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特許7475649ロボットボディケアシステム、ロボットボディケア方法、およびロボットボディケアプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】ロボットボディケアシステム、ロボットボディケア方法、およびロボットボディケアプログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 40/60 20180101AFI20240422BHJP
【FI】
G16H40/60
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020090540
(22)【出願日】2020-05-25
(62)【分割の表示】P 2019132267の分割
【原出願日】2019-07-17
(65)【公開番号】P2021018806
(43)【公開日】2021-02-15
【審査請求日】2022-05-26
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 公開日 平成30年11月20日 公開先 テレビ番組 キャッチ! 他13件 公開者 中京テレビ放送株式会社 他13件 〔刊行物等〕 放送日 平成30年11月21日 公開先 http://www.tonichi.net/news/index.php?id=71401 他12件 公開者 株式会社東海日日新聞社 他12件 〔刊行物等〕 放送日 平成30年11月29日 公開先 https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00497678 公開者 株式会社日刊工業新聞社 〔刊行物等〕 放送日 平成30年12月2日 公開先 https://j-town.net/tokyo/news/localtv/268703.html?p=all 公開者 株式会社ジェイ・キャスト 〔刊行物等〕 放送日 令和1年7月10日 放送番組 株式会社テレビ東京 ワールドビジネスサテライト 公開者 株式会社テレビ東京 〔刊行物等〕 ウェブサイトの掲載日 令和1年7月10日 ウェブサイトのアドレス https://www.tv-tokyo.co.jp/mv/wbs/trend_tamago/post_181149/ 公開者 株式会社テレビ東京 〔刊行物等〕 ウェブサイトの掲載日 令和1年7月12日 ウェブサイトのアドレス https://www.facebook.com/atsuo.honna.54 公開者 本名 敦夫
(73)【特許権者】
【識別番号】300033452
【氏名又は名称】株式会社リッコー
(74)【代理人】
【識別番号】110002516
【氏名又は名称】弁理士法人白坂
(72)【発明者】
【氏名】原嶋 芳之
【審査官】森田 充功
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-291824(JP,A)
【文献】特開2003-052771(JP,A)
【文献】特開2018-149237(JP,A)
【文献】特開2001-029411(JP,A)
【文献】特開2015-229007(JP,A)
【文献】特開2010-042134(JP,A)
【文献】特開2016-030018(JP,A)
【文献】国際公開第2017/033381(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0066157(KR,A)
【文献】国際公開第2011/136128(WO,A1)
【文献】特開2002-233560(JP,A)
【文献】特開2004-24857(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00-80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加速度センサ及び指圧センサを備える計測グローブと、
ユーザに物理的な刺激を加えてボディケアを行うボディケア機器と、
ユーザにボディケアを行う際にユーザの身体の各部位に対してどのように刺激を与えるかという方法を示す施術方法を、前記加速度センサ及び前記指圧センサによって計測した結果に基づいて生成された施術情報として外部から受信する受信部と、前記受信部に入力された前記施術情報に基づいて、前記ボディケア機器を駆動させる際の電気信号としての施術指令値を生成する指令値生成部と、ユーザにボディケアを行う前記ボディケア機器を制御する前記施術指令値を、前記ボディケア機器に送信する送信部とを有する情報処理サーバと、を備え、
前記情報処理サーバは、センサによって施術を受けるユーザの身体の温度及び脈拍を取得し、当該温度及び当該脈拍の変化量と過去の変化量とを比較して、ユーザに対する施術に効果があるかを確認し、効果が大きい施術で採用される最適値を利用して前記施術指令値を調整する
ロボットボディケアシステム。
【請求項2】
前記情報処理サーバは、
施術者が前記計測グローブを装着した状態で施術を行う際に、前記加速度センサ及び前記指圧センサによって計測された座標、加速度及び指圧力を前記施術情報として前記受信部で受信し、
前記施術情報に基づくボディケアを前記ボディケア機器に模倣させる電気的信号を前記施術指令値として前記ボディケア機器に前記送信部で送信する
請求項1に記載のロボットボディケアシステム。
【請求項3】
前記ボディケア機器は、
アームと、
当該アームの先端部に連結された、ユーザに対して物理的な刺激を加える機構と、
を備える請求項1に記載のロボットボディケアシステム。
【請求項4】
前記情報処理サーバは、前記施術情報と、前記センサ又はカメラにより取得した、施術を受けるユーザの感情とに基づいて、前記施術指令値を調整する
請求項3に記載のロボットボディケアシステム。
【請求項5】
前記機構の先端部には、
前記センサとして、
ユーザの身体の温度を測定する体温センサと、
ユーザの脈拍を測定する脈拍センサと、
を備える請求項4に記載のロボットボディケアシステム。
【請求項6】
前記機構の先端部には、前記センサとして、ユーザに対してボディケアを行いながら、その時の圧力を把握する、当該圧力を測定する圧電センサを備える
請求項4に記載のロボットボディケアシステム。
【請求項7】
加速度センサ及び指圧センサを備える計測グローブと通信可能なコンピュータが、
ユーザにボディケアを行う際にユーザの身体の各部位に対してどのように刺激を与えるかという方法を示す施術方法を、前記加速度センサ及び前記指圧センサによって計測した結果に基づいて生成された施術情報として外部から受信する受信ステップと、
前記受信ステップに入力された前記施術情報に基づいて、ボディケア機器を駆動させる際の電気信号としての施術指令値を生成する指令値生成ステップと、
ユーザにボディケアを行う前記ボディケア機器を制御する前記施術指令値を、前記ボディケア機器に送信する送信ステップと、
前記ボディケア機器が、前記施術指令値を用いてボディケアを行うボディケアステップと、を実行し、
前記指令値生成ステップは、センサによって施術を受けるユーザの身体の温度及び脈拍を取得し、当該温度及び当該脈拍の変化量と過去の変化量とを比較して、ユーザに対する施術に効果があるかを確認し、効果が大きい施術で採用される最適値を利用して前記施術指令値を調整する
ロボットボディケア方法。
【請求項8】
加速度センサ及び指圧センサを備える計測グローブと通信可能なコンピュータに、
ユーザにボディケアを行う際にユーザの身体の各部位に対してどのように刺激を与えるかという方法を示す施術方法を、前記加速度センサ及び前記指圧センサによって計測した結果に基づいて生成された施術情報として外部から受信する受信機能と、
前記受信機能に入力された前記施術情報に基づいて、ボディケア機器を駆動させる際の電気信号としての施術指令値を生成する指令値生成機能と、
ユーザにボディケアを行う前記ボディケア機器を制御する前記施術指令値を、前記ボディケア機器に送信する送信機能と、
前記ボディケア機器が、前記施術指令値を用いてボディケアを行うボディケア機能と、
を実現させ、
前記指令値生成機能は、センサによって施術を受けるユーザの身体の温度及び脈拍を取得し、当該温度及び当該脈拍の変化量と過去の変化量とを比較して、ユーザに対する施術に効果があるかを確認し、効果が大きい施術で採用される最適値を利用して前記施術指令値を調整する
ロボットボディケアプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボットボディケアシステム、ロボットボディケア方法、およびロボットボディケアプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、様々な施術方法により、ユーザに物理的な刺激を加えて行うボディケアに関する事業が行われ、このような事業においては施術者の育成が盛んに行われている。
例えば、下記特許文献1には、施術者を育成するために、ボディケアの練習実績を記録させるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-42924号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載の技術を活用した施術者の育成においては、施術者が技術の習熟するための時間が必要であり、人員の確保が問題となっていた。
すなわち、このような労働集約型サービスでは、施術者に依存する割合が大きく、安定したボディケアの品質を、長期間にわたって提供し続けることが困難であった。
【0005】
そこで本発明は、様々な施術者が保有しているノウハウを有効活用するとともに、ボディケアサービスのような労働集約型サービスを簡略化し、ボディケアの品質を安定させることができるロボットボディケアシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係るロボットボディケアシステムは、ユーザに物理的な刺激を加えてボディケアを行うボディケア機器と、ユーザにボディケアを行う際にユーザの身体の各部位に対してどのように刺激を与えるかという方法を示す施術方法を、施術情報として外部から受信する受信部、受信部に入力された施術情報に基づいて、電気的信号としての施術指令値を生成する指令値生成部、および施術指令値を、ボディケア機器に送信する送信部を有する情報処理サーバと、を備えている。
【0007】
また、指令値生成部により生成された施術指令値が使用された履歴を示す履歴情報を記録する履歴記録部と、ユーザにより、利用した施術指令値に対する評価を示す評価情報が入力される評価入力部と、履歴記録部に記録された履歴情報、および評価入力部に入力された評価情報に基づいて、施術指令値の人気を評価する指令値評価部と、を備えてもよい。
【0008】
また、評価入力部には、複数のユーザから評価情報が入力されてもよい。
【0009】
また、指令値評価部による評価結果に基づいて、人気の高い施術指令値を、複数のユーザのうちのいずれかに提案する指令値提案部を備えてもよい。
【0010】
また、受信部は、ボディケア関連事業者から施術情報を受信し、指令値評価部による評価結果に基づいて、人気の高い施術情報を入力したボディケア関連事業者を、優秀事業者として特定する事業者特定部を備えてもよい。
【0011】
また、事業者特定部により特定された優秀事業者に対して、報酬を支払ってもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るロボットボディケア方法は、コンピュータが、ユーザにボディケアを行う際にユーザの身体の各部位に対してどのように刺激を与えるかという方法を示す施術方法を、施術情報として外部から受信する受信ステップと、受信部に入力された施術情報に基づいて、電気的信号としての施術指令値を生成する指令値生成ステップと、施術指令値を、ユーザに物理的な刺激を加えてボディケアを行うボディケア機器に送信する送信ステップと、ボディケア機器が、施術指令値を用いてボディケアを行うボディケアステップと、を実行する。
【0013】
また、上記課題を解決するために、本発明に係るロボットボディケアプログラムは、コンピュータに、ユーザにボディケアを行う際にユーザの身体の各部位に対してどのように刺激を与えるかという方法を示す施術方法を、施術情報として外部から受信する受信機能と、受信部に入力された施術情報に基づいて、電気的信号としての施術指令値を生成する指令値生成機能と、施術指令値を、ユーザに物理的な刺激を加えてボディケアを行うボディケア機器に送信する送信機能と、ボディケア機器が、施術指令値を用いてボディケアを行うボディケア機能と、を実現させる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のロボットボディケアシステムでは、外部から受信部が受けつけた施術情報から、指令値生成部が施術指令値を生成する。そして、ボディケア機器が、施術指令値に基づいて、ユーザにボディケアを行う。これにより、施術者が直接ボディケアをする必要が無く、施術者が有するボディケアに関するノウハウを、施術指令値として定量的に管理することができる。
これにより、様々な施術者が保有しているノウハウを有効活用するとともに、ボディケアサービスのような労働集約型サービスを簡略化し、ボディケアの品質を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るロボットボディケアシステムの構成例を示すシステム図である。
図2図1に示すロボットボディケアシステムにおける情報処理端末の構成を示すブロック図である。
図3図1に示すロボットボディケアシステムにおける情報処理サーバの構成を示すブロック図である。
図4図1に示す指令値生成部が、施術指令値を生成する際の処理の概要を示す図である。
図5図1に示すボディケア機器によりボディケアを行う際の挙動を説明する図である。
図6】情報処理サーバにおける処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施態様に係るロボットボディケアシステム1について図面を参照しながら詳細に説明する。図1は、ロボットボディケアシステム1の構成例を示すシステム図である。
図1に示すように、ロボットボディケアシステム1は、メインサーバとなる情報処理サーバ100を備えている。情報処理サーバ100は、ネットワーク40を介して外部端末と接続されている。外部端末としては、複数のユーザPそれぞれが有する複数の情報処理端末20、ボディケア機器30、カメラ50、クラウド60を含んでいる。また、ネットワーク40は、複数のボディケア関連事業者10と接続されている。
【0017】
ボディケア関連事業者10(以下、単に事業者10という)は、例えばエステサロンやボディケア店、整骨院、整体院等、各種のボディケアを施術する事業者が含まれる。
ここで、図1に示すように、事業者10は、固定店舗を構えて事業を行う店舗型事業者10Aであってもよいし、設備を積載したサービス車両内で事業を行う移動型事業者10Bであってもよい。移動型事業者10Bの場合には、サービス車両の内部にボディケア機器30が積載されており、ボディケアを受けるユーザは、例えばスマートフォンのアプリ等を用いてサービス車両を所望する地点に呼び出して、サービス車両内でボディケアのサービスを受けることができる。また、移動型事業者10Bは、オペレータがサービス車両の運転、およびボディケアサービスの案内を行う有人車両で行ってもよいし、自動運転される無人車両で行ってもよい。
【0018】
事業者10は、事業に用いる端末等により、ネットワークを介して、情報処理サーバ100にアクセス可能に接続されている。事業者10は、それぞれがボディケア機器30を備えていてもよいし、ボディケア機器30を使用しない手作業でのボディケアを行っていてもよい。
【0019】
ネットワーク40は、ロボットボディケアシステムと各種の機器との間を相互に接続させるためのネットワークであり、例えば、無線ネットワークや有線ネットワークである。
具体的には、ネットワーク40は、ワイヤレスLAN(wireless LAN:WLAN)や広域ネットワーク(wide area network:WAN)、ISDNs(integrated service digital networks)、無線LANs、LTE(long term evolution)、LTE-Advanced、第4世代(4G)、第5世代(5G)、CDMA(code division multiple access)、WCDMA(登録商標)、イーサネット(登録商標)などである。
【0020】
また、ネットワーク40は、これらの例に限られず、例えば、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)やブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、ブルートゥースローエナジー(Bluetooth Low Energy)、光回線、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)回線、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)回線、衛星通信網などであってもよく、その他のどのようなネットワークであってもよい。
【0021】
また、ネットワーク40は、例えば、NB-IoT(Narrow Band IoT)や、eMTC(enhanced Machine Type Communication)であってもよい。なお、NB-IoTやeMTCは、IoT向けの無線通信方式であり、低コスト、低消費電力で長距離通信が可能なネットワークである。
【0022】
また、ネットワーク40は、これらの組み合わせであってもよい。また、ネットワーク40は、これらの例を組み合わせた複数の異なるネットワークを含むものであってもよい。例えば、ネットワーク40は、LTEによる無線ネットワークと、閉域網であるイントラネットなどの有線ネットワークとを含むものであってもよい。
【0023】
ここで、図1に示すように、ロボットボディケアシステム1は、施術中のユーザPの表情や体の動きを検出するカメラ50を備えている。カメラ50は、ボディケア機器30とともに設置されて使用される。
カメラ50は、ユーザPの表情を撮像して情報処理サーバ100に送信する。この撮像データを用いて、情報処理サーバ100は、ユーザPが快適な状態か、不快な状態か、を判定することができる。また、カメラ50はユーザPの身体の動きを撮影することで、ユーザPの脈拍や呼吸数を判断することができる動画データを取得することができる。
【0024】
ユーザPが有する情報処理端末20は、ボディケアを受けるユーザPが使用する端末であり、例えば個人で所有するパソコンや、タブレット、スマートフォン等のコンピュータである。図示の例では、情報処理端末20はスマートフォンとなっているが、これに限定されない。情報処理端末20の構成について、図2を用いて説明する。図2は、情報処理端末20のブロック図である。
【0025】
図2に示すように、情報処理端末20は、入力部21と、通信部22と、表示部23と、記憶部24と、制御部25と、を備える。
入力部21は、ユーザPからの入力を受け付ける機能を有する。入力部21は、例えば、ハードウェアキーやタッチパネルなどにより実現することができるが、これらに限定されるものではない。入力部21は、ユーザPから受け付けた入力内容を制御部25に伝達する。
【0026】
通信部22は、情報処理サーバ100と通信を実行する機能を有する通信インターフェースである。通信部22は、受信部221と、送信部222とを含む。
通信部13は、情報処理端末20と無線により通信を実行するものであり、例えば、Bluetooth Low Energy(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、3G(3rd Generation)、4G(4th Generation)、LTE(Long Term Evolution)等に従って通信を実行するものであるが、通信規格はこれらに限定されるものではない。
【0027】
表示部23は、制御部25からの指示に従って、画像や文字を表示する機能を有するモニターである。表示部23は、例えば、LCDにより実現することができるが、これに限定するものではない。表示部23は、例えば、後述する施術指令値の使用された頻度を示す履歴情報を表示することができる。
【0028】
記憶部24は、情報処理端末20が動作する上で必要とする各種プログラム、データ、パラメータを記憶する機能を有する記録媒体である。記憶部24は、例えば、フラッシュメモリ、SSD、HDDなどにより実現することができるが、これらに限定されるものではない。
【0029】
制御部25は、情報処理端末20の各部を制御する機能を有するプロセッサである。制御部25は、記憶部24に記憶されている各種のプログラムを実行することで、情報処理端末20の各部を制御する。
例えば、制御部25は、入力部21に入力されたユーザPからの評価情報を、通信部22を介して情報処理サーバ100に伝達する。
【0030】
ボディケア機器30は、後述する施術指令値により駆動制御され、ユーザPに物理的な刺激を加えてボディケアを行う機器である。
図1に示すように、本実施形態では、ボディケア機器30として、アーム32の先端部に連結されたロボットハンド31を備えた構成を例に挙げて説明する。
なお、ボディケア機器30の機構としては、ユーザPに対して物理的な刺激を加えてボディケアを行うことができる機構を備えていれば、ハンド構造でなくてもよい。
【0031】
ボディケア機器は、情報処理サーバ100から送信された施術指令値を受信する受信部と、ロボットハンド31およびアーム32を駆動させる駆動装置(モータ)と、施術指令値に基づいて駆動装置に印可される電流値を生成するドライバ装置と、を少なくとも備えている。施術指令値の受信では、ネットワーク40を介してもよいし、USB等の記憶媒体を介したメディアデータとしての受信であってもよい。また、生成した施術指令値を直接ボディケア機器に入力する態様であってもよい。
【0032】
ボディケア機器30におけるロボットハンド31の指の先端部には、指センサが内蔵されている。指センサは、ユーザPの身体を押圧する際の圧力を測定する圧電センサ、およびユーザPの身体の温度を測定する体温センサ、およびユーザP脈拍を測定する脈拍センサを備えている。
これにより、ユーザPに対してボディケアを行いながら、その時の圧力を把握することができるとともに、ユーザPの状態として、温度と脈拍を把握することができる。
【0033】
次に、情報処理サーバ100の構成について、図3を用いて説明する。図3は、図1に示す情報処理サーバ100の構成を示すブロック図である。
情報処理サーバ100は、ボディケア機器30により、手作業でのボディケアを模倣したボディケアを実現させる処理装置である。情報処理サーバ100は、例えば、事業者10から入手した施術方法を、施術情報として利用する。
【0034】
ここで、施術方法とは、ユーザPの身体の各部位に対してどのように刺激を与えるかという方法である。具体的には、ボディケアを行う際のユーザの体の部位、刺激方法、刺激強度、刺激時間、刺激の回数や頻度、および複数の部位に対してボディケアを行う際における順番、ボディケアに使用する道具の動かし方等を示す。
【0035】
図3に示すように、情報処理サーバ100は、受信部110と、記憶部120と、処理部130と、送信部140と、を備えている。
受信部110は、図1に示すネットワーク40を介して、外部端末から、各種のデータを受信する通信インターフェースである。
【0036】
各種のデータとしては、施術情報および評価情報が含まれる。受信部110は、例えば、事業者10から、ユーザPにボディケアを行う際の施術方法を示す施術情報を受付ける。なお受信部110は、事業者10からではなく他の機関から施術情報を受信してもよい。例えば受信部110は、クラウド60上に蓄積された複数の施術情報を学習モデルに機械学習させ、所定の条件を入力することで導出された施術情報を、外部装置から受信してもよい。
【0037】
このような機械学習としては、ディープラーニングやブースティングを採用してもよい。機械学習には、ニューラルネットワークにより構成された学習モデルを使用してもよい。
また、機械学習を行わずに、例えば施術者の性別等の属性、または施術者の身体的な特徴と、施術情報と、が対応付けて記録されたルックアップテーブルを備え、ルックアップテーブルを参照することで施術情報を選択してもよい。
また、受信部110には、ユーザPから構成される複数のユーザPからの評価情報が入力される。すなわち、受信部110は、本発明の評価入力部として機能する。
【0038】
記憶部120は、情報処理サーバ100が動作するうえで必要とする各種の制御プログラムや各種のデータを記憶する機能を有する。記憶部150は、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリなど各種の記憶媒体により実現される。
情報処理サーバ100は、記憶部120に記憶された制御プログラムを実行することで、実現すべき各機能を実現することとしてよい。ここでいう各機能とは、受付機能、指令値生成機能、ボディケア機器30を用いたボディケア機能、施術指令値の評価機能、指令値提案機能、および事業者特定機能を少なくとも含んでいる。
【0039】
また、記憶部120は、各種のデータとして、施術情報を記憶している。施術情報とは、事業者10から取得した情報であり、施術方法によるボディケアの具体的な内容を示す情報である。施術情報は、例えば、人の手で行うボディケアの内容を示す情報である。
【0040】
また、記憶部120は、各種のデータとして、施術指令値を記憶している。施術指令値とは、施術情報に基づく手作業のボディケアを、ボディケア機器30により模倣させるために、ボディケア機器30に入力される指令値としての電気的信号を指し、後述する指令値生成部131が生成するデータである。施術指令値は、主に施術情報とボディケア機器30の機構とにより決定される。一度のボディケアにおいて、1つの施術指令値を用いてもよいし、複数の施術指令値を用いてもよい。
【0041】
また、記憶部120は、各種のデータとして、履歴情報を記憶している。履歴情報とは、指令値生成部131により生成された施術指令値が使用された履歴を示す情報であり、後述する履歴記録部132が記憶部120に記録するデータである。
履歴情報を確認することで、複数の施術指令値において、使用された回数を把握することができ、複数のユーザPに人気のある施術指令値(すなわち人気のある施術方法)と、人気のない施術指令値(すなわち人気のない施術方法)と、を把握することができる。
【0042】
また、記憶部120は、各種のデータとして、評価情報を記憶している。評価情報は、複数のユーザPそれぞれがボディケアを受けたあとに、利用した施術指令値に対する評価として、自身の感想を入力した情報である。評価情報としては、例えば5段階等の数値で評価してもよいし、感想を直接コメントとして入力したものであってもよい。
【0043】
処理部130は、情報処理サーバ100の各部を制御するコンピュータであり、例えば、中央処理装置(CPU)やマイクロプロセッサ、ASIC、FPGAなどであってもよい。
処理部130は、指令値生成部131と、履歴記録部132と、指令値評価部133と、指令値提案部134と、事業者特定部135と、を備えている。
【0044】
指令値生成部131は、受信部110に入力された施術情報から、ボディケア機器30に入力する施術指令値を生成する。この点について、図4および図5を用いて詳述する。図4は、指令値生成部131が、施術指令値を生成する際の処理の概要を示す図である。図5は、ボディケア機器30によりボディケアを行う際の挙動を説明する図である。
【0045】
図4に示すように、施術情報は、いくつかのステップを経て、施術指令値に変換される。まず、最初のステップとして、制御則による変換処理がある。
これは、ボディケア機器30の機構や制御手段の特性に基づいて設定される。すなわち、人の手で行う施術の内容をボディケア機器30で実現するために、ボディケア機器30をどのように駆動させるかが問題となる。
【0046】
ここで、施術情報から施術指令値への変換方法について具体例を挙げて説明する。例えば、ボディケアを手作業で行う施術者が、計測グローブを装着した状態で、施術情報に示された施術方法に沿った施術を行う。計測グローブには、複数の加速度センサおよび指圧センサが内蔵されている。このため、施術者が施術を行う際の指の動きを検出し、ロボットハンド31を駆動させる際の座標、加速度、および指圧力を計測することができる。このように計測された座標、加速度、および指圧力が、施術情報となる。なお、前述した変換方法はあくまで例示であり、その他の方法により施術情報から施術指令値を生成してもよい。
【0047】
次に、施術指令値は、ユーザPの感覚に基づく入力により調整される。ここで、ユーザPの感覚とは、ロボットハンド31の指圧力、指の位置、腕の力等を変化させた際に心地よく感じる値として本人が認識している値であり、ユーザPの好みに合わせて調整することができる。
【0048】
この調整処理は、例えばユーザPの希望を、ボディケア機器30を操作するオペレータが確認し、受信部110から、情報処理サーバ100に入力してもよい。
この際、各ユーザPの好みの指令値を記憶部120に記憶させてもよい。この調整処理は、ボディケアの施術前に行ってもよいし、ボディケアの施術中に行ってもよい。
【0049】
次に、施術指令値は、ユーザPの感情に基づく入力により調整される。ここで、ユーザPの感情とは、ボディケア中に快適か、不快か、という感情であり、実際の施術のなかで、無意識に湧出する感情である。この感情は、前述した各センサで取得した体温および脈拍等のデータや、カメラ50から取得した呼吸および表情等のデータから、人工知能による解析を行って感情を推定し、最適な指令値を推定してもよい。また、人工知能により機械学習を行う場合には、例えば行動価値関数を用いた強化学習モデルにより、最適な値を算出するような態様であってもよい。この調整は、施術中に行われてもよいし、次回以降の施術に反映させてもよい。また、カメラ50によるユーザPの感情の推定では、教師無し学習によるクラスタ解析を行ってもよいし、教師あり学習により、例えば画像データを分類することで、感情を推定してもよい。
また、感情に基づく入力は、ユーザ自身からの回答に基づいてオペレータが入力してもよい。
【0050】
次に、施術指令値は、効果に基づく入力により調整される。ここで、効果とは、実際に施術を行った際の体温や脈拍等の変化である。効果があるかどうか、すなわち変化量が大きいかどうかについては、過去の施術指令値を用いて施術を行った際の変化量と比較することで確認することができる。
そして、効果が大きい施術において採用されている指圧力、指の位置、腕の力等を参照して、人工知能による解析を行って、最適な指令値を推定してもよい。また、人工知能により機械学習を行う場合には、例えば行動価値関数を用いた強化学習モデルにより、最適な値を算出するような態様であってもよい。この調整は、施術中に行われる。
【0051】
図5に示すように、実際にボディケア機器30を駆動させる際には、まず、ボディケア機器30が目標位置に移動する(S501)。次に、ボディケア機器30が施術を開始する(S502)。
次に、ロボットハンド31による指圧の圧力の目標値として、目標圧力を設定する(S503)。そして、処理部130は、設定された圧力で指圧を行った際に、圧力が適切かどうか判定する。この判定において、前述したユーザPの感覚、ユーザPの感情、および効果に基づく入力により調整が行われる。
【0052】
そして、圧力が適切でない場合(S504のno)には、目標圧力を再度設定する(S503)。一方、圧力が適切である場合(S504のyes)には、設定した圧力を維持した状態で、施術を継続する(S505)。
この処理を指圧力だけではなく、ロボットハンド31の位置やアーム32の力等のロボットハンド31がボディケアを行う上で必要となる全てのパラメータに対して行う。このようにして、指令値生成部131により作成された指令値により、ボディケア機器30によるボディケアが行われる。
【0053】
図3に示すように、履歴記録部132は、指令値生成部131により生成された施術指令値が使用された履歴を示す履歴情報を記録する。
履歴記録部132は、施術指令値がボディケア機器30で使用されたことを示すログデータを取得して、記憶部120に記憶させる。これにより、どのような施術指令値が、いつ、どのボディケア機器30で使用されたのかという履歴を記録することができる。
【0054】
指令値評価部133は、履歴記録部132に記録された履歴情報に基づいて、施術指令値の使用頻度を評価する。また、複数のユーザPからの評価情報の内容と、使用頻度と、に基づいて、施術指令値の人気を評価する。
すなわち、使用頻度が高い施術指令値は、人気が高いと判断される。また、ユーザPからの評価情報において、高い評価が下されている施術指令値も、人気が高いと判断される。
【0055】
指令値提案部134は、指令値評価部133による評価結果に基づいて、人気の高い施術指令値を、複数のユーザPのうちのいずれかに提案する。すなわち、人気のある施術指令値を提案することで、人気のある施術指令値がより一層、利用されることとなる。
【0056】
事業者特定部135は、指令値評価部133による評価結果に基づいて、施術情報を入力した事業者10を特定する。すなわち、例えば人気のある施術情報を入力した事業者10を特定することで、人気の高い施術方法に関するノウハウを持っている事業者10を特定することができる。このようにして特定された事業者に対して例えば、利用回数に応じた報酬を支払ってもよい。
送信部140は、図1に示すネットワーク40を介して、ボディケア機器30に施術指令値を送信する通信インターフェースである。
【0057】
次に、図6を用いて、ロボットボディケアシステムにおける処理の手順を説明する。図6は、ロボットボディケアシステムの処理フローを示す図である。
図8に示すように、ロボットボディケアシステムの処理では、まず、受信部110が、事業者10から、施術情報を受付ける。(S601:受付ステップ)。受付ステップでは、事業者10が、事業に用いる端末等から、情報処理サーバ100の受信部に施術情報を入力する。
【0058】
次に、指令値生成部131が、施術情報から施術指令値を生成する。(S602:指令値生成ステップ)。施術指令値は、前述した処理により生成する。この際、センサが取得した様々なデータや、過去に生成した施術指令値、およびそれに対するユーザPのコメントを、クラウド60上に保管して、施術指令値の生成に利用してもよい。
【0059】
次に、施術指令値をボディケア機器30に入力し、ユーザPにボディケアを行う(S603:ボディケアステップ)。ボディケアステップでは、施術指令値に基づいて、ボディケア機器30が所定のボディケアを行う。
次に、履歴記録部132が、履歴情報を記録する(S604:履歴情報記録ステップ)。履歴情報記録ステップでは、それぞれの施術指令値の使用履歴を記憶部120に記憶させる。
【0060】
次に、ユーザPが、評価情報を受信部110に入力する(S605:評価情報入力ステップ)。評価情報入力ステップでは、ユーザPがそれぞれの受けたボディケアの感想や評価を情報処理端末20から入力する。
次に、指令値評価部133が、施術指令値の人気を評価する(S606:指令値評価ステップ)。指令値評価ステップでは、施術指令値の人気を、例えば点数を付けることで定量的に評価する。
【0061】
次に、指令値提案部134が、人気の高い施術指令値をユーザPに提案する(S607:指令値提案ステップ)。指令値提案ステップでは、人気の高い施術指令値をユーザPに提案する際に、ユーザPの年齢や性別等の属性に応じて、提案する施術指令値を選択してもよい。
そして、事業者特定部135が、施術情報を入力した事業者10を特定する(S608:事業者特定ステップ)。事業者特定ステップでは、報酬を支払ったり、使用頻度によりランキング表示をしたりして、人気の高い施術情報を入力した事業者10を表彰してもよい。
【0062】
以上説明したように、本実施形態に係るロボットボディケアシステムによれば、事業者10から受信部110が受けつけた施術情報から、指令値生成部131が施術指令値を生成する。そして、ボディケア機器30が、施術指令値に基づいて、ユーザPにボディケアを行う。これにより、施術者が直接ボディケアをする必要が無く、施術者が有するボディケアに関するノウハウを、施術指令値として定量的に管理することができる。
これにより、様々な施術者が保有しているノウハウを有効活用するとともに、ボディケアサービスのような労働集約型サービスを簡略化し、ボディケアの品質を安定させることができる。
【0063】
また、履歴記録部132が、施術指令値が使用された履歴を示す履歴情報を記録するとともに、指令値評価部133が、履歴情報に基づいて、施術指令値の使用頻度を評価する。これにより、施術指令値として使用される頻度が高いものを判別することが可能になり、人気の高い施術指令値を特定することができる。
【0064】
また、指令値評価部133が、複数のユーザPからの評価情報の内容と、使用頻度と、に基づいて、施術指令値の人気を評価することにより、施術指令値の使用頻度だけではなく、ユーザPから入力された評価情報に基づいて、施術指令値の人気について、精度の高い判断を下すことができる。
【0065】
また、指令値提案部134が、指令値評価部133による評価結果に基づいて、人気の高い施術指令値を、複数のユーザPのうちのいずれかに提案する。このため、人気の高い施術指令値を多くのユーザPに共有することで、ユーザPの利便性を向上することができる。
【0066】
また、事業者特定部135が、指令値評価部133による評価結果に基づいて、施術情報を入力した事業者10を特定することができる。このため、例えば人気の高い施術情報を入力した事業者特定部135に報酬を与えるような運用を行うことにより、施術情報を入力した事業者の動機づけを確保することができる。
【0067】
上記実施の形態に係る装置は、上記実施の形態に限定されるものではなく、他の手法により実現されてもよいことは言うまでもない。以下、各種変形例について説明する。
【0068】
例えば、上記実施形態においては、情報処理サーバ100における処理部130のプロセッサが制御プログラム等を実行することにより、実現することとしているが、これは装置に集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration)等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって実現してもよい。また、これらの回路は、1または複数の集積回路により実現されてよく、上記実施の形態に示した複数の機能部の機能を1つの集積回路により実現されることとしてもよい。LSIは、集積度の違いにより、VLSI、スーパーLSI、ウルトラLSIなどと呼称されることもある。
【0069】
また、上記制御プログラムは、プロセッサが読み取り可能な記録媒体に記録されていてよく、記録媒体としては、「一時的でない有形の媒体」、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブルな論理回路などを用いることができる。また、上記制御プログラムは、当該制御プログラムを伝送可能な任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介して上記プロセッサに供給されてもよい。本発明は、上記制御プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0070】
なお、上記制御プログラムは、例えば、ActionScript、JavaScript(登録商標)などのスクリプト言語、Objective-C、Java(登録商標)などのオブジェクト指向プログラミング言語、HTML5などのマークアップ言語などを用いて実装できる。
【0071】
また、上記実施形態に示した構成及び各補足に示した構成は、適宜組み合わせることとしてもよい。また、各処理手順についても、結果として得られるものが同じになるのであれば、実行手順を入れ替えてもよいし、並列に2つの処理を実行することとしてもよい。
【符号の説明】
【0072】
1 ロボットボディケアシステム
30 ボディケア機器
100 情報処理サーバ
131 指令値生成部
132 履歴記録部
133 指令値評価部
134 指令値提案部
135 事業者特定部
図1
図2
図3
図4
図5
図6