔などを分析及び測定し、その結果を下記表2に示した。
その後、30~60%伸線加工後に断線の有無、常温引張強度及び常温衝撃靭性を測定し、その結果を下記表3に一緒に示した。伸線加工性の表現は、伸線加工中に断線が発生しない場合は、○、断線が1回以上発生した場合は、×で表記した。
ここで、常温引張強度は、25℃で非調質鋼の試片の中心部から採取して測定し、常温衝撃靭性は、25℃でUノッチ(U-notch規格サンプル基準、10×10×55mm)を有する試片を作成し、シャルピー衝撃試験を行って得たシャルピー衝撃エネルギー値で評価したものである。
【0046】
【表1】
【0047】
【表2】
【0048】
【表3】
【0049】
以下、表1~3に基づき各発明例と比較例を比較評価する。
表1~3に示したとおり、本発明の合金組成及び製造条件を満足する発明例1~5の場合、圧延方向に発達したフェライト-パーライトの層状構造により強度を確保すると共に伸線加工性及び衝撃靭性に優れていた。
一方、比較例1~6の場合、本発明で提案する合金組成または製造条件を満足しない場合であって、本発明で提案する圧延方向へのフェライト-パーライトの層状構造が十分に形成されず発明例に比べて伸線加工時に断線の発生率が高く、低い衝撃靭性を示した。
【0050】
比較例1は、炭素当量(Ceq)が0.347で0.4未満であり、仕上げ圧延温度(Tf)がT2未満であった。これによって、比較例1の非調質線材は、L断面のフェライトのバンドの平均厚さが32μmで30μmよりさらに厚く、C断面の硬度偏差が32Hvで30Hvを超過し、30~60%伸線加工後の平均常温衝撃靭性の差が40J以上である65Jであって、本発明の式(1)を満足しなかった。
【0051】
比較例2は、仕上げ圧延温度(Tf)がT3を超過した。これによって、比較例2の非調質線材は、L断面のフェライトのバンドの平均厚さが36μmで30μmよりさらに厚く、C断面のフェライトの平均粒径は、25μmで20μmを超過し、55%伸線加工後の衝撃靭性が97Jで100Jより小さく、30~60%伸線加工後の平均常温衝撃靭性の差が40J以上である54Jであって、本発明の式(1)を満足しなかった。
【0052】
比較例3は、再加熱温度(Tr)がT1を超過し、平均冷却速度が0.08℃/sで0.1℃/sより小さかった。これによって、比較例3の非調質線材は、パーライトの平均ラメラ間隔が0.34μmで0.3μmを超過し、45%、55%伸線加工後の衝撃靭性が各88J、61Jで100Jより小さく、55%伸線加工後に断線が発生し、30~60%伸線加工後の平均常温衝撃靭性の差が40J以上である41Jであって、本発明の式(1)を満足しなかった。
【0053】
比較例4は、炭素当量(Ceq)が0.677で0.6を超過し、再加熱温度(Tr)がT1を超過し、仕上げ圧延温度(Tf)がT3を超過し、平均冷却速度が2.4℃/sで2℃/sを超過した。これによって、比較例4の非調質線材は、L断面のフェライトのバンドの平均厚さが31μmで30μmよりさらに厚く、35%、45%、55%伸線加工後の衝撃靭性が各94J、74J、52Jで100Jより小さく、45%、55%伸線加工後に断線が発生し、30~60%伸線加工後の平均常温衝撃靭性の差が40J以上である42Jであって、本発明の式(1)を満足しなかった。
【0054】
比較例5は、炭素の含量が0.38重量%で0.35重量%を超過し、炭素当量(Ceq)も0.612で0.6を超過し、平均冷却速度が0.05℃/sで0.1℃/sより小さかった。これによって、比較例5の非調質線材は、フェライトの面積分率が28%で30%未満であり、C断面のフェライトの平均粒径が22μmで20μmを超過し、パーライトの平均ラメラ間隔が0.32μmで0.3μmを超過し、C断面の硬度偏差は、36Hvで30Hvを超過し、35%、45、55%伸線加工後の衝撃靭性が各81J、62J、38Jで100Jより小さく、45%、55%伸線加工後に断線が発生し、30~60%伸線加工後の平均常温衝撃靭性の差が40J以上である43Jであって、本発明の式(1)を満足しなかった。
【0055】
比較例6は、炭素の含量が0.43重量%で0.35重量%を超過し、炭素当量(Ceq)も0.690で0.6を超過する。これによって、比較例6の非調質線材は、フェライトの面積分率が21%で30%未満であり、C断面の硬度偏差は、41Hvで30Hvを超過し、35%、45%、55%伸線加工後の衝撃靭性が各61J、43J、25Jで100Jより小さく、35%、45%、55%伸線加工後に断線が発生した。
このことから、本発明の非調質線材及びその製造方法は、合金組成及び製造条件を制御して追加熱処理なしでも優れた伸線加工性及び衝撃靭性の非調質線材を提供することができることが分かる。
【0056】
以上、本発明の例示的な実施例を説明したが、本発明はこれに限定されず、該当技術分野において通常の知識を有した者であれば、次に記載する特許請求の範囲の概念と範囲を脱しない範囲内で多様に変更及び変形が可能であることを理解すべきである。
図1