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特許7475407情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/40 20240101AFI20240419BHJP
   G06Q 50/22 20240101ALI20240419BHJP
【FI】
G06Q50/40
G06Q50/22
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2022160856
(22)【出願日】2022-10-05
(65)【公開番号】P2024054560
(43)【公開日】2024-04-17
【審査請求日】2023-02-01
(73)【特許権者】
【識別番号】519182659
【氏名又は名称】MONET Technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 彩子
(72)【発明者】
【氏名】壷屋 陽
(72)【発明者】
【氏名】竹内 和雅
(72)【発明者】
【氏名】山口 範和
【審査官】大野 朋也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-049569(JP,A)
【文献】特開2022-142871(JP,A)
【文献】特開2019-128635(JP,A)
【文献】特開2022-037515(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動サービスに関するサービス情報と、前記移動サービスに利用可能な車両の数とを受け付ける受付部と、
前記移動サービスの時間帯ごとの推定利用者数と、前記車両の数に応じた前記移動サービスの時間帯ごとの最大供給量のうち、小さい方の値に応じて、前記移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する評価関数に基づいて、各車両を前記移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する決定部と、
を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記最大供給量は、前記車両の定員、前記移動サービスが提供される時間帯の時間長、前記車両の数、および、前記移動サービスの1回の提供にかかる平均時間に基づいて算出される、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記評価関数は、前記推定利用者数が多いほど大きい重みに応じて、前記移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記受付部は、
前記サービス情報として、情報処理装置の利用者が優先的に提供を希望する種類の前記移動サービスである優先サービスに関する情報を受け付け、
前記評価関数は、他の種類の前記移動サービスよりも前記優先サービスの方が大きい重みに応じて、前記移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記決定部は、
各車両を前記移動サービスに利用するか否かをバイナリ変数とする前記評価関数を最大にする解を求める最適化問題を解くことにより得られる解に基づいて、各車両を前記移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記決定部は、
各時間帯において各車両を1以下の前記移動サービスに利用するという第1の制約条件の下で、前記最適化問題を解くことにより得られる解に基づいて、各車両を前記移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記決定部は、
各時間帯において前記移動サービスに利用される前記車両の数の総和の最大値は固定値であるという第2の制約条件の下で、前記最適化問題を解くことにより得られる解に基づいて、各車両を前記移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が実行するプログラムにより実現される情報処理方法であって、
移動サービスに関するサービス情報と、前記移動サービスに利用可能な車両の数とを受け付ける受付工程と、
前記移動サービスの時間帯ごとの推定利用者数と、前記車両の数に応じた前記移動サービスの時間帯ごとの最大供給量のうち、小さい方の値に応じて、前記移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する評価関数に基づいて、各車両を前記移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する決定工程と、
を含む情報処理方法。
【請求項9】
移動サービスに関するサービス情報と、前記移動サービスに利用可能な車両の数とを受け付ける受付手順と、
前記移動サービスの時間帯ごとの推定利用者数と、前記車両の数に応じた前記移動サービスの時間帯ごとの最大供給量のうち、小さい方の値に応じて、前記移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する評価関数に基づいて、各車両を前記移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する決定手順と、
をコンピュータに実行させる情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、利用者のサービス提供依頼に従ってサービスを提供するオンデマンド型の配車サービスに関する技術が知られている。例えば、予測対象の日時情報、天候情報、及び、イベントの開催情報の少なくとも何れかを考慮して、地理的領域ごとのサービス需要を予測する技術が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2022-031011号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
また、近年、移動が困難な患者に対し、看護師と医療機能が搭載された車両を自宅近くに派遣し医師との遠隔医療を行うサービスなど、特定の種類のサービスを提供するMaaS(Mobility as a Service)が知られている。
【0005】
このように、オンデマンド型の配車サービスや特定の種類のサービスを提供するMaaSといった移動サービスの需要および供給能力に応じた提供態様で移動サービスを提供することを可能とする技術が求められている。
【0006】
そこで、本開示では、移動サービスの需要および供給能力に応じた提供態様で移動サービスを提供可能とすることができる情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願に係る情報処理装置は、移動サービスに関するサービス情報と、前記移動サービスに利用可能な車両の数とを受け付ける受付部と、前記移動サービスの時間帯ごとの推定利用者数と、前記車両の数に応じた前記移動サービスの時間帯ごとの最大供給量のうち、小さい方の値に応じて、前記移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する評価関数に基づいて、各車両を前記移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する決定部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
実施形態の一態様によれば、移動サービスの需要および供給能力に応じた提供態様で移動サービスを提供可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1の実施形態に係る推定装置の構成例を示す図である。
図2図2は、複数の利用者の端末装置の位置情報を地図上にプロットした図である。
図3図3は、所定の地域から他の地域へ移動した移動者の数を示す表である。
図4図4は、端末装置の位置情報から推定される利用者数(ログ数)および病院へ移動する移動サービスを利用した利用者の実績数を示す表である。
図5図5は、第2の実施形態に係る推定装置の構成例を示す図である。
図6図6は、各地域の属性情報から推測される移動サービスの需要の高さを示す表である。
図7図7は、各地域に所在する施設に関する施設情報と各地域への人口流入レベルとの関係性を示す表である。
図8図8は、病院を訪問した訪問者の端末情報の位置情報の夜間滞在場所から居住地を推定し、ログの数を集計した表である。
図9図9は、移動サービスの種類とニーズの予測に利用できると考えられる地域情報との組み合わせを示す表である。
図10図10は、移動サービスの種類とニーズの予測に利用できると考えられる地域情報との組み合わせを示す表である。
図11図11は、第3の実施形態に係る情報処理装置の構成例を示す図である。
図12図12は、第3の実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。
図13図13は、第3の実施形態に係る評価関数のグラフを示す図である。
図14図14は、第3の実施形態に係る評価関数の変数について説明するための図である。
図15図15は、第3の実施形態に係る評価関数の変数について説明するための図である。
図16図16は、第3の実施形態に係る最適化された車両スケジュールの一例を示す図である。
図17図17は、第3の実施形態に係る最適化されたステーションの設置位置の一例を示す図である。
図18図18は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムを実施するための形態(以下、「実施形態」と呼ぶ)について図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報処理装置、情報処理方法及び情報処理プログラムが限定されるものではない。また、以下の各実施形態において同一の部位には同一の符号を付し、重複する説明は省略される。
【0011】
〔1.第1の実施形態〕
第1の実施形態では、推定装置100が、移動サービスの種類および時間帯の指定を受け付けた場合に、指定された時間帯における指定された種類の移動サービスの利用者の数を地域ごとに推定する。
【0012】
〔1-1.推定装置の構成〕
図1は、第1の実施形態に係る推定装置100の構成例を示す図である。図1に示すように、推定装置100は、通信部110と、記憶部120と、入力部130と、出力部140と、制御部150とを有する。
【0013】
(通信部110)
通信部110は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。そして、通信部110は、ネットワークと有線または無線で接続され、外部の推定装置との間で情報の送受信を行う。
【0014】
例えば、通信部110は、移動サービスを提供する事業者によって管理される第1の外部のサーバから、移動サービスの予約実績に関する情報を受信する。また、通信部110は、国や地方公共団体による公開情報を管理する第2の外部のサーバから、国や地方公共団体による公開情報を受信する。また、通信部110は、人流データ、車両の移動データ、または、車両の保有者等の情報を管理する第3の外部サーバから、人流データ、車両の移動データ、または、車両の保有者等の情報を受信する。なお、推定装置100の管理者は、オープンデータに限らず、自治体から回収するデータを含めて、収集データを手動で投入してもよい。
【0015】
(記憶部120)
記憶部120は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。具体的には、記憶部120は、実施形態に係る情報処理プログラムを記憶する。また、記憶部120は、通信部110が受信した各種情報を記憶する。
【0016】
(入力部130)
入力部130は、利用者から各種操作が入力される。例えば、入力部130は、タッチパネル機能により表示面(例えば出力部140)を介して利用者からの各種操作を受け付けてもよい。また、入力部130は、推定装置100に設けられたボタンや、推定装置100に接続されたキーボードやマウスからの各種操作を受け付けてもよい。
【0017】
(出力部140)
出力部140は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現される表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。出力部140は、制御部150の制御に従って、各種情報を表示する。なお、推定装置100にタッチパネルが採用される場合には、入力部130と出力部140とは一体化される。また、以下の説明では、出力部140を画面と記載する場合がある。
【0018】
(制御部150)
制御部150は、コントローラ(controller)であり、例えば、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、推定装置100内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部150は、コントローラであり、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現される。
【0019】
制御部150は、受付部151と、推定部152と、出力制御部153を機能部として有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行してよい。なお、制御部150の内部構成は、図1に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、各機能部は、制御部150の機能を示したものであり、必ずしも物理的に区別されるものでなくともよい。
【0020】
(受付部151)
受付部151は、移動サービスの種類に関するサービス情報と、時間帯に関する時間情報とを受け付ける。具体的には、受付部151は、入力部130を介して、サービス情報と時間情報を受け付ける。例えば、出力部140は、複数の種類の移動サービスを選択可能に表示する。受付部151は、サービス情報として、複数の種類の移動サービスの中から利用者によって選択された種類の移動サービス(以下、指定移動サービスともいう)に関する情報を受け付ける。また、出力部140は、複数の時間帯(例えば、9:00-10:00、10:00-11:00、…など)を選択可能に表示する。受付部151は、時間情報として、複数の時間帯の中から利用者によって選択された時間帯(以下、指定時間帯ともいう)に関する情報を受け付ける。なお、出力部140は、月曜日~日曜日までの各曜日を選択可能に表示してもよい。受付部151は、時間情報として、複数の曜日の中から利用者によって選択された曜日に関する情報を受け付けてもよい。
【0021】
(推定部152)
推定部152は、受付部151によって受け付けられたサービス情報と時間情報とに基づいて、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数を地域ごとに推定する。この点について、図2および図3を用いて詳しく説明する。
【0022】
図2は、複数の利用者の端末装置の位置情報を地図上にプロットした図である。出力制御部153は、所定の時刻における、複数の利用者の端末装置の位置情報をプロットした地図情報MP1を画面に表示させる。ここで、所定の時刻は、指定時間帯の開始時刻に対応する時刻である。例えば、図2において、黒い丸印で示す点P1およびP2は、所定の時刻における、異なる利用者U1およびU2の位置情報にそれぞれに対応する。
【0023】
また、出力制御部153は、複数の利用者の端末装置の位置情報の履歴(例えば、指定時間帯の開始時刻から終了時刻までの各時刻における位置情報)をプロットした地図情報を画面に表示してよい。例えば、出力制御部153は、いわゆる人流データをプロットした地図情報を画面に表示してよい。ここで、人流データは、利用者によって使用されるスマートフォン等の端末装置の位置情報に基づいて収集される情報である。例えば、人流データは、「誰が(年齢や性別など)」、「いつ(時間帯や曜日、特定の日など)」、「どのエリアにいて(位置情報)」、「どのように移動して(移動経路や手段など)」、「どんな施設にいるか(施設情報)」を示す情報である。
【0024】
図2では、出力制御部153は、楕円状のエリア(以下、エリア全体ともいう)に対応する地図情報MP1を画面に表示させる。エリア全体は、A~Fの6つのエリアに区分されている。A~Fの6つのエリアは、例えば、市区町村などの行政区画(区域)であってよい。例えば、エリア全体は、東京都の港区であり、A~Fの6つのエリアは、それぞれ、新橋、赤坂または六本木などの港区内の各区域に対応する。
【0025】
また、出力制御部153は、メッシュ単位で区切られた地図情報MP1を画面に表示させる。例えば、エリア全体のうち、Aエリアを区分する複数のメッシュは、それぞれ、A-1、A-2、…のようなメッシュ識別情報によって識別される。なお、メッシュのサイズは、適宜変更されてよい。また、一つのメッシュが複数のエリアをまたぐ場合は、メッシュ内に占める面積が一番大きいエリアにそのメッシュを分類するものとする。
【0026】
地図上のメッシュは、標準地域メッシュであってもよいし、任意に設定したメッシュであってもよい。標準地域メッシュである場合、第1次メッシュ、第2次メッシュ、第3次メッシュのいずれでもよい。また、分割地域メッシュであってもよい。分割地域メッシュである場合、2分の1地域メッシュ、4分の1地域メッシュ、8分の1地域メッシュのいずれでもよい。また、統合地域メッシュであってもよい。統合地域メッシュである場合、2倍地域メッシュ、5倍地域メッシュ、10地域メッシュ、のいずれでもよい。また、100mメッシュ、50mメッシュであってもよい。
【0027】
図3は、所定の地域から他の地域へ移動した移動者の数を示す表である。推定部152は、図3に示す表121に対応するデータを生成する。図3では、所定の時刻において、図2に示すエリア全体で200名の利用者の端末装置の位置情報が確認された場合について説明する。以下では、利用者の端末装置の位置情報を「位置情報」と省略して記載する。また、図3では、図2に示すエリア全体で位置情報が確認された利用者(以下、全利用者ともいう)200名のうち、A-1のメッシュで位置情報が確認された利用者が10名いて、そのうち、A-2のメッシュでも位置情報が確認された利用者が6名いた場合について説明する。
【0028】
図3に示す表121の行は、利用者が所定の時刻に位置したメッシュを示す。例えば、表121の1行目は、利用者が所定の時刻に位置したメッシュがA-1のメッシュであったことを示す。また、表121の2行目は、利用者が所定の時刻に位置したメッシュがA-2のメッシュであったことを示す。また、図3に示す表121の列は、利用者が所定の時刻からΔtの時間だけ経過した時刻に位置したメッシュを示す。ここで、Δtの時間は、指定時間帯の開始時刻から終了時刻までの時間長に対応する時間である。例えば、表121の2列目は、利用者が所定の時刻からΔtだけ経過した時刻に位置したメッシュがA-2のメッシュであったことを示す。
【0029】
また、図3に示す表121の各行、各列に対応するセルの数値は、全利用者200名のうち、所定の時刻に所定のメッシュで位置情報が確認された利用者であって、所定の時刻からΔtだけ経過した時刻に他のメッシュで位置情報が確認された利用者の数の割合を示す。例えば、121Aで示すセルの数値は、全利用者200名のうち、所定の時刻にA-1のメッシュで位置情報が確認された利用者であって、所定の時刻からΔtだけ経過した時刻にA-2のメッシュで位置情報が確認された利用者が6名いたことを示す。ここで、所定の時刻にA-1のメッシュで位置情報が確認された利用者であって、所定の時刻からΔtだけ経過した時刻にA-2のメッシュで位置情報が確認された利用者は、Δtの時間が経過する間にA-1のメッシュからA-2のメッシュへ移動した移動者であると考えられる。そこで、推定部152は、全利用者200名のうち、A-1のメッシュからA-2のメッシュへ移動した移動者の数の割合を「6/200」と算出する。このようにして、推定部152は、指定時間帯において、所定の地域(例えば、所定のメッシュ)から他の地域(例えば、他のメッシュ)へ移動した移動者の数の割合を地域ごと(例えば、メッシュごと)に算出する。
【0030】
続いて、推定部152は、所定の地域から他の地域へ移動した移動者の数の割合を算出した場合、算出した割合とエリア全体の人口とに基づいて、拡大推計を行うことにより、指定時間帯において、所定の地域から他の地域へ移動した移動者の数を地域ごとに推定する。例えば、推定部152は、エリア全体の人口が100万人である場合、指定時間帯において、A-1のメッシュからA-2のメッシュへ移動した移動者の数の割合である「6/200」に、エリア全体の人口である100万人を乗じることにより、指定時間帯において、A-1のメッシュからA-2のメッシュへ移動した移動者の数を「(6/200)×100万人」と推定する。このようにして、推定部152は、複数の利用者の端末装置の位置情報の履歴に基づいて、指定時間帯において、所定の地域から他の地域へ移動した移動者の数を地域ごとに推定する。なお、人流データは、年代別に取得できている端末装置の位置情報の履歴の数(以下、ログ数ともいう)に差がある場合がある。例えば、若年者のログ数と比べると、高齢者のログ数は少ない場合がある。そこで、推定部152は、年代別に取得できているログ数を考慮して推定移動者数を推定するため、例えばログ数の少ない高齢者の移動者数を推定する場合は、少し大きめの係数K(Kは任意の数)をかけるなどして拡大推計してよい。例えば、推定部152は、指定時間帯において、A-1のメッシュからA-2のメッシュへ移動した高齢者の移動者の数を「K×(6/200)×100万人」と推定してよい。
【0031】
続いて、推定部152は、推定した移動者の数に基づいて、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数を地域ごとに推定する。例えば、推定部152は、推定した移動者の数のうち、指定移動サービスを利用する利用者(以下、ターゲットともいう)の数を推定する。具体的には、推定部152は、あらかじめ、各地域の住民に対して、指定時間帯において、所定の地域から他の地域へ移動する指定移動サービスを利用するか否かに関するアンケートを行ったアンケートの結果に基づいて、ターゲットの数を推定する。より具体的には、推定部152は、アンケートの結果に基づいて、アンケートの対象となった住民の数に対する、指定移動サービスを利用すると回答した住民の数の割合(例えば、30%)を算出する。続いて、推定部152は、推定した所定の地域から他の地域へ移動した移動者の数に、算出した住民の数の割合を乗じることにより、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数を地域ごとに推定する。例えば、推定部152は、A-1のメッシュからA-2のメッシュへ移動すると推定した移動者の数である「(6/200)×100万人」に、A-1のメッシュからA-2のメッシュへ移動する指定移動サービスを利用すると回答した住民の数の割合(例えば、30%)を乗じることにより、A-1のメッシュにおける指定移動サービスの利用者の数を推定する。
【0032】
あるいは、推定部152は、対象エリア(例えば、図2に示すエリア全体)とは異なる参照エリアにおける指定移動サービスの利用者の実績数に基づいて、ターゲットの数を推定してもよい。より具体的には、推定部152は、対象エリアの地域情報と、複数の参照エリアの地域情報との類似度をそれぞれ算出する。続いて、推定部152は、複数の参照エリアの中から、類似度が第1閾値を超える参照エリアを選択する。また、推定部152は、指定時間帯における、参照エリアの各メッシュにおける位置情報の数、および、対象エリアの各メッシュにおける位置情報の数を算出する。続いて、推定部152は、参照エリアの複数のメッシュの中から、対象エリアの所定のメッシュにおける位置情報の数との類似度が第2閾値を超える参照エリアのメッシュを選択する。続いて、推定部152は、選択した参照エリアのメッシュにおける、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の実績数を、所定のメッシュにおけるターゲットの数であると推定する。
【0033】
(出力制御部153)
出力制御部153は、推定部152によって推定された地域ごとの指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数(以下、利用者数)を可視化した地図情報を出力部140に表示するよう制御する。例えば、出力制御部153は、指定移動サービスの利用者数に応じて色分けした地図情報を出力部140に表示するよう制御してよい。例えば、出力制御部153は、指定移動サービスの利用者数に応じて色の濃淡やグラデーションを変えることにより、指定時間帯における指定移動サービスの利用者数をヒートマップで表現した地図情報を出力部140に表示するよう制御してよい。
【0034】
〔1-2.変形例〕
ここから、変形例について説明する。第1の実施形態では、推定装置100が、指定時間帯における移動者の数を地域ごとに推定し、推定した移動者の数に基づいて、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数を地域ごとに推定する場合について説明した。第1の実施形態に係る変形例では、推定装置100が、指定時間帯における、特定の種類のサービスを提供する場所を訪問した訪問者の数を推定し、推定した訪問者の数に基づいて、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数を地域ごとに推定する場合について説明する。
【0035】
第1の実施形態に係る変形例について、図4を用いて説明する。図4では、特定の種類のサービスが医療サービスであり、特定の種類のサービスを提供する場所が病院である場合について説明する。また、図4では、簡単のため、全エリアのうち、Bエリアに所在する病院(以下、Bエリアの病院ともいう)が一つだけ存在する場合について説明する。図4は、端末装置の位置情報から推定される利用者数(ログ数)および病院へ移動する移動サービスを利用した利用者の実績数を示す表である。推定部152は、図4に示す表122に対応するデータを生成する。
【0036】
図4の表122の1行目は、各曜日を示す。また、表122の2行目は、各曜日の時間帯を示す。また、表122の3行目は、各時間帯における位置情報の数を示す。例えば、表122の3行目の月曜日の8時の時間帯(8:00-9:00)に対応するセルの数値である「12」は、病院にログを落としたユニークユーザー数であり、月曜日の8時の時間帯にBエリアの病院を訪問した訪問者の数が12名であると想定する。推定部152は、複数の利用者の端末装置の位置情報の履歴に基づいて、指定時間帯において、病院を訪問した訪問者の数を推定する。例えば、推定部152は、指定時間帯が「8:00-9:00」である場合、表122の3行目の月曜日の8時の時間帯に対応するセルの数値を参照して、病院を訪問した訪問者の数を「12」名であると推定する。
【0037】
ここで、医療サービスの提供元である病院を訪問した訪問者は、「医療サービスを提供するMaaS」(以下、医療MaaSともいう)、または、病院を目的地とするオンデマンド型の配車サービス(以下、デマンドともいう)を利用する可能性が高い利用者であると考えられる。また、病院を訪問した訪問者は、訪問者の居住地が所在する地域から指定移動サービスを利用する可能性が高いと考えられる。そこで、推定部152は、指定時間帯に病院を訪問した訪問者それぞれの推定居住地を推定する。なお、推定部152が訪問者の推定居住地を推定する処理については後述する。例えば、推定部152は、指定時間帯である「8:00-9:00」に病院を訪問した訪問者の数である「12」名のうち、A-1のメッシュに居住地が所在する訪問者の数が「3」名、A-2のメッシュに居住地が所在する訪問者の数が「4」名、…のように推定する。続いて、推定部152は、指定時間帯である「8:00-9:00」に病院を訪問した訪問者のうち、A-1のメッシュに居住地が所在する訪問者の数が「3」名なので、A-1のメッシュにおける、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数を「3」名と推定する。同様に、推定部152は、指定時間帯である「8:00-9:00」に病院を訪問した訪問者のうち、A-2のメッシュに居住地が所在する訪問者の数が「4」名なので、A-2のメッシュにおける、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数を「4」名と推定する。このようにして、推定部152は、推定した訪問者の数に基づいて、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数を地域ごとに推定する。
【0038】
また、図4に示す表122の4行目以下は、各時間帯における、Bエリアの病院を目的地とするオンデマンド型の配車サービス(以下、デマンドともいう)を予約した予約者の数を示す。例えば、表122の4行目の月曜日の10時の時間帯に対応するセルの数値である「3」は、A-1のメッシュの位置から月曜日の10時の時間帯にBエリアの病院を目的地とするデマンドを予約した予約者の数が3名であることを示す。
【0039】
ここで、医療サービスの提供元である病院を目的地とするデマンドを予約した予約者は、医療MaaS、または、病院を目的地とするデマンドを利用する可能性が高い利用者であると考えられる。また、例えば、A-1のメッシュの位置から病院を目的地とするデマンドを予約した予約者は、A-1のメッシュの位置から指定移動サービスを利用する可能性が高いと考えられる。そこで、推定部152は、指定時間帯が「10:00-11:00」である場合、表122の4行目の月曜日の10時の時間帯に対応するセルの数値を参照して、A-1のメッシュにおける、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数を「3」名と推定する。このようにして、推定部152は、指定時間帯において、特定の種類のサービスを提供する場所へ移動する移動サービスを利用した利用者の実績数に基づいて、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数を地域ごとに推定する。
【0040】
〔2.第2の実施形態〕
ここから、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態では、推定装置100Aが、各地域の属性に関する地域情報に基づいて、移動サービスの需要の高さを示す需要情報を地域ごとに推定する場合について説明する。なお、第1の実施形態と同様の点については、適宜説明を省略する。
【0041】
〔2-1.推定装置の構成〕
図5は、第2の実施形態に係る推定装置100Aの構成例を示す図である。図5に示すように、推定装置100Aは、通信部110と、記憶部120と、入力部130と、出力部140と、制御部150Aとを有する。なお、推定装置100Aにおいて、推定装置100と同様の点は適宜説明を省略する。
【0042】
(制御部150A)
制御部150Aは、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、推定装置100A内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部150Aは、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0043】
制御部150Aは、受付部151Aと、取得部152Aと、推定部153Aと、出力制御部154Aを機能部として有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行してよい。なお、制御部150Aの内部構成は、図5に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、各機能部は、制御部150Aの機能を示したものであり、必ずしも物理的に区別されるものでなくともよい。
【0044】
(受付部151A)
受付部151Aは、受付部151と同様にして、指定移動サービスに関する情報を受け付ける。
【0045】
(取得部152A)
取得部152Aは、各地域の属性に関する地域情報を取得する。具体的には、取得部152Aは、地域情報の一例として、各地域の住民の属性に関する住民情報を取得する。より具体的には、取得部152Aは、図6に示す表123の各項目に対応する住民情報を取得する。なお、以下では、各地域の住民の属性を、各地域の住民の特徴を示す「観点」と記載する場合がある。図6は、各地域の属性情報から推測される移動サービスの需要の高さを示す表である。図6では、取得部152Aは、各地域における、所定の年齢(例えば、70歳、80歳など)以上の人口の割合、車を保有する人の割合(車保有率、または、車利用率ともいう)、移動サービス以外の公共交通機関の有無(または、移動のしやすさ)、世帯最高年齢の平均値(および、中央値、標準偏差)、世帯内人数の平均値(および、中央値、標準偏差)といった住民情報を取得する。このように、取得部152Aは、各地域の住民の複数の属性それぞれに関する住民情報それぞれを取得する。
【0046】
(推定部153A)
推定部153Aは、地域情報に基づいて、指定移動サービスの需要の高さを示す需要情報を地域ごとに推定する。推定部153Aは、指定移動サービスに対する需要の高さを数値と対応付けてよい。例えば、推定部153Aは、指定移動サービスの需要が高いほど、大きい数値と対応付けてよい。
【0047】
具体的には、推定部153Aは、取得部152Aによって取得された各地域の住民の複数の属性それぞれについて、指定移動サービスに対する需要の高さを示す需要情報を推定する。例えば、推定部153Aは、所定の年齢以上の人口の割合が高い地域ほど、指定移動サービスの需要が高い地域であると推定する。また、推定部153Aは、車保有率が高い地域ほど、指定移動サービスの需要が高い地域であると推定する。また、推定部153Aは、移動サービス以外の公共交通機関が有る(または、充実している)地域ほど、指定移動サービスの需要が低い地域であると推定する。続いて、推定部153Aは、各地域の住民の複数の属性それぞれについて推定した需要情報に基づいて、各地域における指定移動サービスの総合的な需要の高さを示す需要情報を推定する。例えば、推定部153Aは、所定の年齢以上の人口の割合に関する需要の高さを示す第1の数値と、車保有率に関する需要の高さを示す第2の数値と、移動サービス以外の公共交通機関の有無に関する需要の高さを示す第3の数値と、…とを加算した数値を、各地域における指定移動サービスの総合的な需要の高さを示す総合数値として算出する。推定部153Aは、総合数値が高い地域ほど、指定移動サービスに対する需要が高い地域であると推定する。
【0048】
(出力制御部154A)
出力制御部154Aは、推定部153Aによって推定された地域ごとの需要情報を可視化した地図情報を出力部140に表示するよう制御する。例えば、出力制御部154Aは、総合数値に応じて色の濃淡やグラデーションを変えることにより、各地域における指定移動サービスの需要の高さをヒートマップで表現した地図情報を出力部140に表示するよう制御してよい。
【0049】
〔2-2.変形例〕
ここから、変形例について説明する。第2の実施形態では、推定装置100Aが、地域情報の一例として、各地域の住民の属性に関する住民情報に基づいて、指定移動サービスの需要の高さを示す需要情報を地域ごとに推定する場合について説明した。第2の実施形態に係る変形例では、推定装置100Aが、住民情報以外のその他の地域情報に基づいて、指定移動サービスの需要の高さを示す需要情報を地域ごとに推定する場合について説明する。
【0050】
〔2-2-1.施設情報〕
取得部152Aは、地域情報の一例として、各地域に所在する施設に関する施設情報を取得する。より具体的には、取得部152Aは、図7に示す表124の各項目に対応する施設情報を取得する。図7は、各地域に所在する施設に関する施設情報と各地域への人口流入レベルとの関係性を示す表である。図7では、取得部152Aは、施設情報として、各地域に所在する医療機関や商業施設等の生活に必須な施設の数に関する情報を取得する。また、取得部152Aは、施設情報として、各地域に所在する大型施設および中小型施設の数に関する情報を取得する。例えば、取得部152Aは、各地域に所在する大型施設に対応する医療機関の数および中小型施設に対応する医療機関の数に関する情報を取得する。また、例えば、取得部152Aは、各地域に所在する大型施設に対応する商業施設の数および中小型施設に対応する商業施設の数に関する情報を取得する。
【0051】
推定部153Aは、取得部152Aによって取得された施設情報に基づいて、指定移動サービスの需要の高さを示す需要情報を地域ごとに推定する。具体的には、推定部153Aは、大型施設と中小型施設とでそれぞれポイントを設定する。例えば、中小型施設が所在する地域よりも、大型施設が所在する地域の方が人口の流入が大きいと考えられる。そこで、推定部153Aは、中小型施設のポイントよりも、大型施設のポイントを高く設定してよい。続いて、推定部153Aは、各地域に所在する大型施設の数に大型施設のポイントを乗じた数値(以下、大型ポイント数値ともいう)、および、各地域に所在する中小型施設の数に中小型施設のポイントを乗じた数値(以下、中小型ポイント数値ともいう)をそれぞれ算出する。続いて、推定部153Aは、算出した大型ポイント数値と中小型ポイント数値を加算した数値を、各地域における人口流入レベルの高さを示す数値とする。ここで、人口流入レベルが高い地域は、人が集まるので、指定移動サービスの需要が高いと考えられる。そこで、推定部153Aは、算出した大型ポイント数値と中小型ポイント数値を加算した数値を、各地域における指定移動サービスの総合的な需要の高さを示す総合数値として算出してよい。
【0052】
〔2-2-2.居住地情報〕
取得部152Aは、地域情報の一例として、特定の種類のサービスを提供する場所を訪問する訪問者の推定居住地に関する居住地情報を取得する。より具体的には、取得部152Aは、図8に示す表125の各項目に対応する居住地情報を取得する。図8では、特定の種類のサービスが医療サービスであり、特定の種類のサービスを提供する場所が病院である場合について説明する。図8は、病院を訪問した訪問者の端末情報の位置情報の夜間滞在場所から居住地を推定し、ログの数を集計した表である。図8では、取得部152Aは、例えば、図4で説明したBエリアの病院を訪問した訪問者の位置情報の履歴を取得する。例えば、取得部152Aは、Bエリアの病院を訪問した訪問者のある日の夜間(深夜の時間帯など)の位置情報を取得する。ここで、通常、夜間には、利用者は就寝などのため居住地に滞在していると考えられる。そのため、病院を訪問した訪問者の夜間の滞在場所は、訪問者の推定居住地であると考えられる。そこで、取得部152Aは、病院を訪問した訪問者の夜間の位置情報の数を地域ごとに算出する。図8では、取得部152Aは、A-1のメッシュに位置する訪問者の位置情報の数を「0」、A-2のメッシュに位置する訪問者の位置情報の数を「3」、…と算出する。続いて、取得部152Aは、算出した位置情報の数を各地域における居住地情報として取得する。
【0053】
ここで、病院を訪問した訪問者の夜間の位置情報の数が多い地域は、病院を訪問した訪問者の夜間の位置情報の数が少ない地域と比べると、医療MaaS、または、病院を目的地とするデマンドを利用する可能性が高い利用者が多い地域であると考えられる。そこで、推定部153Aは、取得部152Aによって取得された居住地情報に基づいて、指定移動サービスの需要の高さを示す需要情報を地域ごとに推定する。例えば、推定部153Aは、取得部152Aによって取得された位置情報の数が多い地域ほど、指定移動サービスの需要が高い地域であると推定する。
【0054】
〔2-2-3.移動サービスの種類と地域情報との組合せの例〕
上述したデマンドや医療MaaSの他にも、様々な種類の移動サービスが考えられる。例えば、移動が困難な患者に対し、看護師と医療機能が搭載された車両を自宅近くに派遣し医師との遠隔医療を行う移動サービス(以下、医療MaaS(1))がある。また、子供を病院に連れて行けない事情がある家庭の子供へ、看護師と医療機能が搭載された車両を自宅近くに派遣し医師との遠隔医療を行う移動サービス(以下、医療MaaS(2))があってよい。また、スーパーや商店街が、買い物困難地域に移動販売車を送り販売を行う移動サービス(以下、小売MaaS)があってよい。
【0055】
また、都市部のオフィス街などで、忙しいビジネスパーソン向けに簡易健康診断ができる健診カーを巡回させる移動サービス(以下、健診MaaS)があってよい。また、マイナンバーカード申請などの、さまざまな行政サービスの必要機材を搭載した車両で、住民の方がアクセスしやすい場所まで届ける移動サービス(以下、行政MaaS)があってよい。また、急用で子供の習い事の送り迎えができなくなった時に送迎を代行する移動サービス(以下、習い事お迎えMaaS)があってよい。また、会社勤務を続けながら転職活動をしている方を対象に、通勤時間を活用し車両内で転職面接ができる移動サービス(以下、HR MaaS)があってよい。
【0056】
また、保険商品など、いつか検討したいと思っているがきっかけや時間がとれない方に、職場から自宅までの送迎車両の中で、商品説明などを受けられる移動サービス(以下、移動型営業MaaS)があってよい。また、エンタメサービス(例えば、低年齢~高校生までの学生向けに高性能PCによるe-Sports環境)を車の中で提供し、自宅周辺で楽しんでいただく移動サービス(以下、エンタメMaaS(1))があってよい。また、エンタメサービス(例えば、移動式カラオケボックスや、家庭用ゲーム機など)を車の中で提供し、自宅周辺で楽しんでいただく移動サービス(以下、エンタメMaaS(2))があってよい。また、エンタメサービス(例えば、居酒屋やスナックのサービス)を車の中で提供し、自宅周辺で楽しんでいただく移動サービス(以下、エンタメMaaS(3))があってよい。
【0057】
また、コンサートやスポーツ試合など、駅からのアクセスが悪いイベント会場にデマンド型シャトルを提供し、イベントの開始時間や終了時間に合わせた移動を提供し、特に悪天候時に快適な移動を提供する移動サービス(以下、イベントMaaS)があってよい。また、人がよく集まる野外スポット(公園や観光地、BBQ会場等)において、夏場は汗をかいて着替えがほしい時に、移動販売カーもしくは店舗送迎カーを配車し、冬場は想定より寒かった時に、移動販売カーもしくは店舗送迎カーを配車する移動サービス(以下、アパレルMaaS)があってよい。
【0058】
また、急な天候の変化に合わせて食べたいものが食べられるように、夏場は想定よりも急に冷えたときに、温かい飲み物や食べ物を販売するキッチンカーを配車し、冬場は想定よりも急に暑かったときに、冷たい飲み物や食べ物を販売するキッチンカーを配車する移動サービス(以下、飲食店MaaS)があってよい。また、移動型リサイクルショップであって、気候の問題で着替えが欲しいときに、その場で衣類を購入し、利用後に売却できる移動サービス(以下、リサイクルMaaS)があってよい。また、資源ごみの直接回収サービスであって、可燃ごみも生ごみと分別して回収するとコンポストに変身する移動サービス(以下、ゴミ回収MaaS(1))があってよい。また、自由な時間にどんなゴミも回収する移動サービス(以下、ゴミ回収MaaS(2))があってよい。
【0059】
図9および図10は、移動サービスの種類とニーズの予測に利用できると考えられる地域情報との組み合わせを示す表である。図9に示す表123Aでは、推定部153Aは、指定移動サービスがデマンドである場合、年代情報、車保有率、施設・交通機関情報、および公共交通機関情報に基づいて、指定移動サービスの需要の高さを示す需要情報(以下、需要情報)を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスが医療MaaS(1)である場合、年代情報、車保有率、施設・交通機関情報、健康保険利用履歴、および公共交通機関情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスが医療MaaS(2)である場合、世帯情報、要介護者・障碍者情報、および職業形態情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。
【0060】
また、推定部153Aは、指定移動サービスが小売MaaSである場合、車保有率、施設・交通機関情報、世帯情報、および要介護者・障碍者情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスが行政MaaSである場合、施設・交通機関情報、世帯情報、および職業形態情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスが健診MaaSである場合、年代情報、施設・交通機関情報、および人流データに基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスが習い事お迎えMaaSである場合、年代情報、施設・交通機関情報、および世帯情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。
【0061】
また、推定部153Aは、指定移動サービスがHR MaaSである場合、年代情報、および転職サイト情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスが移動型営業MaaSである場合、年代情報、および職業形態情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。
【0062】
図10に示す表123Bでは、推定部153Aは、指定移動サービスがエンタメMaaS(1)である場合、年代情報、施設・交通機関情報、および世帯情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスがエンタメMaaS(2)である場合、年代情報、施設・交通機関情報、および世帯情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスがエンタメMaaS(3)である場合、年代情報、施設・交通機関情報、世帯情報、およびタクシー運行情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。
【0063】
また、推定部153Aは、指定移動サービスがイベントMaaSである場合、施設・交通機関情報、タクシー運行情報、イベント情報、および天候情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスがアパレルMaaSである場合、施設・交通機関情報、人流データ、および天候情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスが飲食店MaaSである場合、施設・交通機関情報、人流データ、および天候情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。また、推定部153Aは、指定移動サービスがリサイクルMaaSである場合、年代情報、施設・交通機関情報、世帯情報、および天候情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。
【0064】
また、推定部153Aは、指定移動サービスがゴミ回収MaaS(1)またはゴミ回収MaaS(2)である場合、世帯情報に基づいて、需要情報を地域ごとに推定する。
【0065】
〔3.第3の実施形態〕
ここから、第3の実施形態について説明する。第1の実施形態では、推定装置100が、指定時間帯における指定移動サービスの利用者の数(以下、推定利用者数ともいう)を地域ごとに推定する場合について説明した。第3の実施形態では、情報処理装置200が、推定装置100によって推定された時間帯ごとの推定利用者数に応じて、より多くの利用者の需要を満たせるような移動サービスの提供態様を時間帯ごとに決定する場合について説明する。具体的には、情報処理装置200が、推定装置100によって推定された時間帯ごとの推定利用者数と、移動サービスの提供に利用可能な車両の数とに基づいて、より多くの利用者の需要を満たせるような各車両の配車スケジュールを時間帯ごとに決定する。なお、第1の実施形態および第2の実施形態と同様の点については、適宜説明を省略する。
【0066】
〔3-1.情報処理装置の構成〕
図11は、第3の実施形態に係る情報処理装置200の構成例を示す図である。図11に示すように、情報処理装置200は、通信部210と、記憶部220と、入力部230と、出力部240と、制御部250とを有する。
【0067】
(通信部210)
通信部210は、例えば、NIC等によって実現される。そして、通信部210は、ネットワークと有線または無線で接続され、例えば、推定装置100や推定装置100Aとの間で情報の送受信を行う。
【0068】
(記憶部220)
記憶部220は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。具体的には、記憶部220は、第3の実施形態に係る情報処理プログラムを記憶する。また、記憶部220は、通信部210が受信した各種情報を記憶する。
【0069】
(入力部230)
入力部230は、利用者から各種操作が入力される。例えば、入力部230は、タッチパネル機能により表示面(例えば出力部240)を介して利用者からの各種操作を受け付けてもよい。また、入力部230は、情報処理装置200に設けられたボタンや、情報処理装置200に接続されたキーボードやマウスからの各種操作を受け付けてもよい。
【0070】
(出力部240)
出力部240は、例えば、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等によって実現される表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。出力部240は、制御部250の制御に従って、各種情報を表示する。なお、情報処理装置200にタッチパネルが採用される場合には、入力部230と出力部240とは一体化される。また、以下の説明では、出力部240を画面と記載する場合がある。
【0071】
(制御部250)
制御部250は、コントローラであり、例えば、CPUやMPU等によって、情報処理装置200内部の記憶装置に記憶されている各種プログラム(情報処理プログラムの一例に相当)がRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部250は、コントローラであり、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0072】
制御部250は、受付部251と、取得部252と、決定部253と、出力制御部254を機能部として有し、以下に説明する情報処理の作用を実現または実行してよい。なお、制御部250の内部構成は、図11に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。また、各機能部は、制御部250の機能を示したものであり、必ずしも物理的に区別されるものでなくともよい。
【0073】
(受付部251)
受付部251は、移動サービスに関するサービス情報を受け付ける。具体的には、出力部240は、複数の種類の移動サービスの中から、情報処理装置200の利用者が提供を希望する種類の移動サービスである設定サービスを選択可能に表示する。図12は、第3の実施形態に係る情報処理の概要を示す図である。図12では、出力部240は、デマンド、医療MaaS、小売MaaS、行政MaaS、…などの複数の種類の移動サービスの中から、設定サービスを選択可能に表示する。図12では、情報処理装置200の利用者が、デマンド、医療MaaS、および小売MaaSに対応するチェックボックスにチェックを入れることにより、デマンド、医療MaaS、および小売MaaSが設定サービスとして選択された場合を示す。また、受付部251は、入力部230を介して、サービス情報を受け付ける。例えば、受付部251は、サービス情報として、設定サービスに関する情報を受け付ける。例えば、受付部251は、情報処理装置200の利用者によって選択された設定サービスに関する情報を受け付ける。
【0074】
また、出力部240は、複数の種類の移動サービスの中から、情報処理装置200の利用者が優先的に提供を希望する種類の移動サービスである優先サービスを選択可能に表示する。図12では、出力部240は、デマンド、医療MaaS、小売MaaS、行政MaaS、…などの複数の種類の移動サービスの中から、優先サービスを選択可能に表示する。図12では、情報処理装置200の利用者が、医療MaaSに対応するチェックボックスにチェックを入れることにより、医療MaaSが優先サービスとして選択された場合を示す。また、受付部251は、サービス情報として、優先サービスに関する情報を受け付ける。例えば、受付部251は、情報処理装置200の利用者によって選択された優先サービスに関する情報を受け付ける。
【0075】
また、受付部251は、移動サービスに利用可能な車両の数を受け付ける。具体的には、受付部251は、入力部230を介して、移動サービスに利用可能な車両の数の入力を受け付ける。図12では、受付部251は、移動サービスに利用可能な車両の台数が「3」台であることを示す情報を受け付ける。
【0076】
(取得部252)
取得部252は、情報処理装置200の利用者によって選択された設定サービスの時間帯ごとの推定利用者数に関する情報を推定装置100から取得する。具体的には、取得部252は、受付部251によって設定サービスに関する情報が受け付けられた場合、受付部251によって受け付けられた設定サービス(以下、受け付けられた設定サービスともいう)それぞれの時間帯ごとの推定利用者数に関する情報を送信する要求を推定装置100に対して送信する。推定装置100は、情報処理装置200の要求に応じて、受け付けられた設定サービスそれぞれの時間帯ごとの推定利用者数を推定する。推定装置100は、受け付けられた設定サービスそれぞれの時間帯ごとの推定利用者数を推定すると、受け付けられた設定サービスそれぞれの時間帯ごとの推定利用者数に関する情報を情報処理装置200に対して送信する。
【0077】
(決定部253)
決定部253は、移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する評価関数に基づいて、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する。ここで、移動サービスの供給量とは、所定の時間帯において、移動サービスの車両によって実際に運ぶことができる利用者の数を示す。以下では、移動サービスが、受け付けられた設定サービスのいずれかである場合について説明する。
【0078】
図13は、第3の実施形態に係る評価関数のグラフを示す図である。評価関数fstは、移動サービスの種類ごとに、かつ、時間帯ごとに定義される関数である。図13に示すグラフは、横軸が車両台数(m)、縦軸が移動サービスの需要(N)を示す。図13に示すように、車両の台数が少ない場合は、所定の時間帯における移動サービスの推定利用者数Nstよりも、移動サービスの供給量の方が少ない。つまり、車両の台数が少ない場合は、車両の台数に比例して移動サービスの供給量が増加する。そのため、評価関数fstは、車両の台数が一定の台数(図13では、m)以下である場合は、車両の台数に比例する。なお、所定の時間帯において、移動サービスの車両によって理論上運ぶことができる利用者の最大数(言い換えると、車両の座席の数に相当する)のことを、移動サービスの最大供給量と記載する。移動サービスの最大供給量は、車両の数に比例して増大する。
【0079】
一方、車両の台数が多い場合は、所定の時間帯における移動サービスの推定利用者数Nstよりも、移動サービスの供給量の方が過剰となる。つまり、車両の台数が多い場合は、移動サービスの供給量が、車両の台数によらずに、その時間帯における推定利用者数Nstと同じになる。そのため、評価関数fstは、車両の台数が一定の台数(図13では、m)を超えると、車両の台数によらない一定値(その時間帯における推定利用者数Nst)をとるようになる。
【0080】
そこで、評価関数fstは、移動サービスの時間帯ごとの推定利用者数Nstと、車両の数mに応じた移動サービスの時間帯ごとの最大供給量のうち、小さい方の値に応じて、移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する。具体的には、評価関数fstは、以下の式(1)で示される。
【0081】
【数1】
【0082】
上記の式(1)において、Cは車両の定員、Wは移動サービスが提供される時間帯の時間長、mは車両の数、Wstは移動サービスの1回の提供にかかる平均時間、Nstはその時間帯における推定利用者数、および、εstは任意に設定可能な重みを示す。また、上記の式(1)において、「(CW/Wst)m」の項は、その時間帯における最大供給量を示す。最大供給量は、車両の定員C、移動サービスが提供される時間帯の時間長W、車両の数m、および、移動サービスの1回の提供にかかる平均時間Wstに基づいて算出される。
【0083】
例えば、評価関数fstは、推定利用者数Nstが多いほど大きい重みεstに応じて、移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価してよい。また、評価関数fstは、他の種類の移動サービスよりも優先サービスの方が大きい重みεstに応じて、移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価してもよい。
【0084】
図14は、第3の実施形態に係る評価関数の変数について説明するための図である。上述したように、評価関数fstは、移動サービスの種類(図14に示すサービスSの変数)ごとに、かつ、時間帯(図14に示す時間Tの変数)ごとに定義される関数である。具体的には、推定装置100は、情報処理装置200の要求に応じて、受け付けられた設定サービスそれぞれの時間帯ごとの推定利用者数を推定する。図14では、推定装置100は、設定サービスであるサービス1(S=s1)、サービス2(S=s2),サービス3(S=s3)、…それぞれについて、時間帯1(T=t1(図示略))、時間帯2(T=t2(図示略))、時間帯3(T=t3(図示略))、…における推定利用者数Nstを推定する。
【0085】
図15は、第3の実施形態に係る評価関数の変数について説明するための図である。図15に示すように、上記の式(1)におけるCは、車両1台あたりに乗せることができる利用者の数(車両の定員、つまり、キャパシティ)を示す。また、Wstは、各時間帯、各移動サービスにおける、平均的な1回のサービスの提供にかかる時間を示す。また、W、各時間帯の時間幅(つまり、各時間帯における移動サービスの提供時間の長さ)を示す。
【0086】
また、決定部253は、各車両を移動サービスに利用するか否かをバイナリ変数(xvst;ある車両を利用する場合は1、利用しない場合は0の値を取る変数)とする評価関数fstを最大にする解を求める最適化問題を解くことにより得られる解に基づいて、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する。評価関数fstを最大にする解を求める最適化問題は、以下の式(2)で示される。
【0087】
【数2】
【0088】
上記の式(2)において、小文字のtは各時間帯、小文字のsは各移動サービスを示す。また、上記の式(2)において、小文字のxまたはxvstは、図14のバイナリ変数xvstに対応する。また、上記の式(2)において、Mstは、所定の時間帯(t)における、所定のサービス(s)に対して割り当てられる車両の総数を示す。また、上記の式(2)において、小文字のvは、各車両を示す。図14では、最適化問題は、車両(図14に示す車両Vの変数)ごとに定義される。図14では、決定部253は、移動サービスに利用可能な車両1(V=v1)、車両2(V=v2)、車両3(V=v3)、…ごとに、その車両を所定の時間帯における所定の移動サービスに利用するか否かを決定する。
【0089】
また、決定部253は、各時間帯において各車両を1以下の移動サービスに利用するという第1の制約条件の下で、最適化問題を解くことにより得られる解に基づいて、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する。第1の制約条件は、以下の式(3)で示される。
【0090】
【数3】
【0091】
また、決定部253は、各時間帯において移動サービスに利用される車両の数の総和の最大値は固定値であるという第2の制約条件の下で、最適化問題を解くことにより得られる解に基づいて、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する。第2の制約条件は、以下の式(4)で示される。
【0092】
【数4】
【0093】
(出力制御部254)
出力制御部254は、決定部253によって決定された各車両の各移動サービス、各時間帯への割り当て結果を出力部240に出力するよう制御する。具体的には、出力制御部254は、設定サービスの種類ごとに、かつ、時間帯ごとに、その移動サービスに利用される車両の台数を示す情報を出力部240に出力するよう制御する。図16は、第3の実施形態に係る最適化された車両スケジュールの一例を示す図である。例えば、出力制御部254は、図16に示す表221を出力部240に出力するよう制御する。
【0094】
なお、決定部253は、サービス・時間毎に、事前情報により既に確定した車両の割り当て台数を制約条件に追加して、上記の最適化問題を解いてもよい。例えば、事前情報により、2022/9/7の午前中に医療MaaSを絶対使う人がいる、ということがわかっている場合、確定した車両の割り当て台数を制約条件に加えて、上記の最適化問題を解いてもよい。
【0095】
〔3-2.変形例〕
ここから、変形例について説明する。第3の実施形態では、情報処理装置200が、より多くの利用者の需要を満たせるような各車両の配車スケジュールを時間帯ごとに決定する場合について説明した。また、第2の実施形態では、推定装置100Aが、移動サービスの需要の高さを示す需要情報を地域ごとに推定する場合について説明した。第3の実施形態に係る変形例では、情報処理装置200が、推定装置100Aによって推定された地域ごとの需要情報に基づいて、より多くの利用者の需要を満たせるようなデマンドのステーションの設置位置を決定する場合について説明する。
【0096】
図17は、第3の実施形態に係る最適化されたステーションの設置位置の一例を示す図である。図17では、取得部252は、地図情報MP1に対応するエリア全体の地域ごとの需要情報を推定装置100Aから取得する。例えば、決定部253は、地域ごとの需要情報に基づいて、需要の高さが所定の閾値を超える地域にデマンドのステーションを設置することを決定する。図17では、決定部253は、Bエリアの所定のメッシュの位置にステーションST1を設置することを決定する。
【0097】
〔4.効果〕
上述したように、第3の実施形態に係る情報処理装置200は、受付部251と決定部253を備える。受付部251は、移動サービスに関するサービス情報と、移動サービスに利用可能な車両の数とを受け付ける。決定部253は、移動サービスの時間帯ごとの推定利用者数と、車両の数に応じた移動サービスの時間帯ごとの最大供給量のうち、小さい方の値に応じて、移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する評価関数に基づいて、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する。
【0098】
これにより、情報処理装置200は、評価関数により、移動サービスの時間帯ごとの供給量と需要量とを評価した評価結果に基づいて、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに適切に決定することができる。したがって、情報処理装置200は、移動サービスの需要および供給能力に応じた提供態様で移動サービスを提供することを可能とすることができる。
【0099】
また、最大供給量は、車両の定員、移動サービスが提供される時間帯の時間長、車両の数、および、移動サービスの1回の提供にかかる平均時間に基づいて算出される。
【0100】
これにより、情報処理装置200は、最大供給量を適切に算出したうえで、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに適切に決定することができる。
【0101】
また、評価関数は、推定利用者数が多いほど大きい重みに応じて、移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する。
【0102】
これにより、情報処理装置200は、推定利用者数が多いほど移動サービスほど優先的に提供できるように、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに適切に決定することができる。
【0103】
また、受付部251は、サービス情報として、情報処理装置の利用者が優先的に提供を希望する種類の移動サービスである優先サービスに関する情報を受け付ける。評価関数は、他の種類の移動サービスよりも優先サービスの方が大きい重みに応じて、移動サービスの時間帯ごとの供給量を評価する。
【0104】
これにより、情報処理装置200は、優先サービスほど優先的に提供できるように、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに適切に決定することができる。
【0105】
また、決定部253は、各車両を移動サービスに利用するか否かをバイナリ変数とする評価関数を最大にする解を求める最適化問題を解くことにより得られる解に基づいて、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する。
【0106】
これにより、情報処理装置200は、移動サービスの時間帯ごとの供給量と需要量とに基づいて、より多くの利用者が移動サービスを利用できるように、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに適切に決定することができる。
【0107】
また、決定部253は、各時間帯において各車両を1以下の移動サービスに利用するという第1の制約条件の下で、最適化問題を解くことにより得られる解に基づいて、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する。
【0108】
これにより、情報処理装置200は、各時間帯において各車両を1以下の移動サービスに利用するという第1の制約条件の下で、適切に最適化問題を解くことができる。
【0109】
また、決定部253は、各時間帯において移動サービスに利用される車両の数の総和の最大値は固定値であるという第2の制約条件の下で、最適化問題を解くことにより得られる解に基づいて、各車両を移動サービスに利用するか否かを時間帯ごとに決定する。
【0110】
これにより、情報処理装置200は、各時間帯において移動サービスに利用される車両の数の総和の最大値は固定値であるという第2の制約条件の下で、適切に最適化問題を解くことができる。
【0111】
〔4.ハードウェア構成〕
また、上述してきた第1の実施形態に係る推定装置100、第2の実施形態に係る推定装置100A、または第3の実施形態に係る情報処理装置200等の情報処理装置は、例えば図18に示すような構成のコンピュータ1000によって実現される。以下、は第3の実施形態に係る情報処理装置200を例に挙げて説明する。図18は、情報処理装置の機能を実現するコンピュータの一例を示すハードウェア構成図である。コンピュータ1000は、CPU1100、RAM1200、ROM1300、HDD1400、通信インターフェイス(I/F)1500、入出力インターフェイス(I/F)1600、及びメディアインターフェイス(I/F)1700を備える。
【0112】
CPU1100は、ROM1300またはHDD1400に格納されたプログラムに基づいて動作し、各部の制御を行う。ROM1300は、コンピュータ1000の起動時にCPU1100によって実行されるブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。
【0113】
HDD1400は、CPU1100によって実行されるプログラム、及び、かかるプログラムによって使用されるデータ等を格納する。通信インターフェイス1500は、所定の通信網を介して他の機器からデータを受信してCPU1100へ送り、CPU1100が生成したデータを所定の通信網を介して他の機器へ送信する。
【0114】
CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、ディスプレイやプリンタ等の出力装置、及び、キーボードやマウス等の入力装置を制御する。CPU1100は、入出力インターフェイス1600を介して、入力装置からデータを取得する。また、CPU1100は、生成したデータを入出力インターフェイス1600を介して出力装置へ出力する。
【0115】
メディアインターフェイス1700は、記録媒体1800に格納されたプログラムまたはデータを読み取り、RAM1200を介してCPU1100に提供する。CPU1100は、かかるプログラムを、メディアインターフェイス1700を介して記録媒体1800からRAM1200上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。記録媒体1800は、例えばDVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disk)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体、または半導体メモリ等である。
【0116】
例えば、コンピュータ1000が第3の実施形態に係る情報処理装置200として機能する場合、コンピュータ1000のCPU1100は、RAM1200上にロードされたプログラムを実行することにより、制御部250の機能を実現する。コンピュータ1000のCPU1100は、これらのプログラムを記録媒体1800から読み取って実行するが、他の例として、他の装置から所定の通信網を介してこれらのプログラムを取得してもよい。
【0117】
以上、本願の実施形態のいくつかを図面に基づいて詳細に説明したが、これらは例示であり、発明の開示の欄に記載の態様を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変形、改良を施した他の形態で本発明を実施することが可能である。
【0118】
〔5.その他〕
また、上記実施形態及び変形例において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部または一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0119】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。
【0120】
また、上述してきた実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0121】
100 推定装置
110 通信部
120 記憶部
130 入力部
140 出力部
150 制御部
151 受付部
152 推定部
153 出力制御部
100A 推定装置
150A 制御部
151A 受付部
152A 取得部
153A 推定部
154A 出力制御部
200 情報処理装置
210 通信部
220 記憶部
230 入力部
240 出力部
250 制御部
251 受付部
252 取得部
253 決定部
254 出力制御部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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