(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】加熱装置を用いた解凍方法及び加熱装置
(51)【国際特許分類】
H05B 11/00 20060101AFI20240419BHJP
H05B 6/54 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
H05B11/00 E
H05B6/54
(21)【出願番号】P 2022562436
(86)(22)【出願日】2021-04-21
(86)【国際出願番号】 CN2021088715
(87)【国際公開番号】W WO2021213441
(87)【国際公開日】2021-10-28
【審査請求日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】202010324163.0
(32)【優先日】2020-04-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】520514425
【氏名又は名称】青島海尓電冰箱有限公司
【氏名又は名称原語表記】QINGDAO HAIER REFRIGERATOR CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(73)【特許権者】
【識別番号】520514414
【氏名又は名称】海尓智家股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】HAIER SMART HOME CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】Haier Industrial Park No.1 Haier Road, Laoshan District Qingdao, Shandong 266101 China
(74)【代理人】
【識別番号】100124811
【氏名又は名称】馬場 資博
(74)【代理人】
【識別番号】100187724
【氏名又は名称】唐鎌 睦
(72)【発明者】
【氏名】韓 志強
(72)【発明者】
【氏名】王 銘
(72)【発明者】
【氏名】李 鵬
(72)【発明者】
【氏名】王 海娟
(72)【発明者】
【氏名】李 春陽
(72)【発明者】
【氏名】姫 立勝
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-022675(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03617628(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 11/00
H05B 6/54
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱装置を用いた解凍方法であって、
前記加熱装置は、処理対象物を収容するキャビティコンデンサと、処理対象物を加熱する電磁波信号を発生させる電磁波発生モジュールと、を含み、
ユーザによって入力された解凍指令を受信するステップと、
処理対象物の重量を表す特性パラメータ、前記電磁波信号の電力値、及び処理対象物の誘電率の変化速度を取得するステップと、
前記特性パラメータ、前記電力値及び前記変化速度に基づいて、処理対象物の解凍の度合いを決定するステップと、を含
み、
前記特性パラメータ、前記電力値及び前記変化速度に基づいて、処理対象物の解凍の度合いを決定する前記ステップは、
前記特性パラメータと前記電力値に基づいて、処理対象物の誘電率の変化閾値を決定するステップと、
前記変化速度が前記変化閾値よりも小さい場合、前記電磁波発生モジュールを制御して作動を停止させるステップと、を含む、
加熱装置を用いた解凍方法。
【請求項2】
前記特性パラメータと前記電力値に基づいて、処理対象物の誘電率の前記変化閾値を決定する前記ステップは、
前記特性パラメータと前記電力値に基づいて、予め設定された照合関係に従って、対応する前記変化閾値をマッチングするステップを含み、
前記電力値が同じ場合は、前記変化閾値は前記特性パラメータにより表される重量に反比例し、及び/又は
前記特性パラメータにより表される重量が同じ場合は、前記変化閾値は前記電力値に比例する、
請求項
1に記載の解凍方法。
【請求項3】
処理対象物の重量を表す前記特性パラメータを取得するステップは、
前記特性パラメータとして前記キャビティコンデンサの容量値を取得するステップを含む、
請求項1に記載の解凍方法。
【請求項4】
前記加熱装置は、それ自体のインピーダンスを調整することにより前記電磁波発生モジュールの負荷インピーダンスを調整するマッチングモジュールをさらに含み、
処理対象物の重量を表す前記特性パラメータを取得するステップは、
前記電磁波発生モジュールを制御して、予め設定された初期電力の電磁波信号を発生させるステップと、
前記マッチングモジュールのインピーダンスを調整して、前記電磁波発生モジュールの最適な負荷マッチングを実現する前記マッチングモジュールのインピーダンス値を決定するステップと、を含む、
請求項1に記載の解凍方法。
【請求項5】
前記マッチングモジュールは、個別にオンオフ可能な複数のマッチングブランチを含み、
前記マッチングモジュールのインピーダンスを調整して、前記電磁波発生モジュールの最適な負荷マッチングを実現する前記マッチングモジュールのインピーダンス値を決定するステップは、
前記複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせを調べ、前記オンオフ組み合わせのそれぞれに対応する前記電磁波発生モジュールの負荷マッチング度を反映するマッチング度パラメータを取得するステップと、
前記複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせのマッチング度パラメータを比較するステップと、
比較結果から最適な負荷マッチングを実現する前記オンオフ組み合わせを決定するステップと、を含む、
請求項
4に記載の解凍方法。
【請求項6】
前記複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせを調べ、前記オンオフ組み合わせのそれぞれに対応する前記電磁波発生モジュールの負荷マッチング度を反映するマッチング度パラメータを取得するステップは、
前記インピーダンス値に対応する前記複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせの組み合わせ番号を含む、事前設定された番号集合を取得するステップと、
前記番号集合に従って前記組み合わせ番号のそれぞれに対応するマッチングブランチのブランチ番号を1つずつ決定し、前記ブランチ番号に基づいて対応するマッチングブランチのオンオフを制御するステップと、を含む、
請求項
5に記載の解凍方法。
【請求項7】
前記特性パラメータは、最適な負荷マッチングの前記マッチングモジュールのインピーダンス値、又は前記組み合わせ番号である、
請求項
6に記載の解凍方法。
【請求項8】
処理対象物の重量を表す前記特性パラメータを取得するステップは、
前記電磁波発生モジュールを制御して、予め設定された初期電力の電磁波信号を発生させるステップと、
候補周波数区間内で前記電磁波信号の周波数を調整し、前記キャビティコンデンサの最適な周波数マッチングを実現する前記電磁波信号の周波数値を決定するステップであって、前記特性パラメータは最適な周波数マッチングを実現する電磁波信号の周波数値であるステップと、を含む、
請求項1に記載の解凍方法。
【請求項9】
加熱装置であって、
処理対象物を収容するキャビティコンデンサと、
前記キャビティコンデンサ内の処理対象物を加熱する電磁波信号を発生させるように構成される電磁波発生モジュールと、
請求項1~
8のいずれか1項に記載の解凍方法を実行するように構成されるコントローラと、を含む、
加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は食品処理の分野に関し、特に電磁波加熱装置を用いた解凍方法及び加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品が冷凍されている間は食品の品質は維持されるが、冷凍された食品は、加工や食用の前に解凍する必要がある。通常、ユーザが食品を解凍しやすくするために、食品の解凍に電磁波加熱装置が利用される。
【0003】
電磁波加熱装置による食品の解凍は、迅速かつ効率的に行うことができるだけでなく、食品の栄養成分の損失も少ない。しかし、従来技術では、ユーザが時間や温度を設定することで解凍終了を判定することが一般的であったが、ユーザに過度の要求があり、解凍が終了した食品の解凍の過不足が生じやすいだけでなく、マイクロ波の水と氷に対する透過・吸収に差があり、食品内部の物質の分布が不均一であるため、融解した領域が吸収するエネルギーが多く、解凍の不均一さや局所的な過熱の問題が生じやすい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の第1の態様の目的は、従来技術の少なくとも1つの技術的欠陥を解決して、加熱装置を用いた解凍方法を提供することである。
【0005】
本発明の第1の態様の更なる目的は、処理対象物の重量をより正確に取得することである。
【0006】
本発明の第1の態様の更に別の目的は、特性パラメータを取得する効率を向上させることである。
【0007】
本発明の第2の態様の目的は、加熱装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の態様によれば、
処理対象物を収容するキャビティコンデンサと、処理対象物を加熱する電磁波信号を発生させる電磁波発生モジュールと、を含み、
ユーザによって入力された解凍指令を受信するステップと、
処理対象物の重量を表す特性パラメータ、前記電磁波信号の電力値、及び、処理対象物の誘電率の変化速度、を取得するステップと、
前記特性パラメータ、前記電力値及び前記変化速度に基づいて、処理対象物の解凍の度合いを決定するステップと、を含む加熱装置を用いた解凍方法を提供する。
【0009】
好ましくは、前記特性パラメータ、電力値及び変化速度に基づいて処理対象物の解凍の度合いを決定する前記ステップは、
前記特性パラメータと前記電力値に基づいて処理対象物の誘電率の変化閾値を決定するステップと、
前記変化速度が前記変化閾値よりも小さい場合、前記電磁波発生モジュールを制御して作動を停止させるステップと、を含む。
【0010】
好ましくは、前記特性パラメータと前記電力値に基づいて処理対象物の誘電率の変化閾値を決定する前記ステップは、
前記特性パラメータと前記電力値に基づいて、予め設定された照合関係に従って対応する変化閾値をマッチングするステップを含み、
前記電力値が同じ場合、前記変化閾値は前記特性パラメータにより表される重量に反比例し、及び/又は
前記特性パラメータにより表される重量が同じ場合、前記変化閾値は前記電力値に比例する。
【0011】
好ましくは、処理対象物の重量を表す特性パラメータを取得するステップは、
前記特性パラメータとして前記キャビティコンデンサの容量値を取得するステップを含む。
【0012】
好ましくは、前記加熱装置は、それ自体のインピーダンスを調整することにより前記電磁波発生モジュールの負荷インピーダンスを調整するマッチングモジュールをさらに含み、
処理対象物の重量を表す特性パラメータを取得するステップは、
前記電磁波発生モジュールを制御して、予め設定された初期電力の電磁波信号を発生させるステップと、
前記マッチングモジュールのインピーダンスを調整して、前記電磁波発生モジュールの最適な負荷マッチングを実現する前記マッチングモジュールのインピーダンス値を決定するステップと、を含む。
【0013】
好ましくは、前記マッチングモジュールは、個別にオンオフ可能な複数のマッチングブランチを含み、
前記マッチングモジュールのインピーダンスを調整して、前記電磁波発生モジュールの最適な負荷マッチングを実現する前記マッチングモジュールのインピーダンス値を決定する前記ステップは、
前記複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせを調べ、前記オンオフ組み合わせのそれぞれに対応する前記電磁波発生モジュールの負荷マッチング度を反映するマッチング度パラメータを取得するステップと、
前記複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせのマッチング度パラメータを比較するステップと、
比較結果から最適な負荷マッチングを実現する前記オンオフ組み合わせを決定するステップと、を含む。
【0014】
好ましくは、前記複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせを調べ、前記オンオフ組み合わせのそれぞれに対応する前記電磁波発生モジュールの負荷マッチング度を反映するマッチング度パラメータを取得する前記ステップは、
前記インピーダンス値に対応する前記複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせの組み合わせ番号を含む事前設定された番号集合を取得するステップと、
前記番号集合に従って前記組み合わせ番号のそれぞれに対応するマッチングブランチのブランチ番号を1つずつ決定し、前記ブランチ番号に基づいて対応するマッチングブランチのオンオフを制御するステップと、を含む。
【0015】
好ましくは、前記特性パラメータは最適な負荷マッチングの前記マッチングモジュールのインピーダンス値、又は前記組み合わせ番号である。
【0016】
好ましくは、処理対象物の重量を表す特性パラメータを取得する前記ステップは、
前記電磁波発生モジュールを制御して、予め設定された初期電力の電磁波信号を発生させるステップと、
候補周波数区間内で前記電磁波信号の周波数を調整し、前記キャビティコンデンサの最適な周波数マッチングを実現する前記電磁波信号の周波数値を決定するステップであって、前記特性パラメータは最適な周波数マッチングを実現する電磁波信号の周波数値であるステップと、を含む。
【0017】
本発明の第2の態様によれば、
処理対象物を収容するキャビティコンデンサと、
前記キャビティコンデンサ内の処理対象物を加熱する電磁波信号を発生させる電磁波発生モジュールと、
以上の何れかに記載の解凍方法を実行するように構成されるコントローラと、を含む加熱装置を提供する。
【0018】
本発明は、電磁波信号の電力、処理対象物の重量、及び処理対象物の誘電率の変化速度に基づいて解凍の度合いを決定するものであり、検知された処理対象物の温度に基づいて処理対象物の解凍の度合いを判断する場合と比較して、検知デバイス自体の精度による影響が小さく、より正確な判断が可能であり、ユーザが解凍後の処理対象物をさらに処理することに有利である。
【0019】
さらに、本発明では、処理対象物の誘電率の変化速度を電磁波信号の電力と処理対象物の重量により決定される変化閾値と比較し、解凍が完了したか否かを判定することにより、処理対象物の解凍が過度に行われることを回避し、特に解凍温度として-4~-1℃が望まれる処理対象物に適しており、解凍後、肉類食材の場合は、血水がなく、切りやすくなり、野菜類食材の場合、水分が浸出することがなく、栄養の損失が少ない。
【0020】
さらに、本発明では、キャビティコンデンサの容量に関連するパラメータ(容量自体、最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュールのインピーダンス値、最適な周波数マッチングを実現する電磁波信号の周波数値など)によって処理対象物の重量を反映することによって、ユーザが経験や測定により処理対象物の重量を手動で入力したり、キャビティコンデンサに計量センサを増設したりする必要がなく、これにより、コストダウンを図ることができるとともに、フォールトトレランスを向上させる。
【0021】
さらに、本発明では、マッチングモジュールの各オンオフ組み合わせ及び各マッチングブランチについてそれぞれ番号を付けることで、電磁波発生モジュールの最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュールのインピーダンス値を決定するときに、オンオフ組み合わせのそれぞれに対応するマッチングブランチを効率的にマッチングしてオンオフを行うことができる。このようにして、処理対象物の特性パラメータの決定にかかる時間を短くし、ユーザエクスペリエンスを大幅に向上させる。特に、本発明の番号付け方法によれば、組み合わせ番号に基づいて、対応する変化閾値を直接マッチングすることができ、これにより、制御のプロセスを簡素化させ、さらに処理対象物の特性パラメータの決定にかかる時間を短くする。
【0022】
添付の図面と併せて本発明の具体的な実施例についての下記の詳細な説明から、当業者は本発明の上記及び他の目的、利点及び特徴をより理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
以下、図面を参照して本発明のいくつかの特定の実施例を限定的ではなく例示的に詳細に説明する。図面における同じ符号は、同一又は類似の部材又は部分を示す。当業者が理解できるように、これらの図面は必ずしも一定の縮尺で描かれたものではない。
【
図1】本発明の一実施例に係る加熱装置の構造概略図である。
【
図3】本発明の一実施例に係るマッチングモジュールの回路概略図である。
【
図4】本発明の一実施例に係る加熱装置を用いた解凍方法の概略的なフローチャートである。
【
図5】本発明の一実施例に係る加熱装置を用いた解凍方法の詳細なフローチャートである。
【
図6】本発明の別の一実施例に係る処理対象物の誘電率の変化閾値の決定の概略的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1は、本発明の一実施例に係る加熱装置100の構造概略図である。
図1に示すように、加熱装置100は、キャビティコンデンサ110と、電磁波発生モジュール120と、コントローラ140と、を含んでもよい。
【0025】
具体的には、キャビティコンデンサ110は、処理対象物150を載置するキャビティと、キャビティ内に設けられる放射極板と、を含んでもよい。いくつかの実施例では、キャビティ内には、放射極板とコンデンサを構成するように、受信極板がさらに設けられてもよい。別のいくつかの実施例では、キャビティは、コンデンサを構成する受信極板及び放射極板として機能する金属で製造されてもよい。
【0026】
電磁波発生モジュール120は、電磁波信号を発生させるとともに、キャビティコンデンサ110の放射極板に電気的に接続され、キャビティコンデンサ110内で電磁波を発生させ、キャビティコンデンサ110内の処理対象物150を加熱するように構成されてもよい。
【0027】
図2は、
図1におけるコントローラ140の構造概略図である。
図2に示すように、コントローラ140は、処理ユニット141と記憶ユニット142を含んでもよい。これらのうち、記憶ユニット142にコンピュータプログラム143が記憶されており、コンピュータプログラム143は処理ユニット141によって実行されて、本発明の実施例の制御方法を実現する。
【0028】
特に、処理ユニット141は、ユーザによって入力された解凍指令を受信すると、処理対象物150の重量を表す特性パラメータ、処理対象物150を加熱する電磁波信号の電力値(即ち、加熱電力)、及び、処理対象物150の誘電率の変化速度を取得し、さらに特性パラメータ、加熱電力及び処理対象物150の誘電率の変化速度に基づいて、処理対象物150の解凍の度合いを決定するように構成されてもよい。
【0029】
本発明の加熱装置100は、処理対象物150を加熱する電磁波信号の電力、処理対象物150の重量、及び処理対象物150の誘電率の変化速度に基づいて、解凍の度合いを決定するものであり、検知された処理対象物150の温度に基づいて処理対象物150の解凍の度合いを判断する場合と比較して、検知デバイス自体の精度による影響が小さく、より正確な判断が可能であり、ユーザが解凍後の処理対象物150をさらに処理することに有利である。
【0030】
いくつかの実施例では、処理ユニット141はさらに、特性パラメータと加熱電力に基づいて、解凍が完了したか否かを判断するために、処理対象物150の誘電率の変化閾値を決定してもよい。
【0031】
処理対象物150の誘電率の変化速度が変化閾値よりも小さい場合、処理ユニット141は、電磁波発生モジュール120を制御して作動を停止、すなわち、処理対象物150を加熱することを停止させることで、処理対象物150の解凍が過度に行われることを回避してもよい。
【0032】
処理ユニット141は、特性パラメータと加熱電力に基づいて、予め設定された照合関係に従って、対応する変化閾値をマッチングするように構成されてもよい。電力値が同じ場合、変化閾値は特性パラメータにより表される重量にほぼ反比例してもよい。特性パラメータにより表される重量が同じ場合、変化閾値は電力値にほぼ比例し、これにより、様々な種類や重量の食材に適用でき、解凍の過不足を回避することができる。照合関係は式や対照表などであってもよい。
【0033】
いくつかの更なる実施例では、処理ユニット141は、処理対象物150の食材カテゴリ別に処理対象物150を加熱する電磁波信号の電力値を決定するように構成されてもよく、これにより、各種の食材の内部物質の含有量が異なることによる加熱の不均一さや局所的な過熱を低減させる。
【0034】
食材カテゴリはユーザによって入力されてもよいし、画像認識やスペクトル認識などにより判定されてもよい。食材カテゴリごとに少なくとも1つの食材品種が含まれてもよく、これにより、フォールトトレランスを向上させ、ユーザへの要件を低下させる。
【0035】
変化閾値は、具体的には、様々な種類や重量の処理対象物150について各加熱電力での加熱実験を行い、処理対象物150の-4~-1℃での誘電率の変化速度を検出することにより決定されてもよく、これにより、解凍が完了したか否かの判断の正確性を向上させ、解凍後、肉類食材の場合、血水がなく、切りやすく、野菜類食材の場合、水分が流出することがなく、栄養の損失が少ない。
【0036】
いくつかの実施例では、処理対象物150の重量を表す特性パラメータは、キャビティコンデンサ110の容量値であってもよく、ユーザが経験や測定により処理対象物150の重量を手動で入力したり、キャビティコンデンサ110に計量センサを増設したりする必要がなく、これにより、コストダウンを図ることができるとともに、フォールトトレランスを向上させる。
【0037】
いくつかの更なる実施例では、加熱装置100は、マッチングモジュール130をさらに含む。マッチングモジュール130は、電磁波発生モジュール120とキャビティコンデンサ110との間に直列接続されるか、又は、キャビティコンデンサ110の両端に並列接続され、しかも、それ自体のインピーダンスを調整することにより電磁波発生モジュール120の負荷インピーダンスを調整するように構成されてもよい。これにより、負荷マッチングを実現し、加熱効率を高める。
【0038】
処理ユニット141は、電磁波発生モジュール120を制御して、予め設定された初期電力の電磁波信号を発生させ、マッチングモジュール130のインピーダンスを調整して負荷マッチングを行い、電磁波発生モジュール120の最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュール130のインピーダンス値を決定し、さらに、最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュール130のインピーダンス値に基づいて、キャビティコンデンサ110の容量を決定するか、又は最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュール130のインピーダンス値をそのまま特性パラメータとするように構成されてもよい。
【0039】
マッチングモジュール130は、個別にオンオフ可能な複数のマッチングブランチを含んでもよい。処理ユニット141は、さらに、複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせを調べ、オンオフ組み合わせのそれぞれに対応する電磁波発生モジュール120の負荷マッチング度を反映するマッチング度パラメータを取得し、複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせのマッチング度パラメータを比較し、比較結果から最適な負荷マッチングを実現するオンオフ組み合わせ及びこのオンオフ組み合わせに対応するインピーダンス値を決定するように構成されてもよい。
【0040】
具体的には、記憶ユニット142には事前設定された番号集合が記憶されていてもよく、番号集合は複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせの組み合わせ番号を含んでもよく、そして、組み合わせ番号はマッチングモジュール130のインピーダンス値に対応する。処理ユニット141は、さらに、加熱指令を取得すると、事前設定された番号集合を取得し、番号集合に従って組み合わせ番号のそれぞれに対応するマッチングブランチのブランチ番号を1つずつ決定し、ブランチ番号に基づいて対応するマッチングブランチのオンオフを制御するように構成されてもよく、これによって、複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせが調べられる。
【0041】
本発明の加熱装置100は、マッチングモジュール130の各オンオフ組み合わせ及び各マッチングブランチについてそれぞれ番号を付けることで、電磁波発生モジュール120の最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュール130のインピーダンス値を決定するときに、オンオフ組み合わせのそれぞれに対応するマッチングブランチを効率的にマッチングしてオンオフを行うことができる。このようにして、キャビティコンデンサ110の容量の決定にかかる時間を短くし、ユーザエクスペリエンスを大幅に向上させる。
【0042】
本実施例では、特性パラメータは、最適な負荷マッチングのマッチングモジュール130のインピーダンス値、又は組み合わせ番号としてもよく、これにより、制御のプロセスを簡素化し、処理対象物150の特性パラメータの決定にかかる時間をさらに短くする。
【0043】
複数のマッチングブランチのブランチ番号は順次定数Aの0~n-1二乗であってもよく、ブランチ番号だけでオンになった一意なマッチングブランチを決定できるように、組み合わせ番号は、このオンオフ組み合わせのうちオンになったマッチングブランチのブランチ番号の和としてもよい。ここで、定数Aは2、3又は4などであってもよく、nはマッチングブランチの数である。本発明では、定数Aは番号の占める記憶スペースを減少し、マッチング効率を高めることから、2としてもよい。
【0044】
図3は、本発明の一実施例に係るマッチングモジュール130の回路概略図である。
図3に示すように、いくつかの更なる実施例では、マッチングモジュール130は、電磁波発生モジュール120とキャビティコンデンサ110との間に直列接続される第1マッチングユニット131と、一端が第1マッチングユニット131とキャビティコンデンサ110との間に電気的に接続されるとともに他端が接地する第2マッチングユニット132と、を含んでもよい。これらのうち、第1マッチングユニット131及び第2マッチングユニット132は、それぞれ並列接続された複数のマッチングブランチを含んでもよく、また、各マッチングブランチは1つの固定コンデンサと1つのスイッチを含み、これにより、回路を簡素化させるとともに、マッチングモジュール130の信頼性を向上させて調整範囲を広げ、取得した最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュール130のインピーダンス値を大きくする。
【0045】
第1マッチングユニット131及び第2マッチングユニット132の複数の第2マッチングユニット132の複数の固定コンデンサの容量値が全て異なってもよい。また、第2マッチングユニット132の最小固定コンデンサの容量値が、第1マッチングユニット131の最大固定コンデンサの容量値よりも大きくてもよい。複数のブランチ番号は対応するマッチングブランチの容量値の昇順で増大してもよい。
【0046】
図3に示すように、第1マッチングユニット131のコンデンサC
1、C
2、…、C
aの容量値は順次増大し、第2マッチングユニット132のコンデンサC
x1、C
x2、…、C
xb(ただし、a+b=n)の容量値は順次増大し、かつ、コンデンサC
x1の容量値はコンデンサC
aの容量値よりも大きい。定数Aを2とした実施例では、C
1、C
2、…、C
a、C
x1、C
x2、…、C
xbに対応するマッチングブランチには2
0、2
1、…、2
a-1、2
a、2
a+1、…、2
n-1という番号が順次付けられてもよい。
【0047】
共振周波数の計算式f=1/(2π・sqrt(L・C))によれば、同じ加熱装置100(インダクタンスLは一定)では、キャビティコンデンサ110に異なる処理対象物150が配置されることにより容量値Cが変化した場合、このキャビティコンデンサ110に適した共振周波数fも変化する。他のいくつかの実施例では、電磁波発生モジュール120は可変周波数源と電力増幅器を含んでもよい。
【0048】
処理ユニット141は、加熱指令を取得すると、電磁波発生モジュール120を制御して、予め設定された初期電力の電磁波信号を発生させ、候補周波数区間内で電磁波発生モジュール120による電磁波信号の周波数を調整し、キャビティコンデンサ110の最適な周波数マッチングを実現する電磁波信号の周波数値を決定し、さらに最適な周波数マッチングを実現する周波数値に基づいて、キャビティコンデンサ110の容量を決定するか、又は最適な周波数マッチングを実現する周波数値をそのまま特性パラメータとするように構成されてもよい。
【0049】
候補周波数区間の最小値は32~38MHzであってもよく、最大値は42~48MHzであってもよく、これによって、電磁波の透過性を向上させ、均一な加熱を図る。例えば、候補周波数区間は32~48MHz、35~48MHz、35~45MHz、38~45MHz、38~42MHzなどである。
【0050】
処理ユニット141は、2分法によって候補周波数区間内で電磁波信号の周波数を調整し、最適な周波数マッチングを実現する周波数近似区間を最小近似区間まで徐々に狭め、最適な周波数マッチングを実現する電磁波信号の周波数値を得るように構成されてもよい。
【0051】
具体的には、処理ユニット141は、電磁波信号の周波数を周波数近似区間の最小値、中央値及び最大値に調整し、各周波数に対応する、キャビティコンデンサ110の周波数マッチング度を表すマッチング度パラメータをそれぞれ取得して比較し、比較結果から周波数近似区間を再度決定し、周波数近似区間が最小近似区間となるまで繰り返し、電磁波信号の周波数を最小近似区間の最小値、中央値及び最大値に調整し、各周波数に対応する、キャビティコンデンサ110の周波数マッチング度を表すマッチング度パラメータをそれぞれ取得して比較し、比較結果から最適周波数値を決定するように構成されてもよい。ここで、初期周波数近似区間は前述候補周波数区間であってもよい。
【0052】
本発明の加熱装置100は、2分法によって候補周波数区間内で最適な周波数マッチングを実現する周波数値を決定することによって、最適周波数値を含む区間の範囲を効率的に縮小させ、最適周波数値を効率的に特定することができ、キャビティコンデンサ110の容量の決定に必要な時間を短くし、ユーザエクスペリエンスを大幅に向上させる。
【0053】
なお、本発明では、最小近似区間は特定の周波数範囲の区間ではなく、周波数近似区間の最小範囲、すなわち、最適周波数値の精度である。いくつかの実施例では、最小近似区間は、0.2~20KHzのいずれかの数値、例えば、0.2KHz、1KHz、5KHz、10KHz、又は20KHzであってもよい。電磁波信号の周波数を調整する2つの隣接する時間間隔は10~20ms、例えば、10ms、15ms、又は20msなどであってもよい。
【0054】
いくつかの実施例では、可変周波数源は電圧制御発振器であってもよく、その入力電圧が出力周波数に対応する。処理ユニット141は、電圧制御発振器の入力電圧に基づいて、キャビティコンデンサ110の容量を決定するか、又はこの入力電圧をそのまま特性パラメータとするように構成されてもよい。
【0055】
本発明では、電磁波発生モジュール120の最適な負荷マッチング及びキャビティコンデンサ110の最適な周波数マッチングとは、同じ加熱装置100において電磁波発生モジュール120がキャビティコンデンサ110に割り当てられる出力電力の割合が最も大きいことを意味する。
【0056】
本発明では、予め設定された初期電力は、10~20W、例えば、10W、15W又は20Wであってもよく、エネルギーを節約しつつ、最適な負荷マッチングを実現する正確なインピーダンス値又は最適な周波数マッチングを実現する周波数値を取得する。
【0057】
いくつかの実施例では、加熱装置100は、電磁波発生モジュール120によって出力される順方向電力信号と電磁波発生モジュール120に戻る逆方向電力信号をリアルタイムで監視するために、キャビティコンデンサ110と電磁波発生モジュール120との間に直列接続される双方向カプラをさらに含んでもよい。
【0058】
処理ユニット141は、マッチングモジュール130のインピーダンス値又は電磁波信号の周波数を調整するたびに、電磁波発生モジュール120によって出力される順方向電力信号と電磁波発生モジュール120に戻る逆方向電力信号を取得し、順方向電力信号と逆方向電力信号に基づいてマッチング度パラメータを計算するように構成されてもよい。
【0059】
マッチング度パラメータは、式S11=-20log(逆方向電力/順方向電力)により算出された反射損失S11であってもよく、本実施例では、反射損失S11の値が小さいほど、電磁波発生モジュール120の負荷マッチング度又はキャビティコンデンサ110の周波数のマッチング度が高いことを示し、最小反射損失S11に対応するインピーダンス値又は周波数値は最適な負荷マッチングを実現するインピーダンス値又は最適な周波数マッチングを実現する周波数値である。
【0060】
マッチング度パラメータは、式:電磁波吸収率=(1-逆方向電力/順方向電力)により算出される電磁波吸収率であってもよく、本実施例では、電磁波吸収率の値が大きいほど、電磁波発生モジュール120の負荷マッチング度又はキャビティコンデンサ110を反映する周波数マッチング度が高く、最大電磁波吸収率に対応するインピーダンス値又は周波数値は最適な負荷マッチングを実現するインピーダンス値又は最適な周波数マッチングを実現する周波数値である。
【0061】
マッチング度パラメータは、電磁波発生モジュール120によってキャビティコンデンサ110に割り当てる出力電力の割合を表す他のパラメータであってもよい。
【0062】
また更なる実施例では、キャビティコンデンサ110の容量は静電容量測定装置によって直接測定されてもよい。
【0063】
図4は、本発明の一実施例に係る加熱装置100を用いた解凍方法の概略的なフローチャートである。
図4に示すように、本発明の上記の実施例のいずれか1つに係るコントローラ140によって実行される加熱装置100を用いた解凍方法は、ステップS402~ステップS406を含んでもよい。
ステップS402:ユーザによって入力された解凍指令を受信する。
ステップS404:処理対象物150の重量を表す特性パラメータ、処理対象物150を加熱する電磁波信号の電力値、及び処理対象物150の誘電率の変化速度を取得する。
ステップS406:特性パラメータ、電力値及び変化速度に基づいて処理対象物150の解凍の度合いを取得する。
【0064】
本発明の解凍方法は、電磁波信号の電力、処理対象物150の重量、及び処理対象物150の誘電率の変化速度に基づいて解凍の度合いを決定するものであり、検知された処理対象物150の温度に基づいて処理対象物150の解凍の度合いを判断する場合と比較して、検知デバイス自体の精度による影響が小さく、より正確な判断が可能であり、ユーザが解凍後の処理対象物150をさらに処理することに有利である。
【0065】
いくつかの実施例では、ステップS406は、
特性パラメータ、処理対象物150を加熱する電磁波信号の電力値に基づいて処理対象物150の誘電率の変化閾値を決定するステップと、
処理対象物150の誘電率の変化速度をリアルタイムで監視し、変化速度が変化閾値よりも小さい場合、電磁波発生モジュール120を制御して作動を停止させるステップと、を含む。
【0066】
ここで、変化閾値は特性パラメータ、加熱電力を、予め設定された照合関係に従ってマッチングすることにより決定されてもよく、加熱電力が同じ場合、変化閾値は特性パラメータにより表される重量に反比例する。特性パラメータにより表される重量が同じ場合、変化閾値は加熱電力に比例する。
【0067】
処理対象物150の重量を表す特性パラメータは、処理対象物150がキャビティに入られた後のキャビティコンデンサ110の容量そのもの、最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュール130のインピーダンス値、又は最適な周波数マッチングを実現する電磁波信号の周波数値などであってもよく、ユーザが経験又は測定により処理対象物150の重量を手動で入力したり、キャビティコンデンサ110に計量センサを増設したりする必要がなく、これにより、コストダウンを図ることができるとともに、フォールトトレランスを向上させる。
【0068】
いくつかの実施例では、処理対象物150の重量を表す特性パラメータを取得するステップは、
電磁波発生モジュール120を制御して、予め設定された初期電力の電磁波信号を発生させるステップと、
マッチングモジュール130のインピーダンスを調整して、電磁波発生モジュール120の最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュール130のインピーダンス値を決定し、最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュール130のインピーダンス値に基づいて、キャビティコンデンサ110の容量を決定するか、又は最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュール130のインピーダンス値をそのまま特性パラメータとするステップと、を含んでもよい。
【0069】
具体的には、マッチングモジュール130のインピーダンスを調整して電磁波発生モジュール120の最適な負荷マッチングを実現するマッチングモジュール130のインピーダンス値を決定するステップは、複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせを調べ、オンオフ組み合わせのそれぞれに対応する、電磁波発生モジュール120の負荷マッチング度を反映するマッチング度パラメータを取得し、複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせのマッチング度パラメータを比較し、比較結果から最適な負荷マッチングを実現するオンオフ組み合わせを決定するようにしてもよい。
【0070】
図5は、本発明の一実施例に係る加熱装置100を用いた解凍方法の詳細なフローチャートである(本発明の明細書の図面において、「Y」は「はい」を表し、「N」は「いいえ」を表す)。
図5に示すように、本発明の一実施例の加熱装置100を用いた解凍方法は以下の詳細なステップを含んでもよい。
【0071】
ステップS502:ユーザによって入力された解凍指令を取得する。
【0072】
ステップS504:処理対象物150の食材カテゴリを取得する。このステップでは、食材カテゴリはユーザによって入力されてもよいし、画像認識やスペクトル認識などにより判定されてもよい。食材カテゴリごとに少なくとも1つの食材品種が含まれてもよく、これにより、フォールトトレランスを向上させ、ユーザへの要件を低下させる。
【0073】
ステップS506:食材カテゴリ別に処理対象物150を加熱する電磁波信号の加熱電力を決定する。これにより、各種の食材の内部物質の含有量が異なることによる加熱のムラや局所の過熱を低減させる。
【0074】
ステップS508:電磁波発生モジュール120を制御して、予め設定された初期電力の電磁波信号を発生させる。
【0075】
ステップS510:事前設定された番号集合を取得する。
【0076】
ステップS512:番号集合に従って組み合わせ番号のそれぞれに対応するマッチングブランチのブランチ番号を1つずつ決定し、ブランチ番号に基づいて対応するマッチングブランチのオンオフを制御し、オンオフ組み合わせのそれぞれに対応するマッチングブランチのオンオフを行って、電磁発生モジュールによって出力される順方向電力信号と電磁波発生モジュール120に戻る逆方向電力信号を取得し、順方向電力信号と逆方向電力信号に基づいてマッチング度パラメータを算出する。これによって、オンオフ組み合わせのそれぞれに対応するマッチングブランチを効率的にマッチングさせてオンオフを行うことができる。このようにして、キャビティコンデンサ110の容量の決定にかかる時間を短くする。
【0077】
ステップS514:複数のマッチングブランチのオンオフ組み合わせのマッチング度パラメータを比較する。
【0078】
ステップS516:比較結果から最適な負荷マッチングを実現するオンオフ組み合わせを決定する。
【0079】
ステップS518:最適な負荷マッチングを実現するオンオフ組み合わせの組み合わせ番号及び加熱電力に基づいて、予め設定された照合関係に従って、処理対象物150の誘電率の変化閾値をマッチングする。これにより、制御プロセスを簡素化させ、さらに処理対象物150の特性パラメータの決定にかかる時間を短くする。
【0080】
ステップS520:電磁波発生モジュール120を制御して、加熱電力を電力とした電磁波信号を発生させる。
【0081】
ステップS522:処理対象物150の誘電率の変化速度を取得する。
【0082】
ステップS524:処理対象物150の誘電率の変化速度が変化閾値よりも小さいか否かを判断する。変化閾値よりも小さい場合、ステップS526を実行し、それ以外の場合、ステップS522に戻る。
【0083】
ステップS526:電磁波発生モジュール120を制御して作動を停止させる。ステップS502に戻って、次の解凍サイクルを開始する。
【0084】
別のいくつかの実施例では、前記の実施例と比較して、処理対象物150の重量を表す特性パラメータを取得するステップは、
電磁波発生モジュール120を制御して、予め設定された初期電力の電磁波信号を発生させるステップと、
候補周波数区間内で電磁波信号の周波数を調整し、キャビティコンデンサ110の最適な周波数マッチングを実現する電磁波信号の周波数値を決定し、さらに最適な周波数マッチングを実現する周波数値に基づいてキャビティコンデンサ110の容量を決定するか、又は最適な周波数マッチングを実現する周波数値をそのまま特性パラメータとするステップと、を含む点が相違する。
【0085】
図6は、本発明の別の実施例に係る処理対象物150の誘電率の変化閾値の決定の概略的なフローチャートである。
図6に示すように、本発明の別の実施例において処理対象物150の誘電率の変化閾値を決定するステップは、ステップS602~ステップS612を含んでもよい。
【0086】
ステップS602:初期周波数近似区間を取得する。ここで、初期周波数近似区間は前述候補周波数区間であってもよい。
【0087】
ステップS604:電磁波信号の周波数を周波数近似区間の最小値、中央値及び最大値に調整し、各周波数に対応する、キャビティコンデンサ110の周波数マッチング度を反映するマッチング度パラメータを取得する。
【0088】
ステップS606:各周波数のマッチング度パラメータを比較する。
【0089】
ステップS608:周波数近似区間が最小近似区間であるか否かを判断する。最小近似区間である場合、ステップS610を実行し、それ以外の場合、ステップS612を実行する。
【0090】
ステップS610:比較結果から最適な周波数マッチングを実現する電磁波信号の周波数値を決定し、この周波数値及び加熱電力に基づいて、予め設定された照合関係に従って処理対象物150の誘電率の変化閾値をマッチングする。
【0091】
ステップS612:比較結果から周波数近似区間を再度決定し、最適な周波数マッチングを実現する周波数近似区間を最小近似区間まで徐々に狭め、最適周波数値を含む区間の範囲を効率的に縮小させ、最適周波数値を効率的に決定する。ステップS604に戻る。
【0092】
以上、当業者にとって明らかなように、本発明の複数の例示的な実施例を本明細書において例示的に説明したが、本発明の主旨及び範囲を逸脱することなく、本発明の開示内容に基づいて本発明の原理に合致する多くの変形や修正を直接決定したり、多くの他の変形や修正を導出することができる。したがって、本発明の範囲はこれらの変形や修正を全て包含するものとして理解され、見なされるべきである。