IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ミコ セラミックス リミテッドの特許一覧

<>
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図1A
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図1B
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図2
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図3
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図4
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図5
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図6
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図7
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図8
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図9A
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図9B
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図9C
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図9D
  • 特許-セラミックヒーター及びその製造方法 図9E
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】セラミックヒーター及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H05B 3/12 20060101AFI20240419BHJP
   H05B 3/74 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H05B3/12 A
H05B3/74
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2022510158
(86)(22)【出願日】2020-01-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-12-26
(86)【国際出願番号】 KR2020000274
(87)【国際公開番号】W WO2021080087
(87)【国際公開日】2021-04-29
【審査請求日】2022-12-07
(31)【優先権主張番号】10-2019-0131085
(32)【優先日】2019-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】520139620
【氏名又は名称】ミコ セラミックス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】チェ、チェ ホ
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2019-0103795(KR,A)
【文献】特開2018-045920(JP,A)
【文献】特開2004-253786(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2017-0001497(KR,A)
【文献】韓国登録特許第10-1333629(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 3/12
H05B 3/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ーター胴体部;及び
前記ヒーター胴体部の下部に装着され、前記ヒーター胴体部を支持するヒーター支持部を含み、
前記ヒーター胴体部は、
イヤータイプメッシュ(wire type mesh)構造を有する第1電極部材と、シートタイプメッシュ(sheet type mesh)構造を有する第2電極部材とを含む高周波電極、及び
前記高周波電極の前記第2電極部材に接触する電極ロッド連結部材を備えることを特徴とするセラミックヒーター。
【請求項2】
前記第1電極部材は、第1方向に配列された複数のワイヤータイプ金属と第2方向に配列された複数のワイヤータイプ金属とが直交して形成されることを特徴とする、請求項1に記載のセラミックヒーター。
【請求項3】
前記第1電極部材は、前記第2電極部材の形状に対応する開口部を有することを特徴とする、請求項1に記載のセラミックヒーター 。
【請求項4】
前記開口部は、前記電極ロッド連結部材の位置に対応して形成されることを特徴とする、請求項3に記載のセラミックヒーター。
【請求項5】
第2電極部材は、前記開口部よりも大きく形成されることを特徴とする、請求項3に記載のセラミックヒーター。
【請求項6】
前記第2電極部材は、前記第1電極部材に形成された開口部をカバーするように配置されることを特徴とする、請求項3に記載のセラミックヒーター。
【請求項7】
前記第2電極部材は、第1方向に配列された複数のシートタイプ金属と第2方向に配列された複数のシートタイプ金属とが直交して形成されることを特徴とする、請求項1に記載のセラミックヒーター。
【請求項8】
前記第2電極部材は、複数の溝が金属シートに形成された構造を有することを特徴とする、請求項1に記載のセラミックヒーター。
【請求項9】
前記第2電極部材は、前記高周波電極に接触する前記電極ロッド連結部材の接触面の面積よりも大きく形成されることを特徴とする、請求項1に記載のセラミックヒーター。
【請求項10】
前記第2電極部材は、前記第1電極部材に比べて薄い厚さを有することを特徴とする、請求項1に記載のセラミックヒーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミックヒーター及びその製造方法に関し、より具体的には、信頼性が向上したセラミックヒーター及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置又はディスプレイ装置は、誘電体層及び金属層を含む多数の薄膜層をガラス基板、フレキシブル基板又は半導体ウエハー基板上に順次に積層後にパターニングする方式で製造される。それらの薄膜層は、化学気相蒸着(Chemical Vapor Deposition,CVD)工程又は物理気相蒸着(Physical Vapor Deposition,PVD)工程によって基板上に順次に蒸着される。前記CVD工程には、低圧力化学気相蒸着(Low Pressure CVD,LPCVD)工程、プラズマ強化化学気相蒸着(Plasma Enhanced CVD,PECVD)工程、有機金属化学気相蒸着(Metal Organic CVD,MOCVD)工程などがある。
【0003】
このようなCVD装置及びPVD装置には、ガラス基板、フレキシブル基板、半導体ウエハー基板などを支持し、所定の熱を印加するためのヒーターが配置される。前記ヒーターは、支持基板上に形成された薄膜層のエッチング工程(etching process)とフォトレジスト(photoresist)の焼成工程などにも、基板加熱のために用いられている。前記CVD装置及びPVD装置に設置されるヒーターは、正確な温度制御、半導体素子の配線微細化及び半導体ウエハー基板の精密な熱処理の要求からセラミックヒーター(Ceramic Heater)が広く用いられている。
【0004】
図1Aは、従来技術によるセラミックヒーターの構成を示す図である。図1Aに示すように、セラミックヒーター1は、半導体製造工程においてウエハー(wafer)などのような基板を支持し、前記基板を工程温度、例えばCVD工程又はPVD工程を行うための温度に加熱するために用いられてよい。
【0005】
従来のセラミックヒーター1は、円形の板状構造を有するセラミック本体10と、該セラミック本体10の下部に装着されるセラミック支持部20とで構成される。ここで、前記セラミック本体10は、プラズマ生成の際に、セラミックヒーター1に充電された電流を接地(ground)に放電させる高周波電極(又は、接地電極)11、基板を加熱するための熱エネルギーを生成する発熱体13、高周波電極11と接地ロッド21とを電気的に連結する第1ロッド連結部材12、及び発熱体13と発熱体ロッド23とを電気的に連結する第2ロッド連結部材14を含む。前記セラミック支持部20は、高周波電極11を接地に連結する接地ロッド21と、発熱体13を外部電源(図示せず)に連結する発熱体ロッド23とを含む。
【0006】
このようなセラミックヒーター1に埋設された高周波電極11は、プラズマ接地(Plasma ground)の役割が可能な高融点の金属材質で形成され、一般には、第1方向に配列された金属ワイヤーと第2方向に配列された金属ワイヤーとが相互に直交して織物の形態で形成されたワイヤータイプメッシュ(Wire Type Mesh)構造で製造される。第1ロッド連結部材12は、このようなワイヤータイプメッシュ構造を有する高周波電極11の一表面に接触する。ところが、既存のセラミックヒーター1を長期間使用する場合に、高周波電極11と第1ロッド連結部材12との接触部位で頻繁にクラック(crack)ができるという問題があった。
【0007】
例えば、図1Bに示すように、既存のセラミックヒーター1は、ホットプレス(hot press)工程で製造され、前記ホットプレス工程時に、セラミック粉末の焼結のために1軸1方向(例えば、図面の垂直方向)に所定の圧力が伝達される。この際、ワイヤータイプメッシュ構造を有する高周波電極11と第1ロッド連結部材12との接触部位は、3次元形状による構造的な妨害によって不均一な圧力が伝達され、そのため、前記接触部位には微細なクラック(micro crack)が存在することになる。
【0008】
このようなセラミックヒーター1は、半導体工程において温度の上昇及び下降過程(heat up & down)を反復するが、この際、金属材質である高周波電極11及び第1ロッド連結部材12の熱膨脹による熱応力がセラミック本体10にそのまま伝達される。このため、高周波電極11と第1ロッド連結部材12との接触部位に存在する微細なクラックが次第に大きく成長していき、セラミック本体10の表面にまで至る問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、前述した問題及び他の問題を解決することを目的とする。さらに他の目的は、信頼性が向上したセラミックヒーター及びその製造方法を提供することにある。
【0010】
さらに他の目的は、ワイヤータイプメッシュ構造を有する第1電極部材とシートタイプのメッシュ構造を有する第2電極部材とが結合した高周波電極を備えるセラミックヒーター及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の又は他の目的を達成するために、本発明の一側面によれば、メッシュタイプの金属材質で形成された高周波電極と、前記高周波電極の下面に接触する電極ロッド連結部材とを備えるヒーター胴体部;及び、前記ヒーター胴体部の下部に装着され、前記ヒーター胴体部を支持するヒーター支持部を含み、前記高周波電極は、ワイヤータイプメッシュ(wire type mesh)構造を有する第1電極部材と、シートタイプメッシュ(sheet type mesh)構造を有する第2電極部材とを含むことを特徴とするセラミックヒーターを提供する。
【0012】
より好ましくは、前記第1電極部材は、第1方向に配列された複数のワイヤータイプ金属と第2方向に配列された複数のワイヤータイプ金属とが直交して形成されることを特徴とする。また、前記第1電極部材は、第2電極部材の形状に対応する開口部を有することを特徴とする。また、前記開口部は、電極ロッド連結部材の位置に対応して形成されることを特徴とする。
【0013】
より好ましくは、前記第2電極部材は、第1電極部材に形成された開口部よりも大きく形成されることを特徴とする。また、前記第2電極部材は、第1電極部材に形成された開口部をカバーするように配置されることを特徴とする。また、前記第2電極部材は、高周波電極に接触する電極ロッド連結部材の接触面の面積よりも大きく形成されることを特徴とする。
【0014】
より好ましくは、前記第2電極部材は、第1方向に配列された複数のシートタイプ金属と第2方向に配列された複数のシートタイプ金属とが直交して形成されることを特徴とする。また、前記第2電極部材は、金属シートに複数の溝を加工して形成されることを特徴とする。また、前記第2電極部材は、第1電極部材に比べて薄い厚さを有することを特徴とする。また、前記第2電極部材は、ホットプレス工程によって第1電極部材と接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の少なくとも一つの実施例によれば、信頼性の向上したセラミックヒーター及びその製造方法を提供できるという長所がある。また、本発明の少なくとも一つの実施例によれば、ワイヤータイプメッシュ構造を有する第1電極部材とシートタイプメッシュ構造を有する第2電極部材とが結合した高周波電極を備えるセラミックヒーター及びその製造方法を提供できるという長所がある。
【0016】
また、本発明の少なくとも一つの実施例によれば、ワイヤータイプメッシュ構造を有する第1電極部材とシートタイプメッシュ構造を有する第2電極部材とが一体に結合した高周波電極を備えることにより、ホットプレス(hot press)工程を用いたセラミックヒーター製造の際に、前記高周波電極と第1ロッド連結部材との接触部位に均一な圧力が伝達されるように誘導でき、その結果、前記接触部位におけるクラック(crack)の発生を効果的に防止できるという長所がある。
【0017】
また、本発明の少なくとも一つの実施例によれば、ワイヤータイプメッシュ構造を有する第1電極部材とシートタイプメッシュ構造を有する第2電極部材とが一体に結合した高周波電極を備えることにより、セラミックヒーターの内部又は表面におけるクラックの発生を最小化し、製品信頼性を向上させることができるという長所がある。
【0018】
ただし、本発明の実施例に係るセラミックヒーター及びその製造方法によって達成できる効果は、以上で言及したものに制限されず、言及していない別の効果は、以下の記載から、本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者に明確に理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1A】従来技術によるセラミックヒーターの構成を示す図である。
図1B図1Aに示したA部分を上下反転させて拡大した図である。
図2】本発明の一実施例に係るセラミックヒーターの外形を示す斜視図である。
図3】本発明の一実施例に係るセラミックヒーターの構成を示す断面図である。
図4図3に示したB部分を上下反転させて拡大した図である。
図5】本発明の一実施例に係る高周波電極の形状を示す図である。
図6】本発明の他の実施例に係る高周波電極の形状を示す図である。
図7図3のセラミックヒーターを構成するヒーター胴体部の製造方法を説明するフローチャートである。
図8図3のセラミックヒーターを構成するヒーター胴体部の製造方法を説明するために参照される図である。
図9A】本発明の一実施例に係るセラミック成形体の製造方法を説明する図である。
図9B】本発明の一実施例に係るセラミック成形体の製造方法を説明する図である。
図9C】本発明の一実施例に係るセラミック成形体の製造方法を説明する図である。
図9D】本発明の一実施例に係るセラミック成形体の製造方法を説明する図である。
図9E】本発明の一実施例に係るセラミック成形体の製造方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付の図面を参照して、本明細書に開示される実施例を詳細に説明するが、図面符号に関係なく、同一又は類似の構成要素には同一の参照番号を付し、それに関す重複説明は省略する。以下、本発明に係る実施例の説明において、各層(膜)、領域、パターン又は構造物が基板、各層(膜)、領域、パッド又はパターン「の上/上(on)」又は「の下/下(under)」に形成されると記載される場合、「の上/上(on)」と「の下/下(under)」は、「直接(directly)」又は「他の層を介在して(indirectly)」形成されるものを含む。また、各層の「の上/上」又は「の下/下」は、図面を基準として説明する。図面中、各層の厚さや大きさは、説明の便宜及び明確性のために、誇張、省略又は概略して示されている。なお、各構成要素の大きさは実際の大きさを完全に反映するものではない。
【0021】
また、本明細書に開示される実施例を説明するにおいて、関連する公知技術に関する具体的な説明が本明細書に開示される実施例の要旨を曖昧にし得ると判断される場合、その詳細な説明を省略する。また、添付の図面は、本明細書に開示される実施例の容易な理解を可能にするためのものに過ぎず、添付の図面によって本明細書に開示の技術的思想が制限されるものではなく、本発明の思想及び技術範囲に含まれるあらゆる変更、均等物又は代替物を含むものと理解されるべきである。
【0022】
本発明は、信頼性が向上したセラミックヒーター及びその製造方法を提案する。また、本発明は、ワイヤータイプメッシュ構造を有する第1電極部材とシートタイプメッシュ構造を有する第2電極部材とが結合した高周波電極を備えるセラミックヒーター及びその製造方法を提案する。
【0023】
以下では、本発明の様々な実施例について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
図2は、本発明の一実施例に係るセラミックヒーターの外形を示す斜視図であり、図3は、本発明の一実施例に係るセラミックヒーターの構成を示す断面図であり、図4は、図3に示すB部分を上下反転させて拡大した図である。
【0025】
図2図4を参照すると、本発明の一実施例に係るセラミックヒーター100は、半導体ウエハー、ガラス基板、フレキシブル基板などのような様々な目的の熱処理対象体を支持し、当該熱処理対象体をあらかじめ定められた温度に加熱する半導体装置である。
【0026】
セラミックヒーター100は、熱処理対象体(図示せず)を安定に支持しながら熱を伝達するヒーター胴体部110と、前記ヒーター胴体部110の下部に装着されるヒーター支持部120とを含む。一方、図示してはいないが、ヒーター胴体部110とヒーター支持部120との間には接着層(図示せず)が形成されてよい。
【0027】
ヒーター胴体部110は、あらかじめ定められた形状を有する板状構造物で形成されてよい。一例として、前記ヒーター胴体部110は、円形の板状構造物で形成されてよく、必ずしもこれに制限されない。
【0028】
ヒーター胴体部110の上部には、ウエハーのような熱処理対象体が安定して実装可能なように、所定の段差で凹んだ構造を有するポケット領域(又は、キャビティ領域)111が形成されてよい。前記ポケット領域に該当するヒーター胴体部110の上面は、優れた平坦度を有するように形成されてよい。これは、チャンバー内に設置された熱処理対象体が片方に傾くことなく水平に配置されるようにするためである。
【0029】
ヒーター胴体部110は、熱伝導性に優れたセラミック材質で形成された複数のセラミック板(図示せず)で構成され、前記複数のセラミック板に対して圧縮焼結工程を行って成形されてよい。ここで、前記セラミック材質は、Al、Y、Al/Y、ZrO、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、BxCy、BN、SiO、SiC、YAG、ムライト(Mullite)、AlFのうち少なくとも一つの物質であってよく、より好ましくは、窒化アルミニウム(AlN)であってよい。
【0030】
ヒーター胴体部110は、高周波電極112、前記高周波電極112の下面に接触する第1ロッド連結部材113、前記高周波電極112の下に配置される発熱体114、及び前記発熱体114の下面に接触する第2ロッド連結部材115を含むことができる。
【0031】
高周波電極(又は、接地電極)112は、ヒーター胴体部110の上部に埋め立てられ、円形のプレート状に形成されてよい。前記高周波電極112は、プラズマ強化化学気相蒸着のための電極層であって、選択的に、RF電源に連結されるか或いは接地(ground)に連結されてよい。
【0032】
高周波電極112は、ワイヤータイプメッシュ(wire type mesh)構造を有する第1電極部材112aと、シートタイプメッシュ(sheet type mesh)構造を有する第2電極部材112bとで構成されてよい。ここで、前記ワイヤータイプメッシュ構造は、3次元形状を有する構造であって、第1方向に配列された複数のワイヤータイプ金属と第2方向に配列された複数のワイヤータイプ金属とが相互直交して形成されたメッシュ構造である。そして、シートタイプメッシュ構造は、2次元形状を有する構造であって、第1方向に配列された複数のシートタイプ金属と第2方向に配列された複数のシートタイプ金属とが相互直交して形成されたメッシュ構造であるか、或いは金属シートに複数の溝を加工して形成されたメッシュ構造である。
【0033】
第1電極部材112aは、円形のプレート状に形成されてよい。前記第1電極部材112aの中央部分には、第2電極部材112bの形状に対応する開口部(opening)が形成されてよい。前記第1電極部材112aの中央部分に形成された開口部をカバーするように前記中央部分に第2電極部材112bが結合してよい。これにより、第1電極部材112aと第2電極部材112bとが一体に結合して一つの高周波電極112を形成する。
【0034】
第2電極部材112bは、あらかじめ定められた直径dを有する円形のプレート状に形成されてよい。このとき、前記第2電極部材112bの直径dは、第1ロッド連結部材113の接触面の直径dよりも大きく形成されてよい。
【0035】
高周波電極112は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)、ニオビウム(Nb)、チタニウム(Ti)、窒化アルミニウム(AlN)又はそれらの合金で形成されてよく、より好ましくは、モリブデン(Mo)で形成されてよい。
【0036】
このような高周波電極112は、RF(Radio Frequency)接地機能及び静電チャック(Electrostatic Chuck)機能のいずれか一機能を選択的に果たすことができる。ここで、「RF接地機能」とは、ウエハー沈着工程時に、チャンバー中のプラズマによってヒーター胴体部110に帯電した電流を外部接地に放電させる機能を意味する。そして、‘静電チャック機能’とは、電場(electric field)を用いてウエハーなどのような熱処理対象体をヒーター胴体部110の上面に密着させる機能を意味する。
【0037】
発熱体114は、ヒーター胴体部110の下部に埋め立てられ、熱処理対象体の形状に対応する形状に形成されてよい。前記発熱体114は、高周波電極112の下部に高周波電極112から一定の距離だけ離隔して配置されてよい。
【0038】
発熱体114は、熱処理対象体の位置に対応するヒーター胴体部110に埋め立てられてよい。また、発熱体114は、熱処理対象体を全体的に均一に加熱するために、位置に従って加熱温度を均一に制御できるだけでなく、熱処理対象体に熱が伝達される距離が略全ての位置で一定に維持されるように、前記熱処理対象体と平行にヒーター胴体部110に埋め立てられてよい。
【0039】
発熱体114は、発熱線(又は、抵抗線)による板状コイル状又は平坦なプレート状に形成されてよい。また、発熱体114は、精密な温度制御のために多層構造で形成されてよい。
【0040】
このような発熱体114は、半導体製造工程において円滑な蒸着工程及びエッチング工程のために、ヒーター胴体部110の上部面に位置する熱処理対象体を一定の温度に加熱する機能を果たす。
【0041】
第1ロッド連結部材(又は、電極ロッド連結部材)113は高周波電極112の下部面に接触し、前記高周波電極112と第1ロッド121とを電気的に連結する機能を果たす。
【0042】
第1ロッド連結部材113は、高周波電極112の下部面に位置するシートタイプメッシュ構造を有する第2電極部材112bの一表面に接触してよい。このとき、前記第1ロッド連結部材113はろう付(brazing)工程によって第2電極部材112bに付着してよいが、必ずしもこれに制限されない。
【0043】
第2ロッド連結部材(又は、発熱体ロッド連結部材)115は、発熱体114の下部面に接触し、前記発熱体114と第2ロッド123とを電気的に連結する機能を果たす。
【0044】
第1及び第2ロッド連結部材113,115は、電気伝導性に優れた金属物質で形成されてよい。一例として、前記第1及び第2ロッド連結部材113,115は、タングステン(W)、モリブデン(Mo)、銀(Ag)、金(Au)、ニオビウム(Nb)、チタニウム(Ti)又はそれらの合金で形成されてよく、より好ましくは、モリブデン(Mo)で形成されてよい。
【0045】
ヒーター支持部120はヒーター胴体部110の下部に装着され、前記ヒーター胴体部110を支持する役割を担う。これにより、前記ヒーター支持部120はヒーター胴体部110と結合し、全体的にT字状を有するセラミックヒーター100を構成する。
【0046】
ヒーター支持部120は、中空の内部を有する円筒の管(tube)の形態に形成されてよい。これは、ヒーター支持部120を通じてヒーター胴体部110の高周波電極112及び発熱体114に連結される複数のロッド121,123を設置するためである。
【0047】
ヒーター支持部120は、ヒーター胴体部110と主要成分が同一であるセラミック材質で形成されてよい。一例として、前記ヒーター支持部120は、Al、Y、Al/Y、ZrO、AlC(Autoclaved lightweight concrete)、TiN、AlN、TiC、MgO、CaO、CeO、TiO、BxCy、BN、SiO、SiC、YAG、ムライト(Mullite)、AlFのうち少なくとも一つの物質で形成されてよく、より好ましくは、窒化アルミニウム(AlN)で形成されてよい。
【0048】
第1ロッド(又は、電極ロッド)121はヒーター支持部120の内部に設置され、第1ロッド連結部材113と外部接地(図示せず)とを電気的に連結する機能を果たすことができる。これにより、ヒーター胴体部110に埋め立てられた高周波電極112は、第1ロッド121を介してRF電源又は外部接地と電気的に連結され得る。
【0049】
第2ロッド(又は、発熱体ロッド)123は、ヒーター支持部120の内部に設置され、第2ロッド連結部材115と外部電源装置(図示せず)とを電気的に連結する機能を果たすことができる。これにより、ヒーター胴体部110に埋め立てられた発熱体114は、第2ロッド123を介して外部電源装置と電気的に連結され得る。
【0050】
第1及び第2ロッド121,123は、電気伝導性に優れた金属物質で形成されてよい。一例として、前記第1及び第2ロッド121,123は、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、鉄(Fe)、タングステン(W)、ニッケル(Ni)、銀(Ag)、金(Au)、ニオビウム(Nb)、チタニウム(Ti)又はそれらの合金で形成されてよく、より好ましくは、ニッケル(Ni)で形成されてよい。
【0051】
以上詳述したように、本発明の一実施例に係るセラミックヒーターは、ワイヤータイプメッシュ構造を有する第1電極部材とシートタイプメッシュ構造を有する第2電極部材とが一体に結合した高周波電極を備えることにより、ホットプレス(hot press)工程を用いたセラミックヒーターの製造時に、前記高周波電極と第1ロッド連結部材との接触部位に均一な圧力が伝達されるように誘導することができ、よって、前記接触部位におけるクラック(crack)の発生を効果的に防止することができる。
【0052】
一方、下表1には、従来技術によるセラミックヒーターと本実施例に係るセラミックヒーターのクラック発生の有無を実験した結果を示す。ここで、比較例は、従来技術によるセラミックヒーターを実験した例であり、実施例1は、第1直径(6mm)を有するシートタイプメッシュ構造の電極部材を含むセラミックヒーターを実験した例であり、実施例2は、第2直径(9mm)を有するシートタイプメッシュ構造の電極部材を含むセラミックヒーターを実験した例である。また、前記比較例及び実施例では、同一のロッド孔のサイズ(6mm)を有するセラミックヒーターに対して実験を行った。ここで、ロッド孔のサイズdは、図4に示すように、第1ロッド121をヒーター胴体部110に挿入するために該当の胴体部110に形成した開口のサイズを意味する。
【0053】
【表1】
【0054】
上の表1に示すように、比較例に係るセラミックヒーター(すなわち、シートタイプメッシュ構造の電極部材を含まないセラミックヒーター)では、当該セラミックヒーターの内部及び表面にクラックが発生することを確認できる。一方、本実施例に係るセラミックヒーター(すなわち、シートタイプメッシュ構造の電極部材を含むセラミックヒーター)では、当該セラミックヒーターの内部及び表面にクラックが一切発生しないことが確認できる。
【0055】
図5は、本発明の一実施例に係る高周波電極の形状を示す図である。
【0056】
図5を参照すると、本発明の一実施例に係る高周波電極500は、ワイヤータイプメッシュ構造を有する第1電極部材510と、シートタイプメッシュ構造を有する第2電極部材520とを含む。
【0057】
第1電極部材510は、第1方向に配列された複数のワイヤータイプ金属と、第2方向に配列された複数のワイヤータイプ金属とが相互に直交するメッシュ構造で形成されてよい。
【0058】
第1電極部材510は、円形のプレート状に形成されてよい。前記第1電極部材510の中央部分には、第2電極部材520の形状に対応する開口部515が形成されてよい。一例として、前記開口部515は円形に形成されてよい。
【0059】
第1電極部材510の中央部分に形成された開口部515の位置は、高周波電極500と接触する第1ロッド連結部材(図示せず)の埋め立て位置によって可変してよい。
【0060】
第1電極部材510の厚さは0.5mm~1.0mmでよく、より好ましくは0.7mmでよい。また、第1電極部材510の直径dは300mm~350mmでよく、より好ましくは320mmでよい。
【0061】
第2電極部材520は、第1方向に配列された複数のシートタイプ金属と第2方向に配列された複数のシートタイプ金属とが相互に直交するメッシュ構造で形成されてよい。
【0062】
第2電極部材520は、あらかじめ定められた直径dを有する円形のプレート状に形成されてよい。このとき、前記第2電極部材520の直径dは、第1ロッド連結部材(図示せず)の接触面の直径より大きく形成されてよい。また、前記第2電極部材520の直径dは、第1電極部材510に形成された開口部515の直径dより大きく形成されてよい。
【0063】
第2電極部材520は、第1電極部材510の中央部分に形成された開口部515の全体をカバーするように形成されてよい。このとき、前記第2電極部材520の縁領域は、第1電極部材510の開口部の周辺領域と重なるように配置されてよい。この場合、第1電極部材510と第2電極部材520との重なる領域が大きすぎると、この重複領域において電極の面積が変わるので、当該重複領域のサイズは1mm~10mmに形成することが好ましい。
【0064】
第2電極部材520のメッシュ間隔(すなわち、開け溝のサイズ)は、第1電極部材510のメッシュ間隔のそれと同一又は類似に形成されてよい。一例として、前記第2電極部材520のメッシュ間隔は、第1電極部材510のメッシュ間隔の±50%の範囲を有してよい。
【0065】
第2電極部材520は、第1電極部材510に比べて薄い厚さを有するように形成されてよい。一例として、前記第2電極部材112bの厚さは、0.1~0.5mmでよく、より好ましくは0.2mmでよい。また、第2電極部材112bの直径は、1mm~10mmでよく、より好ましくは5mmでよい。
【0066】
図6は、本発明の他の実施例に係る高周波電極の形状を示す図である。
【0067】
図6を参照すると、本発明の他の実施例に係る高周波電極600は、ワイヤータイプメッシュ構造を有する第1電極部材610とシートタイプメッシュ構造を有する第2電極部材620を含む。
【0068】
一方、高周波電極600の第1及び第2電極部材610,620は、上述した図5の第1及び第2電極部材510,520と類似であるので、その差異点を中心に説明する。
【0069】
第1電極部材610は、円形のプレート状に形成されてよい。前記第1電極部材610の中央部分には、第2電極部材620の形状に対応する開口部615が形成されてよい。一例として、前記開口部615は正方形に形成されてよい。
【0070】
第2電極部材620は、正方形のプレート状に形成されてよい。このとき、前記第2電極部材620の幅dは、第1ロッド連結部材(図示せず)の接触面の直径より大きく形成されてよい。また、前記第2電極部材620の幅dは、第1電極部材610に形成された開口部615の幅dより大きく形成されてよい。
【0071】
第2電極部材620は、第1電極部材610の中央部分に形成された開口部615の全体をカバーするように形成されてよい。このとき、前記第2電極部材620の縁領域は、第1電極部材610の開口部の周辺領域と重なるように配置されてよい。この場合、第1電極部材610と第2電極部材620との重なる領域が大きすぎると、この重複領域で電極の面積が変わるので、当該重複領域のサイズは1mm~10mmに形成することが好ましい。
【0072】
図7は、図3のセラミックヒーターを構成するヒーター胴体部の製造方法を説明するフローチャートであり、図8は、図3のセラミックヒーターを構成するヒーター胴体部の製造方法を説明するために参照される図である。
【0073】
図7及び図8を参照すると、本発明の一実施例に係るセラミックヒーター100を構成するヒーター胴体部の全体的な形状に対応する成形モールド(又は、受納モールド)710と、前記成形モールド710に充填されたセラミック粉末に圧力を印加する加圧モールド720とを準備することができる(S710)。
【0074】
第1セラミック粉末を成形モールド710に充填して第1セラミック粉末層810を形成することができる(S720)。高周波電極(図示せず)が埋設されたセラミック成形体820をあらかじめ加工しておき、成形モールド710内の第1セラミック粉末層810の上部に積層することができる(S730)。このとき、前記セラミック成形体820は、所定の圧力で加圧されて形状を保持できる成形体の形態で提供されてよい。
【0075】
その後、第2セラミック粉末を、成形モールド710内のセラミック成形体820の上部に充填して第2セラミック粉末層830を形成することができる(S740)。そして、螺旋形態又はメッシュ形態の板状構造を有する発熱体840をあらかじめ加工し、第2セラミック粉末層830の上部に埋設することができる(S750)。
【0076】
その後、第3セラミック粉末を成形モールド710内の発熱体840の上部に充填し、第3セラミック粉末層850を形成することができる(S760)。前記第1~第3セラミック粉末は窒化アルミニウム(AlN)粉末であり、選択的に、約0.1~10%、より好ましくは、約1~5%の酸化イットリウム粉末を含むことができる。
【0077】
第1セラミック粉末層810、セラミック成形体820、第2セラミック粉末層830、発熱体840及び第3セラミック粉末層850を順次に積層した後、加圧モールド720を用いて所定の圧力で加圧すると同時に高温の熱を提供することによって前記セラミック粉末層を焼結し、ヒーター胴体部800を成形することができる(S770)。一例として、前記ヒーター胴体部800は、約0.01~0.3ton/cmの圧力と約1600~1950℃の温度で圧縮焼結することができる。
【0078】
以下では、上述したヒーター胴体部800を構成する要素のうち、RF接地機能又は静電チャック機能を有し得るセラミック成形体820の製造方法について詳しく説明する。
【0079】
図9A図9Eは、本発明の一実施例に係るセラミック成形体の製造方法を説明する図である。
【0080】
図9Aを参照すると、第1方向に配列された複数のシートタイプ金属と第2方向に配列された複数のシートタイプ金属とが相互に直交して形成されるシートタイプメッシュ構造を有する第2電極部材910を製造することができる。このとき、前記複数のシートタイプ金属は、電気伝導性に優れたモリブデン(Mo)で形成されてよい。
【0081】
図9Bを参照すると、シートタイプメッシュ構造を有する第2電極部材910の一表面の中央部分に、第1ロッド連結部材920を付着させることができる。このとき、前記第1ロッド連結部材920は、ろう付(brazing)工程で第2電極部材910に付着してよく、必ずしもこれに制限されない。
【0082】
図9Cを参照すると、第1方向に配列された複数のワイヤータイプ金属と第2方向に配列された複数のワイヤータイプ金属とが相互に直交して形成されるワイヤータイプメッシュ構造を有する第1電極部材930を製造することができる。このとき、前記複数のワイヤータイプ金属は、電気伝導性に優れたモリブデン(Mo)で形成されてよい。
【0083】
その後、第1電極部材930の中央部分を、あらかじめ定められた形状に切断して開口部935を形成することができる。このとき、前記第1電極部材930に形成される開口部935の位置は、高周波電極940に接触する第1ロッド連結部材920の埋設位置に対応する。
【0084】
図9Dを参照すると、第1ロッド連結部材920が付着した第2電極部材910上に、あらかじめ定められた形状の開口部935が形成された第1電極部材930を配置することができる。この際、前記第2電極部材910が第1電極部材930に形成された開口部935をカバーするように配置されてよい。また、真空バインダー(binder)を用いて第1電極部材930と第2電極部材910の位置を固定させることができる。
【0085】
図9Eを参照すると、成形モールド(図示せず)内に配置された電極組立体の周辺にセラミック粉末を充填し、該成形モールド内に積層された構造物をホットプレス(hot press)工程で焼結することで、セラミック成形体900を製造する。この際、第1電極部材930と第2電極部材910とが前記ホットプレス工程によって物理的に接合する。これにより、第2電極部材910は第1電極部材930と一体に結合して一つの高周波電極940を形成する。
【0086】
一方、以上では本発明の具体的な実施例に関して説明したが、本発明の範囲から逸脱しない限度内で、様々な変形が可能であることは勿論である。したがって、本発明の範囲は、説明された実施例に制限されず、後述する特許請求の範囲及びそれと均等なものによって定められるべきである。
図1A
図1B
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B
図9C
図9D
図9E