(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】癌治療のためのレゴラフェニブとPD-1/PD-L1(2)阻害剤の併用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20240419BHJP
A61K 31/44 20060101ALI20240419BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240419BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61K31/44
A61P35/00
A61P43/00 121
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022138972
(22)【出願日】2022-09-01
(62)【分割の表示】P 2019565949の分割
【原出願日】2018-05-25
【審査請求日】2022-09-01
(32)【優先日】2017-06-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】507021757
【氏名又は名称】バイエル・ヘルスケア・エルエルシー
【氏名又は名称原語表記】Bayer HealthCare LLC
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】ホフ,ザビーネ
(72)【発明者】
【氏名】レーゼ,ラース
(72)【発明者】
【氏名】ツォップ,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】キースリング,ファビアン
(72)【発明者】
【氏名】レダール,ヴィルトルード
(72)【発明者】
【氏名】ドルシェル,デニス
【審査官】深草 亜子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/173959(WO,A1)
【文献】特表2015-527395(JP,A)
【文献】国際公開第2015/125652(WO,A1)
【文献】国際公開第2016/010879(WO,A1)
【文献】特表2017-506227(JP,A)
【文献】特許第7303122(JP,B2)
【文献】特表2015-529234(JP,A)
【文献】国際公開第2016/011160(WO,A1)
【文献】CLINICAL & EXPERIMENTAL IMMUNOLOGY,2013年04月18日,VOL:172, NR:3,PAGE(S):500 - 506
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-31/80
A61K 39/00-39/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レゴラフェニブ
と、ペンブロリズマブ(Keytruda、MK-3475、ランブロリズマブ)とを含む組み合わせ医薬。
【請求項2】
互いに分離した成分を含む組み合わせパックである、請求項
1に記載の組み合わせ医薬。
【請求項3】
同じ疾患の治療に使用するために、成分が別々の剤形で同時にまたは連続して投与される、請求項1
または2に記載の組み合わせ医薬。
【請求項4】
過剰増殖性障害治療用薬剤として使用するための、請求項1~
3のいずれか1項に記載の組み合わせ医薬。
【請求項5】
過剰増殖性障害が、乳房の癌、気道の癌、脳の癌、生殖器官の癌、消化管の癌、尿路の癌、目の癌、肝臓の癌、皮膚の癌、頭頸部の癌、甲状腺の癌および副甲状腺の癌ならびにそれらの遠隔転移からなる群から選択される、請求項
4に記載の組み合わせ医薬。
【請求項6】
過剰増殖性障害が、肝細胞癌、大腸癌および消化管間質腫瘍(GIST)からなる群から選択される、請求項
4に記載の組み合わせ医薬。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人間や他の哺乳類の癌などの過剰増殖障害を含む疾患および状態を治療、予
防または管理するための、レゴラフェニブまたはその水和物、溶媒和物、代謝物または薬
学的に許容される塩またはその多形体およびPD-1/PD-L1(2)阻害剤を含む医
薬組成物並びに組み合わせ医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
レゴラフェニブは、4{4-[3-(4-クロロ-3-トリフルオロメチルフェニル)
-ウレイド]-3-フルオロフェノキシ}-ピリジン-2-カルボン酸メチルアミドであ
り、式(I)で示される化合物である。
【0003】
レゴラフェニブは、VEGFR、PDGFR、raf、p38、および/またはflt
-3キナーゼシグナル伝達分子に対する阻害活性を含む様々な活性を有する強力な抗癌剤
、抗血管新生剤、および抗転移剤であり、国際公開第2005/009961号に記載さ
れているように癌、腫瘍、リンパ腫、肉腫および白血病などの過剰増殖性障害のようなさ
まざまな疾患や症状の治療に使用できる。現在、特定の条件下での大腸癌、消化管間質腫
瘍および肝臓癌の治療に承認されている。さらに、式(I)の化合物の塩、例えばその塩
酸塩、メシレートおよびフェニルスルホン酸塩は、国際公開第2005/009961号
に記載されている。式(I)の化合物の一水和物は、国際公開第2008/043446
号に記載されている。高純度のレゴラフェニブの製造のための改善されたプロセスは、国
際公開第2011/128261号に記載されている。
【0004】
最近、PD-1/PD-L1(2)シグナル伝達経路は、免疫系の活動の重要な調節因
子として浮上している。癌では、腫瘍細胞はPD-1のリガンドであるPD-L1を発現
し、これにより宿主の免疫系による殺傷を回避できる。PD-1およびそのリガンドPD
-L1およびPD-L2に対する阻害剤が最近開発され、この免疫抑制メカニズムを妨害
し、さまざまなタイプの癌患者の全生存期間の延長により、驚くべき臨床効果を示した。
これらの阻害剤の一部は、メラノーマ、NSCLC、HNSCC、RCC、膀胱癌、NH
Lなどのさまざまな癌の適応症で承認されている。他の適応症において、および/または
治療活性を改善するために他の様々な抗腫瘍剤と組み合わせて、多数の追加の臨床試験が
進行中である(岩井ら、J.Biomedical Sci.(2017)24:26,
1-11;Sweis and Luke、Pharm.Res.(2017)120,
1-9; Bersanelle and Buti、World Journal o
f Clinical Oncology,(2017)8(1)、37-53;Par
k et al.、Arch.Pharm.Res.(2016)39,1577-15
87)。
【0005】
PD-1阻害剤は生物学的薬剤であって、主にGサブクラスの免疫グロブリンであり、
PD-1としても知られるプログラム細胞死タンパク質1に結合し、その活性をブロック
する。公知のPD-1阻害剤は、ニボルマブ(Opdivo、BMS-936558、M
DX1106)、ペンブロリズマブ(Keytruda、MK-3475、ランブロリズ
マブ)、ピディリズマブ(CT-011)、PDR-001、JS001、STI-A1
110、AMP-224およびAMP-514(MEDI0680)である。後者の2つ
はPD-L2融合タンパク質である(岩井ら、J.Biomedical Sci.(2
017)24:26,1-11;Menon et al.、Cancers(2016
)8,106,1-21)。
【0006】
PD-1(CD279)は、主に活性化CD4+およびCD8+T細胞、マクロファー
ジ並びに活性化B細胞のさまざまな免疫細胞の表面に単量体として発現する受容体タンパ
ク質であるが、ナチュラルキラー(NK)細胞および抗原提示細胞(APC)上にも見つ
かっている。このI型膜タンパク質の細胞外ドメインは、単一のIgV様ドメインと、そ
れに続く膜貫通ドメインと、免疫受容体チロシンベースの抑制およびスイッチモチーフ(
ITIMおよびITSM)を含む細胞質領域から構成される。そのリガンドPD-L1ま
たはPD-L2に結合すると、ホスファターゼSHP-2が動員され、T細胞受容体(T
CR)シグナル伝達複合体の主要成分であるキナーゼZAP70を脱リン酸化する。これ
により、TCRシグナルが遮断され、T細胞の細胞傷害活性、インターフェロンγの産生
と増殖が阻害される。さらに、PD-1ライゲーションは、T細胞受容体のダウンモジュ
レーションをトリガーするE3-ユビキチンリガーゼCBL-bおよびc-CBLをアッ
プレギュレートする。PD-1は、ヒトではPdcdl遺伝子によってコードされ、TC
Rの活性化とトランスフォーミング成長因子βやeomesoderminなどのT細胞
枯渇シグナルにより活性化される転写因子NFATcl、IRF9およびFoxO1によ
り転写活性化される。PD-1の活性化誘導発現は、この受容体がむしろ末梢組織の免疫
反応の後期(エフェクター期、記憶反応および慢性感染症)を調節することを示唆してい
る。これはCTLA-4とは対照的である。CTLA-4は、免疫応答の初期のプライミ
ングフェーズでより活性が高い別の免疫チェックポイントタンパク質であり、CTLA-
4の阻害剤(例えば、イピリムマブ)は、患者の忍容性が低いようである(岩井ら、J.
Biomedical Sci.(2017)24:26,1-11;Sweis an
d Luke、Pharm.Res.(2017)120,1-9;Park et a
l.、Arch.Pharm.Res.(2016)39,1577-1587)。
【0007】
PD-L1阻害剤は生物学的製剤であって、主にGサブクラスの免疫グロブリンであり
、PD-1のリガンドに結合し、その活性をブロックする。公知のPD-L1阻害剤は、
アテゾリズマブ(Tecentriq、MPDL3280A)、デュルバルマブ(MED
I4736)、アベルマブ(MSB0010718C)、BMS-936559(MDX
1105)およびLY3300054である。
【0008】
PD-L1(B7-H1、CD274)はPD-1のリガンドの1つである。PD-L
1は、多くの異なる免疫細胞集団(例えば、T-、B-、NK細胞、DC、単球、マクロ
ファージ)の細胞表面や活性化された血管内皮細胞だけでなく、メラノーマ、肺、卵巣お
よび結腸癌などの様々な実体の腫瘍細胞を含む上皮細胞で広く発現している。PD-L1
の発現は、インターフェロンγ、インターフェロンI型およびγ鎖サイトカイン(IL-
2、-4、-7、-9、-15、-21)などの炎症誘発性サイトカインによって増強さ
れる。上記のように、T細胞の活性化はPD-1との相互作用により阻害され、それによ
り免疫応答が抑制される(Park et al.、Arch.Pharm.Res.(
2016)39,1577-1587;Menon et al.、Cancers(2
016)8、106、1-21)。
【0009】
PD-L2(CD273、B7-DC)は、PD-1に結合することが確認されている
2番目のリガンドである。それも膜結合タンパク質であり、その発現は免疫細胞の小さな
サブセット(DCおよびマクロファージ)に限定され、肝臓、子宮頸部および食道の癌な
どのいくつかの腫瘍適応症で発生する。現在、PD-L2は融合タンパク質として使用さ
れており、PD-1の活性を遮断する治療薬として開発中であるため、最終的にはPD-
L2阻害剤も治療薬として出現する可能性がある。
最初の例では、PD-1/PD-L1阻害剤には抗体製剤が含まれる。しかし、最近の
研究により、低分子やペプチドなど、PD-1/PD-L1(2)の他のタイプの阻害剤
が発見されている。記載されているPD-1/PD-L1の低分子阻害剤の例は、BMS
-202、BMS-8、BMS-37(Zak et al.、Structure.2
017 Aug 1;25(8):1163-1174;Guzik et al.、J
Med Chem.2017 Jul 13;60(13):5857-5867)、
CA-170、CA-137(Tuck D ICIシンポジウム2017年3月)およ
びカフェオイルキナ酸化合物(Han et al.、Anal Biochem.20
18 Apr 15;547:52-56)である。ペプチド阻害剤の例は、Maute
et al.(Proc Natl Acad Sci USA.2015 Nov
24;112(47):E6506-14)に記載されている。さらに、GSKa/β阻
害剤であるSB415286などのPD-1の転写に影響を及ぼす低分子阻害剤も同定さ
れている(Taylor et al.、Cancer Res.2018 Feb 1
;78(3):706-717)。
国際公開第2015/11993号には、癌治療のためのVEGF阻害剤とPD-1ア
ンタゴニストの組み合わせが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【文献】国際公開第2005/009961号
【文献】国際公開第2008/043446号
【文献】国際公開第2011/128261号
【文献】国際公開第2015/11993号
【非特許文献】
【0011】
【文献】J.Biomedical Sci.(2017)24:26,1-11
【文献】Pharm.Res.(2017)120,1-9
【文献】World Journal of Clinical Oncology,(2017)8(1)、37-53
【文献】Arch.Pharm.Res.(2016)39,1577-1587)
【文献】Cancers(2016)8,106,1-21
【文献】Cancer Res.2018 Feb 1;78(3):706-717
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、レゴラフェニブとPD-1/PD-L1(2)阻害剤を組み合わせて
投与することによる癌治療の改善である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
驚くべきことに、レゴラフェニブとPD-1/PD-L1(2)阻害剤の組み合わせは
、単独療法の合計を超える有意な有効性改善、特に有意な抗腫瘍および/または抗転移効
力の改善を示す。さらに、副作用のプロファイル(例えば、手足症候群、血圧上昇、疲労
、下痢、粘膜の炎症など)を改善できる。
本発明は、式(I)の化合物であるレゴラフェニブ、
またはその水和物、溶媒和物、代謝産物または薬学的に許容される塩、またはその多形体
およびPD-1/PD-L1(2)阻害剤を含む組み合わせに関する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1:同系のマウスMC38 CRCモデルにおける、レゴラフェニブおよび抗PD-1単独ならびに併用の抗腫瘍活性。v + i =ビヒクル+アイソタイプ、a)=レジメンa)、b)=レジメンb)、c)=レジメンc)、d)=レジメンd)、e)=レジメンe)。
【発明を実施するための形態】
【0015】
「式(I)の化合物」または「レゴラフェニブ」という用語は、4-{4-[({[4
-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]アミノ}カルボニル)アミノ]-3-
フルオロフェノキシ}-N-メチルピリジン-2-カルボキサミドを指す式(I)に示さ
れている。
本発明の目的のための溶媒和物は、溶媒分子が固体状態で化学量論的錯体を形成する化
合物またはそれらの塩の形態であり、溶媒分子には、例えば、水、エタノールおよびメタ
ノールが含まれるが、これらに限定されない。
水和物は溶媒和物の特定の形態であり、溶媒分子は水である。本発明の化合物またはそ
の塩の水和物は、例えば半水和物、一水和物または二水和物などの化合物または塩の水と
の化学量論的組成物である。レゴラフェニブの一水和物が好ましい。
本発明の目的のための塩は、好ましくは、本発明による化合物の薬学的に許容される塩
である。適切な薬学的に許容される塩は、当業者に周知であり、塩酸、臭化水素酸、硫酸
、リン酸、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p
-トルエンスルホン酸(トシレート塩)、1-ナフタレンスルホン酸、2-ナフタレンス
ルホン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、シュウ酸、コ
ハク酸、フマル酸、マレイン酸、安息香酸、サリチル酸、フェニル酢酸、マンデル酸等の
無機および有機酸を含む。加えて、薬学的に許容される塩には、アルカリカチオン(例え
ば、Li+、Na+またはK+)、アルカリ土類カチオン(例えば、Mg+2、Ca+2
またはBa+2)、アンモニウムカチオンを含有する塩などの無機塩基の塩、ならびに脂
肪族および芳香族置換アンモニウムや、トリエチルアミン、N,N-ジエチルアミン、N
,N-ジシクロヘキシルアミン、リジン、ピリジン、N,N-ジメチルアミノピリジン(
DMAP)、1,4-ジアザビクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、1,5-ジ
アザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(DBN)および1,8-ジアザビシクロ[
5.4.0]ウンデカ-7-エン(DBU)のプロトン化または過アルキル化から生じる
ものなどの第4級アンモニウムカチオンを含む有機塩基の酸塩が含まれる。レゴラフェニ
ブの塩酸塩、メシレートまたはフェニルスルホン酸塩が好ましい。
本発明の目的のためのレゴラフェニブの代謝産物には、4-[4-({[4-クロロ-
3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイル}アミノ)-3-フルオロフェノキ
シ]-N-メチルピリジン-2-カルボキサミド 1-オキシド、4-[4-({[4-
クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイル}アミノ)-3-フルオロ
フェノキシ]-N-(ヒドロキシメチル)ピリジン-2-カルボキサミド、4-[4-(
{[4-クロロ-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイル}アミノ)-3-
フルオロフェノキシ]ピリジン-2-カルボキサミドおよび4-[4-({[4-クロロ
-3-(トリフルオロメチル)フェニル]カルバモイル}アミノ)-3-フルオロフェノ
キシ]ピリジン-2-カルボキサミド 1-オキシドが含まれる。
【0016】
本発明の化合物として好ましいのは、レゴラフェニブおよびのレゴラフェニブの一水和
物である。
本発明の化合物は、既知の化学反応および手順の使用により調製することができる。
「PD-1/PD-L1(2)阻害剤」という用語は、ニボルマブ(Opdivo、B
MS-936558、MDX1106)、ペンブロリズマブ(Keytruda、MK-
3475、ランブロリズマブ)、ピディリズマブ(CT-011)、PDR-001、J
S001、STI-A1110、AMP-224およびAMP-514(MEDI068
0)を含むがこれらに限定されない抗PD-1抗体を指すか、またはアテゾリズマブ(T
ecentriq、MPDL3280A)、デュルバルマブ(MEDI4736)、アベ
ルマブ(MSB0010718C)、BMS-936559(MDX1105)およびL
Y3300054を含むがこれらに限定されない抗PD-L1抗体、または抗PD-L2
抗体を指す。
抗PD-1抗体として、ニボルマブまたはペンブロリズマブまたはピディリズマブが好
ましい。
【0017】
さらに、アテゾリズマブまたはデュルバルマブまたはアベルマブは、抗PD-L1抗体
として好ましい。
「PD-1/PD-L1(2)阻害剤」という用語は、BMS-202、BMS-8、
BMS-37、カフェオイルキナ酸化合物、GSKa/β阻害剤SB415286を含む
がこれらに限定されない低分子およびペプチドも指す。
治療方法: 本発明はまた、哺乳動物の過剰増殖性障害を治療するために、前記の組み
合わせおよびその組成物を使用する方法に関する。この方法は、障害を治療するのに有効
な量の組み合わせを、ヒトを含むそれを必要とする哺乳動物に投与することを含む。過剰
増殖性障害には、乳房、気道、脳、生殖器官、消化管、尿路、目、肝臓、皮膚、頭頸部、
甲状腺、副甲状腺、およびそれらの遠隔転移の癌などの固形腫瘍が含まれるが、これらに
限定されない。これらの障害には、リンパ腫、肉腫、および白血病も含まれる。
乳癌の例には、浸潤性乳管癌、浸潤性小葉癌、非浸潤性乳管癌、および非浸潤性小葉癌
が含まれるが、これらに限定されない。
気道の癌の例には、小細胞および非小細胞肺癌、ならびに気管支腺腫および胸膜肺芽腫
が含まれるが、これらに限定されない。
脳癌の例には、脳幹および視床下部神経膠腫、小脳および脳の星状細胞腫、中胚葉腫、
上衣腫、ならびに神経外胚葉および松果体腫瘍が含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
男性の生殖器官の腫瘍には、前立腺癌と精巣癌が含まれるが、これらに限定されない。
女性の生殖器官の腫瘍には、子宮内膜癌、子宮頸癌、卵巣癌、膣癌、および外陰癌、なら
びに子宮肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
消化管の腫瘍には、肛門癌、結腸癌、大腸癌、食道癌、胆嚢癌、胃癌、膵臓癌、直腸癌
、小腸癌、および唾液腺癌が含まれるが、これらに限定されない。
大腸癌への適用が好ましい。
消化管間質腫瘍(GIST)への適用も好ましい。
尿路の腫瘍には、膀胱、陰茎、腎臓、腎盂、尿管、および尿道癌が含まれるが、これら
に限定されない。
【0019】
目の癌には、眼内黒色腫および網膜芽細胞腫が含まれるが、これらに限定されない。
肝癌の例には、肝細胞癌(線維層状変異を伴うまたは伴わない肝細胞癌)、胆管癌(肝
内胆管癌)、および混合肝細胞胆管癌が含まれるが、これらに限定されない。
肝細胞癌への適用が好ましい。
【0020】
皮膚癌には、扁平上皮癌、カポジ肉腫、悪性黒色腫、メルケル細胞皮膚癌、および非黒
色腫皮膚癌が含まれるが、これらに限定されない。
頭頸部癌には、喉頭癌/下咽頭癌/上咽頭癌/中咽頭癌、および唇癌と口腔癌が含まれ
るが、これらに限定されない。
リンパ腫には、エイズ関連リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、皮膚T細胞リンパ腫、ホジ
キン病、および中枢神経系のリンパ腫が含まれるが、これらに限定されない。
肉腫には、軟部組織の肉腫、骨肉腫、悪性線維性組織球腫、リンパ肉腫、および横紋筋
肉腫が含まれるが、これらに限定されない。
白血病には、急性骨髄性白血病、急性リンパ芽球性白血病、慢性リンパ性白血病、慢性
骨髄性白血病、および有毛細胞白血病が含まれるが、これらに限定されない。
【0021】
これらの障害はヒトで十分に特徴付けられているが、他の哺乳動物でも同様の病因で存
在し、本発明の医薬組成物を投与することにより治療することができる。
【0022】
過剰増殖性疾患の治療に有用な化合物を評価する公知の標準的な実験室技術、標準的な
毒性試験および哺乳類における上記の状態の治療の決定のための標準的な薬理学的アッセ
イ、並びにそれらの結果と当該状態を治療するために使用される既知の薬剤の結果の比較
に基づき、各所望の適応症の治療のための本発明の化合物の有効投与量は容易に決定でき
る。これらの病態の治療で投与される活性成分の量は、使用される特定の化合物および投
与単位、投与方法、治療期間、患者の年齢および性別、並びに治療する症状の性質及び範
囲などの考慮事項に応じて大きく異なり得る。
本発明はさらに、前述の障害の治療のための医薬組成物の調製のための本発明の化合物
の使用を提供する。
投与: 本発明の組み合わせは、例えば、経口、腸管外、経腸、静脈内、腹腔内、外用、
経皮(例えば、任意の標準的なパッチを使用)、眼、鼻、局所、非経口的に、エアゾール
、吸入、皮下、筋肉内、頬側、舌下、直腸、膣、動脈内、くも膜下腔内などを含む、任意
の有効な経路によって任意の形態で投与することができる。それらは、単独で、または活
性成分または非活性成分と組み合わせて投与できる。
レゴラフェニブは、例えば錠剤として、経口投与が好ましい。
【0023】
好ましくは、PD-1/PD-L1(2)阻害剤は静脈内投与することができる。
【0024】
本発明の組み合わせは、既知の方法で通常の製剤に変換することができ、これは液体製
剤または固体製剤であってもよい。例えば、通常および腸溶性の錠剤、カプセル、丸薬、
粉末、顆粒、エリキシル剤、チンキ剤、溶液、懸濁液、シロップ、固体および液体のエア
ロゾルおよびエマルジョンであるが、これらに限定されない。
一般に、前述の本発明の組み合わせの使用は、次の点に役立つ。
【0025】
(1) いずれかの薬剤単独の投与と比較して、腫瘍の成長を減少させる、または腫瘍を
根絶することにおいてより良い効力をもたらす、
(2) 化学療法剤の投与量がより少ない投与法を提供する、
(3) 単剤化学療法およびある種の他の併用療法で観察されるものよりも有害な薬理学
的合併症が少なく、患者において十分に許容される化学療法治療を提供する、
(4) 哺乳動物、特にヒトにおいて、広範囲なさまざまなタイプの癌に対する治療を提
供する、
(5) 治療された患者の間でより高い応答率を提供する、
(6) 標準的な化学療法治療と比較して、治療された患者の生存期間を長くする、
(7) 腫瘍の進行にかかる時間を長くする、および/または
(8) 他の組み合わせ制癌剤が阻害効果をもたらす既知の症例と比較して、少なくとも
薬剤を単独使用する場合と同等な有効性および忍容性の結果をもたらす。
「組み合わせ」は、本発明の目的のために、すべての成分を含む剤形(いわゆる固定組
み合わせ)、および互いに分離した成分を含む組み合わせパックだけでなく、同じ病気の
予防または治療に使用されている限り、同時にまたは連続して投与される成分も意味する
。
【0026】
投与される活性成分の量は、使用される特定の化合物および投与単位、投与のモードお
よび時間、治療期間、治療される患者の年齢、性別、および全身状態、治療される症状の
性質や程度、薬物代謝および排泄の速度、潜在的な薬物の組み合わせおよび薬物間相互作
用などの考慮事項に従って大きく異なり得る。
特に興味深い本発明の態様は、4から400mg、好ましくは10から200mg、よ
り好ましくは10から100mgの量のレゴラフェニブの投与と、患者の体重に対して0
.005から10mg/kg、好ましくは1から10mg/kgの量のPD-1/PD-
L1(2)阻害剤の投与を含む組み合わせである。
本発明によれば、レゴラフェニブおよびPD-1/PD-L1(2)阻害剤を同時に投
与することができる。
本発明のさらなる態様では、レゴラフェニブが最初に投与され、続いてPD-1/PD
-L1(2)阻害剤が投与される。
あるいは、PD-1/PD-L1(2)阻害剤が最初に投与され、続いてレゴラフェニ
ブが投与されるが、これは好ましい投与方法である。
本発明の医薬組成物は、1日に1回以上、好ましくは3回まで、より好ましくは2回ま
で投与される。経口経路を介したレゴラフェニブの投与、および静脈内経路を介したPD
-1/PD-L1(2)阻害剤の投与が好ましい。
しかしながら、体重、有効成分に対する個々の行動、製剤の種類、および投与が影響を
受ける時間または間隔に応じて、特定の量から逸脱することが有利な場合がある。たとえ
ば、場合によっては上記の最小量よりも少ない量で十分な場合もあるが、他の場合では上
記に示された上限を超える必要がある。比較的大量に投与する場合は、これらを1日に数
回に分けて投与することが推奨される。
上記組み合わせは、式Iの化合物とPD-1/PD-L1(2)阻害剤の有効量を含む
ことができ、いずれかの化合物が単独で使用される場合よりも大きな治療効果を達成する
。
その組み合わせにおける各化合物の相対比は、それぞれの作用機序および疾患生物学に
基づいて選択することもできる。各化合物の相対比は大きく異なり得る。
適切な場合、組み合わせの1つまたは複数の薬剤の放出を制御して、単一剤形、組み合
わせパック、キットの場合、または別個の独立した剤形の場合に所望の治療活性を提供す
ることもできる。
本発明は、薬学的に許容される担体および薬学的に有効な量の本発明の化合物から構成
される薬学的組成物を含む。薬学的に許容される担体は、比較的毒性がなく、有効成分の
有効な活性と一致する濃度で患者に無害であるため、担体に起因する副作用が有効成分の
有益な効果を損なわないような任意の担体である。化合物の薬学的有効量は、治療中の特
定の状態に結果をもたらすか、影響を与える量である。
経口投与の場合、化合物は、固体分散液、カプセル、丸薬、錠剤、トローチ、ロゼンジ
、メルト、粉末、溶液、懸濁液またはエマルジョンなどの固体または液体製剤に製剤化す
ることができ、当業者に知られている医薬組成物の製造のための技術により調製し得る。
固体単位剤形は、例えば、界面活性剤、潤滑剤、およびラクトース、スクロース、リン酸
カルシウム、コーンスターチなどの不活性充填剤を含む通常のハードまたはソフトシェル
ゼラチンタイプのカプセルにすることができる。
【0027】
別の実施形態において、本発明の化合物は、ラクトース、スクロースおよびコーンスタ
ーチなどの従来の錠剤基剤を用い;アカシア、コーンスターチまたはゼラチンなどの結合
剤;ジャガイモ澱粉、アルギン酸、コーンスターチ、グアーガム、トラガカントゴム、ア
カシアなどの、錠剤の投与後に崩壊および溶解を支援するための崩壊剤;例えばタルク、
ステアリン酸、またはマグネシウム、カルシウムまたは亜鉛のステアリン酸塩などの、錠
剤の造粒の流れを改善し、錠剤材料が錠剤ダイおよびパンチの表面に付着するのを防ぐた
めの潤滑剤;錠剤の美観を高め、患者の受入れ性を増すための、染料、着色剤およびペパ
ーミント、ウィンターグリーンオイル、またはチェリー香味料などの香味料と組み合わせ
て錠剤化することができる。経口液体剤形での使用に適した賦形剤にはリン酸二カルシウ
ムおよび水やアルコール(例えばエタノール、ベンジルアルコール、およびポリエチレン
アルコール)などの希釈剤が含まれ、薬学的に許容される界面活性剤、懸濁化剤または乳
化剤が添加されてもされなくてもよい。コーティングとして、または単位剤形の物理的形
態を変更するために、さまざまな他の材料が存在してもよい。例えば、錠剤、丸薬または
カプセルは、シェラック、砂糖、またはその両方でコーティングすることができる。
【0028】
分散性粉末および顆粒は水性懸濁液の調製に適している。それらは、分散剤または湿潤
剤、懸濁剤、および1つまたは複数の防腐剤と混合した活性成分を提供する。適切な分散
剤または湿潤剤および懸濁剤は、すでに上で言及したものによって例示される。追加の賦
形剤、例えば上記の甘味料、香料および着色料も存在し得る。
【0029】
本発明の医薬組成物は、水中油型乳剤の形態であってもよい。油相は、流動パラフィン
などの植物油または植物油の混合物であってもよい。適切な乳化剤は、(1)アカシアゴ
ムやトラガカントゴムなどの天然ゴム、(2)大豆レシチンなどの天然ホスファチド、(
3)例えばソルビタンモノオレエートなどの、脂肪酸およびヘキシトール無水物に由来す
るエステルまたは部分エステル(4)前記部分エステルとエチレンオキシドとの縮合生成
物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどである。エマルジョンは、
甘味料および香味料を含んでもよい。
油性懸濁液は、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油またはココナッツ油などの植物
油、または流動パラフィンなどの鉱油に有効成分を懸濁することによって製剤化すること
ができる。油性懸濁液は、例えば蜜蝋、固形パラフィン、またはセチルアルコールなどの
増粘剤を含んでもよい。懸濁液はまた、例えば、p-ヒドロキシ安息香酸エチルまたはp
-ヒドロキシ安息香酸n-プロピルなどの1つまたは複数の防腐剤;1つ以上の着色剤;
1つ以上の香料;およびスクロースまたはサッカリンなどの1つまたは複数の甘味料を含
んでもよい。
シロップ剤およびエリキシル剤は、例えば、グリセロール、プロピレングリコール、ソ
ルビトールまたはスクロースなどの甘味料とともに製剤化されてもよい。そのような製剤
は、粘滑剤、およびメチルおよびプロピルパラベンなどの保存料、ならびに香味料および
着色料を含んでもよい。
本発明の化合物は、非経口的、すなわち、皮下、静脈内、眼内、滑液嚢内、筋肉内、ま
たは腹腔内に、滅菌液体または液体混合物であり得る薬学的担体(水;生理食塩水;デキ
ストロースおよび関連糖類などの水性溶液;エタノール、イソプロパノール、またはヘキ
サデシルアルコールなどのアルコール;プロピレングリコールまたはポリエチレングリコ
ールなどのグリコール;2,2-ジメチル-1,1、-ジオキソラン-4-メタノールな
どのグリセロールケタール;ポリ(エチレングリコール)400などのエーテル;油;脂
肪酸;脂肪酸エステルまたは脂肪酸グリセリド;またはアセチル化脂肪酸グリセリドなど
)による生理学的に許容可能な希釈液中の、薬学的に許容される添加物(石鹸または洗剤
などの界面活性剤;ペクチン、カルボマー、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチ
ルセルロースまたはカルボキシメチルセルロースなどの懸濁剤;または乳化剤およびその
他の薬学的アジュバント)を含むか含まない、化合物の注射可能な製剤として投与するこ
ともできる。
【0030】
本発明の非経口製剤に使用できる油の例は、石油系、動物性、植物性、または合成起源
のもの、例えば、ピーナッツ油、大豆油、ゴマ油、綿実油、コーン油、オリーブ油、ワセ
リンおよび鉱油である。適切な脂肪酸には、オレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン
酸およびミリスチン酸が含まれる。適切な脂肪酸エステルは、例えば、オレイン酸エチル
およびミリスチン酸イソプロピルである。適切な石鹸には、脂肪酸のアルカリ金属、アン
モニウムおよびトリエタノールアミン塩が含まれる。適切な洗剤には、カチオン性洗剤、
例えば、ジメチルジアルキルアンモニウムハライド、アルキルピリジニウムハライドおよ
びアルキルアミンアセテートが含まれ、またアニオン性界面活性剤、例えば、アルキル、
アリールおよびオレフィンスルホン酸塩、アルキル、オレフィン、エーテルおよびモノグ
リセリド硫酸塩ならびにスルホコハク酸塩が含まれ、また非イオン性界面活性剤、例えば
、脂肪アミンオキシド、脂肪酸アルカノールアミドおよびポリ(オキシエチレンオキシプ
ロピレン)類またはエチレンオキシドまたはプロピレンオキシドコポリマーが含まれ、ま
た両性界面活性剤、例えば、アルキル-β-アミノプロピオン酸塩および2-アルキルイ
ミダゾリン四級アンモニウム塩が含まれ、ならびに上記の混合物が含まれる。
本発明の非経口組成物は、典型的には、溶液中に約0.5重量%から約25重量%の活
性成分を含む。防腐剤および緩衝液も有利に使用され得る。注射部位での刺激を最小化ま
たは排除するために、そのような組成物は、約12~約17の親水性-親油性バランス(
HLB)を有する非イオン性界面活性剤を含んでもよい。そのような製剤中の界面活性剤
の量は、約5重量%から約15重量%の範囲である。界面活性剤は、上記のHLBを有す
る単一成分であっても、所望のHLBを有する2つ以上の成分の混合物であってもよい。
非経口製剤で使用される界面活性剤の例は、ポリエチレンソルビタン脂肪酸エステルの
クラス、例えば、モノオレイン酸ソルビタン、およびプロピレンオキシドとプロピレング
リコールの縮合により形成される疎水性ベースとエチレンオキシドの高分子量付加物であ
る。
医薬組成物は、無菌の注射可能な水性懸濁液の形態であってもよい。そのような懸濁液
は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプ
ロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカント
ゴムおよびアカシアゴムなどの適切な分散剤または湿潤剤;レシチンなどの天然のホスフ
ァチド;脂肪酸とアルキレンオキシドの縮合生成物、例えばポリオキシエチレンステアレ
ート;エチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合生成物、例えばヘプタデカエチレ
ンオキシセタノール;ポリオキシエチレンソルビトールモノオレエートなどの、エチレン
オキシドと脂肪酸およびヘキシトールから誘導される部分エステルとの縮合生成物;また
は、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエートなどの、エチレンオキシドと
脂肪酸およびヘキシトール無水物から誘導される部分エステルとの縮合生成物を使用する
既知の方法に従って製剤化することができる。
無菌の注射可能な調製物は、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または溶媒中の無菌
の注射可能な溶液または懸濁液であってもよい。使用可能な希釈剤および溶媒は、例えば
、水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム溶液および等張性グルコース溶液であり得る。
加えて、滅菌不揮発性油が、溶媒または懸濁媒体として従来から使用されている。この目
的のために、合成モノまたはジグリセリドを含む、刺激のない不揮発性油を使用できる。
さらに、オレイン酸などの脂肪酸を注射剤の調製に使用できる。
【0031】
本発明の組成物は、薬物の直腸投与用の坐剤の形態で投与することもできる。これらの
組成物は、薬物を、常温では固体であるが直腸における温度では液体であり、したがって
直腸で溶けて薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と混合することにより調製できる。そ
のような材料は、例えば、カカオバターとポリエチレングリコールである。
【0032】
非経口投与用の制御放出製剤には、当技術分野で知られているリポソーム、高分子ミク
ロスフェアおよび高分子ゲル製剤が含まれる。
本発明の医薬組成物は、固体分散体の形態であってもよい。固体分散体は、固溶体、ガ
ラス溶液、ガラス懸濁液、結晶質担体中の非晶質沈殿、共晶または単晶化合物または複合
体の形成およびそれらの組み合わせであり得る。
【0033】
特に興味深い本発明の一態様は、固体分散体を含む医薬組成物であり、そのマトリック
スが、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、ポリアルキレ
ングリコール(すなわちポリエチレングリコール)、ヒドロキシアルキルセルロース(す
なわちヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシアルキルメチルセルロース(すなわ
ちヒドロキシプロピルメチルセルロース)、カルボキシメチルセルロース、ナトリウムカ
ルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ポリメタクリレート、ポリビニルアルコ
ール、ポリ酢酸ビニル、ビニルアルコール/酢酸ビニル共重合体、ポリグリコール化グリ
セリド、キサンタンガム、カラギーナン、キトサン、キチン、ポリデキストリン、デキス
トリン、澱粉、タンパク質などの薬学的に許容されるポリマーを含む。
本発明の別の態様は、固体分散体を含む医薬組成物であり、そのマトリックスが、例え
ばスクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、ラフィノース、ソルビトール、
ラクチトール、マンニトール、マルチトール、エリスリトール、イノシトール、トレハロ
ース、イソマルト、イヌリン、マルトデキストリン、β-シクロデキストリン、ヒドロキ
シプロピル-β-シクロデキストリンまたはスルホブチルエーテルシクロデキストリンな
どの糖および/または糖アルコールおよび/またはシクロデキストリンを含む。
固体分散体のマトリックスの形成に有用な追加の適切な担体には、アルコール、有機酸
、有機塩基、アミノ酸、リン脂質、ワックス、塩、脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン
ソルビタン脂肪酸エステルそして尿素が含まれるが、それらに限定されない。
マトリックス中のレゴラフェニブの固体分散体は、界面活性剤、充填剤、崩壊剤、再結
晶阻害剤、可塑剤、消泡剤、酸化防止剤、粘着防止剤、pH調整剤、流動促進剤、潤滑剤
などの特定の追加の薬学的に許容される成分を含む場合がある。
本発明の固体分散体は、溶融/溶融技術、ホットメルト押出、溶媒蒸発(すなわち、凍
結乾燥、噴霧乾燥または顆粒の粉末の層化)、共沈、超臨界流体技術および静電紡糸法な
どの固体分散体の製造のための当技術分野で知られている方法に従って調製される。
本発明の組成物は、必要または所望に応じて、一般に担体または希釈剤と呼ばれる他の
従来の薬学的に許容される配合成分も含むことができる。適切な剤形でそのような組成物
を調製するための従来の手順を利用することができる。
意図する投与経路に合わせて組成物を処方するのに適切に使用できる一般的に使用され
る医薬品成分には、次のものが含まれる:
酸性化剤(例としては、酢酸、クエン酸、フマル酸、塩酸、硝酸が含まれるが、これら
に限定されない);
アルカリ化剤(例には、アンモニア溶液、炭酸アンモニウム、ジエタノールアミン、モ
ノエタノールアミン、水酸化カリウム、ホウ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナト
リウム、トリエタノールアミン、トロラミンが含まれるが、これらに限定されない);
吸着剤(例には、粉末セルロースおよび活性炭が含まれるが、これらに限定されない)
;
エアロゾル推進剤(例には、二酸化炭素、CCl2F2、F2ClC-CClF2およ
びCClF3が含まれるが、これらに限定されない);
空気置換剤(例には、窒素およびアルゴンが含まれるが、これらに限定されない);
抗真菌性保存料(例としては、安息香酸、ブチルパラベン、エチルパラベン、メチルパ
ラベン、プロピルパラベン、安息香酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されない)
;
抗細菌性保存料(例としては、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、ベンジル
アルコール、塩化セチルピリジニウム、クロロブタノール、フェノール、フェニルエチル
アルコール、硝酸フェニル水銀、チメロサールが含まれるが、これらに限定されない);
抗酸化剤(例としては、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロ
キシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没
食子酸プロピル、アスコルビン酸ナトリウム、亜硫酸水素ナトリウム、ホルムアルデヒド
スルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムが含まれるが、これらに限定されな
い);
結合剤(例としては、ブロックポリマー、天然および合成ゴム、ポリアクリレート、ポ
リウレタン、シリコーン、ポリシロキサン、スチレンブタジエン共重合体が含まれるが、
これらに限定されない);
緩衝剤(例としては、メタリン酸カリウム、リン酸二カリウム、酢酸ナトリウム、クエ
ン酸ナトリウム無水物、クエン酸ナトリウム二水和物が含まれるが、これらに限定されな
い);
担持剤(例としては、アカシアシロップ、芳香シロップ、芳香エリキシル、チェリーシ
ロップ、ココアシロップ、オレンジシロップ、シロップ、コーン油、鉱油、落花生油、ゴ
マ油、静菌性塩化ナトリウム注射液および静菌性注射水が含まれるが、これらに限定され
ない);
キレート剤(例には、エデト酸二ナトリウムおよびエデト酸が含まれるが、これらに限
定されない);
着色剤(例には、FD&C Red No.3、FD&C Red No.20、FD
&C Yellow No.6、FD&C Blue No.2、D&C Green
No.5、D&C Orange No.5、D&C Red No.8、カラメルおよ
びベンガラが含まれるが、これらに限定されない);
清澄剤(例には、ベントナイトが含まれるが、これに限定されない);
乳化剤(例には、アカシア、セトマクロゴール、セチルアルコール、モノステアリン酸
グリセリル、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、ポリオキシエチレン50モノステア
リン酸塩が含まれるが、これらに限定されない);
カプセル化剤(例には、ゼラチンおよび酢酸フタル酸セルロースが含まれるが、これらに
限定されない);
香料(例には、アニス油、シナモン油、ココア、メントール、オレンジ油、ペパーミン
ト油およびバニリンが含まれるが、これらに限定されない);
保湿剤(例としては、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトールが含まれる
が、これらに限定されない);
研和剤(例としては、鉱油およびグリセリンが含まれるが、これらに限定されない);
油類(例としては、落花生油、鉱油、オリーブ油、ピーナッツオイル、ゴマ油、植物油
が挙げられるが、これらに限定されない);
軟膏基剤(例としては、ラノリン、親水性軟膏、ポリエチレングリコール軟膏、ワセリ
ン、親水性ワセリン、白色軟膏、黄色軟膏、バラ水軟膏が含まれるが、これらに限定され
ない);
浸透促進剤(経皮送達)(例には、モノヒドロキシまたはポリヒドロキシアルコール、
1価または多価アルコール、飽和または不飽和脂肪酸、飽和または不飽和脂肪酸エステル
、飽和または不飽和ジカルボン酸、精油、ホスファチジル誘導体、ケファリン、テルペン
、アミド、エーテル、ケトンおよび尿素が含まれるが、これらに限定されない);
可塑剤(例には、フタル酸ジエチルおよびグリセロールが含まれるが、これらに限定さ
れない);
溶媒(例としては、エタノール、コーン油、綿実油、グリセロール、イソプロパノール
、鉱油、オレイン酸、落花生油、精製水、注射用水、注射用滅菌水、灌注用滅菌水が含ま
れるが、これらに限定されない);
硬化剤(例には、セチルアルコール、セチルエステルワックス、マイクロクリスタリン
ワックス、パラフィン、ステアリルアルコール、ホワイトワックス、イエローワックスが
含まれるが、これらに限定されない);
坐剤基剤(例には、ココアバターとポリエチレングリコール(混合物)が含まれるが、
これらに限定されない);
界面活性剤(例としては、塩化ベンザルコニウム、ノノキシノール10、オクトキシノ
ール9、ポリソルベート80、ラウリル硫酸ナトリウム、ソルビタンモノパルミテートが
含まれるが、これらに限定されない);
懸濁剤(例としては、寒天、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロース
ナトリウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシ
プロピルメチルセルロース、カオリン、メチルセルロース、トラガカントおよびビーガム
が含まれるが、これらに限定されない);
甘味料(例としては、アスパルテーム、デキストロース、グリセロール、マンニトール
、プロピレングリコール、サッカリンナトリウム、ソルビトールおよびスクロースが含ま
れるが、これらに限定されない);
錠剤の付着防止剤(例としては、ステアリン酸マグネシウムとタルクが含まれるが、こ
れらに限定されない);
錠剤バインダー(例としては、アカシア、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースナ
トリウム、圧縮性糖、エチルセルロース、ゼラチン、液状グルコース、メチルセルロース
、非架橋ポリビニルピロリドン、およびアルファ化デンプンが含まれるが、これらに限定
されない);
錠剤およびカプセルの希釈剤(例としては、二塩基性リン酸カルシウム、カオリン、乳
糖、マンニトール、微結晶セルロース、粉末セルロース、沈降炭酸カルシウム、炭酸ナト
リウム、リン酸ナトリウム、ソルビトールおよびデンプンが挙げられるが、これらに限定
されない);
錠剤コーティング剤(例としては、液状グルコース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒ
ドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース
、エチルセルロース、酢酸フタル酸セルロース、シェラックが含まれるが、これらに限定
されない);
錠剤の直接圧縮賦形剤(例としては、二塩基性リン酸カルシウムが含まれるが、これに
限定されない);
錠剤崩壊剤(例としては、アルギン酸、カルボキシメチルセルロースカルシウム、微結
晶セルロース、ポラクリリンカリウム、架橋ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウ
ム、デンプングリコール酸ナトリウムおよびデンプンが挙げられるが、これらに限定され
ない);
錠剤流動促進剤(例としては、コロイドシリカ、コーンスターチ、タルクが含まれるが
、これらに限定されない);
錠剤潤滑剤(例としては、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油
、ステアリン酸、ステアリン酸亜鉛が含まれるが、これらに限定されない);
錠剤/カプセル不透明化剤(例には、二酸化チタンが含まれるが、これに限定されない
);
錠剤仕上げ剤(例としては、カルナウバワックスおよびホワイトワックスが挙げられる
が、これらに限定されない);
増稠剤(例としては、蜜蝋、セチルアルコール、パラフィンが含まれるが、これらに限
定されない);
等張化剤(例には、デキストロースおよび塩化ナトリウムが含まれるが、これらに限定
されない);
増粘剤(例には、アルギン酸、ベントナイト、カルボマー、カルボキシメチルセルロー
スナトリウム、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、トラ
ガカントが含まれるが、これらに限定されない);および
湿潤剤(例には、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、レシチン、モノオレイン酸ソ
ルビトール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、およびステアリン酸ポリ
オキシエチレンを含むが、これらに限定されない)。
前述の情報を利用する当業者は、本発明を最大限に利用できると考えられる。
【実施例】
【0034】
実施例1:
レゴラフェニブと抗マウスPD-1抗体(RMPl-14、Peng et al.、
Cancer Res.、(2012)72(20)、5209-5218)の組み合わ
せ活性は、同系マウスMC38 CRCモデルで調べられた。
【0035】
方法:
MC38同系腫瘍をマウスの皮下で成長させ、以下のレジメンに従ってレゴラフェニブ
および/または抗マウスPD-1抗体(RMP1-14)で治療した。
【0036】
a)レゴラフェニブ単独を1日1回、1日当たり3mg/kgの用量で、Pluron
icF68/PEG400/プロピレングリコール(15/42.5/42.5+20%
水)のpo(経口)製剤として15日間、および10mg/kgの非結合性rIgG2a
アイソタイプコントロール(クローン2A3)を、PBS(リン酸緩衝生理食塩水)中の
ip(腹腔内)製剤として3日毎に5回投与した。
【0037】
b)抗マウスPD-1抗体(RMP1-14)単独を10mg/kgの用量で、PBS
中のip製剤として3日毎に5回、およびPluronicF68/PEG400/プロ
ピレングリコール(15/42.5/42.5+20%水)のビヒクルをpo製剤として
1日1回、15日間投与した。
【0038】
c)同時投与として、レゴラフェニブを1日1回、1日当たり3mg/kgの用量で、
PluronicF68/PEG400/プロピレングリコール(15/42.5/42
.5+20%水)のpo製剤として4日間、および抗マウスPD-1抗体(RMPl-1
4)を10mg/kgの用量で、PBS中のip製剤として3日毎に5回投与した。
【0039】
d)順次投与として、最初にレゴラフェニブを1日1回、1日当たり3mg/kgの用
量で、PluronicF68/PEG400/プロピレングリコール(15/42.5
/42.5+20%水)のpo製剤として4日間、続いて5日目にランダム化した後、抗
マウスPD-1抗体(RMP1-14)を10mg/kgの用量で、PBS中のip製剤
として3日毎に4回投与した。
【0040】
e)順次投与として、最初に抗マウスPD-1抗体(RMP1-14)を10mg/k
gの用量で、PBS中のip製剤として3日毎に2回、続いて5日目にランダム化した後
、レゴラフェニブを1日1回、1日当たり3mg/kgの用量で、PluronicF6
8/PEG400/プロピレングリコール(15/42.5/42.5)のpo製剤とし
て10日間投与した。
対照動物は、レゴラフェニブ・ビヒクル(PluronicF68/PEG400/プ
ロピレングリコール(15/42.5/42.5+20%水))および非結合性アイソタ
イプ対照抗体(ラットIgG2a、クローン2A3)で同時に処置された。腫瘍の成長を
キャリパー測定で監視し、式:a x b(aとbはそれぞれ腫瘍の長径と短径である。)
を使用して腫瘍面積を計算した。腫瘍重量は、試験の完了後に測定された。腫瘍vsコン
トロール(T/C)は、ビヒクルで処理した動物を参照として使用して計算された。
【0041】
結果:
レゴラフェニブおよび抗マウスPD-1抗体の両方が、MC38腫瘍の成長をコントロ
ールと比較して抑制し、この効果は同時投与または抗PD1の後にレゴラフェニブが投与
された場合に有意に増強された。
実施例2:
レゴラフェニブと抗マウスPD-1抗体(RMPl-14、Peng et al.、
Cancer Res.、(2012)72(20)、5209-5218)の組み合わ
せ活性は、同系マウスCT26 CRCモデルで調べられた。
【0042】
CT26同系腫瘍はマウスで同所性に成長させ(Abou-Elkacem et a
l.、Mol Cancer Ther.、2013 Jul;12(7):1322-
31)、以下のレジメンに従ってレゴラフェニブおよび/または抗マウスPD-1抗体(
RMP1-14)で治療した。
【0043】
a)10日間、コントロールとして製剤ビヒクルのみのものを使用しつつ、レゴラフェ
ニブ単独を1日1回、1日当たり30mg/kgの用量で、PluronicF68/P
EG400/プロピレングリコール/水(12/34/34/20)のpo(経口)製剤
として投与するか、PBS中の20mg/kg用量の非特異的なコントロール抗体の3日
毎の腹腔内投与(ip)と組み合わせて投与した。
【0044】
b)コントロールとして非特異的抗体を使用しつつ、抗マウスPD-1抗体(RMP1
-14)単独を20mg/kgの用量で、PBS中のip製剤として3日毎に4回投与し
た。
【0045】
c)組み合わせとしては、レゴラフェニブを1日1回、1日当たり20mg/kgの用
量で、PluronicF68/PEG400/プロピレングリコール/水(12/34
/34/20)のpo製剤として10日間、および抗マウスPD-1抗体(RMP1-1
4)を20mg/kgの用量で、PBS中のip製剤としてとして3日毎に4回投与した
。
【0046】
治療を停止した後、腫瘍の再成長(データは示していない)と肝転移の出現(表2)を
調べるために、数頭のマウスをさらに11日間観察した。処置の終了時または当該観察期
間の終了時にマウスを犠牲にし、肝臓の表面の転移を目視によりスクリーニングした。次
に、肝転移のあるマウスの数を、それぞれの試験群のマウスの総数に関連付けた。
表2では、使用した試験系を「+」で示している。レゴラフェニブによる14日間の治
療後、6匹の動物のうち0匹、およびPD-1群では6匹の動物のうち4匹が転移を示し
た。一方、治療から25日後、レゴラフェニブとコントロール抗体の組み合わせは8匹中
8匹の動物に転移を示したが、レゴラフェニブとPD-1の組み合わせで治療したグルー
プでは、驚くべきことに転移を示した動物はいなかった。