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特許7475378運行管理システム及び運行管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】運行管理システム及び運行管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240419BHJP
   G06Q 30/0207 20230101ALI20240419BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q30/0207
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022013228
(22)【出願日】2022-01-31
(65)【公開番号】P2023111390
(43)【公開日】2023-08-10
【審査請求日】2023-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】520184767
【氏名又は名称】プライムプラネットエナジー&ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117606
【弁理士】
【氏名又は名称】安部 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100136423
【弁理士】
【氏名又は名称】大井 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100121186
【弁理士】
【氏名又は名称】山根 広昭
(74)【代理人】
【識別番号】100130605
【弁理士】
【氏名又は名称】天野 浩治
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 克史
(72)【発明者】
【氏名】永井 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】安藤 幹
(72)【発明者】
【氏名】家親 正典
【審査官】山崎 誠也
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-041324(JP,A)
【文献】特開2019-087142(JP,A)
【文献】特開2015-005205(JP,A)
【文献】神田 充,相互認証と暗号化処理を統合するスマートメータ用統合鍵管理技術AMSO,東芝レビュー,株式会社東芝,2010年09月01日,第65巻,第9号,第23-27頁
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
運行会社が所有する電動車両に搭載されており、乗客が仕払うべき運賃を電力に換算した第1電力を計算する車両搭載端末と、
商業施設に設置されており、前記乗客が来店処理を行うことによって、前記第1電力に割引処理を行った第2電力を計算する施設設置端末と、
前記乗客の住居に設置されており、外部系統を介して前記商業施設と接続されている自家発電設備と、
前記乗客からの指示に基づいて、前記外部系統を介して前記自家発電設備から前記商業施設に前記第2電力を供給する処理を行うように前記自家発電設備を制御する電力供給処理部と、
前記運賃を含む運行代金を前記商業施設から前記運行会社に振り込む代金振込部と
を備えた電動車両の運行管理システム。
【請求項2】
前記車両搭載端末は、前記第1電力を含む乗車情報である乗車証明を発行する乗車証明発行部を備えており、
前記来店処理において、前記乗客が前記乗車証明を前記施設設置端末に読み込ませる、請求項1に記載の運行管理システム。
【請求項3】
画像表示装置と、当該画像表示装置に前記商業施設の広告を表示される広告表示部とが前記電動車両に搭載されており、
前記代金振込部は、前記広告の対価を前記運行代金に加算して前記運行会社に振り込む、請求項1または2に記載の運行管理システム。
【請求項4】
前記乗客が所有する携帯端末に前記商業施設の広告を送信する広告送信部が前記電動車両に搭載されており、
前記代金振込部は、前記広告の対価を前記運行代金に加算して前記運行会社に振り込む、請求項1~3のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項5】
前記代金振込部は、前記乗客の来店に対応した来店報酬を前記運行代金に加算して前記運行会社に振り込む、請求項1~4のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項6】
前記施設設置端末は、前記商業施設における前記乗客の支払額に基づいて前記第2電力を減算する、請求項1~5のいずれか一項に記載の運行管理システム。
【請求項7】
前記代金振込部は、前記商業施設における前記乗客の支払額の一部を前記運行代金に加算して前記運行会社に振り込む、請求項6に記載の運行管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、運行管理システム及び運行管理プログラムに関する。詳しくは、電動車両の運賃に関する管理を行う運行管理システムと、当該運行管理システムをコンピュータに実行させる運行管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、太陽光発電装置などの自家発電設備が一般家庭に普及しつつある。そして、この自家発電設備の普及に伴って、家庭での余剰電力を他者(例えば、電力会社)に供給して対価(インセンティブ)を得る売電処理も広く行われている。さらに、電力会社以外の企業の施設(工場や商業施設など)に乗客が直接売電するようなシステムも提案されている。例えば、特許文献1では、電動車両(EVバスなど)を利用した乗客が、運賃の代わりに運行会社へ売電するシステムが提案されている。具体的には、特許文献1に記載の運行管理システムでは、電動車両の運行区間の消費電力量と通過人員(乗車人員)から1人当たりの消費電力量を算出する。そして、この運行管理システムでは、乗客が売電電力量を登録し、当該売電電力量と一人当たりの消費電力量から、乗客が実際に支払うべき運賃を算出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-5205号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の運行管理システムによると、電動車両の乗客に対して、自宅の余剰電力で交通サービスを利用できるというメリットを提供できる。しかしながら、この運行管理システムは、交通サービスを提供する運行会社へのメリットが少ないという問題がある。例えば、電動車両を所有する運行会社は、自家発電設備を併せて所有していることが多い。この場合、運賃の代わりに運行会社が電力を受領しても、自身の余剰電力が増大するだけである。そして、運行会社が金銭的な利益を得るには、余剰電力を第三者(電力会社等)に売電する必要が生じる。すなわち、運行会社の視点で見ると、従来の運行管理システムは、金銭的利益を得るための手間が増えるだけであり、導入のメリットが少ないと言わざるを得なかった。
【0005】
本発明は、かかる課題を解決するためになされたものであり、システム利用者の各々に対して一定の利益が生じる運行管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の課題を解決するために、以下の構成の運行管理システムが提供される。
【0007】
ここに開示される運行管理システムは、運行会社が所有する電動車両に搭載されており、乗客が仕払うべき運賃を電力に換算した第1電力を計算する車両搭載端末と、商業施設に設置されており、乗客が来店処理を行うことによって、第1電力に割引処理を行った第2電力を計算する施設設置端末と、乗客が商業施設に第2電力を供給する処理を行う電力供給処理部と、運賃を含む運行代金を商業施設から運行会社に振り込む代金振込部とを備えている。
【0008】
ここに開示される運行管理システムでは、商業施設内の施設設置端末に乗客が来店処理を行うことによって、運賃の代わりに供給すべき電力に対して割引処理が行われる。すなわち、本システムによると、電動車両の乗客に対して、自宅の余剰電力で交通サービスを利用できるというメリットだけでなく、実質的な運賃割引というメリットも提供できる。次に、ここに開示される運行管理システムでは、乗客が来店処理を行った商業施設から運行会社に運行代金(運賃を含む各種料金)が振り込まれる。すなわち、本システムによると、運行会社に対して、従来のシステムよりも容易に金銭的利益を得ることができるというメリットを提供できる。そして、ここに開示される運行管理システムでは、上記割引処理後の電力(第2電力)が乗客から商業施設に供給される。一般的に、商業施設は、非常に多くの電力を消費するため、乗客の余剰電力を受領するメリットが運行会社よりも大きい。加えて、本システムを乗客が利用するには、商業施設内に設置された施設設置端末で来店処理を行う必要がある。このため、本システムによると、来店者数の増加という商業施設にとって最も重要なメリットを提供できる。以上の通り、ここに開示される運行管理システムによると、システム利用者の各々に対して一定の利益を生じさせることができる。
【0009】
ここに開示される運行管理システムの好適な一態様では、車両搭載端末は、第1電力を含む乗車情報である乗車証明を発行する乗車証明発行部を備えており、来店処理において、乗客が乗車証明を施設設置端末に読み込ませる。これによって、商業施設への来店処理を容易かつ正確に実施することができる。
【0010】
ここに開示される運行管理システムの好適な一態様では、画像表示装置と、当該画像表示装置に商業施設の広告を表示される広告表示部とが電動車両に搭載されており、代金振込部は、広告の対価を運行代金に加算して運行会社に振り込む。本態様によると、来店者数の増加というメリットを商業施設に提供できる一方で、金銭的利益の増大というメリットを運行会社に提供できる。
【0011】
ここに開示される運行管理システムの好適な一態様では、乗客が所有する携帯端末に商業施設の広告を送信する広告送信部が電動車両に搭載されており、代金振込部は、広告の対価を運行代金に加算して運行会社に振り込む。本態様を採用した場合も、来店者数の増加というメリットを商業施設に提供できる一方で、金銭的利益の増大というメリットを運行会社に提供できる。
【0012】
ここに開示される運行管理システムの好適な一態様では、代金振込部は、乗客の来店処理に対応した来店報酬を運行代金に加算して運行会社に振り込む。これによって、運行会社に対して金銭的利益の増大というメリットを提供できる。
【0013】
ここに開示される運行管理システムの好適な一態様では、施設設置端末は、商業施設における乗客の支払額に基づいて第2電力を減算する。本態様によると、第2電力の減算というメリットを乗客に提供できると共に、乗客の消費活動の促進というメリットを商業施設に提供できる。
【0014】
また、上記乗客の支払額に基づいて第2電力を減算する態様において、代金振込部は、商業施設における乗客の支払額の一部を運行代金に加算して運行会社に振り込むことが好ましい。これによって、金銭的利益の増大というメリットを運行会社に提供できる。
【0015】
また、ここに開示される技術の他の側面として運行管理プログラムが提供される。かかる運行管理プログラムは、運行会社が所有する電動車両の利用に対して乗客が仕払うべき運賃を電力に換算した第1電力を計算するステップと、乗客が商業施設に来店したことを記録する来店処理が行われた際に、第1電力に割引処理を行った第2電力を計算するステップと、乗客が商業施設に第2電力を供給するステップと、運賃を含む運行代金を、商業施設から運行会社に振り込むステップとをコンピュータに実行させるように構成されている。かかる運行管理プログラムによると、上記構成の運行管理システムを容易に構築できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】一実施形態に係る運行管理システムを示す概念図である。
図2】一実施形態に係る運行管理システムで使用される各端末の構成を示すブロック図である。
図3】一実施形態に係る運行管理システムにおける処理ステップの概要を示すフローチャートである。
図4図3中の「電動車両の利用S100」における処理手順の一例を示すフローチャートである。
図5図3中の「商業施設の利用S200」における処理手順を示すフローチャートである。
図6図3中の「第2電力の供給S300」の処理手順を示すフローチャートである。
図7図3中の「運行代金の振込S400」の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<第1の実施形態>
以下、ここで開示される技術の一実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、本明細書において特に言及している事項以外の事柄であって、ここで開示される技術の実施に必要な事柄(例えば、システムを構築する各機器の構成等)は、当該分野における従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。ここで開示される技術は、本明細書に開示されている内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。なお、以下の説明で参照する図面では、同じ作用を奏する部材・部位に同じ符号を付している。
【0018】
1.運行管理システムの構成
図1は、本実施形態に係る運行管理システムを示す概念図である。また、図2は、運行管理システムで使用される各端末の構成を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態に係る運行管理システムは、乗客1と、運行会社2と、商業施設3とが利用するシステムである。以下、各々について説明する。
【0019】
(1)乗客
図1に示すように、乗客1の住居100には、自家発電設備110が設置されている。かかる自家発電設備110は、外部系統400と電気的に接続されている。そして、自家発電設備110は、外部系統400を介して他者に余剰電力を供給(売電)できるように構成されている。なお、自家発電設備110は、ここに開示される技術を限定するものではなく、従来公知の発電設備を特に制限なく使用できる。例えば、自家発電設備110は、太陽光発電装置、ガス発電装置、風力発電装置などの発電装置を備えている。また、自家発電設備110は、上記発電装置と接続された蓄電装置を備えていることが好ましい。これによって、発電装置で生じた電力を蓄電装置に蓄積できるため、売電用の余剰電力を効率よく確保することができる。なお、蓄電機器としては、リチウムイオン二次電池などの二次電池などを使用できる。
【0020】
また、乗客1は、乗客用端末10を所有している。図2に示すように、本実施形態における乗客用端末10は、乗車証明を記憶する乗車証明記憶部12と、支払額Pを記憶する支払額記憶部14と、第2電力Eを記憶する第2電力記憶部15と、他者への電力供給(売電)を自家発電設備110に指示する電力供給処理部16と、外部機器との通信を実施する通信部18とを備えている。なお、各部における詳細な処理の内容は後述する。また、本明細書における「通信部」による通信方式は、特に限定されず、有線通信でもよく、無線通信でもよい。また、乗客用端末10は、各種情報を表示する画像表示手段(ディスプレイ等)を有していてもよい。この乗客用端末10の具体的な構成の一例として、スマートフォン、タブレット端末、モバイルコンピュータなどの携帯端末が挙げられる。但し、乗客用端末10の構成は、ここに開示される技術を限定するものではなく、必要に応じて構成を適宜変更できる。
【0021】
(2)運行会社
運行会社2は、自らが所有する電動車両200を用いて乗客1に交通サービスを提供する。かかる電動車両200の一例として、EVバスやEVタクシーが挙げられる。以下では、電動車両200がEVバスである場合について説明する。図1に示すように、電動車両200がEVバスである場合、当該電動車両200の走行ルート上に複数の停留所210が存在する。各々の停留所210は、乗客1の住居100や商業施設3の付近に設置される。電動車両200は、各々の停留所210で停車して乗客1を乗降させる。これによって、乗客1を所望の場所まで運搬できる。このとき、乗客1には、電動車両200を利用した対価である運賃Fを運行会社2に支払う義務が生じる。
【0022】
また、電動車両200には、車両搭載端末20が搭載されている。図2に示すように、この車両搭載端末20は、乗客1の乗車情報を記憶する乗車情報記憶部22と、乗客1が支払うべき運賃Fを計算する運賃計算部24と、当該運賃Fを電力に換算した第1電力Eを計算する第1電力計算部26と、乗客1に乗車証明を発行する乗車証明発行部28と、外部機器との通信を実施する通信部29とを備えている。なお、各部における詳細な処理の内容は後述する。また、車両搭載端末20の構成も、ここに開示される技術を限定するものではなく、必要に応じて構成を適宜変更できる。例えば、車両搭載端末20は、電動車両200の車内に設置されたコンピュータでもよいし、電動車両200の乗務員(運転者等)に貸与された携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、モバイルコンピュータなど)でもよい。
【0023】
また、本実施形態における電動車両200には、画像表示装置(図示省略)と、広告表示部21が搭載されている。広告表示部21は、画像表示装置に商業施設3の広告を表示させる。また、この電動車両200には、広告送信部23も搭載されている。広告送信部23は、乗客用端末10に商業施設3の広告を送信する機器である。これによって、乗客1は、自らの乗客用端末10で商業施設3の広告を閲覧できる。これらの広告表示手段を電動車両200に搭載することによって、商業施設3への来客を促すことができる。また、詳しくは後述するが、本実施形態に係る運行管理システムは、このような広告を表示した対価(広告料A)が商業施設3から運行会社2に支払われるように構成されている。
【0024】
(3)商業施設
本明細書における「商業施設」は、商品又は役務を提供して対価を得る施設を広く包含する概念である。すなわち、ここに開示される技術は、商業施設にて提供される商品(又は役務)の種類及び商業施設の業種によって限定されるものではない。また、商業施設は、民間施設、公共施設を問わない。この商業施設の一例として、ショピングセンター、商店街、遊園地、宿泊施設、飲食店、観光施設、学習塾、カルチャースクール、病院、郵便局、娯楽施設(映画館、公衆浴場等)などが挙げられる。
【0025】
図1に示すように、本実施形態に係る運行管理システムでは、商業施設3に施設設置端末30が設置されている。この施設設置端末30は、乗客1による来店処理が実施される来店処理部31と、乗客1の来店処理に基づいて第2電力Eを計算する第2電力計算部32と、外部機器との通信を実施する通信部33とを備えている(図2参照)。より具体的には、来店処理部31は、乗車証明を記憶する乗車証明記憶部31aと、商業施設3における乗客1の支払額Pを記憶する支払額記憶部31bとを備えている。また、第2電力計算部32は、第1電力Eを記憶する第1電力記憶部32aと、第1電力Eから第2電力Eを計算する計算処理部32bとを備えている。なお、各部における詳細な処理の内容は後述する。また、施設設置端末30は、各種情報を表示する画像表示手段(ディスプレイ等)を有していてもよい。なお、施設設置端末30の構成は、ここに開示される技術を限定するものではなく、必要に応じて構成を適宜変更できる。例えば、施設設置端末30は、商業施設3の店内の特定の位置に固定されたコンピュータでもよいし、商業施設3の店員に貸与された携帯端末(スマートフォン、タブレット端末、モバイルコンピュータなど)でもよい。
【0026】
(4)管理端末40
また、本実施形態における商業施設3は、管理端末40も所有している(図1参照)。図2に示すように、管理端末40は、施設設置端末30で計算された第2電力Eを記憶する第2電力記憶部42と、運行代金Cを運行会社2に振り込む代金振込部48と、外部機器との通信を実施する通信部49とを備えている。また、本実施形態における管理端末40は、運行代金Cの算出に用いられる各種料金を記憶する料金記憶部44と、当該各種料金に基づいて運行代金Cを算出する代金算出部46を備えている。具体的には、料金記憶部44は、乗客1が運行会社2に支払うべき運賃Fを記憶する運賃記憶部44aと、電動車両200内で表示された広告の対価(広告料A)を記憶する広告料記憶部44bと、商業施設3における乗客1の支払額Pを記憶する支払額記憶部44cとを備えている。なお、各部の詳細は後述する。また、管理端末40の構成も、ここに開示される技術を限定するものではない。管理端末40は、商業施設3の店内に設置されたコンピュータでもよい。
【0027】
なお、上述した各部は、各々の端末のハードウェアと、当該ハードウェアに記憶されたプログラムによって実現される。すなわち、ここに開示される技術によると、上記構成のシステム制御装置(コンピューター)を実現する電力管理プログラムも提供される。
【0028】
2.運行管理システムの処理ステップ
次に、本実施形態に係る運行管理システムの処理ステップについて説明する。図3は、本実施形態に係る運行管理システムにおける処理ステップの概要を示すフローチャートである。図3に示すように、本実施形態における処理ステップは、電動車両の利用S100と、商業施設の利用S200と、第2電力の供給S300と、運行代金の振込S400を備えている。以下、各ステップについて説明する。
【0029】
(1)電動車両の利用S100
図3中の「電動車両の利用S100」は、乗客1が電動車両200を利用する際の処理ステップである。図4は、図3中の「電動車両の利用S100」における処理手順の一例を示すフローチャートである。図4に示すように、本地市形態における電動車両の利用S100では、乗車処理S110と、広告表示処理S120と、降車処理S130と、運賃計算処理S140と、第1電力算出処理S150と、乗車証明発行処理S160とが実施される。
【0030】
(1-1)乗車処理S110
本ステップでは、電動車両200に乗客1が乗車したことが車両搭載端末20に記憶される。具体的には、乗客1は、電動車両200に乗車した際に乗客用端末10と車両搭載端末20とを通信させる。これによって、乗客1の乗車情報が乗車情報記憶部22に記憶される。なお、上記乗車情報には、乗客1を特定する情報(氏名等)、乗車位置(停留所210の名称等)、乗車日時などの情報が含まれる。
【0031】
(1-2)広告表示処理S120
次に、本ステップにおいて、電動車両200は、乗車中の乗客1に対して商業施設3の広告を表示する。例えば、電動車両200の広告表示部21は、走行ルート上に存在する商業施設3の広告を車内の画像表示装置に表示する。一方、広告送信部23は、乗客用端末10に商業施設3の広告を送信する。このとき、乗客1は、広告送信部23から受信した広告を乗客用端末10の画像表示手段に表示させることができる。また、乗客用端末10は、広告送信部23から送信された広告の中から、乗客1の趣向に沿った広告を選択して表示できるように構成されていてもよい。これらの広告の車両内で表示させることによって、来店者数の増加というメリットを商業施設3に提供できる。なお、乗客1の乗車中に表示された広告は、乗車情報記憶部22に記録される。
【0032】
(1-3)降車処理S130
そして、電動車両200が目的地に到着した際に、乗客1は、降車処理S130を実施する。具体的には、本ステップにおいて、乗客1は、乗客用端末10と車両搭載端末20とを再度通信させる。これによって、乗客1の降車情報が乗車情報記憶部22に記憶される。この降車情報には、降車位置(停留所210の名称等)、降車日時などの情報が含まれる。
【0033】
(1-4)運賃計算処理S140
次に、車両搭載端末20は、乗客1が降車処理を実施したタイミングで運賃Fを計算する運賃計算処理S140を実施する。例えば、運賃Fは、乗客1の乗車位置と乗車位置に基づいて算出される。具体的には、運賃計算部24は、乗車情報記憶部22に記録された乗車位置と降車位置に基づいて運行距離を算出する。そして、運賃計算部24には、運行距離と運賃Fとの対応関係を設定した運賃テーブルが記憶されている。運賃計算部24は、この運賃テーブルを参照することによって、乗客1が支払うべき運賃Fを算出する。そして、算出後の運賃Fは、第1電力計算部26と乗車証明発行部28に送信される。
【0034】
(1-5)第1電力算出処理S150
本ステップにおいて、第1電力計算部26は、乗客1が支払うべき運賃Fを第1電力Eに換算する。例えば、第1電力計算部26には、運賃F(金銭)と第1電力E(kWh)との対応関係を設定した電力変換テーブルが記憶されている。第1電力計算部26は、この電力変換テーブルを参照することによって、運賃Fに対応した第1電力Eを算出する。そして、算出後の第1電力Eは、乗車証明発行部28に送信される。
【0035】
(1-6)乗車証明発行処理S160
次に、車両搭載端末20は、降車処理を実施した乗客1に対して乗車証明を発行する乗車証明発行処理S160を実施する。例えば、乗車証明発行部28は、通信部29を介して乗客用端末10に乗車証明を送信する。そして、この乗車証明は、乗客用端末10の乗車証明記憶部12に記憶される。なお、本明細書における「乗車証明」とは、乗客による電動車両の利用に伴って生じた種々の乗車情報の総称である。ここに開示される技術における乗車証明は、少なくとも、第1電力Eを含んでいる。すなわち、乗車証明は、第1電力Eを含んでいれば特に限定されず、第1電力E以外の情報を適宜付加することもできる。例えば、本実施形態における乗車証明には、上記「第1電力E」の他に、「乗客が支払うべき運賃F」、「乗車中に表示された広告の内容」および「電動車両の利用時間」が含まれている。
【0036】
(2)商業施設の利用S200
図3中の「商業施設の利用S200」は、電動車両200を降車した乗客1が商業施設3を利用する際の処理ステップである。図5は、図3中の「商業施設の利用S200」における処理手順を示すフローチャートである。図5に示すように、本実施形態における商業施設の利用S200では、支払額記憶処理S210と、来店処理S220、第2電力算出処理S230と、乗客通知処理S240とが実施される。
【0037】
(2-1)支払額記憶処理S210
まず、乗客1は、商業施設3においてサービス(商品の販売や役務の提供など)を受けた場合に、当該サービスの対価を商業施設3に支払う。そして、支払われた対価の金額(支払額P)は、乗客用端末10の支払額記憶部14に記憶される。なお、対価を要するサービスを乗客1が受けていない場合、本ステップは省略される。
【0038】
(2-2)来店処理S220
次に、乗客1は、商業施設3に設置された施設設置端末30に、自身が来店したことを記録させる来店処理S220を行う。例えば、本ステップにおいて、乗客1は、乗客用端末10と施設設置端末30を通信させる。このとき、乗客用端末10は、乗車証明記憶部12に記憶していた乗車証明を施設設置端末30に送信する。そして、施設設置端末30は、受信した乗車証明を乗車証明記憶部31aに記憶する。上述した通り、乗車証明は、乗客1の乗車情報(運賃F、第1電力E、乗車時間など)を含んでいる。このため、この乗車証明を施設設置端末30に送信することによって、来店処理を容易かつ正確に実施できる。
【0039】
また、来店処理S220の前に支払額記憶処理S210が実施され、乗客用端末10の支払額記憶部14に支払額Pが記憶されている場合、この支払額Pも施設設置端末30に送信される。そして、この支払額Pは、施設設置端末30の支払額記憶部31bに記憶される。詳しくは後述するが、この支払額Pは、第2電力Eや運行代金Cの算出に使用される。
【0040】
また、乗車証明に「電動車両の利用時間」が含まれている場合、施設設置端末30は、当該「電動車両の利用時間」に基づいて、乗客1による来店処理が正当なものであるか否かを判定してもよい。例えば、来店処理の時間と電動車両の利用時間とが大きく乖離している(例えば1日以上の乖離がある)場合、施設設置端末30は、来店時に電動車両200を利用していないと判断して、この後の処理を停止してもよい。
【0041】
(2-3)第2電力算出処理S230
本実施形態における施設設置端末30は、来店処理を受け付けた際に第2電力Eを計算する第2電力算出処理S230を実施する(図5参照)。具体的には、本実施形態では、乗車証明記憶部31aに記憶された乗車証明に第1電力Eが含まれている。施設設置端末30の第2電力計算部32は、この乗車証明から第1電力Eを抽出して第1電力記憶部32aに記憶させる。そして、第2電力計算部32の計算処理部32bは、第1電力記憶部32aに記憶された第1電力Eに割引処理を行って第2電力Eを算出する。ここで、上記計算処理部32bには、来店処理に対応した割引率が予め設定されている。かかる割引率は、商業施設3の管理者等が任意に設定できる。そして、計算処理部32bは、割引率に基づいて第1電力Eを低減させた電力量を、電動車両200を利用した対価として乗客1が供給すべき電力量(第2電力E)とみなす。そして、この第2電力Eは、管理端末40に送信され、第2電力記憶部42に記憶される。このように、本実施形態に係る運行管理システムでは、電動車両200を利用した対価として乗客1が供給すべき電力量が、商業施設3への来店処理によって減算される。これによって、実質的な運賃の割引というメリットを乗客1に提供できる。一方で、この減算処理(第2電力算出処理S230)は、商業施設3内の施設設置端末30に対して来店処理S220を実施しないと開始されない。このため、商業施設3に対しては、来店者数の増加というメリットを提供することができる。
【0042】
また、本実施形態における施設設置端末30は、商業施設3における乗客1の支払額Pに基づいて第2電力Eを減算するように構成されている。具体的には、本実施形態における計算処理部32bは、第1電力Eから第2電力Eを計算する際に、支払額記憶部31bに記憶された支払額Pを参照する。そして、計算処理部32bは、乗客1の支払額Pの一部(例えば数%程度)を電力量に換算し、算出した電力量を減算して第2電力Eを算出する。すなわち、本実施形態では、商業施設3における乗客1の支払額Pが多くなるにつれて第2電力Eが減少する。これによって、第2電力Eの減少というメリットを乗客1に提供できると共に、乗客1の消費活動の促進というメリットを商業施設3に提供できる。
【0043】
(2-4)乗客通知処理S240
次に、本実施形態における施設設置端末30は、算出した第2電力Eを乗客1に通知する。具体的には、施設設置端末30は、通信部33を介して第2電力Eの情報を乗客用端末10に送信する。そして、乗客用端末10は、受信した第2電力Eの情報を第2電力記憶部15に記憶すると共に、第2電力Eを商業施設3に供給するよう乗客1に通知する。
【0044】
(3)第2電力の供給S300
図3中の「第2電力の供給S300」は、第2電力Eの通知を受け取った乗客1が商業施設3に第2電力Eを供給する処理ステップである。図6は、図3中の「第2電力の供給S300」の処理手順を示すフローチャートである。図6に示すように、第2電力の供給S300では、電力供給処理S310と、売電連絡処理S320と、電力受領通知処理S330が実施される。
【0045】
(3-1)電力供給処理S310
本ステップにおいて、乗客1は、自家発電設備110に対して、第2電力Eに相当する電力を商業施設3に供給するよう指示する。具体的には、乗客1は、乗客用端末10の電力供給処理部16に、第2電力Eに相当する電力を商業施設3に供給するように設定する。そして、電力供給処理部16は、通信部18を介して自家発電設備110に乗客1の指示を送信する。そして、この乗客1の指示を受信した自家発電設備110は、外部系統400を介して商業施設3に、第2電力Eに相当する電力が供給されるように充放電を制御する。
【0046】
(3-2)売電連絡処理S320
次に、乗客用端末10の電力供給処理部16は、通信部18を介して管理端末40に、自家発電設備110から商業施設3に電力を供給した旨を送信する。そして、管理端末40は、第2電力記憶部42に記憶された第2電力Eと、乗客から供給された電力とを比較し、乗客1から第2電力Eが供給されているか否かを判断する。
【0047】
(c)電力受領通知処理S330
本ステップにおいて、管理端末40は、自家発電設備110からの電力を受領したことを乗客用端末10に送信する。このとき、自家発電設備110からの供給電力が第2電力Eに相当していた場合、管理端末40は、第2電力Eが適切に供給された旨を乗客用端末10に通知する。一方、供給電力が第2電力Eよりも少なかった場合、管理端末40は、第2電力Eと供給電力の差分(不足分)を乗客1に通知し、当該不足分の電力の供給を要求する。
【0048】
ここで、本ステップにて供給された第2電力Eは、商業施設3の運営に使用される。一般に、ショッピングセンターなどの商業施設3は、非常に多くの電力を消費する傾向がある。このため、商業施設3では、乗客1からの供給電力(第2電力E)が余剰電力となる可能性が低い。すなわち、商業施設3は、運行会社2に比べて、乗客1から電力が供給されるメリットが大きくなる。
【0049】
(4)運行代金の振込S400
次に、図3中の「運行代金の振込S400」は、運賃Fを含む運行代金Cを商業施設3から運行会社2に振り込む処理ステップである。図7は、図3中の「運行代金の振込S400」の処理手順を示すフローチャートである。図7に示すように、この運行代金の振込S400では、運賃記憶処理S410と、広告料記憶処理S420と、支払額記憶処理S430と、代金算出処理S440と、代金振込処理S450とが実施される。
【0050】
(4-1)運賃記憶処理S410
本ステップにおいて、管理端末40は、乗客1が支払うべき運賃Fを施設設置端末30から取得して記憶する。上述した通り、本実施形態では、乗車証明に運賃Fが含まれている。このため、管理端末40は、乗車証明記憶部31aに記憶された乗車証明から運賃Fを抽出し、料金記憶部44の運賃記憶部44aに記憶させる。なお、乗車証明に運賃Fが含まれていない場合、管理端末40は、第1電力Eに基づいて運賃Fを算出することができる。
【0051】
(4-2)広告料記憶処理S420
また、本実施形態における管理端末40は、電動車両200内で表示された広告の対価(広告料A)を施設設置端末30から取得して記憶する。上述の通り、本実施形態では、「乗車中に表示された広告の内容」が乗車証明に含まれている。管理端末40は、かかる広告の内容に基づいて広告料Aを算出し、広告料記憶部44bに記憶する。詳しくは後述するが、この広告料Aは、商業施設3が運行会社2に振り込む運行代金Cに加算される。これによって、商業施設3への来店者数の増加に貢献した運行会社2に対して金銭的利益の増大というメリットを提供できる。
【0052】
(4-3)支払額記憶処理S430
次に、管理端末40は、商業施設3における乗客の支払額Pを施設設置端末30から取得して記憶する。具体的には、管理端末40は、施設設置端末30の支払額記憶部31bから支払額Pを取得し、支払額記憶部44cに記憶する。詳しくは後述するが、この支払額Pに基づいて算出された加算料金P1も運行代金Cに加算される。これによって、多額の料金を支払う乗客1の来店に貢献した運行会社2に対して金銭的利益の増大というメリットを提供できる。
【0053】
(4-4)代金算出処理S440
次に、管理端末40の代金算出部46は、料金記憶部44に記憶された各種料金に基づいて運行代金Cを算出する。本実施形態における代金算出部46は、最初に、乗客1の支払額Pに基づいた加算料金P1を算出する。この加算料金P1は、例えば、支払額Pの数%程度に設定され得る。そして、代金算出部46は、運賃Fと広告料Aと加算料金P1と来店報酬Rを加算することによって運行代金Cを算出する。なお、ここでの「来店報酬R」とは、予め設定された定額の料金であり、乗客1が来店処理を行った際に自動的に加算されるように設定される。このような来店報酬Rを設定することによって、運行会社2の金銭的利益をより確実に確保できる。そして、本実施形態では、上述した種々の料金を運賃Fに加算して運行代金Cを算出する。これによって、運行会社2の金銭的利益を増加させることができるため、運行会社2が本システムを導入する動機を強めることができる。
【0054】
(4-5)代金振込処理S450
次に、本ステップでは、代金算出部46によって算出された運行代金Cを運行会社2に振り込む。具体的には、運行代金Cは、代金算出部46から代金振込部48に送信される。代金振込部48は、通信部49と外部ネットワークを介して運行会社2の銀行口座に運行代金Cを振り込む。このように、本実施形態に係る運行管理システムでは、乗客1が来店した商業施設3から運行会社2に運行代金C(運賃Fを含む各種料金)が振り込まれる。すなわち、本システムによると、運行会社2に対して、従来のシステムと比べて容易に金銭的利益を得ることができるというメリットを提供できる。
【0055】
3.まとめ
以上の通り、本実施形態に係る運行管理システムは、運行会社2が所有する電動車両200に搭載されており、乗客1が仕払うべき運賃Fを電力に換算した第1電力Eを計算する車両搭載端末20と、商業施設3に設置されており、乗客1が来店処理を行うことによって、第1電力Eに割引処理を行った第2電力Eを計算する施設設置端末30と、乗客1が商業施設3に第2電力Eを供給する処理を行う電力供給処理部16と、運賃Fを含む運行代金Cを商業施設3から運行会社2に振り込む代金振込部48とを備えている。
【0056】
この運行管理システムでは、電動車両200を利用して乗客1が商業施設3に来店したことを施設設置端末30に入力する来店処理を実施することによって、割引処理がされた第2電力Eで電動車両200を利用できるようになる。すなわち、本システムによると、乗客1に対して、余剰電力で交通サービスを利用できるというメリットだけでなく、運賃Fの実質的な割引という新たなメリットを提供できる。次に、本実施形態に係る運行管理システムでは、乗客1が来店処理を行った商業施設3から運行会社2に運行代金Cが振り込まれる。このため、本システムによると、運行会社2に対して、従来のシステムと比べて容易に金銭的利益を得ることができるというメリットを提供できる。そして、本実施形態に係る運行管理システムでは、乗客1が電動車両200を利用した際の対価となる第2電力Eが商業施設3に供給される。上述した通り、商業施設3は、余剰電力を供給されるメリットが運行会社2よりも大きい。さらに、本システムでは、商業施設3内の施設設置端末30で乗客1が来店処理を行う必要がある。このため、本システムによると、来店者数の増加という商業施設3にとって最も重要なメリットを提供できる。以上の通り、本実施形態に係る運行管理システムによると、システム利用者の各々に対して一定の利益を生じさせることができる。
【0057】
<他の実施形態>
以上、ここに開示される技術の一実施形態について説明した。なお、上述の実施形態は、ここに開示される技術が適用される一例を示したものであり、ここに開示される技術を限定するものではない。
【0058】
例えば、図1及び図2に示すように、上述の実施形態では、管理端末40に代金振込部48が内蔵されている。しかしながら、ここに開示される技術における代金振込部は、商業施設から運行会社への運行代金の振込ができる端末に内蔵されていればよく、管理端末に内蔵された形態に限定されない。例えば、代金振込部は、施設設置端末に内蔵されていてもよいし、施設設置端末と通信可能な外部コンピュータに内蔵されていてもよい。これらの形態であっても、商業施設から運行会社に運行代金を振り込むことができる。
【0059】
また、上述の実施形態では、乗客1が乗客用端末10を所有している。しかし、ここに開示される技術において、乗客用端末10は、必須の構成ではない。すなわち、乗客1が乗客用端末10を所有していない場合でも、ここに開示される運行管理システムを実施することができる。例えば、上述の実施形態では、電動車両200に乗車した際の乗車証明を乗客用端末10の乗車証明記憶部12に記憶させている。しかしながら、乗車証明は、運賃Fを含む乗車情報が記録された磁気シートの形態で発行することもできる。この場合には、磁気シートを施設設置端末に読み込ませることによって来店処理を行うことができる。また、磁気シートを採用する場合には、来店処理後に計算した第2電力は、磁気シートに印字するとよい。これによって、乗客が商業施設に供給すべき第2電力を、乗客に通知することができる。また、上述の実施形態では、乗客用端末10に電力供給処理部16が内蔵されている。しかし、電力供給処理部は、乗客の自宅に設置されたPCなどに内蔵されていてもよい。かかる構成の電力供給処理部を採用した場合でも、自家発電設備から商業施設に第2電力を供給することができる。
【0060】
上述の実施形態では、運賃Fに、種々の料金(支払額Pに基づいた加算料金P1、広告料A、来店報酬Rなど)を加算することによって運行代金Cを算出している。しかしながら、運行代金Cは、乗客が支払うべき運賃Fを含んでいればよく、他の料金が加算されていなくてもよい。運賃Fのみが運行代金Cとして運行会社に振り込まれる場合でも、金銭的利益を容易に得ることができるというメリットを運行会社に提供できる。なお、運賃F以外の料金を加算するか否かについては、商業施設と運行会社との契約に基づいて適宜設定することが好ましい。
【0061】
また、ここに開示される運行管理システムでは、電動車両の車両搭載端末や商業施設の施設設置端末に乗客の情報が記憶される。このことを利用すれば、乗客の所在地を家族に通知するサービスを提供することもできる。例えば、高齢者や子供などが乗客である場合、保護者が自宅PCから車両搭載端末や施設設置端末と通信して乗客の所在地を確認することができる。また、上述の通り、ここに開示される運行管理システムでは、商業施設から運行会社に運行代金が振り込まれる。なお、ここでの「商業施設」は、当該商業施設内に存在している店舗も包含する。すなわち、ショッピングセンターのような多くの店舗を有する商業施設が本システムを導入する場合、乗客が実際に利用した店舗が運行代金を支払うように設定されていてもよい。
【0062】
また、上述の実施形態の「運行代金の振込S400」では、1人の乗客の来店に基づいて生じた運行代金を個別に振り込む場合について説明している。しかし、「運行代金の振込」では、複数人の乗客の来店に基づいて生じた運行代金をまとめて振り込んでもよい。例えば、商業施設は、所定期間(典型的には一ヶ月間)の運行代金を合計して運行会社に振り込むこともできる。また、「第2電力の供給」も同様に、上述の実施形態に限定されない。すなわち、乗客は、所定期間(典型的には一ヶ月間)の第2電力を合計して商業施設に供給することもできる。
【0063】
以上、本発明を詳細に説明したが、上述の説明は例示にすぎない。すなわち、ここで開示される技術には上述した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
【符号の説明】
【0064】
1 乗客
2 運行会社
3 商業施設
10 乗客用端末
20 車両搭載端末
30 施設設置端末
40 管理端末
100 住居
200 電動車両
210 停留所
400 外部系統
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7