(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】生産管理装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/00 20060101AFI20240419BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H05K13/00 Z
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2022524831
(86)(22)【出願日】2020-05-22
(86)【国際出願番号】 JP2020020282
(87)【国際公開番号】W WO2021234942
(87)【国際公開日】2021-11-25
【審査請求日】2022-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】110000604
【氏名又は名称】弁理士法人 共立特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】深尾 和也
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-061312(JP,A)
【文献】特開平10-229293(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生産予定の基板製品の種類、生産予定数、および生産順序を示す生産計画と、前記基板製品の種類ごとに必要な部品の種類を示す部品リストと、前記基板製品の種類ごとに生産の所要時間を示す所要時間情報と、を記憶する記憶部と、
外部からの出庫指令に基づいて前記部品を出庫する管理倉庫に保管されている前記部品ごとの残数を示す在庫情報、前記生産計画、前記部品リスト、および前記所要時間情報に基づいて、それぞれの前記生産の開始および継続に必要な前記部品の種類および数量を算出し、前記管理倉庫から前記部品をそれぞれ出庫させる時期を示す出庫データを生成するデータ生成部と、
を備え
、
前記所要時間情報には、基板に前記部品を装着して前記基板製品の前記生産に用いられる複数の部品装着機により構成される生産ラインと、前記管理倉庫と、前記生産の段取り作業が行われる作業領域との間における前記部品の搬送の所要時間、および前記作業領域における前記段取り作業の所要時間が含まれ、
前記データ生成部は、それぞれの前記生産の実行中に前記部品の補給が必要となる部品切れ時期を算出し、前記所要時間情報に基づいて前記部品切れ時期から遡って前記部品の搬送の所要時間および前記段取り作業の所要時間より以前に前記部品を出庫させるように前記出庫データを生成する生産管理装置。
【請求項2】
生産予定の基板製品の種類、生産予定数、および生産順序を示す生産計画と、前記基板製品の種類ごとに必要な部品の種類を示す部品リストと、前記基板製品の種類ごとに生産の所要時間を示す所要時間情報と、を記憶する記憶部と、
外部からの出庫指令に基づいて前記部品を出庫する管理倉庫に保管されている前記部品ごとの残数を示す在庫情報、前記生産計画、前記部品リスト、および前記所要時間情報に基づいて、それぞれの前記生産の開始および継続に必要な前記部品の種類および数量を算出し、前記管理倉庫から前記部品をそれぞれ出庫させる時期を示す出庫データを生成するデータ生成部と、
を備え
、
前記所要時間情報には、基板に前記部品を装着して前記基板製品の前記生産に用いられる複数の部品装着機により構成される生産ラインと、前記管理倉庫と、前記生産の段取り作業が行われる作業領域との間における前記部品の搬送の所要時間が含まれ、
前記記憶部は、前記生産ラインと、前記管理倉庫と、前記作業領域との間において前記部品の搬送を行う作業者の人数および無人搬送車の台数の少なくとも一つを示す搬送能力情報をさらに記憶し、
前記データ生成部は、前記出庫データにより示される出庫の時期が最初の複数の前記部品に、前記生産計画において最初に実行される予定の前記生産の開始に必要な複数の前記部品のみが含まれ、前記生産ラインの上流側から順に前記部品の補給を含む前記生産の段取り作業が完了するように出庫の時期を複数に区分し、前記搬送能力情報に基づいて前記区分ごとに出庫される前記部品を割り当てた前記出庫データを生成する生産管理装置。
【請求項3】
生産予定の基板製品の種類、生産予定数、および生産順序を示す生産計画と、前記基板製品の種類ごとに必要な部品の種類を示す部品リストと、前記基板製品の種類ごとに生産の所要時間を示す所要時間情報と、を記憶する記憶部と、
外部からの出庫指令に基づいて前記部品を出庫する管理倉庫に保管されている前記部品ごとの残数を示す在庫情報、前記生産計画、前記部品リスト、および前記所要時間情報に基づいて、それぞれの前記生産の開始および継続に必要な前記部品の種類および数量を算出し、前記管理倉庫から前記部品をそれぞれ出庫させる時期を示す出庫データを生成するデータ生成部と、
前記生産計画に含まれる前記生産の進行状態および前記出庫データに基づいて前記管理倉庫に対して出庫指令を送出する指令部と、
を備え
、
前記指令部は、最初の前記基板製品の生産の開始時刻が設定された場合に、前記所要時間情報に基づいて適宜のタイミングで前記部品をそれぞれ出庫させる出庫指令を送出し、その後、予定されている全ての生産が終了していない場合に、前記出庫指令を送出する指令処理を繰り返し実行する生産管理装置。
【請求項4】
前記記憶部は、基板に前記部品を装着して前記基板製品の前記生産に用いられる複数の部品装着機のそれぞれにセットされている前記部品の種類および数量を示すセット情報をさらに記憶し、
前記データ生成部は、前記セット情報に基づいて前記出庫データを生成する、請求項
1-3の何れか一項に記載の生産管理装置。
【請求項5】
前記データ生成部は、前記セット情報が更新された場合に、更新後の前記セット情報に基づいて前記出庫データを編集する、請求項
4に記載の生産管理装置。
【請求項6】
前記管理倉庫は、複数の前記部品を収容するキャリアテープが巻回されたリール、および前記キャリアテープを装填されるフィーダを保管可能に構成され、
前記在庫情報には、前記部品が前記フィーダに装填された状態で保管されているか否かを示す保管状態が含まれる、請求項1-
5の何れか一項に記載の生産管理装置。
【請求項7】
前記指令部は、前記出庫データに基づいて前記出庫指令を送出する場合に、出庫される前記部品を前記管理倉庫から搬送するように作業者または無人搬送車に対して搬送指令を送出する、請求項
3に記載の生産管理装置。
【請求項8】
前記データ生成部は、それぞれの前記生産の実行中に中断が発生しない複数種類の前記出庫データを生成し、
前記生産管理装置は、全ての前記生産の開始から終了までの所要時間に基づく前記出庫データごとの評価値により推奨する前記出庫データを提示する提示部をさらに備える、請求項1-
7の何れか一項に記載の生産管理装置。
【請求項9】
前記提示部は、前記管理倉庫、前記生産の段取り作業が行われる作業領域、および基板に前記部品を装着して前記基板製品の前記生産に用いられる複数の部品装着機により構成される生産ラインのうち2つの間における前記部品を対象とした複数回に亘る搬送作業の間隔が所定時間以上である前記出庫データの前記評価値を高く設定する、請求項
8に記載の生産管理装置。
【請求項10】
前記提示部は、前記部品が前記管理倉庫から前記作業領域を経由して前記生産ラインに搬送される場合に、前記作業領域における前記段取り作業の許容時間が所定時間以上である前記出庫データの前記評価値を高く設定する、請求項
9に記載の生産管理装置。
【請求項11】
前記生産ラインは、
前記生産に用いられる前記部品が装填されたフィーダおよび前記生産に用いられた前記フィーダを一時的に保持するバッファ装置と、
複数の前記部品装着機のそれぞれと前記バッファ装置との間で前記フィーダを搬送するフィーダ搬送装置と、を備える、請求項
1,2,9,10の何れか一項に記載の生産管理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産管理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
生産管理装置は、例えば生産ラインにおける基板製品の生産を管理の対象とする。生産ラインにおいて生産が予定されている複数種類の基板製品の生産予定数や生産順序を示す生産計画に基づいて、生産ラインを構成する部品装着機への部品の補充などの必要な段取り作業が実行される。特許文献1には、管理倉庫から部品を出庫すべき時期を推定する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産管理装置には、生産の開始や継続に必要な部品が過不足なく規定の場所に、適宜タイミングで供給するように適切な案内がなされることが望まれる。
【0005】
本明細書は、部品を保管する管理倉庫から生産計画に応じて必要な部品をそれぞれ出庫させる時期を示すことにより、基板製品の生産の効率化を図ることができる生産管理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書は、生産予定の基板製品の種類、生産予定数、および生産順序を示す生産計画と、前記基板製品の種類ごとに必要な部品の種類を示す部品リストと、前記基板製品の種類ごとに生産の所要時間を示す所要時間情報と、を記憶する記憶部と、外部からの出庫指令に基づいて前記部品を出庫する管理倉庫に保管されている前記部品ごとの残数を示す在庫情報、前記生産計画、前記部品リスト、および前記所要時間情報に基づいて、それぞれの前記生産の開始および継続に必要な前記部品の種類および数量を算出し、前記管理倉庫から前記部品をそれぞれ出庫させる時期を示す出庫データを生成するデータ生成部と、を備える生産管理装置を開示する。
【発明の効果】
【0007】
このような構成によると、生産の所要時間を反映させ、生産の開始および継続に必要な部品の種類および数量をそれぞれ出庫させる時期を示す出庫データが生成される。この出庫データに従って管理倉庫から種々の部品を出庫させることによって、段取りおよび生産の効率化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】生産管理装置を備える生産システムを示す図である。
【
図5】生産システムの稼働状態を示すタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
1.生産システム1の概要
以下、生産管理装置を具体化した実施形態について図面を参照して説明する。生産管理装置は、実施形態において生産ラインにおける基板製品の生産を管理の対象とする。本実施形態において、
図1に示すように、生産管理装置50は、第一生産ラインL1、第二生産ラインL2、および管理倉庫30とともに、生産システム1を構成する。生産管理装置50は、生産ラインL1,L2のホストコンピュータ11、および管理倉庫30とネットワークを介して互いに通信可能に構成される。
【0010】
2.第一生産ラインL1および第二生産ラインL2の構成
第一生産ラインL1は、
図1に示すように、複数の部品装着機20が基板の搬送方向に並んで設置されて構成される。第一生産ラインL1は、ホストコンピュータ11を備える。ホストコンピュータ11は、第一生産ラインL1の動作状況を監視し、複数の部品装着機20などを統括制御する。ホストコンピュータ11には、部品装着機20による装着処理に用いられる制御プログラムや、それぞれの装着処理の進行状態などが記録される。
【0011】
第一生産ラインL1は、バッファ装置12を備える。バッファ装置12は、基板製品の生産としての装着処理に用いられる部品が装填されたフィーダ31、および装着処理に用いられたフィーダ31を一時的に保持する。バッファ装置12は、図略の複数のスロットによりフィーダ31を保持すると、そのフィーダ31に給電し、通信可能な状態となる。これにより、バッファ装置12は、スロットに保持されたフィーダ31に固有の識別情報(ID)を読み取ることができる。バッファ装置12は、例えば、第一生産ラインL1の基板搬入側(
図1の左側)に設置される。
【0012】
第一生産ラインL1は、フィーダ搬送装置13を備える。フィーダ搬送装置13は、複数の部品装着機20のそれぞれとバッファ装置12との間でフィーダ31を搬送する。詳細には、フィーダ搬送装置13は、複数の部品装着機20の前側において基板の搬送方向の全域に亘って延伸するレールによって形成された走行路に沿って走行可能に設けられる。
【0013】
フィーダ搬送装置13は、例えばレールに設けられた送電部と対向して設けられる受電部を介して、非接触給電により送電部から電力を供給される。受電部が受け取った電力は、受電回路を介してフィーダ搬送装置13の走行や所定作業に用いられる。なお、フィーダ搬送装置13は、図略の位置検出装置により走行路上の現在位置を検出する。上記の位置検出装置には、光学的な検出方式や、電磁誘導を用いた検出方式を適用できる。
【0014】
フィーダ搬送装置13による上記の「所定作業」には、部品装着機20などの対基板作業機に着脱可能に装備される交換要素を対基板作業機との間で交換する作業が含まれる。フィーダ搬送装置13は、本実施形態において、基板に装着される部品を供給するフィーダ31を交換要素として、第一生産ラインL1を構成する複数の部品装着機20との間、およびバッファ装置12との間でフィーダ31の交換処理を行う。上記の交換処理には、フィーダ31の回収作業および補給作業の少なくとも一方が含まれる。
【0015】
また、第一生産ラインL1には、例えば生産する基板製品の種類などに応じて、その構成を適宜追加、変更され得る。具体的には、第一生産ラインL1には、はんだ印刷機や検査機、リフロー炉などの対基板作業機が適宜設置され得る。なお、第二生産ラインL2は、第一生産ラインL1と同様であるため詳細な説明を省略する。第一生産ラインL1および第二生産ラインL2は、それぞれ生産する基板製品の種類に応じて、その構成やセットされるフィーダ31などが相違し得る。また、生産システム1には、3以上の生産ラインが設けられる構成としてもよい。
【0016】
3.部品装着機20の構成
第一生産ラインL1などの生産ラインを構成する複数の部品装着機20は、基板製品の生産として基板に部品を装着する装着処理を実行する。部品装着機20は、基板の搬送方向の上流側から基板を搬入し、装着処理が終了したのちに搬送方向の下流側に基板を搬出する。所定の基板製品を生産する場合に、上流側の部品装着機20から順に割り当てられた部品を装着するように装着処理が実行される。
【0017】
部品装着機20は、フィーダ31を保持し、装着処理においてフィーダ31により部品を採取可能に供給する部品供給装置を有する。上記の部品供給装置は、装着処理において動作するフィーダ31を保持する供給スロットの他に、生産に用いられるフィーダ31を予備的に保持し、または生産に用いられた使用済みのフィーダ31を一時的に保持する予備スロットを有してもよい。なお、供給スロットと予備スロットとの間でのフィーダ31の交換は、フィーダ搬送装置13による自動交換、または作業者による手動交換によりなされる。
【0018】
また、フィーダ31は、部品供給装置のスロットに装備されると、コネクタを介して部品装着機20から電力が供給される。そして、フィーダ31は、部品装着機20との間で通信可能な状態となる。フィーダ31は、部品装着機20による制御指令などに基づいて、部品を収容するキャリアテープの送り動作を制御する。部品装着機20は、実行している装着処理の進行状態、およびフィーダ31の動作量(例えば、部品を供給した数)などを取得することができる。
【0019】
4.管理倉庫30の構成
管理倉庫30は、外部からの出庫指令に基づいて部品を出庫する。管理倉庫30は、複数の部品を収容するキャリアテープが巻回されたリール32、およびキャリアテープを装填されるフィーダ31を保管可能に構成される。管理倉庫30は、キャリアテープが装填された状態のフィーダ31を保管してもよい。
【0020】
管理倉庫30は、フィーダ31などを保持する保管棚における所定の保管位置と、入出庫の際にフィーダ31などを一時的に載置される作業テーブルとの間でフィーダ31などを搬送する搬送装置を有する。搬送装置は、部品の出庫の際には、所定の保管位置にあるリール等を把持し、例えばリール等に貼付された識別符号を読み取って部品の正否を確認する。その後に、搬送装置は、保持したリール等を作業テーブルに載置する。
【0021】
管理倉庫30は、保管している部品ごとの残数を示す在庫情報D6(
図2を参照)を記憶する。管理倉庫30は、フィーダ31およびリール32の入庫または出庫に際して、在庫情報D6を更新する。在庫情報D6は、管理倉庫30に保管されている部品ごとの残数(nT11,nT12,nT13,・・)を示す。本実施形態において、在庫情報D6には、フィーダ31の保管状態が含まれる。保管状態は、部品を収容するキャリアテープがフィーダ31に装填された状態(
図2の「ON」)で保管されているか、装填されていない状態(
図2の「OFF」)かを示す。
【0022】
5.作業領域40
第一生産ラインL1および第二生産ラインL2と、管理倉庫30との間には、生産の段取り作業が行われる作業領域40が設けられている。上記の作業領域40における段取り作業には、部品をフィーダ31に装填する作業が含まれる。作業領域40には、フィーダ31およびリール32の受け渡しを行う作業台41と、自動装填装置42とが設けられている。自動装填装置42は、セットされたフィーダ31にリール32を自動的に装填する装置である。
【0023】
なお、上記のフィーダ31にキャリアテープを装填する装填作業は、自動装填装置42を用いる場合と、作業者75が手動で行う場合とがある。また、作業領域40において、作業者75は、種々の作業を行う。上記の種々の作業には、例えば装着処理に使用されたフィーダ31に装填されたキャリアテープを取り外す作業が含まれる。なお、フィーダ31へのキャリアテープの装填、または取り外しに伴ってフィーダ31とリール32の関連付け情報が更新または破棄される。
【0024】
6.生産管理装置50の構成
6-1.記憶部51
生産管理装置50は、
図1に示すように、記憶部51を備える。記憶部51は、生産計画D1と、部品リストD2と、所要時間情報D3とを記憶する。生産計画D1は、
図2に示すように、生産予定の基板製品の種類(U1,U2,U3,・・)、生産予定数(T1,T2,T3,・・)、およびこれらの生産順序を示す。部品リストD2は、基板製品の種類(U1,U2,U3,・・)ごとに必要な部品の種類(Pa,Pb,Pc,・・)を示す。部品リストD2は、所定種類の基板製品を1枚生産する場合に消費する部品数を部品の種類ごとに示す。
【0025】
所要時間情報D3は、基板製品の種類(U1,U2,U3,・・)ごとに生産の所要時間(Rp1,Rp2,Rp3,・・)を示す。生産の所要時間とは、例えば所定種類の基板製品を生産するために第一生産ラインL1が用いられる場合に、第一生産ラインL1への基板の搬入が開始されてから、複数回に亘る装着処理が順次実行され、第一生産ラインL1から基板が搬出されるまでの時間に相当する。上記の所要時間には、基板製品の種類に応じて変動する装着処理の所要時間が含まれていればよく、また、はんだの印刷処理やリフロー処理、検査時間が含まれてもよい。
【0026】
本実施形態において、所要時間情報D3には、生産ラインL1,L2と、管理倉庫30と、生産の段取り作業が行われる作業領域40との間における部品の搬送の所要時間(Rt1,Rt2,Rt3,・・)が含まれる。上記の部品の搬送は、管理倉庫30から出庫されたリール32、またはキャリアテープを装填された状態のフィーダ31を作業領域40または生産ラインL1,L2へと搬送するのに要する時間が含まれる。また、作業領域40における段取り作業がなされた場合には、作業領域40から生産ラインL1,L2へと搬送するのに要する時間も含まれる。
【0027】
なお、上記の部品の搬送は、作業者75または無人搬送車(以下、「AGV」)71,72によりなされる。AGV71,72は、例えば生産施設の床面を走行可能に構成され、所定の目標物と物品の受け渡しを行うとともに当該物品の搬送を行う。
図1に示すように、AGV71,72は、管理倉庫30と作業領域40の作業台41との間でフィーダ31およびリール32の搬送を行うとともに、作業領域40の作業台41と各生産ラインL1,L2のバッファ装置12との間でキャリアテープを装填されたフィーダ31の搬送を行う。
【0028】
また、所要時間情報D3には、作業領域40における段取り作業の所要時間(Rw1,Rw2,Rw3,・・)が含まれる。段取り作業の所要時間は、例えば作業者75の手動、または自動装填装置42によるフィーダ31へのキャリアテープの装填作業の所要時間に相当する。また、上記の装填作業には、装填したフィーダ31の識別情報とリール32の識別情報をそれぞれ読み取り、これらを関連付ける登録作業が含まれる。その他に、段取り作業の所要時間には、フィーダ31に装填されたキャリアテープを取り外す作業の所要時間が含まれる。
【0029】
本実施形態において、記憶部51は、セット情報D4をさらに記憶する。セット情報D4は、複数の部品装着機20のそれぞれにセットされている部品の種類(Pa,Pb,Pc,・・)および数量を示す。ここで、第一生産ラインL1を構成する複数の部品装着機20について、基板の搬送方向の上流側から順に部品装着機M11,M12,M13,・・とも称する。同様に、第二生産ラインL2を構成する複数の部品装着機20について、基板の搬送方向の上流側から順に部品装着機M21,M22,M23,・・とも称する。
【0030】
セット情報D4は、例えば第一生産ラインL1の部品装着機M11に、複数のフィーダ(xF11,xF12,・・)にリール(yR11,yR12,・・)が装填された状態でセットされていることを示す。これにより、生産管理装置50は、生産ラインL1,L2において、セットされているフィーダ31およびリール32を認識できるとともに、同時に部品の種類および残数を取得することができる。
【0031】
本実施形態において、記憶部51は、搬送能力情報D5をさらに記憶する。搬送能力情報D5は、生産ラインL1,L2と、管理倉庫30と、作業領域40との間において部品の搬送を行う作業者75の人数および無人搬送車(AGV71,72)の台数の少なくとも一つを示す。搬送能力情報D5は、作業者75やAGV71,72が、所定の時間帯または所定の生産において物品を搬送可能であるか否かを示す。また、搬送能力情報D5は、作業者75やAGV71,72の搬送経路(例えば、管理倉庫30と生産ラインL1,L2との間)、および搬送物品(例えば、フィーダ31やリール32)の割り当てを示すようにしてもよい。
【0032】
6-2.データ生成部52
生産管理装置50は、
図1に示すように、データ生成部52を備える。データ生成部52は、在庫情報D6、生産計画D1、部品リストD2、および所要時間情報D3に基づいて、それぞれの生産(Job1,Job2,・・)の開始および継続に必要な部品の種類(Pa,Pb,Pc,・・)および数量を算出する。そして、データ生成部52は、
図3に示すように、管理倉庫30から部品をそれぞれ出庫させる時期を示す出庫データFdを生成する。
【0033】
具体的には、出庫データFdは、出庫の時期を複数に区分(C1,C2,・・)し、これらの区分ごとに、出庫対象の部品の種類(Pa,Pb,・・)、部品の数量(V111,V112,・・)、部品の状態、段取り作業の要否、および搬送先(L1-M11,L1-M12,・・)を示す。上記の部品の状態とは、部品を収容するキャリアテープがフィーダ31に装填された状態(Feeder)か、リール32に巻かれた状態(Reel)かを示す。また、段取り作業を要する部品は、作業領域40を経由して、例えば装填作業を実行された後に搬送先に搬送される。
【0034】
なお、データ生成部52は、出庫データFdの生成処理の実行に際して、上記の在庫情報D6を管理倉庫30から取得してもよい。また、在庫情報D6は、例えば生産管理装置50の記憶部51に生産計画D1などとともに記憶され、管理倉庫30の入庫および出庫に応じて編集される態様、または記憶部51および管理倉庫30にそれぞれ記憶されて常に等しい内容となるように同期される態様を採用し得る。
【0035】
本実施形態において、データ生成部52は、セット情報D4に基づいて出庫データFdを生成する。つまり、データ生成部52は、既に複数の部品装着機20にセットされているフィーダ31および当該フィーダ31に装填されているキャリアテープ、部品の種類および残数に基づいて出庫データFdを生成する。これにより、出庫データFdには、既に所定のフィーダ31がセットされていることから一部のフィーダ31やリール32の出庫が省略されたり、交換または補給に用いられるようにフィーダ31やリール32の出庫が指示されたりすることになる。
【0036】
また、データ生成部52は、セット情報D4が更新された場合に、更新後のセット情報D4に基づいて出庫データFdを編集する。セット情報D4は、例えば作業者75によりフィーダ31が部品装着機20に対してセットされたり取り外されたりしたときに更新される。また、フィーダ31が部品装着機20にセットされた状態を維持しつつ、補給用のキャリアテープがスプライシング等により補給された場合に、残数を増加させるように編集される。
【0037】
そして、データ生成部52は、上記のようなセット情報D4の更新に伴って、フィーダ31やリール32の出庫が不要となったり必要となったりする状況に対応すべく、出庫データFdを編集する。これにより、フィーダ31やリール32が過剰に供給されることを防止でき、またフィーダ31やリール32の不足の発生を防止できる。
【0038】
本実施形態において、データ生成部52は、搬送能力情報D5に基づいて出庫データFdを生成する。つまり、データ生成部52は、生産施設において同時にフィーダ31などの物品を同じ時間帯にどの程度の搬送が可能であるかを考慮して出庫データFdを生成する。これにより、物品の搬送の順序や時間帯に基づいて出庫データFdが生成されるので、出庫の時期や量が適正でも物品の搬送がなされず段取りなどが停滞することが抑制される。
【0039】
本実施形態において、データ生成部52は、それぞれの生産(Job1,Job2,・・)の実行中に部品の補給が必要となる部品切れ時期を算出する。そして、データ生成部52は、所要時間情報D3に基づいて部品切れ時期から部品の搬送の所要時間(Rt1,Rt2,Rt3,・・)より以前に部品を出庫させるように出庫データFdを生成する。また、データ生成部52は、上記のように部品切れ時期を考慮して出庫データFdを生成する場合に、所要時間情報D3に基づいて部品切れ時期から段取り作業および部品の搬送の所要時間(Rt1,Rt2,Rt3,・・)より以前に部品を出庫させるように出庫データFdを生成してもよい。
【0040】
つまり、データ生成部52は、部品切れ時期から遡って、さらに搬送の所要時間および段取り作業の所要時間を考慮して出庫データFdを生成する。これにより、部品切れ時期より以前にフィーダ31などが供給されるように出庫データFdが生成される。よって、部品切れによる生産停止が防止される。なお、装填作業など段取り作業を要さず、管理倉庫30から生産ラインL1,L2へと直接搬送してもよいフィーダ31については、上記の段取り作業の所要時間の考慮が省略される。
【0041】
ここで、複数種類の生産が予定されている場合に、これらに応じた段取りが事前に全てなされるようにすることも考えられる。しかしながら、このようにすると生産開始前の段取り作業の所要時間が長くなり、生産の開始時間が遅れることにより却って生産終了時間が遅れることが考えられる。そこで、本実施形態において、データ生成部52は、出庫データFdにより示される出庫の時期が最初の複数の部品に、生産計画D1において最初に実行される予定の生産の開始に必要な複数の部品のみが含まれるように出庫データFdを生成する。
【0042】
つまり、データ生成部52は、生産ラインL1,L2における生産開始の早期化を優先して、出庫データFdを生成する。これにより、生産終了時間の早期化を図ることができる。さらに、データ生成部52は、生産ラインL1,L2の上流側から順に部品の補給を含む生産の段取り作業が完了するように、出庫の時期を複数に区分して示す出庫データFdを生成してもよい。
【0043】
これにより、生産開始の早期化が優先されるとともに、さらに基板の搬送方向の上流側に位置する部品装着機20から順に段取りが実行される。よって、上流側の部品装着機20のうち段取りが完了したものについては装着処理を開始できる。また、下流側の部品装着機20については、基板の搬入待ち時間に段取りを行うことができる。
【0044】
本実施形態において、データ生成部52は、それぞれの生産の実行中に中断が発生しない複数種類の出庫データFdを生成する。生産の実行中に部品切れなどによって中断が発生すると生産終了時間が遅延する恐れがあるため、生産の実行中に中断が発生しないように部品などを出庫し、搬送および段取りを実行可能とする構成は有用である。
【0045】
6-3.指令部53
生産管理装置50は、
図1に示すように、指令部53を備える。指令部53は、生産計画D1に含まれる生産の進行状態および出庫データFdに基づいて管理倉庫30に対して出庫指令を送出する。詳細には、指令部53は、生産の開始前においては、生産開始の予定時刻があれば当該予定時刻から遡って、適宜タイミングで管理倉庫30に出庫指令を送出する。
【0046】
また、指令部53は、生産の実行中においては、生産の進行状態、例えば次の生産開始の予定時刻(現在実行中の生産の終了予定時刻に相当)から遡って、適宜タイミングで管理倉庫30に出庫指令を送出する。管理倉庫30は、出庫指令を入力すると、対象のフィーダ31またはリール32を出庫する。これにより、管理倉庫30から作業者75またはAGV71,72がフィーダ31やリール32を持ち出し可能な状態となる。
【0047】
本実施形態において、指令部53は、出庫データFdに基づいて出庫指令を送出する場合に、出庫される部品を管理倉庫30から搬送するように作業者75またはAGV71,72に対して搬送指令を送出する。これにより、例えば作業者75またはAGV71,72は、入力した搬送指令に基づいて、管理倉庫30までフィーダ31やリール32を受け取りに行き、搬送目標である作業領域40または生産ラインL1,L2まで搬送する。これにより、搬送作業の効率が向上し、生産性を向上できる。
【0048】
6-4.提示部54
生産管理装置50は、
図1に示すように、提示部54を備える。提示部54は、全ての生産の開始から終了までの所要時間に基づく出庫データFdごとの評価値により推奨する出庫データFdを提示する。ここで、生産の実行中に中断が発生しないなどの所定条件を満たす複数の出庫データFdが生成され得る。そのうち最初に生成されたものを提示してもよいが、提示部54は、所定基準により設定される評価値が高い出庫データFdを推奨する。
【0049】
本実施形態において、提示部54は、管理倉庫30、生産の段取り作業が行われる作業領域40、および基板に部品を装着して基板製品の生産に用いられる複数の部品装着機20により構成される生産ラインL1,L2のうち2つの間における部品を対象とした複数回に亘る搬送作業の間隔が所定時間以上である出庫データFdの評価値を高く設定する。ここで、物品の搬送作業では、その前の作業の遅延や、搬送目標側での受け取り準備不足などによって予定の所要時間が延びることがある。
【0050】
そこで、提示部54は、搬送作業の延長を、複数回に亘る搬送作業の間隔において吸収するように、その間隔が所定時間以上である出庫データFdの評価値を高く設定する。これにより、評価値の高い出庫データFdは、搬送作業の延長による影響を低減できるので、生産の開始から終了までの所要時間の延長を抑制できる。
【0051】
また、本実施形態において、提示部54は、部品が管理倉庫30から作業領域40を経由して生産ラインL1,L2に搬送される場合に、作業領域40における段取り作業の許容時間が所定時間以上である出庫データFdの評価値を高く設定する。ここで、作業領域40での段取り作業では、物品の到着予定時間の変動や、作業者75の技術水準に応じた所要時間の変動に影響を受けて、予定の所要時間が延びることがある。
【0052】
そこで、提示部54は、段取り作業の延長を許容する許容時間(連続する2回の段取り作業の間隔)が所定時間以上である出庫データFdの評価値を高く設定する。これにより、評価値の高い出庫データFdは、段取り作業の延長による影響を低減できるので、生産の開始から終了までの所要時間の延長を抑制できる。
【0053】
7.生産管理装置50による生産管理処理
生産管理装置50による生産管理処理について、
図4および
図5を参照して説明する。生産管理処理は、例えばそれぞれの生産のスケジュールの生成とともに実行される。先ず、データ生成部52は、それぞれの生産の開始に必要な部品の種類および数量を算出する(S11)。具体的には、データ生成部52は、生産計画D1、および部品リストD2に基づいて、生産(Job1,Job2,・・)の開始に必要な部品の種類および数量を割り出す。なお、上記の部品の数量は、例えば補給までの時間を考慮して、装着処理の実行開始の条件として予め設定される最小数としてもよい。
【0054】
そして、データ生成部52は、割り出された部品の種類から、セット情報D4に基づいて、既に所定の部品装着機20にセットされており、かつ最小数以上の残数である部品の種類を除く。つまり、データ生成部52は、所定の部品装着機20にセットされていない部品、またはセットされているが残数が装着処理の実行開始に要する最小数未満である部品については、管理倉庫30からの搬送を要するとものとして、出庫対象の部品に算入する。
【0055】
次に、データ生成部52は、それぞれの生産(Job1,Job2,・・)の継続に必要な部品の種類および数量を算出する(S12)。具体的には、データ生成部52は、生産計画D1、および部品リストD2に基づいて、生産(Job1,Job2,・・)の実行中に部品切れが発生し得るか否か、発生する場合には部品切れの発生時期を部品の種類ごとに割り出す。
【0056】
部品切れが発生し得るか否かについては、基板製品の生産予定数、部品の必要数、および初期にセットされる部品の数量(セット情報D4および在庫情報D6における部品の残数に基づく数量)に基づいて算出される。部品切れの発生時期は、初期にセットされる部品による生産可能数、および生産(Job1,Job2,・・)の所要時間に基づいて算出される。
【0057】
続いて、データ生成部52は、S11,S12にて算出された生産(Job1,Job2,・・)の開始および継続に必要な部品の種類および数量、所要時間情報D3、搬送能力情報D5、および在庫情報D6に基づいて、最初の生産(Job1)の開始時刻に対してそれぞれの部品を出庫すべき時期を示す出庫データFdを生成する(S13)。これにより、最初の生産(Job1)の開始時刻に対してそれぞれの部品の出庫、搬送、段取りなどが完了するように出庫データFdが生成される。なお、上記の「最初の生産(Job1)の開始時刻」が未定である場合には、仮の時刻としてもよい。
【0058】
出庫データFdの生成処理(S13)によって複数の出庫データFdが生成された場合に、提示部54は、所定基準に基づいて出庫データFdごとの評価値を設定し、評価値により推奨する出庫データFdを提示する(S14)。上記の所定基準には、既に説明したように複数回に亘る搬送作業の間隔や段取り作業の許容時間が所定時間以上であるかなどが含まれる。なお、提示部54は、複数の出庫データFdごとの評価値および推定される全体の所要時間とともに、一の出庫データFdを選択可能に提示してもよい。
【0059】
生産管理装置50は、出庫データFdの設定処理を実行する(S15)。出庫データFdの設定は、例えばS14において複数の出庫データFdから一つをオペレータによって選択されることによって設定される。生産管理装置50は、一の出庫データFdが設定され、それぞれの生産を開始するように指令(最初の生産の開始時刻の設定を含む)を受けた場合に、以下のように当該出庫データFdを用いた生産管理を実行する。
【0060】
指令部53は、指令処理を実行する(S21)。詳細には、指令部53は、指令処理において、生産計画D1に含まれる生産(Job1,Job2,・・)の進行状態および出庫データFdに基づいて、管理倉庫30に対して出庫指令を送出する。例えば、第一生産ラインL1における最初の生産(Job1)の開始時刻が設定された場合に、所要時間情報D3に基づく各種の所要時間を考慮して、適宜のタイミングで出庫指令を送出する。
【0061】
上記の各種の所要時間には、
図5に示すように、管理倉庫30による出庫の所要時間Hd1が含まれる。出庫の所要時間Hd1には、管理倉庫30が保管棚からフィーダ31またはリール32をピックアップして作業テーブルまで移動させる回数分の時間が含まれる。また、各種の所要時間には、AGV71,72による管理倉庫30から作業領域40への搬送の所要時間tA11が含まれる。搬送の所要時間tA11には、出庫されたフィーダ31などを管理倉庫30の作業テーブルからAGV71,72に載せ替える時間が含まれる。
【0062】
また、各種の所要時間には、作業者による装填作業の所要時間Rw1が含まれる。なお、所定のキャリアテープが既にフィーダ31に装填されている場合には、装填作業が省略される。また、各種の所要時間には、第二のAGV72による作業領域40からバッファ装置12への搬送の所要時間tA21が含まれる。搬送の所要時間tA21には、第二のAGV72からバッファ装置12に載せ替える時間が含まれる。
【0063】
また、各種の所要時間には、フィーダ搬送装置13によるバッファ装置12から所定の部品装着機20への搬送の所要時間cL11が含まれ得る。搬送の所要時間cL11には、フィーダ搬送装置13がバッファ装置12から所定のフィーダ31を取得し、所定の部品装着機20まで移動し、所定のスロットにフィーダ31をセットする時間が含まれる。つまり、指令部53は、最初の生産(Job1)の開始時刻から各種の所要時間(Hd1,tA11,Rw1,tA21,cL11)の和だけ遡った時刻までに、出庫データFdの第一の区分C1に含まれる出庫指令を管理倉庫30に対して送出する。
【0064】
また、指令部53は、指令処理において、AGV71,72に対して搬送指令を送出する。これにより、AGV71,72は、管理倉庫30において出庫が完了するまで待機した状態となり、出庫が完了した後に速やかにフィーダ31やリール32を搬送する。また、第二のAGV72は、作業領域40において装填作業などの段取り作業が完了するまで待機した状態となり、作業領域40における段取り作業が完了した後に速やかにフィーダ31を搬送する。
【0065】
第一生産ラインL1のそれぞれの部品装着機M11,M12,・・のそれぞれは、フィーダ搬送装置13によるフィーダ31のセットが完了するなどして装着処理の実行開始の条件が満たされると、装着処理を実行する。例えば、基板の搬送方向の上流側から装着処理の実行開始の条件が順次満たされると、上流側の部品装着機M11,M12,・・から順に装着処理が実行されることになる。
【0066】
指令部53は、予定されている全ての生産(Job1,Job2,・・)が終了していない場合に(S22:No)、指令処理(S21)を繰り返し実行する。これにより、次の生産(Job2)の開始、または実行中の生産(Job1)の継続に必要なフィーダ31やリール32が出庫されるように、適宜のタイミングで出庫指令が送出される。詳細には、指令部53は、例えば出庫データFdの次回以降の区分(C2,C3,・・)に含まれる出庫指令を、適宜のタイミングで管理倉庫30に対してそれぞれ送出する。
【0067】
これにより、例えば第二生産ラインL2における第二の生産(Job2)が実行可能となるように、指令部53は、第二の生産(Job2)の開始時刻から各種の所要時間(Hd2,tA12,Rw2,tA22,cL21)の和だけ遡った時刻までに、出庫データFdの第二の区分C2に含まれる出庫指令を管理倉庫30に対して送出する。また、指令部53は、指令処理において、AGV71,72に対して搬送指令を送出する。
【0068】
同様に、例えば第一生産ラインL1における第一の生産(Job1)が継続可能となるように、指令部53は、部品切れ時期Wi1から各種の所要時間(Hd3,tA13,Rw3,tA23,cL12)の和だけ遡った時刻までに、出庫データFdの第三の区分C3に含まれる出庫指令を管理倉庫30に対して送出する。また、指令部53は、指令処理において、AGV71,72に対して搬送指令を送出する。
【0069】
また、上記のような生産管理において、生産管理装置50は、セット情報D4が更新されているか否かを判定する(S23)。このセット情報D4の更新が生産の進行において予定外の作業に基づくものであれば、データ生成部52は、セット情報D4の更新に伴って出庫データFdを編集する(S24)。上記の「予定外の作業」には、例えば作業者が外部指令によらずその後の生産に必要となるフィーダ31を部品装着機20にセットしたり、部品を予め補給したり、使用されないフィーダ31を取り外して次回以降の生産に利用可能としたりする作業が含まれる。
【0070】
データ生成部52は、更新後のセット情報D4に基づいて、例えば作業者による部品の補給によって、予定されていた補給用の部品の出庫を省略するように出庫データFdを編集する。なお、データ生成部52は、セット情報D4の更新があったとしても、その更新が生産の進行において予定された作業、即ち出庫データFdに基づく指令によって部品装着機20に予定通りにフィーダ31がセットされたものである場合には、出庫データFdを編集しない。
【0071】
また、生産管理装置50は、生産の進行を監視し、例えば装着ミスや部品不良によって想定以上に部品が消費された場合など追加の出庫の要否を判定する。そして、上記のように追加の出庫が必要となった場合に、データ生成部52は、出庫データFdを編集する。また、指令部53は、編集された出庫データFdに基づいて、適宜のタイミングで補給に必要な部品を出庫するように出庫指令を送出する。
【0072】
上記のような処理によって、それぞれの生産(Job1,Job2,・・)が進行し、全て終了した場合に(S22:Yes)、生産管理処理を終了する。本実施形態の構成によると、各種の所要時間を反映し、生産(Job1,Job2,・・)の開始および継続に必要な部品の種類および数量をそれぞれ出庫させる時期を示す出庫データFdが生成される。この出庫データFdに従って管理倉庫30から種々の部品を出庫させることによって、段取りおよび生産の効率化を図ることができる。
【0073】
8.実施形態の変形態様
実施形態において、管理倉庫30には、フィーダ31およびリール32が保管される構成とした。これに対して、管理倉庫30は、少なくとも部品を保管可能であれば、多数種類の部品を当該部品の収容形態に応じて保管してもよい。部品の収容形態には、リール32の他に、部品を一方向に整列させて収容するスティック、多数の部品をバルク状態で収容するバルクケースなどが含まれ得る。
【0074】
実施形態において、複数のAGV71,72は、管理倉庫30、作業領域40、および生産ラインL1,L2の間でフィーダ31やリール32を搬送するものとした。これに対して、複数のAGV71,72は、それぞれの搬送経路が重複、または交差しないように、所定の経路に専用とされてもよい。例えば、第一のAGV71が管理倉庫30と作業領域40との間の搬送に専用とされ、第二のAGV72が作業領域40と生産ラインL1,L2との間の搬送に専用とされてもよい。
【0075】
また、実施形態において、生産ラインL1,L2は、複数のフィーダ12を一時的に保持可能なバッファ装置12を備える構成とした。これに対して、生産ラインL1,L2は、バッファ装置12を備えない構成としてもよい。なお、AGV71,72は、実施形態において生産ラインL1,L2に対して、フィーダ31をバッファ装置12に補給したり回収したりするように搬送する構成とした。これに対して、AGV71,72は、バッファ装置12の有無に関わらず、フィーダ31を直接的に部品装着機20に搬送してもよい。
【0076】
また、作業者75は、作業者75での段取り作業の他に、部品装着機20などの生産ラインL1,L2の定期的なメンテナンスや、AGV71,72とともに物品の搬送を行うようにしてもよい。このような態様において、搬送能力情報D5には、作業者75が段取り作業に加えて物品の搬送が可能であることが記録され、データ生成部52は、搬送能力情報D5に基づいてAGV71,72や作業者75による物品の搬送、段取り作業の実行を考慮した出庫データFdを生成する。
【符号の説明】
【0077】
1:生産システム、 L1,L2:生産ライン、 12:バッファ装置、 13:フィーダ搬送装置、 20:部品装着機、 30:管理倉庫、 31:フィーダ、 32:リール、 40:作業領域、 41:作業台、 42:自動装填装置、 50:生産管理装置、 51:記憶部、 52:データ生成部、 53:指令部、 54:提示部、 71,72:AGV(無人搬送車)、 75:作業者、 D1:生産計画、 D2:部品リスト、 D3:所要時間情報、 D4:セット情報、 D5:搬送能力情報、 D6:在庫情報、 Fd:出庫データ