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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】袋回収装置及び袋回収方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 69/00 20060101AFI20240422BHJP
【FI】
B65B69/00 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020067706
(22)【出願日】2020-04-03
(65)【公開番号】P2021160829
(43)【公開日】2021-10-11
【審査請求日】2023-03-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和2年4月23日付けで提出された新規性の喪失の例外証明書提出書で提出された全件。
(73)【特許権者】
【識別番号】000128131
【氏名又は名称】株式会社エヌテック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】吉田 浩司
(72)【発明者】
【氏名】中村 亘孝
【審査官】西塚 祐斗
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-307017(JP,A)
【文献】特開2000-033920(JP,A)
【文献】特開昭60-204438(JP,A)
【文献】特開2001-206324(JP,A)
【文献】特開2007-217006(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 69/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋を流体圧で搬送して回収する袋回収装置であって、
前記袋を流体圧で巻取位置まで搬送する搬送部と、
前記巻取位置まで搬送された前記袋を巻き取る巻取部と、
前記巻取部に巻き取られた巻回状態の前記袋を排出する排出機構と
を備え
前記搬送部は、流体圧が作用する搬送路と、負の流体圧で前記袋を吸引搬送する吸引源と、前記搬送路において前記巻取位置よりも搬送方向の下流側の位置に前記袋の搬送方向下流端部が当たることで塞がれる通気隔壁と、を備え、
前記巻取部は、前記巻取位置に配置される1本又は複数本のロッドを有し、前記袋の搬送方向下流端部が前記通気隔壁を塞ぐことで前記袋が前記巻取位置に保持された状態で、前記1本又は複数本のロッドを偏心回転させることにより前記袋を巻き取ることを特徴とする袋回収装置。
【請求項2】
袋を流体圧で搬送して回収する袋回収装置であって、
前記袋を流体圧で巻取位置まで搬送する搬送部と、
前記巻取位置まで搬送された前記袋を巻き取る巻取部と、
前記巻取部に巻き取られた巻回状態の前記袋を排出する排出機構と
を備え
前記巻取部は、前記巻取位置に配置される複数本のロッドを有し、
前記搬送部は、流体圧が作用する搬送路と、前記巻取部よりも搬送方向上流側の位置に、前記複数本のロッド間を通る経路に前記袋を案内するガイド部と、を備え、
前記搬送部は、前記複数本のロッドの間を通る経路で、前記複数本のロッド間に挿通させるように前記袋を前記巻取位置まで搬送し、
前記巻取部は、前記複数本のロッドを偏心回転させることで前記袋を巻き取り、
前記排出機構は、前記複数本のロッドを軸方向に移動させる移動機構を備え、前記巻取部による前記袋の巻取りを終えると、前記移動機構により前記複数本のロッドを前記巻回状態の前記袋から引き抜く方向に移動させることを特徴とする袋回収装置。
【請求項3】
袋を流体圧で搬送して回収する袋回収装置であって、
前記袋を流体圧で巻取位置まで搬送する搬送部と、
前記巻取位置まで搬送された前記袋を巻き取る巻取部と、
前記巻取部に巻き取られた巻回状態の前記袋を排出する排出機構と
を備え
前記搬送部は、流体圧が作用する搬送路を備え、
前記巻取部は、前記巻取位置に配置される1本又は複数本のロッドを有し、前記1本又は複数本のロッドを偏心回転させることで前記袋を巻き取り、
前記排出機構は、前記1本又は複数本のロッドを軸方向に移動させる移動機構を備え、前記巻取部による前記袋の巻取りを終えると、前記移動機構により前記1本又は複数本のロッドを前記巻回状態の前記袋から引き抜く方向に移動させることを特徴とする袋回収装置。
【請求項4】
袋を流体圧で搬送して回収する袋回収装置であって、
前記袋を流体圧で巻取位置まで搬送する搬送部と、
前記巻取位置まで搬送された前記袋を巻き取る巻取部と、
前記巻取部に巻き取られた巻回状態の前記袋を排出する排出機構と
を備え
前記巻取部は、前記巻取位置に配置される複数本のロッドを有し、
前記搬送部は、流体圧が作用する搬送路と、前記巻取部よりも搬送方向上流側の位置において、搬送方向に沿って前記複数本のロッドに向かって延出し、かつ、前記複数本のロッド間を通る経路に前記袋を案内するガイド部と、を備え、
前記搬送部は、前記複数本のロッドの間を通る経路で、前記複数本のロッド間に挿通させるように前記袋を前記巻取位置まで搬送し、
前記巻取部は、前記複数本のロッドを偏心回転させることで前記袋を巻き取ることを特徴とする袋回収装置。
【請求項5】
袋を流体圧で搬送して回収する袋回収方法であって、
前記袋を流体圧で巻取位置に搬送する搬送工程と、
前記巻取位置まで搬送された前記袋を巻回状態に巻き取る巻取工程と、
前記巻取工程で巻き取られた前記巻回状態の前記袋を排出する排出工程と
を備え
前記搬送工程において、流体圧が作用する搬送路に沿って負の流体圧で袋を吸引搬送する際に、前記搬送路において前記巻取位置よりも搬送方向の下流側の位置に設けられた通気隔壁で、前記袋の搬送方向下流端部が当たることで塞がれる工程と、
前記巻取工程において、前記袋の搬送方向下流端部が前記通気隔壁を塞ぐことで前記袋が前記巻取位置に保持された状態で、前記巻取位置に配置される1本又は複数本のロッドを偏心回転させることにより前記袋を巻き取る工程とを備えることを特徴とする袋回収方法。
【請求項6】
袋を流体圧で搬送して回収する袋回収方法であって、
前記袋を流体圧で巻取位置に搬送する搬送工程と、
前記巻取位置まで搬送された前記袋を巻回状態に巻き取る巻取工程と、
前記巻取工程で巻き取られた前記巻回状態の前記袋を排出する排出工程と
を備え
前記巻取工程において、前記巻取位置に配置される複数本のロッドを偏心回転させることで前記袋を巻き取る工程と、
前記搬送工程において、前記巻取位置よりも搬送方向上流側の位置に、前記複数本のロッド間を通る経路に前記袋を案内し、前記複数本のロッドの間を通る経路で、前記複数本のロッド間に挿通させるように前記袋を前記巻取位置まで搬送する工程と、
前記排出工程において、前記巻取工程における前記袋の巻取りを終えると、前記複数本のロッドを前記巻回状態の前記袋から引き抜く軸方向に移動させる工程とを備えることを特徴とする袋回収方法。
【請求項7】
袋を流体圧で搬送して回収する袋回収方法であって、
前記袋を流体圧で巻取位置に搬送する搬送工程と、
前記巻取位置まで搬送された前記袋を巻回状態に巻き取る巻取工程と、
前記巻取工程で巻き取られた前記巻回状態の前記袋を排出する排出工程と
を備え
前記巻取工程において、前記巻取位置に配置される1本又は複数本のロッドを偏心回転させることで前記袋を巻き取る工程と、
前記排出工程において、前記巻取工程における前記袋の巻取りを終えると、前記1本又は複数本のロッドを前記巻回状態の前記袋から引き抜く軸方向に移動させる工程とを備えることを特徴とする袋回収方法。
【請求項8】
袋を流体圧で搬送して回収する袋回収方法であって、
前記袋を流体圧で巻取位置に搬送する搬送工程と、
前記巻取位置まで搬送された前記袋を巻回状態に巻き取る巻取工程と、
前記巻取工程で巻き取られた前記巻回状態の前記袋を排出する排出工程と
を備え
前記搬送工程において、流体圧が作用する搬送路のうち、前記巻取位置よりも搬送方向上流側の位置において搬送方向に沿って複数本のロッドに向かって延出するガイド部が前記複数本のロッド間を通る経路に前記袋を案内し、前記複数本のロッドの間を通る経路で、前記複数本のロッド間に挿通させるように前記袋を前記巻取位置まで搬送する工程と、
前記巻取工程において、前記巻取位置に配置される前記複数本のロッドを偏心回転させることで前記袋を巻き取る工程とを備えることを特徴とする袋回収方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、袋を回収する袋回収装置及び袋回収方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、箱を開封して取り出したポリ袋等の袋(内袋)を保持し、袋から内容物を排出した後、袋を吸引ダクトの中を通して吸引して袋回収箱に回収する吸引方式の内袋除去装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平05-254525号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1に記載の内袋除去装置は、袋を吸引して回収した回収先では吸引力で多少圧縮されるものの、元の形態に復元して容積が大きくなる。このため、回収した袋をコンパクトに回収できないという課題がある。袋をコンパクトに回収できないと、例えば回収した袋群を、袋回収箱等の回収先で除去する頻度が増える。
【0005】
本発明の目的は、袋を回収先まで搬送しつつコンパクトに回収できる袋回収装置及び袋回収方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決する袋回収装置は、袋を流体圧で搬送して回収する袋回収装置であって、前記袋を流体圧で巻取位置まで搬送する搬送部と、前記巻取位置まで搬送された前記袋を巻き取る巻取部と、前記巻取部に巻き取られた巻回状態の前記袋を排出する排出機構とを備える。
【0007】
この構成によれば、回収対象の袋は、搬送部により流体圧によって巻取位置まで搬送される。袋は搬送路に沿う流体の流れによって、例えば長尺状となる傾向にある。巻取位置まで搬送された袋は、巻取部により巻き取られる。巻取部が袋を巻き取る過程で袋から空気が抜けやすく、袋はコンパクトな巻回状態に巻き取られる。よって、袋を回収先まで搬送しつつコンパクトに回収できる。
【0008】
上記袋回収装置において、前記搬送部は、流体圧が作用する搬送路を備え、前記巻取部は、前記搬送路の途中の前記巻取位置に配置される1本又は複数本のロッドを有し、前記ロッドを偏心回転させることで前記袋を巻き取ってもよい。
【0009】
この構成によれば、袋は、搬送部によって流体圧により搬送路を搬送される。巻取部は、搬送路の途中の巻取位置に配置される複数本のロッドを偏心回転させることで、袋を巻き取る。よって、巻取部が、1本又は複数本のロッドにより構成されるので、巻回状態に巻き取った袋体をロッドから抜き取りやすい。したがって、巻回状態に巻き取った袋体を容易に排出することができる。
【0010】
上記袋回収装置において、前記搬送部は、負の流体圧で前記袋を吸引搬送する吸引源を備え、前記搬送路には、前記巻取位置よりも搬送方向の下流側の位置に、前記袋の搬送方向下流端部が当たることで塞がれる通気隔壁が配置され、前記袋は、当該袋の搬送方向下流端部が前記通気隔壁を塞ぐことで、前記巻取位置に保持されてもよい。
【0011】
この構成によれば、搬送路に沿って吸引搬送されてきた長尺状の袋の先端部が通気隔壁を塞ぐことで搬送が止まり、長尺状の袋を巻取部が巻取りを行う巻取位置に保持できる。この結果、巻取部により長尺状の袋を確実に巻き取ることができる。例えば、搬送路に流体圧が作用する状態が継続されると、吸引搬送された袋が巻取位置を通過し、巻取位置に袋が存在せず、袋の巻取りが失敗する。これに対して、この構成では、搬送路の途中の巻取位置に袋を長尺状に保持できる。よって、袋を確実に巻き取ることができる。
【0012】
上記袋回収装置において、前記巻取部は、複数本のロッドを有し、前記搬送部は、前記袋を複数本の前記ロッドの間を通る経路で前記巻取位置まで搬送し、前記巻取位置まで搬送された当該袋は、複数本の前記ロッド間に挿通されてもよい。
【0013】
この構成によれば、搬送路に沿って搬送された長尺状の袋は、複数本のロッド間に挿通されるので、巻取部を複数本のロッドで構成しても、袋を巻き取ることができる。よって、巻取部による袋の巻取りミスを少なくすることができる。
【0014】
上記袋回収装置において、前記搬送部は、前記巻取部よりも搬送方向上流側の位置に、複数の前記ロッド間を通る経路に前記袋を案内するガイド部を備え、前記排出機構は、前記ロッドを軸方向に移動させる移動機構を備え、前記巻取部による前記袋の巻取りを終えると、前記移動機構により前記ロッドを巻回状態の前記袋から引き抜く方向に移動させてもよい。
【0015】
この構成によれば、複数のロッドに巻き取られた巻回状態の袋体から、複数のロッドを引き抜くことができる。この結果、巻き取り後に巻回状態の袋体を容易に排出することができる。
【0016】
上記課題を解決する袋回収方法は、袋を流体圧で搬送して回収する袋回収方法であって、前記袋を流体圧で巻取位置に搬送する搬送工程と、前記巻取位置まで搬送された前記袋を巻回状態に巻き取る巻取工程と、前記巻取工程で巻き取られた前記巻回状態の前記袋を排出する排出工程とを備える。この方法によれば、上記袋回収装置と同様の効果が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、袋を回収先まで搬送しつつコンパクトに回収できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】一実施形態における物品群供給システムを示す模式側面図。
図2】物品群供給システムを示す模式正面図。
図3】(a)は昇降台上の物品群が袋ごと箱から取り出される過程を示す模式正面図、(b)は袋を把持した状態を示す模式正面図。
図4】(a)は袋と物品群とを分離した状態を示す模式側面図、(b)は物品群から除去した袋を吸引するときの模式側面図。
図5】袋が巻取位置に搬送された状態の袋巻取機構を示し、(a)は模式側断面図、(b)は(a)における5B-5B矢視の模式正断面図。
図6】袋巻取機構を示す平断面図。
図7図5(a)における7-7矢視断面を示す袋巻取機構の模式正断面図。
図8】袋が巻取位置に搬送された状態の袋巻取機構を示す模式平断面図。
図9】袋を巻き取る過程にある袋巻取機構を示す模式平断面図。
図10】袋が巻き取られた状態の袋巻取機構を示し、(a)は模式側断面図、(b)は(a)における10B-10B矢視の模式正断面図。
図11】袋巻取り後にロッドが引き上げられた状態の袋巻取機構を示し、(a)は模式側断面図、(b)は(a)における11B-11B矢視の模式正断面図。
図12】ロッドが巻取位置に再下降した状態の袋巻取機構を示し、(a)は模式側断面図、(b)は(a)における12B-12B矢視の模式正断面図。
図13】物品群供給システムの電気的構成を示すブロック図。
図14】(a)~(c)は袋巻取機構の変更例を示す模式平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、袋回収装置60を備える物品群供給システム10に係る一実施形態を、図面を参照して説明する。図1図2に示す物品群供給システム10において、鉛直方向(重力方向)をZ方向、Z方向と直交する2方向のうち後述する袋巻取機構63において袋が搬送される方向をX方向、X方向と直交する方向をY方向とする。なお、X方向を搬送方向X、Y方向を幅方向Y、Z方向を鉛直方向Zともいう。
【0020】
図1図2に示す物品群供給システム10は、供給された箱12(図1参照)から物品群13を取り出して他の装置へ供給する物品群供給装置11と、物品群供給装置11に対する箱12の供給及び空の箱12の除去を行うロボット20とを備える。物品群供給装置11が箱12から取り出す物品群13は、袋15に収容されている。このため、物品群供給装置11は、箱12と袋15との分離と、袋15と物品群13との分離とを行って、箱12から物品群13を取り出す。
【0021】
ここで、物品群供給装置11のうち袋回収装置以外の構成について説明する。
箱12は、予めテープが切断されて開封された開封面を下向きにして物品群供給装置11に供給される。物品群供給装置11は、複数の柱部131と複数の梁部132とを有する組立体130を備える。図2に示すように、物品群供給装置11には、箱12の供給位置から下方に向かう順番に、テーブルシャッタ機構30、フラップ開き機構(図示略)、昇降台40及び昇降機構42が、鉛直方向Zに並んだ状態で組立体130に支持されている。
【0022】
図1に示すように、ロボット20は、6軸又は7軸の多関節型の産業ロボットであり、多関節のアーム21(マニピュレータ)を備える。ロボット20は、アーム21の先端部に装着された把持ユニット22の吸着パッド23で箱12を吸着把持し、その把持した箱12を、移送用テーブル25の上面を滑らせることで、箱12を物品群供給装置11に供給する。ロボット20は、把持した箱12から袋15ごと物品群13を昇降台40上に落下させる。
【0023】
図2に示すように、テーブルシャッタ機構30は、箱12を載置するときに閉状態にあり、箱12から物品群13を落下させるときに開く一対のテーブル31と、一対のテーブル31を開閉駆動させる一対のシリンダ32とを備える。一対のテーブル31が開くと、箱12が少し落下し、フラップ開き機構が箱12のフラップ12F(図3(a)参照)を開く。その結果、箱12から落下した物品群13をその下方で待機する昇降台40がその上部の搬送ベルト41で受ける。
【0024】
図2に示すように、昇降機構42が、昇降台40を支持する支持ロッド43を上下に移動させることで、昇降台40は筒状のガイド部110内を昇降する。昇降機構42は、例えばベルト式駆動機構44であり、昇降用モータ45の動力で回転するベルト46に固定された支持ロッド43が、昇降用モータ45の正逆転駆動により上下に移動する。昇降台40は箱12から落下した物品群13を袋15ごと受ける待機位置(上昇位置)と、物品群13を排出する排出位置(下降位置)との間を移動する。
【0025】
また、図1図2に示すように、昇降台40の上方位置には、袋除去機構50が配置されている。袋除去機構50は、昇降台40上の物品群13から袋15を引き上げるために把持する把持部51と、把持部51を鉛直方向Zに昇降させるシリンダ52と、2本のガイドロッド53(図2)とを備える。昇降台40が物品群13を袋15ごと受けた後、袋除去機構50のシリンダ52が伸長駆動されると、把持部51は所定のストロークで下降し、その吸引口51Aで昇降台40上の袋15を吸着する。昇降台40上の物品群13から袋15を把持して引き上げることで、袋15と物品群13は分離される(図3図4参照)。なお、把持部51は、袋15を挟持により把持するクランプ機構でもよい。
【0026】
袋15が除去された後、昇降台40は排出位置まで下降し、シリンダ112が駆動されてドア111が開くと、搬送ベルト41が駆動され、昇降台40上の物品群13は供給コンベヤ48へ排出される。供給コンベヤ48は、物品群13を供給先の装置へ搬送する。
【0027】
また、物品群供給装置11は、物品群13と分離した袋15を回収する袋回収装置60を備える。袋回収装置60は、袋15を流体圧で搬送して回収する装置である。本例では流体圧は、負の流体圧(負圧)である。袋回収装置60は、把持部51が引き上げた袋15を吸引する吸引フード61を有し、吸引フード61から吸引した袋15を吸引気流により搬送する。袋回収装置60は、搬送先で袋15をコンパクトに巻き取って回収する。
【0028】
図1図2に示すように、袋回収装置60は、吸引フード61と、第1ダクト62と、袋巻取機構63と、第2ダクト64と、ブロア66を含む吸引源65(図1参照)とを備える。袋巻取機構63は、第1ダクト62と第2ダクト64とを連通するチャンバ70を有する。なお、本実施形態では、吸引フード61、第1ダクト62、チャンバ70、第2ダクト64及び吸引源65により、袋15を搬送する搬送部67が構成される。そして、搬送部67の構成要素のうち、吸引フード61、第1ダクト62及びチャンバ70により、袋15が搬送される通路である搬送路68が構成される。
【0029】
吸引フード61は、分離された袋15と対向する位置に吸引口61Aが位置する状態で所定の高さ位置に配置されている。吸引フード61と袋巻取機構63とは管状の第1ダクトを通じて連通されている。また、袋巻取機構63とブロア66とは管状の第2ダクト64を通じて連通されている。吸引源65は、ブロア66と、ブロア66の駆動源であるブロアモータ66Mとを備える。また、ブロア66の排気口には、フィルタ(図示略)が収容されたフィルタユニット69が接続されている。フィルタユニット69には、ブロア66から送り出された空気を、フィルタユニット69を通じて排気する排気部69Aが接続されている。
【0030】
袋巻取機構63は、搬送路68の一部を構成する前述のチャンバ70を備える。チャンバ70は、四角箱状であり、その内部が袋15の巻取作業が行われる室となっている。ここで、第1ダクト62及び第2ダクト64等に沿って空気が吸引力により流れる方向、つまり袋15が吸引力により搬送路68に沿って搬送される方向を、吸引方向SDとする。チャンバ70は、吸引方向SDにおける上流側端部で第1ダクト62の下流側端部と連通するとともに、吸引方向SDにおける下流側端部で第2ダクト64の上流側端部と連通している。
【0031】
吸引フード61の基端部は、第1ダクト62の吸引方向SDにおける上流側端部と接続されている。また、第2ダクト64の下流側端部がブロア66の吸引口に接続されている。第2ダクト64の途中には、ブロア66からチャンバ70に及ぶ吸引力を調整する電動式のバタフライ弁73が設けられている。
【0032】
ブロア66の駆動により発生する吸引力によって、袋15は、吸引フード61の吸引口61Aから吸引されて第1ダクト62を通じてチャンバ70内の巻取位置WP(図5参照)まで搬送される。そして、チャンバ70内で袋15は巻回状態の袋体15Wとして巻き取られる。袋15が巻き取られた後、チャンバ70の下面を構成する扉体74が開き、巻回状態の袋体15Wは下方へ排出される。排出された袋体15Wは、シュート100上を滑って回収ボックス101(図2参照)に回収される。シュート100の上流側の位置には、エアノズル102が配置されている。エアノズル102は、シュート100上の袋体15Wをシュート100の斜面に沿う方向にエアを吹き付けて滑り落とす。
【0033】
図2に示すように、物品群供給装置11はその側部にローラコンベヤ103を有する。ローラコンベヤ103は、図2において右側ほど低くなる傾斜角で緩やかに傾斜している。ローラコンベヤ103上には、複数の回収ボックス101が載置される。ローラコンベヤ103上の搬送方向の最上流のエリアには、予備の回収ボックス101が載置される。その右隣(下流側)のエリアに載置される2つ目の回収ボックス101に、袋巻取機構63から排出された袋体15Wが回収される。
【0034】
袋体15Wを回収中の回収ボックス101の上方位置には、回収ボックス101内に回収された袋体15Wを加圧して圧縮する加圧機構105が配設されている。加圧機構105は、シリンダ106と、2本のガイドロッド107と、シリンダ106のピストンロッドの先端部および2本のガイドロッド107の下端部に支持された加圧板108とを有する。シリンダ106が伸長駆動されると、加圧板108が図2に実線で示す待機位置から同図に二点鎖線で示す加圧位置まで下降することにより、回収ボックス101内の袋体15Wを加圧により圧縮する。なお、袋巻取機構63の詳細な構成については後述する。
【0035】
図3(a)に示すように、昇降台40は、箱12のフラップ12Fが開いた開口12Kから落下した物品群13を袋15ごと搬送ベルト41上に受ける。ロボット20が昇降台40上の袋15から空の箱12を除去する。
【0036】
次に、図3(b)に示すように、袋除去機構50が袋15を除去する袋除去動作を行う。シリンダ52の駆動で把持部51が下降し、把持部51が吸引口51Aに袋15を吸着することにより把持する。把持部51が袋15を把持した後、まず、昇降台40を先に少し下降させた後、把持部51による袋15の引き上げを開始する。これにより袋15を引き上げる負荷が軽減され、袋15の把持の外れによる把持ミスの発生頻度が低下する。
【0037】
図4(a)に示すように、シリンダ52が収縮駆動されることにより把持部51が上昇し、袋15が引き上げられる。これにより、把持部51が把持した袋15が、昇降台40上の物品群13から分離される。
【0038】
図4(b)に示すように、袋除去機構50により袋15の口部15Aが、物品群13と分離される位置まで引き上げられると、吸引フード61が吸引負圧を発生させるとともに、把持部51による袋15の把持が解放される。その結果、袋15は、吸引フード61の吸引口61Aから吸引され、第1ダクト62を通って袋巻取機構63を構成するチャンバ70内の巻取位置WPまで吸引搬送される。
【0039】
次に、図5を参照して、袋巻取機構63の詳細な構成について説明する。
図5(a)に示すように、チャンバ70の吸引方向SDにおける上流側端部には、第1ダクト62を通じて搬送された袋15をチャンバ70内へ搬入する搬入口71が形成されている。また、チャンバ70の吸引方向SDにおける下流側端部には、第2ダクト64の上流側端部とチャンバ70とを連通する吸気口72が配置されている。
【0040】
図5(a),(b)に示すように、チャンバ70は、フレーム135に固定された支持板75の下面に支持されている。チャンバ70内には、袋15を巻回状態に巻き取る巻取部76が配置されている。巻取部76は、2本のロッド77を有する。袋巻取機構63は、2本のロッド77を回転させる電動モータ78を備える。2本のロッド77は、電動モータ78の出力軸に対して偏心する状態で連結されている。このため、電動モータ78が駆動することで2本のロッド77は偏心回転する。電動モータ78の出力軸と一体に回転する回転バー79が設けられている。回転バー79の被検知部79Aを検知するセンサ80が設けられている。センサ80は、例えば近接センサ等の非接触式センサである。なお、センサ80は、接触式センサでもよい。
【0041】
2本のロッド77は、巻取開始前の待機状態で、袋15がチャンバ70に搬入される搬送方向Xに対して直交する幅方向Yに間隔をあけて対向する待機位置に配置される。センサ80が回転バー79の被検知部79Aを検知する位置で、電動モータ78が停止しているため、2本のロッド77は幅方向Yに間隔をあけた待機位置に配置されている。このため、第1ダクト62内を吸引されることで長尺状をなす袋15は、チャンバ70内において2本のロッド77間を通る経路で巻取位置WPまで搬送される。
【0042】
特に本実施形態では、チャンバ70には巻取部76よりも吸引方向SDの上流側の位置に、第1ダクト62と連通する筒状のガイド部81が配置されている。ガイド部81は、チャンバ70内に筒状に延出し、袋15を待機位置に配置された2本のロッド77間の経路を通るように誘導する。図5(b)に示すように、待機位置にある2本のロッド77の幅方向Yにおける一対の外周端が、ガイド部81の内周面上の最大幅となる2位置よりも外側に位置するように配置されている。このため、長尺状をなす袋15は、チャンバ70内において2本のロッド77間を通る経路で巻取位置WPまで搬送される。そして、2本のロッド77が電動モータ78の駆動により偏心回転することで、袋15は2本のロッド77に巻き取られ、巻回状態(図10参照)となる。
【0043】
また、本実施形態では、2本のロッド77は、チャンバ70内に配置される図5(a),(b)に示す作動位置(下降位置)と、図11(a),(b)に示す退避位置(上昇位置)とに移動可能に構成されている。すなわち、本例の2本のロッド77は、作動位置に下降し、退避位置に上昇可能に構成される。
【0044】
図5(a),(b)に示すように、電動モータ78は、昇降可能な昇降板82の上面に配置されている。昇降板82の上面一端部には、第1シリンダ83の本体83Aが下向きの状態で固定されている。第1シリンダ83の下向きのピストンロッド83Bの先端部(下端部)は、チャンバ70の上面が固定された支持板75に連結されている。また、昇降板82において第1シリンダ83の組付位置と反対側の端部には、昇降板82を鉛直方向Zに移動可能に案内するガイドロッド84が取り付けられている。ガイドロッド84の下端部は支持板75に固定されている。なお、本実施形態では、第1シリンダ83及びガイドロッド84等により、移動機構56が構成される。
【0045】
このため、図5(a),(b)に示すように、第1シリンダ83が収縮状態にあるとき、昇降板82は下降位置にあり、2本のロッド77は作動位置に下降している。また、図11(a),(b)に示すように、第1シリンダ83が伸長状態にあるとき、昇降板82は上昇位置にあり、2本のロッド77は退避位置に上昇している。このように、第1シリンダ83が収縮駆動されると、2本のロッド77は下降して作動位置に配置され、第1シリンダ83が伸長駆動されると、2本のロッド77は上昇して退避位置に配置される。
【0046】
また、図5(a),(b)に示すように、チャンバ70の下面には、排出口70Aが開口している。排出口70Aは、巻き取られた巻回状態の袋15を、チャンバ70から排出するための開口である。チャンバ70は、排出口70Aは閉位置にあるとき、ゴムシール85によりチャンバ70の内部は気密状態に保持される。
【0047】
図5(a),(b)に示すように、扉体74は一対の軸受部86に支持された回動軸87を中心に回動可能に支持されている。扉体74は、回動軸87に対してその軸方向両側の2箇所で連結部材88(図7も参照)を介して連結されている。一方のフレーム135の側部には、第2シリンダ89が下向きの状態で支持されている。第2シリンダ89の本体89Aは、一方の四角筒状のフレーム135の外側側部に連結されている。第2シリンダ89のピストンロッド89Bの先端部(下端部)は、バー状の回動部材90を介して回動軸87と連結されている。つまり、ピストンロッド89Bの先端部は、回動軸87に一端部が固定された回動部材90の他端部と回動可能な状態で連結されている。
【0048】
図5(a),(b)に示すように、第2シリンダ89が伸長状態にあるとき、扉体74は閉位置に配置され、図11(a),(b)に示すように、第2シリンダ89が収縮状態にあるとき、扉体74は開位置に配置される。このように、第2シリンダ89が伸長駆動されると、扉体74は開位置から閉位置に移動し、第2シリンダ89が収縮駆動されると、扉体74は閉位置から開位置に移動する。
【0049】
図6に示すように、支持板75は平面視で長方形をなしている。支持板75の中央部には、円板状のベアリング91が組み付けられている。ベアリング91は、支持板75の上面部に固定された円環状のアウター92と、アウター92の内側に相対回転可能に連結された円環状のインナー93と、アウター92とインナー93との間に介在する複数のボール(図示せず)とを有する。インナー93の内周部には、円板よりなる回転板94が固定されている。そして、回転板94には、その中心を挟む両側の位置に2つの円筒軸受95が固定され、これら2つの円筒軸受95の筒内に2本のロッド77が挿通されている。このため、2本のロッド77は、それらが挿通された2つの円筒軸受95が固定された回転板94と共に回転する。
【0050】
また、図6に示すように、第1シリンダ83とガイドロッド84は、支持板75においてベアリング91を挟んだ両側に一対ずつ配置されている。一対の第1シリンダ83は回転板94の中心に対して点対称となる二位置に設けられている。また、一対のガイドロッド84は、回転板94の中心に対して点対称となる二位置に設けられている。
【0051】
図7に示すように、チャンバ70の内部は、扉体74が閉位置にあるときゴムシール85により、その上流側端部の搬入口71(図5(b)参照)と下流側端部の吸気口72とを除く部分で気密状態に保持される。図7に示すように、吸気口72には、複数の孔96A(例えばパンチ孔)が開口する通気隔壁の一例としての多孔隔壁96が設けられている。多孔隔壁96は、所定サイズの円形であり、袋15の搬送経路の中心が、多孔隔壁96の中心と一致する位置に設けられている。多孔隔壁96の孔96Aは、袋15が通過できない大きさを有する。このため、袋15は、吸気口72を通過することはない。袋15のうち多孔隔壁96に到達した先端部15B(図8参照)は、それ以上、吸引方向SDの下流側へ搬送されることなくその位置に保持される。なお、多孔隔壁96は、例えばパンチングメタルにより構成されるが、これに替え、通気隔壁を金網などのメッシュ隔壁により構成してもよい。
【0052】
図8に示すように、袋15の先端部15Bが多孔隔壁96に当たると多孔隔壁96のうち袋15が当たった一部が塞がれ、その塞がれた割合に応じてチャンバ70に及ぶ吸引力は徐々に低下する。そして、袋15の先端側の一部が多孔隔壁96をすべて塞ぐと、それ以上の吸引力が袋15に作用することがなくなるので、長尺状の袋15はその位置に保持される。このときの袋15の位置が、袋15の一部が2本のロッド77間に挿通された状態にある巻取位置となる。このように、袋巻取機構63のチャンバ70内に搬送された長尺状の袋15は、2本のロッド77間にその一部が挿通された巻取位置WPまで搬送される。そして、巻取位置WPまで搬送された長尺状の袋15は、2本のロッド77間に挿通された状態に保持される。
【0053】
図9に示すように、2本のロッド77が回転すると、長尺状の袋15は巻き取られる。2本のロッド77が回転を開始してから所定の回転量に達すると、バタフライ弁73が開位置から閉位置に駆動され、第2ダクト64に吸引力が及ばなくなる。つまり、第2ダクト64のうちバタフライ弁73よりも吸引方向SDの上流側においてブロア66の吸引力が及ばなくなり、チャンバ70に吸引力が及ばなくなる。そのため、袋15は、その長手方向の両端部まで巻回状態に巻き取られる。
【0054】
次に、図13を参照して、物品群供給システム10の電気的構成について説明する。物品群供給システム10は、制御部120を備える。制御部120には、操作盤121、ロボット20、テーブルシャッタ機構30、昇降台40、昇降機構42、袋除去機構50及び袋回収装置60等が電気的に接続されている。また、制御部120には、袋巻取機構63を構成する、電動モータ78、第1シリンダ83、第2シリンダ89、センサ80、ブロア66、バタフライ弁73(ダンパー弁)、エアノズル102及び加圧機構105が電気的に接続されている。制御部120は、空気回路に設けられた電磁切換弁(図示略)を切り替え制御することで、第1シリンダ83、第2シリンダ89、エアノズル102、加圧機構105のシリンダ106等を駆動制御する。
【0055】
制御部120は、シリンダ52を伸縮駆動させることで、把持部51を昇降させる。制御部120は、不図示の空気圧回路の電磁切換弁を切り換えることで、把持部51への負圧の導入及び解除が切り替えられる。制御部120は、把持部51が所定の位置にあるときにブロア66を駆動させる。なお、ブロア66は、物品群供給装置11の運転中は継続的に駆動されてもよい。
【0056】
電動モータ78はセンサ80がオンした位置で停止している。制御部120は、巻取開始時期になると、電動モータ78を2本のロッドが袋15を巻取可能な所定回転数だけ回転させる。制御部120は、センサ80がオンする位置で電動モータ78の駆動を停止させる。これにより、2本のロッド77は互いに対向する方向が吸引方向SDと直交する向きで停止する(図5(b)、図8参照)。制御部120は、袋15の巻取りが開始されてから、電動モータ78が所定量回転した巻取り初期にバタフライ弁73を閉じる。
【0057】
制御部120は、袋15の巻取りを終了すると、電磁切換弁の切換え制御を行うことにより、第1シリンダ83、第2シリンダ89、エアノズル102を、順次駆動し、巻回状態の袋体15Wの排出動作を行わせる。制御部120は、巻き取った袋15の数を計数するカウンタの計数値が所定値に達する度に、加圧機構105のシリンダ106を駆動させ、加圧板に108より回収ボックス101内の袋体15Wを加圧して圧縮する。
【0058】
次に、物品群供給システム10における袋回収装置60の作用を説明する。
物品群供給システム10の運転中において、把持部51が昇降台40上の袋15を吸着により把持し(図3(b)参照)、把持部51に把持された袋15が引き上げられる(図4(a))。制御部120は、不図示の負圧回路の電磁切換弁を開くことで、吸引フード61に吸引力を発生させる。この結果、吸引フード61の吸引力によって袋15は吸引口61Aから吸引され(図4(b))、搬送路68を通ってチャンバ70内に移送される。
【0059】
ブロア66の駆動により発生する吸引力によって、袋15は、吸引フード61の吸引口61Aから吸引されて第1ダクト62を通じてチャンバ70内の巻取位置WP(図5参照)まで搬送される。袋15は、搬送路68に沿って吸引されるため、吸引方向SDに延びた長尺状の状態で搬送される。
【0060】
チャンバ70内において、巻取部76を構成する2本のロッド77は、吸引方向SDと直交する幅方向Yに間隔をあけた待機位置に配置されている。このため、第1ダクト62内を吸引されることで長尺状をなす袋15は、チャンバ70内において2本のロッド77間を通る経路で巻取位置WPまで搬送される。このとき、長尺状をなす袋15は、チャンバ70内において筒状のガイド部81に案内されることで、2本のロッド77間を通る経路に誘導される。よって、長尺状をなす袋15は、より確実に、チャンバ70内において2本のロッド77間を通る経路で巻取位置WPまで搬送される。
【0061】
図8に示すように、袋15の先端部15Bが多孔隔壁96に当たると多孔隔壁96のうち袋15が当たった一部が塞がれ、その塞がれた割合に応じてチャンバ70に及ぶ吸引力は徐々に低下する。そして、袋15の先端側の一部が多孔隔壁96をすべて塞ぐと、それ以上の吸引力が袋15に作用しなくなる。長尺状の袋15は、その一部が2本のロッド間に挿通された巻取位置WPに保持される。
【0062】
そして、2本のロッド77が電動モータ78の駆動により偏心回転することで、図9に示すように、長尺状の袋15は2本のロッド77に巻き取られる。2本のロッド77が回転を開始してから所定の回転量に達すると、バタフライ弁73が開位置から閉位置に駆動され、第2ダクト64に吸引力が及ばなくなる。このため、チャンバ70に吸引力が及ばなくなり、長尺状の袋15の先端部15Bの多孔隔壁96に対する吸着が解除される。その結果、図10(a),(b)に示すように、長尺状の袋15は、その長手方向の両端部まで巻回状態に巻き取られる。こうしてチャンバ70内で袋15は巻き取られ、巻回状態の袋体15Wとされる。巻回状態の袋体15Wとして巻き取り終わると、電動モータ78はセンサ80が被検知部79Aを検知した回転位置で停止する。これにより、2本のロッド77は幅方向Yに間隔をあけた待機位置(図5図8参照)で停止する。
【0063】
巻回状態の袋体15Wとして巻き取られた後、チャンバ70の下面を構成する扉体74が開いて、巻回状態の袋体15Wは自重により下方へ排出される。本実施形態の袋回収装置60は、巻回状態の袋体15Wをチャンバ70から排出する排出機構55を備える。この排出機構55はロッド77を軸方向(鉛直方向Z)に移動させる第1シリンダ83等を含む移動機構56を備える。つまり、排出機構55は、第1シリンダ83により2本のロッド77を軸方向に移動させる移動機構56と、第2シリンダ89により開閉駆動される扉体74とを備える。
【0064】
そして、第2シリンダ89が、図10に示す伸長状態から収縮駆動されると、図11に示すように扉体74が開く。また、第1シリンダ83が伸長駆動されることで、図11(a),(b)に示すように、2本のロッド77が作動位置(下降位置)から軸方向に上方へ退避位置まで移動し、巻回状態の袋体15Wから引き抜かれる。その結果、巻回状態の袋体15Wは、自重で落下し、排出口70Aから下方へ排出される。
【0065】
ところで、2本のロッド77を袋体15Wから引き抜いても、袋体15Wがロッド77の先端部に引っ掛かったり、排出口70A付近に引っ掛かったりする場合がある。本実施形態では、図12(a),(b)に示すように、移動機構56を構成する第1シリンダ83が収縮駆動されることで、2本のロッド77が退避位置から作動位置まで下降し、チャンバ70内に再挿入される。この結果、チャンバ70内に残っていた巻回状態の袋体15Wは、2本のロッド77により強制的に排出口70Aから押し出される。
【0066】
こうして排出された巻回状態の袋体15Wは、シュート100上を滑って回収ボックス101(図2参照)に回収される。このとき、シュート100の上流側に位置するエアノズル102が、シュート100上の袋体15Wに向かってエアを吹き付けるので、袋体15Wはシュート100上を確実に滑り落ち、回収ボックス101内に回収される。以後、物品群供給装置11において把持部51が物品群13から除去した袋15を引き上げる度に、袋回収装置60による同様の袋回収動作が繰り返し行われる。
【0067】
袋15の回収中は所定時期に達する度に、図2に示す加圧機構105が駆動される。シリンダ106が伸長駆動されると、加圧板108が図2に実線で示す待機位置から同図に二点鎖線で示す加圧位置まで下降することにより、回収ボックス101内に回収された袋体15Wの群が加圧により圧縮される。
【0068】
以上詳述したように、本実施形態によれば、以下の効果が得られる。
(1)袋回収装置60は、袋15を流体圧で巻取位置WPまで搬送する搬送部67と、巻取位置WPまで搬送された袋15を巻き取る巻取部76と、巻取部76に巻き取られた巻回状態の袋15を排出する排出機構55とを備える。回収対象の袋15は、搬送部67により流体圧によって巻取位置WPまで搬送される。袋15は搬送路68に沿う流体の流れによって、例えば長尺状となる傾向にある。巻取位置WPまで搬送された袋15は、巻取部76により巻きと取られる。巻取部76が袋15を巻き取る過程で、袋15から空気が抜けやすく、袋15をコンパクトな巻回状態に巻き取ることができる。よって、袋15を回収先まで搬送しつつコンパクトに回収できる。例えば、袋体15Wで一杯になる度に回収ボックス101を排出する排出作業等の頻度を低減できる。
【0069】
(2)搬送部67は、流体圧が作用する搬送路68を備える。巻取部76は、搬送路68の途中の巻取位置WPに偏心回転可能に配置される複数本のロッド77を有する。巻取部76は、巻取位置WPにおける複数本のロッド77の偏心回転により、袋15を巻き取る。よって、巻取部76が複数本のロッド77により構成されるので、巻き取った巻回状態の袋体15Wをロッド77から抜き取りやすい。したがって、巻き取り後に袋体15Wをチャンバ70から容易に排出できる。
【0070】
(3)搬送部67は、負の流体圧で袋15を吸引搬送する。搬送路68には、巻取位置WPよりも搬送方向Xの下流側の位置に、袋15の搬送方向Xの下流端部(先端部15B)が当たることで塞がれる多孔隔壁96を有する吸気口72が配置されている。搬送路68に沿って搬送された長尺状の袋15の搬送方向Xの下流端部(先端部15B)が多孔隔壁96を塞ぐことで、チャンバ70等の搬送路68に流体圧が作用しなくなり、その時点で袋15の搬送が停止する。よって、長尺状の袋15をチャンバ70内の巻取位置WPに保持することができる。この結果、巻取部76により長尺状の袋15を確実に巻き取ることができる。例えば、吸引搬送された袋15が巻取位置WPを通過すると、袋15の巻取りが失敗する。本実施形態の構成では、搬送路68の途中であるチャンバ70内の巻取位置WPに袋15を停止させることができるので、袋15を確実に巻き取ることができる。
【0071】
(4)巻取部76は、複数本のロッド77を有する。搬送部67は、袋15を複数本のロッド77の間を通る経路で巻取位置WPまで搬送する。巻取位置WPまで搬送された袋15は、複数本のロッド77間に挿通される。よって、搬送路68に沿って搬送された長尺状の袋15は、複数本のロッド77間に挿通されるので、巻取部76を複数本のロッド77で構成しても、袋15を巻き取ることができる。よって、巻取部76による袋15の巻取りミスを少なくすることができる。
【0072】
(5)搬送部67は、巻取部76よりも搬送方向Xの上流側の位置に、複数のロッド77間を通る経路に袋を案内するガイド部81を備える。排出機構は、ロッド77を軸方向に移動させる移動機構56を備える。巻取部76による袋15の巻取りを終えると、移動機構56によりロッド77を巻回状態の袋15から引き抜く方向に移動させる。よって、複数のロッド77に巻き取られた巻回状態の袋体15Wから、複数のロッド77を引き抜くことができる。この結果、巻き取り後に巻回状態の袋体15Wをチャンバ70から容易に排出することができる。
【0073】
(6)ロッド77は、先端が鉛直方向Zの下側に位置する向きに延在している。つまり、ロッド77は、その軸線方向が鉛直方向Zと平行な状態で配置されている。排出機構55は、移動機構56を構成する第1シリンダ83の駆動により、ロッド77を鉛直方向Z(重力方向)と反対の方向(上方)に引き抜く。よって、ロッド77が引き抜かれた巻回状態の袋体15Wを、自重で落下させることにより、チャンバ70の排出口70Aから排出することができる。このように袋体15Wからのロッド77の引き抜きと袋体15Wの自重とを利用するので、巻取り後に袋体15Wをより確実にチャンバ70の排出口70Aから排出することができる。
【0074】
(7)排出機構55は、移動機構56を構成する第1シリンダ83を駆動させ、ロッド77を引き抜き後に再び差し込む。よって、巻き取り後に巻回状態の袋体15Wをチャンバ70の排出口70Aから一層確実に排出することができる。
【0075】
(8)搬送路68の一部を構成するチャンバ70は、ロッド77が引き抜かれた巻回状態の袋体15Wを排出させる排出口70Aと、排出口70Aを開閉可能な扉体74とを備える。よって、袋15が搬送路68に沿って搬送される搬送中はチャンバ70を気密状態に保持でき、袋15をチャンバ70内の巻取位置WPまで搬送できるうえ、巻取り後に巻回状態の袋体15Wをチャンバ70から排出口70Aを介して容易に排出することができる。
【0076】
(9)袋15を流体圧で搬送して回収する袋回収方法は、搬送工程と、巻取工程と、排出工程とを含む。搬送工程では、袋15を流体圧で巻取位置WPに搬送する。巻取工程では、巻取位置WPまで搬送された袋15を巻回状態に巻き取る。排出工程では、巻取工程で巻き取られた巻回状態の袋15(袋体15W)を排出する。この袋回収方法によれば、袋回収装置60の上記(1)の効果が同様に得られる。
【0077】
前記実施形態は、上記に限定されず、以下のように変更してもよい。
・ロッド77は、2本に限定されず、3本以上の複数本でもよい。例えば、図14(a)に示すように、ロッド77は4本でもよい。図14(a)に示す例では、平面視で4本のロッド77が長方形の頂点となる位置に配置されている。このため、ロッド77が2本であるときと同様に、搬送された長尺状の袋を複数のロッド77間に挿入させることができる。この点で、ロッド77の本数は偶数本が好ましいが、奇数本でもよい。ロッド77は、3本でもよいし、5本でもよい。
【0078】
図14(b)に示すように、ロッド77は1本でもよい。1本でもロッド77が偏心回転することで、袋を巻回状態に巻き取ることができる。
図14(c)に示すように、複数本のロッド77を、間隔の変更が可能な構成としてもよい。2本のロッド77は、間隔の広い第1位置と、間隔の狭い第2位置とに切り替え可能である。袋を受け入れるときは2本のロッド77を第1位置に配置した状態で待機する。2本のロッド77の間隔が広いので、袋を2本のロッド77の間に挿入させることができる。そして、巻取り時には、2本のロッド77を第2位置に配置して巻き取りを行う。この構成によれば、袋体の巻回半径を小さく巻き取ることができる。また、2本のロッド77を第1位置に配置したままに回転させて袋を巻き取る。巻取り終了後、2本のロッド77を第1位置から第2位置に切り替えてから排出動作を行う。この構成によれば、2本のロッド77が第1位置から第2位置に切り替わることで、2本のロッド77と巻回状態の袋体の間に隙間ができ、袋体が2本のロッド77から自重で落下し易くなる。
【0079】
・ロッド77の回転は偏心回転に限定されない。例えば1本のロッド77が軸回転してもよい。例えばロッド77はその外周面から軸回転の回転半径方向に突出する複数の腕部を周方向に一定の間隔で有する。複数本の腕部はロッドの外周面に出没可能に構成され、巻取り時は腕部を突出させ、ロッド77が軸回転することで袋は腕部に巻き取られ、巻取り後に腕部がロッド77に没入する。また、腕部が出没する構成に替え、複数の腕部を排出方向に向かうに連れて突出する径方向の寸法が短くなる構成でもよい。この構成によれば、腕部を備えるロッドでも、巻回状態の袋体15Wを自重で抜き取りやすくなる。また、複数の腕部が出没可能な構成において、複数の腕部の出没を制御部120により制御してもよく、この場合、駆動源として、モータやソレノイド、シリンダ等を用いてもよい。
【0080】
・排出機構55は、ロッド77の再挿入を利用する構成に限定されず、ロッド77とは別に袋体15Wを排出方向へ押し出すプッシャでもよい。また、エアを噴射して排出させるエア排出方式でもよい。
【0081】
・ロッド77を水平に配置してもよい。この場合、ロッド77に巻き取った巻回状態の袋体15Wを、自重を利用して抜き取ることは困難になるものの、プッシャ等の他の機構により使って抜き取ってもよい。
【0082】
・袋15を搬送するために袋15に作用させる流体圧は負圧に限定されない。つまり、袋15の搬送は、吸引搬送に限定されない。袋15に作用させる流体圧は、正の流体圧(正圧)でもよい。つまり、袋15を加圧流体によって搬送する圧送でもよい。
【0083】
・吸引口61Aを有する吸引フード61を移動可能に構成してもよい。前記実施形態では、吸引フード61を固定し、箱12及び袋15の移動経路と干渉しない所定位置に吸引口61Aを配置したが、吸引フード61を把持部51の昇降方向(鉛直方向Z)と交差(例えば直交)する方向に移動可能に設け、把持部51が引き上げた袋15に吸引口61Aが近づけて吸引する構成でもよい。この場合、吸引フード61を電動モータ又はシリンダ等の駆動源の駆動力で、昇降台40や袋除去機構50の作業エリア内の箱12や袋15と干渉しない退避位置と、袋15を吸引する吸引位置との間を移動させてもよい。
【0084】
・袋回収装置60は、物品群供給装置11と組み合わせて使用される構成に限定されない。袋回収装置60を、袋15を分離する分離機能を有する他の装置と組み合わせてもよい。また、作業者が物品群13又は物品から手作業で分離した袋15を、吸引フード61の吸引口61Aの近くに運ぶことで、袋15を回収してもよい。つまり、袋回収装置60は単独で使用されてもよい。
【0085】
・袋15は、箱12から取り出されたものに限定されない。例えば、コンテナから取り外した内袋を回収する構成でもよい。
・物品群13を構成する物品14は、容器のキャップ等の部品、プリフォーム等の成形品前駆体など、袋に不整列状態に収容されるもの、カップ等のように重ねたカップ群などの物品群が整列状態で袋に1つ又は複数収容されるものでもよい。また、物品は、部品に限らず袋に複数個が収容される製品又は半製品でもよい。また、袋に多数収容される物品は、食品、電気製品の部品、文房具でもよい。さらに、豆やビーズ等の粒状体でもよい。これらの物品から分離した袋15の回収に広く袋回収装置60を適用できる。
【0086】
・箱12は、紙製の段ボール箱に限らず、プラスチック製の段ボール箱でもよい。
【符号の説明】
【0087】
10…物品群供給システム、11…物品群供給装置、12…箱、12K…開口、12F…フラップ、13…物品群、14…物品、15…袋、15A…口部、15B…先端部、15W…袋体、20…ロボット、21…アーム、22…把持ユニット、23…吸着パッド、30…テーブルシャッタ機構、31…テーブル、32…シリンダ、40…昇降台、41…搬送ベルト、42…昇降機構、43…支持ロッド、44…ベルト式駆動機構、45…昇降用モータ、46…ベルト、48…供給コンベヤ、50…袋除去機構、51…把持部、51A…吸引口、52…シリンダ、53…ガイドロッド、55…排出機構、56…移動機構、60…袋回収装置、61…吸引フード、61A…吸引口、62…第1ダクト、63…袋巻取機構、64…第2ダクト、65…吸引源、67…搬送部、68…搬送路、70…チャンバ、70A…排出口、72…吸気口、74…扉体、76…巻取部、77…ロッド、78…電動モータ、81…ガイド部、83…第1シリンダ、89…第2シリンダ、96…通気隔壁の一例としての多孔隔壁、100…シュート、110…ガイド部、111…ドア、120…制御部、121…操作盤、SD…吸引方向、WP…巻取位置、X…搬送方向、Y…幅方向、Z…鉛直方向。
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