(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-18
(45)【発行日】2024-04-26
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/018 20230101AFI20240419BHJP
G06Q 20/20 20120101ALI20240419BHJP
G07G 1/00 20060101ALI20240419BHJP
【FI】
G06Q30/018 342
G06Q20/20
G07G1/00 331B
(21)【出願番号】P 2023207430
(22)【出願日】2023-12-08
【審査請求日】2023-12-08
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和 5年 3月22日にメガセンタートライアル上熊本店(熊本県熊本市西区上熊本三丁目8番1)にて公開
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505391160
【氏名又は名称】株式会社トライアルカンパニー
(74)【代理人】
【識別番号】110001461
【氏名又は名称】弁理士法人きさ特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】荒木 翼
(72)【発明者】
【氏名】石松 将
(72)【発明者】
【氏名】王 亜飛
(72)【発明者】
【氏名】王 佳
(72)【発明者】
【氏名】呂 軒軒
【審査官】鈴木 和樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2023-031766(JP,A)
【文献】特開2015-082167(JP,A)
【文献】特開2023-084585(JP,A)
【文献】特開2023-173173(JP,A)
【文献】特開2023-118460(JP,A)
【文献】特開2023-007363(JP,A)
【文献】特開2023-065267(JP,A)
【文献】特開2010-039545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G07G 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が商品の登録及び会計を行うセルフレジ装置と、
前記セルフレジ装置を操作する前記利用者の画像を撮影する撮影装置と、
前記セルフレジ装置が配置された店舗で使用される店内管理装置と、
前記撮影装置により撮影された前記画像と、前記セルフレジ装置の操作履歴とに基づき、過去に商品の登録漏れがあったと判定された特定利用者の識別情報を含む判定結果を記憶する記憶装置と、
前記判定結果に基づき、前記店舗を訪れた利用者が前記特定利用者であるか否かを判定し、前記特定利用者である場合に前記店内管理装置に通知する制御装置と、を備え
、
前記判定結果は、前記特定利用者の過去の前記登録漏れの種別に関する情報を含み、
前記種別は、故意による不正ありと、故意ではない過失と、を含み、
前記操作履歴に基づき、利用者が前記セルフレジ装置において商品の数量の入力又は直前取消の操作を行った上で商品の登録漏れが発生した場合、前記種別が故意による不正ありと判定される監視システム。
【請求項2】
前記制御装置は、前記判定結果と、前記セルフレジ装置に入力された前記利用者の識別情報と、に基づき、前記店舗を訪れた利用者が前記特定利用者であるか否かを判定する請求項1に記載の監視システム。
【請求項3】
前記制御装置は、前記撮影装置によって撮影された前記画像に基づき、前記店舗を訪れた利用者が前記特定利用者であるか否かを判定する請求項1に記載の監視システム。
【請求項4】
前記利用者の過去の複数の会計における商品の登録漏れ回数、又は1回の会計における商品漏れ回数に基づき、故意による不正ありと、故意ではない過失と、が判定される請求項1~3の何れか一項に記載の監視システム。
【請求項5】
前記制御装置は、前記特定利用者の前記識別情報と、前記操作履歴とに基づき、前記特定利用者の将来の来店日を推定し、前記店内管理装置に通知する請求項1~3の何れか一項に記載の監視システム。
【請求項6】
前記店内管理装置は、前記セルフレジ装置の前記操作履歴をリアルタイムで表示する表示装置を備える請求項1~3の何れか一項に記載の監視システム。
【請求項7】
前記制御装置は、前記特定利用者の前記種別を前記店内管理装置に送信し、
前記店内管理装置は、前記特定利用者の前記種別を表示する表示装置を備える請求項1~3の何れか一項に記載の監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルフレジにおける不正会計の監視を行う監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンビニエンスストア又はスーパーマーケット等の店舗において、利用者が購入する商品を自ら登録し、会計を行うセルフレジシステムの導入が進んでいる。セルフレジシステムにおいては、不慣れな利用者による商品の登録漏れ、又は利用者によって故意に商品の登録を行わないなどの不正会計が発生することがある。そこで、例えば特許文献1には、秤台によって計測された全商品の総重量と、利用者によって登録された商品の総重量とを照合し、照合結果が適切でない場合にエラー画面を表示することで、利用者による不正会計を抑制することが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されるように商品の重量を用いて登録漏れを確認する場合、利用者が故意に登録しない商品を秤台に載せない場合、又は登録した商品と異なる同じ重量の商品を秤台に載せた場合等は、照合結果が適切であると誤って判断してしまう恐れがある。また、店舗の店員が利用者の会計の様子を監視することで、不正会計を抑制することは可能であるものの、この場合は店舗の人員を削減することができず、セルフレジシステムの利点が得られない。
【0005】
本発明は、上記のような課題を解決するためのものであり、利用者による商品の不正会計を効率的に削減することができる監視システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る監視システムは、利用者が商品の登録及び会計を行うセルフレジ装置と、セルフレジ装置を操作する利用者の画像を撮影する撮影装置と、セルフレジ装置が配置された店舗で使用される店内管理装置と、撮影装置により撮影された画像と、セルフレジ装置の操作履歴とに基づき、過去に商品の登録漏れがあったと判定された特定利用者の識別情報を含む判定結果を記憶する記憶装置と、判定結果に基づき、店舗を訪れた利用者が特定利用者であるか否かを判定し、特定利用者である場合に店内管理装置に通知する制御装置と、を備え、判定結果は、特定利用者の過去の登録漏れの種別に関する情報を含み、種別は、故意による不正ありと、故意ではない過失と、を含み、操作履歴に基づき、利用者がセルフレジ装置において商品の数量の入力又は直前取消の操作を行った上で商品の登録漏れが発生した場合、種別が故意による不正ありと判定される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の監視システムによれば、過去に商品の登録漏れがあったと判定された特定利用者の判定結果に基づいて、店舗を訪れた利用者が特定利用者であるか否かを判定し、店内管理装置に通知することで、利用者による不正会計を効率的に削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る監視システムの概略構成図である。
【
図2】実施の形態1に係る監視システムの制御ブロック図である。
【
図3】実施の形態1に係る監視システムの動作の流れを説明する図である。
【
図4】実施の形態1に係る不正判定装置による不正判定処理の流れを示すフローチャートである。
【
図5】実施の形態2に係る監視システムの動作の流れを説明する図である。
【
図6】実施の形態2に係る管理サーバによって抽出された特定利用者の過去の来店履歴の一例である。
【
図7】実施の形態3に係る監視システムの動作の流れを説明する図である。
【
図8】実施の形態3における店内管理装置に表示される操作履歴画面の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態の監視システム100について説明する。なお、各図中、同一又は相当する部分には、同一符号を付して、その説明を適宜省略又は簡略化する。また、各図に記載の構成について、その形状、大きさ及び配置等は、本発明の範囲内で適宜変更することができる。
【0010】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る監視システム100の概略構成図である。本実施の形態の監視システム100は、コンビニエンスストア又はスーパーマーケットなどの店舗における利用者の不正会計の監視に用いられるシステムである。
図1に示すように、監視システム100は、複数のセルフレジ装置1と、複数の撮影装置2と、店内管理装置3と、管理サーバ4と、不正判定装置5と、からなる。複数のセルフレジ装置1、複数の撮影装置2、店内管理装置3、管理サーバ4、及び不正判定装置5は、WAN又はインターネットなどのネットワーク200を介して有線又は無線通信可能に接続されている。
【0011】
複数のセルフレジ装置1、複数の撮影装置2、及び店内管理装置3は、店舗に設けられている。なお、
図1では、1台の店内管理装置3が示されているが、店舗において複数の店内管理装置3が使用されてもよい。また、
図1では、1つの店舗に設けられた複数のセルフレジ装置1、複数の撮影装置2、及び店内管理装置3が示されているが、監視システム100は、複数の店舗に設けられた複数のセルフレジ装置1、複数の撮影装置2、及び店内管理装置3を備えてもよい。管理サーバ4及び不正判定装置5は、複数の店舗を統括するシステム本部などに設けられている。
【0012】
セルフレジ装置1は、店舗の会計エリアに設置され、店舗に買い物に訪れた利用者が自ら商品の登録及び会計を行うために用いられるPOS端末である。撮影装置2は、セルフレジ装置1を操作する利用者の画像を撮影するカメラ機能及び通信機能を備えた装置である。撮影装置2は、セルフレジ装置1の上部もしくは側部、又は会計エリアの壁などに設置される。撮影装置2とセルフレジ装置1とは、1対1で対応して設けられてもよいし、複数のセルフレジ装置1に対して1つの撮影装置2が設けられてもよい。
【0013】
店内管理装置3は、店舗の従業員によって操作されるタブレット、スマートフォン、又はPC等の情報端末である。店内管理装置3は、管理サーバ4から送信される不正会計に関する情報を表示する。
【0014】
管理サーバ4は、不正会計の監視を行うために用いられる利用者のセルフレジ装置1の操作履歴を含む操作履歴情報、及び撮影装置2によって撮影された利用者の画像を含む画像情報を記憶及び管理する。また、本実施の形態の管理サーバ4は、不正判定装置5から送信される、利用者の不正会計に関する判定結果及び不正情報を記憶及び管理するとともに、記憶された情報に基づいて店舗の来店者の監視を行う。不正判定装置5は、PC等のコンピュータであり、判定作業者によって管理サーバ4に記憶される操作履歴情報及び画像情報に基づいて、利用者の不正会計の有無を判定するために用いられる。
【0015】
図2は、実施の形態1に係る監視システム100の制御ブロック図である。
図2に示すように、セルフレジ装置1は、制御装置11と、表示装置12と、操作装置13と、読取装置14と、印刷装置15と、決済装置16と、通信装置17と、を備えている。
【0016】
制御装置11は、セルフレジ装置1の各部を制御する。制御装置11は、制御に必要なデータ及びプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPUなどのプロセッサと、を備えるコンピュータ、ASICもしくはFPGAなどの専用の処理回路、又はその両方で構成される。制御装置11は、読取装置14によって読み取られた商品を購入された商品として登録し精算する。また、制御装置11は、登録された商品の決済処理を行う。本実施の形態のセルフレジ装置1では、現金、プリペイドカード、クレジットカード、電子マネー、又はバーコードによる決済が可能となっている。制御装置11は、利用者により現金、プリペイドカード、クレジットカード、電子マネー、又はバーコードによる決済が選択された場合は、決済装置16への入力に対して決済処理を行う。
【0017】
表示装置12は、例えば液晶ディスプレイであり、登録される商品の情報、商品の精算に関する情報等を表示する。操作装置13は、例えば表示装置12と一体に形成されたタッチパネルである。操作装置13は、利用者によって操作され、支払いの指示及び決済方法の選択などが入力される。読取装置14は、レーザ走査線を商品に照射して、商品に付されたバーコードを読み取る装置である。読取装置14は、固定されたスキャナもしくはハンディスキャナ、又はその両方である。読取装置14に読み取られた商品の情報は、制御装置11に送信される。
【0018】
印刷装置15は、制御装置11による決済が終了した場合、利用者が購入した商品の名称、商品の売価、預かり金額及び釣銭金額などの情報が記載されたレシートを印刷して出力する。決済装置16は、カードリーダ、バーコードリーダ、釣札機及び釣銭機を含むものであり、現金、クレジットカード、プリペイドカード、電子マネー、又はバーコードによる支払いを受け付け、必要に応じて釣銭を返却する。
【0019】
通信装置17は、管理サーバ4と双方向通信を行うネットワークインターフェースである。通信装置17は、制御装置11の指示に従い、セルフレジ装置1を利用する利用者のログイン情報及び利用者の操作履歴等を含む操作履歴情報を管理サーバ4へ送信する。なお、通信装置17は、ネットワーク200を介して撮影装置2又は店内管理装置3と双方向通信を行うものであってもよい。
【0020】
撮影装置2は、制御装置21と、カメラ22と、通信装置23と、を備えている。制御装置21は、撮影装置2の各部を制御する。制御装置21は、制御に必要なデータ及びプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPUなどのプロセッサと、を備えるコンピュータ、ASICもしくはFPGAなどの専用の処理回路、又はその両方で構成される。制御装置21は、カメラ22を制御してセルフレジ装置1を操作する利用者の画像を取得する。
【0021】
カメラ22は、セルフレジ装置1を操作する利用者の画像を撮影する。カメラ22によって撮影された画像は、制御装置21に送信される。カメラ22によって撮影される画像は、静止画及び動画の何れであってもよい。
【0022】
通信装置23は、管理サーバ4と双方向通信を行うネットワークインターフェースである。通信装置23は、制御装置21の指示に従い、カメラ22によって撮影された画像と、画像が撮影された日時と、撮影装置2が設置される店舗の識別情報と、撮影対象のセルフレジ装置1の識別情報と、を含む画像情報を管理サーバ4に送信する。なお、通信装置23は、セルフレジ装置1又は店内管理装置3と双方向通信を行うものであってもよい。
【0023】
店内管理装置3は、制御装置31と、表示装置32と、操作装置33と、通信装置34とを備えている。制御装置31は、店内管理装置3の各部を制御する。制御装置31は、制御に必要なデータ及びプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPUなどのプロセッサと、を備えるコンピュータ、ASICもしくはFPGAなどの専用の処理回路、又はその両方で構成される。制御装置31は、管理サーバ4から過去に不正会計を行った利用者の来店情報を受信し、受信した来店情報を表示装置32に表示させる。
【0024】
表示装置32は、例えば液晶ディスプレイであり、制御装置21の指示に従い、管理サーバ4から受信した来店情報を表示する。操作装置33は、例えば表示装置32と一体に形成されたタッチパネルである。従業員は、操作装置33を操作して、表示の選択などを行う。
【0025】
通信装置34は、管理サーバ4と双方向通信を行うネットワークインターフェースである。通信装置34は、管理サーバ4から来店情報を受信する。なお、通信装置34は、セルフレジ装置1又は撮影装置2と双方向通信を行うものであってもよい。
【0026】
管理サーバ4は、制御装置41と、記憶装置42と、通信装置43とを有する。制御装置41は、管理サーバ4の各部を制御する。制御装置41は、制御に必要なデータ及びプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPUなどのプロセッサと、を備えるコンピュータ、ASICもしくはFPGAなどの専用の処理回路、又はその両方で構成される。制御装置41は、セルフレジ装置1及び不正判定装置5から受信した情報を記憶装置42に記憶する。また、制御装置41は、記憶装置42に記憶された情報に基づき、来店した利用者が過去に商品の登録漏れがあった利用者であるか否かを判定し、判定結果を来店情報として店内管理装置3に通知する。
【0027】
記憶装置42は、例えば、ROMもしくはフラッシュメモリ等の不揮発性の半導体メモリ、RAM等の揮発性の半導体メモリ、HDD、又はSSD等で構成され、監視システム100における不正会計の管理に用いられる情報を記憶する。具体的には、記憶装置42は、画像情報データベース421と、操作履歴情報データベース422と、不正情報データベース423とを有している。なお、
図2においては「データベース」を「DB」と略記している。
【0028】
画像情報データベース421は、撮影装置2から送信された画像情報を記憶する。画像情報は、撮影装置2によって撮影された利用者の画像と、画像が撮影された日時と、撮影装置2が設置された店舗の識別情報と、撮影対象のセルフレジ装置1の識別情報とを含む。
【0029】
操作履歴情報データベース422は、セルフレジ装置1から受信した操作履歴情報を記憶する。操作履歴情報データベース422は、1度の会計における複数の操作履歴を、1つの操作履歴情報として記憶する。操作履歴は、操作が行われたセルフレジ装置1の識別情報、セルフレジ装置1が設置された店舗の識別情報、利用者のログイン情報、登録された商品の部門(カテゴリ)、商品コード、商品名、商品点数、及び価格等の登録情報、登録を取り消された商品の部門(カテゴリ)、商品コード、商品名、商品点数、及び価格等の取消情報、各操作が実施された日時等を含む。利用者のログイン情報は、会員番号又はプリペイドカード番号などの識別情報である。
【0030】
不正情報データベース423は、不正判定装置5から受信した判定結果と、不正情報と、を記憶する。判定結果は、過去に商品の登録漏れが確認された利用者の識別情報と、登録漏れの種別とを含む情報である。登録漏れの種別は、利用者が故意に商品の登録を行わなかった場合の「不正あり」と、利用者が不慣れであることによって商品の登録漏れが発生した場合の「過失あり」とがある。不正情報は、商品の登録漏れ発生時の利用者の画像と、その際の操作履歴情報と、を含む。不正情報は、利用者が不正会計を行ったことの証拠として記憶される。
【0031】
通信装置43は、セルフレジ装置1、撮影装置2、店内管理装置3及び不正判定装置5と双方向通信を行うネットワークインターフェースである。通信装置43は、セルフレジ装置1から操作履歴情報を受信し、撮影装置2から画像情報を受信し、不正判定装置5から判定結果及び不正情報を受信する。また、通信装置43は、店内管理装置3に来店情報を送信する。
【0032】
不正判定装置5は、制御装置51と、表示装置52と、操作装置53と、通信装置54とを備えている。制御装置51は、不正判定装置5の各部を制御する。制御装置51は、制御に必要なデータ及びプログラムを記憶するメモリと、プログラムを実行するCPUなどのプロセッサと、を備えるコンピュータ、ASICもしくはFPGAなどの専用の処理回路、又はその両方で構成される。制御装置51は、利用者の不正会計の有無を判定する判定作業者からの入力に応じて、管理サーバ4に対して画像情報及び操作履歴情報を要求し、管理サーバ4から受信した画像情報及び操作履歴情報を表示装置52に表示させる。また、制御装置51は、判定作業者により入力された判定結果と不正情報とを管理サーバ4に送信する。なお、以下の説明において過去に商品の登録漏れがあった利用者を「特定利用者」と称する。特定利用者は、不正判定装置5の判定結果において、「不正あり」又は「過失あり」と判定された利用者である。
【0033】
表示装置52は、例えば液晶ディスプレイである。表示装置52は、管理サーバ4から受信した画像情報及び操作履歴情報を表示する。操作装置53は、マウス、キーボード、又は表示装置52と一体に形成されたタッチパネルなどである。操作装置53は、判定作業者により判定結果と不正情報とを入力する際に用いられる。
【0034】
通信装置54は、管理サーバ4と双方向通信を行うネットワークインターフェースである。通信装置54は、管理サーバ4から画像情報及び操作履歴情報を受信し、判定結果と不正情報とを管理サーバ4に送信する。
【0035】
図3は、実施の形態1に係る監視システム100の動作の流れを説明する図である。まず、店舗において、利用者によって、セルフレジ装置1が操作され、ログイン及び商品の登録などが行われる。そして、セルフレジ装置1の操作に伴う操作履歴情報が管理サーバ4に送信される(S1)。また、撮影装置2によって、セルフレジ装置1を操作する利用者の画像が撮影され、撮影された画像を含む画像情報が管理サーバ4に送信される(S2)。
【0036】
管理サーバ4は、セルフレジ装置1及び撮影装置2から受信した情報を記憶装置42に記憶する(S3)。具体的には、管理サーバ4は、セルフレジ装置1から受信した操作履歴情報を操作履歴情報データベース422に記憶し、撮影装置2から受信した画像情報を画像情報データベース421に記憶する。ステップS1~S3の処理が繰り返されることで、管理サーバ4の操作履歴情報データベース422及び画像情報データベース421に、複数のセルフレジ装置1及び複数の撮影装置2からの操作履歴情報と画像情報とが蓄積される。
【0037】
そして、不正判定装置5による不正判定処理が行われる(S4)。不正判定処理は、登録の取消などの異常会計が発生した店舗、又はロス率が高い店舗などから、不正会計が疑われる利用者の調査依頼が行われた際に実施される。
図4は、実施の形態1に係る不正判定装置5による不正判定処理の流れを示すフローチャートである。本処理では、まず、管理サーバ4から判定対象の利用者の操作履歴情報が抽出される(S41)。ここでは、判定作業者によって、不正判定装置5に判定対象となる利用者の識別情報が入力され、不正判定装置5から管理サーバ4に入力された識別情報が送信される。判定対象となる利用者の識別情報は、調査依頼の際に判定作業者に連絡される。そして、管理サーバ4にて操作履歴情報データベース422に記憶される操作履歴情報のうち、受信した識別情報に対応する操作履歴情報が抽出され、不正判定装置5に送信される。
【0038】
続いて、管理サーバ4から操作履歴情報に対応する日時及びセルフレジ装置1の画像情報が抽出される(S42)。ここでは、判定作業者によって、抽出された操作履歴情報に対応する日時(操作履歴情報に含まれる操作履歴が実施された日時)及びセルフレジ装置1の識別情報が不正判定装置5に入力され、不正判定装置5から入力された日時及びセルフレジ装置1の識別情報が管理サーバ4に送信される。そして、管理サーバ4にて画像情報データベース421に記憶される画像情報のうち、入力された日時及びセルフレジ装置1の識別情報に対応する画像情報が抽出され、不正判定装置5に送信される。抽出された操作履歴情報及び画像情報は、表示装置52に表示される(S43)。
【0039】
判定作業者は、表示装置52に表示された操作履歴情報と画像情報とを比較し、商品の登録漏れの発生の有無を確認する。例えば、画像において商品が登録後の棚に移動されているにも関わらず、操作履歴情報に登録情報がない場合などに、商品の登録漏れが発生したと判断する。そして、登録漏れが発生した場合、登録漏れが発生した際の画像と操作履歴情報とを不正情報として作成する(S44)。不正情報は、例えばスプレッドシートに画像と操作履歴情報とを貼り付けたものである。
【0040】
判定作業者は、不正情報に基づいて、判定対象の利用者が、「不正なし」、「不正あり」、又は「過失あり」の何れに該当するかを判定し、「不正あり」又は「過失あり」に該当する場合、判定結果として入力する(S45)。一例として、判定作業者は、不正情報が作成されない場合、すなわち判定対象の利用者の画像を確認した結果、1回も登録漏れがない場合は、「不正なし」と判定する。一方、判定作業者は、判定対象の利用者の不正情報が1回でも作成された場合、すなわち商品の登録漏れが1回以上あった場合は、登録漏れの回数に応じて不正あり又は過失ありと判定する。例えば、3回の会計のうち商品の登録漏れが1回のみ発生した場合は故意ではなく「過失あり」と判定し、3回の会計のうち商品の登録漏れが2回以上発生した場合は、故意の「不正あり」と判定する。
【0041】
他の例として、判定作業者は、1回の会計のうち商品登録漏れの回数が購入点数の1/3以上である場合に「不正あり」と判定してもよい。又は、判定作業者は、判定対象の利用者の操作履歴に基づいて「不正あり」か否かを判定してもよい。具体的には、判定作業者は、利用者が商品の数量の入力又は直前取消等のセルフレジ装置1の操作を行った上で、商品の登録漏れが発生した場合には「不正あり」と判定してもよい。
【0042】
図3に戻って、判定作業者によって入力された不正情報と判定結果は、管理サーバ4に送信される(S5)。管理サーバ4は、不正判定装置5から受信した不正情報と判定結果とを不正情報データベース423に記憶する(S6)。ステップS4~S6の処理が繰り返されることで、不正情報データベース423に過去に商品の登録漏れのある特定利用者に関する情報が蓄積される。
【0043】
そして、利用者によって新たにセルフレジ装置1が操作されると、操作履歴情報が管理サーバ4に送信される(S7)。管理サーバ4は、操作履歴情報に含まれるログイン情報と、不正情報データベース423に記憶される判定結果とに基づき、セルフレジ装置1を操作する利用者が特定利用者であるか否かを判定する(S8)。具体的には、管理サーバ4の制御装置41は、ログイン情報に含まれる利用者の識別情報が、判定結果に含まれる特定利用者に識別情報の何れかと一致する場合に、セルフレジ装置1を操作する利用者が特定利用者であると判定する。セルフレジ装置1にログインした利用者が特定利用者でない場合は(S8:NO)、ステップS3に移行し、操作履歴情報が記憶される。
【0044】
一方、セルフレジ装置1にログインした利用者が特定利用者である場合は(S8:YES)、管理サーバ4から店内管理装置3に特定利用者が来店したことを通知する来店情報が送信される(S9)。来店情報は、店内管理装置3に特定利用者が来店したこと、特定利用者の識別情報、特定利用者の種別、及び特定利用者が操作しているセルフレジ装置1の識別情報を含む。そして、店内管理装置3の表示装置52に、来店情報が表示される(S10)。
【0045】
店舗の従業員は、店内管理装置3の表示を見て、過去に商品登録漏れのあった特定利用者が来店したことを知ることができる。また、特定利用者の種別が「過失あり」である場合は、利用者による商品登録のサポートを行い、商品の登録漏れが発生することを防止できる。また、特定利用者の種別が「不正あり」である場合は、特定利用者の会計作業を監視する、又は特定利用者の会計後に全ての商品の会計チェックを行うなどの対応をすることで、不正会計を防止することができる。なお、ステップS1~S6の処理と、ステップS7~S10の処理とは、並行して実施される。
【0046】
以上のように、本実施の形態の監視システム100では、不正判定装置5を用いて、過去の利用者の操作履歴及び画像に基づいて利用者による商品の登録漏れの有無を判定し、管理サーバ4において判定結果を記憶しておく。そして、記憶された判定結果と、来店した利用者の識別情報とに基づいて、来店した利用者が過去に商品の登録漏れがあった特定利用者であるか否かを判定し、店内管理装置3に通知することで、不正会計を効率的に削減することができる。
【0047】
実施の形態2.
実施の形態2の監視システム100について説明する。実施の形態2の監視システム100は、管理サーバ4の動作において、実施の形態1と相違する。実施の形態2の監視システム100の構成及びその他の制御は、実施の形態1と同じである。
【0048】
図5は、実施の形態2に係る監視システム100の動作の流れを説明する図である。本実施の形態においては、実施の形態1と同じステップS1~S6の処理が実施される。また、本実施の形態では、管理サーバ4において、特定利用者の次回以降の将来の来店を推定し、店内管理装置3に推定結果を送信することができる。
【0049】
具体的には、管理サーバ4は、不正判定装置5から判定結果及び不正情報を受信し、不正情報データベース423に記憶すると(S6)、特定利用者の過去の来店履歴を抽出する(S21)。具体的には、管理サーバ4の制御装置41は、不正情報データベース423に記憶された特定利用者の識別情報を用いて、操作履歴情報データベース422に記憶された操作履歴情報から特定利用者に対応する操作履歴情報を抽出する。そして、操作履歴情報に含まれる日時から、特定利用者の過去の来店履歴を抽出する。
【0050】
そして、管理サーバ4は、抽出した過去の来店履歴を用いて、特定利用者の次回の来店日を推定する(S22)。
図6は、実施の形態2に係る管理サーバ4によって抽出された特定利用者の過去の来店履歴の一例である。
図6の例の場合、特定利用者は土曜日に来店する頻度が高いことがわかる。そこで、管理サーバ4の制御装置41は、特定利用者の次回の来店日は、土曜日であると推定する。なお、次回来店日の推定方法は、上記に限定されるものではなく、来店の間隔などに応じて推定してもよい。
【0051】
管理サーバ4は、特定利用者の識別情報と、推定した次回来店日とを含む推定情報を店内管理装置3に送信する(S23)。店内管理装置3は、管理サーバ4から受信した来店情報を表示装置52に表示する(S24)。これにより、店舗の従業員は、推定される特定利用者の来店日を知ることができる。そして、推定される来店日に万引きGメンの派遣を依頼するなど、不正会計を防止するための対策をとることができる。又は、推定された来店時間帯を用いて警戒時間の推定を行い、推定された警戒時間に不正会計を防止するための対策をとってもよい。なお、本実施の形態においても、実施の形態1のステップS7~S10の処理が並行して実施される。
【0052】
以上のように、本実施の形態の監視システム100では、実施の形態1の効果に加え、特定利用者の来店日を推定することで、事前に不正会計を予防する対策をとることができ、不正会計をさらに効率的に削減することができる。
【0053】
実施の形態3.
実施の形態3の監視システム100について説明する。実施の形態3の監視システム100は、店内管理装置3において来店情報が表示された後の動作において、実施の形態1と相違する。実施の形態3の監視システム100の構成及びその他の制御は、実施の形態1と同じである。
【0054】
図7は、実施の形態3に係る監視システム100の動作の流れを説明する図である。本実施の形態においては、実施の形態1と同じステップS1~S10の処理が実施される。そして、本実施の形態では、店内管理装置3において、来店した特定利用者の操作履歴情報をリアルタイムで表示することができる。
【0055】
具体的には、店内管理装置3の操作装置53を介して、操作履歴情報を表示したいセルフレジ装置1の識別情報が入力され(S31)、入力された識別情報に対応するセルフレジ装置1に操作履歴情報が要求される(S32)。ここでは、表示された来店情報に含まれるセルフレジ装置1の識別情報が、店舗の従業員によって店内管理装置3に入力される。
【0056】
そして、入力された識別情報に対応するセルフレジ装置1から店内管理装置3に操作履歴情報が送信される(S33)。店内管理装置3は、セルフレジ装置1から受信した操作履歴情報をリアルタイムで表示装置52に表示する(S34)。
【0057】
セルフレジ装置1の識別情報の入力は、表示装置52に表示される操作履歴画面520を介して実施され、セルフレジ装置1の操作履歴情報は、操作履歴画面520に表示される。
図8は、実施の形態3における店内管理装置3に表示される操作履歴画面520の一例である。
図8に示すように、操作履歴画面520は、セルフレジ装置1の識別情報を入力するための入力部521と、操作履歴情報のうち登録された商品の情報を表示する登録商品表示部522と、操作履歴情報のうち取り消された商品の情報を表示する取消商品表示部523と、を有する。
【0058】
セルフレジ装置1において、商品が登録された場合、登録された商品の情報が登録商品表示部522に表示される。同様に、セルフレジ装置1において、商品の登録が取り消された場合、取り消された商品の情報が取消商品表示部523に表示される。店舗の従業員は、登録商品表示部522及び取消商品表示部523の表示内容と、特定利用者の会計動作とを監視することで、商品の登録漏れの有無を確認することができる。
【0059】
以上のように、本実施の形態の監視システム100では、店内管理装置3に操作履歴情報をリアルタイムに表示することで、店舗の従業員が、リアルタイムで商品の登録漏れが発生したか否かを確認することができる。これにより、不正会計をさらに効率的に削減することができる。なお、上記では、店内管理装置3に操作履歴画面520を表示することとしたが、万引きGメンが所持する端末装置等、店内管理装置3以外の装置に操作履歴画面520を表示してもよい。また、店内管理装置3を撮影装置2と通信可能に接続し、店内管理装置3又は端末装置等に、操作履歴画面520とともに撮影装置2で撮影した特定利用者の画像をリアルタイム表示してもよい。これにより、特定利用者を直接視認できない離れた場所からも、リアルタイムで登録漏れの発生を確認することができる。
【0060】
以上が実施の形態の説明であるが、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で種々に変形又は組み合わせることが可能である。例えば、上記実施の形態では、セルフレジ装置1と撮影装置2とを個別の装置として説明したが、撮影装置2は、セルフレジ装置1に内蔵されていてもよい。また、上記実施の形態では、セルフレジ装置1は店舗の会計エリアに設置されたものとしたが、セルフレジ装置1は、ショッピングカートに取り付けられたタブレット、又はスマートフォンなどの端末であってもよい。この場合は、撮影装置2は、タブレット又はスマートフォンに内蔵されたカメラであってもよい。
【0061】
また、各装置の各機能は、別の装置によって実施されてもよい。例えば、不正判定装置5の不正判定処理は、管理サーバ4によって実施されてもよい。この場合は、不正判定装置5を省略することができる。また、管理サーバ4における特定利用者の来店の判定は、店内管理装置3によって実施されてもよい。さらに、管理サーバ4の記憶装置42に記憶される各データベースの一部又は全ては、管理サーバ4以外の装置に記憶されてもよい。
【0062】
また、上記実施の形態では、利用者によってログインの際に入力される識別情報に基づいて、特定利用者か否かの判定を行ったが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、撮影装置2で撮影される利用者の顔の画像を利用者の識別情報として記憶し、利用者が来店した際に、利用者の顔認証を行って特定利用者か否かの判定を行ってもよい。この場合は、利用者が識別情報を登録していない場合でも、特定利用者か否かの判定、及び来店の判定を行うことができる。
【0063】
さらに、上記実施の形態において、判定作業者により実施されていた処理は、不正判定装置5により自動的に実施されてもよい。例えば、不正判定装置5の制御装置51は、管理サーバ4から判定対象の利用者の操作履歴情報が抽出されると、操作履歴情報に含まれる日時情報及びセルフレジ装置1の識別情報に基づいて、対応する画像情報を自動的に抽出し、表示装置52に表示してもよい。また、不正判定装置5の制御装置51は、抽出した画像の画像認識を行って商品の移動動作を識別し、操作履歴情報と比較して商品の登録漏れの発生の有無を自動的に判定してもよい。そして、不正判定装置5の制御装置51は、判定結果に基づき、不正情報と判定結果とを自動的に作成し、管理サーバ4に送信してもよい。
【0064】
また、上記実施の形態では、不正判定処理は、登録の取消などの異常会計が発生した店舗、又はロス率が高い店舗などから、不正会計が疑われる利用者の調査依頼が行われた際に実施されることとしたが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、異常会計が発生した店舗又はロス率が高い店舗の任意の時間帯の全ての利用者に対して不正判定処理を行ってもよい。特に、上記のように不正判定処理を自動で行う場合は、複数の利用者に対する不正判定を迅速に実施することができる。
【符号の説明】
【0065】
1 セルフレジ装置、2 撮影装置、3 店内管理装置、4 管理サーバ、5 不正判定装置、11 制御装置、12 表示装置、13 操作装置、14 読取装置、15 印刷装置、16 決済装置、17 通信装置、21 制御装置、22 カメラ、23 通信装置、31 制御装置、32 表示装置、33 操作装置、34 通信装置、41 制御装置、42 記憶装置、43 通信装置、51 制御装置、52 表示装置、53 操作装置、54 通信装置、100 監視システム、200 ネットワーク、421 画像情報データベース、422 操作履歴情報データベース、423 不正情報データベース、520 操作履歴画面、521 入力部、522 登録商品表示部、523 取消商品表示部。
【要約】
【課題】利用者による商品の不正会計を効率的に削減することができる監視システムを提供することを目的とする。
【解決手段】監視システムは、利用者が商品の登録及び会計を行うセルフレジ装置と、セルフレジ装置を操作する利用者の画像を撮影する撮影装置と、セルフレジ装置が配置された店舗で使用される店内管理装置と、撮影装置により撮影された画像と、セルフレジ装置の操作履歴とに基づき、過去に商品の登録漏れがあったと判定された特定利用者の識別情報を含む判定結果を記憶する記憶装置と、判定結果に基づき、店舗を訪れた利用者が特定利用者であるか否かを判定し、特定利用者である場合に店内管理装置に通知する制御装置と、を備える。
【選択図】
図3