(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】長さ測定装置、長さ測定方法、プログラム、及び身長計
(51)【国際特許分類】
G01B 3/20 20060101AFI20240422BHJP
A61B 5/107 20060101ALI20240422BHJP
G06K 7/10 20060101ALI20240422BHJP
G06K 7/14 20060101ALI20240422BHJP
G01B 11/02 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
G01B3/20 B
A61B5/107 400
G06K7/10 428
G06K7/14 030
G01B11/02 H
(21)【出願番号】P 2018163520
(22)【出願日】2018-08-31
【審査請求日】2021-08-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000133179
【氏名又は名称】株式会社タニタ
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石毛 忠明
【審査官】仲野 一秀
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第8408476(US,B2)
【文献】中国特許出願公開第102451007(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第103968926(CN,A)
【文献】特開平8-336510(JP,A)
【文献】特表2018-507710(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 3/00-3/56
A61B 5/107
G06K 7/10
G06K 7/14
G01B 11/00-11/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の長さを測定する長さ測定装置であって、
前記測定対象物に設けられ、少なくとも長さ方向に連続的にパターンの異なる二次元コードが配置されるスケール部と、
二次元コードを読み取る読取部と、
読み取った二次元コードから座標情報を取得する取得部と、
既知の長さに対応する少なくとも1箇所の二次元コードを読み取ることで予め生成された座標情報と前記測定対象物の長さ情報との対応関係に基づき、取得した座標情報を長さ情報に変換する変換部と、を備え
る、
ことを特徴とする長さ測定装置。
【請求項2】
測定対象物の長さを測定する長さ測定装置であって、
前記測定対象物に設けられ、少なくとも長さ方向に連続的にパターンの異なる二次元コードが配置されるスケール部と、
二次元コードを読み取る読取部と、
読み取った二次元コードから座標情報を取得する取得部と、
既知の長さに対応する2箇所の二次元コードを読み取ることで予め生成された座標情報と前記測定対象物の長さ情報との対応関係に基づき、取得した座標情報を長さ情報に変換する変換部と、を備える、
ことを特徴とする長さ測定装置。
【請求項3】
請求項1
または2に記載の長さ測定装置であって、
前記変換部は、前記対応関係を示す変換式に基づいて座標情報を長さ情報に変換する、
ことを特徴とする長さ測定装置。
【請求項4】
請求項1から
3のいずれか一つに記載の長さ測定装置であって、
座標情報と長さ情報との前記対応関係は、前記スケール部が前記測定対象物に取り付けられた状態で生成される、
ことを特徴とする長さ測定装置。
【請求項5】
請求項1から
4のいずれか一つに記載の長さ測定装置であって、
前記スケール部の前記長さ方向には、当該長さ方向の座標に対応してパターンが異なる二次元コードが並べて設けられ、前記スケール部の前記長さ方向と直交する幅方向には、同じパターンの二次元コードが並べて設けられる、
ことを特徴とする長さ測定装置。
【請求項6】
請求項1から
4のいずれか一つに記載の長さ測定装置であって、
前記スケール部の前記長さ方向には、当該長さ方向の座標に対応してパターンが異なる二次元コードが並べて設けられ、前記スケール部の前記長さ方向と直交する幅方向には、当該幅方向の座標に対応してパターンが異なる二次元コードが並べて設けられる、
ことを特徴とする長さ測定装置。
【請求項7】
測定対象物の長さを測定する長さ測定方法であって、
前記測定対象物に設けられるスケール部の少なくとも長さ方向に連続的に配置されるパターンの異なる二次元コードを読み取る読取工程と、
読み取った二次元コードから座標情報を取得する取得工程と、
既知の長さに対応する少なくとも1箇所の二次元コードを読み取ることで予め生成された座標情報と前記測定対象物の長さ情報との対応関係に基づき、取得した座標情報を長さ情報に変換する変換工程と、を備え
る、
ことを特徴とする長さ測定方法。
【請求項8】
コンピュータに、
測定対象物に設けられるスケール部の少なくとも長さ方向に連続的に配置されるパターンの異なる二次元コードを読み取る読取手順と、
読み取った二次元コードから座標情報を取得する取得手順と、
既知の長さに対応する少なくとも1箇所の二次元コードを読み取ることで予め生成された座標情報と前記測定対象物の長さ情報との対応関係に基づき、取得した座標情報を長さ情報に変換する変換手順と、を実行させ
る、
ことを特徴とするプログラム。
【請求項9】
請求項1から
6のいずれか一つに記載の長さ測定装置を備える身長計であって、
支柱と、
前記支柱に対して上下方向に移動するように設けられるカーソルと、を備え、
前記支柱と前記カーソルとの一方には、前記長さ方向が上下方向に沿うように前記スケール部が設けられ、
前記支柱と前記カーソルとの他方には、前記読取部が設けられ、
前記スケール部は、前記長さ方向にて所定の間隔ごとに異なる座標情報を取得可能なように並べて設けられる二次元コードを有する、
ことを特徴とする身長計。
【請求項10】
請求項1から
6のいずれか一つに記載の長さ測定装置を備える身長計であって、
前記スケール部は、前記長さ方向にて所定の間隔ごとに異なる座標情報を取得可能なように並べて二次元コードが設けられるシートであり、
前記読取部が設けられ、測定対象者の頭部上端に当接させた状態で前記シートの二次元コードを読み取るように構成される読取装置を備える、
ことを特徴とする身長計。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長さ測定装置、長さ測定方法、プログラム、及び長さ測定装置を備える身長計に関する。
【背景技術】
【0002】
長さ測定装置として、身長を測定するための身長計がある。従来から、作業者が目盛りを直接読む必要のないデジタル身長計が提案されている。デジタル身長計の例として、カーソルを移動させたときに、リニアエンコーダ若しくはロータリエンコーダ等の光センサを用いてスリットの数をカウントし、スリットの数を長さに変換する方式のものがある。
【0003】
本発明者は、スリットの数を長さに変換する方式では、スリットの読み飛ばし等が発生した場合に測定値がずれるので、身長を正確に測定できないおそれがあることを認識した。また、本発明者は、一度スリットの読み飛ばし等が発生すると、その後の測定において測定値がずれ続け、かつ、スリットの読み飛ばし等の発生は測定作業者が気づき難いものなので、身長を測定する度にカーソルを原点に移動させる必要があることを認識した。
【0004】
特許文献1には、目盛りがバーコードで表示されるスケールと、被測定者の頭に当てられるカーソルに設けられスケールのバーコードを読み取るセンサと、センサが読み取ったバーコードの値を表示する液晶画面と、を備えるデジタル身長計が開示されている。このデジタル身長計では、カーソルを停止させた位置のバーコードをセンサが読み取るだけであるため、読み飛ばしは発生せず、身長を測定する度にカーソルを原点に移動させる必要はない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の身長計では、スケールの目盛りが数字に代えてバーコードで表示されているので、身長の値に対応する位置にその値を示すバーコードが設けられなければならない。そのため、スケールを高い精度で取り付けることが要求される。
【0007】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、スケール部の取り付け精度に関わらず測定対象物の長さを正確に測定することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある態様によれば、測定対象物の長さを測定する長さ測定装置は、前記測定対象物に設けられ、パターンの異なる二次元コードが少なくとも長さ方向に並べて設けられるスケール部と、二次元コードを読み取る読取部と、読み取った二次元コードから座標情報を取得する取得部と、予め生成された座標情報と前記測定対象物の長さ情報との対応関係に基づき、取得した座標情報を長さ情報に変換する変換部と、を備える。
【発明の効果】
【0009】
上記態様では、スケール部に並べて設けられる二次元コードを読取部が読み取って、当該二次元コードの座標情報を取得する。座標情報は、予め生成された座標情報と測定対象物の長さ情報との対応関係に基づいて、長さ情報に変換される。このように、二次元コードは、単にスケール部における座標情報を示すものであり、座標情報は測定対象物の長さそのものを示すものではないので、スケール部の取り付け精度に関わらず測定対象物の長さを正確に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る長さ測定装置、及び長さ測定装置が適用される身長計の概略斜視図である。
【
図3】
図3は、長さ測定装置の構成について説明する拡大図である。
【
図5】
図5は、二次元コードの変形例を示す図である。
【
図6】
図6は、スケールが斜めに取り付けられた際の長さの測定について説明する図である。
【
図7】
図7は、身長計による身長測定のフローチャートである。
【
図8】
図8は、二次元コードの回転角度について説明する図である。
【
図9】
図9は、身長計の変形例を説明する側面図である。
【
図10】
図10は、身長計の他の変形例を説明する側面図である。
【
図12】
図12は、本発明の実施形態に係る長さ測定装置を巻尺に適用した変形例について説明する構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態に係る長さ測定装置10、及び長さ測定装置10を備える身長計100について説明する。
【0012】
まず、
図1を参照して、身長計100の全体構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、身長計100は、測定台1と、支柱2と、カーソル3と、長さ測定装置10と、を備える。長さ測定装置10は、後述するように、測定開始スイッチ25と、表示部30と、を備える。
【0014】
測定台1は、身長測定時に測定対象者が乗る台である。測定台1は、水平な床面に置かれる。測定台1の上面は、床面と平行に設けられる。
【0015】
支柱2は、測定台1から鉛直方向に伸びる。支柱2は、中空に形成される。支柱2の内側には、後述するスケール部11が設けられる。
【0016】
カーソル3は、支柱2に対して鉛直方向(上下方向)に移動するように設けられる。カーソル3は、支柱2の外側に向けて、下面が測定台1の上面と平行になるように突出する。カーソル3は、モータ(図示省略)によって駆動される。カーソル3は、身長測定時に支柱2に対して自動的に移動する。カーソル3には、後述する読取部としてスケール部11を撮像するカメラ12が設けられる。
【0017】
身長計100は、測定台1に測定対象者が乗った状態で、測定開始スイッチ25が操作されると、上方からカーソル3を降ろして行く。身長計100は、測定対象者の頭部上端に接触したときのカーソル3の位置、即ちこのときの測定台1の上面からカーソル3の下面までの区間における支柱2の長さを、測定対象者の身長として表示部30に表示する。このように、身長計100は、測定対象者の身長と等価である測定台1からの支柱2の長さを測定する。ここでは、支柱2が測定対象物に該当する。
【0018】
カーソル3は、測定対象者の頭部に接触して身長測定が完了すると、上方に移動する。これにより、測定対象者が測定台1から降りることができるようになる。
【0019】
次に、
図2から
図6を参照して、長さ測定装置10について説明する。
【0020】
長さ測定装置10は、測定台1の上面からの支柱2の長さを測定することによって、測定対象者の身長を測定するものである。
図2に示すように、長さ測定装置10は、スケール部11と、カメラ12と、コントローラ20と、測定開始スイッチ25と、表示部30と、報知部40と、を備える。
【0021】
図3に示すように、スケール部11は、支柱2の内側に設けられる。スケール部11は、長さ方向が、支柱2における測定したい長さの方向(支柱2の長さ方向)に沿うように設けられる。
図4に示すように、スケール部11には、パターンの異なる二次元コード50が、長さ方向(Y軸方向)及び当該長さ方向と直交する幅方向(X軸方向)に、マトリックス状に並べて設けられる。二次元コード50は、必ずしも幅方向に並べて設けられる必要はなく、少なくとも長さ方向に並べて設けられればよい。
【0022】
スケール部11は、長さ測定装置10(本実施形態では身長計100)の測定範囲よりも長く形成される。例えば、身長計100の測定範囲が100.0[cm]から200.0[cm]である場合には、スケール部11は、測定範囲よりも10[cm]長い110[cm]程度の長さに形成される。これにより、スケール部11を支柱2に取り付ける際の取り付け誤差を許容できるため、取り付け作業が容易である。
【0023】
なお、二次元コード50は、カメラ12で読み取ることはできるが例えば透明に形成する等して視認しにくい態様で形成することが可能である。そのため、スケール部11を支柱2の外面に設けて、下絵等を施した上から二次元コード50を形成してもよい。
【0024】
図4では、説明の簡易化のため、隣り合う二次元コード50どうしの境目が分かりやすいように、仮想的に二点鎖線で区切って示している。しかしながら、実際には、スケール部11には二次元コード50のみが表示され、二点鎖線は表示されない。
図5,
図6,及び
図8も同様である。
【0025】
二次元コード50としては、例えば、特許第3706385号公報,特許第4658427号公報,若しくは特開2017-10561号公報等に開示されている二次元コードが用いられる。また、上述したものに限らず、二次元コード50として、例えば株式会社トッパンTDKレーベルのZcode(登録商標)、若しくはその他の既存の二次元コードを用いてもよいことは言うまでもない。
【0026】
しかしながら、長さ測定装置10に用いられる二次元コード50は、長さの測定が可能な程度の所定の短い間隔毎に異なる座標情報を、長さ測定装置10が取得可能なものである必要がある。長さ測定装置10が身長計に用いられる場合には、少なくとも長さ方向において例えば1mm以下の間隔ごとに異なる座標情報を取得可能な二次元コードを用いられる。以下では、長さ測定装置10に用いられる二次元コード50について、特許第3706385号公報に開示されるドットパターンを参考にして説明する。
【0027】
二次元コード50は、そのドットパターンによって座標情報(X,Y)を示すドットコードである。二次元コード50は、1[mm]以下の間隔ごとに異なる座標情報を取得可能なように並べて設けられる。即ち、二次元コード50は、読み取った際に1[mm]以下のピッチで少なくとも長さ方向の座標情報が連続して変わるように形成される。ここでは、二次元コード50は、一辺が0.1[mm]の仮想的な矩形の範囲内に設けられる。二次元コード50は、0.1[mm]ピッチで連続して設けられる。
【0028】
図4に示すように、二次元コード50は、一つのパターンの縦と横とを複数(ここでは4個)に分割して、複数(ここでは16個)のエリアにそれぞれドットを表示することで構成される。各エリア内のドットは、各エリアの中心から上下方向、左右方向、若しくは斜め方向にオフセットされている。二次元コード50は、各エリア内のドットの位置の違いによって座標情報(X,Y)を示している。
【0029】
図4に示す例では、スケール部11の長さ方向(Y軸方向)には、長さ方向の座標に対応してパターンが異なる二次元コード50が設けられ、スケール部11の幅方向(X軸方向)には同じパターンの二次元コード50が設けられる。
【0030】
この場合、同じ二次元コード50がX軸方向に並んでいるため、カメラ12の撮像範囲が二次元コード50のY軸方向のある列から外れても、隣りの列の二次元コード50を読み取ることができる。また、二次元コード50が示すX座標は、X軸方向のどの位置でも同じである。よって、支柱2に対してスケール部11が平行に取り付けられている場合や、斜めに取り付けてあっても無視できる程度の角度である場合に、Y座標のみを用いて長さを測定することができる。
【0031】
これに代えて、
図5に示す変形例のように、スケール部11の長さ方向(Y軸方向)には、長さ方向の座標に対応してパターンが異なる二次元コード50を設け、スケール部11の幅方向(X軸方向)にも、幅方向の座標に対応してパターンが異なる二次元コード50を設けてもよい。
【0032】
この場合、スケール部11内のすべての二次元コード50が異なる座標情報(X,Y)を有する。よって、支柱2に対してスケール部11が斜めに取り付けられている場合、即ちカメラ12が移動する方向がスケール部11の長さ方向(Y軸方向)に対して斜めである場合に、三平方の定理を用いて長さを演算することができる。
【0033】
具体的には、
図6に示すとおりである。二次元コード50のピッチは0.1[mm]であるため、X軸方向の2点間長さΔX及びY軸方向の2点間長さΔYは既知の値である。よって、例えば
図6に示す2つの二次元コード50間の長さLは、√(ΔX
2+ΔY
2)によって演算することができる。
【0034】
図3に示すように、カメラ12は、カーソル3に設けられ、カーソル3と共に支柱2に沿って上下方向に移動可能である。カメラ12は、二次元コード50を読み取る。カメラ12は、カーソル3がどの位置にあっても、少なくとも一つの二次元コード50を常に読み取れるように、その撮像範囲が設定される。カメラ12は、フレキシブルフラットケーブル13を介してコントローラ20に接続される。
【0035】
コントローラ20は、例えば表示部30と一体に設けられる。コントローラ20は、CPU(Central Processing Unit),ROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)などによって構成されるマイクロコンピュータである。コントローラ20を複数のマイクロコンピュータで構成することも可能である。コントローラ20は、ROMに記憶されたプログラムをCPUによって読み出すことで、長さ測定装置10に各種機能を発揮させる。
【0036】
コントローラ20は、長さ測定装置10及び身長計100の制御を実行するようにプログラムされている。コントローラ20には、カメラ12からの信号が入力される。
【0037】
図2に示すように、コントローラ20は、取得部21と、変換部22と、を備える。取得部21及び変換部22は、コントローラ20がROMに記憶されたプログラムをCPUによって読み出すことで実現される長さ測定装置10の制御を行うためのコントローラ20の機能を、物理的な存在ではない仮想的なユニットとしたものである。これに代えて、取得部21及び変換部22の少なくともいずれか一方を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の個別のハードウェアを用いて物理的に存在するようにしてもよい。
【0038】
取得部21は、カメラ12が読み取った二次元コード50から座標情報(X,Y)を取得する。
【0039】
変換部22は、予め生成された座標情報と支柱2の長さ情報との対応関係を示すデータを保持し、そのデータに基づいて座標情報を長さ情報に変換する。変換部22は、座標情報と支柱2の長さ情報との対応関係を示す変換式に基づいて座標情報を長さ情報に変換する。変換式は、座標情報と支柱2の長さ情報とに基づいて予め生成される。
【0040】
座標情報と支柱2の長さ情報との対応関係は、スケール部11が支柱2に取り付けられた状態で生成される。座標情報と支柱2の長さ情報との対応関係は、既知の長さに対応する少なくとも1箇所の二次元コード50を読み取ることで生成される。
【0041】
具体的には、カーソル3を例えば100.0[cm]の位置に合わせ、その位置の座標情報をカメラ12が読み取る。このとき、既知の長さとして、測定台1の上面から100.0[cm]の位置の二次元コード50のパターンが示す座標情報を(X100,Y100)、任意の位置の二次元コード50のパターンが示す座標情報を(Xn,Yn)とする。ここでは、X100とXnとは同じX座標であるとする。この場合、支柱2の長さLn[cm]を得るための変換式は、Ln=0.01×(Yn-Y100)+100.0である。
【0042】
なお、上記変換式における定数0.01は、座標情報が変わる間隔に応じて適した定数が用いられる。即ち、本実施形態では、0.1[mm]間隔であるため0.01が用いられているが、例えば0.5[mm]間隔である場合には0.05が用いられる。
【0043】
これに代えて、2箇所以上の二次元コード50を読み取ることで座標情報と支柱2の長さ情報との対応関係を生成してもよい。このようにすれば、例えば二次元コード50のピッチである0.1[mm]に印刷工程や乾燥工程等によって誤差が発生した場合に、誤差を補正できる。
【0044】
具体的には、例えば150.0[cm]の位置の二次元コード50のパターンが示す座標情報(X150,Y150)を読み取り、次に100.0[cm]の位置の二次元コード50のパターンが示す座標情報(X100,Y100)を読み取る。ここでは、X150とX100とは同じX座標であるとする。この場合、支柱2の長さLn[cm]を得るための変換式は、Ln=(150.0-100.0)×(Yn-Y100)/(Y150-Y100)+100.0、若しくはLn=(150.0-100.0)×(Yn-Y150)/(Y150-Y100)+150.0である。
【0045】
なお、3箇所以上の二次元コード50を読み取って、スケール部11のエリアごとに別々の変換式を生成することで、更に誤差を補正することも可能である。
【0046】
表示部30は、測定台1の外部に設けられ、ケーブル5(
図1参照)を介して測定台1内のコントローラ20に接続される。表示部30は、測定結果を表示して視覚的に通知する。表示部30は、例えば7セグメントディスプレイを4つ並べて構成される。表示部30の外面には、測定開始スイッチ25が設けられる。これに代えて、表示部30を液晶ディスプレイ等で構成してもよい。この場合、測定開始スイッチ25を液晶ディスプレイ内のタッチパネルとしてもよい。
【0047】
報知部40は、測定結果を音によって通知する。報知部40は、例えばスピーカ(図示省略)から数値を読み上げる音声を再生することによって、測定結果を通知する。なお、表示部30と報知部40とは、少なくともいずれか一方が設けられればよい。即ち、表示部30と報知部40とのいずれか一方のみが設けられてもよく、両方が設けられてもよい。
【0048】
次に、主に
図7及び
図8を参照して、身長計100を用いた身長測定について説明する。
【0049】
まず、測定対象者が測定台1に乗り、支柱2に沿って姿勢よく起立する。作業者が測定開始スイッチ25を操作すると、コントローラ20は、
図7に示すフローチャートを実行する。
【0050】
ステップS11では、コントローラ20は、カーソル3を測定対象者の上方から下降させる。
【0051】
ステップS12では、カーソル3が停止したか否か、即ちカーソル3が測定対象者の頭部上端に接触したか否かを判定する。ステップS12にて、カーソル3が停止したと判定された場合には、ステップS13に移行する。一方、ステップS12にて、カーソル3が停止していないと判定された場合には、ステップS11に移行して引き続きカーソル3を下降させる。
【0052】
ステップS13では、コントローラ20は、カメラ12に二次元コード50を読み取らせる(読取工程,読取手順)。
【0053】
ステップS14では、取得部21は、ステップS13にて読み取った二次元コード50から座標情報(X,Y)を取得する(取得工程,取得手順)。
【0054】
ステップS15では、変換部22は、上述した変換式に基づいて、座標情報を測定台1の上面からカーソル3の下面までの支柱2の長さ情報に変換する(変換工程,変換手順)。
【0055】
ステップS16では、コントローラ20は、カーソル3が測定対象者の頭部上端に接触したときの支柱2の長さ情報を測定対象者の身長として表示部30に表示する。
【0056】
ステップS17では、コントローラ20は、身長測定が完了したので、カーソル3を最初の位置まで上昇させる。
【0057】
このように、身長計100では、スケール部11に並べて設けられる二次元コード50をカメラ12が読み取って、当該二次元コード50の座標情報を取得する。座標情報は、予め生成された座標情報と支柱2の長さ情報との対応関係に基づいて、長さ情報に変換される。このように、二次元コード50は、単にスケール部11における座標情報(相対的な位置関係を示す情報)を示すものであり、座標情報は支柱2の長さそのものを示すものではないので、スケール部11の支柱2への取り付け精度に関わらず支柱2の長さ、即ち測定対象者の身長を正確に測定することができる。
【0058】
また、身長計100では、カーソル3が停止した位置においてのみ二次元コード50を読み取ればよい。そのため、例えば特開2003-164436号公報に開示されるようなリニアエンコーダやロータリエンコーダ等を用いる場合とは異なり、カーソル3が移動する途中の二次元コード50を読み取る必要はない。したがって、読み飛ばしに起因する測定不良が発生することはない。
【0059】
なお、
図7に示すフローチャートの変形例として、カーソル3が測定対象者の頭部上端に正しく接触していない場合に処理を中断するようにしてもよい。
【0060】
具体的には、
図8に示すように、カメラ12が二次元コード50を読み取る際に、スケール部11が設けられる平面と直交する方向の回転軸まわりの二次元コード50の回転角度θを読み取るようにする。二次元コード50の回転角度θが所定角度よりも大きい場合には、カーソル3が測定対象者の頭部上端に正しく接触していないおそれがある。この場合には、表示部30に警告を表示すると共に、フローチャートの処理を中断する。
【0061】
以上の実施形態によれば、以下に示す効果を奏する。
【0062】
長さ測定装置10は、支柱2に設けられ、パターンの異なる二次元コード50が少なくとも長さ方向に並べて設けられるスケール部11と、二次元コード50を読み取るカメラ12と、読み取った二次元コード50から座標情報を取得する取得部21と、予め生成された座標情報と支柱2の長さ情報との対応関係に基づき、取得した座標情報を長さ情報に変換する変換部22と、を備える。
【0063】
この構成によれば、身長計100では、スケール部11に並べて設けられる二次元コード50をカメラ12が読み取って、当該二次元コード50の座標情報を取得する。座標情報は、予め生成された座標情報と支柱2の長さ情報との対応関係に基づいて、長さ情報に変換される。このように、二次元コード50は、単にスケール部11における座標情報(相対的な位置関係を示す情報)を示すものであり、座標情報は支柱2の長さそのものを示すものではないので、スケール部11の支柱2への取り付け精度に関わらず支柱2の長さ、即ち測定対象者の身長を正確に測定することができる。
【0064】
次に、
図9を参照して、本実施形態の変形例に係る身長計150について説明する。以下のような変形例も本発明の範囲内であり、以下の変形例と上記実施形態の各構成とを組み合わせたり、以下の変形例どうしを組み合わせたりすることも可能である。なお、以下に示す各変形例では、上記実施形態と異なる点を中心に説明し、同様の機能を有する構成には同一の符号を付して説明を省略する。
【0065】
身長計150は、スケール部11がカーソル103に設けられ、カメラ12が支柱102に設けられる点で、身長計100とは相違する。
【0066】
身長計150は、測定台1と、支柱102と、カーソル103と、長さ測定装置10と、を備える。
【0067】
支柱102は、測定台1から鉛直方向に伸びる。支柱102は、中空に形成される。支柱102の内側には、読取部としてスケール部11を撮像するカメラ12が設けられる。
【0068】
カーソル103は、支柱102に対して鉛直方向(上下方向)に移動するように設けられる。カーソル103は、カーソル本体3aと、可動支柱3bと、を有する。
【0069】
カーソル本体3aは、可動支柱3bの外側に向けて、下面が測定台1の上面と平行になるように突出する。カーソル本体3aは、身長測定時に測定対象者の頭部上端に接触させて用いられる。
【0070】
可動支柱3bの下端は、支柱102の内側に挿入される。可動支柱3bは、支柱102に対して鉛直方向(上下方向)に移動可能に設けられる。可動支柱3bには、スケール部11が設けられる。
【0071】
身長計150でも同様に、スケール部11に並べて設けられる二次元コード50をカメラ12が読み取って、当該二次元コード50の座標情報を取得する。座標情報は、予め生成された座標情報と可動支柱3b(カーソル103)の長さ情報との対応関係に基づいて、長さ情報に変換される。このように、二次元コード50は、単にスケール部11における座標情報を示すものであり、座標情報は可動支柱3bの長さそのものを示すものではないので、スケール部11の可動支柱3bへの取り付け精度に関わらず可動支柱3bの長さ、即ち測定対象者の身長を正確に測定することができる。
【0072】
次に、
図10及び
図11を参照して、本実施形態の他の変形例に係る身長計200について説明する。
【0073】
身長計200は、二次元コード50が設けられるシートとしてのスケールシート211が用いられる点で身長計100及び身長計150とは相違する。
【0074】
身長計200は、長さ測定装置10を備える。長さ測定装置10は、スケールシート211と、読取装置260と、を備える。身長計200では、スケールシート211がスケール部に該当する。
【0075】
スケールシート211は、壁面や柱等の鉛直な平面に貼り付けられる。スケールシート211は、床面に対して垂直になるように貼り付けられる。スケールシート211は、測定対象者の身長に合わせて、壁面や柱等の任意の高さに貼り付け可能である。
【0076】
上述したとおり、二次元コード50は、例えば透明等に形成する等して視認しにくい態様で形成することが可能であり、下絵等を施した上から二次元コード50を形成しても、カメラ12で読み取ることができる。そのため、スケールシート211として、例えばポスターのような図柄や絵のプリントされた紙を用いることができる。
【0077】
読取装置260は、カメラ12と、コントローラ20と、測定開始スイッチ25と、表示部30若しくは報知部40と、を備える。読取装置260は、測定対象者の頭部上端に当接させた状態でスケールシート211の二次元コード50を読み取るように構成される。
【0078】
身長測定を実行する前の準備として、作業者は、スケールシート211を貼り付けた後で、所定の位置の二次元コード50を読み取る操作を実行する。これにより、座標情報と長さ情報とに基づいて予め変換式が生成される。
【0079】
具体的には、作業者は、例えば定規等を用いて、床面から100.0[cm]の位置の座標情報をカメラ12に読み取らせる。このとき、100.0[cm]の位置の二次元コード50のパターンが示す座標情報を(X100,Y100)、任意の位置の二次元コード50のパターンが示す座標情報を(Xn,Yn)とする。ここでは、X100とXnとは同じX座標であるとする。この場合、支柱2の長さLn[cm]を得るための変換式は、Ln=0.01×(Yn-Y100)+100.0である。
【0080】
身長計200を用いた身長測定の際には、まず、測定対象者がスケールシート211の前に姿勢よく起立する。作業者は、測定対象者の頭部上端に読取装置260を当接させ、測定開始スイッチ25を操作する。測定開始スイッチ25が操作されると、コントローラ20は、
図7のフローチャートのステップS13からステップS16までの処理を実行する。
【0081】
これにより、身長計200でも同様に、スケールシート211に並べて設けられる二次元コード50をカメラ12が読み取って、当該二次元コード50の座標情報を取得する。座標情報は、予め生成された座標情報とスケールシート211の高さ情報との対応関係に基づいて、長さ情報に変換される。したがって、測定対象者の身長を正確に測定することができる。
【0082】
また、身長計200では、スケールシート211を壁面や柱等に貼るだけで身長測定を行うことができる。よって、スケールシート211を他の場所に貼り替えて利用することも可能である。この場合、作業者は、スケールシート211を貼り替えた後で、上述した変換式を生成する操作を行う必要がある。
【0083】
次に、
図12を参照して、長さ測定装置10を巻尺300に適用した変形例について説明する。
【0084】
巻尺300は、筐体301と、スケール部311と、長さ測定装置10と、を備える。
【0085】
筐体301は、スケール部311と長さ測定装置10とを収容する。筐体301には、スケール部311が出入りする通孔(図示省略)と、測定結果を表示する表示部30と、が設けられる。
【0086】
スケール部311は、巻き取られた状態で筐体301内に収容される。スケール部311は、ばね(図示省略)によって巻き取り方向に付勢されている。
【0087】
長さ測定装置10は、カメラ12と、コントローラ20と、測定開始スイッチ25と、表示部30と、を備える。
【0088】
長さ測定を実行する前の準備として、作業者は、スケール部311を筐体301内に収容した状態で、二次元コード50を読み取る操作を実行する。これにより、座標情報と長さ情報とに基づいて予め変換式が生成される。
【0089】
具体的には、作業者は、スケール部311が筐体301から出ていない0.0[cm]の位置の座標情報をカメラ12に読み取らせる。このとき、0.0[cm]の位置の二次元コード50のパターンが示す座標情報を(X0,Y0)、任意の位置の二次元コード50のパターンが示す座標情報を(Xn,Yn)とする。ここでは、X0とXnとは同じX座標であるとする。この場合、スケール部311の長さLn[cm]を得るための変換式は、Ln=0.01×(Yn-Y0)である。
【0090】
巻尺300を用いた長さ測定の際には、作業者は、測定対象物の一端にスケール部311の先端を当接させ、筐体301におけるスケール部311が出入りする端部に測定対象物の他端を当接させる。この状態で作業者が測定開始スイッチ25を操作すると、コントローラ20は、
図7のフローチャートのステップS13からステップS16までの処理を実行する。
【0091】
これにより、巻尺300でも同様に、スケール部311に並べて設けられる二次元コード50をカメラ12が読み取って、当該二次元コード50の座標情報を取得する。座標情報は、予め生成された座標情報とスケール部311の長さ情報との対応関係に基づいて、長さ情報に変換される。したがって、測定対象物の長さを正確に測定することができる。
【0092】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したものに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0093】
例えば、上記実施形態に係る身長計100及び身長計150では、単一のコントローラ20が設けられているが、カーソル3内に取得部21を有するコントローラを設け、当該コントローラとは別体に変換部22を有するコントローラを設けてもよい。この場合、カーソル3内のコントローラからもう1つのコントローラには、カメラ12が読み取った二次元コード50の座標情報が出力される。
【0094】
また、上記実施形態に係る身長計100及び身長計150では、カーソル3を自動的に下降させ、測定対象者の頭部上端に接触したときのカーソル3の位置を、測定対象者の身長として表示部30に表示する。これに代えて、カーソル3を手動で移動させて、カーソル3が停止する度に
図7のフローチャートのステップS13からステップS16までの処理を実行し、支柱2の長さ情報を表示部30に表示するようにしてもよい。また、巻尺300において同様の処理を実行してもよい。
【0095】
なお、コントローラ20が実行する各種プログラムは、例えばCD-ROM等の非一過性の記録媒体に記憶されたものを用いてもよい。
【符号の説明】
【0096】
100 身長計
150 身長計
200 身長計
10 長さ測定装置
1 測定台
2 支柱
3 カーソル
11 スケール部
12 カメラ(読取部)
20 コントローラ
21 取得部
22 変換部
50 二次元コード
102 支柱
103 カーソル
211 スケールシート(シート)
311 スケール部