(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-04-19
(45)【発行日】2024-04-30
(54)【発明の名称】フットカバー
(51)【国際特許分類】
A41B 11/04 20060101AFI20240422BHJP
A41B 11/12 20060101ALI20240422BHJP
【FI】
A41B11/04
A41B11/12 Z
(21)【出願番号】P 2020101008
(22)【出願日】2020-06-10
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】592154411
【氏名又は名称】岡本株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】浅井 美津子
【審査官】山尾 宗弘
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3224536(JP,U)
【文献】特開2019-035159(JP,A)
【文献】登録実用新案第3224132(JP,U)
【文献】特開2007-031879(JP,A)
【文献】特開2016-141904(JP,A)
【文献】特開2016-056479(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-1284247(KR,A)
【文献】韓国特許第10-1092976(KR,B1)
【文献】独国実用新案第202013008200(DE,U1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A41B 11/04
A41B 11/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
足の足裏を覆う足底部、および前記足を出し入れする履き口が形成された継ぎ目のない環状の側面部を含む本体と、
前記側面部の内側に、前記履き口周縁に沿って配置された継ぎ目のない環状の履き口周縁生地と、
を備え
、
前記履き口周縁生地は、継ぎ目のない環状の1枚の生地から形成されるフットカバー。
【請求項2】
前記履き口周縁生地は、
前記履き口周縁の全周に亘って配置された環状の環状部と、
前記環状部から前記足底部側へ延出した延出部と、
を含む、請求項1に記載のフットカバー。
【請求項3】
前記延出部は、前記足の踵側に配置される、請求項2に記載のフットカバー。
【請求項4】
前記履き口周縁生地は、2つの前記延出部を含み、
2つの前記延出部は、前記踵を左右から挟み込むように、前記環状部から前記足底部側へ延出する、請求項3に記載のフットカバー。
【請求項5】
前記踵に接する滑り止めをさらに備え、
前記滑り止めは、前記環状部および前記延出部の少なくとも一方に配置される、請求項3または4に記載のフットカバー。
【請求項6】
前記滑り止めは、前記足と接する面が一連の面形状であることを特徴とする、請求項5に記載のフットカバー。
【請求項7】
前記履き口周縁生地は、生地の幅が部分的に異なる形状である、請求項1から6のいずれか1項に記載のフットカバー。
【請求項8】
前記本体は、前記足に着用されていない非着用状態において略平面的な形状となる、請求項1から7のいずれか1項に記載のフットカバー。
【請求項9】
前記本体は、前記足底部を構成する足底生地と、側面生地とが接合されてなる、請求項1から8のいずれか1項に記載のフットカバー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、足に着用するフットカバーに関し、特に履き口周縁における着用感の低下を抑えつつ履き口を補強したフットカバーに関する。
【背景技術】
【0002】
パンプスまたはスニーカー等を履く際に着用するフットカバーは、着脱を繰り返すことによって履き口周縁が引張される。このため、履き口周縁の生地が解れたり、または破断したりする。一方、履き口周縁の生地の解れ等を防ぐために端部が解れにくい生地を用いた場合、履き口周縁の生地が内側または外側へカールしやすくなり、着用感が損なわれるとともに脱げ易くなってしまう。
【0003】
この種のフットカバーに関して、履き口周縁に生地テープまたは樹脂等を配置して、履き口周縁を補強したフットカバーが提案されている。例えば、特許文献1には、フットカバーの内側(肌に接する側)に、履き口周縁に沿って伸縮性細幅生地(履き口周縁生地)が配置されたフットカバーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載の発明では、爪先部および側辺部を形成する生地と踵部を形成する生地とが、踵部の左右2ヶ所の縫合線で縫合される。このため、縫合線(継ぎ目)による凸部(段差)が伸縮性細幅生地に形成され、着用時、特に履き口周縁にごろつき感が生じるという問題がある。
【0006】
本発明の一態様は、前記の従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、履き口周縁における着用感の低下を抑えつつ履き口を補強したフットカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明の一態様に係るフットカバーは、足の足裏を覆う足底部、および前記足を出し入れする履き口が形成された継ぎ目のない環状の側面部を含む本体と、前記側面部の内側に、前記履き口周縁に沿って配置された継ぎ目のない環状の履き口周縁生地とを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、履き口周縁における着用感の低下を抑えつつ履き口を補強したフットカバーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態1に係るフットカバーを足に着用した状態の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示されるフットカバーを平置きした状態の一例を示す平面図である。
【
図3】
図2に示されるフットカバーの底面図である。
【
図4】
図2に示されるフットカバーの側面図である。
【
図5】
図2に示されるフットカバーを裏返して、履き口周縁生地および滑り止めを露出させた平面図である。
【
図6】
図5に示されるフットカバーの踵部を示す平面図である。
【
図7】
図6に示される滑り止めの変形例を示す平面図である。
【
図8】
図6に示される滑り止めの変形例を示す平面図である。
【
図9】
図6に示される延出部および滑り止めの変形例を示す平面図である。
【
図10】
図6に示される延出部および滑り止めの変形例を示す平面図である。
【
図11】本発明の実施形態2に係るフットカバーを裏返して、履き口周縁生地および滑り止めを露出させた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔実施形態1〕
以下、本発明の実施形態について、
図1~
図5に基づいて説明する。本実施形態では、左右を履き違えることがないように、左右共用で使用できるフットカバー1の例について説明する。ただし、これに限らす、左足用および右足用を備えるものであってもよい。また、例えば、フットカバー1は、足袋形状のもの、5本指形状のものであってもよい。
【0011】
[フットカバーの概要]
図1は、本発明の実施形態1に係るフットカバー1を足Fに着用した状態の一例を示す斜視図である。
図1に示すように、フットカバー1は、足Fを覆う本体2と、本体2の履き口2a周縁に沿って本体2に配置された履き口周縁生地5と、履き口周縁生地5に配置された滑り止め6とを備える。
【0012】
本体2は、足Fの足裏を覆う足底生地3と、足Fの側周面を覆う側面生地4とが接合されてなる。本体2は、足Fの足裏を覆う足底部21、足Fの爪先を覆う爪先部22、足Fの踵を覆う踵部23、および爪先から踵にわたる足Fの両側を覆う側辺部24を含む。履き口周縁生地5は、履き口2aを補強するものであり、履き口2aの解れまたは破断を防止する。滑り止め6は、履き口周縁生地5の踵側に配置され、該踵と接することで足Fからの本体2の脱げまたはずれを防止する。
【0013】
フットカバー1では、側面生地4と履き口周縁生地5とは、いずれも履き口2a周縁に継ぎ目のない環状の生地で構成される。これにより、後述するように、履き口2a周縁における着用感の低下を抑えつつ履き口2aを補強することが可能となる。
【0014】
[フットカバーの構成]
次に、フットカバー1の具体的な構成例を説明する。
図2は、
図1に示されるフットカバー1を平置きした状態の一例を示す平面図である。
図3は、
図2に示されるフットカバー1の底面図である。
図4は、
図2に示されるフットカバー1の側面図である。
【0015】
(側面生地)
側面生地4は、足Fの側周面を覆う継ぎ目のない環状の生地である。
図2に示すように、側面生地4は、足底生地3の外周形状に対応した形状であり、継ぎ目のない1枚の伸縮性生地を裁断して略平面的に形成される。側面生地4は、その略中央部分に、足Fを出し入れするための履き口2aが、略楕円形状にくり抜かれて形成される。これにより、側面生地4は、履き口2aを中心とした環状に形成される。
【0016】
フットカバー1は、いわゆる浅履きタイプのフットカバー1である。このため、履き口2aは、着用時に足指が隠れる程度に、楕円状に大きく開口して設けられる。これにより、靴を履いたときにフットカバー1全体が靴の中に隠れ、フットカバー1が目立たないように靴を履くことができる。
【0017】
なお、履き口2aをくり抜く形状によって、足Fの甲を覆う面積を調整することができる。履き口2aの長手方向の長さを短くすることにより、いわゆる深履きタイプのフットカバー1にすることもできる。
【0018】
側面生地4の素材、編織方法、編織構造は、着用時に足Fの形状に自然にフィットする程度の伸縮性を有すればよく、特に限定されない。例えば、素材はナイロン、ポリエステル等の合成繊維を用い、長繊維で編成されたニット生地であってもよい。
【0019】
本実施形態では、側面生地4は、綿・アクリル混紡糸を弾性糸とともに編成した生地を用いており、足長方向および足幅方向に適度な伸縮性を有している。このため、フットカバー1を容易に脱着することができる。また、着用時に適度に足Fにフィットして足Fの屈曲に自然に追随するため、フットカバー1の着用感が向上する。
【0020】
(足底生地)
図3に示すように、足底生地3は略平面的であり、足Fの足裏の形状に合わせて、爪先部22および踵部23が、それぞれ円弧状に形成される。また、爪先部22から踵部23に亘る土踏まずの両側は、互いに接近する方向へ緩やかに凹んだ円弧状に形成される。なお、足底生地3は、この形状に限定されず、足Fの形状に合わせて他の形状に変更可能である。
【0021】
足底生地3は、歩行のしやすさや、ずれ防止の観点から、足裏との適度な摩擦が生じるとともに、肌に優しく適度な伸縮性を有するものであればよい。このため、足底生地3の素材、編織方法、編織構造は特に限定されない。例えば、綿混紡もしくは綿素材を編成したニット生地で足底生地3を構成してもよい。
【0022】
フットカバー1は、側面生地4および足底生地3の2枚の略平面的な生地の外周部分を、互いに接合することによって形成される。側面生地4と足底生地3との接合方法は、特に限定されない。該接合方法として、縫製のほか、熱融着、超音波溶着、接着剤による接着、接着テープ等の別部材による接着等のような縫製以外の接合方法(無縫製接合方法)を用いることができる。
【0023】
(フットカバーの形状)
図4に示すように、フットカバー1(本体2)は、平置きした状態の側面視において、略平面的な外観形状を有する。すなわち、フットカバー1は、足底生地3および側面生地4の2枚の略平面的な生地の各外周部分を、フットカバー1全体として略平面的な形状となるように互いに接合することによって形成される。
【0024】
詳細に説明すると、フットカバー1の非着用時において足底生地3に対して側面生地4立体的に立ち上がるような加工、編目編成、または縫製等が、側面生地4の例えば踵部側に施されていない。このため、側面生地4は、略平面的かつ継ぎ目のない形状を有する。このような側面生地4の外周部分に、側面生地4と同様に略平面的な形状を有する足底生地3の外周部分を接合することによって、全体として略平面的な形状のフットカバー1を形成することができる。
【0025】
ここで、略平面的な形状とは、本体2、履き口周縁生地5および滑り止め6の厚さ、並びに自然に生じる皺またはヨレ以外、具体的な高さを構成しない非立体的な形状を意味する。これにより、例えば足底を模った陳列用の台紙を装着したとき、フットカバー1の表裏(フットカバー1の足底生地3および側面生地4)ともに、生地面が台紙面に密着するような形状となる。このため、フットカバー1を台紙に装着して包装する際に、皺や折り目がつかず、製品の形状を損なわずに売り場等に陳列することができる。また、嵩張らないため保管の場所を取らず、効率的に輸送・陳列することができる。
【0026】
さらに、上述したように、側面生地4の履き口2a周縁に沿って履き口周縁生地5を配置する際に、側面生地4が略平面的な生地であることにより、側面生地4に履き口周縁生地5を容易に設けることができる。
【0027】
なお、上述した例では、足底生地3および側面生地4の2つの異なる生地を接合することによって本体2を形成した生地タイプのフットカバー1の例について説明した。しかしこれに限らず、編成糸で連続的に本体2を編成したニットタイプのフットカバー1であってもよい。
【0028】
(履き口周縁生地)
図5は、
図2に示されるフットカバー1を裏返して、履き口周縁生地5および滑り止め6を露出させた平面図である。
図5に示すように、フットカバー1は、側面生地4の内側(肌に接する側)に、履き口2a周縁に沿って配置された履き口周縁生地5を備える。履き口周縁生地5は、継ぎ目のない1枚の生地を環状に裁断して形成され、履き口2aの全周に亘って配置される。これにより、履き口2aを補強し、生地の解れや破断を抑制することができる。履き口周縁生地5は、例えば、熱融着、超音波溶着、接着剤による接着、接着テープ等の接着剤、接着テープ等によって、側面生地4の履き口2a周縁に貼付される。
【0029】
側面生地4および履き口周縁生地5はともに、継ぎ目のない環状の1枚の生地から形成される。このため、従来のように縫合線等の継ぎ目による凸部(段差)が側面生地4および履き口周縁生地5に形成されない。したがって、継ぎ目による凸部が肌に食い込むことがなく、履き口2a周縁におけるごろつき感が生じないため、着用感の低下を抑えることができる。また、継ぎ目から断裂したり解れたりすることがないため、履き口2aの強度を向上させることができる。
【0030】
履き口周縁生地5の素材、編織方法、編織構造については、履き口周縁生地5が側面生地4に配置された状態で、フットカバー1を容易に着脱することができる程度の伸縮性を有すればよく、特に限定されない。例えば、綿やウール等の天然繊維、ポリエステルやナイロン等の合成繊維を編織した生地を用いてもよい。
【0031】
履き口周縁生地5は、履き口2a周縁の全周に亘って配置される環状の環状部51と、環状部51と一連に形成され、環状部51から足底生地3(足底部21)側へ延出した延出部52とを含む。本実施形態では、延出部52は、足Fの踵の踵骨を左右から挟み込むように、環状部51から足底方向に延伸する。これにより、延出部52によって踵部23を補強するとともに、踵部23の伸縮を抑えてフットカバー1の脱げまたはずれを防止することができる。
【0032】
このように、延出部52を側面生地4に配置することにより、足Fとの摩擦等によって損傷しやすい部分(例えば踵部23)保護して補強することができる。また、延出部52によって側面生地4の伸縮が抑えられるため、脱げまたはずれを防止することができる。さらに、延出部52を踵部23に配置することにより、例えばフットカバー1の製造工程において滑り止め6を適切な位置に配置しやすくになる。
【0033】
なお、延出部52は、踵部23の伸縮を抑制できるものであればよく、その形状および位置は特に限定されない。
【0034】
(滑り止め)
滑り止め6は、履き口周縁生地5の環状部51および延出部52に配置される。滑り止め6は、足Fに接することにより、足Fに対するフットカバー1の脱げまたはずれを防止する。滑り止め6は、履き口周縁生地5および側面生地4よりも肌に対する摩擦が大きければよく、例えば、シリコン等の樹脂製のシートから構成される。これにより、履き口周縁生地5の延出部52に加え、滑り止め部5によっても側面生地4の伸縮を抑制することができるため、フットカバー1の脱げまたはずれを効果的に抑制することができる。
【0035】
滑り止め6は、略水平方向に延びる第1部分6aと、第1部分6aの両端部から足底部21側へ延出した2つの第2部分6bとを含む。第1部分6aは、足Fの踵側の環状部51に配置され、各第2部分6bは、それぞれ延出部52の各延出部52に配置される。
【0036】
滑り止め6は、第1部分6aと各第2部分6bとが、それぞれ接続されて一連に形成されている。これにより、滑り止め6の部分的な位置ずれが生じにくくなるため、踵部23の生地の縦方向および横方向への伸縮を効果的に抑制することができる。
【0037】
また、滑り止め6の幅は、履き口周縁生地5の幅と略同一か少し狭くなっており、環状部51から延出部52の末端近傍に亘って配置される。このとき、履き口周縁生地5の下端辺と滑り止め6の下端辺が概ね一致するように滑り止め6が配置される。
【0038】
このように、滑り止め6は、環状部51と延出部52との境界を跨いで、環状部51および延出部52上に配置される。このため、滑り止め6は、足Fの踵骨の上方を横断し、かつ踵骨を左右から挟み込むように配置される。これにより、滑り止め6の摩擦による滑り止め効果とともに、滑り止め6が足Fの踵に対するストッパーの役割を果たす。したがって、脱げの主な原因となる踵部23の左右方向および下方向へのずれを効果的に抑制することができる。また、環状部51と延出部52とは一連であるため、環状部51と延出部52との境界には段差が無く、平坦である。このため、当該境界を跨いで滑り止め6を配置しても、滑り止め6の表面(肌に接する側の面)は段差が生じず平坦となる。したがって、足Fの踵に対する滑り止め6のフィット性が向上し高い滑り止め効果を得られる。また、前記段差によるフットカバー1の着用感の低下を抑えることができる。
【0039】
滑り止め6は、肌に対する摩擦が、側面生地4および履き口周縁生地5の内側より大きければ、どのような態様であっても構わない。例えば、側辺部24と足底部21とを編成糸で連続的に編成するニットタイプのフットカバー1であれば、摩擦係数の大きい糸で編成することによって滑り止め6を形成してもよい。また、側面生地4と足底生地3とを縫製等の方法で接合する生地タイプのフットカバー1であれば、シルクスクリーン等の方法で特定の形状に樹脂を形成することによって滑り止め6を形成してもよい。
【0040】
なお、本実施形態では、2つの第2部分6bは、足底部21に近づくにつれて互いに間隔が広がるように配置されているが、滑り止め6の形状は、特に限定されるものではない。例えば、足底部21に近づくにつれて互いに間隔が狭まるように配置されてもよく、2つの第2部分6bは互いに略平行になるように配置されてもよい。また、滑り止め6の形状は、例えば、線状・点状・島状・面状等、種々の形状であってもよい。
【0041】
[フットカバーの作用効果]
上述の通り、本実施形態に係るフットカバー1は、足Fの足裏を覆う足底生地3、および足Fを出し入れする履き口2aが形成された継ぎ目のない環状の側面生地4を含む本体2と、側面生地4の内側に、履き口2a周縁に沿って配置された継ぎ目のない環状の履き口周縁生地5とを備える。
【0042】
フットカバー1では、履き口2a周縁に沿って帯状の履き口周縁生地5が配置されることにより、履き口2aを補強し、生地の解れや破断を抑制することができる。また、フットカバー1によれば、本体2の側面生地4と履き口周縁生地5とがいずれも継ぎ目のない環状に形成されている。このため、従来のように縫合線等の継ぎ目による凸部(段差)が側面生地4および履き口周縁生地5に形成されず、履き口2a周縁におけるごろつき感が生じない。
【0043】
したがって、本実施形態によれば、特に履き口2a周縁における着用感の低下を抑えつつ履き口2aを補強したフットカバー1を実現することができる。
【0044】
[変形例]
次に、
図7~
図10に基づいて、延出部52および滑り止め6の変形例について説明する。延出部52および滑り止め6は、フットカバー1の脱げまたはずれを抑制することができる形状であればよく、以下に示す例に限らず、その他の様々な形状に形成することができる。
【0045】
図7は、
図6に示される滑り止め6の変形例を示す平面図である。
図7に示す例では、滑り止め6は、環状部51から足底部21側へ延出した2つの延出部52と略平行になるように、各延出部52にそれぞれ配置される一対の帯状の樹脂シートにより構成される。
【0046】
図8は、
図6に示される滑り止め6の変形例を示す平面図である。
図8に示す例では、滑り止め6は、環状部51と延出部52との境界を跨いで設けられ、互いに対称になるように形成される一対の折れ曲がった帯状の樹脂シートにより構成される。
【0047】
図9は、
図6に示される延出部52および滑り止め6の変形例を示す平面図である。
図9に示す例では、延出部52は半円形状に形成され、環状部51から延びて足Fの踵を覆うように配置される。この場合、延出部52は、足Fの踵と擦れるために傷みやすい踵側の側面生地4を保護し、踵側の強度を向上させることができる。滑り止め6は、延出部52に、互いに略平行になるように、間隔をあけて配置される3つの帯状の樹脂シートにより構成される。
【0048】
図10は、
図6に示される延出部52および滑り止め6の変形例を示す平面図である。
図10に示す例では、滑り止め6は、環状部51と延出部52との境界を跨ぐように配置される複数の点状の樹脂シートにより構成される。
【0049】
このように、延出部52および滑り止め6は、フットカバー1の脱げまたはずれを抑制することができる形状であればよく、様々な形状に形成することが可能である。
【0050】
〔実施形態2〕
本発明の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、前記の実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0051】
図11は、本発明の実施形態2に係るフットカバー1を裏返して、履き口周縁生地5および滑り止め6を露出させた平面図である。
【0052】
上述した実施形態1では、履き口周縁生地5の環状部51の幅が略均一である例について説明したが、環状部51の幅は必ずしも均一にする必要は無く、部分的に相違してもよい。例えば、脱げの原因になり易い、爪先部22側と踵部23側との少なくともどちらか一方の幅を、L1(約1.5cm程度:太幅部)とし、左右の側辺部24側は、足長方向の伸長性を高く保つために、幅をL2(約0.7cm程度:細幅部)とする等、部分的に幅を変更して構成することも可能である。
【0053】
特に、着用時に応力がかかりやすい爪先部22の両端部22a、および踵部23の両端部23aが太幅部に含まれるよう構成する。このように、部分的に環状部51の幅を変えることにより、足Fの部位ごとに適切な伸縮性を担保することができる。これにより、フットカバー1の脱着が容易になるとともに、フットカバー1の脱げまたはずれを抑制することができる。
【0054】
なお、太幅部と細幅部の幅の大きさは前記した寸法に限らず、相対的な幅の違いがあれば、特に限定されるものではない。
【0055】
また、滑り止め6を貼着する位置は、履き口周縁生地5の上であればよく、特に限定されない。例えば、履き口2aの全周に亘って滑り止め6を配置してもよいし、踵部23側とともに、爪先部22側にも滑り止め6を配置してもよい。
【0056】
(まとめ)
本発明の一態様に係るフットカバーは、足の足裏を覆う足底部、および前記足を出し入れする履き口が形成された継ぎ目のない環状の側面部を含む本体と、前記側面部の内側に、前記履き口周縁に沿って配置された継ぎ目のない環状の履き口周縁生地と、を備える。
【0057】
前記の構成によれば、履き口周縁に沿って履き口周縁生地が配置されることにより、履き口を補強し、生地の解れや破断を抑制することができる。また、本体の側面部と履き口周縁生地とがいずれも継ぎ目のない環状に形成されている。このため、従来のように縫合線等の継ぎ目による凸部(段差)が側面部および履き口周縁生地に形成されず、履き口周縁におけるごろつき感が生じない。したがって、履き口周縁における着用感の低下を抑えつつ履き口を補強することが可能なフットカバーを実現することができる。
【0058】
また、本発明の一態様に係るフットカバーでは、前記履き口周縁生地は、前記履き口周縁の全周に亘って配置された環状の環状部と、前記環状部から前記足底部側へ延出した延出部と、を含んでもよい。
【0059】
前記の構成によれば、履き口周縁に配置された環状部によって履き口を補強することができる。また、履き口周縁を除く側面部のうち、足との摩擦等によって損傷しやすい部分(例えば踵部)に延出部を配置することにより、該部分を延出部によって保護して補強することができる。
【0060】
また、本発明の一態様に係るフットカバーでは、前記延出部は、前記足の踵側に配置されてもよい。
【0061】
前記の構成によれば、足との摩擦等によって特に損傷しやすい踵部を延出部によって保護して補強することができる。
【0062】
また、本発明の一態様に係るフットカバーでは、前記履き口周縁生地は、2つの前記延出部を含み、2つの前記延出部は、前記踵を左右から挟み込むように、前記環状部から前記足底部側へ延出してもよい。
【0063】
前記の構成によれば、踵部の生地の伸縮を延出部によって抑え、フットカバーの脱げまたはずれを防止することができる。
【0064】
また、本発明の一態様に係るフットカバーでは、前記履き口周縁生地の前記踵側に配置される滑り止めをさらに備え、前記滑り止めは、前記環状部および前記延出部の少なくとも一方に配置されてもよい。
【0065】
前記の構成によれば、履き口周縁生地によるフットカバーの脱げまたはずれの防止効果に加え、滑り止め部によってもフットカバーの脱げまたはずれが防止される。このため、フットカバーの脱げまたはずれを効果的に防止することができる。
【0066】
また、履き口周縁生地上に滑り止めを配置することにより、滑り止めの表面に段差が生じず該表面が平坦となる。このため、足の踵に対する滑り止めのフィット性が向上し高い滑り止め効果を得られるとともに、前記段差によるフットカバーの着用感の低下を抑えることができる。
【0067】
また、本発明の一態様に係るフットカバーでは、前記滑り止めは、前記足と接する面が一連の面形状であってもよい。
【0068】
前記の構成によれば、滑り止めが一連の面形状であることにより、足と滑り止めと接触面積が大きくなり、さらに高い滑り止め効果が得られる。
【0069】
また、本発明の一態様に係るフットカバーでは、前記履き口周縁生地は、生地の幅が部分的に異なる形状であってもよい。
【0070】
前記の構成によれば、履き口周縁生地の幅が部分的に異ならせることにより、履き口周縁の伸縮性を部分的に調整することができる。このため、履き口周縁の部分ごとに適切な伸縮性を付与することにより、フットカバーの脱着が容易となるとともに、フットカバーの脱げまたはずれを防止することができる。
【0071】
また、本発明の一態様に係るフットカバーでは、前記本体は、前記足に着用されていない非着用状態において略平面的な形状となってもよい。
【0072】
前記の構成によれば、フットカバーを例えば型紙に装着して包装する際に、皺や折り目がつかず、製品の形状を損なわずに売り場等に陳列することができる。また、嵩張らないため保管の場所を取らず、効率的に輸送することができる。
【0073】
また、本発明の一態様に係るフットカバーでは、前記本体は、前記足底部を構成する足底生地と、前記側面部を構成する側面生地とが接合されてもよい。
【0074】
前記の構成によれば、足底生地と側面生地とが接合された生地タイプのフットカバーにおいて、履き口周縁における着用感の低下を抑えつつ履き口を補強することができる。
【0075】
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
1 フットカバー
2 本体
2a 履き口
3 足底生地(足底部)
4 側面生地(側面部)
5 履き口周縁生地
6 滑り止め
21 足底部
51 環状部
52 延出部
F 足