(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】蓋体
(51)【国際特許分類】
B65D 43/03 20060101AFI20240422BHJP
B65D 55/02 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B65D43/03
B65D55/02
(21)【出願番号】P 2019228001
(22)【出願日】2019-12-18
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】591006944
【氏名又は名称】三甲株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100112472
【氏名又は名称】松浦 弘
(74)【代理人】
【識別番号】100202223
【氏名又は名称】軸見 可奈子
(72)【発明者】
【氏名】竹田 徹
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-537940(JP,A)
【文献】特開2013-079094(JP,A)
【文献】特表2013-526462(JP,A)
【文献】特開2011-068395(JP,A)
【文献】特開2000-313460(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0138156(US,A1)
【文献】特開2016-033037(JP,A)
【文献】実開昭52-095701(JP,U)
【文献】特開2007-216980(JP,A)
【文献】実公昭43-009415(JP,Y1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 43/03
B65D 55/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の上端部の外側に嵌合する嵌合壁を上下に分割した下側部分が開封バンド部となっていて、前記開封バンド部を切除すると容器本体から取り外し可能となる蓋体において、
蓋体の上面に、設けられた上面嵌合部を備え、
前記開封バンド部が切除される前の切除前状態の蓋体を上方に段積みした場合には、前記嵌合壁のうち前記開封バンド部の内側に下段側の蓋体の前記上面嵌合部が受容され、蓋体同士の横ずれが規制され、
前記開封バンド部が切除された後の切除後状態の蓋体を上方に段積みした場合には、前記嵌合壁のうち前記開封バンド部が切除されてなる残留部の内側に下段側の蓋体の前記上面嵌合部が受容され、蓋体同士の横ずれが規制され、
前記開封バンド部と、前
記残留部とが同一面上に位置し
、
蓋体の上面は、前記嵌合壁の上端から内側に延びた外縁壁部と、前記外縁壁部より内側を下方に陥没させてなる内側陥没部と、を備え、
前記上面嵌合部は、前記外縁壁部より上方に突出しかつ前記外縁壁部と前記内側陥没部の外縁部とに跨って配され、
前記上面嵌合部の外側端部は、前記嵌合壁の外側面の延長線上よりも内側に位置し、
蓋体同士を段積みすると、上段側の蓋体の前記嵌合壁は、前記切除前状態か前記切除後状態かに拘わらず、下段側の蓋体の前記上面のうち前記上面嵌合部よりも外側に当接する蓋体。
【請求項2】
前記上面嵌合部は、蓋体の上面のうち外周縁部の複数個所から上方に突出しかつ、内外方向に延びた複数の平リブから構成されている請求項1に記載の蓋体。
【請求項3】
前記切除後状態の蓋体を上方に段積みすると、下段側の蓋体の前記上面嵌合部の上端面に上段側の蓋体の前記内側陥没部の底面が当接する請求1又は2に記載の蓋体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蓋体に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の蓋体として、蓋体の一部の開封バンド部を切除すると容器本体から取り外し可能となるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した蓋体は、蓋体同士を安定して段積みできないという問題があった。これに対し、安定して段積み可能な蓋体の開発が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するためになされた請求項1の発明は、容器本体の上端部の外側に嵌合する嵌合壁を上下に分割した下側部分が開封バンド部となっていて、前記開封バンド部を切除すると容器本体から取り外し可能となる蓋体において、蓋体の上面に、設けられた上面嵌合部を備え、前記開封バンド部が切除される前の切除前状態の蓋体を上方に段積みした場合には、前記嵌合壁のうち前記開封バンド部の内側に下段側の蓋体の前記上面嵌合部が受容され、蓋体同士の横ずれが規制され、前記開封バンド部が切除された後の切除後状態の蓋体を上方に段積みした場合には、前記嵌合壁のうち前記開封バンド部が切除されてなる残留部の内側に下段側の蓋体の前記上面嵌合部が受容され、蓋体同士の横ずれが規制され、前記開封バンド部と、前記残留部とが同一面上に位置し、蓋体の上面は、前記嵌合壁の上端から内側に延びた外縁壁部と、前記外縁壁部より内側を下方に陥没させてなる内側陥没部と、を備え、前記上面嵌合部は、前記外縁壁部より上方に突出しかつ前記外縁壁部と前記内側陥没部の外縁部とに跨って配され、前記上面嵌合部の外側端部は、前記嵌合壁の外側面の延長線上よりも内側に位置し、蓋体同士を段積みすると、上段側の蓋体の前記嵌合壁は、前記切除前状態か前記切除後状態かに拘わらず、下段側の蓋体の前記上面のうち前記上面嵌合部よりも外側に当接する蓋体である。
【0007】
請求項2の発明は、前記上面嵌合部は、蓋体の上面のうち外周縁部の複数個所から上方に突出しかつ、内外方向に延びた複数の平リブから構成されている請求項1に記載の蓋体である。
【0009】
請求項3の発明は、前記切除後状態の蓋体を上方に段積みすると、下段側の蓋体の前記上面嵌合部の上端面に上段側の蓋体の前記内側陥没部の底面が当接する請求項1又は2に記載の蓋体である。
【発明の効果】
【0010】
請求項1の蓋体によれば、開封バンド部が切除される前の切除前状態か切除された後の切除後状態かに拘わらず、蓋体同士を段積みしたときに上下の蓋体同士が嵌合するので、蓋体同士の段積みを安定させることができる。
【0011】
また、切除後状態の蓋体同士を積み重ねたときの高さが、切除前状態の蓋体同士を積み重ねたときの高さよりも小さくなるので、蓋体同士を積み重ねたときの嵩を減らすことができる。また、上面嵌合部の外側端部が、嵌合壁の外側面の延長線上よりも内側に位置し、上段側の蓋体の嵌合壁が、下段側の蓋体の上面のうち前記上面嵌合部よりも外側に当接するので、段積みされた複数の蓋体群全体の外側面の凹凸を抑えることができる。
【0012】
上面嵌合部は、蓋体の上面に外縁に沿って延びた環状突部であってもよいし、請求項2のように、蓋体の上面のうち外周縁部の複数個所に配された平リブであってもよい。
【0014】
請求項3の蓋体によれば、上段側の蓋体の内側陥没部の底面が下段側の蓋体の上面嵌合部の上端面に当接して支持されるので、段積みが安定する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本開示の蓋体と容器本体とからなる容器の斜視図
【
図11】切除前状態の蓋体同士を段積みした状態の断面図
【
図12】切除後状態の蓋体同士を段積みした状態の断面図
【
図13】切除後状態の蓋体同士を段積みした状態の拡大断面図
【
図14】切除後状態の蓋体同士を段積みした状態の断面図
【
図15】切除前状態の蓋体と切除後状態の蓋体とを混ぜて段積みした状態の斜視図
【
図16】切除前状態の蓋体と切除後状態の蓋体とを混ぜて段積みした状態の断面図
【
図17】変形例に係る切除後状態の蓋体同士を段積みした状態の断面図
【
図18】(A)変形例に係る切除前状態の蓋体同士を段積みした状態の断面図、(B)変形例に係る切除後状態の蓋体同士を段積みした状態の断面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
図1には、容器本体11と、容器本体11の上面開口11K(
図2参照)を密閉する蓋体20と、からなる容器10が示されている。容器本体11及び蓋体20は、何れも例えば樹脂の射出品である。
【0017】
容器本体11は、平面視正方形状の底壁12(
図2参照)と、下方へ向かうにつれて僅かに狭まる側壁13と、を有している。
図2に示すように、底壁12と側壁13とは丸みを帯びて連絡している。また、底壁12の下面には、外周縁寄り位置から下方へ突出した環状の突条12Bが形成されている。
【0018】
同図に示すように、容器本体11の側壁13の上端は、その下方部よりも僅かに肉厚になった肉厚部14となっている。肉厚部14は側壁13の外方に突出していて、その下面14Aは水平に延びている。また、容器本体11の側壁13の外側面の上端部には、肉厚部14の下方に、上下に並んで配された第1~第3の突条15~17が、側壁13の全周に亘って突出形成されている。第1の突条15と第2の突条16との先端の断面は半円状になっているのに対し、第3の突条17の先端の断面は、下面が水平になった扇形になっている。また、第2の突条16は第1の突条15よりも僅かに外方に突出していて、第3の突条17は第2の突条16よりも僅かに外方に突出している。
【0019】
容器本体11の側壁13における上端部のうち第3の突条17の下方には、外面から水平に突出したのち下方へ折り返した折り返しリブ18が形成されている。折り返しリブ18は、第3の突条17よりも板厚1枚分程外方に突出している。また、折り返しリブ18の上下方向に延びた折り返し壁18Aは、下方へいくにつれ僅かに外方へ広がるように傾斜している。
図1に示すように、容器本体11の折り返しリブ18のうち対角線上の2角には、取っ手19を取り付けるための突起18Bが形成されている。また、側壁13のコーナー部の外面には、折り返しリブ18との間を連絡しかつ折り返しリブ18よりも下方へ延びる補強リブ13Lが設けられている。
【0020】
図1に示すように、蓋体20は、容器本体11と同様、平面形状が正方形状になっていて、天井壁30の外縁から容器本体11と嵌合するための嵌合壁21(特許請求の範囲中の「第2嵌合部」に相当する)が下方へ延びている。天井壁30における外縁寄り位置より内側は下方へ陥没した内側陥没部31となっていて、内側陥没部31の側壁31Aと、嵌合壁21との間に容器本体11における側壁13の上端部が嵌まり、蓋体20が容器本体11に嵌合する(
図2参照)。また、天井壁30には、その外周縁部の複数位置に、内側陥没部31と、その外側の外縁壁部32とに跨って形成された平リブ33が設けられていて、容器10同士を段積みすると、下段の容器10における内側陥没部31のうち平リブ33群の内側に、上段の容器10が嵌合する(
図3及び
図4参照)。なお、これら平リブ33群から、特許請求の範囲中の「第1嵌合部」が構成されている。
【0021】
図2に示すように、嵌合壁21は、容器本体11の折り返しリブ18の上面まで延びている。また、嵌合壁21は、下方へいくにつれ僅かに外方へ広がるように傾斜していて、その傾きは、容器本体11の折り返しリブ18の折り返し壁18Aの傾きと略同一である。これにより、蓋体20が容器本体11に嵌合した状態では、嵌合壁21と容器本体11の折り返しリブ18との外側面が連続しかつ略面一となる。
【0022】
図2及び
図5に示すように、嵌合壁21の内面の上端部には、内側に突出した突条22が形成されている。突条22は、平面形状の正方形の各辺のうち両端部を除いた部分に水平に延びて設けられていて、容器本体11の肉厚部14の下面14Aと凹凸係合する。また、
図2に示すように、嵌合壁21と内側陥没部31の側壁31Aとの間のうち上端部には、容器本体11との密閉性を高めるパッキン40が取り付けられている。
【0023】
図2及び
図6に示すように、嵌合壁21の外面における上下方向の中央部には、内面寄り位置まで延びたV溝23が形成され、V溝23の底部が薄肉部24になっている。
図6~
図8に示すように、V溝23のうち蓋体20の平面形状である正方形の一辺の中央部に配された部分は、内外方向に貫通した第1切り込み23Kになっていて、第1切り込み23Kの左端(
図7中の左端)の左隣(
図7中の左隣)には、嵌合壁21におけるV溝23より下方部分の上部を切り欠いてなる第1切り欠き26Aが形成されている。また、嵌合壁21には、第1切り欠き26Aの下端から図中における右方へ延びた溝25と、溝25の右隣に配され、嵌合壁21のうち溝25より下方部分を切り欠いてなる第2切り欠き26Bと、が形成されている。溝25のうち第1切り欠き26Aに隣接する部分は、内外方向に貫通した第2切り込み25Kとなっていて、嵌合壁21のうち第1切り込み23Kと第2切り込み25Kとに挟まれた部分はつまみ片28となっている。
【0024】
そして、つまみ片28を持ち、右方へ引っ張ると、溝25の底部が破断したのち、薄肉部24が破断して、嵌合壁21のうち薄肉部24より下側の開封バンド部21Xが上側の嵌合壁本体21Y(特許請求の範囲中の「残留部」に相当する)に対して引き裂かれて切除される(
図9及び
図10参照)。以降、適宜、開封バンド部21Xが切除される前の蓋体20の状態を切除前状態といい、開封バンド部21Xが切除された後の蓋体20の状態を切除後状態という。
【0025】
図2に示すように、開封バンド部21Xの板厚は嵌合壁本体21Yの板厚よりも小さくなっていて、嵌合壁本体21Yの内面の下端部は薄肉部24の内面へ傾斜して連絡している。また、開封バンド部21Xの下端には、内側に突出した係合突条27が設けられている。係合突条27では、最も内側に位置する頂部27Aが係合突条27の幅のうち上端寄り位置に配されていて、係合突条27の上側側面が、容器本体11の第3の突条17の下面に対向する。これにより、切除前状態の蓋体20が容器本体11に嵌合した状態では、蓋体20の係合突条27と容器本体11の第3の突条17とが係合する。この係合突条27と第3の突条17との対向幅は、突条22と肉厚部14の下面14Aとの対向幅よりも大きくなっている。
【0026】
ここで、上述したように、蓋体20の天井壁30には、その外周縁部の複数位置に、平リブ33が設けられている。
図2に示すように、平リブ33は、天井壁30の外縁壁部32よりも上方に位置し、水平に延びる上端面33Aと、上端面33Aの内側端部から内側陥没部31の底部31Bとの間を連絡する内側端面33Bと、上端面33Aの外側端部と外縁壁部32の上面との間を連絡する外側端面33Cとを有している。つまり、平リブ33は、天井壁30の外縁壁部32、内側陥没部31の側壁31A及び内側陥没部31の底部31Bにわたり連続して設けられている。ここで、外縁壁部32のうち嵌合壁21との連絡部分の上面は、下方へ湾曲した曲面32Aとなっていて、平リブ33の外側端面33Cは、この曲面32Aの内側端部に連絡している。また、外側端面33Cは、下方へ向かうにつれ外方に進むように傾斜していて、鉛直方向に対する角度が嵌合壁21よりも大きくなっている。これにより、平リブ33の外側端面33Cは、嵌合壁21の外側面の延長線上よりも内側に位置している。
【0027】
そして、
図11に示すように、上に切除前状態の蓋体20が重ねられたときには、上側の蓋体20の嵌合壁21の開封バンド部21Xが下側の蓋体20の外縁壁部32の上面(曲面32A)に当接し、かつ、下側の蓋体20の平リブ33群の外側に上側の蓋体20の開封バンド部21Xが嵌合する。一方、
図12~14に示すように、上に切除後状態の蓋体20が重ねられたときには、上側の蓋体20の嵌合壁21の嵌合壁本体21Yが下側の蓋体20の外縁壁部32の上面(曲面32A)に当接しかつ、下側の蓋体20の平リブ33群の外側に上側の蓋体20の嵌合壁本体21Yが嵌合する。また、上に切除後状態の蓋体20が重ねられたときには、下側の蓋体20の平リブ33上端面33Aに上側の蓋体20の内側陥没部31の下面(底部31Bの下面)が当接する。
【0028】
本実施形態の容器10の構成に関する説明は以上である。次に、この容器10の作用効果について説明する。この容器10は、例えば、染料や調味料等の液体や食品を収容して運搬、販売するために使用される。そのためには、収容物が収容された容器本体11の上端部を蓋体20の嵌合壁21と内側陥没部31の側壁31Aとで挟むようにして蓋体20を押し込む。すると、蓋体20の突条22が容器本体11の肉厚部14に係合すると共に、蓋体20の係合突条27が容器本体11の第3の突条17に係合し、蓋体20が容器本体11に嵌合固定(所謂、嵌め殺し)される(
図1及び
図2参照)。このとき、蓋体20の嵌合壁21の下端部が容器本体11の折り返しリブ18の上面に当接し、その外面が略面一になるので、開封バンド部21Xの裏側に意図せず何かが引っ掛かり、蓋体20が外れてしまうことが防がれる。
【0029】
容器10を開封するときは、つまみ片28を引っ張り、開封バンド部21Xを引き裂き切除することで、係合突条27と第3の突条17との係合が解除され、蓋体20を外すことができる。また、蓋体20の突条22と容器本体11の肉厚部14とが係合するので、開封バンド部21Xが切除された後、つまり、容器10の開封後でも、蓋体20が容器本体11に弱めに係止され、振動などにより蓋体20が外れることが防止される。なお、突条22と肉厚部14の下面14Aとの対向幅は、係合突条27と第3の突条17との対向幅よりも小さくなっているので、係止機能を有しながらも、取り外しを容易にすることができる。
【0030】
ところで、従来のこの種の容器では、蓋体同士が嵌合するようにはなっておらず、蓋体同士を段積みできない、もしくは、段積みしても不安定になっていた。この容器では、取り付け前の蓋体を保管しておく時に蓋体がばらけてしまったり、蓋体を容器本体に取り付ける作業の時に、蓋体をバラバラに置かれている中から取り出す必要があり、手間取ることがあった。
【0031】
これに対して、本実施形態の容器10によれば、切除前状態の蓋体20同士を積み重ねると(
図11参照)、上側の蓋体20の開封バンド部21Xが下側の蓋体20の平リブ33群の外側に嵌合するので、上側の蓋体20が横ズレすることが防がれる。これにより、蓋体20同士を安定して段積みしておくことができるので、切除前状態の蓋体20の保管が嵩張らずに行える。また、蓋体20を容器本体11に取り付ける作業において、蓋体20を一つずつ手にとることがスムーズになり、作業効率が高められる。
【0032】
また、開封バンド部21Xを切除して容器10を開封した後にも、例えば容器10をタッパーとして再利用するためだったり、廃棄のために、切除後状態の蓋体20同士をまとめて保管しておくことが考えられるが、この場合であっても、切除後状態の蓋体20同士を積み重ねると(
図12参照)、上側の蓋体20の嵌合壁本体21Yが下側の蓋体20の平リブ33群の外側に嵌合するので、切除後状態の蓋体20同士を安定して段積みしておくことができ、保管が容易になる。しかも、切除前状態の蓋体20では、嵌合壁21の開封バンド部21Xが外縁壁部32の上面に当接するのに対し、切除後状態の蓋体20では、嵌合壁本体21Yが外縁壁部32の上面に当接するので、開封バンド部21Xを切除した後に、蓋体20同士を段積みしたときの嵩を減らすこともできる。
【0033】
なお、容器10を開封する際に、人によっては、開封バンド部21Xを切除せずに、開封バンド部21Xの下端部を無理矢理外方へ広げて蓋体20を外すことも考えられる。これに対し、本実施形態によれば、
図15及び
図16に示すように、切除前状態のものと切除後状態のものとが混ざっていても、互いに段積みできるので、蓋体20の保管の作業効率をより向上することができる。
【0034】
また、本実施形態では、蓋体20同士を段積みするときに上側の蓋体20と嵌合する箇所(平リブ33群)が、容器10同士を段積みするときに上側の容器10と嵌合する箇所と兼用されているので、別個に設けるよりもデザインがシンプルになる。さらに、両者を兼用するために、平リブ33が外縁壁部32と内側陥没部31とに跨って形成されるので平リブ33の強度が高くなる。さらに、上方に切除後状態の蓋体20が重ねられたときは、上段側の蓋体20の内側陥没部31の下面(底部31Bの下面)が下段側の蓋体20の平リブ33の上端面33Aに当接して支持されるので、段積みが安定する。
【0035】
さらに、切除前状態と切除後状態との両方において、上段側の蓋体20が下段側の蓋体20の平リブ33群の外側に嵌合するので、例えば、作業者が、上段側の蓋体20を斜めにして、その下側に配された一辺の嵌合壁21を下段側の蓋体20の平リブ33の外側端面33Cにあてて回動させることで蓋体20を段積みする場合、切除前状態と切除後状態との両方で、同じように作業できるため、切除前状態か切除後状態かによって平リブ33群の外側に嵌合するか内側に嵌合するか異なる場合と比べて、作業が容易となる。
【0036】
しかも、平リブ33の外側端面33Cは、嵌合壁21の外側面の延長線上よりも内側に位置していて、上側の蓋体20の嵌合壁21(開封バンド部21X又は嵌合壁本体21Y)が、下側の蓋体20の外縁壁部32の上面(曲面32A)に当接するので、段積みされた複数の蓋体20群全体の外側面の凹凸を抑えることができる。これにより、蓋体20群の外側面に何かが引っ掛かり、段積みが崩れることが抑制される。
【0037】
[他の実施形態]
(1)上記実施形態では、容器10の平面形状が正方形状であったが、他の四角形状であってもよいし、四角形以外の多角形状であってもよいし、円形状であってもよい。
【0038】
(2)上記実施形態では、特許請求の範囲中の「第1嵌合部」が平リブ33群であったが、
図17に示すように、蓋体20の上面に外縁に沿って延びた環状突部35であってもよい。
【0039】
(3)上記実施形態では、切除前状態と切除後状態との両方において、上段側の蓋体20の嵌合壁21が、下側の蓋体20の平リブ33群(又は環状突部35)の外側に嵌合していたが、
図18に示すように内側に嵌合していてもよい。なお、
図18には、環状突部35を用いた例が示されている。
【符号の説明】
【0040】
10 容器
11 容器本体
20 蓋体
21 嵌合壁
21X 開封バンド部
21Y 嵌合壁本体
31 内側陥没部
31A 側壁
31B 底部
32 外縁壁部
32A 曲面
33 平リブ
33A 上端面
33C 外側端面