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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】付加製造用の生体吸収型樹脂
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/04 20060101AFI20240419BHJP
   B29C 64/124 20170101ALI20240419BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240419BHJP
   B29C 64/314 20170101ALI20240419BHJP
   B33Y 70/00 20200101ALI20240419BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240419BHJP
   C08G 81/00 20060101ALI20240419BHJP
   C08G 63/00 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
C08F299/04
B29C64/124
B33Y80/00
B29C64/314
B33Y70/00
B33Y10/00
C08G81/00
C08G63/00
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2022517296
(86)(22)【出願日】2020-09-16
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-21
(86)【国際出願番号】 US2020051047
(87)【国際公開番号】W WO2021055458
(87)【国際公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-03-16
(31)【優先権主張番号】62/900,708
(32)【優先日】2019-09-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/913,227
(32)【優先日】2019-10-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/073,021
(32)【優先日】2020-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】515220524
【氏名又は名称】カーボン,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099623
【弁理士】
【氏名又は名称】奥山 尚一
(74)【代理人】
【識別番号】100125380
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 綾子
(74)【代理人】
【識別番号】100142996
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 聡二
(72)【発明者】
【氏名】グゥー,シンユー
(72)【発明者】
【氏名】チェン,シャロン
(72)【発明者】
【氏名】ポリカストロ,ジーナ・ミシェル
(72)【発明者】
【氏名】ホプソン,ペイトン
(72)【発明者】
【氏名】ドナーズ,ジャッキー
(72)【発明者】
【氏名】ヴェンデリー,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ハリス,ジェイソン・エル.
【審査官】牟田 博一
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/195763(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F290/、299/
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性または弾性の生体吸収性物体の付加製造用の樹脂組成物であって、
(a)5または10重量パーセントから80または90重量パーセントの(メタ)アクリラート末端生体吸収性ポリエステルオリゴマーであって、
前記オリゴマーが、ABAブロック、BABブロック、CBCブロック、BCBブロック、ABランダム組成物、BCランダム組成物、ホモポリマーまたは任意のそれらの組み合わせにおける、カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、トリメチレンカルボナート、ジオキサノン、およびプロピレンフマラートモノマーから選択される構成要素間の分解可能なエステル結合を含み、
[式中、
A=ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)またはポリプロピレンフマラート(PPF)、
B=ポリカプロラクトン(PCL)、ポリトリメチレンカルボナート(PTMC)またはポリ(カプロラクトン-co-ラクチド)(PCLLA)、
C=ポリジオキサノン(PDX)である。]
(b)1または5重量パーセントから50または70重量パーセントの非反応性希釈剤であって、前記非反応性希釈剤が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、環状炭酸エステル、アジピン酸ジエチル、メチルエーテルケトン、エチルアルコール、アセトンおよびその組み合わせからなる群から選択され
(c)0.1または0.2重量パーセントから2または4重量パーセントの光開始剤;
(d)任意選択的に、1または5重量パーセントから40または50重量パーセントの反応性希釈剤であって、当該反応性希釈剤が、任意選択的に架橋剤であり;および
(e)任意選択的に、1または2重量パーセントから40または50重量パーセントの充填
含む、樹脂組成物。
【請求項2】
前記オリゴマーが直鎖状オリゴマーを含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記オリゴマーが分岐オリゴマーを含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
【請求項4】
B=ポリカプロラクトン(PCL)、またはポリ(カプロラクトン-co-ラクチド)(PCLLA)である、請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項5】
前記オリゴマーが、2または5キロダルトンから6、10、15または20キロダルトンの分子量(Mn)を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記オリゴマーが、直鎖状および/もしくは分岐形態のABAブロック、BABブロック、CBCブロックまたはBCBブロックを含む、請求項4または5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
Aが、
(i)ポリ(ラクチド);
(ii)ポリ(グリコリド);
(iii)(i)90:10から55:45のラクチド:グリコリド(すなわち、ラクチドに富む比)もしくは(ii)45:55から10:90のラクチド:グリコリド(すなわち、グリコリドに富む比)のモル比のラクチドおよびグリコリドを含むポリ(ラクチド-co-グリコリド);
または前述の任意の組み合わせである、請求項6に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
Bが、
(i)ポリカプロラクトン;
(ii)ポリトリメチレンカルボナート;
(iii)95:5~5:95のカプロラクトン:ラクチドのモル比のカプロラクトンおよびラクチドを含むポリ(カプロラクトン-co-ラクチド);
または前述の任意の組み合わせである、請求項6または7に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
A(PLA、PGA、PLGA、PPFまたはその組み合わせ)が、1,000または2,000ダルトンから4,000、6,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し;
B(PCL、PTMC、PCLLAまたはその組み合わせが、1,000または1,600ダルトンから4,000、6,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有する、請求項4から6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
前記非反応性希釈剤が炭酸プロピレンである、請求項1からのいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項11】
前記反応性希釈剤が存在し、当該反応性希釈剤が、アクリラート、メタクリラート、スチレン、ビニルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、または前述の2つ以上の組み合わせを含む、請求項1から10のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項12】
顔料、染料、活性化合物または医薬品化合物、蛍光性、燐光性、もしくは放射性化合物、およびその組み合わせから選択される少なくとも1種の追加の成分をさらに含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項13】
充填剤をさらに含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項14】
(a)5または10重量パーセントから80または90重量パーセントの、ABAブロック、BABブロック、CBCブロックまたはBCBブロックにおけるモノマーの(メタ)アクリラート末端、直鎖状または分岐の、生体吸収性ポリエステルオリゴマー
[式中、
Aは、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)またはその組み合わせであり、前記PLGAは、90:10~60:40のラクチド:グリコリド(すなわち、ラクチドに富む比)または40:60~10:90のラクチド:グリコリド(すなわち、グリコリドに富む比)のいずれかのモル比のラクチドおよびグリコリドを含み、Aは、1,000または2,000ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し;
Bは、ポリカプロラクトン(PCL、PTMC、PCLLA)であり、1,000または1,600ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し;
Cは、ポリジオキサノン(PDX)であり、1,000または2,000ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有する。]
(b)1または5重量パーセントから50または70重量パーセントの炭酸プロピレン;
(c)0.1または0.2重量パーセントから2または4重量パーセントの光開始剤、
(d)任意選択的に、1または5重量パーセントから40または50重量パーセントの反応性希釈剤;および
(e)任意選択的に、1または2重量パーセントから40または50重量パーセントの充填剤
を含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項15】
(a)10重量パーセント~80重量パーセントの、ABAブロック、BABブロックまたはABランダム組成物における構成要素間の分解可能なエステル結合を含む、(メタ)アクリラート末端生体吸収性分岐ポリエステルオリゴマー[式中、Aはポリ(ラクチド)またはポリ(ラクチド-co-グリコリド)であり、Bはポリカプロラクトンまたはポリ(カプロラクトン-co-ラクチド)であり、前記オリゴマーは2~6キロダルトンの分子量(Mn)を有する。];
(b)5重量パーセント~50重量パーセントの、N-メチルピロリドン(NMP)および炭酸プロピレンからなる群から選択される非反応性希釈剤;
(c)0.2重量パーセント~2重量パーセントの光開始剤;
(d)任意選択的に、1重量パーセント~50重量パーセントの反応性希釈剤であって、当該反応性希釈剤が、任意選択的に架橋剤であり;および
(e)任意選択的に、1重量パーセント~50重量パーセントの充填
含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項16】
物体の形状の、請求項1から15のいずれか1項に記載の樹脂組成物の光重合により前記物体を製造する工程を含む、可撓性または弾性の生体吸収性物体を製造する方法。
【請求項17】
前記製造工程の後に、前記物体を洗浄する工程をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記製造工程の後に、追加の光に前記物体を曝露して、その中の未重合の構成要素をさらに反応させる工程をさらに含む、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記製造工程の後に、前記物体から残存希釈剤を抽出する工程をさらに含む、請求項16から18のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
前記抽出する工程が、前記物体を乾燥して、前記残存希釈剤を除去する工程をさらに含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
拡大形態の前記物体を製造して、前記物体の収縮を相殺する工程をさらに含む、請求項16から20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
請求項16から21のいずれか1項に記載の方法によって製造された可撓性または弾性の生体吸収性物体。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
生体吸収性物体の製造のための樹脂は知られており、例えば、米国特許第9,770,241号;米国特許第10,085,745号;米国特許第10,149,753号;米国特許第9,873,790号;および米国特許出願公開第2017/0355815号に記載されている。しかしながら、(a)付加製造プロセスにおける印刷適性(例えば、十分に低粘性であること)、(b)製造された物体の可撓性または弾性の機械的性質、および(c)妥当なバイオ吸収/生物分解時間に対する、時には競合する必要性により、すべてのそのような樹脂が、ステレオリソグラフィーなどの付加製造技法において使用するのに良く適合しているとは限らない。
【0002】
1つの先行研究において、ステレオリソグラフィーを用いて生体吸収性多孔質足場を印刷するためのポリカプロラクトンジメタクリラート系樹脂が研究された(Elomaaら、Preparation of poly(e-caprolactone)-based tissue engineering scaffolds by stereolithography, Acta Biomaterialia 7, 3850-3856 (2011))。Elomaaらの樹脂の機械的性質は幾つかの移植可能な物体には有用であるが、その分解時間(一般に2年を超える)は好ましい時間より遅い。
【0003】
別の先行の参考文献において、ポリ(D,L-ラクチド)ジメタクリラート系樹脂が研究された(Melchelsら、Effects of the architecture of tissue engineering scaffolds on cell seeding and culturing, Acta Biomaterialia 6 4208-4217 (2010))。しかし、Melchelsらの硬化樹脂は剛直で弾性がなく、移植および/または使用の間に大きい弾性変形を受ける、幾つかの移植可能な(または他のバイオ医学の)物体の製造にはあまり好ましくない。
【0004】
したがって、バイオ医学用途に適している樹脂の新しい付加製造に対する必要性がなお存在する。
【発明の概要】
【0005】
本開示の第1の態様は、物体を製造するために有用な樹脂である。樹脂は、(a)ボトムアップおよびトップダウンのステレオリソグラフィーなどの付加製造技法において使用するのに適し、(b)生体吸収性である物体を製造し、(c)(好ましくは25℃の少なくとも典型的な室温で、幾つかの実施形態において37℃の典型的な人体温度で)可撓性または弾性である物体を製造する。そのような樹脂は典型的には、(a)反応性末端基を有する生体吸収性ポリエステルオリゴマー;(b)非反応性希釈剤;(c)任意選択的に、反応性希釈剤;および(d)光開始剤を含む。
【0006】
幾つかの態様において、樹脂は、(a)5または10重量パーセントから80または90重量パーセントの(メタ)アクリラート末端生体吸収性ポリエステルオリゴマー;(b)1または5重量パーセントから50または70重量パーセントの非反応性希釈剤;(c)0.1または0.2重量パーセントから2または4重量パーセントの光開始剤;(d)任意選択的に、1または5重量パーセントから40または50重量パーセントの反応性希釈剤;(e)任意選択的に、1または2重量パーセントから40または50重量パーセントの充填剤;および(f)任意選択的に、1または2重量パーセントから5または10重量パーセントの、トリメチロールプロパントリメタクリラート(TMPTMA)などの少なくとも1種の追加の架橋剤を含むか、または実質的にそれらからなる。
【0007】
幾つかの態様において、オリゴマーは直鎖状オリゴマーおよび/もしくは分岐オリゴマー(すなわち、3アームオリゴマーなどの星形オリゴマー)を含んでもよい。
【0008】
幾つかの態様によるオリゴマーは、ABAブロック、BABブロック、CBCブロック、BCBブロック、ABランダム組成物、BCランダム組成物、ホモポリマーまたはその任意の組み合わせおける、カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、トリメチレンカルボナート、ジオキサノン、およびプロピレンフマラートモノマーから選択される構成要素間の分解可能なエステル結合を含んでもよい[式中、A=ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)またはポリプロピレンフマラート(PPF)、B=ポリカプロラクトン(PCL)、ポリトリメチレンカルボナート(PTMC)またはポリ(カプロラクトン-co-ラクチド)(PCLLA)、C=ポリジオキサノン(PDX)である。]。
【0009】
幾つかの態様において、オリゴマーは、2または5キロダルトンから6、10、15または20キロダルトンの分子量を有する。
【0010】
幾つかの態様において、オリゴマーは、直鎖状および/もしくは分岐(例えば、星形または3アーム)形態のABAブロック、BABブロック、CBCブロックまたはBCBブロックを含む。
【0011】
幾つかの態様において、Aは、(i)ポリ(ラクチド);(ii)ポリ(グリコリド);(iii)(i)90:10~55:45のラクチド:グリコリドのモル比(すなわち、ラクチドに富む比)もしくは(ii)45:55~10:90のラクチド:グリコリド(すなわち、グリコリドに富む比)のラクチドおよびグリコリドを含むポリ(ラクチド-co-グリコリド);または前述の任意の組み合わせである。
【0012】
幾つかの態様において、Bは、(i)ポリカプロラクトン;(ii)ポリトリメチレンカルボナート;(iii)95:5~5:95のカプロラクトン:ラクチドのモル比のカプロラクトンおよびラクチドを含むポリ(カプロラクトン-co-ラクチド);または前述の任意の組み合わせである。
【0013】
幾つかの態様において、A(PLA、PGA、PLGA、PPF、またはその組み合わせ)は、1,000または2,000ダルトンから4,000、6,000または10,000ダルトンまでの分子量を有し;および/または、B(PCL、PTMC、PCLLAもしくはその組み合わせ)は、1,000または1,600ダルトンから4,000、6,000もしくは10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有する。
【0014】
幾つかの態様において、非反応性希釈剤は、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、環状炭酸エステル(炭酸プロピレンなどの)、アジピン酸ジエチル、メチルエーテルケトン、エチルアルコール、アセトン、およびその組み合わせからなる群から選択される。幾つかの態様において、非反応性希釈剤は炭酸プロピレンである。
【0015】
幾つかの態様において、反応性希釈剤は、アクリラート、メタクリラート、スチレン、ビニルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、前述の任意の1つまたは複数を含むポリマー、または前述の2つ以上の組み合わせを含む。
【0016】
幾つかの態様において、樹脂は、顔料、染料、活性化合物または医薬品化合物、および検出可能な化合物(例えば、蛍光性、燐光性、放射性)、およびその組み合わせから選択される少なくとも1つの追加の原料をさらに含む。
【0017】
幾つかの態様において、樹脂は、充填剤(例えば、生体吸収性ポリエステル粒子、塩化ナトリウム粒子、三リン酸カルシウム粒子、糖粒子)をさらに含む。
【0018】
幾つかの態様において、樹脂は、実質的に、(a)5または10重量パーセントから80または90重量パーセントの、ABAブロック、BABブロック、CBCブロックまたはBCBブロックにおけるモノマーの(メタ)アクリラート末端、直鎖状または分岐の生体吸収性ポリエステルオリゴマー[式中、Aは、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)またはその組み合わせであり、前記PLGAは、90:10~60:40のラクチド:グリコリド(すなわち、ラクチドに富む比)または40:60~10:90のラクチド:グリコリド(すなわち、グリコリドに富む比)のいずれかのモル比のラクチドおよびグリコリドを含み、Aは、1,000または2,000ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し;Bは、ポリカプロラクトン(PCL、PTMC、PCLLA)であり、1,000または1,600ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し;Cは、ポリジオキサノン(PDX)であり、1,000または2,000ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有する。](b)1または5重量パーセントから50または70重量パーセントの炭酸プロピレン;(c)0.1または0.2重量パーセントから2または4重量パーセントの光開始剤、(d)任意選択的に、1または5重量パーセントから40または50重量パーセントの反応性希釈剤;および(e)任意選択的に、1または2重量パーセントから40または50重量パーセントの充填剤からなる。
【0019】
幾つかの態様において、樹脂は、実質的に、(a)10重量パーセント~80重量パーセントの、ABAブロック、BABブロックまたはABランダム組成物における構成要素間の分解可能なエステル結合を含む、(メタ)アクリラート末端生体吸収性分岐ポリエステルオリゴマー[式中、Aはポリ(ラクチド)またはポリ(ラクチド-co-グリコリド)であり、Bはポリカプロラクトンまたはポリ(カプロラクトン-co-ラクチド)であり、前記オリゴマーは2~6キロダルトンの分子量(Mn)を有する。];(b)5重量パーセント~50重量パーセントの、N-メチルピロリドン(NMP)および炭酸プロピレンからなる群から選択される非反応性希釈剤;(c)0.2重量パーセント~2重量パーセントの光開始剤;(d)任意選択的に、1重量パーセント~50重量パーセントの反応性希釈剤;(e)任意選択的に、1重量パーセント~50重量パーセントの充填剤;および(f)任意選択的に、1重量パーセント~10重量パーセントの追加の架橋剤からなる。
【0020】
また、物体の形状において本明細書に教示される樹脂の光重合により前記物体を製造する工程(例えば、ボトムアップまたはトップダウンの付加製造によって、などの付加製造による)を含む可撓性または弾性の生体吸収性物体を製造する方法が提供される。
【0021】
幾つかの態様において、方法は、前記製造工程の後(好ましくは追加の光に前記物体を曝露する前記工程の前)に、前記物体を洗浄する(例えば、洗う、拭く、スピンなどによる)工程をさらに含む。
【0022】
幾つかの態様において、方法は、前記製造工程の後に、追加の光に前記物体を曝露して、その中の未重合の構成要素をさらに反応させる工程をさらに含む。
【0023】
幾つかの態様において、方法は、前記製造工程の後に、前記物体から残存希釈剤を抽出する工程をさらに含む。
【0024】
幾つかの態様において、方法は前記物体を(任意選択的に、しかし好ましくは真空下で)乾燥して、抽出溶媒をそこから除去する工程をさらに含む。
【0025】
幾つかの態様において、方法は、拡大形態の前記物体を製造して、前記抽出、さらなる曝露、および/または洗浄工程、および乾燥工程中に生じる前記物体の収縮を相殺する工程をさらに含む。
【0026】
また、本明細書において教示される方法によって製造された可撓性または弾性の生体吸収性物体が提供される。
【0027】
本発明の追加の態様は、以下により詳しく説明される。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明はここで以下により完全に記載される。しかしながら、本発明は、多くの異なる形態で具現され、本明細書において述べられる実施形態に限定されるように解釈されるべきでなく;むしろ、本開示が完全になり、完結し、当業者に対して十分に本発明の範囲が伝わるように、これらの実施形態は提供される。
【0029】
本明細書において使用される用語は、特定の実施形態のみを記載するためにあり、本発明を限定するようには意図されない。本明細書において使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈が他の方法で明白に示さなければ、複数形をも含むように意図される。さらに、本明細書において使用される場合、「を含む」または「を含むこと」という用語は、明示された特徴、整数、工程、作業、要素成分および/もしくは群またはその組み合わせの存在を指定するが、しかし、1つまたは複数の他の特徴、整数、工程、作業、要素、成分および/もしくは群またはその組み合わせの存在または追加を妨げないことは理解されよう。
【0030】
本明細書において使用される場合、「および/または」という用語は、関連する列挙された品目の1つまたは複数のありとあらゆる可能な組み合わせ、ならびに他の選択肢において解釈される場合の組み合わせの欠如(「または」)を含む。
【0031】
他に定義されなければ、本明細書において使用される用語(科学技術用語を含む)はすべて、本発明が属する当業者によって一般に理解されるのと同一の意味を有する。さらに、一般に使用される辞書に定義されるものなどの用語が、本明細書および請求項の文脈におけるそれらの意味と矛盾しない意味を有するものと解釈されるべきであり、本明細書においてそのように明白に定義されるのでなければ、観念的な、または過度に形式的な意味に解釈されるべきでないことは理解されよう。よく知られている機能または構造は、簡潔および/または明瞭のために詳細には記載されないことがある。
【0032】
「実質的に~からなる」という移行句は、特許請求の範囲は、指定される材料または記述される工程、およびまた、本明細書において記載される請求項の発明の基本的および新規の特性に影響を実質的に与えない、追加の材料または工程を包含すると解釈されるべきであることを意味する。
【0033】
本明細書において引用されたすべての特許文献の開示は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0034】
1. ポリマー材料および樹脂。
本発明を実行するための有用な樹脂は、一般に、
(a)5または10重量パーセントから80または90重量パーセントの(メタ)アクリラート末端生体吸収性ポリエステルオリゴマー;
(b)1または5重量パーセントから50または70重量パーセントの非反応性希釈剤;
(c)0.1または0.2重量パーセントから2または4重量パーセントの光開始剤;
(d)任意選択的に、1または5重量パーセントから40または50重量パーセントの反応性希釈剤;
(e)任意選択的に、1または2重量パーセントから40または50重量パーセントの充填剤;および
(f)任意選択的に、0.1または1重量パーセントから10または20重量パーセントの追加の原料、例えば、活性剤、検出可能な群、顔料または染料など
を含む、それらからなる、または実質的にそれらからなる。
【0035】
ポリマーを製造することができる樹脂用のオリゴマープレポリマーは直鎖状でも分岐していてもよい(例えば、「星形」オリゴマー、3アームオリゴマー)。そのようなモノマーまたはオリゴマープレポリマーに適している末端基は、これらに限定されないが、アクリラート、メタクリラート、フマラート、ビニルカルボナート、メチルエステル、エチルエステルなどを含む。適切な樹脂組成の非限定的な例は、以下の表1に挙げられる(各カラムにおける構成要素は、任意の組み合わせで他のカラムの構成要素と組み合わせることができる。)。
【0036】
【表1】
【0037】
本明細書において記載の物体の製造で使用される組成物の特定の例は、生体吸収性ポリエステル連結を有するメタクリラート末端オリゴマーに基づき、生理学的温度でゴム状の弾性挙動、機械的性質の短期的保持(幾つかの実施形態において、1か月以下)、および長期的な完全再吸収(幾つかの実施形態においておよそ4~6か月の期間にわたって)を提供する。
【0038】
幾つかの好ましい実施形態において使用される生体吸収性ポリエステルオリゴマーは、一般に、メタクリラート末端基を有する生体吸収性オリゴマーである。そのようなオリゴマーは、典型的にはABAブロック、BABブロック、CBCブロック、BCBブロック、ABランダム組成物、BCランダム組成物、ホモポリマー、またはその任意の組み合わせにおける、カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、トリメチレンカルボナート、ジオキサノン、およびプロピレンフマラートモノマーから選択される分解可能なエステル結合で構成される[式中、A=ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド(PGA)、またはポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ポリプロピレンフマラート(PPF)、B=ポリカプロラクトン(PCL)、ポリトリメチレンカルボナート(PTMC)、ポリ(カプロラクトン-co-ラクチド)(PCLLA)、およびC=ポリジオキサノン(PDX)である。]。コポリマーは、直鎖状または星形の構造のいずれかにおいて2または5キロダルトンから6、10、15または20キロダルトンの分子量(Mn)を有していてもよい。そのようなオリゴマーを製造するのに使用されるモノマーは、任意選択的に、弾性率を高めるために、当業界で公知のように分岐を導入してもよく、例としてはガンマ-メチル-イプシロン-カプロラクトンおよびガンマ-エチル-イプシロン-カプロラクトンである。
【0039】
ラクチドは、L-ラクチド、D-ラクチド、またはその混合物(すなわち、D,L-ラクチド)であってもよい。PLAブロックについては、幾つかの実施形態において、より良好な規則性およびより高い結晶性のためにL-ラクチドを使用することが好ましい。
【0040】
幾つかの実施形態において、オリゴマーは、直鎖状および/もしくは分岐(例えば、星形または3アーム)形態のABAブロック、BABブロック、CBCブロックまたはBCBブロックを含む。
【0041】
幾つかの実施形態において、Aは、(i)ポリ(ラクチド);(ii)ポリ(グリコリド);(iii)90:10~55:45のラクチド:グリコリド(すなわち、ラクチドに富む比)または45:55~10:90のラクチド:グリコリド(すなわち、グリコリドに富む比)のモル比のラクチドおよびグリコリドを含むポリ(ラクチド-co-グリコリド);またはその任意の組み合わせである。幾つかの実施形態において、AのD,L-ラクチド混合物はPLGAランダムコポリマーの製造に使用することができる。
【0042】
幾つかの実施形態において、A(PLA、PGA、PLGA、PPFまたはその組み合わせ)は、1,000または2,000ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し、B(PCL、PTMCおよびPCLLA)は、1,000または1,600ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有する。
【0043】
幾つかの実施形態において、少なくとも1種の追加の架橋剤を(例えば、1または2重量パーセントから5または10重量パーセントの量で)含むことができる。生体吸収可能な架橋剤、吸収可能でない架橋剤、およびその組み合わせを含む任意の適切な追加の架橋剤を使用することができる。適切な生体吸収可能な架橋剤の例は、これらに限定されないが、ジビニルアジパート(DVA)、ポリ(カプロラクトン)トリメタクリラート(PCLDMA、例えば、約950~2400ダルトンの分子量Mnの)などを含む。適切な吸収可能でない架橋剤の例は、これらに限定されないが、トリメチロールプロパントリメタクリラート(TMPTMA)、ポリ(プロピレングリコール)ジメタクリラート(PPGDMA)、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリラート(PEGDMA)などを含む。
【0044】
特定の実施形態は、実質的に、(a)5または10重量パーセントから80または90重量パーセントの、ABAブロック、BABブロック、CBCブロックまたはBCBブロックにおけるモノマーの、(メタ)アクリラート末端である、直鎖状または分岐の生体吸収性ポリエステルオリゴマー[式中、Aは、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)またはその組み合わせであり、前記PLGAは、90:10~60:40のラクチド:グリコリド(すなわち、ラクチドに富む比)または40:60~10:90のラクチド:グリコリド(すなわち、グリコリドに富む比)のいずれかのモル比でラクチドおよびグリコリドを含み、Aは、1,000または2,000ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し;Bはポリカプロラクトン(PCL、PTMCおよびPCLLA)であり、1,000または1,600ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し、Cはポリジオキサノン(PDX)であり、1,000または2,000ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有する。];(b)1または5重量パーセントから50または70重量パーセントの炭酸プロピレン;(c)0.1または0.2重量パーセントから2または4重量パーセントの光開始剤、(d)任意選択的に、1または5重量パーセントから40または50重量パーセントの反応性希釈剤;および(e)任意選択的に、1または2重量パーセントから40または50重量パーセントの充填剤からなる樹脂である。
【0045】
本発明の実行において使用することができる非反応性希釈剤は、これらに限定されないが、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、環状炭酸エステル(例えば、炭酸プロピレン)、アジピン酸ジエチル、メチルエーテルケトン、エチルアルコール、アセトン、およびその2種以上の組み合わせを含む。
【0046】
重合性液体(樹脂)に含まれる光開始剤は、タイプIおよびタイプII光開始剤を含み、一般に使用されるUV光開始剤を含む任意の適切な光開始剤であってよく、その例としては、これらに限定されないが、アセトフェノン(例えば、ジエトキシアセトフェノン)、ホスフィンオキシド、例えば、ジフェニル(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド、フェニルビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)ホスフィンオキシド(PPO)、Irgacure(登録商標)369などを含む。例えば、Rollandらの米国特許第9,453,142号を参照のこと。
【0047】
本発明の実行に使用することができる反応性希釈剤(二および三官能性の反応性希釈剤を含む)は、アクリラート、メタクリラート、スチレン、ビニルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、前述のいずれか1つまたは複数を含むポリマー、および前述の1つまたは複数の組み合わせ(例えば、アクリロニトリル、スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸メチル、アクリル酸イソボルニル(IBOA)、メタクリル酸イソボルニル(IBOMA)、モノ-、ジ-またはトリエチレングリコールアクリラートまたはメタクリラートのアルキルエーテル、(メタ)アクリル酸ラウリルなどの脂肪族アルコールアクリラートまたはメタクリラート、およびその混合物)を含むことができる。
【0048】
樹脂は、やはり組立てられる製品の具体的な目的に依存して、顔料、染料、希釈剤、活性化合物または医薬品化合物、検出可能な化合物(例えば、蛍光性、燐光性、放射性)などを含む追加の原料をその中に有することができる。そのような追加の原料の例は、これらに限定されないが、タンパク質、ペプチド、siRNAなどの核酸(DNA、RNA)、糖、小さな有機化合物(医薬および医薬のような化合物)など、およびその組み合わせを含む。
【0049】
充填剤。生体吸収性ポリエステル粒子、塩化ナトリウム粒子、三リン酸カルシウム粒子、糖粒子などを、これらに限定されないが、含む任意の適切な充填剤は、本発明に関連して使用してもよい。
【0050】
染料/非反応性光吸収剤。幾つかの実施形態において、本発明を実行するための樹脂は、光、特にUV光を吸収する、非反応性の顔料または染料を含む。そのような光吸収剤の適切な例は、これらに限定されないが、(i)二酸化チタン(例えば、0.05または0.1から1または5重量パーセントの量で含まれる)、(ii)カーボンブラック(例えば、0.05または0.1から1または5重量パーセントの量で含まれる)、および/または(iii)ヒドロキシベンゾフェノン、ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール、オキサニリド、ベンゾフェノン、チオキサントン、ヒドロキシフェニルトリアジンおよび/またはベンゾトリアゾール紫外線吸収剤などの有機紫外線吸収剤(例えば、Mayzo BLS1326)(例えば、0.001または0.005から1、2または4重量パーセントの量で含まれる)を含む。適切な有機紫外線吸収剤の例は、これらに限定されないが、米国特許第3,213,058号;米国特許第6,916,867号;米国特許第7,157,586号;および米国特許第7,695,643号に記載されているものを含み、その開示は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0051】
2. 製造方法。
付加製造。物体を製造することができる適切な付加製造設備および方法は、例えば、Hullの米国特許第5,236,637号、Lawtonの米国特許第5,391,072号および米国特許第5,529,473号、Johnの米国特許第7,438,846号、Shkolnikの米国特許第7,892,474号、El-Siblaniの米国特許第8,110,135号、Joyceの米国特許出願公開第2013/0292862号ならびにChenらの米国特許出願公開第2013/0295212号に知られ記載されているようにボトムアップおよびトップダウンの付加製造方法および設備を含む。これらの特許および出願の開示は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0052】
幾つかの実施形態において、付加製造工程は、時には連続的液体界面製造(CLIP)と称される方法の一群のうちの1つによって実行される。CLIPは、例えば、米国特許第9,211,678号;米国特許第9,205,601号;米国特許第9,216,546号;他において;J. Tumblestonら、Continuous liquid interface production of 3D Objects, Science 347, 1349-1352 (2015)において;およびR. Janusziewczら、Layerless fabrication with continuous liquid interface production, Proc. Natl. Acad. Sci. USA 113, 11703-11708 (2016)において知られており記載されている。CLIPの特定の実施形態を実行する方法および設備の他の例は、これらに限定されないが、Batchelderら、米国特許出願公開第2017/0129169号;SunおよびLichkus、米国特許出願公開第2016/0288376号;Willisら、米国特許出願公開第2015/0360419号;Linら、米国特許出願公開第2015/0331402号;D. Castanon、米国特許出願公開第2017/0129167号、B. Feller、米国特許出願公開第2018/0243976号;M. PanzerおよびJ. Tumbleston、米国特許出願公開第2018/0126630号;ならびにK.WillisおよびB.Adzima、米国特許出願公開第2018/0290374号を含む。
【0053】
製造後の工程。付加製造工程の後、追加の後加工工程は、洗浄(例えば、アセトン、イソプロパノール、ジプロピレングリコールメチルエーテルまたはDPMなどのグリコールエーテルなどの有機溶媒中)、拭き取り(例えば、吸収材料を用いて、圧縮ガスまたは空気ブレードを用いる吹きつけなど)、残存樹脂の遠心分離、残存溶媒の抽出、紫外線などを用いる過剰曝露によるなどの追加の硬化、抽出溶媒をそこから除去するための前記物体の乾燥(任意選択的に、しかし好ましくは真空下の)、および公知技法による前述の幾つかまたはすべての組み合わせを含むことができる。
【0054】
3. 有用性。
本明細書において記載の樹脂は、血管内ステントなどの移植可能なデバイスを含む様々な生体医療用具および医療扶助具を製造するのに有用である。本明細書において記載の樹脂を用いて製造することができる物体の追加の例は、これらに限定されないが、Williamsら、Surgical Mesh Implants containing poly(butylene succinate)and copolymers thereof、米国特許出願公開第2019/0269817号(2019年9月5日)、およびHartwellら、Collapsible dressing for negative pressure wound treatment、米国特許出願公開第2019/0240385(2019年8月8日)に述べられたものを含み、その開示は、引用することにより本明細書の一部をなすものとする。
【0055】
本発明は、以下の非限定的な実施例においてより詳しく説明される。
【0056】
[実施例1~3]
二官能性メタクリラート(MA)末端ポリエステルオリゴマーの調製
これらの実施例は、二官能性メタクリラート末端ポリエステルオリゴマーの調製を記載する。中間ブロックはPLGA-PCL-PLGAであり、分子量は6キロダルトンであり、PCLは合計MWの40重量%含まれる。PLGAは、ラクチド(L)およびグリコリド(G)のランダムコポリマーであり、1:1のL:G重量比を有する。
【0057】
次の2つの項について論じる際、1kgバッチのHO-PLGA-b-PCL-b-PLGA-OHの合成のために使用した各試薬のモル比および質量の例について表2を参照すること。
【0058】
【表2】
【0059】
[実施例1]
HO-PCL-OHの合成
乾燥炉で丸底フラスコを終夜乾燥し、N流下で室温に冷却した。ガラスシリンジおよびシリンジ針を介して丸底フラスコにカプロラクトンおよびオクタン酸スズを添加した。反応フラスコの内容物を130℃に加熱した。その間に、ジエチレングリコールを130℃に加熱した。予備加熱したら、反応フラスコに開始剤としてジエチレングリコールを添加し、完全なモノマー変換まで反応させた。HNMRを使用して、モノマー変換をモニターした。反応を中止し、反応の内容物を室温に冷却した。HO-PCL-OHをクロロホルムから冷MeOHへ沈殿させて白い固体を得た。HNMR、DSC、FTIRおよびTHF GPCを、HO-PCL-OHを特性評価するのに使用した。
【0060】
[実施例2]
HO-PLGA-b-PCL-b-PLGA-OHの合成
下で丸底フラスコへ様々な量のHO-PCL-OHおよびD,L-ラクチドおよびグリコリドを添加し、140℃に加熱し反応内容物を融解した。融解した後、120℃に温度を下げて、オクタン酸第一スズを添加した。HNMRおよびTHF GPCを用いてモノマー変換をモニターしつつ、反応を撹拌しながら継続した。反応が所望の分子量に達すれば、室温に反応内容物を冷却し、クロロホルムに溶解し、冷ジエチルエーテルへ3回沈殿させた。真空下で沈殿を乾燥した。
【0061】
[実施例3]
MA-PLGA-b-PCL-b-PLGA-MAの合成
1kgバッチのMA-PLGA-b-PCL-b-PLGA-MAを合成するために使用した各試薬のモル比および質量の例について表3を参照すること。
【0062】
【表3】
【0063】
HO-PLGA-b-PCL-b-PLGA-OHを、N下で丸底フラスコ中の無水DCMに溶解した。トリエチルアミンおよび少量のBHTを反応フラスコに添加し、氷水浴中で0℃に反応フラスコを冷却した。反応フラスコに等圧化添加漏斗を装備し、メタクリロイルクロリドを装填した。反応フラスコが0℃に達したら、メタクリロイルクロリドを2時間かけて滴下した。反応は、0℃で12時間、次いで室温で24時間進めた。完了したら、反応内容物を蒸留水で2回洗浄して、トリエチルアミン塩酸塩、飽和NaCOを除去し、硫酸マグネシウムで乾燥した。集めて乾燥したDCM層を、回転式蒸発を用いて乾燥した。THF GPC、HNMR、FTIRおよびDSCを用いて最終生成物を特性評価した。
【0064】
[実施例4~6]
3アームMA末端ポリエステルオリゴマーの調製
これらの実施例は、3アームまたは星形状の生体吸収性ポリエステルオリゴマーの調製を記載する。各アームはメタクリラートを用いて末端化する。各アームは2キロダルトンの分子量を有し、ポリ(ラクチド-r-グリコリド)(PLGA)およびポリ(カプロラクトン)(PCL)のブロックコポリマーであり、PCLはオリゴマーのコアである。PCLは合計MWの40重量%含まれる。PLGAは、ラクチド(L)およびグリコリド(G)のランダムコポリマーであり、1:1のL:G重量比を有する。
【0065】
[実施例4]
PCL-3OHの合成
次の2つの項について論じる際、1kgバッチの(PLGA-b-PCL)-3OHの合成のために使用した各試薬のモル比および質量の例について表4を参照すること。
【0066】
【表4】
【0067】
乾燥炉で丸底フラスコを終夜乾燥し、N流下で室温に冷却した。ガラスシリンジおよびシリンジ針を介して丸底フラスコにカプロラクトンおよびオクタン酸スズを添加した。反応フラスコの内容物を130℃に加熱した。その間に、トリメチロールプロパン(TMP)を130℃に加熱した。予備加熱したら、反応フラスコに開始剤としてTMPを添加し、モノマー変換が完了するまで反応させた。HNMRを使用して、モノマー変換をモニターした。反応を中止し、反応内容物を室温に冷却させた。(PCL)-3OHをクロロホルムから冷MeOHへ沈殿させて白い固体を得た。H1 NMR、DSC、FTIRおよびTHF GPCを使用して(PCL)-3OHを特性評価した。
【0068】
[実施例5]
(PCL-b-PLGA)-3OHの合成
下で丸底フラスコへ(PCL)-3OH、様々な量のD,L-ラクチドおよびグリコリドを添加し、140℃に加熱して反応内容物を融解した。融解した後、温度は120℃に下げ、オクタン酸第一スズを添加した。反応は、HNMRおよびTHF GPCを用いてモノマー変換をモニターしつつ撹拌しながら継続した。反応が所望の分子量に達すれば、反応内容物を室温に冷却し、クロロホルムに溶解し、冷ジエチルエーテルへ3回沈殿させた。真空下で沈殿を乾燥した。
【0069】
[実施例6]
(PCL-b-PLGA)-3MAの合成
1kgバッチの(PLGA-b-PCL)-3MAを合成するために使用した各試薬のモル比および質量の例について表5を参照すること。
【0070】
(PCL-b-PLGA)-3OHを、N2下で丸底フラスコ中の無水DCMに溶解した。トリエチルアミン(TEA)および400ppmのBHTを反応フラスコに添加し、氷水浴中で0℃に反応フラスコを冷却した。反応フラスコに等圧化添加漏斗を装備し、メタクリロイルクロリドを装填した。反応フラスコが0℃に達したら、メタクリロイルクロリドを2時間かけて滴下した。反応は、0℃で12時間、次いで室温で24時間進めた。完了したら、沈殿を真空濾過によって除去した。濾液を集めて、回転式蒸発を用いてDCMを除去した。結果として得られた粘性のある油をTHFに溶解し、冷メタノールへ沈殿させた。沈殿をDCMに溶解し、水性HCL(3%、2回)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、および飽和水性塩化ナトリウムで洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムは真空濾過によって濾別し、濾液を集めた。DCMは回転式蒸発によって除去し、固体生成物を集め、THF GPC、H1 NMR、FTIRおよびDSCを用いて特性評価した。
【0071】
【表5】
【0072】
[実施例7]
二官能性オリゴマー樹脂配合物
付加製造用の光重合性樹脂を得るために以下の原料を以下の重量パーセントで一緒に混合した:
(1)66.2%の、上記の実施例1~3において調製した二官能性オリゴマー;
(2)3.5%のトリメチロールプロパントリアクリラート(TMPTMA)反応性希釈剤;
(3)28.4%のN-メチルピロリドン(NMP)非反応性希釈剤;および
(4)1.89%のIrgacure(登録商標)819光開始剤。
【0073】
[実施例8]
3アームオリゴマー樹脂配合物
付加製造用の光重合性樹脂を得るために以下の原料を以下の重量パーセントで一緒に混合した:
(1)68.6%の、上記の実施例4~6において調製した3アームオリゴマー;
(2)29.4%のN-メチルピロリドン(NMP)非反応性希釈剤;および
(3)1.96%のIrgacure(登録商標)819光開始剤。
【0074】
[実施例9]
付加製造および後加工
上の実施例において記載のように調製した樹脂を用いて、Carbon Inc.,1089 Mills Way,Redwood City California,94063から利用可能なCarbon Inc.M1またはM2設備で標準技法に従って付加製造を実行する。
【0075】
樹脂が非反応性希釈剤を含む場合、物体は、非反応性希釈剤充填量の程度によって洗浄/抽出の際に全体的な収縮を受ける場合がある。そのため、寸法スケーリング因子をpart .stlファイルまたは3MFファイルに適用して、印刷した部品を拡大し、意図的に後加工工程の間の後続の収縮を勘案する。
【0076】
製造した部品の後加工を以下のように実行することができる:設備から構造プラットフォームを取り外した後、物体のまわりの平坦面およびその側面に残ったプラットフォームから余剰樹脂を拭き取り、約10分間排水する。注意深くプラットフォームから物体を取り出し、軌道型振盪機でアセトン浴中30秒間3回洗浄し、続いて各洗浄の後に5分乾燥した。第3の洗浄後に、20分間部品を乾かし、次いで、PRIMECURE(商標)の紫外線の過剰硬化設備で側面当たり20秒間過剰硬化させた。
【0077】
次に、残存非反応性希釈剤(例えばN-メチルピロリドン)を、アセトンに浸し室温で終夜振盪することにより、部品から抽出する。抽出の途中(開始後およそ8時間)で溶媒を1回交換する。次いで、物体をアセトンから取り出し、60℃で終夜真空乾燥した。次いで、残存NMPについて部品を点検し、検出可能な残余がなければ、粘着性を点検する。部品が粘着性である場合、次いでそれらは窒素下、LEDベースの投光ランプ(Dreve Group, Unna, Germanyから入手可能なPCU LED N2投光ランプなど)で過剰硬化させる。
【0078】
[実施例10~12]
3アームMA末端ポリエステルオリゴマーの調製
これらの実施例は、3アームまたは星形状の生体吸収性ポリエステルオリゴマーの調製を記載する。各アームはメタクリラートを用いて末端化する。各アームは、2キロダルトンの分子量を有し、ポリ(L-乳酸)(PLLA)およびポリ(カプロラクトン-r-L-乳酸(PCLLA)のブロックコポリマーであり、PCLLAはオリゴマーのコアである。PCLLAは合計MWの70wt%含まれ、CL:L比は60:40である。
【0079】
[実施例10]
PCLLA-3OHの合成
次の2つの項について論じる通り、1kgバッチの(PLLA-b-PCLLA)-3OHの合成のために使用した各試薬のモル比および質量の例について表6を参照すること。
【0080】
【表6】
【0081】
乾燥炉で丸底フラスコを終夜乾燥し、N流下で室温に冷却した。丸底フラスコにカプロラクトン、L-ラクチドおよびオクタン酸スズを添加した。反応フラスコの内容物を130℃に加熱した。その間に、トリメチロールプロパン(TMP)を130℃に加熱した。予備加熱したら、反応フラスコに開始剤としてTMPを添加し、モノマー変換が完了するまで反応させた。HNMRを使用して、モノマー変換をモニターした。反応を中止し、室温に反応内容物を冷却した。(PCLLA)-3OHを、クロロホルムから冷MeOHへ沈殿させて白い固体を得た。H1 NMR、DSC、FTIRおよびTHF GPCを、(PCLLA)-3OHを特性評価するのに使用した。
【0082】
[実施例11]
(PLLA-b-PCLLA)-3OHの合成
下で丸底フラスコへ(PCLLA)-3OHおよびL-ラクチドを添加し、140℃に加熱し、反応内容物を融解した。融解した後、120℃に温度を下げて、オクタン酸第一スズを添加した。反応は、HNMRおよびTHF GPCを用いてモノマー変換をモニターしつつ、撹拌しながら継続した。反応が所望の分子量に達したら、室温に反応内容物を冷却し、クロロホルムに溶解し、冷ジエチルエーテルへ3回沈殿させた。真空下で沈殿を乾燥した。
【0083】
[実施例12]
(PLLA-b-PCLLA)-3MAの合成
1kgバッチの(PLLA-b-PCLLA)-3MAを合成するために使用した各試薬のモル比および質量の例について表7を参照すること。
【0084】
(PLLA-b-PCLLA)-3OHを、N下で丸底フラスコ中の無水DCMに溶解した。トリエチルアミン(TEA)および400ppmのBHTを反応フラスコに添加し、氷水浴中で0℃に反応フラスコを冷却した。反応フラスコに等圧化添加漏斗を装備し、メタクリロイルクロリドを装填した。反応フラスコが0℃に達したら、メタクリロイルクロリドを2時間かけて滴下した。反応は、0℃で12時間、次いで室温で24時間進めた。完了したら、沈殿を真空濾過によって除去した。濾液を集めて、回転式蒸発を用いてDCMを除去した。結果として得られた粘性のある油をTHFに溶解し、冷メタノールへ沈殿させた。DCMに沈殿を溶かし、水性HCL(3%、2回)、飽和重炭酸ナトリウム水溶液、および飽和水性塩化ナトリウムを用いて洗浄し、次いで、硫酸マグネシウムで乾燥した。硫酸マグネシウムを真空濾過によって濾別し、濾液を集めた。回転式蒸発によってDCMを除去し、固体生成物を集め、THF GPC、HNMR、FTIRおよびDSCを用いて特性評価した。
【0085】
【表7】
【0086】
[実施例13]
二官能性オリゴマー樹脂配合物
付加製造用の光重合性樹脂を提供するために、以下の原料を以下の重量パーセントで一緒に混合した:
(1)58.82%の、上記の実施例10~11において調製した二官能性オリゴマー;
(2)39.22%の炭酸プロピレン(PC)非反応性希釈剤;および
(3)1.96%のIrgacure(登録商標)819光開始剤。
【0087】
前述のものは、本発明の例証となり、それを限定するように解釈するべきではない。本発明は、その中に含まれる請求項の等価物を用いて以下の請求項によって定義される。
出願時の特許請求の範囲は以下の通り。
[請求項1]
可撓性または弾性の生体吸収性物体の付加製造に有用な樹脂であって、
(a)5または10重量パーセントから80または90重量パーセントの(メタ)アクリラート末端生体吸収性ポリエステルオリゴマー;
(b)1または5重量パーセントから50または70重量パーセントの非反応性希釈剤;
(c)0.1または0.2重量パーセントから2または4重量パーセントの光開始剤;
(d)任意選択的に、1または5重量パーセントから40または50重量パーセントの反応性希釈剤;
(e)任意選択的に、1または2重量パーセントから40または50重量パーセントの充填剤;および
(f)任意選択的に、1または2重量パーセントから5または10重量パーセントの、トリメチロールプロパントリメタクリラート(TMPTMA)などの少なくとも1種の追加の架橋剤
を含む、または実質的にそれらからなる樹脂。
[請求項2]
前記オリゴマーが直鎖状オリゴマーを含む、請求項1に記載の樹脂。
[請求項3]
前記オリゴマーが分岐オリゴマー(すなわち、3アームオリゴマーなどの星形オリゴマー)を含む、請求項1または2に記載の樹脂。
[請求項4]
前記オリゴマーが、ABAブロック、BABブロック、CBCブロック、BCBブロック、ABランダム組成物、BCランダム組成物、ホモポリマーまたは任意のそれらの組み合わせにおける、カプロラクトン、ラクチド、グリコリド、トリメチレンカルボナート、ジオキサノン、およびプロピレンフマラートモノマーから選択される構成要素間の分解可能なエステル結合を含む、請求項1から3のいずれか1項に記載の樹脂
[式中、
A=ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)またはポリプロピレンフマラート(PPF)、
B=ポリカプロラクトン(PCL)、ポリトリメチレンカルボナート(PTMC)またはポリ(カプロラクトン-co-ラクチド)(PCLLA)、
C=ポリジオキサノン(PDX)である。]。
[請求項5]
前記オリゴマーが、2または5キロダルトンから6、10、15または20キロダルトンの分子量(Mn)を有する、請求項1から4のいずれか1項に記載の樹脂。
[請求項6]
前記オリゴマーが、直鎖状および/もしくは分岐(例えば、星形または3アーム)形態のABAブロック、BABブロック、CBCブロックまたはBCBブロックを含む、請求項4または5に記載の樹脂。
[請求項7]
Aが、
(i)ポリ(ラクチド);
(ii)ポリ(グリコリド);
(iii)(i)90:10から55:45のラクチド:グリコリド(すなわち、ラクチドに富む比)もしくは(ii)45:55から10:90のラクチド:グリコリド(すなわち、グリコリドに富む比)のモル比のラクチドおよびグリコリドを含むポリ(ラクチド-co-グリコリド);
または前述の任意の組み合わせである、請求項6に記載の樹脂。
[請求項8]
Bが、
(i)ポリカプロラクトン;
(ii)ポリトリメチレンカルボナート;
(iii)95:5~5:95のカプロラクトン:ラクチドのモル比のカプロラクトンおよびラクチドを含むポリ(カプロラクトン-co-ラクチド);
または前述の任意の組み合わせである、請求項6または7に記載の樹脂。
[請求項9]
A(PLA、PGA、PLGA、PPFまたはその組み合わせ)が、1,000または2,000ダルトンから4,000、6,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し;
B(PCL、PTMC、PCLLAまたはその組み合わせが、1,000または1,600ダルトンから4,000、6,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有する、請求項4から6のいずれか1項に記載の樹脂。
[請求項10]
前記非反応性希釈剤が、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン(NMP)、ジメチルスルホキシド、環状炭酸エステル(炭酸プロピレンなどの)、アジピン酸ジエチル、メチルエーテルケトン、エチルアルコール、アセトンおよびその組み合わせからなる群から選択される、請求項1から9のいずれか1項に記載の樹脂。
[請求項11]
前記非反応性希釈剤が炭酸プロピレンである、請求項1から10のいずれか1項に記載の樹脂。
[請求項12]
前記反応性希釈剤が、アクリラート、メタクリラート、スチレン、ビニルアミド、ビニルエーテル、ビニルエステル、前述の任意の1つまたは複数を含むポリマー、または前述の2つ以上の組み合わせを含む、請求項1から11のいずれか1項に記載の樹脂。
[請求項13]
顔料、染料、活性化合物または医薬品化合物、および検出可能な化合物(例えば、蛍光性、燐光性、放射性)、およびその組み合わせから選択される少なくとも1種の追加の成分をさらに含む、請求項1から12のいずれか1項に記載の樹脂。
[請求項14]
充填剤(例えば、生体吸収性ポリエステル粒子、塩化ナトリウム粒子、三リン酸カルシウム粒子、糖粒子)をさらに含む、請求項1から13のいずれか1項に記載の樹脂。
[請求項15]
(a)5または10重量パーセントから80または90重量パーセントの、ABAブロック、BABブロック、CBCブロックまたはBCBブロックにおけるモノマーの(メタ)アクリラート末端、直鎖状または分岐の、生体吸収性ポリエステルオリゴマー
[式中、
Aは、ポリ(ラクチド)(PLA)、ポリ(グリコリド)(PGA)、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)またはその組み合わせであり、前記PLGAは、90:10~60:40のラクチド:グリコリド(すなわち、ラクチドに富む比)または40:60~10:90のラクチド:グリコリド(すなわち、グリコリドに富む比)のいずれかのモル比のラクチドおよびグリコリドを含み、Aは、1,000または2,000ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し;
Bは、ポリカプロラクトン(PCL、PTMC、PCLLA)であり、1,000または1,600ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有し;
Cは、ポリジオキサノン(PDX)であり、1,000または2,000ダルトンから4,000または10,000ダルトンまでの分子量(Mn)を有する。]
(b)1または5重量パーセントから50または70重量パーセントの炭酸プロピレン;
(c)0.1または0.2重量パーセントから2または4重量パーセントの光開始剤、
(d)任意選択的に、1または5重量パーセントから40または50重量パーセントの反応性希釈剤;および
(e)任意選択的に、1または2重量パーセントから40または50重量パーセントの充填剤
から実質的になる、請求項1から14のいずれか1項に記載の樹脂。
[請求項16]
(a)10重量パーセント~80重量パーセントの、ABAブロック、BABブロックまたはABランダム組成物における構成要素間の分解可能なエステル結合を含む、(メタ)アクリラート末端生体吸収性分岐ポリエステルオリゴマー[式中、Aはポリ(ラクチド)またはポリ(ラクチド-co-グリコリド)であり、Bはポリカプロラクトンまたはポリ(カプロラクトン-co-ラクチド)であり、前記オリゴマーは2~6キロダルトンの分子量(Mn)を有する。];
(b)5重量パーセント~50重量パーセントの、N-メチルピロリドン(NMP)および炭酸プロピレンからなる群から選択される非反応性希釈剤;
(c)0.2重量パーセント~2重量パーセントの光開始剤;
(d)任意選択的に、1重量パーセント~50重量パーセントの反応性希釈剤;
(e)任意選択的に、1重量パーセント~50重量パーセントの充填剤;および
(f)任意選択的に、1重量パーセント~10重量パーセントの追加の架橋剤
から実質的になる、請求項1に記載の樹脂。
[請求項17]
物体の形状の、請求項1から16のいずれか1項に記載の樹脂の光重合により前記物体を製造する工程(例えばボトムアップまたはトップダウンの付加製造によってなどの付加製造による)を含む、可撓性または弾性の生体吸収性物体を製造する方法。
[請求項18]
前記製造工程の後(ただし、好ましくは追加の光に前記物体を曝露する前記工程の前)に、前記物体を洗浄(例えば、洗う、拭く、スピンなどによる)する工程をさらに含む、請求項17に記載の方法。
[請求項19]
前記製造工程の後に、追加の光に前記物体を曝露して、その中の未重合の構成要素をさらに反応させる工程をさらに含む、請求項17または18に記載の方法。
[請求項20]
前記製造工程の後に、前記物体から残存希釈剤を抽出する工程をさらに含む、請求項17から19のいずれか1項に記載の方法。
[請求項21]
前記物体を(任意選択的に、しかし好ましくは真空下で)乾燥して、抽出溶媒をそこから除去する工程をさらに含む、請求項17から20のいずれか1項に記載の方法。
[請求項22]
拡大形態の前記物体を製造して、前記抽出、さらなる曝露、ならびに/または洗浄工程、および乾燥工程中に生じる前記物体の収縮を相殺する工程をさらに含む、請求項17から21のいずれか1項に記載の方法。
[請求項23]
請求項17から22のいずれか1項に記載の方法によって製造された可撓性または弾性の生体吸収性物体。