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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】印刷装置及び包装システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 23/16 20060101AFI20240422BHJP
   B65H 20/34 20060101ALI20240422BHJP
   B41J 11/70 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
B65H23/16
B65H20/34
B41J11/70
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020049474
(22)【出願日】2020-03-19
(65)【公開番号】P2021147189
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100180851
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼口 誠
(72)【発明者】
【氏名】瀬野 知彦
(72)【発明者】
【氏名】木本 進
(72)【発明者】
【氏名】駒井 直毅
(72)【発明者】
【氏名】島 成樹
(72)【発明者】
【氏名】北山 友裕
(72)【発明者】
【氏名】山口 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】能美 英之
【審査官】正木 裕也
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-202500(JP,A)
【文献】特開2007-230136(JP,A)
【文献】特開2016-150465(JP,A)
【文献】特開平06-048003(JP,A)
【文献】特開平06-023689(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 23/16
B65H 20/34
B41J 11/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状のフィルムと接触して前記フィルムを搬送経路の下流側に向けて所定速度で搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラによって搬送される前記フィルムに対して近接する近接位置及び前記フィルムに対して離隔する離隔位置に移動可能に設けられ、前記近接位置において前記フィルムの印刷領域に印刷する印刷部と、
前記フィルムの搬送経路において前記搬送ローラの下流に設けられるダンサローラと、を備え、
前記ダンサローラは、当該ダンサローラの下流側に位置する前記フィルムの搬送速度が、前記ダンサローラの上流側に位置する前記フィルムの搬送速度よりも遅い場合に、前記フィルムが前記搬送ローラに巻き付くように前記フィルムを移動させつつ、前記フィルムの弛みを吸収する、印刷装置。
【請求項2】
前記搬送ローラは、一定の前記所定速度で、且つ連続的に前記フィルムを搬送し、
前記ダンサローラは、前記搬送ローラが前記フィルムを搬送する一定の前記所定速度に対して、前記ダンサローラの下流側のフィルムの搬送速度が相対的に遅くなった場合、前記フィルムが前記搬送ローラに巻き付くように前記フィルムを移動させつつ、前記フィルムの弛みを吸収するように、自重により下方に移動する、請求項1に記載の印刷装置。
【請求項3】
前記ダンサローラは、前記フィルムが前記搬送ローラから進出するときの角度を変更させることによって、前記フィルムを前記搬送ローラに巻き付かせる、請求項1又は2に記載の印刷装置。
【請求項4】
前記搬送ローラは、前記フィルムと接触する側面を有し、前記フィルムが前記搬送ローラの前記側面に対して進入するときには水平面に対して上方に傾斜した状態となり、前記フィルムが前記搬送ローラの前記側面から進出するときにきには前記水平面に対して下方に傾斜した状態となる位置に配置されており、
前記ダンサローラは、前記フィルムを移動させることによって、前記フィルムが前記搬送ローラから進出するときに前記側面との接触を終了する位置を前記搬送ローラの回転方向の下流側に変化させて、前記搬送ローラと前記フィルムとの接触面積を増加させる、請求項1~3のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項5】
前記搬送ローラの前記側面は、前記フィルムとの間に摩擦力を生じさせる弾性部材で形成されている、請求項4に記載の印刷装置。
【請求項6】
前記ダンサローラの軸部を移動自在に支持すると共に、前記軸部を所定方向に沿って案内する案内部を備え、
前記案内部は、前記ダンサローラの下流側に位置する前記フィルムの搬送速度が前記ダンサローラの上流側に位置する前記フィルムの搬送速度よりも遅い場合に、前記ダンサローラが水平方向において前記搬送ローラに近づくように前記軸部を案内する、請求項1~5のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項7】
前記搬送ローラの直径は、前記ダンサローラの直径の2倍以上である、請求項1~6のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項8】
前記フィルムの前記印刷領域に対応して前記フィルムの長手方向において所定間隔で付されているマークを検出する検出部と、
前記検出部の検出結果に基づいて、前記印刷部に対して前記フィルムの前記印刷領域が通過するときに前記印刷部を前記近接位置に移動させると共に、前記印刷部に対して前記フィルムの前記印刷領域以外の領域が通過するときに前記印刷部を前記離隔位置に移動させる制御部と、を備える、請求項1~7のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項9】
前記搬送ローラの回転に係るパルス数を計測する計測部を備え、
前記計測部は、前記検出部によって前記マークが検出されると、前記パルス数の計測を開始し、
前記制御部は、前記計測部によって計測された前記パルス数が所定数となった場合に、前記印刷部に印刷を開始させる、請求項8に記載の印刷装置。
【請求項10】
前記印刷部は、
インクリボンを熱転写によって前記フィルムに印刷する印刷ヘッドと、
前記印刷ヘッドに対して前記インクリボンを供給する供給部と、
前記印刷ヘッドによって印刷された前記インクリボンを巻き取って回収する回収部と、
前記インクリボンの搬送経路において前記印刷ヘッドと前記回収部との間に設けられ、前記インクリボンを搬送する駆動ローラと、
前記搬送経路において前記駆動ローラと前記回収部との間に設けられ、前記インクリボンに接触して、前記駆動ローラから前記インクリボンが進出するときの角度を一定に維持するターンローラと、を有する、請求項1~9のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項11】
前記フィルムは、物品を包装する包装システムの切断部により切断されることによって前記物品を包装する包装フィルムとなり、
前記ダンサローラは、前記切断部によって前記フィルムが切断されるときに、前記フィルムが前記搬送ローラに巻き付くように前記フィルムを移動させつつ、前記フィルムの弛みを吸収する、請求項1~10のいずれか一項に記載の印刷装置。
【請求項12】
長尺状のフィルムを切断部によって切断し、切断した包装フィルムによって物品を包装する包装システムに用いられる印刷装置であって、
前記切断部よりも前記フィルムの搬送経路の上流側に設けられ、前記フィルムと接触して前記フィルムを前記搬送経路の下流側に向けて所定速度で搬送する搬送ローラと、
前記搬送ローラによって搬送される前記フィルムに対して近接する近接位置及び前記フィルムに対して離隔する離隔位置に移動可能に設けられ、前記近接位置において前記フィルムの印刷領域に印刷する印刷部と、
前記フィルムの搬送経路において前記搬送ローラと前記切断部との間に設けられるダンサローラと、を備え、
前記ダンサローラは、前記切断部によって前記フィルムが切断されるときに、前記フィルムが前記搬送ローラに巻き付くように前記フィルムを移動させつつ、前記フィルムの弛みを吸収するダンサローラと、を備える、印刷装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の印刷装置と、
前記印刷装置よりも前記フィルムの搬送経路の上流側に設けられ、前記フィルムが巻回されたフィルムロールを支持する支持部と、
前記フィルムの搬送経路において前記印刷装置の下流側に設けられ、前記フィルムを搬送すると共に、所定のタイミングで前記フィルムの搬送を一時的に停止させる搬送部と、
前記搬送部によって前記フィルムの搬送が一時的に停止されたときに、前記フィルムを切断する切断部と、を備える、包装システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷装置及び包装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、搬送ローラによって一定速度で搬送される印刷対象物(被印刷物)に対して、印刷部によって印刷する印刷装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-16895号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
印刷装置によって印刷される対象物としては、物品を包装する包装フィルムがある。一般的に、包装フィルムは、フィルムロールから繰り出されて搬送ローラによって搬送されるフィルムを、切断部によって切断することで得られる。包装フィルムには、物品に係る情報が印刷部によって印刷される。印刷部による印刷は、切断部によってフィルムが切断される前に、搬送されるフィルムの印刷領域に対して行われる。ここで、切断部によってフィルムを切断するときには、フィルムの搬送を一時的に停止させる。このとき、搬送ローラによるフィルムの搬送は停止されない。そのため、搬送ローラと切断部との間において、フィルムに弛みが生じ得る。フィルムに弛みが生じると、フィルムが搬送ローラから浮き上がったり、搬送ローラに対してフィルムの位置がずれたり、フィルムにバタつきが発生したりし得る。そうすると、印刷部による印刷精度が低下し得る。
【0005】
本発明の一側面は、印刷精度の低下を抑制できる印刷装置及び包装システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る印刷装置は、長尺状のフィルムと接触してフィルムを搬送経路の下流側に向けて所定速度で搬送する搬送ローラと、搬送ローラによって搬送されるフィルムに対して近接する近接位置及びフィルムに対して離隔する離隔位置に移動可能に設けられ、近接位置においてフィルムの印刷領域に印刷する印刷部と、フィルムの搬送経路において搬送ローラの下流に設けられるダンサローラと、を備え、ダンサローラは、当該ダンサローラの下流側に位置するフィルムの搬送速度が、ダンサローラの上流側に位置するフィルムの搬送速度よりも遅い場合に、フィルムが搬送ローラに巻き付くようにフィルムを移動させつつ、フィルムの弛みを吸収する。
【0007】
本発明の一側面に係る印刷装置では、ダンサローラは、当該ダンサローラの下流側に位置するフィルムの搬送速度が、ダンサローラの上流側に位置するフィルムの搬送速度よりも遅い場合に、フィルムが搬送ローラに巻き付くようにフィルムを移動させつつ、フィルムの弛みを吸収する。これにより、印刷装置では、フィルムが切断されるときにフィルムの搬送が一時的に停止されることによって、ダンサローラの下流側に位置するフィルムの搬送速度がダンサローラの上流側に位置するフィルムの搬送速度よりも遅くなり、フィルムに弛みが生じる場合であっても、ダンサローラによって弛みを解消できる。また、ダンサローラは、フィルムが搬送ローラに巻き付くようにフィルムを移動さるため、搬送ローラにフィルムが接触した状態を維持させることができる。これにより、印刷装置では、印刷部によってフィルムに印刷するときに、フィルムが搬送ローラから浮き上がっていたり、搬送ローラに対してフィルムの位置がずれていたり、フィルムにばたつきが発生することを回避できる。したがって、印刷装置では、適切な状態にあるフィルムに対して印刷することができる。その結果、印刷装置では、印刷精度の低下を抑制できる。
【0008】
一実施形態においては、搬送ローラは、一定の所定速度で、且つ連続的にフィルムを搬送し、ダンサローラは、搬送ローラがフィルムを搬送する一定の所定速度に対して、ダンサローラの下流側のフィルムの搬送速度が相対的に遅くなった場合、フィルムが搬送ローラに巻き付くようにフィルムを移動させつつ、フィルムの弛みを吸収するように、自重により下方に移動してもよい。搬送ローラがフィルムを搬送する一定の所定速度に対して、ダンサローラの下流側のフィルムの搬送速度が相対的に遅くなると、フィルムの張力が減少するため、搬送ローラにおいてフィルムの浮き上がり等が生じる。そのため、印刷装置では、速度の差が生じたときにダンサローラが自重によって下方に移動することによって、フィルムに張力が加わるため、適切な状態にあるフィルムに対して印刷することができる。
【0009】
一実施形態においては、ダンサローラは、フィルムが搬送ローラから進出するときの角度を変更させることによって、フィルムを搬送ローラに巻き付かせてもよい。この構成では、搬送ローラに対してフィルムを巻き付かせることができる。
【0010】
一実施形態においては、搬送ローラは、フィルムと接触する側面を有し、フィルムが搬送ローラの側面に対して進入するときには水平面に対して上方に傾斜した状態となり、フィルムが搬送ローラの側面から進出するときにきには水平面に対して下方に傾斜した状態となる位置に配置されており、ダンサローラは、フィルムを移動させることによって、フィルムが搬送ローラから進出するときに側面との接触を終了する位置を搬送ローラの回転方向の下流側に変化させて、搬送ローラとフィルムとの接触面積を増加させてもよい。印刷装置よりもフィルムの搬送経路の下流側において、搬送の一時的な停止によりフィルムの張力が減少した場合、フィルムの搬送は、搬送ローラに依存することになる。本構成では、搬送ローラとフィルムとの接触面積を増加させるため、フィルムに対して搬送ローラの摩擦力がより大きく作用し、搬送ローラとフィルムとの間の滑りの発生を抑制することができる。
【0011】
一実施形態においては、搬送ローラの側面は、フィルムとの間に摩擦力を生じさせる弾性部材で形成されていてもよい。この構成では、搬送ローラに対してフィルムが滑り動く(位置がずれる)ことを抑制できる。そのため、印刷装置では、適切な状態にあるフィルムに対して印刷することができるため、印刷精度の低下を抑制できる。
【0012】
一実施形態においては、ダンサローラの軸部を移動自在に支持すると共に、軸部を所定方向に沿って案内する案内部を備え、案内部は、ダンサローラの下流側に位置するフィルムの搬送速度がダンサローラの上流側に位置するフィルムの搬送速度よりも遅い場合に、ダンサローラが水平方向において搬送ローラに近づくように軸部を案内してもよい。この構成では、ダンサローラと搬送ローラとを近づかせることにより、フィルムが搬送ローラから進出するときの角度を小さくすることができる。これにより、印刷装置では、搬送ローラとフィルムとの接触面積を増加させることができる。
【0013】
一実施形態においては、搬送ローラの直径は、ダンサローラの直径の2倍以上であってもよい。この構成では、比較的大きな直径の搬送ローラを採用することによって、搬送ローラとフィルムとの接触面積を確保することができる。また、印刷装置では、比較的小さな直径のダンサローラを採用することによって、搬送ローラとダンサローラとの接触を回避することができる。
【0014】
一実施形態においては、フィルムの印刷領域に対応してフィルムの長手方向において所定間隔で付されているマークを検出する検出部と、検出部の検出結果に基づいて、印刷部に対してフィルムの印刷領域が通過するときに印刷部を近接位置に移動させると共に、印刷部に対してフィルムの印刷領域以外の領域が通過するときに印刷部を離隔位置に移動させる制御部と、を備えていてもよい。この構成では、印刷領域に印刷するときには印刷部をフィルムに近接させることができると共に、印刷しないときには印刷部をフィルムから離隔させることができる。そのため、印刷装置では、印刷しないときに印刷部とフィルムとが接触することを回避できるため、フィルムに擦れ跡が残る等の不具合の発生を回避できる。
【0015】
一実施形態においては、搬送ローラの回転に係るパルス数を計測する計測部を備え、計測部は、検出部によってマークが検出されると、パルス数の計測を開始し、制御部は、計測部によって計測されたパルス数が所定数となった場合に、印刷部に印刷を開始させてもよい。印刷部が近接位置に移動を開始してから、フィルムの搬送速度に変化が生じると、印刷位置がずれる可能性がある。本構成では、制御部は、計測部によって計測されたパルス数が所定数となった場合に、印刷部に印刷を開始させる。これにより、印刷装置では、印刷部が近接位置に移動を開始してからフィルムの搬送速度に変化が生じた場合であっても、パルス数に応じて適切なタイミングで印刷を開始することができるため、印刷位置がずれることがない。そのため、印刷装置では、印刷精度の低下を抑制できる。
【0016】
一実施形態においては、印刷部は、インクリボンを熱転写によってフィルムに印刷する印刷ヘッドと、印刷ヘッドに対してインクリボンを供給する供給部と、印刷ヘッドによって印刷されたインクリボンを巻き取って回収する回収部と、インクリボンの搬送経路において印刷ヘッドと回収部との間に設けられ、インクリボンを搬送する駆動ローラと、搬送経路において駆動ローラと回収部との間に設けられ、インクリボンに接触して、駆動ローラからインクリボンが進出するときの角度を一定に維持するターンローラと、を有していてもよい。印刷部では、インクリボンを有効に活用するために、印刷ヘッドによって印刷した後、インクリボンを駆動ローラによって一定量バックフィードさせている。これにより、印刷に使用した部分の間の距離を小さくすることで、インクリボンの消費量の低減を図っている。ここで、回収部において巻回されたインクリボンの直径の変化によって、駆動ローラに接触するインクリボンの角度が変化する。そのため、回収部に巻回されたインクリボンの直径に応じて、バックフィード量にばらつきが生じ得る。本構成では、駆動ローラからインクリボンが進出するときの角度を一定に維持するターンローラを有している。これにより、印刷装置では、バックフィード量にばらつきが生じることを抑制できる。したがって、インクリボンを有効に活用することができる。
【0017】
一実施形態においては、フィルムは、物品を包装する包装システムの切断部により切断されることによって物品を包装する包装フィルムとなり、ダンサローラは、切断部によってフィルムが切断されるときに、フィルムが搬送ローラに巻き付くようにフィルムを移動させつつ、フィルムの弛みを吸収してもよい。この構成では、フィルムが切断されるときにフィルムの搬送が一時的に停止され、フィルムに弛みが生じる場合であっても、ダンサローラによって弛みを解消できる。
【0018】
本発明の一側面に係る印刷装置は、長尺状のフィルムを切断部によって切断し、切断した包装フィルムによって物品を包装する包装システムに用いられる印刷装置であって、切断部よりもフィルムの搬送経路の上流側に設けられ、フィルムと接触してフィルムを搬送経路の下流側に向けて所定速度で搬送する搬送ローラと、搬送ローラによって搬送されるフィルムに対して近接する近接位置及びフィルムに対して離隔する離隔位置に移動可能に設けられ、近接位置においてフィルムの印刷領域に印刷する印刷部と、フィルムの搬送経路において搬送ローラと切断部との間に設けられるダンサローラと、を備え、ダンサローラは、切断部によってフィルムが切断されるときに、フィルムが搬送ローラに巻き付くようにフィルムを移動させつつ、フィルムの弛みを吸収するダンサローラと、を備える。
【0019】
本発明の一側面に係る印刷装置では、ダンサローラは、切断部によってフィルムが切断されるときに、フィルムが搬送ローラに巻き付くようにフィルムを移動させつつ、フィルムの弛みを吸収する。これにより、印刷装置では、フィルムが切断されるときにフィルムの搬送が一時的に停止され、フィルムに弛みが生じる場合であっても、ダンサローラによって弛みを解消できる。また、ダンサローラは、フィルムが搬送ローラに巻き付くようにフィルムを移動さるため、搬送ローラにフィルムが接触した状態を維持させることができる。これにより、印刷装置では、印刷部によってフィルムに印刷するときに、フィルムが搬送ローラから浮き上がっていたり、搬送ローラに対してフィルムの位置がずれていたり、フィルムにばたつきが発生することを回避できる。したがって、印刷装置では、適切な状態にあるフィルムに対して印刷することができる。その結果、印刷装置では、印刷精度の低下を抑制できる。
【0020】
本発明の一側面に係る包装システムは、上記印刷装置と、印刷装置よりもフィルムの搬送経路の上流側に設けられ、フィルムが巻回されたフィルムロールを支持する支持部と、フィルムの搬送経路において印刷装置の下流側に設けられ、フィルムを搬送すると共に、所定のタイミングでフィルムの搬送を一時的に停止させる搬送部と、搬送部によってフィルムの搬送が一時的に停止されたときに、フィルムを切断する切断部と、を備える。
【0021】
本発明の一側面に係る包装システムでは、上記印刷装置を備えている。これにより、包装システムでは、印刷精度の低下を抑制できる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の一側面によれば、印刷精度の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、包装システムの構成を示す図である。
図2図2は、印刷装置の構成を示すブロック図である。
図3図3は、印刷装置の構成を示す図である。
図4図4は、印刷部の構成を示す図である。
図5図5は、印刷ヘッドの動作を示す図である。
図6図6は、印刷部の動作を示す図である。
図7図7は、フィルムを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一又は相当要素には同一符号を付し、重複する説明は省略する。
【0025】
図1に示されるように、包装システム1は、印刷装置3と、包装装置5と、を備えている。包装システム1では、例えば、食品等の物品を包装する。包装システム1では、物品を包装するフィルムFに印刷を行い、印刷を行った包装フィルムRFで物品を包装する。包装システム1では、フィルムロールFRから供給されたフィルムFに印刷を行い、フィルムFを切断した包装フィルムRFで物品を包装する。
【0026】
包装システム1には、フィルムロールFRから長尺状のフィルムFが供給される。包装システム1は、フィルムロールFRを支持する支持部9と、フィルムロールFRから供給されたフィルムFを搬送する搬送部11と、搬送部11によって搬送されるフィルムFを切断する切断部13と、を備えている。フィルムFは、フィルムロールFRから切断部13までの間、一続きに延在している。
【0027】
支持部9は、フィルムロールFRを回転可能に支持する。支持部9は、印刷装置3よりもフィルムFの搬送経路の上流側に設けられている。搬送部11は、フィルムの搬送経路において印刷装置3と切断部13との間に設けられている。搬送部11は、フィルムFを搬送すると共に、所定のタイミングでフィルムFの搬送を一時的に停止させる。所定のタイミングは、フィルムFを一定量搬送するように設定されている。所定のタイミングは、切断部13がフィルムFを切断するタイミングにも相当する。
【0028】
搬送部11は、一対のローラ11a,11bを含んで構成されている。搬送部11では、一対のローラ11a,11bによってフィルムFを上下方向において挟み、一対のローラ11a,11bが回転することによって、フィルムFを搬送する。一対のローラ11a,11bの少なくとも一方は、駆動部(図示省略)によって回転駆動される。切断部13は、搬送部11によってフィルムFの搬送が一時的に停止されたときに、フィルムFを切断する。切断部13は、搬送部11の一対のローラ11a,11bの回転が停止したタイミングでフィルムFを切断する。切断部13によって切断されたフィルムFは、包装フィルムRFとなる。
【0029】
フィルムFの搬送経路において、フィルムロールFRと包装装置5との間には、複数のローラ15,16,17,18,19が設けられている。ローラ15,16,17,18,19の数及び位置は、適宜設定されればよい。
【0030】
印刷装置3は、フィルムFに印刷を行う。印刷装置3は、フィルムFに印刷した印刷内容の検査を行う。印刷装置3は、搬送ローラ20と、印刷部22と、ダンサローラ24と、検出部26(図2参照)と、制御部28と、カメラ30と、を備えている。
【0031】
搬送ローラ20は、フィルムロールFRから繰り出されたフィルムFを搬送する。搬送ローラ20は、フィルムロールFRの下流側に配置されている。搬送ローラ20は、切断部13よりもフィルムFの搬送経路の上流側に設けられている。搬送ローラ20は、フィルムFの下方に位置し、フィルムFの下面に接触可能である。搬送ローラ20は、フィルムFと接触してフィルムFを搬送経路の下流側に向けて所定速度で搬送する。搬送ローラ20は、一定の所定速度で、且つ連続的にフィルムFを搬送する。
【0032】
図3に示されるように、搬送ローラ20は、印刷装置3の筐体部3Aに回転可能に支持されている。搬送ローラ20は、軸部20aが筐体部3Aに回転可能に支持されている。搬送ローラ20は、搬送ローラ駆動部21(図2参照)の駆動によって回転する。搬送ローラ駆動部21の動作は、制御部28によって制御される。
【0033】
搬送ローラ20は、フィルムFと接触する側面(周面)20sを有している。側面20sは、フィルムFとの間に摩擦力を生じさせる弾性部材で形成されている。側面20sは、例えば、ゴムで形成されている。搬送ローラ20は、フィルムFが搬送ローラ20の側面20sに対して進入するときには水平面に対して上方に傾斜した状態となり、フィルムFが搬送ローラ20の側面20sから進出するときにきには水平面に対して下方に傾斜した状態となる位置に配置されている。搬送ローラ20の直径は、ダンサローラ24の直径の2倍以上である。
【0034】
搬送ローラ20には、エンコーダ(計測部)32(図2参照)が設けられている。エンコーダ32は、例えば、ロータリエンコーダである。エンコーダ32は、搬送ローラ20の回転に係るパルス数を計測する。エンコーダ32は、搬送ローラ20の回転による変位に対応するパルス信号を出力する。エンコーダ32は、パルス信号を制御部28に出力する。エンコーダ32は、制御部28から計測信号が出力された場合に、パル数数の計測を開始する。
【0035】
印刷部22は、フィルムFの印刷領域A(図7参照)印刷を行う。図4に示されるように、印刷部22は、印刷ヘッド40と、供給部42と、回収部44と、駆動ローラ46と、ターンローラ48と、を有している。
【0036】
印刷ヘッド40は、インクリボンRを熱転写によってフィルムFに印刷する。印刷ヘッド40は、保持体50に保持されている。保持体50は、筐体部22Aに固定されている(支持されている)。印刷ヘッド40は、保持体50に揺動可能に支持されている。図5に示されるように、印刷ヘッド40は、揺動することによって、近接位置P1及び離隔位置P2に移動する。印刷ヘッド40は、ヘッド駆動部41(図2参照)の駆動によって揺動する。ヘッド駆動部41の動作は、制御部28によって制御される。また、印刷ヘッド40は、ほぼ一定の速度にて搬送中のフィルムFに対して印刷(熱転写)を行う。
【0037】
図4に示されるように、供給部42は、印刷ヘッド40に対してインクリボンRを供給する。供給部42は、インクリボンロールRRを回転可能に支持する。供給部42は、筐体部22Aに設けられている。回収部44は、印刷ヘッド40によって使用されたインクリボンRを巻き取って回収する。回収部44は、インクリボンRを巻き取るリール(図示省略)を支持する。回収部44は、リールを回転させることによって、インクリボンRを回収する。回収部44は、筐体部22Aに設けられている。
【0038】
駆動ローラ46は、インクリボンRを搬送する。駆動ローラ46は、インクリボンRの搬送経路において印刷ヘッド40と回収部44との間に設けられている。駆動ローラ46は、保持体50に設けられている。駆動ローラ46は、駆動ローラ駆動部47の駆動によって回転する。駆動ローラ駆動部47の動作は、制御部28によって制御される。
【0039】
ターンローラ48は、インクリボンRの搬送経路において駆動ローラ46と回収部44との間に設けられている。ターンローラ48は、筐体部22Aに設けられている。ターンローラ48は、インクリボンRに接触して、駆動ローラ46からインクリボンRが進出するときの角度を一定に維持する。図4に示されるように、回収部44において回収されるインクリボンRは、一点鎖線及び実線で示すように、回収量によって直径が変化する。ターンローラ48は、駆動ローラ46と回収部44との間でインクリボンRに接触することにより、駆動ローラ46からインクリボンRが進出するときの角度が一定に維持される。すなわち、駆動ローラ46とターンローラ48との間に位置するインクリボンRの角度は変化しない。
【0040】
図6に示されるように、筐体部22Aは、搬送ローラ20の延在方向において、移動可能に設けられている。筐体部22Aは、取付部52によって、レール54に懸架されている。取付部52は、レール54にスライド可能に設けられている。レール54は、搬送ローラ20の延在方向に沿って延在している。レール54の一端部は、搬送ローラ20の端部よりも突出している。筐体部22Aは、レール54に沿って移動させることにより、搬送ローラ20の上方から外れた位置に移動する。これにより、印刷部22のメンテナンス(インクリボンRの交換等)を容易に行うことができる。
【0041】
図1に示されるように、ダンサローラ24は、フィルムFの搬送経路において搬送ローラ20と切断部13との間に設けられている。ダンサローラ24は、搬送されるフィルムFの上方に位置し、フィルムFの上面に接触可能である。
【0042】
図3に示されるように、ダンサローラ24は、筐体部3Aに回転可能に支持されている。ダンサローラ24は、軸部24aが筐体部3Aに回転可能に支持されている。軸部24aは、筐体部3Aのガイド溝(案内部)29に位置している。ガイド溝29は、ダンサローラ24の軸部24aを移動自在に支持すると共に、軸部24aを所定方向に沿って案内する。ガイド溝29は、筐体部3Aに設けられている。ガイド溝29は、筐体部3Aを厚み方向に貫通している穴であり、一方向に沿って延在している。ガイド溝29は、延在方向が水平面に対して傾斜している。具体的には、ガイド溝29は、水平方向において、搬送ローラ20に対して、その上端が下端よりも離隔するように傾斜している。
【0043】
ダンサローラ24の軸部24aは、ガイド溝29内において、移動自在である。ガイド溝29は、切断部13によってフィルムFが切断されるときに、ダンサローラ24が水平方向において搬送ローラ20に近づくように軸部24aを案内する。ダンサローラ24は、ガイド溝29の上端に位置するときに、水平方向において搬送ローラ20から最も離隔し、ガイド溝29の下端に位置するときに、水平方向において搬送ローラ20に最も近接する。
【0044】
ダンサローラ24は、当該ダンサローラ24の下流側に位置するフィルムFの搬送速度が、ダンサローラ24の上流側に位置するフィルムFの搬送速度よりも遅い場合に、フィルムFが搬送ローラ20に巻き付くようにフィルムFを移動させつつ、フィルムFの弛みを吸収する。フィルムFは、切断部13によってフィルムFが切断されるときに、ダンサローラ24の下流側に位置するフィルムFの搬送速度が、ダンサローラ24の上流側に位置するフィルムFの搬送速度よりも遅くなる。ダンサローラ24は、搬送ローラ20がフィルムFを搬送する一定の所定速度に対して、ダンサローラ24の下流側のフィルムFの搬送速度が相対的に遅くなった場合、フィルムFが搬送ローラ20に巻き付くようにフィルムFを移動させつつフィルムFの弛みを吸収するように、自重によりガイド溝29に沿って下方に移動する。その結果、フィルムFは、搬送ローラ20からの浮き上がりが生じず、搬送ローラ20に密着した状態を継続する。そのため、ダンサローラ24の下流側(すなわち、切断部13側)に位置するフィルムFの搬送速度が、ダンサローラ24の上流側(すなわち、搬送ローラ20側)に位置するフィルムFの搬送速度よりも遅くなったとしても、搬送ローラ20は、フィルムFをほぼ減速させることなく、継続的に搬送することになる。
【0045】
ダンサローラ24は、フィルムFが所定の張力で搬送されている場合、フィルムFの張力によって上方に持ち上げられる。例えば、図3に示されるように、ダンサローラ24は、第1位置P11に位置する。
【0046】
切断部13によってフィルムFが切断されるとき、すなわち、ダンサローラ24の下流側に位置するフィルムFの搬送速度が、ダンサローラ24の上流側に位置するフィルムFの搬送速度よりも遅い場合には、フィルムFの張力に変化が生じる。具体的には、切断部13によってフィルムFが切断されるときには、フィルムFの搬送が一時的に停止されるため、フィルムFの張力が減少する。これにより、ダンサローラ24は、フィルムFの弛みに伴って、フィルムFを下方に押圧するように、自重によって下方に移動する。この場合、図3に示されるように、ダンサローラ24は、ガイド溝29に沿って下方に移動し、第2位置P22に位置する。これにより、ダンサローラ24は、フィルムFの弛みを吸収する。
【0047】
ダンサローラ24は、ガイド溝29に沿った移動により、フィルムFを搬送ローラ20に巻き付かせる。ダンサローラ24は、フィルムFが搬送ローラ20から進出するときの角度を変更させることによって、フィルムFを搬送ローラ20に巻き付かせる。具体的には、ダンサローラ24は、フィルムFを移動させることによって、フィルムFが搬送ローラ20から進出するときに側面20sとの接触を終了する位置を搬送ローラ20の回転方向の下流側に変化させて、搬送ローラ20とフィルムFとの接触面積を増加させる。例えば、図5に示されるように、ダンサローラ24は、フィルムFを実線で示す位置から一点鎖線で示す位置に変化させる。これにより、搬送ローラ20とフィルムFとの接触面積が増加し、フィルムFが搬送ローラ20に巻き付く。
【0048】
図2に示されるように、検出部26は、マークMを検出する。検出部26は、フィルムFの印刷領域Aに対応してフィルムFの長手方向において所定間隔で付されているマークMを検出する。図7に示されるように、フィルムFには、長手方向(延在方向)Dにおいて、所定間隔でマークMが付されて(印刷されて)いる。検出部26は、例えば、カメラである。検出部26は、マークMを検出可能な位置に配置されている。検出部26は、検出結果を制御部28に出力する。
【0049】
制御部28は、印刷装置3の動作を制御する。制御部28は、検出部26の検出結果に基づいて、印刷部22に対してフィルムFの印刷領域Aが通過するときに印刷部22を近接位置P1に移動させると共に、印刷部22に対してフィルムFの印刷領域A以外の領域が通過するときに印刷部22を離隔位置P2に移動させる。制御部28は、検出部26の検出結果において、マークMが検出された場合には、印刷部22を近接位置P1に移動させる。具体的には、制御部28は、検出結果に基づいてヘッド駆動部41の動作を制御し、印刷部22を制御する。
【0050】
制御部28は、エンコーダ32の出力結果に基づいて、印刷部22に印刷を開始させる。制御部28は、検出部26の検出結果において、マークMが検出された場合には、エンコーダ32に計測の開始を指示する計測信号を出力する。制御部28は、計測信号を出力したことに応じてエンコーダ32から出力されたパルス信号を入力し、パルス信号においてパルス数が所定数となった場合に、印刷部22に印刷を開始させる。所定数は、フィルムFの搬送量に応じて設定される。
【0051】
制御部28は、カメラ30から出力された画像に基づいて、印刷状態を検査する。制御部28は、画像に画像処理を施し、印刷状態(印刷位置、印刷内容等)の可否の検査を行う。制御部28は、印刷状態の不備を検出した場合には、その旨を報知させる。例えば、制御部28は、ディスプレイにその旨を表示させる。
【0052】
カメラ30は、印刷部22によって印刷されたフィルムFを撮像する。カメラ30は、例えば、ローラ15とローラ16との間を搬さられるフィルムFの印刷領域Aを撮像する。カメラ30は、撮像した画像を制御部28に出力する。
【0053】
カメラ30は、印刷部22と一体に設けられている。カメラ30と印刷部22とは、連結部34によって連結されている。具体的には、カメラ30を保持するブラケット30Aと印刷部22の筐体部22Aとが、連結部34によって接続されている。カメラ30及び印刷部22は、一体で移動可能に設けられている。
【0054】
図1に示されるように、包装装置5は、物品を包装する。包装装置5は、切断部13によって切断された包装フィルムRFによって物品を包装する。
【0055】
続いて、包装システム1の動作について説明する。フィルムロールFRから供給されたフィルムFは、搬送ローラ20によって一定の所定速度により搬送される。印刷部22は、搬送ローラ20によって搬送されるフィルムFに印刷を行う。カメラ30は、印刷部22によって印刷が行われたフィルムFを撮像する。制御部28は、カメラ30によって撮像された画像に基づいて、印刷状態の検査を実施する。
【0056】
搬送部11は、フィルムFを搬送しつつ、所定のタイミングでフィルムFの搬送を一時停止させる。切断部13は、フィルムFの搬送が一時停止あれたタイミングで、フィルムFを切断する。これにより、物品を包装する包装フィルムRFが作成される。包装装置5は、包装フィルムRFを用いて物品を包装する。
【0057】
印刷装置3では、切断部13によってフィルムFを切断するために、搬送部11がフィルムFの搬送を一時停止させたことによってフィルムFの搬送速度に変化が生じた場合、すなわち、切断部13によってフィルムFが切断されるときのフィルムFの搬送速度と、搬送ローラ20がフィルムFを搬送する所定速度と、に差が生じた場合、ダンサローラ24が移動する。ダンサローラ24は、フィルムFに生じた張力の減少(フィルムFの弛み)に伴って、ガイド溝29に沿って下方に移動し、搬送ローラ20に近づく。これにより、ダンサローラ24によって下方に押し下げられたフィルムFは、弛みが吸収される(ダンサローラ24によって張力が付与される)と共に、搬送ローラ20に巻き付く。搬送ローラ20にフィルムFが巻き付くことによって、搬送ローラ20とフィルムFとの接触面積が増加する。
【0058】
以上説明したように、本実施形態に係る包装システム1の印刷装置3では、ダンサローラ24は、当該ダンサローラ24の下流側に位置するフィルムFの搬送速度が、ダンサローラ24の上流側に位置するフィルムFの搬送速度よりも遅い場合に、フィルムFが搬送ローラ20に巻き付くようにフィルムFを移動させつつ、フィルムFの弛みを吸収する。これにより、印刷装置3では、フィルムFが切断されるときにフィルムFの搬送が一時的に停止されることによって、ダンサローラ24の下流側に位置するフィルムFの搬送速度がダンサローラ24の上流側に位置するフィルムFの搬送速度よりも遅くなり、フィルムFに弛みが生じる場合であっても、ダンサローラ24によって弛みを解消できる。また、ダンサローラ24は、フィルムFが搬送ローラ20に巻き付くようにフィルムを移動さるため、搬送ローラ20にフィルムFが接触した状態を維持させることができる。これにより、印刷装置3では、印刷部22によってフィルムFに印刷するときに、フィルムFが搬送ローラ20から浮き上がっていたり、搬送ローラ20に対してフィルムFの位置がずれていたり、フィルムFにばたつきが発生することを回避できる。したがって、印刷装置3では、適切な状態にあるフィルムFに対して印刷することができる。その結果、印刷装置3では、印刷精度の低下を抑制できる。
【0059】
印刷ヘッド40は、フィルムFの搬送に伴って、フィルムFの搬送速度とほぼ同じ速度で送られるインクリボンRをフィルムFに接触させることにより、フィルムFに対して印刷を行う。そのため、印刷ヘッド40は、印刷位置におけるフィルムFが減速したり、停止したりすると、印刷を適切に行うことができない。これに対して、本実施形態に係る印刷装置3では、印刷ヘッド40が、ほぼ一定の速度で搬送中のフィルムFに対して印刷(熱転写)を行う構成において、印刷精度の低下を抑制することができる。具体的には、ダンサローラ24の下流側に位置するフィルムFの搬送速度が、ダンサローラ24の上流側に位置するフィルムFの搬送速度よりも遅くなったとしても、搬送ローラ20は、フィルムFをほぼ減速させることなく、継続的にフィルムFを搬送することができる。その結果、印刷ヘッド40が、ほぼ一定の速度で搬送中のフィルムFに対して印刷(熱転写)を行う構成であっても、印刷の途中でフィルムFが停止又は減速することがないので、本実施形態に係る包装システム1の印刷装置3では、高い印刷精度で印刷を行うことができる。
【0060】
本実施形態に係る印刷装置3では、搬送ローラ20は、一定の所定速度で、且つ連続的にフィルムFを搬送する。ダンサローラ24は、搬送ローラ20がフィルムFを搬送する一定の所定速度に対して、ダンサローラ24の下流側のフィルムFの搬送速度が相対的に遅くなった場合、フィルムFが搬送ローラ20に巻き付くようにフィルムFを移動させつつ、フィルムFの弛みを吸収するように、自重により下方に移動する。搬送ローラ20がフィルムFを搬送する一定の所定速度に対して、ダンサローラ24の下流側のフィルムFの搬送速度が相対的に遅くなると、搬送ローラ20の下流に位置するフィルムFの張力が減少するため、搬送ローラ20においてフィルムFの浮き上がり等が生じる。そのため、印刷装置3では、速度の差が生じたときにダンサローラ24が自重によって下方に移動することによって、フィルムFに張力が加わるため、適切な状態にあるフィルムFに対して印刷することができる。
【0061】
本実施形態に係る印刷装置3では、ダンサローラ24は、フィルムFが搬送ローラ20から進出するときの角度を変更させることによって、フィルムFを搬送ローラ20に巻き付かせる。この構成では、搬送ローラ20に対してフィルムFを巻き付かせることができる。
【0062】
本実施形態に係る印刷装置3では、搬送ローラ20は、フィルムFと接触する側面20sを有し、フィルムFが搬送ローラ20の側面20sに対して進入するときには水平面に対して上方に傾斜した状態となり、フィルムFが搬送ローラ20の側面20sから進出するときにきには水平面に対して下方に傾斜した状態となる位置に配置されている。ダンサローラ24は、フィルムFを移動させることによって、フィルムFが搬送ローラ20から進出するときに側面20sとの接触を終了する位置を搬送ローラ20の回転方向の下流側に変化させて、搬送ローラ20とフィルムFとの接触面積を増加させる。印刷装置3よりもフィルムFの搬送経路の下流側において、搬送の一時的な停止によりフィルムFの張力が減少した場合、フィルムFの搬送は、搬送ローラ20に依存することになる。印刷装置3では、搬送ローラ20とフィルムFとの接触面積を増加させるため、フィルムFに対して搬送ローラ20の摩擦力がより大きく作用し、搬送ローラ20とフィルムFとの間の滑りの発生を抑制することができる。
【0063】
本実施形態に係る印刷装置3では、搬送ローラ20の側面20sは、フィルムFとの間に摩擦力を生じさせる弾性部材で形成されている。この構成では、搬送ローラ20に対してフィルムFが滑り動く(位置がずれる)ことを抑制できる。そのため、印刷装置3では、適切な状態にあるフィルムFに対して印刷することができるため、印刷精度の低下を抑制できる。
【0064】
本実施形態に係る印刷装置3は、ダンサローラ24の軸部24aを移動自在に支持すると共に、軸部24aを所定方向に沿って案内するガイド溝29を備える。ガイド溝29は、ダンサローラ24の下流側に位置するフィルムFの搬送速度がダンサローラ24の上流側に位置するフィルムFの搬送速度よりも遅い場合に、ダンサローラ24が水平方向において搬送ローラ20に近づくように軸部24aを案内する。この構成では、ダンサローラ24と搬送ローラ20とを近づかせることにより、フィルムFが搬送ローラ20から進出するときの角度を小さくすることができる。これにより、印刷装置3では、搬送ローラ20とフィルムFとの接触面積を増加させることができる。
【0065】
本実施形態に係る印刷装置3では、搬送ローラ20の直径は、ダンサローラ24の直径の2倍以上である。この構成では、比較的大きな直径の搬送ローラ20を採用することによって、搬送ローラ20とフィルムFとの接触面積を確保することができる。また、印刷装置3では、比較的小さな直径のダンサローラ24を採用することによって、搬送ローラ20とダンサローラ24との接触を回避することができる。
【0066】
本実施形態に係る印刷装置3は、フィルムFの印刷領域Aに対応してフィルムFの長手方向において所定間隔で付されているマークMを検出する検出部26と、検出部26の検出結果に基づいて、印刷部22に対してフィルムFの印刷領域Aが通過するときに印刷部22を近接位置P1に移動させると共に、印刷部22に対してフィルムFの印刷領域A以外の領域が通過するときに印刷部22を離隔位置P2に移動させる制御部28と、を備えている。この構成では、印刷領域Aに印刷するときには印刷部22をフィルムFに近接させることができると共に、印刷しないときには印刷部22をフィルムFから離隔させることができる。そのため、印刷装置3では、印刷しないときに印刷部22とフィルムFとが接触することを回避できるため、フィルムFに擦れ跡が残る等の不具合の発生を回避できる。
【0067】
本実施形態に係る印刷装置3は、搬送ローラ20の回転に係るパルス数を計測するエンコーダ32を備える。エンコーダ32は、検出部26によってマークMが検出されると、パルス数の計測を開始する。制御部28は、エンコーダ32によって計測されたパルス数が所定数となった場合に、印刷部22に印刷を開始させる。ここで、(長尺状の)フィルムFの種類ごとにマークMの位置と印刷位置(印刷すべき領域)との距離は決まっているため、検出部26によりマークMを検出してから所定数のパルスが発生した(すなわち、所定距離だけフィルムFが送られた)タイミングで印刷を開始すれば、印刷位置に合わせた印刷が可能となる。しかしながら、フィルムFの搬送速度は常に完全な一定速度になるとは限らない。そのため、マークMを検出してからフィルムFが完全な一定速度で搬送されることを前提としてタイミングを決定し、印刷を開始してしまうと、フィルムFの搬送速度に変化が生じた場合に、印刷位置がずれる可能性がある。また、印刷部22は、印刷を開始する前に離隔位置P2から近接位置P1に移動し終えている必要がある。そのため、制御部28は、検出部26がマークMを検出すると、フィルムFの搬送速度が常に理論上の最大値であったとしても、印字位置が印刷部22の位置に到達するよりも早く近接位置P1から離隔位置P2への移動が完了するタイミングで、印刷部22(ヘッド駆動部41)の移動を開始させる。これにより、印刷部22は、フィルムFの搬送速度がどのように変化したとしても、マークMが検出された時点からフィルムが所定量だけ搬送された(すなわち、パルス数が所定数となった)時点では、印字を開始できる状態となる。また、印刷装置3では、制御部28は、エンコーダ32によって計測されたパルス数が所定数となった場合に、印刷部22に印刷(熱転写)を開始させる。これらの構成により、印刷装置3では、印刷部22が近接位置P1に移動を開始してからフィルムFの搬送速度に変化が生じた場合であっても、パルス数に応じて適切なタイミングで印刷を開始することができるため、印刷位置がずれることがない。そのため、印刷装置3では、印刷精度の低下を抑制できる。
【0068】
本実施形態に係る印刷装置3では、印刷部22は、インクリボンRを熱転写によってフィルムFに印刷する印刷ヘッド40と、印刷ヘッド40に対してインクリボンRを供給する供給部42と、印刷ヘッド40によって印刷されたインクリボンRを巻き取って回収する回収部44と、インクリボンRの搬送経路において印刷ヘッド40と回収部44との間に設けられ、インクリボンRを搬送する駆動ローラ46と、搬送経路において駆動ローラ46と回収部44との間に設けられ、インクリボンRに接触して、駆動ローラ46からインクリボンRが進出するときの角度を一定に維持するターンローラ48と、を有している。印刷部22では、インクリボンRを有効に活用するために、印刷ヘッド40によって印刷した後、インクリボンRを駆動ローラ46によって一定量バックフィードさせている。これにより、印刷に使用した部分の間の距離を小さくすることで、インクリボンRの消費量の低減を図っている。ここで、回収部44において巻回されたインクリボンRの直径の変化によって、駆動ローラ46に接触するインクリボンRの角度が変化する。そのため、回収部44に巻回されたインクリボンRの直径に応じて、バックフィード量にばらつきが生じ得る。印刷部22は、駆動ローラ46からインクリボンRが進出するときの角度を一定に維持するターンローラ48を有している。これにより、印刷装置3では、バックフィード量にばらつきが生じることを抑制できる。したがって、インクリボンRを有効に活用することができる。
【0069】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0070】
上記実施形態では、ダンサローラ24がガイド溝29に沿って自重で移動する形態を一例に説明した。しかし、ダンサローラ24が、フィルムFの張力に応じて駆動される形態であってもよい。この場合、ダンサローラ24の下流側に位置するフィルムの搬送速度、及び、ダンサローラ24の上流側に位置するフィルムの搬送速度を検出するセンサを設け、センサの検出結果に基づいて、ダンサローラ24を駆動させればよい。
【0071】
上記実施形態では、印刷部22がインクリボンRを用いて印刷を行う形態を一例に説明した。しかし、印刷の方式はこれに限定されず、例えば、インクジェット方式であってもよい。
【符号の説明】
【0072】
1…包装システム、3…印刷装置、11…搬送部、13…切断部、20…搬送ローラ、20s…側面、22…印刷部、24…ダンサローラ、24a…軸部、26…検出部、28…制御部、29…ガイド溝(案内部)、32…エンコーダ(計測部)、40…印刷ヘッド、42…供給部、44…回収部、46…駆動ローラ、48…ターンローラ、A…印刷領域、F…フィルム、FR…フィルムロール、M…マーク、P1…近接位置、P2…離隔位置、R…インクリボン、RF…包装フィルム。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7