(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】フィルム裁断装置
(51)【国際特許分類】
B26D 7/26 20060101AFI20240419BHJP
B26D 1/22 20060101ALI20240419BHJP
B26D 7/20 20060101ALI20240419BHJP
B26D 3/00 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
B26D7/26
B26D1/22
B26D7/20
B26D3/00 601B
(21)【出願番号】P 2022542199
(86)(22)【出願日】2021-01-12
(86)【国際出願番号】 KR2021000414
(87)【国際公開番号】W WO2021145650
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-07-08
(31)【優先権主張番号】10-2020-0006781
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】523379845
【氏名又は名称】杉金光電(南京)有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100148633
【氏名又は名称】桜田 圭
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100183955
【氏名又は名称】齋藤 悟郎
(74)【代理人】
【識別番号】100197701
【氏名又は名称】長野 正
(74)【代理人】
【識別番号】100180334
【氏名又は名称】山本 洋美
(74)【代理人】
【識別番号】100136342
【氏名又は名称】中村 成美
(74)【代理人】
【識別番号】100214813
【氏名又は名称】中嶋 幸江
(74)【代理人】
【識別番号】100177149
【氏名又は名称】佐藤 浩義
(74)【代理人】
【識別番号】100194179
【氏名又は名称】中澤 泰宏
(72)【発明者】
【氏名】クァク、ムンチョル
(72)【発明者】
【氏名】イ、チュンセ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ドンギュン
(72)【発明者】
【氏名】キム、チャンス
(72)【発明者】
【氏名】キム、ギョンシク
(72)【発明者】
【氏名】キム、ジュンファン
(72)【発明者】
【氏名】イム、ボムスン
(72)【発明者】
【氏名】チョン、ドンモ
(72)【発明者】
【氏名】ソン、ハク
【審査官】堀内 亮吾
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-337088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B26D 7/26
B26D 1/22
B26D 7/20
B26D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向にフィルムを供給する支えロールと、
円形カッターであって、当該円形カッターの縁領域に設けられ、V字形状の断面を有する当該円形カッターの端部の少なくとも一部の領域が、前記フィルムの供給方向に直交する方向
にフィルムに挿入されてフィルムを裁断する円形カッターと、
前記円形カッターの両側にそれぞれ取り付けられ、前記端部の少なくとも一部の領域を取り囲むように設けられた一対の円形カッターホルダーと
、を含み、
前記一対の円形カッターホルダーは、対向する面が円形カッターの中心領域で第1の離隔距離を有し、円形カッターの縁領域で前記第1の離隔距離以下の第2の離隔距離を有し、
前記一対の円形カッターホルダーは、それぞれ前記端部から離間しており、
前記一対の円形カッターホルダーと前記端部との間の間隔は、前記端部の少なくとも一部の領域
であって、当該少なくとも一部の領域において、前記一対の円形カッターホルダーの対向する面が、前記第1の離隔距離よりも小さい離隔距離を有する、当該端部の少なくとも一部の領域にわたって一定値であり、
前記一定値は、0.1~0.3mmの範囲内である、フィルム裁断装置。
【請求項2】
前記円形カッターの端部が、一対のカッターホルダーによって取り囲むように設けられた第1の端部と、
前記第1の端部から延びて円形カッターホルダーから露出形成され、フィルムに挿入されてフィルムを裁断する第2の端部とを含む、請求項1に記載のフィルム裁断装置。
【請求項3】
前記第2の端部の露出長さとフィルム挿入長さとの比が1未満である、請求項2に記載のフィルム裁断装置。
【請求項4】
第2の端部の露出長さが0.3~0.5mmの範囲内である、請求項2に記載のフィルム裁断装置。
【請求項5】
前記支えロールには、第2の端部の少なくとも一部の領域が挿入される挿入溝が形成された、請求項2に記載のフィルム裁断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、フィルム裁断装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年では、保護や機能を目的として様々な製品にフィルムを付着させている。そのようなフィルムは付着する製品によって大きさ及び形状が異なり、目的によって用いられるフィルムの種類も様々である。
【0003】
図1は、一般的なフィルム用裁断装置を示す図であり、
図2は、裁断時の一般的なフィルム用裁断装置を示す図である。
図3は、従来のフィルム用裁断装置を示す断面図である。
【0004】
図面を参照すると、一般的なフィルム用裁断装置は、一方向にフィルムを供給する支えロール100、円形カッター200、及び前記円形カッター200を固定するためにカッター200の両側に取り付けられる一対の円形カッターホルダー300で構成される。
【0005】
図3を参照すると、従来のフィルム裁断装置は、円形カッター200と円形カッターホルダー300との間に空間Sが存在するが、そのような空間Sは、フィルムの裁断時にカッター200とフィルムの密着を妨害してフィルムが揺れてしまう現象を引き起こす。そのため、フィルムが揺れている状態で裁断すると、フィルムの裁断面でクラック(Crack)が発生するといった問題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本出願は、従来のフィルム裁断装置において、カッターとカッターホルダーとの間の空間周辺で発生するクラックを防止することができるフィルム裁断装置を提供することを解決しようとする課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本出願は、フィルム裁断装置に関する。前記フィルム裁断装置は、
図1及び2に示された一般的なフィルム裁断装置において、フィルム裁断時のクラック発生を防止するために、カッターホルダーを特定の形状に加工したことを特徴とする。
【0008】
図4及び5は、本出願による例示的なフィルム用裁断装置を示す断面図である。
【0009】
図面を参照すると、本出願によるフィルム裁断装置は、支えロール100、円形カッター200、及び一対の円形カッターホルダー300を含む。
【0010】
前記支えロール100は、一方向にフィルムを供給する。前記フィルムは、偏光フィルムであってもよいが、これに制限されるものではなく、例として保護フィルム、PETフィルム、Acryl類フィルムなどが挙げられる。
【0011】
前記円形カッター200は、前記フィルムの供給方向に直交する方向に端部210の少なくとも一部の領域がフィルムに挿入されてフィルムを裁断する。前記円形カッター200は、中空を有してもよく、後述する一対のカッターホルダー300は、前記中空を介して円形カッターの両側に取り付けられる。そして、前記円形カッター200は、回転可能に設けられてもよく、フィルムの供給方向に直交する方向に上昇または下降することによって、待機位置から動作位置へ移動するように設けられる。例えば、円形カッター200の回転は、100~1000W級インバータ方式が適用され、待機位置から動作位置への移動はエアで加圧することで行われてもよく、その際の圧力は1~10kg/fの範囲内であってもよい。前記円形カッター200は、回転状態で下降するとき、端部210がフィルムを加圧しながら裁断する。前記円形カッターの端部210は、フィルムを裁断できるように鋭い刃形状を有してもよい。例えば、前記端部210の端面は「V」字形状を有し、20~25°の範囲内の傾斜を有する。
【0012】
前記一対の円形カッターホルダー300は、前記円形カッター200の両側にそれぞれ取り付けられ、前記端部210の少なくとも一部の領域を取り囲むように設けられる。前記一対の円形カッターホルダー300は、円形カッター200の中空を介して結合するための結合突起及び結合溝がそれぞれ設けられてもよい。前記結合突起及び結合溝は、中空を貫通して結合されてもよい。
【0013】
前記一対の円形カッターホルダー300は、円形カッター200の中心領域で第1の離隔距離L1を有し、円形カッターの縁領域で第1の離隔距離L1以下の第2の離隔距離L2を有してもよい。前記第2の離隔距離L2は端部の形状に基づいており、例えば、端部は先端に向かうほど幅が狭くなり、第2の離隔距離L2も端部の先端に向かうほど狭くなってもよい。
【0014】
本出願によるフィルム裁断装置は、第1及び第2の離隔距離L1,L2の関係が前述した条件を満たすように一対の円形カッターホルダー300の形状を加工することで、裁断時にカッターとフィルムとの密着が向上し、クラックの発生を防止することができる。
【0015】
以下では、一対の円形カッターホルダー300の形状にかかる特徴について詳しく説明する。
【0016】
具体的に、前記一対の円形カッターホルダー300は、それぞれ円形カッター200の縁領域と一定の間隔iを維持して接触しなくてもよい。言い換えると、一対の円形カッターホルダー300は、端部210と一定の間隔iを維持した状態で端部210の少なくとも一部の領域を取り囲むように設けられてもよい。
【0017】
前記間隔iは、例えば、0.1~0.3mmの範囲内であってもよい。前記間隔が0.1mm未満であれば、裁断過程で異物混入などにより回転干渉を引き起こし、それは、装置欠陥の要因となり得る。そして、0.3mm以上であると、カッターとフィルムとの密着が低下し、揺れの発生によってクラックが発生する可能性がある。
【0018】
一つの例示において、前記円形カッターの端部210は、一対の円形カッターホルダー300によって取り囲むように設けられた第1の端部211と、前記第1の端部211が延びて円形カッターホルダー300から露出形成され、フィルムに挿入されてフィルムを裁断する第2の端部212とを含んでもよい。言い換えると、円形カッターの第1の端部211は露出されず、円形カッターの第2の端部212のみが露出形成されてもよい。前述の「露出」は、フィルム裁断装置の外観から見えるもので判断する。すなわち、第1の端部211は、フィルム裁断装置の外観から見えず、第2の端部212は、フィルム裁断装置の外観から見える部分である。
【0019】
前記第2の端部212は、フィルムを加圧して直接裁断する部分である。前記第2の端部212の露出長さL212とフィルム挿入長さとの比は1未満であってもよい。これは、前記第2の端部212の総長さのうち、一部の長さのみがフィルムに挿入されることを意味する。
【0020】
例えば、フィルムの厚みは0.3mm以下であってもよく、前記第2の端部212の露出長さは0.3~0.5mmの範囲内であってもよい。
【0021】
前記支えロール100には、第2の端部212の少なくとも一部の領域が挿入される挿入溝110が形成されてもよい。挿入溝110は、第2の端部212の形状に対応する形状を有してもよい。例えば、前記挿入溝110は、「V」字形状を有してもよい。挿入溝は、裁断時のフィルムの揺れを最低限にすることができる。
【0022】
図6を参照すると、本出願によるフィルム裁断装置は、一対の円形カッターホルダー300、フィルム及び支えロール100が密着した状態でフィルムを裁断する。このように密着した状態で、第2の端部212は、フィルムの厚みを超える長さの分だけ挿入部110に挿入されてもよい。例えば、フィルムの厚みが0.3mmであり、第2の端部212の露出長さL
212が0.5mmである場合、第2の端部212の挿入長さが0.3mmとなり、露出長さから挿入長さを引いた0.2mmの分だけ挿入溝110に挿入される。
【発明の効果】
【0023】
本出願による一実施例にかかるフィルム裁断装置は、カッターとカッターホルダーとの間の空間が最低限になるようにカッターホルダーの形状を加工することで、裁断の際にカッターとフィルムが密着されないことから、発生するクラックを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】一般的なフィルム用裁断装置を示す図である。
【
図2】裁断時に一般的なフィルム用裁断装置を示す図である。
【
図3】*従来のフィルム用裁断装置を示す断面図である。
【
図4】本出願による例示的なフィルム用裁断装置を示す断面図である。
【
図5】本出願による例示的なフィルム用裁断装置を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、実施例及び比較例を挙げて、前述した内容をより具体的に説明する。しかしながら、本出願の範囲は下記の実施例により制限されるものではない。
【0026】
(実施例)
図1及び2に示されたフィルム裁断装置を用いてフィルムを裁断した。ただし、
図4のように、円形カッターの端部と0.1~0.2mmの間隔を形成するように円形カッターホルダーを製作した。その結果、フィルムの裁断面のいずれにもクラックが発見されなかった。
【0027】
(比較例)
円形カッターの端部と0.35mmの間隔を形成するように円形カッターホルダーを製作したことを除き、実施例と同様の方法でフィルムを裁断した。そして、フィルムの裁断面を電子顕微鏡で確認したところ、クラックが発見された。
【0028】
(付記)
(付記1)
一方向にフィルムを供給する支えロールと、
前記フィルムの供給方向に直交する方向に端部の少なくとも一部の領域がフィルムに挿入されてフィルムを裁断する円形カッターと、
前記円形カッターの両側にそれぞれ取り付けられ、前記端部の少なくとも一部の領域を取り囲むように設けられた一対の円形カッターホルダーとを含み、
前記一対のカッターホルダーは、対向する面が円形カッターの中心領域で第1の離隔距離を有し、円形カッターの縁領域で前記第1の離隔距離以下の第2の離隔距離を有する、フィルム裁断装置。
【0029】
(付記2)
前記一対の円形カッターホルダーは、それぞれ円形カッターの縁領域と一定の間隔を維持して接触しない、付記1に記載のフィルム裁断装置。
【0030】
(付記3)
前記間隔が0.1~0.3mmの範囲内である、付記2に記載のフィルム裁断装置。
【0031】
(付記4)
前記円形カッターの端部が、一対のカッターホルダーによって取り囲むように設けられた第1の端部と、
前記第1の端部から延びて円形カッターホルダーから露出形成され、フィルムに挿入されてフィルムを裁断する第2の端部とを含む、付記1に記載のフィルム裁断装置。
【0032】
(付記5)
前記第2の端部の露出長さとフィルム挿入長さとの比が1未満である、付記4に記載のフィルム裁断装置。
【0033】
(付記6)
第2の端部の露出長さが0.3~0.5mmの範囲内である、付記4に記載のフィルム裁断装置。
【0034】
(付記7)
前記支えロールには、第2の端部の少なくとも一部の領域が挿入される挿入溝が形成された、付記4に記載のフィルム裁断装置。
【符号の説明】
【0035】
100 支えロール
200 円形カッター
300 一対の円形カッターホルダー