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特許7475456基準汚染物質軽減を含む内燃機関システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】基準汚染物質軽減を含む内燃機関システム
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/20 20060101AFI20240419BHJP
   F01N 3/24 20060101ALI20240419BHJP
   F01N 3/08 20060101ALI20240419BHJP
   F01N 5/02 20060101ALI20240419BHJP
   F01N 11/00 20060101ALI20240419BHJP
   F01N 3/18 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
F01N3/20 D
F01N3/24 N
F01N3/24 E
F01N3/08 A
F01N3/20 P
F01N3/24 L
F01N5/02 A
F01N11/00
F01N3/18 B
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2022540822
(86)(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-07
(86)【国際出願番号】 US2020066514
(87)【国際公開番号】W WO2021138131
(87)【国際公開日】2021-07-08
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】16/733,928
(32)【優先日】2020-01-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】316017181
【氏名又は名称】サウジ アラビアン オイル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】Saudi Arabian Oil Company
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ハマッド、エサム ゼット
【審査官】鷲巣 直哉
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-117230(JP,A)
【文献】特開2012-255354(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01N 3/20
F01N 3/24
F01N 3/08
F01N 5/02
F01N 11/00
F01N 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内燃機関を作動させる方法であって、前記方法は、
内燃機関の燃焼室内の燃料空気混合物を燃焼させ、それにより、排気ガスを形成する工程と、
前記燃焼室から外へ前記排気ガスを送る工程と、
始動手順を行う工程であって、前記始動手順が、
前記燃焼室から、1つまたは複数の吸着剤材料を備える貯蔵ユニットへ前記排気ガスを送る工程、
前記貯蔵ユニットにより、前記排気ガスの基準汚染物質を捕捉する工程、
前記貯蔵ユニットから、1つまたは複数の触媒を備える後処理システムへ前記排気ガスを送る工程、
前記貯蔵ユニットからの前記排気ガスにより、前記後処理システムを活性温度に加熱する工程
を備える、始動手順を行う工程と、
前記後処理システムを前記活性温度に加熱する工程の後に、二次手順を行う工程であって、前記二次手順が、
前記燃焼室から前記後処理システムへ前記排気ガスを送る工程、
前記後処理システムと、前記排気ガスの基準汚染物質を反応させ、それにより、処理済排気ガスを形成し、前記処理済排気ガスが、前記燃焼室からの前記排気ガスよりも少ない基準汚染物質を含む工程、および
前記処理済排気ガスを前記貯蔵ユニットへ送る工程
を備える二次手順を行う工程と
を備え、
前記二次手順が、前記処理済排気ガスを前記貯蔵ユニットへ送る工程の前に、前記処理済排気ガスを冷却する工程をさらに備える、方法。
【請求項2】
前記二次手順が、前記貯蔵ユニットにより、前記処理済排気ガスからの基準汚染物質を捕捉する工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記処理済排気ガスを冷却する工程が、空気冷却器と、電気ターボコンパウンド、熱電発電機、およびランキンサイクルシステムのうちの少なくとも1つを備える廃熱回収ユニットとの少なくとも一方を備える冷却ユニットを介して前記処理済排気ガスを送る工程を備える、請求項に記載の方法。
【請求項4】
前記二次手順を行う工程の後に、再生手順を行う工程であって、前記再生手順が、
前記燃焼室から前記貯蔵ユニットへ前記排気ガスを送る工程、および
前記排気ガスにより、放出温度より上に前記貯蔵ユニットを加熱する工程であって、それにより、前記貯蔵ユニットから、貯蔵された基準汚染物質を放出する工程
を備える工程
をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記貯蔵ユニットに真空圧をかける工程をさらに備える、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
内燃機関システムであって、前記内燃機関システムが、
燃焼室と、
前記燃焼室と選択的に連通している貯蔵ユニットであって、前記貯蔵ユニットが、前記貯蔵ユニットを通過するガス内の1つまたは複数の基準汚染物質を捕捉するように構造的に構成された1つまたは複数の吸着剤材料を備える貯蔵ユニットと、
前記燃焼室と選択的に連通しており、および、前記貯蔵ユニットと選択的に連通している1つまたは複数の触媒を備える後処理システムであって、前記後処理システムが、前記後処理システムを通過するガス内の1つまたは複数の基準汚染物質と反応するように構造的に構成された後処理システムと、
前記後処理システムと前記貯蔵ユニットとの間に位置決めされた廃熱回収ユニットであって、前記廃熱回収ユニットが、電気ターボコンパウンド、熱電発電機、およびランキンサイクルシステムのうちの少なくとも1つを備えており、ならびに、前記後処理システムから前記貯蔵ユニットへ流れるガスを冷却するように構造的に構成された廃熱回収ユニットと、
前記燃焼室と前記貯蔵ユニットとの間に、および前記燃焼室と前記後処理システムとの間に配置された後処理貯蔵ユニット弁であって、前記後処理貯蔵ユニット弁は、前記燃焼室および前記貯蔵ユニットが前記後処理貯蔵ユニット弁を介して互いに連通している貯蔵位置と、前記燃焼室が、前記後処理貯蔵ユニット弁を介して前記後処理システムと連通している後処理位置との間で位置変更可能である後処理貯蔵ユニット弁と、
前記後処理貯蔵ユニット弁に通信可能に結合されたコントローラと
を備え、
前記コントローラが、プロセッサと、コンピュータ読み取り可能で、かつ実行可能な命令セットとを備え、前記命令セットは、実行されると、前記プロセッサに、
前記後処理貯蔵ユニット弁を前記貯蔵位置に誘導し、それにより、前記燃焼室から前記後処理システムを迂回して前記貯蔵ユニットへ排気ガスを誘導すること
を含む始動手順を実行させ、
前記後処理位置に移動するように前記後処理貯蔵ユニット弁に命令し、それにより、前記燃焼室から前記後処理システムへ前記排気ガスを誘導すること
を含む二次手順を実行させる、
内燃機関システム。
【請求項7】
前記コントローラに通信可能に結合された温度センサをさらに備え、前記温度センサは、前記後処理システムの温度を検出するように構造的に構成され、前記コンピュータ読み取り可能で、かつ実行可能な命令セットは、実行されると、前記プロセッサに、
前記後処理システムの検出された温度を示す、前記温度センサからの信号を受け取ること、
前記後処理システムの前記検出された温度が活性温度を超えているか否かを判定すること
を実行させ、
前記後処理位置に移動するように前記後処理貯蔵ユニット弁に命令することは、前記後処理システムの前記温度が前記活性温度を超えている旨を判定することに応じた命令である、請求項に記載の内燃機関システム。
【請求項8】
前記コントローラに通信可能に結合された汚染物質センサをさらに備え、前記汚染物質センサは、前記貯蔵ユニット内に貯蔵された1つまたは複数の基準汚染物質の量を検出するように構造的に構成された、請求項またはに記載の内燃機関システム。
【請求項9】
前記コンピュータ読み取り可能で、かつ実行可能な命令セットは、実行されると、前記プロセッサにさらに、
前記貯蔵ユニット内に貯蔵された1つまたは複数の基準汚染物質の検出された量を示す、前記汚染物質センサからの信号を受け取ること、
前記1つまたは複数の基準汚染物質の前記検出された量が、構成可能な閾値を超えているか否かを判定すること、および
前記1つまたは複数の基準汚染物質の前記検出された量が、前記構成可能な閾値を超えている旨を判定することに応じて、前記貯蔵位置に移動するように前記後処理貯蔵ユニット弁に命令し、それにより、前記燃焼室から前記貯蔵ユニットへ前記排気ガスを誘導すること
を実行させる、請求項に記載の内燃機関システム。
【請求項10】
内燃機関システムを作動させる方法であって、前記方法は、
内燃機関の燃焼室内の燃料空気混合物を燃焼させ、それにより、排気ガスを形成する工程と、
二次手順を行う工程であって、前記二次手順が、
前記燃焼室から、1つまたは複数の触媒を備える後処理システムへ前記排気ガスを送る工程、
前記後処理システム内の前記排気ガスを反応させ、それにより、処理済排気ガスを形成し、前記処理済排気ガスが、前記燃焼室からの前記排気ガスよりも少ない基準汚染物質を含む工程、
前記処理済排気ガスを、1つまたは複数の吸着剤材料を備える貯蔵ユニットへ送る工程、
前記処理済排気ガスを前記貯蔵ユニットへ送る工程の前に、前記処理済排気ガスを冷却する工程であって、前記処理済排気ガスを冷却する工程が、電気ターボコンパウンド、熱電発電機、およびランキンサイクルシステムの少なくとも1つを備える廃熱回収ユニットを介して前記処理済排気ガスを送る工程を含む、前記処理済排気ガスを冷却する工程
を備える、二次手順を行う工程と、
前記二次手順を行う工程の後に、再生手順を行う工程であって、前記再生手順が、
前記燃焼室から前記貯蔵ユニットへ前記排気ガスを送る工程、
前記排気ガスにより、放出温度より上に前記貯蔵ユニットを加熱し、それにより、前記貯蔵ユニットから、貯蔵された基準汚染物質を放出する工程、
前記貯蔵ユニットから前記後処理システムへ、放出された基準汚染物質を送る工程、および
前記放出された基準汚染物質を前記後処理システムと反応させる工程
を備える、再生手順を行う工程と
を備える、方法。
【請求項11】
前記再生手順を行う工程の後に、前記二次手順を再開する工程
をさらに備える、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記基準汚染物質が、一酸化炭素、窒素酸化物、および炭化水素のうちの少なくとも1つを備える、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記再生手順が、放出された基準汚染物質を前記後処理システムへ送る工程をさらに備える、請求項またはに記載の方法。
【請求項14】
前記再生手順を行う工程の後、前記二次手順を再開する工程をさらに備える、請求項および13のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2020年1月3日に出願された米国出願番号16/733,928に対する優先権を主張し、その開示全体を参照により、ここに援用する。
【0002】
[技術分野]
本開示は、内燃機関システムに関し、特に、基準汚染物質の放出を軽減するための特徴を含む内燃機関システムに関する。
【背景技術】
【0003】
石油系燃料は、圧倒的大多数の車両に動力を供給するために使用されている。たとえば、ガソリン、ディーゼル燃料、および天然ガスは、比較的安価であり、および、ユーザに広く利用可能であり、ならびに、世界中で車両の内燃機関に動力を供給するために利用されている。しかし、石油系燃料の燃焼は、環境内に汚染物質を放出する場合があり、これは、いくつかの理由で望ましくない場合がある。さらに、石油系燃料の燃焼により、放出される一部の汚染物質は、種々の管轄体による規制を受ける「基準汚染物質」として指定されている。運搬車両に使用するための、他の、よりクリーンなエネルギ源は、コストがかかりすぎ、および未開発であり得るので、基準汚染物質の低減された放出を伴って作動し得る内燃機関が必要である。
【発明の概要】
【0004】
基準汚染物質の放出を低減させるための1つの方策は、後処理システムの利用を含む。たとえば、一部の後処理システムは、基準汚染物質と反応して、望ましくない放出を低減させる1つまたは複数の触媒を含み得る。しかし、触媒の有効性は触媒の温度に少なくとも部分的に依存する場合があり、および、触媒は、基準汚染物質と効果的に反応するために作動温度に達している必要があり得る。エンジン始動中などの、一部の作動状態では、後処理システムの触媒は作動温度未満である場合があり、および、後処理システムの性能が減少し、基準汚染物質の放出の増加につながる場合がある。
【0005】
よって、基準汚染物質の放出を低減させる、改善された内燃機関システムが必要とされている。本開示の実施形態は、後処理システムと、1つまたは複数の基準汚染物質を捕捉するように構造的に構成された貯蔵ユニットとを含む内燃機関システムに関する。排気ガスは、始動手順中に後処理システムへ送られる前に貯蔵ユニットへ優先的に送られる。後処理システムが作動温度に加熱されるにつれて、貯蔵ユニットは基準汚染物質を捕捉し、および、このようにして、始動状態中の、基準汚染物質の放出が最小にされ得る。
【0006】
一実施形態では、内燃機関を作動させる方法は、内燃機関の燃焼室内の燃料空気混合物を燃焼させ、それにより、排気ガスを形成する工程と、上記燃焼室から外へ上記排気ガスを送る工程と、始動手順を行う工程であって、上記始動手順が、上記燃焼室から貯蔵ユニットへ上記排気ガスを送る工程、上記貯蔵ユニットにより、上記排気ガスの基準汚染物質を捕捉する工程、上記貯蔵ユニットから後処理システムへ上記排気ガスを送る工程、上記貯蔵ユニットからの上記排気ガスにより、上記後処理システムを活性温度に加熱する工程を備える、始動手順を行う工程と、上記後処理システムを上記活性温度に加熱する工程の後に、二次手順を行う工程であって、上記二次手順が、上記燃焼室から上記後処理システムへ上記排気ガスを送る工程、上記後処理システムと、上記排気ガスの基準汚染物質を反応させ、それにより、処理済排気ガスを形成し、上記処理済排気ガスが、上記燃焼室からの上記排気ガスよりも少ない基準汚染物質を含む工程、および上記処理済排気ガスを上記貯蔵ユニットへ送る工程を備える二次手順を行う工程とを備える。
【0007】
別の実施形態では、内燃機関システムは、前記内燃機関システムが、燃焼室と、上記燃焼室と選択的に連通している貯蔵ユニットであって、上記貯蔵ユニットが、上記貯蔵ユニットを通過するガス内の1つまたは複数の基準汚染物質を捕捉するように構造的に構成された貯蔵ユニットと、上記燃焼室と選択的に連通しており、および、上記貯蔵ユニットと選択的に連通している後処理システムであって、上記後処理システムが、上記後処理システムを通過するガス内の1つまたは複数の基準汚染物質と反応するように構造的に構成された後処理システムと、上記燃焼室と上記貯蔵ユニットとの間に、および上記燃焼室と上記後処理システムとの間に配置された後処理貯蔵ユニット弁であって、上記後処理貯蔵ユニット弁は、上記燃焼室および上記貯蔵ユニットが上記後処理貯蔵ユニット弁を介して互いに連通している貯蔵位置と、上記燃焼室が、上記後処理貯蔵ユニット弁を介して上記後処理システムと連通している後処理位置との間で位置変更可能である後処理貯蔵ユニット弁と、上記後処理貯蔵ユニット弁に通信可能に結合されたコントローラとを備え、上記コントローラが、プロセッサと、コンピュータ読み取り可能で、かつ実行可能な命令セットとを備え、上記命令セットは、実行されると、上記プロセッサに、上記後処理貯蔵ユニット弁を上記貯蔵位置に誘導し、それにより、上記燃焼室から上記貯蔵ユニットへ排気ガスを誘導することを含む始動手順を実行させ、上記後処理位置に移動するように上記後処理貯蔵ユニット弁に命令し、それにより、上記燃焼室から上記後処理システムへ上記排気ガスを誘導することを含む二次手順を実行させる。
【0008】
さらに別の実施形態では、内燃機関システムを作動させる方法は、内燃機関の燃焼室内の燃料空気混合物を燃焼させ、それにより、排気ガスを形成する工程と、二次手順を行う工程であって、上記二次手順が、上記燃焼室から後処理システムへ上記排気ガスを送る工程、上記後処理システム内の上記排気ガスを反応させ、それにより、処理済排気ガスを形成し、上記処理済排気ガスが、上記燃焼室からの上記排気ガスよりも少ない基準汚染物質を含む工程、上記処理済排気ガスを貯蔵ユニットへ送る工程を備える、二次手順を行う工程と、上記二次手順を行う工程の後に、再生手順を行う工程であって、上記再生手順が、上記燃焼室から上記貯蔵ユニットへ上記排気ガスを送る工程、上記排気ガスにより、放出温度より上に上記貯蔵ユニットを加熱し、それにより、上記貯蔵ユニットから、貯蔵された基準汚染物質を放出する工程、上記貯蔵ユニットから上記後処理システムへ、放出された基準汚染物質を送る工程、および上記放出された基準汚染物質を上記後処理システムと反応させる工程を備える、再生手順を行う工程とを備える。
【0009】
本開示に開示された技術のさらなる特徴および利点は、以下に続く詳細な説明に記載されており、ならびに、部分的に、上記説明から当業者に容易に明らかになり、または、以下に続く詳細な説明、請求項、および添付図面を含む、本開示に説明されているような技術を実施することにより、認識されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本開示の特定の実施形態の以下の詳細な説明は、以下の図面とともに読まれると、もっとも良く理解され、同様の構造は、同様の参照符号により、示され得る。
【0011】
図1】本明細書中に示され、および説明された1つまたは複数の実施形態による、内燃機関システムの内燃機関の断面図を概略的に表す。
図2】本明細書中に示され、および説明された1つまたは複数の実施形態による、図1の内燃機関システムの後処理システムおよび貯蔵ユニットを概略的に表す。
図3】本明細書中に示され、および説明された1つまたは複数の実施形態による、始動または再生手順における、図1の内燃機関システムを概略的に表す。
図4】本明細書中に示され、および説明された1つまたは複数の実施形態による、二次手順における、図1の内燃機関システムを概略的に表す。
図5】本明細書中に示され、および説明された1つまたは複数の実施形態による、廃熱回収ユニットを含む内燃機関システムを概略的に表す。
図6】本明細書中に示され、および説明された1つまたは複数の実施形態による、内燃機関システムの制御図を概略的に表す。
【0012】
次に、種々の実施形態に対する参照がより詳細に行われ、それらの一部の実施形態は添付図面において示される。可能な限り、同じまたは同様の部分を表すために、同じ参照番号が図面にわたって使用される。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書中に説明された実施形態は一般に、基準汚染物質の放出を軽減する、内燃機関システム、および内燃機関システムを作動させる方法に関する。本明細書中に説明された実施形態では、内燃機関システムは、燃焼室と選択的に連通している、後処理システムおよび貯蔵ユニットを含む。始動状態中、排気ガスは、貯蔵ユニットへ送られ、貯蔵ユニットは、後処理システムが活性温度に加熱される間に、排気ガスからの基準汚染物質を捕捉する。後処理システムが一旦、活性温度に加熱されると、燃焼室からの排気ガスは、後処理システムを介して送られ、後処理システムは、排気ガス内の基準汚染物質と反応する。始動中に排気ガスを貯蔵ユニットへ優先的に送ることにより、そうでなければ後処理装置が活性化温度まで加熱されている間に内燃機関から環境へ排出されるはずの基準汚染物質が捕捉される。基準汚染物質の放出を軽減する内燃機関システムのこれらの、および他の実施形態は、添付図面を参照して本明細書中により詳細に開示される。
【0014】
次に図1を参照すれば、内燃機関システム100の内燃機関102の断面図が概略的に表されている。内燃機関102は一般に、シリンダヘッド104と係合されている1つまたは複数の側壁106を画定するブロックと係合されているシリンダヘッド104を含む。複数の実施形態では、ピストン124が1つまたは複数の側壁106と係合されており、ならびに、ピストン124、シリンダヘッド104、および、1つまたは複数の側壁106は、その中で燃料が燃焼する燃焼室122を少なくとも部分的に画定する。複数の実施形態では、ピストン124は、たとえば、燃料が燃焼室122内で燃焼するにつれて、1つまたは複数の側壁106に沿って移動可能である。
【0015】
複数の実施形態では、ピストン124はクランク軸125に結合されている。たとえば、図1に表された実施形態では、ピストン124は連接棒を介してクランク軸125に結合され、および、動作中、1つまたは複数の側壁106に沿った、ピストン124の直線運動が、クランク軸125の回転運動に変換される。内燃機関102が車両のエンジンである複数の実施形態では、クランク軸125の回転運動は、車両の1つまたは複数の車輪を駆動させて車両に移動性を与え得る。内燃機関102が発電システムの一部である複数の実施形態などの一部の実施形態では、クランク軸125は、電流を発生させる発電機を駆動させ得る。
【0016】
複数の実施形態では、内燃機関システム100は吸気弁112および排気弁116を含む。吸気弁112および排気弁116はそれぞれ、開位置と閉位置との間で位置変更可能であり、および、限定されないが、カムシャフト等などの任意の好適な装置により、開位置と閉位置との間で移動することができる。吸気弁112の選択的な移動により、燃焼室122は、エンジン吸気部110と選択的に連通する。複数の実施形態では、エンジン吸気部110は、それを介して吸入ガス(たとえば、空気)が燃焼室122内に送られる吸気マニホルド等であり得る。一部の実施形態では、加圧ガスが、たとえば、ターボチャージャまたはスーパーチャージャを介してエンジン吸気部110へ供給され得るが、しかし、一部の実施形態では、エンジン吸気部110へ供給される吸入ガスは、雰囲気圧力において供給される。
【0017】
排気弁116の選択的な移動により、燃焼室122はエンジン排気部114と選択的に連通する。一部の実施形態では、エンジン排気部114は、燃料が燃焼室122内で燃焼した後に、それを介して排気ガス(たとえば、燃焼室122からの燃焼副産物)が送られる排気マニホルド等であり得る。図1に表された実施形態では、内燃機関システム100が、燃焼室122と連通している単一の吸気弁112および単一の排気弁116を含むが、これが単に例であることが理解されるはずであり、および、本明細書中に説明された実施形態は、燃焼室122と連通している、任意の好適な数の吸気弁および排気弁を含み得る。
【0018】
複数の実施形態では、内燃機関102は、燃焼室122と連通している燃料噴射器118および点火装置120を含む。燃料噴射器118は一般に、ガソリン等などの燃料を燃焼室122内に送る。複数の実施形態では、燃料噴射器118は、多孔噴射器、中空コーン噴射器、ピエゾまたはソレノイド駆動噴射器等を含み得る。
【0019】
点火装置120は、燃焼室122内の燃料に点火し、または燃料の点火を支援するように動作可能な点火プラグ等を含み得る。図1に表された実施形態では、内燃機関102は点火装置120を含んでいるが、これが単に例であることが理解されるはずである。たとえば、一部の実施形態では、内燃機関102は火花点火機関である場合があり、および、点火装置120は燃焼室122内の、ガソリンなどの燃料に点火し得る。しかし、一部の実施形態では、内燃機関102は、点火装置を含んでいても含んでいなくてもよい圧縮着火機関である場合があり、および、ガソリン、ディーゼル燃料、天然ガス等などの燃料を使用して作動する場合がある。
【0020】
図1に示された断面図では、単一の燃焼室122が概略的に表されているが、内燃機関102が、任意の好適な数の燃焼室122を含み得ることが理解されるはずである。さらに、図1に表された実施形態では、内燃機関102が、燃焼室122と直接連通している燃料噴射器118を含んでいるが、これが単に例であることが理解されるはずであり、および、燃料は、たとえば、エンジン吸気部110を介して、燃焼室122内に間接的に送られ得る。
【0021】
図2を参照すれば、内燃機関システム100の概略図が表されている。複数の実施形態では、内燃機関システム100は、内燃機関102と選択的に連通している後処理システム150および貯蔵ユニット152を含む。
【0022】
複数の実施形態では、後処理システム150は、後処理システム150を通過するガス(たとえば、排気ガス)内の1つまたは複数の基準汚染物質と反応するように構造的に構成されている。特に、後処理システム150は、1つまたは複数の基準汚染物質と反応し、基準汚染物質として指定されていない成分に基準汚染物質を化学的に変換する1つまたは複数の触媒を含む。本明細書中で参照されるように、「基準汚染物質」との用語は、1つまたは複数の管轄体により、規制され得る汚染物質を含み、および、一酸化炭素(CO)、窒素酸化物(NOx)、および/または、未燃炭化水素(HC)のうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
一部の実施形態、たとえば、内燃機関102が火花点火機関である複数の実施形態では、後処理システム150は、CO、NOx、およびHCと反応するように構造的に構成された三元触媒を含み得る。たとえば、三元触媒はCOを二酸化炭素(CO2)に変換する場合があり、NOxを二原子窒素(N2)および水(H2O)に変換する場合があり、ならびに、HCをH2OおよびCO2に変換する場合がある。一部の実施形態では、たとえば、内燃機関102がディーゼル機関などの圧縮着火機関である複数の実施形態では、後処理システム150は、ディーゼル酸化触媒(DOC)、およびNOx還元触媒または触媒システムを含み得る。一部の実施形態では、DOCは、COをCO2に変換し、ならびに、HCをH2OおよびCO2に変換する場合がある一方で、NOx還元触媒は、NOxをH2OおよびN2に変換する。一部の実施形態では、NOx還元触媒は、銅置換ゼオライトZSM-5触媒および/または白金/アルミナ触媒などのリーンNOx触媒を含み得る。一部の実施形態では、NOx還元触媒は、選択的触媒還元(SCR)システムを含み得る。
【0024】
一部の実施形態では、後処理システム150は、所望の量の基準汚染物質が変換される最低温度に対応する「着火」または活性温度を定義する。一部の実施形態では、後処理システム150の活性温度は摂氏約175度である。一部の実施形態では、後処理システム150の活性温度は摂氏約200度である。一部の実施形態では、後処理システム150の活性温度は摂氏約275度である。
【0025】
貯蔵ユニット152は、貯蔵ユニット152を通過するガス(たとえば、排気ガス)内の1つまたは複数の基準汚染物質を捕捉するように構造的に構成される。たとえば、一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、1つまたは複数の基準汚染物質を吸着する1つまたは複数の構造および材料を備える。複数の実施形態では、貯蔵ユニット152は、活性炭、ゼオライト、金属有機骨格構造体、シリカ、アルミナ、金属酸化物、多孔質材料上に支持された表面改質吸着剤および/または液体、酸化バリウム等の吸着剤材料を含み得る。複数の実施形態では、貯蔵ユニット152は、吸着剤材料を、たとえばモノリシック構造上のコーティングとして、または、ベッド内に保持された粒子として含み得る。真空圧が、一部の実施形態において、貯蔵ユニット152に対して維持され、またはかけられ得る。たとえば、一部の実施形態では、内燃機関102は、(たとえば、エンジン吸気部110(図1)を介して)貯蔵ユニット152と流体連通しており、および、特定の作動状態下で貯蔵ユニット152に対して真空圧をかけ得る。一部の実施形態では、真空ポンプ等は、貯蔵ユニット152と連通しており、および、貯蔵ユニット152に対して真空圧をかけ得る。本明細書中により詳細に説明するように、貯蔵ユニット152に対する、真空圧の印加は、貯蔵ユニット152からの基準汚染物質の放出を支援し得る。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、異なる基準汚染物質を捕捉するように構造的に構成された異なる材料および/または異なる領域を含み得る。たとえば、一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、HCおよびCOを捕捉するためのゼオライト、ならびに/または比較的低い温度でHCを捕捉するための活性炭を含む。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、NOxを捕捉するための酸化バリウムを含む。
【0026】
複数の実施形態では、貯蔵ユニット152は、後処理システム150が基準汚染物質を変換する温度と比較して比較的低い作動温度で基準汚染物質を吸着し得る。たとえば、一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、摂氏100度未満の温度で基準汚染物質を吸着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、端点を含む摂氏0度および摂氏100度間の温度で基準汚染物質を吸着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、端点を含む摂氏-20度および摂氏100度間の温度で基準汚染物質を吸着する。貯蔵ユニット152は比較的低い作動温度で基準汚染物質を吸着し得るので、本明細書中にさらに詳細に説明されるように、後処理システム150が始動手順中に作動温度に加熱する間に、貯蔵ユニット152は基準汚染物質を捕捉し得る。
【0027】
複数の実施形態では、貯蔵ユニット152は、基準汚染物質を脱着し、それにより、貯蔵ユニット152が放出温度を超えている温度にある場合に、貯蔵ユニット152を再生する。本明細書中に表されるように、「放出温度」は、貯蔵ユニット152により、吸着される基準汚染物質(たとえば、CO、HC、およびNOx)のうちの少なくとも1つが貯蔵ユニット152から放出される、貯蔵ユニット152の温度を表す。理論によって拘束される訳ではないが、貯蔵ユニット152の吸着剤は、特定の基準汚染物質に関連付けられた吸着等温線を有し得る。吸着等温線は、吸着剤の種々の態様、たとえば、吸着剤および/または貯蔵ユニット152を通過するガスの温度、貯蔵ユニット152を通過するガスの圧力、貯蔵ユニット152を通過するガス内の特定の基準汚染物質の濃度、ならびに、吸着剤上で吸着される特定の基準汚染物質の濃度の間の平衡関係を定義する。
【0028】
複数の実施形態では、貯蔵ユニット152の吸着剤は、特定の圧力において貯蔵ユニット152を通過するガス内の基準汚染物質の濃度における変化が存在しない、基準汚染物質毎の平衡温度(すなわち、特定の基準汚染物質が特定の圧力において吸着されない温度)を有し得る。平衡温度は、複数の基準汚染物質それぞれの吸着等温線から得られ得る。特定の基準汚染物質の平衡温度より上の温度では、貯蔵ユニット152の吸着剤は一般に、基準汚染物質を放出する。異なる基準汚染物質は異なる平衡温度を有する場合があり、および、本明細書中に表されるように、貯蔵ユニット152の「放出温度」は、貯蔵ユニット152により、吸着される基準汚染物質の平衡温度の少なくとも1つよりも大きい温度である。複数の実施形態では、貯蔵ユニット152の吸着剤により、脱着させられる基準汚染物質の量および/または速度は、貯蔵ユニット152の温度に依存し得る。たとえば、一部の実施形態では、貯蔵ユニット152により放出される基準汚染物質の速度または量は、基準汚染物質の平衡温度に比較的近い温度における場合と比較して、基準汚染物質の平衡温度より上の、比較的高い温度で、より高い場合がある。しかし、貯蔵ユニット152の温度と、放出される基準汚染物質の量および/または速度との間の関係が必ずしも直線でないことが理解されるはずである。たとえば、一部の実施形態では、貯蔵ユニット152により放出される特定の基準汚染物質の量および/または速度は、温度が放出温度より上まで増加し続けるにつれて、減少し得る。
【0029】
一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、摂氏100度を超えている温度で基準汚染物質を脱着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、摂氏150度を超えている温度で基準汚染物質を脱着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、摂氏200度を超えている温度で基準汚染物質を脱着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、摂氏250度を超えている温度で基準汚染物質を脱着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、摂氏300度を超えている温度で基準汚染物質を脱着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、摂氏350度を超えている温度で基準汚染物質を脱着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、摂氏400度を超えている温度で基準汚染物質を脱着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、摂氏450度を超えている温度で基準汚染物質を脱着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、摂氏500度を超えている温度で基準汚染物質を脱着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、端点を含む摂氏100度および摂氏500度間の温度で基準汚染物質を脱着する。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152は、端点を含む摂氏250度および摂氏500度間の温度で基準汚染物質を脱着する。理論によって拘束される訳ではないが、貯蔵ユニット152が基準汚染物質を脱着する放出温度は、貯蔵ユニット152の構造および材料に少なくとも部分的に依存する。複数の実施形態では、貯蔵ユニット152の構造および材料は一般に、貯蔵ユニット152が基準汚染物質を脱着する放出温度が、特定の作動状態(たとえば、始動以外の作動状態)中に貯蔵ユニット152へ優先的に誘導され得る排気ガスの温度以下であるように選択される。さらに、貯蔵ユニット152の構造および材料は、一般に、特定の作動状態(たとえば、始動以外の作動状態)中に貯蔵ユニット152へ優先的に誘導される排気ガスの温度に耐えるように選択される。たとえば、一部の実施形態では、内燃機関システム100は、貯蔵ユニット152へ優先的に誘導された排気ガスが、排気ガスが(たとえば、後処理システム150を迂回して)貯蔵ユニット152に達する場合に摂氏1000度未満であるように構成され得る。
【0030】
複数の実施形態では、後処理貯蔵ユニット弁130は、内燃機関102の燃焼室122(図1)と、貯蔵ユニット152との間に、および、内燃機関102の燃焼室122(図1)と、後処理システム150との間に配置される。複数の実施形態では、後処理貯蔵ユニット弁130は、内燃機関102の燃焼室122(図1)、および貯蔵ユニット152が後処理貯蔵ユニット弁130を介して互いに連通している貯蔵ユニット位置において配置可能である。
【0031】
たとえば、図1および3を参照すれば、内燃機関システム100は、後処理貯蔵ユニット弁130が貯蔵ユニット位置にある状態で表されている。動作中、燃料空気混合物が、内燃機関102の燃焼室122内で燃焼し、それにより、排気ガスを形成する。後処理貯蔵ユニット弁130が、たとえば始動手順中に貯蔵ユニット位置にある状態で、排気ガスは内燃機関102の燃焼室122の外へ送られ、および、(たとえば、後処理システム150を迂回して)後処理貯蔵ユニット弁130を介して貯蔵ユニット152へ送られる。始動手順中、貯蔵ユニット152は、排気ガスが貯蔵ユニット152を通過するにつれて、排気ガス内の基準汚染物質が減少するように、排気ガスの基準汚染物質を捕捉する。たとえば、始動手順中、貯蔵ユニット152は当初、貯蔵ユニット152の放出温度未満の周囲温度にあり得る。よって、比較的高い温度の排気ガスが、後処理システム150を迂回して、貯蔵ユニット152へ送られるが、始動手順中、貯蔵ユニット152は放出温度未満にあり、および、排気ガス内の基準汚染物質を捕捉し得る。一部の実施形態では、そうでなければ後処理システム150が活性温度に加熱される間に放出されるはずの基準汚染物質の85%~99%は、内燃機関システム100の動作の最初の120秒中に貯蔵ユニット152により捕捉される。
【0032】
貯蔵ユニット152から、排気ガスは、たとえば、貯蔵ユニット出口弁134を介して、後処理システム150へ流れる。複数の実施形態では、貯蔵ユニット出口弁134は、貯蔵ユニット152から後処理システム150へガスが流れることを可能にする一方で、後処理システム150から貯蔵ユニット152へのガスの流れを制限する一方向弁であり得る。さらにまたはあるいは、一部の実施形態では、貯蔵ユニット出口弁134は、後処理システム150および貯蔵ユニット152が貯蔵ユニット出口弁134を介して互いに連通している開位置と、後処理システム150および貯蔵ユニット152が貯蔵ユニット出口弁134を介して互いに連通していない閉位置との間で位置変更可能であり得る。
【0033】
排気ガスが後処理システム150を通過するにつれて、排気ガスは後処理システム150を加熱する。複数の実施形態では、貯蔵ユニット152からの排気ガスが後処理システム150を活性温度に加熱し、それにより、上述したように後処理システム150の1つまたは複数の触媒に「着火する」。後処理システム150から、排気ガスは、後処理出口弁136を介して送られる場合があり、および、環境へ送られる場合があり、または、内燃機関システム100のさらなる処理システムへ送られる場合がある。複数の実施形態では、後処理出口弁136は、後処理出口弁136を介して後処理システム150からガスが流れることを可能にする一方で、後処理出口弁136を介した、後処理システム150への、ガスの流れを制限する一方向弁であり得る。さらにまたはあるいは、一部の実施形態では、後処理出口弁136は、ガスが後処理出口弁136を介して後処理システム150から送られ得る開位置と、ガスが後処理出口弁136を介して流れることが制限される閉位置との間で位置変更可能であり得る。
【0034】
後処理システム150が一旦、活性温度に加熱されると、後処理貯蔵ユニット弁130は、図1および4に示すように、内燃機関102の燃焼室122(図1)が後処理貯蔵ユニット弁130を介して後処理システム150と連通している後処理位置に移動させられる。
【0035】
特に、後処理システム150が一旦、活性温度より上に加熱されると、二次手順が行われる。後処理貯蔵ユニット弁130が後処理位置にある状態で、内燃機関102の燃焼室122からの排気ガスは、(たとえば、貯蔵ユニット152を迂回して)後処理貯蔵ユニット弁130を介して後処理システム150へ送られる。排気ガスが後処理システム150を通過するにつれて、後処理システム150の1つまたは複数の触媒は、上述したように、排気ガス内の基準汚染物質と反応する。特に、排気ガスが後処理システム150を通過するにつれて、後処理システム150は、排気ガスの基準汚染物質と反応し、燃焼室122から後処理システム150へ流れる排気ガスよりも少ない基準汚染物質を有する処理済排気ガスを形成する。
【0036】
後処理システム150から、処理済排気ガスが、貯蔵ユニット152へ、たとえば、貯蔵ユニット入口弁132を介して送られる。複数の実施形態では、貯蔵ユニット入口弁132は、後処理システム150から貯蔵ユニット152へガスが流れることを可能にする一方向弁であり得る。さらにまたはあるいは、一部の実施形態では、貯蔵ユニット入口弁132は、後処理システム150および貯蔵ユニット152が貯蔵ユニット入口弁132を介して互いに連通している開位置と、後処理システム150および貯蔵ユニット152が貯蔵ユニット入口弁132を介して互いに連通していない閉位置との間で位置変更可能であり得る。処理済排気ガスが貯蔵ユニット152を通過するにつれて、処理済排気ガス内に留まる基準汚染物質は、上述したように、貯蔵ユニット152により、捕捉され、さらに、内燃機関システム100から放出される基準汚染物質の量をさらに低減させ得る。
【0037】
複数の実施形態では、貯蔵ユニット152は、有限量の基準汚染物質を保持し得る。よって、複数の実施形態では、基準汚染物質は、貯蔵ユニット152から周期的に放出される(たとえば、脱着させられる)場合がある。貯蔵ユニット152から基準汚染物質を放出するために、図4に表された二次手順の後に、後処理貯蔵ユニット弁130は、再生手順の一部として図3に表されているように貯蔵ユニット位置に位置変更される。上述された始動手順と同様に、後処理貯蔵ユニット弁130が貯蔵ユニット位置にある状態で、内燃機関102の燃焼室122(図1)からの排気ガスは、(たとえば、後処理システム150を迂回して)後処理貯蔵ユニット弁130を介して貯蔵ユニット152へ流れる。燃焼室122(図1)からの排気ガスが後処理システム150を迂回するので、排気ガスの温度は、貯蔵ユニット152に達する前に後処理システム150を介して送られる排気ガスと比較して比較的高い温度にあり得る。複数の実施形態では、排気ガスは、貯蔵ユニット152の放出温度より上に貯蔵ユニット152を加熱し、上述したように、貯蔵ユニット152に、貯蔵ユニット152からの基準汚染物質を放出する(たとえば、脱着させる)ことを実行させる。一部の実施形態では、貯蔵ユニット152からの基準汚染物質を放出することを支援するために、真空圧が、(たとえば、内燃機関102および/または真空ポンプを介して)貯蔵ユニット152にかけられる場合もある。
【0038】
貯蔵ユニット152から、放出基準汚染物質が、後処理システム150へ、たとえば、貯蔵ユニット出口弁134を介して送られる。後処理システム150は、放出済基準汚染物質と反応し、および、後処理システム150からの処理済排気ガスは、後処理出口弁136を介して送られ得る。排気ガスによって貯蔵ユニット152を再生させることにより、そうでなければ貯蔵ユニット152を再生させるために利用されるはずの、外部ヒータなどの、さらなる構成要素が省略される。
【0039】
図3に表されたような再生手順を行う工程の後、内燃機関システム100は、後処理貯蔵ユニット弁130を後処理位置に配置して、図4に表された二次手順を再開し得る。
【0040】
図5を参照すれば、一部の実施形態では、内燃機関システム100は、後処理システム150と貯蔵ユニット152との間に配置された冷却ユニット140を含む。一部の実施形態では、冷却ユニット140は、後処理システム150から貯蔵ユニット152へ流れるガスを冷却するように構造的に構成された廃熱回収ユニットであり、および、たとえば、限定なしで、電気ターボコンパウンド(ETC)、熱電発電機(TEG)、ランキンサイクルシステム等を含み得る。廃熱回収ユニットは、回収しなければ喪失するはずの排気ガスからの熱エネルギを回収することを支援し、それにより、内燃機関システム100の効率を増加させ得る。さらに、廃熱回収ユニットは、後処理システム150から貯蔵ユニット152へ流れる排気ガスを冷却する場合があり、および、後処理システム150から貯蔵ユニット152へ流れる排気ガスが確実に放出温度未満になるのを支援し得る。
【0041】
一部の実施形態では、冷却ユニット140は空気冷却器または他の同様の熱交換器を含む。たとえば、一部の実施形態では、冷却ユニット140は、冷却ユニット140を通過する排気ガスからの熱を、冷却ユニット140を取り囲む周囲空気へ、たとえば、排気ガスを輸送するチューブまたはパイプを介して周囲空気を送ることにより、放散する。冷却ユニット140が廃熱回収ユニットである複数の実施形態と同様に、空気冷却器は、後処理システム150から貯蔵ユニット152へ流れる排気ガスが放出温度未満であることの保証を支援し得る。図5に表された実施形態では、内燃機関システム100が単一の冷却システム140を含むが、これが単に例であることが理解されるはずであり、および、内燃機関システム100は、後処理システム150と貯蔵ユニット152との間に配置された任意の好適な数の冷却ユニット140を含み得る。さらに、複数の冷却ユニット140を含む複数の実施形態では、複数の冷却ユニット140は、同様の構成を含む場合があり(たとえば、それぞれ、廃熱回収ユニットである場合があり、もしくは、それぞれ、空気冷却器等である場合があり)、または、異なる構成を含む場合がある(たとえば、一部は廃熱回収ユニットである場合がある一方、他は空気冷却器等である)。
【0042】
後処理システム150から貯蔵ユニット152へ流れる排気ガスが、貯蔵ユニット152の放出温度未満であることを保証することにより、冷却ユニット140は、基準汚染物質が、貯蔵ユニット152から環境へ放出されないことの保証を支援し得る。一部の実施形態では、後処理システム150から貯蔵ユニット152へ流れる排気ガスの一部分のみが冷却ユニット140を介して送られる一方、一部の実施形態では、後処理システム150から貯蔵ユニット152へ流れる排気ガスすべてが冷却ユニット140を介して送られる。一部の実施形態では、放出温度未満に貯蔵ユニット152を維持するように、貯蔵ユニット152に入る排気ガスの温度を制御するために、周囲空気が、後処理システム150から貯蔵ユニット152へ流れる排気ガスに導入され得る。
【0043】
図6を参照すれば、複数の実施形態では、内燃機関システム100はコントローラ160を含む。図示したように、コントローラ160は、プロセッサ162、データ記憶構成要素164、および/またはメモリ構成要素166を含む。メモリ構成要素166は、揮発性および/または不揮発性メモリとして構成される場合があり、ならびに、そういうものとして、(SRAM、DRAM,および/または他のタイプのRAMを含む)ランダムアクセスメモリ、フラッシュメモリ、セキュアデジタル(SD)メモリ、レジスタ、コンパクトディスク(CV)、デジタル多用途ディスク(DVD)、および/または他のタイプの非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体を含み得る。特定の実施形態に応じて、これらの非一時的なコンピュータ読み取り可能な媒体は、コントローラ160内に、および/またはコントローラ160に対して外部に存在し得る。
【0044】
メモリ構成要素166は、1つまたは複数のコンピュータ読み取り可能な、および実行可能な命令セットの形態で、動作ロジック、分析ロジック、および通信ロジックを格納し得る。分析ロジックおよび通信ロジックはそれぞれ、複数の異なるロジックを含む場合があり、それらそれぞれは例として、コンピュータプログラム、ファームウェア、および/またはハードウェアとして実施され得る。ローカルインターフェースは、さらに、コントローラ160内に含まれ、および、コントローラ160の構成要素間の通信を容易にするためにバスまたは他の通信インタフェースとして実現され得る。
【0045】
プロセッサ162は、(たとえば、データ記憶構成要素164および/またはメモリ構成要素166からの)命令を受け取り、および実行するように動作可能な任意の処理構成要素を含み得る。図6中の構成要素がコントローラ160内に存在しているものとして示されているが、これは単に例であり、および、一部の実施形態では、複数の構成要素の1つまたは複数が、コントローラ160に対して外部に存在し得ることが理解されるはずである。コントローラ160が単一の装置として示されているが、これも単に例であることも理解されるはずである。
【0046】
複数の実施形態では、コントローラ160は、内燃機関システム100の1つまたは複数の構成要素に通信可能に結合される。たとえば、図6に表された実施形態では、コントローラ160は後処理貯蔵ユニット弁130に通信可能に結合され、および、複数の実施形態では、コントローラ160は、貯蔵ユニット位置(図3)と後処理位置(図4)との間を移動するように後処理貯蔵ユニット弁130に命令する。
【0047】
一部の実施形態では、コントローラ160は、貯蔵ユニット出口弁134、貯蔵ユニット入口弁132、および後処理出口弁136のうちの1つまたは複数に、通信可能に結合される。コントローラ160は、貯蔵ユニット出口弁134、貯蔵ユニット入口弁132、および後処理出口弁136に、それらの開位置および閉位置間を移動して、図3および4に表すように、燃焼室122(図1)からの排気ガスを、上述の内燃機関システム100を介して誘導するように命令し得る。
【0048】
一部の実施形態では、内燃機関システム100は、コントローラ160に、通信可能に結合された温度センサ170をさらに含む。温度センサ170は、後処理システム150(図2)の温度を検出するように構造的に構成され、および、後処理システム150(図2)の検出された温度を示す信号をコントローラ160へ送出し得る。後処理システム150(図2)の検出された温度は、貯蔵位置から後処理位置へ後処理貯蔵ユニット弁130を移動させる、二次手順(図4)への始動手順(図3)からの切り替えの時点を判定するために利用され得る。複数の実施形態では、コントローラ160は、後処理システム150の検出された温度が後処理システム150の活性温度を超えているか否かを判定する。後処理システム150(図2)の検出された温度が活性温度を超えている旨の判定に応じて、コントローラ160は、後処理位置(図4)に移動するように後処理貯蔵ユニット弁130に命令する。上述したように、後処理貯蔵ユニット弁130が後処理位置(図4)にある状態で、排気ガスが、内燃機関102(図1)の燃焼室122(図1)から後処理システム150(図4)へ、および、次いで、貯蔵ユニット152(図4)へ送られる。後処理システム150(図2)の検出された温度が活性温度を超えていない旨の判定に応じて、コントローラ160は、貯蔵ユニット位置(図3)に移動し、または留まるように後処理貯蔵ユニット弁130に命令する。上述したように、後処理貯蔵ユニット弁130が貯蔵ユニット位置(図3)にある状態で、燃焼室122(図1)からの排気ガスは、後処理システム150が加熱されている間に貯蔵ユニット152が基準汚染物質を捕捉し得るように、貯蔵ユニット152(図3)へ、および、次いで、後処理システム150(図3)へ誘導される。
【0049】
一部の実施形態では、内燃機関システム100は、コントローラ160に、通信可能に結合された汚染物質センサ172をさらに含む。汚染物質センサ172は、貯蔵ユニット152(図2)内に貯蔵された1つまたは複数の基準汚染物質の量を検出するように構造的に構成され、および、貯蔵ユニット152(図2)内の1つまたは複数の基準汚染物質の検出された量を示す信号をコントローラ160へ送出し得る。貯蔵ユニット152(図2)内の1つまたは複数の基準汚染物質の検出された量は、後処理位置から貯蔵位置に後処理貯蔵ユニット弁130を移動させる、二次手順(図4)から再生手順(図3)への切り替えの時点を判定するために利用され得る。複数の実施形態では、コントローラ160は、貯蔵ユニット152(図2)内の1つまたは複数の基準汚染物質の検出された量が、構成可能な閾値を超えているか否かを判定し得る。貯蔵ユニット152(図2)内の1つまたは複数の基準汚染物質の検出された量が、構成可能な閾値を超えている旨の判定に応じて、コントローラ160は、貯蔵位置(図3)に移動するように後処理貯蔵ユニット弁130に命令する。上述したように、後処理貯蔵ユニット弁130が貯蔵ユニット位置(図3)にある状態で、燃焼室122(図1)からの排気ガスが、貯蔵ユニット152(図3)へ誘導され、および、次いで、後処理システム150(図3)へ誘導される。排気ガスの比較的高い温度は、貯蔵ユニット152(図3)に、貯蔵ユニット152(図3)からの基準汚染物質を後処理システム150(図3)へ放出する(たとえば、脱着させる)ことを実行させ得る。貯蔵ユニット152(図2)内の1つまたは複数の基準汚染物質の検出された量が、構成可能な閾値を超えていない旨の判定に応じて、コントローラ160は、後処理位置(図4)に留まるように後処理貯蔵ユニット弁130に命令する。
【0050】
図6に表された実施形態では、内燃機関システム100が汚染物質センサ172を含むが、これが単に例であることが理解されるはずである。たとえば、一部の実施形態では、コントローラ160は、後処理位置から貯蔵位置に後処理貯蔵ユニット弁130を、所定の経過時間に基づいて移動させて、二次手順(図4)から再生手順(図3)へ切り替え、それにより、貯蔵ユニット152(図2)から基準汚染物質を周期的に放出し得る。
【0051】
よって、ここで、本明細書中に説明された実施形態が、基準汚染物質の放出を軽減する、内燃機関システム、および内燃機関システムを作動させる方法に関することが理解されるはずである。本明細書中に説明された実施形態では、内燃機関システムは、燃焼室と選択的に連通している後処理システムおよび貯蔵ユニットを含む。始動状態中、排気ガスは貯蔵ユニットへ送られ、それは、後処理システムが活性温度に加熱される間に、排気ガスからの基準汚染物質を捕捉する。後処理システムが一旦、活性温度に加熱されると、燃焼室からの排気ガスが後処理システムを介して送られ、それは、排気ガス内の基準汚染物質と反応する。始動中に貯蔵ユニットへ排気ガスを優先的に送ることにより、そうでなければ後処理システムが活性温度に加熱される間に内燃機関から環境へ放出されるはずの基準汚染物質が捕捉されることがここで理解されるはずである。
【0052】
本開示の態様は、以下の節において提供される。
【0053】
第1の態様A1では、本開示は、内燃機関を作動させる方法であって、上記方法が、内燃機関の燃焼室内の燃料空気混合物を燃焼させ、それにより、排気ガスを形成する工程と、上記燃焼室から外へ上記排気ガスを送る工程と、始動手順を行う工程であって、上記始動手順が、上記燃焼室から貯蔵ユニットへ上記排気ガスを送る工程、上記貯蔵ユニットにより、上記排気ガスの基準汚染物質を捕捉する工程、上記貯蔵ユニットから後処理システムへ上記排気ガスを送る工程、上記貯蔵ユニットからの上記排気ガスにより、上記後処理システムを活性温度に加熱する工程を備える、始動手順を行う工程と、上記後処理システムを上記活性温度に加熱する工程の後に、二次手順を行う工程であって、上記二次手順が、上記燃焼室から上記後処理システムへ上記排気ガスを送る工程、上記後処理システムと、上記排気ガスの基準汚染物質を反応させ、それにより、処理済排気ガスを形成し、上記処理済排気ガスが、上記燃焼室からの上記排気ガスよりも少ない基準汚染物質を含む工程、および上記処理済排気ガスを上記貯蔵ユニットへ送る工程を備える二次手順を行う工程を備える、方法を提供する。
【0054】
第2の態様A2では、本開示は、上記二次手順が、上記貯蔵ユニットにより、上記処理済排気ガスからの基準汚染物質を捕捉する工程をさらに備える、態様A1の方法を提供する。
【0055】
第3の態様A3では、本開示は、上記二次手順が、上記処理済排気ガスを上記貯蔵ユニットへ送る工程の前に、上記処理済排気ガスを冷却する工程をさらに備える、態様A1またはA2いずれかの方法を提供する。
【0056】
第4の態様A4では、本開示は、上記処理済排気ガスを冷却する工程が、廃熱回収ユニットおよび空気冷却器の少なくとも一方を備える冷却ユニットを介して上記処理済排気ガスを送る工程を備える、態様A3の方法を提供する。
【0057】
第5の態様A5では、本開示は、上記二次手順を行う工程の後に、再生手順を行う工程であって、上記再生手順が、上記燃焼室から上記貯蔵ユニットへ上記排気ガスを送る工程、および上記排気ガスにより、放出温度より上に上記貯蔵ユニットを加熱する工程であって、それにより、上記貯蔵ユニットから、貯蔵された基準汚染物質を放出する工程を備える工程をさらに備える、態様A1~A4のいずれかの方法を提供する。
【0058】
第6の態様A6では、本開示は、上記貯蔵ユニットに真空圧をかける工程をさらに備える、態様A1~A5のいずれかの方法を提供する。
【0059】
第7の態様A7では、本開示は、再生手順が、放出された基準汚染物質を後処理システムへ送る工程をさらに備える、態様A5またはA6いずれかの方法を提供する。
【0060】
第8の態様A8では、本開示は、再生手順を行う工程の後、二次手順を再開する工程をさらに備える、態様A5~A7のいずれかの方法を提供する。
【0061】
第9の態様A9では、本開示は、基準汚染物質が、一酸化炭素、窒素酸化物、および炭化水素のうちの少なくとも1つを備える、態様A1~A8のいずれかの方法を提供する。
【0062】
第10の態様A10では、本開示は、内燃機関システムであって、前記内燃機関システムが、燃焼室と、上記燃焼室と選択的に連通している貯蔵ユニットであって、上記貯蔵ユニットが、上記貯蔵ユニットを通過するガス内の1つまたは複数の基準汚染物質を捕捉するように構造的に構成された貯蔵ユニットと、上記燃焼室と選択的に連通しており、および、上記貯蔵ユニットと選択的に連通している後処理システムであって、上記後処理システムが、上記後処理システムを通過するガス内の1つまたは複数の基準汚染物質と反応するように構造的に構成された後処理システムと、上記燃焼室と上記貯蔵ユニットとの間に、および上記燃焼室と上記後処理システムとの間に配置された後処理貯蔵ユニット弁であって、上記後処理貯蔵ユニット弁は、上記燃焼室および上記貯蔵ユニットが上記後処理貯蔵ユニット弁を介して互いに連通している貯蔵位置と、上記燃焼室が、上記後処理貯蔵ユニット弁を介して上記後処理システムと連通している後処理位置との間で位置変更可能である後処理貯蔵ユニット弁と、上記後処理貯蔵ユニット弁に通信可能に結合されたコントローラとを備え、上記コントローラが、プロセッサと、コンピュータ読み取り可能で、かつ実行可能な命令セットとを備え、前記命令セットは、実行されると、上記プロセッサに、上記後処理貯蔵ユニット弁を上記貯蔵位置に誘導し、それにより、上記燃焼室から上記貯蔵ユニットへ排気ガスを誘導することを含む始動手順を実行させ、上記後処理位置に移動するように上記後処理貯蔵ユニット弁に命令し、それにより、上記燃焼室から上記後処理システムへ上記排気ガスを誘導することを含む二次手順を実行させる内燃機関システムを開示している。
【0063】
第11の態様A11では、本開示は、上記コントローラに通信可能に結合された温度センサであって、上記温度センサが、上記後処理システムの温度を検出するように構造的に構成された温度センサをさらに備える、態様A10の内燃機関システムを提供する。
【0064】
第12の態様A12では、本開示は、上記コンピュータ読み取り可能で、かつ実行可能な命令セットは、実行されると、上記プロセッサに、上記後処理システムの検出された温度を示す、上記温度センサからの信号を受け取ること、上記後処理システムの上記検出された温度が活性温度を超えているか否かを判定することを実行させ、上記後処理位置に移動するように上記後処理貯蔵ユニット弁に命令することは、上記後処理システムの上記温度が上記活性温度を超えている旨を判定することに応じた命令である、態様A11の内燃機関システムを提供する。
【0065】
第13の態様A13では、本開示は、上記コントローラに通信可能に結合された汚染物質センサをさらに備え、上記汚染物質センサは、上記貯蔵ユニット内に貯蔵された1つまたは複数の基準汚染物質の量を検出するように構造的に構成された、態様A10~A12いずれかの内燃機関システムを提供する。
【0066】
第14の態様A14では、本開示は、上記コンピュータ読み取り可能で、かつ実行可能な命令セットは、実行されると、上記プロセッサにさらに、上記貯蔵ユニット内に貯蔵された1つまたは複数の基準汚染物質の検出された量を示す、上記汚染物質センサからの信号を受け取ること、上記1つまたは複数の基準汚染物質の上記検出された量が、構成可能な閾値を超えているか否かを判定すること、および上記1つまたは複数の基準汚染物質の上記検出された量が、上記構成可能な閾値を超えている旨を判定することに応じて、上記貯蔵位置に移動するように上記後処理貯蔵ユニット弁に命令し、それにより、上記燃焼室から上記貯蔵ユニットへ上記排気ガスを誘導することを実行させる、態様A13の内燃機関システムを提供する。
【0067】
第15の態様A15では、本開示は、上記後処理システムと上記貯蔵ユニットとの間に配置された廃熱回収ユニットであって、上記廃熱回収ユニットが、上記後処理システムから上記貯蔵ユニットへ流れるガスを冷却するように構造的に構成された、廃熱回収ユニットをさらに備える、態様A10~A14いずれかの内燃機関システムを提供する。
【0068】
第16の態様A16では、本開示は、内燃機関システムを作動させる方法であって、上記方法は、内燃機関の燃焼室内の燃料空気混合物を燃焼させ、それにより、排気ガスを形成する工程と、二次手順を行う工程であって、上記二次手順が、上記燃焼室から後処理システムへ上記排気ガスを送る工程、上記後処理システム内の上記排気ガスを反応させ、それにより、処理済排気ガスを形成し、上記処理済排気ガスが、上記燃焼室からの上記排気ガスよりも少ない基準汚染物質を含む工程、上記処理済排気ガスを貯蔵ユニットへ送る工程を備える、二次手順を行う工程と、上記二次手順を行う工程の後に、再生手順を行う工程であって、上記再生手順が、上記燃焼室から上記貯蔵ユニットへ上記排気ガスを送る工程、上記排気ガスにより、放出温度より上に上記貯蔵ユニットを加熱し、それにより、上記貯蔵ユニットから、貯蔵された基準汚染物質を放出する工程、上記貯蔵ユニットから上記後処理システムへ、放出された基準汚染物質を送る工程、および上記放出された基準汚染物質を上記後処理システムと反応させる工程を備える、再生手順を行う工程とを備える、方法を提供する。
【0069】
第17の態様A17では、本開示は、上記再生手順を行う工程の後に、上記二次手順を再開する工程をさらに備える、態様A16の方法を提供する。
【0070】
第18の態様A18では、本開示は、上記基準汚染物質が、一酸化炭素、窒素酸化物、および炭化水素のうちの少なくとも1つを備える、態様A16またはA17のいずれかの方法を提供する。
【0071】
第19の態様A19では、本開示は、上記二次手順が、上記処理済排気ガスを上記貯蔵ユニットへ送る工程の前に、上記処理済排気ガスを冷却する工程をさらに備える、態様A16~A18のいずれかの方法を提供する。
【0072】
第20の態様A20では、本開示は、上記処理済排気ガスを冷却する工程が、廃熱回収ユニットを介して上記処理済排気ガスを送る工程を備える、態様A19の方法を提供する。
【0073】
本開示の主題を詳細に、および特定の実施形態を参照することにより、説明してきたが、留意すべきは、本開示において説明された種々の詳細が、本明細書に添付された図面それぞれにおいて特定の要素が示される場合にも、本開示において説明された種々の実施形態の不可欠な構成要素である要素にこれらの詳細が関係することを示唆していると解されるべきでないことである。むしろ、添付された請求項は、本開示の幅、および本開示において説明された種々の実施形態の対応する範囲の唯一の表現として解されるべきである。さらに、種々の修正および変形が、請求項に記載の主題の趣旨および範囲から逸脱することなく、説明された実施形態に対して行われ得ることが当業者に明らかであるはずである。よって、本明細書が、添付された請求項、およびその同等物の範囲内に収まるように、提供された種々の説明された実施形態の修正および変形を包含していることが意図されている。
【0074】
留意すべきは、特定の特性を実施するために、または、特定の方法で機能するために、特定のやり方において「構造的に構成されている」、本開示の構成要素の本明細書中の記載が、意図された用途の記載というよりは、構造的な記載であることである。より具体的には、構成要素が「構造的に構成された」方法に対する、本明細書中の言及は、構成要素の既存の物理的状態を表し、および、そういうものとして、構成要素の構造的特性の明確な記載として解されるものとする。
【0075】
留意すべきは、「好ましくは」、「通常」、「典型的には」のような用語は、本明細書中に利用される場合に、請求項に記載の発明の範囲を制限し、または、特定の特徴が、請求項に記載の発明の構造または機能に対して重大であり、不可欠であり、または重要でさえあることを示唆するために利用されるものでないことである。むしろ、これらの用語は、本開示の実施形態の特定の態様を明確化し、または、本開示の特定の実施形態において利用されても利用されなくてもよい代替的な、もしくは、さらなる特徴を強調することが意図されているに過ぎない。
【0076】
本発明を説明し、および明確化する目的で、留意すべきは、「略」および「約」との用語が、本明細書中、任意の量的な比較、値、測定、または他の表現にあるとされ得る不確実性の固有の度合いを表すために利用されることである。「略」および「約」との用語は、本明細書中、論争中の主題の基本機能における変化をもたらすことなく、量的表現が、記述された参照から変わり得る度合いを表すためにも利用される。
【0077】
留意すべきは、以下の請求項の1つまたは複数が、移行句として「wherein」との用語を利用していることである。本発明を明確化する目的で、留意すべきは、この用語が、構造の一連の特性の記載を導入するために使用されるオープンエンドの移行句として、請求項において導入されており、および、より一般的に使用される、「comprising」とのオープンエンドのプリアンブルの用語として同様に解釈されるべきであることである。
図1
図2
図3
図4
図5
図6