(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】米飯加工機器とその管理端末・管理プログラム・管理方法・管理システム
(51)【国際特許分類】
A23L 7/10 20160101AFI20240422BHJP
【FI】
A23L7/10 G
A23L7/10 E
(21)【出願番号】P 2020006303
(22)【出願日】2020-01-17
【審査請求日】2022-12-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000128566
【氏名又は名称】株式会社オーディオテクニカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141173
【氏名又は名称】西村 啓一
(72)【発明者】
【氏名】三村 聡
(72)【発明者】
【氏名】細金 隆
(72)【発明者】
【氏名】横井 淳
(72)【発明者】
【氏名】西田 洋一
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-158390(JP,A)
【文献】特開2018-117527(JP,A)
【文献】特開2018-093746(JP,A)
【文献】特開2016-109019(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0308674(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L 7/10
A47J 27/
G06Q 50/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理端末と通信ネットワークを介して接続する
複数の米飯加工機器
のうちの1の前記米飯加工機器であって、
前記米飯加工機器の動作環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記動作環境の下での前記米飯加工機器の動作結果に関する結果情報を取得する結果情報取得部と、
前記米飯加工機器の不具合の有無を示す判定情報を取得する判定情報取得部と、
前記環境情報と前記結果情報と前記判定情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記環境情報と前記結果情報と
前記判定情報とを、
他の前記米飯加工機器に対する保全に関する保全参考情報が前記管理端末により決定されるように、前記管理端末に送信
して、前記環境情報と前記結果情報とに基づいて決定された前記米飯加工機器に対する前記保全に関する前記保全参考情報を、前記管理端末より受信する通信部と、
前記保全参考情報を表示する表示部と、
を有してなる、
ことを特徴とする米飯加工機器。
【請求項2】
前記結果情報は、複数の結果項目に関する情報を含み、
複数の前記結果項目のうちの一部の前記結果項目に関する情報を検知する結果情報検知部、
を有してなる、
請求項1記載の米飯加工機器。
【請求項3】
複数の前記結果項目のうちの他の一部の前記結果項目に関する情報が入力される結果情報入力画面を表示する表示部、
を有してなる、
請求項2記載の米飯加工機器。
【請求項4】
前記結果情報取得部は、前記結果情報検知部により検知された情報と、前記結果情報入力画面に入力された情報と、を前記結果情報として取得する、
請求項3記載の米飯加工
機器。
【請求項5】
前記環境情報は、複数の環境項目に関する情報を含み、
複数の前記環境項目のうちの一部の前記環境項目に関する情報を検知する環境情報検知部、
を備える、
請求項1記載の米飯加工機器。
【請求項6】
複数の前記環境項目のうちの他の一部の前記環境項目に関する情報が入力される環境情報入力画面を表示する表示部、
を有してなる、
請求項5記載の米飯加工機器。
【請求項7】
前記環境情報取得部は、前記環境情報検知部により検知された情報と、前記環境情報入力画面に入力された情報と、を前記環境情報として取得する、
請求項6記載の米飯加工
機器。
【請求項8】
前記環境項目は、前記米飯加工
機器により加工される米飯に関する米飯環境項目を含み、
前記米飯環境項目に関する情報は、前記環境情報入力画面に入力される、
請求項7記載の米飯加工機器。
【請求項9】
前記保全参考情報は、前記米飯加工機器により加工される米飯に関する情報を含む、
請求項
1記載の米飯加工機器。
【請求項10】
複数の米飯加工機器と通信ネットワークを介して接続する管理端末であって、
複数の前記米飯加工機器は、
第1米飯加工機器と、
第2米飯加工機器と、
を含み、
前記米飯加工機器の動作環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記動作環境の下での前記米飯加工機器の動作結果に関する結果情報を取得する結果情報取得部と、
前記環境情報と前記結果情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記環境情報と前記結果情報とに基づいて、前記米飯加工機器に対する保全に関する保全参考情報を決定して出力する保全参考情報決定部と、
を有してな
り、
前記環境情報取得部は、前記第1米飯加工機器の前記環境情報を取得して、
前記結果情報取得部は、前記第1米飯加工機器の前記結果情報を取得して、
前記記憶部は、前記第1米飯加工機器の前記環境情報と前記結果情報とを関連付けて記憶して、
前記保全参考情報決定部は、前記第1米飯加工機器の前記環境情報と前記結果情報とに基づいて、前記第2米飯加工機器に対する前記保全参考情報を決定する、
ことを特徴とする米飯加工機器の管理端末。
【請求項11】
前記米飯加工機器に対する
前記保全に関する保全情報を取得する保全情報取得部、
を有してなり、
前記保全情報取得部は、複数の前記米飯
加工機器のうちの一部の前記米飯加工機器の
前記保全情報を取得し、
前記保全参考情報決定部は、複数の前記米飯加工機器のうちの一部の前記米飯
加工機器の前記保全情報に基づいて、複数の前記米飯加工
機器のうちの他の一部の前記米飯加工機器の前記保全参考情報を決定する、
請求項
10記載の米飯加工機器の管理端末。
【請求項12】
コンピュータを、請求項
10記載の米飯加工機器の管理端末として機能させることを特徴とする米飯加工機器の管理プログラム。
【請求項13】
複数の米飯加工機器
ごとの動作環境に関する環境情報と、前記動作環境の下での前記米飯加工機器
ごとの動作結果に関する結果情報と、が関連付けて記憶される記憶部を備えた端末により実行される、
複数の米飯加工機器の管理方法であって、
前記端末は、
複数の前記米飯加工機器と通信ネットワークを介して接続して、
複数の前記米飯加工機器ごとの前記環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
複数の前記米飯加工機器ごとの前記結果情報を取得する結果情報取得ステップと、
複数の前記米飯加工機器ごとの前記環境情報と前記結果情報とを関連付けて前記記憶部に記憶する記憶ステップと、
複数の前記米飯加工機器ごとの前記環境情報と前記結果情報とに基づいて、
複数の前記米飯加工機器
のうち特定の前記米飯加工機器に対する保全に関する保全参考情報を決定して出力する保全参考情報決定ステップと、
を有してなる、
ことを特徴とする米飯加工機器の管理方法。
【請求項14】
米飯加工機器と、
前記米飯加工機器の保全に関する保全参考情報を決定する管理端末と、
を有してなり、
前記米飯加工機器は、請求項1記載の米飯加工機器であり、
前記管理端末は、請求項
10記載の米飯加工機器の管理端末である、
ことを特徴とする米飯加工機器の管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、米飯加工機器とその管理端末と管理プログラムと管理方法と管理システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
米飯の加工品(寿司や握飯など)の需要が高まるなか、米飯を加工する米飯加工機器が、日本を含む世界各国において、製造販売されている。米飯加工機器は、例えば、米飯から握り寿司用のシャリ玉あるいは握飯用のシャリ玉に形成する装置である。米飯加工機器は、例えば、飲食店やスーパなどで使用される。
【0003】
米飯加工機器の動作に不具合が生じた場合、不具合の原因を取り除いて正常に動作させるために、米飯加工機器の保全が必要となる。不具合の内容は、例えば、米飯加工機器が正常に動作せずにシャリ玉が形成されない、あるいは、形成されたシャリ玉の形状が所望の形状ではない、などである。不具合の原因が、例えば、米飯加工機器を構成する部品の故障であれば、保全の内容は新しい部品への交換である。すなわち、保全は、不具合の原因に応じて実施される。つまり、不具合の原因の特定は、適切な保全の実施のために重要である。
【0004】
このように、米飯加工機器を使用する使用者は、米飯加工機器の動作に不具合が生じたとき、不具合の原因を特定して保全を実施しなければならない。しかし、米飯加工機器の使用者である飲食店の店員などは、米飯加工機器の技術的な専門家ではない。そのため、使用者は、不具合の原因を特定できない場合がある。あるいは、米飯加工機器の使用者は、不具合の原因が特定できたとしても、使用者がその保全の内容を知っているとは限らない。
【0005】
通常、米飯加工機器を製造販売するメーカは、販売した米飯加工機器に不具合が生じたとき、その米飯加工機器の使用者から連絡を受けて、不具合の原因を特定し、保全を実施する。メーカの担当者は、例えば、電話などで、米飯加工機器の使用者から不具合の状況などを聞き出し、不具合の原因を特定する。特定された不具合の原因が部品の故障であれば、メーカの担当者は、不具合が生じている米飯加工機器の使用場所を訪問して、部品を交換する。あるいは、メーカの担当者は、不具合の原因が部品の故障であることを使用者に伝え、新しい部品を使用者に発送して交換を依頼する。
【0006】
ここで、例えば、不具合の原因が部品の故障であるとき、部品を交換することで、不具合は改善(解消)する。しかし、例えば、部品の故障の原因が米飯加工機器の誤った使用方法であれば、部品を交換しても、不具合の真因である使用方法が改善されなければ、交換後の新しい部品は故障し、不具合が再発する。あるいは、部品の故障の原因が正常動作を保証されている所定の動作条件(例えば、電力周波数)とは異なる動作条件での米飯加工機器の使用であれば、部品を交換しても、不具合の真因である動作条件が改善されなければ、交換後の新しい部品は故障し、不具合が再発する。
【0007】
このように、米飯加工機器の動作の不具合が生じた場合、不具合の原因を特定するとともに、不具合の真因を特定することが、不具合の再発防止のために重要である。
【0008】
しかし、通常、米飯加工機器の使用者は、自身の使用方法や、動作条件その他の使用環境に問題があると思いながら使用することはなく、使用方法の誤りなどに気付かずに使用する。そのため、前述のとおり、メーカの担当者が、例えば、電話などで、米飯加工機器の使用者から不具合の状況などを聞き出す場合、発生している不具合の内容を聞き出すことはできたとしても、その不具合の原因や真因を特定するために必要な情報を聞き出せない場合がある。不具合の真因が特定されないとき、前述のとおり、保全を実施したとしても、不具合は再発してしまう。
【0009】
また、メーカの担当者が、例えば、不具合が生じた米飯加工機器の使用場所を訪問して、不具合の原因・真因を特定するために米飯加工機器を動作させた場合、メーカの担当者が動作させたときの使用環境は、使用者が動作させて不具合が生じたときの使用環境としばしば異なる。そのため、不具合が再現されない場合がある。この場合、不具合の原因・真因が特定されないため、不具合の再発の防止は実現されない。
【0010】
一方、各地で多数の米飯加工機器が使用されているなか、同じような誤った使用方法や、同じような誤った使用環境で使用されている米飯加工機器は存在し得る。この場合、ある米飯加工機器で発生した不具合の真因が特定されれば、特定された真因は別の米飯加工機器で発生した不具合の保全に役立つ。すなわち、ある米飯加工機器で発生した不具合の内容やその原因・真因に関する情報は、別の米飯加工機器の保全に有効な情報である。
【0011】
これまでにも、通信ネットワークを介した機器の遠隔監視や遠隔操作は、提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0012】
また、機器の異常発生の真因を推測できる情報を提供するために、予め設定されている複数の要因のうち、発生頻度が上位の要因を表示させることは、提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【文献】特開2003-135273号公報
【文献】特開2012-122668号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかし、特許文献1に記載された発明は、機器の不具合の真因を特定するものではない。
【0015】
また、特許文献2に記載された発明は、機器のメーカが予め想定した範囲内の要因に基づいて機器の不具合の真因を推測させるものである。そのため、例えば、米飯加工機器のように、機器の使用者が機器を使用する際に自由に選択できる「米の品種」や「米の炊き上がり」などは、メーカが想定し得ない要因である。つまり、特許文献2に記載された発明では、メーカの想定外の要因に対処できない。
【0016】
本発明は、米飯加工機器の不具合の真因の特定を支援できる米飯加工機器とその管理端末・管理プログラム・管理方法・管理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明にかかる米飯加工機器は、管理端末と通信ネットワークを介して接続する米飯加工機器であって、米飯加工機器の動作環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、動作環境の下での米飯加工機器の動作結果に関する結果情報を取得する結果情報取得部と、米飯加工機器の不具合の有無を示す判定情報を取得する判定情報取得部と、環境情報と結果情報と判定情報とを関連付けて記憶する記憶部と、環境情報と結果情報と判定情報とを、管理端末に送信する通信部と、を有してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、米飯加工機器の不具合の真因の特定を支援できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】本発明にかかる米飯加工機器の管理システムの実施の形態を示すネットワーク構成図である。
【
図2】本発明にかかる米飯加工機器の管理端末の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【
図3】本発明にかかる米飯加工機器の実施の形態を示す斜視図である。
【
図4】本発明にかかる米飯加工機器の実施の形態を示す機能ブロック図である。
【
図5】上記管理端末に記憶される動作履歴情報の例を示す模式図である。
【
図6】上記動作履歴情報に含まれる環境情報(設置環境情報)の例を示す模式図である。
【
図7】上記動作履歴情報に含まれる環境情報(使用環境情報)の例を示す模式図である。
【
図8】上記動作履歴情報に含まれる結果情報(駆動結果情報)の例を示す模式図である。
【
図9】上記動作履歴情報に含まれる結果情報(加工結果情報)の例を示す模式図である。
【
図10】上記動作履歴情報に含まれる判定情報(機械判定情報や使用者判定情報)の例を示す模式図である。
【
図11】上記動作履歴情報に含まれる保全情報(保全内容情報や保全結果情報)の例を示す模式図である。
【
図12】上記管理システムの動作の例を示すフローチャートである。
【
図13】上記使用環境情報の取得に用いられる使用環境情報登録画面の例を示す模式図である。
【
図14】上記使用者判定情報の取得に用いられる使用者判定情報登録画面の例を示す模式図である。
【
図15】保全参考情報が表示される保全参考情報出力画面の例を示す模式図である。
【
図16】上記保全内容情報の取得に用いられる保全内容情報登録画面の例を示す模式図である。
【
図17】上記保全結果情報の取得に用いられる保全結果情報登録画面の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら、本発明にかかる米飯加工機器とその管理端末・管理プログラム・管理方法・管理システムの実施の形態について説明する。
【0021】
●米飯加工機器の管理システム
図1は、本発明にかかる米飯加工機器の管理システム(以下「本システム」という。)の実施の形態を示すネットワーク構成図である。
【0022】
本システムは、本発明にかかる米飯加工機器の管理端末(以下「本端末」という。)1と、本端末1と通信ネットワークNを介して接続する本発明にかかる米飯加工機器(以下「本機器」という。)2と、を有してなる。同図は、本機器2a,本機器2b,・・・,本機器2nが、本端末1と接続することを示す。本端末1に接続された複数の本機器2(本機器2a,本機器2b,・・・,本機器2n)のそれぞれは、例えば、地理的に異なる場所に設置されて、異なる使用者に使用される。本端末1は、例えば、本機器2とは地理的に異なる場所に設置されて、本機器2を製造販売するメーカにより使用される。
【0023】
本システムは、本機器2の動作に不具合が生じたとき、不具合の真因の特定に参考となる参考情報を決定する。参考情報は、本機器2から後述する各種情報を収集する本端末1により決定される。
【0024】
本端末1は、パーソナルコンピュータなどの情報処理端末である。本発明にかかる米飯加工機器の管理プログラム(以下「本プログラム」という。)が本端末1で動作、すなわち、本プログラムが本端末1のハードウェアと協働して、後述する本発明にかかる米飯加工機器の管理方法(以下「本方法」という。)を実現する。本端末1の構成や本方法の内容などは、後述する。
【0025】
本端末1ハードウェアは、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)などのプロセッサである。プロセッサは、本プログラムに記述された命令を実行することで、本端末1が備える後述する各手段(通信部11と、環境情報取得部12と、結果情報取得部13と、保全情報取得部14と、保全参考情報決定部15)を実現する。
【0026】
なお、本プログラムは、本端末とは異なるコンピュータ(不図示)で動作することで、同コンピュータを本端末と同様に機能させて、同コンピュータに本方法を実行させる。すなわち、本端末は、本システムの専用装置でもよく、あるいは、汎用の情報処理装置でもよい。
【0027】
本機器2は、例えば、米飯からシャリ玉を形成する米飯形成装置である。本機器2の構成などは、後述する。
【0028】
通信ネットワークNは、インターネットやLAN(Local Area Network)などの通信網である。
【0029】
●本端末の構成
図2は、本端末の実施の形態を示す機能ブロック図である。
本端末1は、記憶部10と、通信部11と、環境情報取得部12と、結果情報取得部13と、保全情報取得部14と、保全参考情報決定部15とを有してなる。
【0030】
記憶部10は、複数の本機器2それぞれの動作履歴情報や、本プログラムや、本端末1が本方法を実行するために必要な情報、などを記憶する。動作履歴情報の内容などは、後述する。記憶部10は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリその他の半導体メモリ素子、などにより構成される。
【0031】
通信部11は、通信ネットワークNを介して、本機器2から情報を受信し、あるいは、本機器2に情報を送信する。
【0032】
環境情報取得部12は、通信部11を介して、本機器2から環境情報を取得する。環境情報の内容や取得方法などは、後述する。
【0033】
結果情報取得部13は、通信部11を介して、本機器2から結果情報を取得する。結果情報の内容や取得方法などは、後述する。
【0034】
保全情報取得部14は、保全情報を取得する。保全情報の内容や取得方法などは、後述する。
【0035】
保全参考情報決定部15は、保全参考情報を決定して出力する。保全参考情報の内容や決定方法などは、後述する。
【0036】
●本機器の構成
図3は、本機器の実施の形態を示す斜視図である。
本機器2は、ホッパー201と、筐体202と、搬送台203とを有してなる。
【0037】
ホッパー201は、炊かれた米飯を収納する。ホッパー201内に収納された米飯は、攪拌されて、筐体202に供給される。
【0038】
筐体202は、ホッパー201から供給された米飯をシャリ玉に成形し、成形されたシャリ玉を搬送台203に排出する。筐体202は、米飯をシャリ玉に成形する一対の成形ローラ(不図示)を備える。一対の成形ローラは、筐体202の内部に収容される。筐体202は、後述する、記憶部20と、通信部21と、環境情報取得部22と、結果情報取得部23と、判定情報取得部24と、操作部25と、駆動部26と、検知部27とを備える。
【0039】
搬送台203は、筐体202から排出されたシャリ玉RBを、本機器2の使用者が取りやすい位置に搬送する。搬送台203は、平面視において円形の円板である。搬送台203は、シャリ玉RBが排出されるごとに、搬送台203の周方向に所定の角度ずつ回転する。
【0040】
図4は、本機器の実施の形態を示す機能ブロック図である。
本機器2は、記憶部20と、通信部21と、環境情報取得部22と、結果情報取得部23と、
判定情報取得部24と、操作部25と、駆動部26と、検知部27とを有してなる。
【0041】
本機器2は、例えば、CPU、MPU、DSPなどのプロセッサを備える。プロセッサは、記憶部20に記憶されている命令を実行することで、通信部21と、環境情報取得部22と、結果情報取得部23と、判定情報取得部24とを実現する。
【0042】
記憶部20は、環境情報と結果情報と判定情報や、本機器2のプロセッサで動作する命令や、本機器2が本システムの一部として動作するために必要な情報、などを記憶する。記憶部20は、例えば、HDD、SSD、RAM、フラッシュメモリその他の半導体メモリ素子、などにより構成される。
【0043】
通信部21は、通信ネットワークNを介して、本端末1から情報を受信し、あるいは、本端末1に情報を送信する。
【0044】
環境情報取得部22は、本機器2の環境情報を取得して、記憶部20に記憶する。記憶部20に記憶された環境情報は、通信部21を介して、本端末1に送信される。環境情報の内容や取得方法などは、後述する。
【0045】
結果情報取得部23は、本機器2の結果情報を取得して、記憶部20に記憶する。記憶部20に記憶された結果情報は、通信部21を介して、本端末1に送信される。結果情報の内容や取得方法などは、後述する。
【0046】
判定情報取得部24は、本機器2の判定情報を取得して、記憶部20に記憶する。記憶部20に記憶された判定情報は、通信部21を介して、本端末1に送信される。判定情報の内容や取得方法などは、後述する。
【0047】
操作部25は、本機器2の使用者により操作されて、本機器2の動作に関する情報を受け付ける。本機器2の動作に関する情報は、例えば、環境情報と結果情報と判定情報それぞれの全部または一部の情報や、本機器2の動作の開始や停止の指示や、シャリ玉の形成個数、などである。
なお、本機器2の動作に関する情報の一部は、例えば、操作部25とは別の手段により受け付けられてもよい。すなわち、例えば、本機器2は、パーソナルコンピュータなどの情報処理端末と通信回線を介して接続する。本機器2の使用者は、本機器2の動作に関する情報の一部(例えば、後述する使用環境情報)を、同情報処理端末を介して本機器2に入力する。
【0048】
駆動部26は、筐体202内に収容された一対の成形ローラや、搬送台203など、を回転させるモータなど、本機器2が備えるハードウェアを駆動する。
【0049】
検知部27は、本機器2の動作状態を検知する。検知部27により検知された動作状態は、環境情報(特に、後述する設置環境情報)や、結果情報として、記憶部20に記憶される。検知部27は、環境情報や結果情報を収集する複数のセンサを備える。
【0050】
センサは、例えば、本機器2の駆動部に供給される電力の電圧や周波数を検知するセンサなどの電源の状態を監視するセンサや、本機器2が設置された設置場所の室温や湿度を検知するセンサ、である。
また、センサは、例えば、駆動部26を構成するモータに供給された電流値や、モータのトルクや回転数を検知するセンサや、本機器2の連続動作時間を計測するセンサ(カウンタ)、などである。
さらに、センサは、例えば、本機器2により形成されたシャリ玉の個数を計測するセンサ(カウンタ)や、シャリ玉の温度や重量を検知するセンサ、シャリ玉の形状を撮像する撮像センサ(カメラ)、などである。
さらに、センサは、例えば、本機器2により形成されたシャリ玉の温度を計測する温度センサ、である。本機器2は、例えば、形成されるシャリ玉の温度を所定の温度(例えば、40℃)にするヒータ(不図示)を備える。本機器2は、例えば、ヒータは、温度センサにより計測されたシャリ玉の温度に基づいて、ON/OFFを繰り返すヒータの動作を制御して、本機器2に収納された米飯を加熱する。すなわち、例えば、温度センサにより計測されたシャリ玉の温度が所定の温度より低いとき、本機器2は、ヒータのON時間を長くする。一方、例えば、温度センサにより計測されたシャリ玉の温度が所定の温度よりも高いとき、本機器2は、ヒータのOFF時間を長くする。
【0051】
●動作履歴情報
図5は、動作履歴情報の例を示す模式図である。
動作履歴情報は、本機器2の動作の履歴に関する情報である。動作履歴情報は、機器IDと動作開始時刻とに関連付けられて、記憶部10に記憶される。
【0052】
ここで、本明細書において、複数の情報が「関連付けて記憶される」とは、関連付けられた一部の情報に基づいて、関連付けられた他の一部の情報が検索可能であることをいう。すなわち、「機器ID」と「動作開始時刻」と「動作履歴情報」とが関連付けて記憶部10に記憶されているとき、例えば、本端末1は、「機器ID」を検索キーとして記憶部10を参照することで、同「機器ID」と関連付けて記憶されている「動作開始時刻」や「動作履歴情報」を、記憶部10から読み出す。
【0053】
機器IDは、本機器2それぞれに固有の情報である。本端末1は、本機器2のそれぞれを特定するために機器IDを用いる。動作開始時刻は、機器IDで特定される本機器2が動作を開始した時刻を示す情報である。機器IDは、本機器2の記憶部20に、あらかじめ記憶されている。動作開始時刻は、本機器2が備える時計手段により特定される。
【0054】
動作履歴情報は、環境情報と、結果情報と、判定情報と、保全情報とを含む。動作履歴情報に含まれる情報のうち、環境情報と結果情報と判定情報(後述のとおり、環境情報や結果情報に基づいて生成される)とは、本機器2の記憶部20にも記憶される。環境情報と結果情報と判定情報とは、動作開始時刻と関連付けられて、本機器2の記憶部20に記憶される。その後、本機器2は、連続動作を停止した後に、自身の機器IDと共に、記憶部20に関連付けて記憶されている動作開始時刻と環境情報と結果情報と判定情報とを、本端末1に転送(送信)する。動作履歴情報は、本機器2が動作を開始して停止するごと、つまり、本機器2の連続動作ごとに、記憶部10に記憶される。
【0055】
本端末1は、本機器2から受信した、機器IDと動作開始時刻と環境情報と結果情報と判定情報と、を関連付けて記憶部10に記憶する。その後、本端末1は、本機器2に保全が実施されたときに、保全情報を取得する。本端末1は、「保全情報」を、本機器2から先に受信していた「機器IDと動作開始時刻と環境情報と結果情報と判定情報」とに関連付けて、記憶部10に記憶する。
【0056】
同図は、例えば、機器ID「2a」の本機器2aが時刻「T1」から動作を開始していたことを示す。本機器2aは、動作開始時刻「T1」から動作を開始して、連続して動作(つまり、連続してシャリ玉を形成)し、その後、動作を停止する。本機器2aは、連続して動作を繰り返す。同図は、例えば、機器ID「2a」の本機器2aが、時刻「T1」から動作を開始して動作を停止した後、時刻「T4」から次の動作を開始していたことを示す。
【0057】
●環境情報
環境情報は、本機器2の動作環境を示す情報である。環境情報は、設置環境情報と、使用環境情報と、を含む。設置環境情報は、本機器2が備えるセンサなどの検知部27で検知される情報や、本機器2により算出される情報である。使用環境情報は、本機器2の使用者により入力される情報である。
【0058】
図6は、設置環境情報の例を示す模式図である。
設置環境情報は、本機器2が動作する際の電力周波数や電圧など電源に関する情報や、本機器2が設置されている室内の室温や湿度、などを含む。
【0059】
同図は、例えば、機器ID「2a」の本機器2aが時刻「T1」に動作を開始した連続動作において、本機器2aに供給された電力の周波数が「60Hz」「60Hz」「60Hz」で、電圧が「100v」「100v」「100v」で、室温が「20℃」「19℃」「21℃」で、湿度が「40%」「38%」「39%」で推移していたことを示す。設置環境情報に含まれる各項目の値は、例えば、連続動作中に所定時間間隔(例えば、1分ごと)で検知された値である。本機器2aは、検知された設置環境情報を、記憶部20に記憶した上で、本端末1に転送する。
【0060】
なお、本発明において、設置環境情報に含まれる各項目の値は、連続動作中に検知された値に代えて、例えば、連続動作中の所定時間ごとの平均値でもよい。すなわち、例えば、本機器2の「10時00分」から「11時00分」まで連続動作をしたとき、「10時00分」から「10時20分」までに検知された値の平均値と、「10時20分」から「10時40分」までに検知された値の平均値と、「10時40分」から「11時00分」までに検知された値の平均値を、設置環境情報として記憶部20に記憶した上で、本端末1に転送してもよい。また、本機器2は、複数の設置環境情報のうち、いずれか一つ以上の項目の値に異常値が検出された場合、その他の項目の値も同時に記憶部20に記憶した上で、本端末1に転送してもよい。
【0061】
図7は、使用環境情報の例を示す模式図である。
使用環境情報は、本機器2の設置場所と、本機器2に供給された米飯の米の品種や、米の炊き上がりの状態や、本機器2の使用者に関する本機器2の使用スキル(技能)とを含む。
【0062】
同図は、例えば、機器ID「2a」の本機器2aが時刻「T1」に動作を開始した際、本機器2aの設置場所が「Machida」で、米の品種が「JP米」で、米の炊き上がりの状態が「硬」で、技能が「高」であったことを示す。
【0063】
●結果情報
結果情報は、環境情報で示される環境の下で動作した本機器2の動作結果を示す情報である。結果情報は、駆動結果情報と、加工結果情報と、を含む。駆動結果情報は、本機器2の動作状況を示す情報であり、本機器2が備えるセンサなどの検知部27で検知される情報や、本機器2により算出される情報を含む。加工結果情報は、例えば、本機器2により形成されたシャリ玉に関する情報であり、本機器2が備えるセンサなどで検知される情報や、本機器2により算出される情報や、本機器2の使用者により入力される情報を含む。
なお、結果情報は、例えば、本機器2が備える非常停止スイッチや、ホッパー201のカバーの付け忘れを検出する安全センサ、などの作動の有無を含んでもよい。本機器2は、例えば、非常停止スイッチが操作されたとき、シャリ玉の形成を停止し、非常停止スイッチが操作されたことを、後述する判定情報として本端末1に送信する。本端末1は、非常停止スイッチが操作されたときの本機器2の環境情報や結果情報などに基づいて、後述のとおり、本機器2に対する保全参考情報を決定して、本機器2の使用者に提示する。
【0064】
図8は、駆動結果情報の例を示す模式図である。
駆動結果情報は、本機器2のモータに供給された電流の電流値や、モータのトルクや回転数や、連続動作時間や、累積動作時間などを含む。累積動作時間は、連続動作を繰り返す本機器2の連続動作時間の合計時間である。駆動結果情報に含まれる情報は、例えば、電流値であれば実効値や瞬時値や平均値、モータのトルクや回転数であれば、例えば、連続動作中に検知された値の平均値である。これらの値は、本機器2の動作を制御する各種のパラメータの特性により決まり、例えば、本機器2のプロセッサで動作するプログラムにより算出される。
【0065】
同図は、例えば、機器ID「2a」の本機器2aが時刻「T1」に動作を開始した連続動作において、モータに供給された電流の電流値が「1,000mA」「1,000mA」「1,000mA」で、モータのトルクが「50N・m」「49N・m」「51N・m」で、モータの回転数が「50rpm」「49rpm」「50rpm」で推移したことや、連続動作時間が「1時間」であったことを示す。
【0066】
なお、設置環境情報に含まれる各項目の値と同様、本発明において、駆動結果情報に含まれる各項目の値は、連続動作中に検知された値に代えて、例えば、連続動作中の所定時間ごとの実効値や平均値でもよい。
【0067】
図9は、加工結果情報の例を示す模式図である。
加工結果情報は、形成されたシャリ玉の数(連続加工数)と、形成されたシャリ玉の温度と、形成されたシャリ玉の重量と、形成されたシャリ玉の累積数(累積加工数)とを含む。
【0068】
同図は、例えば、機器ID「2a」の本機器2aが時刻「T1」に動作を開始した連続動作において、形成されたシャリ玉の温度が「40℃」「39℃」「40℃」で、形成されたシャリ玉の重量が「20g」「21g」「21g」で推移したことや、シャリ玉の連続加工数が「4000個」で、累積加工数が「100万個」であったことを示す。
【0069】
なお、設置環境情報に含まれる各項目の値と同様、本発明において、加工結果情報に含まれる各項目(シャリ玉の温度や重量)の値は、連続動作中に検知された値に代えて、例えば、連続動作中の所定時間ごとの平均値でもよい。また、本機器2は、複数の結果情報のうち、いずれか一つ以上の項目の値に異常値が検出されたとき、その他の項目の値も同時に記憶部20に記憶した上で、本端末1に転送してもよい。
【0070】
●判定情報
判定情報は、本機器2の動作の不具合の有無を示す情報である。判定情報は、機械判定情報と、使用者判定情報と、を含む。機械判定情報は、本機器2により、決定される。本機器2は、本機器2の結果情報に基づいて、機械判定情報を決定する。使用者判定情報は、本機器2の使用者により、本機器2に入力される。
【0071】
図10は、判定情報の例を示す模式図である。
同図は、例えば、機器ID「2a」の本機器2が時刻「T1」に動作を開始した連続動作の不具合に関して、機械判定情報として「シャリ玉の形状が不揃い」と判定され、使用者判定情報として「良」、つまり、本機器2の不具合は無い、と判定されていることを示す。
【0072】
機械判定情報「シャリ玉の形状が不揃い」は、例えば、本機器2が備える重量センサが検知した結果、本機器2により決定される。具体的には、「シャリ玉の形状が不揃い」という判定は、本機器2の連続動作中に形成された各シャリ玉の重量(重量センサにより検知される)が不揃いであることを要因としてなされる。
機械判定情報「シャリ玉の形状が不揃い」の別の決定方法は、例えば、本機器2が備える撮像センサが検知した結果、本機器2により決定される。具体的には、「シャリ玉の形状が不揃い」という判定は、本機器2の連続動作中に形成された各シャリ玉の撮像画像(撮像センサにより撮像される)が不揃いであることを要因としてなされる。
機械判定情報の別の例は、本機器2に収納されている米飯の状態の良し悪しである。米飯の状態は、例えば、米飯の温度や、シャリ玉を形成する成形ローラを駆動するモータのトルクや、成形ローラに米飯を供給するモータのトルク、複数のモータのトルクの組合せから取得された結果、などに基づいて、本機器2により決定される。本機器2は、米飯の温度を計測するセンサや、各モータのトルクを計測するセンサ、を備える。本機器2は、例えば、各センサの計測結果に基づいて、米飯の温度やモータのトルクが所望の値となるように、本機器2が備えるハードウェアの動作を制御する。複数のモータのトルクの組合せから取得された結果とは、例えば、成形ローラに米飯を供給するモータのトルクは正常であるが、成形ローラを駆動するモータのトルクが小さい場合である。この場合、米飯が成形ローラへ正常に供給されていないため、機械判定情報は「供給異常」となる。
【0073】
ここで、機械判定情報は、例えば、結果情報取得部により取得された結果情報と、記憶部20にあらかじめ記憶されている結果情報に含まれる各項目の値の基準値と、に基づいて、判定情報取得部により決定されてもよい。すなわち、例えば、判定情報取得部は、検知部27により検知されたシャリ玉の重量(例えば、23g)と、記憶部20に記憶されている米飯重量の基準値(例えば、20g)との差(例えば、3g)が、あらかじめ記憶部20に記憶されている所定の許容範囲(例えば、2g以内)を満たしていないとき、シャリ玉の重量の異常が発生している、と判定する。
【0074】
使用者判定情報「良」は、例えば、本機器2の使用者が、本機器2の連続動作中に形成された各シャリ玉の形状や、本機器2の動作状況などを、目視などにより確認した結果、入力された情報である。つまり、使用者判定情報は、使用者により決定される。
【0075】
●保全情報
保全情報は、本機器2に実施された保全に関する情報である。保全情報は、保全内容情報と、保全結果情報と、を含む。保全内容情報は、本機器2に実施された保全の内容を示す情報である。保全結果情報は、本機器2に実施された保全の結果を示す情報である。保全情報は、例えば、本端末1の使用者により入力される。
【0076】
図11は、保全情報の例を示す模式図である。
同図は、例えば、機器ID「2a」の本機器2が時刻「T1」に動作を開始した連続動作の後、本機器2に保全が実施されたことを示す。保全は、例えば、シャリ玉の形状が不揃いとの判定情報に基づいて、実施される。その保全の内容は、「ABCをXYZに変更」である。「ABC」は、例えば、電力周波数や米の品種など、環境情報に含まれる項目である。「XYZ」は、例えば、電力周波数の値や米の品種の名称など、環境情報に含まれる項目の値などである。その保全の結果は、「改善」、つまり、本機器2により形成されたシャリ玉の形状の不揃いの改善である。
【0077】
ここで、
図10と
図11は、機器ID「2a」の本機器2が、時刻「T1」に動作を開始して連続動作をした後、保全が実施され、その後、時刻「T4」に動作を開始(再開)したことを示す。同図らは、時刻「T1」に開始された連続動作において、「シャリ玉の形状の不揃い」と判定されたことを示す。同図らは、時刻「T4」に開始された連続動作において、「シャリ玉の形状の不揃い」その他の本機器2の動作の不具合は判定されなかったことを示す。機器ID「2a」の本機器2の時刻「T1」と関連付けて記憶される保全結果情報「改善」(
図11参照)は、例えば、時刻「T4」に開始(再開)された連続動作が停止した後に、記憶部10に記憶される。
【0078】
●本システムの動作
図12は、本システムの実施の形態を示すフローチャートである。
【0079】
以下の説明では、本システムを構成する本端末1が、本機器2aの動作の不具合の保全に関する保全参考情報を決定する場合を例に説明する。本機器2aのホッパー201は、シャリ玉の形成に用いられる米飯を収納しているものとする。
【0080】
また、以下の説明では、本機器2aは、時刻「T1」から連続動作(以下「第1連続動作」という。)を開始し、第1連続動作中に不具合が発生したものとする。その後、本機器2aに対する保全が実施されたものとする。その上で、本機器2aは、時刻「T4」から連続動作(以下「第2連続動作」という。)を開始し、第2連続動作中に不具合が発生することなく、動作を終了したものとする。
【0081】
先ず、本機器2aは、環境情報取得部22を用いて、本機器2aの使用環境情報を取得する(S1)。本機器2aは、例えば、本機器2aの使用者により操作部25が操作されて、シャリ玉の形成の開始指示を受け付けることで、シャリ玉の形成の前処理として、使用環境情報の取得を開始する。
【0082】
図13は、使用環境情報の取得に用いられる使用環境情報登録画面の例を示す模式図である。
画面P1は、環境情報取得部22により、例えば、本機器2aのディスプレイ(不図示)に表示される。本機器2aの使用者は、本機器2aの操作部25を操作して、画面P1内に本機器2aの使用環境情報を入力する。同図は、設置場所「Machida」、米の品種「JP米」、米の炊き上がり「硬」、技能「高」などが使用環境情報として入力されていることを示す。本機器2aは、画面P1内のボタンB1が選択されることで、画面P1に入力された使用環境情報を、記憶部20に記憶する。
【0083】
次いで、本機器2aは、シャリ玉を形成するための第1連続動作を開始する(S2)。つまり、本機器2aは、ホッパー201内の米飯の筐体202への供給を開始する。筐体202内の一対の成形ローラは、回転を開始する。
【0084】
次いで、本機器2aは、シャリ玉を形成する(S3)。つまり、筐体202内の一対の成形ローラは、ホッパー201から供給された米飯を、所定の形状のシャリ玉に成形する。形成されたシャリ玉は、筐体202から搬送台203に排出される。
【0085】
次いで、本機器2aは、環境情報取得部22や結果情報取得部23を用いて、本機器2aの設置環境情報や結果情報を取得する(S4)。設置環境情報や結果情報は、本機器2aの検知部27により検知されて、記憶部20に記憶される。
【0086】
次いで、本機器2aは、結果情報の判定、つまり、本機器2aの動作の不具合の有無を判定する(S5)。結果情報の判定は、本機器2aの判定情報取得部24による機械判定と、本機器2aの使用者による使用者判定と、を含む。
【0087】
次いで、本機器2aは、判定情報取得部24を用いて、判定情報を取得する(S6)。
判定情報は、機械判定の結果を示す機械判定情報と、使用者判定の結果を示す使用者判定医情報と、を含む。
【0088】
機械判定情報は、検知部27により検知された設置環境情報や結果情報に基づいて、本機器2aの判定情報取得部24により生成される。本機器2aは、例えば、シャリ玉が形成されるごとに、本機器2aの重量センサにより検知された各シャリ玉の重量を記憶部20に記憶する。本機器2aは、記憶部20に記憶された各シャリ玉の重量のバラツキが大きいと判定すると、機械判定情報「シャリ玉の形状不揃い」を生成する。一方、本機器2aは、検知部27により検知された設置環境情報や結果情報に基づいて不具合が生じていないと判定したときは、機械判定情報として「良」、つまり、不具合が無い、と記憶部20に記憶する。
【0089】
使用者判定情報は、本機器2aの使用者により本機器2aに入力される。
【0090】
図14は、使用者判定情報の取得に用いられる使用者判定情報登録画面の例を示す模式図である。
画面P2は、判定情報取得部24により、例えば、本機器2aのディスプレイ(不図示)に表示される。本機器2aの使用者は、本機器2aの操作部25を操作して、画面P2内に本機器2aの使用者判定情報を入力する。画面P2は、使用者が選択した判定対象ごとの判定内容が入力可能に構成される。画面P2内の判定対象は、例えば、プルダウンメニュー形式で構成される。判定対象は、例えば、「シャリ玉」「ターンテーブル」などである。判定内容は、例えば、判定対象「シャリ玉」に対して「形状不揃い」や、判定対象「ターンテーブル」に対して「回転不良」、などである。本機器2aは、画面P2内のボタンB21が選択されることで、画面P2に入力された使用者判定情報(判定対象に対する判定内容)を、記憶部20に記憶する。一方、本機器2aは、画面P2内のボタンB22が選択されたとき、画面P2内への使用者判定情報の入力の有無に限らず、使用者判定情報として「良」、つまり、不具合が無い、と記憶部20に記憶する。
【0091】
次いで、判定の結果、本機器2aの動作の不具合が無いと判定されたとき(S7のY)、本機器2aは、動作を終了するか否かを判定する(S8)。本機器2aの動作が終了しないとき(S8のN)、本機器2aは、処理S3から処理S7を繰り返す。つまり、本機器2aは、シャリ玉の形成を繰り返す。本機器2aの動作が終了するとき(S8のY)の本システムの情報処理などは、後述する。
【0092】
一方、判定の結果、本機器2aの動作の不具合が有ると判定されたとき(S7のN)、本機器2aは、シャリ玉を形成するための第1連続動作を停止する(S9)。
【0093】
次いで、本機器2aは、通信部21を用いて、第1連続動作に関連する、記憶部20に記憶されている環境情報と結果情報と判定情報とを、本機器2aの機器ID「2a」と、第1連続動作の開始時刻「T1」と、共に、本端末1に転送(送信)する(S10)。本端末1は、通信部11と環境情報取得部12と結果情報取得部13とを用いて、本機器2aから転送された環境情報と結果情報と判定情報とを、本機器2aから転送された機器ID「2a」と開始時刻「T1」とに関連付けて、記憶部10に記憶する。
【0094】
次いで、本端末1は、保全参考情報決定部15を用いて、記憶部10に記憶されている動作履歴情報(本機器2a自身の動作履歴情報のほか、本端末1に接続されている他の本機器2の動作履歴情報)に基づいて、本機器2aに対する保全参考情報を決定する(S11)。決定された保全参考情報は、記憶部10に記憶されると共に、例えば、本端末1の使用者(本機器2のメーカの担当者)が視認可能となるように、本端末1のディスプレイに表示される。
【0095】
ここで、本端末1による保全参考情報の決定方法について、説明する。
本端末1は、記憶部10に記憶されている複数の本機器2それぞれの動作履歴情報を参照して、本機器2aの動作履歴情報と類似する動作履歴情報に基づいて、本機器2aに対する保全参考情報を決定する。すなわち、例えば、本端末1は、先ず、本機器2aに生じている不具合と同様の不具合が発生した本機器2、つまり、本機器2aの動作履歴情報に含まれる判定情報と同様の判定情報を含む動作履歴情報を検索する。次いで、本端末1は、検索された動作履歴情報に含まれる保全情報を参照して、不具合が改善された保全内容、つまり、保全結果情報「改善」と関連付けて記憶されている保全内容情報を検索する。次いで、本端末1は、検索された保全内容情報と関連付けて記憶されている環境情報を検索する。次いで、本端末1は、検索された環境情報のうち、本機器2aの環境情報と類似する環境情報を特定し、特定された環境情報と関連付けて記憶されている保全内容情報を選択する。本端末1は、選択された保全内容情報で示される内容を、保全参考情報として決定する。なお、複数の保全内容情報が選択されたとき、本端末1は、複数の保全内容情報を含む動作履歴情報のうち、本機器2aの動作履歴情報(特に、環境情報)との類似性の高い動作履歴情報の保全内容情報を、優先的に選択する。
【0096】
図15は、保全参考情報が表示される保全参考情報出力画面の例を示す模式図である。
画面P3は、保全参考情報決定部15により、例えば、本端末1のディスプレイに表示される。画面P3を閲覧した本端末1の使用者は、例えば、本機器2aの使用者に対して、決定された保全参考情報「ABCをXYZに変更すること」を連絡する。画面P3に表示された保全参考情報は、例えば、画面P3内のボタンB3が選択されたとき、記憶部10に記憶される。
【0097】
本機器2aの使用者は、本端末1により決定された保全参考情報を参考にして、本機器2aの保全を実施する(S12)。本機器2aの使用者は、例えば、実施した保全の内容を、本端末1の使用者に連絡する。本端末1の使用者は、例えば、本機器2の使用者から連絡を受けた保全の内容を、本端末1に入力する。
なお、本端末1は、例えば、記憶部10に記憶されている類似性の高い動作履歴情報に含まれる保全内容情報を、本機器2aの動作を制御するパラメータの設定値として、本機器2aに送信してもよい。この場合、本機器2aは、本端末1から受信した設定値に基づいて、動作を再開する。つまり、本端末1は、本機器2aの動作を遠隔で制御する。本端末1から本機器2aへの保全内容情報の送信は、本端末1の使用者による送信操作を介して行われてもよく、あるいは、本端末1の使用者による送信操作を介さずに自動的に行われてもよい。
【0098】
本端末1は、保全情報取得部14を用いて、本機器2aに実施された保全の内容を、保全内容情報として記憶部10に記憶する。保全内容情報は、本端末1の使用者により、本端末1に入力される。記憶部10に記憶される保全内容情報は、記憶部10に記憶されている本機器2aの第1連続動作の動作履歴情報の一部を構成する情報として、つまり、本機器2aの機器ID「2a」と第1連続動作の開始時刻「T1」とに関連付けて、記憶部10に記憶される(S13)。
【0099】
図16は、保全内容情報の取得に用いられる保全内容情報登録画面の例を示す模式図である。
画面P41は、保全情報取得部14により、例えば、本端末1のディスプレイ(不図示)に表示される。本端末1の使用者は、本端末1のキーボードなどの情報入力手段(不図示)を操作して、画面P41内に本機器2aの保全内容情報を入力する。同図は、不具合の内容「シャリ玉の形状不揃い」に対する保全の内容「ABCをXYZに変更」が入力されていることを示す。画面P41に表示された保全内容情報は、例えば、画面P41内のボタンB41が選択されたとき、記憶部10に記憶される。
【0100】
次いで、保全が実施された本機器2aは、第2連続動作として、処理S1から処理S7を繰り返す。つまり、本機器2aは、シャリ玉の形成を再開する。
【0101】
その後、本機器2aは、例えば、本機器2aの使用者による停止操作により、シャリ玉の形成を停止する。すなわち、保全が実施されて第2連続動作を再開した本機器2aにおいて、動作の不具合は生じることなく、第2連続動作は停止した。すなわち、本機器2aの第1連続動作中に生じた不具合は、第2連続動作においては生じなかった。つまり、第1連続動作中に生じた不具合は、第1連続動作と第2連続動作との間に実施された保全により、改善した。
ここで、第2連続動作中に本機器2aの動作の不具合が生じた場合、第2連続動作中に生じた不具合の内容が第1連続動作中に生じた不具合と異なるとき、例えば、本機器2aは、新たな保全参考情報を決定する。一方、第2連続動作中に生じた不具合の内容が、第1連続動作中に生じた不具合の内容と同じとき、第1連続動作後に実施した保全の内容が不十分だった可能性がある。そこで、本機器2aは、例えば、保全参考情報を決定せずに、本端末1のディスプレイに、本機器2aの動作に不具合の生じていることを表示する。同表示を閲覧した本端末1の使用者は、本端末1の記憶部10に記憶されている本機器2aや別の本機器2の動作履歴情報などを参照して、本機器2aの動作の不具合の原因を調査する。本端末1の使用者は、調査によって得られた不具合の原因に対する保全の内容を、本機器2aの使用者に伝えて、保全の実施を依頼する。保全が実施された後、本機器2aは、動作を開始(再開)する。
【0102】
本機器2aは、動作を終了すると判定したとき(S8のY)、シャリ玉を形成するための第2連続動作を停止する(S14)。
【0103】
次いで、本機器2aは、通信部21を用いて、第2連続動作に関連する、記憶部20に記憶されている環境情報と結果情報と判定情報とを、本機器2aの機器ID「2a」と、第2連続動作の開始時刻「T4」と、共に、本端末1に転送(送信)する(S15)。本端末1は、通信部11と環境情報取得部12と結果情報取得部13とを用いて、本機器2aから転送された環境情報と結果情報と判定情報とを、本機器2aから転送された機器ID「2a」と動作開始時刻「T4」とに関連付けて、記憶部10に記憶する。
【0104】
次いで、本端末1は、保全情報取得部14を用いて、第2連続動作の開始前に本機器2aに対する保全の実施の有無を判定する(S16)。本端末1は、例えば、第2連続動作の開始前に本機器2aに対する保全の実施の有無を示す情報を、本機器2aの機器IDと関連付けて、記憶部10に記憶しておく。本端末1は、この情報を参照して、本機器2aに対する保全の実施の有無を判定する。
【0105】
保全の実施があったとき(S16のY)、本端末1は、保全情報取得部14を用いて、保全結果情報を取得して(S17)、第2連続動作を終了する。取得された保全結果情報は、記憶部10に記憶されている、本機器2aの第1連続動作に関する動作履歴情報の一部として、時刻「T1」と関連付けて記憶部10に記憶される。つまり、記憶部10に記憶されている第1連続動作に関する動作履歴情報は、更新される。
【0106】
図17は、保全結果情報の取得に用いられる保全結果情報登録画面の例を示す模式図である。
画面P42は、保全情報取得部14により、例えば、本端末1のディスプレイ(不図示)に表示される。本端末1の使用者は、本端末1のキーボードなどの情報入力手段(不図示)を操作して、画面P42内に本機器2aの保全結果情報を入力する。同図は、不具合の内容「シャリ玉の形状不揃い」に対する保全の内容「ABCをXYZに変更」の保全結果情報として「改善」が入力されていることを示す。画面P42に表示された保全結果情報は、例えば、画面P42内のボタンB42が選択されたとき、記憶部10に記憶される。
【0107】
一方、保全の実施がなかったとき(S16のN)、本端末1は、第2連続動作を終了する。
【0108】
記憶部10に記憶された本機器2aの第1連続動作や第2連続動作に関する動作履歴情報は、その後、本機器2(本機器2aや本端末1に接続する他の本機器2)の動作の不具合が生じたとき、本端末1による保全参考情報の決定の際に参照される。
【0109】
●まとめ
以上説明した実施の形態によれば、本システムは、本機器2の動作に不具合が生じたとき、本端末1が収集した本機器2の動作履歴情報に基づいて、本機器2の保全に参考となる保全参考情報を決定できる。
【0110】
また、本システムは、本端末1に接続される複数の本機器2の動作履歴情報を収集することで、ある本機器2で発生した不具合の保全に参考となる情報を、他の本機器2の動作履歴情報から決定できる。
【0111】
さらに、本システムは、本機器2の使用者が自由に選択できる本機器2の使用環境(米の品種や、米の炊き上がり、など)も含めて、本機器2の不具合の原因・真因を推定できる。つまり、本システムは、本機器2のメーカが想定し得ない不具合の要因にも対処できる。
【0112】
よって、例えば、本機器2のメーカは、本端末1を用いて、各地で使用されている本機器2の動作履歴情報をいわゆるビックデータとして収集しておくことで、ある本機器2の動作に不具合が生じたとき、本端末1が収集した動作履歴情報に基づいて、不具合の保全に参考となる情報を、不具合の生じた本機器2の使用者に提供できる。
特に、本機器2が業務用で使用される場合、本機器2の動作の不具合は、本機器2の使用者に損害を与えかねない。そのため、本機器2のメーカは、本システムを活用することで、不具合の生じた本機器2に対する保全の参考情報を即座に特定して、短期間での不具合の改善を実現できる。迅速な不具合への対応は、本機器2の使用者の満足度の向上に資する。
【0113】
また、本機器2のメーカは、ある本機器2の動作に不具合が生じたとき、その本機器2の動作履歴情報(環境情報や結果情報など)を参照することで、不具合に至った時点、あるいは、不具合に至る過程の本機器2の動作状況を把握できる。
【0114】
さらに、本機器2のメーカは、不具合の生じていない本機器2の動作履歴情報(環境情報や結果情報など)と、不具合の生じた本機器2の動作履歴情報(環境情報や結果情報など)とを比較することで、今後、不具合の生じていない本機器2に不具合が生じる可能性を推測できる。すなわち、例えば、本機器2のメーカは、本システムを活用することで、各地に点在する複数の本機器2のうち、似たような不具合が生じている本機器2に共通する設置環境や使用環境を特定できる。そのため、本機器2のメーカは、例えば、本機器2の動作履歴情報を監視しておくことで、本機器2の動作に不具合が生じる可能性を事前に推測でき、本機器2の予防保全を実施できる。本機器2のメーカは、予防保全として、例えば、本機器2の使用環境ごとに、各本機器2の部品(例えば、モータ)の交換時期を決定する。
【0115】
さらにまた、本機器2のメーカは、例えば、本機器2の使用者に本機器2を貸与して、本機器2の使用料を徴収するサービスを提供する場合、本機器2の動作履歴情報(環境情報や結果情報など)に基づいて、本機器2の動作の不具合の発生の可能性を推定し、同可能性に応じた使用料を設定するサービス(いわゆるサブスクリプションサービス)を提供できる。
【0116】
なお、以上説明した実施の形態において、本機器2の不具合の有無は、本機器2により判定されて、その判定結果が本機器2から本端末1に転送される。これに代えて、本機器の不具合の有無は、本機器の結果情報を本機器から受信した本端末により判定されてもよい。
【0117】
また、以上説明した実施の形態において、本機器2の環境情報や結果情報は、本機器2の連続動作中に不具合が生じたときに、本端末1に転送される。これに代えて、本機器2の環境情報や結果情報は、本機器2の連続動作中に不具合が生じていなくても、本端末1に定期的に転送されてもよい。この場合、例えば、本端末1は、各地に点在していて連続動作中の本機器2の動作状況を、リアルタイムで収集できる。よって、例えば、本端末1は、転送された結果情報を参照して、ある本機器2の駆動結果情報に含まれる項目(例えば、モータのトルク)の値の異常値の発生頻度が高くなっている、つまり、異常値の発生する時間間隔が短くなっていることを特定できる。本機器2のメーカは、本端末1が特定した異常値の発生頻度の高まりに基づいて、本機器2の動作の不具合の生じる可能性を推測でき、その本機器2の予防保全を実施できる。また、本機器2のメーカは、本端末1が特定した異常値の発生頻度や発生時期と、その他の環境情報や結果情報とを関連付けて、評価できる。このように、本実施の形態は、不具合の発生時の本機器2の状態を詳細に把握できるため、メーカの担当者による不具合の要因の特定を効果的に補助し、迅速なユーザサポートを実現する。
【0118】
また、以上説明した実施の形態において、本端末1が決定した本機器2の不具合に対する保全参考情報は、本端末1の使用者から本機器2の使用者に連絡される。ここで、保全参考情報は、例えば、本端末から本機器に通信ネットワークを介して送信され、本機器のディスプレイに表示されてもよい。この場合、本機器の使用者は、本機器のディスプレイに表示された保全参考情報を確認して、本機器の保全を実施する。
【0119】
さらに、以上説明した実施の形態において、本機器は、米飯からシャリ玉を形成する米飯形成装置であったが、本発明にかかる米飯加工機器は、米飯形成装置に限定されない。すなわち、例えば、本発明にかかる米飯加工機器は、シャリ玉整列型装置、おにぎり成形型装置、のり巻き成形装置、シャリ板成形装置、のり巻きカッター装置、酢合わせ機、などでもよい。ここで、本システムが収集する動作履歴情報に含まれる環境情報や結果情報や判定情報などは、本発明にかかる米飯加工機器に応じて選定される。米飯加工機器がのり巻き成形装置やシャリ板成形装置であれば、例えば、検知部としての長さ計測用センサにより計測されたのり巻きの長さや、米飯を板状に配置するローラを駆動するモータのトルクや電流値が、結果情報に含まれる。米飯加工機器がのり巻きカッター装置であれば、例えば、検知部としての刃に備えられた歪センサにより検知された刃にかかる負荷が、結果情報に含まれる。
【0120】
以下、これまで説明した本発明にかかる米飯加工機器とその管理端末・管理プログラム・管理方法・管理システムの特徴を、まとめて記載しておく。
【0121】
(特徴1)
管理端末と通信ネットワークを介して接続する米飯加工機器であって、
前記米飯加工機器の動作環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記動作環境の下での前記米飯加工機器の動作結果に関する結果情報を取得する結果情報取得部と、
前記米飯加工機器の不具合の有無を示す判定情報を取得する判定情報取得部と、
前記環境情報と前記結果情報と前記判定情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記環境情報と前記結果情報と判定情報とを、前記管理端末に送信する通信部と、
を有してなる、
ことを特徴とする米飯加工機器。
【0122】
(特徴2)
前記結果情報は、複数の結果項目に関する情報を含み、
複数の前記結果項目のうちの一部の前記結果項目に関する情報を検知する結果情報検知部、
を有してなる、
特徴1記載の米飯加工機器。
【0123】
(特徴3)
複数の前記結果項目のうちの他の一部の前記結果項目に関する情報が入力される結果情報入力画面を表示する表示部、
を有してなる、
特徴2記載の米飯加工機器。
【0124】
(特徴4)
前記結果情報取得部は、前記結果情報検知部により検知された情報と、前記結果情報入力画面に入力された情報と、を前記結果情報として取得する、
特徴3記載の米飯加工器。
【0125】
(特徴5)
前記環境情報は、複数の環境項目に関する情報を含み、
複数の前記環境項目のうちの一部の前記環境項目に関する情報を検知する環境情報検知部、
を備える、
特徴1記載の米飯加工機器。
【0126】
(特徴6)
複数の前記環境項目のうちの他の一部の前記環境項目に関する情報が入力される環境情報入力画面を表示する表示部、
を有してなる、
特徴5記載の米飯加工機器。
【0127】
(特徴7)
前記環境情報取得部は、前記環境情報検知部により検知された情報と、前記環境情報入力画面に入力された情報と、を前記環境情報として取得する、
特徴6記載の米飯加工器。
【0128】
(特徴8)
前記環境項目は、前記米飯加工器により加工される米飯に関する米飯環境項目を含み、
前記米飯環境項目に関する情報は、前記環境情報入力画面に入力される、
特徴7記載の米飯加工機器。
【0129】
(特徴9)
前記通信部は、前記環境情報と前記結果情報とに基づいて決定された前記米飯加工器の保全に関する保全参考情報を、前記管理端末より受信し、
前記保全参考情報を表示する表示部、
を有してなる、
特徴1記載の米飯加工機器。
【0130】
(特徴10)
前記保全参考情報は、前記米飯加工機器により加工される米飯に関する情報を含む、
特徴9記載の米飯加工機器。
【0131】
(特徴11)
米飯加工機器の動作環境に関する環境情報を取得する環境情報取得部と、
前記動作環境の下での前記米飯加工機器の動作結果に関する結果情報を取得する結果情報取得部と、
前記環境情報と前記結果情報とを関連付けて記憶する記憶部と、
前記環境情報と前記結果情報とに基づいて、前記米飯加工機器に対する保全に関する保全参考情報を決定して出力する保全参考情報決定部と、
を有してなる、
ことを特徴とする米飯加工機器の管理端末。
【0132】
(特徴12)
前記環境情報取得部は、複数の前記米飯加工機器ごとの前記環境情報を取得し、
前記結果情報取得部は、複数の前記米飯加工機器ごとの前記結果情報を取得し、
前記記憶部は、複数の前記米飯加工機器ごとの前記環境情報と前記結果情報とを関連付けて記憶し、
前記保全参考情報決定部は、複数の前記米飯加工機器ごとの前記環境情報と前記結果情報とに基づいて、複数の前記米飯加工機器のうちの特定の前記米飯加工機器に対する前記保全参考情報を決定する、
特徴11記載の米飯加工機器の管理端末。
【0133】
(特徴13)
前記米飯加工機器に対する保全に関する保全情報を取得する保全情報取得部、
を有してなり、
前記保全情報取得部は、複数の前記米飯孔機器のうちの一部の前記米飯加工機器の保全情報を取得し、
前記保全参考情報決定部は、複数の前記米飯加工機器のうちの一部の前記米飯孔機器の前記保全情報に基づいて、複数の前記米飯加工器のうちの他の一部の前記米飯加工機器の前記保全参考情報を決定する、
特徴11記載の米飯加工機器の管理端末。
【0134】
(特徴14)
コンピュータを、特徴11記載の米飯加工機器の管理端末として機能させることを特徴とする米飯加工機器の管理プログラム。
【0135】
(特徴15)
米飯加工機器の動作環境に関する環境情報と、前記動作環境の下での前記米飯加工機器の動作結果に関する結果情報と、が関連付けて記憶される記憶部を備えた端末により実行される、米飯加工機器の管理方法であって、
前記端末は、
前記環境情報を取得する環境情報取得ステップと、
前記結果情報を取得する結果情報取得ステップと、
前記環境情報と前記結果情報とを関連付けて前記記憶部に記憶する記憶ステップと、
前記環境情報と前記結果情報とに基づいて、前記米飯加工機器に対する保全に関する保全参考情報を決定して出力する保全参考情報決定ステップと、
を有してなる、
ことを特徴とする米飯加工機器の管理方法。
【0136】
(特徴16)
米飯加工機器と、
前記米飯加工機器の保全に関する保全参考情報を決定する管理端末と、
を有してなり、
前記米飯加工機器は、特徴1記載の米飯加工機器であり、
前記管理端末は、特徴11記載の米飯加工機器の管理端末である、
ことを特徴とする米飯加工機器の管理システム。
【符号の説明】
【0137】
1 米飯加工機器の管理端末
10 記憶部
11 通信部
12 環境情報取得部
13 結果情報取得部
14 保全情報取得部
15 保全参考情報決定部
2 米飯加工機器
20 記憶部
21 通信部
22 環境情報取得部
23 結果情報取得部
24 判定情報取得部
25 操作部
26 駆動部
27 検知部